JP2004196428A - エレベーター装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】保守点検作業等をより安全に行うことのできるエレベーター装置を提供することにある。
【解決手段】本発明は、乗りかごの内部を撮影するカメラと、該カメラで撮影した画像を有線または無線の回線を通して画像表示手段へ送信する手段を備えたエレベーター装置において、前記カメラを、前記乗りかごの天井の上方をも撮影できるように構成した。これにより、カメラが動作しなくなるおそれを少なくすると共に、エレベーターの通常運転中は乗りかご内の様子を撮影し、保守点検作業中は乗りかご上での保守点検作業の様子を撮影することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明は、乗りかごの内部を撮影するカメラと、該カメラで撮影した画像を有線または無線の回線を通して画像表示手段へ送信する手段を備えたエレベーター装置において、前記カメラを、前記乗りかごの天井の上方をも撮影できるように構成した。これにより、カメラが動作しなくなるおそれを少なくすると共に、エレベーターの通常運転中は乗りかご内の様子を撮影し、保守点検作業中は乗りかご上での保守点検作業の様子を撮影することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エレベーター装置に係り、特に、エレベーターの保守点検作業を安全に実施するための機能を備えたエレベーター装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、エレベーター装置が故障した場合等に、エレベーター装置のかご内部及び外部を、それぞれ別個に設けたカメラを介して遠隔から監視しながら、エレベーター装置の復旧作業を行う方法が提案されている。特に、特許文献1には、エレベーターかご内の状態を撮影するかご内テレビカメラと、かご上に設置され昇降路の状態をかご上から撮影するかご上テレビカメラとを設け、これらから得た画像情報を監視センタに送信することが記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−139642号公報(第2図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特許文献1のエレベーター装置では、かご上テレビカメラが常時かご上に設置されているので、時間の経過と共に埃等が表面に付着して、作動しなくなるおそれがある。すると、かご上で作業者が保守点検等を行うときに、エレベーター装置の誤作動等による危険に備えて監視することができなくなる場合があり、このかご上テレビカメラでは作業者の安全を確保するのに十分とはいえない。また、カメラをかご内とかご上に2つ設けることになるので、コスト高になってしまう。
【0005】
一方、保守点検を行った作業者が、かご上に工具等を忘れた場合、エレベーター運転時に落下する危険性もある。更に、関係者以外の人が、制御盤を開けてしまう恐れもある。
【0006】
したがって、本発明の目的は、保守点検作業等をより安全に行うことのできるエレベーター装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明では、乗りかごの内部を撮影するカメラと、該カメラで撮影した画像を有線または無線の回線を通して画像表示手段へ送信する手段を備えたエレベーター装置において、前記カメラは、前記乗りかごの天井の上方をも撮影できるように構成されていることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例につき、図面を用いて説明する。
【0009】
図1は、本発明の第1の実施例を示すエレベーター装置の乗りかご周辺の側断面図である。図1に示す通り、本実施例のエレベーター装置は、乗りかご1の下に、かご下プーリ2,3が設けられており、巻上機4(図示せず)によりロープ5を介して昇降する。また、乗りかご1には乗客が出入りするドア6,行先階登録及びドア開閉操作盤7及び表示装置8,9が備えつけられている。尚、これらのものは必ずしも図示したような形状,配置でなくても良い。更に、乗りかご1の上には、ドア開閉制御などのためのかご上器具箱10が設けられており、かご天井にはカメラ取付部11に、カメラ取付脚12,カメラ保持部13を介してカメラ14が取り付けられている。そして、このカメラ14は、通常運転中、図1の破線で示したように、乗りかご1の内部の様子を撮影するのに使用されるが、保守点検作業中は、同図の実線で示したように、乗りかご1の天井の上方を撮影できるように構成され、かご上での保守点検作業の様子を撮影するのに使用される。このように、通常運転中はカメラ14が乗りかご1の天井の下方にあるので、埃の付着等を抑制でき、カメラ14が動作しなくなるおそれを少なくすることができる。
【0010】
図2は、乗りかご1の上で作業者15が保守点検を行っているときの昇降路内上面図である。昇降路壁16に囲まれた昇降路内には、乗りかご1,巻上機4,釣り合いおもり17及びエレベーター制御盤18が配置されている。ここで、かご下プーリ2及び3,頂部プーリ19,巻上機4,頂部プーリ20及び釣り合いおもりプーリ21を経てロープ5(図示せず)により、乗りかご1が吊下げられている。乗りかご1は、かご用ガイドレール22及び23に、釣り合いおもり17は、おもり用ガイドレール24及び25に、それぞれ沿って動く。勿論、これらの構成及び配置は任意であり、図示の配置でなくても良く、また自走式エレベーターやロープレスエレベーター等の乗りかご1を除く他の構成要素がなくても構わない。
【0011】
かご上には、かご内装置(例えば、図1の行先階登録及びドア開閉操作盤7や表示装置8,9)の制御及び給電を行うかご上器具箱10,かご上での作業時に使用できる照明装置26,カメラ14及びカメラ保持部13(図2では省略)へ給電するためのカメラ電源送電部27が設置されている。また、作業者15が、かご上で保守点検する時には図のようにカメラ14及びカメラ電源受電部28が、かご上に配置される。更に、保守点検時に作業者15の転落等を防止するための安全柵29及び非常救出口でもあるかご上救出口97(詳細形状は省略)も取り付けられている。尚、安全柵29は通常運転時には不要であるため、収納できる構造が好ましいが、ここではその詳細構造については言及しない。
【0012】
また、エレベーター制御盤18の保守点検を行っている作業者15が画像の中心に位置するように撮影した場合の、カメラ14の視界範囲は、図2の直線B1とB2に挟まれた範囲である。そして、カメラ14を横切るように示した図2の一点鎖線Cは、カメラ取付部11(図示せず)の回転軸を示しており、通常運転時には、この軸を中心として180度回転して乗りかご1の天井の下方の位置で保持される。これにより、カメラ14はかご内のドア6(図中ではかご上器具箱10に隠れて見えず)付近が撮影範囲となるため、カメラ保持部13の駆動装置を動かすことなくドア付近監視に利用することができる。
【0013】
次に、カメラ14の構成の詳細について、図3を用いて説明する。図3は、カメラ14付近を示す斜視図であり、図の一点鎖線Cを軸として、天井カメラ取付部11が回転することにより、カメラ14の配置をかご内とかご上とに切り替えられる。すなわち、乗りかご1の内部を撮影するカメラ14は、乗りかご1の天井の上方へ突出させる機能を有している。ただし、回転するための軸及び軸受,回転させるための取手,通常天井に固定するための固定具等は図示を省略する。尚、カメラ取付部11の回転は、駆動装置を介して遠隔から操作できるようにしても良いが、手動により回転させても良い。
【0014】
更に、図4は、図3に示したカメラ14付近をより詳細に示したものである。すなわち、カメラ14がカメラ保持部13に取り付けられ、更にカメラ取付脚部30,カメラ取付板31を介して天井カメラ取付部11に設置されている。そして、天井カメラ取付部11が、回転軸32により反転可能となっている。また、カメラ14には、画像情報の送信及びカメラ駆動指令の受信を行うための無線通信装置33が備えられており、画像情報を図5の制御装置34へ送信すると共に、カメラ駆動指令を受けて駆動機能を有するカメラ保持部13を駆動させることにより、カメラ14の向きを遠隔操作できる。更に、カメラ電源受電部28及び35により、必要な電力を非接触で受電することができる。ここで、受電部が2個あるのは、カメラ14が、かご内にある時とかご上にある時の両方で1つの送電部から給電できる構成としたためである。
【0015】
また、図1から図4では、カメラ14の配線を省略しているが、実際にはかご上器具箱10などを介してエレベーター制御装置34に画像情報を送信できるような構成となっている。そこで、これらの概略構成を図5に示す。
【0016】
まず、カメラ14で撮影した画像情報が無線通信装置(図示せず)を介してエレベーター制御装置34へ送信される。尚、通信方法としては、近距離無線に限らず、有線の回線を利用したものであっても良い。次に、その画像情報が遠隔監視装置36により電話回線等を介して監視センタ37に送られ、ここで作業状況を監視する。勿論、電話回線等の有線ではなく、無線により送信しても構わない。また、保守点検用表示装置38にも画像情報が表示されるようにすれば、複数人が共同して保守点検を行う場合に、かご上にいる作業者を別の場所にいる作業者が監視することができる。尚、保守点検用表示装置38は、作業者等が携帯しながら容易に監視できる移動体端末でも良いし、ホールや乗りかご内に設置されている情報提供表示装置でも良い。また、ビル管理室等にあるエレベーター監視端末39に画像情報を表示させ、管理者が監視できるようにしても構わない。更に、カメラ14で撮影した画像情報を直接移動体端末や監視端末に送信するようにしても良い。
【0017】
このように、かご上での保守点検作業を遠隔から監視することができるので、かご上の作業者の細心の注意及び経験に頼ることなく、作業の安全確保が可能となり、結果として、作業効率が一層向上する。また、作業内容によっては実際にかご上に作業者が上がらずに遠隔から保守点検することも可能である。一方で、こうした保守点検作業効率の向上は、保守点検時間の短縮につながり、エレベーター利用客に対するサービスも向上することになる。
【0018】
次に、カメラ14による撮影方法について図6を用いて説明する。
【0019】
図6は、図2のA−A′断面を矢印の向きから見た図である。ここでは、断面作業者15は認識マーカ40の付いた保護帽41を装着しており、エレベーター制御盤18の高さ方向中心よりやや上部の作業をしている場面を想定している。ここで、作業者を認識する手段としての認識マーカ40を付けるものは、保護帽41に限らず、作業者15が携帯するものであれば何でも良い。また、カメラ14は、認識マーカ40が画像の中心となるように追従するようになっているので、カメラの視界(画像)範囲は、直線B3とB4に挟まれた範囲となる。これにより、作業者の作業範囲及び作業者頭部から昇降路天井42までの距離を画像情報として捉えることが可能である。したがって、作業者が乗りかご1と昇降路天井42との間に挟まれないように監視し、保守点検作業の安全性を確保することができる。尚、作業者15は、カメラ14位置より上方で作業をするので、カメラを水平よりも下方に向けられるようにする必要がない。
【0020】
また、エレベーター制御装置34に保守点検安全判定機能を持たせることにより、作業者頭部と昇降路天井42との距離が設定値より小さくなった場合に警報を発するという安全対策や、動いている乗りかご1の昇り動作を停止させるといった安全対策も可能である。
【0021】
図7は、作業者15の装備を示している。作業者15が被る保護帽41には、前述の認識マーカ40のほか、照明43,受信アンテナ44,マイク45及びイヤホン46が装備されている。これらにより、共同作業者あるいは遠隔監視している監視者等と連絡を取りながら作業を進めることが容易となる。
【0022】
また、作業者15は、操作装置兼表示装置47を携帯しているため、カメラ14の画像を見たり、監視者等と連絡をとることができる。ここでは、ベルトに取り付けることにしたが、この限りではない。
【0023】
更に、作業者15が履いている靴には、ICチップ認識装置48が取り付けられており、かご上での作業位置が安全であるか否かを自動的に監視することができるため、作業者の安全性が向上する。尚、ここでは片足のみ図示したが、必要に応じて両足にしても良い。
【0024】
また、作業時に使用する工具49を収納する工具入れ50を作業者15は携帯しているが、それぞれの工具49には、ICチップ等が内蔵されており、保守点検作業が終了した後、工具入れ50に全ての工具が収納されたか否かを認識することが可能である。これにより、工具49が、かご上に放置したままとなることを防ぐことができる。
【0025】
ここで、工具入れ50の詳細について図8を用いて説明する。図8に示す通り、工具入れ付属電池51と給電スイッチ52が取り付けられており、登録番号認識装置53、工具収納情報判定装置54及び工具入れフタ開閉装置55を動作できるようになっている。また、工具入れに収納されている工具56〜59に予め内蔵されている登録番号記憶ICチップ60〜63の情報は、登録番号認識装置53で読み取る。工具収納情報判定装置54は、予め記憶されている工具情報と、登録番号認識装置53で読み取った実際の収納情報とに基づいて、収納されていない工具があるか否かを判定する。そして、保守点検作業が終了した後、不足している工具があった場合、すなわち、全ての工具の登録番号が工具入れ50で認識されていない場合には、警報を発すると共に、エレベーター制御装置34へ情報を伝送し、エレベーターの通常運転復帰を抑制させる。尚、不足している工具に関する情報や上述の収納情報などの情報は、無線または有線の回線を通して遠隔監視装置36や監視センタ37等へ送るようにしても良い。また、工具入れフタ64の開閉は、工具入れフタ開閉装置55で制御されており、開閉装置55と登録番号認識装置53及び工具収納情報判定装置54の電源が共通となっているので、常に正しい収納情報を認識することができる。
【0026】
次に、制御装置34の扉の防犯機能について、図9を用いて説明する。制御盤18には、制御装置扉ロック解除機構65,登録番号認識及びロック解除判定を行う認識判定装置66,給電スイッチ67及び給電切替スイッチ68が設けられている。また、認識判定装置66への給電は、給電切替スイッチ68及び給電スイッチ67を介して制御装置内部の電池69から行われる。
【0027】
一方、工具49には、ICチップ70が内蔵されており、予め登録番号情報が記憶されている。そして、工具49の先端で給電スイッチ67が投入された場合、ICチップ70を認識し、その登録番号情報が既定のものと合致するものであれば、ロック解除機構65へロック解除指令が伝わり、制御盤18の扉ロックが解除される。これにより、関係者外の者がむやみに制御盤18を開くことを制限でき、いたずらや犯罪等を防止することができる。
【0028】
また、図9のように、判定情報を制御回路71へ送り、保守点検作業に関する情報、例えば保守点検日時,作業者名等を記録しておくこともできる。尚、前に述べた通り、制御装置34は、遠隔監視装置36を介して監視センタ37に情報を伝送することが可能であるから、こうした保守点検情報を自動的に監視センタ37へ伝えることも可能である。
【0029】
また、給電切替スイッチ68を切り替えることで、外部電源72からの給電による動作も可能である。これにより、制御盤内部電池69が充電不足等の場合であっても問題無く保守点検作業ができる。
【0030】
図10に、保守点検作業の流れを示す。保守点検作業を開始するにあたり
(101)、通常運転から保守点検モードになると、カメラ14がかご上を撮影しているかの判断(102)を監視センタ37の監視者等が行う。仮に、カメラ14でかご上の画像がない場合には、カメラ14の設定異常やカメラ14自体の故障が考えられるため、作業者,共同作業者、または監視者等の端末に警告を表示し、保守作業を続行することを許可せず、かご昇降も禁止するようになる
(109)。
【0031】
カメラ14の設定が完了すると、監視者等からの許可信号を判断する(103)。監視者等はカメラ画像や作業者との通信により、作業の安全性を判断して、作業者の携帯表示装置47に許可信号を送信する。尚、不備がある場合には、携帯表示装置47に指示を与える。次に共同作業者が存在する場合には、共同作業者の状況についても判断(104)する。これについても携帯表示装置47あるいは通信用マイク45,イヤホン46等を利用して共同作業の合図を行うことで共同作業の安全性が向上する。
【0032】
また、かご上作業者15の位置を随時、作業者が装着したICチップ認識装置48で監視して(105)、不安全な場所になった場合には警告及び警報を発し、かごの昇降は禁止する(109)。また、カメラ14は作業者の認識マーカ40を追従するように制御され、撮影範囲に作業者が入っているかも監視する(106)。更に、作業者15と頭上の間隔は十分か否かを画像より判断して(107)、保守運転でかごが昇降している時の作業者の安全性を向上させる。
【0033】
これらの監視を随時行って、安全が確保できた時のみ保守運転(かご昇降)が可能(108)とする。
【0034】
図11に制御装置34の概略構成について示す。商用電源73から主回路スイッチ74,電磁接触器75,整流回路76,平滑コンデンサ77,変換器78を介して巻上機モータ79に給電される。整流回路76の後段には、電磁接触器80及びこれと並列に初充電抵抗81が接続されている。また、主回路スイッチ74の前段に、単相分を制御回路スイッチ82,多出力電源AVR83を介して制御回路MPU84に給電される。また、多出力電源AVR83は、給電制御回路85を介して、カメラ14,カメラ保持部13及び画像通信装置86にも給電する。また、給電制御回路85には電池87が接続されており、通常時は電池87を充電し、必要な時には電池87からカメラ14,カメラ保持部13及び画像通信装置86に給電できる構成となっている。
【0035】
また、図11の破線は情報及び信号の流れを示している。制御回路MPU84から変換器78には所望の速度で駆動するための信号が与えられる。また、巻上機モータ79からは速度検出情報等が制御回路84へ与えられる。画像通信装置86と制御回路84との間では、カメラからの画像情報とカメラ保持部の駆動制御信号のやりとりをする。ここでは、図示していないが、画像通信装置86からは、図5で示した遠隔監視装置36へも情報が送られることで遠隔監視が可能となる。
【0036】
この構成により、制御装置の主回路付近、例えば変換器78の保守点検作業時に、主回路スイッチ74を開いて主回路への給電を停止した場合でも、カメラ14,カメラ保持部13及び画像通信装置86には給電できるので作業の監視が続行できる。更に、電池87を用いれば、カメラ14等への給電は、エレベーター制御装置の電源からの給電と電池からの給電とを切り替えられるようになるので、多出力電源83の故障及び停止時にも給電することが可能となる。
【0037】
以下、本発明の第2の実施例について説明する。図12は、カメラ14がかご内にある状態を示しているが、第1の実施例と異なり、カメラ14が、かご室側壁88に取り付けられている。そして、乗りかご1の天井89の一部分が天井スライド部90を図中矢印に示すようにスライドさせて開く構造になっている。
【0038】
次に、カメラ14の構成について、図13を用いて説明する。図13(a)はカメラ14を上面から見た図、(b)は正面から見た図、(c)は側面から見た図である。まず、かご側壁88に取り付けられた固定レール91に沿って、可動スライドレール92が上下方向にスライドする構造となっている。スライド機構及び外れないように固定する機構については図示していないが、汎用的なスライドレールで良い。また、可動スライドレール92には、回転板固定具93を介してカメラ保持回転板94があり、さらにカメラ保持部95,96を介してカメラ14が取り付けられている。尚、カメラ14はかご室側壁の上部にあるため、図13(c)に示す通り、カメラ14は下を向いた状態で、かご内を撮影可能としている。この役割を担っているのは、カメラ保持部96である。
【0039】
ここで、カメラ14を乗りかご1の天井の上方へ突出させる方法について、図14を用いて説明する。尚、図14(a)は正面図、(b)は側面図である。まず、かご天井スライド部90を開き、カメラ保持回転板94を回転できる状態にして、カメラ14が回転板固定具93の上になるように180度回転させる。このように回転させることで、カメラ14が、かご上になった場合のカメラ14の水平面に対して上方を撮影することができ、作業者15を視界に収めることが可能となる。次に、可動スライドレール92を上にスライドさせて、カメラ14を乗りかご1の天井の上方へ突出させる。これにより、カメラ14をかご外すなわちかご上に移動させた状態で、かご上での保守点検作業の様子を撮影することができる。尚、本実施例では、カメラ保持回転板94を回転させてから、可動スライドレール92を上に移動させたが、順番を逆にする場合には、回転板94を回転させるために天井開口部の幅を広くする必要がある。
【0040】
また、本実施例では回転板94を用いたが、カメラ保持部95が可動スライドレール92に対して回転できるようにして、カメラ14の水平面に対する角度を変えるような構成にしても良い。ただし、その場合は、固定レール91をかご上まで延長すると共に、カメラ保持部95がかご上に出るまで可動スライドレール92を移動させる必要がある。
【0041】
その他、詳述はしないが、乗りかごの天井の一部を透明なガラスで構成することにより、カメラ14を乗りかごの天井の上方に突出させることなく、乗りかご1の天井の上方を撮影することができる。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、保守点検作業等をより安全に行うことのできるエレベーター装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例におけるエレベーター装置の乗りかご周辺の側面図である。
【図2】本発明の第1の実施例におけるエレベーター装置の乗りかご上で作業者が保守点検を行っているときの昇降路上面図である。
【図3】本発明の第1の実施例におけるエレベーター装置のカメラ付近を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施例におけるエレベーター装置のカメラ付近を示す詳細図である。
【図5】本発明の第1の実施例におけるエレベーター装置のシステムの概略構成図である。
【図6】本発明の第1の実施例におけるエレベーター装置のカメラによる撮影方法を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施例における作業者の装備を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施例における工具入れの詳細を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施例におけるエレベーター装置の制御装置の扉の防犯機能を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施例におけるエレベーター装置の保守点検作業の流れを示す図である。
【図11】本発明の第1の実施例におけるエレベーター装置の制御系の概略構成図である。
【図12】本発明の第2の実施例におけるエレベーター装置の乗りかご側面図である。
【図13】本発明の第2の実施例におけるエレベーター装置のカメラ付近を示す詳細図である。
【図14】本発明の第2の実施例におけるエレベーター装置のカメラを乗りかごの天井の上方へ突出させる方法を示す図である。
【符号の説明】
1…乗りかご、6…ドア、14…カメラ、15…作業者、18…制御盤、34…制御装置、36…遠隔監視装置、37…監視センタ、38…保守点検用表示装置、39…エレベーター監視端末、40…認識マーカ、49…工具、50…工具入れ、65…ロック解除機構、90…天井スライド部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、エレベーター装置に係り、特に、エレベーターの保守点検作業を安全に実施するための機能を備えたエレベーター装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、エレベーター装置が故障した場合等に、エレベーター装置のかご内部及び外部を、それぞれ別個に設けたカメラを介して遠隔から監視しながら、エレベーター装置の復旧作業を行う方法が提案されている。特に、特許文献1には、エレベーターかご内の状態を撮影するかご内テレビカメラと、かご上に設置され昇降路の状態をかご上から撮影するかご上テレビカメラとを設け、これらから得た画像情報を監視センタに送信することが記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−139642号公報(第2図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特許文献1のエレベーター装置では、かご上テレビカメラが常時かご上に設置されているので、時間の経過と共に埃等が表面に付着して、作動しなくなるおそれがある。すると、かご上で作業者が保守点検等を行うときに、エレベーター装置の誤作動等による危険に備えて監視することができなくなる場合があり、このかご上テレビカメラでは作業者の安全を確保するのに十分とはいえない。また、カメラをかご内とかご上に2つ設けることになるので、コスト高になってしまう。
【0005】
一方、保守点検を行った作業者が、かご上に工具等を忘れた場合、エレベーター運転時に落下する危険性もある。更に、関係者以外の人が、制御盤を開けてしまう恐れもある。
【0006】
したがって、本発明の目的は、保守点検作業等をより安全に行うことのできるエレベーター装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明では、乗りかごの内部を撮影するカメラと、該カメラで撮影した画像を有線または無線の回線を通して画像表示手段へ送信する手段を備えたエレベーター装置において、前記カメラは、前記乗りかごの天井の上方をも撮影できるように構成されていることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例につき、図面を用いて説明する。
【0009】
図1は、本発明の第1の実施例を示すエレベーター装置の乗りかご周辺の側断面図である。図1に示す通り、本実施例のエレベーター装置は、乗りかご1の下に、かご下プーリ2,3が設けられており、巻上機4(図示せず)によりロープ5を介して昇降する。また、乗りかご1には乗客が出入りするドア6,行先階登録及びドア開閉操作盤7及び表示装置8,9が備えつけられている。尚、これらのものは必ずしも図示したような形状,配置でなくても良い。更に、乗りかご1の上には、ドア開閉制御などのためのかご上器具箱10が設けられており、かご天井にはカメラ取付部11に、カメラ取付脚12,カメラ保持部13を介してカメラ14が取り付けられている。そして、このカメラ14は、通常運転中、図1の破線で示したように、乗りかご1の内部の様子を撮影するのに使用されるが、保守点検作業中は、同図の実線で示したように、乗りかご1の天井の上方を撮影できるように構成され、かご上での保守点検作業の様子を撮影するのに使用される。このように、通常運転中はカメラ14が乗りかご1の天井の下方にあるので、埃の付着等を抑制でき、カメラ14が動作しなくなるおそれを少なくすることができる。
【0010】
図2は、乗りかご1の上で作業者15が保守点検を行っているときの昇降路内上面図である。昇降路壁16に囲まれた昇降路内には、乗りかご1,巻上機4,釣り合いおもり17及びエレベーター制御盤18が配置されている。ここで、かご下プーリ2及び3,頂部プーリ19,巻上機4,頂部プーリ20及び釣り合いおもりプーリ21を経てロープ5(図示せず)により、乗りかご1が吊下げられている。乗りかご1は、かご用ガイドレール22及び23に、釣り合いおもり17は、おもり用ガイドレール24及び25に、それぞれ沿って動く。勿論、これらの構成及び配置は任意であり、図示の配置でなくても良く、また自走式エレベーターやロープレスエレベーター等の乗りかご1を除く他の構成要素がなくても構わない。
【0011】
かご上には、かご内装置(例えば、図1の行先階登録及びドア開閉操作盤7や表示装置8,9)の制御及び給電を行うかご上器具箱10,かご上での作業時に使用できる照明装置26,カメラ14及びカメラ保持部13(図2では省略)へ給電するためのカメラ電源送電部27が設置されている。また、作業者15が、かご上で保守点検する時には図のようにカメラ14及びカメラ電源受電部28が、かご上に配置される。更に、保守点検時に作業者15の転落等を防止するための安全柵29及び非常救出口でもあるかご上救出口97(詳細形状は省略)も取り付けられている。尚、安全柵29は通常運転時には不要であるため、収納できる構造が好ましいが、ここではその詳細構造については言及しない。
【0012】
また、エレベーター制御盤18の保守点検を行っている作業者15が画像の中心に位置するように撮影した場合の、カメラ14の視界範囲は、図2の直線B1とB2に挟まれた範囲である。そして、カメラ14を横切るように示した図2の一点鎖線Cは、カメラ取付部11(図示せず)の回転軸を示しており、通常運転時には、この軸を中心として180度回転して乗りかご1の天井の下方の位置で保持される。これにより、カメラ14はかご内のドア6(図中ではかご上器具箱10に隠れて見えず)付近が撮影範囲となるため、カメラ保持部13の駆動装置を動かすことなくドア付近監視に利用することができる。
【0013】
次に、カメラ14の構成の詳細について、図3を用いて説明する。図3は、カメラ14付近を示す斜視図であり、図の一点鎖線Cを軸として、天井カメラ取付部11が回転することにより、カメラ14の配置をかご内とかご上とに切り替えられる。すなわち、乗りかご1の内部を撮影するカメラ14は、乗りかご1の天井の上方へ突出させる機能を有している。ただし、回転するための軸及び軸受,回転させるための取手,通常天井に固定するための固定具等は図示を省略する。尚、カメラ取付部11の回転は、駆動装置を介して遠隔から操作できるようにしても良いが、手動により回転させても良い。
【0014】
更に、図4は、図3に示したカメラ14付近をより詳細に示したものである。すなわち、カメラ14がカメラ保持部13に取り付けられ、更にカメラ取付脚部30,カメラ取付板31を介して天井カメラ取付部11に設置されている。そして、天井カメラ取付部11が、回転軸32により反転可能となっている。また、カメラ14には、画像情報の送信及びカメラ駆動指令の受信を行うための無線通信装置33が備えられており、画像情報を図5の制御装置34へ送信すると共に、カメラ駆動指令を受けて駆動機能を有するカメラ保持部13を駆動させることにより、カメラ14の向きを遠隔操作できる。更に、カメラ電源受電部28及び35により、必要な電力を非接触で受電することができる。ここで、受電部が2個あるのは、カメラ14が、かご内にある時とかご上にある時の両方で1つの送電部から給電できる構成としたためである。
【0015】
また、図1から図4では、カメラ14の配線を省略しているが、実際にはかご上器具箱10などを介してエレベーター制御装置34に画像情報を送信できるような構成となっている。そこで、これらの概略構成を図5に示す。
【0016】
まず、カメラ14で撮影した画像情報が無線通信装置(図示せず)を介してエレベーター制御装置34へ送信される。尚、通信方法としては、近距離無線に限らず、有線の回線を利用したものであっても良い。次に、その画像情報が遠隔監視装置36により電話回線等を介して監視センタ37に送られ、ここで作業状況を監視する。勿論、電話回線等の有線ではなく、無線により送信しても構わない。また、保守点検用表示装置38にも画像情報が表示されるようにすれば、複数人が共同して保守点検を行う場合に、かご上にいる作業者を別の場所にいる作業者が監視することができる。尚、保守点検用表示装置38は、作業者等が携帯しながら容易に監視できる移動体端末でも良いし、ホールや乗りかご内に設置されている情報提供表示装置でも良い。また、ビル管理室等にあるエレベーター監視端末39に画像情報を表示させ、管理者が監視できるようにしても構わない。更に、カメラ14で撮影した画像情報を直接移動体端末や監視端末に送信するようにしても良い。
【0017】
このように、かご上での保守点検作業を遠隔から監視することができるので、かご上の作業者の細心の注意及び経験に頼ることなく、作業の安全確保が可能となり、結果として、作業効率が一層向上する。また、作業内容によっては実際にかご上に作業者が上がらずに遠隔から保守点検することも可能である。一方で、こうした保守点検作業効率の向上は、保守点検時間の短縮につながり、エレベーター利用客に対するサービスも向上することになる。
【0018】
次に、カメラ14による撮影方法について図6を用いて説明する。
【0019】
図6は、図2のA−A′断面を矢印の向きから見た図である。ここでは、断面作業者15は認識マーカ40の付いた保護帽41を装着しており、エレベーター制御盤18の高さ方向中心よりやや上部の作業をしている場面を想定している。ここで、作業者を認識する手段としての認識マーカ40を付けるものは、保護帽41に限らず、作業者15が携帯するものであれば何でも良い。また、カメラ14は、認識マーカ40が画像の中心となるように追従するようになっているので、カメラの視界(画像)範囲は、直線B3とB4に挟まれた範囲となる。これにより、作業者の作業範囲及び作業者頭部から昇降路天井42までの距離を画像情報として捉えることが可能である。したがって、作業者が乗りかご1と昇降路天井42との間に挟まれないように監視し、保守点検作業の安全性を確保することができる。尚、作業者15は、カメラ14位置より上方で作業をするので、カメラを水平よりも下方に向けられるようにする必要がない。
【0020】
また、エレベーター制御装置34に保守点検安全判定機能を持たせることにより、作業者頭部と昇降路天井42との距離が設定値より小さくなった場合に警報を発するという安全対策や、動いている乗りかご1の昇り動作を停止させるといった安全対策も可能である。
【0021】
図7は、作業者15の装備を示している。作業者15が被る保護帽41には、前述の認識マーカ40のほか、照明43,受信アンテナ44,マイク45及びイヤホン46が装備されている。これらにより、共同作業者あるいは遠隔監視している監視者等と連絡を取りながら作業を進めることが容易となる。
【0022】
また、作業者15は、操作装置兼表示装置47を携帯しているため、カメラ14の画像を見たり、監視者等と連絡をとることができる。ここでは、ベルトに取り付けることにしたが、この限りではない。
【0023】
更に、作業者15が履いている靴には、ICチップ認識装置48が取り付けられており、かご上での作業位置が安全であるか否かを自動的に監視することができるため、作業者の安全性が向上する。尚、ここでは片足のみ図示したが、必要に応じて両足にしても良い。
【0024】
また、作業時に使用する工具49を収納する工具入れ50を作業者15は携帯しているが、それぞれの工具49には、ICチップ等が内蔵されており、保守点検作業が終了した後、工具入れ50に全ての工具が収納されたか否かを認識することが可能である。これにより、工具49が、かご上に放置したままとなることを防ぐことができる。
【0025】
ここで、工具入れ50の詳細について図8を用いて説明する。図8に示す通り、工具入れ付属電池51と給電スイッチ52が取り付けられており、登録番号認識装置53、工具収納情報判定装置54及び工具入れフタ開閉装置55を動作できるようになっている。また、工具入れに収納されている工具56〜59に予め内蔵されている登録番号記憶ICチップ60〜63の情報は、登録番号認識装置53で読み取る。工具収納情報判定装置54は、予め記憶されている工具情報と、登録番号認識装置53で読み取った実際の収納情報とに基づいて、収納されていない工具があるか否かを判定する。そして、保守点検作業が終了した後、不足している工具があった場合、すなわち、全ての工具の登録番号が工具入れ50で認識されていない場合には、警報を発すると共に、エレベーター制御装置34へ情報を伝送し、エレベーターの通常運転復帰を抑制させる。尚、不足している工具に関する情報や上述の収納情報などの情報は、無線または有線の回線を通して遠隔監視装置36や監視センタ37等へ送るようにしても良い。また、工具入れフタ64の開閉は、工具入れフタ開閉装置55で制御されており、開閉装置55と登録番号認識装置53及び工具収納情報判定装置54の電源が共通となっているので、常に正しい収納情報を認識することができる。
【0026】
次に、制御装置34の扉の防犯機能について、図9を用いて説明する。制御盤18には、制御装置扉ロック解除機構65,登録番号認識及びロック解除判定を行う認識判定装置66,給電スイッチ67及び給電切替スイッチ68が設けられている。また、認識判定装置66への給電は、給電切替スイッチ68及び給電スイッチ67を介して制御装置内部の電池69から行われる。
【0027】
一方、工具49には、ICチップ70が内蔵されており、予め登録番号情報が記憶されている。そして、工具49の先端で給電スイッチ67が投入された場合、ICチップ70を認識し、その登録番号情報が既定のものと合致するものであれば、ロック解除機構65へロック解除指令が伝わり、制御盤18の扉ロックが解除される。これにより、関係者外の者がむやみに制御盤18を開くことを制限でき、いたずらや犯罪等を防止することができる。
【0028】
また、図9のように、判定情報を制御回路71へ送り、保守点検作業に関する情報、例えば保守点検日時,作業者名等を記録しておくこともできる。尚、前に述べた通り、制御装置34は、遠隔監視装置36を介して監視センタ37に情報を伝送することが可能であるから、こうした保守点検情報を自動的に監視センタ37へ伝えることも可能である。
【0029】
また、給電切替スイッチ68を切り替えることで、外部電源72からの給電による動作も可能である。これにより、制御盤内部電池69が充電不足等の場合であっても問題無く保守点検作業ができる。
【0030】
図10に、保守点検作業の流れを示す。保守点検作業を開始するにあたり
(101)、通常運転から保守点検モードになると、カメラ14がかご上を撮影しているかの判断(102)を監視センタ37の監視者等が行う。仮に、カメラ14でかご上の画像がない場合には、カメラ14の設定異常やカメラ14自体の故障が考えられるため、作業者,共同作業者、または監視者等の端末に警告を表示し、保守作業を続行することを許可せず、かご昇降も禁止するようになる
(109)。
【0031】
カメラ14の設定が完了すると、監視者等からの許可信号を判断する(103)。監視者等はカメラ画像や作業者との通信により、作業の安全性を判断して、作業者の携帯表示装置47に許可信号を送信する。尚、不備がある場合には、携帯表示装置47に指示を与える。次に共同作業者が存在する場合には、共同作業者の状況についても判断(104)する。これについても携帯表示装置47あるいは通信用マイク45,イヤホン46等を利用して共同作業の合図を行うことで共同作業の安全性が向上する。
【0032】
また、かご上作業者15の位置を随時、作業者が装着したICチップ認識装置48で監視して(105)、不安全な場所になった場合には警告及び警報を発し、かごの昇降は禁止する(109)。また、カメラ14は作業者の認識マーカ40を追従するように制御され、撮影範囲に作業者が入っているかも監視する(106)。更に、作業者15と頭上の間隔は十分か否かを画像より判断して(107)、保守運転でかごが昇降している時の作業者の安全性を向上させる。
【0033】
これらの監視を随時行って、安全が確保できた時のみ保守運転(かご昇降)が可能(108)とする。
【0034】
図11に制御装置34の概略構成について示す。商用電源73から主回路スイッチ74,電磁接触器75,整流回路76,平滑コンデンサ77,変換器78を介して巻上機モータ79に給電される。整流回路76の後段には、電磁接触器80及びこれと並列に初充電抵抗81が接続されている。また、主回路スイッチ74の前段に、単相分を制御回路スイッチ82,多出力電源AVR83を介して制御回路MPU84に給電される。また、多出力電源AVR83は、給電制御回路85を介して、カメラ14,カメラ保持部13及び画像通信装置86にも給電する。また、給電制御回路85には電池87が接続されており、通常時は電池87を充電し、必要な時には電池87からカメラ14,カメラ保持部13及び画像通信装置86に給電できる構成となっている。
【0035】
また、図11の破線は情報及び信号の流れを示している。制御回路MPU84から変換器78には所望の速度で駆動するための信号が与えられる。また、巻上機モータ79からは速度検出情報等が制御回路84へ与えられる。画像通信装置86と制御回路84との間では、カメラからの画像情報とカメラ保持部の駆動制御信号のやりとりをする。ここでは、図示していないが、画像通信装置86からは、図5で示した遠隔監視装置36へも情報が送られることで遠隔監視が可能となる。
【0036】
この構成により、制御装置の主回路付近、例えば変換器78の保守点検作業時に、主回路スイッチ74を開いて主回路への給電を停止した場合でも、カメラ14,カメラ保持部13及び画像通信装置86には給電できるので作業の監視が続行できる。更に、電池87を用いれば、カメラ14等への給電は、エレベーター制御装置の電源からの給電と電池からの給電とを切り替えられるようになるので、多出力電源83の故障及び停止時にも給電することが可能となる。
【0037】
以下、本発明の第2の実施例について説明する。図12は、カメラ14がかご内にある状態を示しているが、第1の実施例と異なり、カメラ14が、かご室側壁88に取り付けられている。そして、乗りかご1の天井89の一部分が天井スライド部90を図中矢印に示すようにスライドさせて開く構造になっている。
【0038】
次に、カメラ14の構成について、図13を用いて説明する。図13(a)はカメラ14を上面から見た図、(b)は正面から見た図、(c)は側面から見た図である。まず、かご側壁88に取り付けられた固定レール91に沿って、可動スライドレール92が上下方向にスライドする構造となっている。スライド機構及び外れないように固定する機構については図示していないが、汎用的なスライドレールで良い。また、可動スライドレール92には、回転板固定具93を介してカメラ保持回転板94があり、さらにカメラ保持部95,96を介してカメラ14が取り付けられている。尚、カメラ14はかご室側壁の上部にあるため、図13(c)に示す通り、カメラ14は下を向いた状態で、かご内を撮影可能としている。この役割を担っているのは、カメラ保持部96である。
【0039】
ここで、カメラ14を乗りかご1の天井の上方へ突出させる方法について、図14を用いて説明する。尚、図14(a)は正面図、(b)は側面図である。まず、かご天井スライド部90を開き、カメラ保持回転板94を回転できる状態にして、カメラ14が回転板固定具93の上になるように180度回転させる。このように回転させることで、カメラ14が、かご上になった場合のカメラ14の水平面に対して上方を撮影することができ、作業者15を視界に収めることが可能となる。次に、可動スライドレール92を上にスライドさせて、カメラ14を乗りかご1の天井の上方へ突出させる。これにより、カメラ14をかご外すなわちかご上に移動させた状態で、かご上での保守点検作業の様子を撮影することができる。尚、本実施例では、カメラ保持回転板94を回転させてから、可動スライドレール92を上に移動させたが、順番を逆にする場合には、回転板94を回転させるために天井開口部の幅を広くする必要がある。
【0040】
また、本実施例では回転板94を用いたが、カメラ保持部95が可動スライドレール92に対して回転できるようにして、カメラ14の水平面に対する角度を変えるような構成にしても良い。ただし、その場合は、固定レール91をかご上まで延長すると共に、カメラ保持部95がかご上に出るまで可動スライドレール92を移動させる必要がある。
【0041】
その他、詳述はしないが、乗りかごの天井の一部を透明なガラスで構成することにより、カメラ14を乗りかごの天井の上方に突出させることなく、乗りかご1の天井の上方を撮影することができる。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、保守点検作業等をより安全に行うことのできるエレベーター装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例におけるエレベーター装置の乗りかご周辺の側面図である。
【図2】本発明の第1の実施例におけるエレベーター装置の乗りかご上で作業者が保守点検を行っているときの昇降路上面図である。
【図3】本発明の第1の実施例におけるエレベーター装置のカメラ付近を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施例におけるエレベーター装置のカメラ付近を示す詳細図である。
【図5】本発明の第1の実施例におけるエレベーター装置のシステムの概略構成図である。
【図6】本発明の第1の実施例におけるエレベーター装置のカメラによる撮影方法を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施例における作業者の装備を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施例における工具入れの詳細を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施例におけるエレベーター装置の制御装置の扉の防犯機能を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施例におけるエレベーター装置の保守点検作業の流れを示す図である。
【図11】本発明の第1の実施例におけるエレベーター装置の制御系の概略構成図である。
【図12】本発明の第2の実施例におけるエレベーター装置の乗りかご側面図である。
【図13】本発明の第2の実施例におけるエレベーター装置のカメラ付近を示す詳細図である。
【図14】本発明の第2の実施例におけるエレベーター装置のカメラを乗りかごの天井の上方へ突出させる方法を示す図である。
【符号の説明】
1…乗りかご、6…ドア、14…カメラ、15…作業者、18…制御盤、34…制御装置、36…遠隔監視装置、37…監視センタ、38…保守点検用表示装置、39…エレベーター監視端末、40…認識マーカ、49…工具、50…工具入れ、65…ロック解除機構、90…天井スライド部。
Claims (7)
- 乗りかごの内部を撮影するカメラと、該カメラで撮影した画像を有線または無線の回線を通して画像表示手段へ送信する手段を備えたエレベーター装置において、前記カメラは、前記乗りかごの天井の上方をも撮影できるように構成されていることを特徴とするエレベーター装置。
- 乗りかごの内部を撮影するカメラと、該カメラで撮影した画像を有線または無線の回線を通してエレベーターの制御装置へ送信する手段と、前記制御装置が受信した画像を有線または無線の回線を通して画像表示手段へ送信する手段を備えたエレベーター装置において、前記カメラは、前記乗りかごの天井の上方へ突出させる機構を有することを特徴とするエレベーター装置。
- 請求項1または2のいずれかにおいて、前記画像表示手段は、移動体端末であることを特徴とするエレベーター装置。
- 請求項2または3のいずれかにおいて、前記カメラへの給電は、前記エレベーター制御装置の電源からの給電と電池からの給電とを切り替えられるようになっていることを特徴とするエレベーター装置。
- 請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記カメラは、保守点検作業員が携帯する認識手段に追従して動くことを特徴とするエレベーター装置。
- エレベーター制御装置を操作する際に開ける扉に、ロック機構が設けられており、前記ロック機構のロック解除手段として予め登録されたものを認識した場合に扉のロックを解除すると共に、認識した情報を記録する手段を備えていることを特徴とするエレベーター装置。
- エレベーターの保守点検作業に用いる工具に予め登録情報を内蔵させ、かつ、前記工具を収納する工具入れに前記工具の登録情報を認識する手段を設け、保守点検作業が終了した後、全ての工具の登録情報が前記工具入れで認識されていない場合に、警報を発することを特徴とするエレベーター装置。
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