JP2004199724A - 光ピックアップ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】球座面方式によりスキュー調整するものにおいて、コリメータレンズを対物レンズと反射板との間に設けると装置の薄型化を図るのが困難であった。
【解決手段】移動ベース10には、支持体44が固定され、この支持体44にコリメータレンズ45が保持されている。固定ベース20には球座面20bが形成され、移動ベース10には前記球座面20bを支持する受け部41が形成されて、光軸の傾き調整が可能とされている。前記支持体44は、前記球座面20bを含む仮想球面を横断する位置に固定されて、前記球座面20bと前記受け部41との摺動部が前記支持体44の外側に移動空間Sを介して位置している。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、対物レンズの光軸調整が可能な光ピックアップ装置に係り、特に装置の小型化及び薄型化が図れる光ピックアップ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の光ピックアップ装置としては特許文献1に示すものがある。この特許文献1に示す光ピックアップ装置は、球座面方式で対物レンズの光軸の傾きを調整するものである。対物レンズを保持するレンズホルダが固定ベース(アクチュエータベース)に可動状態で支持され、固定ベースの下面には球座面が形成され、この球座面が、前記固定ベースの下側に位置する移動ベース(キャリッジベース)に摺動自在に設けられている。また前記移動ベースには凹部が形成されて、この凹部内に前記対物レンズに光を反射させる反射部材(三角プリズム)が固定されている。
【0003】
また、特許文献2の図5には、従来の一般的な光ピックアップ装置の構造が示されている。この光ピックアップ装置は、対物レンズの真下に反射部材が設けられ、反射部材と水平な方向に、コリメータレンズと、発光素子および受光素子が配置されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平05−189784号公報
【特許文献2】
特開平10−177730号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
コリメータレンズを使用した光ピックアップ装置では、発光素子から発せられた拡散光がコリメータレンズで平行光束に変換されて、この平行光束が対物レンズで収束されてディスクの記録面に与えられる。発光素子および受光素子と、コリメータレンズとの距離は、コリメータレンズの焦点位置に応じて一義的に決まる。したがって、特許文献2のように、コリメータレンズと発光素子および受光素子を水平に配置した構造では、前記コリメータレンズと発光素子および受光素子の距離を短くすることができず、光ピックアップ装置を平面で見た形状を小さくするのに限界がある。
【0006】
そこで、対物レンズと反射部材との間にコリメータレンズを高さ方向に重ねて配置すれば、コリメータレンズと、発光素子および受光素子との焦点距離の間に前記反射部材が介在するため、平面で見たときの形状を小さくできる。しかし、反射部材とコリメータレンズおよび対物レンズが高さ方向に重なるため、特許文献1に記載の球座面方式の光軸の傾き調整手段を採用すると、光ピックアップの高さ寸法がさらに大きくなってしまう。
【0007】
光軸の傾き調整手段としての球座面方式は、球面の曲率中心を対物レンズの光軸上に位置させることができるため、光軸を傾けたときに対物レンズの高さ変動が小さく、また調整精度も高い。したがって、高密度記録のディスクに適合させる光ピックアップ装置などでは、球座面方式の調整手段の採用がさらに望まれるようになる。
【0008】
また、最近では、各種ディスクに対応するために、対物レンズの真下に波長板などの光学部材を配置することも要求されている。このようなものにおいても、反射部材と対物レンズとの間に前記光学部材を配置し、さらに球座面方式の調整手段を採用すると、光ピックアップ装置の高さ寸法が増大するようになる。
【0009】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、球座面方式の光軸の傾き調整手段を採用し、さらに平面での形状が小型で、また高さ寸法も薄型にできる光ピックアップ装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、対物レンズを保持するレンズホルダと、前記レンズホルダを可動自在に支持する固定ベースと、前記固定ベースをディスクの記録面に沿って移動させる移動ベースと、前記対物レンズの光軸に対して交差する方向から入射させられる検知光を前記対物レンズに向けて反射させる反射部材と、前記対物レンズと前記反射部材との間に位置して対物レンズに入射する前記検知光を変換する光学部材と、を有する光ピックアップ装置において、
前記固定ベースには、前記光軸上に曲率中心を有する仮想球面の一部となる球座面が設けられ、前記移動ベースには前記球座面を支持する受け部が設けられて、前記光軸の傾き角度の調整が可能とされており、
前記移動ベースには、前記光学部材を支持する支持体が、前記仮想球面を横断する位置に固定されて、前記球座面と前記受け部との摺動部が前記支持体の外周に位置しており、前記支持体の側面と前記固定ベースの間には、前記光軸の傾き調整の際の前記固定ベースの移動空間が形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
この光ピックアップ装置では、球座面方式の傾き調整手段を有しているため、対物レンズの光軸の傾き調整の際に、対物レンズの光軸方向への高さ変動が少なく、高精度な光軸調整ができる。しかも、光学部材を支持する支持体を設け、この支持体を仮想球面を横断する位置に設け、支持体の側面の外側に固定ベースの調整時の移動空間を確保している。よって反射部材と光学部材と対物レンズが高さ方向に重ねられた構造であっても、球座面の摺動部を支持体の外周に配置することで、光学部材を対物レンズに接近させることができ、薄型化が可能である。
【0012】
好ましくは、前記光学部材は、前記仮想球面よりも対物レンズ側に位置しているものである。この構造では光学部材を対物レンズに接近させて配置でき、薄型化が可能である。
【0013】
また、前記レンズホルダの下端の少なくとも一部が、前記光学部材の上面よりも反射部材側に位置していることが好ましい。
【0014】
光学部材をレンズホルダの内部に位置させることによりさらに薄型化ができる。
【0015】
さらに、前記反射部材の少なくとも一部が、前記支持体の前記側面の内側に入り込んでいるものであってもよい。
【0016】
支持体の外周に球座面の摺動部を配置し、反射部材を支持体の内部に介入させることにより、さらに薄型化が可能である。
【0017】
例えば、前記光学部材がコリメータレンズであると、反射部材と発光素子および受光素子との平面的な距離を短くでき、平面から見た形状を小さくできる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の光ピックアップ装置を示す平面図、図2は図1のII−II線の切断断面図、図3は図1のIII−III線の切断断面図、図4は図1のIV−IV線の切断断面図、図5は固定ベースを除いた状態を示す分解斜視図、図6は図5の組立後の状態を示す平面図、図7は図6のVII−VII線で切断したときの断面図である。
【0019】
本発明の光ピックアップ装置1は、例えばCD(CD−ROM、CD−R、CD−RW)とDVD(DVD−ROM、DVD−R、RVD−RW)などの複数種の記録媒体に対応したディスク装置に搭載されるものである。図1に示すように、前記光ピックアップ装置1には、DVD用の光学ユニット50とCD用の光学ユニット60がそれぞれ設けられている。
【0020】
本発明の光ピックアップ装置1は、アルミ合金などの金属で成型された移動ベース10を有している。この移動ベース10には、Z1側が開口する凹部11が形成されている。
【0021】
図2と図5に示すように、前記移動ベース10の下面のY1側の両端部には、一対のガイド部9a,9bが一体に形成され、このガイド部9a,9bにはX方向に円形のガイド穴10a,10bがそれぞれ貫通して形成されている。また移動ベース10のY2側でX1側の側面にはガイド部9cが形成され、U字状のガイド溝10cがY2側を向いて形成されている。
【0022】
図5に示すように、前記ガイド穴10a,10bとガイド溝10cは、ディスク装置本体の機構シャーシに平行に固定された1対の金属製のガイド軸2,3に摺動自在に挿通され、移動ベース10がX1−X2方向に移動させられる。前記ディスク装置本体の機構シャーシには、一方のガイド軸と平行に延びるスクリュー軸(図示せず)が設けられ、前記移動ベース10には、このスクリュー軸のスクリュー溝に係合する係合部が設けられている。スレッドモータによって前記スクリュー軸が回転させられると、前記移動ベース10がディスクの記録面に沿ってX1−X2方向へ移動させられる。
【0023】
前記移動ベース10の凹部11には、金属製の固定ベース20が設けられている。図2に示すように、前記固定ベース20は前記凹部11の底面に沿う底板20dを有し、前記底板20d上のY2側に合成樹脂製の支持部材21が固定され、前記支持部材21のY1側の面に回路基板21aが固定されている。前記回路基板21aに4本の金属製のワイヤ22の基端部が固定されている。各ワイヤ22は、図3と図4に示すように前記支持部材21のX方向の両側に形成された穴21b,21bに通されて、各ワイヤ22の先部が前記支持部材21からY2側に突出している。
【0024】
各ワイヤ22の先端部にはレンズホルダ23が支持されており、このレンズホルダ23には対物レンズ24が保持されている。図1と図4に示すように、レンズホルダ23には4本の金属製の係止ピン23aがX1方向とX2方向にそれぞれ2本づつ突出して形成されており、各係止ピン23aに各ワイヤ22の先端が固定されている。これにより前記レンズホルダ23は、前記移動ベース10上においてZ方向およびX方向へ可動可能に支持されている。
【0025】
前記固定ベース20は、前記底板20dのY1側とY2側の各端部に、垂直に折り曲げ形成されたヨーク25a,25bが互いに対向して形成されている。そして、各ヨーク25a,25bのそれぞれ内側には永久磁石で形成されたマグネット26a,26bが固定されている。
【0026】
図2に示すように、前記固定ベース20には、前記ヨーク25aと25bとの間でZ方向に貫通する円形の連絡穴20aが形成されている。前記連絡穴20aの縁部には、前記縁部に沿って延びる球面を有する球座面20bが形成されている。また図2と図5に示すように、本実施の形態では前記球座面20bのY2側の一部が切り欠かれている。この球面座20bは、対物レンズ24の光軸P上に曲率中心が位置する仮想球面の一部と一致している。
【0027】
図4に示すように、前記レンズホルダ23には、その側面の全周に渡って溝部23bが形成されており、この溝部23bに銅線を所定周回数巻回して形成されたフォーカシングコイル27が設けられている。このフォーカシングコイル27は、1本の銅線で形成され、その端部が前記係止ピン23aに巻きつけられて固定されている。
【0028】
またレンズホルダ23には、Y1側に向く側面に1対のボビン23c,23cが前記マグネット26aに対向して設けられ、Y2側に向く側面に1対のボビン23d,23dが前記マグネット26bに対向して設けられている。前記ボビン23c,23c,23d,23dには、銅線を所定回数巻回して形成されたトラッキングコイル28が設けられている。このトラッキングコイル28は、1本の銅線で形成されて、その端部が係止ピン23aに巻きつけられ、そして各ボビン23c,23c,23d,23dに順番に巻きつけられて、他の係止ピン23aに巻き付けられている。
【0029】
前記フォーカシングコイル27とトラッキングコイル28とからなるムービングコイルが、前記マグネット26aと26bとの間に設置されて、ムービングコイル方式の補正駆動手段が形成されている。前記補正駆動手段では、前記回路基板21aから前記ワイヤ22と係止ピン23aを介して前記フォーカシングコイル27に与えられる補正電流により、レンズホルダ23がフォーカシング方向(Z1−Z2方向)へ微駆動され、また同様に前記回路基板21aから前記ワイヤ22と前記係止ピン23aを介して前記トラッキングコイル28に与えられる補正電流により、レンズホルダ23がトラッキング方向(X1−X2方向)へ微駆動される。
【0030】
図5と図6に示すように、前記移動ベース10の凹部11の底部には、Y1側の端部のX方向中央部にZ方向に貫通する調整穴12aが、X2側の端部のY方向中央部にZ方向に貫通する雌ねじ穴12bが、さらにX1側の端部のY2側寄りにZ方向に貫通する雌ねじ穴12cがそれぞれ形成されている。そして図2に示すように前記固定ベース20には、前記調整穴12aと対向する位置に雌ねじ穴20eが形成されている。また、図4に示すように前記雌ねじ穴12bと対向する位置に小孔20fが形成されている。また前記雌ねじ穴12cと対向する位置には挿通孔(図示せず)が形成されている。
【0031】
前記調整穴12aには、Z2側から調整ねじ30が挿入されて、前記調整ねじ30の先部が前記雌ねじ穴20eに螺着されている。また前記雌ねじ穴12bにはZ2側から調整ねじ31が螺着されて、前記調整ねじ31の先端が前記小孔20fの開口縁部に当接している。図1に示すように、固定ベース20に形成された図示しない挿入孔には調整ねじ32がZ1側から挿入されて、前記調整ねじ32が前記雌ねじ穴12cに螺着されている。なお、調整ねじ32には圧縮コイルばね33が取り付けられた状態で図示しない挿通孔に挿入されているため、前記圧縮コイルばね33の弾性復帰力によって前記固定ベース20が常にZ2側に向けて付勢されている。
【0032】
図5に示すように、前記移動ベース10の中央部には略円形の凹部40が形成されている。前記凹部40には、その周縁部に沿って球面を有する受け部41が一体に形成されている。本実施の形態では、受け部41のZ1側に向く面に球面が形成されている。なお、受け部41にはY2側の一部に球面が形成されていない部分があり、前記光学ユニット50,60に通じる通路41aとなっている。前記受け部41も、対物レンズ24の光軸P上に曲率中心を有する仮想球面の一部に一致している。
【0033】
また前記移動ベース10には、前記凹部40のZ2側となる下側に支持台42が一体に形成されている。この支持台42は、Y2方向と対物レンズ24の光軸Pの双方に対して45度の角度に向けられた傾斜面42aを有し、前記傾斜面42aに3個の円形の小突面42bが三角形状に配列されて形成されている。
【0034】
前記支持台42には反射板(反射部材)43が取り付けられるが、本実施の形態での反射板43は全反射ミラーであり、前記反射板43の裏面が前記各小突面42bに当接した状態で固定されている。
【0035】
図5に示すように、前記移動ベース10には、金属材料あるいは合成樹脂材料から略筒状に形成された支持体44が設けられている。前記支持体44は、Y1側の一部分がZ方向に切り欠かれた切欠き部44aが形成され、さらにY2側の側面にはアーチ状に切り欠かれた切欠き穴44bが形成されている。また前記支持体44は、前記反射板43を覆った状態で前記移動ベース10に固定されるが、図6に示すように、このとき前記支持体44の切欠き部44aの間に前記反射板43のX側の側面の一部が当接した状態で設置される。
【0036】
図5に示すように、前記支持体44の上端には、中央に円形の貫通孔44cを有する係止凹部44dが形成されて、この係止凹部44dに円柱形状の光学部材であるコリメータレンズ45が上側から載置されて接着固定される。固定された状態のコリメータレンズ45は、図2に示すように、前記反射板43の上端部43tとの間に微小な隙間が形成される程度に接近した状態で位置決めされている。
【0037】
このように反射板43とコリメータレンズ45などが搭載された移動ベース10上には、前記レンズホルダ23が保持された固定ベース20が搭載される。本実施の形態では、前記固定ベース20の球座面20bの球面と前記受け部41の球面とは同じ曲率の球面で形成されているため、前記球座面20bの球面と前記受け部41の球面とが面接触した状態で回動可能な摺動部が形成される。ただし、前記受け部41は必ずしも球座面20bと同じ曲率の曲面である必要はなく、単に前記球座面20bを支持できるものであればよく、例えば円筒形状のものであって球座面を面ではなく円で支持するものであってもよく、あるいは傾斜面であってもよい。
【0038】
そして、前記移動ベース10に前記固定ベース20が載せられた状態で調整ねじ30,31,32が取り付けられると、前記球座面20bと受け部41との摺動で、対物レンズ24の光軸Pの倒れ調整が可能となる。
【0039】
図4に示すように、前記支持体44は、球座面20bを含む前記仮想球面をZ方向へ横断するように配置され、コリメータレンズ45が前記仮想球面よりも上側(Z1側)に位置し、反射板43も前記仮想球面を横断する位置に配置される。また支持体44の各方向の側面と、前記固定ベース20との間、詳しくは、球座面20bと受け部41との摺動部の部分において、支持体44の側面と固定ベース20との間には移動空間Sが形成されている。これにより、支持体44が中心部に存在し、その外周に前記摺動部が位置していても、固定ベース20の傾き調整が可能になる。
【0040】
また、図4に示すように、前記支持体44を前記仮想球面を横断するように設置し、支持体44の側面の外側に固定ベース20の調整時の移動空間Sを確保しているため、反射板43とコリメータレンズ45と対物レンズ24が高さ方向(Z方向)に重ねられた構造であっても、コリメータレンズ45を対物レンズ24に接近させることができ、薄型化が可能になる。
【0041】
図2と図4に示すように、固定ベース20が移動ベース10に支持されると、コリメータレンズ45の上面45aが、レンズホルダ23の下端面23uよりもZ1側に位置して、コリメータレンズ45の一部がレンズホルダ23内に進入した状態となる。ただし、コリメータレンズ45の側面とレンズホルダ23のX方向の内側壁23s1との間に寸法t1の隙間が形成され、コリメータレンズ45の側面とレンズホルダ23のY方向の内側壁23s2との間に寸法t2の隙間が形成され、またコリメータレンズ45の上面45aとレンズホルダ23の上壁23tとの間に寸法hの隙間が形成されるように設定されている。
【0042】
前記寸法t1は、対物レンズ24の光軸PがX軸方向に補正されたときの調整余裕のための隙間であって、さらに対物レンズ24がトラッキング方向(X方向)に駆動させられたときの可動範囲のための隙間である。また前記寸法t2は、対物レンズ24がY軸方向に補正されたときの調整余裕のための隙間である。さらに前記寸法hは、対物レンズ24がフォーカシング方向へ駆動させられたときの可動範囲のための隙間である。本実施の形態では、前記各寸法t1,t2及びhは、対物レンズ24の光軸が調整された後に対物レンズ24が駆動動作させられたときに、レンズホルダ23がコリメータレンズ45に接触しない最小の寸法に設定されている。
【0043】
上記のようにして構成された光ピックアップ装置1において、対物レンズ24の光軸Pを調整する際には、前記調整ねじ30を回転させて固定ベース20を移動ベース10から離れる方向へ移動させると、対物レンズ24の光軸はY2側に向けられる。すなわち、圧縮コイルばね33の付勢力によって固定ベース20のY2側の端部はZ2側に押し付けられているため、調整ねじ30を前記のように回転させると、球座面20bのY1側が持ち上げられ、Y2側は逆に前記付勢力により押し下げられて、前記光軸PがY2側に向けられる。また前記とは逆に固定ベース20を移動ベース10に接近する方向へ調整ねじ30を回転させると、対物レンズ24の光軸PはY1側に向けられる。
【0044】
前記調整ねじ31を回転させて固定ベース20を移動ベース10から離れる方向へ移動させると、対物レンズ24の光軸PはX1側に向けられ、逆に固定ベース20を移動ベース10に接近する方向へ調整ねじ31を調節すると、光軸PはX2側に向けられる。このようにして、対物レンズ24の光軸Pの向きが補正されて、ディスクDのピットに最適なスポット光が形成されるようにスキュー調整が行われる。このスキュー調整後に、各調整ねじ30,31,32を接着剤等で固定する。
【0045】
本実施の形態では、球座面方式によって光軸Pの調整を行っているため、球座面を利用しないピボット方式のスキュー調整方式(固定ベースの外縁側の一部を支点として該固定ベースをX方向及びY方向へ傾けるもの)に比べて、対物レンズ24の高さ変動を小さくできる。したがって、光軸Pの調整に伴う調整余裕の隙間を大きく設定する必要がなくなるため、コリメータレンズ45を対物レンズ24により近づける設計が可能になる。
【0046】
コリメータレンズ45は、発光素子から発せられた検知光を平行光束に変換し、この平行光束が対物レンズ24により収束させられてディスクの記録面に集光される。コリメータレンズ45と発光素子および受光素子との距離は、コリメータレンズ45の焦点距離に応じて一義的に決められる。この実施の形態では、コリメータレンズ45を対物レンズ24と反射板43との間に配置しているため、反射板43と、発光素子および受光素子との距離を短くできる。よって、移動ベース10内に反射板43と発光素子および受光素子を平面的に配置した場合であっても、移動ベース10を平面で見た形状および寸法を小さくできる。
【0047】
本発明では、上記のようにコリメータレンズ45が対物レンズ24と反射板43との間に設けられたものであっても、球座面20bの径寸法すなわち対物レンズ24の中心から球座面20bまでの回動半径寸法R(図4参照)を短く設定できるので、光軸調整の際により少ない調整量で対物レンズ24の光軸Pの調整を大きく変化させることができる。その結果、コリメータレンズ45とレンズホルダ23との間の前記隙間寸法t1,t2,hを大きく設定する必要がなくなり、対物レンズ24とコリメータレンズ45との間の距離を短く設定できるようになり、装置を薄型にできる。
【0048】
また、球座面20bの高さ位置をコリメータレンズ45よりもZ2側に設定したので、対物レンズ24とコリメータレンズ45とを接近させることが可能になる。
【0049】
このように、対物レンズ24とコリメータレンズ45との間の距離と、コリメータレンズ45と反射板43との間の距離をそれぞれ小さく設定できるので、対物レンズ24と反射板43との間にコリメータレンズ45を設けた装置であっても薄型にできる。
【0050】
図1と図2に示すように、前記移動ベース10には、前記反射板43のY2側の前方に光学ユニット60が設けられ、前記光学ユニット60に直交するX2側には光学ユニット50が設けられている。また光学ユニット60と反射板43との間には、ハーフミラー46が設けられている。このハーフミラー46は、光学ユニット50から発せられた検知光や戻り光を反射させ、光学ユニット60から発せられた検知光や戻り光を透過させる特性を有している。なお、前記移動ベース10には、前記ハーフミラー46のY2側の前方に円形の通過孔47が形成され、また前記ハーフミラー46のX2側に向く面には円形の通過穴48が形成されて、前記各光学ユニット50,60の検知光や戻り光を通過可能にしている。
【0051】
例えば、前記光学ユニット50がDVD系の記録媒体に対応したもので、前記光学ユニット60がCD系の記録媒体に対応したものにできる。この場合、光学ユニット50は、約650nmの検知光を発するレーザーダイオードで形成された発光素子とディスクDに反射した戻り光を受光する受光素子が一体に形成された集積回路で構成でき、また光学ユニット60は、約760nmの検知光を発するレーザーダイオードで形成された発光素子とディスクDに反射した戻り光を受光する受光素子が一体に形成された集積回路で構成できる。
【0052】
したがって、光学ユニット50の発光素子から発せられた検知光は、通過穴48を通過してハーフミラー46でY1側に反射させられて、切欠き穴44bを通過して、反射板43で対物レンズ24側のZ1側に反射させられる。さらにコリメータレンズ45で検知光が平行光束に変換されて、対物レンズ24を介して、ディスクDの記録面にスポット光を形成する。そして、ディスクDに反射した戻り光は、対物レンズ24、コリメータレンズ45、反射板43及びハーフミラー46を介して、再び光学ユニット50に戻り、受光素子で戻り光が検知される。また光学ユニット60では、検知光および戻り光がハーフミラー46で透過される以外は前記光学ユニット50の場合と同様に光路を形成する。
【0053】
【発明の効果】
以上説明した本発明では、スキュー調整に球座面方式を採用し且つ対物レンズと反射板との間に光学部材を効率的に配置したので、装置の小型化と薄型化を両立することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ピックアップ装置を示す平面図、
【図2】図1のII−II線で切断したときの断面図、
【図3】図1のIII−III線で切断したときの断面図、
【図4】図1のIV−IV線で切断したときの断面図、
【図5】移動ベースを取り除いた状態を示す分解斜視図、
【図6】図5の組立後の状態を示す平面図、
【図7】図6のVII−VII線で切断したときの断面図、
【符号の説明】
10 移動ベース
20 固定ベース
20b 球座面
23 レンズホルダ
24 対物レンズ
31,32,33 調整ねじ
41 受け部
43 反射板
44 支持体
45 コリメータレンズ
50,60 光学ユニット

Claims (5)

  1. 対物レンズを保持するレンズホルダと、前記レンズホルダを可動自在に支持する固定ベースと、前記固定ベースをディスクの記録面に沿って移動させる移動ベースと、前記対物レンズの光軸に対して交差する方向から入射させられる検知光を前記対物レンズに向けて反射させる反射部材と、前記対物レンズと前記反射部材との間に位置して対物レンズに入射する前記検知光を変換する光学部材と、を有する光ピックアップ装置において、
    前記固定ベースには、前記光軸上に曲率中心を有する仮想球面の一部となる球座面が設けられ、前記移動ベースには前記球座面を支持する受け部が設けられて、前記光軸の傾き角度の調整が可能とされており、
    前記移動ベースには、前記光学部材を支持する支持体が、前記仮想球面を横断する位置に固定されて、前記球座面と前記受け部との摺動部が前記支持体の外周に位置しており、前記支持体の側面と前記固定ベースの間には、前記光軸の傾き調整の際の前記固定ベースの移動空間が形成されていることを特徴とする光ピックアップ装置。
  2. 前記光学部材は、前記仮想球面よりも対物レンズ側に位置している請求項1記載の光ピックアップ装置。
  3. 前記レンズホルダの下端の少なくとも一部が、前記光学部材の上面よりも反射部材側に位置している請求項1または2記載の光ピックアップ装置。
  4. 前記反射部材の少なくとも一部が、前記支持体の前記側面の内側に入り込んでいる請求項1ないし3のいずれかに記載の光ピックアップ装置。
  5. 前記光学部材がコリメータレンズである請求項1ないし4のいずれかに記載の光ピックアップ装置。
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