JP2004200602A - セラミック電子部品およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】素体1の外部電極4a,4bが形成される端面から上面および下面にかけての肩部11が曲率半径R2 で形成されている場合に、外部電極4a,4bの端面から上面および下面にかけての肩部41が素体1の肩部11の曲率半径R2 よりも小さい曲率半径R1 となるように外部電極4a,4bを形成する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、セラミック素体の両端部に外部電極を備えたセラミック電子部品およびセラミック素体に外部電極を形成する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
表面実装型のセラミック電子部品として、例えば、図7に示すようなセラミック層2を介して複数の内部電極3a,3bを互いに対向するように積層して素体1を形成し、該素体1の両端部に内部電極3a,3bにそれぞれ導通する外部電極4a,4bを設けた積層セラミックコンデンサ10がある。
【0003】
このような積層セラミックコンデンサは、これが用いられる電子機器の小型化にともない、その外形寸法が小型化している。
【0004】
一方で、積層セラミックコンデンサを構成する素体は、その製造工程において素体同士が衝突してカケやワレを生じないように、内部電極が露出する端面からその周囲面にかけての肩部がバレル研磨等により、所定の曲率半径R2 を有するように形成されている。
【0005】
このように形成された素体1の両端部に外部電極4a,4bを形成する場合、外部電極4a,4bの外形の端面から周囲面のうちの上面および下面にかけての肩部41が所定の曲率半径R1 を有する形状となる。この外部電極4a,4bの曲率半径R1 は、素体1の曲率半径R2 を有する肩部11上に所定の厚みをもって外部電極4a,4bが形成されることから、素体1の肩部11の曲率半径R2 よりも大きくなってしまう。
【0006】
また、最近の積層セラミックコンデンサにおいては、高容量化にともない積層する内部電極数が増加する傾向にある。このように積層する内部電極数が増加すると、両端の外部電極4a,4bにそれぞれ接続する内部電極3a,3bを交互に積層する中央部と、いずれか一方の外部電極4aまたは4bに接続する内部電極3aまたは3bのみが積層されている端部付近とでは素体1の厚みが異なってしまい、端部付近の厚みが小さくなる。その結果、外部電極4a,4bの曲率半径R1 がさらに大きくなる傾向にある。
【0007】
このため、積層セラミックコンデンサ10の外形寸法が小さくなるにもかかわらず、相対的に外部電極4a,4bの全表面に対する、肩部41の割合が増加してしまうこととなっていた。
【0008】
ところで、上記のような小型の積層セラミックコンデンサ10を、例えば、半田リフローで実装する場合、図8に示すように、両端の外部電極4a,4bにおける半田の表面張力の差により、積層セラミックコンデンサ10が実装基板200のランド201上に立ち上がるツームストーン現象が発生するという問題がある。
【0009】
この問題を解決する方法として、外部電極の肩部を所定の曲率半径以下にするとともに、外部電極の略中央部に、周辺部との段差が所定値の突出部を設けたセラミック電子部品が考案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
【特許文献1】
特開平10−22164号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に開示されたセラミック電子部品では、外部電極に形成された前記突出部とその周辺との段差部分が、セラミック電子部品が立ち上がることを抑制する機能を果たす。
【0012】
すなわち、外部電極をこのような構成とすることで、半田リフロー中に外部電極に半田が塗れ上がって行く過程で、チップが立ち上がりかけても、半田の塗れ上がりが突出部とその周辺の段差部に達した段階で、半田が外部電極を引く方向が変化して分散されるので、結果的にチップが立ち上がらないというものである。
【0013】
しかしながら、上記したように高容量化により、内部電極が増加した結果、外部電極の肩部の曲率半径が大きくなる傾向にあり、外部電極に突出部を形成しただけではツームストーン現象を防止することはできなかった。これは、外部電極の肩部の曲率半径が大きくなることにより、半田の表面張力による立ち上がりモーメントが小さくなる、すなわち、立ち上がりのために必要な力が小さくなって立ち上がりやすくなっているためである。
【0014】
この発明の目的は、ツームストーン現象を防止するセラミック電子部品を構成すること、および、該セラミック電子部品の製造方法、特にセラミック電子部品の外部電極の製造方法に関することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るセラミック電子部品は、両端面と両端面間の周囲面とを有するセラミック素体とセラミック素体の長手方向の両端部に外部電極を設けたセラミック電子部品において、外部電極の両端面から周囲面にかけての肩部の曲率半径が、セラミック素体の両端面から周囲面にかけての肩部の曲率半径よりも小さく形成したことを特徴としている。
【0016】
この構成では、外部電極の側面と底面との肩部の曲率半径が小さいため、半田の表面張力によるチップの立ち上がりに要するモーメント(以下、「チップ立ちモーメント」という。)が大きくなり、リフロー実装時のツームストーン現象(チップ立ち)を防止する。
【0017】
また、この発明に係るセラミック電子部品の製造方法は、底面から側面にかけての肩部が所定の曲率半径で形成されたペースト充填穴に、焼結することで外部電極となる外部電極ペーストを充填し、ペースト充填穴にセラミック素体を内部電極が露出する長手方向の端面から挿入し、セラミック素体を外部電極ペーストに浸漬させたままの状態で乾燥する工程を含むことを特徴としている。
【0018】
この構成では、ペースト充填穴の底面と側面との肩部を、予めセラミック素体の長手方向の端面から側面にかけての肩部よりも小さい曲率半径で形成しておく。そして、ペースト充填穴に外部電極ペーストを充填し、セラミック素体を浸漬した状態のまま乾燥した後に、ペースト充填穴からはずすことで、外部電極に所定の曲率半径の肩部が形成される。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態に係るセラミック電子部品について図を参照して説明する。
なお、本実施形態では、セラミック電子部品として積層セラミックコンデンサを例に説明する。
【0020】
図1は本実施形態に係る積層セラミックコンデンサの構造を示す断面図である。
また、図2は外部電極ペーストを充填する治具の外観斜視図である。
また、図3は外部電極の形成工程を示した図である。
【0021】
図1に示すように、積層セラミックコンデンサは、セラミック層2と内部電極3a,3bとが交互に所定枚数積層された素体1と、該素体1の内部電極3a,3bが露出する両端面に形成された一対の外部電極4a,4bとにより構成される。
【0022】
素体1における外部電極4a,4bが形成されている端面から上面および下面にかけての肩部11は曲率半径R2 を有しており、外部電極4a,4bの端面から上面および下面にかけての肩部41は曲率半径R1 (<R2 )を有している。
【0023】
図1に示すような積層セラミックコンデンサは、次の工法で形成される。
まず、内部電極パターンが形成されていないセラミックグリーンシート2を所定枚数積層した後、表面に内部電極パターン3aが形成されているセラミックグリーンシート2と内部電極パターン3bが形成されているセラミックグリーンシート2とを交互に所定枚数積層する。さらに内部電極パターンが形成されていないセラミックグリーンシート2を所定枚数積層・加圧して積層体を形成し、該積層体からそれぞれが単一の積層セラミックコンデンサとなる素体1を切り出し、カケやワレを抑制するためにバレル研磨等により研磨する。このようにして作成された素体1は、図に示すように、内部電極パターン3a,3bがセラミック層2を介し交互に重なり合って積層されている中央部と、内部電極パターン3aまたは内部電極パターン3bのみがセラミック層2を介して積層されている端部とから構成される。端部は内部電極パターンの積層枚数が中央部よりも少ないため、素体1の端部の厚みは中央部の厚みより小さくなり、肩部11に段差が生じている。従って、この場合、曲率半径R2 は図1に破線で示すものとなる。
【0024】
次に、図2に示すような治具を用い、素体1の内部電極パターン3a,3bが露出する端部に外部電極ペースト40を塗布する。
図2において、100は外部電極ペースト塗布治具であり、複数の充填穴101が配設されている。この治具100の断面図は図3(a)であり、充填穴101は形成する外部電極の形状により、所定の開口面積および深さが設定されている。また、各充填穴101の底面から側面にかけての肩部は所定の曲率半径R1 を有する。ここで、充填穴101は、素体1の端面から上面および下面にかけての肩部11の曲率半径R2 よりも小さい曲率半径で形成されている。
【0025】
このように形成された充填穴101に、図3(b)に示すように外部電極ペースト40を充填する。
次に、素体保持具102を用いて素体1を保持し、図3(c)に示すように、外部電極ペースト40が充填された充填穴101に、素体1を、外部電極を形成する端面側から挿入する。そして、外部電極ペースト塗布治具100と素体保持具102とを所定位置で固定し、素体1を充填穴101内の外部電極ペースト20に浸漬させたまま乾燥する。外部電極ペースト40が乾燥した後、素体保持具102を外部電極ペースト塗布治具100から離間することで、素体1を充填穴101から取り出す。
【0026】
このような工程を経ることで、図3(d)に示すように、所定の曲率半径R1 を有する外部電極4を素体1の端面に形成することができる。この後、素体1の対向する端面についても、同様の工程で外部電極4を形成し、焼結することで、積層セラミックコンデンサを形成することができる。
【0027】
次に、素体の曲率半径R2 と外部電極の曲率半径R1 の大きさと、チップ立ち不良との関係を調査した実験結果について表を参照して説明する。
本実験は、外形寸法が1.6×0.8×0.8mm、2.0×1.25×1.25mm、3.2×1.6×1.6mmの三種類の積層セラミックコンデンサを用意し、素体の曲率半径R2 と外部電極の曲率半径R1 とを数種類組み合わせて、実験用の積層セラミックコンデンサを作成した。このように作成した積層セラミックコンデンサを、リフロー用半田ペーストが塗布されたランドを備える基板に実装し、リフローによる半田付けを行い、チップ立ち不良の発生率を観測した。その結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
表1に示すように、どの外形寸法の積層セラミックコンデンサにおいても、外部電極の曲率半径R1 が素体の曲率半径R2 よりも小さければチップ立ち不良は発生しない。これは、外部電極の曲率半径R1 が素体の曲率半径R2 よりも小さくなることで、チップ立ちモーメントが大きくなったためと考えられる。
【0030】
なお、曲率半径が0のものは略直角を示しており、本願の外部電極の所定の曲率半径はこのような0の状態も含むものである。
【0031】
このように、外部電極の曲率半径R1 を素体の曲率半径R2 よりも小さくして積層セラミックコンデンサを形成することで、リフロー実装時に発生するツームストーン現象を防止することができる。
【0032】
なお、本実施形態では、外部電極ペーストを充填穴に充填し、この充填穴に素体を挿入した状態で乾燥することにより、外部電極に所定の曲率半径R1 を形成する方法を示したが、図4に示すような方法を用いてもよい。
図4は外部電極に所定の曲率半径を形成する方法を示した概念図である。
なお、図4で示す積層セラミックコンデンサは、図1のものより積層数が少ないものであり、素体1aに段差は生じない程度のものである。
【0033】
まず、図4(a)に示すように、素体1の両端部に外部電極ペーストを塗布し、乾燥させることで外部電極4a,4bを形成する。次に、所定の切削具を用いて外部電極4a,4bを切削し、所定の曲率半径R1 (図4の例では、曲率半径R1 =0、すなわち直角)となるように加工する。このように外部電極4a,4bを形成した後に、焼結して積層セラミックコンデンサ10aを形成する。
【0034】
このような工法を用いても、外部電極に所定の曲率半径を有する肩部を形成することができ、リフロー実装時に発生するツームストーン現象を防止することができる。
【0035】
また、外部電極4a,4bの形状として、図5に示すような構造を用いてもよい。
図5は積層セラミックコンデンサの側面図、外部電極側から見た正面図、および側面部分拡大図である。
図5に示す積層セラミックコンデンサの外部電極4a,4bは、4つの肩部41に突起部42を設けたものである。
この突起部42は、図5(c)に示すように、突起部42の頂点を経由する仮想曲面(図中の破線)の曲率半径R3 が素体1の曲率半径R2 よりも小さくなるような形状で形成されている。このような突起部42は、前述の外部電極ペーストを充填する充填穴に突起部42に対応する凹部を設けることにより形成することができる。
【0036】
なお、突起部42の形状は、図6(a)に示すように外部電極4b(4a)の肩部41の幅方向の中央部に設けるようなものでもよく、図6(b)に示すように外部電極の端面から上面および下面にかける肩部41に沿って、所定の長さに設けるようなものであってもよい。
【0037】
このように、仮想曲面の曲率半径が素体の肩部の曲率半径R3 が素体の曲率半径よりも小さくなるように、突起部を有する外部電極を用いても、上述の実施形態と同様にリフロー実装時のツームストーン現象を防止することができる。また、このような突起部を有する形状とすることにより、上述のように所定の曲率半径になるように(例えば、図5(c)における仮想曲面が外部電極の外面になるように)、外部電極を形成する必要がないので、外部電極の大きさを小さくすることができ、外部電極ペーストの消費量を抑制することができる。
【0038】
また、本発明は、肩部に段差のある素体でも肩部に段差のない素体でも適用できるが、段差のある素体の場合、外部電極の曲率半径が大きくなるため、本発明により効果的にツームストーン現象を抑制することができる。
【0039】
さらに、本発明は、周囲面が上面および下面を有する素体を用いたセラミック電子部品について説明したが、これに限るものではなく、例えば周囲面が円筒状であっても適用することができる。
【0040】
【発明の効果】
この発明に係るセラミック電子部品によれば、外部電極の両端面から周囲面(特に上面および下面)にかけての肩部の曲率半径が、素体の両端面から周囲面(特に上面および下面)にかけての肩部の曲率半径よりも小さいなるように、外部電極を形成することにより、半田の表面張力によるチップ立ちモーメントが大きくなり、リフロー実装時のツームストーン現象を防止することができる。
【0041】
また、この発明に係るセラミック電子部品の製造方法によれば、底面から側面にかけての肩部が所定の曲率半径で形成されたペースト充填穴に、焼結することで前記外部電極となる外部電極ペーストを充填し、ペースト充填穴に素体を内部電極が露出する長手方向の端面から挿入し、素体を外部電極ペーストに浸漬させせたままの状態で乾燥するようにしたので、ペースト充填穴の底面と側面との肩部を、予めセラミック素体の長手方向の端面とこれに接する面との肩部よりも小さい曲率半径で形成しておくことにより、外部電極に素体の曲率半径より小さい、所望の曲率半径の肩部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る積層セラミックコンデンサの構造を示す断面図
【図2】外部電極用導電ペーストを充填する治具の外観斜視図
【図3】外部電極の形成工程を示した図
【図4】外部電極に所定の曲率半径を形成する方法を示した概念図
【図5】積層セラミックコンデンサの側面図および外部電極側から見た正面図
【図6】積層セラミックコンデンサの外部電極側から見た正面図
【図7】従来の積層セラミックコンデンサの構造を示す断面図
【図8】ツームストーン現象を表す正面図
【符号の説明】
10−積層セラミックコンデンサ
1−素体
11−素体の肩部
2−セラミック層
3a,3b−内部電極
4a,4b−外部電極
40−外部電極ペースト
41−外部電極の肩部
42−突起部
100−外部電極ペースト塗布治具
101−充填穴
102−素体保持具
Claims (2)
- 両端面と両端面間の周囲面とを有するセラミック素体と、セラミック素体の長手方向の両端部に外部電極を設けたセラミック電子部品において、
前記外部電極の両端面から周囲面にかけての肩部の曲率半径が、前記セラミック素体の両端面から周囲面にかけての肩部の曲率半径よりも小さいことを特徴とするセラミック電子部品。 - 請求項1に記載のセラミック電子部品の製造方法であって、底面と側面との接合部が所定の曲率半径で形成されたペースト充填穴に、焼結することで前記外部電極となる外部電極ペーストを充填し、前記ペースト充填穴に前記セラミック素体を内部電極が露出する長手方向の端面から挿入し、前記セラミック素体を前記外部電極ペーストに浸漬させた状態で乾燥する工程を含むセラミック電子部品の製造方法。
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