JP2004194506A - 風味油およびその製造法 - Google Patents
風味油およびその製造法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004194506A JP2004194506A JP2002363388A JP2002363388A JP2004194506A JP 2004194506 A JP2004194506 A JP 2004194506A JP 2002363388 A JP2002363388 A JP 2002363388A JP 2002363388 A JP2002363388 A JP 2002363388A JP 2004194506 A JP2004194506 A JP 2004194506A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- oil
- wasabi
- flavor
- edible
- fat
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Edible Oils And Fats (AREA)
Abstract
【課題】わさびの香気と風味を付与する新しいタイプの風味油、特にわさびの香気と風味を長時間持続させた新しいタイプの風味油とその製造法の提供を目的とし課題とする。
【解決手段】植物性油脂、特にオリーブ油などの食用油脂に、わさびの香味成分を添加したことを特徴とするわさび風味油と、その製造法。
【解決手段】植物性油脂、特にオリーブ油などの食用油脂に、わさびの香味成分を添加したことを特徴とするわさび風味油と、その製造法。
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、わさびの香気と風味を付与したわさび風味油およびその製造法に関する。特に本発明はわさびの香気と風味を長時間持続させたわさび風味油とその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
風味油、あるいは香味油は、従来より料理に香味野菜の香味、風味を付与するために使用されている。
風味油においては、従来から香辛野菜の風味を損なわずに、簡便、有利に製造する工夫など種々行われており、食用油脂と生野菜を加熱後油相を採取する方法(特許文献1参照)、乾燥植物性食品を油脂と共に特定温度で加熱後油相を採取する方法(特許文献2参照)、食用油脂と野菜を二軸エクストルーダーに供給し、特定温度で、特定時間加熱抽出処理し、押出して油相を採取する方法(特許文献3参照)、油脂に乾燥ないし半乾燥植物性食品を特定量加え、特定温度で特定時間加熱後油相を採取する方法(特許文献4参照)、食用油脂に香辛料及びまたは香味野菜を浸漬し、遠赤外線照射して抽出する方法(特許文献5参照)や、爽快な香りを濃厚に有する香味油を製造する工夫として液体状態あるいは超臨界状態のCO2中に香気を溶解・移行させ、これを気化させて食用油に接触、香気成分を吸収させる方法(特許文献6参照)などが知られている。
【0003】
しかしながら、風味油に風味付けするための香味野菜としてニンニク、タマネギ、長ネギ、唐辛子、ニンジン、パセリ、バジルなどが具体的に使用されているが、日本独特の香辛料であるわさびを使用する例は知られていない。
わさびは、独特の辛味と風味を有し、刺身、寿司、そばつゆ等の薬味として古くから汎用され、最近では和風ドレッシング材料としても使用されるようになってきている(特許文献7など参照)が、料理にわさびの香りと豊かな味わいを与えるために、植物性油脂、特にオリーブ油を主体とする風味油を、わさびで特徴付けすることは知られていない。
【0004】
【特許文献1】特公昭59−004972号公報
【特許文献2】特開昭61−124343号公報
【特許文献3】特開昭62−198353号公報
【特許文献4】特開平03−254638号公報
【特許文献5】特開平05−316989号公報
【特許文献6】特開平06−125707号公報
【特許文献7】特開2001−061440号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、わさびの香気と風味を付与する新しいタイプの風味油、特にわさびの香気と風味を長時間持続させた新しいタイプの風味油とその製造法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような技術水準下において、新しい調味材料の開発を目的に、わさびが有する独特の香りと風味を生かしたこれまで提供されることがなかった調理材料への応用に着目し、さらに鋭意検討した結果、植物性油脂、特にオリーブ油にわさびを添加するときは、これまでにない独特な香りと味わいを有する風味油の提供を可能にしうることを知見した。本発明は、該知見に基づいて完成されたものであり、食用油脂にわさびの香辛成分を添加したことを特徴とするわさび風味油に関するものである。特に、本発明は食用油脂としてオリーブ油の選択に特徴を有するものである。さらに、本発明は食用油脂にわさび又はその擂砕物を浸漬して加熱、冷却し、濾別した抽出油に必要によりさらに香辛成分のイソシアネート類を添加してなるわさび風味油に関する。またさらに、食用油脂に、わさび又はその擂砕物を浸漬して加熱する工程、抽出油を冷却し、濾過して抽出油を採取する工程、必要によりさらに該抽出油に香辛成分のイソシアネート類を添加する工程からなるわさび風味油の製造法に関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明をさらに詳細に説明する。本発明において用いられる食用油脂としては、オリーブ油、コーン油、サフラワー油、ヒマワリ油、パーム油、大豆油、菜種油、綿実油、ゴマ油など食用に供される植物性の食用油脂であれば特に限定はないが、特にオリーブ油が、わさびの独特の香り、風味と相俟って料理に独特の香りと豊かな味わいを付与しうる風味油を提供しうる食用油脂として特に好適である。また、オリーブ油は、特にその産地を問うものではないが地中海地方産、特にスペイン産のエキストラバージンオリーブ油が好適である。本発明の食用油脂は、上記食用油脂の単品に限定されるものでなく、本発明の目的を損なわない限り、その混合物であってもよい。
【0008】
また、本発明において用いられる「わさび」とは、沢わさび、畑わさびなどの本わさび、西洋わさび(ホースラディッシュ)など、本発明の風味油とすることにより本発明の目的を達成しうる全てのわさびが含まれる。原料として用いられるわさびの部分としては、本わさびおよび/または西洋わさびの根茎部分のみに限定されるものではなく、その細根、腋芽、葉柄および葉にも辛味成分が含まれていることは周知であり、これらの部分も使用できる。わさびの辛味成分であるアリルイソチオシアネート類は、グルコースと結合したシニグリン配糖体の構成成分としてわさび中に存在しており、わさびを破砕などでその組織細胞を破壊すると、前記配糖体は酵素ミロシナーゼの作用により分解され、アリルイソチオシアナート類を遊離する。従って、本発明のわさび香辛成分としては、アリルイソチオシアネート類を含む前記「わさび」の、根茎だけでなく、アリルイソチオシアネート類を含有するわさびの全ての部分、あるいは根茎やこれらの部分の混合成分、あるいはアリルイソチオシアネート類に包含されるアリル辛子油、アリルイソチオシアネートなどの天然又は合成由来の香辛性を有するイソチオシアネート化合物の全てが挙げられる。また、本発明の香味成分としては上記のわさび等が挙げられるが、香味成分として、本発明の目的を損なわない限り、他の香味野菜、例えばニンニク、タマネギ、長ネギ、唐辛子、ニンジン、パセリ、バジルの香味成分添加を妨げるものではない。これらの添加成分は2種以上であってもよい。
【0009】
本発明のわさび風味油を製造するには、まず原料としてのわさびをそのまま、又はそれを細片化し、これを食用油脂に浸漬して、加熱する。細片化は、ミキサー、カッターミキサーなどの粉砕混合機を用いて、200μm〜3000μm程度の大きさに細片化するのが好適である。また、細片化に先立ち、プレス装置を用いて、原料であるわさび製品から水分を除去して実施することもできる。浸漬されるわさび擂砕物の残存水分は、10〜30重量%程度が好ましく、必要ならば、減圧下乾燥法など、わさびの風味を逃さない乾燥法を適用することができる。また、わさびの食用油脂に浸漬する割合は、食用油脂100重量部に対し、わさび擂砕物10〜30重量部であることが、安定に風味を付与する上で好適である。加熱は、遠赤外線照射の方法も採用しうるが、100〜120℃程度の比較的に低温度で短時間加熱するか、あるいは減圧下で30〜60℃程度で比較的長時間加熱処理するのが、わさびやオリーブ油などの食用油脂の変質を避ける上で好ましい。加熱時間は、乾燥方法や製品における香辛成分の香りと風味を考慮して、10分から24時間の範囲内で適宜調節するのが好ましい。
【0010】
次いで、風味付けされた食用油脂を濾過して抽出油相を採取する。この際の濾過、採取は、当分野において通常採用される濾過手段、油相採取手段が適用できる。採取された油相は、このまま製品とすることも可能であるが、好ましくは必要に応じて適宜の添加物を添加し、必要ならばさらにわさびの香辛成分であるアリルイソチオシアナートを添加配合することがわさび風味油の香り、風味の均一性を維持ないしは保持させる上で好適である。必要により添加される添加剤としては、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、グアーガム、カラギーナン、寒天、ペクチン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロースまたはその塩類などの増粘剤、アスコルビン酸、トコフェロール類、エリソルビン酸、ローズマリー抽出物などの酸化防止剤、クエン酸、りんご酸、酢酸、リン酸、炭酸またはその塩類などの緩衝剤、シクロデキストリン類、マルトデキストリン類などのデキストリン類、蔗糖、ブドウ糖、グルコース、果糖、デンプン、セルロース類、キシリット、ソルビット、エリスリトール、マンンニトール、トレハロースなどの糖類や糖アルコール類、大豆レシチン、卵黄レシチン、キトサン、水溶性ヘミセルロース類、ポリグリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、有機酸脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの乳化剤、食塩、塩化カリウム、塩化マグネシウムなどの塩類などが挙げられる。これらは必要に応じ、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。このようにして得られた、わさび風味油は従来の風味油に比べ独特の香り、豊かな味わいを示すものであり、サーモントロのタルタル、ブロッコリーとロッテレのわさびクリームソース、マグロのカルパッチョ(わさび風味)、イカの刺身、鴨ステーキ野菜添えなど各種の料理で、それ自体を料理に振りかける調味用として、あるいは調理する調味料の一つとして、あるいはドレッシングなどの調味料材料の一つとして利用できる。また、本発明のわさび風味油はパスタ料理、中華料理、焼肉用、野菜炒めなど、和洋中華にとらわれず使用しうる利点をも有するものである。
【0011】
【実施例】
下記に、本発明の内容を例を挙げて説明するが、これにより本発明は何ら規定されるものではない。
実施例1
本わさび茎、葉柄および葉部10kgを、プレス機で圧搾して、水分を除き、これをミキサーで200〜3000μmの大きさに裁断し、暫時放置し辛味を発現させる。これを食用オリーブ油(エキストラバージンオイル:スペイン産)35kgに浸漬して、減圧下に30℃で12時間加熱し、急速に冷却して、濾過し、わさび抽出油43.8kgを得た。これに、アリル辛子油0.1kgを添加し、均一に混合して、720ml入り風味油充填瓶に充填し、風味油包装品とした。
【0012】
実施例2
本わさび茎、葉柄および葉部5kgおよび西洋わさび根茎部5kgを、それぞれプレス機で圧搾して、水分を除き、これらをミキサーで200〜3000μmの大きさに裁断し、暫時放置し辛味を発現させる。これを食用オリーブ油(エキストラバージンオイル:スペイン産)35kgに浸漬して、120℃で10分間加熱し、急速に冷却して、濾過し、わさび抽出油43.3kgを得た。これに、アリル辛子油0.2kgを添加し、均一に混合して、720ml入り風味油充填瓶に充填し、風味油包装品とした。
【0013】
実験例1
マグロを薄くスライスし、器に広くしきつめ、水菜、サラダ菜、かいわれ大根を一口大に切り、ラディッシュを薄切りし、これら全てを冷水に放ち、ぱりっとさせて水気を切る。ボールに実施例1〜2のわさび風味オリーブ油、白ワインビネガー、醤油、塩、こしょう、レモン汁を入れて混ぜ、ドレッシングソースを作る。前記のマグロに塩、こしょうをかけ、これに前記ドレッシングソースをかけ、さらに前記野菜をのせて製した本発明のわさび風味オリーブ油を含有するマグロのカルパッチョ(わさび風味)について、10名のパネラーで官能評価を行った結果、本発明のわさび風味オリーブ油を使用したドレッシングが入った料理が、独特で豊かで好ましい風味を示したことが確認された。
【0014】
【発明の効果】
本発明は、独特の香りと豊かな味わいを調理品に付与するこれまでにない新しいタイプの風味油とその製造法を提供するものとして優れている。
【発明が属する技術分野】
本発明は、わさびの香気と風味を付与したわさび風味油およびその製造法に関する。特に本発明はわさびの香気と風味を長時間持続させたわさび風味油とその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
風味油、あるいは香味油は、従来より料理に香味野菜の香味、風味を付与するために使用されている。
風味油においては、従来から香辛野菜の風味を損なわずに、簡便、有利に製造する工夫など種々行われており、食用油脂と生野菜を加熱後油相を採取する方法(特許文献1参照)、乾燥植物性食品を油脂と共に特定温度で加熱後油相を採取する方法(特許文献2参照)、食用油脂と野菜を二軸エクストルーダーに供給し、特定温度で、特定時間加熱抽出処理し、押出して油相を採取する方法(特許文献3参照)、油脂に乾燥ないし半乾燥植物性食品を特定量加え、特定温度で特定時間加熱後油相を採取する方法(特許文献4参照)、食用油脂に香辛料及びまたは香味野菜を浸漬し、遠赤外線照射して抽出する方法(特許文献5参照)や、爽快な香りを濃厚に有する香味油を製造する工夫として液体状態あるいは超臨界状態のCO2中に香気を溶解・移行させ、これを気化させて食用油に接触、香気成分を吸収させる方法(特許文献6参照)などが知られている。
【0003】
しかしながら、風味油に風味付けするための香味野菜としてニンニク、タマネギ、長ネギ、唐辛子、ニンジン、パセリ、バジルなどが具体的に使用されているが、日本独特の香辛料であるわさびを使用する例は知られていない。
わさびは、独特の辛味と風味を有し、刺身、寿司、そばつゆ等の薬味として古くから汎用され、最近では和風ドレッシング材料としても使用されるようになってきている(特許文献7など参照)が、料理にわさびの香りと豊かな味わいを与えるために、植物性油脂、特にオリーブ油を主体とする風味油を、わさびで特徴付けすることは知られていない。
【0004】
【特許文献1】特公昭59−004972号公報
【特許文献2】特開昭61−124343号公報
【特許文献3】特開昭62−198353号公報
【特許文献4】特開平03−254638号公報
【特許文献5】特開平05−316989号公報
【特許文献6】特開平06−125707号公報
【特許文献7】特開2001−061440号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、わさびの香気と風味を付与する新しいタイプの風味油、特にわさびの香気と風味を長時間持続させた新しいタイプの風味油とその製造法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような技術水準下において、新しい調味材料の開発を目的に、わさびが有する独特の香りと風味を生かしたこれまで提供されることがなかった調理材料への応用に着目し、さらに鋭意検討した結果、植物性油脂、特にオリーブ油にわさびを添加するときは、これまでにない独特な香りと味わいを有する風味油の提供を可能にしうることを知見した。本発明は、該知見に基づいて完成されたものであり、食用油脂にわさびの香辛成分を添加したことを特徴とするわさび風味油に関するものである。特に、本発明は食用油脂としてオリーブ油の選択に特徴を有するものである。さらに、本発明は食用油脂にわさび又はその擂砕物を浸漬して加熱、冷却し、濾別した抽出油に必要によりさらに香辛成分のイソシアネート類を添加してなるわさび風味油に関する。またさらに、食用油脂に、わさび又はその擂砕物を浸漬して加熱する工程、抽出油を冷却し、濾過して抽出油を採取する工程、必要によりさらに該抽出油に香辛成分のイソシアネート類を添加する工程からなるわさび風味油の製造法に関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明をさらに詳細に説明する。本発明において用いられる食用油脂としては、オリーブ油、コーン油、サフラワー油、ヒマワリ油、パーム油、大豆油、菜種油、綿実油、ゴマ油など食用に供される植物性の食用油脂であれば特に限定はないが、特にオリーブ油が、わさびの独特の香り、風味と相俟って料理に独特の香りと豊かな味わいを付与しうる風味油を提供しうる食用油脂として特に好適である。また、オリーブ油は、特にその産地を問うものではないが地中海地方産、特にスペイン産のエキストラバージンオリーブ油が好適である。本発明の食用油脂は、上記食用油脂の単品に限定されるものでなく、本発明の目的を損なわない限り、その混合物であってもよい。
【0008】
また、本発明において用いられる「わさび」とは、沢わさび、畑わさびなどの本わさび、西洋わさび(ホースラディッシュ)など、本発明の風味油とすることにより本発明の目的を達成しうる全てのわさびが含まれる。原料として用いられるわさびの部分としては、本わさびおよび/または西洋わさびの根茎部分のみに限定されるものではなく、その細根、腋芽、葉柄および葉にも辛味成分が含まれていることは周知であり、これらの部分も使用できる。わさびの辛味成分であるアリルイソチオシアネート類は、グルコースと結合したシニグリン配糖体の構成成分としてわさび中に存在しており、わさびを破砕などでその組織細胞を破壊すると、前記配糖体は酵素ミロシナーゼの作用により分解され、アリルイソチオシアナート類を遊離する。従って、本発明のわさび香辛成分としては、アリルイソチオシアネート類を含む前記「わさび」の、根茎だけでなく、アリルイソチオシアネート類を含有するわさびの全ての部分、あるいは根茎やこれらの部分の混合成分、あるいはアリルイソチオシアネート類に包含されるアリル辛子油、アリルイソチオシアネートなどの天然又は合成由来の香辛性を有するイソチオシアネート化合物の全てが挙げられる。また、本発明の香味成分としては上記のわさび等が挙げられるが、香味成分として、本発明の目的を損なわない限り、他の香味野菜、例えばニンニク、タマネギ、長ネギ、唐辛子、ニンジン、パセリ、バジルの香味成分添加を妨げるものではない。これらの添加成分は2種以上であってもよい。
【0009】
本発明のわさび風味油を製造するには、まず原料としてのわさびをそのまま、又はそれを細片化し、これを食用油脂に浸漬して、加熱する。細片化は、ミキサー、カッターミキサーなどの粉砕混合機を用いて、200μm〜3000μm程度の大きさに細片化するのが好適である。また、細片化に先立ち、プレス装置を用いて、原料であるわさび製品から水分を除去して実施することもできる。浸漬されるわさび擂砕物の残存水分は、10〜30重量%程度が好ましく、必要ならば、減圧下乾燥法など、わさびの風味を逃さない乾燥法を適用することができる。また、わさびの食用油脂に浸漬する割合は、食用油脂100重量部に対し、わさび擂砕物10〜30重量部であることが、安定に風味を付与する上で好適である。加熱は、遠赤外線照射の方法も採用しうるが、100〜120℃程度の比較的に低温度で短時間加熱するか、あるいは減圧下で30〜60℃程度で比較的長時間加熱処理するのが、わさびやオリーブ油などの食用油脂の変質を避ける上で好ましい。加熱時間は、乾燥方法や製品における香辛成分の香りと風味を考慮して、10分から24時間の範囲内で適宜調節するのが好ましい。
【0010】
次いで、風味付けされた食用油脂を濾過して抽出油相を採取する。この際の濾過、採取は、当分野において通常採用される濾過手段、油相採取手段が適用できる。採取された油相は、このまま製品とすることも可能であるが、好ましくは必要に応じて適宜の添加物を添加し、必要ならばさらにわさびの香辛成分であるアリルイソチオシアナートを添加配合することがわさび風味油の香り、風味の均一性を維持ないしは保持させる上で好適である。必要により添加される添加剤としては、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、グアーガム、カラギーナン、寒天、ペクチン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロースまたはその塩類などの増粘剤、アスコルビン酸、トコフェロール類、エリソルビン酸、ローズマリー抽出物などの酸化防止剤、クエン酸、りんご酸、酢酸、リン酸、炭酸またはその塩類などの緩衝剤、シクロデキストリン類、マルトデキストリン類などのデキストリン類、蔗糖、ブドウ糖、グルコース、果糖、デンプン、セルロース類、キシリット、ソルビット、エリスリトール、マンンニトール、トレハロースなどの糖類や糖アルコール類、大豆レシチン、卵黄レシチン、キトサン、水溶性ヘミセルロース類、ポリグリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、有機酸脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの乳化剤、食塩、塩化カリウム、塩化マグネシウムなどの塩類などが挙げられる。これらは必要に応じ、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。このようにして得られた、わさび風味油は従来の風味油に比べ独特の香り、豊かな味わいを示すものであり、サーモントロのタルタル、ブロッコリーとロッテレのわさびクリームソース、マグロのカルパッチョ(わさび風味)、イカの刺身、鴨ステーキ野菜添えなど各種の料理で、それ自体を料理に振りかける調味用として、あるいは調理する調味料の一つとして、あるいはドレッシングなどの調味料材料の一つとして利用できる。また、本発明のわさび風味油はパスタ料理、中華料理、焼肉用、野菜炒めなど、和洋中華にとらわれず使用しうる利点をも有するものである。
【0011】
【実施例】
下記に、本発明の内容を例を挙げて説明するが、これにより本発明は何ら規定されるものではない。
実施例1
本わさび茎、葉柄および葉部10kgを、プレス機で圧搾して、水分を除き、これをミキサーで200〜3000μmの大きさに裁断し、暫時放置し辛味を発現させる。これを食用オリーブ油(エキストラバージンオイル:スペイン産)35kgに浸漬して、減圧下に30℃で12時間加熱し、急速に冷却して、濾過し、わさび抽出油43.8kgを得た。これに、アリル辛子油0.1kgを添加し、均一に混合して、720ml入り風味油充填瓶に充填し、風味油包装品とした。
【0012】
実施例2
本わさび茎、葉柄および葉部5kgおよび西洋わさび根茎部5kgを、それぞれプレス機で圧搾して、水分を除き、これらをミキサーで200〜3000μmの大きさに裁断し、暫時放置し辛味を発現させる。これを食用オリーブ油(エキストラバージンオイル:スペイン産)35kgに浸漬して、120℃で10分間加熱し、急速に冷却して、濾過し、わさび抽出油43.3kgを得た。これに、アリル辛子油0.2kgを添加し、均一に混合して、720ml入り風味油充填瓶に充填し、風味油包装品とした。
【0013】
実験例1
マグロを薄くスライスし、器に広くしきつめ、水菜、サラダ菜、かいわれ大根を一口大に切り、ラディッシュを薄切りし、これら全てを冷水に放ち、ぱりっとさせて水気を切る。ボールに実施例1〜2のわさび風味オリーブ油、白ワインビネガー、醤油、塩、こしょう、レモン汁を入れて混ぜ、ドレッシングソースを作る。前記のマグロに塩、こしょうをかけ、これに前記ドレッシングソースをかけ、さらに前記野菜をのせて製した本発明のわさび風味オリーブ油を含有するマグロのカルパッチョ(わさび風味)について、10名のパネラーで官能評価を行った結果、本発明のわさび風味オリーブ油を使用したドレッシングが入った料理が、独特で豊かで好ましい風味を示したことが確認された。
【0014】
【発明の効果】
本発明は、独特の香りと豊かな味わいを調理品に付与するこれまでにない新しいタイプの風味油とその製造法を提供するものとして優れている。
Claims (4)
- 食用油脂にわさびの香辛成分を添加したことを特徴とするわさび風味油。
- 食用油脂がオリーブ油である請求項1記載のわさび風味油。
- 食用油脂に、わさびまたはその擂砕物を浸漬して加熱、冷却し、濾別した抽出油に、必要によりさらに香辛成分のイソシアネート類を添加してなる請求項1記載のわさび風味油。
- 食用油脂に、わさびまたはその擂砕物を浸漬して加熱する工程、抽出物を冷却し、濾過して抽出油を採取する工程、必要によりさらに該抽出油に香辛成分のイソシアネート類を添加する工程からなるわさび風味油の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002363388A JP2004194506A (ja) | 2002-12-16 | 2002-12-16 | 風味油およびその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002363388A JP2004194506A (ja) | 2002-12-16 | 2002-12-16 | 風味油およびその製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004194506A true JP2004194506A (ja) | 2004-07-15 |
Family
ID=32761543
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002363388A Pending JP2004194506A (ja) | 2002-12-16 | 2002-12-16 | 風味油およびその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004194506A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006262896A (ja) * | 2005-02-28 | 2006-10-05 | Showa Sangyo Co Ltd | 塩味増強方法と減塩方法、並びに減塩食品とその製造方法 |
EP2147601A1 (en) | 2008-07-24 | 2010-01-27 | Fagor, S. Coop. | Tool for making bread for a household oven |
JP2013116076A (ja) * | 2011-12-02 | 2013-06-13 | Nisshin Oillio Group Ltd | 液体の保温方法 |
-
2002
- 2002-12-16 JP JP2002363388A patent/JP2004194506A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006262896A (ja) * | 2005-02-28 | 2006-10-05 | Showa Sangyo Co Ltd | 塩味増強方法と減塩方法、並びに減塩食品とその製造方法 |
EP2147601A1 (en) | 2008-07-24 | 2010-01-27 | Fagor, S. Coop. | Tool for making bread for a household oven |
JP2013116076A (ja) * | 2011-12-02 | 2013-06-13 | Nisshin Oillio Group Ltd | 液体の保温方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR102262335B1 (ko) | 한방김치의 제조방법 및 이에 따라 제조된 한방김치 | |
KR101928043B1 (ko) | 스테이크의 제조방법 및 이에 의해 제조된 스테이크 | |
KR101407351B1 (ko) | 포장용 양념 고등어의 제조방법 및 이에 의해 제조된 포장용 양념 고등어 | |
KR101272782B1 (ko) | 돈피순대 및 그의 제조방법 | |
KR101858627B1 (ko) | 명태순살강정의 제조방법 | |
KR101700439B1 (ko) | 삼채 농축액을 이용한 고등어의 가공방법 | |
CN103549492B (zh) | 一种粘粉秋刀鱼片的制作方法 | |
KR101292310B1 (ko) | 명란이 함유된 라면 스프용 조성물 및 이의 제조방법 | |
JPH0581214B2 (ja) | ||
JP2003135000A (ja) | 新鮮な香味野菜フレーバーの製造方法 | |
JPS6356790B2 (ja) | ||
JPS594972B2 (ja) | 風味油の製造法 | |
JP6289839B2 (ja) | 酸性調味料用玉葱加工品の製造方法及び該製造方法により得られた酸性調味料用玉葱加工品を含有する酸性調味料 | |
JP2004194506A (ja) | 風味油およびその製造法 | |
KR101812405B1 (ko) | 반가공 냉장식품 및 그 제조방법 | |
JP2006061065A (ja) | 水中油型乳化香味調味料およびその製造方法 | |
KR102260957B1 (ko) | 돈까스 제조방법 | |
KR102405395B1 (ko) | 오레가노 분말이 함유된 바베큐용 등갈비 제조방법 | |
JP2769644B2 (ja) | 生ハーブを使用したカレールー及びカレーソース | |
KR20220055643A (ko) | 육류 조리용 양념소스 및 이를 이용한 양념갈비 제조방법 | |
JP2008283894A (ja) | 香味油の製造方法および香味油 | |
JP2000069934A (ja) | ドレッシング | |
JP7350542B2 (ja) | 香味油の製造方法 | |
WO2024024800A1 (ja) | アサイーを含む豆風味改善剤及びそれを含む豆加工食品 | |
KR102075515B1 (ko) | 열무김치 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051206 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20081008 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20081104 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090324 |