JP2004196975A - エチレン−α−オレフィン系共重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い活性で且つ装置の腐食などのトラブルを生ずることなしにエチレン−α−オレフィン系ランダム共重合体を製造する方法を提供する。
【解決手段】下記成分(i)と(ii)または、下記成分(i)と(ii)と(iii)とを重合させて得られる共重合体の製造方法であって、遷移金属錯体と有機アルミニウム化合物、ケイ素―水素結合を有する有機ケイ素化合物の存在下に重合することを特徴とする共重合体の製造方法。
(i):エチレン
(ii):炭素数3〜20のα−オレフィン
(iii):ポリエン
好ましくは、遷移金属錯体として、下記化学式(A)で表される遷移金属錯体を使用する上記の共重合体の製造方法。
(A)一般式VO(OR)aCl3-aで表せられるバナジウム化合物。(但し、Rは炭化水素基であり、aは0≦a≦3を満足する数を表す。)
【選択図】 なし
【解決手段】下記成分(i)と(ii)または、下記成分(i)と(ii)と(iii)とを重合させて得られる共重合体の製造方法であって、遷移金属錯体と有機アルミニウム化合物、ケイ素―水素結合を有する有機ケイ素化合物の存在下に重合することを特徴とする共重合体の製造方法。
(i):エチレン
(ii):炭素数3〜20のα−オレフィン
(iii):ポリエン
好ましくは、遷移金属錯体として、下記化学式(A)で表される遷移金属錯体を使用する上記の共重合体の製造方法。
(A)一般式VO(OR)aCl3-aで表せられるバナジウム化合物。(但し、Rは炭化水素基であり、aは0≦a≦3を満足する数を表す。)
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高活性条件でエチレン−α−オレフィン系ランダム共重合体を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エチレン−α−オレフィン−非共役ジエンランダム共重合体は耐熱性、耐候性、耐オゾン性等の優れた特性を有しているため、自動車用材料、建築材料、工業用材料、電線用材料などとして広く用いられており、従来から均一バナジウム系触媒により製造されている。
【0003】
しかしながら、これら均一系バナジウム触媒は一般に重合時に極めて失活しやすく、実用的な重合温度では触媒効率はあまり高くない(特許文献1参照。)。
【0004】
チタン化合物-有機アルミニウム化合物触媒系は失活が比較的少ないが、各オレフィンが単独重合しやすく、各モノマーの単独重合体の混合物となるか、あるいは共重合してもブロック的になりやすいという欠点がある。
【0005】
また、遷移金属化合物を担体上に担持した固体触媒成分と有機アルミニウム化合物成分とを組み合わせた触媒系でエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエンランダム共重合体の製造方法もいくつか提案されている。この方法では高い触媒効率で共重合体を製造できるが、担持型触媒の合成に手間がかかるとという欠点を有している。
【0006】
更に、ポリハロ化合物等を用いて高い活性で重合する方法も報告されている。しかしこれらの方法では、脱離したハロゲンによる装置の腐食や、重合体の着色および劣化という欠点が伴う(特許文献2)。
【0007】
一方で、ケイ素化合物としてポリシロキサンを用いた重合方法も報告されている。しかしながらこの方法では収量が低下する場合がある(特許文献3)。
【0008】
【特許文献1】
特公昭46−21212号公報
【特許文献2】
特開平02−077410号公報
【特許文献3】
特開昭56−022308号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
かかる状況の下、本発明が解決しようとする課題は、配位化合物触媒系の存在下にエチレン−α−オレフィンまたはエチレン−α−オレフィン−非共役ジエンを共重合させるにおいて、高い活性で且つ装置の腐食などのトラブルを生ずることなしにエチレン−α−オレフィン系ランダム共重合体を製造する方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、下記成分(i)と(ii)または下記成分(i)と(ii)と(iii)とを重合させて得られる共重合体の製造方法であって、遷移金属錯体と有機アルミニウム化合物、ケイ素―水素結合を有する有機ケイ素化合物の存在下に重合することを特徴とする共重合体の製造方法に係るものである。
(i):エチレン
(ii):炭素数3〜20のα−オレフィン
(iii):ポリエン
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の(i)は、エチレンである。
【0012】
本発明の(ii)は、炭素数3〜20のα−オレフィンである。
【0013】
α−オレフィンとしては、同時に2種類以上のモノマーを用いることもできる。α−オレフィンの具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等の直鎖状オレフィン類、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等の分岐オレフィン類、ビニルシクロヘキサン等が例示される。好ましくは、プロピレン、1−ブテンであり、特に好ましくはプロピレンである。
【0014】
本発明の(iii)は、ポリエンであり、特に制限はない。
【0015】
(iii)としては、直鎖又は環状の非共役ポリエン、共役ポリエンモノマーを用いることができるが、具体的には、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,5−ヘプタジエン、1,6−ヘプタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,7−ノナジエン、1,8−ノナジエン、1,8−デカジエン、1,9−デカジエン、1,12−テトラデカジエン、1,13−テトラデカジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,5−ヘキサジエン、3−エチル−1,4−ヘキサジエン、3−エチル−1,5−ヘキサジエン、3,3−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、3,3−ジメチル−1,5−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、2,5−ノルボルナジエン、7−メチル−2,5−ノルボルナジエン、7−エチル−2,5−ノルボルナジエン、7−プロピル−2,5−ノルボルナジエン、7−ブチル−2,5−ノルボルナジエン、7−ペンチル−2,5−ノルボルナジエン、7−ヘキシル−2,5−ノルボルナジエン、7,7−ジメチル−2,5−ノルボルナジエン、7,7−メチルエチル−2,5−ノルボルナジエン、7−クロロ−2,5−ノルボルナジエン、7−ブロモ−2,5−ノルボルナジエン、7−フルオロ−2,5−ノルボルナジエン、7,7−ジクロロ−2,5−ノルボルナジエン、1−メチル−2,5−ノルボルナジエン、1−エチル−2,5−ノルボルナジエン、1−プロピル−2,5−ノルボルナジエン、1−ブチル−2,5−ノルボルナジエン、1−クロロ−2,5−ノルボルナジエン、1−ブロモ−2,5−ノルボルナジエン、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、(ピペリン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエンなどをあげることができる。更に下記の構造の環状ジエンもあげられる。
【0016】
本発明においては、これらのポリエンを1種又は2種以上組み合せて用いることもできる。入手性の観点からは、現在EPDMで多用されている5−エチリ
デン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4ヘキサジエンが好ましい。
【0017】
本発明の共重合体は、遷移金属錯体と有機アルミニウム化合物、ケイ素―水素結合を有する有機ケイ素化合物の存在下、上記成分(i)と(ii)または、上記成分(i)と(ii)と(iii)とを重合させて得られるものである。
【0018】
本発明の共重合体は、遷移金属錯体(A)と、下記(B)及び下記(C)とを用いてなる触媒の存在下に最適に製造され得る。
(A):下記一般式で表される遷移金属錯体である。
VO(OR)aCl3-a
(但し、Rは炭化水素基であり、aは0≦a≦3を満足する数を表す。)
(B):下記一般式で表せられる有機アルミニウム化合物である。
EaAlZ3-a
(但し、Eは炭化水素基であり、Zは水素原子又はハロゲン原子を表す。aは0<a≦3を満足する数を表す。)
(C):下記一般式で表せられる有機ケイ素化合物である。
(但し、R'、R''、R'''はアルキル基、アリール基、水素である。R'、R''、R'''がアルキル基、アリール基の場合にはR'、R''、R'''が全て同じでも良いし、全て異なっていても良い。また、分子内のケイ素原子数は3以下である。)
【0019】
以下、上記の製造法について、更に詳しく説明する。
【0020】
(A):遷移金属錯体について説明する。
【0021】
遷移金属錯体(A)としては、下記一般式で表せられるバナジウム化合物である。
VO(OR)aCl3-a
(但し、Rは炭化水素基であり、aは0≦a≦3を満足する数を表す。)
好ましくはVOCl3である。
【0022】
一般式VO(OR)aCl3-aで置換基Rにおけるアルキル基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などがあげられる。
【0023】
なお、Aの替りに本発明の範疇に無い、遷移金属錯体を用いた場合、著しい組成分布を生じ、均一な溶液重合を実施できない場合がある。
【0024】
(B)アルミニウム化合物について説明する。
【0025】
アルミニウム化合物(B)としては、下記一般式で表せられる有機アルミニウム化合物である。
EaAlZ3-a
(但し、Eは炭化水素基であり、Zは水素原子又はハロゲン原子を表す。aは0<a≦3を満足する数を表す。)
【0026】
Eにおける炭化水素基としては、炭素数1〜8の炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
【0027】
一般式 EaAlZ3-aで示される有機アルミニウム化合物(B)の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジプロピルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジヘキシルアルミニウムクロライド等のジアルキルアルミニウムクロライド;メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、プロピルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、ヘキシルアルミニウムジクロライド等のアルキルアルミニウムジクロライド;ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジヘキシルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド等を例示することができる。
【0028】
好ましくは、塩素を有するアルミニウム化合物であり、より好ましくは、エチルアルミニウムセスキクロライドである。
【0029】
(C)有機ケイ素化合物について説明する。
【0030】
有機ケイ素化合物(C)としては、下記一般式で表せられるヒドロシランである。
(但し、R'、R''、R'''はアルキル基、アリール基、水素である。R'、R''、R'''がアルキル基、アリール基の場合にはR'、R''、R'''が全て同じでも良いし、全て異なっていても良い。また、分子内のケイ素原子数は3以下である。)
【0031】
上記一般式で表せられる有機ケイ素化合物の置換基R'、R''、R'''におけるアルキル基、アリール基としては、炭素原子数1〜20のものが好ましく、メチル基、エチル基、n−ブチル基、オクチル基、フェニル基などがあげられる。
【0032】
また、分子内に含まれるケイ素原子数は、多くなると活性が低下する場合がある為、3以下でであることが好ましい。更により好ましくは1である。
【0033】
ケイ素―水素結合については、二つ有している有機ケイ素化合物が好ましく、より好ましくは、Ph2SiH2である。
【0034】
共重合に際しては、遷移金属錯体(A)と、上記(B)及び上記(C)とを用いてなるオレフィン重合用触媒を用いる。
【0035】
各成分の使用量は通常、(B)/(A)のモル比が好ましくは2〜50、(C)/(A)のモル比が好ましくは5〜50の範囲にあるように、各成分を用いることが望ましい。
【0036】
各成分を溶液状態もしくは溶媒に懸濁状態で用いる場合の濃度は、重合反応器に各成分を供給する装置の性能などの条件により、適宜選択されるが、一般に、(A)が、通常0.01〜0.5μmol/g、(B)が、通常0.1〜2μmol/g、(C)は、通常0.2〜5μmol/gの範囲にあるように各成分を用いることが望ましい。
【0037】
本発明の共重合体を製造するには、たとえば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、又はメチレンジクロライド等のハロゲン化炭化水素を溶媒として用いる溶媒重合が可能である。重合温度は、−50〜250℃の範囲を取り得るが、特に、40℃未満が好ましく、特には30℃以下が好ましい。重合圧力は、特に限定されるものではないが常圧〜100kg/cm2Gが好ましい。重合時間は、一般的に、使用する触媒の種類、反応装置により適宜決定されるが、1分間〜20時間の範囲を取ることができる。また、重合体の分子量を調節するために水素等の連鎖移動剤を添加することもできる。
【0038】
本発明を実施するための好ましい重合方法としては、たとえば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素を溶媒として用いる溶媒重合があげられる。
【0039】
具体的には下記(I)〜(IV)の条件を満たすことが好ましい。
(I)溶液重合であること
(II)重合温度が40℃未満であること
(III)滞留時間が5〜120分であること
(IV)重合槽圧力が常圧〜100kg/cm2Gであること
【0040】
本発明で製造される共重合体中のエチレン由来単位/α−オレフィン由来単位の重量比は90/10〜40/60であり、好ましくは70/30〜40/60である。
【0041】
本発明で製造される共重合体中のよう素価は1〜30(g/100gポリマー)である。
【0042】
【実施例】
以下、実施例及び比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0043】
[I]測定方法
実施例における重合体の性質は、下記の方法によって測定した。
(1)プロピレン含有量
赤外分光光度計(日本分光工業社製 IR−810)を用いて赤外吸収スペクトル(IRスペクトル)により測定した。測定サンプルは、ホットプレス機を用いて約0.1mmのフィルムとして測定した。測定値は文献値(赤外吸収スペクトルによるポリエチレンのキャラクタリゼーション 高山、宇佐美 等著 又は Die Makromolekulare Chemie,177,461(1976)Mc Rae,M.A.,MadamS,W.F.等著)に順じ1150cm-1の吸収ピーク(メチル分岐)をマーカーとして3回測定した値の平均値とした。
【0044】
(2)よう素価
共重合体を熱プレスして厚み0.5mmのフィルム状に成形し、ついで赤外分光計を用いて、ジシクロペンタジエン及び5−エチリデン−2−ノルボルネン由来のピーク(波数1689cm-1、1600cm-1)透過度を求め、共重合体中の二重結合のモル含量を算出し、よう素価に換算した。
【0045】
(3)分子量及び分子量分布
ゲル・パーミュエーション・クロマトグラフ(Water社製 150C/GPC装置)により行う。溶出温度は140℃、使用カラムは、昭和電工社製、Shodex Packed ColumnA−80M、分子量標準物質はポリスチレン(たとえば、東ソー社製、分子量500−8,400,000)を用いた。得られたポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、更にこの比(Mw/Mn)を分子量分布(Q値)とする。測定サンプルは約5mgの重合体を5mlのo−ジクロロベンゼンに溶解し、約1mg/mlの濃度とする。得られたサンプル溶液の400μlをインジェクションし、溶出溶媒流速は1.0ml/minとし、屈折率検出器にて検出した。
【0046】
[II]実施例及び比較例
実施例1
攪拌羽根、コンデンサ−を備えた2Lのガラス製重合器を用いてエチレン、プロピレンの共重合を行った。すなわち、重合溶媒としてヘキサンを1L重合器に導入する。続いてPh2SiH2を0.5mmolを重合器に導入する。一方、重合器上部からガス状モノマーとしてエチレンを4NL/min、プロピレン6NL/min、分子量調節の為に水素を1NL/minヘキサンにバブリングさせる形式で導入し、ウォ−タ−バスにて重合器内温を30℃になるように調整した。その後、エチルアルミセスキクロライド(EASC)を0.4mmol添加し、最後にオキシ三塩化バナジウム(VOCl3)0.05mmolを添加して重合を開始し、30分経過後にメタノ−ル10mlを添加して重合を停止した。重合後のポリマ−溶液を濃縮し、メタノ−ル沈殿法により共重合体を回収し、80℃にて12時間真空乾燥を行った。6.74gの共重合体が得られた(VOCl31mmolあたりに換算して135g)。以上の操作により、プロピレン含量37.5wt%のエチレン/プロピレン共重合体が得られ、GPC測定の結果、Q値=2.9であった。詳細な結果は表1にまとめた。
【0047】
実施例2
実施例1において、Ph2SiH2を滴下ロート中でEASCとプレミックスし、1分静置後重合系に滴下した以外は基本的に同様な方法で重合した。詳細を表1に示した。
【0048】
実施例3
実施例1において、Ph2SiH2を滴下ロート中でVOCl3とプレミックスし、1分静置後重合系に滴下した以外は基本的に同様な方法で重合した。詳細を表1に示した。
【0049】
実施例4
実施例3において、Ph2SiH2の添加量を0.25mmolに変更した以外は基本的に同様な方法で重合した。詳細を表2に示した。
【0050】
実施例5
実施例3において、Ph2SiH2の添加量を1.0mmolに変更した以外は基本的に同様な方法で重合した。詳細を表2に示した。
【0051】
比較例1
実施例1の方法において、Ph2SiH2を添加しない以外は基本的に実施例1と同様な方法で共重合を行った。詳細を表2に示した。
【0052】
比較例2
実施例1の方法において、Ph2SiH2の替わりにジメチルポリシロキサン(信越化学工業(株)KF96)を添加した以外は基本的に実施例1と同様な方法で行った。
【0053】
実施例6
実施例1において、Ph2SiH2添加時、同時に5−エチリデン−2−ノルボルネンを添加し、重合停止には0.1gのBHTを含むメタノ−ル10mlを用いた以外は基本的に同様な方法で重合した。詳細を表3に示した。
【0054】
比較例3
実施例6において、Ph2SiH2を添加しなかった以外は基本的に同様な方法で重合した。詳細を表3に示した。
【0055】
表1、2はエチレン―α―オレフィン共重合の結果であり、5−エチリデン−2−ノルボルネン等のポリエンは用いていない。表3は、ポリエンとして5−エチリデン−2−ノルボルネンを用いたエチレン―α―オレフィン系共重合の結果であるため、ポリマー収量(V触媒1mmol当たり)は、表1、2のものに比べて低い値となっている。
【0056】
【表1】
1) 重合器に予め導入
2) 滴下ロート中でEASCとプレミックスし、1分静置後重合系に滴下
3) 滴下ロート中でVOCl3とプレミックスし、1分静置後重合系に滴下
【0057】
【表2】
3) 滴下ロート中でVOCl3とプレミックスし、1分静置後重合系に滴下
【0058】
【表3】
1) 重合器に予め導入
【0059】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明により、配位化合物触媒系の存在下にエチレン−α−オレフィンまたはエチレン−α−オレフィン−非共役ジエンを共重合させるにおいて、高い活性で且つ装置の腐食などのトラブルを生ずることなしにエチレン−α−オレフィン系ランダム共重合体を製造する方法を提供することができた。
【発明の属する技術分野】
本発明は、高活性条件でエチレン−α−オレフィン系ランダム共重合体を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エチレン−α−オレフィン−非共役ジエンランダム共重合体は耐熱性、耐候性、耐オゾン性等の優れた特性を有しているため、自動車用材料、建築材料、工業用材料、電線用材料などとして広く用いられており、従来から均一バナジウム系触媒により製造されている。
【0003】
しかしながら、これら均一系バナジウム触媒は一般に重合時に極めて失活しやすく、実用的な重合温度では触媒効率はあまり高くない(特許文献1参照。)。
【0004】
チタン化合物-有機アルミニウム化合物触媒系は失活が比較的少ないが、各オレフィンが単独重合しやすく、各モノマーの単独重合体の混合物となるか、あるいは共重合してもブロック的になりやすいという欠点がある。
【0005】
また、遷移金属化合物を担体上に担持した固体触媒成分と有機アルミニウム化合物成分とを組み合わせた触媒系でエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエンランダム共重合体の製造方法もいくつか提案されている。この方法では高い触媒効率で共重合体を製造できるが、担持型触媒の合成に手間がかかるとという欠点を有している。
【0006】
更に、ポリハロ化合物等を用いて高い活性で重合する方法も報告されている。しかしこれらの方法では、脱離したハロゲンによる装置の腐食や、重合体の着色および劣化という欠点が伴う(特許文献2)。
【0007】
一方で、ケイ素化合物としてポリシロキサンを用いた重合方法も報告されている。しかしながらこの方法では収量が低下する場合がある(特許文献3)。
【0008】
【特許文献1】
特公昭46−21212号公報
【特許文献2】
特開平02−077410号公報
【特許文献3】
特開昭56−022308号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
かかる状況の下、本発明が解決しようとする課題は、配位化合物触媒系の存在下にエチレン−α−オレフィンまたはエチレン−α−オレフィン−非共役ジエンを共重合させるにおいて、高い活性で且つ装置の腐食などのトラブルを生ずることなしにエチレン−α−オレフィン系ランダム共重合体を製造する方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、下記成分(i)と(ii)または下記成分(i)と(ii)と(iii)とを重合させて得られる共重合体の製造方法であって、遷移金属錯体と有機アルミニウム化合物、ケイ素―水素結合を有する有機ケイ素化合物の存在下に重合することを特徴とする共重合体の製造方法に係るものである。
(i):エチレン
(ii):炭素数3〜20のα−オレフィン
(iii):ポリエン
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の(i)は、エチレンである。
【0012】
本発明の(ii)は、炭素数3〜20のα−オレフィンである。
【0013】
α−オレフィンとしては、同時に2種類以上のモノマーを用いることもできる。α−オレフィンの具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等の直鎖状オレフィン類、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等の分岐オレフィン類、ビニルシクロヘキサン等が例示される。好ましくは、プロピレン、1−ブテンであり、特に好ましくはプロピレンである。
【0014】
本発明の(iii)は、ポリエンであり、特に制限はない。
【0015】
(iii)としては、直鎖又は環状の非共役ポリエン、共役ポリエンモノマーを用いることができるが、具体的には、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,5−ヘプタジエン、1,6−ヘプタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,7−ノナジエン、1,8−ノナジエン、1,8−デカジエン、1,9−デカジエン、1,12−テトラデカジエン、1,13−テトラデカジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,5−ヘキサジエン、3−エチル−1,4−ヘキサジエン、3−エチル−1,5−ヘキサジエン、3,3−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、3,3−ジメチル−1,5−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、2,5−ノルボルナジエン、7−メチル−2,5−ノルボルナジエン、7−エチル−2,5−ノルボルナジエン、7−プロピル−2,5−ノルボルナジエン、7−ブチル−2,5−ノルボルナジエン、7−ペンチル−2,5−ノルボルナジエン、7−ヘキシル−2,5−ノルボルナジエン、7,7−ジメチル−2,5−ノルボルナジエン、7,7−メチルエチル−2,5−ノルボルナジエン、7−クロロ−2,5−ノルボルナジエン、7−ブロモ−2,5−ノルボルナジエン、7−フルオロ−2,5−ノルボルナジエン、7,7−ジクロロ−2,5−ノルボルナジエン、1−メチル−2,5−ノルボルナジエン、1−エチル−2,5−ノルボルナジエン、1−プロピル−2,5−ノルボルナジエン、1−ブチル−2,5−ノルボルナジエン、1−クロロ−2,5−ノルボルナジエン、1−ブロモ−2,5−ノルボルナジエン、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、(ピペリン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエンなどをあげることができる。更に下記の構造の環状ジエンもあげられる。
【0016】
本発明においては、これらのポリエンを1種又は2種以上組み合せて用いることもできる。入手性の観点からは、現在EPDMで多用されている5−エチリ
デン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4ヘキサジエンが好ましい。
【0017】
本発明の共重合体は、遷移金属錯体と有機アルミニウム化合物、ケイ素―水素結合を有する有機ケイ素化合物の存在下、上記成分(i)と(ii)または、上記成分(i)と(ii)と(iii)とを重合させて得られるものである。
【0018】
本発明の共重合体は、遷移金属錯体(A)と、下記(B)及び下記(C)とを用いてなる触媒の存在下に最適に製造され得る。
(A):下記一般式で表される遷移金属錯体である。
VO(OR)aCl3-a
(但し、Rは炭化水素基であり、aは0≦a≦3を満足する数を表す。)
(B):下記一般式で表せられる有機アルミニウム化合物である。
EaAlZ3-a
(但し、Eは炭化水素基であり、Zは水素原子又はハロゲン原子を表す。aは0<a≦3を満足する数を表す。)
(C):下記一般式で表せられる有機ケイ素化合物である。
(但し、R'、R''、R'''はアルキル基、アリール基、水素である。R'、R''、R'''がアルキル基、アリール基の場合にはR'、R''、R'''が全て同じでも良いし、全て異なっていても良い。また、分子内のケイ素原子数は3以下である。)
【0019】
以下、上記の製造法について、更に詳しく説明する。
【0020】
(A):遷移金属錯体について説明する。
【0021】
遷移金属錯体(A)としては、下記一般式で表せられるバナジウム化合物である。
VO(OR)aCl3-a
(但し、Rは炭化水素基であり、aは0≦a≦3を満足する数を表す。)
好ましくはVOCl3である。
【0022】
一般式VO(OR)aCl3-aで置換基Rにおけるアルキル基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などがあげられる。
【0023】
なお、Aの替りに本発明の範疇に無い、遷移金属錯体を用いた場合、著しい組成分布を生じ、均一な溶液重合を実施できない場合がある。
【0024】
(B)アルミニウム化合物について説明する。
【0025】
アルミニウム化合物(B)としては、下記一般式で表せられる有機アルミニウム化合物である。
EaAlZ3-a
(但し、Eは炭化水素基であり、Zは水素原子又はハロゲン原子を表す。aは0<a≦3を満足する数を表す。)
【0026】
Eにおける炭化水素基としては、炭素数1〜8の炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
【0027】
一般式 EaAlZ3-aで示される有機アルミニウム化合物(B)の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジプロピルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジヘキシルアルミニウムクロライド等のジアルキルアルミニウムクロライド;メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、プロピルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、ヘキシルアルミニウムジクロライド等のアルキルアルミニウムジクロライド;ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジヘキシルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド等を例示することができる。
【0028】
好ましくは、塩素を有するアルミニウム化合物であり、より好ましくは、エチルアルミニウムセスキクロライドである。
【0029】
(C)有機ケイ素化合物について説明する。
【0030】
有機ケイ素化合物(C)としては、下記一般式で表せられるヒドロシランである。
(但し、R'、R''、R'''はアルキル基、アリール基、水素である。R'、R''、R'''がアルキル基、アリール基の場合にはR'、R''、R'''が全て同じでも良いし、全て異なっていても良い。また、分子内のケイ素原子数は3以下である。)
【0031】
上記一般式で表せられる有機ケイ素化合物の置換基R'、R''、R'''におけるアルキル基、アリール基としては、炭素原子数1〜20のものが好ましく、メチル基、エチル基、n−ブチル基、オクチル基、フェニル基などがあげられる。
【0032】
また、分子内に含まれるケイ素原子数は、多くなると活性が低下する場合がある為、3以下でであることが好ましい。更により好ましくは1である。
【0033】
ケイ素―水素結合については、二つ有している有機ケイ素化合物が好ましく、より好ましくは、Ph2SiH2である。
【0034】
共重合に際しては、遷移金属錯体(A)と、上記(B)及び上記(C)とを用いてなるオレフィン重合用触媒を用いる。
【0035】
各成分の使用量は通常、(B)/(A)のモル比が好ましくは2〜50、(C)/(A)のモル比が好ましくは5〜50の範囲にあるように、各成分を用いることが望ましい。
【0036】
各成分を溶液状態もしくは溶媒に懸濁状態で用いる場合の濃度は、重合反応器に各成分を供給する装置の性能などの条件により、適宜選択されるが、一般に、(A)が、通常0.01〜0.5μmol/g、(B)が、通常0.1〜2μmol/g、(C)は、通常0.2〜5μmol/gの範囲にあるように各成分を用いることが望ましい。
【0037】
本発明の共重合体を製造するには、たとえば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、又はメチレンジクロライド等のハロゲン化炭化水素を溶媒として用いる溶媒重合が可能である。重合温度は、−50〜250℃の範囲を取り得るが、特に、40℃未満が好ましく、特には30℃以下が好ましい。重合圧力は、特に限定されるものではないが常圧〜100kg/cm2Gが好ましい。重合時間は、一般的に、使用する触媒の種類、反応装置により適宜決定されるが、1分間〜20時間の範囲を取ることができる。また、重合体の分子量を調節するために水素等の連鎖移動剤を添加することもできる。
【0038】
本発明を実施するための好ましい重合方法としては、たとえば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素を溶媒として用いる溶媒重合があげられる。
【0039】
具体的には下記(I)〜(IV)の条件を満たすことが好ましい。
(I)溶液重合であること
(II)重合温度が40℃未満であること
(III)滞留時間が5〜120分であること
(IV)重合槽圧力が常圧〜100kg/cm2Gであること
【0040】
本発明で製造される共重合体中のエチレン由来単位/α−オレフィン由来単位の重量比は90/10〜40/60であり、好ましくは70/30〜40/60である。
【0041】
本発明で製造される共重合体中のよう素価は1〜30(g/100gポリマー)である。
【0042】
【実施例】
以下、実施例及び比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0043】
[I]測定方法
実施例における重合体の性質は、下記の方法によって測定した。
(1)プロピレン含有量
赤外分光光度計(日本分光工業社製 IR−810)を用いて赤外吸収スペクトル(IRスペクトル)により測定した。測定サンプルは、ホットプレス機を用いて約0.1mmのフィルムとして測定した。測定値は文献値(赤外吸収スペクトルによるポリエチレンのキャラクタリゼーション 高山、宇佐美 等著 又は Die Makromolekulare Chemie,177,461(1976)Mc Rae,M.A.,MadamS,W.F.等著)に順じ1150cm-1の吸収ピーク(メチル分岐)をマーカーとして3回測定した値の平均値とした。
【0044】
(2)よう素価
共重合体を熱プレスして厚み0.5mmのフィルム状に成形し、ついで赤外分光計を用いて、ジシクロペンタジエン及び5−エチリデン−2−ノルボルネン由来のピーク(波数1689cm-1、1600cm-1)透過度を求め、共重合体中の二重結合のモル含量を算出し、よう素価に換算した。
【0045】
(3)分子量及び分子量分布
ゲル・パーミュエーション・クロマトグラフ(Water社製 150C/GPC装置)により行う。溶出温度は140℃、使用カラムは、昭和電工社製、Shodex Packed ColumnA−80M、分子量標準物質はポリスチレン(たとえば、東ソー社製、分子量500−8,400,000)を用いた。得られたポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、更にこの比(Mw/Mn)を分子量分布(Q値)とする。測定サンプルは約5mgの重合体を5mlのo−ジクロロベンゼンに溶解し、約1mg/mlの濃度とする。得られたサンプル溶液の400μlをインジェクションし、溶出溶媒流速は1.0ml/minとし、屈折率検出器にて検出した。
【0046】
[II]実施例及び比較例
実施例1
攪拌羽根、コンデンサ−を備えた2Lのガラス製重合器を用いてエチレン、プロピレンの共重合を行った。すなわち、重合溶媒としてヘキサンを1L重合器に導入する。続いてPh2SiH2を0.5mmolを重合器に導入する。一方、重合器上部からガス状モノマーとしてエチレンを4NL/min、プロピレン6NL/min、分子量調節の為に水素を1NL/minヘキサンにバブリングさせる形式で導入し、ウォ−タ−バスにて重合器内温を30℃になるように調整した。その後、エチルアルミセスキクロライド(EASC)を0.4mmol添加し、最後にオキシ三塩化バナジウム(VOCl3)0.05mmolを添加して重合を開始し、30分経過後にメタノ−ル10mlを添加して重合を停止した。重合後のポリマ−溶液を濃縮し、メタノ−ル沈殿法により共重合体を回収し、80℃にて12時間真空乾燥を行った。6.74gの共重合体が得られた(VOCl31mmolあたりに換算して135g)。以上の操作により、プロピレン含量37.5wt%のエチレン/プロピレン共重合体が得られ、GPC測定の結果、Q値=2.9であった。詳細な結果は表1にまとめた。
【0047】
実施例2
実施例1において、Ph2SiH2を滴下ロート中でEASCとプレミックスし、1分静置後重合系に滴下した以外は基本的に同様な方法で重合した。詳細を表1に示した。
【0048】
実施例3
実施例1において、Ph2SiH2を滴下ロート中でVOCl3とプレミックスし、1分静置後重合系に滴下した以外は基本的に同様な方法で重合した。詳細を表1に示した。
【0049】
実施例4
実施例3において、Ph2SiH2の添加量を0.25mmolに変更した以外は基本的に同様な方法で重合した。詳細を表2に示した。
【0050】
実施例5
実施例3において、Ph2SiH2の添加量を1.0mmolに変更した以外は基本的に同様な方法で重合した。詳細を表2に示した。
【0051】
比較例1
実施例1の方法において、Ph2SiH2を添加しない以外は基本的に実施例1と同様な方法で共重合を行った。詳細を表2に示した。
【0052】
比較例2
実施例1の方法において、Ph2SiH2の替わりにジメチルポリシロキサン(信越化学工業(株)KF96)を添加した以外は基本的に実施例1と同様な方法で行った。
【0053】
実施例6
実施例1において、Ph2SiH2添加時、同時に5−エチリデン−2−ノルボルネンを添加し、重合停止には0.1gのBHTを含むメタノ−ル10mlを用いた以外は基本的に同様な方法で重合した。詳細を表3に示した。
【0054】
比較例3
実施例6において、Ph2SiH2を添加しなかった以外は基本的に同様な方法で重合した。詳細を表3に示した。
【0055】
表1、2はエチレン―α―オレフィン共重合の結果であり、5−エチリデン−2−ノルボルネン等のポリエンは用いていない。表3は、ポリエンとして5−エチリデン−2−ノルボルネンを用いたエチレン―α―オレフィン系共重合の結果であるため、ポリマー収量(V触媒1mmol当たり)は、表1、2のものに比べて低い値となっている。
【0056】
【表1】
1) 重合器に予め導入
2) 滴下ロート中でEASCとプレミックスし、1分静置後重合系に滴下
3) 滴下ロート中でVOCl3とプレミックスし、1分静置後重合系に滴下
【0057】
【表2】
3) 滴下ロート中でVOCl3とプレミックスし、1分静置後重合系に滴下
【0058】
【表3】
1) 重合器に予め導入
【0059】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明により、配位化合物触媒系の存在下にエチレン−α−オレフィンまたはエチレン−α−オレフィン−非共役ジエンを共重合させるにおいて、高い活性で且つ装置の腐食などのトラブルを生ずることなしにエチレン−α−オレフィン系ランダム共重合体を製造する方法を提供することができた。
Claims (3)
- 下記成分(i)と(ii)または、下記成分(i)と(ii)と(iii)とを重合させて得られる共重合体の製造方法であって、遷移金属錯体と有機アルミニウム化合物、ケイ素―水素結合を有する有機ケイ素化合物の存在下に重合することを特徴とする共重合体の製造方法。
(i):エチレン
(ii):炭素数3〜20のα−オレフィン
(iii):ポリエン - 遷移金属錯体として、下記化学式(A)で表される遷移金属錯体を使用する請求項1記載の共重合体の製造方法。
(A)一般式VO(OR)aCl3-aで表せられるバナジウム化合物。(但し、Rは炭化水素基であり、aは0≦a≦3を満足する数を表す。) - 遷移金属錯体として請求項2記載の(A)、有機アルミニウム化合物として下記(B)及び有機ケイ素化合物として下記(C)とを用いる請求項1記載の共重合体の製造方法。
(B)一般式 EaAlZ3-aで示される有機アルミニウム化合物
(但し、Eは炭化水素基であり、Zは水素原子又はハロゲン原子を表す。aは0<a≦3を満足する数を表す。)
(C)下記一般式で表せられる有機ケイ素化合物
(但し、R'、R''、R'''はアルキル基、アリール基、水素である。R'、R''、R'''がアルキル基、アリール基の場合にはR'、R''、R'''が全て同じでも良いし、全て異なっていても良い。また、分子内のケイ素原子数は3以下である。)
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-
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