JP2010092389A - 熱処理装置の温度制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱処理装置の温度制御応答性を向上させ、温度安定時間を早くする。
【解決手段】基板を処理する処理室内を加熱する加熱手段と、加熱手段を制御する加熱制御部と、処理室内の温度を検出する第一および第二の温度検出手段とを備え、第一の温度検出手段は第二の温度検出手段よりも基板に近い位置に配置され、第二の温度検出手段は第一の温度検出手段よりも加熱手段に近い位置に配置される熱処理装置であって、熱処理装置に具備される加熱手段に入力する操作量を比例・積分・微分(PID)演算による帰還制御の一部を予め適当な値に設定し、当該加熱手段から出力される制御量を制御し、制御応答性の高い温度制御方式を得る。
【選択図】図1
【解決手段】基板を処理する処理室内を加熱する加熱手段と、加熱手段を制御する加熱制御部と、処理室内の温度を検出する第一および第二の温度検出手段とを備え、第一の温度検出手段は第二の温度検出手段よりも基板に近い位置に配置され、第二の温度検出手段は第一の温度検出手段よりも加熱手段に近い位置に配置される熱処理装置であって、熱処理装置に具備される加熱手段に入力する操作量を比例・積分・微分(PID)演算による帰還制御の一部を予め適当な値に設定し、当該加熱手段から出力される制御量を制御し、制御応答性の高い温度制御方式を得る。
【選択図】図1
Description
本発明は、熱処理装置の温度制御方法に関するものである。
従来、半導体製造装置では、炉内の温度を適切な温度に維持し若しくは炉内を指定した温度変化に追従させる必要があるため、予め設定した目標温度の温度変化パターンに基づいて制御装置がヒータの制御を行っている(例えば、特許文献1参照。)。
WO2006/070552号公報
しかしながら、従来技術である温度制御方法、温度制御調整方法を用いても特に温度制御応答性が十分でなく、温度安定時間が遅延する場合があった。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、熱処理に具備される加熱手段に入力される操作量を比例・積分・微分(PID)演算による帰還制御の一部を予め適当な値に設定し、当該加熱手段から出力される制御量を制御する制御方式において、制御応答性の高い温度制御方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る熱処理装置は、基板を処理する処理室内を加熱する加熱手段と、該加熱手段を制御する加熱制御部と、前記処理室内の温度を検出する第一および第二の温度検出手段とを備え、該第一の温度検出手段は前記第二の温度検出手段よりも前記基板に近い位置に配置され、該第二の温度検出手段は前記第一の温度検出手段よりも前記加熱手段に近い位置に配置される熱処理装置であって、前記第二の温度検出手段による検出温度の最大温度時点の操作量をC3とし、前記第二の温度検出手段による検出温度の最大温度時点をt0とし、前記第一の温度検出手段の温度安定時点の操作量をC2とし、前記第一の温度検出手段の温度安定時点から前記第二の温度検出手段による検出温度の最大温度時点の差をTime2とし、時係数をkとした場合に、 前記t0からの経過時間をtとするとt時点の操作量パターン出力値P[t]は、P[t]=P[t0]+(C3−C2)*(1−exp((−t−t0)/(Time2*k))で求められることを特徴とした熱処理装置である。
更に、前記時定数kは、2から5の範囲であることを特徴とした熱処理装置である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本発明は、熱処理装置での温度制御における、加熱手段に入力する操作量を比例・積分・微分(PID)演算による帰還制御を用いて、当該加熱手段から出力される制御量を制御する制御方式の自動温度調整手順に関するものである。
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態による熱処理装置について説明するための機能ブロック図、図2は同装置における反応管周辺の構成の詳細について説明するための図である。
図1は本発明の第1の実施の形態による熱処理装置について説明するための機能ブロック図、図2は同装置における反応管周辺の構成の詳細について説明するための図である。
本実施の形態による熱処理装置は、処理炉91および主制御部7を備えてなる構成となっている。なお、図1では主制御部7について温度制御部71のみを抜き出して表示している。
処理炉91は、ヒータ(加熱手段)1、石英キャップ1a、ヒータ熱電対(第二の温度検出手段)2、カスケード熱電対(第一の温度検出手段)3、ボート4、反応管5、均熱管6、排気管8、ボートエレベータ9、ベース10、ガス供給管11、マスフローコントローラ(MFC)12、圧力調節器(APC)13、圧力センサ14、Oリング15、シールキャップ16、回転軸17、導入口18および排気口19を備えている。
主制御部7は、温度制御部(加熱制御部)71、ガス流量制御部72、圧力制御部73および駆動制御部74を備えている。
均熱管6は例えばSiC等の耐熱性材料からなり、上端が閉塞され、下端に開口を有する円筒状に形成されている。例えば石英(SiO2)等の耐熱性材料からなる反応容器(以下、反応管5)は、下端に開口を有する円筒状に形成され、均熱管6内に均熱管6と同心円状に配置されている。反応管5の下部には例えば石英からなるガス供給管11と排気管8が連結されていて、ガス供給管11と連結される導入口18は反応管5下部から、反応管5側部に添って例えば細管状に立ち上がり、天井部分で反応管5の内部に至る構成となっている。排気管8は、反応管5の排気口19に接続される。ガスはガス供給管11か
ら反応管5の天井部を経て、反応管5の内部に流入し、反応管5下部に接続された排気管8から排気されるようになっている。
ら反応管5の天井部を経て、反応管5の内部に流入し、反応管5下部に接続された排気管8から排気されるようになっている。
反応管5の導入口18には、ガス供給管11により、処理用のガスが反応管5内に供給されるようになっている。このガス供給管11はガスの流量制御手段としてのマスフローコントローラ(MFC)12若しくは不図示の水分発生器に連結されている。マスフローコントローラ12は、ガス流量制御部72に接続されており、供給するガス若しくは水蒸気(H2O)の流量を所定の量に制御し得る構成となっている。
反応管5の排気口19からは、反応管5内を流れるガスが排出される。反応管5の排気口19には、圧力調節器(例えばAPC)13に連結されたガスの排気管8が接続されており、反応管5内の圧力を圧力検出手段(以下、圧力センサ14)により検出し、反応管5内の圧力を所定の圧力にするように圧力制御部73によりAPC13を制御する。
反応管5の下端開口部には、例えば石英からなる円盤状の保持体(以下、ベース10)が、Oリング15を介して気密シール可能に着脱自在にあり、ベース10は円盤状の蓋体(以下、シールキャップ16)の上に取り付けられている。又、シールキャップ16には、回転手段(以下、回転軸17)が連結されており、回転軸17により、保持体(以下、
石英キャップ1a)および基板保持手段(以下、ボート4)、ボート4上に保持されている基板(以下、ウエハ4a)を回転させる。又、シールキャップ16は昇降手段(以下、ボートエレベータ9)に連結されており、ボート4が昇降される構成となっている。回転軸17およびボートエレベータ9は、所定のスピードで駆動するように、駆動制御部74により制御される。
石英キャップ1a)および基板保持手段(以下、ボート4)、ボート4上に保持されている基板(以下、ウエハ4a)を回転させる。又、シールキャップ16は昇降手段(以下、ボートエレベータ9)に連結されており、ボート4が昇降される構成となっている。回転軸17およびボートエレベータ9は、所定のスピードで駆動するように、駆動制御部74により制御される。
反応管5の外周には加熱手段(以下、ヒータ1)が同心円状に配置されている。ヒータ1は、反応管5内の温度を上位コントローラUcで設定された処理温度にするよう温度検出手段(以下、ヒータ熱電対2、カスケード熱電対3)により温度を検出し、温度制御部71により制御する。ここでヒータ熱電対2はヒータ1の温度を、カスケード熱電対3は均熱菅6と反応菅5の間の温度を検出する役割を有している。具体的には、ヒータ1は、炉内温度をより高精度に制御するために複数のゾーン(例えば、Uゾーン、CUゾーン、CLゾーン、Lゾーンなど)に分割されており、ヒータ1により構成される複数の加熱ゾ
ーンからの温度検出値と温度設定値との偏差に基づいて、加熱ゾーン毎にヒータへのパワー制御信号が出力され、温度制御が行われる。なお、ヒータ熱電対2もカスケード熱電対3も、ヒータ1の複数のゾーンに対応するようにそれぞれのゾーンに応じた位置で検出するように複数の検出点を有する。
ーンからの温度検出値と温度設定値との偏差に基づいて、加熱ゾーン毎にヒータへのパワー制御信号が出力され、温度制御が行われる。なお、ヒータ熱電対2もカスケード熱電対3も、ヒータ1の複数のゾーンに対応するようにそれぞれのゾーンに応じた位置で検出するように複数の検出点を有する。
ここではカスケード熱電対3は反応菅5とボート4の間に設置され、反応菅5内の温度を検出することもできるような構成となっているが、カスケード熱電対3とヒータ熱電対2の配置は、ヒータ1とウエハ4aとの間にそれぞれ配置され、カスケード熱電対3はヒータ熱電対2よりウエハ4aにより近く配置され、ヒータ熱電対2は、カスケード熱電対3よりヒータ1側により近く配置されればよい。
次に、処理炉91における酸化、拡散処理方法の一例を説明する。まず、ボートエレベータ9によりボート4を下降させる。ボート4は、複数枚のウエハ4aを保持する。次いで、ヒータ1により加熱しながら、反応管5内の温度を所定の温度にする。ガス供給管11に接続されたMFC12により予め反応管5内を不活性ガスで充填しておき、ボートエレベータ9により、ボート4を上昇させて反応管5内に移し、反応管5の内部温度を所定の処理温度に維持する。反応管5内を所定の圧力に保った後、回転軸17により、ボート4およびボート4上に保持されているウエハ4aを回転させる。同時にガス供給管11から処理用のガスを供給若しくは水分発生器から水蒸気を供給する。供給されたガスは、反応管5を下降し、ウエハ4aに対して均等に供給される。
酸化・拡散処理中の反応管5内では、排気管8を介して排気され、所定の圧力になるようAPC13により圧力が制御され、所定時間、酸化・拡散処理を行う。
このようにして酸化・拡散処理が終了すると、次のウエハ4aの酸化・拡散処理に移るべく、反応管5内のガスを不活性ガスで置換するとともに、圧力を常圧にし、その後、ボートエレベータ9によりボート4を下降させて、ボート4および処理済のウエハ4aを反応管5から取り出す。反応管5から取り出されたボート4上の処理済のウエハ4aは、未処理のウエハ4aと交換され、再度前述同様にして反応管5内に上昇され、酸化・拡散処理が成される。
次に、図1に示す温度制御部71について説明する。なお、温度制御部71は、前述の加熱ゾーンごとに、ヒータ1、カスケード熱電対3、ヒータ熱電対2それぞれに応じて制御するが、以下の説明では、特別説明のない限り、そのうちの1つの加熱ゾーンに対しての説明であるものとする。
温度制御部71は切替え器20および22、減算器21および25、PID演算器23および26、PIDC演算器24およびPowerパターン出力器27から構成される。
切替え器20は設定される制御モードによって制御方式を選択切り替えするものである。具体的にはPID制御(後述)とPower制御(後述)等の選択切替えを行う。
減算器21は上位コントローラUcで設定される目標値Scから制御量(検出温度)Aを減算した結果を偏差Fとして算出し、切替え器22を経由してPID演算器23あるいはPIDC演算器24へ出力する。
切替え器22は設定される制御モードによって制御方式を選択切り替えするものである。具体的にはPIDC制御(後述)とPID制御との選択切替えを行う。
続いて、PID演算器23における処理(PID制御)について図3に基づいて説明する。
図3に示すように、PID演算器23は、加算器30、積分演算器31、比例演算器32および微分演算器33とから構成される。積分演算器31は、偏差Fを入力とし、偏差Fを時間積分演算(I演算)した結果に予め設定されているパラメータKiを乗じた値を積分値Nとして出力するものである。ある特定の時間tにおける偏差FをF(t)、そのときの積分値NをN(t)で表すとすると、積分値Nは式(1)に従って求められる。なお式(1)において、∫F(u)duの積分範囲は0からtの間である。
N(t)=Ki・∫F(u)du ・・・(1)
N(t)=Ki・∫F(u)du ・・・(1)
比例演算器32は、偏差Fを入力とし、予め設定されているパラメータKpを乗じた(P演算)値を比例値Oとして出力するものである。ある特定時間tにおける偏差FをF(t)、そのときの比例値OをO(t)で表すと、比例値Oは式(2)に従って求められる。
О(t)=Kp・F(t) ・・・(2)
О(t)=Kp・F(t) ・・・(2)
微分演算器33は、偏差Fを入力とし、偏差Fを時間微分演算(D演算)した結果に予め設定されているパラメータKdを乗じた値を微分値Rとして出力するものである。ある特定の時間tにおける偏差FをF(t)、そのときの微分値RをR(t)で表すとすると、微分値Rは式(3)に従って求められる。
R(t)=Kd・dF(t)/dt ・・・(3)
R(t)=Kd・dF(t)/dt ・・・(3)
加算器30は、積分値N、比例値Oおよび微分値Rを入力とし、これらの総和を算出して操作量Xを出力するものである。ある特定の時間tにおける偏差FをF(t)、そのときの操作量XをX(t)で表すとすると、前述した式(1)、式(2)、式(3)から操作量Xは式(4)に従って求められ、このようなPID演算器23における演算処理をPID演算と呼ぶ。なお式(4)において、∫F(u)duの積分範囲は0からtの間である。
X(t)=Kp・F(t)+Ki・∫F(u)du+Kd・dF(t)/dt ・・・(4)
X(t)=Kp・F(t)+Ki・∫F(u)du+Kd・dF(t)/dt ・・・(4)
つまり図1で示すように、主制御部7における温度制御部71に対して、上位コントローラUcからの目標値(目標温度)Scおよびカスケード熱電対3からの制御量(検出温度)Aが入力され、温度制御部71内の減算器21では目標値(目標温度)Scから制御量Aを減算した偏差Fが出力される。PID演算器23では、偏差Fを用いてPID演算が行われ、操作量Xが決定される。この操作量Xは目標値X’に変換され、この目標値X’とヒータ熱電対2からの制御量(検出温度)Bが減算器25に入力され、減算器25では目標値X’から制御量Bを減算した偏差Eが出力される。PID演算器26では偏差Eを用いてPID演算され、温度制御部71の出力として操作量Zが出力され、ヒータ1に入力される。そしてヒータ1から出力された制御量A、Bは再び温度制御部71に帰還される。このように温度制御部71から出力される操作量Zを、目標値Scと制御量Aとの偏差Fが零になるように時々刻々と変化させている。このような制御方式をPID制御と呼ぶ。
続いて、PIDC演算器について図4に基づいて説明する。
図4に示すように、PIDC演算器24は、加算器40、積分演算器41、比例演算器42、微分演算器43、切替え器44、積分パターン出力器45、積分パターン出力器46から構成される。
切替え器44は、予め設定される制御切替え時間に基づいて選択切替えを行うものである。具体的には制御開始から予め設定された時間tのタイミングで、積分パターン出力器45か積分パターン出力器46+積分演算器41かの切替えを行う。
積分演算器41は偏差Fを入力とし、偏差Fを時間積分演算(I演算)した結果に予め設定されているパラメータKiを乗じた値を積分値Nとして出力するものである。ある特定の時間tにおける偏差FをF(t)、そのときの積分値NをN(t)で表すとすると、積分値Nは式(5)に従って求められる。なお式(5)において、∫F(u)duの積分範囲は0からtの間である。
N(t)=Ki・∫F(u)du ・・・(5)
N(t)=Ki・∫F(u)du ・・・(5)
ここで、積分出力パターンとは、積分演算分の代わりに、予め積分演算分の出力値を過程に合わせて設定するものであり、積分パターン出力器45および46は、予め設定されている出力パターンに基づいて、積分パターン値Jを出力するものである。図5は、積分出力パターンを例示する図である。上位コントローラUcでは、温度制御を行う際の複数のステップ(Step1〜Step4)毎に出力値C、レート(Rate)、時間timeを設定することができる。あるステップをIステップ目とすると、前ステップの出力値C(I−1)からレートRate(I)で出力値C(I)に向かって変化させ、出力値C(I)到達後は出力値はC(I)のまま出力を続ける。Iステップ開始後、時間time(I)経過時点で次ステップI+1ステップ目に移行する。ある特定の時間tにおける出力値JをJ(t)とする。
加算器49は、積分パターン出力器46からの積分パターン値Jと積分演算器41からの積分演算値Nとを入力とし、これらの総和を算出し積分操作量Wを出力するものである。
つまり、ある特定時間tにおける偏差FをF(t)、そのときの積分操作量WをW(t)で表すと、切替え器44によって積分パターン出力器45と積分パターン出力器46+積分演算器41の切替えが行われるとき、積分操作量Wは式(6)に従って求められる。積分操作量Wは、積分パターン値(J(t))と積分演算値との和になっている。なお式(6)において、∫F(u)duの積分範囲は0からtの間である。
W(t)=J(t)+Ki・∫F(u)du ・・・(6)
W(t)=J(t)+Ki・∫F(u)du ・・・(6)
比例演算器42は偏差Fを入力とし、予め設定されているパラメータKpを乗じた(P演算)値を比例値Oとして出力するものである。ある特定時間tにおける偏差FをF(t)、そのときの比例値OをO(t)で表すと、比例値Oは式(7)に従って求められる。
О(t)=Kp・F(t) ・・・(7)
微分演算器43は、偏差Fを入力とし、偏差Fを時間微分演算(D演算)した結果に予め設定されているパラメータKdを乗じた値を微分値Rとして出力するものである。
ある特定の時間tにおける偏差FをF(t)、そのときの微分値RをR(t)で表すとすると、微分値Rは式(8)に従って求められる。
R(t)=Kd・dF(t)/dt ・・・(8)
О(t)=Kp・F(t) ・・・(7)
微分演算器43は、偏差Fを入力とし、偏差Fを時間微分演算(D演算)した結果に予め設定されているパラメータKdを乗じた値を微分値Rとして出力するものである。
ある特定の時間tにおける偏差FをF(t)、そのときの微分値RをR(t)で表すとすると、微分値Rは式(8)に従って求められる。
R(t)=Kd・dF(t)/dt ・・・(8)
加算器40は、積分操作量Wもしくは積分パターン値Jと比例値Oと微分値Rを入力とし、これらの総和を算出して操作量Xを出力するものである。ある特定の時間tにおける偏差FをF(t)、そのときの操作量XをX(t)で表すとすると、前述した式(6)、式(7)、式(8)から操作量Xは式(9a)もしくは式(9b)に従って求められ、これをPIDC演算と呼ぶ。
X(t)=W(t)+Kp・F(t)+Kd・dF(t)/dt ・・・(9a)
X(t)=J(t)+Kp・F(t)+Kd・dF(t)/dt ・・・(9b)
X(t)=W(t)+Kp・F(t)+Kd・dF(t)/dt ・・・(9a)
X(t)=J(t)+Kp・F(t)+Kd・dF(t)/dt ・・・(9b)
つまり図1で示すように、温度制御部71へに対して、上位コントローラUcからの目標値Scおよびカスケード熱電対3からの制御量Aが入力されると、温度制御部71内の減算器21では目標値Scから制御量Aを減算した偏差Fが出力される。切替え器22によりPIDC演算器24に偏差Fが入力されたとき、PIDC演算器24では、偏差Fと予め設定された積分パターン積分値と比例微分演算器等を用いて、操作量Xが決定される。この操作量Xは目標値X’に変換され、この目標値X’とヒータ熱電対2からの制御量Bが減算器25に入力され、減算器25では目標値X’から制御量Bを減算した偏差Eが
出力される。PID演算器26では偏差Eを用いてPID演算され、温度制御部71の出力として操作量Zが出力され、ヒータ1に入力される。そしてヒータ1から出力された制御量Aおよび制御量Bは、再び温度制御部71に帰還される。このように温度制御部71から出力される操作量Zを、目標値Scと制御量Aとの偏差Fが零になるように時々刻々と変化させている。このような制御方式をPIDC制御と呼ぶ。
出力される。PID演算器26では偏差Eを用いてPID演算され、温度制御部71の出力として操作量Zが出力され、ヒータ1に入力される。そしてヒータ1から出力された制御量Aおよび制御量Bは、再び温度制御部71に帰還される。このように温度制御部71から出力される操作量Zを、目標値Scと制御量Aとの偏差Fが零になるように時々刻々と変化させている。このような制御方式をPIDC制御と呼ぶ。
次に、Powerパターン出力器27について説明する。
ここで、Power(パワー)パターンとは、積分演算分、微分演算分、比例演算分を含む、ヒータ出力値の代わりに予め積分、微分、比例演算分を含むヒータ出力値を過程に合わせて設定するものであり、Powerパターン出力器27は、予め設定されたパターンに基づいて操作量Zを出力するものである。具体的には、例えば図6に示すように、ある特定の時間t1はある一定の操作量Z1を出力し、t1経過後、ある特定の時間t2の間はある一定の操作量Z2を出力する。このとき、操作量Z1から操作量Z2に移行する際に予め設定された傾き(操作量/時間)によってランピングさせることも可能である。
このように予め時間と操作量と傾きによって作られる(パターン化される)パターンに基づいて操作量を決定し、出力する制御方式をPower制御と呼ぶ。
このように予め時間と操作量と傾きによって作られる(パターン化される)パターンに基づいて操作量を決定し、出力する制御方式をPower制御と呼ぶ。
図7は、本実施の形態による温度調整方法について説明するためのフローチャートである。ここでは、初期温度Sから目標温度S’にランプアップさせ安定工程に至るまでの場合について述べる。なお、ここでランプアップとは、立ち上げ(ramp−up)、すなわち昇温工程を意味する。
はじめにPID制御で前述の標準的なPIDパラメータ(Ki、Kp、Kd)を使用して、温度制御部71によってカスケード熱電対による検出温度が所定の目標温度となるようヒータの温度制御を行い(第一の工程)、温度特性基本データ(カスケード熱電対により検出される温度データ)を取得する(S11a)。
次に、図8に示すようにこの温度特性基本データに基づいて、ランプアップ開始(昇温開始)からの(カスケード熱電対の測定する温度に基づく)温度調整評価時間A1[min]を決定し、また、カスケード熱電対3の示す温度の最大オーバーシュート時間(ランプアップ開始からオーバーシュートが最大になるまでの時間)a[min]、目標温度S’到達時間b[min]、目標温度S’安定時間c[min]、目標温度安定時の操作量d[%]を求める。また、温度調整評価時間A1内の各時点での操作量e(t)[%]、ヒータ熱電対2の示す温度f(t)[℃](図示せず)、カスケード熱電対3の示す温度g(t)[
℃]を求める。
℃]を求める。
次に、カスケード熱電対3の示す温度(以下、カスケード温度ともいう)の温度調整評価時間A1中の総熱量B1[%*min]を求める。なお式(10)において、∫e(t)dtの積分範囲は0からA1の間である。
B1=∫e(t)dt ・・・(10)
B1=∫e(t)dt ・・・(10)
また温度調整評価時間A1中全域で目標温度S’の温度で安定していると仮定し、目標温度S’安定時の操作量dのみを出力したと仮定した場合の温度調整評価時間A1中の総熱量を安定熱量C1[%*min]とするとC1は以下の式(11)で求められる。
C1=d*A1 ・・・(11)
式(10)および式(11)から求めたB1、C1を用いて、以下の式(12)で求められる熱量を昇温熱量D1[%*min]とする。
D1=B1−C1 ・・・(12)
ここで、昇温熱量について説明する。初期温度から所望の目標温度S’に昇温し始めてから安定するまでのPID演算によって求められた熱量には、目標温度S’で安定保持するために必要な熱量と、目標温度まで設定値に追従しつつ昇温するために必要な熱量の2種類の熱量が含まれている。
C1=d*A1 ・・・(11)
式(10)および式(11)から求めたB1、C1を用いて、以下の式(12)で求められる熱量を昇温熱量D1[%*min]とする。
D1=B1−C1 ・・・(12)
ここで、昇温熱量について説明する。初期温度から所望の目標温度S’に昇温し始めてから安定するまでのPID演算によって求められた熱量には、目標温度S’で安定保持するために必要な熱量と、目標温度まで設定値に追従しつつ昇温するために必要な熱量の2種類の熱量が含まれている。
そこで、式(10)で求めた総熱量から目標温度に安定しているときの操作量を出力し続けたと仮定した場合の安定熱量を減算すれば、昇温するために必要な熱量、昇温熱量が得られる。
前述のように、昇温し始めてから目標温度までは、設定値に追従しつつ昇温するが、このとき昇温熱量が大きすぎると、目標温度を越えても昇温しつづけるオーバーシュートが発生してしまう。このオーバーシュートは温度制御上不必要な現象であり、極力無くす必要がある。ここで、総熱量のうち安定熱量ではなく、昇温熱量内にオーバーシュートの要因がひそんでいることとなり、この昇温熱量内にひそむオーバーシュート要因の熱量比率を反映させた出力パターンを用いることで、炉内を理想的な温度に素早く安定させることができることとなる。
次に図9の斜線部に示すように、評価開始から目標温度S’到達時間 b から目標温度S’安定時間cの間オーバーシュートしたカスケード温度の総和を求める。これをオーバーシュート温度総和F’とするとF’は以下の式(13)で求められる。なお式(13)において、∫g(t)dtの積分範囲はbからcの間である。
F’=∫g(t)dt−S’*(c−b) ・・・(13)
F’=∫g(t)dt−S’*(c−b) ・・・(13)
次に図10の斜線部に示すように評価開始から目標温度S’安定時間cの間の温度総和を求める。これを温度総和GとするとGは以下の式(14)で求められる。なお式(14)において、∫g(t)dtの積分範囲は0からcの間である。
G=∫g(t)dt−S*c ・・・(14)
G=∫g(t)dt−S*c ・・・(14)
次に、オーバーシュート温度比率H[百分率]を求める。これは、図10に示すような温度総和Gに対するオーバーシュート温度総和F’の割合である。よって以下の式(15)で求められる。
H=F’/G ・・・(15)
H=F’/G ・・・(15)
このオーバーシュート温度比率H分が、昇温熱量D1にひそむオーバーシュート要因の熱量の比率である。よって昇温熱量D1からオーバーシュート温度比率H分だけ削減することにより昇温熱量D1に反映させることで、オーバーシュートを抑制し、炉内を理想的な温度に素早く安定させることができる。オーバーシュート温度比率Hを削減後の昇温熱量をD1’とするとD1’は以下の式(16)で求められる。
D1’=D1*(1−H) ・・・(16)
D1’=D1*(1−H) ・・・(16)
そして、上述のようにして求めたa、d、D1’を用いてPower出力パターンのパターン(第一の出力制御パターンに相当)を求め(第二の工程)、Power制御を行う(第三の工程)。すなわち、第一の工程におけるヒータの制御においてカスケード熱電対により検出される検出温度に基づき、ヒータを制御するための操作量(第一の操作量)をパターン化し(図11に示す操作量を参照)、第一の出力制御パターンを求め、当該第一の出力制御パターンに基づいてヒータの制御を行う。すなわち、カスケード熱電対により検出される温度データに基づいて、POWER出力パターンを規定する操作量である第一
の操作量をパターン化し、POWER出力パターンを求める。
の操作量をパターン化し、POWER出力パターンを求める。
Power出力パターンは図11に示すパターンを求める(S11b)。昇温ランプレート(℃/min)をhとすると図11中の各パラメータは以下の式(17)〜式(20)で求められる。なお、ここでのランプレートとは、温度変化の速度(傾き)を意味し、例えば100℃から200℃に5分間で昇温させたい時のランプレートは、(200℃−100℃)/5分=20℃/分となる。
E0=(D1’/T1)+d ・・・(17)
E1=d ・・・(18)
T1=(S’−S)/h ・・・(19)
T2=a−T1 ・・・(20)
ここで、E0は昇温熱量D1’を一定の出力量として、D1’を、初期温度Sから目標温度S’に到達させる時間T1の時間で割り、目標温度安定時の操作量d(%)を加えたもの(すなわち、T1のときの操作量)である。また、Sは初期温度を示す。
E0=(D1’/T1)+d ・・・(17)
E1=d ・・・(18)
T1=(S’−S)/h ・・・(19)
T2=a−T1 ・・・(20)
ここで、E0は昇温熱量D1’を一定の出力量として、D1’を、初期温度Sから目標温度S’に到達させる時間T1の時間で割り、目標温度安定時の操作量d(%)を加えたもの(すなわち、T1のときの操作量)である。また、Sは初期温度を示す。
T1以降は、カスケード温度の最大温度に達する時間(最大オーバーシュート時間)a(min)に達するまでは目標温度安定時の操作量dしか出力しないようにする。
このPower出力パターンを用いることによってランプレートhに追従し、かつ素早く安定させることのできるヒータ熱電対2の示す温度波形を得ることができる。これをPower制御時温度特性データとして取得する(S12)。
続いて、Power制御時基本温度特性データのオーバーシュート量の判定を行い(S13)、あらかじめ設定されたオーバーシュート許容値よりオーバーシュート量が大きい場合(S13,Yes)、前述の式(13)〜(20)を用い、温度波形全体とオーバーシュートした部分との比率からPower出力パターンを修正し、オーバーシュートを軽減させるように調整を行う(S14)。そして、このようにして修正されたPower出力パターンにより再度Power制御し(第三の工程)、その制御時の温度特性データを取得する(S12)。
次に、オーバーシュート量があらかじめ設定されたオーバーシュート許容値より大きくない場合(S13,No)、図12に示すように、第一の工程の際取得したPID制御時のカスケード熱電対に対する温度推移(温度波形)、第三の工程の際取得したPower制御時温度特性基本データからPower制御開始からの温度調整評価時間J1[min]を決定し、また、ヒータ熱電対2の示す最大温度時の時間j[min]、ヒータ熱電対2が示す温度が十分に安定した時間n[min]を求める。ここで、温度調整評価時間J1内の各時点でのPower制御時のヒータ熱電対2の示す温度(以下、ヒータ波形ともいう)をk(t)[℃]、カスケード熱電対3の示す温度をm(t)[℃]とする。
これらのデータから図12に示すようなPower制御時のヒータ熱電対2の示す温度k(t)の波形から、P動作分を差し引いたヒータ波形L(t)を基に図13に示すような積分出力パターン(第二の出力制御パターンに相当)M(t)を求める(第四の工程)(S15)。すなわち、ヒータ波形L(t)に基づいて、積分出力パターンを規定する操作量である第二の操作量(図5に示す操作量を参照)の少なくとも一部をパターン化し、積分出力パターンを求める。
ここでヒータ熱電対2の示す温度k(t)の波形からP(比例)動作分引く理由は、k(t)はPID制御時にPID演算によって算出された出力を基にしてPower出力パターンを作成し、取得しているため、この波形はP(比例)出力、I(積分)出力、D(微分)出力の総和によるものである。
そのためP出力とD出力分を差し引けば所望の積分出力パターンM(t)が求められる。ここで、一般的に昇温時にはD出力は微小であるためD出力は無視できる。
次にP動作分を差し引いたヒータ温度波形L(t)からさらにk(0)・jを差し引いた、評価開始からヒータ波形k(t)が示す最大ヒータ温度時点jまでの時間の熱量を求める。仮にQとする。なお式(21)において、∫L(t)dtの積分範囲は0からjの間である。
Q=∫L(t)dt−k(0)・j ・・・(21)
このQを最大ヒータ温度時点jまでの時間で割ることで、評価開始からj時点までQと面積(熱量)が同じでヒータ温度が一定の値Mを求めることができる。
(底辺j、高さMの長方形の面積(熱量)=Qの面積(熱量))
M=Q/j ・・・(22)
このMを2倍すると、Qの面積(熱量)と等しい底辺j高さM*2の三角形を求めることができる。この三角形の高さと傾きとk(0)・jを用いることにより、ヒータ熱電対が示すP動作分を除いたヒータ熱電対の示す温度(以下、ヒータ熱電対温度ともいう)による熱量と同じ熱量となる適切な積分出力パターンである。
Q=∫L(t)dt−k(0)・j ・・・(21)
このQを最大ヒータ温度時点jまでの時間で割ることで、評価開始からj時点までQと面積(熱量)が同じでヒータ温度が一定の値Mを求めることができる。
(底辺j、高さMの長方形の面積(熱量)=Qの面積(熱量))
M=Q/j ・・・(22)
このMを2倍すると、Qの面積(熱量)と等しい底辺j高さM*2の三角形を求めることができる。この三角形の高さと傾きとk(0)・jを用いることにより、ヒータ熱電対が示すP動作分を除いたヒータ熱電対の示す温度(以下、ヒータ熱電対温度ともいう)による熱量と同じ熱量となる適切な積分出力パターンである。
図13に示すように評価開始からPower制御時のヒータ熱電対の示す最大温度時点jの間をステップ1、Power制御時(ヒータ熱電対の示す)最大ヒータ温度時点jからPID制御時最大カスケード温度時間aの間をステップ2とする。
ステップ1温度は前述の三角形の高さと傾きを適用すれば、評価開始からPower制御時のヒータ熱電対の示す最大温度時点jまでの適切な積分出力パターンになる。すなわち、Power制御時のヒータ熱電対最大時点には、ヒータ加熱による昇温させるための出力、すなわち昇温熱量によるヒータ熱電対の検出する温度への影響がなくなる時点であり、この時点まで昇温させるよう積分出力パターンを作成するのが適切である。
ステップ2の終了時点であるPID制御時のカスケード熱電対の示す最大温度到達時点以降は、カスケード熱電対の検出する温度としては、ヒータ加熱の変動の影響等が無くなる。つまりこの時点でカスケード温度が目標温度S’に到達すれば、その後はオーバーシュートすることなく、目標温度S’で安定する。すなわち、カスケード熱電対の示す最大温度到達時点では、ヒータ加熱による昇温させるための出力、すなわち昇温熱量によるカスケード熱電対の検出する温度への影響がなくなる時点であり、この時点まで昇温させるよう積分出力パターンを作成するのが適切である。
よって積分出力パターンについてもPID制御時におけるカスケード熱電対の検出する温度が最大となる時点で安定時の出力になるようにパターン化すれば、ステップ2の適切な積分出力パターンであり、ステップ1目標温度Vからヒータ熱電対が十分に安定した時間nのヒータ温度k(n)へ線形でパターン化すれば良い。なお、PID制御時とせず、Power制御時におけるカスケード熱電対の検出温度が最大となるようにしてもよい。
図12および図13におけるパラメータであるL(t)[℃](P分差し引いたヒータ温度)、V[℃](図13におけるSTEP1目標温度)、T[℃/min](図13におけるSTEP1傾き)およびU[℃/min](図13におけるSTEP2傾き)は以下の式(23)〜(26)で求められる。
L(t)[℃]
=(ヒータ波形−P動作出力分)
=k(t)−[P定数Kp*(目標温度S’−POWER制御時のカスケード温度m(t))]
・・・(23)
式(21)および式(22)より
V[℃]= (∫L(t)dt/j)×2 ・・・(24)
T[℃/min]= (V−k(0))/j ・・・(25)
U[℃/min]= (k(n)−V)/(a−j) ・・・(26)
以上のような式から積分出力パターンを作成し、PIDC制御を行う(S15)。なお式(24)において、∫L(t)dtの積分範囲は0からjの間である。
L(t)[℃]
=(ヒータ波形−P動作出力分)
=k(t)−[P定数Kp*(目標温度S’−POWER制御時のカスケード温度m(t))]
・・・(23)
式(21)および式(22)より
V[℃]= (∫L(t)dt/j)×2 ・・・(24)
T[℃/min]= (V−k(0))/j ・・・(25)
U[℃/min]= (k(n)−V)/(a−j) ・・・(26)
以上のような式から積分出力パターンを作成し、PIDC制御を行う(S15)。なお式(24)において、∫L(t)dtの積分範囲は0からjの間である。
具体的には図13に示すようにステップ毎に初期値、目標値、レート、時間を設定しステップに沿って出力していくものである。また積分出力パターンについては過渡期において前述の2ステップでなく、より多くのステップを用いて作成することもできる。
図14に示すように、例えば温度過渡期において、ある一定の時間q[min]毎に積分パターン出力のステップをr個設定すると、各ステップSTEP(r)の目標温度Vrとランプレート(傾き)Yrは以下の式(27)および式(28)で求められる。
Vr[℃]=(∫L(r*q)dt/q)*2 ・・・(27)
Yr[℃/min]=(V(r−1)−V(r))/q ・・・(28)
Vr[℃]=(∫L(r*q)dt/q)*2 ・・・(27)
Yr[℃/min]=(V(r−1)−V(r))/q ・・・(28)
以上のように積分出力パターンを作成することにより、温度過渡期における積分出力の増大を防ぐことができ、またPower制御の波形をベースにすることによって最短で炉内を目標温度S’に安定させることができる。
さらに本実施の形態における熱処理装置は、前述の積分出力パターンでPIDC制御を実施してもオーバーシュート、アンダーシュートが大きい場合、あるいは加熱ゾーン間での偏差が大きく改善する必要がある場合にはこれらを調整する機能を備える。例えば、積分出力パターンを用いることによって、過剰な積分演算値は除外されるが、一方、その影響により、昇温するタイミングが遅くなり、比例演算値等が余計に大きくなってしまうことがある。そのため、これらを調整する必要がある場合が出てくる。
以下、オーバーシュート、アンダーシュートの改善調整について説明する。前述の通り、本発明では温度過渡期の積分出力をパターン化し、また温度安定期には積分出力量が安定時のそれとなるように積分出力パターンを作成し、積分演算出力に加えて温度調整している。ここで、温度安定期に、積分演算出力を用いているのは、予想不可能な外乱等の少々の温度変化による悪影響が昇温時に比べて比較的顕著になりやすいので、積分出力パターンのみでは対応できないのを積分演算出力をも用いることで対応するためである。
つまり、例えば図13に示す温度制御においては、ステップ3からは安定期であり、ステップ2とステップ3の切り替え時点で目標温度S’とカスケード熱電対の示す温度との偏差を0にすれば、その後温度は安定し、これが適切な調整になると考えられる。
よって、オーバーシュートあるいはアンダーシュートが発生した場合(S16,Yes)はステップ2とステップ3の切替え点(PID制御切替え時点)での目標温度S’とカスケード熱電対の示す温度との偏差から積分出力パターンを修正し、オーバーシュートあるいはアンダーシュートを軽減するよう調整する(S17a)。
図15に示すようにステップ2とステップ3の切替え点でのカスケード熱電対が示す温度と目標温度S’との偏差をpとすると、積分出力パターンは適切であるにも関わらず、オーバーシュート、アンダーシュートが発生するのは、過渡期におけるP出力の影響が大きいと考えられる。ステップ2とステップ3の切替え点での偏差pから算出されたP出力W1は、式(7)と同様に式(29)で求められる。
W1=Kp・p ・・・(29)
つまりこのP出力W1分が余分な出力であり、ステップ1とステップ2の切替え点で偏差pとなって表れていると考えられる。
W1=Kp・p ・・・(29)
つまりこのP出力W1分が余分な出力であり、ステップ1とステップ2の切替え点で偏差pとなって表れていると考えられる。
よってオーバーシュート、アンダーシュート改善は、積分出力パターンでこの余分なP出力W1を調整することによって実現できると考えられる。
ここで、温度過渡期はステップ1〜ステップ2であり、この調整量W1をステップ1目標温度Vから減算しステップ1傾きT、ステップ2傾きUを再算出することによって温度過渡期、つまりステップ1〜ステップ2の操作量を適切なものに調整することができる。
つまりアンダーシュートしているなら温度過渡期の積分操作量を大きく、オーバーシュートしているなら温度過渡期の積分操作量を小さくすることで、ステップ2とステップ3の切替え点での目標温度S’とカスケード熱電対の示す温度との偏差を少なくでき、オーバーシュート、アンダーシュートを改善することができる。
つまりアンダーシュートしているなら温度過渡期の積分操作量を大きく、オーバーシュートしているなら温度過渡期の積分操作量を小さくすることで、ステップ2とステップ3の切替え点での目標温度S’とカスケード熱電対の示す温度との偏差を少なくでき、オーバーシュート、アンダーシュートを改善することができる。
調整量W1、積分出力初期温度k(0)、ステップ1目標温度V、ステップ1の時間j、ステップ2の時間(a−j)、ヒータ安定温度(ステップ3目標温度)k(n)とすると、調整後のステップ1目標温度V’、ステップ1ランプレートT’、ステップ2ランプレートU’は以下の式(30)〜式(32)で求められる。
V’=V−W1 ・・・(30)
T’[℃/min]=(V’−k(0))/j ・・・(31)
U’[℃/min]=(k(n)−V’)/(a−j) ・・・(32)
V’=V−W1 ・・・(30)
T’[℃/min]=(V’−k(0))/j ・・・(31)
U’[℃/min]=(k(n)−V’)/(a−j) ・・・(32)
図16に示すように温度調整が適切であっても加熱ゾーン毎に操作量を作成、調整しているため、目標温度安定まで早いゾーンと遅いゾーンが発生してしまい、これがゾーン間偏差となり場合によっては膜厚に影響を与えることがある。
そこで、ゾーン間偏差があらかじめ設定された許容値より大きい場合(S18,Yes)、積分出力パターンを調整することによって目標温度安定が早いゾーンを遅いゾーンに合わせて遅くし、ゾーン間偏差を改善する(S19)。
ある目標温度安定が早いゾーン901と目標温度安定が遅いゾーン902との間の最大ゾーン間偏差最大時点での時間偏差dev_t[min]を求める。
これはゾーン間偏差最大時点でのゾーン902の温度B’を求め、ゾーン901が温度B’になった時点とゾーン間偏差最大時点との差分が時間偏差dev_tとして求められる。
次に図17で示すようにゾーン901の積分出力パターンの各ステップをdev_tだけ遅くすることによって目標温度安定をゾーン902に合わせて遅くする。
図17に示す各パラメータは以下の式(33)および式(34)で求められる。
ここでTは前述のステップ1の傾きT[℃/min]である。
a’=a+dev_t ・・・(33)
k(0)’=k(0)+T・dev_t ・・・(34)
以上のように、積分出力パターンを時間偏差dev_t分遅くすることによって目標温度安定が早いゾーンを遅くすることができる。
ここでTは前述のステップ1の傾きT[℃/min]である。
a’=a+dev_t ・・・(33)
k(0)’=k(0)+T・dev_t ・・・(34)
以上のように、積分出力パターンを時間偏差dev_t分遅くすることによって目標温度安定が早いゾーンを遅くすることができる。
一方、ゾーン間偏差があらかじめ設定された許容値より大きくはない場合(S18,No)、温度調整処理を終了する。
このように、本実施の形態による半導体装置の製造方法では、ヒータの操作量の少なくとも一部として上述の第二の出力制御パターンを用いた温度制御を行うことにより基板に対する熱処理を行う(第五の工程)。
具体的には、上述の求めた積分出力パターンにより、上位コントローラUcにて、加熱ゾーン毎に積分出力パターンを複数のステップ毎に出力値、レート、時間を設定し、さらに切替え器44の切替えの時間を設定する。なお、切替え器44の切替えの時間は、昇温終了後安定時に移る時間(例えば図17のステップ2からステップ3へ移行する時間)に設定する。
設定後、PIDC演算器24およびPID演算器26等を用い、温度制御を実施し、基板を処理する。具体的には、温度制御部71は、昇温時(例えば図17のステップ1およびステップ2)は、目標値Sc(例えば図17のStep2目標温度k(n))に対し、カスケード熱電対3からの制御量Aを減算器21にて減算した結果Fに基づき、比例演算器42および微分演算器43、積分パターン出力器45にて操作量(第二の操作量)Xを演算し、その後、操作量Xを目標値X’に変換し、ヒータ熱電対2からの制御量Bを減算器25にて減算し、偏差(第一の偏差)Eを出力する。その後、PID演算器26で、偏差E
を用いてPID演算し、温度制御部71の出力として操作量Zを出力しヒータ1を制御する。
を用いてPID演算し、温度制御部71の出力として操作量Zを出力しヒータ1を制御する。
そして、ヒータ1から出力された制御量AおよびBは、再び、温度制御部71に帰還される。このようにして、操作量Zを目標値Scと制御量Aとの偏差Fが零になるように制御する。また、昇温終了後安定時(例えば図17のステップ3)には、昇温終了後、切替え器44により、切替えをし、目標値Scに対し、カスケード熱電対3からの制御量Aを減算器21にて減算した結果Fを、比例演算器42および微分演算器43、積分パターン出力器46、積分演算器41にて操作量(第三の操作量)Xを演算し、その後、操作量Xを目標値X’に変換し、ヒータ熱電対2からの制御量Bを減算器25にて減算し、偏差(
第二の偏差)Eを出力する。その後、PID演算器26で、偏差Eを用いてPID演算し、温度制御部71の出力として操作量Zを出力しヒータを制御する。そして、ヒータ1から出力された制御量AおよびBは、再び、温度制御部71に帰還される。このときも、操作量Zを目標値Scと制御量Aとの偏差Fが零になるように制御する。このような温度制御をしつつ、基板に対する熱処理を行う。
第二の偏差)Eを出力する。その後、PID演算器26で、偏差Eを用いてPID演算し、温度制御部71の出力として操作量Zを出力しヒータを制御する。そして、ヒータ1から出力された制御量AおよびBは、再び、温度制御部71に帰還される。このときも、操作量Zを目標値Scと制御量Aとの偏差Fが零になるように制御する。このような温度制御をしつつ、基板に対する熱処理を行う。
本実施の形態による温度制御を行った場合における、炉内の温度変化を図18、図19、図20に示す。
図18、図19はランプアップ時の具体的な例である。図18で示す従来の手法である
PID制御によるランプアップ時ではオーバーシュートが約40℃、目標温度±3℃に安定するまで35分である。図19で示す本発明(図12)の手順に基づいて温度調整したPIDC制御によるランプアップ時では、オーバーシュートが約2℃、目標温度±3℃以内に安定するまで約17分である。このように、ランプアップ時において本発明が有効であることは明らかである。
PID制御によるランプアップ時ではオーバーシュートが約40℃、目標温度±3℃に安定するまで35分である。図19で示す本発明(図12)の手順に基づいて温度調整したPIDC制御によるランプアップ時では、オーバーシュートが約2℃、目標温度±3℃以内に安定するまで約17分である。このように、ランプアップ時において本発明が有効であることは明らかである。
図20はランプアップにおけるゾーン間偏差の改善結果である。
ゾーン間偏差調整前にはゾーン間偏差が約50℃ある。本発明の手順に基づいてゾーン間調整した結果、ゾーン間偏差を約20℃以内に低減することができた。
ゾーン間偏差調整前にはゾーン間偏差が約50℃ある。本発明の手順に基づいてゾーン間調整した結果、ゾーン間偏差を約20℃以内に低減することができた。
図20から本発明のゾーン間偏差調整手順はゾーン間偏差を低減するのに有効であることは明らかである。
(第2の実施の形態)
続いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。
続いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。
本実施の形態による熱処理装置は、上述の第1の実施の形態による熱処理装置と同じ構成となっている。本実施の形態と第1の実施の形態とは、温度調整方法の手順において、オーバーシュートあるいはアンダーシュートが発生した場合(S16,Yes)における処理が異なる。以下、本実施の形態において、第1の実施の形態における装置構成や処理内容と同様なものについては同一符号を付し、説明は割愛する。 図21は、本実施の形態における温度調整手順について説明するためのフローチャートである。
上述の第1の実施の形態では温度過渡期の積分出力をパターン化し、また温度安定期には積分出力量が安定時のそれとなるように作成し、温度調整している。
つまり、ステップ1〜ステップ2は温度過渡期であり、ステップ3は安定期である。
つまり、ステップ1〜ステップ2は温度過渡期であり、ステップ3は安定期である。
ここで、第2の実施の形態については、S17aの温度調整を用いた調整に代えて、オーバーシュート温度比率を用いて調整する。
第2の実施の形態についても、オーバーシュート温度比率Hを前述の式(13)〜式(15)を用いて、S15のPIDC制御結果を基に求める。算出したオーバーシュート温度比率H分がステップ1〜ステップ2の積分出力パターンにひそむオーバーシュート要因の熱量比率である。よってステップ1目標温度Vからオーバーシュート温度比率H分だけ削減することで温度過渡期の積分出力パターンに反映させ、炉内を理想的な温度に素早く安定させることができる(S17b)。
初期温度k(0)、ステップ1目標温度V、ステップ1時間j、ステップ2時間(a−j)、ヒータ安定温度(ステップ3目標温度)k(n)とすると、オーバーシュート温度比率Hを削減後のステップ1目標温度V’、ステップ1ランプレートT’、ステップ2のランプレートU’は、以下の式(35)〜式(37)で求められる。
V’=V*(1−H) ・・・(35)
T’[℃/min]=(V’−k(0))/j ・・・(36)
U’[℃/min]=(k(n)−V’)/(a−j) ・・・(37)
以上の手順を実行することによって、熟練した作業者でなくとも、早く確実に、適切な温度調整を行うことができる(S17b)。
V’=V*(1−H) ・・・(35)
T’[℃/min]=(V’−k(0))/j ・・・(36)
U’[℃/min]=(k(n)−V’)/(a−j) ・・・(37)
以上の手順を実行することによって、熟練した作業者でなくとも、早く確実に、適切な温度調整を行うことができる(S17b)。
(第3の実施の形態)
続いて、本発明の第3の実施の形態について説明する。
続いて、本発明の第3の実施の形態について説明する。
本実施の形態による熱処理装置は、上述の第1の実施の形態による熱処理装置と同じ構成となっている。本実施の形態と第1の実施の形態とは、熱処理工程の相違があり、第1の実施の形態では、主にランプアップから目標温度安定時までの工程であり、第3の実施の形態では、主にボートアップリカバリ工程である。尚、ボートアップリカバリ工程とは、次回に熱処理しようとウエハを充填したボートをボートエレベータにより上昇させて反応管内に搬入する際に、室温(約25℃)状態のボートおよびウエハの熱影響により、反応管内の温度(例えば200℃)が低下するが、この低下した反応管内の温度を修復し、ウエハおよびボートが反応管内に移された状態で元の温度(この場合200℃)に反応管内の温度を戻す工程のことをいう。昇温熱量Dの算出処理からゾーン間偏差の改善調整(第1の実施の形態におけるステップS19)までの処理が異なる。以下、本実施の形態において、第1の実施の形態における装置構成や処理内容と同様なものについては同一符号を付し、説明は割愛する。
まず、図22に示すように、PID制御で得られた温度特性基本データからランプアップ開始からの温度調整評価時間A1[min]を決定し、また、カスケード熱電対3の示す温度の最大オーバーシュート時間a[min],初期温度S戻り時間b[min]、初期温度S安定時間c[min]、初期温度安定時の操作量d[%]を求める。また、温度調整評価時間A1内の各時点での操作量e(t)[%]、ヒータ熱電対2の示す温度f(t)[℃]、カスケード熱電対3の示す温度g(t)[℃]を求める。また、g(t)が低下しはじめるまでの時間をs[min]とする。
オーバーシュートしている間出力されなかった安定熱量を欠落熱量Y[%*min]とすると、Yは式(38)で求められる。なお式(38)において、∫(d−e(t))dtの積分範囲はbからcの間である。
Y=∫(d−e(t))dt ・・・(38)
第1の実施の形態にて示した式(10)および式(11)を前述の図22に示す温度特性基本データに適用して求め、式(38)とから求めた総熱量B1、安定熱量C1、欠落熱量Yを用いて、以下の式(39)で求められる熱量を昇温熱量D1[%*min]とする。
D1=B1−C1+Y ・・・(39)
ここで、昇温熱量と欠落熱量について説明する。ボートアップ後、ある初期温度Sに安定するまでのPID演算によって求められた総熱量には、初期温度Sで安定保持するために必要な熱量が含まれると考えられる。
Y=∫(d−e(t))dt ・・・(38)
第1の実施の形態にて示した式(10)および式(11)を前述の図22に示す温度特性基本データに適用して求め、式(38)とから求めた総熱量B1、安定熱量C1、欠落熱量Yを用いて、以下の式(39)で求められる熱量を昇温熱量D1[%*min]とする。
D1=B1−C1+Y ・・・(39)
ここで、昇温熱量と欠落熱量について説明する。ボートアップ後、ある初期温度Sに安定するまでのPID演算によって求められた総熱量には、初期温度Sで安定保持するために必要な熱量が含まれると考えられる。
しかし、後追い制御であるため、ボートアップによって初期温度Sからある程度温度が低下し、初期温度と実測値との偏差が大きくなってから、初期温度Sに安定保持するためPID演算の出力が大きくなる。
ここでボートアップによって低下したときの最低カスケード温度S1、評価開始からS1までの時間をr1とすると、ボートアップリカバリは評価開始からr1経過後にボートアップによって低下したときの最低カスケード温度S1から初期温度Sへのランプアップと考えることができる。
S1からSへのランプアップと考えた場合、前述の初期温度Sで安定保持するために必要な熱量は、ボートアップによって低下した最低カスケード温度S1から初期温度Sに昇温するための熱量と初期温度Sで安定保持するための熱量に分けられる。
そこで、式(10)を前述のように適用することによって求めた総熱量から初期温度Sで安定保持するための熱量として、ボートアップ後、カスケード温度が安定したときの操作量を出力し続けたと仮定した場合の安定熱量を減算すれば、昇温するために必要な熱量、昇温熱量が得られる。
しかし、低温(例えば50℃〜200℃の温度帯)でのボートアップリカバリの場合、カスケード温度オーバーシュート後、目標温度に到達してから安定するまでの時間(c−b)があまりに大きくなってしまう。カスケード温度が十分安定するまでを温度調整評価時間A1とすると、(c−b)と同じように温度調整評価時間A1も大きくなり、式(11)を適用することで求めた安定熱量が式(10)を適用することで求めた総熱量より大きくなってしまい、昇温熱量が正しく求められない。
そこで、式(38)で示すようにオーバーシュートしている(c−b)間において、安定時の操作量と操作量の実測値の差分の熱量を式(10)を適用することにより求めた総熱量に加えることによって、(c−b)間で失われた安定熱量分である欠落熱量を補正することができ、正しい昇温熱量を求めることができる。
一方、この昇温熱量が大きすぎると、初期温度Sに安定保持しようとするが、オーバーシュートしてしまうと考えられる。つまりこの昇温熱量内にひそむオーバーシュート要因の熱量比率を反映させた出力パターンを用いることで、炉内を理想的な温度に素早く安定させることができると考えられる。
次に図23の斜線部に示すように初期温度S到達時間bから初期温度S安定時間cの間オーバーシュートしたカスケード温度の総和を求める。これをオーバーシュート温度総和F”とするとF”は以下の式(40)で求められる。なお式(40)において、∫g(t)dtの積分範囲はbからcの間である。
F”=∫g(t)dt−S(c−b)・・・(40)
次に図24の斜線部に示すように最低温度S1時点r1から初期温度S安定時間cの間の温度総和を求める。これを温度総和GとするとGは以下の式(41)で求められる。なお式(41)において、∫g(t)dtの積分範囲はr1からcの間である。
G=∫g(t)dt−S1(c−r1) ・・・(41)
次にオーバーシュート温度比率Hおよびオーバーシュート温度比率Hを削減後の昇温熱量D1’を求める。なお、オーバーシュート温度比率Hおよび昇温熱量D1’の算出については、上述の第1の実施の形態と同様であるため、説明は割愛する。
F”=∫g(t)dt−S(c−b)・・・(40)
次に図24の斜線部に示すように最低温度S1時点r1から初期温度S安定時間cの間の温度総和を求める。これを温度総和GとするとGは以下の式(41)で求められる。なお式(41)において、∫g(t)dtの積分範囲はr1からcの間である。
G=∫g(t)dt−S1(c−r1) ・・・(41)
次にオーバーシュート温度比率Hおよびオーバーシュート温度比率Hを削減後の昇温熱量D1’を求める。なお、オーバーシュート温度比率Hおよび昇温熱量D1’の算出については、上述の第1の実施の形態と同様であるため、説明は割愛する。
以上から、図25に示すPower出力パターンを求め、Power制御を行う。図25中の各パラメータは以下の式(42)〜式(46)で求められる。
E0=(D1’/T1)+d ・・・(42)
E1=d ・・・(43)
T0=s ・・・(44)
T1=(r1−s) ・・・(45)
T2=a−T1−T0 ・・・(46)
続いて、T0について説明する。ボートアップ時には加熱ゾーンごとに大きく影響が異なり、特にLゾーンとUゾーンでは大きく異なる。Lゾーンの場合、ボートアップ時には、常に常温のウエハ、ボート等が順次上がって来る入り口側になるため、ボートアップによる温度低下が激しい。一方UゾーンではL〜CUゾーンの間をボートアップする間にある程度ウエハ、ボート等が温められるため、Lゾーンと比較すると温度低下が比較的緩い。したがって、ボートアップ開始(評価開始)と同時にLゾーン、CLゾーン、CUゾーンおよびUゾーンそれぞれ安定時操作量に適切な昇温熱量を加えたとすると、Uゾーンにおいては特にボートアップの影響、つまりUゾーン付近にウエハ、ボート等が到達する際に生じるカスケード温度が低下する前に昇温することになり、無駄な熱量(例えば、オーバーシュート)が発生する。
E0=(D1’/T1)+d ・・・(42)
E1=d ・・・(43)
T0=s ・・・(44)
T1=(r1−s) ・・・(45)
T2=a−T1−T0 ・・・(46)
続いて、T0について説明する。ボートアップ時には加熱ゾーンごとに大きく影響が異なり、特にLゾーンとUゾーンでは大きく異なる。Lゾーンの場合、ボートアップ時には、常に常温のウエハ、ボート等が順次上がって来る入り口側になるため、ボートアップによる温度低下が激しい。一方UゾーンではL〜CUゾーンの間をボートアップする間にある程度ウエハ、ボート等が温められるため、Lゾーンと比較すると温度低下が比較的緩い。したがって、ボートアップ開始(評価開始)と同時にLゾーン、CLゾーン、CUゾーンおよびUゾーンそれぞれ安定時操作量に適切な昇温熱量を加えたとすると、Uゾーンにおいては特にボートアップの影響、つまりUゾーン付近にウエハ、ボート等が到達する際に生じるカスケード温度が低下する前に昇温することになり、無駄な熱量(例えば、オーバーシュート)が発生する。
そこで各ゾーンにおいてボートアップの影響によってカスケード温度が低下しはじめるまで、例えば1分間で1℃低下するまでは昇温熱量は出力しないというように予め設定しておく。
これによって、ゾーン毎に昇温熱量分の出力を開始する時間に差ができ、ゾーン毎に適切な温度調整が可能になる。
E0は昇温熱量D1’を一定の出力量で出力するよう時間T1で割り、初期温度安定時の操作量dを加えたものである。その後は最大オーバーシュート時間aに達するまで目標温度安定時の操作量dしか出力しないようにする。
このPower出力パターンを用いることによって炉内を初期温度Sに素早く安定させることのできるヒータ熱電対2の示す温度波形を得ることができる。これをPower制御時温度特性データとして取得する。
次に図26に示すようにこのPower制御時温度特性基本データからPower制御開始からの温度調整評価時間J1[min]を決定し、また、ゾーン毎にヒータ熱電対2の示す最高温度の時間j[min]、ヒータ熱電対2が示す温度が十分に安定した時間n[min]を求める。また、温度調整評価時間J1内の各時点でのヒータ熱電対2の示す温度k(t)[℃]、カスケード熱電対3の示す温度m(t)[℃]とする。
これらのデータから図26に示すようなk(t)の波形からP動作分を差し引いたヒータ波形L(t)を基に 図27に示すような積分出力パターンM(t)を求める。ここでヒータ熱電対2の示す温度k(t)の波形からP動作分引く理由は、k(t)はPID制御時にPID演算によって算出された出力を基にしてPower出力パターンを作成し、取得しているため、この波形はP(比例)出力、I(積分)出力、D(微分)出力の総和によるものである。そのためP出力とD出力分を差し引けば所望の積分出力パターンM(t)が求められる。ここで、一般的に昇温時には、D出力は微小であるためD出力は無視
できる。
できる。
次にP動作分を差し引いたヒータ温度波形L(t)の昇温熱量分出力開始時点sから最大ヒータ温度時点j(P分引いていない実測値)までの面積(熱量)を求める。仮にQとする。なお式(47)において、∫L(t)dtの積分範囲はsからjの間である。
Q=∫L(t)dt−k(0)・(j−s) ・・・(47)
このQをj、最大ヒータ温度時点までの時間で割ることで、s時点からj時点までQと面積(熱量)が同じでヒータ温度が一定の値Mを求めることができる(底辺(j−s)、高さMの長方形の面積(熱量)=Qの面積(熱量))。
M=Q/(j−s) ・・・(48)
このMを2倍すると、Qの面積(熱量)と等しい底辺(j−s)、高さM*2の三角形を求めることができる。この三角形の高さと傾きと、k・(j−s)を用いることにより、ヒータ熱電対が示すP動作分を除いたヒータ熱電対の示す温度による熱量と同じ熱量となる。
Q=∫L(t)dt−k(0)・(j−s) ・・・(47)
このQをj、最大ヒータ温度時点までの時間で割ることで、s時点からj時点までQと面積(熱量)が同じでヒータ温度が一定の値Mを求めることができる(底辺(j−s)、高さMの長方形の面積(熱量)=Qの面積(熱量))。
M=Q/(j−s) ・・・(48)
このMを2倍すると、Qの面積(熱量)と等しい底辺(j−s)、高さM*2の三角形を求めることができる。この三角形の高さと傾きと、k・(j−s)を用いることにより、ヒータ熱電対が示すP動作分を除いたヒータ熱電対の示す温度による熱量と同じ熱量となる。
図27に示すように評価開始から昇温熱量分出力開始時点sまでをステップ0、s時点からPower制御時最大ヒータ温度時点jの間をステップ1、Power制御時最大ヒータ温度時点jからPID制御時最大カスケード温度時間aの間をステップ2とする。
ステップ0温度はまだボートアップによる影響が出ない期間であるため、評価開始時の温度で安定させる。
ステップ1温度は前述の三角形の高さと傾きを適用すれば、評価開始からPower制御時のヒータ熱電対の示す最大ヒータ温度時点jまでの適切な積分出力パターンであると考えられる。
ステップ2の終了時点であるPID制御時最大カスケード時点は、カスケード温度に対して、この時点以降は温度過渡期における外乱等の影響が無くなると考えられる。つまりこの時点でカスケード温度が初期温度Sに到達すれば、その後はオーバーシュートすることなく、初期温度Sで安定すると考えられる。
図26、図27におけるパラメータL(t)[℃](P分差し引いたヒータ温度)、V[℃](STEP1目標温度)、T[℃/min](STEP1傾き)およびU[℃/min](STEP2傾き)は以下の式(49)〜式(52)で求められる。
L(t)[℃]= (ヒータ波形−P動作出力分)=k(t)−[P定数Kp*(初期温度S−POWER制御時のカスケード温度m(t))] ・・・(49)
V[℃]=[∫L(t)dt/(j−s)]×2 ・・・(50)
T[℃/min]=(V−k(0))/(j−s) ・・・(51)
U[℃/min]=(k(n)−V)/(a−j) ・・・(52)
以上のような式から積分出力パターンを作成し、PIDC制御を行う。なお式(50)において、∫L(t)dtの積分範囲はsからjの間である。具体的には図27に示すようにステップ毎に初期値、目標値、レート、時間を設定しステップに沿って出力していくものである。また積分出力パターンについては過渡期において前述の3ステップでなく、より多くのステップを用いて作成することも考えられる。
L(t)[℃]= (ヒータ波形−P動作出力分)=k(t)−[P定数Kp*(初期温度S−POWER制御時のカスケード温度m(t))] ・・・(49)
V[℃]=[∫L(t)dt/(j−s)]×2 ・・・(50)
T[℃/min]=(V−k(0))/(j−s) ・・・(51)
U[℃/min]=(k(n)−V)/(a−j) ・・・(52)
以上のような式から積分出力パターンを作成し、PIDC制御を行う。なお式(50)において、∫L(t)dtの積分範囲はsからjの間である。具体的には図27に示すようにステップ毎に初期値、目標値、レート、時間を設定しステップに沿って出力していくものである。また積分出力パターンについては過渡期において前述の3ステップでなく、より多くのステップを用いて作成することも考えられる。
図28に示すように例えば温度過渡期においてある一定の時間q毎[min]に積分パターン出力のステップをw個設定すると、各ステップSTEP(w)の目標温度Vwとランプレート(傾き)Ywは以下の式(53)および式(54)で求められる。
Vw[℃]=(∫L(w*q)dt/q)×2 ・・・(53)
Yw[℃/min]=(V(w−1)−V(w))/q ・・・(54)
以上のように積分出力パターンを作成することにより、温度過渡期における積分出力の増大を防ぐことができ、またPower制御の波形をベースにすることによって最短で炉内を初期温度Sに安定させることができる。
Vw[℃]=(∫L(w*q)dt/q)×2 ・・・(53)
Yw[℃/min]=(V(w−1)−V(w))/q ・・・(54)
以上のように積分出力パターンを作成することにより、温度過渡期における積分出力の増大を防ぐことができ、またPower制御の波形をベースにすることによって最短で炉内を初期温度Sに安定させることができる。
さらに本発明では前述の積分出力パターンでPIDC制御を実施してもオーバーシュート、アンダーシュートが大きい場合、あるいはゾーン間偏差が大きく改善する必要がある場合にはこれらを調整する機能を備える。
以下、オーバーシュート、アンダーシュートの改善調整について説明する。
前述の通り、本発明では温度過渡期の積分出力をパターン化し、また温度安定期には積分出力量が安定時のそれとなるように積分出力パターンを作成し、温度調整している。
つまり、例えば図27に示す温度制御方法において、ステップ3からは安定期であり、ステップ2とステップ3の切り替え時点で初期温度Sとカスケード熱電対の示す温度との偏差を0にすれば、その後温度は安定し、これが適切な調整になると考えられる。
よってオーバーシュートあるいはアンダーシュートが発生した場合はステップ2とステップ3の切替え点での初期温度Sとカスケード熱電対の示す温度との偏差から調整量を求めればよい。
図29に示すようにステップ2とステップ3の切替え点でのカスケード熱電対が示す温度と初期温度Sとの偏差をpとすると、積分出力パターンは適切であるにも関わらず、オーバーシュート、アンダーシュートが発生するのは、過渡期におけるP出力の影響が大きいと考えられる。ステップ2とステップ3の切替え点での偏差pから算出されたP出力W1は、式(7)と同様に式(55)で求められる。
W1=Kp・p ・・・(55)
つまりこのP出力W1分が余分な出力であり、ステップ1とステップ2の切替え点で偏差pとなって表れていると考えられる。よって、オーバーシュートおよびアンダーシュートの改善は、積分出力パターンでこの余分なP出力W1を調整することによって実現できると考えられる。
W1=Kp・p ・・・(55)
つまりこのP出力W1分が余分な出力であり、ステップ1とステップ2の切替え点で偏差pとなって表れていると考えられる。よって、オーバーシュートおよびアンダーシュートの改善は、積分出力パターンでこの余分なP出力W1を調整することによって実現できると考えられる。
ここで、温度過渡期はステップ1〜ステップ2であり、この調整量Wをステップ1目標温度Vから減算しステップ1傾きT、ステップ2傾きUを再算出することによって温度過渡期、つまりステップ1〜ステップ2の操作量を適切なものに調整することができる。つまりアンダーシュートしているなら温度過渡期の積分操作量を大きく、オーバーシュートしているなら温度過渡期の積分操作量を小さくすることで、ステップ2とステップ3の切替え点での初期温度Sとカスケード熱電対の示す温度との偏差を少なくでき、オーバーシュート、アンダーシュートを改善することができる。
調整量W1、積分出力初期温度k(0)、ステップ0時間s、ステップ1目標温度V、ステップ1時間(j−s)、ステップ2時間(a−j)、ヒータ安定温度(ステップ3目標温度)k(n)とすると、調整後のステップ1目標温度V’、ステップ1ランプレートT’、ステップ2ランプレートU’は以下の式(56)〜式(58)で求められる。
V’=V−W| ・・・(56)
T’[℃/min]=(V’−k(0))/(j−s) ・・・(57)
U’[℃/min]=(k(n)−V’)/(a−j) ・・・(58)
続いて、ゾーン間偏差の改善調整について説明する。図30に示すように温度調整が適切であっても加熱ゾーン毎に操作量を作成、調整している為、目標温度安定まで早いゾーンと遅いゾーンが発生してしまい、これがゾーン間偏差となり場合によっては膜厚に影響を与えることがある。そこで積分出力パターンを調整することによって目標温度安定が早いゾーンを遅いゾーンに合わせて遅くし、ゾーン間偏差を改善する。
V’=V−W| ・・・(56)
T’[℃/min]=(V’−k(0))/(j−s) ・・・(57)
U’[℃/min]=(k(n)−V’)/(a−j) ・・・(58)
続いて、ゾーン間偏差の改善調整について説明する。図30に示すように温度調整が適切であっても加熱ゾーン毎に操作量を作成、調整している為、目標温度安定まで早いゾーンと遅いゾーンが発生してしまい、これがゾーン間偏差となり場合によっては膜厚に影響を与えることがある。そこで積分出力パターンを調整することによって目標温度安定が早いゾーンを遅いゾーンに合わせて遅くし、ゾーン間偏差を改善する。
ある目標温度安定が早いゾーン903と目標温度が遅いゾーン904との間の最大ゾーン間偏差最大時点での時間偏差dev_t[min]を求める。これはゾーン間偏差最大時点でのゾーン904の温度B’を求め、ゾーン903が温度B’になった時点とゾーン間偏差最大時点との差分が時間偏差dev_tとして求められる。
次に図31で示すようにゾーン903の積分出力パターンの各ステップをdev_tだけ遅くすることによって目標温度安定をゾーン904に合わせて遅くする。図31に示す各パラメータは第1の実施の形態にて示した式(33)〜式(34)で求められる。ここでTは前述のステップ1の傾きT[℃/min]である。
以上のように、積分出力パターンを時間偏差dev_t分遅くすることによって目標温度安定が早いゾーンを遅くすることができる。以上が、本実施の形態における温度調整方法の説明である。
以上の手順を実行する事によって、熟練した作業者でなくとも、早く確実に、適切な温度調整を行うことができる。具体的な炉内のふるまいを図32、図33に示す。
図32および図33はボートアップ終了後の温度リカバリの具体的な例である。図32に示す従来の手法であるPID制御によるボートアップリカバリでは、オーバーシュートが約10℃、ボートアップ後約100分でも目標温度±5℃以内に安定はしていない。
図33に示す本発明の手順に基づいて温度調整したPIDC制御によるボートアップリカバリでは、オーバーシュートは約3℃、ボートアップ終了後約15分で目標温度±5℃以内に安定している。図32、図33からボートアップリカバリにおいて本発明は有効であることは明らかである。
本発明によれば、制御対象である炉内に比較的大きな外乱が生じた場合でも、その外乱を含んだ操作量の総和からもっとも速やかに制御量を目標値に追従させることができる積分出力パターンを予め設定し、特定の時刻から積分演算の代わりに積分値をパターン出力し、さらに外乱その他に起因する偏差のうちの大部分が消滅したと思われる時点から再び積分演算を行い積分値を出力するため、制御対象から出力される制御量を迅速かつ正確に初期値へリカバリすることができる。
また、本発明の手順は、自然現象である、実測温度、操作量、時間といったこれまで温度調整時に熟練者の経験と勘に頼っていた大部分をある特定の計算式によって求めることができ、早く確実に温度調整を行うことができ、時間、費用の削減をすることができる。
また、本発明の手順をプログラム化し、温度コントローラなどにソフトウェアとして組み込むことによって、作業者の介入を必要とせず、適切な温度調整を行うことも可能である。
(第4の実施の形態)
続いて、本発明の第4の実施の形態について説明する。
続いて、本発明の第4の実施の形態について説明する。
本実施の形態による熱処理装置は、上述の第3の実施の形態による熱処理装置と同じ構成となっている。本実施の形態と第3の実施の形態とは、温度調整方法の手順において、オーバーシュートあるいはアンダーシュートが発生した場合における処理が異なる。以下、本実施の形態において、第3の実施の形態における装置構成や処理内容と同様なものについては同一符号を付し、説明は割愛する。
上述の第3の実施の形態では温度過渡期の積分出力をパターン化し、また温度安定期には積分出力量が安定時のそれとなるように作成し、温度調整している。
つまり、ステップ1〜ステップ2は温度過渡期であり、ステップ3は安定期である。
つまり、ステップ1〜ステップ2は温度過渡期であり、ステップ3は安定期である。
つまり、第3の実施の形態についての、PIDC制御時のオーバーシュートやアンダーシュートの調整を温度調整を用いた調整に代えて、オーバーシュート温度比率を用いて調整する。
第3の実施の形態についても、オーバーシュート温度比率Hを前述の式(59)〜式(61)を用いてPIDC制御結果を基に求める。以下に式(59)〜式(61)とその説明を再度記述する。
図23の斜線部に示すように初期温度S到達時間 b から初期温度S安定時間c の間オーバーシュートしたカスケード温度の総和を求める。これをオーバーシュート温度総和F”とするとF”は以下の式(59)で求められる。なお式(59)において、∫g(t)dtの積分範囲はbからcの間である。
F”=∫g(t)dt−S(c−b) ・・・(59)
次に図24の斜線部に示すように最低温度S1時点r1から初期温度S安定時間cの間の温度総和を求める。これを温度総和GとするとGは以下の式(60)で求められる。なお式(60)において、∫g(t)dtの積分範囲はr1からcの間である。
G=∫g(t)dt−S’(c−r1) ・・・(60)
次にオーバーシュート温度比率H[百分率]を求める。これは図24に示す温度総和Gに対する図23で示すオーバーシュート温度総和F”の割合である。よって以下の式(61)で求められる。
H=F”/G ・・・(61)
算出したオーバーシュート温度比率H分がステップ1〜ステップ2の積分出力パターンにひそむオーバーシュート要因の熱量比率である。よってステップ1目標温度Vからオーバーシュート温度比率H分だけ削減することで温度過渡期の積分出力パターンに反映させ、炉内を理想的な温度に素早く安定させることができる。
F”=∫g(t)dt−S(c−b) ・・・(59)
次に図24の斜線部に示すように最低温度S1時点r1から初期温度S安定時間cの間の温度総和を求める。これを温度総和GとするとGは以下の式(60)で求められる。なお式(60)において、∫g(t)dtの積分範囲はr1からcの間である。
G=∫g(t)dt−S’(c−r1) ・・・(60)
次にオーバーシュート温度比率H[百分率]を求める。これは図24に示す温度総和Gに対する図23で示すオーバーシュート温度総和F”の割合である。よって以下の式(61)で求められる。
H=F”/G ・・・(61)
算出したオーバーシュート温度比率H分がステップ1〜ステップ2の積分出力パターンにひそむオーバーシュート要因の熱量比率である。よってステップ1目標温度Vからオーバーシュート温度比率H分だけ削減することで温度過渡期の積分出力パターンに反映させ、炉内を理想的な温度に素早く安定させることができる。
初期温度k(0)、ステップ0時間s、ステップ1目標温度V、ステップ1時間(j−s)、ステップ2時間(a−j)、ヒータ安定温度(ステップ3目標温度)k(n)とすると、オーバーシュート温度比率Hを削減後のステップ1目標温度をV’、ステップ1ランプレートをT’、ステップ2のランプレートをU’は以下の式(62)〜式(64)で求められる。
V’=V*(1−H) ・・・(62)
T’[℃/min]=(V’−k(0))/(j−s) ・・・(63)
U’[℃/min]=(k(n)−V’)/(a−j) ・・・(64)
V’=V*(1−H) ・・・(62)
T’[℃/min]=(V’−k(0))/(j−s) ・・・(63)
U’[℃/min]=(k(n)−V’)/(a−j) ・・・(64)
(第5の実施の形態)
続いて、本発明の第5の実施の形態について説明する。
続いて、本発明の第5の実施の形態について説明する。
本実施の形態による熱処理装置は、上述の第1の実施の形態による熱処理装置と同じ構成となっている。本実施の形態と第1の実施の形態とは、温度調整方法の手順において、Power制御の出力パターンを求める際のランプアップする操作量を求める際の計算方法が異なる。以下、本実施の形態において、第1の実施の形態における装置構成や処理内容と同様なものについては同一符号を付し、説明は割愛する。
まず、上述の第1の実施の形態と同様に求めたa、d、D1’を用いてPower出力パターンを求め、Power制御を行う。
図35中の各パラメータは以下の式(65)〜式(68)で求められる。
I0=(D1’/T1)+d ・・・(65)
I1=d ・・・(66)
T1=a/2 ・・・(67)
T2=a ・・・(68)
したがい、PID制御時の最大オーバーシュート時点までの期間を二分割すると、前半がランプアップのためにヒータ温度を上げる期間、後半がヒータ温度が下がり始めるが遅れてカスケード温度が上がってくる期間であると考え、昇温に必要なPowerを出力する期間は前半、つまり最大オーバーシュート時点での半分が適切であると考え、パラメータを設定する。
I0=(D1’/T1)+d ・・・(65)
I1=d ・・・(66)
T1=a/2 ・・・(67)
T2=a ・・・(68)
したがい、PID制御時の最大オーバーシュート時点までの期間を二分割すると、前半がランプアップのためにヒータ温度を上げる期間、後半がヒータ温度が下がり始めるが遅れてカスケード温度が上がってくる期間であると考え、昇温に必要なPowerを出力する期間は前半、つまり最大オーバーシュート時点での半分が適切であると考え、パラメータを設定する。
I0は昇温熱量D’を一定の出力量でオーバーシュート最大時間aの半分の時間で出力する場合の操作量に目標温度安定時の操作量dを加えたものである。
このPower出力パターンを用いてPower制御時温度特性データを取得する。
このPower出力パターンを用いてPower制御時温度特性データを取得する。
次に図34に示すように、このPower制御時温度特性基本データからPower制御開始からの温度調整評価時間A1[min]を決定し、また、目標温度S’到達時間b[min]、目標温度S’安定時間c[min]、ヒータ熱電対の示す最高温度j2[℃]、その最高温度の時間a2[min]を求める。また、温度調整評価時間A1内の各時点でのヒータ熱電対2の示す温度f(t)[℃]、カスケード熱電対3の示す温度g(t)[℃]を求める。
次に図9で示すように目標温度S’到達時間bから目標温度S’安定時間cの間オーバーシュートした温度の総和を求める。これをオーバーシュート温度総和KとするとKは以下の式(69)で求められる。なお式(69)において、∫m(t)dtの積分範囲はbからcの間である。
K=∫g(t)dt−S’*(c−b) ・・・(69)
次に図10に示すように目標温度S’安定時間cの間の温度総和を求める。これを温度総和L1とするとL1は以下の式(70)で求められる。なお式(70)において、∫g(t)dtの積分範囲は0からcの間である。
L1=∫g(t)dt ・・・(70)
次にオーバーシュート温度比率M[百分率]を求める。これは温度総和L1に対するオーバーシュート温度総和Kの割合である。よって以下の式(71)で求められる。
M=K/L1 ・・・(71)
次に図35に示すようにこのオーバーシュート温度比率MをPower出力パターンの昇温熱量から求めた操作量から削減することで操作量I0を適切な操作量にすることができる。オーバーシュート温度比率Hを削減後の操作量I0をI0’とするとI0’を以下の式(72)で求められる。
I0’=(I0−I1)*(1−M)+I1 ・・・(72)
以上の式(69)〜式(72)で求められる図35に示すようなオーバーシュート温度比率分削減し、再びPower制御で温度特性データを取得し、同じ手順を数回繰り返すことによって適切な操作量を求めることができ、温度の租調整をすることができる。
K=∫g(t)dt−S’*(c−b) ・・・(69)
次に図10に示すように目標温度S’安定時間cの間の温度総和を求める。これを温度総和L1とするとL1は以下の式(70)で求められる。なお式(70)において、∫g(t)dtの積分範囲は0からcの間である。
L1=∫g(t)dt ・・・(70)
次にオーバーシュート温度比率M[百分率]を求める。これは温度総和L1に対するオーバーシュート温度総和Kの割合である。よって以下の式(71)で求められる。
M=K/L1 ・・・(71)
次に図35に示すようにこのオーバーシュート温度比率MをPower出力パターンの昇温熱量から求めた操作量から削減することで操作量I0を適切な操作量にすることができる。オーバーシュート温度比率Hを削減後の操作量I0をI0’とするとI0’を以下の式(72)で求められる。
I0’=(I0−I1)*(1−M)+I1 ・・・(72)
以上の式(69)〜式(72)で求められる図35に示すようなオーバーシュート温度比率分削減し、再びPower制御で温度特性データを取得し、同じ手順を数回繰り返すことによって適切な操作量を求めることができ、温度の租調整をすることができる。
(第6の実施の形態)
次に、第6の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述の第1の実施の形態にて説明した温度制御部内の構成の変形例である。以下、本実施の形態において、第1の実施の形態における装置構成や処理内容と同様なものについては同一符号を付し、説明は割愛する。
次に、第6の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述の第1の実施の形態にて説明した温度制御部内の構成の変形例である。以下、本実施の形態において、第1の実施の形態における装置構成や処理内容と同様なものについては同一符号を付し、説明は割愛する。
図36に示すように、本実施の形態では、操作量XはPID演算とPlDC演算を予め設定した時間で切り替えて算出し、操作量ZはPID演算とPlDC演算を予め設定した時間で切り替えて算出するか、またはPower出力パターンから算出する構成となっている。
(第7の実施の形態)
次に、第7の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述の第1の実施の形態の変形例である。以下、本実施の形態において、第1の実施の形態における装置構成や処理内容と同様なものについては同一符号を付し、説明は割愛する。
次に、第7の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述の第1の実施の形態の変形例である。以下、本実施の形態において、第1の実施の形態における装置構成や処理内容と同様なものについては同一符号を付し、説明は割愛する。
図37に示すように、本実施の形態では、操作量XはPIDC演算で算出し、操作量ZはPlD演算とPIDC演算を予め設定した時間で切り替えて算出するか、またはPower出力パターンから算出する構成となっている。
(第8の実施の形態)
次に、第8の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述の第1の実施の形態の変形例である。以下、本実施の形態において、第1の実施の形態における装置構成や処理内容と同様なものについては同一符号を付し、説明は割愛する。
次に、第8の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述の第1の実施の形態の変形例である。以下、本実施の形態において、第1の実施の形態における装置構成や処理内容と同様なものについては同一符号を付し、説明は割愛する。
図38に示すように、本実施の形態では、操作量ZはPlDC演算で算出するか、またはPower出力パターンから算出する構成となっている。
(第9の実施の形態)
次に、第9の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述の第1の実施の形態の変形例である。以下、本実施の形態において、第1の実施の形態における装置構成や処理内容と同様なものについては同一符号を付し、説明は割愛する。
次に、第9の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述の第1の実施の形態の変形例である。以下、本実施の形態において、第1の実施の形態における装置構成や処理内容と同様なものについては同一符号を付し、説明は割愛する。
図39に示すように、本実施の形態では、操作量XはPID演算で算出し、操作量ZはPlDC演算で算出するか、またはPower出力パターンから算出する構成となっている。
(第10の実施の形態)
次に、第10の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述の第1の実施の形態の変形例である。以下、本実施の形態において、第1の実施の形態における装置構成や処理内容と同様なものについては同一符号を付し、説明は割愛する。
次に、第10の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述の第1の実施の形態の変形例である。以下、本実施の形態において、第1の実施の形態における装置構成や処理内容と同様なものについては同一符号を付し、説明は割愛する。
図40に示すように、本実施の形態では、操作量XはPIDC演算で算出し、操作量ZはPID演算で算出するか、またはPower出力パターンから算出する構成となっている。
(第11の実施の形態)
次に、第11の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述の第1の実施の形態の変形例である。以下、本実施の形態において、第1の実施の形態における装置構成や処理内容と同様なものについては同一符号を付し、説明は割愛する。
次に、第11の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述の第1の実施の形態の変形例である。以下、本実施の形態において、第1の実施の形態における装置構成や処理内容と同様なものについては同一符号を付し、説明は割愛する。
図41に示すように、本実施の形態では、操作量XはPIDC演算で算出し、操作量ZはPlDC演算で算出するか、またはPower出力パターンから算出する構成となっている。
(第12の実施の形態)
次に、第12の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述の第1の実施の形態の変形例である。以下、本実施の形態において、第1の実施の形態における装置構成や処理内容と同様なものについては同一符号を付し、説明は割愛する。
次に、第12の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述の第1の実施の形態の変形例である。以下、本実施の形態において、第1の実施の形態における装置構成や処理内容と同様なものについては同一符号を付し、説明は割愛する。
図42に示すように、本実施の形態では、カスケード熱電対の制御量Aは無視して、ヒータ熱電対の制御量Bと目標値Scとの偏差Eを用いる。
(第13の実施の形態)
次に、第13の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述の第1の実施の形態の変形例である。以下、本実施の形態において、第1の実施の形態における装置構成や処理内容と同様なものについては同一符号を付し、説明は割愛する。
次に、第13の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述の第1の実施の形態の変形例である。以下、本実施の形態において、第1の実施の形態における装置構成や処理内容と同様なものについては同一符号を付し、説明は割愛する。
図43に示すように、本実施の形態では、カスケード熱電対の制御量Aは無視して、ヒータ熱電対の制御量Bと目標値Scとの偏差Eを用いる。操作量ZはPlDC演算で算出するか、またはPower出力パターンから算出する構成となっている。
(第14の実施の形態)
次に、第14の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述の第1の実施の形態の変形例である。以下、本実施の形態において、第1の実施の形態における装置構成や処理内容と同様なものについては同一符号を付し、説明は割愛する。
次に、第14の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述の第1の実施の形態の変形例である。以下、本実施の形態において、第1の実施の形態における装置構成や処理内容と同様なものについては同一符号を付し、説明は割愛する。
図44に示すように、本実施の形態では、操作量Zは PlD演算とPIDC演算とPower出力パターンの3つを予め設定した時間で切り替えて算出するか、またはPower出力パターンから算出する構成となっている。
(第15の実施の形態)
次に、第15の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述の第1の実施の形態の変形例である。以下、本実施の形態において、第1の実施の形態における装置構成や処理内容と同様なものについては同一符号を付し、説明は割愛する。
次に、第15の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述の第1の実施の形態の変形例である。以下、本実施の形態において、第1の実施の形態における装置構成や処理内容と同様なものについては同一符号を付し、説明は割愛する。
図45に示すように、本実施の形態では、操作量ZはPIDC演算とPower出力パターンを予め設定した時間で切り替えて算出するか、またはPower出力パターンから算出する構成となっている。
(第16の実施の形態)
次に、第16の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述の第1の実施の形態の変形例である。以下、本実施の形態において、第1の実施の形態における装置構成や処理内容と同様なものについては同一符号を付し、説明は割愛する。
次に、第16の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述の第1の実施の形態の変形例である。以下、本実施の形態において、第1の実施の形態における装置構成や処理内容と同様なものについては同一符号を付し、説明は割愛する。
図46に示すように、本実施の形態では、操作量ZはPlD演算とPower出力パターンを予め設定した時間で切り替えて算出するか、またはPower出力パターンから算出する構成となっている。
(第17の実施の形態)
続いて、本発明の第17の実施の形態について説明する。
続いて、本発明の第17の実施の形態について説明する。
本実施の形態による熱処理装置は、上述の各実施の形態による熱処理装置のような縦型装置の構成ではなく、枚葉装置の構成となっている。以下、本実施の形態において、上述の各実施の形態において述べた部分と同一の機能を有する構成部分については同一符号を付し、説明は割愛する。なお図47に示すように、本実施の形態による熱処理装置は、図1に示した第1の実施の形態における温度制御部71と同様な構成および機能を有する温
度制御部を備えている。
度制御部を備えている。
具体的に、本実施の形態による熱処理装置は、図47および図48に示されているように、処理炉86が、枚葉式CVD炉(枚葉式コールドウォール形CVD炉)として構成されており、被処理基板としてのウエハ(半導体ウエハ)85を処理する処理室201を形成したチャンバ223を備えている。チャンバ223は上側キャップ224と円筒カップ225と下側キャップ226とが組み合わされて、上下の端面がいずれも閉塞した円筒形状に形成されている。
チャンバ223の円筒カップ225の円筒壁の中間部にはゲートバルブ244によって開閉されるウエハ搬入搬出口250が水平方向に横長に開設されており、ウエハ搬入搬出口250は被処理基板であるウエハ85を処理室201に図48に図示しないウエハ移載装置によって搬入搬出し得るように形成されている。すなわち、ウエハ85はウエハ移載装置によって下から機械的に支持された状態で、ウエハ搬入搬出口250を搬送されて処理室201に対して搬入搬出されるようになっている。
円筒カップ225のウエハ搬入搬出口250と対向する壁面の上部には、真空ポンプ等からなる排気装置(図示せず)に接続された排気口235が処理室201に連通するように開設されており、処理室201内は排気装置によって排気されるようになっている。
また、円筒カップ225の上部には排気口235に連通する排気バッファ空間249が円環状に形成され、カバープレート248とともにウエハ85の前面に対し、均一に排気が行われるように作用している。
なお、カバープレート248は、ウエハ85のエッジ部を覆うように一部のサセプタ(基板保持手段)84上に延在しており、ウエハ85のエッジ部に成膜されるCVD膜を制御するために用いられる。
チャンバ223の上側キャップ224には処理ガスを供給するシャワーヘッド236が一体的に組み込まれている。すなわち、上側キャップ224の天井壁にはガス供給管232が挿入されており、各ガス供給管232には例えば原料ガスやパージガス等の処理ガス241a、処理ガス241bを導入するため開閉バルブ243、流量制御装置(マスフローコントローラ=MFC)241から成るガス供給装置が接続されている。上側キャップ224の下面には円板形状に形成されたシャワープレート(以下、プレートという。)240がガス供給管232から間隔を置いて水平に固定されており、プレート240には複
数個のガス吹出口(以下、吹出口という。)247が全面にわたって均一に配置されて上下の空間を流通させるように開設されている。
数個のガス吹出口(以下、吹出口という。)247が全面にわたって均一に配置されて上下の空間を流通させるように開設されている。
上側キャップ224の内側面とプレート240の上面とが画成する内側空間によってバッファ室237が形成されており、バッファ室237はガス供給管232に導入された処理ガス230を全体的に均等に拡散させて各吹出口247から均等にシャワー状に吹き出させるようになっている。
チャンバ223の下側キャップ226の中心には挿通孔278が円形に開設されており、挿通孔278の中心線上には円筒形状に形成された支持軸276が処理室201に下方から挿通されている。支持軸276はエアシリンダ装置等が使用された昇降機構(昇降手段)268によって昇降されるようになっている。
支持軸276の上端には加熱ユニット251が同心に配されて水平に固定されており、加熱ユニット251は支持軸276によって昇降されるようになっている。すなわち、加熱ユニット251は円板形状に形成された支持板258を備えており、支持板258は支持軸276の上端開口に同心円に固定されている。支持板258の上面には支柱を兼ねる複数本の電極253が垂直に立脚されており、これら電極253の上端間には円板形状に形成され複数領域に分割制御されるヒータ(加熱手段)81が架橋されて固定されている。これら電極253に対する電気配線257は支持軸276の中空部内を挿通されている。
また、ヒータ81の下方には反射板252が支持板258に固定されて設けられ、ヒータ81から発せられた熱をサセプタ84側に反射させて、効率の良い加熱に作用している。
また、温度検出手段である放射温度計87および88が、支持軸276の下端から導入され、放射温度計87および88の先端がサセプタ84の裏面に対し所定の隙間を設けて設置されている。放射温度計87および88は、石英から成るロッドと光ファイバとの組合せから構成され、サセプタ84の裏面(例えばヒータ81の分割領域に対応する裏面)から発せられる放射光を検出し、サセプタ84の裏面温度を算出するのに用いられ(予め取得したウエハ85とサセプタ84の温度の関係によりウエハ85の温度を算出することも可能)、この算出結果に基づきヒータ81の加熱具合を制御している。
下側キャップ226の挿通孔278の支持軸276の外側には、支持軸276よりも大径の円筒形状に形成された回転軸277が同心円に配置されて処理室201に下方から挿通されており、回転軸277はエアシリンダ装置等が使用された昇降機構268によって支持軸276と共に昇降されるようになっている。回転軸277の上端には回転ドラム227が同心に配されて水平に固定されており、回転ドラム227は回転軸277によって回転されるようになっている。すなわち、回転ドラム227はドーナツ形の平板に形成された回転板229と、円筒形状に形成された回転筒228を備えており、回転板229の
内周縁辺部が円筒形状の回転軸277の上端開口に固定されて、回転板229の上面の外周縁辺部に回転筒228が同心円に固定されている。回転ドラム227の回転筒228の上端には炭化シリコンや窒化アルミニウム等が使用されて円板形状に形成されたサセプタ84が回転筒228の上端開口を閉塞するように被せられている。
内周縁辺部が円筒形状の回転軸277の上端開口に固定されて、回転板229の上面の外周縁辺部に回転筒228が同心円に固定されている。回転ドラム227の回転筒228の上端には炭化シリコンや窒化アルミニウム等が使用されて円板形状に形成されたサセプタ84が回転筒228の上端開口を閉塞するように被せられている。
図48に示されているように、回転ドラム227にはウエハ昇降装置275が設置されている。ウエハ昇降装置275は円形リング形状に形成された2つの昇降リングのそれぞれに突上ピン(基板突上手段)266、274を突設したものから構成されており、下側の昇降リング(以下、回転側リングという。)は回転ドラム227の回転板229の上に支持軸276と同心円に配置されている。回転側リングの下面には複数本(本実施の形態においては三本とする。)の突上ピン(以下、回転側ピンという。)274が周方向に等間隔に配置されて垂直方向下向きに突設されており、各回転側ピン274は回転板229に回転筒228と同心円の線上に配置されて垂直方向に開設された各ガイド孔255にそれぞれ摺動自在に嵌入されている。各回転側ピン274の長さは回転側リングを水平に突き上げ得るように互いに等しく設定されているとともに、ウエハのサセプタ上からの突き上げ量に対応するように設定されている。各回転側ピン274の下端は処理室201の底面すなわち下側キャップ226の上面に離着座自在に対向されている。
加熱ユニット251の支持板258には円形リング形状に形成されたもう一つの昇降リング(以下、ヒータ側リングという。)が支持軸276と同心円に配置されている。ヒータ側リングの下面には複数本(本実施の形態においては三本とする。)の突上ピン(以下、ヒータ側ピンという。)266が周方向に等間隔に配置されて垂直方向下向きに突設されており、各ヒータ側ピン266は支持板258に支持軸276と同心円の線上に配置されて垂直方向に開設された各ガイド孔254にそれぞれ摺動自在に嵌入されている。これらのヒータ側ピン266の長さはヒータ側リングを水平に突き上げ得るように互いに等し
く設定されているとともに、その下端が回転側リングの上面に適度のエアギャップを置いて対向されている。つまり、これらのヒータ側ピン266は回転ドラム227の回転時に回転側リングに干渉しないようになっている。
く設定されているとともに、その下端が回転側リングの上面に適度のエアギャップを置いて対向されている。つまり、これらのヒータ側ピン266は回転ドラム227の回転時に回転側リングに干渉しないようになっている。
また、ヒータ側リングの上面には複数本(本実施の形態においては三本とする。)の突上ピン(以下、突上部という。)266が、周方向に等間隔に配置されて垂直方向上向きに突設されており、突上部266の上端はヒータ81およびサセプタ84の挿通孔256に対向するようになっている。これらの突上部266の長さはヒータ81およびサセプタ84の挿通孔256を下から挿通してサセプタ84に載置されたウエハ85をサセプタ84から水平に浮かせるように互いに等しく設定されている。また、これらの突上部266の長さはヒータ側リングが支持板258に着座した状態において、その上端がヒータ81
の上面から突出しないように設定されている。つまり、これらの突上部266は回転ドラム227の回転時にサセプタ84に干渉しないように、かつ、ヒータ81の加熱を妨げないようになっている。
の上面から突出しないように設定されている。つまり、これらの突上部266は回転ドラム227の回転時にサセプタ84に干渉しないように、かつ、ヒータ81の加熱を妨げないようになっている。
図48に示されているように、チャンバ223は複数本の支柱280によって水平に支持されている。これらの支柱280には各昇降ブロック281がそれぞれ昇降自在に嵌合されており、これら昇降ブロック281間にはエアシリンダ装置等が使用された昇降駆動装置(図示せず)によって昇降される昇降台282が架設されている。昇降台282の上にはサセプタ回転装置が設置されており、サセプタ回転装置とチャンバ223との間にはベローズ279が、回転軸277の外側を気密封止するように介設されている。
昇降台282に設置されたサセプタ回転機構(回転手段)267にはブラシレスDCモータが使用されており、出力軸(モータ軸)が中空軸に形成されて回転軸277として構成されている。サセプタ回転機構267はハウジング283を備えており、ハウジング283が昇降台282の上に垂直方向上向きに据え付けられている。ハウジング283の内周面には電磁石(コイル)によって構成された固定子(ステータ)284が固定されている。すなわち、固定子284はコイル線材(エナメル被覆銅線)286が鉄心(コア)285に巻装されて構成されている。コイル線材286には図示しないリード線がハウジング283の側壁に開設された図示しない挿通孔を挿通して電気的に接続されており、固定子284はブラシレスDCモータのドライバ(図示せず)から電力をコイル線材286にリード線を通じて供給されることにより、回転磁界を形成するように構成されている。
固定子284の内側には回転子(ロータ)289がエアギャップ(隙間)を設定されて同心円に配置されており、回転子289はハウジング283に上下のボールベアリング293を介して回転自在に支承されている。すなわち、回転子289は円筒形状の本体290と鉄心(コア)291と複数個の永久磁石292とを備えており、本体290には回転軸277がブラケット288によって一体回転するように固定されている。鉄心291は本体290に嵌合されて固定されており、鉄心291の外周には複数個の永久磁石292が周方向に等間隔に固定されている。鉄心291と複数個の永久磁石292とによって環
状に配列された複数の磁極が形成されており、固定子284の形成する回転磁界が複数個の磁極すなわち永久磁石292の磁界を切ることにより、回転子289が回転するようになっている。
状に配列された複数の磁極が形成されており、固定子284の形成する回転磁界が複数個の磁極すなわち永久磁石292の磁界を切ることにより、回転子289が回転するようになっている。
上下のボールベアリング293は回転子289の本体290の上下端部にそれぞれ設置されており、上下のボールベアリング293には本体290の熱膨張を吸収するための隙間が適宜設定されている。このボールベアリング293の隙間は本体290の熱膨張を吸収する一方で、最小のがたつきに抑制するために、5〜50μmに設定されている。なお、ボールベアリングの隙間とはボールをアウタレースまたはインナレースのいずれか片側に寄せた場合に反対側に発生する隙間を意味している。
固定子284と回転子289との対向面には二重筒壁を構成する外側と内側の囲い部材であるカバー287とが互いに対向されて、ハウジング283の内周面と本体290の外周面とにそれぞれ固定されており、それぞれのカバー287との間には所定のエアギャップ(隙間)が設定されている。カバー287は非磁性体であるステンレス鋼が使用されて、筒壁の厚さが極薄い円筒形状にそれぞれ形成されており、円筒の上下開口端においてハウジング283および本体290に電子ビーム溶接によって全周にわたって確実かつ均一に固着されている。カバー287は非磁性体であるステンレス鋼で極薄く形成されている
ため、磁束の拡散を防止してモータ効率の低下を防止するばかりでなく、固定子284のコイル線材286および回転子289の永久磁石292の腐食を防止することができ、かつまた、コイル線材286等による処理室201の内部の汚染を確実に防止することができる。カバー287は固定子284を気密シール状態に囲うことにより、固定子284を真空雰囲気となる処理室201の内部から完全に隔絶している。
ため、磁束の拡散を防止してモータ効率の低下を防止するばかりでなく、固定子284のコイル線材286および回転子289の永久磁石292の腐食を防止することができ、かつまた、コイル線材286等による処理室201の内部の汚染を確実に防止することができる。カバー287は固定子284を気密シール状態に囲うことにより、固定子284を真空雰囲気となる処理室201の内部から完全に隔絶している。
また、サセプタ回転装置には磁気式ロータリーエンコーダ294が設置されている。すなわち、磁気式ロータリーエンコーダ294は磁性体からなる被検出体としての被検出リング296を備えており、被検出リング296は鉄等の磁性体が使用されて円形リング形状に形成されている。被検出リング296の外周には被検出部としての歯が多数個環状に配列されている。
ハウジング283の被検出リング296の対向位置には被検出リング296の被検出部である各歯を検出する磁気センサ295が設置されている。磁気センサ295の先端面と被検出リング296の外周面との隙間(センサギャップ)は、0.06〜0.17mmに設定されている。磁気センサ295は被検出リング296の回転に伴うこれらの対向位置における磁束変化を磁気抵抗素子によってそれぞれ検出するように構成されている。磁気センサ295の検出結果はブラシレスDCモータすなわちサセプタ回転機構267の駆動制御部に送信されて、サセプタ84の位置認識に使用されるとともに、サセプタ84の回
転量の制御に使用される。なお、処理炉86は、ガス流量制御部72、駆動制御部74、加熱制御部71a、温度検出部71b、等から構成される主制御部7を有する。また、加熱制御部71aおよび温度検出部71bから温度制御部71が構成されており、温度制御部71においてヒータ81の温度を検知するためのヒータ熱電対82および83を備えている。
転量の制御に使用される。なお、処理炉86は、ガス流量制御部72、駆動制御部74、加熱制御部71a、温度検出部71b、等から構成される主制御部7を有する。また、加熱制御部71aおよび温度検出部71bから温度制御部71が構成されており、温度制御部71においてヒータ81の温度を検知するためのヒータ熱電対82および83を備えている。
ガス流量制御部72はMFC241、開閉バルブ243に接続され、ガス流量、供給を制御する。駆動制御部74はサセプタ回転機構267、昇降ブロック281に接続され、これらの駆動を制御する。加熱制御部71aは配線257を介しヒータ81に接続され、ヒータ81の加熱具合を制御する。温度検出部71bは放射温度計87および88に接続され、サセプタ84の温度を検出し、加熱制御部71aと連携してヒータ81の加熱制御に用いられる。
次に、本実施の形態における熱処理装置での半導体装置の製造方法における成膜工程について説明する。
ウエハ85の搬出搬入に際しては、回転ドラム227および加熱ユニット251が回転軸277および支持軸276によって下限位置に下降される。すると、ウエハ昇降装置275の回転側ピン274の下端が処理室201の底面すなわち下側キャップ226の上面に突合するため、回転側リングが回転ドラム227および加熱ユニット251に対して相対的に上昇する。上昇した回転側リングはヒータ側ピン266を突き上げることにより、ヒータ側リングを持ち上げる。ヒータ側リングが持ち上げられると、ヒータ側リングに立脚された三本の突上部266がヒータ81およびサセプタ84の挿通孔256を挿通して
、サセプタ84の上面に載置されたウエハ85を下方から支持してサセプタ84から浮き上がらせる。
、サセプタ84の上面に載置されたウエハ85を下方から支持してサセプタ84から浮き上がらせる。
ウエハ昇降装置275がウエハ85をサセプタ84の上面から浮き上がらせた状態になると、ウエハ85の下方空間すなわちウエハ85の下面とサセプタ84の上面との間に挿入スペースが形成された状態になるため、図48に図示しないウエハ移載機に設けられた基板保持プレートであるツィーザがウエハ搬入搬出口250からウエハ85の挿入スペースに挿入される。ウエハ85の下方に挿入されたツィーザは上昇することによりウエハ85を移載して受け取る。ウエハ85を受け取ったツィーザはウエハ搬入搬出口250を後退してウエハ85を処理室201から搬出する。そして、ツィーザによってウエハ85を
搬出したウエハ移載機は、処理室201の外部の空ウエハカセット等の所定の収納場所にウエハ85を移載する。
搬出したウエハ移載機は、処理室201の外部の空ウエハカセット等の所定の収納場所にウエハ85を移載する。
次いで、ウエハ移載機は実ウエハカセット等の所定の収納場所から次回に成膜処理するウエハ85をツィーザによって受け取って、ウエハ搬入搬出口250から処理室201に搬入する。ツィーザはウエハ85をサセプタ84の上方においてウエハ85の中心がサセプタ84の中心と一致する位置に搬送する。ウエハ85を所定の位置に搬送すると、ツィーザは若干下降することによりウエハ85をサセプタ84に移載する。ウエハ85をウエハ昇降装置275に受け渡したツィーザは、ウエハ搬入搬出口250から処理室201の外へ退出する。ツィーザが処理室201から退出すると、ウエハ搬入搬出口250はゲー
トバルブ(仕切弁)244によって閉じられる。
トバルブ(仕切弁)244によって閉じられる。
ゲートバルブ244が閉じられると、処理室201に対して回転ドラム227および加熱ユニット251が回転軸277および支持軸276を介して昇降台282によって上昇される。回転ドラム227および加熱ユニット251の上昇により、突上ピン266、274が回転ドラム227および加熱ユニット251に対し相対的に下降し、図48に示されているように、ウエハ85はサセプタ84の上に完全に移載された状態になる。回転軸277および支持軸276は突上部266の上端がヒータ81の下面に近接する高さになる位置にて停止される。
一方、処理室201が排気口235に接続された排気装置(図示せず)によって排気される。この際、処理室201の真空雰囲気と外部の大気圧雰囲気とはベローズ279によって隔絶されている。
続いて、回転ドラム227が回転軸277を介してサセプタ回転機構267によって回転される。すなわち、サセプタ回転機構267が運転されると、固定子284の回転磁界が回転子289の複数個の磁極の磁界を切ることにより、回転子289が回転するため、回転子289に固定された回転軸277によって回転ドラム227が回転する。この際、サセプタ回転機構267に設置された磁気式ロータリーエンコーダ294によって回転子289の回転位置が時々刻々と検出されて駆動制御部74に送信され、この信号に基づいて回転速度等が制御される。
回転ドラム227の回転中には、回転側ピン274は処理室201の底面から離座し、ヒータ側ピン266は回転側リングから離座しているため、回転ドラム227の回転がウエハ昇降装置275に妨げられることはなく、しかも、加熱ユニット251は停止状態を維持することができる。すなわち、ウエハ昇降装置275においては、回転側リングと回転側ピン274が回転ドラム227と共に回転し、ヒータ側リングとヒータ側ピン266が加熱ユニット251と共に停止した状態になっている。
ウエハ85の温度が処理温度まで上昇し、排気口235の排気量および回転ドラム227の回転作動が安定した時点で、図48に実線矢印で示されているように、処理ガス230が供給管232に導入される。ガス供給管232に導入された処理ガス230は、ガス分散空間として機能するバッファ室237に流入するとともに、径方向外向きに放射状に拡散して、シャワープレート240の各ガス吹出口247からそれぞれが略均等な流れになって、ウエハ85に向かってシャワー状に吹き出す。吹出口247群からシャワー状に吹き出した処理ガス230はカバープレート248の上方空間を通って、排気バッファ空
間249を経由して排気口235に吸い込まれて排気されて行く。
間249を経由して排気口235に吸い込まれて排気されて行く。
この際、回転ドラム227に支持されたサセプタ84の上のウエハ85は回転しているため、吹出口247群からシャワー状に吹き出した処理ガス230はウエハ85の全面にわたって均等に接触する状態になる。処理ガス230がウエハ85の全面にわたって均等に接触するため、ウエハ85に処理ガス230によって形成されるCVD膜の膜厚分布や膜質分布はウエハ85の全面にわたって均一になる。
また、加熱ユニット251は支持軸276に支持されることにより回転しない状態になっているため、回転ドラム227によって回転されながら加熱ユニット251によって加熱されるウエハ85の温度分布は全面にわたって均一に制御される。このようにウエハ85の温度分布が全面にわたって均一に制御されることにより、ウエハ85に熱化学反応によって形成されるCVD膜の膜厚分布や膜質分布はウエハ85の全面にわたって均一に制御される。
予め選定された所定の処理時間が経過すると、サセプタ回転機構267の運転が停止される。この際、サセプタ84すなわち回転子289の回転位置はサセプタ回転機構267に設置された磁気式ロータリーエンコーダ294によって時々刻々と監視されているため、サセプタ84は予め設定された回転位置において正確に停止される。すなわち、突上部266とヒータ81およびサセプタ84の挿通孔256は正確かつ再現性よく合致される。
サセプタ回転機構267の運転が停止されると、前述に示されているように、回転ドラム227および加熱ユニット251は回転軸277および支持軸276を介して昇降台282によって搬入搬出位置に下降される。前述したように、下降の途中において、ウエハ昇降装置275の作用によりウエハ85をサセプタ84の上から浮き上げる。この際、突上部266とヒータ81およびサセプタ84の挿通孔256とは正確かつ再現性よく合致されているため、突上部266がサセプタ84およびヒータ81を突き上げる突き上げミスが発生することはない。
以降、前述した作業が繰り返されることにより、次のウエハ85にCVD膜が成膜処理されて行く。
上述の第1の実施の形態から第16の実施の形態において示した構成は、縦型の熱処理装置についてのものであるが、これに限られるものではなく、上述の第1の実施の形態から第16の実施の形態の構成は、本実施の形態において示したような枚葉装置としての熱処理装置に対しても適用可能である。
このように、上述した各実施の形態によれば、熱処理装置に備えられた加熱手段へ入力する操作量を変化させることにより、当該加熱手段による制御量を変化させ、当該操作量を変化する制御量に基づいた比例・積分・微分演算による帰還処理を行って制御し、制御量を目標値へ維持もしくは追従させる温度制御において、適当な操作量の出力を予め設定しておく制御と前記比例・積分・微分演算にしたがった操作量を出力する制御を選択切り替えする手段を備え、前記適当な操作量と前記比例・積分・微分演算にしたがった操作量を適宜選択切り替えして加熱手段に入力することを特徴とする温度制御方法を提供するこ
とができる。
とができる。
また、上述のような構成の温度制御方法を、数回繰り返し実行することにより最適な操作量に自動調整するようにしてもよい。この他、上述のような構成の温度制御方法を、プログラム化し計算機上に実装するようにしてもよいことは言うまでもない。
なお、上述の各実施の形態で示した積分パターン出力における目標温度の算出方法は例示であり、例えば、式(27)に示したような算出方法によって算出しても良い。
また、PID動作させた結果の出力量に基づき、出力制御パターンを作成し、その出力制御パターンにてヒータを出力制御した際のヒータ熱電対の検出する温度波形から、I動作分を求めるためにP動作分を差し引き(P動作分のみならず、D動作分も差し引いても良い。)、差し引いたヒータ熱電対の検出する温度波形により近い積分出力パターンをより早く効率的に求めることができれば良い。
以上のように、本発明は、ランプアップ時やボートアップリカバリ時等、処理室内の温度が変動する工程時、まず、初期温度から目標温度にて安定するまでPID制御により動作させ、そのときの基本データを取得し、その基本データの中の初期温度から目標温度にて安定するまでに費やす熱量を安定熱量と昇温熱量とに分け、出力制御パターンを求める。このようにして求めた出力制御パターンに基づく温度制御を行い、このとき熱電対により検知される基本データからP動作分(もしくはP動作分および、動作分)を減算し、積分出力パターンを求める構成となっている。
なお、上述の各実施の形態では、本発明を縦型装置および枚葉装置に対して適用した例を示したが、これに限られるものではなく、横型装置としての熱処理装置に対しても適用可能であることは言うまでもない。
次に、第18の実施例について説明する。前述のような温度自動調整により図49に示す制御部から加熱手段へ入力する操作量の操作量パターン出力が作成されたとする。ここで、この加熱手段へ入力する操作量の操作量パターン出力の制御は各ステップの操作量、温度変化の傾き(ランプレート)に応じて線形で制御している。
しかし、線形で操作量パターン出力の制御をする場合、図50に示すように特にヒータTCの温度が低下し、カスケードTCの温度が遅れて上昇する期間であるStep2において、Powerを出力しない無制御状態に陥ることが多く、制御応答性が十分でない事がある。
これは、操作量パターン出力を線形で制御しているのに対して、ヒータTCが低下する温度の場合の温度挙動は、より高い温度領域においては反応が良く、低い温度領域においては、温度挙動の反応が鈍くなる傾向にあるためである。
図50のStep3開始時点に見られるように、操作量パターン出力によるヒータTC温度設定値よりもヒータTCの温度が高い場合、PID制御によりPowerは減少し、無出力状態(無制御状態)となってしまう。
この状態では、カスケードTCがカスケードTC設定値よりも低下、つまりUndershootが発生しないとヒータ設定値が上昇(Power出力)に至らないため、Step3区間において、温度安定性が悪くなってしまっていた。
そこで、ヒータTCに対するカスケードTCの遅れ待ち期間において操作量パターン制御を線形から指数関数を用いることによって、制御部から加熱手段へ入力する操作量の操作量パターンから算出するヒータTC設定値とヒータTC温度との偏差が軽減することができ、制御応答性向上を図ることができる。
ここで、図51におけるStep2(ヒータTCの温度が低下し始める時点)をt0、Step2開始からの経過時間をtとするとt時点の操作量パターン出力値P[t]は、下式(1)で求められる。
P[t]=P[t0]+(C2−C1)*(1−exp((−t−t0)/(Time2*k))・・(1)
P[t]=P[t0]+(C2−C1)*(1−exp((−t−t0)/(Time2*k))・・(1)
ここで、時係数kについて、説明する。式(1)及び図52に示すように持係数kを大きくすると、指数関数開始当初は変化が大きくなり、逆に温度安定付近では変化が小さくなる。図53、54、55に示すように温度帯によってヒータTCの温度挙動は変化する。
図53に示す四五〇℃から200℃までのヒータTCの温度低下と各時係数の指数関数波形を比較すると、k=3の波形がヒータTCの温度低下波形と近似していることが判る。
本発明を特定の態様により詳細に説明したが、本発明の精神および範囲を逸脱しないかぎり、様々な変更および改質がなされ得ることは、当業者には自明であろう。
しかし、図54に示す560℃から440℃までのヒータTCの温度低下と各時係数の指数関数波形を比較すると、k=5の波形がヒータTC温度低下波形と近似していることが判る。
さらに、図55に示すように240℃から180℃までのヒータTCの温度低下と各時係数の指数関数波形を比較すると、k=2の波形がヒータTCの温度低下波形に近似することが判る。このように、温度帯が高くなるに従って、時係数の値を大きくすることで、よりヒータTCの温度波形に近似させることとなる。
指数関数による操作量出力パターンを採用することにより、ヒータTCの挙動とヒータTCの設定値がより近似できるため、特にStep2の終盤、Step3の序盤の温度安定期間において無制御状態を解消することができ、その後のUndershootを制御することが期待できる。
また、ヒータTC温度が低下、カスケードTC温度が遅れて上昇する期間において無制御状態による安定性不良を防ぐことができ、特に温度安定間際のカスケードTCの温度制御安定性の向上を図ることが可能となる。
Claims (2)
- 基板を処理する処理室内を加熱する加熱手段と、該加熱手段を制御する加熱制御部と、
前記処理室内の温度を検出する第一および第二の温度検出手段とを備え、該第一の温度検
出手段は前記第二の温度検出手段よりも前記基板に近い位置に配置され、該第二の温度検
出手段は前記第一の温度検出手段よりも前記加熱手段に近い位置に配置される熱処理装置
であって、
前記第二の温度検出手段による検出温度の最大温度時点の操作量をC3とし、
前記第二の温度検出手段による検出温度の最大温度時点をt0とし、
前記第一の温度検出手段の温度安定時点の操作量をC2とし、
前記第一の温度検出手段の温度安定時点から前記第二の温度検出手段による検出温度の最大温度時点の差をTime2とし、
時係数をkとした場合に、 前記t0からの経過時間をtとするとt時点の操作量パターン出力値P[t]は、
P[t]=P[t0]+(C3−C2)*(1−exp((−t−t0)/(Time2*k))
で求められることを特徴とした熱処理装置。 - 請求項1において、時定数kは、2から5の範囲であることを特徴とした熱処理装置。
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JP2008263516A JP2010092389A (ja) | 2008-10-10 | 2008-10-10 | 熱処理装置の温度制御方法 |
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CN102636039A (zh) * | 2011-02-11 | 2012-08-15 | 宝山钢铁股份有限公司 | 蓄热炉小流量控制方法 |
CN102956524A (zh) * | 2011-08-10 | 2013-03-06 | 东京毅力科创株式会社 | 温度控制方法、温度控制装置以及热处理装置 |
CN103557534A (zh) * | 2013-11-11 | 2014-02-05 | 中冶南方工程技术有限公司 | 工业炉高精度脉冲燃烧控制方法 |
CN103836642B (zh) * | 2014-03-14 | 2016-01-20 | 江南大学 | 一种燃气炉多烧嘴脉冲燃烧控制方法 |
CN111998688A (zh) * | 2020-07-10 | 2020-11-27 | 青岛新力通热工科技有限公司 | 一种采用脉冲控制加热炉炉温的方法 |
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2008
- 2008-10-10 JP JP2008263516A patent/JP2010092389A/ja active Pending
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