JP2004202429A - 還元浴用水生成装置、還元浴用水の製造方法および還元浴用水 - Google Patents
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Abstract
【課題】湧出直後の温泉水と同等の還元性のORPを有し、かつ入浴中の皮膚の酸化防止効果を有する還元浴用水を、銭湯用または家庭用の浴槽に安全かつ簡便に供給することができ、かつ浴槽を安全かつ簡便に殺菌洗浄することもできる還元浴用水生成装置を提供する。
【解決手段】浴用水を浴槽に供給する供給路を備える供給手段と、この供給路中に設けられたこの浴用水を電気分解する電解槽と、を備える、還元浴用水生成装置。なお、この還元浴用水生成装置は、この浴用水中に塩素消去剤および/または塩化物を注入する手段を備えることが好ましい。
【選択図】 図5
【解決手段】浴用水を浴槽に供給する供給路を備える供給手段と、この供給路中に設けられたこの浴用水を電気分解する電解槽と、を備える、還元浴用水生成装置。なお、この還元浴用水生成装置は、この浴用水中に塩素消去剤および/または塩化物を注入する手段を備えることが好ましい。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、還元浴用水の生成装置に関する。より詳しくは、本発明は、浴用水を電気分解する電解槽を備える還元浴用水の生成装置に関する。また、本発明は、還元浴用水の製造方法に関する。さらに、本発明は、還元浴用水に関する。
【0002】
【従来の技術】
日本には全国各地に約2500ヶ所の温泉があり、昔から温泉は湯治として、疲労を回復させる「休養」、健康を保持し病気を予防する「保養」、病気を治療する「療養」として利用され、日本の温泉文化を作り出している。
【0003】
ここで、温泉水は湧出直後は不安定水溶液系であり、湧出後は温度、気圧などの物理的条件の変化および大気との接触を含めた化学反応などにより、成分の揮散、沈殿および化学種の変化が生じ、時間の経過とともに安定水溶液系に変化する。この湧出時の不安定水溶液から安定水溶液への変化が、いわゆる温泉水のエージング(劣化)現象として知られていた。
【0004】
幾つかの先行技術文献においては、このエージング現象を解明するため、温泉法で規定されている泉質をすべて含む全国約90ヶ所の温泉源泉のORP(標準水素電極基準の酸化還元電位で、単位はV)とpHの関係について、湧出直後と時間経過後(約1週間)の測定を行ない、一定の関係を見出したとの記載がある(たとえば、特許文献1および非特許文献1参照。)。すなわち、これらの先行技術文献によれば、温泉源泉はpHが約1付近の強酸性から10を超える強アルカリ性まで広く分布しているが、いずれの温泉源泉も湧出直後は通常の大気環境と平衡にあるORP(本明細書において、平衡ORPとも記載する)より低い還元系の不安定水溶液であるとされている。
【0005】
そして、この先行技術文献によれば、温泉源泉のORPは、時間の経過(約1週間放置)に伴い、すなわちエージングにより平衡ORPに近づき、安定水溶液系に変化する。この変化の際に、何らかのエネルギーが放出され、そのエネルギーが人体に有効に作用すると推定される。それゆえ、時間が経過し、エージングの起こった安定水溶液系では温泉の効能の一部が消失すると考えられる。
【0006】
ここで、最近は温泉の大衆化に伴う温泉利用者の増加で、温泉湧出量が不足しつつある。さらに、病原菌などの感染防止の安全対策として浴用水を塩素剤で殺菌するようになり、温泉水が酸化され、本来の還元系泉質から温泉効果の貧弱な酸化系の泉質に変わってきている。
【0007】
このような温泉の殺菌技術としては、病原菌の殺菌するために温泉水を電気分解してORPを大幅に上昇させる技術(たとえば、特許文献2参照。)などが開示されている。しかし、この技術においては、温泉水のORPを大幅に上昇させることにより殺菌効果を得ているため、還元系泉質の有する優れた温泉効果が失われてしまっているという問題がある。また、あくまでも温泉水を用いる技術である以上、家庭の浴槽において利用する上で制約があるという問題もある。
【0008】
一方、水道水も安全対策として、塩素殺菌が行われている。さらに、最近は河川の汚染が進むにつれ、上水道の塩素投入量も増加し、さらに水道水の酸化が進み、酸化還元電位が高くなってきている。
【0009】
そして、塩素は有機物と化合すると、発がん性物質のトリハロメタンの発生や活性酸素の発生の要因となる。そのため、健康に気を使う一部の消費者は、飲用水としては、水道水を活性炭などで塩素を除去および/または電気分解した還元性の電解還元水を利用している。または、塩素を含まない天然水のミネラルウオーターなどを利用している。
【0010】
なお、塩素系化合物は次亜塩素酸などによる病原菌などの殺菌機能を除くという利点を有することが知られている。しかし、一方で、人間の生体にとって、塩素や酸化系の飲食物、酸化系の環境などは弊害となることも知られている。
【0011】
そのため、銭湯や循環型の温泉などの浴用水の除菌には、一般的に塩素剤を使用しているが、濃度が一定でなく、濃度が高過ぎて強い塩素臭が発生する場合があり、または逆に濃度が薄くて除菌効果が低下して病原菌などの感染が発生する恐れがある。さらに、浴用水が塩素などで酸化され、酸化系の湯質となり皮膚を酸化させる。
【0012】
このような塩素系化合物によるカルキ臭を防止するための先行技術文献としては、浴槽内の浴水に次亜塩素酸を供給し、入浴前の所定の時間から浴槽内の浴水を活性炭濾材に通過させて次亜塩素酸を除去する文献が開示されている(たとえば、特許文献3参照。)。しかし、この先行技術文献においては、浴水のORPについての記載はない。
【0013】
また、一般的な浴槽浄化装置においては、浴用水などの水位の検出は、水位センサで行っている(たとえば、特許文献4参照。)。しかし、浴用水などの水位の検出は、水位センサで行った場合には、水位センサに異物などが付着して動作に異常が生じる場合がある。その結果、24時間風呂など高温多湿の浴室内に設置する浴槽浄化装置においては、ポンプの空運転などにより機器内部の温度が上昇し、内部部品の過熱によるトラブルの発生などの危険性がある。
【0014】
【特許文献1】
特開2000−308891号公報
【0015】
【特許文献2】
特開2000−126772号公報
【0016】
【特許文献3】
特開2002−219469号公報
【0017】
【特許文献4】
特開2001−208427号公報
【0018】
【非特許文献1】
大河内 正一,「温泉水の酸化還元電位」,温泉工学会誌,2002年,第28巻,第1号,p.26−44
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
上記より、かつ湧出直後の温泉水と同等の還元性のORPを有し、入浴中の皮膚の酸化防止効果を有する還元浴用水を、銭湯用または家庭用の浴槽に安全かつ簡便に供給することができ、かつ浴槽を安全かつ簡便に殺菌洗浄することもできる技術は未だ開発されていない。
【0020】
そこで、本発明の主要な課題は、湧出直後の温泉水と同等の還元性のORPを有し、かつ入浴中の皮膚の酸化防止効果を有する還元浴用水を、銭湯用または家庭用の浴槽に安全かつ簡便に供給することができ、かつ浴槽を安全かつ簡便に殺菌洗浄することもできる還元浴用水生成装置を提供することである。
【0021】
また、本発明の別の課題は、湧出直後の温泉水と同等の還元性のORPを有し、入浴中の皮膚の酸化防止効果を有する還元浴用水を、銭湯または家庭において安全かつ簡便に供給することのできる還元浴用水の製造方法を提供することである。
【0022】
さらに、本発明のもう一つの課題は、湧出直後の温泉水と同等の還元性のORPを有し、入浴中の皮膚の酸化防止効果を有し、銭湯または家庭において安全かつ簡便に供給することのできる還元浴用水を提供することである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するためには、入浴前の浴槽などの殺菌洗浄段階において浴用水の残留塩素濃度が所望の範囲内にない場合には、塩素消去剤の注入および/または塩化物の電気分解により、浴用水の残留塩素濃度を、殺菌効果を有する一定の範囲に制御し、入浴段階においては、浴用水を電気分解して浴用水のORPを還元性にするとともに、浴用水の残留塩素濃度を人体に悪影響を与えない一定の範囲に制御すればよいとの着想を得、多くの還元浴用水生成装置の試作品を作製して、鋭意研究開発に励んだ。
【0024】
その結果、本発明者らは、浴用水を浴槽に供給する供給路を備える供給手段と供給路中に設けられた浴用水を電気分解する電解槽とを備える還元浴用水生成装置により、浴用水を電気分解して浴用水のORPを還元性にすることができ、さらに前記浴用水中に塩素消去剤および/または塩化物を注入する手段とを付加すれば、浴用水の残留塩素濃度が所望の範囲内にない場合にも、浴用水の残留塩素濃度を、浴槽などの殺菌洗浄段階においては殺菌効果を有する一定の範囲に制御でき、かつ入浴段階においては人体に悪影響を与えない一定の範囲に制御できることを見出し、本発明を完成した。
【0025】
すなわち、本発明の還元浴用水生成装置は、浴用水を浴槽に供給する供給路を備える供給手段と、この供給路中に設けられたこの浴用水を電気分解する電解槽と、を備える、還元浴用水生成装置である。
【0026】
なお、本発明の還元浴用水生成装置はこの浴用水中に塩素消去剤および/または塩化物を注入する手段を備えることが好ましい。
【0027】
ここで、この電解槽は、陽極側電極および陰極側電極を備える無隔膜電解槽であってもよい。
【0028】
あるいは、この電解槽は、陽極側電極を備えた陽極室と、陰極側電極を備えた陰極室とが隔膜で分離された構造を有する電解槽であってもよい。この場合、この供給手段は、この陰極室内の電解還元水を還元浴用水として浴槽内に供給する構造を有する供給手段であってもよい。また、この場合、この供給手段は、この陰極室内の電解還元水とこの陽極室内の電解酸化水とを混合して得られる電解還元水を還元浴用水として浴槽内に供給する構造を有する供給手段であってもよい。さらにこの場合、この供給手段は、この陰極室内の電解還元水、この陽極室内の電解酸化水、この陰極室内の電解還元水とこの陽極室内の電解酸化水とを混合して得られる電解還元水からなる群より得られる1種以上の電解水を、切換に応じて還元浴用水および/または酸化浄化水として浴槽内に供給するためのこの供給路の切換手段を備えた構造を有する供給手段であってもよい。
【0029】
そして、本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水の酸化還元電位を測定する手段を備えることが好ましい。この場合、本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水のこの酸化還元電位を表示する手段を備えることが望ましい。さらに、この場合、本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水のこの酸化還元電位に応じて、この電解槽におけるこの浴用水の電気分解のための電流および/または電圧を制御する手段を備えることが推奨される。
【0030】
また、本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水の残留塩素濃度を測定する手段を備えることが好ましい。この場合、本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水のこの残留塩素濃度を表示する手段を備えることが望ましい。また、この場合、本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水のこの残留塩素濃度および/またはこの酸化還元電位に応じて、この浴用水中に投入するこの塩素消去剤および/またはこの塩化物の量を制御する手段を備えることが推奨される。
【0031】
さらに、本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水中に二酸化炭素を注入する手段を備えることが好ましい。
【0032】
また、本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水を加熱する手段を備えることが好ましい。この場合、本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水の温度を測定する手段と、この浴用水の温度に応じてこの加熱手段を制御する手段と、を備えることが望ましい。
【0033】
そして、本発明の還元浴用水生成装置は、この還元浴用水生成装置の温度を測定する手段と、この還元浴用水生成装置の温度に応じてこの電解槽におけるこの浴用水の電気分解のための電流および/または電圧を制御する手段と、を備えることが好ましい。
【0034】
さらに、本発明の還元浴用水生成装置においては、この供給手段は、この浴槽内のこの浴用水をこの電解槽に汲上げる循環ポンプおよびこの浴用水の循環路を備えていてもよい。この場合、本発明の還元浴用水生成装置は、この循環路中に流量センサを備え、かつこの循環路中のこの浴用水の流量に応じてこの循環ポンプの運転を制御する手段を備えることが好ましい。
【0035】
あるいは、本発明の還元浴用水生成装置においては、この供給手段は、水道水または温泉水を浴用水として供給する供給手段であってもよい。
【0036】
そして、本発明の還元浴用水の製造方法は、浴用水を電解槽に供給するステップと、この電解槽においてこの浴用水を電気分解するステップと、この電解槽において電気分解された浴用水を浴槽に供給するステップと、を備える、還元浴用水の製造方法である。
【0037】
なお、本発明の還元浴用水の製造方法は、この浴用水中に塩素消去剤および/または塩化物を注入するステップを備えることが好ましい。
【0038】
ここで、この電気分解するステップは、陽極側電極および陰極側電極を備える無隔膜電解槽内でこの浴用水を電気分解するステップを含んでいてもよい。
【0039】
あるいは、この電気分解するステップは、陽極側電極を備えた陽極室と、陰極側電極を備えた陰極室とが隔膜で分離された構造を有する電解槽内でこの浴用水を電気分解するステップを含んでいてもよい。この場合、この浴槽に供給するステップは、この陰極室内の電解還元水を還元浴用水として浴槽内に供給するステップを含んでいてもよい。また、この場合、この浴槽に供給するステップは、この陰極室内の電解還元水とこの陽極室内の電解酸化水とを混合して得られる電解還元水を還元浴用水として浴槽内に供給するステップを含んでいてもよい。さらに、この場合、この浴槽に供給するステップは、この陰極室内の電解還元水および/またはこの陰極室内の電解還元水とこの陽極室内の電解酸化水とを混合して得られる電解還元水を還元浴用水として浴槽内に供給するステップを含んでいてもよい。
【0040】
また、本発明の還元浴用水の製造方法は、この浴用水の酸化還元電位を測定するステップを備えることが好ましい。この場合、本発明の還元浴用水の製造方法において、この電気分解するステップは、この浴用水のこの酸化還元電位に応じて、この電解槽におけるこの浴用水の電気分解のための電流および/または電圧を制御するステップを含むことが望ましい。
【0041】
さらに、本発明の還元浴用水の製造方法は、この浴用水の残留塩素濃度を測定するステップを備えることが好ましい。この場合、本発明の還元浴用水の製造方法において、この浴用水中に塩素消去剤および/または塩化物を注入するステップは、この浴用水のこの残留塩素濃度および/またはこの酸化還元電位に応じて、この浴用水中に投入するこの塩素消去剤および/またはこの塩化物の量を制御するステップを含むことが望ましい。
【0042】
また、本発明の還元浴用水の製造方法は、この浴用水中に二酸化炭素を注入するステップを備えることが好ましい。
【0043】
さらに、本発明の還元浴用水の製造方法において、この電解槽に供給するステップは、この浴槽内のこの浴用水をこの電解槽に供給するステップを含んでいてもよい。
【0044】
あるいは、本発明の還元浴用水の製造方法において、この電解槽に供給するステップは、水道水または温泉水をこの浴用水としてこの電解槽に供給するステップを含んでいてもよい。
【0045】
そして、本発明の浴用水は、上記の還元浴用水の製造方法により得られる、浴用水である。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を示して本発明をより詳細に説明する。
【0047】
<還元浴用水生成装置>
図3は、本発明の還元浴用水生成装置の一例の概略を示す図である。
【0048】
本発明の還元浴用水生成装置は、図3に示すように、浴用水を浴槽に供給する供給路を備える供給手段と、この供給路中に設けられたこの浴用水を電気分解する電解槽と、を備える、還元浴用水生成装置である。
【0049】
なお、この供給手段は、この浴槽内のこの浴用水をこの電解槽に汲上げる循環ポンプおよびこの浴用水の循環路を備えることが好ましい。この浴槽内のこの浴用水を循環させながら電気分解することによって、効率良く電気分解をはじめとする処理を行ない、酸化還元電位を低下させることができるためである。
【0050】
ここで、図3に示す還元浴用水生成装置3000は、浴用水を浴槽に供給する供給路を備える供給手段として、フィルタ7と、循環路13aと、循環ポンプ3と、循環路13bと、循環路13cと、流量センサ5と、循環路13dと、を備えている。また、この還元浴用水生成装置3000は、循環路13bと循環路13cとの間に電解槽1を備えている。
【0051】
また、還元浴用水生成装置3000を構成するものではないが、図3には、浴槽9と、浴用水11と、浴用水の流れの方向15a,15bと、も記載されている。
【0052】
ここで、図1は、本発明の還元浴用水生成装置の一例により、浴用水を循環しながら処理した場合の、処理時間に対する浴用水の酸化還元電位(ORP)の変化を示すグラフである。
【0053】
本発明の還元浴用水生成装置は、供給路中に電解槽が設けられているため、残留塩素を含んだ酸化還元電位の高い酸化系の冷水や温水などの浴用水を、この電解槽で電気分解するなどの処理を施すことにより、図1の亜硫酸カルシウム無添加の場合に示すように、酸化還元電位を約500mV低下させ、還元浴用水に変えることができる。
【0054】
図5は、本発明の還元浴用水生成装置の一例の概略を示す図である。
本発明の還元浴用水生成装置は、図5に示すように、この浴用水中に塩素消去剤および/または塩化物を注入する手段を備えることが好ましい。
【0055】
なお、浴用水中に塩素消去剤および/または塩化物を注入する手段は、特に限定されず、任意の公知の手段を用いることができる。具体例としては、容器内にストックされた粉末状の塩素消去剤および/または塩化物を、自動あるいは手動により、一定量投入することのできる手段であることが望ましい。
【0056】
また、本発明で用いる塩素消去剤は、特に限定するものではないが、たとえば、亜硫酸カルシウム、アスコルビン酸、カテキン、ビタミンC、ユズやミカンなどの柑橘類の皮、植物汁などを好適に使用可能である。
【0057】
さらに、本発明で用いる塩化物は、特に限定するものではないが、たとえば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩酸などを好適に使用可能である。
【0058】
ここで、図5に示す還元浴用水生成装置5000は、浴用水を浴槽に供給する供給路を備える供給手段として、フィルタ507と、循環路513aと、循環ポンプ503と、循環路513bと、循環路513cと、流量センサ505と、循環路513dと、塩素消去剤および/または塩化物注入部517と、循環路513eと、を備えている。また、この還元浴用水生成装置5000は、循環路513bと循環路513cとの間に電解槽501を備えている。
【0059】
また、還元浴用水生成装置5000を構成するものではないが、図5には、浴槽509と、浴用水511と、浴用水の流れの方向515a,515bと、も記載されている。
【0060】
本発明の還元浴用水生成装置に、塩素消去剤および/または塩化物を注入する手段を設けた場合には、残留塩素を含んだ酸化還元電位の高い酸化系の冷水や温水などの浴用水を、この電解槽で電気分解するとともに、塩素消去剤および/または塩化物を注入する手段により残留塩素濃度を調整することにより、図1の亜硫酸カルシウム100g添加の場合に示すように、塩素消去剤および/または塩化物を注入する手段を設けない場合と比較して、著しく短時間で酸化還元電位を約500mV低下させ、還元浴用水に変えることができる。また、処理開始10分後の時点について比較してみると、本発明の還元浴用水生成装置において、亜硫酸カルシウム100g添加して処理した場合には、亜硫酸カルシウム無添加の場合よりさらに、浴用水の酸化還元電位が約100mV低くなる。
【0061】
ここで、図2は、本発明の還元浴用水生成装置の一例により、浴用水を循環しながら処理した場合の、処理時間に対する浴用水の残留塩素濃度(次亜塩素酸濃度)の変化を示すグラフである。
【0062】
本発明の還元浴用水生成装置に、塩素消去剤および/または塩化物を注入する手段を設けた場合には、残留塩素を含んだ酸化還元電位の高い酸化系の冷水や温水などの浴用水を、この電解槽で電気分解するとともに、塩素消去剤および/または塩化物を注入する手段により粒状の亜硫酸カルシウム100gを添加して10分間処理して、残留塩素濃度を調整することにより、図2に示すように、10分間で残留塩素濃度を0.16ppmから0.01ppmに低下させ、入浴段階においてカルキ臭を発生せず人体に悪影響を与えない範囲の残留塩素濃度の還元浴用水に変えることができる。
【0063】
請求項3の本発明は請求項1の発明の機構の循環水路中に、図5に示すように亜硫酸カルシウム100gの塩素消去剤を入れ、浴用水に含有する残留塩素を除去すると、亜硫酸カルシウム無添加よりさらに、酸化還元電位が約100mV低くなり(図4)、より還元性の浴用水にすることができる。本発明は残留塩素の多い水道水を利用した家庭用の風呂や大衆浴場には特に有効な利用法である。
【0064】
また、こうして得られた還元浴用水は、電気分解によるORPの低下および亜硫酸カルシウム、アスコルビン酸などの塩素消去剤による残留塩素濃度の低下のため、入浴段階においては、人体皮膚に対する塩素障害を解消するとともに、酸化還元電位の低い還元浴用水により人体皮膚の酸化を抑制して皮膚の老化を抑制するため、美容と健康にも著しい効果を発揮する。
【0065】
一方、浴用水の塩素濃度が低い場合や塩素が含まれてない場合には、塩素消去剤および/または塩化物を注入する手段により食塩など塩化物を添加し、電解槽で電気分解することにより発生する次亜塩素酸で、浴槽などの殺菌洗浄段階において殺菌効果を有する範囲の残留塩素濃度の還元浴用水に変えることができ、冷水や温水中の病原菌その他の細菌を除菌することができる。
【0066】
そして、こうして得られた還元浴用水は、浴槽などの殺菌洗浄段階において電気分解で発生する次亜塩素酸により細菌を除菌し、病原菌などによる人体への感染を予防することができる。
【0067】
また、本発明の還元浴用水生成装置により還元浴用水を製造する際に、浴用水に残留塩素がほとんどない場合には循環路中に食塩などの塩化物を注入した上で電気分解し、また浴用水の残留塩素濃度が所望の範囲である場合はそのまま電気分解することにより、発生する次亜塩素酸により、浴槽などの殺菌洗浄段階においては、浴用水中の病原菌などの細菌を除菌することができる。
【0068】
そのため、本発明の還元浴用水生成装置により得られる還元浴用水は、浴槽などの殺菌洗浄段階においては、入浴客の多い銭湯、ホテルや旅館などの大衆浴場、循環型の温泉浴場などで発生している病原菌の除菌や細菌感染の防止に効果的である。
【0069】
また、これらの浴場では、病原菌の繁殖や細菌感染を防ぐために、浴用水への塩素投入量を増加させ、塩素臭の発生の問題があるが、本発明の還元浴用水生成装置は、浴槽などの殺菌洗浄段階においては、除菌効果および病原菌などの感染予防効果のある範囲に残留塩素濃度を維持し、入浴段階においては、残留塩素濃度を低下させることにより塩素臭を減少させることができるので、そのような問題は生じない。
【0070】
図6は、本発明の還元浴用水生成装置の一例の概略を示す図である。
また、本発明の還元浴用水生成装置を用いる場合には、図6に示すような構造を採用した上で、まず浴用水に塩化物などを投入した上で電気分解して得られる残留塩素濃度の高い浴用水を浴槽内に循環させ、浴用水中の病原菌などを除菌した後に、循環路を切換えて、循環水路中に亜硫酸カルシウムなどの塩素消去剤を添加して、浴用水中の残留塩素を除去した上で、入浴することもできる。
【0071】
ここで、図6に示す還元浴用水生成装置6000は、浴用水を浴槽に供給する供給路を備える供給手段として、フィルタ607と、循環路613aと、循環ポンプ603と、循環路613bと、循環路613cと、流量センサ605と、循環路613dと、流路切換部619と、循環路613fと、塩素消去剤および/または塩化物注入部617と、循環路613gと、循環路613eと、を備えている。また、この還元浴用水生成装置6000は、循環路613bと循環路613cとの間に電解槽601を備えている。
【0072】
また、還元浴用水生成装置6000を構成するものではないが、図6には、浴槽609と、浴用水611と、浴用水の流れの方向615a,615bと、も記載されている。
【0073】
本発明の還元浴用水生成装置をこのような形で利用することにより、高濃度の残留塩素により浴用水中の病原菌を除菌し、さらに残留塩素を除去し、かつ還元性の湯水に変えられた浴用水に入浴することができるため、この利用法は、循環型の大衆浴場には有効な利用法である。
【0074】
ここで、図4は、本発明の還元浴用水生成装置の一例により、浴用水を処理した場合の、処理前後の浴用水の酸化還元電位(ORP)およびpHの変化の概略を示すグラフである。
【0075】
そして、本発明の還元浴用水生成装置により得られた還元浴用水の酸化還元電位(ORP)およびpHは、図4に示すように天然温泉水の存在領域にある。また、人間の皮膚も同領域内にあるため、本発明の還元浴用水生成装置により得られた還元浴用水は、温泉効果や皮膚の酸化を防止し、入浴時の刺激もなく皮膚に優しく作用する働きがある。
【0076】
ここで、この電解槽は、陽極側電極および陰極側電極を備える無隔膜電解槽であってもよい。この電解槽を無隔膜電解槽とすることにより、有隔膜を備える電解槽に対し、電解槽の構造(隔膜不要)を簡単かつ低価格にし、pHを変化させないという利点がある。
【0077】
なお、図3で示す還元浴用水生成装置3000において、電解槽1として無隔膜電解槽を用いる場合には、浴用水11を循環ポンプ3で吸引、排出、循環しながら、トランス式またはスイッチング式の電源で数十ボルトの電圧を無隔膜電解槽の電極(チタン白金メッキなどを材質とする)に印加し、電気分解を行い、酸化系の浴用水の酸化還元電位を低下させ、還元性の冷水または湯水に変えることが好ましい。
【0078】
あるいは、この電解槽は、陽極側電極を備えた陽極室と、陰極側電極を備えた陰極室とが隔膜で分離された構造を有する電解槽であってもよい。この電解槽を有隔膜電解槽とする場合には、陽極室内の電解酸化水を浴槽などの殺菌に用いることができ、陰極室内の電解還元水を浴用水に用いることができる。
【0079】
この場合、この供給手段は、この陰極室内の電解還元水を還元浴用水として浴槽内に供給する構造を有する供給手段であってもよい。この陰極室内の電解還元水を還元浴用水として用いる場合には、無隔膜電解槽に比べて、酸化還元電位をより低下させることができる。
【0080】
また、この場合、この供給手段は、この陰極室内の電解還元水とこの陽極室内の電解酸化水とを混合して得られる電解還元水を還元浴用水として浴槽内に供給する構造を有する供給手段であってもよい。この陰極室内の電解還元水とこの陽極室内の電解酸化水とを混合して得られる電解還元水を還元浴用水として用いる場合には、電解還元水と電解酸化水の混合比を変えることにより、酸化還元電位(ORP)とpHとを自由に変えることができる。
【0081】
さらに、この場合、この供給手段は、この陰極室内の電解還元水、この陽極室内の電解酸化水、この陰極室内の電解還元水とこの陽極室内の電解酸化水とを混合して得られる電解還元水からなる群より得られる1種以上の電解水を、切換に応じて還元浴用水および/または酸化洗浄水として浴槽内に供給するためのこの供給路の切換手段を備えた構造を有する供給手段であってもよい。このような切換手段を有する場合には、入浴前に酸化洗浄水により浴室内、浴槽、腰掛、容器などを殺菌洗浄した上で、電解還元水を浴用水に利用することができる。
【0082】
図7は、本発明の還元浴用水生成装置の一例の概略を示す図である。
本発明の還元浴用水生成装置においては、この供給手段は、この浴用水として水道水または温泉水を供給する構造であってもよい。
【0083】
この供給手段は、水道配管から直接水道水などを電解槽に供給し、電気分解された水道水を還元浴用水または十分に還元されていない酸化系浴用水として供給することのできる構造を有する供給手段であってもよい。この場合、浴槽にある程度の浴用水が溜まった後は、水道配管側の流路を閉じて、循環側の流路に切換え、浴槽内の還元浴用水または十分に還元されていない酸化系浴用水を循環して還元浴用水生成装置により電気分解をはじめとする処理をすることで、還元浴用水に維持または変化させることができる。
【0084】
なお、図7に示す還元浴用水生成装置7000は、浴用水を浴槽に供給する供給路を備える供給手段として、流路713aと、流路713bと、流路切換部719と、流路713dと、塩素消去剤および/または塩化物注入部717と、流路713eと、流路713cと、を備えている。また、この還元浴用水生成装置7000は、流路713aと流路713bとの間に電解槽701を備えている。
【0085】
また、還元浴用水生成装置7000を構成するものではないが、図7は、浴槽709と、浴用水711と、水道水供給部721と、も記載されている。
【0086】
本発明の還元浴用水生成装置がこのような構造を有する場合には、水道水または温泉水などを直接、水道配管あるいは温泉水供給配管などから電解槽に供給して連続して電気分解することができる。また、水道水または温泉水などの残留塩素濃度が所望の範囲よりも高過ぎる場合には、電解槽通過後の流路系において、亜硫酸カルシウム、アスコルビン酸などの塩素消去剤を添加することもできる。このように塩素消去剤を注入することで、酸化系の浴用水の一因となる残留塩素濃度を減少させ、さらに酸化還元電位を低下させることにより、還元浴用水を浴槽に給水することができる。
【0087】
<還元浴用水生成装置の制御機構>
本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水の酸化還元電位を測定する手段を備えることが好ましい。このように酸化還元電位を測定する手段を備えることにより、浴用水の酸化還元電位を確認することができる。
【0088】
なお、この浴用水の酸化還元電位を測定する手段は、特に限定されず、任意の公知の手段を用いることができる。具体例としては、市販の酸化還元電位計(ORP計)などが挙げられる。
【0089】
この場合、本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水のこの酸化還元電位を表示する手段を備えることが望ましい。このように酸化還元電位を表示する手段を備えることにより、現在入浴中の浴用水の酸化還元電位(ORP)を知り、浴用水の酸化還元電位を調整することが可能となる。
【0090】
なお、この浴用水の酸化還元電位を表示する手段は、特に限定されず、任意の公知の手段を用いることができる。具体例としては、液晶表示パネルや、デジタルメーター、アナログメーターなどが挙げられる。
【0091】
さらに、この場合、本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水のこの酸化還元電位に応じて、この電解槽におけるこの浴用水の電気分解のための電流および/または電圧を制御する手段を備えることが推奨される。このように浴用水の電気分解のための電流および/または電圧を制御する手段を備えることにより、浴用水を任意の酸化還元電位に調整することができる。
【0092】
なお、この浴用水の電気分解のための電流および/または電圧を制御する手段は、特に限定されず、任意の公知の手段を用いることができる。具体例としては、電気分解のための電流および/または電圧を検出し、電気分解の条件を制御することのできる手段などが挙げられる。
【0093】
また、本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水の残留塩素濃度を測定する手段を備えることが好ましい。このように残留塩素濃度を測定する手段を備えることにより、浴用水の残留塩素濃度を知ることができる。
【0094】
なお、この浴用水の残留塩素濃度を測定する手段は、特に限定されず、任意の公知の手段を用いることができる。具体例としては、市販のアナログ残留塩素濃度計、デジタル残留塩素濃度計などが挙げられる。
【0095】
この場合、本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水のこの残留塩素濃度を表示する手段を備えることが望ましい。このように残留塩素濃度を表示する手段を備えることにより、浴用水中の残留塩素濃度の調整も可能となる。
【0096】
なお、この浴用水の残留塩素濃度を表示する手段は、特に限定されず、任意の公知の手段を用いることができる。具体例としては、液晶表示パネルや、デジタルメーター、アナログメーターなどが挙げられる。
【0097】
また、この場合、本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水のこの残留塩素濃度および/またはこの酸化還元電位に応じて、この浴用水中に投入するこの塩素消去剤および/またはこの塩化物の量を制御する手段を備えることが推奨される。このように塩素消去剤および/または塩化物の量を制御する手段を備えることにより、検出された浴用水中の残留塩素濃度に応じて、塩素消去剤および/または塩化物の注入量を調整して、最適殺菌条件および最適入浴条件を実現するための自動運転が可能となる。
【0098】
なお、この塩素消去剤および/または塩化物の量を制御する手段は、特に限定されず、任意の公知の手段を用いることができる。具体例としては、浴用水中の残留塩素濃度計で残留塩素濃度を検出し、浴槽を殺菌する段階においては残留塩素濃度が5〜20ppmになるように塩素消去剤および/または塩化物の注入量を調整し、入浴段階においては残留塩素濃度が0.05ppm以下となるように塩素消去剤および/または塩化物の注入量を調整する手段などが挙げられる。
【0099】
<その他の構成>
本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水中に二酸化炭素を注入する手段を備えることが好ましい。このように二酸化炭素を注入する手段を備えた本発明の還元浴用水生成装置により得られる還元浴用水に入浴すると、二酸化炭素による血行促進、疲労回復効果が得られるからである。
【0100】
ここで、温泉および家庭での入浴用の浴用水における二酸化炭素の効能については、これまでにも血行促進による疲労回復効果が科学的に明らかにされてきており、家庭用浴用剤としても二酸化炭素の発泡性の商品が市販されている。しかし、市販の家庭用浴用剤により二酸化炭素ガスを発生させた場合には、浴用水のORPが酸化系の方向にシフトする傾向があるという問題があった。
【0101】
このように二酸化炭素を注入する手段を備えた本発明の還元浴用水生成装置により得られる還元浴用水は、二酸化炭素による血行促進、疲労回復効果を有するとともに、ORPが還元系であるため、皮膚の酸化を抑制し、温泉と同様の効果もあるという利点がある。
【0102】
また、本発明の還元浴用水生成装置は、浴用水を加熱する手段を備えることが好ましい。このように浴用水を加熱する手段を備えることにより、浴用水の温度を最適入浴温度(40±2℃)の範囲に調整することができる。なお、入浴者の好みに応じて、最適入浴温度以外の温度にも調整することができる。
【0103】
なお、浴用水を加熱する手段は、特に限定されず、任意の公知の手段を用いることができる。具体例としては、石油ボイラ、ガスボイラ、電気温水器などが挙げられる。
【0104】
この場合、本発明の還元浴用水生成装置は、浴用水の温度を測定する手段を備えることが望ましい。このように浴用水の温度を測定する手段を備えることにより、浴用水の温度を調整することができる。
【0105】
なお、浴用水の温度を測定する手段は、特に限定されず、任意の公知の手段を用いることができる。具体例としては、サーミスタ、白金抵抗素子、熱伝対などの温度センサが挙げられる。
【0106】
また、本発明の還元浴用水生成装置は、浴用水の温度に応じて加熱手段を制御する手段を備えることが望ましい。このように浴用水の温度に応じて加熱手段を制御する手段を備えることにより、浴用水を入浴者の好みの温度にすることできる。
【0107】
なお、浴用水の温度に応じて加熱手段を制御する手段は、特に限定されず、任意の公知の手段を用いることができる。具体例としては、サーミスタ温度センサの出力を加熱器に入力して、浴用水の加温を調整する手段などが挙げられる。
【0108】
<安全対策>
一般的な浴槽洗浄装置などを、浴室および浴槽内など高温高湿の環境で使用する場合、装置内部の温度が上昇し、内部部品が温度上昇により過熱破損の危険性がある。それを防止するため、従来の一般的な浴槽洗浄装置などにおいては、温度上昇の大きな部品や周辺部にサーミスタなどの温度センサを装着し、設定温度で装置を停止させる安全対策を採っている。
【0109】
しかし、本発明の還元浴用水生成装置は、従来の前述の対策に加えて、この還元浴用水生成装置の温度を測定する手段と、この還元浴用水生成装置の温度に応じてこの電解槽におけるこの浴用水の電気分解のための電流および/または電圧を制御する手段と、を備えることが好ましい。装置を停止させなくても、電流および/または電圧を低下させることにより過熱破損を防止することができ、還元浴用水のORPを一定の範囲の値に維持できるためである。
【0110】
さらに、本発明の還元浴用水生成装置において、この還元浴用水生成装置の温度を測定する手段は、サーミスタなどの温度センサであることが好ましい。また、この還元浴用水生成装置の温度を測定する手段の設置場所、設置個数としては、本体装置のスイッチング電源またはトランスなど温度上昇の高い部品や周辺部に、サーミスタなどの温度センサを2個装着されることが望ましい。
【0111】
また、本発明の還元浴用水生成装置において、この浴用水の電気分解のための電流および/または電圧を制御する方法としては、電気分解のための電流が温度に反比例する値となるような制御回路を備えることによる制御方法が好ましい。
【0112】
そして、本発明の還元浴用水生成装置に備えられるスイッチング電源としては、小型化、軽量化、低価格化を可能とするために、定格容量の低いスイッチング電源などの部品を選定することが好ましい。
【0113】
より具体的には、この浴用水の電気分解のための電流および/または電圧を制御する方法としては、一方のセンサは過熱破損以下の温度に設定、他方のセンサは一方のセンサより低い温度に設定して、電気分解のための電流の制御回路にセンサ出力を接続し、上記の制御回路として温度上昇に反比例する電解電流を流す制御回路を備えていることが好ましい。
【0114】
ここで、一般的な浴槽洗浄装置などを、浴室および浴槽内などで使用する場合、従来の水位センサによる水位検出は髪や湯アカなどでセンサ表面が汚れてセンサ感度が悪くなる傾向があり、またセンサ自体を浴槽内へ設置する浴槽洗浄装置の構造が複雑となるという問題があった。さらに、従来の水位センサでは水位は検出しても、水路系の詰りは検出できないという欠点があった。
【0115】
そのため、本発明の還元浴用水生成装置においては、供給手段は、浴槽内の浴用水を電解槽に汲上げる循環ポンプおよび浴用水の循環路を備えている場合には、この循環路中に流量センサを備え、かつこの循環路中のこの浴用水の流量に応じてこの循環ポンプの運転を制御する手段を備えることが好ましい。
【0116】
本発明の還元浴用水生成装置がこのような構造を有する場合には、浴槽内に人間が入浴して髪や湯アカなどの汚れが吸込口のメッシュに詰まるなどの水路系統の異常や、浴用水が少なくなり吸込口から空気が入るなどの異常があれば、その異常を流量センサが検出し、かつこの循環路中のこの浴用水の流量に応じてこの循環ポンプの運転を制御する手段によりポンプの運転が停止などして、ポンプが空運転してポンプが破損することを防止することができる。
【0117】
より具体的には、本発明の還元浴用水生成装置において、流量センサ(フローセンサ)を循環路の途中に備え、水路系統の詰りによる異常または浴用水が一定水位以下になることによる水量の減少の異常を検出して、この循環路中のこの浴用水の流量に応じてこの循環ポンプの運転を制御する手段である制御回路などにより、ポンプの運転を停止させることが好ましい。
【0118】
本発明の還元浴用水生成装置がこのような構造を有する場合には、1つの流量センサで循環水路の詰りの異常と水位の異常の検出という形で、2つの異常を検出することができるため、本発明の還元浴用水生成装置の機構を簡素化し、低価格な安全対策を可能とすることができる。
【0119】
<還元浴用水生成装置のメンテナンス>
本発明の還元浴用水生成装置は、食塩添加水溶液による殺菌洗浄によりメンテナンスを行なうことができる。
【0120】
たとえば、数リットルから20リットル程度のバケツなどの容器内に、0.5g/l程度の食塩を入れた薄い食塩水を張る。次いで、本発明の還元浴用水生成装置の吸水ホースと吐水ホースとを、この食塩水中に挿入し、本発明の還元浴用水生成装置を10分程度電気分解を行ないながら運転して、数ppm〜数十ppmの範囲の次亜塩素酸を生成させて、本発明の還元浴用水生成装置の本体の水路内の殺菌を行なう。
【0121】
このような殺菌洗浄を定期的に行なうことによって、本発明の還元浴用水生成装置の本体内の雑菌の繁殖を防ぐことができ、常に衛生的に保つことができる。
【0122】
なお、本発明の還元浴用水生成装置の殺菌洗浄には、市販の塩素系の風呂用洗浄剤を使用することもできるが、市販の洗浄剤よりも安全性の高い食塩を使用することにより、そのまま殺菌洗浄液を下水などに流しても環境に負荷をかけることが少ない。また、食塩水を電気分解した溶液は、本発明の還元浴用水生成装置の本体内の洗浄後においても市販の洗浄剤と同等以上の殺菌力を保持しているため、そのまま浴室内や浴槽などの殺菌洗浄にも使用できるため経済的である。
【0123】
<還元浴用水の製造方法>
図8は、本発明の還元浴用水の製造方法の一例の概略を示すフロー図である。
【0124】
本発明の還元浴用水の製造方法は、図8に示すように、浴用水を電解槽に供給するステップ(S801)と、この電解槽においてこの浴用水を電気分解するステップ(S803)と、この電解槽において電気分解された浴用水を浴槽に供給するステップ(S805)と、を備える、還元浴用水の製造方法である。
【0125】
なお、本発明の還元浴用水の製造方法は、これらのステップに加えて、この浴用水中に塩素消去剤および/または塩化物を注入するステップを備えることが好ましい。
【0126】
ここで、この電気分解するステップ(S803)は、陽極側電極および陰極側電極を備える無隔膜電解槽内でこの浴用水を電気分解するステップを含んでいてもよい。
【0127】
あるいは、この電気分解するステップ(S803)は、陽極側電極を備えた陽極室と、陰極側電極を備えた陰極室とが隔膜で分離された構造を有する電解槽内でこの浴用水を電気分解するステップを含んでいてもよい。
【0128】
この場合、この浴槽に供給するステップ(S805)は、この陰極室内の電解還元水を還元浴用水として浴槽内に供給するステップを含んでいてもよい。また、この場合、この浴槽に供給するステップ(S805)は、この陰極室内の電解還元水とこの陽極室内の電解酸化水とを混合して得られる電解還元水を還元浴用水として浴槽内に供給するステップを含んでいてもよい。さらに、この場合、この浴槽に供給するステップ(S805)は、この陰極室内の電解還元水および/またはこの陰極室内の電解還元水とこの陽極室内の電解酸化水とを混合して得られる電解還元水を還元浴用水として浴槽内に供給するステップを含んでいてもよい。
【0129】
また、本発明の還元浴用水の製造方法は、これらのステップに加えて、この浴用水の酸化還元電位を測定するステップを備えることが好ましい。この場合、本発明の還元浴用水の製造方法において、この電気分解するステップ(S803)は、この浴用水のこの酸化還元電位に応じて、この電解槽におけるこの浴用水の電気分解のための電流および/または電圧を制御するステップを含むことが望ましい。
【0130】
さらに、本発明の還元浴用水の製造方法は、これらのステップに加えて、この浴用水の残留塩素濃度を測定するステップを備えることが好ましい。この場合、本発明の還元浴用水の製造方法において、この浴用水中に塩素消去剤および/または塩化物を注入するステップは、この浴用水のこの残留塩素濃度および/またはこの酸化還元電位に応じて、この浴用水中に投入するこの塩素消去剤および/またはこの塩化物の量を制御するステップを含むことが望ましい。
【0131】
また、本発明の還元浴用水の製造方法は、これらのステップに加えて、この浴用水中に二酸化炭素を注入するステップを備えることが好ましい。
【0132】
さらに、本発明の還元浴用水の製造方法において、この電解槽に供給するステップ(S801)は、この浴槽内のこの浴用水をこの電解槽に供給するステップを含んでいてもよい。
【0133】
あるいは、本発明の還元浴用水の製造方法において、この電解槽に供給するステップ(S801)は、水道水または温泉水をこの浴用水としてこの電解槽に供給するステップを含んでいてもよい。
【0134】
<浴用水>
本発明の浴用水は、上記の還元浴用水の製造方法により得られる、浴用水である。
【0135】
本発明の浴用水として、本発明の還元浴用水生成装置の無隔膜電解槽で電気分解された還元浴用水または陰極室内の電解還元水と陽極室内の電解酸化水とを混合して得られる電解還元水からなる還元浴用水である場合には、電気分解などの処理によりORPが低下しても、pHは大きく変動しないため、pHが弱酸性の領域であり、かつORPが通常の水道水に比べて約500mV低下した還元浴用水を得ることができる。
【0136】
ここで、先行技術である温泉水の浴用についての研究により、直接温泉水と接触する皮膚について、皮膚が弱酸性であることは知られている。また、皮膚のORP(標準水素電極基準の酸化還元電位で、単位はV)も測定され、皮膚のpHとORPが図4で示す領域に存在することが判明している。また、皮膚のエージング(老化)にORPが関係しており、皮膚の老化が進むとORPが酸化系の方向にシフトしていくことが明らかとなっている。
【0137】
よって、本発明の浴用水として、本発明の還元浴用水生成装置の無隔膜電解槽で電気分解された還元浴用水または陰極室内の電解還元水と陽極室内の電解酸化水とを混合して得られる電解還元水からなる還元浴用水として得られる、pHが弱酸性の領域であり、かつORPが通常の水道水に比べて約500mV低下した還元浴用水は、皮膚のpHである弱酸性のpHを有するため、皮膚をいたずらに刺激することなく、皮膚に優しい浴用水であり、また、ORPが還元系であるため、皮膚の老化を抑制する効果があると言える。
【0138】
ここで、酸化還元電極の電位Eとイオンの濃度〔Ox〕および〔Red〕の間には次のNernstの式で表される。
E=E0+(RT/nF)・ln(〔Ox〕/〔Red〕)・・・(式1)
ここで、E0は〔Ox〕=〔Red〕の場合のE値で、標準酸化還元電位〔V〕,Rは気体定数,Tは絶対温度,nは酸化還元反応に関与する電子数,Fはファラデー定数,lnは自然対数,〔Ox〕は酸化体の濃度,〔Red〕は還元体の濃度である。
【0139】
一般に酸化還元電位はORPで表され、以下はE〔V〕をORP〔mV〕として表す。
【0140】
水はH2O中のH+,OH-,H2,O2の密度の割合に応じて、ORPが変化し、その水(水溶液)の性質を知ることができる。
【0141】
図4は、先行技術により明らかになった温泉水の0RPとpHの関係を図表にしたものに、本発明の還元浴用水のORPとpHの関係をプロットした図で、「酸化された水の境界線」はH2O(水)とO2(酸素ガス)の濃度が等しい境界線で、下記の式2の反応式より、式1から式3に示すORPとpHの関係式が得られる。
O2+4H++4e-=2H2O・・・(式2)
ORP=1230−59pH・・・(式3)
「還元された水の境界線」はH2O(水)とH2(水素ガス)の濃度が等しい境界線で、下記の式4の反応式より、式1から式5に示すORPとpHの関係式が得られる。
2H++2e-=H2・・・(式4)
ORP=−59pH・・・(式5)
なお、通常大気環境下において、水は式3と式5の境界線の間の領域内に存在する。そして、先行技術が明らかにしたように、図4において、日本の天然温泉はpH:1から10、ORP:−300から600mVの範囲にあり、ORPの低い還元系の領域に存在している。
【0142】
よって、本発明の浴用水のORPは、pHによって異なるが、pH6〜8の範囲においては、−300mV以上であることが好ましく、特に−200mV以上であることがより好ましい。また、このORPは、400mV以下であることが好ましく、特に200mV以下であることがより好ましい。このORPがこの範囲より低い場合には、水酸化ナトリウム(NaOH)の発生が考えられ、皮膚の脂肪が除去されて皮膚がカサカサになる傾向があり、このORPがこの範囲より高い場合には、皮膚が酸化される傾向がある。
【0143】
また、本発明の浴用水のpHは、2以上であることが好ましく、特に4以上であることがより好ましい。また、このpHは、9以下であることが好ましく、特に8.6以下であることがより好ましい。このpHがこの範囲内にある場合には、皮膚のpHに近いため皮膚に優しくなる傾向があり、このpHがこの範囲より高い場合には、皮膚の脂肪を除去して皮膚をカサカサさせる傾向がある。
【0144】
また、本発明の浴用水の残留塩素濃度は、浴槽などの殺菌洗浄段階においては、5ppm以上であることが好ましく、特に10ppm以上であることがより好ましい。この残留塩素濃度がこの範囲より低い場合には、大腸菌などの病原菌、その他の細菌の除菌効果を低下させる傾向がある。
【0145】
また、本発明の浴用水の残留塩素濃度は、入浴段階においては、0.05ppm以下であることが好ましく、特に0.02ppm以下であることがより好ましい。この残留塩素濃度がこの範囲内の場合には、皮膚に優しく、皮膚の酸化を抑制させ、皮膚の酸化還元電位を低下させる傾向があり、この残留塩素濃度がこの範囲よりも高い場合には、皮膚の酸化を促進させ、皮膚の酸化還元電位を上昇させる傾向がある。
【0146】
なお、人間の皮膚はpH:5付近、ORP:350mV付近にあり、また人間の血液や体液はpH:7.3、ORP:220mVと還元系であり、天然温泉水と同等の領域に存在している。そのため、本発明の還元浴用水を満たした還元系の風呂に入浴するなど還元系の環境に浸る、あるいは還元系の飲食物を摂取することが人間への負担を軽く、優しく作用し、生命維持に有効と思われる。
【0147】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0148】
<実施例1>
実施例1として、図6に示す還元浴用水生成装置6000を用いて還元浴用水を得る実験を行なった。
【0149】
まず、浴槽609内に浴用水611として通常の水道水を200l満たした。そして、浴槽内に満たした水道水のORP、pH、残留塩素濃度を測定したところ、そのORPおよびpHのプロットは、図4で示す「酸化された水の境界線」近郊であって、ORPが675mVと高く、pHは7.5であり、残留塩素濃度は0.16ppmの酸化系の水質であった。
【0150】
次いで、その水道水200lを還元浴用水生成装置6000を用いて10分間処理すると、図1に示すように、塩素消去剤(亜硫酸カルシウム)無添加時でORPは280mVに低下し、塩素消去剤(亜硫酸カルシウム)100g添加時でORPは200mVにORPが低下した。すなわち、還元浴用水生成装置6000を用いて電気分解をはじめとする処理を施すことにより、pHを大きく変動させることなく、水道水が天然温泉水と同等の還元系の水質に改善されたと言える。
【0151】
また、その水道水200lを還元浴用水生成装置6000を用いて10分間処理すると、図1に示すように、塩素消去剤(亜硫酸カルシウム)100g添加時で残留塩素濃度は0.01ppmに低下した。すなわち、還元浴用水生成装置6000を用いて塩素消去剤(亜硫酸カルシウム)の添加をはじめとする処理を施すことにより、pHを大きく変動させることなく、水道水の残留塩素濃度がカルキ臭および人体に悪影響を与えない水準に低下することができたと言える。
【0152】
さらに、残留塩素濃度が0.01ppmに低下した水道水200lを、還元浴用水生成装置6000を用いて10分間処理すると、浴用水200lに対して塩化物(塩化ナトリウム)100g添加時で残留塩素濃度は20ppmに上昇した。すなわち、還元浴用水生成装置6000を用いて塩化物(塩化ナトリウム)の添加をはじめとする処理を施すことにより、水道水の残留塩素濃度が殺菌効果を有する水準に調整することができたと言える。
【0153】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0154】
【発明の効果】
上記の結果より、本発明の還元浴用水生成装置を用いることにより、浴槽などの殺菌洗浄段階においては、十分な残留塩素濃度を実現して、病原菌の除菌を行なうことができ、入浴段階においては、pHを大きく変動させることなく、残留塩素の除去を行い、酸化還元電位の高い酸化系の水道水や温泉水の酸化還元電位を低くし、還元性の水質に変えることができる。そのため、本発明の還元浴用水生成装置により得られる還元浴用水は、浴槽などの殺菌洗浄段階において殺菌力を有しながらも、入浴段階においては、皮膚の酸化や老化を抑制し、かつ皮膚に優しい浴用水となる。
【0155】
また、本発明の還元浴用水生成装置に、この還元浴用水生成装置の温度を測定する手段と、この還元浴用水生成装置の温度に応じて電解槽における浴用水の電気分解のための電流および/または電圧を制御する手段と、循環路中の流量センサと、循環路中の浴用水の流量に応じて循環ポンプの運転を制御する手段と、を備えた場合には、本発明の還元浴用水生成装置の機構の簡素化、小型化、軽量化を実現できることができる。そのため、低価格で安全な、本発明の還元浴用水生成装置を提供することができる。
【0156】
さらに、一般に入浴剤は浴用水を酸化系にする傾向があるが、本発明の還元浴用水生成装置を用いることにより、入浴剤入りの酸化系の浴用水を還元系の浴用水にすることができる。そのため、本発明の還元浴用水生成装置を用いることにより、入浴剤の浴用水を酸化系にするという欠点を補い、還元系の浴用水による効果と入浴剤の効能との相乗効果を引出すことができる。
【0157】
そして、湧出直後の温泉水は還元系であるが、長時間放置された温泉水、長い配管を通過した温泉水、塩素剤を投入した温泉水、温泉から家庭に配送される間に長時間経過した温泉水などは酸化系になっている。これらエージングされた温泉水を本発明の還元浴用水生成装置で処理することにより、還元系の温泉水に変えることができる。そのため、本発明の還元浴用水生成装置を用いて温泉水を処理することにより、本来温泉水に含まれている有効な温泉成分はそのままの状態で、温泉水を還元系に戻し、湧出直後の温泉水に改善することができる。
【0158】
よって、本発明の還元浴用水生成装置は、湧出直後の温泉水と同等の還元性のORPを有し、かつ入浴中の皮膚の酸化防止効果を有する還元浴用水を、銭湯用または家庭用の浴槽に安全かつ簡便に供給することができ、かつ浴槽を安全かつ簡便に殺菌洗浄することもできる還元浴用水生成装置である。
【0159】
また、本発明の還元浴用水の製造方法は、湧出直後の温泉水と同等の還元性のORPを有し、入浴中の皮膚の酸化防止効果を有する還元浴用水を、銭湯または家庭において安全かつ簡便に供給することのできる還元浴用水の製造方法である。
【0160】
さらに、本発明の還元浴用水は、湧出直後の温泉水と同等の還元性のORPを有し、入浴中の皮膚の酸化防止効果を有し、銭湯または家庭において安全かつ簡便に供給することのできる還元浴用水である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の還元浴用水生成装置の一例により、浴用水を循環しながら処理した場合の、処理時間に対する浴用水の酸化還元電位(ORP)の変化を示すグラフである。
【図2】本発明の還元浴用水生成装置の一例により、浴用水を循環しながら処理した場合の、処理時間に対する浴用水の残留塩素濃度(次亜塩素酸濃度)の変化を示すグラフである。
【図3】本発明の還元浴用水生成装置の一例の概略を示す図である。
【図4】本発明の還元浴用水生成装置の一例により、浴用水を処理した場合の、処理前後の浴用水の酸化還元電位(ORP)およびpHの変化の概略を示すグラフである。
【図5】本発明の還元浴用水生成装置の一例の概略を示す図である。
【図6】本発明の還元浴用水生成装置の一例の概略を示す図である。
【図7】本発明の還元浴用水生成装置の一例の概略を示す図である。
【図8】本発明の還元浴用水の製造方法の一例の概略を示すフロー図である。
【符号の説明】
1,501,601,701 電解槽、3,503,603 循環ポンプ、5,505,605 流量センサ、7,507,607 フィルタ、9,509,609,709 浴槽、11,511,611,711 浴用水、13a,13b,13c,13d,513a,513b,513c,513d,513e,613a,613b,613c,613d,613e,613f,613g 循環路、15a,15b,515a,515b,615a,615b 浴用水の流れの方向、517,617,717 塩素消去剤および/または塩化物注入部、619,719 流路切換部、713a,713b,713c,713d,713e 流路、721 水道水供給部、3000,5000,6000,7000 還元浴用水生成装置。
【発明の属する技術分野】
本発明は、還元浴用水の生成装置に関する。より詳しくは、本発明は、浴用水を電気分解する電解槽を備える還元浴用水の生成装置に関する。また、本発明は、還元浴用水の製造方法に関する。さらに、本発明は、還元浴用水に関する。
【0002】
【従来の技術】
日本には全国各地に約2500ヶ所の温泉があり、昔から温泉は湯治として、疲労を回復させる「休養」、健康を保持し病気を予防する「保養」、病気を治療する「療養」として利用され、日本の温泉文化を作り出している。
【0003】
ここで、温泉水は湧出直後は不安定水溶液系であり、湧出後は温度、気圧などの物理的条件の変化および大気との接触を含めた化学反応などにより、成分の揮散、沈殿および化学種の変化が生じ、時間の経過とともに安定水溶液系に変化する。この湧出時の不安定水溶液から安定水溶液への変化が、いわゆる温泉水のエージング(劣化)現象として知られていた。
【0004】
幾つかの先行技術文献においては、このエージング現象を解明するため、温泉法で規定されている泉質をすべて含む全国約90ヶ所の温泉源泉のORP(標準水素電極基準の酸化還元電位で、単位はV)とpHの関係について、湧出直後と時間経過後(約1週間)の測定を行ない、一定の関係を見出したとの記載がある(たとえば、特許文献1および非特許文献1参照。)。すなわち、これらの先行技術文献によれば、温泉源泉はpHが約1付近の強酸性から10を超える強アルカリ性まで広く分布しているが、いずれの温泉源泉も湧出直後は通常の大気環境と平衡にあるORP(本明細書において、平衡ORPとも記載する)より低い還元系の不安定水溶液であるとされている。
【0005】
そして、この先行技術文献によれば、温泉源泉のORPは、時間の経過(約1週間放置)に伴い、すなわちエージングにより平衡ORPに近づき、安定水溶液系に変化する。この変化の際に、何らかのエネルギーが放出され、そのエネルギーが人体に有効に作用すると推定される。それゆえ、時間が経過し、エージングの起こった安定水溶液系では温泉の効能の一部が消失すると考えられる。
【0006】
ここで、最近は温泉の大衆化に伴う温泉利用者の増加で、温泉湧出量が不足しつつある。さらに、病原菌などの感染防止の安全対策として浴用水を塩素剤で殺菌するようになり、温泉水が酸化され、本来の還元系泉質から温泉効果の貧弱な酸化系の泉質に変わってきている。
【0007】
このような温泉の殺菌技術としては、病原菌の殺菌するために温泉水を電気分解してORPを大幅に上昇させる技術(たとえば、特許文献2参照。)などが開示されている。しかし、この技術においては、温泉水のORPを大幅に上昇させることにより殺菌効果を得ているため、還元系泉質の有する優れた温泉効果が失われてしまっているという問題がある。また、あくまでも温泉水を用いる技術である以上、家庭の浴槽において利用する上で制約があるという問題もある。
【0008】
一方、水道水も安全対策として、塩素殺菌が行われている。さらに、最近は河川の汚染が進むにつれ、上水道の塩素投入量も増加し、さらに水道水の酸化が進み、酸化還元電位が高くなってきている。
【0009】
そして、塩素は有機物と化合すると、発がん性物質のトリハロメタンの発生や活性酸素の発生の要因となる。そのため、健康に気を使う一部の消費者は、飲用水としては、水道水を活性炭などで塩素を除去および/または電気分解した還元性の電解還元水を利用している。または、塩素を含まない天然水のミネラルウオーターなどを利用している。
【0010】
なお、塩素系化合物は次亜塩素酸などによる病原菌などの殺菌機能を除くという利点を有することが知られている。しかし、一方で、人間の生体にとって、塩素や酸化系の飲食物、酸化系の環境などは弊害となることも知られている。
【0011】
そのため、銭湯や循環型の温泉などの浴用水の除菌には、一般的に塩素剤を使用しているが、濃度が一定でなく、濃度が高過ぎて強い塩素臭が発生する場合があり、または逆に濃度が薄くて除菌効果が低下して病原菌などの感染が発生する恐れがある。さらに、浴用水が塩素などで酸化され、酸化系の湯質となり皮膚を酸化させる。
【0012】
このような塩素系化合物によるカルキ臭を防止するための先行技術文献としては、浴槽内の浴水に次亜塩素酸を供給し、入浴前の所定の時間から浴槽内の浴水を活性炭濾材に通過させて次亜塩素酸を除去する文献が開示されている(たとえば、特許文献3参照。)。しかし、この先行技術文献においては、浴水のORPについての記載はない。
【0013】
また、一般的な浴槽浄化装置においては、浴用水などの水位の検出は、水位センサで行っている(たとえば、特許文献4参照。)。しかし、浴用水などの水位の検出は、水位センサで行った場合には、水位センサに異物などが付着して動作に異常が生じる場合がある。その結果、24時間風呂など高温多湿の浴室内に設置する浴槽浄化装置においては、ポンプの空運転などにより機器内部の温度が上昇し、内部部品の過熱によるトラブルの発生などの危険性がある。
【0014】
【特許文献1】
特開2000−308891号公報
【0015】
【特許文献2】
特開2000−126772号公報
【0016】
【特許文献3】
特開2002−219469号公報
【0017】
【特許文献4】
特開2001−208427号公報
【0018】
【非特許文献1】
大河内 正一,「温泉水の酸化還元電位」,温泉工学会誌,2002年,第28巻,第1号,p.26−44
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
上記より、かつ湧出直後の温泉水と同等の還元性のORPを有し、入浴中の皮膚の酸化防止効果を有する還元浴用水を、銭湯用または家庭用の浴槽に安全かつ簡便に供給することができ、かつ浴槽を安全かつ簡便に殺菌洗浄することもできる技術は未だ開発されていない。
【0020】
そこで、本発明の主要な課題は、湧出直後の温泉水と同等の還元性のORPを有し、かつ入浴中の皮膚の酸化防止効果を有する還元浴用水を、銭湯用または家庭用の浴槽に安全かつ簡便に供給することができ、かつ浴槽を安全かつ簡便に殺菌洗浄することもできる還元浴用水生成装置を提供することである。
【0021】
また、本発明の別の課題は、湧出直後の温泉水と同等の還元性のORPを有し、入浴中の皮膚の酸化防止効果を有する還元浴用水を、銭湯または家庭において安全かつ簡便に供給することのできる還元浴用水の製造方法を提供することである。
【0022】
さらに、本発明のもう一つの課題は、湧出直後の温泉水と同等の還元性のORPを有し、入浴中の皮膚の酸化防止効果を有し、銭湯または家庭において安全かつ簡便に供給することのできる還元浴用水を提供することである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するためには、入浴前の浴槽などの殺菌洗浄段階において浴用水の残留塩素濃度が所望の範囲内にない場合には、塩素消去剤の注入および/または塩化物の電気分解により、浴用水の残留塩素濃度を、殺菌効果を有する一定の範囲に制御し、入浴段階においては、浴用水を電気分解して浴用水のORPを還元性にするとともに、浴用水の残留塩素濃度を人体に悪影響を与えない一定の範囲に制御すればよいとの着想を得、多くの還元浴用水生成装置の試作品を作製して、鋭意研究開発に励んだ。
【0024】
その結果、本発明者らは、浴用水を浴槽に供給する供給路を備える供給手段と供給路中に設けられた浴用水を電気分解する電解槽とを備える還元浴用水生成装置により、浴用水を電気分解して浴用水のORPを還元性にすることができ、さらに前記浴用水中に塩素消去剤および/または塩化物を注入する手段とを付加すれば、浴用水の残留塩素濃度が所望の範囲内にない場合にも、浴用水の残留塩素濃度を、浴槽などの殺菌洗浄段階においては殺菌効果を有する一定の範囲に制御でき、かつ入浴段階においては人体に悪影響を与えない一定の範囲に制御できることを見出し、本発明を完成した。
【0025】
すなわち、本発明の還元浴用水生成装置は、浴用水を浴槽に供給する供給路を備える供給手段と、この供給路中に設けられたこの浴用水を電気分解する電解槽と、を備える、還元浴用水生成装置である。
【0026】
なお、本発明の還元浴用水生成装置はこの浴用水中に塩素消去剤および/または塩化物を注入する手段を備えることが好ましい。
【0027】
ここで、この電解槽は、陽極側電極および陰極側電極を備える無隔膜電解槽であってもよい。
【0028】
あるいは、この電解槽は、陽極側電極を備えた陽極室と、陰極側電極を備えた陰極室とが隔膜で分離された構造を有する電解槽であってもよい。この場合、この供給手段は、この陰極室内の電解還元水を還元浴用水として浴槽内に供給する構造を有する供給手段であってもよい。また、この場合、この供給手段は、この陰極室内の電解還元水とこの陽極室内の電解酸化水とを混合して得られる電解還元水を還元浴用水として浴槽内に供給する構造を有する供給手段であってもよい。さらにこの場合、この供給手段は、この陰極室内の電解還元水、この陽極室内の電解酸化水、この陰極室内の電解還元水とこの陽極室内の電解酸化水とを混合して得られる電解還元水からなる群より得られる1種以上の電解水を、切換に応じて還元浴用水および/または酸化浄化水として浴槽内に供給するためのこの供給路の切換手段を備えた構造を有する供給手段であってもよい。
【0029】
そして、本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水の酸化還元電位を測定する手段を備えることが好ましい。この場合、本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水のこの酸化還元電位を表示する手段を備えることが望ましい。さらに、この場合、本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水のこの酸化還元電位に応じて、この電解槽におけるこの浴用水の電気分解のための電流および/または電圧を制御する手段を備えることが推奨される。
【0030】
また、本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水の残留塩素濃度を測定する手段を備えることが好ましい。この場合、本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水のこの残留塩素濃度を表示する手段を備えることが望ましい。また、この場合、本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水のこの残留塩素濃度および/またはこの酸化還元電位に応じて、この浴用水中に投入するこの塩素消去剤および/またはこの塩化物の量を制御する手段を備えることが推奨される。
【0031】
さらに、本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水中に二酸化炭素を注入する手段を備えることが好ましい。
【0032】
また、本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水を加熱する手段を備えることが好ましい。この場合、本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水の温度を測定する手段と、この浴用水の温度に応じてこの加熱手段を制御する手段と、を備えることが望ましい。
【0033】
そして、本発明の還元浴用水生成装置は、この還元浴用水生成装置の温度を測定する手段と、この還元浴用水生成装置の温度に応じてこの電解槽におけるこの浴用水の電気分解のための電流および/または電圧を制御する手段と、を備えることが好ましい。
【0034】
さらに、本発明の還元浴用水生成装置においては、この供給手段は、この浴槽内のこの浴用水をこの電解槽に汲上げる循環ポンプおよびこの浴用水の循環路を備えていてもよい。この場合、本発明の還元浴用水生成装置は、この循環路中に流量センサを備え、かつこの循環路中のこの浴用水の流量に応じてこの循環ポンプの運転を制御する手段を備えることが好ましい。
【0035】
あるいは、本発明の還元浴用水生成装置においては、この供給手段は、水道水または温泉水を浴用水として供給する供給手段であってもよい。
【0036】
そして、本発明の還元浴用水の製造方法は、浴用水を電解槽に供給するステップと、この電解槽においてこの浴用水を電気分解するステップと、この電解槽において電気分解された浴用水を浴槽に供給するステップと、を備える、還元浴用水の製造方法である。
【0037】
なお、本発明の還元浴用水の製造方法は、この浴用水中に塩素消去剤および/または塩化物を注入するステップを備えることが好ましい。
【0038】
ここで、この電気分解するステップは、陽極側電極および陰極側電極を備える無隔膜電解槽内でこの浴用水を電気分解するステップを含んでいてもよい。
【0039】
あるいは、この電気分解するステップは、陽極側電極を備えた陽極室と、陰極側電極を備えた陰極室とが隔膜で分離された構造を有する電解槽内でこの浴用水を電気分解するステップを含んでいてもよい。この場合、この浴槽に供給するステップは、この陰極室内の電解還元水を還元浴用水として浴槽内に供給するステップを含んでいてもよい。また、この場合、この浴槽に供給するステップは、この陰極室内の電解還元水とこの陽極室内の電解酸化水とを混合して得られる電解還元水を還元浴用水として浴槽内に供給するステップを含んでいてもよい。さらに、この場合、この浴槽に供給するステップは、この陰極室内の電解還元水および/またはこの陰極室内の電解還元水とこの陽極室内の電解酸化水とを混合して得られる電解還元水を還元浴用水として浴槽内に供給するステップを含んでいてもよい。
【0040】
また、本発明の還元浴用水の製造方法は、この浴用水の酸化還元電位を測定するステップを備えることが好ましい。この場合、本発明の還元浴用水の製造方法において、この電気分解するステップは、この浴用水のこの酸化還元電位に応じて、この電解槽におけるこの浴用水の電気分解のための電流および/または電圧を制御するステップを含むことが望ましい。
【0041】
さらに、本発明の還元浴用水の製造方法は、この浴用水の残留塩素濃度を測定するステップを備えることが好ましい。この場合、本発明の還元浴用水の製造方法において、この浴用水中に塩素消去剤および/または塩化物を注入するステップは、この浴用水のこの残留塩素濃度および/またはこの酸化還元電位に応じて、この浴用水中に投入するこの塩素消去剤および/またはこの塩化物の量を制御するステップを含むことが望ましい。
【0042】
また、本発明の還元浴用水の製造方法は、この浴用水中に二酸化炭素を注入するステップを備えることが好ましい。
【0043】
さらに、本発明の還元浴用水の製造方法において、この電解槽に供給するステップは、この浴槽内のこの浴用水をこの電解槽に供給するステップを含んでいてもよい。
【0044】
あるいは、本発明の還元浴用水の製造方法において、この電解槽に供給するステップは、水道水または温泉水をこの浴用水としてこの電解槽に供給するステップを含んでいてもよい。
【0045】
そして、本発明の浴用水は、上記の還元浴用水の製造方法により得られる、浴用水である。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を示して本発明をより詳細に説明する。
【0047】
<還元浴用水生成装置>
図3は、本発明の還元浴用水生成装置の一例の概略を示す図である。
【0048】
本発明の還元浴用水生成装置は、図3に示すように、浴用水を浴槽に供給する供給路を備える供給手段と、この供給路中に設けられたこの浴用水を電気分解する電解槽と、を備える、還元浴用水生成装置である。
【0049】
なお、この供給手段は、この浴槽内のこの浴用水をこの電解槽に汲上げる循環ポンプおよびこの浴用水の循環路を備えることが好ましい。この浴槽内のこの浴用水を循環させながら電気分解することによって、効率良く電気分解をはじめとする処理を行ない、酸化還元電位を低下させることができるためである。
【0050】
ここで、図3に示す還元浴用水生成装置3000は、浴用水を浴槽に供給する供給路を備える供給手段として、フィルタ7と、循環路13aと、循環ポンプ3と、循環路13bと、循環路13cと、流量センサ5と、循環路13dと、を備えている。また、この還元浴用水生成装置3000は、循環路13bと循環路13cとの間に電解槽1を備えている。
【0051】
また、還元浴用水生成装置3000を構成するものではないが、図3には、浴槽9と、浴用水11と、浴用水の流れの方向15a,15bと、も記載されている。
【0052】
ここで、図1は、本発明の還元浴用水生成装置の一例により、浴用水を循環しながら処理した場合の、処理時間に対する浴用水の酸化還元電位(ORP)の変化を示すグラフである。
【0053】
本発明の還元浴用水生成装置は、供給路中に電解槽が設けられているため、残留塩素を含んだ酸化還元電位の高い酸化系の冷水や温水などの浴用水を、この電解槽で電気分解するなどの処理を施すことにより、図1の亜硫酸カルシウム無添加の場合に示すように、酸化還元電位を約500mV低下させ、還元浴用水に変えることができる。
【0054】
図5は、本発明の還元浴用水生成装置の一例の概略を示す図である。
本発明の還元浴用水生成装置は、図5に示すように、この浴用水中に塩素消去剤および/または塩化物を注入する手段を備えることが好ましい。
【0055】
なお、浴用水中に塩素消去剤および/または塩化物を注入する手段は、特に限定されず、任意の公知の手段を用いることができる。具体例としては、容器内にストックされた粉末状の塩素消去剤および/または塩化物を、自動あるいは手動により、一定量投入することのできる手段であることが望ましい。
【0056】
また、本発明で用いる塩素消去剤は、特に限定するものではないが、たとえば、亜硫酸カルシウム、アスコルビン酸、カテキン、ビタミンC、ユズやミカンなどの柑橘類の皮、植物汁などを好適に使用可能である。
【0057】
さらに、本発明で用いる塩化物は、特に限定するものではないが、たとえば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩酸などを好適に使用可能である。
【0058】
ここで、図5に示す還元浴用水生成装置5000は、浴用水を浴槽に供給する供給路を備える供給手段として、フィルタ507と、循環路513aと、循環ポンプ503と、循環路513bと、循環路513cと、流量センサ505と、循環路513dと、塩素消去剤および/または塩化物注入部517と、循環路513eと、を備えている。また、この還元浴用水生成装置5000は、循環路513bと循環路513cとの間に電解槽501を備えている。
【0059】
また、還元浴用水生成装置5000を構成するものではないが、図5には、浴槽509と、浴用水511と、浴用水の流れの方向515a,515bと、も記載されている。
【0060】
本発明の還元浴用水生成装置に、塩素消去剤および/または塩化物を注入する手段を設けた場合には、残留塩素を含んだ酸化還元電位の高い酸化系の冷水や温水などの浴用水を、この電解槽で電気分解するとともに、塩素消去剤および/または塩化物を注入する手段により残留塩素濃度を調整することにより、図1の亜硫酸カルシウム100g添加の場合に示すように、塩素消去剤および/または塩化物を注入する手段を設けない場合と比較して、著しく短時間で酸化還元電位を約500mV低下させ、還元浴用水に変えることができる。また、処理開始10分後の時点について比較してみると、本発明の還元浴用水生成装置において、亜硫酸カルシウム100g添加して処理した場合には、亜硫酸カルシウム無添加の場合よりさらに、浴用水の酸化還元電位が約100mV低くなる。
【0061】
ここで、図2は、本発明の還元浴用水生成装置の一例により、浴用水を循環しながら処理した場合の、処理時間に対する浴用水の残留塩素濃度(次亜塩素酸濃度)の変化を示すグラフである。
【0062】
本発明の還元浴用水生成装置に、塩素消去剤および/または塩化物を注入する手段を設けた場合には、残留塩素を含んだ酸化還元電位の高い酸化系の冷水や温水などの浴用水を、この電解槽で電気分解するとともに、塩素消去剤および/または塩化物を注入する手段により粒状の亜硫酸カルシウム100gを添加して10分間処理して、残留塩素濃度を調整することにより、図2に示すように、10分間で残留塩素濃度を0.16ppmから0.01ppmに低下させ、入浴段階においてカルキ臭を発生せず人体に悪影響を与えない範囲の残留塩素濃度の還元浴用水に変えることができる。
【0063】
請求項3の本発明は請求項1の発明の機構の循環水路中に、図5に示すように亜硫酸カルシウム100gの塩素消去剤を入れ、浴用水に含有する残留塩素を除去すると、亜硫酸カルシウム無添加よりさらに、酸化還元電位が約100mV低くなり(図4)、より還元性の浴用水にすることができる。本発明は残留塩素の多い水道水を利用した家庭用の風呂や大衆浴場には特に有効な利用法である。
【0064】
また、こうして得られた還元浴用水は、電気分解によるORPの低下および亜硫酸カルシウム、アスコルビン酸などの塩素消去剤による残留塩素濃度の低下のため、入浴段階においては、人体皮膚に対する塩素障害を解消するとともに、酸化還元電位の低い還元浴用水により人体皮膚の酸化を抑制して皮膚の老化を抑制するため、美容と健康にも著しい効果を発揮する。
【0065】
一方、浴用水の塩素濃度が低い場合や塩素が含まれてない場合には、塩素消去剤および/または塩化物を注入する手段により食塩など塩化物を添加し、電解槽で電気分解することにより発生する次亜塩素酸で、浴槽などの殺菌洗浄段階において殺菌効果を有する範囲の残留塩素濃度の還元浴用水に変えることができ、冷水や温水中の病原菌その他の細菌を除菌することができる。
【0066】
そして、こうして得られた還元浴用水は、浴槽などの殺菌洗浄段階において電気分解で発生する次亜塩素酸により細菌を除菌し、病原菌などによる人体への感染を予防することができる。
【0067】
また、本発明の還元浴用水生成装置により還元浴用水を製造する際に、浴用水に残留塩素がほとんどない場合には循環路中に食塩などの塩化物を注入した上で電気分解し、また浴用水の残留塩素濃度が所望の範囲である場合はそのまま電気分解することにより、発生する次亜塩素酸により、浴槽などの殺菌洗浄段階においては、浴用水中の病原菌などの細菌を除菌することができる。
【0068】
そのため、本発明の還元浴用水生成装置により得られる還元浴用水は、浴槽などの殺菌洗浄段階においては、入浴客の多い銭湯、ホテルや旅館などの大衆浴場、循環型の温泉浴場などで発生している病原菌の除菌や細菌感染の防止に効果的である。
【0069】
また、これらの浴場では、病原菌の繁殖や細菌感染を防ぐために、浴用水への塩素投入量を増加させ、塩素臭の発生の問題があるが、本発明の還元浴用水生成装置は、浴槽などの殺菌洗浄段階においては、除菌効果および病原菌などの感染予防効果のある範囲に残留塩素濃度を維持し、入浴段階においては、残留塩素濃度を低下させることにより塩素臭を減少させることができるので、そのような問題は生じない。
【0070】
図6は、本発明の還元浴用水生成装置の一例の概略を示す図である。
また、本発明の還元浴用水生成装置を用いる場合には、図6に示すような構造を採用した上で、まず浴用水に塩化物などを投入した上で電気分解して得られる残留塩素濃度の高い浴用水を浴槽内に循環させ、浴用水中の病原菌などを除菌した後に、循環路を切換えて、循環水路中に亜硫酸カルシウムなどの塩素消去剤を添加して、浴用水中の残留塩素を除去した上で、入浴することもできる。
【0071】
ここで、図6に示す還元浴用水生成装置6000は、浴用水を浴槽に供給する供給路を備える供給手段として、フィルタ607と、循環路613aと、循環ポンプ603と、循環路613bと、循環路613cと、流量センサ605と、循環路613dと、流路切換部619と、循環路613fと、塩素消去剤および/または塩化物注入部617と、循環路613gと、循環路613eと、を備えている。また、この還元浴用水生成装置6000は、循環路613bと循環路613cとの間に電解槽601を備えている。
【0072】
また、還元浴用水生成装置6000を構成するものではないが、図6には、浴槽609と、浴用水611と、浴用水の流れの方向615a,615bと、も記載されている。
【0073】
本発明の還元浴用水生成装置をこのような形で利用することにより、高濃度の残留塩素により浴用水中の病原菌を除菌し、さらに残留塩素を除去し、かつ還元性の湯水に変えられた浴用水に入浴することができるため、この利用法は、循環型の大衆浴場には有効な利用法である。
【0074】
ここで、図4は、本発明の還元浴用水生成装置の一例により、浴用水を処理した場合の、処理前後の浴用水の酸化還元電位(ORP)およびpHの変化の概略を示すグラフである。
【0075】
そして、本発明の還元浴用水生成装置により得られた還元浴用水の酸化還元電位(ORP)およびpHは、図4に示すように天然温泉水の存在領域にある。また、人間の皮膚も同領域内にあるため、本発明の還元浴用水生成装置により得られた還元浴用水は、温泉効果や皮膚の酸化を防止し、入浴時の刺激もなく皮膚に優しく作用する働きがある。
【0076】
ここで、この電解槽は、陽極側電極および陰極側電極を備える無隔膜電解槽であってもよい。この電解槽を無隔膜電解槽とすることにより、有隔膜を備える電解槽に対し、電解槽の構造(隔膜不要)を簡単かつ低価格にし、pHを変化させないという利点がある。
【0077】
なお、図3で示す還元浴用水生成装置3000において、電解槽1として無隔膜電解槽を用いる場合には、浴用水11を循環ポンプ3で吸引、排出、循環しながら、トランス式またはスイッチング式の電源で数十ボルトの電圧を無隔膜電解槽の電極(チタン白金メッキなどを材質とする)に印加し、電気分解を行い、酸化系の浴用水の酸化還元電位を低下させ、還元性の冷水または湯水に変えることが好ましい。
【0078】
あるいは、この電解槽は、陽極側電極を備えた陽極室と、陰極側電極を備えた陰極室とが隔膜で分離された構造を有する電解槽であってもよい。この電解槽を有隔膜電解槽とする場合には、陽極室内の電解酸化水を浴槽などの殺菌に用いることができ、陰極室内の電解還元水を浴用水に用いることができる。
【0079】
この場合、この供給手段は、この陰極室内の電解還元水を還元浴用水として浴槽内に供給する構造を有する供給手段であってもよい。この陰極室内の電解還元水を還元浴用水として用いる場合には、無隔膜電解槽に比べて、酸化還元電位をより低下させることができる。
【0080】
また、この場合、この供給手段は、この陰極室内の電解還元水とこの陽極室内の電解酸化水とを混合して得られる電解還元水を還元浴用水として浴槽内に供給する構造を有する供給手段であってもよい。この陰極室内の電解還元水とこの陽極室内の電解酸化水とを混合して得られる電解還元水を還元浴用水として用いる場合には、電解還元水と電解酸化水の混合比を変えることにより、酸化還元電位(ORP)とpHとを自由に変えることができる。
【0081】
さらに、この場合、この供給手段は、この陰極室内の電解還元水、この陽極室内の電解酸化水、この陰極室内の電解還元水とこの陽極室内の電解酸化水とを混合して得られる電解還元水からなる群より得られる1種以上の電解水を、切換に応じて還元浴用水および/または酸化洗浄水として浴槽内に供給するためのこの供給路の切換手段を備えた構造を有する供給手段であってもよい。このような切換手段を有する場合には、入浴前に酸化洗浄水により浴室内、浴槽、腰掛、容器などを殺菌洗浄した上で、電解還元水を浴用水に利用することができる。
【0082】
図7は、本発明の還元浴用水生成装置の一例の概略を示す図である。
本発明の還元浴用水生成装置においては、この供給手段は、この浴用水として水道水または温泉水を供給する構造であってもよい。
【0083】
この供給手段は、水道配管から直接水道水などを電解槽に供給し、電気分解された水道水を還元浴用水または十分に還元されていない酸化系浴用水として供給することのできる構造を有する供給手段であってもよい。この場合、浴槽にある程度の浴用水が溜まった後は、水道配管側の流路を閉じて、循環側の流路に切換え、浴槽内の還元浴用水または十分に還元されていない酸化系浴用水を循環して還元浴用水生成装置により電気分解をはじめとする処理をすることで、還元浴用水に維持または変化させることができる。
【0084】
なお、図7に示す還元浴用水生成装置7000は、浴用水を浴槽に供給する供給路を備える供給手段として、流路713aと、流路713bと、流路切換部719と、流路713dと、塩素消去剤および/または塩化物注入部717と、流路713eと、流路713cと、を備えている。また、この還元浴用水生成装置7000は、流路713aと流路713bとの間に電解槽701を備えている。
【0085】
また、還元浴用水生成装置7000を構成するものではないが、図7は、浴槽709と、浴用水711と、水道水供給部721と、も記載されている。
【0086】
本発明の還元浴用水生成装置がこのような構造を有する場合には、水道水または温泉水などを直接、水道配管あるいは温泉水供給配管などから電解槽に供給して連続して電気分解することができる。また、水道水または温泉水などの残留塩素濃度が所望の範囲よりも高過ぎる場合には、電解槽通過後の流路系において、亜硫酸カルシウム、アスコルビン酸などの塩素消去剤を添加することもできる。このように塩素消去剤を注入することで、酸化系の浴用水の一因となる残留塩素濃度を減少させ、さらに酸化還元電位を低下させることにより、還元浴用水を浴槽に給水することができる。
【0087】
<還元浴用水生成装置の制御機構>
本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水の酸化還元電位を測定する手段を備えることが好ましい。このように酸化還元電位を測定する手段を備えることにより、浴用水の酸化還元電位を確認することができる。
【0088】
なお、この浴用水の酸化還元電位を測定する手段は、特に限定されず、任意の公知の手段を用いることができる。具体例としては、市販の酸化還元電位計(ORP計)などが挙げられる。
【0089】
この場合、本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水のこの酸化還元電位を表示する手段を備えることが望ましい。このように酸化還元電位を表示する手段を備えることにより、現在入浴中の浴用水の酸化還元電位(ORP)を知り、浴用水の酸化還元電位を調整することが可能となる。
【0090】
なお、この浴用水の酸化還元電位を表示する手段は、特に限定されず、任意の公知の手段を用いることができる。具体例としては、液晶表示パネルや、デジタルメーター、アナログメーターなどが挙げられる。
【0091】
さらに、この場合、本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水のこの酸化還元電位に応じて、この電解槽におけるこの浴用水の電気分解のための電流および/または電圧を制御する手段を備えることが推奨される。このように浴用水の電気分解のための電流および/または電圧を制御する手段を備えることにより、浴用水を任意の酸化還元電位に調整することができる。
【0092】
なお、この浴用水の電気分解のための電流および/または電圧を制御する手段は、特に限定されず、任意の公知の手段を用いることができる。具体例としては、電気分解のための電流および/または電圧を検出し、電気分解の条件を制御することのできる手段などが挙げられる。
【0093】
また、本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水の残留塩素濃度を測定する手段を備えることが好ましい。このように残留塩素濃度を測定する手段を備えることにより、浴用水の残留塩素濃度を知ることができる。
【0094】
なお、この浴用水の残留塩素濃度を測定する手段は、特に限定されず、任意の公知の手段を用いることができる。具体例としては、市販のアナログ残留塩素濃度計、デジタル残留塩素濃度計などが挙げられる。
【0095】
この場合、本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水のこの残留塩素濃度を表示する手段を備えることが望ましい。このように残留塩素濃度を表示する手段を備えることにより、浴用水中の残留塩素濃度の調整も可能となる。
【0096】
なお、この浴用水の残留塩素濃度を表示する手段は、特に限定されず、任意の公知の手段を用いることができる。具体例としては、液晶表示パネルや、デジタルメーター、アナログメーターなどが挙げられる。
【0097】
また、この場合、本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水のこの残留塩素濃度および/またはこの酸化還元電位に応じて、この浴用水中に投入するこの塩素消去剤および/またはこの塩化物の量を制御する手段を備えることが推奨される。このように塩素消去剤および/または塩化物の量を制御する手段を備えることにより、検出された浴用水中の残留塩素濃度に応じて、塩素消去剤および/または塩化物の注入量を調整して、最適殺菌条件および最適入浴条件を実現するための自動運転が可能となる。
【0098】
なお、この塩素消去剤および/または塩化物の量を制御する手段は、特に限定されず、任意の公知の手段を用いることができる。具体例としては、浴用水中の残留塩素濃度計で残留塩素濃度を検出し、浴槽を殺菌する段階においては残留塩素濃度が5〜20ppmになるように塩素消去剤および/または塩化物の注入量を調整し、入浴段階においては残留塩素濃度が0.05ppm以下となるように塩素消去剤および/または塩化物の注入量を調整する手段などが挙げられる。
【0099】
<その他の構成>
本発明の還元浴用水生成装置は、この浴用水中に二酸化炭素を注入する手段を備えることが好ましい。このように二酸化炭素を注入する手段を備えた本発明の還元浴用水生成装置により得られる還元浴用水に入浴すると、二酸化炭素による血行促進、疲労回復効果が得られるからである。
【0100】
ここで、温泉および家庭での入浴用の浴用水における二酸化炭素の効能については、これまでにも血行促進による疲労回復効果が科学的に明らかにされてきており、家庭用浴用剤としても二酸化炭素の発泡性の商品が市販されている。しかし、市販の家庭用浴用剤により二酸化炭素ガスを発生させた場合には、浴用水のORPが酸化系の方向にシフトする傾向があるという問題があった。
【0101】
このように二酸化炭素を注入する手段を備えた本発明の還元浴用水生成装置により得られる還元浴用水は、二酸化炭素による血行促進、疲労回復効果を有するとともに、ORPが還元系であるため、皮膚の酸化を抑制し、温泉と同様の効果もあるという利点がある。
【0102】
また、本発明の還元浴用水生成装置は、浴用水を加熱する手段を備えることが好ましい。このように浴用水を加熱する手段を備えることにより、浴用水の温度を最適入浴温度(40±2℃)の範囲に調整することができる。なお、入浴者の好みに応じて、最適入浴温度以外の温度にも調整することができる。
【0103】
なお、浴用水を加熱する手段は、特に限定されず、任意の公知の手段を用いることができる。具体例としては、石油ボイラ、ガスボイラ、電気温水器などが挙げられる。
【0104】
この場合、本発明の還元浴用水生成装置は、浴用水の温度を測定する手段を備えることが望ましい。このように浴用水の温度を測定する手段を備えることにより、浴用水の温度を調整することができる。
【0105】
なお、浴用水の温度を測定する手段は、特に限定されず、任意の公知の手段を用いることができる。具体例としては、サーミスタ、白金抵抗素子、熱伝対などの温度センサが挙げられる。
【0106】
また、本発明の還元浴用水生成装置は、浴用水の温度に応じて加熱手段を制御する手段を備えることが望ましい。このように浴用水の温度に応じて加熱手段を制御する手段を備えることにより、浴用水を入浴者の好みの温度にすることできる。
【0107】
なお、浴用水の温度に応じて加熱手段を制御する手段は、特に限定されず、任意の公知の手段を用いることができる。具体例としては、サーミスタ温度センサの出力を加熱器に入力して、浴用水の加温を調整する手段などが挙げられる。
【0108】
<安全対策>
一般的な浴槽洗浄装置などを、浴室および浴槽内など高温高湿の環境で使用する場合、装置内部の温度が上昇し、内部部品が温度上昇により過熱破損の危険性がある。それを防止するため、従来の一般的な浴槽洗浄装置などにおいては、温度上昇の大きな部品や周辺部にサーミスタなどの温度センサを装着し、設定温度で装置を停止させる安全対策を採っている。
【0109】
しかし、本発明の還元浴用水生成装置は、従来の前述の対策に加えて、この還元浴用水生成装置の温度を測定する手段と、この還元浴用水生成装置の温度に応じてこの電解槽におけるこの浴用水の電気分解のための電流および/または電圧を制御する手段と、を備えることが好ましい。装置を停止させなくても、電流および/または電圧を低下させることにより過熱破損を防止することができ、還元浴用水のORPを一定の範囲の値に維持できるためである。
【0110】
さらに、本発明の還元浴用水生成装置において、この還元浴用水生成装置の温度を測定する手段は、サーミスタなどの温度センサであることが好ましい。また、この還元浴用水生成装置の温度を測定する手段の設置場所、設置個数としては、本体装置のスイッチング電源またはトランスなど温度上昇の高い部品や周辺部に、サーミスタなどの温度センサを2個装着されることが望ましい。
【0111】
また、本発明の還元浴用水生成装置において、この浴用水の電気分解のための電流および/または電圧を制御する方法としては、電気分解のための電流が温度に反比例する値となるような制御回路を備えることによる制御方法が好ましい。
【0112】
そして、本発明の還元浴用水生成装置に備えられるスイッチング電源としては、小型化、軽量化、低価格化を可能とするために、定格容量の低いスイッチング電源などの部品を選定することが好ましい。
【0113】
より具体的には、この浴用水の電気分解のための電流および/または電圧を制御する方法としては、一方のセンサは過熱破損以下の温度に設定、他方のセンサは一方のセンサより低い温度に設定して、電気分解のための電流の制御回路にセンサ出力を接続し、上記の制御回路として温度上昇に反比例する電解電流を流す制御回路を備えていることが好ましい。
【0114】
ここで、一般的な浴槽洗浄装置などを、浴室および浴槽内などで使用する場合、従来の水位センサによる水位検出は髪や湯アカなどでセンサ表面が汚れてセンサ感度が悪くなる傾向があり、またセンサ自体を浴槽内へ設置する浴槽洗浄装置の構造が複雑となるという問題があった。さらに、従来の水位センサでは水位は検出しても、水路系の詰りは検出できないという欠点があった。
【0115】
そのため、本発明の還元浴用水生成装置においては、供給手段は、浴槽内の浴用水を電解槽に汲上げる循環ポンプおよび浴用水の循環路を備えている場合には、この循環路中に流量センサを備え、かつこの循環路中のこの浴用水の流量に応じてこの循環ポンプの運転を制御する手段を備えることが好ましい。
【0116】
本発明の還元浴用水生成装置がこのような構造を有する場合には、浴槽内に人間が入浴して髪や湯アカなどの汚れが吸込口のメッシュに詰まるなどの水路系統の異常や、浴用水が少なくなり吸込口から空気が入るなどの異常があれば、その異常を流量センサが検出し、かつこの循環路中のこの浴用水の流量に応じてこの循環ポンプの運転を制御する手段によりポンプの運転が停止などして、ポンプが空運転してポンプが破損することを防止することができる。
【0117】
より具体的には、本発明の還元浴用水生成装置において、流量センサ(フローセンサ)を循環路の途中に備え、水路系統の詰りによる異常または浴用水が一定水位以下になることによる水量の減少の異常を検出して、この循環路中のこの浴用水の流量に応じてこの循環ポンプの運転を制御する手段である制御回路などにより、ポンプの運転を停止させることが好ましい。
【0118】
本発明の還元浴用水生成装置がこのような構造を有する場合には、1つの流量センサで循環水路の詰りの異常と水位の異常の検出という形で、2つの異常を検出することができるため、本発明の還元浴用水生成装置の機構を簡素化し、低価格な安全対策を可能とすることができる。
【0119】
<還元浴用水生成装置のメンテナンス>
本発明の還元浴用水生成装置は、食塩添加水溶液による殺菌洗浄によりメンテナンスを行なうことができる。
【0120】
たとえば、数リットルから20リットル程度のバケツなどの容器内に、0.5g/l程度の食塩を入れた薄い食塩水を張る。次いで、本発明の還元浴用水生成装置の吸水ホースと吐水ホースとを、この食塩水中に挿入し、本発明の還元浴用水生成装置を10分程度電気分解を行ないながら運転して、数ppm〜数十ppmの範囲の次亜塩素酸を生成させて、本発明の還元浴用水生成装置の本体の水路内の殺菌を行なう。
【0121】
このような殺菌洗浄を定期的に行なうことによって、本発明の還元浴用水生成装置の本体内の雑菌の繁殖を防ぐことができ、常に衛生的に保つことができる。
【0122】
なお、本発明の還元浴用水生成装置の殺菌洗浄には、市販の塩素系の風呂用洗浄剤を使用することもできるが、市販の洗浄剤よりも安全性の高い食塩を使用することにより、そのまま殺菌洗浄液を下水などに流しても環境に負荷をかけることが少ない。また、食塩水を電気分解した溶液は、本発明の還元浴用水生成装置の本体内の洗浄後においても市販の洗浄剤と同等以上の殺菌力を保持しているため、そのまま浴室内や浴槽などの殺菌洗浄にも使用できるため経済的である。
【0123】
<還元浴用水の製造方法>
図8は、本発明の還元浴用水の製造方法の一例の概略を示すフロー図である。
【0124】
本発明の還元浴用水の製造方法は、図8に示すように、浴用水を電解槽に供給するステップ(S801)と、この電解槽においてこの浴用水を電気分解するステップ(S803)と、この電解槽において電気分解された浴用水を浴槽に供給するステップ(S805)と、を備える、還元浴用水の製造方法である。
【0125】
なお、本発明の還元浴用水の製造方法は、これらのステップに加えて、この浴用水中に塩素消去剤および/または塩化物を注入するステップを備えることが好ましい。
【0126】
ここで、この電気分解するステップ(S803)は、陽極側電極および陰極側電極を備える無隔膜電解槽内でこの浴用水を電気分解するステップを含んでいてもよい。
【0127】
あるいは、この電気分解するステップ(S803)は、陽極側電極を備えた陽極室と、陰極側電極を備えた陰極室とが隔膜で分離された構造を有する電解槽内でこの浴用水を電気分解するステップを含んでいてもよい。
【0128】
この場合、この浴槽に供給するステップ(S805)は、この陰極室内の電解還元水を還元浴用水として浴槽内に供給するステップを含んでいてもよい。また、この場合、この浴槽に供給するステップ(S805)は、この陰極室内の電解還元水とこの陽極室内の電解酸化水とを混合して得られる電解還元水を還元浴用水として浴槽内に供給するステップを含んでいてもよい。さらに、この場合、この浴槽に供給するステップ(S805)は、この陰極室内の電解還元水および/またはこの陰極室内の電解還元水とこの陽極室内の電解酸化水とを混合して得られる電解還元水を還元浴用水として浴槽内に供給するステップを含んでいてもよい。
【0129】
また、本発明の還元浴用水の製造方法は、これらのステップに加えて、この浴用水の酸化還元電位を測定するステップを備えることが好ましい。この場合、本発明の還元浴用水の製造方法において、この電気分解するステップ(S803)は、この浴用水のこの酸化還元電位に応じて、この電解槽におけるこの浴用水の電気分解のための電流および/または電圧を制御するステップを含むことが望ましい。
【0130】
さらに、本発明の還元浴用水の製造方法は、これらのステップに加えて、この浴用水の残留塩素濃度を測定するステップを備えることが好ましい。この場合、本発明の還元浴用水の製造方法において、この浴用水中に塩素消去剤および/または塩化物を注入するステップは、この浴用水のこの残留塩素濃度および/またはこの酸化還元電位に応じて、この浴用水中に投入するこの塩素消去剤および/またはこの塩化物の量を制御するステップを含むことが望ましい。
【0131】
また、本発明の還元浴用水の製造方法は、これらのステップに加えて、この浴用水中に二酸化炭素を注入するステップを備えることが好ましい。
【0132】
さらに、本発明の還元浴用水の製造方法において、この電解槽に供給するステップ(S801)は、この浴槽内のこの浴用水をこの電解槽に供給するステップを含んでいてもよい。
【0133】
あるいは、本発明の還元浴用水の製造方法において、この電解槽に供給するステップ(S801)は、水道水または温泉水をこの浴用水としてこの電解槽に供給するステップを含んでいてもよい。
【0134】
<浴用水>
本発明の浴用水は、上記の還元浴用水の製造方法により得られる、浴用水である。
【0135】
本発明の浴用水として、本発明の還元浴用水生成装置の無隔膜電解槽で電気分解された還元浴用水または陰極室内の電解還元水と陽極室内の電解酸化水とを混合して得られる電解還元水からなる還元浴用水である場合には、電気分解などの処理によりORPが低下しても、pHは大きく変動しないため、pHが弱酸性の領域であり、かつORPが通常の水道水に比べて約500mV低下した還元浴用水を得ることができる。
【0136】
ここで、先行技術である温泉水の浴用についての研究により、直接温泉水と接触する皮膚について、皮膚が弱酸性であることは知られている。また、皮膚のORP(標準水素電極基準の酸化還元電位で、単位はV)も測定され、皮膚のpHとORPが図4で示す領域に存在することが判明している。また、皮膚のエージング(老化)にORPが関係しており、皮膚の老化が進むとORPが酸化系の方向にシフトしていくことが明らかとなっている。
【0137】
よって、本発明の浴用水として、本発明の還元浴用水生成装置の無隔膜電解槽で電気分解された還元浴用水または陰極室内の電解還元水と陽極室内の電解酸化水とを混合して得られる電解還元水からなる還元浴用水として得られる、pHが弱酸性の領域であり、かつORPが通常の水道水に比べて約500mV低下した還元浴用水は、皮膚のpHである弱酸性のpHを有するため、皮膚をいたずらに刺激することなく、皮膚に優しい浴用水であり、また、ORPが還元系であるため、皮膚の老化を抑制する効果があると言える。
【0138】
ここで、酸化還元電極の電位Eとイオンの濃度〔Ox〕および〔Red〕の間には次のNernstの式で表される。
E=E0+(RT/nF)・ln(〔Ox〕/〔Red〕)・・・(式1)
ここで、E0は〔Ox〕=〔Red〕の場合のE値で、標準酸化還元電位〔V〕,Rは気体定数,Tは絶対温度,nは酸化還元反応に関与する電子数,Fはファラデー定数,lnは自然対数,〔Ox〕は酸化体の濃度,〔Red〕は還元体の濃度である。
【0139】
一般に酸化還元電位はORPで表され、以下はE〔V〕をORP〔mV〕として表す。
【0140】
水はH2O中のH+,OH-,H2,O2の密度の割合に応じて、ORPが変化し、その水(水溶液)の性質を知ることができる。
【0141】
図4は、先行技術により明らかになった温泉水の0RPとpHの関係を図表にしたものに、本発明の還元浴用水のORPとpHの関係をプロットした図で、「酸化された水の境界線」はH2O(水)とO2(酸素ガス)の濃度が等しい境界線で、下記の式2の反応式より、式1から式3に示すORPとpHの関係式が得られる。
O2+4H++4e-=2H2O・・・(式2)
ORP=1230−59pH・・・(式3)
「還元された水の境界線」はH2O(水)とH2(水素ガス)の濃度が等しい境界線で、下記の式4の反応式より、式1から式5に示すORPとpHの関係式が得られる。
2H++2e-=H2・・・(式4)
ORP=−59pH・・・(式5)
なお、通常大気環境下において、水は式3と式5の境界線の間の領域内に存在する。そして、先行技術が明らかにしたように、図4において、日本の天然温泉はpH:1から10、ORP:−300から600mVの範囲にあり、ORPの低い還元系の領域に存在している。
【0142】
よって、本発明の浴用水のORPは、pHによって異なるが、pH6〜8の範囲においては、−300mV以上であることが好ましく、特に−200mV以上であることがより好ましい。また、このORPは、400mV以下であることが好ましく、特に200mV以下であることがより好ましい。このORPがこの範囲より低い場合には、水酸化ナトリウム(NaOH)の発生が考えられ、皮膚の脂肪が除去されて皮膚がカサカサになる傾向があり、このORPがこの範囲より高い場合には、皮膚が酸化される傾向がある。
【0143】
また、本発明の浴用水のpHは、2以上であることが好ましく、特に4以上であることがより好ましい。また、このpHは、9以下であることが好ましく、特に8.6以下であることがより好ましい。このpHがこの範囲内にある場合には、皮膚のpHに近いため皮膚に優しくなる傾向があり、このpHがこの範囲より高い場合には、皮膚の脂肪を除去して皮膚をカサカサさせる傾向がある。
【0144】
また、本発明の浴用水の残留塩素濃度は、浴槽などの殺菌洗浄段階においては、5ppm以上であることが好ましく、特に10ppm以上であることがより好ましい。この残留塩素濃度がこの範囲より低い場合には、大腸菌などの病原菌、その他の細菌の除菌効果を低下させる傾向がある。
【0145】
また、本発明の浴用水の残留塩素濃度は、入浴段階においては、0.05ppm以下であることが好ましく、特に0.02ppm以下であることがより好ましい。この残留塩素濃度がこの範囲内の場合には、皮膚に優しく、皮膚の酸化を抑制させ、皮膚の酸化還元電位を低下させる傾向があり、この残留塩素濃度がこの範囲よりも高い場合には、皮膚の酸化を促進させ、皮膚の酸化還元電位を上昇させる傾向がある。
【0146】
なお、人間の皮膚はpH:5付近、ORP:350mV付近にあり、また人間の血液や体液はpH:7.3、ORP:220mVと還元系であり、天然温泉水と同等の領域に存在している。そのため、本発明の還元浴用水を満たした還元系の風呂に入浴するなど還元系の環境に浸る、あるいは還元系の飲食物を摂取することが人間への負担を軽く、優しく作用し、生命維持に有効と思われる。
【0147】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0148】
<実施例1>
実施例1として、図6に示す還元浴用水生成装置6000を用いて還元浴用水を得る実験を行なった。
【0149】
まず、浴槽609内に浴用水611として通常の水道水を200l満たした。そして、浴槽内に満たした水道水のORP、pH、残留塩素濃度を測定したところ、そのORPおよびpHのプロットは、図4で示す「酸化された水の境界線」近郊であって、ORPが675mVと高く、pHは7.5であり、残留塩素濃度は0.16ppmの酸化系の水質であった。
【0150】
次いで、その水道水200lを還元浴用水生成装置6000を用いて10分間処理すると、図1に示すように、塩素消去剤(亜硫酸カルシウム)無添加時でORPは280mVに低下し、塩素消去剤(亜硫酸カルシウム)100g添加時でORPは200mVにORPが低下した。すなわち、還元浴用水生成装置6000を用いて電気分解をはじめとする処理を施すことにより、pHを大きく変動させることなく、水道水が天然温泉水と同等の還元系の水質に改善されたと言える。
【0151】
また、その水道水200lを還元浴用水生成装置6000を用いて10分間処理すると、図1に示すように、塩素消去剤(亜硫酸カルシウム)100g添加時で残留塩素濃度は0.01ppmに低下した。すなわち、還元浴用水生成装置6000を用いて塩素消去剤(亜硫酸カルシウム)の添加をはじめとする処理を施すことにより、pHを大きく変動させることなく、水道水の残留塩素濃度がカルキ臭および人体に悪影響を与えない水準に低下することができたと言える。
【0152】
さらに、残留塩素濃度が0.01ppmに低下した水道水200lを、還元浴用水生成装置6000を用いて10分間処理すると、浴用水200lに対して塩化物(塩化ナトリウム)100g添加時で残留塩素濃度は20ppmに上昇した。すなわち、還元浴用水生成装置6000を用いて塩化物(塩化ナトリウム)の添加をはじめとする処理を施すことにより、水道水の残留塩素濃度が殺菌効果を有する水準に調整することができたと言える。
【0153】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0154】
【発明の効果】
上記の結果より、本発明の還元浴用水生成装置を用いることにより、浴槽などの殺菌洗浄段階においては、十分な残留塩素濃度を実現して、病原菌の除菌を行なうことができ、入浴段階においては、pHを大きく変動させることなく、残留塩素の除去を行い、酸化還元電位の高い酸化系の水道水や温泉水の酸化還元電位を低くし、還元性の水質に変えることができる。そのため、本発明の還元浴用水生成装置により得られる還元浴用水は、浴槽などの殺菌洗浄段階において殺菌力を有しながらも、入浴段階においては、皮膚の酸化や老化を抑制し、かつ皮膚に優しい浴用水となる。
【0155】
また、本発明の還元浴用水生成装置に、この還元浴用水生成装置の温度を測定する手段と、この還元浴用水生成装置の温度に応じて電解槽における浴用水の電気分解のための電流および/または電圧を制御する手段と、循環路中の流量センサと、循環路中の浴用水の流量に応じて循環ポンプの運転を制御する手段と、を備えた場合には、本発明の還元浴用水生成装置の機構の簡素化、小型化、軽量化を実現できることができる。そのため、低価格で安全な、本発明の還元浴用水生成装置を提供することができる。
【0156】
さらに、一般に入浴剤は浴用水を酸化系にする傾向があるが、本発明の還元浴用水生成装置を用いることにより、入浴剤入りの酸化系の浴用水を還元系の浴用水にすることができる。そのため、本発明の還元浴用水生成装置を用いることにより、入浴剤の浴用水を酸化系にするという欠点を補い、還元系の浴用水による効果と入浴剤の効能との相乗効果を引出すことができる。
【0157】
そして、湧出直後の温泉水は還元系であるが、長時間放置された温泉水、長い配管を通過した温泉水、塩素剤を投入した温泉水、温泉から家庭に配送される間に長時間経過した温泉水などは酸化系になっている。これらエージングされた温泉水を本発明の還元浴用水生成装置で処理することにより、還元系の温泉水に変えることができる。そのため、本発明の還元浴用水生成装置を用いて温泉水を処理することにより、本来温泉水に含まれている有効な温泉成分はそのままの状態で、温泉水を還元系に戻し、湧出直後の温泉水に改善することができる。
【0158】
よって、本発明の還元浴用水生成装置は、湧出直後の温泉水と同等の還元性のORPを有し、かつ入浴中の皮膚の酸化防止効果を有する還元浴用水を、銭湯用または家庭用の浴槽に安全かつ簡便に供給することができ、かつ浴槽を安全かつ簡便に殺菌洗浄することもできる還元浴用水生成装置である。
【0159】
また、本発明の還元浴用水の製造方法は、湧出直後の温泉水と同等の還元性のORPを有し、入浴中の皮膚の酸化防止効果を有する還元浴用水を、銭湯または家庭において安全かつ簡便に供給することのできる還元浴用水の製造方法である。
【0160】
さらに、本発明の還元浴用水は、湧出直後の温泉水と同等の還元性のORPを有し、入浴中の皮膚の酸化防止効果を有し、銭湯または家庭において安全かつ簡便に供給することのできる還元浴用水である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の還元浴用水生成装置の一例により、浴用水を循環しながら処理した場合の、処理時間に対する浴用水の酸化還元電位(ORP)の変化を示すグラフである。
【図2】本発明の還元浴用水生成装置の一例により、浴用水を循環しながら処理した場合の、処理時間に対する浴用水の残留塩素濃度(次亜塩素酸濃度)の変化を示すグラフである。
【図3】本発明の還元浴用水生成装置の一例の概略を示す図である。
【図4】本発明の還元浴用水生成装置の一例により、浴用水を処理した場合の、処理前後の浴用水の酸化還元電位(ORP)およびpHの変化の概略を示すグラフである。
【図5】本発明の還元浴用水生成装置の一例の概略を示す図である。
【図6】本発明の還元浴用水生成装置の一例の概略を示す図である。
【図7】本発明の還元浴用水生成装置の一例の概略を示す図である。
【図8】本発明の還元浴用水の製造方法の一例の概略を示すフロー図である。
【符号の説明】
1,501,601,701 電解槽、3,503,603 循環ポンプ、5,505,605 流量センサ、7,507,607 フィルタ、9,509,609,709 浴槽、11,511,611,711 浴用水、13a,13b,13c,13d,513a,513b,513c,513d,513e,613a,613b,613c,613d,613e,613f,613g 循環路、15a,15b,515a,515b,615a,615b 浴用水の流れの方向、517,617,717 塩素消去剤および/または塩化物注入部、619,719 流路切換部、713a,713b,713c,713d,713e 流路、721 水道水供給部、3000,5000,6000,7000 還元浴用水生成装置。
Claims (15)
- 浴用水を浴槽に供給する供給路を備える供給手段と、
前記供給路中に設けられた前記浴用水を電気分解する電解槽と、
を備える、還元浴用水生成装置。 - 前記浴用水中に塩素消去剤および/または塩化物を注入する手段を備える、請求項1に記載の還元浴用水生成装置。
- 前記電解槽は、陽極側電極および陰極側電極を備える無隔膜電解槽である、請求項1または2に記載の還元浴用水生成装置。
- 前記電解槽は、陽極側電極を備えた陽極室と、陰極側電極を備えた陰極室とが隔膜で分離された構造を有する、請求項1または2に記載の還元浴用水生成装置。
- 前記浴用水の酸化還元電位を測定する手段を備える、請求項1〜4のいずれかに記載の還元浴用水生成装置。
- 前記浴用水の前記酸化還元電位に応じて、前記電解槽における前記浴用水の電気分解のための電流および/または電圧を制御する手段を備える、請求項5に記載の還元浴用水生成装置。
- 前記浴用水の残留塩素濃度を測定する手段を備える、請求項1〜6のいずれかに記載の還元浴用水生成装置。
- 前記浴用水の前記残留塩素濃度および/または前記酸化還元電位に応じて、前記浴用水中に投入する前記塩素消去剤および/または塩化物の量を制御する手段を備える、請求項7に記載の還元浴用水生成装置。
- 前記還元浴用水生成装置の温度を測定する手段と、前記還元浴用水生成装置の温度に応じて前記電解槽における前記浴用水の電気分解のための電流および/または電圧を制御する手段と、を備える、請求項1〜8のいずれかに記載の還元浴用水生成装置。
- 前記供給手段は、前記浴槽内の前記浴用水を前記電解槽に汲上げる循環ポンプおよび前記浴用水の循環路を備える、請求項1〜9のいずれかに記載の還元浴用水生成装置。
- 前記循環路中に流量センサを備え、かつ前記循環路中の前記浴用水の流量に応じて前記循環ポンプの運転を制御する手段を備える、請求項10に記載の還元浴用水生成装置。
- 前記供給手段は、前記浴用水として水道水または温泉水を供給する、請求項1〜9のいずれかに記載の還元浴用水生成装置。
- 浴用水を電解槽に供給するステップと、
前記電解槽において前記浴用水を電気分解するステップと、
前記電解槽において電気分解された浴用水を浴槽に供給するステップと、
を備える、還元浴用水の製造方法。 - 前記浴用水中に塩素消去剤および/または塩化物を注入するステップを備える、請求項13に記載の還元浴用水の製造方法。
- 請求項13または14に記載の還元浴用水の製造方法により得られる、還元浴用水。
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WO2009008318A1 (ja) * | 2007-07-10 | 2009-01-15 | Prefectural University Of Hiroshima | 電解還元水及び入浴用温水及び脂肪塊の抑制方法 |
JP2010194479A (ja) * | 2009-02-26 | 2010-09-09 | Nippon Rensui Co Ltd | 純水製造装置 |
-
2002
- 2002-12-26 JP JP2002376638A patent/JP2004202429A/ja active Pending
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