JP2004200548A - 半導体処理装置及び半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】安定パワーを使用した温度制御を実行する場合に、事前に取得した安定パワーに過不足が発生した場合でも、不安定な温度制御にならず、すばやく目的の温度に安定するための温度制御方法を提供し、生産時間の短縮によって、生産性を向上させることができる半導体処理装置、半導体装置の製造方法を得る。
【解決手段】基板の温度処理時に制御部から出力される電力値に基づく電力を加熱装置に供給することにより、前記基板を所望温度で温度処理するようにした半導体処理装置において、予め所定のタイミングにおいて前記制御部より出力される電力値を取得して記憶しておき、前記記憶された電力値と、前記記憶時以後における前記所定のタイミングにおいて前記制御部から出力される電力値との差に基づいて、前記基板の温度処理時に前記制御部から出力される電力値を補正し、該補正された電力値に基づく電力を前記加熱装置に供給するようにした。
【選択図】 図2
【解決手段】基板の温度処理時に制御部から出力される電力値に基づく電力を加熱装置に供給することにより、前記基板を所望温度で温度処理するようにした半導体処理装置において、予め所定のタイミングにおいて前記制御部より出力される電力値を取得して記憶しておき、前記記憶された電力値と、前記記憶時以後における前記所定のタイミングにおいて前記制御部から出力される電力値との差に基づいて、前記基板の温度処理時に前記制御部から出力される電力値を補正し、該補正された電力値に基づく電力を前記加熱装置に供給するようにした。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造装置等の半導体処理装置及び半導体装置の製造方法における温度制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術として、半導体製造装置の減圧CVD処理炉を例に説明する。減圧CVD処理炉の構造例を図8に示す。図8に示した減圧CVD処理炉は、炉内を加熱するためのヒータ101と、ヒータ101の温度を検出するヒータ熱電対102と、外管(アウターチューブ)103と内管(インナーチューブ)104の間の温度を検出するカスケード熱電対105と熱処理するためのウエハを搭載したボート106と、ヒータ熱電対102及びカスケード熱電対105の検出温度と設定温度Yからヒータ101への操作量Z(電力値)を演算して求める温度コントローラ(温度制御部)107から構成されている。
【0003】
ヒータ101は、炉内温度をより高精度に制御するためにゾーン分割されており、たとえば4ゾーン分割の場合には、上部から順にU,CU,CL,Lゾーンなどと呼ばれる。それぞれのゾーンごとに、ヒータ熱電対102とカスケード熱電対105が設置されている。この減圧CVD処理炉における温度制御の目的は、熱処理するためのウエハに、より近い場所(炉内)に設置してあるカスケード熱電対105の検出温度を、設定温度Yと一致させることである。
【0004】
次に、図9の減圧CVD処理炉で、一般に使用される処理シーケンスについて説明する。図9(a)は、減圧CVD処理炉で行われるプロセス処理の1例のフローチャートを示し、図9(b)は、そのときの炉内の温度変化の概略を示したものである。ステップS1は、炉内の温度を比較的低い温度T0で安定させる処理である。ステップS1では、ボートはまだ炉内へ挿入されていない。ステップS2は、ボートを炉内に挿入する処理(ボートロード)である。ステップS3は、設定温度T0からウエハに成膜処理等のプロセス処理を施すための設定温度T1まで徐々に炉内の温度を上昇させる処理(ランプアップ)である。ステップS4はウエハにプロセス処理を施すために炉内の温度を設定温度T1で安定させる処理である。ステップS5は、設定温度T1から再び比較的低い設定温度T0まで徐々に炉内の温度を下降させる処理(ランプダウン)である。ステップS6は、プロセス処理が施されたウエハを搭載しているボートを炉内から引き出す処理である。
【0005】
通常ステップS1からステップS6の処理は繰り返し行われるため、1つ1つのステップを短時間で行うことが生産性向上につながる。しかしながら、図8の減圧CVD処理炉のように、複数の加熱ゾーンに分割されている場合、ゾーン間の干渉などが原因で、すばやく目的の温度に安定させることが困難な場合が多い。そこで、目的の温度で安定するためのヒータパワー値(以下、安定パワーと呼ぶ)を、事前にテーブルに取得しておき、温度変化が過渡期の場合に、テーブル取得しておいた安定パワーを使用することで、温度安定までの時間を短縮させようとする温度制御方法が使用されている。
【0006】
図10に、安定パワーを使用した温度制御の温度データの一例を示す。ボートロード時は、室温のウエハを搭載したボートが炉内に挿入されるために、カスケードTCの温度は設定温度に対して大きく下降した後、徐々に上昇して設定温度に安定するが、通常の温度制御では、温度の下降をすばやく回復させようとヒータパワーを多く出力しすぎていたために、設定温度を大きくオーバーシュートした後、ゆっくり設定温度に安定している。これに対して、安定パワーを使用した温度制御は、安定パワーを使用することで、ヒータパワーを多く出力することがないので、温度下降の後、大きくオーバーシュートすることなく、すばやく設定温度に安定している。このように、安定パワーを使用した温度制御は、すばやく目的の温度に安定することができ、装置のスループット向上に有効な方法といえる。
【0007】
しかし、事前に取得した安定パワーが実際に必要な安定パワーとの間に過不足を生じる場合がある。たとえば、ヒータへの供給電源の電源変動や、装置の各部分における経年変化、また炉内に挿入するウエハの状態が安定パワー取得時と違う(安定パワー取得時は、新品ウエハを使用したが、実際に安定パワーを使用して温度制御をするときはウエハに加工がされた状態である)などの要因がある。このような場合、テーブルに取得しておいた安定パワーを使用した温度制御を行うと、かえって不安定要因となって、温度が安定するまでの時間が長くなり、スループットの悪化につながる。このため、事前に取得した安定パワーに過不足が発生した場合でも、不安定な温度制御にならず、すばやく目的の温度に安定するための温度制御方法が求められていた。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであり、例えば安定パワーを使用した温度制御を実行する場合に、事前に取得した安定パワーに過不足が発生した場合でも、不安定な温度制御にならず、すばやく目的の温度に安定するための温度制御方法を実行し得る半導体処理装置及び半導体装置の製造方法を提供し、生産時間の短縮によって、生産性を向上させることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、本発明は、基板の温度処理時に制御部(例えばPID調節器)から出力される電力値(例えば予め取得された安定パワー出力値:第1の電力値)に基づく電力を加熱装置に供給することにより、前記基板を所望温度で温度処理するようにした半導体処理装置(半導体製造装置)において、予め所定のタイミング(基準点:例えばステップS2の終了後、ステップS3に移行する直前の点)において前記制御部より出力される電力値(第2の電力値)を取得して記憶しておき、前記記憶された電力値(第2の電力値)と、前記記憶時以後における前記所定のタイミングにおいて前記制御部から出力される電力値(第3の電力値)との差に基づいて、前記基板の温度処理時に前記制御部から出力される電力値(第1の電力値)を補正し、該補正された電力値(第4の電力値)に基づく電力を前記加熱装置に供給するようにしたことを特徴とする。
【0010】
本発明は、例えば、半導体製造装置等の半導体処理装置の温度制御システムにおいて、測定温度が目的の温度に安定したときのヒータへの出力パワー値を事前にメモリなどに取得しておき、測定温度の変化が過渡的な場合に、メモリに取得したヒータへの出力パワー値を温度制御に使用することによってすばやく温度安定を図ろうとする温度制御方法を採用する温度制御システムを有する半導体製造装置等の半導体処理装置に適用され、事前に取得したヒータへの出力パワー値と、それを使用して温度制御する場合の実際に温度安定するために必要なヒータへの出力パワー値との間の過不足分を補正して、温度制御に使用する。なお、ヒータへの出力パワー値は所定のパラメータに対応して関数計算されて出力されるような値であってもよい。
【0011】
前記補正の方法においては、基準点でのヒータへの出力パワー値と、事前に取得した同じ基準点でのヒータへの出力パワー値との差を求め、この差又はこの差の係数倍によって、事前に取得した測定温度が目的の温度に安定したときのヒータへの出力パワー値を補正することができる。
【0012】
また、本発明は、基板の温度処理時に制御部から出力される電力値に基づく電力を加熱装置に供給することにより、前記基板を所望温度で温度処理するようにした半導体装置の製造方法において、予め所定のタイミングにおいて前記制御部より出力される電力値を取得して記憶しておく工程と、前記記憶された電力値と、前記記憶時以後における前記所定のタイミングにおいて前記制御部から出力される電力値との差に基づいて、前記基板の温度処理時に前記制御部から出力される電力値を補正する工程と、該補正された電力値に基づく電力を前記加熱装置に供給する工程とを備えたことを特徴とする。
【0013】
なお、実施の形態においては、基板を収納する反応室と、前記反応室に収納された基板を加熱する加熱装置と、前記反応室内の温度から前記加熱装置の電力を制御する制御手段とを備え、前記反応室に反応ガスを供給、及び排気しつつ前記基板を処理する半導体処理装置において、予め前記基板の処理温度時における第1の電力値と前記処理温度時以外の所定時における第2の電力値を記憶しておき、次の処理工程時には、前記第2の電力値と同所定時における第3の電力値を取得し、前記第2の電力値と前記第3の電力値との電力差と、前記第1の電力値との加減することにより、処理温度時における第4の電力値を求め、前記第4の電力値により、前記制御手段が処理温度時の電力制御をすることを特徴とする半導体処理装置が記載されている。
【0014】
また、実施の形態においては、基板を収納する反応室と、前記反応室に収納された基板を加熱する加熱装置と、前記反応室に反応ガスを供給、及び排気しつつ処理する半導体装置の製造方法において、予め前記基板の処理温度時における第1の電力値と前記処理温度時以外の所定時における第2の電力値を記憶する工程を有し、次の処理工程時には、前記第2の電力値と同所定時における第3の電力値を取得し、前記第2の電力値と前記第3の電力値との電力差と、前記第1の電力値とを加減することにより、処理温度時における第4の電力値を求める工程と、前記第4の電力値により、処理温度時に前記加熱装置を制御する工程とを有することを特徴とした半導体装置の製造方法が記載されている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
実施の形態は、半導体処理装置としての半導体製造装置を減圧CVD処理炉に例をとって説明する。実施の形態は、予め、事前に取得した安定パワーと、実際に必要な安定パワーとの間の過不足分を求め事前に取得した安定パワーを補正するものである。過不足分を求める方法はいくつかあるが、処理シーケンス内に基準点を設けて、安定パワーを取得した時の基準点でのヒータパワー値と、安定パワーを使用する処理シーケンス内の基準点でのヒータパワー値を比較し、その差を安定パワー間の過不足分(または過不足分の補正に使用するための値)とする方法について説明する。
【0016】
実施の形態1.
図1は、実施の形態における減圧CVD装置の反応炉と主制御部を示す構成図である。図1において、主制御部1は、温度制御部2とガス流量制御部3と圧力制御部4と駆動制御部5を備えている。反応炉100において、外管(以下アウターチューブ205)は例えば石英(SiO2)等の耐熱性材料からなり、上端が閉塞され、下端に開口を有する円筒状の形態である。内管(以下インナーチューブ204)は、上端及び下端の両端に開口を有する円筒状の形態を有し、アウターチューブ205内に同心円状に配置されている。アウターチューブ205とインナーチューブ204の間の空間は筒状空間250を成す。インナーチューブ204の上部開口から上昇したガスは筒状空間250を通過して排気管231から排気されるようになっている。
【0017】
アウターチューブ205およびインナーチューブ204の下端には、例えばステンレス等よりなるマニホールド209が係合され、このマニホールド209にアウターチューブ205およびインナーチューブ204が保持されている。このマニホールド209は保持手段(以下ヒータベース251)に固定される。アウターチューブ205の下端部およびマニホールド209の上部開口端部には、それぞれ環状のフランジが設けられ、これらのフランジ間には気密部材(以下Oリング220)が配置され、両者の間が気密にシールされている。
【0018】
マニホールド209の下部には、ガスの供給管232が貫通するように設けられている。これらのガスの供給管232により、処理用のガスがアウターチューブ205内に供給されるようになっている。これらのガスの供給管はガスの流量制御手段(以下マスフローコントローラ(MFC)241)に連結されており、MFC241はガス流量制御部3に接続されており、供給するガスの流量を所定の量に制御し得る。
【0019】
マニホールド209の上部には、圧力調節器(例えばAPC、N2バラスト制御器があり、以下ここではAPC242とする)及び、排気装置(以下真空ポンプ246)に連結されたガスの排気管231が接続されており、アウターチューブ205とインナーチューブ204との間の筒状空間250を流れるガスを排出し、アウターチューブ205内をAPC242により圧力を制御することにより、所定の圧力の減圧雰囲気にするよう圧力検出手段(以下圧力センサ245)により検出し、圧力制御部4により制御する。
【0020】
マニホールド209の下端開口部には、例えばステンレス等によりなる円盤状の蓋体(以下シールキャップ219)がOリング220を介して気密シール可能に着脱自由に取付けられている。又、シールキャップ219には、回転手段(以下回転軸254)が連結されており、回転軸254により、基板保持手段(以下ボート217)及びボート217上に保持されている基板(以下ウエハ200)を回転させる。又、シールキャップ219は昇降手段(以下ボートエレベータ115)に連結されていて、ボート217を昇降させる。回転軸254、及びボートエレベータ115を所定のスピードにするように、駆動制御部5により制御する。
【0021】
アウターチューブ205の外周には加熱手段(以下ヒータ207)が同心円状に配置されている。ヒータ207は、アウターチューブ205内の温度を所定の処理温度にするよう温度検出手段(以下熱電対263:図8のカスケード熱電対に相当)により温度を検出し、温度制御部2により制御する。
【0022】
図1に示した処理炉による減圧CVD処理方法の一例を説明すると、まず、ボートエレベータ115によりボート217を下降させる。ボート217に複数枚のウエハ200を保持する。次いで、ヒータ207により加熱しながら、アウターチューブ205内の温度を所定の処理温度にする。ガスの供給管232に接続されたMFC241により予めアウターチューブ205内を不活性ガスで充填しておき、ボートエレベータ115により、ボート217を上昇させてアウターチューブ205内に移し、アウターチューブ205の内部温度を所定の処理温度に維持する。アウターチューブ205内の所定の真空状態まで排気した後、回転軸254により、ボート217及びボート217上に保持されているウエハ200を回転させる。同時にガスの供給管232から処理用のガスを供給する。供給されたガスは、アウターチューブ205内を上昇し、ウエハ200に対して均等に供給される。
【0023】
減圧CVD処理中のアウターチューブ205内は、排気管231を介して排気され、所定の真空になるようAPC242により圧力が制御され、所定時間減圧CVD処理を行う。
【0024】
このようにして、減圧CVD処理が終了すると、次のウエハ200の減圧CVD処理に移るべく、アウターチューブ205内のガスを不活性ガスで置換するとともに、圧力を常圧にし、その後、ボートエレベータ115によりボート217を下降させて、ボート217及び処理済のウエハ200をアウターチューブ205から取出す。アウターチューブ205から取出されたボート217上の処理済のウエハ200は、未処理のウエハ200と交換され、再度前述同様にしてアウターチューブ205内に上昇され、減圧CVD処理が成される。
【0025】
図2は実施の形態における温度制御部の一つの構成例を示すブロック図である。この実施の形態における温度制御部2は、所定のシーケンスに従って、温度を安定させるために必要な安定パワー出力値(第1の電力値)を予め取得して格納し、安定パワーを用いた温度制御に際し、格納された安定パワー出力値(第1の電力値)を読み出して電力供給を行うためのメモリである安定パワー出力値テーブル21と、安定パワー出力値テーブル21から得られるパワー出力値を補正し、補正されたパワー値に基づく電力を電力供給部を介してヒータに出力するためのヒータパワー値補正部22とを備えている。
【0026】
ヒータパワー値補正部22は、基板の一連の処理工程において、予め(例えば安定パワー出力値を取得するとき)基準点(所定のタイミング)におけるヒータパワー値(第2の電力値)を取得し記憶しておくためのヒータパワー値メモリ23と、その後(安定パワーを使用する処理シーケンス)における基板の一連の処理工程において、上記基準点と同じ、又は相当する基準点におけるヒータパワー値(第3の電力値)を取得するヒータパワー値取得部24と、これら記憶されたヒータパワー値と取得された新たなヒータパワー値とを比較し、減算を行う第1比較器(加算器)25と、比較器25により減算された結果を安定パワー出力値テーブル21からの出力値より減算して補正された安定パワー値(第4の電力値)とする第2比較器(加算器)26とを備えている。
【0027】
以下、本発明の実施の形態の動作について説明する。図3は温度制御部の動作を示すフローチャートである。
安定パワーを使用した温度制御を実行するに先だっては、図3(a)に示される温度制御前工程が処理される。この工程では、安定パワーを使用する時と同じ条件で安定パワー出力値(第1の電力値)を取得し、この取得値がメモリ(安定パワー出力値テーブル)に記憶される(ステップS12)。例えば、図9(b)の処理シーケンスのステップS3〜S4の昇温時に、安定パワーを使用してすばやく温度を安定させようとする場合、ステップS4で温度が安定したときのヒータパワー値をテーブル(安定パワー出力値テーブル21)に取得する。取得したテーブルの内容は、たとえば図4のようなものである。図4のように、安定パワーは加熱ゾーンごとに異なるため、加熱ゾーンごとに区別してテーブル化する。このような安定パワー取得時において、処理シーケンス内に基準点を設けて、基準点でのヒータパワー値(第2の電力値)も合わせてテーブル(基準点のヒータパワー値メモリ23)に取得しておく(ステップS11)。なお、ステップS11とステップS12の工程順は逆であっても良い。
【0028】
基準点としては、例えば図9(b)の温度制御形態においては、ステップS2の終了後、ステップS3に移行する前の点を選ぶこととする。安定パワーを取得する際に、この基準点でのヒータパワー値も合わせてテーブル(基準点のヒータパワー値メモリ(テーブル)23)に取得する。取得したテーブルの内容は、例えば図5のようなものである。なお、基準点の定め方は、一例として、シーケンス(処理内容を設定したレシピ)で定めるようにすることができる。この場合、レシピはどのような処理を時間に即して行うかを時々刻々と記述したものであり、ある一時刻だけではなく、ステップの何分から何分までの間を基準点として選び、それらの平均値を基準点でのヒータパワー値とすることもできる。即ち、制御周期の数倍(2倍とか5倍とか)、あるいは一定時間(5秒間隔とか10秒間隔)に拡張して基準点とすることもできる。
【0029】
そして、図3(b)に示される安定パワー出力値を使用した温度制御を行う場合(安定パワー出力値テーブル21の値に基づいて温度制御を行う場合)、安定パワー出力値は、処理シーケンスのステップS3〜S4の昇温時に使用するために取得したので、ステップS3の開始時から安定パワー出力値を使用する。これに際して基準点はステップS2の終了後、ステップS3に移行する直前の点が選ばれているので、補正部22は安定パワーを使用した温度制御を行う際に、ヒータパワー取得部24により取得された現在の基準点でのヒータパワー値を取得すると共に(ステップS21)、テーブル(基準点のヒータパワー値メモリ23)に取得しておいた基準点でのヒータパワー値を読み出し、これら値を比較器25において比較する(ステップS22)。このとき安定パワーを取得したときと、すべての条件が同じであるならば、基準点でのヒータパワー値も、ほぼ同じ値になるはずである。
【0030】
しかし、ヒータへの供給電源の電源変動や、装置の各部分における経年変化、また炉内に挿入するウエハの状態が安定パワー取得時と違う(安定パワー出力値の取得時は、新品のウエハを使用したが、実際に安定パワーを使用して温度制御をするときはウエハに加工がされた状態である)などの要因により、基準点でのヒータパワー値に差が生じることがある。基準点で差が生じるということは、事前に取得した安定パワーも実際に必要な安定パワーとの間に、差が生じていると考えられる。このように、安定パワーに差が生じたことによって、温度が不安定になることを防ぐために、基準点でのヒータパワー値の差を使用して、取得しておいた安定パワーを補正して温度制御を行う(ステップS23)。即ち比較器25による減算結果(比較結果)を比較器26に与え、この比較結果を安定パワー出力値テーブルから得られる安定パワー出力値から減じてその結果を電力供給部30に与える(ステップS24)。
【0031】
具体的な例として、たとえば図4、図5のように事前に取得したパワーに対して、実際に安定パワーを使用する際の基準点でのUゾーンのヒータパワー値が20%だったとすると、事前に取得した基準点でのUゾーンのヒータパワー値は23%だったので、20%−23%=−3%の差が生じたことになる。そこで、ステップS3から安定パワー出力値を使用する際には、テーブルに取得したUゾーンの安定パワー出力値35%に、基準点での差−3%を加えて、35%+(−3%)=32%を補正後の安定パワー出力値として温度制御に使用する。
【0032】
実施の形態2.
図6は本発明の他の実施の形態を示すブロック図であり、補正部が基準点での差をそのまま補正値として使用するのではなく、図7のような補正係数テーブル(図6の28)を有し、基準点での差(例えば−3%)にUゾーンの補正係数(k:例えば0.90)を乗算し、35%+{(−3%)×0.90}=32.3%を補正後の安定パワー出力値として温度制御に使用することもできる。図6の補正係数乗算器27に使用される係数kの値は補正係数テーブル28より各ゾーンに対応して読み出されて使用される。
【0033】
ヒータへ出力するためのパワー値を求める温度制御部2におけるPID演算は、PID定数と呼ばれるパラメータを調整することで、同じ偏差に対しても、大きくパワーを出力したり、小さく出力することができる。そのため、大きくパワーを出力するPID定数のときには、ヒータのパワー値がやや振動的になったりすることもあり、基準点でのパワー値の差に、時間的な誤差(基準点と基準点での前後で大きな差)が発生することも考えられるため、補正係数を導入することにより、基準点での半分を補正したい場合などにも対応できる。これにより、基準点での差をそのまま補正すると、誤差を含んでいる場合は性能悪化の原因となる場合恐れを解消することができる。
【0034】
一例まで、本実施例の処理炉にて処理される処理条件は、Si3N4膜の成膜において、ウエハ温度600〜800℃、ガス種供給量はDCS:300sccm、NH3:900sccm、処理圧力は30Paである。
【0035】
なお、上記実施の形態では、減圧CVD処理炉を用いた場合に例を取って説明したが、その他の温度制御システムにも応用できることは言うまでもない。
以上、本発明の実施の形態においては、安定パワー取得時と、実際に安定パワーを使用する時との、安定パワーの差を補正することにより、温度制御が不安定になることを防ぎ、素早く目的の温度に安定するので、生産時間を短縮し、生産性を向上させることができる。
【0036】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、半導体製造装置等の温度制御システムにおいて、安定パワー使用した温度制御を実行する場合に、事前に取得した安定パワーに過不足が発生した場合でも、不安定な温度制御にならず、すばやく目的の温度に安定するための温度制御方法を提供し、生産時間の短縮によって、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体処理装置としての半導体製造装置として減圧CVD処理炉を示す構成図である。
【図2】温度制御装置のブロック図を示す図である。
【図3】温度制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】安定パワーテーブルの一例を示す図である。
【図5】基準点でのヒータパワー値の取得例を示す図である。
【図6】他の温度制御装置を示すブロック図である。
【図7】補正係数テーブルの一例を示す図である。
【図8】減圧CVD処理炉の構成を示す図である。
【図9】実施の形態の動作を示すフローチャート及びタイムチャートである。
【図10】従来の温度制御データ例を示す図である。
【符号の説明】
1 主制御部、2 温度制御部、3 ガス流量制御部、4 圧力制御部、5 駆動制御部、21 安定パワー出力値テーブル、22 補正部、23 基準点のヒータパワー値メモリ、24 基準点のヒータパワー値取得部、27 補正係数乗算部、28 補正係数テーブル、200 ウエハ、207 ヒータ、217 基板保持手段。
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造装置等の半導体処理装置及び半導体装置の製造方法における温度制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術として、半導体製造装置の減圧CVD処理炉を例に説明する。減圧CVD処理炉の構造例を図8に示す。図8に示した減圧CVD処理炉は、炉内を加熱するためのヒータ101と、ヒータ101の温度を検出するヒータ熱電対102と、外管(アウターチューブ)103と内管(インナーチューブ)104の間の温度を検出するカスケード熱電対105と熱処理するためのウエハを搭載したボート106と、ヒータ熱電対102及びカスケード熱電対105の検出温度と設定温度Yからヒータ101への操作量Z(電力値)を演算して求める温度コントローラ(温度制御部)107から構成されている。
【0003】
ヒータ101は、炉内温度をより高精度に制御するためにゾーン分割されており、たとえば4ゾーン分割の場合には、上部から順にU,CU,CL,Lゾーンなどと呼ばれる。それぞれのゾーンごとに、ヒータ熱電対102とカスケード熱電対105が設置されている。この減圧CVD処理炉における温度制御の目的は、熱処理するためのウエハに、より近い場所(炉内)に設置してあるカスケード熱電対105の検出温度を、設定温度Yと一致させることである。
【0004】
次に、図9の減圧CVD処理炉で、一般に使用される処理シーケンスについて説明する。図9(a)は、減圧CVD処理炉で行われるプロセス処理の1例のフローチャートを示し、図9(b)は、そのときの炉内の温度変化の概略を示したものである。ステップS1は、炉内の温度を比較的低い温度T0で安定させる処理である。ステップS1では、ボートはまだ炉内へ挿入されていない。ステップS2は、ボートを炉内に挿入する処理(ボートロード)である。ステップS3は、設定温度T0からウエハに成膜処理等のプロセス処理を施すための設定温度T1まで徐々に炉内の温度を上昇させる処理(ランプアップ)である。ステップS4はウエハにプロセス処理を施すために炉内の温度を設定温度T1で安定させる処理である。ステップS5は、設定温度T1から再び比較的低い設定温度T0まで徐々に炉内の温度を下降させる処理(ランプダウン)である。ステップS6は、プロセス処理が施されたウエハを搭載しているボートを炉内から引き出す処理である。
【0005】
通常ステップS1からステップS6の処理は繰り返し行われるため、1つ1つのステップを短時間で行うことが生産性向上につながる。しかしながら、図8の減圧CVD処理炉のように、複数の加熱ゾーンに分割されている場合、ゾーン間の干渉などが原因で、すばやく目的の温度に安定させることが困難な場合が多い。そこで、目的の温度で安定するためのヒータパワー値(以下、安定パワーと呼ぶ)を、事前にテーブルに取得しておき、温度変化が過渡期の場合に、テーブル取得しておいた安定パワーを使用することで、温度安定までの時間を短縮させようとする温度制御方法が使用されている。
【0006】
図10に、安定パワーを使用した温度制御の温度データの一例を示す。ボートロード時は、室温のウエハを搭載したボートが炉内に挿入されるために、カスケードTCの温度は設定温度に対して大きく下降した後、徐々に上昇して設定温度に安定するが、通常の温度制御では、温度の下降をすばやく回復させようとヒータパワーを多く出力しすぎていたために、設定温度を大きくオーバーシュートした後、ゆっくり設定温度に安定している。これに対して、安定パワーを使用した温度制御は、安定パワーを使用することで、ヒータパワーを多く出力することがないので、温度下降の後、大きくオーバーシュートすることなく、すばやく設定温度に安定している。このように、安定パワーを使用した温度制御は、すばやく目的の温度に安定することができ、装置のスループット向上に有効な方法といえる。
【0007】
しかし、事前に取得した安定パワーが実際に必要な安定パワーとの間に過不足を生じる場合がある。たとえば、ヒータへの供給電源の電源変動や、装置の各部分における経年変化、また炉内に挿入するウエハの状態が安定パワー取得時と違う(安定パワー取得時は、新品ウエハを使用したが、実際に安定パワーを使用して温度制御をするときはウエハに加工がされた状態である)などの要因がある。このような場合、テーブルに取得しておいた安定パワーを使用した温度制御を行うと、かえって不安定要因となって、温度が安定するまでの時間が長くなり、スループットの悪化につながる。このため、事前に取得した安定パワーに過不足が発生した場合でも、不安定な温度制御にならず、すばやく目的の温度に安定するための温度制御方法が求められていた。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであり、例えば安定パワーを使用した温度制御を実行する場合に、事前に取得した安定パワーに過不足が発生した場合でも、不安定な温度制御にならず、すばやく目的の温度に安定するための温度制御方法を実行し得る半導体処理装置及び半導体装置の製造方法を提供し、生産時間の短縮によって、生産性を向上させることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、本発明は、基板の温度処理時に制御部(例えばPID調節器)から出力される電力値(例えば予め取得された安定パワー出力値:第1の電力値)に基づく電力を加熱装置に供給することにより、前記基板を所望温度で温度処理するようにした半導体処理装置(半導体製造装置)において、予め所定のタイミング(基準点:例えばステップS2の終了後、ステップS3に移行する直前の点)において前記制御部より出力される電力値(第2の電力値)を取得して記憶しておき、前記記憶された電力値(第2の電力値)と、前記記憶時以後における前記所定のタイミングにおいて前記制御部から出力される電力値(第3の電力値)との差に基づいて、前記基板の温度処理時に前記制御部から出力される電力値(第1の電力値)を補正し、該補正された電力値(第4の電力値)に基づく電力を前記加熱装置に供給するようにしたことを特徴とする。
【0010】
本発明は、例えば、半導体製造装置等の半導体処理装置の温度制御システムにおいて、測定温度が目的の温度に安定したときのヒータへの出力パワー値を事前にメモリなどに取得しておき、測定温度の変化が過渡的な場合に、メモリに取得したヒータへの出力パワー値を温度制御に使用することによってすばやく温度安定を図ろうとする温度制御方法を採用する温度制御システムを有する半導体製造装置等の半導体処理装置に適用され、事前に取得したヒータへの出力パワー値と、それを使用して温度制御する場合の実際に温度安定するために必要なヒータへの出力パワー値との間の過不足分を補正して、温度制御に使用する。なお、ヒータへの出力パワー値は所定のパラメータに対応して関数計算されて出力されるような値であってもよい。
【0011】
前記補正の方法においては、基準点でのヒータへの出力パワー値と、事前に取得した同じ基準点でのヒータへの出力パワー値との差を求め、この差又はこの差の係数倍によって、事前に取得した測定温度が目的の温度に安定したときのヒータへの出力パワー値を補正することができる。
【0012】
また、本発明は、基板の温度処理時に制御部から出力される電力値に基づく電力を加熱装置に供給することにより、前記基板を所望温度で温度処理するようにした半導体装置の製造方法において、予め所定のタイミングにおいて前記制御部より出力される電力値を取得して記憶しておく工程と、前記記憶された電力値と、前記記憶時以後における前記所定のタイミングにおいて前記制御部から出力される電力値との差に基づいて、前記基板の温度処理時に前記制御部から出力される電力値を補正する工程と、該補正された電力値に基づく電力を前記加熱装置に供給する工程とを備えたことを特徴とする。
【0013】
なお、実施の形態においては、基板を収納する反応室と、前記反応室に収納された基板を加熱する加熱装置と、前記反応室内の温度から前記加熱装置の電力を制御する制御手段とを備え、前記反応室に反応ガスを供給、及び排気しつつ前記基板を処理する半導体処理装置において、予め前記基板の処理温度時における第1の電力値と前記処理温度時以外の所定時における第2の電力値を記憶しておき、次の処理工程時には、前記第2の電力値と同所定時における第3の電力値を取得し、前記第2の電力値と前記第3の電力値との電力差と、前記第1の電力値との加減することにより、処理温度時における第4の電力値を求め、前記第4の電力値により、前記制御手段が処理温度時の電力制御をすることを特徴とする半導体処理装置が記載されている。
【0014】
また、実施の形態においては、基板を収納する反応室と、前記反応室に収納された基板を加熱する加熱装置と、前記反応室に反応ガスを供給、及び排気しつつ処理する半導体装置の製造方法において、予め前記基板の処理温度時における第1の電力値と前記処理温度時以外の所定時における第2の電力値を記憶する工程を有し、次の処理工程時には、前記第2の電力値と同所定時における第3の電力値を取得し、前記第2の電力値と前記第3の電力値との電力差と、前記第1の電力値とを加減することにより、処理温度時における第4の電力値を求める工程と、前記第4の電力値により、処理温度時に前記加熱装置を制御する工程とを有することを特徴とした半導体装置の製造方法が記載されている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
実施の形態は、半導体処理装置としての半導体製造装置を減圧CVD処理炉に例をとって説明する。実施の形態は、予め、事前に取得した安定パワーと、実際に必要な安定パワーとの間の過不足分を求め事前に取得した安定パワーを補正するものである。過不足分を求める方法はいくつかあるが、処理シーケンス内に基準点を設けて、安定パワーを取得した時の基準点でのヒータパワー値と、安定パワーを使用する処理シーケンス内の基準点でのヒータパワー値を比較し、その差を安定パワー間の過不足分(または過不足分の補正に使用するための値)とする方法について説明する。
【0016】
実施の形態1.
図1は、実施の形態における減圧CVD装置の反応炉と主制御部を示す構成図である。図1において、主制御部1は、温度制御部2とガス流量制御部3と圧力制御部4と駆動制御部5を備えている。反応炉100において、外管(以下アウターチューブ205)は例えば石英(SiO2)等の耐熱性材料からなり、上端が閉塞され、下端に開口を有する円筒状の形態である。内管(以下インナーチューブ204)は、上端及び下端の両端に開口を有する円筒状の形態を有し、アウターチューブ205内に同心円状に配置されている。アウターチューブ205とインナーチューブ204の間の空間は筒状空間250を成す。インナーチューブ204の上部開口から上昇したガスは筒状空間250を通過して排気管231から排気されるようになっている。
【0017】
アウターチューブ205およびインナーチューブ204の下端には、例えばステンレス等よりなるマニホールド209が係合され、このマニホールド209にアウターチューブ205およびインナーチューブ204が保持されている。このマニホールド209は保持手段(以下ヒータベース251)に固定される。アウターチューブ205の下端部およびマニホールド209の上部開口端部には、それぞれ環状のフランジが設けられ、これらのフランジ間には気密部材(以下Oリング220)が配置され、両者の間が気密にシールされている。
【0018】
マニホールド209の下部には、ガスの供給管232が貫通するように設けられている。これらのガスの供給管232により、処理用のガスがアウターチューブ205内に供給されるようになっている。これらのガスの供給管はガスの流量制御手段(以下マスフローコントローラ(MFC)241)に連結されており、MFC241はガス流量制御部3に接続されており、供給するガスの流量を所定の量に制御し得る。
【0019】
マニホールド209の上部には、圧力調節器(例えばAPC、N2バラスト制御器があり、以下ここではAPC242とする)及び、排気装置(以下真空ポンプ246)に連結されたガスの排気管231が接続されており、アウターチューブ205とインナーチューブ204との間の筒状空間250を流れるガスを排出し、アウターチューブ205内をAPC242により圧力を制御することにより、所定の圧力の減圧雰囲気にするよう圧力検出手段(以下圧力センサ245)により検出し、圧力制御部4により制御する。
【0020】
マニホールド209の下端開口部には、例えばステンレス等によりなる円盤状の蓋体(以下シールキャップ219)がOリング220を介して気密シール可能に着脱自由に取付けられている。又、シールキャップ219には、回転手段(以下回転軸254)が連結されており、回転軸254により、基板保持手段(以下ボート217)及びボート217上に保持されている基板(以下ウエハ200)を回転させる。又、シールキャップ219は昇降手段(以下ボートエレベータ115)に連結されていて、ボート217を昇降させる。回転軸254、及びボートエレベータ115を所定のスピードにするように、駆動制御部5により制御する。
【0021】
アウターチューブ205の外周には加熱手段(以下ヒータ207)が同心円状に配置されている。ヒータ207は、アウターチューブ205内の温度を所定の処理温度にするよう温度検出手段(以下熱電対263:図8のカスケード熱電対に相当)により温度を検出し、温度制御部2により制御する。
【0022】
図1に示した処理炉による減圧CVD処理方法の一例を説明すると、まず、ボートエレベータ115によりボート217を下降させる。ボート217に複数枚のウエハ200を保持する。次いで、ヒータ207により加熱しながら、アウターチューブ205内の温度を所定の処理温度にする。ガスの供給管232に接続されたMFC241により予めアウターチューブ205内を不活性ガスで充填しておき、ボートエレベータ115により、ボート217を上昇させてアウターチューブ205内に移し、アウターチューブ205の内部温度を所定の処理温度に維持する。アウターチューブ205内の所定の真空状態まで排気した後、回転軸254により、ボート217及びボート217上に保持されているウエハ200を回転させる。同時にガスの供給管232から処理用のガスを供給する。供給されたガスは、アウターチューブ205内を上昇し、ウエハ200に対して均等に供給される。
【0023】
減圧CVD処理中のアウターチューブ205内は、排気管231を介して排気され、所定の真空になるようAPC242により圧力が制御され、所定時間減圧CVD処理を行う。
【0024】
このようにして、減圧CVD処理が終了すると、次のウエハ200の減圧CVD処理に移るべく、アウターチューブ205内のガスを不活性ガスで置換するとともに、圧力を常圧にし、その後、ボートエレベータ115によりボート217を下降させて、ボート217及び処理済のウエハ200をアウターチューブ205から取出す。アウターチューブ205から取出されたボート217上の処理済のウエハ200は、未処理のウエハ200と交換され、再度前述同様にしてアウターチューブ205内に上昇され、減圧CVD処理が成される。
【0025】
図2は実施の形態における温度制御部の一つの構成例を示すブロック図である。この実施の形態における温度制御部2は、所定のシーケンスに従って、温度を安定させるために必要な安定パワー出力値(第1の電力値)を予め取得して格納し、安定パワーを用いた温度制御に際し、格納された安定パワー出力値(第1の電力値)を読み出して電力供給を行うためのメモリである安定パワー出力値テーブル21と、安定パワー出力値テーブル21から得られるパワー出力値を補正し、補正されたパワー値に基づく電力を電力供給部を介してヒータに出力するためのヒータパワー値補正部22とを備えている。
【0026】
ヒータパワー値補正部22は、基板の一連の処理工程において、予め(例えば安定パワー出力値を取得するとき)基準点(所定のタイミング)におけるヒータパワー値(第2の電力値)を取得し記憶しておくためのヒータパワー値メモリ23と、その後(安定パワーを使用する処理シーケンス)における基板の一連の処理工程において、上記基準点と同じ、又は相当する基準点におけるヒータパワー値(第3の電力値)を取得するヒータパワー値取得部24と、これら記憶されたヒータパワー値と取得された新たなヒータパワー値とを比較し、減算を行う第1比較器(加算器)25と、比較器25により減算された結果を安定パワー出力値テーブル21からの出力値より減算して補正された安定パワー値(第4の電力値)とする第2比較器(加算器)26とを備えている。
【0027】
以下、本発明の実施の形態の動作について説明する。図3は温度制御部の動作を示すフローチャートである。
安定パワーを使用した温度制御を実行するに先だっては、図3(a)に示される温度制御前工程が処理される。この工程では、安定パワーを使用する時と同じ条件で安定パワー出力値(第1の電力値)を取得し、この取得値がメモリ(安定パワー出力値テーブル)に記憶される(ステップS12)。例えば、図9(b)の処理シーケンスのステップS3〜S4の昇温時に、安定パワーを使用してすばやく温度を安定させようとする場合、ステップS4で温度が安定したときのヒータパワー値をテーブル(安定パワー出力値テーブル21)に取得する。取得したテーブルの内容は、たとえば図4のようなものである。図4のように、安定パワーは加熱ゾーンごとに異なるため、加熱ゾーンごとに区別してテーブル化する。このような安定パワー取得時において、処理シーケンス内に基準点を設けて、基準点でのヒータパワー値(第2の電力値)も合わせてテーブル(基準点のヒータパワー値メモリ23)に取得しておく(ステップS11)。なお、ステップS11とステップS12の工程順は逆であっても良い。
【0028】
基準点としては、例えば図9(b)の温度制御形態においては、ステップS2の終了後、ステップS3に移行する前の点を選ぶこととする。安定パワーを取得する際に、この基準点でのヒータパワー値も合わせてテーブル(基準点のヒータパワー値メモリ(テーブル)23)に取得する。取得したテーブルの内容は、例えば図5のようなものである。なお、基準点の定め方は、一例として、シーケンス(処理内容を設定したレシピ)で定めるようにすることができる。この場合、レシピはどのような処理を時間に即して行うかを時々刻々と記述したものであり、ある一時刻だけではなく、ステップの何分から何分までの間を基準点として選び、それらの平均値を基準点でのヒータパワー値とすることもできる。即ち、制御周期の数倍(2倍とか5倍とか)、あるいは一定時間(5秒間隔とか10秒間隔)に拡張して基準点とすることもできる。
【0029】
そして、図3(b)に示される安定パワー出力値を使用した温度制御を行う場合(安定パワー出力値テーブル21の値に基づいて温度制御を行う場合)、安定パワー出力値は、処理シーケンスのステップS3〜S4の昇温時に使用するために取得したので、ステップS3の開始時から安定パワー出力値を使用する。これに際して基準点はステップS2の終了後、ステップS3に移行する直前の点が選ばれているので、補正部22は安定パワーを使用した温度制御を行う際に、ヒータパワー取得部24により取得された現在の基準点でのヒータパワー値を取得すると共に(ステップS21)、テーブル(基準点のヒータパワー値メモリ23)に取得しておいた基準点でのヒータパワー値を読み出し、これら値を比較器25において比較する(ステップS22)。このとき安定パワーを取得したときと、すべての条件が同じであるならば、基準点でのヒータパワー値も、ほぼ同じ値になるはずである。
【0030】
しかし、ヒータへの供給電源の電源変動や、装置の各部分における経年変化、また炉内に挿入するウエハの状態が安定パワー取得時と違う(安定パワー出力値の取得時は、新品のウエハを使用したが、実際に安定パワーを使用して温度制御をするときはウエハに加工がされた状態である)などの要因により、基準点でのヒータパワー値に差が生じることがある。基準点で差が生じるということは、事前に取得した安定パワーも実際に必要な安定パワーとの間に、差が生じていると考えられる。このように、安定パワーに差が生じたことによって、温度が不安定になることを防ぐために、基準点でのヒータパワー値の差を使用して、取得しておいた安定パワーを補正して温度制御を行う(ステップS23)。即ち比較器25による減算結果(比較結果)を比較器26に与え、この比較結果を安定パワー出力値テーブルから得られる安定パワー出力値から減じてその結果を電力供給部30に与える(ステップS24)。
【0031】
具体的な例として、たとえば図4、図5のように事前に取得したパワーに対して、実際に安定パワーを使用する際の基準点でのUゾーンのヒータパワー値が20%だったとすると、事前に取得した基準点でのUゾーンのヒータパワー値は23%だったので、20%−23%=−3%の差が生じたことになる。そこで、ステップS3から安定パワー出力値を使用する際には、テーブルに取得したUゾーンの安定パワー出力値35%に、基準点での差−3%を加えて、35%+(−3%)=32%を補正後の安定パワー出力値として温度制御に使用する。
【0032】
実施の形態2.
図6は本発明の他の実施の形態を示すブロック図であり、補正部が基準点での差をそのまま補正値として使用するのではなく、図7のような補正係数テーブル(図6の28)を有し、基準点での差(例えば−3%)にUゾーンの補正係数(k:例えば0.90)を乗算し、35%+{(−3%)×0.90}=32.3%を補正後の安定パワー出力値として温度制御に使用することもできる。図6の補正係数乗算器27に使用される係数kの値は補正係数テーブル28より各ゾーンに対応して読み出されて使用される。
【0033】
ヒータへ出力するためのパワー値を求める温度制御部2におけるPID演算は、PID定数と呼ばれるパラメータを調整することで、同じ偏差に対しても、大きくパワーを出力したり、小さく出力することができる。そのため、大きくパワーを出力するPID定数のときには、ヒータのパワー値がやや振動的になったりすることもあり、基準点でのパワー値の差に、時間的な誤差(基準点と基準点での前後で大きな差)が発生することも考えられるため、補正係数を導入することにより、基準点での半分を補正したい場合などにも対応できる。これにより、基準点での差をそのまま補正すると、誤差を含んでいる場合は性能悪化の原因となる場合恐れを解消することができる。
【0034】
一例まで、本実施例の処理炉にて処理される処理条件は、Si3N4膜の成膜において、ウエハ温度600〜800℃、ガス種供給量はDCS:300sccm、NH3:900sccm、処理圧力は30Paである。
【0035】
なお、上記実施の形態では、減圧CVD処理炉を用いた場合に例を取って説明したが、その他の温度制御システムにも応用できることは言うまでもない。
以上、本発明の実施の形態においては、安定パワー取得時と、実際に安定パワーを使用する時との、安定パワーの差を補正することにより、温度制御が不安定になることを防ぎ、素早く目的の温度に安定するので、生産時間を短縮し、生産性を向上させることができる。
【0036】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、半導体製造装置等の温度制御システムにおいて、安定パワー使用した温度制御を実行する場合に、事前に取得した安定パワーに過不足が発生した場合でも、不安定な温度制御にならず、すばやく目的の温度に安定するための温度制御方法を提供し、生産時間の短縮によって、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体処理装置としての半導体製造装置として減圧CVD処理炉を示す構成図である。
【図2】温度制御装置のブロック図を示す図である。
【図3】温度制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】安定パワーテーブルの一例を示す図である。
【図5】基準点でのヒータパワー値の取得例を示す図である。
【図6】他の温度制御装置を示すブロック図である。
【図7】補正係数テーブルの一例を示す図である。
【図8】減圧CVD処理炉の構成を示す図である。
【図9】実施の形態の動作を示すフローチャート及びタイムチャートである。
【図10】従来の温度制御データ例を示す図である。
【符号の説明】
1 主制御部、2 温度制御部、3 ガス流量制御部、4 圧力制御部、5 駆動制御部、21 安定パワー出力値テーブル、22 補正部、23 基準点のヒータパワー値メモリ、24 基準点のヒータパワー値取得部、27 補正係数乗算部、28 補正係数テーブル、200 ウエハ、207 ヒータ、217 基板保持手段。
Claims (2)
- 基板の温度処理時に制御部から出力される電力値に基づく電力を加熱装置に供給することにより、前記基板を所望温度で温度処理するようにした半導体処理装置において、
予め所定のタイミングにおいて前記制御部より出力される電力値を取得して記憶しておき、
前記記憶された電力値と、前記記憶時以後における前記所定のタイミングにおいて前記制御部から出力される電力値との差に基づいて、前記基板の温度処理時に前記制御部から出力される電力値を補正し、該補正された電力値に基づく電力を前記加熱装置に供給するようにしたことを特徴とする半導体処理装置。 - 基板の温度処理時に制御部から出力される電力値に基づく電力を加熱装置に供給することにより、前記基板を所望温度で温度処理するようにした半導体装置の製造方法において、
予め所定のタイミングにおいて前記制御部より出力される電力値を取得して記憶しておく工程と、
前記記憶された電力値と、前記記憶時以後における前記所定のタイミングにおいて前記制御部から出力される電力値との差に基づいて、前記基板の温度処理時に前記制御部から出力される電力値を補正する工程と、
該補正された電力値に基づく電力を前記加熱装置に供給する工程と
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
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JP2002369396A JP2004200548A (ja) | 2002-12-20 | 2002-12-20 | 半導体処理装置及び半導体装置の製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN110162125A (zh) * | 2019-06-05 | 2019-08-23 | 江苏拓米洛环境试验设备有限公司 | 湿度营造系统及对该湿度营造系统进行控制的方法、装置 |
-
2002
- 2002-12-20 JP JP2002369396A patent/JP2004200548A/ja not_active Withdrawn
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