JP2004195722A - キャリブレーション方法およびハードコピー作成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】質感や立体感を好適に表現したハードコピーの安定した作成を可能にするキャリブレーション方法、およびハードコピー作成装置を提供する。
【解決手段】画像を記録されたハードコピーの表面に、形成信号に応じて画像に対応する表面粗さを有する粗さ層を形成するハードコピー作成において、表面粗さが異なる複数の粗さパッチを形成し、各粗さパッチに測定光を入射して反射光を測定し、粗さパッチの実測値と、予め知見した粗さパッチを形成した形成信号による適正な粗さパッチによる反射光に対応する基準値とから、実測値が基準値となるように、形成信号を補正する粗さ補正手段を作成することにより、前記課題を解決する。
【選択図】図1
【解決手段】画像を記録されたハードコピーの表面に、形成信号に応じて画像に対応する表面粗さを有する粗さ層を形成するハードコピー作成において、表面粗さが異なる複数の粗さパッチを形成し、各粗さパッチに測定光を入射して反射光を測定し、粗さパッチの実測値と、予め知見した粗さパッチを形成した形成信号による適正な粗さパッチによる反射光に対応する基準値とから、実測値が基準値となるように、形成信号を補正する粗さ補正手段を作成することにより、前記課題を解決する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像の質感や立体感等を好適に表現した高品位なハードコピーを作成する画像形成の技術分野に属し、詳しくは、このような高品位なハードコピーを安定して形成することを可能にするキャリブレーション方法、および、このキャリブレーション方法を利用して前記高品位なハードコピーを作成するハードコピー作成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
写真プリントや各種のプリンタで出力したハードコピーの質感を向上して、付加価値の高い製品を作成するために、各種の提案が行われている。
例えば、特許文献1には、昇華染料が塗布された転写紙を用いるサーマルプリンタ装置において、転写紙に昇華染料とは異なる材料で形成した領域を設け、この領域を介して画像を再加熱することにより、光沢のある記録画像、もしくは、艶消しされた記録画像を作成できるサーマルプリンタ装置が開示されている。
【0003】
さらに、特許文献2には、熱転写印刷装置によるプリントの作成において、反射光の状態が大および小の2つの状態となるように被写体を撮像し、反射光が大の状態から小の状態を減算してなる光沢信号を生成すると共に、前記被写体を同じ撮像手段で画像信号化して再生したプリントを作成し、さらに、光沢信号に応じてプリントを再加熱することにより、画像中に存在する被写体に応じた光沢を表現した画像を形成する方法が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平3−190778号公報
【特許文献2】
特開平8−39841号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これらの方法によれば、絵柄等に応じて、画像中の各領域に存在する物体に応じた光沢性を付与した画像を形成することが可能になる。
【0006】
ここで、これらの画像形成において、画像の各領域に所望の光沢を付与した高品位な画像を安定して形成するためには、画像に付与する光沢が、光沢の形成信号に応じた所定の状態となることが必要である。例えば、特許文献2に開示される方法であれば、再加熱の結果付与される光沢が、安定的に、前記光沢信号に応じた適正な状態となることが必要である。
【0007】
ところが、上記各特許文献に開示される画像形成方法では、再加熱装置の個体差や環境温度の影響によって、画像に付与する光沢度に変動が生じてしまうため、画像の各領域に所望の光沢を付与した高品位な画像を安定して形成することができない。
【0008】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決することにあり、写真や印刷物などのハードコピーの表面粗さを調整して、画像中に存在する物体に応じた光沢などの質感や、画像の立体感を表現する画像形成において、ハードコピーの表面粗さを目的とする状態に適正に調整することができ、前記質感や立体感等を好適に表現した高品位なハードコピーを安定して作成することを可能にするキャリブレーション方法、および、このキャリブレーション方法を実施するハードコピー作成装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のキャリブレーション方法は、画像を記録されたハードコピーの表面に、形成信号に応じて、前記ハードコピーの画像に対応する表面粗さを有する粗さ層を形成するハードコピー作成において、表面粗さが異なる複数の粗さパッチを形成し、各粗さパッチに測定光を入射して反射光を測定し、前記粗さパッチの実測値と、予め知見した、前記粗さパッチを形成した形成信号による適正な粗さパッチによる反射光に対応する基準値とから、前記実測値が基準値となるように、前記形成信号を補正する粗さ補正手段を作成することを特徴とするキャリブレーション方法を提供する。
【0010】
本発明のハードコピー作成装置の第1の態様は、画像を記録されたハードコピーの表面に、形成信号に応じて、前記ハードコピーの画像に対応する表面粗さを有する粗さ層を形成するハードコピー作成装置であって、前記請求項1〜6のいずれかに記載のキャリブレーション方法で作成した粗さ補正手段を用いて補正した形成信号に応じて前記粗さ層を形成することを特徴とするハードコピー作成装置を提供する。
【0011】
また、本発明のハードコピー作成装置の第2の態様は、画像信号に応じて画像を記録したハードコピーを作成し、さらに、その表面に、形成信号に応じて、ハードコピーに記録した画像に対応する表面粗さを有する粗さ層を形成するハードコピー作成装置であって、前記キャリブレーション方法で作成した粗さ−濃度補正手段を用いて画像信号を補正してハードコピーに画像画像を記録し、かつ、前記キャリブレーション方法で作成した粗さ補正手段を用いて補正した形成信号に応じて前記粗さ層を形成することを特徴とするハードコピー作成装置を提供する。
【0012】
さらに、本発明のハードコピー作成装置の第3の態様は、画像を記録されたハードコピーの表面に、形成信号に応じて、前記ハードコピーの画像に対応する表面粗さを有する粗さ層を形成する形成手段と、前記形成手段によって、前記記録媒体の上層に表面粗さが異なる複数の粗さパッチを形成する制御手段と、前記各粗さパッチに測定光を入射して反射光を測定する測定手段と、前記粗さパッチの実測値と、予め知見した、前記粗さパッチを形成した形成信号による適正な粗さパッチによる反射光に対応する基準値とから、前記実測値が基準値となるように、前記形成信号を補正する粗さ補正手段を作成する作成手段とを有し、前記形成手段は、前記粗さ補正手段によって補正した形成信号を用いて、前記粗さ層を形成することを特徴とするハードコピー作成装置を提供する。
【0013】
このような本発明において、前記実測値として、形成した前記粗さパッチによる正反射光および拡散反射光を測定して両者の差分を算出し、前記基準値として、前記適正な粗さパッチによる正反射光と拡散反射光との差分を知見しておき、この差分を用いて前記粗さ補正手段を作成するのが好ましく、もしくは、前記粗さパッチをハードコピー上の規定濃度領域に形成し、前記ハードコピーの粗さパッチを形成された領域の濃度を測定して、前記実測値として、この測定濃度の前記規定濃度からの変化量を算出し、前記基準値として、前記規定濃度上に適正な粗さパッチを形成した際における、前記ハードコピーの測定濃度の規定濃度からの変化量を知見しておき、この変化量を用いて前記粗さ補正手段を作成するのが好ましい。
【0014】
また、本発明においては、前記粗さ補正手段の作成に先立ち、前記画像を記録する画像記録装置の濃度キャリブレーションを行うのが好ましく、もしくは、前記粗さ補正手段の作成に先立ち、前記画像を記録する画像記録装置の濃度キャリブレーションを行い、かつ、前記粗さパッチは、前記画像記録装置によって記録したハードコピーの一定濃度領域上に形成するものであり前記濃度キャリブレーションの際における濃度パッチの濃度測定結果を用いて、前記一定濃度を知見し、さらに、前記拡散反射光を用いて、前記ハードコピーの各粗さパッチを形成した領域の濃度を算出し、前記一定濃度と各粗さパッチの形成領域の濃度とを用いて、前記粗さ層を形成した後におけるハードコピーの濃度が、前記画像記録装置における画像データに対応する濃度となるように、前記画像データを補正する粗さ−濃度補正手段を作成するのが好ましく、もしくは、前記粗さ補正手段の作成に先立ち、前記画像を記録する画像記録装置の濃度キャリブレーションを行い、前記規定濃度と、前記測定濃度とを用いて、前記粗さ層を形成した後におけるハードコピーの濃度が、前記画像記録装置における画像データに対応する濃度となるように、前記画像データを補正する粗さ−濃度補正手段を形成するのが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のキャリブレーション方法およびハードコピー作成装置について、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
【0016】
図1に、本発明のキャリブレーション方法を実施する、本発明のハードコピー作成装置の一例の概略ブロック図を示す。
図1に示されるプリント作成装置10(以下、作成装置10とする)は、プリンタ12が出力したプリントの表面に、プリントに記された画像(絵柄)に応じた表面粗さを有する粗さ層を形成するもので、基本的に、粗さ層形成部14と、記憶部16と、粗さ層形成信号補正部18とを有して構成される。
【0017】
また、図1中の測定手段20は、後述するキャリブレーションの際に、キャリブレーション用のチャートA等の測定を行い、測定結果を粗さ層形成信号補正部18に送るものである。
なお、測定手段20は、図示例のように作成装置10に外部接続されるものであってもよく、あるいは、作成装置10に内蔵されるものでもよく、あるいは、作成装置10とは全く独立した装置として、測定結果のみを作成装置10(粗さ層形成信号補正部18)に入力するような形態であってもよい。また、これらを適宜選択可能にしてもよい。
【0018】
図示例の作成装置10において、粗さ層形成部14は、プリンタ12から出力されたプリントの表面に、プリントに記録された画像に応じた表面粗さを有する粗さ層を形成するものである(以下、基となるプリントと分けるために、粗さ層を形成したプリントを高品位プリントとする)。
なお、本発明において、粗さ層の形成対象となるハードコピーには、特に限定はなく、写真プリント、各種の印刷物、インクジェットプリンタや電子写真プリンタなどの各種のプリンタから出力されたプリント等、各種のハードコピーが全て利用可能である。
【0019】
粗さ層とは、画像中に存在する物体の素材や、画像中に存在する物体の位置などに応じて、画像の領域毎に異なる表面粗さを有する、透明な層である。
例えば、画像中に存在する物体に応じて、金属製やガラス製などの光沢性の高い物体の領域は表面粗さを小さく(平滑面としても可)とし、逆に、木製や布製などの光沢性の低い物体の領域は表面粗さを大きくする。これにより、画像中に存在する物体の光沢性すなわち物体の質感を好適に表現することができる。
また、画像中に存在する物体の位置に応じて、光沢性の高い物体が手前に存在する場合には、その領域の表面粗さを小さくして、それ以外の領域の表面粗さを大きくする。逆に、光沢性の低い物体が手前に存在する場合には、その領域の表面粗さを大きくして、それ以外の領域の表面粗さを小さくする。このように手前に存在する物質ほど、その質感が強く出るように表面粗さ層の各領域の表面粗さを調整することにより、画像の立体感(奥行き感)を好適に表現できる。
【0020】
粗さ層形成部14において表面粗さ層の形成方法には特に限定はなく、各種の画像記録方法を利用可能である。
一例として、プリントに浸透しない透明インクを用いて、インクジェットによって、プリントの表面に目的とする表面粗さに応じた立体的なドットによる凹凸を形成し、この透明インクを硬化(例えば、インクがUV硬化型であれは、UVの照射)する方法が例示される。また、透明トナーを用いてプリントの表面に立体的なドットを形成し、加熱定着することにより、目的とする表面粗さに応じた凹凸を形成する方法も好適である。さらに、プリントの表面に透明なコーティング層を形成し、このコーティング層を加熱した針によって凹部を形成することにより、目的とする表面粗さに応じた凹凸を形成する方法も利用可能である。なお、凹部の形成方法は、例えば、IBM社による情報記録技術である「ミリピード(Millipede) 」を応用すればよい。
【0021】
このように形成されるドットや凹凸のサイズ(高さおよび径)や形成密度等を制御することにより、プリントの表面に、記録画像の各領域の絵柄等に応じた表面粗さを有する表面粗さ層を形成し、高品位プリントとする。
なお、本発明において、表面粗さ層の表面粗さは、例えば、算出平均表面粗さRa、最大高さRy、十点平均粗さRz等により制御すればよい。また、これ以外にも、表面粗さとなる凹凸の形成密度、同凹凸の形成周波数、同凹凸の形成パターン等によって、表面粗さ層の表面粗さを制御して、画像中に存在する物体の質感や画像の立体感を表現してもよい。
【0022】
なお、粗さ層の形成に先立ち、プリンタ12から出力されたプリントの表面に保護層や光沢層や艶消し層などを形成し、これらを形成されたプリントの表面に粗さ層を形成してもよい。
また、粗さ層はプリントの全面(画像記録面の全域)を覆って形成してもよく、あるいは、画像中の適宜選択された物体に対応する領域のみに形成する等、画像の少なくとも一部に対応して形成してもよい。さらに、粗さ層自身も、形成領域の全域を覆うものに限定はされず、部分的にプリント表面などの下面が露出するものであってもよく、また、独立した凸部を多数形成することによって、凹凸状としたものでもよい。
【0023】
粗さ層形成信号補正部18(以下、形成信号補正部18とする)は、記憶部16が記憶している粗さ層形成信号の補正手段を用いて、外部から供給された粗さ層形成信号を補正して、補正粗さ層形成信号とする。
前述の粗さ層形成部14は、この補正粗さ層信号に応じて、前述のように、プリントの表面に、画像に応じて領域毎に異なる表面粗さを有する粗さ層を形成し、高品位プリントとする。
【0024】
粗さ層を形成することにより、画像に目的とする光沢や立体感等を付与した高品位プリントを安定して出力するためには、粗さ層形成部14が形成する粗さ層の各領域の表面粗さが、供給された粗さ層形成信号に適正に応じたものであることが必要である。
しかしながら、粗さ層形成部14が形成する粗さ層の表面粗さは、作成装置10(粗さ層形成部14)の個体差や、作成装置10の設置環境等に応じて変動してしまい、その結果、供給された粗さ層形成信号に適正に対応せずに変動してしまい、目的とする光沢等が得られない場合も多い。
【0025】
記憶部16が記憶している粗さ層形成信号の補正手段は、このような各種の要因による変動を吸収して、粗さ層形成部14が形成する粗さ層の表面粗さが、供給された粗さ層形成信号に応じた適正なものとなるように、粗さ層形成信号を補正するものである。
これにより、作成装置10は、画像の領域毎に、供給された粗さ層形成信号に応じた表面粗さを有する粗さ層を形成してなる、画像に応じた光沢や立体感等を有する高品位プリントを、安定して作成することができる。
【0026】
このような粗さ層形成信号の補正手段は、本発明にかかる、作成装置10のキャリブレーション(校正)によって作成される。
以下、この作成装置10のキャリブレーションについて、詳細に説明する。なお、以下の説明では、便宜的に、粗さ層の形成に対応するキャリブレーションを粗さキャリブレーション、プリンタ12等による画像記録(可視像の描画)に対応するキャリブレーションを濃度キャリブレーションとする。
【0027】
作成装置10の粗さキャリブレーションを行うを行う際には、好ましくはプリンタ12の濃度キャリブレーションを行った後、プリンタ12によって、粗さキャリブレーション用のチャートAに対応するプリントPを作成する。
本発明においては、後述するように、チャートAの各粗さパッチを形成した部分による反射光を測定(以下、便宜的に、粗さパッチの測定とする)することにより、粗さキャリブレーションを行う。これに対応して、プリントPは、図1に点線で示すように、粗さパッチの形成部分に、全パッチが同濃度の所定濃度のグレーのパッチを複数形成したようなプリントPを出力する。
なお、プリントPにおいては、濃度キャリブレーションのパッチと粗さキャリブレーション用のグレーパッチを同時に形成したものであってもよく、また、濃度キャリブレーション用に作成したグレーパッチを、粗さキャリブレーョンに利用してもよい。
【0028】
ここで、粗さキャリブレーションを行うためのプリントPのグレー濃度には、特に限定はなく、プリンタ12が出力するプリントの種類(例えば、写真プリントか印刷物か等)や粗さ層の形成材料などに応じて、適宜、決定すればよい。
このグレー濃度が濃すぎると、濃度測定の精度が低下するので、このグレー濃度は、1.5を超えないようにするのが好ましい。逆に、グレー濃度が低すぎると、濃度変化量が小さくなり、濃度変化の測定精度が低下するので、このグレー濃度は0.2未満にはならないようにするのが好ましい。
【0029】
次いで、作成装置10(粗さ層形成部14)によって、このプリントPの表面の所定部分に、表面粗さ層の形成と同様にして、表面粗さが異なる粗さ層すなわち粗さパッチを形成し、粗さキャリブレーション用のチャートAを作成する。
チャートAは、図2(A)に模式的に示されるように、前述のプリントPの所定濃度のグレーパッチが形成された部分に、表面粗さが段階的に異なる粗さパッチ(いわば表面粗さのステップウエッジ)を形成してなるものである。なお、粗さパッチの数や表面粗さの段階的な変化量等は、粗さ層の形成方法や粗さ層を形成するプリントの種類に応じて、適宜、決定すればよい。また、チャートA(粗さパッチ)の形成信号は、例えば、記憶部16が記憶しておき、形成信号補正部18が粗さ層形成部14に送ればよい。
【0030】
次いで、測定手段20によって、チャートAの各粗さパッチの測定を行う。
本例においては、一例として、図3(A)に示されるような測定手段20を用いて、粗さパッチの拡散反射光と、正反射光とを測定することにより、粗さキャリブレーションを行う。
なお、本発明において、拡散反射光および正反射光の測定は、必ずしもJISなどの規格における定義に完全に一致して行う必要はない。本発明者の検討によれば、拡散反射光の測定は、幾何条件が30°から60°の間にあれば、他方、正反射光の測定は、幾何条件の入射光線とパッチの法線との角度が20°から85°の間にあれば、適正な粗さキャリブレーションを行うことができる。
【0031】
測定手段20は、基本的に、光源30と、第1センサ32および第2センサ34と、フィルタターレット36とを有して構成される。
光源30は、白色光源で、チャートAの各粗さパッチに測定光を入射する。第1センサ32および第2センサ34は、共に、濃度測定に用いられる公知の光センサで、第1センサ32は、粗さパッチ(チャートAの粗さパッチ形成領域)による測定光の正反射光を、第2センサ34は同拡散光を、それぞれ測定する。
【0032】
フィルタターレット36(以下、ターレット36とする)は、R(赤)フィルタ、G(緑)フィルタ、B(青)フィルタ、および素抜け部を有するターレットで、各フィルタおよび素抜け部を、第2センサ34に入射する拡散光の光路に挿入する。粗さキャリブレーションを行う際には、素抜け部を光路に挿入する。
このターレット36は、粗さキャリブレーションには、特に不要なものであるが、拡散光を測定する第2センサ34に対応して、このようなターレット36を有することにより、プリントの濃度測定を3原色に分解して行うことができ、従って、粗さキャリブレーションと濃度キャリブレーションとで、同じ測定手段を用いることができる。
なお、両キャリブレーションで共用できる測定手段としては、図3(A)に示される構成以外にも、ターレット36を光源30からの測定光光路に対応して配置した構成や、図3(B)に示されるように、測定光の光源として、白色光、R光、G光、およびB光を出射する光源38を用いる構成も好適である。
さらに、本発明においては、センサを第1センサ32もしくは第2センサ34の一方として、正反射光および拡散光の測定に応じて、センサを移動する構成も、好適に利用可能である。
【0033】
測定手段20は、このような粗さパッチの正反射光および拡散反射光の測定を、各粗さパッチについて、順次、行う。なお、この各粗さパッチの測定は、測定手段20(光学系)を移動して行っても、チャートAを移動して行っても、両者を移動して行ってもよい。
【0034】
測定手段20による各粗さパッチの正反射光および拡散反射光の測定結果は、形成信号補正部18に送られる。形成信号補正部18は、この測定結果を用いて、各パッチ毎に、正反射濃度および拡散反射濃度を演算し、さらに、両濃度の濃度差を算出する。
【0035】
一方で、記憶部16には、各粗さパッチ(粗さ層)を形成した粗さ層形成信号に対して、粗さパッチの表面粗さが適正である際に、同様の測定を行った場合の正反射濃度と拡散反射濃度との濃度差が記憶されている。すなわち、この濃度差が、この粗さキャリブレーションにおける各粗さパッチの目標濃度差である。
なお、この粗さキャリブレーション方法では、粗さパッチの正反射濃度と反射光濃度との差を用いてキャリブレーションを行うので、この目標濃度差は、プリントの種類によらず、1つでよい。
【0036】
粗さ層の表面粗さが同じであれば、正反射濃度と拡散反射濃度の濃度差は同じになるはずである。
形成信号補正部18は、各粗さパッチ毎の濃度差を算出したら、記憶部16から各粗さパッチの目標濃度差を読み出して、各粗さパッチ毎に、測定濃度差が目標濃度差になるように粗さ層形成信号を補正する補正量を求める。
さらに、離散的な粗さ層形成信号の間を補間計算して、粗さ層形成信号の補正手段として、粗さ層形成信号(入力信号)を補正して、補正粗さ層形成信号(出力信号)とする粗さ補正テーブル(粗さキャリブレーションテーンブル)を作成する。その一例を、下記表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
なお、粗さキャリブレーションテーブルの演算方法は、この方法に限定はされず、各種のプリンタの濃度キャリブレーションにおけるキャリブレーションテーブルの作成方法等に準じて、各種の方法が利用可能である。
【0039】
作成装置10において、このようにして作成した補正テーブルは、前述のように、記憶部16に記憶する。
また、作成装置10においては、粗さ層を形成する際には、形成信号補正部18が、この粗さ補正テーブル(補正手段)を記憶部16から読み出し、供給された粗さ形成信号を粗さ補正テーブルで補正して、補正粗さ層形成信号として粗さ層形成部14に送るのは、前述のとおりである。さらに、これにより、作成装置10は、供給された粗さ層形成信号に応じた表面粗さを有する粗さ層を形成でき、画像に応じた、目的とする光沢や立体感を付与した、高品位なプリントを安定して作成できるのも、前述のとおりである。
【0040】
以上の例においては、粗さパッチによる正反射濃度および拡散反射濃度を測定して、この濃度差を求めることより、粗さキャリブデーションを行う。これに対して、本発明の別の態様では、粗さ層の表面粗さに起因する画像の濃度変化を利用して、粗さキャリブデーションを行う。
プリントの表面に粗さ層を形成された高品位プリントでは、画像の濃度(見かけ上の濃度)が変化する。ここで、この濃度変化量は表面粗さに応じたものであり、プリントに記録された画像濃度および表面粗さが同じであれば、基本的に、画像濃度の変化量は一定になる。従って、この濃度変化を利用して、粗さキャリブレーションを行うことができる。
【0041】
前述の正反射濃度および拡散反射濃度の濃度差を用いる粗さキャリブレーションでは、複数のセンサ(もしくはセンサの移動手段)が必要であるものの、前述のように、プリントの種類毎に目標値を設定する必要はない。逆に、表面粗さによる濃度変化を用いる粗さキャリブレーションでは、センサは1つでいいが、目標値をプリントの種類毎に設定する必要がある。
従って、いずれの方法を採用するかは、作成装置10に要求されるコストや用途等に応じて、適宜、決定すればよい。
なお、いずれの方法であっても、粗さキャリブレーションは、粗さ層を形成するプリントの種類毎(写真プリントのような感光材料であれば、感光材料種毎)に行う必要がある。
【0042】
以下、この表面粗さに起因する濃度変化を利用する粗さキャリブレーション方法について、説明する。
なお、この粗さキャリブレーション方法は、先の拡散反射濃度と正反射濃度の濃度差を用いる方法と同様もしくは類似する部分が多いので、説明は、図1を引用すると共に、異なる部分を主に行う。
【0043】
この粗さキャリブレーションでは、粗さパッチを形成することによる濃度変化を用いてキャリブレーションを行うので、プリンタ12が画像データに応じた適正濃度の画像(グレーパッチ)を記録できることが重要である。そのため、本態様では、基本的に、粗さキャリブレーションに先立ち、プリントを作成するプリンタ12の濃度キャリブレーションを行う。
【0044】
次いで、プリンタ12によって、一方向に配列されるグレーパッチの列を、前記配列方向と直交する方向に並べて2列形成してなるプリントを、粗さキャリブレーションのチャートを作成するためのプリントとして出力する(図2(B)参照)。このグレーパッチは、全て同じ所定濃度のもので、1列が粗さパッチの形成に対応し、他の列が、粗さパッチを形成しない場合の濃度測定用のグレーパッチ列となる。
なお、この粗さキャリブレーションでは、粗さパッチの形成する前のプリントのグレーパッチ濃度が分かればいいので、同じグレーパッチの列を2列形成する必要はなく、例えば、濃度測定用のグレーパッチは、粗さパッチの配列方向の中央部に1つのみを形成する、あるいは、粗さパッチ列に並べて1つの濃度測定用のグレーパッチを形成するものでもよい。なお、シェーディングによる濃度誤差等を考慮して高精度な粗さキャリブレーションを行うためには、粗さパッチの列全域を覆うように、濃度測定用のグレーパッチを形成するのが好ましい。
【0045】
次いで、粗さ層形成部14によって、一方のグレーパッチ列(図示例では、図中右側の列)に、先と同様に、表面粗さが段階的に異なる粗さパッチ(表面粗さのステップウエッジ)を形成して、図2(B)に示されるような、粗さキャリブレーション用のチャートBを作成する。
【0046】
さらに、このチャートBについて、図3(C)に示されるような測定手段を用いて、グレーパッチおよび粗さパッチの測定を行う。この測定手段は、基本的に、測定光を出射する白色光源40と、粗さパッチ(チャート)に反射された拡散光を測定する、濃度測定に用いられる公知のセンサ42とから構成される。
なお、この測定手段においても、センサもしくは光源に対応して前記ターレット36を配置したり、光源として、R、G、Bおよび白色の光を出射する光源を用いることにより、粗さキャリブレーションと濃度キャリブレーションとを、同じ測定手段で行うことが可能になる。
【0047】
このような測定手段を用いて、チャートBのグレーパッチおよび粗さパッチによる拡散反射光を、順次、測定する。
この測定結果は、形成信号補正部18に送られる。形成信号補正部18は、供給された拡散反射光の測定結果から、それぞれの拡散反射濃度すなわちグレーパッチ濃度および粗さパッチ濃度(パッチ形成領域の画像濃度)を算出する。
形成信号補正部18は、次いで、対を成す(図中横並びの)グレーパッチと粗さパッチとで、濃度差を算出する。前述のように、粗さパッチは、濃度測定用のグレーパッチと同濃度のグレーパッチ上に形成されているので、この濃度差が、すなわち粗さパッチ(その表面粗さ)に応じた見かけ上の濃度変化量となる。
【0048】
先の例と同様、記憶部16には、各粗さパッチを形成した粗さ形成信号に対して、粗さ層の表面粗さが適正である際に、同様の測定を行った場合の濃度変化量が記憶されている。すなわち、先と同様に、この濃度変化量が粗さキャリブレーションにおける目標値である。
なお、画像の濃度特性は、プリントの種類によって異なる。従って、濃度変化量によってキャリブレーションを行う本態様では、前述のように、濃度変化量の目標値は、プリントの種類毎(写真プリントのような感光材料であれば感光材料種毎)に設定する必要がある。
【0049】
形成信号補正部18は、各粗さパッチ毎の濃度変化量を算出したら、記憶部16から前記各粗さパッチの目標濃度変化量を読み出して、各粗さパッチ毎に、粗さパッチの測定濃度変化量が目標濃度変化量となるように粗さ形成信号を補正する補正量を求める。
さらに、先の例と同様にして、離散的な粗さ形成信号の間を補間計算して、粗さ層形成信号の補正手段として、粗さ形成信号を補正する補正テーブル(粗さキャリブレーションテーンブル)を作成する。
【0050】
以上の例は、プリンタ12と、(プリント)作成装置10とが、別体で構成されており、すなわち、後付け的に、プリンタ12に高品位プリントを作成するための作成装置10を付けた様な構成を有するものであるが、本発明は、これ以外にも、画像記録手段と粗さ層の形成手段とを有する高品位プリントの作成装置にも、好適に利用可能である。
図4に、その一例を示す。なお、図4に示される装置では、前述の作成装置10と同様の部位を多数有するので、同じ部位には同じ符号を付し、以下の説明は、異なる点を主に行う。
【0051】
図4に示されるプリント作成装置50(以下、作成装置50とする)は、画像を記録したプリントを作成し、このプリントの表面に粗さ層を形成して高品位プリントとするものである。
このような作成装置50は、基本的に、粗さ層形成部14と、記憶部16および54と、(粗さ層)形成信号補正部18と、粗さ−濃度補正部56と、画像信号補正部58と、画像記録部60とを有して構成される。
また、測定手段20は、後述するキャリブレーションの際に、キャリブレーション用のチャートCの測定を行い、その測定結果を形成信号補正部18および画像信号補正部58に送るものである。
【0052】
作成装置50において、画像記録部60は、公知の画像記録方法を利用して画像記録を行うものであり、写真プリンタ、印刷装置、インクジェットプリンタ、電子写真プリンタ等、作成するハードコピーに応じた各種の画像記録手段が全て利用可能である。
【0053】
作成装置50においては、外部から供給された画像信号に、粗さ−濃度補正部56で補正を行い、さらに、画像信号補正部58で補正を行って、補正画像信号として画像記録部60に供給する。画像記録部60は、この補正画像信号に応じて変調を行って、画像を記録する。
【0054】
前述のように、粗さ層を有する高品位プリントでは、粗さ層の表面粗さに応じて、画像濃度(見かけ上の画像濃度)が変化する。
粗さ−濃度補正部56は、この粗さ層の表面粗さによる濃度変化を補正するもので、粗さ層形成信号(すなわり粗さ層の表面粗さ)に応じて、画像信号を補正する。以下、図5を参照して、粗さ−濃度補正部56について、説明する。
【0055】
図示例において、粗さ−濃度補正部56は、濃度変換手段62と、粗さ−濃度補正テーブル64と、R,GおよびBの各濃度信号に対応して設けられる加算機66と、濃度逆変換手段68とを有して構成される。
図示例の作成装置50において、R,GおよびBの各画像信号は、まず、粗さ−濃度補正部56の濃度変換手段62に供給される。濃度変換手段62は、各画像信号をLUT(ルックアップテーブル)もしくは3×3のマトリクスで変換して、R,GおよびBの各濃度信号とする。
【0056】
一方、図示例の作成装置50においては、粗さ層形成信号は、粗さ層の形成に対応する形成信号補正部18に加え、粗さ−濃度補正部56の粗さ−濃度補正テーブル64にも送られる。
粗さ−濃度補正テーブル64は、粗さ層形成信号すなわち粗さ層の表面粗さに応じた濃度変化に応じて、粗さ層形成信号を、前記濃度変化量に対応する濃度補正量に変換するLUTである。この粗さ−濃度補正テーブル64は、濃度キャリブレーションおよび粗さキャリブレーションの際に作成する。この点に関しては、後に詳述する。
【0057】
濃度変換手段62は変換した濃度信号を、粗さ−濃度補正テーブル64は粗さ層形成信号に応じて変換した濃度補正量を、共に、加算機66に供給する。加算機66は、両者を加算する。
すなわち、この加算により、画像記録部60における記録画像に、形成する粗さ層の表面粗さに応じた補正(表面粗さに起因する濃度変化に対応する補正)が行われる。
【0058】
加算機66で表面粗さに応じた補正を施された濃度信号は、濃度逆変換手段68に送られる。
濃度逆変換手段68は、送られたR,GおよびBの濃度信号を、LUTもしくは3×3のマトリクスによって、先の濃度変換手段62と逆変換して、R,GおよびBの各画像信号として、画像信号補正部58に供給する。
【0059】
画像信号補正部58は、画像記録部60による記録画像を、供給された画像信号に応じた適正な濃度とするために画像信号を補正するものである。具体的には、記憶部54から、後述する濃度キャリブレーションによって作成された画像信号補正手段(いわゆる濃度キャリブレーションテーブル)を読み出し、この画像信号補正手段を用いて、粗さ−濃度補正部56で表面粗さに応じた濃度補正を行われた画像信号を補正して、補正画像信号として画像記録部60に送る。
すなわち、画像信号補正部58は、濃度キャリブレーションによる画像信号の補正を行う、通常の画像記録装置が有する公知のものである。
【0060】
前述のように、作成装置50は、画像記録部60で画像を記録したプリントの表面に、粗さ層形成部14で粗さ層を形成して、高品位プリントとする。
粗さ層形成部14における粗さ層の形成は、基本的に、前述の作成装置10と同様である。すなわち、形成信号補正部18が粗さキャリブレーションで作成した粗さ補正手段を記憶部16から読み出して、これを用いて供給された粗さ層形成信号を補正して、補正形成信号として粗さ層形成部14に送り、粗さ層形成部14は、この補正形成信号に応じて、プリントの表面に粗さ層を形成して、高品位プリントとする。
【0061】
以下、このような作成装置10における、濃度キャリブレーション、粗さキャリブレーション、および粗さ−濃度補正テーブルの作成について、説明する。
【0062】
キャリブレーションを行う際には、まず、画像記録部60において、キャリブレーションに用いるチャートとなるプリントを作成する。
ここで、キャリブレーション用チャートとなるプリントは、濃度キャリブレーション用と、粗さキャリブレーション用途で別々に作成してもよい。しかしながら、前述のように、図3(A)に示される測定手段20等を用いれば、濃度キャリブレーションと粗さキャリブレーションとに対応するチャートの測定を、同じ測定手段で行うことができる。
これに対応して、図示例においては、好ましい態様として、画像記録部60は、C(シアン)、M(マゼンタ)およびY(イエロー)の各色のステップウエッジと、粗さパッチを形成するための同一濃度の複数のグレーパッチを記録したプリントを作成する(図2(C)参照)。なお、カラーのステップウエッジは、通常の濃度キャリブレーションと同様でよく、また、カラーのステップウエッジと、粗さパッチとは、必ずしも、同一段階数である必要はない。
【0063】
キャリブレーションチャート用のプリントを作成したら、これを粗さ層形成部14に供給し、前述の例と同様にして、グレーパッチの上に、表面粗さが段階的に異なる粗さパッチを形成(表面粗さのステップウエッジを形成する)し、図2(C)に示されるような、濃度および粗さキャリブレーション用のチャートCを作成する。
【0064】
なお、濃度と粗さのキャリブレーションを別々のチャートで行う場合には、濃度キャリブレーション用のチャート(=プリント)は、通常の画像記録装置におけるキャリブレーションと同様でよい。また、粗さキャリブレーション用のチャートは、キャリブレーションの方法に応じて、前述の例と同様にすればよい。
【0065】
次いで、測定手段20によって、チャートCの測定を行う。
測定は、一例として、まず、光源30から測定光を出射すると共に、ターレット36の各色フィルタを光路に、順次、作用して、拡散光に対応するセンサ34によって、C,YおよびMの各カラーパッチをR,GおよびBの三原色に分解して測定する。
次いで、ターレット36の素抜け部を光路に作用させて、先の例と同様に、センサ32およびセンサ34によって、粗さパッチ(チャートCの粗さパッチ形成部)による測定光の正反射光および拡散反射光を、それぞれ測定する。
【0066】
各カラーパッチの測定結果は、濃度信号補正部58に送られる。濃度信号補正部58は、この測定結果から各カラーパッチの濃度を算出し、画像信号補正手段(濃度キャリブレーションテーブル)作成する。
この画像信号補正手段の作成は、各種の画像記録装置で行われている公知の濃度キャリブレーション方法で行えばよい。例えば、濃度信号補正部58は、記憶部54から、カラーパッチを形成した画像信号に対応する目標濃度を読み出し、測定濃度と目標濃度との関係から画像信号の補正信号を形成して、離間的な画像信号の間を補間して、画像信号補正手段を作成する。
このように作成した画像信号補正手段は、記憶部54が記憶する。また、濃度キャリブレーションによる演算結果は、粗さ−濃度補正部56に送られる。
【0067】
他方、粗さパッチの測定結果は、形成信号補正部18に送られる。
形成信号補正部18は、前述の例と同様にして、正反射濃度と拡散反射濃度を算出して、各粗さパッチ毎に濃度差を算出し、記憶部16から粗さパッチの目標濃度差を読み出して、各粗さパッチ毎に、粗さパッチの測定濃度差が目標濃度差になるように粗さ形成信号を補正する補正量を求め、離散的な粗さ形成信号の間を補間計算して、粗さ層形成信号を補正する補正テーブル(粗さキャリブレーションテーブル)を作成する。
前述の例と同様、この補正テーブルは記憶部16が記憶する。また、形成信号補正部が算出した各粗さパッチの拡散反射濃度すなわち粗さパッチの濃度は、粗さ−濃度補正部56に送られる。
【0068】
このようにして濃度キャリブレーションおよび粗さキャリブレーションを終了したら、次に、粗さ−濃度補正部56において、粗さ−濃度補正テーブル64の作成を行う。
【0069】
まず、濃度キャリブレーションの演算結果から、画像信号と、この画像信号に対応する単色濃度との関係を用いて、チャートC用のプリントにおけるグレーパッチの各単色濃度を求め、単色濃度から3色の積分濃度を求めることにより、前記グレーパッチの予測濃度を算出する。
次いで、この予測濃度と、各粗さパッチの測定濃度(拡散反射濃度)とから、粗さパッチを形成したことによる濃度変化量を算出して、各粗さパッチ毎に、濃度変化量に対する濃度補正量を算出する。
さらに、離散的な画像信号間を補間演算して、下記表2に示されるような、粗さ−濃度補正テーブル64を作成する。
【0070】
【表2】
【0071】
前述のように、図示例の作成装置50では、画像記録部60は、粗さ−濃度補正部56において粗さ層形成信号(=粗さ層の表面粗さ)に応じた濃度補正を施し、さらに、画像信号補正部58において濃度キャリブレーションによる濃度補正を施した画像信号を用いて画像記録(プリントの作成)を行う。また、粗さ層形成部14は、形成信号補正部18において粗さキャリブレーションによる信号補正を施された補正粗さ層形成信号を用いて、前記プリントの表面に粗さ層の形成を行う。
従って、作成装置50によれば、画像信号に応じた適正な濃度を有し、かつ、粗さ層形成信号に応じた適正な表面粗さを有する粗さ層を有する、高画質で、かつ、好適な質感や立体感を有する高品位プリントを、安定して作成できる。
【0072】
図4に示される作成装置50は、粗さパッチの拡散反射濃度および正反射濃度を測定してキャリブレーションを行っているが、濃度キャリブレーションおよび粗さキャリブレーションの両者を行う態様においても、先に説明した、粗さパッチの表面粗さに応じた濃度変化を用いてキャリブレーションを行うことも可能である。
なお、この濃度変化を用いるキャリブレーション方法は、先の拡散反射濃度と正反射濃度を用いる方法と同様もしくは類似する部分が多いので、説明は、図4を引用すると共に、異なる部分を主に行う。
【0073】
前述の例と同様にして、画像記録部60および粗さ形成部14によって、チャートCを作成する。
次いで、図3(C)に示される測定手段のセンサ42に対応してターレット36を配置した測定手段を用い、まず、各カラーパッチ毎に、ターレット36の色フィルタを、順次、光路中に作用して、拡散光をR、GおよびBの3原色に分解してセンサ40によって測定し、その結果を画像信号補正手段58に送り、さらに、ターレット36の素抜け部を作用させて、拡散光をセンサ40によって測定し、形成信号補正部18に送る。
【0074】
画像信号補正手段58は、この拡散光の測定結果からチャートCの各カラーパッチの濃度を算出し、先の例と同様にして画像信号補正手段(濃度キャリブレーションテーブル)を作成して、記憶部54が記憶する。
ここで、本態様においては、画像信号補正手段58による濃度キャリブレーションの演算結果は、粗さ層の形成に対応する形成信号補正部18に送る。
【0075】
他方、形成信号補正部18は、測定された粗さパッチの拡散光から拡散濃度すなわち粗さパッチの濃度を算出する。
さらに、形成信号補正部18は、先の粗さ−濃度補正部56と同様にして、濃度キャリブレーションの演算結果から、画像信号と、この画像信号に対応する単色濃度との関係を用いて粗さパッチ形成用のグレーパッチの各単色濃度を求め、単色濃度から積分濃度を求めて、グレーパッチの予測濃度を算出する。
次いで、粗さパッチの測定濃度と、グレーパッチの予測濃度とから、粗さパッチを形成したことによる濃度変化量を算出する。ここで、本態様においては、この濃度変化量は、粗さ−濃度補正部56にも送られる。
【0076】
先の例と同様、記憶部16には、粗さパッチを形成したことによる濃度変換の目標濃度変化量が記憶されている。
形成信号補正部18は、各粗さパッチ毎の濃度変化量を算出したら、先の例と同様に、記憶部16から前記各粗さパッチの目標濃度変化量を読み出して、各粗さパッチ毎に、粗さパッチの測定濃度変化量が目標濃度変化量となるように粗さ形成信号を補正する補正量を求め、離散的な粗さ形成信号の間を補間計算して、粗さ層形成信号の補正手段として、粗さ形成信号を補正する補正テーブル(粗さキャリブレーションテーンブル)を作成し、記憶部16がこれを記憶する。
【0077】
このようにして濃度キャリブレーションおよび粗さキャリブレーションが終了したら、次いで、粗さ−濃度補正部56において、粗さ−濃度補正テーブルを作成する。
前述のように、本態様では、粗さキャリブレーションの際に算出した、各粗さパッチによる濃度変化量が、粗さ−濃度補正部56に送られている。従って、粗さ−濃度補正部56は、この濃度変化量を用いて、各粗さパッチ毎に、濃度変化量に対する濃度補正量を算出する。さらに、離散的な画像信号間を補間演算して、先と同様の粗さ−濃度補正テーブル64を作成する。
【0078】
ここで、画像記録部60による発色特性が不適性であると、適正なグレーパッチを記録することができず、粗さキャリブレーションを適正に行うことはできない。すなわち、濃度キャリブレーションがある程度収束した状態でないと、正確な粗さキャリブレーションを行うことができず、実施しても無駄になる。
従って、このように濃度キャリブレーションと粗さキャリブレーションとの両方を行う場合には、キャリブレーション開始当初は、濃度キャリブレーションのみを行い、粗さキャリブレーションは、濃度キャリブレーションがある程度収束した段階で行うのが好ましく、特に、濃度キャリブレーションを収束させる最終段階となった時点で、粗さキャリブレーションを行うのが好ましい。
【0079】
以上の例では、粗さキャリブレーションの目標値は、画像の濃度域によらず、一定の目標値を用いて、粗さキャリブレーションを行っている。
しかしながら、このような粗さ層を有する高品位プリントにおいては、プリントの種類や粗さ層の形成材料等に応じて、粗さ層の効果が画像濃度に応じて変動する場合がある。この場合には、濃度域毎に目標値を定めて、粗さキャリブレーションを行い、各濃度域毎に、粗さ層形成信号の補正手段(粗さキャリブレーションテーブル)を作成し、記憶部16に記憶しておくのが好ましい。
【0080】
このように濃度域毎に粗さキャリブレーションの目標値を定め、粗さ層形成信号補正手段を設けた場合には、図6に示されるように、粗さ層形成信号の処理系に濃度変換手段70を設け、ここにプリントに記録する画像のR,GおよびBの画像信号を供給する。
この濃度変換手段70は、LUTや3×3のマトリクスを用いてR,GおよびBの画像信号を濃度信号に変換し、最低濃度値を選択し、その結果を形成信号補正部18に供給する。
形成信号補正部18は、この最低濃度値に応じて、記憶部16から対応する粗さ層形成信号の補正手段を選択して読み出し、これを用いて、供給された粗さ層形成信号を補正して、補正粗さ層形成信号とする。
【0081】
前述のように、粗さ層を形成する高品位プリントでは、粗さ層の表面粗さに応じて、画像濃度(見かけ上の濃度)が変化する。そのため、粗さ層の表面粗さと画像濃度との組み合わせによっては、観察される画像が不適性になってしまう場合も有り得る。そのため、画像濃度と表面粗さとの間に、何らかの制限を設けるのが好ましい。
【0082】
この制限には、特に限定は無いが、好ましい一例として、画像濃度をD、粗さ層の形成による濃度変化量をX、プリントが表現できる最小濃度をDmin 、同最大濃度をDmax とした際に、下記の2つ式を満たすように粗さ層を形成することが例示される。
D−Dmin ≧X、および、Dmax −D≧X
この式は、すなわち、粗さ層の形成による濃度変化の結果、見かけ上の画像濃度が最低濃度Dmin 未満となること、および、最高濃度Dmax を超えることを防止して、適正な高品位プリントを安定して作成するものである。
【0083】
以上、本発明のキャリブレーション方法およびプリント作成装置について、詳細に説明したが、本発明は上述の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0084】
例えば、本発明においては、上記実施例のみならず、例えば、前述の特許文献1や特許文献2に開示されるプリント作成に対応して、粗さキャリブレーションを行うことも可能である。
また、前記図4に示されるプリント作成装置は、濃度キャリブレーションの結果および粗さキャリブレーションの結果に応じて、粗さ層形成の結果生じる濃度変動を補正する濃度補正手段を作成して画像信号を補正しているが、本発明は、これに限定はされず、表面粗さに対応する濃度補正を行わず、濃度キャリブレーションおよび粗さキャリブレーションのみを行うものであってもよい。
【0085】
また、以上の例では、粗さキャリブレーションのための測定光として、白色光を用いているが、本発明は、これに限定はされず、彩色光を測定光として用いてもよい。
前述のように、発明では、粗さパッチによる拡散濃度と正反射濃度の差や、粗さパッチによる濃度変化を用いて、粗さキャリブレーションを行う。従って、無彩色ではなくても、粗さ層形成信号に対して、拡散濃度と正反射濃度の差や濃度変化の関係を、ある特定の色に対して設定しておくことにより、好適に粗さキャリブレーションを行うことができる。
【0086】
さらに、以上の例では、粗さ層形成信号の補正手段として、粗さキャリブレーションテーブルを作成しているが、本発明は、これに限定はされず、粗さキャリブレーションを行って、粗さ層形成信号の補正関数を作成してもよい。
【0087】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、写真プリントや印刷物などのプリントの表面粗さを調整して、画像の質感や立体感を表現する画像形成において、プリントの表面粗さを目的とする状態に適正に調整することができ、高品位なプリントを安定して作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプリント作成装置の一例のブロック図である。
【図2】(A),(B)および(C)は、それぞれ、本発明のキャリブレーション方法におけるキャリブレーションチャートの一例の概念図である。
【図3】(A),(B)および(C)は、それぞれ、本発明のキャリブレーション方法における測定手段の一例の概念図である。
【図4】本発明のプリント作成装置の別の例のブロック図である。
【図5】図4に示されるプリント作成装置の粗さ/濃度補正手段のブロック図である。
【図6】本発明のプリント作成装置の別の例のブロック図である。
【符号の説明】
10,50 (プリント)作成装置
12 プリンタ
14 粗さ層形成部
16,54 記憶部
18 (粗さ層)形成信号補正部
20 測定手段
30,38,40 光源
32,34,42 センサ
36 (フィルタ)ターレット
56 粗さ−濃度補正部
58 画像信号補正部
60 画像記録部
62,70 濃度変換手段
64 粗さ−濃度補正テーブル
66 加算器
68 濃度逆変換手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像の質感や立体感等を好適に表現した高品位なハードコピーを作成する画像形成の技術分野に属し、詳しくは、このような高品位なハードコピーを安定して形成することを可能にするキャリブレーション方法、および、このキャリブレーション方法を利用して前記高品位なハードコピーを作成するハードコピー作成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
写真プリントや各種のプリンタで出力したハードコピーの質感を向上して、付加価値の高い製品を作成するために、各種の提案が行われている。
例えば、特許文献1には、昇華染料が塗布された転写紙を用いるサーマルプリンタ装置において、転写紙に昇華染料とは異なる材料で形成した領域を設け、この領域を介して画像を再加熱することにより、光沢のある記録画像、もしくは、艶消しされた記録画像を作成できるサーマルプリンタ装置が開示されている。
【0003】
さらに、特許文献2には、熱転写印刷装置によるプリントの作成において、反射光の状態が大および小の2つの状態となるように被写体を撮像し、反射光が大の状態から小の状態を減算してなる光沢信号を生成すると共に、前記被写体を同じ撮像手段で画像信号化して再生したプリントを作成し、さらに、光沢信号に応じてプリントを再加熱することにより、画像中に存在する被写体に応じた光沢を表現した画像を形成する方法が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平3−190778号公報
【特許文献2】
特開平8−39841号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これらの方法によれば、絵柄等に応じて、画像中の各領域に存在する物体に応じた光沢性を付与した画像を形成することが可能になる。
【0006】
ここで、これらの画像形成において、画像の各領域に所望の光沢を付与した高品位な画像を安定して形成するためには、画像に付与する光沢が、光沢の形成信号に応じた所定の状態となることが必要である。例えば、特許文献2に開示される方法であれば、再加熱の結果付与される光沢が、安定的に、前記光沢信号に応じた適正な状態となることが必要である。
【0007】
ところが、上記各特許文献に開示される画像形成方法では、再加熱装置の個体差や環境温度の影響によって、画像に付与する光沢度に変動が生じてしまうため、画像の各領域に所望の光沢を付与した高品位な画像を安定して形成することができない。
【0008】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決することにあり、写真や印刷物などのハードコピーの表面粗さを調整して、画像中に存在する物体に応じた光沢などの質感や、画像の立体感を表現する画像形成において、ハードコピーの表面粗さを目的とする状態に適正に調整することができ、前記質感や立体感等を好適に表現した高品位なハードコピーを安定して作成することを可能にするキャリブレーション方法、および、このキャリブレーション方法を実施するハードコピー作成装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のキャリブレーション方法は、画像を記録されたハードコピーの表面に、形成信号に応じて、前記ハードコピーの画像に対応する表面粗さを有する粗さ層を形成するハードコピー作成において、表面粗さが異なる複数の粗さパッチを形成し、各粗さパッチに測定光を入射して反射光を測定し、前記粗さパッチの実測値と、予め知見した、前記粗さパッチを形成した形成信号による適正な粗さパッチによる反射光に対応する基準値とから、前記実測値が基準値となるように、前記形成信号を補正する粗さ補正手段を作成することを特徴とするキャリブレーション方法を提供する。
【0010】
本発明のハードコピー作成装置の第1の態様は、画像を記録されたハードコピーの表面に、形成信号に応じて、前記ハードコピーの画像に対応する表面粗さを有する粗さ層を形成するハードコピー作成装置であって、前記請求項1〜6のいずれかに記載のキャリブレーション方法で作成した粗さ補正手段を用いて補正した形成信号に応じて前記粗さ層を形成することを特徴とするハードコピー作成装置を提供する。
【0011】
また、本発明のハードコピー作成装置の第2の態様は、画像信号に応じて画像を記録したハードコピーを作成し、さらに、その表面に、形成信号に応じて、ハードコピーに記録した画像に対応する表面粗さを有する粗さ層を形成するハードコピー作成装置であって、前記キャリブレーション方法で作成した粗さ−濃度補正手段を用いて画像信号を補正してハードコピーに画像画像を記録し、かつ、前記キャリブレーション方法で作成した粗さ補正手段を用いて補正した形成信号に応じて前記粗さ層を形成することを特徴とするハードコピー作成装置を提供する。
【0012】
さらに、本発明のハードコピー作成装置の第3の態様は、画像を記録されたハードコピーの表面に、形成信号に応じて、前記ハードコピーの画像に対応する表面粗さを有する粗さ層を形成する形成手段と、前記形成手段によって、前記記録媒体の上層に表面粗さが異なる複数の粗さパッチを形成する制御手段と、前記各粗さパッチに測定光を入射して反射光を測定する測定手段と、前記粗さパッチの実測値と、予め知見した、前記粗さパッチを形成した形成信号による適正な粗さパッチによる反射光に対応する基準値とから、前記実測値が基準値となるように、前記形成信号を補正する粗さ補正手段を作成する作成手段とを有し、前記形成手段は、前記粗さ補正手段によって補正した形成信号を用いて、前記粗さ層を形成することを特徴とするハードコピー作成装置を提供する。
【0013】
このような本発明において、前記実測値として、形成した前記粗さパッチによる正反射光および拡散反射光を測定して両者の差分を算出し、前記基準値として、前記適正な粗さパッチによる正反射光と拡散反射光との差分を知見しておき、この差分を用いて前記粗さ補正手段を作成するのが好ましく、もしくは、前記粗さパッチをハードコピー上の規定濃度領域に形成し、前記ハードコピーの粗さパッチを形成された領域の濃度を測定して、前記実測値として、この測定濃度の前記規定濃度からの変化量を算出し、前記基準値として、前記規定濃度上に適正な粗さパッチを形成した際における、前記ハードコピーの測定濃度の規定濃度からの変化量を知見しておき、この変化量を用いて前記粗さ補正手段を作成するのが好ましい。
【0014】
また、本発明においては、前記粗さ補正手段の作成に先立ち、前記画像を記録する画像記録装置の濃度キャリブレーションを行うのが好ましく、もしくは、前記粗さ補正手段の作成に先立ち、前記画像を記録する画像記録装置の濃度キャリブレーションを行い、かつ、前記粗さパッチは、前記画像記録装置によって記録したハードコピーの一定濃度領域上に形成するものであり前記濃度キャリブレーションの際における濃度パッチの濃度測定結果を用いて、前記一定濃度を知見し、さらに、前記拡散反射光を用いて、前記ハードコピーの各粗さパッチを形成した領域の濃度を算出し、前記一定濃度と各粗さパッチの形成領域の濃度とを用いて、前記粗さ層を形成した後におけるハードコピーの濃度が、前記画像記録装置における画像データに対応する濃度となるように、前記画像データを補正する粗さ−濃度補正手段を作成するのが好ましく、もしくは、前記粗さ補正手段の作成に先立ち、前記画像を記録する画像記録装置の濃度キャリブレーションを行い、前記規定濃度と、前記測定濃度とを用いて、前記粗さ層を形成した後におけるハードコピーの濃度が、前記画像記録装置における画像データに対応する濃度となるように、前記画像データを補正する粗さ−濃度補正手段を形成するのが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のキャリブレーション方法およびハードコピー作成装置について、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
【0016】
図1に、本発明のキャリブレーション方法を実施する、本発明のハードコピー作成装置の一例の概略ブロック図を示す。
図1に示されるプリント作成装置10(以下、作成装置10とする)は、プリンタ12が出力したプリントの表面に、プリントに記された画像(絵柄)に応じた表面粗さを有する粗さ層を形成するもので、基本的に、粗さ層形成部14と、記憶部16と、粗さ層形成信号補正部18とを有して構成される。
【0017】
また、図1中の測定手段20は、後述するキャリブレーションの際に、キャリブレーション用のチャートA等の測定を行い、測定結果を粗さ層形成信号補正部18に送るものである。
なお、測定手段20は、図示例のように作成装置10に外部接続されるものであってもよく、あるいは、作成装置10に内蔵されるものでもよく、あるいは、作成装置10とは全く独立した装置として、測定結果のみを作成装置10(粗さ層形成信号補正部18)に入力するような形態であってもよい。また、これらを適宜選択可能にしてもよい。
【0018】
図示例の作成装置10において、粗さ層形成部14は、プリンタ12から出力されたプリントの表面に、プリントに記録された画像に応じた表面粗さを有する粗さ層を形成するものである(以下、基となるプリントと分けるために、粗さ層を形成したプリントを高品位プリントとする)。
なお、本発明において、粗さ層の形成対象となるハードコピーには、特に限定はなく、写真プリント、各種の印刷物、インクジェットプリンタや電子写真プリンタなどの各種のプリンタから出力されたプリント等、各種のハードコピーが全て利用可能である。
【0019】
粗さ層とは、画像中に存在する物体の素材や、画像中に存在する物体の位置などに応じて、画像の領域毎に異なる表面粗さを有する、透明な層である。
例えば、画像中に存在する物体に応じて、金属製やガラス製などの光沢性の高い物体の領域は表面粗さを小さく(平滑面としても可)とし、逆に、木製や布製などの光沢性の低い物体の領域は表面粗さを大きくする。これにより、画像中に存在する物体の光沢性すなわち物体の質感を好適に表現することができる。
また、画像中に存在する物体の位置に応じて、光沢性の高い物体が手前に存在する場合には、その領域の表面粗さを小さくして、それ以外の領域の表面粗さを大きくする。逆に、光沢性の低い物体が手前に存在する場合には、その領域の表面粗さを大きくして、それ以外の領域の表面粗さを小さくする。このように手前に存在する物質ほど、その質感が強く出るように表面粗さ層の各領域の表面粗さを調整することにより、画像の立体感(奥行き感)を好適に表現できる。
【0020】
粗さ層形成部14において表面粗さ層の形成方法には特に限定はなく、各種の画像記録方法を利用可能である。
一例として、プリントに浸透しない透明インクを用いて、インクジェットによって、プリントの表面に目的とする表面粗さに応じた立体的なドットによる凹凸を形成し、この透明インクを硬化(例えば、インクがUV硬化型であれは、UVの照射)する方法が例示される。また、透明トナーを用いてプリントの表面に立体的なドットを形成し、加熱定着することにより、目的とする表面粗さに応じた凹凸を形成する方法も好適である。さらに、プリントの表面に透明なコーティング層を形成し、このコーティング層を加熱した針によって凹部を形成することにより、目的とする表面粗さに応じた凹凸を形成する方法も利用可能である。なお、凹部の形成方法は、例えば、IBM社による情報記録技術である「ミリピード(Millipede) 」を応用すればよい。
【0021】
このように形成されるドットや凹凸のサイズ(高さおよび径)や形成密度等を制御することにより、プリントの表面に、記録画像の各領域の絵柄等に応じた表面粗さを有する表面粗さ層を形成し、高品位プリントとする。
なお、本発明において、表面粗さ層の表面粗さは、例えば、算出平均表面粗さRa、最大高さRy、十点平均粗さRz等により制御すればよい。また、これ以外にも、表面粗さとなる凹凸の形成密度、同凹凸の形成周波数、同凹凸の形成パターン等によって、表面粗さ層の表面粗さを制御して、画像中に存在する物体の質感や画像の立体感を表現してもよい。
【0022】
なお、粗さ層の形成に先立ち、プリンタ12から出力されたプリントの表面に保護層や光沢層や艶消し層などを形成し、これらを形成されたプリントの表面に粗さ層を形成してもよい。
また、粗さ層はプリントの全面(画像記録面の全域)を覆って形成してもよく、あるいは、画像中の適宜選択された物体に対応する領域のみに形成する等、画像の少なくとも一部に対応して形成してもよい。さらに、粗さ層自身も、形成領域の全域を覆うものに限定はされず、部分的にプリント表面などの下面が露出するものであってもよく、また、独立した凸部を多数形成することによって、凹凸状としたものでもよい。
【0023】
粗さ層形成信号補正部18(以下、形成信号補正部18とする)は、記憶部16が記憶している粗さ層形成信号の補正手段を用いて、外部から供給された粗さ層形成信号を補正して、補正粗さ層形成信号とする。
前述の粗さ層形成部14は、この補正粗さ層信号に応じて、前述のように、プリントの表面に、画像に応じて領域毎に異なる表面粗さを有する粗さ層を形成し、高品位プリントとする。
【0024】
粗さ層を形成することにより、画像に目的とする光沢や立体感等を付与した高品位プリントを安定して出力するためには、粗さ層形成部14が形成する粗さ層の各領域の表面粗さが、供給された粗さ層形成信号に適正に応じたものであることが必要である。
しかしながら、粗さ層形成部14が形成する粗さ層の表面粗さは、作成装置10(粗さ層形成部14)の個体差や、作成装置10の設置環境等に応じて変動してしまい、その結果、供給された粗さ層形成信号に適正に対応せずに変動してしまい、目的とする光沢等が得られない場合も多い。
【0025】
記憶部16が記憶している粗さ層形成信号の補正手段は、このような各種の要因による変動を吸収して、粗さ層形成部14が形成する粗さ層の表面粗さが、供給された粗さ層形成信号に応じた適正なものとなるように、粗さ層形成信号を補正するものである。
これにより、作成装置10は、画像の領域毎に、供給された粗さ層形成信号に応じた表面粗さを有する粗さ層を形成してなる、画像に応じた光沢や立体感等を有する高品位プリントを、安定して作成することができる。
【0026】
このような粗さ層形成信号の補正手段は、本発明にかかる、作成装置10のキャリブレーション(校正)によって作成される。
以下、この作成装置10のキャリブレーションについて、詳細に説明する。なお、以下の説明では、便宜的に、粗さ層の形成に対応するキャリブレーションを粗さキャリブレーション、プリンタ12等による画像記録(可視像の描画)に対応するキャリブレーションを濃度キャリブレーションとする。
【0027】
作成装置10の粗さキャリブレーションを行うを行う際には、好ましくはプリンタ12の濃度キャリブレーションを行った後、プリンタ12によって、粗さキャリブレーション用のチャートAに対応するプリントPを作成する。
本発明においては、後述するように、チャートAの各粗さパッチを形成した部分による反射光を測定(以下、便宜的に、粗さパッチの測定とする)することにより、粗さキャリブレーションを行う。これに対応して、プリントPは、図1に点線で示すように、粗さパッチの形成部分に、全パッチが同濃度の所定濃度のグレーのパッチを複数形成したようなプリントPを出力する。
なお、プリントPにおいては、濃度キャリブレーションのパッチと粗さキャリブレーション用のグレーパッチを同時に形成したものであってもよく、また、濃度キャリブレーション用に作成したグレーパッチを、粗さキャリブレーョンに利用してもよい。
【0028】
ここで、粗さキャリブレーションを行うためのプリントPのグレー濃度には、特に限定はなく、プリンタ12が出力するプリントの種類(例えば、写真プリントか印刷物か等)や粗さ層の形成材料などに応じて、適宜、決定すればよい。
このグレー濃度が濃すぎると、濃度測定の精度が低下するので、このグレー濃度は、1.5を超えないようにするのが好ましい。逆に、グレー濃度が低すぎると、濃度変化量が小さくなり、濃度変化の測定精度が低下するので、このグレー濃度は0.2未満にはならないようにするのが好ましい。
【0029】
次いで、作成装置10(粗さ層形成部14)によって、このプリントPの表面の所定部分に、表面粗さ層の形成と同様にして、表面粗さが異なる粗さ層すなわち粗さパッチを形成し、粗さキャリブレーション用のチャートAを作成する。
チャートAは、図2(A)に模式的に示されるように、前述のプリントPの所定濃度のグレーパッチが形成された部分に、表面粗さが段階的に異なる粗さパッチ(いわば表面粗さのステップウエッジ)を形成してなるものである。なお、粗さパッチの数や表面粗さの段階的な変化量等は、粗さ層の形成方法や粗さ層を形成するプリントの種類に応じて、適宜、決定すればよい。また、チャートA(粗さパッチ)の形成信号は、例えば、記憶部16が記憶しておき、形成信号補正部18が粗さ層形成部14に送ればよい。
【0030】
次いで、測定手段20によって、チャートAの各粗さパッチの測定を行う。
本例においては、一例として、図3(A)に示されるような測定手段20を用いて、粗さパッチの拡散反射光と、正反射光とを測定することにより、粗さキャリブレーションを行う。
なお、本発明において、拡散反射光および正反射光の測定は、必ずしもJISなどの規格における定義に完全に一致して行う必要はない。本発明者の検討によれば、拡散反射光の測定は、幾何条件が30°から60°の間にあれば、他方、正反射光の測定は、幾何条件の入射光線とパッチの法線との角度が20°から85°の間にあれば、適正な粗さキャリブレーションを行うことができる。
【0031】
測定手段20は、基本的に、光源30と、第1センサ32および第2センサ34と、フィルタターレット36とを有して構成される。
光源30は、白色光源で、チャートAの各粗さパッチに測定光を入射する。第1センサ32および第2センサ34は、共に、濃度測定に用いられる公知の光センサで、第1センサ32は、粗さパッチ(チャートAの粗さパッチ形成領域)による測定光の正反射光を、第2センサ34は同拡散光を、それぞれ測定する。
【0032】
フィルタターレット36(以下、ターレット36とする)は、R(赤)フィルタ、G(緑)フィルタ、B(青)フィルタ、および素抜け部を有するターレットで、各フィルタおよび素抜け部を、第2センサ34に入射する拡散光の光路に挿入する。粗さキャリブレーションを行う際には、素抜け部を光路に挿入する。
このターレット36は、粗さキャリブレーションには、特に不要なものであるが、拡散光を測定する第2センサ34に対応して、このようなターレット36を有することにより、プリントの濃度測定を3原色に分解して行うことができ、従って、粗さキャリブレーションと濃度キャリブレーションとで、同じ測定手段を用いることができる。
なお、両キャリブレーションで共用できる測定手段としては、図3(A)に示される構成以外にも、ターレット36を光源30からの測定光光路に対応して配置した構成や、図3(B)に示されるように、測定光の光源として、白色光、R光、G光、およびB光を出射する光源38を用いる構成も好適である。
さらに、本発明においては、センサを第1センサ32もしくは第2センサ34の一方として、正反射光および拡散光の測定に応じて、センサを移動する構成も、好適に利用可能である。
【0033】
測定手段20は、このような粗さパッチの正反射光および拡散反射光の測定を、各粗さパッチについて、順次、行う。なお、この各粗さパッチの測定は、測定手段20(光学系)を移動して行っても、チャートAを移動して行っても、両者を移動して行ってもよい。
【0034】
測定手段20による各粗さパッチの正反射光および拡散反射光の測定結果は、形成信号補正部18に送られる。形成信号補正部18は、この測定結果を用いて、各パッチ毎に、正反射濃度および拡散反射濃度を演算し、さらに、両濃度の濃度差を算出する。
【0035】
一方で、記憶部16には、各粗さパッチ(粗さ層)を形成した粗さ層形成信号に対して、粗さパッチの表面粗さが適正である際に、同様の測定を行った場合の正反射濃度と拡散反射濃度との濃度差が記憶されている。すなわち、この濃度差が、この粗さキャリブレーションにおける各粗さパッチの目標濃度差である。
なお、この粗さキャリブレーション方法では、粗さパッチの正反射濃度と反射光濃度との差を用いてキャリブレーションを行うので、この目標濃度差は、プリントの種類によらず、1つでよい。
【0036】
粗さ層の表面粗さが同じであれば、正反射濃度と拡散反射濃度の濃度差は同じになるはずである。
形成信号補正部18は、各粗さパッチ毎の濃度差を算出したら、記憶部16から各粗さパッチの目標濃度差を読み出して、各粗さパッチ毎に、測定濃度差が目標濃度差になるように粗さ層形成信号を補正する補正量を求める。
さらに、離散的な粗さ層形成信号の間を補間計算して、粗さ層形成信号の補正手段として、粗さ層形成信号(入力信号)を補正して、補正粗さ層形成信号(出力信号)とする粗さ補正テーブル(粗さキャリブレーションテーンブル)を作成する。その一例を、下記表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
なお、粗さキャリブレーションテーブルの演算方法は、この方法に限定はされず、各種のプリンタの濃度キャリブレーションにおけるキャリブレーションテーブルの作成方法等に準じて、各種の方法が利用可能である。
【0039】
作成装置10において、このようにして作成した補正テーブルは、前述のように、記憶部16に記憶する。
また、作成装置10においては、粗さ層を形成する際には、形成信号補正部18が、この粗さ補正テーブル(補正手段)を記憶部16から読み出し、供給された粗さ形成信号を粗さ補正テーブルで補正して、補正粗さ層形成信号として粗さ層形成部14に送るのは、前述のとおりである。さらに、これにより、作成装置10は、供給された粗さ層形成信号に応じた表面粗さを有する粗さ層を形成でき、画像に応じた、目的とする光沢や立体感を付与した、高品位なプリントを安定して作成できるのも、前述のとおりである。
【0040】
以上の例においては、粗さパッチによる正反射濃度および拡散反射濃度を測定して、この濃度差を求めることより、粗さキャリブデーションを行う。これに対して、本発明の別の態様では、粗さ層の表面粗さに起因する画像の濃度変化を利用して、粗さキャリブデーションを行う。
プリントの表面に粗さ層を形成された高品位プリントでは、画像の濃度(見かけ上の濃度)が変化する。ここで、この濃度変化量は表面粗さに応じたものであり、プリントに記録された画像濃度および表面粗さが同じであれば、基本的に、画像濃度の変化量は一定になる。従って、この濃度変化を利用して、粗さキャリブレーションを行うことができる。
【0041】
前述の正反射濃度および拡散反射濃度の濃度差を用いる粗さキャリブレーションでは、複数のセンサ(もしくはセンサの移動手段)が必要であるものの、前述のように、プリントの種類毎に目標値を設定する必要はない。逆に、表面粗さによる濃度変化を用いる粗さキャリブレーションでは、センサは1つでいいが、目標値をプリントの種類毎に設定する必要がある。
従って、いずれの方法を採用するかは、作成装置10に要求されるコストや用途等に応じて、適宜、決定すればよい。
なお、いずれの方法であっても、粗さキャリブレーションは、粗さ層を形成するプリントの種類毎(写真プリントのような感光材料であれば、感光材料種毎)に行う必要がある。
【0042】
以下、この表面粗さに起因する濃度変化を利用する粗さキャリブレーション方法について、説明する。
なお、この粗さキャリブレーション方法は、先の拡散反射濃度と正反射濃度の濃度差を用いる方法と同様もしくは類似する部分が多いので、説明は、図1を引用すると共に、異なる部分を主に行う。
【0043】
この粗さキャリブレーションでは、粗さパッチを形成することによる濃度変化を用いてキャリブレーションを行うので、プリンタ12が画像データに応じた適正濃度の画像(グレーパッチ)を記録できることが重要である。そのため、本態様では、基本的に、粗さキャリブレーションに先立ち、プリントを作成するプリンタ12の濃度キャリブレーションを行う。
【0044】
次いで、プリンタ12によって、一方向に配列されるグレーパッチの列を、前記配列方向と直交する方向に並べて2列形成してなるプリントを、粗さキャリブレーションのチャートを作成するためのプリントとして出力する(図2(B)参照)。このグレーパッチは、全て同じ所定濃度のもので、1列が粗さパッチの形成に対応し、他の列が、粗さパッチを形成しない場合の濃度測定用のグレーパッチ列となる。
なお、この粗さキャリブレーションでは、粗さパッチの形成する前のプリントのグレーパッチ濃度が分かればいいので、同じグレーパッチの列を2列形成する必要はなく、例えば、濃度測定用のグレーパッチは、粗さパッチの配列方向の中央部に1つのみを形成する、あるいは、粗さパッチ列に並べて1つの濃度測定用のグレーパッチを形成するものでもよい。なお、シェーディングによる濃度誤差等を考慮して高精度な粗さキャリブレーションを行うためには、粗さパッチの列全域を覆うように、濃度測定用のグレーパッチを形成するのが好ましい。
【0045】
次いで、粗さ層形成部14によって、一方のグレーパッチ列(図示例では、図中右側の列)に、先と同様に、表面粗さが段階的に異なる粗さパッチ(表面粗さのステップウエッジ)を形成して、図2(B)に示されるような、粗さキャリブレーション用のチャートBを作成する。
【0046】
さらに、このチャートBについて、図3(C)に示されるような測定手段を用いて、グレーパッチおよび粗さパッチの測定を行う。この測定手段は、基本的に、測定光を出射する白色光源40と、粗さパッチ(チャート)に反射された拡散光を測定する、濃度測定に用いられる公知のセンサ42とから構成される。
なお、この測定手段においても、センサもしくは光源に対応して前記ターレット36を配置したり、光源として、R、G、Bおよび白色の光を出射する光源を用いることにより、粗さキャリブレーションと濃度キャリブレーションとを、同じ測定手段で行うことが可能になる。
【0047】
このような測定手段を用いて、チャートBのグレーパッチおよび粗さパッチによる拡散反射光を、順次、測定する。
この測定結果は、形成信号補正部18に送られる。形成信号補正部18は、供給された拡散反射光の測定結果から、それぞれの拡散反射濃度すなわちグレーパッチ濃度および粗さパッチ濃度(パッチ形成領域の画像濃度)を算出する。
形成信号補正部18は、次いで、対を成す(図中横並びの)グレーパッチと粗さパッチとで、濃度差を算出する。前述のように、粗さパッチは、濃度測定用のグレーパッチと同濃度のグレーパッチ上に形成されているので、この濃度差が、すなわち粗さパッチ(その表面粗さ)に応じた見かけ上の濃度変化量となる。
【0048】
先の例と同様、記憶部16には、各粗さパッチを形成した粗さ形成信号に対して、粗さ層の表面粗さが適正である際に、同様の測定を行った場合の濃度変化量が記憶されている。すなわち、先と同様に、この濃度変化量が粗さキャリブレーションにおける目標値である。
なお、画像の濃度特性は、プリントの種類によって異なる。従って、濃度変化量によってキャリブレーションを行う本態様では、前述のように、濃度変化量の目標値は、プリントの種類毎(写真プリントのような感光材料であれば感光材料種毎)に設定する必要がある。
【0049】
形成信号補正部18は、各粗さパッチ毎の濃度変化量を算出したら、記憶部16から前記各粗さパッチの目標濃度変化量を読み出して、各粗さパッチ毎に、粗さパッチの測定濃度変化量が目標濃度変化量となるように粗さ形成信号を補正する補正量を求める。
さらに、先の例と同様にして、離散的な粗さ形成信号の間を補間計算して、粗さ層形成信号の補正手段として、粗さ形成信号を補正する補正テーブル(粗さキャリブレーションテーンブル)を作成する。
【0050】
以上の例は、プリンタ12と、(プリント)作成装置10とが、別体で構成されており、すなわち、後付け的に、プリンタ12に高品位プリントを作成するための作成装置10を付けた様な構成を有するものであるが、本発明は、これ以外にも、画像記録手段と粗さ層の形成手段とを有する高品位プリントの作成装置にも、好適に利用可能である。
図4に、その一例を示す。なお、図4に示される装置では、前述の作成装置10と同様の部位を多数有するので、同じ部位には同じ符号を付し、以下の説明は、異なる点を主に行う。
【0051】
図4に示されるプリント作成装置50(以下、作成装置50とする)は、画像を記録したプリントを作成し、このプリントの表面に粗さ層を形成して高品位プリントとするものである。
このような作成装置50は、基本的に、粗さ層形成部14と、記憶部16および54と、(粗さ層)形成信号補正部18と、粗さ−濃度補正部56と、画像信号補正部58と、画像記録部60とを有して構成される。
また、測定手段20は、後述するキャリブレーションの際に、キャリブレーション用のチャートCの測定を行い、その測定結果を形成信号補正部18および画像信号補正部58に送るものである。
【0052】
作成装置50において、画像記録部60は、公知の画像記録方法を利用して画像記録を行うものであり、写真プリンタ、印刷装置、インクジェットプリンタ、電子写真プリンタ等、作成するハードコピーに応じた各種の画像記録手段が全て利用可能である。
【0053】
作成装置50においては、外部から供給された画像信号に、粗さ−濃度補正部56で補正を行い、さらに、画像信号補正部58で補正を行って、補正画像信号として画像記録部60に供給する。画像記録部60は、この補正画像信号に応じて変調を行って、画像を記録する。
【0054】
前述のように、粗さ層を有する高品位プリントでは、粗さ層の表面粗さに応じて、画像濃度(見かけ上の画像濃度)が変化する。
粗さ−濃度補正部56は、この粗さ層の表面粗さによる濃度変化を補正するもので、粗さ層形成信号(すなわり粗さ層の表面粗さ)に応じて、画像信号を補正する。以下、図5を参照して、粗さ−濃度補正部56について、説明する。
【0055】
図示例において、粗さ−濃度補正部56は、濃度変換手段62と、粗さ−濃度補正テーブル64と、R,GおよびBの各濃度信号に対応して設けられる加算機66と、濃度逆変換手段68とを有して構成される。
図示例の作成装置50において、R,GおよびBの各画像信号は、まず、粗さ−濃度補正部56の濃度変換手段62に供給される。濃度変換手段62は、各画像信号をLUT(ルックアップテーブル)もしくは3×3のマトリクスで変換して、R,GおよびBの各濃度信号とする。
【0056】
一方、図示例の作成装置50においては、粗さ層形成信号は、粗さ層の形成に対応する形成信号補正部18に加え、粗さ−濃度補正部56の粗さ−濃度補正テーブル64にも送られる。
粗さ−濃度補正テーブル64は、粗さ層形成信号すなわち粗さ層の表面粗さに応じた濃度変化に応じて、粗さ層形成信号を、前記濃度変化量に対応する濃度補正量に変換するLUTである。この粗さ−濃度補正テーブル64は、濃度キャリブレーションおよび粗さキャリブレーションの際に作成する。この点に関しては、後に詳述する。
【0057】
濃度変換手段62は変換した濃度信号を、粗さ−濃度補正テーブル64は粗さ層形成信号に応じて変換した濃度補正量を、共に、加算機66に供給する。加算機66は、両者を加算する。
すなわち、この加算により、画像記録部60における記録画像に、形成する粗さ層の表面粗さに応じた補正(表面粗さに起因する濃度変化に対応する補正)が行われる。
【0058】
加算機66で表面粗さに応じた補正を施された濃度信号は、濃度逆変換手段68に送られる。
濃度逆変換手段68は、送られたR,GおよびBの濃度信号を、LUTもしくは3×3のマトリクスによって、先の濃度変換手段62と逆変換して、R,GおよびBの各画像信号として、画像信号補正部58に供給する。
【0059】
画像信号補正部58は、画像記録部60による記録画像を、供給された画像信号に応じた適正な濃度とするために画像信号を補正するものである。具体的には、記憶部54から、後述する濃度キャリブレーションによって作成された画像信号補正手段(いわゆる濃度キャリブレーションテーブル)を読み出し、この画像信号補正手段を用いて、粗さ−濃度補正部56で表面粗さに応じた濃度補正を行われた画像信号を補正して、補正画像信号として画像記録部60に送る。
すなわち、画像信号補正部58は、濃度キャリブレーションによる画像信号の補正を行う、通常の画像記録装置が有する公知のものである。
【0060】
前述のように、作成装置50は、画像記録部60で画像を記録したプリントの表面に、粗さ層形成部14で粗さ層を形成して、高品位プリントとする。
粗さ層形成部14における粗さ層の形成は、基本的に、前述の作成装置10と同様である。すなわち、形成信号補正部18が粗さキャリブレーションで作成した粗さ補正手段を記憶部16から読み出して、これを用いて供給された粗さ層形成信号を補正して、補正形成信号として粗さ層形成部14に送り、粗さ層形成部14は、この補正形成信号に応じて、プリントの表面に粗さ層を形成して、高品位プリントとする。
【0061】
以下、このような作成装置10における、濃度キャリブレーション、粗さキャリブレーション、および粗さ−濃度補正テーブルの作成について、説明する。
【0062】
キャリブレーションを行う際には、まず、画像記録部60において、キャリブレーションに用いるチャートとなるプリントを作成する。
ここで、キャリブレーション用チャートとなるプリントは、濃度キャリブレーション用と、粗さキャリブレーション用途で別々に作成してもよい。しかしながら、前述のように、図3(A)に示される測定手段20等を用いれば、濃度キャリブレーションと粗さキャリブレーションとに対応するチャートの測定を、同じ測定手段で行うことができる。
これに対応して、図示例においては、好ましい態様として、画像記録部60は、C(シアン)、M(マゼンタ)およびY(イエロー)の各色のステップウエッジと、粗さパッチを形成するための同一濃度の複数のグレーパッチを記録したプリントを作成する(図2(C)参照)。なお、カラーのステップウエッジは、通常の濃度キャリブレーションと同様でよく、また、カラーのステップウエッジと、粗さパッチとは、必ずしも、同一段階数である必要はない。
【0063】
キャリブレーションチャート用のプリントを作成したら、これを粗さ層形成部14に供給し、前述の例と同様にして、グレーパッチの上に、表面粗さが段階的に異なる粗さパッチを形成(表面粗さのステップウエッジを形成する)し、図2(C)に示されるような、濃度および粗さキャリブレーション用のチャートCを作成する。
【0064】
なお、濃度と粗さのキャリブレーションを別々のチャートで行う場合には、濃度キャリブレーション用のチャート(=プリント)は、通常の画像記録装置におけるキャリブレーションと同様でよい。また、粗さキャリブレーション用のチャートは、キャリブレーションの方法に応じて、前述の例と同様にすればよい。
【0065】
次いで、測定手段20によって、チャートCの測定を行う。
測定は、一例として、まず、光源30から測定光を出射すると共に、ターレット36の各色フィルタを光路に、順次、作用して、拡散光に対応するセンサ34によって、C,YおよびMの各カラーパッチをR,GおよびBの三原色に分解して測定する。
次いで、ターレット36の素抜け部を光路に作用させて、先の例と同様に、センサ32およびセンサ34によって、粗さパッチ(チャートCの粗さパッチ形成部)による測定光の正反射光および拡散反射光を、それぞれ測定する。
【0066】
各カラーパッチの測定結果は、濃度信号補正部58に送られる。濃度信号補正部58は、この測定結果から各カラーパッチの濃度を算出し、画像信号補正手段(濃度キャリブレーションテーブル)作成する。
この画像信号補正手段の作成は、各種の画像記録装置で行われている公知の濃度キャリブレーション方法で行えばよい。例えば、濃度信号補正部58は、記憶部54から、カラーパッチを形成した画像信号に対応する目標濃度を読み出し、測定濃度と目標濃度との関係から画像信号の補正信号を形成して、離間的な画像信号の間を補間して、画像信号補正手段を作成する。
このように作成した画像信号補正手段は、記憶部54が記憶する。また、濃度キャリブレーションによる演算結果は、粗さ−濃度補正部56に送られる。
【0067】
他方、粗さパッチの測定結果は、形成信号補正部18に送られる。
形成信号補正部18は、前述の例と同様にして、正反射濃度と拡散反射濃度を算出して、各粗さパッチ毎に濃度差を算出し、記憶部16から粗さパッチの目標濃度差を読み出して、各粗さパッチ毎に、粗さパッチの測定濃度差が目標濃度差になるように粗さ形成信号を補正する補正量を求め、離散的な粗さ形成信号の間を補間計算して、粗さ層形成信号を補正する補正テーブル(粗さキャリブレーションテーブル)を作成する。
前述の例と同様、この補正テーブルは記憶部16が記憶する。また、形成信号補正部が算出した各粗さパッチの拡散反射濃度すなわち粗さパッチの濃度は、粗さ−濃度補正部56に送られる。
【0068】
このようにして濃度キャリブレーションおよび粗さキャリブレーションを終了したら、次に、粗さ−濃度補正部56において、粗さ−濃度補正テーブル64の作成を行う。
【0069】
まず、濃度キャリブレーションの演算結果から、画像信号と、この画像信号に対応する単色濃度との関係を用いて、チャートC用のプリントにおけるグレーパッチの各単色濃度を求め、単色濃度から3色の積分濃度を求めることにより、前記グレーパッチの予測濃度を算出する。
次いで、この予測濃度と、各粗さパッチの測定濃度(拡散反射濃度)とから、粗さパッチを形成したことによる濃度変化量を算出して、各粗さパッチ毎に、濃度変化量に対する濃度補正量を算出する。
さらに、離散的な画像信号間を補間演算して、下記表2に示されるような、粗さ−濃度補正テーブル64を作成する。
【0070】
【表2】
【0071】
前述のように、図示例の作成装置50では、画像記録部60は、粗さ−濃度補正部56において粗さ層形成信号(=粗さ層の表面粗さ)に応じた濃度補正を施し、さらに、画像信号補正部58において濃度キャリブレーションによる濃度補正を施した画像信号を用いて画像記録(プリントの作成)を行う。また、粗さ層形成部14は、形成信号補正部18において粗さキャリブレーションによる信号補正を施された補正粗さ層形成信号を用いて、前記プリントの表面に粗さ層の形成を行う。
従って、作成装置50によれば、画像信号に応じた適正な濃度を有し、かつ、粗さ層形成信号に応じた適正な表面粗さを有する粗さ層を有する、高画質で、かつ、好適な質感や立体感を有する高品位プリントを、安定して作成できる。
【0072】
図4に示される作成装置50は、粗さパッチの拡散反射濃度および正反射濃度を測定してキャリブレーションを行っているが、濃度キャリブレーションおよび粗さキャリブレーションの両者を行う態様においても、先に説明した、粗さパッチの表面粗さに応じた濃度変化を用いてキャリブレーションを行うことも可能である。
なお、この濃度変化を用いるキャリブレーション方法は、先の拡散反射濃度と正反射濃度を用いる方法と同様もしくは類似する部分が多いので、説明は、図4を引用すると共に、異なる部分を主に行う。
【0073】
前述の例と同様にして、画像記録部60および粗さ形成部14によって、チャートCを作成する。
次いで、図3(C)に示される測定手段のセンサ42に対応してターレット36を配置した測定手段を用い、まず、各カラーパッチ毎に、ターレット36の色フィルタを、順次、光路中に作用して、拡散光をR、GおよびBの3原色に分解してセンサ40によって測定し、その結果を画像信号補正手段58に送り、さらに、ターレット36の素抜け部を作用させて、拡散光をセンサ40によって測定し、形成信号補正部18に送る。
【0074】
画像信号補正手段58は、この拡散光の測定結果からチャートCの各カラーパッチの濃度を算出し、先の例と同様にして画像信号補正手段(濃度キャリブレーションテーブル)を作成して、記憶部54が記憶する。
ここで、本態様においては、画像信号補正手段58による濃度キャリブレーションの演算結果は、粗さ層の形成に対応する形成信号補正部18に送る。
【0075】
他方、形成信号補正部18は、測定された粗さパッチの拡散光から拡散濃度すなわち粗さパッチの濃度を算出する。
さらに、形成信号補正部18は、先の粗さ−濃度補正部56と同様にして、濃度キャリブレーションの演算結果から、画像信号と、この画像信号に対応する単色濃度との関係を用いて粗さパッチ形成用のグレーパッチの各単色濃度を求め、単色濃度から積分濃度を求めて、グレーパッチの予測濃度を算出する。
次いで、粗さパッチの測定濃度と、グレーパッチの予測濃度とから、粗さパッチを形成したことによる濃度変化量を算出する。ここで、本態様においては、この濃度変化量は、粗さ−濃度補正部56にも送られる。
【0076】
先の例と同様、記憶部16には、粗さパッチを形成したことによる濃度変換の目標濃度変化量が記憶されている。
形成信号補正部18は、各粗さパッチ毎の濃度変化量を算出したら、先の例と同様に、記憶部16から前記各粗さパッチの目標濃度変化量を読み出して、各粗さパッチ毎に、粗さパッチの測定濃度変化量が目標濃度変化量となるように粗さ形成信号を補正する補正量を求め、離散的な粗さ形成信号の間を補間計算して、粗さ層形成信号の補正手段として、粗さ形成信号を補正する補正テーブル(粗さキャリブレーションテーンブル)を作成し、記憶部16がこれを記憶する。
【0077】
このようにして濃度キャリブレーションおよび粗さキャリブレーションが終了したら、次いで、粗さ−濃度補正部56において、粗さ−濃度補正テーブルを作成する。
前述のように、本態様では、粗さキャリブレーションの際に算出した、各粗さパッチによる濃度変化量が、粗さ−濃度補正部56に送られている。従って、粗さ−濃度補正部56は、この濃度変化量を用いて、各粗さパッチ毎に、濃度変化量に対する濃度補正量を算出する。さらに、離散的な画像信号間を補間演算して、先と同様の粗さ−濃度補正テーブル64を作成する。
【0078】
ここで、画像記録部60による発色特性が不適性であると、適正なグレーパッチを記録することができず、粗さキャリブレーションを適正に行うことはできない。すなわち、濃度キャリブレーションがある程度収束した状態でないと、正確な粗さキャリブレーションを行うことができず、実施しても無駄になる。
従って、このように濃度キャリブレーションと粗さキャリブレーションとの両方を行う場合には、キャリブレーション開始当初は、濃度キャリブレーションのみを行い、粗さキャリブレーションは、濃度キャリブレーションがある程度収束した段階で行うのが好ましく、特に、濃度キャリブレーションを収束させる最終段階となった時点で、粗さキャリブレーションを行うのが好ましい。
【0079】
以上の例では、粗さキャリブレーションの目標値は、画像の濃度域によらず、一定の目標値を用いて、粗さキャリブレーションを行っている。
しかしながら、このような粗さ層を有する高品位プリントにおいては、プリントの種類や粗さ層の形成材料等に応じて、粗さ層の効果が画像濃度に応じて変動する場合がある。この場合には、濃度域毎に目標値を定めて、粗さキャリブレーションを行い、各濃度域毎に、粗さ層形成信号の補正手段(粗さキャリブレーションテーブル)を作成し、記憶部16に記憶しておくのが好ましい。
【0080】
このように濃度域毎に粗さキャリブレーションの目標値を定め、粗さ層形成信号補正手段を設けた場合には、図6に示されるように、粗さ層形成信号の処理系に濃度変換手段70を設け、ここにプリントに記録する画像のR,GおよびBの画像信号を供給する。
この濃度変換手段70は、LUTや3×3のマトリクスを用いてR,GおよびBの画像信号を濃度信号に変換し、最低濃度値を選択し、その結果を形成信号補正部18に供給する。
形成信号補正部18は、この最低濃度値に応じて、記憶部16から対応する粗さ層形成信号の補正手段を選択して読み出し、これを用いて、供給された粗さ層形成信号を補正して、補正粗さ層形成信号とする。
【0081】
前述のように、粗さ層を形成する高品位プリントでは、粗さ層の表面粗さに応じて、画像濃度(見かけ上の濃度)が変化する。そのため、粗さ層の表面粗さと画像濃度との組み合わせによっては、観察される画像が不適性になってしまう場合も有り得る。そのため、画像濃度と表面粗さとの間に、何らかの制限を設けるのが好ましい。
【0082】
この制限には、特に限定は無いが、好ましい一例として、画像濃度をD、粗さ層の形成による濃度変化量をX、プリントが表現できる最小濃度をDmin 、同最大濃度をDmax とした際に、下記の2つ式を満たすように粗さ層を形成することが例示される。
D−Dmin ≧X、および、Dmax −D≧X
この式は、すなわち、粗さ層の形成による濃度変化の結果、見かけ上の画像濃度が最低濃度Dmin 未満となること、および、最高濃度Dmax を超えることを防止して、適正な高品位プリントを安定して作成するものである。
【0083】
以上、本発明のキャリブレーション方法およびプリント作成装置について、詳細に説明したが、本発明は上述の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0084】
例えば、本発明においては、上記実施例のみならず、例えば、前述の特許文献1や特許文献2に開示されるプリント作成に対応して、粗さキャリブレーションを行うことも可能である。
また、前記図4に示されるプリント作成装置は、濃度キャリブレーションの結果および粗さキャリブレーションの結果に応じて、粗さ層形成の結果生じる濃度変動を補正する濃度補正手段を作成して画像信号を補正しているが、本発明は、これに限定はされず、表面粗さに対応する濃度補正を行わず、濃度キャリブレーションおよび粗さキャリブレーションのみを行うものであってもよい。
【0085】
また、以上の例では、粗さキャリブレーションのための測定光として、白色光を用いているが、本発明は、これに限定はされず、彩色光を測定光として用いてもよい。
前述のように、発明では、粗さパッチによる拡散濃度と正反射濃度の差や、粗さパッチによる濃度変化を用いて、粗さキャリブレーションを行う。従って、無彩色ではなくても、粗さ層形成信号に対して、拡散濃度と正反射濃度の差や濃度変化の関係を、ある特定の色に対して設定しておくことにより、好適に粗さキャリブレーションを行うことができる。
【0086】
さらに、以上の例では、粗さ層形成信号の補正手段として、粗さキャリブレーションテーブルを作成しているが、本発明は、これに限定はされず、粗さキャリブレーションを行って、粗さ層形成信号の補正関数を作成してもよい。
【0087】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、写真プリントや印刷物などのプリントの表面粗さを調整して、画像の質感や立体感を表現する画像形成において、プリントの表面粗さを目的とする状態に適正に調整することができ、高品位なプリントを安定して作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプリント作成装置の一例のブロック図である。
【図2】(A),(B)および(C)は、それぞれ、本発明のキャリブレーション方法におけるキャリブレーションチャートの一例の概念図である。
【図3】(A),(B)および(C)は、それぞれ、本発明のキャリブレーション方法における測定手段の一例の概念図である。
【図4】本発明のプリント作成装置の別の例のブロック図である。
【図5】図4に示されるプリント作成装置の粗さ/濃度補正手段のブロック図である。
【図6】本発明のプリント作成装置の別の例のブロック図である。
【符号の説明】
10,50 (プリント)作成装置
12 プリンタ
14 粗さ層形成部
16,54 記憶部
18 (粗さ層)形成信号補正部
20 測定手段
30,38,40 光源
32,34,42 センサ
36 (フィルタ)ターレット
56 粗さ−濃度補正部
58 画像信号補正部
60 画像記録部
62,70 濃度変換手段
64 粗さ−濃度補正テーブル
66 加算器
68 濃度逆変換手段
Claims (9)
- 画像を記録されたハードコピーの表面に、形成信号に応じて、前記ハードコピーの画像に対応する表面粗さを有する粗さ層を形成するハードコピー作成において、
表面粗さが異なる複数の粗さパッチを形成し、各粗さパッチに測定光を入射して反射光を測定し、
前記粗さパッチの実測値と、予め知見した、前記粗さパッチを形成した形成信号による適正な粗さパッチによる反射光に対応する基準値とから、前記実測値が基準値となるように、前記形成信号を補正する粗さ補正手段を作成することを特徴とするキャリブレーション方法。 - 前記実測値として、形成した前記粗さパッチによる正反射光および拡散反射光を測定して両者の差分を算出し、前記基準値として、前記適正な粗さパッチによる正反射光と拡散反射光との差分を知見しておき、
この差分を用いて前記粗さ補正手段を作成する請求項1に記載のキャリブレーション方法。 - 前記粗さパッチをハードコピー上の規定濃度領域に形成し、前記ハードコピーの粗さパッチを形成された領域の濃度を測定して、前記実測値として、この測定濃度の前記規定濃度からの変化量を算出し、
前記基準値として、前記規定濃度上に適正な粗さパッチを形成した際における、前記ハードコピーの測定濃度の規定濃度からの変化量を知見しておき、
この変化量を用いて前記粗さ補正手段を作成する請求項1に記載のキャリブレーション方法。 - 前記粗さ補正手段の作成に先立ち、前記画像を記録する画像記録装置の濃度キャリブレーションを行う請求項1〜3のいずれかに記載のキャリブレーション方法。
- 前記粗さ補正手段の作成に先立ち、前記画像を記録する画像記録装置の濃度キャリブレーションを行い、かつ、前記粗さパッチは、前記画像記録装置によって画像を記録したハードコピーの一定濃度領域上に形成するものであり、
前記濃度キャリブレーションの際における濃度パッチの濃度測定結果を用いて、前記一定濃度を知見し、さらに、前記拡散反射光を用いて、前記ハードコピーの各粗さパッチを形成した領域の濃度を算出し、
前記一定濃度と各粗さパッチの形成領域の濃度とを用いて、前記粗さ層を形成した後におけるハードコピーの濃度が、前記画像記録装置における画像データに対応する濃度となるように、前記画像データを補正する粗さ−濃度補正手段を作成する請求項2に記載のキャリブレーション方法。 - 前記粗さ補正手段の作成に先立ち、前記画像を記録する画像記録装置の濃度キャリブレーションを行い、
前記規定濃度と、前記測定濃度とを用いて、前記粗さ層を形成した後におけるハードコピーの濃度が、前記画像記録装置における画像データに対応する濃度となるように、前記画像データを補正する粗さ−濃度補正手段を形成する請求項3に記載のキャリブレーション方法。 - 画像を記録されたハードコピーの表面に、形成信号に応じて、前記ハードコピーの画像に対応する表面粗さを有する粗さ層を形成するハードコピー作成装置であって、前記請求項1〜6のいずれかに記載のキャリブレーション方法で作成した粗さ補正手段を用いて補正した形成信号に応じて前記粗さ層を形成することを特徴とするハードコピー作成装置。
- 画像信号に応じて画像を記録したハードコピーを作成し、さらに、その表面に、形成信号に応じて、ハードコピーに記録した画像に対応する表面粗さを有する粗さ層を形成するハードコピー作成装置であって、
前記請求項5または6に記載のキャリブレーション方法で作成した粗さ−濃度補正手段を用いて画像信号を補正して記録媒体に画像を記録し、かつ、前記請求項5または6に記載のキャリブレーション方法で作成した粗さ補正手段を用いて補正した形成信号に応じて前記粗さ層を形成することを特徴とするハードコピー作成装置。 - 画像を記録されたハードコピーの表面に、形成信号に応じて、前記ハードコピーの画像に対応する表面粗さを有する粗さ層を形成する形成手段と、
前記形成手段によって、前記記録媒体の上層に表面粗さが異なる複数の粗さパッチを形成する制御手段と、
前記各粗さパッチに測定光を入射して反射光を測定する測定手段と、
前記粗さパッチの実測値と、予め知見した、前記粗さパッチを形成した形成信号による適正な粗さパッチによる反射光に対応する基準値とから、前記実測値が基準値となるように、前記形成信号を補正する粗さ補正手段を作成する作成手段とを有し、
前記形成手段は、前記粗さ補正手段によって補正した形成信号を用いて、前記粗さ層を形成することを特徴とするハードコピー作成装置。
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