JP2004194405A - 複数系出力のスイッチング電源回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】電力損失が小さく、小型かつ簡単な構造で、直流出力電圧の安定化を実現できる複数系出力のスイッチング電源回路を提供する。
【解決手段】導通角制御回路10により、直流出力電圧が一定になるように、整流ダイオードD1の導通角を制御するので、他の出力系統の影響や負荷変動があっても、従来の3端子レギュレータなどを用いたものと比べて電力損失が小さく、また、従来のチョッパ回路やマグアンプ回路を用いたものと比べて小型かつ簡単な構造で、安定した直流出力電圧を得ることができる。また、従来の3端子レギュレータなどを用いたスイッチング電源回路では、複数の出力系統に応じて、出力側のトランスコイルも複数個必要となっていたが、単一のトランスコイルだけで複数系統の出力が可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】導通角制御回路10により、直流出力電圧が一定になるように、整流ダイオードD1の導通角を制御するので、他の出力系統の影響や負荷変動があっても、従来の3端子レギュレータなどを用いたものと比べて電力損失が小さく、また、従来のチョッパ回路やマグアンプ回路を用いたものと比べて小型かつ簡単な構造で、安定した直流出力電圧を得ることができる。また、従来の3端子レギュレータなどを用いたスイッチング電源回路では、複数の出力系統に応じて、出力側のトランスコイルも複数個必要となっていたが、単一のトランスコイルだけで複数系統の出力が可能となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数系統の直流出力電圧を出力するスイッチング電源回路に関し、特にその直流出力電圧の安定化に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、スイッチング素子を有する1次側回路と、整流ダイオードと平滑コンデンサからなる整流平滑回路を複数有してなる2次側回路とがトランスを介して接続されて、この2次側回路から複数系統で一定の直流電圧を出力するスイッチング電源回路が知られている。このスイッチング電源回路は、直流出力電圧の安定化を図るため、2次側回路のメインの出力系統における直流出力電圧のレベル変動を検出し、1次側回路へフィードバックしてスイッチング制御を行うようにしている。
【0003】
この場合、1次側回路へフィードバックするメインの出力系統以外を、トランスから出力されるままの状態にすると、安定した出力が得られない。このため、他の出力系統については、整流平滑回路の後段に3端子レギュレータ、チョッパ回路またはマグアンプ(磁気増幅器)回路などを付加し、出力電圧の安定化を図っている。
【0004】
図3は、整流平滑回路の後段に3端子レギュレータを付加した複数系出力のスイッチング電源回路の従来例を示す。2次側回路の整流ダイオードD2、平滑コンデンサC3で構成する第2の整流平滑回路から、メインの出力系統の直流電圧E2が出力されて1次側へフィードバックされる。整流ダイオードD1、平滑(電解)コンデンサC1で構成する第1の整流平滑回路から出力される直流電圧E1が他の(低圧の)出力系統のものである。図4は図3の回路における2次側の整流ダイオードD1の出力波形を示す。図4のように、トランスには、破線部も含めたプラスとマイナス極のパルスが出力されるが、整流ダイオードD1により実線部のプラス極のパルスが出力し、平滑コンデンサC1で平滑される。この場合、平滑コンデンサC1の両端電圧は、トランス出力電圧をV、整流ダイオードD1のオン時間をTONとした場合、V×(TON/T)となり、VやTONは他の出力系統(この場合、メインの出力系統)の影響や負荷変動により変化するため、安定した直流出力電圧を得られない。このため、図3の第1の整流平滑回路の後段に3端子レギュレータを付加し、直流出力電圧を安定化している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の3端子レギュレータを使用する場合、出力電圧は安定化するものの、3端子レギュレータは入力電圧を下げて一定の出力電圧を得るドロッパー方式であるので、整流電流×降下電圧による電力損失が生じることから、電源回路の電力変換効率が向上しない。また、電力損失が大きいことで、発熱も高くなって放熱手段が必要となることから、電源回路が大型かつ重量化する。さらに、複数の出力系統に応じて出力側のトランスコイルが複数個必要となる。
【0006】
また、チョッパ回路を使用する場合、チョークなどの部品点数が多くなり、電源回路が複雑化する。さらに、マグアンプ回路を使用する場合、出力電流が大きいと可飽和リアクタの形状が大きくなり、電源回路が大型化する。
【0007】
本発明は上記の問題点を解決して、電力損失が小さく、小型かつ簡単な構造で、直流出力電圧の安定化を実現できる複数系出力のスイッチング電源回路を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明にかかる複数系出力のスイッチング電源回路は、1次側回路と、整流ダイオードと平滑コンデンサからなる整流平滑回路を複数有してなる2次側回路とがトランスを介して接続されて、2次側回路から一定の直流電圧を複数系統で出力するものであって、前記2次側回路は、少なくとも1つの出力系統について、前記平滑コンデンサの両端電圧のレベルを検出し、検出された電圧レベルに応じて直流出力電圧が一定となるように前記整流ダイオードの導通角制御を行う導通角制御回路を備えている。
【0009】
この構成によれば、導通角制御回路により、直流出力電圧が一定になるように、整流ダイオードの導通角を制御するので、他の出力系統の影響や負荷変動があっても、従来の3端子レギュレータなどを用いたものと比べて電力損失が小さく、また、従来のチョッパ回路やマグアンプ回路を用いたものと比べて小型かつ簡単な構造で、安定した直流出力電圧を得ることができる。また、従来の3端子レギュレータなどを用いたスイッチング電源回路では、複数の出力系統に応じて、出力側のトランスコイルも複数個必要となっていたが、単一のトランスコイルだけで複数系統の出力が可能となる。
【0010】
好ましくは、前記導通角制御回路は、前記整流ダイオードと平滑コンデンサの間に設けられた電圧検出部、制御部およびスイッチ部を有して、前記電圧検出部により、前記平滑コンデンサの両端電圧のレベルを検出し、前記制御部により、検出された電圧レベルに応じて直流出力電圧が一定になるように前記スイッチ部に対して導通角制御を行い、前記スイッチ部により、前記制御部に対する導通角制御によるスイッチング動作を行って、前記整流ダイオードに対して導通角制御を行うものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る複数系出力のスイッチング電源回路のブロック図を示す。
このスイッチング電源回路は、図示しないスイッチング素子を有する1次側回路Bと整流平滑回路からなる2次側回路AとがトランスTを介して接続されている。この2次側回路Aは、整流ダイオードと平滑コンデンサからなる整流平滑回路を複数、例えば2つ有しており、この2次側回路Aから例えばメインと低圧の2つの出力系統で一定の直流電圧を出力する。
【0012】
前記2次側回路Aにおいて、トランスTの第1の出力端Oaから第1のダイオードD1 と、第2のダイオードD2とが並列に接続される。メインの出力系統では、第2のダイオードD2の出力が直流出力電圧E2のラインとなり、直流出力電圧E2のラインとトランスTの第2の出力端Obからのライン(アースGND)間に平滑コンデンサC2が接続されて、第2のダイオードD2と平滑コンデンサC2により、第2の整流平滑回路8を構成する。この直流出力電圧E2のレベル変動を検出し、1次側回路Bへフィードバックしてスイッチング素子によりスイッチング制御を行うことにより、その出力電圧の安定化を図る。
【0013】
このスイッチング電源回路は、低圧の出力系統についてもその出力電圧の安定化を図るものである。この出力系統では、第1のダイオードD1の出力が直流出力電圧E1のラインとなり、直流出力電圧E1のラインとアースGND間に平滑コンデンサC1が接続されて、第1のダイオードD1と平滑コンデンサC1により、第1の整流平滑回路7を構成する。この出力系統について、前記整流ダイオードD1と平滑(電解)コンデンサC1の間に、直流出力電圧が一定になるように整流ダイオードD1の導通角制御を行う導通角制御回路10を備えている。
【0014】
前記導通角制御回路10は、例えば、整流ダイオードD1と平滑コンデンサC1との間に設けられた電圧検出部1、制御部2およびスイッチ部3を有している。
前記電圧検出部1は、前記平滑コンデンサC1の両端電圧のレベルを検出する。前記制御部2は、検出された電圧レベルに応じて、直流出力電圧が一定になるようにスイッチ部3に対して導通角制御を行う。前記スイッチ部3は、前記制御部2に対する導通角制御によるスイッチング動作を行って、整流ダイオードD1に対して導通角制御を行う。前記スイッチ部3は、スイッチング速度が速い、例えばパワーMOS−FETのような第1のスイッチング素子FET1からなる。
【0015】
電圧検出部1の構成
前記平滑コンデンサC1と並列に分圧抵抗R1とR2が接続される。分圧抵抗R1とR2の接続点は、制御素子(例えば、シャントレギュレータ)Q11の制御端子に対して接続される。
【0016】
制御部2の構成
制御素子Q11のカソードは、抵抗R4とR5の直列接続回路を介して直流出力電圧E01のラインに接続され、アノードはアースGNDに接続される。また、制御素子Q11のカソードと制御端子間には、コンデンサC11と抵抗R3の直列接続回路が接続される。
前記抵抗R4とR5の接続点に第2のスイッチング素子(例えば、トランジスタ)Q12のベースが接続される。第2のスイッチング素子Q12のエミッタは直流出力電圧E01のラインに接続され、コレクタは抵抗R6とR7の直列接続回路を介してアースGNDに接続される。抵抗R6とR7の接続点に、第3のスイッチング素子(例えば、トランジスタ)Q13のベースが接続される。
【0017】
第3のスイッチング素子Q13のコレクタは、抵抗R8とR9の直列接続回路を介して直流出力電圧E1のラインに接続され、エミッタはアースGNDに接続される。抵抗R8とR9の接続点には、スイッチ部3である第1のスイッチング素子FET1のゲートが接続され、また抵抗R10を介して直流出力電圧E2のラインに接続される。
【0018】
以下、上記構成の導通角制御回路の動作について説明する。
図2は、導通角制御を行った時の整流ダイオードD1の出力パルス波形を示す。同図において、トランスTには、破線部も含めたプラスとマイナス極のパルスが出力されるが、整流ダイオードD1により実線部のプラス極のパルスが出力され、第1のスイッチング素子FET1によりプラス極のパルスがカットされて、平滑コンデンサC1で平滑される。
【0019】
まず、抵抗R9とR10により、第1のスイッチング素子FET1は導通しているが、分圧抵抗R1とR2によって直流出力電圧E1を分圧し、この分圧された電圧レベルを制御素子Q11の制御端子に対して印加することになる。制御素子Q11には、直流出力電圧E1から抵抗R4とR5の直列接続回路を介して電流が流れるのであるが、この電流レベルは、制御素子Q11の制御端子に印加された電圧レベルに応じて変化するようになっている。そして、このようにして制御素子Q11に流れる電流が第2のスイッチング素子Q12によって反転増幅されることとなるが、この第2のスイッチング素子Q12のコレクタ電流が抵抗R4とR5の直列接続回路に流れることになる。このコレクタ電流によっては、抵抗R7の両端に電圧が発生し、この電圧に応じて流れる電流によって第3のスイッチング素子Q13が導通するようになっている。
【0020】
第3のスイッチング素子Q13が導通して、そのコレクタ電流である制御電流Icを流すことにより、この制御電流Icによって第1のスイッチング素子FET1がオフする。この結果、第1のスイッチング素子FET1の1スイッチング周期内におけるオン/オフ期間のデューティ比の変化として現れる。このようにして、第1のスイッチング素子FET1の導通角制御が行われると、これに伴って整流ダイオードD1の導通角も制御されることとなる。
【0021】
すなわち、この導通角制御回路10は、電圧検出部1において、整流ダイオードD1と平滑コンデンサC1の間で整流・平滑されて平均化された電圧レベルの平滑コンデンサC1の両端電圧を検出して、制御部2において、そのレベル変化に応じて、直流レベルの可変された制御電流Icを生成する。そして、この制御電流Icにより、整流ダイオードD1の導通角を制御して、図2に示すように、1スイッチング周期T内においてそのオン時間Tonを変化させて整流ダイオードD1を介して流れるプラス極の整流電流量を変化させ、平滑コンデンサC1の両端電圧を一定のVcとするものである。
【0022】
したがって、直流出力電圧E1が負荷変動や他の出力系統(この場合、メインの出力系統)の影響により変化して、トランス出力電圧Vや整流ダイオードD1のオン時間Tonが変動し、例えば軽負荷となって直流出力電圧E1が上昇したときには、上昇する平滑コンデンサC1の両端電圧の平均化された電圧レベルを検出して、これに応じて制御電流Icのレベルを低下させ、整流ダイオードD1においてV×(Ton/T)のTon時間が短くなるように変化させて出力パルス幅をカットし、上記した平滑コンデンサC1の両端電圧の電圧レベルを下げる導通角制御を行うことによって、その両端電圧を一定のVcとする。
【0023】
具体的には、図4の従来例で、例えばTon/T比が0.5でトランス出力電圧Vが10Vである場合、平滑コンデンサC1の両端電圧は5Vとなるが、例えば軽負荷となってトランス出力電圧Vが12Vに上昇すると、平滑コンデンサC1の両端電圧は6Vになってしまう。これに対して、図2の本実施形態では、整流ダイオードD1の導通角制御を行うことによって、Ton/T比を0.42とすることにより、V×(Ton/T)=12×0.42≒5(V)で平滑コンデンサC1の両端電圧を一定電圧Vcの5Vにする。これにより、この低圧の出力系統の直流出力電圧を安定化することができる。
【0024】
なお、この実施形態では、整流ダイオードD1と平滑コンデンサC1の間に電圧検出部1、制御部2およびスイッチ部3を設けているが、スイッチ部3だけを整流ダイオードD1の前段に設けるようにしてもよい。
【0025】
なお、この実施形態では、2つの出力系統としているが、3つ以上の出力系統についても適用される。
【0026】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、導通角制御回路により、直流出力電圧が一定になるように、整流ダイオードの導通角を制御するので、他の出力系統の影響や負荷変動があっても、従来の3端子レギュレータなどを用いたものと比べて電力損失が小さく、また、従来のチョッパ回路やマグアンプ回路を用いたものと比べて小型かつ簡単な構造で、安定した出力電圧を得ることができる。また、従来の3端子レギュレータなどを用いたスイッチング電源回路では、複数の出力系統に応じて、出力側のトランスコイルも複数個必要となっていたが、単一のトランスコイルだけで複数系統の出力が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る複数系出力のスイッチング電源回路を示す回路図である。
【図2】導通角制御を行った時の整流ダイオードの出力パルス波形を示す図である。
【図3】従来の複数系出力のスイッチング電源回路を示す回路図である。
【図4】従来回路における整流ダイオードの出力パルス波形を示す図である。
【符号の説明】
1…電圧検出部、2…制御部、3…スイッチ部、7…第1の整流平滑回路、10…導通角制御回路、A …1次側回路、B…2次側回路、C1 …平滑コンデンサ、D1 …整流ダイオード、E1、E2 …直流出力電圧、T…トランス。
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数系統の直流出力電圧を出力するスイッチング電源回路に関し、特にその直流出力電圧の安定化に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、スイッチング素子を有する1次側回路と、整流ダイオードと平滑コンデンサからなる整流平滑回路を複数有してなる2次側回路とがトランスを介して接続されて、この2次側回路から複数系統で一定の直流電圧を出力するスイッチング電源回路が知られている。このスイッチング電源回路は、直流出力電圧の安定化を図るため、2次側回路のメインの出力系統における直流出力電圧のレベル変動を検出し、1次側回路へフィードバックしてスイッチング制御を行うようにしている。
【0003】
この場合、1次側回路へフィードバックするメインの出力系統以外を、トランスから出力されるままの状態にすると、安定した出力が得られない。このため、他の出力系統については、整流平滑回路の後段に3端子レギュレータ、チョッパ回路またはマグアンプ(磁気増幅器)回路などを付加し、出力電圧の安定化を図っている。
【0004】
図3は、整流平滑回路の後段に3端子レギュレータを付加した複数系出力のスイッチング電源回路の従来例を示す。2次側回路の整流ダイオードD2、平滑コンデンサC3で構成する第2の整流平滑回路から、メインの出力系統の直流電圧E2が出力されて1次側へフィードバックされる。整流ダイオードD1、平滑(電解)コンデンサC1で構成する第1の整流平滑回路から出力される直流電圧E1が他の(低圧の)出力系統のものである。図4は図3の回路における2次側の整流ダイオードD1の出力波形を示す。図4のように、トランスには、破線部も含めたプラスとマイナス極のパルスが出力されるが、整流ダイオードD1により実線部のプラス極のパルスが出力し、平滑コンデンサC1で平滑される。この場合、平滑コンデンサC1の両端電圧は、トランス出力電圧をV、整流ダイオードD1のオン時間をTONとした場合、V×(TON/T)となり、VやTONは他の出力系統(この場合、メインの出力系統)の影響や負荷変動により変化するため、安定した直流出力電圧を得られない。このため、図3の第1の整流平滑回路の後段に3端子レギュレータを付加し、直流出力電圧を安定化している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の3端子レギュレータを使用する場合、出力電圧は安定化するものの、3端子レギュレータは入力電圧を下げて一定の出力電圧を得るドロッパー方式であるので、整流電流×降下電圧による電力損失が生じることから、電源回路の電力変換効率が向上しない。また、電力損失が大きいことで、発熱も高くなって放熱手段が必要となることから、電源回路が大型かつ重量化する。さらに、複数の出力系統に応じて出力側のトランスコイルが複数個必要となる。
【0006】
また、チョッパ回路を使用する場合、チョークなどの部品点数が多くなり、電源回路が複雑化する。さらに、マグアンプ回路を使用する場合、出力電流が大きいと可飽和リアクタの形状が大きくなり、電源回路が大型化する。
【0007】
本発明は上記の問題点を解決して、電力損失が小さく、小型かつ簡単な構造で、直流出力電圧の安定化を実現できる複数系出力のスイッチング電源回路を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明にかかる複数系出力のスイッチング電源回路は、1次側回路と、整流ダイオードと平滑コンデンサからなる整流平滑回路を複数有してなる2次側回路とがトランスを介して接続されて、2次側回路から一定の直流電圧を複数系統で出力するものであって、前記2次側回路は、少なくとも1つの出力系統について、前記平滑コンデンサの両端電圧のレベルを検出し、検出された電圧レベルに応じて直流出力電圧が一定となるように前記整流ダイオードの導通角制御を行う導通角制御回路を備えている。
【0009】
この構成によれば、導通角制御回路により、直流出力電圧が一定になるように、整流ダイオードの導通角を制御するので、他の出力系統の影響や負荷変動があっても、従来の3端子レギュレータなどを用いたものと比べて電力損失が小さく、また、従来のチョッパ回路やマグアンプ回路を用いたものと比べて小型かつ簡単な構造で、安定した直流出力電圧を得ることができる。また、従来の3端子レギュレータなどを用いたスイッチング電源回路では、複数の出力系統に応じて、出力側のトランスコイルも複数個必要となっていたが、単一のトランスコイルだけで複数系統の出力が可能となる。
【0010】
好ましくは、前記導通角制御回路は、前記整流ダイオードと平滑コンデンサの間に設けられた電圧検出部、制御部およびスイッチ部を有して、前記電圧検出部により、前記平滑コンデンサの両端電圧のレベルを検出し、前記制御部により、検出された電圧レベルに応じて直流出力電圧が一定になるように前記スイッチ部に対して導通角制御を行い、前記スイッチ部により、前記制御部に対する導通角制御によるスイッチング動作を行って、前記整流ダイオードに対して導通角制御を行うものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る複数系出力のスイッチング電源回路のブロック図を示す。
このスイッチング電源回路は、図示しないスイッチング素子を有する1次側回路Bと整流平滑回路からなる2次側回路AとがトランスTを介して接続されている。この2次側回路Aは、整流ダイオードと平滑コンデンサからなる整流平滑回路を複数、例えば2つ有しており、この2次側回路Aから例えばメインと低圧の2つの出力系統で一定の直流電圧を出力する。
【0012】
前記2次側回路Aにおいて、トランスTの第1の出力端Oaから第1のダイオードD1 と、第2のダイオードD2とが並列に接続される。メインの出力系統では、第2のダイオードD2の出力が直流出力電圧E2のラインとなり、直流出力電圧E2のラインとトランスTの第2の出力端Obからのライン(アースGND)間に平滑コンデンサC2が接続されて、第2のダイオードD2と平滑コンデンサC2により、第2の整流平滑回路8を構成する。この直流出力電圧E2のレベル変動を検出し、1次側回路Bへフィードバックしてスイッチング素子によりスイッチング制御を行うことにより、その出力電圧の安定化を図る。
【0013】
このスイッチング電源回路は、低圧の出力系統についてもその出力電圧の安定化を図るものである。この出力系統では、第1のダイオードD1の出力が直流出力電圧E1のラインとなり、直流出力電圧E1のラインとアースGND間に平滑コンデンサC1が接続されて、第1のダイオードD1と平滑コンデンサC1により、第1の整流平滑回路7を構成する。この出力系統について、前記整流ダイオードD1と平滑(電解)コンデンサC1の間に、直流出力電圧が一定になるように整流ダイオードD1の導通角制御を行う導通角制御回路10を備えている。
【0014】
前記導通角制御回路10は、例えば、整流ダイオードD1と平滑コンデンサC1との間に設けられた電圧検出部1、制御部2およびスイッチ部3を有している。
前記電圧検出部1は、前記平滑コンデンサC1の両端電圧のレベルを検出する。前記制御部2は、検出された電圧レベルに応じて、直流出力電圧が一定になるようにスイッチ部3に対して導通角制御を行う。前記スイッチ部3は、前記制御部2に対する導通角制御によるスイッチング動作を行って、整流ダイオードD1に対して導通角制御を行う。前記スイッチ部3は、スイッチング速度が速い、例えばパワーMOS−FETのような第1のスイッチング素子FET1からなる。
【0015】
電圧検出部1の構成
前記平滑コンデンサC1と並列に分圧抵抗R1とR2が接続される。分圧抵抗R1とR2の接続点は、制御素子(例えば、シャントレギュレータ)Q11の制御端子に対して接続される。
【0016】
制御部2の構成
制御素子Q11のカソードは、抵抗R4とR5の直列接続回路を介して直流出力電圧E01のラインに接続され、アノードはアースGNDに接続される。また、制御素子Q11のカソードと制御端子間には、コンデンサC11と抵抗R3の直列接続回路が接続される。
前記抵抗R4とR5の接続点に第2のスイッチング素子(例えば、トランジスタ)Q12のベースが接続される。第2のスイッチング素子Q12のエミッタは直流出力電圧E01のラインに接続され、コレクタは抵抗R6とR7の直列接続回路を介してアースGNDに接続される。抵抗R6とR7の接続点に、第3のスイッチング素子(例えば、トランジスタ)Q13のベースが接続される。
【0017】
第3のスイッチング素子Q13のコレクタは、抵抗R8とR9の直列接続回路を介して直流出力電圧E1のラインに接続され、エミッタはアースGNDに接続される。抵抗R8とR9の接続点には、スイッチ部3である第1のスイッチング素子FET1のゲートが接続され、また抵抗R10を介して直流出力電圧E2のラインに接続される。
【0018】
以下、上記構成の導通角制御回路の動作について説明する。
図2は、導通角制御を行った時の整流ダイオードD1の出力パルス波形を示す。同図において、トランスTには、破線部も含めたプラスとマイナス極のパルスが出力されるが、整流ダイオードD1により実線部のプラス極のパルスが出力され、第1のスイッチング素子FET1によりプラス極のパルスがカットされて、平滑コンデンサC1で平滑される。
【0019】
まず、抵抗R9とR10により、第1のスイッチング素子FET1は導通しているが、分圧抵抗R1とR2によって直流出力電圧E1を分圧し、この分圧された電圧レベルを制御素子Q11の制御端子に対して印加することになる。制御素子Q11には、直流出力電圧E1から抵抗R4とR5の直列接続回路を介して電流が流れるのであるが、この電流レベルは、制御素子Q11の制御端子に印加された電圧レベルに応じて変化するようになっている。そして、このようにして制御素子Q11に流れる電流が第2のスイッチング素子Q12によって反転増幅されることとなるが、この第2のスイッチング素子Q12のコレクタ電流が抵抗R4とR5の直列接続回路に流れることになる。このコレクタ電流によっては、抵抗R7の両端に電圧が発生し、この電圧に応じて流れる電流によって第3のスイッチング素子Q13が導通するようになっている。
【0020】
第3のスイッチング素子Q13が導通して、そのコレクタ電流である制御電流Icを流すことにより、この制御電流Icによって第1のスイッチング素子FET1がオフする。この結果、第1のスイッチング素子FET1の1スイッチング周期内におけるオン/オフ期間のデューティ比の変化として現れる。このようにして、第1のスイッチング素子FET1の導通角制御が行われると、これに伴って整流ダイオードD1の導通角も制御されることとなる。
【0021】
すなわち、この導通角制御回路10は、電圧検出部1において、整流ダイオードD1と平滑コンデンサC1の間で整流・平滑されて平均化された電圧レベルの平滑コンデンサC1の両端電圧を検出して、制御部2において、そのレベル変化に応じて、直流レベルの可変された制御電流Icを生成する。そして、この制御電流Icにより、整流ダイオードD1の導通角を制御して、図2に示すように、1スイッチング周期T内においてそのオン時間Tonを変化させて整流ダイオードD1を介して流れるプラス極の整流電流量を変化させ、平滑コンデンサC1の両端電圧を一定のVcとするものである。
【0022】
したがって、直流出力電圧E1が負荷変動や他の出力系統(この場合、メインの出力系統)の影響により変化して、トランス出力電圧Vや整流ダイオードD1のオン時間Tonが変動し、例えば軽負荷となって直流出力電圧E1が上昇したときには、上昇する平滑コンデンサC1の両端電圧の平均化された電圧レベルを検出して、これに応じて制御電流Icのレベルを低下させ、整流ダイオードD1においてV×(Ton/T)のTon時間が短くなるように変化させて出力パルス幅をカットし、上記した平滑コンデンサC1の両端電圧の電圧レベルを下げる導通角制御を行うことによって、その両端電圧を一定のVcとする。
【0023】
具体的には、図4の従来例で、例えばTon/T比が0.5でトランス出力電圧Vが10Vである場合、平滑コンデンサC1の両端電圧は5Vとなるが、例えば軽負荷となってトランス出力電圧Vが12Vに上昇すると、平滑コンデンサC1の両端電圧は6Vになってしまう。これに対して、図2の本実施形態では、整流ダイオードD1の導通角制御を行うことによって、Ton/T比を0.42とすることにより、V×(Ton/T)=12×0.42≒5(V)で平滑コンデンサC1の両端電圧を一定電圧Vcの5Vにする。これにより、この低圧の出力系統の直流出力電圧を安定化することができる。
【0024】
なお、この実施形態では、整流ダイオードD1と平滑コンデンサC1の間に電圧検出部1、制御部2およびスイッチ部3を設けているが、スイッチ部3だけを整流ダイオードD1の前段に設けるようにしてもよい。
【0025】
なお、この実施形態では、2つの出力系統としているが、3つ以上の出力系統についても適用される。
【0026】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、導通角制御回路により、直流出力電圧が一定になるように、整流ダイオードの導通角を制御するので、他の出力系統の影響や負荷変動があっても、従来の3端子レギュレータなどを用いたものと比べて電力損失が小さく、また、従来のチョッパ回路やマグアンプ回路を用いたものと比べて小型かつ簡単な構造で、安定した出力電圧を得ることができる。また、従来の3端子レギュレータなどを用いたスイッチング電源回路では、複数の出力系統に応じて、出力側のトランスコイルも複数個必要となっていたが、単一のトランスコイルだけで複数系統の出力が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る複数系出力のスイッチング電源回路を示す回路図である。
【図2】導通角制御を行った時の整流ダイオードの出力パルス波形を示す図である。
【図3】従来の複数系出力のスイッチング電源回路を示す回路図である。
【図4】従来回路における整流ダイオードの出力パルス波形を示す図である。
【符号の説明】
1…電圧検出部、2…制御部、3…スイッチ部、7…第1の整流平滑回路、10…導通角制御回路、A …1次側回路、B…2次側回路、C1 …平滑コンデンサ、D1 …整流ダイオード、E1、E2 …直流出力電圧、T…トランス。
Claims (2)
- 1次側回路と、整流ダイオードと平滑コンデンサからなる整流平滑回路を複数有してなる2次側回路とがトランスを介して接続されて、2次側回路から一定の直流電圧を複数系統で出力するスイッチング電源回路であって、
前記2次側回路は、少なくとも1つの出力系統について、前記平滑コンデンサの両端電圧のレベルを検出し、検出された電圧レベルに応じて直流出力電圧が一定となるように前記整流ダイオードの導通角制御を行う導通角制御回路を備えている複数系出力のスイッチング電源回路。 - 請求項1において、
前記導通角制御回路は、前記整流ダイオードと平滑コンデンサの間に設けられた電圧検出部、制御部およびスイッチ部を有して、
前記電圧検出部により、前記平滑コンデンサの両端電圧のレベルを検出し、前記制御部により、検出された電圧レベルに応じて直流出力電圧が一定になるように前記スイッチ部に対して導通角制御を行い、前記スイッチ部により、前記制御部に対する導通角制御によるスイッチング動作を行って、前記整流ダイオードに対して導通角制御を行う複数系出力のスイッチング電源回路。
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- 2002-12-10 JP JP2002357866A patent/JP2004194405A/ja active Pending
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