JP2004315753A - 封止用樹脂組成物および半導体装置 - Google Patents

封止用樹脂組成物および半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】耐リフロー性、リフロー後の信頼性に優れ、しかも、成形性や硬化性も良好な封止用樹脂組成物、およびそれを用いた半導体装置を提供する。
【解決手段】(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂硬化剤、(C)無機充填剤および(D)次式[I]
【化5】
Figure 2004315753

(式中、R1〜R4は水素原子またはアルキル基を表す)
で示されるチオエーテル化合物を含有することを特徴とする封止用樹脂組成物、およびこれを用いた半導体装置である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体の封止材料として使用される樹脂組成物およびこれを用いた半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
トランジスタ、IC、LSI等の半導体装置においては、経済性や生産性の点から、熱硬化性樹脂を用いた樹脂封止が一般的である。なかでも、エポキシ樹脂をベースとし、これに硬化剤や硬化促進剤、さらにはシリカ粉末のような無機充填剤や顔料等を配合した組成物が、信頼性、成形性、価格等の点から汎用されている。
【0003】
ところで、近年、電子機器の高密度実装化や組み立て工程の自動化等に対応するため、半導体装置の実装方法は、従来のピン挿入タイプから表面実装タイプへと移行してきている。表面実装タイプの実装方法では、基板にパッケージのリード部分をはんだ付けする際、基板上のクリームはんだを赤外線やフルオロカーボン蒸気で加熱する方法が採られている。このような表面実装法では、はんだを加熱する際にパッケージ自体も加熱され、その温度が215〜260℃程度になることがある。このため、表面実装法では、パッケージの急激な高温化により、パッケージの封止樹脂部分にクラックが発生したり、あるいはチップと封止樹脂間、リードフレームと封止樹脂間等で剥離が生じ、半導体装置の信頼性が低下してしまうという問題が発生している。
【0004】
そこで、このような問題を解決するため、無機充填剤を多量に配合することによって樹脂の高強度化を図ったり、あるいは、密着性付与剤を用いることによって樹脂のチップ等に対する高密着性化を図り、これにより上記のようなクラックや剥離の発生を防止した組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
しかしながら、無機充填剤を多量に配合した組成物では、成型時に様々な不都合(例えば、外部巣や内部巣の増加、ボンディングワイヤの変形等)が生じるという問題があった。一方、密着性付与剤を配合した組成物では、リードフレームの種類によっては十分に密着性を改善することができない場合があったうえ、硬化性が低下するという問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−166103号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、実装方式のピン挿入型から表面実装型への変更等に伴い、高温でのリフローによりクラックや剥離が発生することのない耐リフロー性、リフロー後の信頼性に優れた封止用樹脂組成物の要求がある。そして、このような要求に応えるため、無機充填剤を多量に配合した組成物や密着性付与剤を配合した組成物が提案されている。しかしながら、前者では成形性に問題があり、また、後者では密着性が十分に改善されないうえ、硬化性が不良となる難点があった。
【0008】
本発明はこのような従来技術の課題を解決するためになされたもので、耐リフロー性、リフロー後の信頼性に優れ、しかも、成形性や硬化性も良好な封止用樹脂組成物、およびそれを用いた高信頼性の半導体装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、エポキシ樹脂の組成物に特定の硫黄含有化合物を配合することによって、半導体チップや各種リード材に対する密着性が大幅に向上し、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成したものである。
【0010】
すなわち、本発明の封止用樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂硬化剤、(C)無機充填剤および(D)次式[I]
【化2】
Figure 2004315753
(式中、R1は水素原子またはアルキル基を表す)
で示されるチオエーテル化合物を含有することを特徴としている。
【0011】
ここで、(D)成分の含有量が全体の0.01〜10重量%であってもよい。
【0012】
また、(C)成分の含有量が全体の25〜95重量%であってもよい。
【0013】
さらに、(D)成分が、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、4,4′−チオジ(2,6−ジメチルフェノール)および4,4′−チオジ(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)より選ばれる少なくとも1種であってもよい。
【0014】
本発明の半導体装置は、上記封止用樹脂組成物の硬化物によって半導体チップが封止されてなることを特徴としている。
【0015】
本発明の封止用樹脂組成物および半導体装置においては、エポキシ樹脂の組成物に特定のチオエーテル化合物を配合したことにより、半導体チップや各種リード材に対する密着性が大幅に向上し、表面実装にも十分適用可能な耐リフロー性、リフロー後の信頼性を備えることができるうえ、成形性や硬化性にも優れたものとなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
本発明の封止用樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂硬化剤、(C)無機充填剤および(D)前記一般式[I]で示されるチオエーテル化合物を必須成分とするものである。
【0018】
(A)成分のエポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであれば、分子構造、分子量等に制限されることなく一般に使用されているものを広く用いることができる。具体的には、下記一般式[II]で示されるようなビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の他、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、縮合環芳香族炭化水素変性エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0019】
【化3】
Figure 2004315753
(式中、R1、R2は水素原子またはアルキル基を、nは1以上の整数をそれぞれ表す)
【0020】
(B)成分のフェノール樹脂硬化剤としては、(A)成分のエポキシ樹脂のエポキシ基と反応し得るフェノール性水酸基を分子中に2個以上有するものであれば、特に制限されることなく使用される。具体的には、下記一般式[III]で示されるようなフェノールアラルキル樹脂の他、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、パラキシレン変性フェノール樹脂、フェノール類とベンズアルデヒド、ナフチルアルデヒド等との縮合物、トリフェノールメタン化合物、多官能型フェノール樹脂等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0021】
【化4】
Figure 2004315753
(式中、R1、R2は水素原子またはアルキル基を、nは1以上の整数をそれぞれ表す)
【0022】
この(B)成分のフェノール樹脂硬化剤の配合量は、(A)成分のエポキシ樹脂が有するエポキシ基(a)と、(B)成分のフェノール樹脂硬化剤が有するフェノール性水酸基(b)との比(a)/(b)が当量比で0.4〜1.3となる範囲が好ましく、0.5〜1.1となる範囲であるとより好ましい。当量比が0.4未満もしくは1.3を超えると、耐湿性、耐熱性、成形性、硬化物の電気特性等が低下する。
【0023】
(C)成分の無機充填剤としては、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化珪素、窒化ホウ素、窒化ケイ素等の粉末、これらを球形化したビーズ、単結晶繊維、ガラス繊維等が挙げられる。これらは単独または2種以上混合して使用することができる。本発明においては、特に不純物濃度が低く平均粒径が30μm以下のものが好ましく、かかる特性を有する溶融シリカ、結晶シリカがなかでも好ましい。平均粒径が30μmを超えると耐湿性、成形性が低下する。
【0024】
この(C)成分の無機充填剤の配合量は、組成物全体の25〜95重量%の範囲であることが好ましい。配合量が25重量%未満では、組成物の吸湿率が大きくなり、特にリフロー後の耐湿性が低下する。逆に配合量が95重量%を超えると、組成物の流動性が低下し、成形性が不良となる。
【0025】
(D)成分の一般式[I]で示されるチオエーテル化合物は、本発明の特徴をなす成分であり、組成物の硬化性を低下させることなく、各種リード材等に対する密着性を高める働きをする。本発明においては、(D)成分として、特に、一般式[I]中、R1、R3がメチル基で、R2、R4が水素原子であるビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、4,4′−チオジ(2,6−ジメチルフェノール)、4,4′−チオジ(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)が好ましい。
【0026】
この(D)成分のチオエーテル化合物は、本発明の効果を十分発現させるために、全組成中に0.01〜10重量%配合することが好ましく、0.1〜5重量%配合するとより好ましい。配合量が0.01重量%未満では、添加による効果が十分に得られず、逆に配合量が10重量%を超えると、反応性が高いために組成物の流動性や保存安定性を低下させるおそれがある。
【0027】
本発明の封止用樹脂組成物には、以上の各成分の他、この種の組成物に一般に配合される、硬化促進剤;カップリング剤;カーボンブラック、コバルトブルー、ベンガラ等の着色剤、合成ワックス、天然ワックス、エステル類、直鎖脂肪酸の金属塩、酸アミド類、パラフィン類等の離型剤;シリコーンオイルやシリコーンゴム等の低応力付与剤;イオントラップ剤;塩素化パラフィン、ブロム化トルエン、ヘキサブロムベンゼン、三酸化アンチモン等の難燃剤、難燃助剤等を、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて配合することができる。
【0028】
硬化促進剤としては、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU)、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン類、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩等が挙げられる。これらは単独または2種以上混合して使用することができる。
【0029】
この硬化促進剤の配合量は、組成物全体の0.01〜5重量%の範囲であることが好ましい。配合量が0.01重量%未満では、硬化性の向上に効果がなく、逆に配合量が5重量%を超えると、組成物の流動性が低下し、電気特性や耐湿性も不良となる。
【0030】
また、カップリング剤としては、シランカップリング剤が好ましく、例えばγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロプロピル)トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシラン等が挙げられる。これらは単独または2種以上混合して使用することができる。
【0031】
このカップリング剤の配合量は、組成物全体の0.01〜5重量%の範囲であることが好ましい。配合量が0.01重量%未満では、成形性の向上に効果がなく、逆に配合量が5重量%を超えると、信頼性が低下する。
【0032】
本発明の封止用樹脂組成物を調製するにあたっては、(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂硬化剤、(C)無機充填剤、(D)チオエーテル化合物および前述した必要に応じて配合される各種成分をミキサー等によって十分に混合(ドライブレンド)した後、熱ロールやニーダ等により溶融混練し、冷却後適当な大きさに粉砕するようにすればよい。
【0033】
本発明の半導体装置は、上記のようにして得られた封止用樹脂組成物を用いて半導体チップを封止することにより容易に製造することができる。封止方法としては、低圧トランスファー法が一般的であるが、射出成形、圧縮成形、注型等による封止も可能である。封止用樹脂組成物で封止後は、加熱して硬化させ、最終的にその硬化物によって封止された電子部品装置が得られる。後硬化させる際の加熱温度は、150℃以上とすることが好ましい。封止を行う半導体装置としては、例えば集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード等が例示されるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0034】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない
【0035】
実施例1〜4、比較例1、2
下記に示すエポキシ樹脂、フェノール樹脂硬化剤、並びに、無機充填剤として平均粒径20μmの溶融球状シリカ粉末、密着性付与剤としてビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、シランカップリング剤としてγ−グリシドキシプロピリトリメトキシシラン(日本ユニカー社製 商品名 A−187)、硬化促進剤としてDBU30重量%含有フェノールノボラック塩(サンアプロ社製 商品名 U−CAT SA841)、離型剤としてカルナバワックス、着色剤としてカーボンブラックを用い、表1に示す配合割合で常法により封止用樹脂組成物を製造した。すなわち、まず、ヘンシェルミキサ中で無機充填剤をシランカップリング剤で処理し、次いで、他の成分を添加し、常温でドライブレンドした後、ロール表面温度90〜95℃のミキシングロールを用いて加熱混練し、冷却後、粉砕して封止用樹脂組成物を製造した。
【0036】
エポキシ樹脂A:ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂
(日本化薬社製 商品名NC3000、軟化温度70℃エポキシ当量280)
エポキシ樹脂B:o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂
(長春人造社製 商品名CNE−200ELB−65、エポキシ当量198)
フェノール樹脂硬化剤A:フェノールアラルキル樹脂
(三井東圧化学社製 商品名XLC−4L、水酸基当量170)
フェノール樹脂硬化剤B:フェノールノボラック樹脂
(明和化成社製 商品名H−4、水酸基当量104)
【0037】
上記各実施例および各比較例で得られた封止用樹脂組成物について、下記に示す方法でその特性を評価した。
【0038】
試験用デバイスを封止用樹脂組成物を用いて175℃、1分間のトランスファー成形により封止し、175℃で4時間後硬化させてパッケージを作製した。このパッケージに、30℃、70%RH、216時間の吸湿処理を行った後、最高温度260℃のIRリフロー炉に4回通し、冷却後、超音波探傷装置により、クラックの発生の有無を観察し、その発生率(試料数20)を求めた。
【0039】
次いで、クラックの発生が認められなかったパッケージを、127℃の飽和水蒸気雰囲気中に置き、耐湿性試験(Pressure Cooker Test:PCT)を行い、100時間、300時間、500時間および1000時間後の不良(リーク/オープン不良)の発生率を調べた。
これらの結果を表1に併せ示す。
【0040】
【表1】
Figure 2004315753
【0041】
表1からも明らかなように、密着性付与剤が配合された実施例の封止用樹脂組成物はいずれも良好な耐リフロー性、耐湿信頼性を有していた。これに対し、比較例1では、密着性付与剤が未配合のため、リフロー段階で全ての試料にクラックが発生した。また、同様に密着性付与剤未配合の比較例2では、実施例1、2と比較して耐湿信頼性が劣っており、密着性付与剤の配合による効果が確認された。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、耐リフロー性、リフロー後の信頼性に優れ、しかも、成形性や硬化性も良好な封止用樹脂組成物、およびそれを用いた高信頼性の半導体装置を得ることができる。

Claims (5)

  1. (A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂硬化剤、(C)無機充填剤および(D)次式[I]
    Figure 2004315753
    (式中、R1〜R4は水素原子またはアルキル基を表す)
    で示されるチオエーテル化合物を含有することを特徴とする封止用樹脂組成物。
  2. (D)成分の含有量が全体の0.01〜10重量%であることを特徴とする請求項1記載の封止用樹脂組成物。
  3. (C)成分の含有量が全体の25〜95重量%であることを特徴とする請求項1または2記載の封止用樹脂組成物。
  4. (D)成分が、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、4,4′−チオジ(2,6−ジメチルフェノール)および4,4′−チオジ(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の封止用樹脂組成物。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項記載の封止用樹脂組成物の硬化物によって半導体チップが封止されてなることを特徴とする半導体装置。
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