JP2004195879A - 射出成形機の運転再開方法及びそのための加熱バレル温度制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】射出成形機の運転再開に際し、スクリュが前進限ないしその近傍位置に停止してもフィード部を「おこし」状の樹脂で詰まらせることなく、より短時間で的確に運転再開可能にする。
【解決手段】メモリ16に成形運転用設定値と同成形運転用設定値に対し加熱バレル4の根元部の設定値を低く設定したシフト制御用設定値とをそれぞれ設定・記憶させ、スクリュ位置検出器13が検出する検出値がスクリュ位置設定器14に予め設定したスクリュ前進限ないしその近傍位置にあるか否かを比較器15で判定し、該位置にある場合、シフト制御用設定値により加熱バレル4の温度を制御して運転を再開し、スクリュ冷間起動防止完了信号が出されたとき、成形運転用設定値に切換えて成形運転に移行する。
【選択図】 図1
【解決手段】メモリ16に成形運転用設定値と同成形運転用設定値に対し加熱バレル4の根元部の設定値を低く設定したシフト制御用設定値とをそれぞれ設定・記憶させ、スクリュ位置検出器13が検出する検出値がスクリュ位置設定器14に予め設定したスクリュ前進限ないしその近傍位置にあるか否かを比較器15で判定し、該位置にある場合、シフト制御用設定値により加熱バレル4の温度を制御して運転を再開し、スクリュ冷間起動防止完了信号が出されたとき、成形運転用設定値に切換えて成形運転に移行する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形機の運転再開方法及びそのための加熱バレル温度制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の射出成形機の運転再開時の加熱バレル温度制御は、図3に示すように、油圧モータ1により回転駆動されるとともに、射出シリンダ2により所定距離だけ軸方向に進退されるスクリュ3を内径部に挿入した加熱バレル4を有し、この加熱バレル4の外周面にその長手方向に沿って設けられた複数のヒータ5A〜5Eと、加熱バレル4の長手方向に沿う複数位置に配設されたバレル温度検出器6(先端の1つのみを示す)と、加熱バレル4の温度を複数のゾーンに分けて設定するとともに、ヒータ5A〜5Eへの通電を制御してバレル温度が設定値となるように制御するバレル温度制御手段7と、バレル温度検出器6の検出温度がバレル温度制御手段7内に設定されている設定値となった後、スクリュ冷間起動防止のためにタイマ8により設定された一定時間遅延させてスクリュ3の回転を開始させるスクリュ冷間起動防止手段を備えた成形機制御装置9を備えている。
【0003】
そして、成形運転は、ホッパ10から加熱バレル4内に供給された樹脂材料をヒータ5A〜5Eによる加熱で溶融しながらスクリュ3の回転により前方(図3中左方)に移送させ、スクリュ3自身は回転しながら後退(図3中右行)し、スクリュ3の先端部に溶融樹脂として計量した後、スクリュ3を射出シリンダ2により前進させ、前記の計量した溶融樹脂をノズル11から射出するようになっている。
【0004】
上記成形運転は、上記射出動作を成形終了まで繰返し行なうものであり、一般に成形終了後、スクリュ3は加熱バレル4内の任意の移動位置で停止することが可能であるが、スクリュ3溝内に溶融樹脂が残ったままであるため、次回の成形運転の再開を考慮して、スクリュ3を前進限ないしその近傍位置で停止するようにしている。
【0005】
すなわち、成形運転の再開に際しては、加熱バレル4の温度が設定温度に達しても、加熱バレル4内に残った樹脂材料が溶融するのに更に時間が掛かるため、タイマ8により設定された一定時間遅延させてスクリュ3の回転を開始させる、いわゆるスクリュ冷間起動防止を行うのが一般的であるが(特許文献1参照)、スクリュ3が後退限寄り位置で停止した場合、スクリュ3の溝内に残っている樹脂材料は設定温度に達して溶融しても、スクリュ先端部の加熱バレル4内に蓄積されている樹脂材料は体積が大きいため、ほとんど未溶融の固形のままであることが多く、スクリュ冷間起動防止のために長時間を要するため、スクリュ3を前進限ないしその近傍位置で停止するようにしている。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−170327号公報
【0007】
【発明が解決しょうとする課題】
しかしながら、前述のようにスクリュ3を前進限で停止しても、なお、次のような問題があった。すなわち、加熱バレル4内のスクリュ3を前進限で停止した状態で成形運転を再開すると、加熱バレル4はホッパ10の下部に冷却通路12が設けられてはいるが、スクリュ3の根元に近いフィード部Fは、図3から明らかなように、加熱バレル4の根元部に位置するヒータ5Eにより加熱されて設定値の温度まで上がってしまい、同部分の樹脂材料は溶融して「おこし」状樹脂となり、フィード部Fを詰まらせ、ホッパ10から供給される樹脂材料が加熱バレル4内に入ることができなくなる。
【0008】
本発明の目的は、スクリュを前進限ないしその近傍位置に停止させても、フィード部を「おこし」状の樹脂で詰まらせることなく、運転再開をより短時間で的確に行うことができる射出成形機の運転再開方法及びそのための加熱バレル温度制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明による射出成形機の運転再開方法は、運転再開時に、スクリュ位置を検出し、スクリュが前進限ないしその近傍位置にあるとき、加熱バレルの根元部の温度の設定値を、成形運転用設定値より低いシフト制御用の設定値に設定して加熱バレルの加熱を開始し、その後、冷間起動防止完了信号が出されて成形運転に移行するとき、加熱バレルの加熱温度制御を前記成形運転用設定値に切換えることを特徴としている。
【0010】
本発明によれば、射出成形機の運転再開に際して、スクリュが前進限ないしその近傍位置に停止しているときには、上記シフト制御用の設定値により加熱バレルの根元部の温度が成形運転用設定値より低く設定されるため、スクリュのフィード部での「おこし」状樹脂の発生が抑えられる。そして、スクリュ冷間起動防止完了信号が出されて成形運転に移行する段階になると、ヒータの温度制御は成形運転用設定値に切換えられ、成形運転に適した温度となるように加熱バレルの温度制御が行われる。
【0011】
なお、前記根元部のシフト制御用の設定値は、前記成形運転用設定値に対して20%低く設定されていることが好ましい。
【0012】
また、上記目的を達成するため本発明による射出成形機の加熱バレル温度制御装置は、加熱バレルと、この加熱バレル内に回転自在かつ軸方向に所定距離移動可能に挿入されたスクリュと、前記加熱バレルの外周面にその長手方向に沿って設けられた複数のヒータと、前記加熱バレルの長手方向に沿う複数位置にそれぞれ配設されたバレル温度検出器と、前記加熱バレルの温度をその長手方向に沿って複数のゾーン毎に分けて予め設定した設定値となるように前記各ヒータへの通電を制御するバレル温度制御手段と、前記加熱バレル内における前記スクリュの位置を検出するスクリュ位置検出器と、射出成形機の運転再開時にバレル温度が設定値となった後、スクリュの回転開始を一定時間遅延させるスクリュ冷間起動防止手段とを有してなる射出成形機の加熱バレル温度制御装置において、前記各ゾーン毎のバレル温度を成形運転用設定値と同成形運転用設定値に対し加熱バレルの根元部の設定値を低く設定したシフト制御用設定値とをそれぞれ記憶するメモリと、前記スクリュ位置検出手段の検出値を取り込みスクリュ停止位置が前進限ないしその近傍位置にあるか否かを検知する比較器と、この比較器からの信号を取り込み、射出成形機の運転再開時に、前記スクリュ停止位置が前進限ないしその近傍位置にあるとき、前記メモリ内のシフト制御用設定値を用いて前記バレル温度制御手段により前記ヒータの加熱を開始し、前記スクリュ冷間起動防止手段から冷間起動防止完了信号を受けたとき、バレル温度の設定値を前記メモリ内の成形運転用設定値に切換える切換手段と、を有してなることを特徴としている。
【0013】
本発明によれば、射出成形機の運転再開に際して、スクリュが前進限ないしその近傍位置に停止しているときには、上記メモリ内のシフト制御用設定値を用いた温度制御により前記ヒータの加熱を開始させて運転の再開が行われる。これにより、フィード部での「おこし」状樹脂の発生が抑えられる。スクリュ冷間起動防止手段から冷間起動防止完了信号を受け、スクリュの回転を開始させて成形運転に移行する段階になると、ヒータの温度制御はメモリ内の成形運転用設定値に切換えられ、成形運転に適した温度となるように加熱バレルの温度制御が行われる。
【0014】
なお、前記シフト制御用設定値は、前記加熱バレルの根元部の設定値を前記成形運転用設定値に対して20%低くすることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1により説明する。なお、図3に示した従来装置と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省き、新たに追加された部分について詳細に説明する。
【0016】
13はスクリュ位置検出器、14はスクリュ前進限ないしその近傍位置を設定するスクリュ位置設定器であり、スクリュ位置設定器14には、運転再開時に後述するシフト制御用設定値を用いてヒータ5A〜5Eを温度制御して加熱する必要があるスクリュ位置、すなわちスクリュ前進限ないしその近傍位置が予め設定される。
【0017】
スクリュ位置検出器13とスクリュ位置設定器14の出力は、それぞれ比較器15に取り込まれ、比較器15は、スクリュ3がスクリュ位置設定器14に設定されているスクリュ前進限ないしその近傍位置と等しいかそれより前進限側にあるとき、ON信号を成形機制御装置9へ出力する。
【0018】
成形機制御装置9にはメモリ16が付設され、このメモリ16には、成形運転時の加熱バレル4の温度をその長手方向に沿って複数のゾーン毎に分けて設定する成形運転用設定値と、この成形運転用設定値に対し加熱バレル4の根元部にある例えばヒータ5Eに対応するバレル温度の設定値を20%程度低くし、他は同じとしたシフト制御用設定値と、がそれぞれ設定・記憶される。
【0019】
成形機制御装置9は、比較器15から上記ON信号を受けている状態にあり、かつ本射出成形機の運転再開の指示があったとき、切換手段17によりメモリ16内のシフト制御用設定値により各ヒータ5A〜5Eの加熱による温度制御を行うように、バレル温度制御手段7を切り換えるように構成されている。
【0020】
また、成形機制御装置9は、上記本射出成形機の運転再開の指示があった後、スクリュ冷間起動防止手段としてのタイマ8に設定された一定時間の遅延が終了して冷間起動防止完了信号が出されると、スクリュ3の回転を開始するが、このとき、切換手段17によりメモリ16内の成形運転用設定値により各ヒータ5A〜5Eの加熱による温度制御を行うように、バレル温度制御手段7を切り換えるように構成されている。
【0021】
本装置は以上説明したような構成となっており、次にその作用について図2に示すフローチャートを参照して説明する。
【0022】
射出成形機の運転再開がステップ1STで開始されると、ステップ2STでヒータ5A〜5EがONされるが、引き続くステップ3STで、成形機制御装置9は比較器15からON信号の有無によりスクリュ3が前進限ないしその近傍位置にあるか否かの判定を行う。
【0023】
YESならば、ステップ4STへ進み、メモリ16内のシフト制御用設定値により各ヒータ5A〜5Eの加熱による温度制御を行うように、切換手段17を切り換える。このシフト制御用設定値は、成形運転用設定値に対し加熱バレル4の根元部にあるヒータ5Eに対応するバレル温度の設定値を20%程度低く設定されており、これにより、加熱バレル4の根元部に達しているスクリュ3のフィード部F内に残っている樹脂材料の溶融による「おこし」状化を防止する。
【0024】
なお、この根元部のヒータ5Eのシフト値は、後述する冷間起動防止後の成形運転への移行が円滑に行われるようにするため、樹脂材料の「おこし」状化を防止することができる最大の温度であることが好ましく、種々テストを行った結果、上記のように成形運転用設定値に対して20%程度低く設定することが好ましい。
【0025】
ステップ5STは、タイマ8のタイマアウトによるスクリュ冷間起動防止完了信号が発信されたか否かを判定する。このスクリュ冷間起動防止完了信号が発信されるまでの時間は、好ましくは図1に示すように、バレル温度検出器6で検出される加熱バレル4の先端部が設定温度に達する時間と、その後、タイマ8が作動してタイマアウトする時間と、を加えた時間であるが、スクリュ3が前進限ないしその近傍位置にあるため、タイマ8のタイマアウト時間すなわちスクリュ冷間起動防止時間はより短時間で済む。
【0026】
ステップ5STでの判定がYESになると、ステップ6STへ進み、成形運転用設定値により各ヒータ5A〜5Eの加熱による温度制御を行うように、切換手段17を切り換え、次いでステップ7STへ進んで成形運転を開始、すなわちスクリュ3を回転させて樹脂材料の溶融・計量を開始する。
【0027】
なお、ステップ3STで、前進限ないしその近傍位置にないときは、ステップ8STへ進んで、直ちに成形運転用設定値により各ヒータ5A〜5Eの加熱による温度制御を行い、ステップ5STと同じステップ9STにてスクリュ冷間起動防止完了信号の発信を待ち、同信号が出されると、上記ステップ7STへ進んで成形運転を開始する。
【0028】
前述した実施の形態では、成形機制御装置9に付設したメモリ16に、成形運転用設定値とシフト制御用設定値とを設定・記憶させる例を示したが、このメモリ16は、バレル温度制御装置7内に設けてもよく、また、シフト制御用設定値として、加熱バレル4の根元部の設定値を成形運転用設定値より低くし、他は同じとした例を示したが、これに限らず、成形運転用設定値の根元部の設定値を低い値に変更する形式のシフト制御用設定値であってもよい。さらにまた、前述した実施の形態では、本発明を油圧射出式の射出成形機に適用した例を示したが、本発明は、電動射出式の射出成形機に適用にも適用可能である等、種々変更実施可能である。
【0029】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、射出成形機の運転再開に際し、加熱バレル内のスクリュを前進限ないしその近傍位置に停止させても、フィード部内を「おこし」状の樹脂で詰まらせることがないため、スクリュを前進限ないしその近傍位置に停止させて、より短時間で的確に運転を再開することができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例を示す射出成形機の運転再開方法のための加熱バレル温度制御装置の説明図である。
【図2】本発明の一実施形態例の動作を示すフローチャートである。
【図3】従来の射出成形機の運転再開のための加熱バレル温度制御装置の説明図である。
【符号の説明】
1 油圧モータ
2 射出シリンダ
3 スクリュ
4 加熱バレル
5A〜5E ヒータ
6 バレル温度検出器
7 バレル温度制御手段
8 タイマ(スクリュ冷間起動防止手段)
9 成形機制御装置
10 ホッパ
11 ノズル
12 冷却通路
13 スクリュ位置検出器
14 スクリュ位置設定器
15 比較器
16 メモリ
17 切換手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形機の運転再開方法及びそのための加熱バレル温度制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の射出成形機の運転再開時の加熱バレル温度制御は、図3に示すように、油圧モータ1により回転駆動されるとともに、射出シリンダ2により所定距離だけ軸方向に進退されるスクリュ3を内径部に挿入した加熱バレル4を有し、この加熱バレル4の外周面にその長手方向に沿って設けられた複数のヒータ5A〜5Eと、加熱バレル4の長手方向に沿う複数位置に配設されたバレル温度検出器6(先端の1つのみを示す)と、加熱バレル4の温度を複数のゾーンに分けて設定するとともに、ヒータ5A〜5Eへの通電を制御してバレル温度が設定値となるように制御するバレル温度制御手段7と、バレル温度検出器6の検出温度がバレル温度制御手段7内に設定されている設定値となった後、スクリュ冷間起動防止のためにタイマ8により設定された一定時間遅延させてスクリュ3の回転を開始させるスクリュ冷間起動防止手段を備えた成形機制御装置9を備えている。
【0003】
そして、成形運転は、ホッパ10から加熱バレル4内に供給された樹脂材料をヒータ5A〜5Eによる加熱で溶融しながらスクリュ3の回転により前方(図3中左方)に移送させ、スクリュ3自身は回転しながら後退(図3中右行)し、スクリュ3の先端部に溶融樹脂として計量した後、スクリュ3を射出シリンダ2により前進させ、前記の計量した溶融樹脂をノズル11から射出するようになっている。
【0004】
上記成形運転は、上記射出動作を成形終了まで繰返し行なうものであり、一般に成形終了後、スクリュ3は加熱バレル4内の任意の移動位置で停止することが可能であるが、スクリュ3溝内に溶融樹脂が残ったままであるため、次回の成形運転の再開を考慮して、スクリュ3を前進限ないしその近傍位置で停止するようにしている。
【0005】
すなわち、成形運転の再開に際しては、加熱バレル4の温度が設定温度に達しても、加熱バレル4内に残った樹脂材料が溶融するのに更に時間が掛かるため、タイマ8により設定された一定時間遅延させてスクリュ3の回転を開始させる、いわゆるスクリュ冷間起動防止を行うのが一般的であるが(特許文献1参照)、スクリュ3が後退限寄り位置で停止した場合、スクリュ3の溝内に残っている樹脂材料は設定温度に達して溶融しても、スクリュ先端部の加熱バレル4内に蓄積されている樹脂材料は体積が大きいため、ほとんど未溶融の固形のままであることが多く、スクリュ冷間起動防止のために長時間を要するため、スクリュ3を前進限ないしその近傍位置で停止するようにしている。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−170327号公報
【0007】
【発明が解決しょうとする課題】
しかしながら、前述のようにスクリュ3を前進限で停止しても、なお、次のような問題があった。すなわち、加熱バレル4内のスクリュ3を前進限で停止した状態で成形運転を再開すると、加熱バレル4はホッパ10の下部に冷却通路12が設けられてはいるが、スクリュ3の根元に近いフィード部Fは、図3から明らかなように、加熱バレル4の根元部に位置するヒータ5Eにより加熱されて設定値の温度まで上がってしまい、同部分の樹脂材料は溶融して「おこし」状樹脂となり、フィード部Fを詰まらせ、ホッパ10から供給される樹脂材料が加熱バレル4内に入ることができなくなる。
【0008】
本発明の目的は、スクリュを前進限ないしその近傍位置に停止させても、フィード部を「おこし」状の樹脂で詰まらせることなく、運転再開をより短時間で的確に行うことができる射出成形機の運転再開方法及びそのための加熱バレル温度制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明による射出成形機の運転再開方法は、運転再開時に、スクリュ位置を検出し、スクリュが前進限ないしその近傍位置にあるとき、加熱バレルの根元部の温度の設定値を、成形運転用設定値より低いシフト制御用の設定値に設定して加熱バレルの加熱を開始し、その後、冷間起動防止完了信号が出されて成形運転に移行するとき、加熱バレルの加熱温度制御を前記成形運転用設定値に切換えることを特徴としている。
【0010】
本発明によれば、射出成形機の運転再開に際して、スクリュが前進限ないしその近傍位置に停止しているときには、上記シフト制御用の設定値により加熱バレルの根元部の温度が成形運転用設定値より低く設定されるため、スクリュのフィード部での「おこし」状樹脂の発生が抑えられる。そして、スクリュ冷間起動防止完了信号が出されて成形運転に移行する段階になると、ヒータの温度制御は成形運転用設定値に切換えられ、成形運転に適した温度となるように加熱バレルの温度制御が行われる。
【0011】
なお、前記根元部のシフト制御用の設定値は、前記成形運転用設定値に対して20%低く設定されていることが好ましい。
【0012】
また、上記目的を達成するため本発明による射出成形機の加熱バレル温度制御装置は、加熱バレルと、この加熱バレル内に回転自在かつ軸方向に所定距離移動可能に挿入されたスクリュと、前記加熱バレルの外周面にその長手方向に沿って設けられた複数のヒータと、前記加熱バレルの長手方向に沿う複数位置にそれぞれ配設されたバレル温度検出器と、前記加熱バレルの温度をその長手方向に沿って複数のゾーン毎に分けて予め設定した設定値となるように前記各ヒータへの通電を制御するバレル温度制御手段と、前記加熱バレル内における前記スクリュの位置を検出するスクリュ位置検出器と、射出成形機の運転再開時にバレル温度が設定値となった後、スクリュの回転開始を一定時間遅延させるスクリュ冷間起動防止手段とを有してなる射出成形機の加熱バレル温度制御装置において、前記各ゾーン毎のバレル温度を成形運転用設定値と同成形運転用設定値に対し加熱バレルの根元部の設定値を低く設定したシフト制御用設定値とをそれぞれ記憶するメモリと、前記スクリュ位置検出手段の検出値を取り込みスクリュ停止位置が前進限ないしその近傍位置にあるか否かを検知する比較器と、この比較器からの信号を取り込み、射出成形機の運転再開時に、前記スクリュ停止位置が前進限ないしその近傍位置にあるとき、前記メモリ内のシフト制御用設定値を用いて前記バレル温度制御手段により前記ヒータの加熱を開始し、前記スクリュ冷間起動防止手段から冷間起動防止完了信号を受けたとき、バレル温度の設定値を前記メモリ内の成形運転用設定値に切換える切換手段と、を有してなることを特徴としている。
【0013】
本発明によれば、射出成形機の運転再開に際して、スクリュが前進限ないしその近傍位置に停止しているときには、上記メモリ内のシフト制御用設定値を用いた温度制御により前記ヒータの加熱を開始させて運転の再開が行われる。これにより、フィード部での「おこし」状樹脂の発生が抑えられる。スクリュ冷間起動防止手段から冷間起動防止完了信号を受け、スクリュの回転を開始させて成形運転に移行する段階になると、ヒータの温度制御はメモリ内の成形運転用設定値に切換えられ、成形運転に適した温度となるように加熱バレルの温度制御が行われる。
【0014】
なお、前記シフト制御用設定値は、前記加熱バレルの根元部の設定値を前記成形運転用設定値に対して20%低くすることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1により説明する。なお、図3に示した従来装置と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省き、新たに追加された部分について詳細に説明する。
【0016】
13はスクリュ位置検出器、14はスクリュ前進限ないしその近傍位置を設定するスクリュ位置設定器であり、スクリュ位置設定器14には、運転再開時に後述するシフト制御用設定値を用いてヒータ5A〜5Eを温度制御して加熱する必要があるスクリュ位置、すなわちスクリュ前進限ないしその近傍位置が予め設定される。
【0017】
スクリュ位置検出器13とスクリュ位置設定器14の出力は、それぞれ比較器15に取り込まれ、比較器15は、スクリュ3がスクリュ位置設定器14に設定されているスクリュ前進限ないしその近傍位置と等しいかそれより前進限側にあるとき、ON信号を成形機制御装置9へ出力する。
【0018】
成形機制御装置9にはメモリ16が付設され、このメモリ16には、成形運転時の加熱バレル4の温度をその長手方向に沿って複数のゾーン毎に分けて設定する成形運転用設定値と、この成形運転用設定値に対し加熱バレル4の根元部にある例えばヒータ5Eに対応するバレル温度の設定値を20%程度低くし、他は同じとしたシフト制御用設定値と、がそれぞれ設定・記憶される。
【0019】
成形機制御装置9は、比較器15から上記ON信号を受けている状態にあり、かつ本射出成形機の運転再開の指示があったとき、切換手段17によりメモリ16内のシフト制御用設定値により各ヒータ5A〜5Eの加熱による温度制御を行うように、バレル温度制御手段7を切り換えるように構成されている。
【0020】
また、成形機制御装置9は、上記本射出成形機の運転再開の指示があった後、スクリュ冷間起動防止手段としてのタイマ8に設定された一定時間の遅延が終了して冷間起動防止完了信号が出されると、スクリュ3の回転を開始するが、このとき、切換手段17によりメモリ16内の成形運転用設定値により各ヒータ5A〜5Eの加熱による温度制御を行うように、バレル温度制御手段7を切り換えるように構成されている。
【0021】
本装置は以上説明したような構成となっており、次にその作用について図2に示すフローチャートを参照して説明する。
【0022】
射出成形機の運転再開がステップ1STで開始されると、ステップ2STでヒータ5A〜5EがONされるが、引き続くステップ3STで、成形機制御装置9は比較器15からON信号の有無によりスクリュ3が前進限ないしその近傍位置にあるか否かの判定を行う。
【0023】
YESならば、ステップ4STへ進み、メモリ16内のシフト制御用設定値により各ヒータ5A〜5Eの加熱による温度制御を行うように、切換手段17を切り換える。このシフト制御用設定値は、成形運転用設定値に対し加熱バレル4の根元部にあるヒータ5Eに対応するバレル温度の設定値を20%程度低く設定されており、これにより、加熱バレル4の根元部に達しているスクリュ3のフィード部F内に残っている樹脂材料の溶融による「おこし」状化を防止する。
【0024】
なお、この根元部のヒータ5Eのシフト値は、後述する冷間起動防止後の成形運転への移行が円滑に行われるようにするため、樹脂材料の「おこし」状化を防止することができる最大の温度であることが好ましく、種々テストを行った結果、上記のように成形運転用設定値に対して20%程度低く設定することが好ましい。
【0025】
ステップ5STは、タイマ8のタイマアウトによるスクリュ冷間起動防止完了信号が発信されたか否かを判定する。このスクリュ冷間起動防止完了信号が発信されるまでの時間は、好ましくは図1に示すように、バレル温度検出器6で検出される加熱バレル4の先端部が設定温度に達する時間と、その後、タイマ8が作動してタイマアウトする時間と、を加えた時間であるが、スクリュ3が前進限ないしその近傍位置にあるため、タイマ8のタイマアウト時間すなわちスクリュ冷間起動防止時間はより短時間で済む。
【0026】
ステップ5STでの判定がYESになると、ステップ6STへ進み、成形運転用設定値により各ヒータ5A〜5Eの加熱による温度制御を行うように、切換手段17を切り換え、次いでステップ7STへ進んで成形運転を開始、すなわちスクリュ3を回転させて樹脂材料の溶融・計量を開始する。
【0027】
なお、ステップ3STで、前進限ないしその近傍位置にないときは、ステップ8STへ進んで、直ちに成形運転用設定値により各ヒータ5A〜5Eの加熱による温度制御を行い、ステップ5STと同じステップ9STにてスクリュ冷間起動防止完了信号の発信を待ち、同信号が出されると、上記ステップ7STへ進んで成形運転を開始する。
【0028】
前述した実施の形態では、成形機制御装置9に付設したメモリ16に、成形運転用設定値とシフト制御用設定値とを設定・記憶させる例を示したが、このメモリ16は、バレル温度制御装置7内に設けてもよく、また、シフト制御用設定値として、加熱バレル4の根元部の設定値を成形運転用設定値より低くし、他は同じとした例を示したが、これに限らず、成形運転用設定値の根元部の設定値を低い値に変更する形式のシフト制御用設定値であってもよい。さらにまた、前述した実施の形態では、本発明を油圧射出式の射出成形機に適用した例を示したが、本発明は、電動射出式の射出成形機に適用にも適用可能である等、種々変更実施可能である。
【0029】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、射出成形機の運転再開に際し、加熱バレル内のスクリュを前進限ないしその近傍位置に停止させても、フィード部内を「おこし」状の樹脂で詰まらせることがないため、スクリュを前進限ないしその近傍位置に停止させて、より短時間で的確に運転を再開することができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例を示す射出成形機の運転再開方法のための加熱バレル温度制御装置の説明図である。
【図2】本発明の一実施形態例の動作を示すフローチャートである。
【図3】従来の射出成形機の運転再開のための加熱バレル温度制御装置の説明図である。
【符号の説明】
1 油圧モータ
2 射出シリンダ
3 スクリュ
4 加熱バレル
5A〜5E ヒータ
6 バレル温度検出器
7 バレル温度制御手段
8 タイマ(スクリュ冷間起動防止手段)
9 成形機制御装置
10 ホッパ
11 ノズル
12 冷却通路
13 スクリュ位置検出器
14 スクリュ位置設定器
15 比較器
16 メモリ
17 切換手段
Claims (4)
- 射出成形機の運転再開方法において、運転再開時に、スクリュ位置を検出し、スクリュが前進限ないしその近傍位置にあるとき、加熱バレルの根元部の温度の設定値を、成形運転用設定値より低いシフト制御用の設定値に設定して加熱バレルの加熱を開始し、その後、冷間起動防止完了信号が出されて成形運転に移行するとき、加熱バレルの加熱温度制御を前記成形運転用設定値に切換えることを特徴とする射出成形機の運転再開方法。
- 前記加熱バレルの根元部のシフト制御用の設定値は、前記成形運転用設定値に対して20%低く設定されていることを特徴とする請求項1記載の射出成形機の運転再開方法。
- 加熱バレルと、この加熱バレル内に回転自在かつ軸方向に所定距離移動可能に挿入されたスクリュと、前記加熱バレルの外周面にその長手方向に沿って設けられた複数のヒータと、前記加熱バレルの長手方向に沿う複数位置にそれぞれ配設されたバレル温度検出器と、前記加熱バレルの温度をその長手方向に沿って複数のゾーン毎に分けて予め設定した設定値となるように前記各ヒータへの通電を制御するバレル温度制御手段と、前記加熱バレル内における前記スクリュの位置を検出するスクリュ位置検出器と、射出成形機の運転再開時にバレル温度が設定値となった後、スクリュの回転開始を一定時間遅延させるスクリュ冷間起動防止手段とを有してなる射出成形機の加熱バレル温度制御装置において、
前記各ゾーン毎のバレル温度を成形運転用設定値と同成形運転用設定値に対し加熱バレルの根元部の設定値を低く設定したシフト制御用設定値とをそれぞれ記憶するメモリと、
前記スクリュ位置検出手段の検出値を取り込みスクリュ停止位置が前進限ないしその近傍位置にあるか否かを検知する比較器と、
この比較器からの信号を取り込み、射出成形機の運転再開時に、前記スクリュ停止位置が前進限ないしその近傍位置にあるとき、前記メモリ内のシフト制御用設定値を用いて前記バレル温度制御手段により前記ヒータの加熱を開始し、前記スクリュ冷間起動防止手段から冷間起動防止完了信号を受けたとき、バレル温度の設定値を前記メモリ内の成形運転用設定値に切換える切換手段と、
を有してなることを特徴とする射出成形機の加熱バレル温度制御装置。 - 前記シフト制御用設定値は、前記加熱バレルの根元部の設定値が前記成形運転用設定値に対して20%低く設定されていることを特徴とする請求項3記載の射出成形機の加熱バレル温度制御装置。
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Cited By (2)
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2002
- 2002-12-20 JP JP2002369078A patent/JP2004195879A/ja active Pending
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CN113829596B (zh) * | 2021-09-22 | 2023-07-14 | 珠海格力智能装备有限公司 | 注塑机的加热控制方法、装置、存储介质及注塑机 |
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