JP3880598B2 - 封止用樹脂組成物および電子部品封止装置 - Google Patents
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Description
本発明は、半導体装置等の電子部品装置の封止材料として使用される封止用樹脂組成物およびこれを用いた電子部品封止装置に関する。
従来より、半導体装置等の電子部品装置においては、熱硬化性樹脂による封止が広く行われている。封止樹脂としては、熱硬化性樹脂のなかでもエポキシ樹脂が一般に用いられており、特に、フェノール樹脂を硬化剤としたエポキシ樹脂が、酸無水物や芳香族アミン等の他の硬化剤を使用したものに比べて、成形性、耐湿性に優れ、毒性がなく、また、安価であることから多用されている。
ところで、近年、電子機器の高密度実装化および組立工程の自動化等に対応するため、半導体装置の実装方法は、従来のピン挿入タイプから表面実装タイプへと移行してきている。表面実装タイプの実装方法では、基板にパッケージのリード部分を半田付けする際、基板上のクリーム半田を赤外線やフルオロカーボン蒸気で加熱し、リードと接続する方法が採られる。このような実装方法では、半田を加熱する際にパッケージ自体も加熱され、パッケージの温度が215〜260℃程度になることがある。このため、表面実装タイプの実装方法では、パッケージの急激な高温化により、パッケージにクラックが発生し、半導体装置の信頼性が低下するという問題があった。
また、最近の環境についての関心の高まりから、半導体のパッケージ分野においても、外装や接合に使用される半田からの鉛の除去が強く求められている。現在、鉛を使用しない半田のうち、半導体のパッケージ分野で使用可能な半田の多くは、従来の半田に比較して融点が高く、前述したリフロー温度は相当に高くなっている。このため、封止樹脂にはさらに優れた耐リフロー性が要求されてきている。
そこで、耐リフロー性を向上させた様々な封止樹脂が提案されてきている(例えば、特許文献1、2参照)。しかしながら、その多くは、耐リフロー性が改善される反面、成形硬化性が低下し、硬化が不十分になったり、力学的特性、特に機械的強度が低下して、成形時に折れが発生するという問題があった。この場合、イミダゾール骨格を有する硬化触媒を使用することにより、成形硬化性を向上させることができるが、耐リフロー性や電気的信頼性が低下する。
一方、この種の封止樹脂には、安全性の点からUL規格により難燃性を付与することが求められており、従来は、塩素、臭素等のハロゲン元素を含む化合物とアンチモン化合物(通常、三酸化アンチモン)の併用による難燃化が一般的である。しかしながら、このようなハロゲン系難燃剤は、電子部品封止装置の信頼性を低下させるうえ、一部のハロゲン化合物は、燃焼時に毒性の強いダイオキシン化合物を発生し、また、アンチモン化合物は、それ自体毒性が強いという環境上の問題があった。
特開平7−82343号公報
特開平8−277356号公報
上述したように、実装方式のピン挿入タイプから表面実装タイプへの変更、鉛を使用しない半田の使用に伴うリフロー温度の上昇等により、耐リフロー性、成形硬化性に優れた封止用樹脂組成物の要求がある。また、このような封止用樹脂組成物において、信頼性や環境への配慮等から、ハロゲン系難燃剤に代わる信頼性の高い難燃化技術の開発が要望されている。
本発明はこのような従来の事情に対処してなされたもので、高温でのリフローに耐えることができ、しかも、成形硬化性に優れるとともに、ハロゲン系難燃剤を使用することなく優れた難燃性を有する封止用樹脂組成物およびこのような封止用樹脂組成物で封止された高信頼性の電子部品封止装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、特定のエポキシ樹脂に特定のフェノール系硬化剤を組み合わせ、さらに、硬化促進作用を有する1,5‐ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン‐5およびそのフェノール樹脂塩の少なくとも1種を併用することにより、耐リフロー性および成形硬化性を向上させることができるとともに、ハロゲン系難燃剤を使用することなく優れた難燃性を付与することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本願の請求項1に記載の発明の封止用樹脂組成物は、(A)下記一般式(1)で示されるビフェニルノボラック型エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂、(B)下記一般式(2)で示されるフェノール化合物を含むフェノール樹脂系硬化剤、(C)1,51ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン‐5およびそのフェノール樹脂塩から選ばれる少なくとも1種、並びに、(D)無機充填剤を含有することを特徴とする。
(式中、nは0以上の整数を表す)
(式中、R1〜R4は水素原子またはメチル基を表す)
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の封止用樹脂組成物において、(B)成分が有するフェノール性水酸基数bおよび(C)成分が有するフェノール性水酸基数cの合計量と(A)成分が有するエポキシ基数aとの比[(b+c)/a]が0.5〜0.7であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の封止用樹脂組成物において、(D)成分の無機充填剤の含有量が70〜95重量%であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項記載の封止用樹脂組成物において、ハロゲン系難燃剤を実質的に含有しないことを特徴とする。
また、本願の請求項5に記載の発明の電子部品封止装置は、請求項1乃至4のいずれか1項記載の封止用樹脂組成物の硬化物によって、電子部品を封止してなることを特徴とする。
本発明によれば、耐リフロー性および成形硬化性が良好で、かつ、ハロゲン系難燃剤を使用することなく優れた難燃性を有する封止用樹脂組成物およびこのような封止用樹脂組成物で封止された高信頼性の電子部品封止装置を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の封止用樹脂組成物は、(A)下記一般式(1)で示されるビフェニルノボラック型エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂、(B)下記一般式(2)で示されるフェノール化合物を含むフェノール樹脂系硬化剤、(C)1,5‐ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン‐5およびそのフェノール樹脂塩から選ばれる少なくとも1種、並びに、(D)無機充填剤を含有するものである。
(式中、nは0以上の整数を表す)
(式中、R1〜R4は水素原子またはメチル基を表す)
(A)成分の一般式(1)で示されるビフェニルノボラック型エポキシ樹脂としては、エポキシ当量が200〜350の範囲のものが好ましく、エポキシ当量が250〜320の範囲のものがより好ましい。また、軟化温度が40〜100℃の範囲のものが好ましく、軟化温度が50〜75℃の範囲のものがより好ましい。さらに、ICI粘度計(コーン&プレート型)により測定される溶融粘度(150℃)が0.01〜0.3Pa・sの範囲のものが好ましく、溶融粘度(150℃)が0.01〜0.15Pa・sの範囲のものが好ましい。一般式(1)で示されるビフェニルノボラック型エポキシ樹脂の具体例としては、日本化薬社製のNC−3000(商品名;エポキシ当量273、軟化温度57℃、溶融粘度(150℃)0.07Pa・s)等が挙げられる。
本発明においては、必要に応じて、上記ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を併用することができる。併用するエポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであれば、分子構造、分子量等に制限されることなく一般に電子部品の封止材料として使用されているものを広く用いることができる。具体的には、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、下記一般式(3)で示されるようなクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、下記一般式(4)で示されるようなジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、下記一般式(5)で示されるようなビフェニル型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、下記一般式(6)で示されるようなビスフェノールA型エポキシ樹脂、縮合環芳香族炭化水素変性エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。なお、この場合、一般式(1)で示されるエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂は、エポキシ樹脂全体の50重量%以下とすることが好ましく、50重量%を超えると難燃性が低下する。
(B)成分の一般式(2)で示されるフェノール化合物としては、一般式(2)中、R1〜R4が水素原子のものが特に好ましい。
本発明においては、(B)成分として、一般式(2)で示されるフェノール化合物以外のフェノール樹脂系硬化剤を併用することができる。併用するフェノール樹脂系硬化剤としては、(A)成分のエポキシ樹脂のエポキシ基と反応し得るフェノール性水酸基を分子中に2個以上有するものであれば、特に制限されることなく使用される。具体的には、フェノール、アルキルフェノール等のフェノール類とホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒドを反応させて得られるノボラック型フェノール樹脂、例えば一般式(7)で示されるフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等、これらの変性樹脂、例えばエポキシ化もしくはブチル化したノボラック型フェノール樹脂等、例えば一般式(8)で示されるようなジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、パラキシレン変性フェノール樹脂、フェノール類とベンズアルデヒド、ナフチルアルデヒド等との縮合物、例えば一般式(9)で示されるフェノールアラルキル樹脂等、トリフェノールメタン化合物、例えば一般式(10)で示されるような多官能型フェノール樹脂等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
この(B)成分のフェノール樹脂系硬化剤の配合量は、(B)成分のフェノール樹脂硬化剤が有するフェノール性水酸基数bと次述する(C)成分として1,5‐ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン‐5のフェノール樹脂塩を使用する場合に、そのフェノール樹脂塩が有するフェノール性水酸基数cの合計量と、(A)成分のエポキシ樹脂が有するエポキシ基数aとの比[(b+c)/a]が、0.5〜0.7となる範囲が好ましく、0.6〜0.7となる範囲であるとより好ましい。[(b+c)/a]が0.5未満では、成形性や硬化物の電気特性等が低下し、逆に、0.7を超えると、耐リフロー性を十分に向上させることができない。
また、前記一般式(2)で示されるフェノール化合物は、全組成物中に0.4重量%以上配合することが好ましく、耐リフロー性および難燃性を十分に向上させることができる。より好ましい配合量は0.6重量%以上である。
(C)成分の1,5‐ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン‐5は、下記式(11)に示すような化学構造を有する2環式アミジン化合物であり、そのフェノール樹脂塩を構成するフェノール樹脂としては、(A)成分のエポキシ樹脂のエポキシ基と反応し得るフェノール性水酸基を分子中に2個以上有するものであれば、特に制限されることなく使用される。具体的には、(B)成分のフェノール樹脂系硬化剤として例示したものと同様のものを使用することができる。
この(C)成分は、1,5‐ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン‐5の割合が全組成物中に0.01〜0.5重量%となるように配合することが好ましく、0.05〜0.2重量%の範囲であるとより好ましい。1,5‐ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン‐5の割合が組成物全体の0.01重量%に満たないと、成形時の硬化が不十分となり、また、0.5重量%を超えると、硬化が急速に進むために流動性が低下して成形に支障をきたすおそれがある。
(D)成分の無機充填剤としては、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化珪素、窒化ホウ素等の粉末、これらを球形化したビーズ、単結晶繊維、ガラス繊維等が挙げられる。これらは単独または2種以上混合して使用することができる。本発明においては、これらのなかでも、シリカ粉末、アルミナ粉末の使用が好ましく、シリカ粉末が特に好ましい。また、その粒径については、平均粒径が5〜100μmであることが好ましく、10〜30μmであるとより好ましい。平均粒径が5μm未満であるか、または、100μmを超えると、組成物の流動性が低下し、成形性が不良となって実用が困難になる。
この(D)成分の無機充填剤の配合量は、組成物全体の70〜95重量%の範囲が好ましく、80〜93重量%の範囲であるとさらに好ましく、83〜91重量%の範囲であるとよりいっそう好ましい。配合量が70重量%未満では、耐熱性や硬化物の機械的特性が低下し、また、難燃性も不十分となる。逆に配合量が95重量%を越えると、組成物の流動性が低下し、成形性が不良となって実用が困難になる。
本発明の封止用樹脂組成物には、以上の各成分の他、本発明の効果を阻害しない範囲で、この種の組成物に一般に配合される、硬化促進剤、カップリング剤、合成ワックス、天然ワックス、直鎖脂肪族の金属塩、酸アミド、エステル類等の離型剤、カーボンブラック、コバルトブルー等の着色剤、シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力付与剤等を、配合することができる。
硬化促進剤としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(p‐メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2‐ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィントリフェニルボラン等の有機ホスフィン化合物、1,8‐ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン‐7(DBU)、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン化合物、2‐ヘプタデシルイミダゾール、2‐メチルイミダゾール、2‐エチルイミダゾール、2‐フェニルイミダゾール、2‐フェニル‐4‐メチルイミダゾール、4‐メチルイミダゾール、4‐エチルイミダゾール、2‐フェニル‐4‐ヒドロキシメチルイミダゾール、2‐エニル‐4‐メチルイミダゾール、1‐シアノエチル‐2‐メチルイミダゾール、2‐フェニル‐4‐メチル‐5‐ヒドロキシメチルイミダゾール、2‐フェニル‐4、5‐ジヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール化合物等が挙げられる。これらは(C)成分と併用し、単独または2種以上混合して使用することができる。
カップリング剤としては、シランカップリング剤が好ましく、例えばγ‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-(3,4‐エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ‐(メタクリロプロピル)トリメトキシシラン、γ‐アミノプロピルトリメトキシシラン、N‐β‐(アミノエチル)‐γ‐アミノプロピルトリメトキシシラン、N‐β‐(アミノエチル)‐γ‐アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N‐β‐(アミノエチル)‐γ‐アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N‐フェニル‐γ‐アミノプロピルトリメトキシシラン、γ‐ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ‐メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ‐メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3‐トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシラン等が挙げられる。これらは単独または2種以上混合して使用することができる。
本発明の封止用樹脂組成物を成形材料として調製するにあたっては、上記したような(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂系硬化剤、(C)1,5‐ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン‐5およびそのフェノール樹脂塩から選ばれる少なくとも1種、(D)無機充填剤、並びに、前述した必要に応じて配合される各種成分とを、ミキサー等によって十分に混合した後、熱ロールやニーダ等により溶融混練し、冷却後適当な大きさに粉砕するようにすればよい。
本発明の電子部品封止装置は、上記の封止用樹脂組成物を用いて電子部品を封止することにより製造することができる。封止方法としては、低圧トランスファー法が一般的であるが、射出成形、圧縮成形等による封止も可能である。封止用樹脂組成物で封止後は、加熱して硬化させ、最終的にその硬化物によって封止された半導体装置が得られる。後硬化させる際の加熱温度は、150℃以上とすることが好ましい。なお、封止を行う電子部品としては、集積回路、大規模集積回路、ダイオード、トランジスタ、サイリスタ、コンデンサ等が例示されるが、特にこれらに限定されるものではない。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない
実施例1〜6、比較例1〜6
下記に示すエポキシ樹脂およびフェノール樹脂硬化剤、硬化促進剤として1,5‐ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン‐5(DBN)のフェノールノボラック塩(サンアプロ社製 商品名 U‐CAT 881、DBN10重量%含有)、1,8‐ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン‐7(DBU)のフェノールノボラック塩(サンアプロ社製 商品名 U‐CAT SA841、DBU30重量%含有)およびトリフェニルホスフィン、無機充填剤として平均粒径24μmの溶融球状シリカ粉末、離型剤としてカルバナワックス、着色剤としてカーボンブラック、シランカップリング剤としてγ‐メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製 商品名 KBM803)およびN‐フェニル‐γ‐アミノプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー社製 商品名 Y9669)、並びに、低応力化剤としてアミノ変性ポリメチルフェニルシロキサン(信越化学工業社製 商品名 X22‐1660B‐3)を用い、表1および表2に示す配合割合で封止用樹脂組成物を製造した。
下記に示すエポキシ樹脂およびフェノール樹脂硬化剤、硬化促進剤として1,5‐ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン‐5(DBN)のフェノールノボラック塩(サンアプロ社製 商品名 U‐CAT 881、DBN10重量%含有)、1,8‐ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン‐7(DBU)のフェノールノボラック塩(サンアプロ社製 商品名 U‐CAT SA841、DBU30重量%含有)およびトリフェニルホスフィン、無機充填剤として平均粒径24μmの溶融球状シリカ粉末、離型剤としてカルバナワックス、着色剤としてカーボンブラック、シランカップリング剤としてγ‐メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製 商品名 KBM803)およびN‐フェニル‐γ‐アミノプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー社製 商品名 Y9669)、並びに、低応力化剤としてアミノ変性ポリメチルフェニルシロキサン(信越化学工業社製 商品名 X22‐1660B‐3)を用い、表1および表2に示す配合割合で封止用樹脂組成物を製造した。
すなわち、各成分を常温で混合(ドライブレンド)した後、90〜110℃の加熱ロールを用いて加熱混練し、冷却後、粉砕して封止用樹脂組成物を製造した。
エポキシ樹脂A:ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂
(日本化薬社製 商品名NC3000、エポキシ当量273)
エポキシ樹脂B:o‐クレゾールノボラック型エポキシ樹脂
(長春人造社製 商品名ECNE‐200、エポキシ当量200)
フェノール樹脂系硬化剤A:一般式(2)中、R1〜R4が水素原子であるフェノール化合物
(本州化学工業社製 商品名ビフェノール、水酸基当量93)
フェノール樹脂系硬化剤B:フェノールノボラック樹脂
(明和化成社製 商品名H‐4、水酸基当量104)
(日本化薬社製 商品名NC3000、エポキシ当量273)
エポキシ樹脂B:o‐クレゾールノボラック型エポキシ樹脂
(長春人造社製 商品名ECNE‐200、エポキシ当量200)
フェノール樹脂系硬化剤A:一般式(2)中、R1〜R4が水素原子であるフェノール化合物
(本州化学工業社製 商品名ビフェノール、水酸基当量93)
フェノール樹脂系硬化剤B:フェノールノボラック樹脂
(明和化成社製 商品名H‐4、水酸基当量104)
上記各実施例および各比較例で得られた封止用樹脂組成物について、下記に示す方法で各種特性を評価した。
[スパイラルフロー]
EMMI‐I‐66に準じて175℃におけるスパイラルフローを測定した。
[ゲルタイム]
175℃に保たれた熱板上で一定量の封止用樹脂組成物(試料)を直径4〜5cmの円形状に広げて一定速度で練り合わせ、試料の粘度が一旦上昇後、最終的に粘りがなくなるまでの時間を計測した。
[耐リフロー性]
2本のアルミニウム配線を有するシリコンチップ(9.0mm×9.0mm)を、銅フレーム(KLF‐125)に銀ペーストを用いて150℃で1時間加熱して接着し、次いで、封止用樹脂組成物を用いて、175℃、1分間のトランスファー成形および175℃、8時間の後硬化によりQFP208‐P‐2828パッケージ(28mm×28mm×3.6mm)を作製し、このパッケージに85℃、60%RH、168時間の吸湿処理を行った後、260℃のIRリフローを3回行い、冷却後、樹脂硬化物とフレームとの界面および樹脂硬化物とシリコンチップとの界面における剥離およびクラックの発生の有無を超音波探傷装置により観察し、その発生率を調べた。
[成形性]
FFMS成形機により、QFP208‐P‐2828パッケージ(28mm×28mm×3.6mm)用金型内に、封止用樹脂組成物を185℃で7.5秒間注入後、45秒間成形し、樹脂の未硬化に起因するランナー部のかすれや折れ、カル部の膨れの発生の有無を観察した。
[難燃性(I)および(II)]
封止用樹脂組成物を175℃、2分間の条件でトランスファー成形し、次いで175℃、8時間の後硬化を行って、127mm×12.7mm×0.8mmの硬化物を得、UL−94規格に基づく燃焼試験を行った。また、同様に作製した硬化物について、UL−94 A法に準じてフレーミングタイムを測定し、1回目のフレーミングタイムと2回目のフレーミングタイムの合計の平均値を算出した。
[スパイラルフロー]
EMMI‐I‐66に準じて175℃におけるスパイラルフローを測定した。
[ゲルタイム]
175℃に保たれた熱板上で一定量の封止用樹脂組成物(試料)を直径4〜5cmの円形状に広げて一定速度で練り合わせ、試料の粘度が一旦上昇後、最終的に粘りがなくなるまでの時間を計測した。
[耐リフロー性]
2本のアルミニウム配線を有するシリコンチップ(9.0mm×9.0mm)を、銅フレーム(KLF‐125)に銀ペーストを用いて150℃で1時間加熱して接着し、次いで、封止用樹脂組成物を用いて、175℃、1分間のトランスファー成形および175℃、8時間の後硬化によりQFP208‐P‐2828パッケージ(28mm×28mm×3.6mm)を作製し、このパッケージに85℃、60%RH、168時間の吸湿処理を行った後、260℃のIRリフローを3回行い、冷却後、樹脂硬化物とフレームとの界面および樹脂硬化物とシリコンチップとの界面における剥離およびクラックの発生の有無を超音波探傷装置により観察し、その発生率を調べた。
[成形性]
FFMS成形機により、QFP208‐P‐2828パッケージ(28mm×28mm×3.6mm)用金型内に、封止用樹脂組成物を185℃で7.5秒間注入後、45秒間成形し、樹脂の未硬化に起因するランナー部のかすれや折れ、カル部の膨れの発生の有無を観察した。
[難燃性(I)および(II)]
封止用樹脂組成物を175℃、2分間の条件でトランスファー成形し、次いで175℃、8時間の後硬化を行って、127mm×12.7mm×0.8mmの硬化物を得、UL−94規格に基づく燃焼試験を行った。また、同様に作製した硬化物について、UL−94 A法に準じてフレーミングタイムを測定し、1回目のフレーミングタイムと2回目のフレーミングタイムの合計の平均値を算出した。
表1および表2からも明らかなように、実施例の封止用樹脂組成物は、成形性および耐リフロー性がいずれも良好で、かつ、難燃性にも優れている。
Claims (5)
- (B)成分が有するフェノール性水酸基数bおよび(C)成分が有するフェノール性水酸基数cの合計量と(A)成分が有するエポキシ基数aとの比[(b+c)/a]が0.5〜0.7であることを特徴とする請求項1記載の封止用樹脂組成物。
- (D)成分の無機充填剤の含有量が70〜95重量%であることを特徴とする請求項1または2記載の封止用樹脂組成物。
- ハロゲン系難燃剤を実質的に含有しないことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の封止用樹脂組成物。
- 請求項1乃至4のいずれか1項記載の封止用樹脂組成物の硬化物によって、電子部品を封止してなることを特徴とする電子部品封止装置。
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JP2004311339A JP3880598B2 (ja) | 2004-10-26 | 2004-10-26 | 封止用樹脂組成物および電子部品封止装置 |
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