JP2004203673A - 固結性の小さい炭酸水素ナトリウムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】湿潤炭酸水素ナトリウム粒子を、(1)温度が50〜400℃で、二酸化炭素ガス濃度が5容量%以上で、かつ水分量が露点で50℃以下の乾燥用ガスと1〜120分間接触させるか、(2)温度が50〜400℃で、二酸化炭素ガス濃度が5容量%以上で、かつ水分量が露点で55℃以下の第1の乾燥用ガスと1〜120分間接触させ、次いで温度が350℃以下でかつ上記第1の乾燥用ガスの温度より低く、二酸化炭素ガス濃度が3容量%以上で、かつ水分量が露点で第1の乾燥用ガスの露点以下の第2の乾燥用ガスと1〜120分接触させる。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭酸水素ナトリウムの製造において特定の乾燥方法を使用する固結性の小さい炭酸水素ナトリウム粒子の新規な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭酸水素ナトリウム(重曹、重炭酸ソーダ、重炭酸ナトリウムとも呼ばれる)は、一般的に、水酸化ナトリウム及び/または炭酸ナトリウムを含む水溶液にニ酸化炭素ガスを反応させて重炭酸化して得られる炭酸水素ナトリウムを含む水溶液を冷却し、炭酸水素ナトリウムを結晶として析出させ、次いで固液分離して結晶粒子を乾燥することにより製造される。
【0003】
このようにして製造される炭酸水素ナトリウムは、ふくらし粉、清涼飲料などの添加剤として各種の食料品分野や、人工透析剤、胃腸薬などとして医薬品分野に、さらに、消火剤、浴用剤、洗浄剤などとして広く使用されている。これらの炭酸水素ナトリウムは、ほとんどの場合において粉末乃至粒状の結晶粒子の形態で製造、保管、搬送、販売され、また使用されている。
【0004】
しかし、炭酸水素ナトリウムの粒子は固結性を示し、特に、温度が高く、湿気の多い雰囲気下では容易に分解して炭酸ナトリウムに変質するとともに大きい固結性を有する。固結が生じた場合には、粒子の流動性が低下し、上記流通の各過程における取り扱い性が著しく低下し、各種の障害をもたらす。したがって、固結性は、炭酸水素ナトリウムの商品価値を失いかねる大きな問題である。また、炭酸ナトリウムに分解することによって、炭酸水素ナトリウムの純度が低下すること自体も大きな問題である。
【0005】
炭酸水素ナトリウムの結晶粒子の固結性を防止するために、例えば、特許文献1には、ステアリン酸塩、炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、カオリン、タルク、二酸化ケイ素などの各種の固結防止剤を添加したり、また、炭酸水素ナトリウムの包装に透湿性の小さい特殊の材料を用いることが提案されている。
【0006】
しかし、従来の固結防止剤などを添加する方法は、固結防止剤のコストや添加工程が必要になるばかりでなく、用途によっては固結防止剤の種類の選択が必要であったり、また、食品用や医薬用などでは使用が不可能であったり、制限されたりする。さらに、固結防止剤などを添加する場合には、用途が制限されるので販売にあたって注意が必要となる。また、透湿性の小さい特殊の包装材料を使用する方法もコストが上昇するばかりでなく、一旦包装を開封した場合には効果が失われることになり、本質的に固結を防止するものではない。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−58622号公報(特許請求の範囲)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の事情に鑑みて、従来の方法のように、固結防止剤を使用しなくても、また、透湿性の小さい特殊の包装材料などを使用しなくても固結性を防止でき、その結果、固結防止剤の種類の選択が必要であったり、使用が制限されたりすることのない、固結性の小さい炭酸水素ナトリウム結晶粒子の新規な製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、炭酸水素ナトリウム結晶粒子の固結防止について鋭意研究を重ねたところ、従来の方法のように固結防止剤などの添加剤を使用する方法とは異なり、炭酸水素ナトリウム粒子の製造において特定の乾燥方法を採用することにより、そもそも固結性の小さい炭酸水素ナトリウム粒子が得られることが見出した。炭酸水素ナトリウム粒子の固結は、その保管、搬送過程でも生じるが、製造された炭酸水素ナトリウム粒子自体の固結性が小さい場合にはその後の取扱い上も有利である。
【0010】
本発明では、製造された炭酸水素ナトリウム粒子の固結は、特に乾燥過程における、高温度、高湿条件下での炭酸水素ナトリウムの分解による炭酸ナトリウムの生成によってもたらされるとの認識に基づき、乾燥方法として、特定範囲の温度、二酸化炭素ガス含有量、及び水分量を有する乾燥用ガスを使用し、かつ該乾燥用ガスと特定の時間で接触させる方法を採用することにより防止できることが見出された。
【0011】
さらに、本発明では、上記した特定の乾燥過程で得られた炭酸水素ナトリウム粒子を、好ましくはディスクローターを備えた間接冷却器を使用し、特定の水分含有量及び二酸化炭素ガス含有量の低湿度ガスと接触させて冷却することによりその固結性が一層改善された炭酸水素ナトリウム粒子が得られることが見出された。
【0012】
かくして、本発明は、上記の新規な知見に基づくものであり、以下の構成を有するものである。
(1)湿潤炭酸水素ナトリウム粒子を、温度が50〜400℃で、二酸化炭素ガス濃度が5容量%以上で、かつ水分量が露点で50℃以下の乾燥用ガスと1〜120分間接触させて乾燥せしめることを特徴とする固結性の小さい炭酸水素ナトリウム粒子の製造方法。
(2)湿潤炭酸水素ナトリウム粒子を、温度が50〜400℃で、二酸化炭素ガス濃度が5容量%以上で、かつ水分量が露点で55℃以下の第1の乾燥用ガスと1〜120分間接触させ、次いで温度が350℃以下で、かつ上記第1の乾燥用ガスの温度より低く、二酸化炭素ガス濃度が3容量%以上で、かつ水分量が露点で第1の乾燥用ガスの露点以下の第2の乾燥用ガスと1〜120分接触させて乾燥せしめることを特徴とする固結性の小さい炭酸水素ナトリウム粒子の製造方法。
(3)前記湿潤炭酸水素ナトリウム粒子と乾燥用ガスとの接触を、ロータリー式乾燥機を使用し、乾燥用ガスの流量が炭酸水素ナトリウム1Kgあたり0.02〜3m3(N)にて向流または並流で行う(1)または(2)に記載の固結性の小さい炭酸水素ナトリウムの製造方法。
(4)前記乾燥用ガスと接触させた後、炭酸水素ナトリウム粒子を大気圧下での露点が20℃以下のパージガスと接触させる(1)〜(3)のいずれかに記載の固結性の小さい炭酸水素ナトリウム粒子の製造方法。
(5)前記乾燥用ガスと接触させた後、炭酸水素ナトリウム粒子を間接冷却しながら、露点が10℃以下、二酸化炭素ガス濃度が5容量%以上のパージガスと接触させる(4)に記載の固結性の小さい炭酸水素ナトリウムの製造方法。
(6)前記炭酸水素ナトリウムを、ディスクローターを備えた間接冷却器を使用し、10〜60℃に冷却しながらパージガスと接触させる(5)に記載の固結性の小さい炭酸水素ナトリウム粒子の製造方法。
以下に、本発明についてさらに詳しく説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明における固結性の小さい炭酸水素ナトリウムの製造方法における湿潤炭酸水素ナトリウム粒子としては、炭酸水素ナトリウムを含む母液水溶液から炭酸水素ナトリウムを結晶として析出させ、次いで固液分離して得られる結晶粒子が例示される。炭酸水素ナトリウムを含む母液水溶液は、通常の炭酸水素ナトリウムの製造過程における、水酸化ナトリウム及び/または炭酸ナトリウムを含む水溶液に二酸化炭素ガスを反応させて重炭酸化することによって得られる。かかる炭酸水素ナトリウムを含む母液水溶液を得る工程、及びかかる母液から炭酸水素ナトリウムを結晶として析出させ、遠心分離法などにより固液分離するまでの過程は、本発明における特徴ではなく、従来知られている通常の方法が採用される。したがって、炭酸水素ナトリウムを含む母液を得る方法は、本発明では必ずしも上記に限定されるものではなく、例えば、既に製造された炭酸ナトリウムを水に溶解して得られるものであってもよいことはもちろんである。
【0014】
いずれにしろ、本発明では、固液分離された湿潤状態にある炭酸水素ナトリウム粒子を乾燥させるものであるが、本発明で対象とされる湿潤炭酸水素ナトリウム粒子の水分含有量は、取り扱い性、得られる固結性の効果上、乾燥基準で、1〜20質量%であるのが好ましい。水分含有量を上記下限よりも小さくするには、工業的生産に過大な遠心分離設備が必要となるので好ましくなく、逆に、上記上限よりも大きいと過大な乾燥設備が必要となるので好ましくない。なかでも、水分含有量は2〜15質量%であるのが好適である。
【0015】
また、本発明で乾燥される湿潤炭酸水素ナトリウムは、その粒子の大きさが乾燥の結果得られる炭酸水素ナトリウム粒子の固結性にも関係するので、平均粒子径として、20μm以上、好ましくは50μm以上を有することが好ましい。したがって、炭酸水素ナトリウムの結晶の析出工程で上記範囲の粒度を有するようにするのが好ましい。ここにおける平均粒子径とは、篩い分け法で質量基準の累積粒度分布で50%の粒子径として定義されたものを意味する。平均粒子径が20μmより小さい場合は、母液からの炭酸水素ナトリウム結晶の分離が困難となり、付着水分も増加してしまい、乾燥が困難となる。
【0016】
本発明では、上記の湿潤炭酸水素ナトリウム粒子を上記の特定の条件のもとに一段法または二段法にて乾燥用ガスと接触させることにより乾燥される。本発明で乾燥用ガスとしては、炭酸水素ナトリウムに対して不活性なガス、具体的には空気を主体とするガスが好ましい。
【0017】
上記一段法においては、温度が50〜400℃で、二酸化炭素ガス濃度が5容量%以上で、かつ水分量が露点で50℃以下の乾燥用ガスと1〜120分間接触させる。該一段法における場合、乾燥用ガスの温度が50〜400℃であるのが必要である。乾燥用ガスの温度が50℃より小さい場合には、乾燥に要する時間や乾燥設備が過大になり、または乾燥が不充分になり、逆に乾燥用ガスの温度が400℃より大きいと炭酸水素ナトリウムが部分的に分解してしまう。乾燥用ガスの温度は、なかでも70〜300℃が好適である。また、乾燥用ガス中の二酸化炭素濃度は5容量%以上が必要であり、これより小さい場合には炭酸水素ナトリウムが部分的に分解してしまう。なかでも、二酸化炭素濃度は8容量%以上が好適である。乾燥用ガス中の水分量は、露点で50℃以下とするのが必要であり、水分量がそれより大きい場合には乾燥に要する時間や乾燥設備が過大になり、または乾燥が不充分になってしまう。なかでも、水分量は、露点で30℃以下であるのが好適である。炭酸水素ナトリウムと乾燥用ガスとの接触は、1〜120分、好ましくは20〜80分にて行われる。
【0018】
また、本発明では、上記一段法だけでなく、湿潤炭酸水素ナトリウム粒子と乾燥用ガスとの接触を二段法にてさらに好適に実施することもできる。二段法においては、湿潤炭酸水素ナトリウム粒子を乾燥用ガスと接触させて乾燥せしめるにあたり、温度が50〜400℃、二酸化炭素ガス濃度が5容量%以上で、かつ水分量が露点で55℃以下の第1の乾燥用ガスと1〜120分間接触し、次いで温度が350℃以下であり、かつ上記第1の乾燥用ガスの温度より低く、二酸化炭素ガス濃度が3容量%以上で、かつ水分量が露点で55℃以下第2の乾燥用ガスと1〜120分接触することにより行われる。
【0019】
上記二段法において、第1の乾燥用ガスの温度が50〜400℃であるのが必要である。乾燥用ガスの温度が50℃より小さい場合には、乾燥に要する時間や乾燥設備が過大になり、または乾燥が不充分になり、逆に乾燥用ガスの温度が400℃より大きいと炭酸水素ナトリウムが部分的に分解してしまう。第1の乾燥用ガスの温度は、なかでも100〜350℃が好適である。また、乾燥用ガス中の二酸化炭素濃度は5容量%以上が必要であり、これより小さい場合には乾燥時における炭酸水素ナトリウムの分解を防止する効果が不充分となってしまう。なかでも、二酸化炭素濃度は10容量%以上が好適である。乾燥用ガス中の水分量は、ガスの露点で55℃以下とするのが必要である。ガスの露点がそれより大きい場合には乾燥に要する時間や乾燥設備が過大になり、または乾燥が不充分になってしまう。なかでも、水分量は、ガスの露点で45℃以下であるのが好適である。炭酸水素ナトリウムと第1の乾燥用ガスとの接触は、1〜120分、好ましくは10〜60分にて行われる。
【0020】
上記二段法において、第2の乾燥用ガスの温度が350℃以下であるのが必要である。乾燥用ガスの温度が350℃より大きいと炭酸水素ナトリウムが部分的に分解してしまう。乾燥用ガスの温度は、なかでも0〜200℃が好適である。同時に、該第2の乾燥用ガスの温度は、上記第1の乾燥用ガスの温度より、50℃以上小さくする必要がある。そうでない場合には、第2段では炭酸水素ナトリウムの付着水分が第1段より少なく、炭酸水素ナトリウムの温度が上昇しやすいため、炭酸水素ナトリウムが部分的に分解してしまう。また、第2の乾燥用ガス中の二酸化炭素濃度は3容量%以上が必要である。これより小さい場合には、乾燥時における炭酸水素ナトリウムの分解を防止する効果が不充分になってしまう。なかでも、二酸化炭素濃度は10容量%以上が好適である。第2の乾燥用ガス中の水分量は、ガスの露点で第1の乾燥用ガスの露点以下とするのが必要である。ガスの露点がそれより大きい場合には乾燥に要する時間や乾燥設備が過大になり、または乾燥が不充分になってしまう。なかでも、水分量は、ガスの露点で45℃以下であるのが好適である。炭酸水素ナトリウムと第2の乾燥用ガスとの接触は、1〜120分、好ましくは10〜60分にて行われる。
【0021】
本発明で、湿潤炭酸水素ナトリウム粒子と乾燥用ガスとの接触は、固定床、移動床、回分式、連続式などの種々の乾燥機にて実施することができ、また、炭酸水素ナトリウムと乾燥用ガスとの接触も、向流方式または併流方式の種々の方式が採用できる。乾燥用ガスの流量としては、炭酸水素ナトリウム1kgあたり、0.02〜3m3(N)が、乾燥用ガスの原単位の節減と炭酸水素ナトリウムの乾燥を充分とするために好ましい。なかでも、0.05〜2m3(N)が好適である。乾燥機の好ましい例としては、ロータリー式、流動層式、フラッシュ式等の乾燥機が挙げられる。なかでも、乾燥時間、すなわち、乾燥機内の滞留時間を長く確保し、マイルドな条件で乾燥でき、かつ炭酸水素ナトリウムの激しい攪拌がなく、粉化しにくい等の理由により、ロータリー式乾燥機が採用される。
【0022】
上記炭酸水素ナトリウム粒子の冷却は、ディスクローターを備えた間接冷却器を好ましくは使用し、好ましくは15〜50℃に冷却しながら乾燥用ガスと接触させる。ディスクローターを備えた間接冷却器としては、好ましくは以下の(1)〜(4)のタイプのものが使用される。
【0023】
(1)ジャケット付きケーシング内部に冷媒を通すことのできるディスクローターを低速回転せるタイプ、
(2)ディスクローターに冷媒を通すことにより、通し冷媒入口から出口へ順番に各ディスクローターが均等に冷却されるタイプ、
(3)冷却器内での搬送がディスクローター先端に取り付けられた送り角度が付いたパドルでディスクローターの軸方向へ行われるタイプ、
(4)ケーシングを貫通して、各ディスクローターの間に向かってパージガスを導入できるタイプ。
【0024】
かくして、本発明で製造された固結性の小さい炭酸水素ナトリウム粒子は、上記の乾燥の後に、またはパージガスを用いる場合には、その後に、適宜の篩い分け機を使用して用途に応じた粒度に篩い分けされる。なお、用途により、さらに小さい粒子径の結晶が必要とされる場合には粉砕機を使用し粉砕することもできる。
【0025】
本発明で製造された固結性の小さい炭酸水素ナトリウム粒子は、各種の分野に使用できるが、特に、従来のように固結防止剤などを添加しなくとも固結性の小さい炭酸水素ナトリウム結晶粒子が得られるので、食品分野や医薬品分野に炭酸水素ナトリウム結晶粒子を使用する場合にも取り扱い性に優れた商品価値の大きいものが提供される。しかし、本発明の炭酸水素ナトリウム結晶粒子に対する固結防止剤の添加を必ずしも排除するものではなく、更に大きい固結防止性を要求される場合は用途によって固結防止剤を添加することはもちろん可能である。
【0026】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではないことはもちろんである。
実施例1
20質量%の水酸化ナトリウム水溶液20m3を撹拌機付き貯槽(50m3)に入れ、温度を80℃に昇温させた。この状態で、100容積%の二酸化炭素ガスを10m3(N)の流量で5時間吹き込み反応させた。その後に、温度を40℃に冷却することにより、下記の表1に示される平均粒子径を有する炭酸水素ナトリウムの結晶粒子を析出させた。
【0027】
得られた結晶粒子を遠心分離機にかけて水分を分離した後、ロータリー式乾燥機(増野製作所社製)を使用し、下記の表1に示される9通りの条件にて二酸化炭素ガス含有空気からなる乾燥用ガスと並流方式、または向流方式で接触させることにより乾燥した。
【0028】
このようにして乾燥した後の炭酸水素ナトリウムの各粒子中の炭酸ナトリウムの濃度を測定した。その結果は、表1に示した通りである。なお、実施例において、炭酸水素ナトリウム粒子中の炭酸ナトリウムの濃度は中和滴定であるウィンクラー法により測定した。ここで、炭酸水素ナトリウムの供給量は乾燥前の湿潤状態での量である。
【0029】
【表1】
表1の結果より、本発明の一段法の範囲であるNo.1、2、3、6、8、9は、炭酸水素ナトリウムの分解により生成する炭酸水素ナトリウムの含有量を1質量%以下にすることができた。
【0030】
実施例2
実施例1に記載したのと同様な方法により、水酸化ナトリウムを二酸化炭素ガスで炭酸化し、冷却することにより、下記の表2に示される平均粒子径を有する炭酸水素ナトリウムの結晶粒子を析出させた。
【0031】
得られた結晶粒子を遠心分離機にかけて水分を分離した後、直列に配置した2機のロータリー式乾燥機(今井製作所社製)を使用し、それぞれ前段及び後段のロータリー式乾燥機における条件を下記の表2に示される8通りの条件に設定し、二酸化炭素ガス含有空気からなる乾燥用ガスといずれも向流方式で接触させることにより炭酸水素ナトリウムの粒子乾燥した。
【0032】
このようにして乾燥した後の炭酸水素ナトリウムの各粒子中の炭酸ナトリウムの濃度を測定した。その結果は、表2に示した通りである。ここで、炭酸水素ナトリウムの供給量は、乾燥前の湿潤状態での量である。
【0033】
【表2】
表2の結果より、本発明の二段法の範囲であるNo.1〜5は、炭酸水素ナトリウムの分解により生成する炭酸水素ナトリウムの含有量を1%以下にすることができる。
【0034】
実施例3
実施例2の条件1にて乾燥された炭酸水素ナトリウム粒子を用いて、円筒状の同伴ガスパージ装置(直径0.6m、高さ5.4m)の上部から投入し、一方、乾燥機の下部からはパージガスとして脱湿空気を吹き込んだ。パージ装置の内部には、炭酸水素ナトリウム粒子とパージガスとの接触を良くするため、パージ装置の円筒内壁に10mm直径の孔があいたパンチングメタルの邪魔板を4枚配置した。ここで、この邪魔板は、半分を切り欠いた半円状で、円周部分を円筒内壁に固定し、切り欠いた部分が下になるようにして傾斜させて設置してある。傾斜角は半円の邪魔板の上面と鉛直線のなす角が30°となるようにした。また、上記のパージ操作を以下の表3に示される4通りの運転条件にて実施した。
【0035】
上記のパージ装置から排出された炭酸水素ナトリウム粒子各25kgを直ちに、内袋がポリエチレン、外袋が2層のクラフト紙からなる包装袋に収納した。このようにして得られた各包装体を5段積み重ねて、これを温度25℃で4週間保持した後、最下段の包装袋に収納されている各炭酸水素ナトリウム粒子についての固結性を試験した。試験の結果は、表3に示した通りである。
【0036】
なお、表3に示した炭酸水素ナトリウム粒子の固結の程度は、下記の無〜大の4段階で肉眼での観察による評価の結果である。
無 :全く固結なし。
小 :手ですくうと、少量だが数cmの塊となったものが認められた。塊は触る程度で崩れる程度であった。
中 :手ですくうと、数cmの塊が散見された。塊はつまむと崩れる程度であった。
大 :手ですくうと、こぶし大の塊となったものが認められた。塊は握ると崩れる程度であった。
【0037】
【表3】
表3の結果より、露点が20℃以下のパージガスを用いることにより、団結性の低い炭酸水素ナトリウム粒子が得られることがわかる。
【0038】
実施例4
実施例2の条件1にて乾燥された炭酸水素ナトリウム粒子を、乾燥機から出た後に、ディスクローターを備えた間接冷却器(ホソカワミクロン社製、商品名:トーラスディスク)を使用し、かかる間接冷却器に表4に示される脱湿空気をパージガスとして導入し、かつ表4に示される4通りの条件にて運転することにより、炭酸水素ナトリウム粒子を均等に冷却しながら、粒子に同伴される湿潤空気を乾燥用ガスに置換した。なお、上記の間接冷却器は、次の特性を有していた。内径:0.7m、長さ:3.45m、ディスク直径:0.625m、ディスク枚数:21枚、ディスク設置のピッチ:150mm、ディスク先端のパドルサイズ: 40mm×80mm、ディスク先端パドル個数:4個/ディスク。
上記の間接冷却器から排出された各炭酸水素ナトリウム粒子を実施例3と同様な方法によりその固結性を試験した。試験の結果は、表4に示した通りである。
【0039】
【表4】
表4の結果より、間接冷却しながら露点が10℃以下のパージガスと接触させることにより、団結性の低い炭酸水素ナトリウムが得られることがわかる。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、固結防止剤を使用しなくても、また、特殊の包装材料を使用しなくても固結性を防止でき、その結果、固結防止剤の種類の選択が必要であったり、使用が制限されたりすることのない、食品、医薬品、入浴剤分野などに好適に使用できる、固結防止の小さい炭酸水素ナトリウム結晶粒子の新規な製造方法が提供される。さらに、本発明によって、炭酸水素ナトリウム含有量の低い高純度な炭酸水素ナトリウムを得ることができる。
Claims (6)
- 湿潤炭酸水素ナトリウム粒子を、温度が50〜400℃で、二酸化炭素ガス濃度が5容量%以上で、かつ水分量が露点で50℃以下の乾燥用ガスと1〜120分間接触させて乾燥せしめることを特徴とする固結性の小さい炭酸水素ナトリウム粒子の製造方法。
- 湿潤炭酸水素ナトリウム粒子を、温度が50〜400℃で、二酸化炭素ガス濃度が5容量%以上で、かつ水分量が露点で55℃以下の第1の乾燥用ガスと1〜120分間接触させ、次いで温度が350℃以下で、かつ上記第1の乾燥用ガスの温度より低く、二酸化炭素ガス濃度が3容量%以上で、かつ水分量が露点で第1の乾燥用ガスの露点以下の第2の乾燥用ガスと1〜120分接触させて乾燥せしめることを特徴とする固結性の小さい炭酸水素ナトリウム粒子の製造方法。
- 前記湿潤炭酸水素ナトリウム粒子と乾燥用ガスとの接触を、ロータリー式乾燥機を使用し、乾燥用ガスの流量が炭酸水素ナトリウム1Kgあたり0.02〜3m3(N)にて向流または並流で行う請求項1または2に記載の固結性の小さい炭酸水素ナトリウムの製造方法。
- 前記乾燥用ガスと接触させた後、炭酸水素ナトリウム粒子を大気圧下での露点が20℃以下のパージガスと接触させる請求項1〜3のいずれかに記載の固結性の小さい炭酸水素ナトリウム粒子の製造方法。
- 前記乾燥用ガスと接触させた後、炭酸水素ナトリウム粒子を間接冷却しながら、露点が10℃以下、二酸化炭素ガス濃度が5容量%以上のパージガスと接触させる請求項4に記載の固結性の小さい炭酸水素ナトリウムの製造方法。
- 前記炭酸水素ナトリウムを、ディスクローターを備えた間接冷却器を使用し、10〜60℃に冷却しながらパージガスと接触させる請求項5に記載の固結性の小さい炭酸水素ナトリウム粒子の製造方法。
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