JP2004197323A - 地中接合型シールド掘進機及びその地中接合方法 - Google Patents

地中接合型シールド掘進機及びその地中接合方法 Download PDF

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Abstract

【課題】地中接合型シールド掘進機において、受入れ側のシールド掘進機の機長が短い地中接合型シールド掘進機を提供する。
【解決手段】受入れ側の第1シールド掘進機1は、円筒状の中胴5と、中胴5に摺動可能に外嵌された外胴6と、中胴5の先端部分に摺動可能に内嵌された円筒状の内胴7と、外胴6を中胴5に対して掘進方向に押出し駆動可能な外胴押出し駆動手段18と、内胴7をカッターディスク8等と共に中胴5に対して掘進方向と反対方向に後退駆動可能な後退駆動手段19とを備え、貫入側の第2シールド掘進機は、円筒状の外胴と、外胴の先端部分に摺動可能に内嵌された円筒状の内胴と、内胴をカッターディスク等と共に外胴に対して掘進方向に押出し駆動可能な内胴押出し駆動手段と、地中接合状態のとき第1シールド掘進機1の外胴6の内周面との間を止水する止水装置とを備えたものである。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は地中接合型シールド掘進機及びその地中接合方法に関し、特に受入れ側のシールド掘進機の機長が短かい地中接合型シールド掘進機及びその地中接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年上下水道用トンネルや共同溝等をシールド工法により掘進することが多く、その場合に工事期間の制約があり、1台のシールド掘進機により掘進できる距離にも限界があるため、複数の立坑を設け立坑と立坑の間を各シールド掘進機により分担して掘進することが多い。しかし、隣接する立坑から相接近する方向に掘進する2台のシールド掘進機が地中接合地点に到達すると、両者を地中で接合するが、その地中接合は容易ではない。そこで、種々の地中接合型シールド掘進機やその地中接合方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、受入れ側のシールド掘進機が地中接合地点に到着すると、そのシールド掘進機のカッターディスクを外胴に対して後退させ、次に、貫入側のシールド掘進機を受入れ側のシールド掘進機の外胴の先端部にカッターディスクの外輪部の一部が内嵌するまで掘進させ、次に、貫入側のシールド掘進機の外胴を受入れ側のシールド掘進機の外胴に当接するまで押出し、両シールド掘進機の先端部に設けられたチューブシールによりカッターディスク外輪部と両シールド掘進機の外胴とをシールして地中接合する技術が開示されている。
【0004】
特許文献2には、相接近したシールド掘進機のうち、受入れ側のシールド掘進機のカッターディスク等を胴部材に対して後退移動させ、次に、胴部材よりやや小径に胴部材先端部に形成されたフードが受入れ側のシールド掘進機の胴部材に内嵌するまで貫入側のシールド掘進機を前進させ、次に、受入れ側のシールド掘進機の胴部材の先端部に設けられた止水シール機構により、前記フードと受入れ側シールド掘進機の胴部材先端部を止水して地中接合する技術が開示されている。また、この公報には、受入れ側のシールド掘進機の外胴先端部に設けられたスクレーパーによりフード外周面の泥土を取り除いてシール性能を向上させる技術も開示されている。
【0005】
特許文献3には、相接近したシールド掘進機のうち、受入れ側のシールド掘進機の胴部材の先端がカッターディスクの前面に突出するまでカッターディスクを後退させ、次に、貫入側のシールド掘進機をカッターディスクが胴部材に内嵌するまで前進させる。この前進の際に貫入側のシールド掘進機の胴部材先端部に設けられたシール装置を保護する保護リングの先端を受入れ側のシールド掘進機の胴部材の先端に当接させることで、保護リングを胴部材に対して後退させてシール装置を露出させて、胴部材に設けられたシール装置により両胴部材の間を止水して地中接合する技術が開示されている。
【0006】
特許文献4には、相接近したシールド掘進機のうち、受入れ側のシールド掘進機のカッターディスク等を胴部材に対して後退させ、次に、貫入側のシールド掘進機の胴部材先端部に形成されたフードが受入れ側のシールド掘進機の胴部材に内嵌するまで前進させ、受入れ側のシールド掘進機の胴部材先端部に設けられた止水シール装置で両胴部材の間を止水して地中接合する技術が開示されている。尚、この公報には、フードの外周面をカッターディスク外周部に設けられた噴射ノズルにより洗浄し、止水性能を高める技術も開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開平5−248168号公報(2, 3頁、全図)
【特許文献2】特開2000−265781号公報(6, 7頁、図6, 9, 10)
【特許文献3】特開2002−285787号公報(4頁、図6, 7)
【特許文献4】特開2002−138787号公報(6−8頁、図1, 9, 10, 12)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記各公報においては、地中接合する際に、受入れ側のシールド掘進機はカッターディスク等を外胴に対して後退駆動させて、貫入側のシールド掘進機が嵌入するためのスペースを確保するので、受入れ側のシールド掘進機はカッターディスクを後退させるためのスペースが必要なため、機長が必然的に長くなる。このようにシールド掘進機の機長が長くなると、以下の問題が生じる。
シールド掘進機を導入するための立坑が大きくなるために、その立坑をボーリングするための時間が増大し、工事費も増大し、また、シールド掘進機が曲がる際に、機長が長いために小回りがきかず、旋回半径の大きな曲線でしか掘進できない、即ち、旋回性能が低い、また、シールド掘進機を製作するための製作コストが増大する。
【0009】
シール装置などによる止水性能を向上させるために、特許文献2に記載されているようにスクレーパを受入れ側シールド掘進機に設けたり、特許文献4に記載されているように貫入側シールド掘進機のカッターディスクに噴射ノズルを設けて、胴部材に堆積した泥土を除去したり、また、特許文献4においては、シール装置を泥土から保護するための保護リングを設けているが、シールド掘進機の構造が複雑になり、シールド掘進機の製造コストが増大するなどの問題が生じている。
【0010】
本発明の目的は、地中接合型シールド掘進機において受入れ側のシールド掘進機の機長を短くすること、シールド掘進機の構造を複雑にすることなく止水手段による止水性能を向上させたシールド掘進機を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1の地中接合型シールド掘進機は、第1, 第2シールド掘進機を備え、これら両シールド掘進機を相接近方向へ掘進させて両者を地中で接合するようにした地中接合型シールド掘進機において、受入れ側の第1シールド掘進機は、カッターディスクと、円筒状の中胴と、中胴に摺動可能に外嵌された外胴と、中胴の先端部分に摺動可能に内嵌され且つカッターディスクの背面側チャンバーを区画する隔壁の外周部に固定された円筒状の内胴と、外胴を中胴に対して掘進方向に押出し駆動可能な押出し駆動手段と、内胴をカッターディスク及び隔壁と共に中胴に対して掘進方向と反対方向に後退駆動可能な後退駆動手段とを備え、貫入側の第2シールド掘進機は、カッターディスクと、円筒状の外胴と、外胴の先端部分に摺動可能に内嵌され且つカッターディスクの背面側チャンバーを区画する隔壁の外周部に固定された円筒状の内胴と、内胴をカッターディスク及び隔壁と共に外胴に対して掘進方向に押出し駆動可能な押出し駆動手段と、内胴の先端部分の外周部に装備されて外胴で保護された止水手段であって、地中接合状態のとき第1シールド掘進機の外胴の内周面との間を止水する止水手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0012】
この地中接合型シールド掘進機によれば、両シールド掘進機を相接近方向へ掘進させて地中接合する際、まず、第1シールド掘進機の押出し駆動手段により外胴を中胴に対して掘進方向に押出した後、次に、後退駆動手段により内胴とカッターディスクと隔壁を中胴に対して掘進方向と反対方向に後退させて、外胴先端部に貫入側の第2シールド掘進機が嵌入するための嵌入スペースを形成する。次に、地中接合地点に到達した第2シールド掘進機のカッターディスクが第1シールド掘進機の外胴に嵌入するまで第2シールド掘進機を第1シールド掘進機に対向状に掘進させ、次に、第2シールド掘進機の押出し手段により内胴の前端部分と止水手段が第1シールド掘進機の外胴に嵌入するまで、外胴に対して内胴とカッターディスクと隔壁とを押出し、第1シールド掘進機の外胴と第2シールド掘進機の内胴との間を止水手段によって止水する。
【0013】
第1シールド掘進機は、第2シールド掘進機が嵌入するための嵌入スペースをカッターディスクの後退のみならず、外胴を掘進方向に押出すことで形成することが可能に構成されているので、カッターディスクを後退させるのみで嵌入スペースを確保する場合に比べ、カッターディスクの後退距離が短くなる。それゆえ、第1シールド掘進機の機長が短くなり、それに伴い、シールド掘進機を導入するための立坑を小さくすることができ、シールド掘進機の旋回性能が向上し、シールド掘進機の製造コストが減少する。
また、第2シールド掘進機に設けられた止水手段は、トンネル掘進状態においては、第2シールド掘進機の外胴により保護されるため、止水手段が土砂に暴露されることがない。従って、止水手段が掘削した泥土により破損することがなく、止水性能が向上する。
【0014】
請求項2の地中接合型シールド掘進機は、請求項1の発明において、地中接合に際して、第1シールド掘進機の外胴を掘進方向に第1所定距離前進させると共に内胴とカッターディスクと隔壁を中胴に対して掘進方向と反対方向へ第2所定距離後退させ、第2シールド掘進機のカッターディスクを第1シールド掘進機の外胴の前端部に内嵌させて両シールド掘進機の外胴同士を当接させた状態で、第2シールド掘進機の内胴とカッターディスクと隔壁とを外胴に対して前進させることにより内胴の先端部分と止水手段を第1シールド掘進機の外胴に内嵌させるように構成したことを特徴とするものである。
【0015】
この地中接合型シールド掘進機によれば、止水手段は第2シールド掘進機の内胴と共に押出されるため、その内胴の先端部により第1シールド掘進機の外胴内面に付着した泥土が取り除かれるので、止水手段と第1シールド掘進機の外胴の内周面との間に泥土が噛み込むことがない。また、両シールド掘進機の外胴同士が当接した状態で、内胴と共に止水手段を押出すので、地中接合の際も、止水主段が土砂に暴露されることがない。即ち、この地中接合型シールド掘進機においては、構造を複雑にすることなく、止水性能が向上する。
【0016】
請求項3の地中接合型シールド掘進機は、請求項1又は2の地中接合型シールド掘進機において、第1シールド掘進機の中胴には、外胴を押し出し駆動する為に、掘進方向と平行方向向きの複数のスリットが形成されたことを特徴とするものである。
【0017】
この地中接合型シールド掘進機によれば、第1シールド掘進機の外胴を押出すための、例えばジャッキなどの押出し駆動手段の出力端をスリットにより露出している外胴に連結部材などを介して固定し、他端を中胴若しくは中胴に固定された連結部材などに固定し、この状態で押出し駆動手段を駆動すると中胴に対して外胴を押出すことが可能になるので、第1シールド掘進機の構成を複雑にすることなく、第1シールド掘進機に押出し駆動手段を配設することが可能になる。
【0018】
請求項4の地中接合型シールド掘進機は、請求項1〜3の何れかの地中接合型シールド掘進機において、第1, 第2シールド掘進機のカッターディスクは、前面部と外周部に複数のローラーカッターを備え、前記外周部のローラーカッターをカッターディスクの外周より内側へ収容可能に構成されたことを特徴とするものである。
【0019】
この地中接合型シールド掘進機によれば、地中接合の際に、両シールド掘進機のカッターディスク外周部のローラカッターをカッターディスクの外周より内側へ収容した後、第1シールド掘進機のカッターディスクを後退駆動し、また、第2シールド掘進機のカッターディスクを押出し駆動する。それゆえ、地中接合の際、外胴等を損傷することなくカッターディスクを押出し又は後退駆動することができる。
【0020】
請求項5の地中接合型シールド掘進機は、請求項1〜4の何れかの地中接合型シールド掘進機において、トンネル掘進時には、第1シールド掘進機の外胴と中胴、中胴と内胴、第2シールド掘進機の外胴と内胴は、夫々、複数の固定部材を介して固定されていることを特徴とするものである。
【0021】
この地中接合型シールド掘進機によれば、トンネル掘進時には、固定部材により第1シールド掘進機の外胴と中胴、中胴と内胴、第2シールド掘進機の外胴と内胴を固定し、地中接合の際には、夫々を固定部材を外すことで前記各胴間の固定を解除することが可能である。それゆえ、地中接合の際、第1シールド掘進機の外胴と内胴及び第2シールド掘進機の内胴を夫々相対移動する際に労力が軽減できる。
【0022】
請求項6の地中接合型シールド掘進機は、請求項5の地中接合型シールド掘進機において、第1シールド掘進機の後退駆動手段は、複数のシールドジャッキからなることを特徴とするものである。第1シールド掘進機の後退駆動手段が、トンネル掘進時にシールド掘進機の推進力を得るためのシールドジャッキを兼用することで、シールド掘進機の構造を簡単化することができる。
【0023】
請求項7の地中接合型シールド掘進機は、請求項6の地中接合型シールド掘進機において、第2シールド掘進機の押出し駆動手段は、複数の中折れジャッキからなることを特徴とするものである。第2シールド掘進機の押出し駆動手段が、トンネル掘進時にシールド掘進機が旋回するための中折れジャッキを兼用することで、シールド掘進機の構造を簡易化することができる。
【0024】
請求項8の地中接合型シールド掘進機は、請求項1〜7の何れかの地中接合型シールド掘進機において、前記第2シールド掘進機の内胴の先端部分に、内胴の外面側へ裏込剤を吐出する裏込剤吐出管を設けたことを特徴とするものである。この地中接合型シールド掘進機によれば、裏込剤吐出管から地中接合の際に内胴の外面側に裏込剤を吐出するので、止水性能を向上させることができる。
【0025】
請求項9の地中接合方法は、第1, 第2シールド掘進機を相接近方向へ掘進させて地中で接合する地中接合方法において、受入れ側の第1シールド掘進機に、カッターディスクと、円筒状の中胴と、中胴に摺動可能に外嵌された外胴と、中胴の先端部分に摺動可能に内嵌され且つカッターディスクの背面側チャンバーを区画する隔壁の外周部に固定された円筒状の内胴と、外胴を中胴に対して掘進方向に押出し駆動可能な押出し駆動手段と、内胴をカッターディスク及び隔壁と共に中胴に対して掘進方向と反対方向に後退駆動可能な後退駆動手段とを予め設け、貫入側の第2シールド掘進機に、カッターディスクと、円筒状の外胴と、外胴の先端部分に摺動可能に内嵌され且つカッターディスクの背面側チャンバーを区画する隔壁の外周部に固定された円筒状の内胴と、内胴をカッターディスク及び隔壁と共に外胴に対して掘進方向に押出し駆動可能な押出し駆動手段と、内胴の先端部分の外周部に装備されて外胴で保護された止水手段であって、地中接合状態のとき第1シールド掘進機の外胴の内周面との間を止水する止水手段とを予め設け、トンネル掘進時には、第1シールド掘進機においては中胴と外胴、中胴と内胴を解除可能に固定し、第2シールド掘進機においては内胴と外胴を解除可能に固定しておき、地中接合に際して、第1シールド掘進機の中胴と外胴の固定を解除して外胴を中胴に対して掘進方向に第1所定距離押出した後外胴を中胴に再度固定する第1工程と、第1シールド掘進機の中胴と内胴の固定を解除して内胴とカッターディスクと隔壁を中胴に対して掘進方向と反対方向に第2所定距離後退させた後内胴を中胴に再度固定する第2工程と、第2シールド掘進機のカッターディスクが第1シールド掘進機の外胴に嵌入するまで第2シールド掘進機を第1シールド掘進機に対向状に掘進させ、両シールド掘進機の外胴同士を当接させる第3工程と、第2シールド掘進機の内胴と外胴の固定を解除し、内胴の前端部分と止水手段が第1シールド掘進機の外胴に嵌入するまで、外胴に対して内胴とカッターディスクと隔壁を押出す第4工程と、第1シールド掘進機の外胴と第2シールド掘進機の内胴との間を止水手段によって止水する第5工程とを備えたことを特徴とする地中接合型シールド掘進機の地中接合方法。この地中接合型シールド掘進機の地中接合方法においては、請求項1と略同様の作用効果が得られる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の形態について図面を参照して説明する。本実施形態に係る地中接合型シールド掘進機は、図1に示す受入れ側の第1シールド掘進機1と、図3に示す貫入側の第2シールド掘進機2とを備え、これら両シールド掘進機を相接近方向へ掘進させて両者を地中で接合するようにしたものである。
【0027】
最初に、第1シールド掘進機1について説明する。但し、その掘進方向に向かって前後左右を前後左右として説明する。
図1に示すように、第1シールド掘進機1は、円筒状の中胴5と、中胴5に摺動可能に外嵌された外胴6と、中胴5の先端部分に摺動可能に内嵌され且つカッターディスク8の背面側チャンバー9を区画する隔壁10の外周部に固定された円筒状の内胴7と、第1シールド掘進機1の後半部分を覆う後胴11と、第1シールド掘進機1の前端部分に設けられたカッターディスク8と、カッター駆動機構12と、中胴5と後胴11とを中折れ可能に連結する中折れ部13と、周方向に適当間隔おきに設けられた複数の中折れジャッキ14aと、掘進推力を発生させる複数のシールドジャッキ15と、エレクタ16と、排土設備17と、外胴6を中胴5に対して掘進方向に押出し駆動可能な外胴押出し駆動手段18と、内胴7をカッターディスク8及び隔壁10と共に中胴5に対して掘進方向と反対方向に後退駆動可能な後退駆動手段19などを備えている。
【0028】
カッターディスク8は、複数本(例えば、4本)のカッタースポーク21と、前面中央部に固着されたフィッシュテールビット23と、外周部を補強するリングフレーム24と、後端側にロータリージョイント25が装着され隔壁10に回動可能に支持された主軸26と、カッター駆動機構12の駆動力を伝達する為のカッタードラム38と、カッタードラム38とカッタースポーク21とを連結する連結部材38a等を備えている。カッターディスク8の内部には、ローラーカッター30を交換するための作業室27が形成されおり、トンネル掘進時、この作業室27は大気圧に保たれ、スライドジャッキ33に油圧を供給するための油圧供給管や、ローラーカッター22a, 22bに加泥剤を供給するための加泥剤供給管(図示略)等が配管されている。尚、主軸26の後端側には、地中接合の際に、両シールド掘進機の軸心を合わすためのチェックボーリング用バルブ28も装着されている。カッタードラム38は、1対のドラム部材39a, 39bに土砂シール40を介して回動可能に支持されている。カッタースポーク21の前面部には、複数の固定型ローラーカッター22aと、カッタースポーク21の外周部に配設された複数の出退型ローラーカッター22bとが配設されている。
【0029】
固定型ローラーカッター22aは、ローラーカッター30と、カッタースポーク21に形成された保持孔31aに嵌合されてローラーカッター30を保持する保持部材32aとを備え、カッターディスク8の前面に取替え可能に固定されている。
出退型ローラーカッター22bは、図1, 図2(a), (b)に示すように、ローラーカッター30と、カッタースポーク21に形成された保持孔31bに摺動可能に保持された保持部材32bと、ローラーカッター30と保持部材32bとをカッターディスク8の外周より内側へ収容するためのスライドジャッキ33と、トンネル掘進時に保持部材32bを保持孔31bに固定するジャッキ付きピン34とを備えている。出退型ローラーカッター22bは、トンネル掘進時には、図2(a)に示すように、掘削するためにカッターディスク8から突出した位置に固定され、地中接合時には、図2(b)に示すように、ジャッキ付きピン34による固定が解除されて、スライドジャッキ33が収縮し、保持孔31bに収容される。
【0030】
カッター駆動機構12は、カッターディスク8を回転駆動するためのものである。カッター駆動機構12は、複数の油圧モータ35と、油圧モータ35の出力軸であるピニオン36と、ピニオン36と噛合するリングギヤ37であってカッタードラム38に回転駆動力を伝達するためのリングギヤ37等で構成されている。
【0031】
隔壁10は、カッターディスク8の背面側のチャンバー9を区画し、カッター駆動機構12、カッターディスク8、排土設備17等を支持するためのものである。隔壁10は、内周側隔壁10aと外周側隔壁10bで構成されている。内周側隔壁10aの中央部には、カッターディスク8の主軸26が回転可能に支持され、内周側隔壁10aの下部には、排土設備17のスクリューコンベア75が支持され、内周側隔壁10aの上部には、チャンバー9に作業者が出入するためのマンホール41が形成されている。外周側隔壁10bは、内胴7の後端部に垂直に立設されている。
【0032】
中胴5は、中折れ部13の先端部からカッタースポーク21の背面までの長さの円筒状に形成されている。中胴5の長さ方向中央部には、掘進方向と平行方向向きに周方向適当間隔に複数のスリット45と、そのスリット45から周方向にずらした位置にある複数のストッパー46と、そのストッパー46の後端部に連結された連結部材66aが設けられている。連結部材66aの後端部には、中折れジャッキ14aの先端部が連結されている。
外胴6は、中胴5の長さと同じ長さであって内径が中胴5の外径と略同じ円筒状に形成され、複数の固定部材47aにより中胴5に溶接固定されている。外胴6の中央部は、中胴5に形成された複数のスリット45により内部に露出しており、地中接合の際には、この露出した個所に外胴押出しジャッキ70の後端が連結される(図6参照)。
【0033】
内胴7は、内胴7の長さの1/4程度の長さの円筒状に形成され、トンネル掘進時には、固定部材47bにより中胴5に溶接固定されている。
尚、外胴6と中胴5の間及び中胴5と内胴7との間には、泥土の侵入を防ぐための夫々複数のシール48が設けられている。
後胴11は、第1シールド掘進機1の後半部分を覆う円筒状に形成されている。後胴11の後端部には、テールシール49が配設されており、後胴11の前端部分の内部には、エレクタ16等が装着されている。
中折れ部13は、後胴11の先端部と中胴5の後端部を可動に連結するためのものであり、中折れ部材50と、中折れ部材50の先端部を支持するために中胴5の後端部に設けられた部分凹球座を形成する受座形成体52などを備えている。中折れ部材50の後端部内周面には、全周に亙ってリングウエブ51が固定され、リングウエブ51の前側には連結部部材66bが連結部材66aに対応する位置に周方向的等間隔で固定されている。トンネル掘進時は、複数の中折れジャッキ14aにより中折れ部13を曲折させることで、掘進方向を徐々に変える。
【0034】
複数(例えば、8本)のシールドジャッキ15は、周方向適当間隔に配設されている。各シールドジャッキ15は、ジャッキ本体55と、伸縮可能なロッド56とを備え、ジャッキ本体55の後端部には、フランジ57が形成されている。各シールドジャッキ15は、ロッド56が後方に伸縮可能にリングウエブ51に貫通され且つフランジ57がリングウエブ51にボルトで固定されている。各シールドジャッキ15のロッド56の後端部には、偏心金具58を介してスプレッダー59が連結されている。スプレッダー59には、ボルト孔が複数形成された板部材60が固着されている。トンネル掘進時には、板部材60を履工済みのセグメントSに当接させて反力を取り、複数のシールドジャッキ15で掘進推力を発生させ、その掘進推力はリングウエブ51を介して第1シールド掘進機1に伝達される。
【0035】
また、シールドジャッキ15は、後退駆動手段19をも兼ねており、地中接合の際には、シールドジャッキ15はリングウエブ51との固定が解除され、板部材60がセグメントSの先端部に当接するように後胴11に固定された固定部材61にボルトで固定され、シールドジャッキ15の前端部は外周側隔壁10bと連結部材62a, 62bとピン62cと連結棒63を介して連結され、内胴7とカッターディスク8等を中胴5に対して後退駆動させる(図6参照)。
【0036】
複数(例えば、8本)の中折れジャッキ14aは、シールドジャッキ15とは、異なる位置に周方向に適当間隔おきに配設されている。各中折れジャッキ14aは、ロッド65が後方に伸縮可能であり、その前端部がストッパー46の後端部に連結された連結部材66aにピン67を介して連結され、ロッド65の後端部が連結部材66bにピン67を介して連結されている。
外胴押出し駆動手段18は、両シールド掘進機1, 2の地中接合の際に、外胴6を中胴5に対して掘進方向に押出すためのものである。外胴押出し駆動手段18は、図6, 図7に示すように、ロッド73を有する外胴押出しジャッキ70と、中折れ部材50に固定された連結部材71aと、スリット45を貫通して外胴6に固定された連結部材71bと、ピン72とを備えている。外胴押出しジャッキ70は、周方向に適当間隔おきに配設され、ロッド73が前方へ伸縮可能であり、ピン72を介して連結部材71a, 71bに連結されている。尚、この外胴押出し駆動手段18は、トンネル掘進時には使用しないので、地中接合時にのみ設置すればよい。
【0037】
排土設備17は、チャンバー9内の泥土をスクリューコンベア75とトンネル内に設置されたベルトコンベヤによりトンネル外へ排出するものである。スクリューコンベア75は、内部に駆動モータで回転駆動されるスパイラル状のオーガ76を備え、オーガ76を回転させてチャンバー9内の泥土を吸い上げ、開閉ゲートを開いて後方に延びるベルトコンベアへ排出する。
エレクタ16は、支持ローラ77に回動可能に支持されたエレクターフレーム78と、エレクタ本体79と、エレクターフレーム78を回転駆動させるためのエレクタ回転駆動モータ80等を備えている。第1シールド掘進機1が、1リング分掘進する毎に、エレクタ16に後胴11の内面に、1リング分のセグメントSを履工する。
【0038】
次に、貫入側の第2シールド掘進機2について説明する。但し、掘進方向に向かって前後左右を前後左右として説明する。尚、カッターディスク8A, 隔壁10A, 後胴11A, カッター駆動機構12A, シールドジャッキ15A, エレクタ16A, 排土設備17A等のように、夫々第1シールド掘進機1と同じ構成のものは、同じ符号にAを付け、説明を省略する。
図3に示すように、第2シールド掘進機2は、円筒状の外胴85と、外胴85の先端部分に摺動可能に内嵌され且つカッターディスク8Aの背面側チャンバー9Aを区画する隔壁10Aの外周部に固定された円筒状の内胴86と、周方向に適当間隔おきに配設された複数の中折れジャッキ14bと、内胴86をカッターディスク8A及び隔壁10Aと共に外胴85に対して掘進方向に対して押出し駆動可能な内胴押出し駆動手段87と、内胴86の先端部分の外周部に装備されて外胴85で保護された止水機構88であって、地中接合状態のとき第1シールド掘進機1の外胴85の内周面との間を止水する止水機構88と、内胴86の外面側へ裏込剤を吐出するための裏込剤注入手段とを備えている。
【0039】
外胴85の外径は、第1シールド掘進機1の外胴6の外径と略同じあり、また、カッターディスク8を後退させる必要がないため、外胴85の長さは外胴6の長さによりも20%程度短く形成されている。外胴85の前端部分は、厚肉に形成されている。
内胴86は、外胴85の長さの40%程度の長さを有し、外径が外胴85の内径と略同じに形成されている。内胴86の前半部分86aには、後半部分の厚肉に形成され、内胴86の後半部分86bには隔壁10Aの外周部が固定されている。前半部分86aの外周側には止水機構88を収容するための環状凹部88aが形成されている。トンネル掘進状態においては、内胴86は外胴85に複数の固定部材89を介して固定されており、外胴85に対する相対移動が規制されている。
【0040】
内胴押出し駆動手段87は、内胴86等を外胴85に対して駆動するためのものである。内胴押出し駆動手段87は、複数の中折れジャッキ14bを有し、中折れジャッキ14bの先端部は内胴86の固定部86b及び外周側隔壁10Abに固定された連結部材90aにピン91を介して連結され、中折れジャッキ14の後端部は中折れ部材50に固定された連結部材90bにピン91を介して連結されている。この中折れジャッキ14bは、内胴86等を押出し駆動するために、第1シールド掘進機1の中折れジャッキ14bよりも長いものが装着されている。
【0041】
止水機構88は、内胴86の先端部の環状凹部88aに収容され、外胴85に保護されている。止水機構88は、図4に示すように、環状弾性膜部材92と、環状シール部材93と、加圧水注入管94を含む加圧水注入手段等を備えている。環状弾性膜部材92は、可撓性であって、前端部及び後端部を環状の固定金具95で環状凹部88aに固定されている。環状シール部材93は、環状弾性膜部材92の外周側に設けられ、前端部が固定金具95により環状弾性膜部材92と共に環状凹部88aに固定されている。環状シール部材93は、周方向に所定小幅の多数の薄手の弾性変形可能な弾性金属板を弾力性に優れる合成ゴム又は合成樹脂で包み込んだ構造のものである。地中接合の際には、図4に示すように、加圧水供給手段により環状弾性膜部材92に加圧水が供給されて膨張し、その環状弾性膜部材92に押圧された環状シール部材93が第1シールド掘進機1の外胴6の内周面に当接して内胴86と外胴6との間をシールし、トンネル内への泥土の浸入を防ぐ。尚、トンネル掘進時などは、止水機構88は、シール96により泥土の浸入が防がれているので破損することがない。
【0042】
裏込剤供給手段は、裏込剤吐出管97と、第2シールド掘進機2の後方に設けられた後方台車に設置された裏込剤供給源等を備えており、裏込剤供給源から供給された裏込剤を裏込剤吐出管97を介して内胴86の外面側に吐出する。
【0043】
次に、両シールド掘進機1, 2を相接近方向へ掘進させて両者を地中で接合する地中接合方法について説明する。
最初に、第1段階で、図5に示すように、第1シールド掘進機1によりトンネルを掘進していき、第1シールド掘進機1が接合地点に到着すると、チャンバー9内の泥土や土砂を排出した後、高濃度泥水供給手段によりチャンバー9内に高濃度泥水を充填し、切羽の安全を図る。次に、ロータリージョイント25を撤去する。次に、カッターディスク8に対して外胴6を前方へ押出すために、出退型ローラーカッター22bをカッターディスク8内に収容する。
【0044】
次に、第2段階で、図6に示すように、スクリューコンベア75内の泥土を凝固させて、地中接合に不要なスクリューコンベア75の後半部分を撤去し、同時に、エレクタ16等も撤去する。次に、中折れ部材50と中胴5を溶接し、相対移動不可能に固定する。次に、各スプレッダ59の位置において固定部材61をセグメントSの先端部に当接するように後胴11の内面に溶接固定し、後退駆動手段19であるシールドジャッキ15のロッド56を伸長状態にして、ロッド56の後端部をその固定部材61に板部材60を介してボルトで固定し、シールドジャッキ15の前端部を連結部材62a, 62bとピン62cと連結棒63を介して外周側隔壁10bに固定する。尚、セグメントSの先端部に固定する固定部材61は、止水機能も有し、セグメントSと後胴11の間からの水の浸入を防いでいる。次に、中折れジャッキ14aと、ストッパー46等を撤去する。次に、連結部材71aを中折れ部材50に溶接固定し、各スリット45に対応する位置に連結部材71bをスリット45の後端位置で外胴6に固定し、外胴押出しジャッキ70を両連結部材71a, 71bにピン72で取り付けて、外胴6を押出すための外胴押出し駆動手段18を設置する。次に、外胴6と中胴5を固定している固定部材47aを撤去して固定解除し、外胴6を中胴5に対して相対移動可能にする。
【0045】
次に、第3段階で、図7に示すように、外胴押出し手段18の外胴押出しジャッキ70を伸長状態にし、矢印で示す方向に、外胴6を中胴5に対して第1所定距離前進させる。この際、外胴6の先端部は、地山に当接するまで、前進限界位置まで前進している。次に、中胴5と外胴6を溶接固定し、相対移動を規制する。
次に、第4段階で、図8に示すように、全部の外胴押出しジャッキ70と連結部材71a, 71b等を撤去し、中胴5のスリット45に塞ぎ板98を被せて溶接し塞ぐ。次に、中胴5と内胴7との相対移動を規制している固定部材47bを撤去し、固定を解除する。シールドジャッキ15のフランジ57とリングウエブ51とを連結しているボルトを外し、シールドジャッキ15を中胴5と後胴11に対して相対移動可能にする。
【0046】
次に、第5段階で、図9に示すように、後退駆動手段19の複数のシールドジャッキ15を収縮状態にし、内胴7とカッターディスク8と隔壁10などを中胴5に対して掘進方向と反対方向(矢印方向)へ後退させる。次に、第6段階で、図10に示すように、シールドジャッキ15と外周側隔壁10bとを連結している連結棒63を取り外し、シールドジャッキ15を伸長状態にし、シールドジャッキ15の前端部に固定された連結部材62aと外周側隔壁10bの連結部材62bとを直接連結する。次に、第7段階で、図11に示すように、シールドジャッキ15を再度収縮状態にし、内胴7とカッターディスク8と隔壁10などを中胴5に対して掘進方向と反対方向(矢印方向)へ後退させ、内胴7と中胴5とを再度溶接固定する。この状態で、内胴7とカッターディスク8と隔壁10は中胴5に対して掘進時よりも第2所定距離後退し、第1シールド掘進機1の前端部分に第2シールド掘進機2が嵌入するための嵌入スペースが形成される。
【0047】
次に、第8段階で、図12に示すように、第2シールド掘進機2によりトンネルを対向状に掘進し、地中接合地点に接近してきた第2シールド掘進機2のロータリージョイント25を撤去し、第1シールド掘進機1のチェックボーリング用バルブ28からチェックボーリングを行い、第1, 第2シールド掘進機1, 2の相対位置のズレを調べ、第2シールド掘進機2の掘進方向を調整しつつ接近し、掘進させる。次に、第9段階で、図13に示すように、シールドジャッキ15Aを伸長しつつ、第2シールド掘進機2のカッターディスク8Aの前面部が第1シールド掘進機1で掘削した領域まで略到達したら、スライドジャッキ33Aを収縮させて出退型ローラーカッター22Abをカッターディスク8A内に収容する。
【0048】
次に、第10段階で、図14に示すように、第2シールド掘進機2のカッターディスク8Aが第1シールド掘進機1の外胴6の前端部に形成された嵌入スペースに嵌入するまで、更に第2シールド掘進機2を掘進させ、両シールド掘進機1, 2の外胴6, 85の先端同士を当接させる。次に、第2シールド掘進機2のチャンバー9Aの泥土と土砂を排出し、そのチャンバー9Aに高濃度泥水を充填する。
次に、第11段階で、図15に示すように、第2シールド掘進機2の外胴85と内胴86とを固定する固定部材89を撤去して固定解除し、内胴86を外胴85に対して相対移動可能にする。次に、内胴押出し駆動手段87における複数の中折れジャッキ14bを伸長状態にし、内胴86の前半部分86aと止水機構88が第1シールド掘進機1の外胴6の前端部に内嵌状に嵌入するまで、内胴86とカッターディスク8Aと隔壁10Aとを外胴85に対し押出す。この際、外胴6, 85の先端同士が当接しているので止水装置88が泥土に暴露されることなく、また、内胴86の先端部により、第1シールド掘進機1の外胴6の内周面の泥土が除去されるので、泥土が噛み込むことなく、止水装置88を外胴6に嵌入させることができるから、止水性能が向上する。
【0049】
次に、第12段階で、図16に示すように、第2シールド掘進機2のスクリューコンベア75A内の泥土を凝固させ、スクリューコンベア75Aの後半部分を撤去する。同時に、エレクタ16A等を撤去する。
次に、図4に示すように、加圧水供給手段により、止水機構88の環状弾性膜部材92の内側へ加圧水を供給し、環状弾性膜部材92を外側へ膨張させ、環状シール部材93を付勢して第1シールド掘進機1の外胴6と第2シールド掘進機2の内胴86の間を止水する。次に、裏込剤供給手段により裏込剤吐出管97を介して、内胴86の外面側及び外胴6, 85の外面側へ裏込剤を吐出し、止水機構88の外面側と外胴6, 85との当接個所等を止水する。次に、第2シールド掘進機2の内胴86の前半部分86aの先端部と第1シールド掘進機1の外胴6との間を止水するために、リング状の止水部材99を溶接固定する。次に、第13段階で、図17に示すように、両シールド掘進機1, 2の内部構造を全て撤去し、地中接合を完成させる。
【0050】
以上説明した第1, 第2シールド掘進機1, 2による地中接合の作用、効果について説明する。
第1シールド掘進機1は、第2シールド掘進機2が貫入するための嵌入スペースをカッターディスク8の後退のみならず、外胴押出し手段18により外胴6を掘進方向に押出すことで形成しているので、カッターディスク8を後退させるのみで嵌入スペースを確保する場合に比べ、カッターディスク8の後退距離が短くなる。それゆえ、第1シールド掘進機1の機長が短くなり、それに伴い、第1シールド掘進機1を導入するための立坑を小さくすることができ、第1シールド掘進機1の旋回性能が向上し、第1シールド掘進機1の製造コストが減少する。
【0051】
また、第2シールド掘進機2に設けられた止水機構88は、トンネル掘進状態においては、第2シールド掘進機2の外胴85により保護され、地中接合時においては、止水機構88が内胴86と共に押出される際には、両シールド掘進機1, 2の外胴6, 85の先端同士が当接した状態なので、外胴6, 85に保護され、止水機構88が掘削した泥土に暴露させることがなく、止水機構88の破損を防ぐことができるので、止水性能が向上している。更に、止水機構88は第2シールド掘進機2の内胴86と共に押出されるため、その内胴86の先端部により第1シールド掘進機1の外胴6に堆積された泥土が取り除かれるため、環状シール部材93と外胴6との間に泥土が噛み込むことがなく、止水性能が向上する。
【0052】
第1シールド掘進機1の外胴6を押出すための外胴押出しジャッキ70の一端をスリット45により露出している外胴6の後端部に固定された連結部材71bに連結し、他端を中折れ部材50に固定された連結部材71aに固定し、この状態で押出し駆動手段18を駆動すると中胴5に対して外胴6を押出すことが可能になるので、第1シールド掘進機1の構成を複雑にすることなく、第1シールド掘進機1に外胴押出し駆動手段18を容易に配設することができる。
【0053】
地中接合の際に、両シールド掘進機1, 2のカッターディスク8, 8Aの外周部の出退型ローラーカッター22b, 22Abをカッターディスク8の外周より内側へ収容した後、第1シールド掘進機1のカッターディスク8を後退駆動し、第2シールド掘進機2のカッターディスク8Aを押出し駆動する。それゆえ、地中接合の際、両シールド掘進機1, 2の外胴6, 85等を損傷することなく、カッターディスク8を後退駆動させ、カッターディスク8Aを押出し駆動することができる。
【0054】
トンネル掘進状態では、固定部材47a, 47b, 89により第1シールド掘進機1の外胴6と中胴5、中胴5と内胴7、第2シールド掘進機2の外胴85と内胴86を固定し、地中接合の際には、夫々を固定部材47a, 47b, 89を外すだけで前記各胴間の固定を解除することが可能である。それゆえ、地中接合の際、各胴部材を夫々相対移動するための工程が簡単化している。
【0055】
第1シールド掘進機1の後退駆動手段19が、トンネル掘進時に推進力を得るためのシールドジャッキ15を兼用することで、第1シールド掘進機1の構造が簡単化している。第2シールド掘進機2の内胴押出し駆動手段87が、トンネル掘進時に旋回するための中折れジャッキ14bを兼用することで、第2シールド掘進機2の構造が簡単化している。
裏込剤吐出管97から地中接合の際に内胴86の外面側に裏込剤を吐出したり、第2シールド掘進機2の内胴86の先端部と第1シールド掘進機1の外胴6とを止水部材99で止水することで、止水性能が向上している。
【0056】
次に、本実施形態を部分的に変更した変更形態について説明する。
1)外胴押出し駆動手段18, 後退駆動手段19, 内胴押出し手段87は、前記実施の形態に関わらず、夫々の手段が前記実施形態と同じように作用する構成であればよい。
2)止水機構88とは、異なる構成の止水機構を適用してもよい。
3)第1シールド掘進機1は、第2工程が終了した時点で、後退駆動手段19、排土設備17等を撤去し、別のシールド掘進機に設置することで設備投資を減少させることができる。
本発明は以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施の形態に種々の変更を付加して実施することができ、本発明はそれらの変更形態をも包含するものである。
【0057】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、第1シールド掘進機は、第2シールド掘進機が嵌入するための嵌入スペースをカッターディスクの後退のみならず、外胴を掘進方向に押出すことで形成することが可能に構成されているので、カッターディスクを後退させるのみで嵌入スペースを確保する場合に比べ、カッターディスクの後退距離が短くなる。それゆえ、第1シールド掘進機の機長が短くなり、それに伴い、シールド掘進機を導入するための立坑を小さくすることができ、シールド掘進機の旋回性能が向上し、シールド掘進機の製造コストが減少する。また、第2シールド掘進機に設けられた止水手段は、トンネル掘進状態においては、第2シールド掘進機の外胴により保護されるため、止水手段が土砂に暴露されることがない。従って、止水手段が掘削した泥土により破損することがなく、止水性能が向上する。
【0058】
請求項2の発明によれば、止水手段は第2シールド掘進機の内胴と共に押出されるため、その内胴の先端部により第1シールド掘進機の外胴内面に付着した泥土が取り除かれるので、止水手段と第1シールド掘進機の外胴の内周面との間に泥土が噛み込むことがない。また、両シールド掘進機の外胴同士が当接した状態で、内胴と共に止水手段を押出すので、地中接合の際も、止水主段が土砂に暴露されることがない。即ち、この地中接合型シールド掘進機においては、構造を複雑にすることなく、止水性能が向上する。その他、請求項1と同様の効果を奏することができる。
【0059】
請求項3の発明によれば、第1シールド掘進機の外胴を押出すための、例えばジャッキなどの押出し駆動手段の出力端をスリットにより露出している外胴に連結部材などを介して固定し、他端を中胴若しくは中胴に固定された連結部材などに固定し、この状態で押出し駆動手段を駆動すると中胴に対して外胴を押出すことが可能になるので、第1シールド掘進機の構成を複雑にすることなく、第1シールド掘進機に押出し駆動手段を配設することが可能になる。その他、請求項1又は2と同様の効果を奏することができる。
【0060】
請求項4の発明によれば、地中接合の際に、両シールド掘進機のカッターディスク外周部のローラカッターをカッターディスクの外周より内側へ収容した後、第1シールド掘進機のカッターディスクを後退駆動し、また、第2シールド掘進機のカッターディスクを押出し駆動する。それゆえ、地中接合の際、外胴等を損傷することなくカッターディスクを押出し又は後退駆動することができる。その他、請求項1〜3と同様の効果を奏することができる。
請求項5の発明によれば、トンネル掘進時には、固定部材により第1シールド掘進機の外胴と中胴、中胴と内胴、第2シールド掘進機の外胴と内胴を固定し、地中接合の際には、夫々を固定部材を外すことで前記各胴間の固定を解除することが可能である。それゆえ、地中接合の際、第1シールド掘進機の外胴と内胴及び第2シールド掘進機の内胴を夫々相対移動する際に労力が軽減できる。その他、請求項1〜4と同様の効果を奏することができる。
【0061】
請求項6の発明によれば、第1シールド掘進機の後退駆動手段が、トンネル掘進時にシールド掘進機の推進力を得るためのシールドジャッキを兼用することで、シールド掘進機の構造を簡単化することができる。その他、請求項5と同様の効果を奏することができる。
請求項7の発明によれば、第2シールド掘進機の押出し駆動手段が、トンネル掘進時にシールド掘進機が旋回するための中折れジャッキを兼用することで、シールド掘進機の構造を簡易化することができる。その他、請求項6と同様の効果を奏することができる。
請求項8の発明によれば、裏込剤吐出管から地中接合の際に内胴の外面側に裏込剤を吐出するので、止水性能を向上させることができる。その他、請求項1〜7と同様の効果を奏することができる。
請求項9の発明によれば、請求項1又は2の発明と略同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る第1シールド掘進機の縦断面図である。
【図2】出退型ローラーカッターの断面図である。
【図3】第2シールド掘進機の縦断面図である。
【図4】止水機構の断面図である。
【図5】地中接合の第1の段階を説明するための図である。
【図6】地中接合の第2の段階を説明するための図である。
【図7】地中接合の第3の段階を説明するための図である。
【図8】地中接合の第4の段階を説明するための図である。
【図9】地中接合の第5の段階を説明するための図である。
【図10】地中接合の第6の段を説明するための図である。
【図11】地中接合の第7の段階を説明するための図である。
【図12】地中接合の第8の段階を説明するための図である。
【図13】地中接合の第9の段階を説明するための図である。
【図14】地中接合の第10の段階を説明するための図である。
【図15】地中接合の第11の段階を説明するための図である。
【図16】地中接合の第12の段階を説明するための図である。
【図17】地中接合の第13の段階を説明するための図である。
【符号の説明】
1 第1シールド掘進機
2 第2シールド掘進機
5, 86 中胴
6, 85 外胴
7 内胴
8, 8A カッターディスク
9, 9A チャンバー
10, 10A 隔壁
14b 中折れジャッキ
15 シールドジャッキ
18 外胴押出し駆動手段
19 後退駆動手段
22b, 22Ab 出退型ローラーカッター
45 スリット
47a, 47b, 89 固定部材
70 外胴押出しジャッキ
88 止水機構

Claims (9)

  1. 第1, 第2シールド掘進機を備え、これら両シールド掘進機を相接近方向へ掘進させて両者を地中で接合するようにした地中接合型シールド掘進機において、
    受入れ側の第1シールド掘進機は、カッターディスクと、円筒状の中胴と、中胴に摺動可能に外嵌された外胴と、中胴の先端部分に摺動可能に内嵌され且つカッターディスクの背面側チャンバーを区画する隔壁の外周部に固定された円筒状の内胴と、外胴を中胴に対して掘進方向に押出し駆動可能な押出し駆動手段と、内胴をカッターディスク及び隔壁と共に中胴に対して掘進方向と反対方向に後退駆動可能な後退駆動手段とを備え、
    貫入側の第2シールド掘進機は、カッターディスクと、円筒状の外胴と、外胴の先端部分に摺動可能に内嵌され且つカッターディスクの背面側チャンバーを区画する隔壁の外周部に固定された円筒状の内胴と、内胴をカッターディスク及び隔壁と共に外胴に対して掘進方向に押出し駆動可能な押出し駆動手段と、内胴の先端部分の外周部に装備されて外胴で保護された止水手段であって、地中接合状態のとき第1シールド掘進機の外胴の内周面との間を止水する止水手段とを備え、 たことを特徴とする地中接合型シールド掘進機。
  2. 地中接合に際して、第1シールド掘進機の外胴を掘進方向に第1所定距離前進させると共に内胴とカッターディスクと隔壁を中胴に対して掘進方向と反対方向へ第2所定距離後退させ、第2シールド掘進機のカッターディスクを第1シールド掘進機の外胴の前端部に内嵌させて両シールド掘進機の外胴同士を当接させた状態で、第2シールド掘進機の内胴とカッターディスクと隔壁とを外胴に対して前進させることにより内胴の先端部分と止水手段を第1シールド掘進機の外胴に内嵌させるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の地中接合型シールド掘進機。
  3. 第1シールド掘進機の中胴には、外胴を押し出し駆動する為に、掘進方向と平行方向向きの複数のスリットが形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の地中接合型シールド掘進機。
  4. 第1, 第2シールド掘進機のカッターディスクは、前面部と外周部に複数のローラーカッターを備え、前記外周部のローラーカッターをカッターディスクの外周より内側へ収容可能に構成されたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の地中接合型シールド掘進機。
  5. トンネル掘進時には、第1シールド掘進機の外胴と中胴、中胴と内胴、第2シールド掘進機の外胴と内胴は、夫々、複数の固定部材を介して固定されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の地中接合型シールド掘進機。
  6. 第1シールド掘進機の後退駆動手段は、複数のシールドジャッキからなることを特徴とする請求項5に記載の地中接合型シールド掘進機。
  7. 第2シールド掘進機の押出し駆動手段は、複数の中折れジャッキからなることを特徴とする請求項6に記載の地中接合型シールド掘進機。
  8. 前記第2シールド掘進機の内胴の先端部分に、内胴の外面側へ裏込剤を吐出する裏込剤吐出管を設けたことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の地中接合型シールド掘進機。
  9. 第1, 第2シールド掘進機を相接近方向へ掘進させて地中で接合する地中接合方法において、
    受入れ側の第1シールド掘進機に、カッターディスクと、円筒状の中胴と、中胴に摺動可能に外嵌された外胴と、中胴の先端部分に摺動可能に内嵌され且つカッターディスクの背面側チャンバーを区画する隔壁の外周部に固定された円筒状の内胴と、外胴を中胴に対して掘進方向に押出し駆動可能な押出し駆動手段と、内胴をカッターディスク及び隔壁と共に中胴に対して掘進方向と反対方向に後退駆動可能な後退駆動手段とを予め設け、
    貫入側の第2シールド掘進機に、カッターディスクと、円筒状の外胴と、外胴の先端部分に摺動可能に内嵌され且つカッターディスクの背面側チャンバーを区画する隔壁の外周部に固定された円筒状の内胴と、内胴をカッターディスク及び隔壁と共に外胴に対して掘進方向に押出し駆動可能な押出し駆動手段と、内胴の先端部分の外周部に装備されて外胴で保護された止水手段であって、地中接合状態のとき第1シールド掘進機の外胴の内周面との間を止水する止水手段とを予め設け、
    トンネル掘進時には、第1シールド掘進機においては中胴と外胴、中胴と内胴を解除可能に固定し、第2シールド掘進機においては内胴と外胴を解除可能に固定しておき、
    地中接合に際して、第1シールド掘進機の中胴と外胴の固定を解除して外胴を中胴に対して掘進方向に第1所定距離押出した後外胴を中胴に再度固定する第1工程と、
    第1シールド掘進機の中胴と内胴の固定を解除して内胴とカッターディスクと隔壁を中胴に対して掘進方向と反対方向に第2所定距離後退させた後内胴を中胴に再度固定する第2工程と、
    第2シールド掘進機のカッターディスクが第1シールド掘進機の外胴に嵌入するまで第2シールド掘進機を第1シールド掘進機に対向状に掘進させ、両シールド掘進機の外胴同士を当接させる第3工程と、
    第2シールド掘進機の内胴と外胴の固定を解除し、内胴の前端部分と止水手段が第1シールド掘進機の外胴に嵌入するまで、外胴に対して内胴とカッターディスクと隔壁を押出す第4工程と、
    第1シールド掘進機の外胴と第2シールド掘進機の内胴との間を止水手段によって止水する第5工程と、
    を備えたことを特徴とする地中接合型シールド掘進機の地中接合方法。
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