JP2004203910A - 封止用樹脂組成物および樹脂封止型半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面実層タイプなどの半導体装置を封止したとき、高温下での耐クラック性および耐湿信頼性に優れ、Br/Sbを実質的に含まない樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)ビフェニルアラルキル骨格を有するエポキシ樹脂、(B)トリフェニルメタン構造を有するフェノール樹脂硬化剤、(C)DBUなど硬化促進剤、(D)シリカおよび(E)γ−N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランなどカップリング剤を必須成分としてなり、臭素系難燃剤およびアンチモン化合物を含まない封止用樹脂組成物であり、またこの封止用樹脂組成物の硬化物によって、半導体チップが封止されてなる樹脂封止型半導体封止装置である。
【選択図】 なし
【解決手段】(A)ビフェニルアラルキル骨格を有するエポキシ樹脂、(B)トリフェニルメタン構造を有するフェノール樹脂硬化剤、(C)DBUなど硬化促進剤、(D)シリカおよび(E)γ−N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランなどカップリング剤を必須成分としてなり、臭素系難燃剤およびアンチモン化合物を含まない封止用樹脂組成物であり、またこの封止用樹脂組成物の硬化物によって、半導体チップが封止されてなる樹脂封止型半導体封止装置である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、封止用樹脂組成物および樹脂封止型半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体装置の封止樹脂としては、フェノールノボラック樹脂を硬化剤とするエポキシ樹脂組成物が用いられており、その硬化物が耐湿性、高温電気特性、成形性などに優れているため、モールド型封止樹脂の主流になっている。ところで、近年、電子機器の高密度実装化および組立工程の自動化の要求から、半導体装置の実装方法は、従来からのピン挿入タイプから表面実装タイプへと移行してきている。表面実装方法で基板に半導体パッケージを半田付けする際には、基板上のクリーム半田を、赤外線やフロロカーボン蒸気で加熱し、パッケージのリードと接続する半田リフロー方式が採られている。このとき、パッケージ全体は215〜260℃の高温にさらされることになる。この急激な加熱が原因になって、パッケージにクラックが発生し、半導体装置の信頼性の極端な低下を引き起こすことがあり、現在表面実装法における大きな問題の一つになっている。すなわち、そのメカニズムは、吸湿した封止樹脂が高温にさらされ、パッケージ内部の水が気化膨張することによって、パッケージが膨れ、そのときの応力によって樹脂が破壊に至るというものである。
【0003】
これに対して、封止樹脂の側からの解決としては、
(a)発生する水蒸気圧を抑えるため樹脂の吸湿を低減する、
(b)生じる水蒸気圧に耐えるだけの接着強度をもたせる、
ことが有効である。そこで、柔軟疎水骨格の構造をもつエポキシ樹脂やフェノール樹脂硬化剤を用い、かつ充填剤を多量に配合した樹脂組成物が提案されている。
【0004】
しかしながら、これらのエポキシ樹脂組成物は、ノボラックタイプの封止樹脂に比べて高価なうえ、成形作業性に劣るという問題があった。一方、最近における環境についての関心の高まりから、半導体パッケージの分野においても、外装や接合に使用される半田からの鉛の除去、それに有機パッケージ中に含まれる臭素化合物やアンチモン化合物の除去が課題となっている。
【0005】
現在、鉛を使用しない半田のうち、半導体のパッケージ分野に使用可能な半田の多くは従来の半田に比較して融点が高く、前述したリフロー温度は相当高くなる。その結果、加熱により発生する水蒸気圧はいっそう増大し、封止樹脂には更に優れた耐リフロー性が要求される。また、一般に封止樹脂には難燃剤として臭素化エポキシ樹脂と三酸化アンチモンが使用されていることから、この組合せに代る代替難燃手法の開発も必須である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の封止用樹脂組成物における上記問題点を解決するためになされたものであり、実質的に臭素系難燃剤およびアンチモン化合物を使用せずに優れた難燃性を有し、かつ高温でのリフローに耐え得る封止用樹脂組成物およびこの樹脂組成物で封止された高信頼性をもつ樹脂封止型半導体装置を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の目的を達成しようと鋭意研究を重ねた結果、樹脂組成物について下記配合成分の組合せをすることにより、上記課題を解決する封止用樹脂組成物と半導体装置の得られることを見いだし、本発明を完成させたものである。
【0008】
即ち、前記化1で示されるエポキシ樹脂およびその硬化剤として前記式化2で示されるフェノール樹脂を必須成分としてなる封止樹脂組成物は、その硬化物がブロム化樹脂、三酸化アンチモン等の難燃化剤を含まなくても難燃性の高い硬化物を得ることができた。そしてより優れた高温での信頼性および耐リフロークラック性を示すには十分な硬化反応が行われることが重要である。しかし、前記式化1で示されるエポキシ樹脂と前記式化2で示されるフェノール樹脂の間の硬化反応は、従来使用されているリン系の硬化促進剤、例えば、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウム、テトラフェニルボレート等では十分に進行せず、成形性、高温での信頼性および耐クラック性に優れた硬化物が得られない。また、従来使用されているアミン系の硬化促進剤、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール系硬化促進剤においては、硬化性には優れるが、流動性および得られた封止樹脂組成物の保管安定性が悪くなる。
【0009】
これに対し、硬化促進剤として1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7を使用することにより、前記式化1で示されるエポキシ樹脂と前記式化2で示されるフェノール樹脂の間の硬化反応が十分に進み、成形性に優れ、かつ高温での信頼性および耐クラック性に優れる、さらに、耐熱性カップリング剤としてγ−N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランを使用することにより、より耐熱性が高く、より難燃性に優れた封止樹脂が得られる。なおさらに、前記化3に示される反応性シリコーン化合物を添加することにより、耐リフロー性および成形作業制が飛躍的に向上する。そしてこれらの封止樹脂で樹脂封止型半導体装置を封止することにより、信頼性の高い半導体装置を得ることを見いだして本発明をなすに至ったのである。
【0010】
即ち、本発明は、
(A)下記一般式に示されるエポキシ樹脂、
【化4】
(但し、式中、Cm H2mは炭素数mが1以上のアルキレン基を、nは1以上の整数をそれぞれ表す)
(B)下記一般式に示されるフェノール樹脂硬化剤、
【化5】
(但し、式中、nは1以上の整数を表す)
(C)硬化促進剤一般あるいは下記構造式に示される1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、
【化6】
(D)シリカおよび
(E)カップリング剤一般あるいは下記化学式に示されるカップリング剤
【化7】
C6 H5 −NH−CH2 CH2 CH2 Si(OCH3 )3
を必須成分としてなり、臭素系難燃剤およびアンチモン化合物を含まないことを特徴とする封止用樹脂組成物であり、さらに添加剤として下記一般式に示される少なくとも1つの官能基を含む反応性シリコーン化合物
【化8】
(式中、Aはアミノ基、カルボキシル基若しくはエポキシ基の官能基又はメチル基を、Rはアルキル基を、l,m,nは1以上の整数をそれぞれ表す)
を含む封止用樹脂組成物である。また本発明の樹脂封止型半導体装置は、これらの封止用樹脂組成物の硬化物によって、半導体チップが封止されてなることを特徴とする樹脂封止型半導体装置である。
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明に用いる(A)成分のエポキシ樹脂は、前記式化4に示されるビフェニルアラルキル骨格を有するエポキシ樹脂である。式中のCm H2m成分としては、CH2 が好ましい。アルキレン基の炭素数が多くなると難燃性が低下してくるためである。これらの樹脂は、信頼性を確保するため、樹脂中に含まれる塩素は、1000ppm以下であることが好ましい。これらエポキシ樹脂の具体例としては、NC−3000P(日本化薬社製、商品名、軟化温度70℃、エポキシ当量273)などが挙げられる。
【0013】
なお、本発明においては、その効果が失われない範囲で、前記エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を併用することができる。併用するエポキシ樹脂としては、1分子中にエポキシ基を少なくとも2個有する化合物であれば特に限定されない。具体的には、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールのノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのグリシジルエーテル、テトラ(ヒドロキシフェニル)アルカンのエポキシ化物、ビスヒドロキシビフェニル系エポキシ樹脂などが挙げられ、これらのエポキシ樹脂は、単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。
【0014】
本発明に用いる(B)フェノール樹脂硬化剤としては、前記式化5に示され、ノボラック型フェノール樹脂におけるホルムアルデヒド部分をベンゾアルデヒドに置き換えた構造のもので繰り返し構造の中にアロマ環が2つ以上含まれるものである。その豊富なアロマ環の効果により、十分な難燃性、低吸湿性が得られる。また、信頼性を確保するため、樹脂中に含まれるフリーのフェノール類の濃度が1%以下であることが好ましい。これらフェノール樹脂硬化剤の具体例としては、YLH1027(ジャパンエポキシレジン(株)製商品名、軟化温度82℃、水酸基当量150)が挙げられる。また、本発明においては、本発明の効果を失わない範囲で、前記フェノール樹脂硬化剤以外のフェノール樹脂硬化剤を併用することができる。このようなフェノール樹脂硬化剤としては、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するものであれば特に限定されい。具体的には、ノボラック型フェノール樹脂硬化剤、アラルキル型フェノール樹脂硬化剤、ナフトール型フェノール樹脂硬化剤、テルペン型フェノール樹脂硬化剤、トリフェニルメタン型フェノール樹脂硬化剤等が挙げられる。
【0015】
エポキシ樹脂とフェノール樹脂の配合比は、硬化剤であるフェノール樹脂のフェノール性水酸基数とエポキシ樹脂のエポキシ基数との基数比(フェノール性水酸基数/エポキシ基数)が0.5〜1.5の範囲内となるよう配合することが望ましい。上記基数比が0.5未満では硬化反応が十分に起こりにくく、1.5を超えると、硬化物の特性、特に耐湿性が劣化しやすくなるためである。
【0016】
本発明に用いる(C)硬化促進剤としては、特に前記式化6に示されるDBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7)が好ましい。また、そのフェノール樹脂塩を用いてもよい。フェノール塩に使用されるフェノール樹脂は、封止樹脂組成物の十分な難燃性、低吸湿性が得られるものであれば、分子中にフェノール性水酸基を有する如何なるものであってもよく、それらは単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。また、信頼性を確保するため、樹脂中に含まれるフリーのフェノール類の濃度が1%以下であることが好ましい。
【0017】
なお、本発明に用いる(C)硬化促進剤一般としては、フェノール樹脂を用いてエポキシ樹脂を硬化させる際に硬化促進剤として使用されることが知られているものであればいかなるものであってもよい。例えば、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタンなどの有機ホスフィン化合物、2−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾールなどのイミダゾール化合物またはその誘導体等があり、それら硬化促進剤は、単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。
【0018】
(C)硬化促進剤の添加割合は、樹脂成分の総量に対して0.05〜2.0重量%の範囲で添加することが望ましい。その割合が0.05重量%未満では硬化性能が劣り、一方、2.0重量%を超えると耐湿信頼性が劣化するおそれがある。
【0019】
本発明に用いる(D)無機充填剤としては、溶融シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、窒化アルミ等が挙げられ、これらは、単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。これらのなかでも、コスト、特性のバランスを考えると溶融シリカが最適である。
【0020】
この無機充填剤の配合割合は、シリカとして全体の樹脂組成物に対して80〜90重量%の割合で含有することが望ましい。その割合が80重量%未満では難燃性および耐クラック性に劣り、一方、90重量%を超えると流動性が低下して成形性が悪くなる。
【0021】
本発明に用いる(E)カップリング剤としては、封止樹脂に用いられるカップリング剤一般のものであればよいが、特に化7に示されるシランカップリング剤、すなわちγ−N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。化7のシランカップリング剤は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等と比べ耐熱性が高く反応性に優れ、組成物の成形性をより良好にし、耐リフロー性を向上させることができる。
【0022】
化7のシランカップリング剤、γ−N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランは、単独もしくは他のアミノシランカップリング剤と混合して用いることができ、さらにアミノシラン以外のカップリング剤を併用してもよい。併用する(E)カップリング剤一般の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0023】
これら(E)カップリング剤の配合割合は、樹脂組成物の総量に対して0.01〜5重量%の範囲で添加することが望ましい。その割合が0.01重量%未満では成形性の向上に効果がなく、一方、5重量%を超えると信頼性に悪影響を与え好ましくない。
【0024】
本発明の樹脂組成物は、前記化8に示されるアミノ、カルボキシまたはエポキシ官能基をもつ反応性のシリコーン化合物をさらに加えることにより、耐リフロー性および成形作業性が飛躍的に向上する。
【0025】
本発明の封止用樹脂組成物は、前述した(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)シリカおよび(E)カップリング剤を主成分とするが、本発明の目的に反しない限度において、また必要に応じて、例えば、天然ワックス類、合成ワックス類、直鎖脂肪酸やその金属塩、酸アミド類、エステル類、パラフィン類等の離型剤;カーボンブラック、二酸化チタン等の着色剤;シリコーンゴム、各種プラスチック粉末、各種エンジニアリングプラスチック粉末、ABS樹脂やMBS樹脂の粉末等の低応力化剤などを適宜、添加配合することができる。
【0026】
本発明の封止用樹脂組成物を成形材料として調製する場合の一般的な方法としては、前述したエポキシ樹脂、フェノール樹脂硬化剤、硬化促進剤、シリカ、カップリング剤、その他成分を配合し、ヘンシェルミキサー等の混合機によって十分均一に混合した後、さらに熱ロールによる溶融処理、または二軸押出機等による溶融混練処理を行い、次いで冷却固化させ、適当な大きさに粉砕して成形材料とすることができる。
【0027】
本発明の半導体装置は、上記のようにして得られた封止用樹脂組成物を用いて、半導体チップなど素子を樹脂封止することにより容易に製造することができる。樹脂封止の最も一般的な方法としては、低圧トランスファー成形があるが、射出成形、圧縮成形および注型などによる封止も可能である。封止用樹脂組成物は封止成形の際の加熱によって硬化し、最終的にはこの組成物の硬化物によって封止された半導体封止装置が得られる。加熱による硬化は、150℃以上に加熱して後硬化させることが望ましい。封止を行う電子部品装置としては、例えば、集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード、コンデンサ等で特に限定されるものではない。
【0028】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0029】
実施例1〜10よび比較例1〜4
まず、表1、2に示す各成分が、同表に示す割合で配合されてなるエポキシ樹脂組成物を、以下のようにして調製した(表中の配合量は重量部を示す)。即ち、初めにヘンシェルミキサー中で充填剤をシランカップリング剤で処理し、次いで他の成分を配合して常温で混合した後、混合物を60〜130℃の加熱ロールで混練し、冷却した後粉砕することにより封止用樹脂組成物を製造した。
【0030】
なお、表1に示した各原材料の内容は次のとおりである。
【0031】
・エポキシ樹脂A:ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂のNC−3000P(日本化薬社製、商品名、エポキシ当量273)、
・エポキシ樹脂B:オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂のESCN195XL(住友化学社製、商品名、エポキシ当量197)、
・エポキシ樹脂C:ビスフェノールA型臭素化エポキシ樹脂のAER−8029(旭化成社製、商品名、エポキシ当量460)、
・フェノール樹脂A:フェノールノボラック樹脂のYLH1027(ジャパンエポキシレジン社製商品名、フェノール当量150)、
・フェノール樹脂B:フェノールノボラック樹脂のBRG−556(昭和高分子社製商品名、フェノール当量104)、
・硬化促進剤A:DBUフェノールノボラック樹脂塩(有効DBU含有量30%、ノボラック樹脂のフェノール当量104)、
・硬化促進剤B:トリフェニルホスフィン、
・表面処理剤A:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランのA−187(日本ユニカー社製、商品名)、
・表面処理剤B:γ−N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランのSZ6083(東レダウ社製、商品名)、
・変性剤:両末端カルボキシ変性シリコーンのX−22−162C(信越化学社製、商品名)、
・離型剤:カルナバワックス、
・顔料:カーボンブラック、
・難燃助剤:三酸化アンチモン、
・無機充填剤:球状溶融シリカ粉(平均粒径20μm)。
【0032】
【表1】
【表2】
次いで、これらの封止用樹脂組成物について、それぞれ下記の評価試験を行った。
【0033】
[1]耐湿信頼性を調べるために以下の試験を行った。それぞれの樹脂組成物を用い、試験用デバイスを封止した後、180℃において4時間アフターキュアを行なった。次いで、このパッケージを85℃、相対湿度60%の雰囲気中に168時間放置して吸湿処理を行なった後、最高温度260℃のIRリフロー炉に3回通した。この時点でパッケージのクラック発生不良数を調べた。さらにこの吸湿・高温処理を経た20個のパッケージを、さらに127℃の飽和水蒸気雰囲気中に500時間放置するプレッシャクッカ試験(PCT)を行ない、100時間毎に不良(リーク不良、オープン不良)の発生数を調べて信頼性を評価した。以上の結果を表3、4にまとめて示す。
【0034】
[2]成形作業性を調べるために以下の試験を行った。それぞれの樹脂組成物を用いてダミーフレームを用いた連続成形を実施し、作業性および成形品の外観を観察した。以上の結果を表5、6にまとめて示す。
【0035】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
表3〜6にみるように、実施例1〜10の封止用樹脂組成物は、比較例1〜4の封止用樹脂組成物に比べ、高温下での耐クラック性およびその後の耐湿信頼性が良好である。また所期の難燃性も保持されており、成形作業性も問題がない。
【0036】
【発明の効果】
以上の説明および表3〜6から明らかなように、本発明の封止用樹脂組成物は、臭素系難燃剤を用いていないにもかかわらず所期の難燃性が保持され、高温下でのクラック性および耐湿信頼性が極めて良好であり、表面実装タイプの半導体装置の封止に好適である。また、本発明の封止用樹脂組成物で封止され本発明の半導体装置は、表面実装を行っても、その後の耐湿性が良好であり、高い信頼性を有するものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、封止用樹脂組成物および樹脂封止型半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体装置の封止樹脂としては、フェノールノボラック樹脂を硬化剤とするエポキシ樹脂組成物が用いられており、その硬化物が耐湿性、高温電気特性、成形性などに優れているため、モールド型封止樹脂の主流になっている。ところで、近年、電子機器の高密度実装化および組立工程の自動化の要求から、半導体装置の実装方法は、従来からのピン挿入タイプから表面実装タイプへと移行してきている。表面実装方法で基板に半導体パッケージを半田付けする際には、基板上のクリーム半田を、赤外線やフロロカーボン蒸気で加熱し、パッケージのリードと接続する半田リフロー方式が採られている。このとき、パッケージ全体は215〜260℃の高温にさらされることになる。この急激な加熱が原因になって、パッケージにクラックが発生し、半導体装置の信頼性の極端な低下を引き起こすことがあり、現在表面実装法における大きな問題の一つになっている。すなわち、そのメカニズムは、吸湿した封止樹脂が高温にさらされ、パッケージ内部の水が気化膨張することによって、パッケージが膨れ、そのときの応力によって樹脂が破壊に至るというものである。
【0003】
これに対して、封止樹脂の側からの解決としては、
(a)発生する水蒸気圧を抑えるため樹脂の吸湿を低減する、
(b)生じる水蒸気圧に耐えるだけの接着強度をもたせる、
ことが有効である。そこで、柔軟疎水骨格の構造をもつエポキシ樹脂やフェノール樹脂硬化剤を用い、かつ充填剤を多量に配合した樹脂組成物が提案されている。
【0004】
しかしながら、これらのエポキシ樹脂組成物は、ノボラックタイプの封止樹脂に比べて高価なうえ、成形作業性に劣るという問題があった。一方、最近における環境についての関心の高まりから、半導体パッケージの分野においても、外装や接合に使用される半田からの鉛の除去、それに有機パッケージ中に含まれる臭素化合物やアンチモン化合物の除去が課題となっている。
【0005】
現在、鉛を使用しない半田のうち、半導体のパッケージ分野に使用可能な半田の多くは従来の半田に比較して融点が高く、前述したリフロー温度は相当高くなる。その結果、加熱により発生する水蒸気圧はいっそう増大し、封止樹脂には更に優れた耐リフロー性が要求される。また、一般に封止樹脂には難燃剤として臭素化エポキシ樹脂と三酸化アンチモンが使用されていることから、この組合せに代る代替難燃手法の開発も必須である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の封止用樹脂組成物における上記問題点を解決するためになされたものであり、実質的に臭素系難燃剤およびアンチモン化合物を使用せずに優れた難燃性を有し、かつ高温でのリフローに耐え得る封止用樹脂組成物およびこの樹脂組成物で封止された高信頼性をもつ樹脂封止型半導体装置を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の目的を達成しようと鋭意研究を重ねた結果、樹脂組成物について下記配合成分の組合せをすることにより、上記課題を解決する封止用樹脂組成物と半導体装置の得られることを見いだし、本発明を完成させたものである。
【0008】
即ち、前記化1で示されるエポキシ樹脂およびその硬化剤として前記式化2で示されるフェノール樹脂を必須成分としてなる封止樹脂組成物は、その硬化物がブロム化樹脂、三酸化アンチモン等の難燃化剤を含まなくても難燃性の高い硬化物を得ることができた。そしてより優れた高温での信頼性および耐リフロークラック性を示すには十分な硬化反応が行われることが重要である。しかし、前記式化1で示されるエポキシ樹脂と前記式化2で示されるフェノール樹脂の間の硬化反応は、従来使用されているリン系の硬化促進剤、例えば、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウム、テトラフェニルボレート等では十分に進行せず、成形性、高温での信頼性および耐クラック性に優れた硬化物が得られない。また、従来使用されているアミン系の硬化促進剤、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール系硬化促進剤においては、硬化性には優れるが、流動性および得られた封止樹脂組成物の保管安定性が悪くなる。
【0009】
これに対し、硬化促進剤として1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7を使用することにより、前記式化1で示されるエポキシ樹脂と前記式化2で示されるフェノール樹脂の間の硬化反応が十分に進み、成形性に優れ、かつ高温での信頼性および耐クラック性に優れる、さらに、耐熱性カップリング剤としてγ−N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランを使用することにより、より耐熱性が高く、より難燃性に優れた封止樹脂が得られる。なおさらに、前記化3に示される反応性シリコーン化合物を添加することにより、耐リフロー性および成形作業制が飛躍的に向上する。そしてこれらの封止樹脂で樹脂封止型半導体装置を封止することにより、信頼性の高い半導体装置を得ることを見いだして本発明をなすに至ったのである。
【0010】
即ち、本発明は、
(A)下記一般式に示されるエポキシ樹脂、
【化4】
(但し、式中、Cm H2mは炭素数mが1以上のアルキレン基を、nは1以上の整数をそれぞれ表す)
(B)下記一般式に示されるフェノール樹脂硬化剤、
【化5】
(但し、式中、nは1以上の整数を表す)
(C)硬化促進剤一般あるいは下記構造式に示される1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、
【化6】
(D)シリカおよび
(E)カップリング剤一般あるいは下記化学式に示されるカップリング剤
【化7】
C6 H5 −NH−CH2 CH2 CH2 Si(OCH3 )3
を必須成分としてなり、臭素系難燃剤およびアンチモン化合物を含まないことを特徴とする封止用樹脂組成物であり、さらに添加剤として下記一般式に示される少なくとも1つの官能基を含む反応性シリコーン化合物
【化8】
(式中、Aはアミノ基、カルボキシル基若しくはエポキシ基の官能基又はメチル基を、Rはアルキル基を、l,m,nは1以上の整数をそれぞれ表す)
を含む封止用樹脂組成物である。また本発明の樹脂封止型半導体装置は、これらの封止用樹脂組成物の硬化物によって、半導体チップが封止されてなることを特徴とする樹脂封止型半導体装置である。
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明に用いる(A)成分のエポキシ樹脂は、前記式化4に示されるビフェニルアラルキル骨格を有するエポキシ樹脂である。式中のCm H2m成分としては、CH2 が好ましい。アルキレン基の炭素数が多くなると難燃性が低下してくるためである。これらの樹脂は、信頼性を確保するため、樹脂中に含まれる塩素は、1000ppm以下であることが好ましい。これらエポキシ樹脂の具体例としては、NC−3000P(日本化薬社製、商品名、軟化温度70℃、エポキシ当量273)などが挙げられる。
【0013】
なお、本発明においては、その効果が失われない範囲で、前記エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を併用することができる。併用するエポキシ樹脂としては、1分子中にエポキシ基を少なくとも2個有する化合物であれば特に限定されない。具体的には、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールのノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのグリシジルエーテル、テトラ(ヒドロキシフェニル)アルカンのエポキシ化物、ビスヒドロキシビフェニル系エポキシ樹脂などが挙げられ、これらのエポキシ樹脂は、単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。
【0014】
本発明に用いる(B)フェノール樹脂硬化剤としては、前記式化5に示され、ノボラック型フェノール樹脂におけるホルムアルデヒド部分をベンゾアルデヒドに置き換えた構造のもので繰り返し構造の中にアロマ環が2つ以上含まれるものである。その豊富なアロマ環の効果により、十分な難燃性、低吸湿性が得られる。また、信頼性を確保するため、樹脂中に含まれるフリーのフェノール類の濃度が1%以下であることが好ましい。これらフェノール樹脂硬化剤の具体例としては、YLH1027(ジャパンエポキシレジン(株)製商品名、軟化温度82℃、水酸基当量150)が挙げられる。また、本発明においては、本発明の効果を失わない範囲で、前記フェノール樹脂硬化剤以外のフェノール樹脂硬化剤を併用することができる。このようなフェノール樹脂硬化剤としては、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するものであれば特に限定されい。具体的には、ノボラック型フェノール樹脂硬化剤、アラルキル型フェノール樹脂硬化剤、ナフトール型フェノール樹脂硬化剤、テルペン型フェノール樹脂硬化剤、トリフェニルメタン型フェノール樹脂硬化剤等が挙げられる。
【0015】
エポキシ樹脂とフェノール樹脂の配合比は、硬化剤であるフェノール樹脂のフェノール性水酸基数とエポキシ樹脂のエポキシ基数との基数比(フェノール性水酸基数/エポキシ基数)が0.5〜1.5の範囲内となるよう配合することが望ましい。上記基数比が0.5未満では硬化反応が十分に起こりにくく、1.5を超えると、硬化物の特性、特に耐湿性が劣化しやすくなるためである。
【0016】
本発明に用いる(C)硬化促進剤としては、特に前記式化6に示されるDBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7)が好ましい。また、そのフェノール樹脂塩を用いてもよい。フェノール塩に使用されるフェノール樹脂は、封止樹脂組成物の十分な難燃性、低吸湿性が得られるものであれば、分子中にフェノール性水酸基を有する如何なるものであってもよく、それらは単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。また、信頼性を確保するため、樹脂中に含まれるフリーのフェノール類の濃度が1%以下であることが好ましい。
【0017】
なお、本発明に用いる(C)硬化促進剤一般としては、フェノール樹脂を用いてエポキシ樹脂を硬化させる際に硬化促進剤として使用されることが知られているものであればいかなるものであってもよい。例えば、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタンなどの有機ホスフィン化合物、2−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾールなどのイミダゾール化合物またはその誘導体等があり、それら硬化促進剤は、単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。
【0018】
(C)硬化促進剤の添加割合は、樹脂成分の総量に対して0.05〜2.0重量%の範囲で添加することが望ましい。その割合が0.05重量%未満では硬化性能が劣り、一方、2.0重量%を超えると耐湿信頼性が劣化するおそれがある。
【0019】
本発明に用いる(D)無機充填剤としては、溶融シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、窒化アルミ等が挙げられ、これらは、単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。これらのなかでも、コスト、特性のバランスを考えると溶融シリカが最適である。
【0020】
この無機充填剤の配合割合は、シリカとして全体の樹脂組成物に対して80〜90重量%の割合で含有することが望ましい。その割合が80重量%未満では難燃性および耐クラック性に劣り、一方、90重量%を超えると流動性が低下して成形性が悪くなる。
【0021】
本発明に用いる(E)カップリング剤としては、封止樹脂に用いられるカップリング剤一般のものであればよいが、特に化7に示されるシランカップリング剤、すなわちγ−N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。化7のシランカップリング剤は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等と比べ耐熱性が高く反応性に優れ、組成物の成形性をより良好にし、耐リフロー性を向上させることができる。
【0022】
化7のシランカップリング剤、γ−N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランは、単独もしくは他のアミノシランカップリング剤と混合して用いることができ、さらにアミノシラン以外のカップリング剤を併用してもよい。併用する(E)カップリング剤一般の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0023】
これら(E)カップリング剤の配合割合は、樹脂組成物の総量に対して0.01〜5重量%の範囲で添加することが望ましい。その割合が0.01重量%未満では成形性の向上に効果がなく、一方、5重量%を超えると信頼性に悪影響を与え好ましくない。
【0024】
本発明の樹脂組成物は、前記化8に示されるアミノ、カルボキシまたはエポキシ官能基をもつ反応性のシリコーン化合物をさらに加えることにより、耐リフロー性および成形作業性が飛躍的に向上する。
【0025】
本発明の封止用樹脂組成物は、前述した(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)シリカおよび(E)カップリング剤を主成分とするが、本発明の目的に反しない限度において、また必要に応じて、例えば、天然ワックス類、合成ワックス類、直鎖脂肪酸やその金属塩、酸アミド類、エステル類、パラフィン類等の離型剤;カーボンブラック、二酸化チタン等の着色剤;シリコーンゴム、各種プラスチック粉末、各種エンジニアリングプラスチック粉末、ABS樹脂やMBS樹脂の粉末等の低応力化剤などを適宜、添加配合することができる。
【0026】
本発明の封止用樹脂組成物を成形材料として調製する場合の一般的な方法としては、前述したエポキシ樹脂、フェノール樹脂硬化剤、硬化促進剤、シリカ、カップリング剤、その他成分を配合し、ヘンシェルミキサー等の混合機によって十分均一に混合した後、さらに熱ロールによる溶融処理、または二軸押出機等による溶融混練処理を行い、次いで冷却固化させ、適当な大きさに粉砕して成形材料とすることができる。
【0027】
本発明の半導体装置は、上記のようにして得られた封止用樹脂組成物を用いて、半導体チップなど素子を樹脂封止することにより容易に製造することができる。樹脂封止の最も一般的な方法としては、低圧トランスファー成形があるが、射出成形、圧縮成形および注型などによる封止も可能である。封止用樹脂組成物は封止成形の際の加熱によって硬化し、最終的にはこの組成物の硬化物によって封止された半導体封止装置が得られる。加熱による硬化は、150℃以上に加熱して後硬化させることが望ましい。封止を行う電子部品装置としては、例えば、集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード、コンデンサ等で特に限定されるものではない。
【0028】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0029】
実施例1〜10よび比較例1〜4
まず、表1、2に示す各成分が、同表に示す割合で配合されてなるエポキシ樹脂組成物を、以下のようにして調製した(表中の配合量は重量部を示す)。即ち、初めにヘンシェルミキサー中で充填剤をシランカップリング剤で処理し、次いで他の成分を配合して常温で混合した後、混合物を60〜130℃の加熱ロールで混練し、冷却した後粉砕することにより封止用樹脂組成物を製造した。
【0030】
なお、表1に示した各原材料の内容は次のとおりである。
【0031】
・エポキシ樹脂A:ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂のNC−3000P(日本化薬社製、商品名、エポキシ当量273)、
・エポキシ樹脂B:オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂のESCN195XL(住友化学社製、商品名、エポキシ当量197)、
・エポキシ樹脂C:ビスフェノールA型臭素化エポキシ樹脂のAER−8029(旭化成社製、商品名、エポキシ当量460)、
・フェノール樹脂A:フェノールノボラック樹脂のYLH1027(ジャパンエポキシレジン社製商品名、フェノール当量150)、
・フェノール樹脂B:フェノールノボラック樹脂のBRG−556(昭和高分子社製商品名、フェノール当量104)、
・硬化促進剤A:DBUフェノールノボラック樹脂塩(有効DBU含有量30%、ノボラック樹脂のフェノール当量104)、
・硬化促進剤B:トリフェニルホスフィン、
・表面処理剤A:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランのA−187(日本ユニカー社製、商品名)、
・表面処理剤B:γ−N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランのSZ6083(東レダウ社製、商品名)、
・変性剤:両末端カルボキシ変性シリコーンのX−22−162C(信越化学社製、商品名)、
・離型剤:カルナバワックス、
・顔料:カーボンブラック、
・難燃助剤:三酸化アンチモン、
・無機充填剤:球状溶融シリカ粉(平均粒径20μm)。
【0032】
【表1】
【表2】
次いで、これらの封止用樹脂組成物について、それぞれ下記の評価試験を行った。
【0033】
[1]耐湿信頼性を調べるために以下の試験を行った。それぞれの樹脂組成物を用い、試験用デバイスを封止した後、180℃において4時間アフターキュアを行なった。次いで、このパッケージを85℃、相対湿度60%の雰囲気中に168時間放置して吸湿処理を行なった後、最高温度260℃のIRリフロー炉に3回通した。この時点でパッケージのクラック発生不良数を調べた。さらにこの吸湿・高温処理を経た20個のパッケージを、さらに127℃の飽和水蒸気雰囲気中に500時間放置するプレッシャクッカ試験(PCT)を行ない、100時間毎に不良(リーク不良、オープン不良)の発生数を調べて信頼性を評価した。以上の結果を表3、4にまとめて示す。
【0034】
[2]成形作業性を調べるために以下の試験を行った。それぞれの樹脂組成物を用いてダミーフレームを用いた連続成形を実施し、作業性および成形品の外観を観察した。以上の結果を表5、6にまとめて示す。
【0035】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
表3〜6にみるように、実施例1〜10の封止用樹脂組成物は、比較例1〜4の封止用樹脂組成物に比べ、高温下での耐クラック性およびその後の耐湿信頼性が良好である。また所期の難燃性も保持されており、成形作業性も問題がない。
【0036】
【発明の効果】
以上の説明および表3〜6から明らかなように、本発明の封止用樹脂組成物は、臭素系難燃剤を用いていないにもかかわらず所期の難燃性が保持され、高温下でのクラック性および耐湿信頼性が極めて良好であり、表面実装タイプの半導体装置の封止に好適である。また、本発明の封止用樹脂組成物で封止され本発明の半導体装置は、表面実装を行っても、その後の耐湿性が良好であり、高い信頼性を有するものである。
Claims (5)
- (C)硬化促進剤が、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7である請求項1記載の封止用樹脂組成物。
- (E)カップリング剤が、γ−N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランである請求項1記載の封止用樹脂組成物。
- 請求項1〜4記載の封止用樹脂組成物の硬化物によって、半導体チップが封止されてなることを特徴とする樹脂封止型半導体装置。
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