JP2004193039A - 電磁誘導加熱用制御装置、電磁誘導加熱装置および画像形成装置 - Google Patents

電磁誘導加熱用制御装置、電磁誘導加熱装置および画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】同導電型の一対のトランジスタからなる駆動回路では、出力信号の負極性では負側のトランジスタが高インピーダンスを示し、還流電流を利用できないため効率が悪い。
【解決手段】電磁誘導コイルL11の巻数や形状を設計する上で並列共振回路方式よりも有利な直列共振回路方式を採る一方、相補対称接続のFETQ11,Q12によって直列共振回路11の主駆動回路12を構成する。そして、主駆動回路12のFETQ11,Q12の各ゲート電極間に、主駆動回路12の不感帯電圧以上の一定電圧を両端間に発生する定電圧回路13、例えばツェナーダイオードZDを接続することで、負側のFETQ12のゲート電位に対して、正側のFETQ11のゲート電位を常に主駆動回路12の不感帯電圧以上に保ちつつ、前置駆動回路14によってFETQ11,Q12の各ゲート電極を駆動する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁誘導加熱用制御装置、電磁誘導加熱装置および画像形成装置に関し、特に直列共振回路方式の電磁誘導加熱用制御装置、当該制御装置を用いた電磁誘導加熱装置および当該加熱装置を具備する画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、複写機、プリンタなどに代表される電子写真方式の画像形成装置には、未定着トナー像を記録媒体に定着させるための定着装置が搭載されている。この定着装置としては、例えばハロゲンランプを用いた熱ローラー方式の加熱定着装置が主流である。
【0003】
この熱ローラー方式の加熱定着装置は、ハロゲンランプ等の熱源により加熱され、所定の温度に温度調節されたヒートロールと、これに圧接したプレッシャーロールとの回転ロール対を基本構成とするものである。そして、両ロールの圧接ニップ部に記録媒体を導入して挟持搬送させることで、ヒートロールの熱によって未定着トナー像を記録媒体に加熱定着させるものである。
【0004】
加熱定着装置としては、上述した熱ローラー方式の加熱定着装置の他に、加熱手段として帯状のヒータをエンドレスのフィルムの内面に接触させて定着を行うSURF方式の加熱定着装置が知られている。このSURF方式の加熱定着装置は、帯状のヒータをエンドレスフィルムの内面に接触させ、その熱によって未定着トナー像を記録媒体に加熱定着させるものである。
【0005】
一方、画像形成装置として、中間転写体から記録媒体にトナー像を転写する際に、トナー像を加熱して転写と定着とを同時に行う構成のものがある。この種の画像形成装置では、離型性を有する中間転写体に像担持体上のトナー像を一次転写し、この中間転写体上のトナー像を加熱・加圧手段によって記録媒体上に溶融して二次転写と同時に定着させている。
【0006】
この画像形成装置に用いられる加圧・加熱手段としては、例えば中間転写体を介して圧接される加熱ロールおよび加圧ロールが知られている。かかる加圧・加熱手段は、両者の圧接部で加熱ロールによる加熱によって中間転写体上のトナーを溶融するとともに記録媒体に浸透させ、この記録媒体を中間転写体の離型効果を利用して当該中間転写体から剥離するというものである。
【0007】
しかしながら、上記のような従来の加熱定着装置には、以下に示すような問題点がある。すなわち、加熱手段としてハロゲンランプを用いる熱ローラー方式の加熱定着装置の場合は放射加熱方式であることから、未定着トナー像等の被加熱体までの熱伝達の効率が低いため熱損失が大きい。また、被加熱体を直接加熱するものではないため、被加熱体に所定の熱量を付与するまでに時間がかかるという問題を有している。この時間(ウォームアップ時間)を短縮するために、通常は、加熱ロールの温度をある設定温度に維持し待機させておくようにしている。しかし、この場合には、待機中の消費電力が大きくなるため、省エネルギーの点で大きな問題となる。
【0008】
また、加熱手段として帯状ヒータ等を用いるSURF方式の加熱定着装置の場合は上記問題点については改善できるものの、被加熱体に加圧接触させてヒータ自体を発熱させ、この熱を被加熱体に熱伝導させるので駆動トルクが大きく、小型機にしか適用できないという欠点を有する。一方、転写と定着とを同時に行う中間転写方式の加熱定着装置の場合は、加熱ロールに熱を与えて被加熱体である中間転写体に熱伝導する方式をとっていることから、中間転写体全体を加熱するため、熱的な損失が大きいという問題点がある。
【0009】
これら従来方式の問題点を解決する加熱手段として、近年、電磁誘導加熱方式の加熱装置が提案されている。この加熱装置は、導電性材料からなる発熱層を形成した加熱部材の上に被加熱体を載置して、この被加熱体に対してその表面と非接触に電磁誘導コイルを配置して交番磁界を作用させる。そして、この交番磁界によって発熱層に渦電流を発生させ、電磁誘導による発熱層の自己発熱により被加熱体を加熱するものである。
【0010】
仮に、被加熱物を半径a[cm]、軸長l[cm]の円柱状の物体であるとした場合に、当該被加熱物の単位面積[cm2 ]で消費される電力密度Pe[W/cm2 ]は、
【0011】
【数1】
Figure 2004193039
【0012】
で表わされる。ここで、A2は電磁誘導コイルの結合係数、Nは電磁誘導コイルの巻数、Iは電磁誘導コイルに流れる電流、μは透磁率、fは駆動周波数、Fは関数、sは表皮深度である。式(1)から明らかなように、発生する熱量は、電磁誘導コイルに流れる電流Iの2乗と巻数Nの2乗とに比例する。
【0013】
このような電磁誘導加熱方式の加熱装置は、非接触の加熱手段を用いているために、熱効率を損なう介在物を少なくし、被加熱体に対して熱を直接的に付与できるという利点がある。また、被加熱体の必要な部位だけを加熱できるため、必要以上の加熱を行う必要がなく、熱効率が高いという利点もある。
【0014】
ところで、電磁誘導加熱方式の加熱装置では、被加熱体を加熱するための電磁誘導コイルを駆動制御するのに、電磁誘導コイルに対してコンデンサを並列に接続して並列共振回路を形成したり、あるいは電磁誘導コイルに対してコンデンサを直列に接続して直列共振回路を形成して用いるのが一般的である。
【0015】
ここで、並列共振回路方式の制御装置について説明する。当該方式の制御装置としては、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。並列共振回路の場合、電磁誘導コイル端での電圧をV、駆動周波数をf、電磁誘導コイルのインダクタンスをL、電磁誘導コイルの巻線抵抗をRcとすると、電磁誘導コイルに流れる電流Iは、次式(2)で表される。
I=V/(2πfL+Rc) [A] ……(2)
通常は、2πfL≧Rcである。
【0016】
ここで、並列共振回路において高熱を得ようとする場合、電源電圧を高くするか、駆動周波数fを上げるか、あるいは電磁誘導コイルのインダクタンスLを大きくするかのいずれかを採らなければならない。しかし、実際には、駆動周波数fについては、20.05kHz〜100kHzの範囲内という法規制上の制限があるため、駆動周波数fを極端に上げることはできない。
【0017】
電磁誘導コイルのインダクタンスLを大きくするには、電磁誘導コイルの巻数を多くすれば良いが、巻数を多くすると電流が流れにくくなるため、電源電圧を高くせざるを得ない。しかし、電源電圧を高くすると、並列共振回路を駆動するスイッチング素子として、高耐電圧、高電流容量のものが必要となるため、コストアップの要因となる。したがって、電源電圧をあまり高く設定できなく、その結果、電磁誘導コイルの巻数が制限されるため、コイルの巻数や形状を自由に設計できないことになる。
【0018】
一方、直列共振回路方式では、電磁誘導コイルに対してコンデンサが直列に接続されているため、電源電圧を高く設定できる。したがって、電磁誘導コイルの巻数が制限されることがないため、並列共振回路方式に比べて、コイルの巻数や形状を自由に設計できるというメリットがある。この直列共振回路方式の制御装置としては、例えば特許文献2に開示されたものが知られている。
【0019】
この特許文献2に開示の制御装置では、図18に示すように、カスコード接続された同導電型の一対のトランジスタQ101,Q102からなる駆動回路を有し、電磁誘導コイルLと一対のコンデンサC101,C102とからなる直列共振回路を、一対のトランジスタQ101,Q102に対してパルス信号を印加してこれら一対のトランジスタQ101,Q102をスイッチング駆動し、コンプリメンタリ動作させることによって駆動する構成となっている。
【0020】
上記構成の駆動回路を実現するためには、同導電型の一対のトランジスタQ101,Q102として、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor;絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)、PチャネルのバイポーラトランジスタもしくはMOS−FET(電界効果トランジスタ)、またはNチャネルのバイポーラトランジスタもしくはMOS−FETを用いる必要がある。
【0021】
例えば、Pチャネルのバイポーラトランジスタを用いた回路構成を採った場合は、図18において、上段のトランジスタQ101がスイッチングトランジスタとして働き、下段のトランジスタQ102がフォロワトランジスタとして動作する。なお、IGBTはPチャネルのバイポーラトランジスタの一種として考えることができる。
【0022】
【特許文献1】
特開平11−194632号公報
【特許文献2】
特開2000−223252号公報
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来例に係る直列共振回路方式の制御装置において、同導電型の一対のトランジスタ(例えば、Pチャネルのバイポーラトランジスタ)Q101,Q102をスイッチング駆動で用いる場合は、共振周波数と駆動周波数とが完全に一致したところでは、電磁誘導コイルに流れる電流Iは、
I=Vin/(Rc+Zout) [A] ……(3)
となる。ここで、Vinは直列共振回路への投入電圧、Rcは電磁誘導コイルの巻線抵抗、Zoutは駆動回路の出力インピーダンスである。
【0024】
式(3)において、発熱に必要な駆動を実現するには、(Rc+Zout)≒0という条件を満足する必要がある。したがって、スイッチング素子として高電流容量の素子が必要となるため、その分だけコストが高くなるとともに、消費電力が大きくなるという課題があった。また、スイッチングで駆動する構成を採っているため、電磁誘導コイルのインダクタンスが小さい場合には高調波ノイズが発生しやすいという課題もあった。
【0025】
また、上記構成の直列共振回路方式の制御装置において、例えば1000W出力では、共振用のコンデンサC101,C102には30A前後の交流電流が流れることになる。したがって、共振用のコンデンサC101,C102として比較的に形状が大きい専用のコンデンサを使用せざるを得なく、しかも当該コンデンサを2個使用することになるため実装密度上問題がある。
【0026】
さらに、同導電型の一対のトランジスタQ101,Q102からなる駆動回路では、出力信号の正極性では正側のトランジスタが低インピーダンスを示し、当該トランジスタに共振電流が流れるが、出力信号の負極性では負側のトランジスタが高インピーダンスを示すことから、上記式(3)において、(Rc+Zout)≒0という条件を満足することができず、直列共振回路からの還流電流を利用できないため効率が悪いという課題もあった。因みに、低インピーダンスを実現するための素子は入力容量が大きく、これ自体を駆動するのが難しいため、従来技術では実用化が困難であった。
【0027】
また、一対のトランジスタQ101,Q102を同時駆動したときに貫通電流が流れるが、この貫通電流が流れる時間が長い場合には、トランジスタの許容最大熱損失Pdを越えてトランジスタの破壊につながる。このため、特許文献2に開示の従来装置では、貫通電流を検知して駆動タイミングを制御するため検知用トランジスタを用いている。したがって、このトランジスタを用いて貫通電流を検知する構成を採る分だけ回路構成が複雑になるとともに、コストアップにつながる。
【0028】
貫通電流の発生を防ぐためには、一般的には、カスコード接続の一対のトランジスタQ101,Q102のオン/オフのタイミングを制御して両トランジスタQ101,Q102が同時にオン状態になることが無いようにする駆動方法が採られる。トランジスタQ101,Q102が同時にオンにならないようにするためには、素子の立ち上がり時間と立ち下がり時間からその大きい方の時間以上の同時オフ時間を設けることになるため、直列共振回路の駆動において50%デューティが保証されなくなり、その分だけ効率が低下する。
【0029】
上述した課題を回避するためには、逆導電型の一対のトランジスタを相補対称接続(コンプリメンタリ接続)してなる所謂プッシュプル回路の構成の駆動回路を用いるのが望ましい。このプッシュプル回路構成の駆動回路において、100W以上の高出力を得るために、逆導電型の一対のトランジスタとしてバイポーラトランジスタやパワーMOS−FETを使用した場合には、これらトランジスタが扱う電流が例えば30〜40A程度と非常に大きくなる。
【0030】
しかしながら、非常に大きな電流を扱うプッシュプル回路では、逆導電型の一対のトランジスタの不感帯と感帯の境目で、オフ状態からオン状態に移行する瞬間に突然大電流が流れるため、グリッチ(glitch)やスパイク(以下、これらを総称してグリッチと記す)が発生する。このグリッチは、負帰還することによって目的以外の寄生発振(寄生振動)をトランジスタのリード線や基板との間に引き起こす。したがって、安定な動作を実現するのが難しく、また目的の出力が得られない。
【0031】
特に、一対のトランジスタとしてパワーMOS−FETを使用した場合には、トランジスタの飽和電圧VdsがIGBTと比較して高く、発熱し易い。したがって、発熱による損失が発生するため効率が悪い。また、低飽和形のバイポーラトランジスタを使用したとしても、高出力の駆動回路では電流×飽和電圧積が効率を悪化させる大きな要因となってしまう。
【0032】
また、特許文献2に開示の従来装置では、AC100Vを整流して得られるDC120V〜140Vの電圧をそのまま駆動回路に印加する構成を採っているため、使用する素子が限定される。このため、使用するAC電源電圧がAC220Vなどに変わる場合は、使用する素子の変更、もしくは、電源電圧変更のための回路が必要とされる。
【0033】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、特に電磁誘導コイルの巻数や形状を設計する上で並列共振回路方式よりも有利な直列共振回路方式を採るとともに、駆動回路をプッシュプル回路で実現する場合において、特にグリッチに起因する寄生振動の発生を抑え、効率の向上を図るとともに、低電圧高出力の回路の実現を可能とした電磁誘導加熱用制御装置、当該制御装置を用いた電磁誘導加熱装置および当該加熱装置を具備する画像形成装置を提供することにある。
【0034】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の電磁誘導加熱用制御装置は、電磁誘導コイルおよび共振コンデンサを有する直列共振回路と、相補対称接続された逆導電型の一対のトランジスタを有し、前記直列共振回路を駆動する主駆動回路と、この主駆動回路の一対のトランジスタの各制御電極間に接続された定電圧回路と、この定電圧回路に対してその両端にそれぞれ直列に接続され、制御電極が共通に接続された逆導電型の一対のトランジスタを有する前置駆動回路とを備える構成となっている。
【0035】
上記構成の電磁誘導加熱用制御装置において、主駆動回路が直列共振回路をスイッチング動作ではなく、逆導電型の一対のトランジスタからなるプッシュプル回路によって電流増幅動作で駆動を行うことで、一対のトランジスタが共に低インピーダンスを示す。したがって、共振コンデンサが1個の直列共振回路でも、直列共振回路からの還流電流を利用できるため効率の良い駆動を実現できる。
【0036】
また、主駆動回路がプッシュプル回路構成であることで、その入力信号が正極性でも負極性でも、即ち入力信号の極性に関係なく常に低インピーダンスで直列共振回路を駆動することができる。したがって、直列共振回路において、形成されるQファクタを積極的に活用し、低電源電圧で大電流を発生させると同時に、直列共振のフライホイール効果も利用して電磁誘導コイルを駆動できる。
【0037】
さらに、主駆動回路の相補対称接続接続された一対のトランジスタの制御電極間に定電圧回路を接続し、前置駆動回路によって一対のトランジスタの各制御電極を駆動することで、定電圧回路の作用によって負側のトランジスタの制御電極電位に対して、正側のトランジスタの制御電極電位が常に一定電圧以上に保たれる。これにより、主駆動回路の不感帯と感帯の境目でのグリッチの発生が抑制され、寄生発振が起こりにくくなる。
【0038】
請求項2記載の電磁誘導加熱用制御装置は、請求項1記載の電磁誘導加熱用制御装置において、前記定電圧回路が主駆動回路の不感帯電圧以上の障壁電圧を持つツェナーダイオードからなる構成となっている。かかる構成の電磁誘導加熱用制御装置において、定電圧回路としてツェナーダイオードを用いることで、単一の素子で所期の目的を達成できるため、回路構成の簡略化が図れる。しかも、ツェナーダイオードが主駆動回路の不感帯電圧以上の障壁電圧を持つことで、負側のトランジスタの制御電極電位に対して、正側のトランジスタの制御電極電位を常に主駆動回路の不感帯電圧以上に保つことができる。したがって、主駆動回路の不感帯と感帯の境目でのグリッチの発生を確実に抑制できる。
【0039】
請求項3記載の電磁誘導加熱用制御装置は、請求項1記載の電磁誘導加熱用制御装置において、前記前置駆動回路の電源電圧の電圧値が、前記主駆動回路の電源電圧の電圧値よりも大きく設定された構成となっている。かかる構成の電磁誘導加熱用制御装置において、主駆動回路の電源電圧よりも電圧値が大きい電源電圧で前置駆動回路を駆動し、主駆動回路の電源電圧をオーバーした電圧波形の前置駆動回路の出力信号で主駆動回路を駆動することで、主駆動回路の相補接続された逆導電型の一対のトランジスタの飽和電圧が下がる。これにより、当該一対のトランジスタの発熱が抑制され、発熱による損失が抑えられる。
【0040】
請求項4記載の電磁誘導加熱用制御装置は、電磁誘導コイルおよび共振コンデンサを有する直列共振回路と、互いに直列に接続された一対のトランジスタを有し、前記直列共振回路を駆動する主駆動回路と、前記主駆動回路を駆動する前置駆動回路とを備え、前記前置駆動回路の電源電圧の電圧値が、前記主駆動回路の電源電圧の電圧値よりも大きく設定された構成となっている。かかる構成の電磁誘導加熱用制御装置において、主駆動回路の電源電圧よりも電圧値が大きい電源電圧で前置駆動回路を駆動し、主駆動回路の電源電圧をオーバーした電圧波形の前置駆動回路の出力信号で主駆動回路を駆動(オーバードライブ)することで、主駆動回路の一対のトランジスタの飽和電圧が下がる。これにより、当該一対のトランジスタの発熱が抑制され、発熱による損失が抑えられる。
【0041】
請求項5記載の電磁誘導加熱用制御装置は、請求項4記載の電磁誘導加熱用制御装置において、前記一対のトランジスタが逆導電型のトランジスタであり、相補対称接続されてなるプッシュプル回路によって主駆動回路が構成されている。かかる構成の電磁誘導加熱用制御装置において、主駆動回路がプッシュプル回路構成であることで、その入力信号が正極性でも負極性でも、即ち入力信号の極性に関係なく常に低インピーダンスで直列共振回路を駆動することができる。したがって、直列共振回路において、形成されるQファクタを積極的に活用し、低電源電圧で大電流を発生させると同時に、直列共振のフライホイール効果も利用して電磁誘導コイルを駆動できる。
【0042】
請求項6記載の電磁誘導加熱用制御装置は、請求項4記載の電磁誘導加熱用制御装置において、前記一対のトランジスタが同導電型のトランジスタであり、カスコード接続されてなるトーテムホール回路によって主駆動回路が構成されている。かかる構成の電磁誘導加熱用制御装置において、主駆動回路がトーテムホール回路構成の場合にも、オーバードライブを行うことで、主駆動回路の一対のトランジスタの飽和電圧が下がる。これにより、当該一対のトランジスタの発熱が抑制され、発熱による損失が抑えられる。
【0043】
請求項7記載の電磁誘導加熱用制御装置は、電磁誘導コイルおよび共振コンデンサを有する直列共振回路と、出力段が互いに直列接続された一対のトランジスタからなり、前記直列共振回路をその両端から逆相の信号に応じてそれぞれ駆動する2つの駆動回路とを備えた構成となっている。かかる構成の電磁誘導加熱用制御装置において、直列共振回路をその両端から2つの駆動回路によって逆相の信号に応じて駆動することで、低電圧高出力の回路を容易に実現できる。したがって、同じ駆動出力を得る場合、両端駆動の方が一端駆動よりも電源電圧を低く抑えることができる。
【0044】
請求項8記載の電磁誘導加熱用制御装置は、請求項7記載の電磁誘導加熱用制御装置において、前記一対のトランジスタは逆導電型のトランジスタであり、相補対称接続されてなるプッシュプル回路によって2つの駆動回路の各出力段が構成されている。かかる構成の電磁誘導加熱用制御装置において、2つの駆動回路の各出力段がプッシュプル回路構成であることで、その入力信号が正極性でも負極性でも、即ち入力信号の極性に関係なく常に低インピーダンスで直列共振回路を駆動することができる。したがって、直列共振回路において、形成されるQファクタを積極的に活用し、低電源電圧で大電流を発生させると同時に、直列共振のフライホイール効果も利用して電磁誘導コイルを駆動できる。
【0045】
請求項9記載の電磁誘導加熱用制御装置は、請求項7記載の電磁誘導加熱用制御装置において、前記2つの駆動回路が各々、相補対称接続された逆導電型の一対のトランジスタを有する主駆動回路と、前記主駆動回路の一対のトランジスタの各制御電極間に接続された定電圧回路と、前記定電圧回路に対してその両端にそれぞれ直列に接続され、制御電極が共通に接続された逆導電型の一対のトランジスタを有する前置駆動回路とを有し、前記2つの駆動回路の一方の前記主駆動回路の出力端が前記直列共振回路の一端に接続され、他方の前記主駆動回路の出力端が前記直列共振回路の他端に接続された構成となっている。かかる構成の電磁誘導加熱用制御装置において、主駆動回路の相補対称接続接続された一対のトランジスタの制御電極間に定電圧回路を接続し、前置駆動回路によって一対のトランジスタの各制御電極を駆動することで、定電圧回路の作用によって負側のトランジスタの制御電極電位に対して、正側のトランジスタの制御電極電位が常に一定電圧以上に保たれる。これにより、主駆動回路の不感帯と感帯の境目でのグリッチの発生が抑制され、寄生発振が起こりにくくなる。
【0046】
請求項10記載の電磁誘導加熱用制御装置は、請求項7記載の電磁誘導加熱用制御装置において、前記直列共振回路が複数設けられており、これら複数の直列共振回路の各一端が前記2つの駆動回路の一方の出力端に、各他端が前記2つの駆動回路の他方の出力端にそれぞれ接続された構成となっている。かかる構成の電磁誘導加熱用制御装置において、直列共振回路をその両端から駆動することにより、2つの駆動回路の電源電圧を抑えることができ、2つの駆動回路の各出力段のパワートランジスタとして大電流低電圧タイプのトランジスタを使用することができる。その結果、複数の電磁誘導コイルの同時駆動が可能になる。
【0047】
以上の請求項1〜請求項3、請求項7〜請求項10のいずれか1項に記載の電磁誘導加熱用制御装置は、被加熱体を加熱する発熱部材と、電磁誘導によって当該発熱部材を発熱させる制御装置とを具備する電磁誘導加熱装置において、その制御装置として用いられる。また、この電磁誘導加熱装置は、複写機やプリンタなどに代表される画像形成装置に搭載され、定着ローラ、定着ベルトあるいは固体インクの支持部材を発熱部材としてそれらを発熱させて被加熱体を加熱する。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0049】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る電磁誘導加熱用制御装置の構成を示す回路図である。図1において、本実施形態に係る電磁誘導加熱用制御装置は、電磁誘導コイルL11に対して単一の共振コイルC11が直列に接続されてなる直列共振回路11と、これを駆動する2入力の主駆動回路12と、この主駆動回路12の2つの入力端間に接続された定電圧回路13と、前置駆動回路14とを有する構成となっている。
【0050】
主駆動回路12は、低電源電圧での駆動を可能にするために、逆導電型の(互いに導電型が異なる)一対のトランジスタ、例えばNチャネルのパワーMOS−FET(電界効果トランジスタ)Q11およびPチャネルFETQ12を有し、これらMOS−FETQ11,Q12のソース電極同士が共通に接続された、即ちシングルエンドの相補対称接続(コンプリメンタリ接続)されたプッシュプル回路構成となっている。この主駆動回路12は、インピーダンス変換機能を持っている。
【0051】
主駆動回路12は、正側電源電圧Vddおよび負側電源電圧Vccを動作電源としている。すなわち、FETQ11のドレイン電極には正側電源電圧Vddが印加され、FETQ12のドレイン電極には負側電源電圧Vccが印加されている。主駆動回路12の出力端、即ちFETQ11,Q12のソース共通接続ノードN11には、直列共振回路11の入力端、本例では電磁誘導コイルL11に対して直列に接続された共振コイルC11の一端が接続されている。
【0052】
主駆動回路12の2つの入力端間には、主駆動回路12の不感帯電圧以上の一定電圧を両端間に発生する定電圧回路13が接続されている。この定電圧回路13としては、例えば、ツェナーダイオード(定電圧ダイオード)ZDが用いられる。このツェナーダイオードZDは、主駆動回路12の不感帯電圧以上、即ちFETQ11,Q12のスレッシュホールド電圧以上の障壁電圧を持ち、カソード電極が主駆動回路12の一方の入力端、即ちFETQ11のゲート電極(制御電極)に接続され、アノード電極が他方の入力端、即ちFETQ12のゲート電極に接続されている。
【0053】
前置駆動回路14は、コンプリメンタリ−プッシュプル回路141およびバッファ142を有する構成となっている。コンプリメンタリ−プッシュプル回路141は、逆導電型の一対のトランジスタ、例えばNPN型バイポーラトランジスタQ13およびPNP型バイポーラトランジスタQ14を有し、これらトランジスタQ13,Q14のベース電極(制御電極)同士が共通接続されるとともに、エミッタ電極同士がツェナーダイオードZDを介して接続された構成となっている。
【0054】
前置駆動回路14は、正側電源電圧Vdpおよび負側電源電圧Vcpを動作電源としている。ここで、正側電源電圧Vdpおよび負側電源電圧Vcpとして、正側電源電圧Vddおよび負側電源電圧Vccをそれぞれ共用することも可能であるが、本実施形態では、別々のものを用いるものとし、正側電源電圧Vdpおよび負側電源電圧Vcpの各電圧値は、正側電源電圧Vddおよび負側電源電圧Vccの各電圧値よりも大きく設定されている。具体的には、正側電源電圧Vdpおよび負側電源電圧Vcpの各電圧値は、パワーMOS−FETQ11,Q12の飽和電圧をVdsとしたとき、Vdp>Vdd+Vds、Vcp>Vcc+Vdsなる条件を満足するように設定されている。
【0055】
この前置駆動回路14において、トランジスタQ13のコレクタ電極には正側電源電圧Vdpが印加され、トランジスタQ14のコレクタ電極には負側電源電圧Vcpが印加される。トランジスタQ13のエミッタ電極には、ツェナーダイオードZDのカソード電極およびFETQ11のゲート電極がそれぞれ接続されている。トランジスタQ14のエミッタ電極には、ツェナーダイオードZDのアノード電極およびFETQ12のゲート電極がそれぞれ接続されている。トランジスタQ13,Q14のベース共通接続ノードN12には、バッファ142を介して例えばデューティ50%の矩形波の信号Sigが与えられる。
【0056】
次に、上記構成の第1実施形態に係る電磁誘導加熱用制御装置の回路動作について説明する。
【0057】
直列共振回路11を用いた電磁誘導加熱用制御装置において、電磁誘導コイルL11の駆動周波数をf、インダクタンスをL、巻線抵抗をRc、駆動回路12の出力インピーダンスをZoutとすると、形成されるQ(quality)ファクタは、
Q=2πfL/(Rc+Zout) ……(4)
で表される。Qファクタは振動系の鋭さを表す量である。
【0058】
直列共振回路11への投入電圧をVinとすると、電磁誘導コイルL11にはV=QVinなる電圧Vが印加され、また式(3)で表される電流Iが流れる。ここで、主駆動回路12の出力インピーダンスZoutは、
Q=2πfL/(Rc+Zout)≫1 ……(5)
なる条件を満足するように設定される。このため、出力インピーダンスZoutはほぼ0オームである。
【0059】
ところで、主駆動回路12はプッシュプル回路であり、高圧、大電流のプッシュプル回路においては、前述したように、逆導電型トランジスタであるFETQ11,Q12の不感帯と感帯の境目で突然大電流が流れることによってグリッチ(もしくは、スパイク)が発生する。この感帯と不感帯の間の電圧は、FETQ11,Q12のスレッシュホールド電圧に比例する。
【0060】
ここで、FETQ11,Q12の各ゲート電極間に接続されたツェナーダイオードZDは、主駆動回路12の不感帯電圧以上、即ちFETQ11,Q12のスレッシュホールド電圧以上の障壁電圧を持っている。したがって、ツェナーダイオードZDは、負側(本例では、グランド側)のPチャネルFETQ12のゲート電位に対して、正側のNチャネルFETQ11のゲート電位を常に不感帯電圧以上に保つ働きをする。これにより、等価的に、主駆動回路12に不感帯が存在しないものとみなすことができる。その結果、FETQ11,Q12がオフ状態からオン状態に移行する際に突然大電流が流れるようなことがないため、グリッチの発生が抑制され、グリッチに起因する寄生発振が起こりにくくなる。
【0061】
なお、本実施形態では、定電圧回路13としてツェナーダイオードZDを用いた場合を例に挙げて説明したが、ツェナーダイオードZDに限られるものではなく、両端間に一定電圧を発生する他の定電圧回路であっても良い。要は、負側のPチャネルFETQ12のゲート電位に対して、正側のNチャネルFETQ11のゲート電位を常に一定電圧以上、具体的には主駆動回路12の不感帯電圧以上に保つ作用をなし得るものであれば良い。ただし、ツェナーダイオードZDを用いだ場合には、単一の素子で所期の目的を達成できるため、回路構成の簡略化が図れるという利点がある。
【0062】
また、本実施形態に係る電磁誘導加熱用制御装置においては、主駆動回路12の電源電圧Vdd,Vccよりも電圧値が大きい電源電圧Vdp,Vcpで前置駆動回路14を駆動し、電源電圧Vdd,Vccをオーバーした電圧波形の前置駆動回路14の出力信号で主駆動回路12を駆動する所謂オーバードライブ方式を採っている。このオーバードライブ方式を採ることにより、パワーMOS−FETQ11,Q12をドレイン電圧よりも大きいゲート電圧で駆動することになるため、これらFETQ11,Q12の飽和電圧Vdsが下がり、例えばIGBTの飽和電圧よりも低くなる。これにより、FETQ11,Q12の発熱が抑制され、発熱による損失を抑えることができるため駆動効率が向上する。
【0063】
図2の波形図において、主駆動回路12の出力振幅(Vdd−Vcc)に対する前置駆動回路14の出力振幅(Vdp−Vcp)の差電圧がオーバードライブ電圧となる。効率の向上を図る上では、FETQ11,Q12の飽和電圧Vdsができるだけ低い方が有利である。したがって、飽和電圧Vdsが極小となるようにオーバードライブ電圧を設定するのが好ましい。因みに、オーバードライブ電圧を7V以上に設定することで、発熱抑制による効率向上に関して十分な効果が得られることが本願発明者によって確認されている。一例として、Vdd=30VのときVdp=40V、Vcc=0VのときVcp=−7V、という具合に前置駆動回路14の電源電圧Vdp,Vcpを設定することで、7V以上のオーバードライブ電圧を確保することができる。
【0064】
なお、本実施形態では、逆導電型のFETQ11,12をコンプリメンタリ接続して主駆動回路12を構成する場合を例に採って説明したが、回路素子としては電界効果トランジスタに限られるものではなく、ベース同士およびエミッタ同士がそれぞれ共通に接続されたNPN型バイポーラトランジスタQ13およびPNP型トランジスタQ14をコンプリメンタリ接続して主駆動回路12を構成しても良いことは勿論である。
【0065】
上述したように、第1実施形態に係る電磁誘導加熱用制御装置においては、電磁誘導コイルL11の巻数や形状を設計する上で並列共振回路方式よりも有利な直列共振回路方式を採る一方、この直列共振回路11を駆動する主駆動回路12を、逆導電型の一対のFETQ11,Q12をコンプリメンタリ接続してなるプッシュプル回路構成としたことにより、当該駆動回路12が直列共振回路11をスイッチング動作ではなく、電流増幅動作で駆動を行うことができる。また、一対のFETQ11,Q12が共に低インピーダンスを示すことから、共振コンデンサが1個の直列共振回路でも、当該直列共振回路からの還流電流を利用できるため効率の良い駆動を実現でき、しかも共振コンデンサが1個で済むため実装密度上の問題も解決できることになる。
【0066】
また、主駆動回路12がコンプリメンタリ−プッシュプル回路構成であることにより、その入力信号が正極性でも負極性でも、即ち入力信号の極性に関係なく常に低インピーダンスで直列共振回路11を駆動することができるため、直列共振回路11において、形成されるQファクタ(式(4)を参照)を積極的に活用し、低電源電圧で大電流を発生させると同時に、直列共振のフライホイール効果も利用して電磁誘導コイルL11を駆動することができる。その結果、コストと消費電力を大幅に低減できる。
【0067】
コンプリメンタリ−プッシュプル回路ではさらに、同導電型のトランジスタをカスコード接続した場合のような貫通電流が流れることがないため、当該貫通電流を検知するトランスなどの検知素子を設ける必要もない。しかも、カスコード接続の場合のように、貫通電流の発生防止を目的として、素子の立ち上がり時間と立ち下がり時間からその大きい方の時間以上の同時オフ時間を設ける必要がないため、直列共振回路11の駆動において50%デューティを保証できることになる。
【0068】
さらに、主駆動回路12のコンプリメンタリ接続されたFETQ11,Q12の各ゲート電極間に、主駆動回路12の不感帯電圧以上の一定電圧を両端間に発生する定電圧回路13、例えばツェナーダイオードZDを接続し、コンプリメンタリ−プッシュプル回路構成の前置駆動回路14によってFETQ11,Q12の各ゲート電極を駆動することで、ツェナーダイオードZDの作用によって負側のFETQ12のゲート電位に対して、正側のFETQ11のゲート電位が常に主駆動回路12の不感帯電圧以上に保たれるため、グリッチの発生が抑制され、寄生発振が起こりにくくなる。
【0069】
さらにまた、前置駆動回路14の電源電圧Vdp,Vcpの電圧値を、主駆動回路12の電源電圧Vdd,Vccの電圧値よりも大きく設定し、電源電圧Vdd,Vccをオーバーした電圧波形の前置駆動回路14の出力信号で主駆動回路12を駆動するオーバードライブ方式を採ることにより、パワーMOS−FETQ11,Q12の飽和電圧Vdsを低くし、これらFETQ11,Q12の発熱を抑えることができるため駆動効率を向上できる。
【0070】
なお、オーバードライブ方式については、上記実施形態に係る電磁誘導加熱用制御装置における主駆動回路、即ち逆導電型の一対のパワーMOS−FETQ11,Q12がコンプリメンタリ接続されてなる主駆動回路12への適用に限られるものではなく、例えばNチャネルの一対のパワーMOS−FETがカスコード接続されてなる主駆動回路や、Pチャネルの一対のパワーMOS−FETがカスコード接続されてなる主駆動回路にも同様に適用可能である。Nチャネルの一対のパワーMOS−FETがカスコード接続されてなる主駆動回路に適用する場合を、第1実施形態の変形例として以下に説明する。
【0071】
(変形例)
図3は、第1実施形態の変形例に係る電磁誘導加熱用制御装置の構成を示す回路図である。図3において、本変形例に係る電磁誘導加熱用制御装置は、電磁誘導コイルL21に対して単一の共振コイルC21が直列に接続されてなる直列共振回路21と、これを駆動する主駆動回路22およびその前置駆動回路23を有する構成となっている。
【0072】
主駆動回路22は、同導電型の一対のトランジスタ、例えばNチャネルのパワーMOS−FETQ21,Q22を有し、これらMOS−FETQ21,Q22のソース電極とドレイン電極とが共通に接続された、即ちカスコード接続されたトーテムポール(Totem Pole)回路構成となっている。ここに、トーテムポール回路とは、パワーMOS−FETのゲート容量を急速に充放電できるような大きなピーク電流を供給できる駆動回路のことを言う。
【0073】
主駆動回路22は、正側電源電圧Vddおよび負側電源電圧Vccを動作電源としている。すなわち、FETQ21のドレイン電極には正側電源電圧Vddが印加され、FETQ22のソース電極には負側電源電圧Vccが印加される。主駆動回路22の出力端、即ちFETQ11,Q12のソース−ドレイン共通接続ノードN21には、直列共振回路21の入力端、本例では電磁誘導コイルL21に対して直列に接続された共振コイルC21の一端が接続されている。
【0074】
前置駆動回路23は、主駆動回路22のFETQ11,Q12にそれぞれ対応して設けられた2つのコンプリメンタリ−プッシュプル回路231A,231Bおよび2つのバッファ232A,232Bを有する構成となっている。プッシュプル回路231Aは、逆導電型の一対のトランジスタ、例えばNPN型バイポーラトランジスタQ23AとPNP型バイポーラトランジスタQ24Aとを有し、これらトランジスタQ23A,Q24Aのベース電極同士およびエミッタ電極同士がそれぞれ共通に接続された構成となっている。プッシュプル回路231Bも同様に、ベース電極同士およびエミッタ電極同士がそれぞれ共通に接続されたNPN型バイポーラトランジスタQ23BおよびPNP型バイポーラトランジスタQ24Bを有する構成となっている。
【0075】
前置駆動回路23は、正側電源電圧Vdpおよび負側電源電圧Vcpを動作電源としている。すなわち、トランジスタQ23A,Q23Bの各コレクタ電極には正側電源電圧Vdpが印加され、トランジスタQ24A,Q24Bの各コレクタ電極には負側電源電圧Vcpが印加されている。そして、プッシュプル回路231A,231Bの各入力端、即ちトランジスタQ23A,Q24Aのベース共通接続ノードN22AおよびトランジスタQ23B,Q24Bのベース共通接続ノードN22Bには、バッファ232A,232Bを介して例えばデューティ50%の矩形波で、互いに位相が180度異なる信号SigA,SigBがそれぞれ与えられる。
【0076】
上記構成の本変形例に係る電磁誘導加熱用制御装置において、主駆動回路22の上段のFETQ21がフォロアトランジスタとして働き、下段のFETQ22がスイッチング動作を行う。
【0077】
ここで、前置駆動回路23の正側電源電圧Vdpおよび負側電源電圧Vcpの各電圧値は、主駆動回路22の正側電源電圧Vddおよび負側電源電圧Vccの各電圧値よりも大きく設定されている。具体的には、正側電源電圧Vdpおよび負側電源電圧Vcpの各電圧値は、パワーMOS−FETQ21,Q22の飽和電圧をVdsとしたとき、Vdp>Vdd+Vds、Vcp>Vcc+Vdsなる条件を満足するように設定されている。
【0078】
上記の条件での電源電圧の設定により、先述したオーバードライブが実現される。すなわち、電源電圧Vdd,Vccをオーバーした電圧波形の前置駆動回路23の出力信号、即ちプッシュプル回路231A,231Bの各出力信号によって主駆動回路22の駆動が行われる。このオーバードライブ方式を採ることにより、パワーMOS−FETQ21,Q22の飽和電圧Vdsを低くできるため、これらFETQ21,Q22の発熱を抑えることができ、よって効率を向上できる。
【0079】
[第2実施形態]
図4は、本発明の第2実施形態に係る電磁誘導加熱用制御装置の構成を示す回路図であり、図中、図1と同等部分には同一符号を付して示している。
【0080】
本実施形態に係る電磁誘導加熱用制御装置は、例えば互いに同じ回路構成の2つの駆動回路31A,31Bを有し、これら駆動回路31A,31Bによって直列共振回路11をその両端から駆動する構成となっている。2つの駆動回路31A,31Bは、例えば、第1実施形態に係る電磁誘導加熱用制御装置と同じ回路構成を採っている。
【0081】
具体的には、2つの駆動回路31A,31Bは共に、コンプリメンタリ接続されたFET(Q11A,Q12A),(Q11B,Q12B)の各ゲート電極間に、主駆動回路12A,12Bの不感帯電圧以上の一定電圧を両端間に発生する定電圧回路13A,13を接続し、コンプリメンタリ−プッシュプル回路構成の前置駆動回路14A,14BによってFET(Q11A,Q12A),(Q11B,Q12B)の各ゲート電極を駆動する構成となっている。
【0082】
さらに、2つの駆動回路31A,31Bは共に、前置駆動回路14A,14Bの電源電圧Vdp,Vcpの電圧値を、主駆動回路12A,12Bの電源電圧Vdd,Vccの電圧値よりも大きく設定して、電源電圧Vdd,Vccをオーバーした電圧波形の前置駆動回路14A,14Bの出力信号で主駆動回路12A,12Bを駆動するオーバードライブ方式を採っている。
【0083】
2つの駆動回路31A,31Bのうち、一方の駆動回路31Aの出力端、即ちパワーMOS−FETQ11A,Q12Aのソース共通接続ノードN11Aが直列共振回路11の一端、即ち共振コンデンサC11の一端に接続され、他方の駆動回路31Bの出力端、即ちパワーMOS−FETQ11B,Q12Bのソース共通接続ノードN11Bが直列共振回路11の他端、即ち電磁誘導コイルL11の一端に接続されている。
【0084】
そして、2つの駆動回路31A,31Bには、図5の波形図に示すように、互いに位相が180度異なる、即ち逆相の2つの信号SigA,SinBが入力される。これらの信号SigA,SinBは、バッファ142A,142Bを介して前置駆動回路14A,14Bの各入力端、即ちトランジスタ(Q13A,Q14A),(Q13B,Q14B)の各ベース共通接続ノードN12A,N12Bに与えられる。これにより、駆動回路31A,31Bによって直列共振回路11がその両端から交互に駆動されることになる。
【0085】
上述したように、第2実施形態に係る電磁誘導加熱用制御装置においては、電磁誘導コイルL11および共振コンデンサC11からなる直列共振回路11を、その両端から2つの駆動回路31A,31Bによって逆相の信号SigA,SigBに応じて駆動することにより、低電圧高出力の回路を容易に実現できる。したがって、同じ駆動出力を得る場合、両端駆動の方が一端駆動よりも電源電圧を低く抑えることができ、DC50V以下の低電源電圧での動作が可能になる。
【0086】
このように、電源電圧を低く抑えることができることにより、高価なIGBTを用いなくても、IGBTよりも安価なパワーMOS−FET(Q11A,Q12A),(Q11B,Q12B)によって主駆動回路12A,12Bが実現し易くなるため、本電磁誘導加熱用制御装置の低コスト化を図ることができる。この両端駆動の構成は直列共振回路11であるが故に実現可能であり、並列共振回路では実現が不可能である。
【0087】
また、電源電圧を抑えることができることにより、パワーMOS−FET(Q11A,Q12A),(Q11B,Q12B)に要求される耐圧が低くて済むため、当該パワーMOS−FETとして大電流低電圧タイプのトランジスタを使用することができる。その結果、電磁誘導コイルを複数同時に駆動することが可能となる。この複数の電磁誘導コイルの同時駆動の場合を、第2実施形態の変形例として以下に説明する。
【0088】
(変形例)
図6は、第2実施形態の変形例に係る電磁誘導加熱用制御装置の構成を示す回路図であり、図中、図4と同等部分には同一符号を付して示している。本変形例に係る電磁誘導加熱用制御装置では、例えば3個の電磁誘導コイルL11,L12,L13を同時駆動する場合を例に採って示している。
【0089】
図6において、3個の電磁誘導コイルL11,L12,L13は、共振コンデンサC11,C12,C13と共に直列共振回路11−1,11−2,11−3を構成している。そして、直列共振回路11−1,11−2,11−3は、2つの駆動回路31A,31Bの各出力端、即ちノードN11A,N11Bに対して互いに並列に接続されている。
【0090】
このように、直列共振回路に対してその両端から駆動する駆動方式を採り、駆動回路31A,31Bの電源電圧を抑えることにより、主駆動回路12A,12BのパワーMOS−FETとして大電流低電圧タイプのトランジスタを使用することができるため、電磁誘導コイルを複数(本例では、3個)同時に駆動することができる。
【0091】
また、複数の電磁誘導コイルの同時駆動が可能であることにより、板状またはシート状の被加熱体をその両面から例えば2個の電磁誘導コイルによって同時に加熱することができる。これにより、磁束を損失することがなく、また被加熱体からの不要輻射が少なくなるため、系としての加熱効率を向上させることができる。
【0092】
このように、例えば2個の電磁誘導コイルによって同時加熱する場合の被加熱体としては、例えば図7に示す複写機において、用紙を転写部へ搬送する用紙搬送部32の搬送ベルト33が挙げられる。具体的には、この搬送ベルト33に対して、当該ベルト33を挟むようにその上部および下部に加熱コイル(電磁誘導コイル)34A,34Bを配し、これら加熱コイル34A,34Bをそれぞれ含む2つの直列共振回路をその両端から同時駆動し、搬送ベルト33をその両面から同時加熱することによって加熱効率を向上できる。
【0093】
なお、本実施形態およびその変形例では、2つの駆動回路31A,31Bとして、第1実施形態に係る電磁誘導加熱用制御装置と同じ回路構成のものを用いるとしたが、これに限られるものではなく、少なくとも出力段が逆導電型の一対のトランジスタがコンプリメンタリ接続された回路または同導電型の一対のトランジスタがカスコード接続された回路からなるものであれば良い。ただし、従来技術の課題からして、出力段が逆導電型の一対のトランジスタがコンプリメンタリ接続された回路構成の方が好ましいことは明らかである。
【0094】
特に、第1実施形態に係る電磁誘導加熱用制御装置と同じ回路構成のものを用いることにより、先述したように、グリッチの発生を抑制し、寄生発振を起こりにくくすることができるとともに、オーバードライブによってパワーMOS−FETの発熱を抑えることができるため駆動効率を向上できる、という特有の作用効果を得ることができる。
【0095】
図8は、先述した第1実施形態に係る電磁誘導加熱用制御装置を用いた電磁誘導加熱装置の構成の一例を示すブロック図であり、図中、図1と同等部分には同一符号を付して示している。
【0096】
図8において、共振コンデンサC11と共に直列共振回路11を構成する電磁誘導コイルL11は、鉄、銅などの金属からなる発熱部材41に磁界をかけ、この交番する磁界によって発生する渦電流によって発熱部材41を発熱させる。この発熱部材41は、近接して配置された被加熱体42をその発熱によって加熱する。直列共振回路11は、主駆動回路12によって駆動される。この主駆動回路12に対して、定電圧回路13および前置駆動回路14が設けられている。
【0097】
主駆動回路12としては、第1実施形態に係る回路構成のもの、即ち逆導電型の一対のトランジスタが相補対称接続(コンプリメンタリ接続)されてなるプッシュプル回路構成のものが用いられる。定電圧回路13としては、第1実施形態と同様に、主駆動回路12の不感帯電圧以上の障壁電圧を持つツェナーダイオードZDが用いられる。前置駆動回路14としても、第1実施形態に係る回路構成のもの、即ち逆導電型の一対のトランジスタがコンプリメンタリ接続されてなるプッシュプル回路構成のものが用いられる。
【0098】
主駆動回路12および前置駆動回路14に対して、電源部43から電源電圧Vdd,Vccおよび電源電圧Vdp,Vcpが供給される。この電源部43としては、商用100V交流電圧を整流した電源であっても良いが、第1実施形態に係る電磁誘導加熱用制御装置は消費電力が低いことから、直流電源を用いるのが可能であるため、商用100V交流電圧を整流した電源よりも直流電源を用いる方が好ましい。
【0099】
なお、ここでは、第1実施形態に係る電磁誘導加熱用制御装置を用いた電磁誘導加熱装置を例に採って説明したが、第1実施形態に係る電磁誘導加熱用制御装置を用いる場合は、図8において、直列共振回路11のグランド側の端部にも、主駆動回路12、定電圧回路13および前置駆動回路14からなる駆動系を配置するだけで良い。
【0100】
この電磁誘導加熱装置は、複写機、プリンタなどに代表される電子写真方式の画像形成装置に、未定着トナー像を記録媒体に定着させるための加熱定着装置として搭載される。また、電子写真方式の画像形成装置以外にも、トナージェット方式の画像形成装置や、インク溶融型インクジェット方式の画像形成装置にも搭載可能である。
【0101】
トナージェット方式の画像形成装置は、未定着トナー像を形成する工程が電子写真方式とは異なるが、記録媒体上の未定着トナー像を定着する工程、または中間転写体から未定着トナー像を記録媒体に転写すると同時に定着する工程は同様に必要である。インク溶融型インクジェット方式の画像形成装置は、WAXを主成分とする室温では固体のインクを加熱溶融し、インクジェットヘッドでドロップ状に噴射することで画像を形成するものである。
【0102】
印字方法としては、記録媒体に直接インクを噴射する方式と、中間転写体上に噴射し画像を形成した後記録媒体に転写定着する方式が知られている。直接噴射方式は、インクを記録媒体に着弾させた時点で印字を完了させても良いが、定着性を向上させ、半球状のドットを扁平化して画質を改善するために、熱と圧力を印加する定着工程を設けるのが好ましい。
【0103】
定着工程には、電子写真方式の定着装置と同様の加熱・加圧装置が適用可能である。中間転写体方式は、加熱・加圧下で記録媒体にインクを転写・定着することにより上記定着工程と同様の目的を果たすものである。すなわち、インク溶融型インクジェット方式の画像形成装置においても加熱装置が必要であり、加熱手段としてハロゲンランプ、帯状ヒータ、電磁誘導加熱方式等の従来技術が適用可能である。
【0104】
[適用例1]
図9は、本発明の適用例1に係る画像形成装置を示す概略構成図である。本適用例1では、ベルト状の中間転写体を採用した電子写真方式の画像形成装置に適用した場合を例に採っている。本適用例1に係る画像形成装置は、表面に静電電位の差による潜像が形成される感光ドラム51を備えており、この感光ドラム51にはレーザースキャナ52およびミラー53等からなる露光部により、感光ドラム51に各色信号に応じたレーザー光を照射することによって潜像が形成される。
【0105】
感光ドラム51の周囲には、帯電装置54、回転式の現像装置55、無端ベルト状の中間転写体56、一次転写ローラ57、クリーニング装置58および露光ランプ59などが配置されている。帯電装置54は、感光ドラム51の表面をほぼ一様に帯電する。現像装置55は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のトナーをそれぞれ収容し、感光ドラム51上の潜像を各色トナーによって可視化する。
【0106】
中間転写体56は、一定の方向に循環移動が可能に支持されている。一次転写ローラ57は、中間転写体56を挟んで感光ドラム51と対向するように配置され、トナー像を中間転写体56に転写する。クリーニング装置58は、転写後の感光ドラム表面を清掃する。露光ランプ59は、感光ドラム51の表面を除電する。
【0107】
本装置内にはさらに、テンションローラ60、駆動ローラ61、加圧ローラ62、給紙ユニット63、給紙ローラ64、レジストローラ65、記録媒体ガイド66および電磁誘導加熱装置67が設けられている。テンションローラ60は、一次転写ローラ57とともに中間転写体56を張架するように配置されている。加圧ローラ62は、中間転写体56を挟むようにテンションローラ60と対向して配置されている。
【0108】
給紙ローラ64およびレジストローラ65は、給紙ユニット63内に収容される記録媒体を1枚ずつ搬送する。記録媒体ガイド66は、テンションローラ60に巻回された中間転写体56と加圧ローラ62との間に記録媒体を供給する。電磁誘導加熱装置67は、中間転写体56の周回方向における加圧ローラ62との対向位置の上流側に配置されており、中間転写体56の背面側からトナー像を加熱する。この電磁誘導加熱装置67として、先述した第1、第2実施形態に係る電磁誘導加熱用制御装置を用いた電磁誘導加熱装置が搭載される。
【0109】
上記の構成において、感光ドラム51は、円筒状の導電性基材の表面にOPC又はa−Si等からなる感光体層を備えている。この感光ドラム51の導電性基材は電気的に接地されている。現像装置55は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのトナーをそれぞれ収容する4台の現像器55C,55M,55Y,55Kを備えており、各現像器が感光ドラム51と対向するように回転可能に支持されている。
【0110】
現像装置55の各現像器55C,55M,55Y,55K内には、表面にトナー層を形成して感光ドラム51との対向位置に搬送する現像ロールが設けられている。この現像ロールには、p−p値が2kV、周波数が2kHzの矩形波電圧に400Vの直流電圧を重畳した電圧が印加され、電界の作用によりトナーが感光ドラム51上の潜像に転移されるようになっている。また、各現像器55C,55M,55Y,55K内には、トナーホッパー68からそれぞれトナーが補給される。
【0111】
図10は、発熱部材となる定着ベルトである中間転写体56の構造を示す概略断面図である。この中間転写体56は、耐熱性の高いシート状部材からなる基層56Aと、その上に積層された導電層(電磁誘導発熱層)56Bと、最も上層となる表面離型層56Cとの3層構造で構成されている。
【0112】
基層56Aは、厚さ10μm〜100μmの半導電性の部材であることが好ましく、例えばポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケトン、ポリサルファン、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアミド等に代表される耐熱性の高い樹脂に、カーボンブラック等の導電材を分散したものが好適に用いられる。基層56Aに導電材を分散するのは、一次転写時に電界をかけてトナー像を転写する静電転写性を考慮したものであるが、基層の構成はこれに限られるものではない。
【0113】
導電層56Bは、例えば鉄やコバルトの層、またはメッキ処理によってニッケル・銅・クロム等の金属層を、厚さ1μm〜50μmで形成したものである。なお、導電層56Bの詳細については後述する。
【0114】
表面離型層56Cは、厚さ0.1μm〜30μmの離型性の高いシート又はコート層であることが好ましく、例えばテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン−シリコーン共重合体などが用いられる。この表面離型層56Cにはトナーが当接されるため、その材料は画質に大きな影響を与える。表面離型層の材料が弾性部材の場合は、トナーを包み込むような状態で密着するため、画像の劣化が少なく画像光沢も均一である。
【0115】
しかし、離型材料が樹脂等のように弾性がない部材である場合には、中間転写体56との圧接部でトナーが記録媒体に完全には密着しにくいため、転写定着不良や画像光沢むらが生じやすい。特に、表面粗さの大きい記録媒体の場合は顕著である。したがって、表面離型層56Cの材料は弾性体であることが望ましい。なお、表面離型層の材料に樹脂を用いる場合には、表面離型層56Cと導電層56Bとの間に弾性層を有していることが望ましい。そして、トナーを包み込む効果を発揮するには、いずれの場合も弾性体の厚さを10μm、望ましくは20μm以上とするのが好適である。
【0116】
中間転写体56は、駆動ローラ61により駆動されて周回移動するので、中間転写体56における加圧ローラ62との圧接部分は駆動ローラ61の回転にともない記録媒体と同じ速度で移動する。このとき、記録媒体が加圧ローラ62と中間転写体56とのニップ中に存在している時間が10ms〜50msとなるように、ニップ幅および記録媒体の移動速度が設定されている。
【0117】
このニップ中に存在している時間、つまり溶融したトナーが記録媒体に押し付けられた時から、記録媒体が中間転写体から剥離されるまでの時間が、上記のように50ms以上となっていることによって、トナーが記録媒体に付着するのに充分な温度まで加熱されていても、ニップの出口では、オフセットが生じない程度までトナーの温度が低下されるものである。
【0118】
図11は、電磁誘導加熱装置67による中間転写体56の加熱原理を示す説明図である。図11に示すように、電磁誘導加熱装置67は、断面が下向きのE型形状を有する鉄心71と、この鉄心71に巻き回された電磁誘導コイル(励磁コイル)72と、この電磁誘導コイル72に交流電流を供給する制御装置(励磁装置)73とで主要部が構成されている。そして、制御装置73として、先述した第1、第2実施形態に係る電磁誘導加熱用制御装置が用いられる。
【0119】
この電磁誘導加熱装置67において、電磁誘導コイル72に交流電流が供給されると、電磁誘導コイル72の周囲に矢印Hで示される磁束が発生/消滅を繰り返す。この磁束Hが中間転写体56の導電層56Bを横切るように当該加熱装置67が配置されている。変動する磁界が導電層56B中を横切るとき、その磁界の変化を妨げる磁界を生じるように、導電層56B中には矢印Bで示される渦電流が発生する。この渦電流は表皮効果のためにほとんど導電層56Bの電磁誘導コイル72側の面に集中して流れ、導電層56Bの表皮抵抗RSに比例した電力で発熱を生じる。
【0120】
ここで、角周波数をω、透磁率をμ、固有抵抗をρとすると、表皮深さδは次式で示される。
δ=√(2ρ/ωμ)
さらに、表皮抵抗RSは次式で示される。
RS=ρ/δ=√(ωμρ/2)
【0121】
中間転写体56の導電層56Bに発生する電力Pは、中間転写体中を流れる電流をIfとすると、次式で表せる。
P=RS∫|If|2dS
したがって、表皮抵抗RSを大きくするか、あるいは中間転写体中を流れる電流Ifを大きくすれば、電力Pを増すことができ、発熱量を増すことが可能となる。表皮抵抗RSを大きくするには、角周波数ωを高くするか、透磁率μの高い材料又は固有抵抗ρの高いものを用いれば良い。
【0122】
上述した加熱原理からすると、非磁性金属を導電層56Bに用いると、加熱しづらいことが憶測されるが、導電層56Bの厚さtが表皮深さδより薄い場合には、次式のようになるので、加熱が可能となる。
RS≒ρ/t
【0123】
また、電磁誘導コイル72に流す交流電流の周波数は10〜500kHzが好ましい。10kHz以上となると、導電層56Bへの吸収効率が良くなり、500kHzまでは安価な素子を用いて制御装置73を構成することができる。さらに、20kHz以上であれば可聴域を越えるため、通電時に騒音がすることがなく、また200kHz以下では制御装置73で生じるロスも少なく、周辺への放射ノイズも小さい。
【0124】
また、10〜500kHzの交流電流を導電層56Bに流した場合には、表皮深さδは数μmから数百μm程度である。実際に導電層56Bの厚さtを1μmより小さくすると、ほとんどの電磁エネルギーが導電層56Bで吸収し切れないため、エネルギー効率が悪くなる。また、漏れた磁界が他の金属部を加熱するという問題も生じる。
【0125】
一方、導電層56Bの厚さが50μmを超えると、中間転写体の熱容量が大きくなりすぎるとともに、導電層56B中の熱伝導によって熱が伝わり、離型層56Cが暖まりにくくなるという問題が生じる。したがって、導電層56Bの厚さtは1μm〜50μmが好ましい。また、導電層56Bの発熱を増すためには、中間転写体中を流れる電流Ifを大きくすれば良く、そのためには電磁誘導コイル72によって生成される磁束を強くするか、あるいは磁束の変化を大きくすれば良い。
【0126】
この方法としては、電磁誘導コイル72の巻線数を増すか、あるいは電磁誘導コイル72の鉄心71をフェライトやパーマロイといった高透磁率で残留磁束密度の低いもので構成すると良い。また、導電層56Bの抵抗値が小さすぎると、渦電流が発生したときの発熱効率が悪化するため、導電層56Bの固有体積抵抗率は20℃の環境で1.5×10-8Ωm以上が好ましい。
【0127】
なお、本適用例1では、導電層56Bをメッキ処理等で形成したが、真空蒸着スパッタリング等で形成しても良い。これにより、メッキ処理できないアルミニウムや金属酸化物合金を導電層56Bに用いることができる。ただし、メッキ処理では、所望の膜厚、即ち1〜50μmの層厚を得やすいため、メッキ処理が好ましい。
【0128】
また、導電層56Bの材料として、例えば高透磁率の鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性体を用いると、電磁誘導コイル72によって生成される電磁エネルギーを吸収し易くなり、効率良く加熱することができる。さらに、機外へ漏れる磁気も少なくなり、周辺装置への影響も低減できるため、これらのもので高抵抗率のものを選ぶのが最も好ましい。
【0129】
さらに、導電層56Bは金属に限定されるものではなく、低熱導電性の基層56Aと表面離型層56Cとを接着するための接着剤中に、導電性で高透磁率の粒子、ウィスカーを分散させて導電層5bとしても良い。例えば、マンガン、チタン、クロム、鉄、銅、コバルト、ニッケル等の粒子や、これらの合金であるフェライトや酸化物の粒子やウィスカーといったもの、あるいはカーボンブラック等の導電性粒子を接着剤中に混合し、分散させて導電層とすることもできる。
【0130】
次に、上記構成の本適用例1に係る画像形成装置の動作について説明する。感光ドラム51は図9中に示す矢印の向きに回転し、帯電装置54によってほぼ一様に帯電された後、レーザースキャナ52から原稿のイエロー画像信号に従ってパルス幅変調されたレーザー光が照射される。これにより、感光ドラム51上にイエロー画像に相当する静電潜像が形成される。このイエロー画像用の静電潜像は、回転式現像装置55により予め現像位置に定置されたイエロー用現像器55Yによって現像され、感光ドラム51上にイエロートナー像が形成される。
【0131】
このイエロートナー像は、感光ドラム51と中間転写体56との当接部である一次転写部Xにおいて、一次転写ローラ57の作用により中間転写体56上に静電的に転写される。この中間転写体56は、感光ドラム51と同期して周回移動しており、表面にイエロートナー像を保持したまま周回移動を継続し、次の色のマゼンタ像の転写に備える。
【0132】
一方、感光ドラム51は、クリーニング装置58によって表面を清掃された後、再び帯電装置54によりほぼ一様に帯電され、次のマゼンタの画像信号に従ってレーザースキャナ52からレーザー光が照射される。回転式現像装置55は、感光ドラム51上にマゼンタ用の静電潜像が形成される間に回転し、マゼンタ用現像器55Mを現像位置に定置してマゼンタトナーによる現像を行う。このようにして形成されたマゼンタトナー像は一次転写部Xで中間転写体56上に静電的に転写される。
【0133】
以降引き続き、上述のプロセスがそれぞれシアンおよびブラックに対して行われ、中間転写体56上へ4色分の転写が終了したとき、もしくは最終色のブラックの転写途中において、給紙ユニット63内に収容される記録媒体(用紙)が給紙ローラ64により給紙され、レジストローラ65および記録媒体ガイド66を経由して中間転写体56の二次転写部Yに搬送される。
【0134】
一方、中間転写体56上に転写された4色分のトナー像は、二次転写部Yの上流側で、電磁誘導加熱装置67と対向する加熱領域Aを通過する。加熱領域Aでは、図11において、制御装置73から電磁誘導コイル72に交流電流が供給されており、中間転写体56の導電層56Bが電磁誘導加熱によって発熱する。これにより、導電層56Bは急激に加熱され、この熱は時間経過とともに表層に伝達され、二次転写部Yに到達するときには中間転写体56上のトナーが溶融した状態となる。
【0135】
中間転写体56上で溶融したトナー像は、二次転写部Yで記録媒体の搬送に合わせて圧接される加圧ローラ62の圧力により、記録媒体と密着される。加熱領域Aでは中間転写体56は局所的に表面近傍だけが加熱されており、溶融したトナーは室温の記録媒体と接触して急激に冷却される。つまり、溶融したトナーは一次転写部Yのニップを通過するときに、トナーが持っている熱エネルギーと圧接力とで瞬時に記録媒体に浸透して転写定着される。
【0136】
そして、転写定着された記録媒体は、トナーおよび表面近傍だけ加熱された中間転写体56の熱を奪いながらニップ出口に向かって搬送される。このとき、ニップ幅および記録媒体の移動速度が適切に設定されていることにより、ニップ出口でのトナーの温度は軟化点温度よりも低くなる。このため、トナーの凝集力が大きくなり、トナー像はオフセットを生じることなく、そのままほぼ完全に記録媒体上に転写定着される。その後、トナー像が転写定着された記録媒体は、排出ローラ69を通って排出用トレイ70上に排紙され、フルカラーの画像形成が終了する。
【0137】
本適用例1に係る画像形成装置では、電磁誘導加熱装置67と対向する加熱領域Aにおいて、電磁波を吸収する中間転写体56の導電層56B(図10参照)の近傍だけが加熱され、転写定着領域Bにおいては、加熱領域Aで加熱溶融したトナーが室温の記録媒体と加圧接触することによって転写と同時に定着される。中間転写体56はごく表面が加熱されているだけなので、中間転写体56の温度は転写定着直後に急激に低下する。このため、装置内での熱の蓄積は極めて少なくなる。
【0138】
以上のことから、本適用例1に係る画像形成装置では、具体的に次に示すような利点がある。電磁誘導加熱装置67により中間転写体56の表面近傍を直接加熱するので、中間転写体56の基層56Aの熱伝導率、熱容量に左右されずに、急速に加熱することができる。また、中間転写体56の厚さに依存しないので、高速化のために中間転写体56の剛性を上げる必要がある場合、中間転写体56の基層(基材)56Aを厚くしてもトナーを迅速に定着温度にまで加熱できる。
【0139】
中間転写体56の基層56Aは低熱伝導性の樹脂のため断熱性が良く、連続プリントを行っても熱のロスが少ない。また、画像の存在しない領域、例えば連続して送られる記録媒体の間の非画像部が加熱領域Aを通過する場合などは、制御装置73を制御することにより、無駄な加熱を停止することも可能であり、これらのことと相俟ってエネルギー効率が非常に高くなる。そして、熱効率が向上した分、装置内の昇温も抑えられて、感光ドラム51の特性変化やクリーニング装置58へのトナーの固着等も防止できる。
【0140】
なお、本適用例1に係る画像形成装置では、4色のトナー像がすべて中間転写体56上に転写された後に電磁誘導加熱装置67によりトナー像を加熱溶融する構成の場合を例に採って示したが、各トナー像が一色ずつ一次転写された後に加熱溶融し、中間転写体56上にトナーの仮定着を行っても良い。このような方式により、一次転写後に、4色の重ね合わされたトナー像が乱れるのを防止できるとともに、画像のレジストや倍率を精度良く合わせることができるといった利点がある。
【0141】
また、本適用例1に係る画像形成装置では、一次転写部Xにおける転写方法として、絶縁性の誘電層を有するバイアス印加ローラを用い、トナー像を静電的に中間転写体56上に転写する静電転写方法を用いたが、弾性を有する耐熱性の中間転写体を用い、当該中間転写体の内側から一次転写ローラ57を感光ドラム51に押圧し、トナー像を中間転写体上に転写する粘着転写等を用いても良い。その際に、転写後の感光ドラム51上に若干トナーが残留するので、除電装置およびクリーニング装置により残留トナーを除電、クリーニングする必要がある。
【0142】
[適用例2]
図12は、本発明の適用例2に係る画像形成装置を示す概略構成図である。本適用例2では、ドラム状の中間転写体を採用した電子写真方式の画像形成装置に適用した場合を例に採っている。本適用例2に係る画像形成装置は、適用例1に係る画像形成装置と同様に、感光ドラム81、帯電装置82、レーザースキャナ83、回転式現像装置84、クリーニング装置85、露光ランプ86、加圧ローラ87、給紙ユニット88、給紙ローラ89、レジストローラ90、記録媒体ガイド91等を有しているが、図9に示すベルト状の中間転写体56に代えて、ロール状の中間転写体92を備えた構成となっている。
【0143】
発熱部材となる定着ローラである中間転写体92は、図13に示すように、多孔質セラミックスからなる断熱性の基材ロール92Aの上に、厚さ5μmのニッケルメッキ層を積層した導電層92Bと、さらにその上に厚さ30μmのシリコーンゴムを被覆した離型層92Cと、最も上層となる厚さ20μmのポリイミド製の耐熱性樹脂層92Dとからなる4層で構成されている。
【0144】
本装置内にはさらに、中間転写体92のトナー像搬送方向における二次転写部Yの上流側に、中間転写体92の外周面と近接対向するように電磁誘導加熱装置93が設けられている。電磁誘導加熱装置93は、図11の原理説明図の場合と同様に、電磁誘導コイルに制御装置から交流電流を流すことで、中間転写体92の導電層92Bを電磁誘導加熱により発熱させるものである。この電磁誘導加熱装置93として、先述した第1、第2実施形態に係る電磁誘導加熱用制御装置を用いた電磁誘導加熱装置が搭載される。
【0145】
なお、上述した構成以外の構成および動作については、基本的に、図9に示す適用例1に係る画像形成装置と同じである。
【0146】
[適用例3]
図14は、本発明の適用例3に係る画像形成装置の要部を示す概略構成図である。本適用例3では、ドラム状の中間転写体を採用したインク溶融型インクジェット方式の画像形成装置に適用した場合を例に採っている。
【0147】
本適用例3に係る画像形成装置は、少なくともインクジェットヘッド101、ドラム状の中間転写体102、加圧ローラ103、離型剤供給部材104および電磁誘導加熱装置105を具備する構成となっている。電磁誘導加熱装置105は、中間転写体102のインク像搬送方向における加圧ローラ103との対向位置の上流側に、中間転写体102の内周面と近接対向するように設けられ、中間転写体102上のインク像を加熱する。
【0148】
ここで、離型剤供給部材104は必ずしも必須の部材ではなく、中間転写体102の表面離型層が十分な離型性を発揮する場合は不要である。ただし、中間転写体102に離型剤を供給することにより、中間転写体自身には特に離型層を設ける必要がなくなるという効果を奏することから、離型剤供給部材104を設けた方が好ましい。
【0149】
次に、上記構成のインク溶融型インクジェット方式の画像形成装置における画像形成の工程について説明する。
【0150】
図14は、インクジェットヘッド101によるインク噴射に先立って、中間転写体102の表面に離型剤供給部材104が接触して離型剤を供給する工程を示している。離型剤の供給終了後、離型剤供給部材104は中間転写体102から離間する。
【0151】
図15は、インクジェットヘッド101によって中間転写体102上にインク像を形成する工程を示している。インクの融点よりも十分に高い温度に保たれたインクジェットヘッド内でインクは5〜20mPa・s程度の粘度を有する液体インクになっている。
【0152】
図16は、記録媒体の搬送と同期して加圧ローラ103が中間転写体102に押圧接触し、中間転写体102上のインク像を記録媒体に転写定着する工程を示している。この転写定着工程で電磁誘導加熱装置105が稼動し、中間転写体102の発熱部に渦電流を発生させて中間転写体102上のインク像を所定の温度に昇温する。
【0153】
インク溶融型インクジェット方式に用いられるインクは、融点が80〜100度程度であり転写定着の際は、融点よりも低い温度に設定される。これは、WAXを主体とするインクが融点を過ぎると急激に低粘度化するという挙動に起因する。粘度が下がりすぎると、インク−中間転写体間の付着力およびインク−記録媒体間の付着力よりもインクの内部凝集力が小さくなり、中間転写体102から記録媒体ヘインクを100%転写するのが困難になる。
【0154】
融点以下のインクを良好に記録媒体に転写するためには、加圧ローラ103により印加される応力が重要であり、所定の応力下においてはインクが所望の粘弾性を示し、記録媒体への鮮明な転写定着が可能である。現状では、A4サイズの記録媒体に対し、総荷重で80〜400kgf程度印加しており、電子写真方式の画像形成装置に適用される転写定着装置や定着装置よりも高荷重である。
【0155】
[適用例4]
図17は、本発明の適用例4に係る画像形成装置の要部を示す概略構成図である。本適用例4では、ベルト状の中間転写体を採用したインク溶融型インクジェット方式の画像形成装置に適用した場合を例に採っている。
【0156】
本適用例4に係る画像形成装置は、少なくともインクジェットヘッド111、ベルト状の中間転写体112、加圧ローラ113、プラテンローラ114、テンションローラ115、離型剤供給部材116および電磁誘導加熱装置117を具備する構成となっている。電磁誘導加熱装置117は、中間転写体112の周回方向における加圧ローラ113との対向位置の上流側に設けられ、中間転写体112の背面側からインク像を加熱する。
【0157】
上記構成のインク溶融型インクジェット方式の画像形成装置において、インクジェットヘッド111でのインクの噴射は、通常、圧電素子を用いた加圧によって行われるが、静電気力や磁気力を利用した加圧方法も適用可能である。また、インクジェットヘッド111に電極を設けて中間転写体112との間の電界強度を制御することにより、インクに静電吸引力を作用させて噴射することも可能である。画像情報に応じて圧電素子等の噴射手段を制御するいわゆるオンデマンド方式でも良いし、連続的にインクを加圧する手段と飛翔制御手段を組み合わせたいわゆる連続流方式でも良い。
【0158】
中間転写体112については、先述した電子写真方式の画像形成装置で説明したものと同じものを好適に使用できる。さらに、後述する離型剤との組み合わせにより、電子写真方式の実施の形態で説明したもの以外の材料、構成も適用可能である。すなわち、インクの離型機能を離型剤に負わせる場合は、中間転写体112には離型層は必ずしも必要ではない。
【0159】
前述したように、インク溶融型インクジェット方式での転写定着には、電子写真方式よりも高荷重を印加するケースが一般的なので、中間転写体に機械的強度や硬度を付与する構成として表面層を金属層やセラミック層にすることが可能である。特に、離型剤との親和性を確保しやすい材料として、陽極酸化アルミニウムやニッケルが好適である。さらに、中間転写体の構成が簡易になり低価格化、高信頼化が可能になるという長所を有する。
【0160】
加圧ローラ113についても、電子写真方式と同じ材料、構成のものが好適ある。図17において、加圧ローラ113が転写定着工程以外のときに中間転写体112と離間しているのは、中間転写体112上に画像を形成するのに中間転写体112を複数回回転させる場合には必須の構成となる。形成する画像に対してインクジェットヘッド111が備えるインク噴射素子が少ない場合や、カラー印字を行う際に各色の形成を順番に行う場合などに相当する。
【0161】
最後に、離型剤供給部材116については、適用例3の場合と同様に、本適用例4に係る画像形成装置として必須の構成ではないが、離型機能を中間転写体112から分離することにより前述の効果を発揮することになる。通常は、中間転写体112に対して離間配置され、画像形成時にインクジェットヘッド111のインク噴射に先立って中間転写体112に接触して離型剤を供給する。
【0162】
離型剤供給部材116の形状については、ローラ形状で中間転写体112と従動させても良いし、中間転写体112とは独立に回転させても良い。パッド形状あるいはウィック形状で中間転写体112が摺動する構成でも良い。製法については、延伸、圧延、発泡などで作製した樹脂製の多孔体が望ましい。具体例としては、延伸、圧延で作製したフッ素樹脂多孔体やポリオレフィン樹脂多孔体、発泡により連続気泡を有するように作製したポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォームなどのいわゆるフォーム類や発泡ゴム類が挙げられる。
【0163】
離型剤としては、下記有機溶媒やオイル類が好適に使用できる。オクタン、ノナン、テトラデカン、ドデカン、オレイン酸リノール酸、n−デカノール、ジメチルブタノール、フタル酸ジブチル、マレイン酸ジブチル、植物油、鉱物油、シリコーンオイル、フッ素オイルなどである。これらは単独で用いても、あるいは均一に混合し得るものであれば、複数種を混合して用いても良い。また、複数の材料を混合して粘度や表面張力を好ましい範囲に調整して使用しても良い。中でも、上記各項目の特性に優れるシリコーンオイルを主成分とする離型剤が好ましい。
【0164】
中間転写体112の表面に薄く液膜を形成するために表面張力が小さいことが望ましく、具体的には30mN/m以下であることが望ましい。中間転写体112に過剰供給するのを防止するために、離型剤供給部材116よりも下流側で中間転写体112に接触させて、過剰な離型剤を回収する規制部材を設けるようにしても良い。
【0165】
なお、上述した適用例1〜適用例2では、いずれも画像形成装置に適用した場合を例に採ったが、画像形成装置への適用に限らず、電子炊飯器や電磁調理器など、電磁誘導加熱装置を搭載する装置全般に適用可能である。
【0166】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、直列共振回路を駆動する主駆動回路を、逆導電型の一対のトランジスタからなるプッシュプル回路構成としたことにより、当該主駆動回路が直列共振回路をスイッチング動作ではなく、電流増幅動作で直列共振回路の駆動を行うことになり、一対のトランジスタが共に低インピーダンスを示し、直列共振回路からの還流電流を利用できるため、効率の良い駆動を実現できる。
【0167】
また、主駆動回路がプッシュプル回路構成であることにより、その入力信号が正極性でも負極性でも、即ち入力信号の極性に関係なく常に低インピーダンスで直列共振回路を駆動することができるため、低電源電圧で大電流を発生させると同時に、直列共振のフライホイール効果も利用して電磁誘導コイルを駆動することができる。さらに、主駆動回路の相補対称接続接続された一対のトランジスタの制御電極間に定電圧回路を接続し、前置駆動回路によって一対のトランジスタの各制御電極を駆動することにより、定電圧回路の作用によって主駆動回路の不感帯と感帯の境目でのグリッチの発生を抑制できるため、寄生発振が起こりにくくなる。
【0168】
請求項2に係る発明によれば、定電圧回路として主駆動回路の不感帯電圧以上の障壁電圧を持つツェナーダイオードを用いたことにより、単一の素子で所期の目的を達成できるため回路構成の簡略化が図れるとともに、ツェナーダイオードが主駆動回路の不感帯電圧以上の障壁電圧を持つことで、負側のトランジスタの制御電極電位に対して、正側のトランジスタの制御電極電位を常に主駆動回路の不感帯電圧以上に保つことができるため、主駆動回路の不感帯と感帯の境目でのグリッチの発生を確実に抑制できる。
【0169】
請求項3に係る発明によれば、前置駆動回路の電源電圧の電圧値を、プッシュプル回路構成の主駆動回路の電源電圧の電圧値よりも大きく設定し、主駆動回路の電源電圧をオーバーした電圧波形の前置駆動回路の出力信号で主駆動回路を駆動(オーバードライブ)することにより、主駆動回路の相補接続された逆導電型の一対のトランジスタの飽和電圧が下がり、当該一対のトランジスタの発熱が抑制されるため、発熱による損失を抑えることができる。
【0170】
請求項4に係る発明によれば、前置駆動回路の電源電圧の電圧値を、プッシュプル回路構成に限らない主駆動回路の電源電圧の電圧値よりも大きく設定し、主駆動回路の電源電圧をオーバーした電圧波形の前置駆動回路の出力信号で主駆動回路をオーバードライブすることにより、主駆動回路の一対のトランジスタの飽和電圧が下がり、当該一対のトランジスタの発熱が抑制されるため、発熱による損失を抑えることができる。
【0171】
請求項5に係る発明によれば、主駆動回路をプッシュプル回路構成としたことにより、その入力信号が正極性でも負極性でも、即ち入力信号の極性に関係なく常に低インピーダンスで直列共振回路を駆動することができるため、低電源電圧で大電流を発生させると同時に、直列共振のフライホイール効果も利用して電磁誘導コイルを駆動できる。
【0172】
請求項6に係る発明によれば、主駆動回路がトーテムホール回路構成の場合ににおいても、オーバードライブを行うことで、主駆動回路の一対のトランジスタの飽和電圧が下がるため、当該一対のトランジスタの発熱が抑制され、発熱による損失を抑えることができる。
【0173】
請求項7に係る発明によれば、直列共振回路をその両端から2つの駆動回路によって逆相の信号に応じて駆動することにより、低電圧高出力の回路を容易に実現できるため、同じ駆動出力を得る場合、両端駆動の方が一端駆動よりも電源電圧を低く抑えることができる。
【0174】
請求項8に係る発明によれば、2つの駆動回路の各出力段をプッシュプル回路構成としたことにより、その入力信号が正極性でも負極性でも、即ち入力信号の極性に関係なく常に低インピーダンスで直列共振回路を駆動することができるため、低電源電圧で大電流を発生させると同時に、直列共振のフライホイール効果も利用して電磁誘導コイルを駆動できる。
【0175】
請求項9に係る発明によれば、主駆動回路の相補対称接続接続された一対のトランジスタの制御電極間に定電圧回路を接続し、前置駆動回路によって一対のトランジスタの各制御電極を駆動することにより、定電圧回路の作用によって主駆動回路の不感帯と感帯の境目でのグリッチの発生を抑制できるため、寄生発振が起こりにくくなる。
【0176】
請求項10に係る発明によれば、直列共振回路の両端駆動によって2つの駆動回路の電源電圧を抑えることができ、2つの駆動回路の各出力段のパワートランジスタとして大電流低電圧タイプのトランジスタを使用することができるため、2つの駆動回路の各出力端間に複数の電磁誘導コイルを並列に接続することで複数の電磁誘導コイルの同時駆動が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電磁誘導加熱用制御装置の構成を示す回路図である。
【図2】オーバードライブ方式の動作説明に供する波形図である。
【図3】第1実施形態の変形例に係る電磁誘導加熱用制御装置の構成を示す回路図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る電磁誘導加熱用制御装置の構成を示す回路図である。
【図5】2つの信号SigA,SigBの位相関係を示す波形図である。
【図6】第2実施形態の変形例に係る電磁誘導加熱用制御装置の構成を示す回路図である。
【図7】第2実施形態の変形例の適用例を示す概略構成図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る電磁誘導加熱用制御装置を用いた電磁誘導加熱装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図9】本発明の適用例1に係る電子写真方式の画像形成装置を示す概略構成図である。
【図10】適用例1に係る画像形成装置における中間転写体の構造を示す概略断面図である。
【図11】電磁誘導加熱装置による中間転写体の加熱原理を示す説明図である。
【図12】本発明の適用例2に係る電子写真方式の画像形成装置を示す概略構成図である。
【図13】適用例2に係る画像形成装置における中間転写体の構造を示す概略断面図である。
【図14】本発明の適用例3に係るインク溶融型インクジェット方式の画像形成装置の要部を示す概略構成図である。
【図15】適用例3に係る画像形成装置における画像形成工程を示す図である。
【図16】適用例3に係る画像形成装置における転写定着工程を示す図である。
【図17】本発明の適用例4に係るインク溶融型インクジェット方式の画像形成装置の要部を示す概略構成図である。
【図18】従来技術の課題を説明するための回路図である。
【符号の説明】
11,11−1,11−2,11−3,21…直列共振回路、12,12A,12B,22…主駆動回路、13,13A,13B…定電圧回路、14,14A,14B,23…前置駆動回路、31A,31B…駆動回路、32…用紙搬送部、33…搬送ベルト、34A,34B…加熱コイル(電磁誘導コイル)、41…被加熱体、56,92,102,112…中間転写体、67,93,105,117…電磁誘導加熱装置、72,L11…電磁誘導コイル(励磁コイル)、C11…共振コイル、ZD…ツェナーダイオード

Claims (15)

  1. 電磁誘導コイルおよび共振コンデンサを有する直列共振回路と、
    相補対称接続された逆導電型の一対のトランジスタを有し、前記直列共振回路を駆動する主駆動回路と、
    前記主駆動回路の一対のトランジスタの各制御電極間に接続された定電圧回路と、
    前記定電圧回路に対してその両端にそれぞれ直列に接続され、制御電極が共通に接続された逆導電型の一対のトランジスタを有する前置駆動回路と
    を備えることを特徴とする電磁誘導加熱用制御装置。
  2. 前記定電圧回路は、前記主駆動回路の不感帯電圧以上の障壁電圧を持つツェナーダイオードからなる
    ことを特徴とする請求項1記載の電磁誘導加熱用制御装置。
  3. 前記前置駆動回路の電源電圧の電圧値が、前記主駆動回路の電源電圧の電圧値よりも大である
    ことを特徴とする請求項1記載の電磁誘導加熱用制御装置。
  4. 電磁誘導コイルおよび共振コンデンサを有する直列共振回路と、
    互いに直列に接続された一対のトランジスタを有し、前記直列共振回路を駆動する主駆動回路と、
    前記主駆動回路を駆動する前置駆動回路とを備え、
    前記前置駆動回路の電源電圧の電圧値が、前記主駆動回路の電源電圧の電圧値よりも大である
    ことを特徴とする電磁誘導加熱用制御装置。
  5. 前記一対のトランジスタは逆導電型のトランジスタであり、相補対称接続されてプッシュプル回路を構成している
    ことを特徴とする請求項4記載の電磁誘導加熱用制御装置。
  6. 前記一対のトランジスタは同導電型のトランジスタであり、カスコード接続されてトーテムホール回路を構成している
    ことを特徴とする請求項4記載の電磁誘導加熱用制御装置。
  7. 電磁誘導コイルおよび共振コンデンサを有する直列共振回路と、
    出力段が互いに直列に接続された一対のトランジスタからなり、前記直列共振回路をその両端から逆相の信号に応じてそれぞれ駆動する2つの駆動回路と
    を備えたことを特徴とする電磁誘導加熱用制御装置。
  8. 前記一対のトランジスタは逆導電型のトランジスタであり、相補対称接続されてプッシュプル回路を構成している
    ことを特徴とする請求項7記載の電磁誘導加熱用制御装置。
  9. 前記2つの駆動回路は各々、相補対称接続された逆導電型の一対のトランジスタを有する主駆動回路と、前記主駆動回路の一対のトランジスタの各制御電極間に接続された定電圧回路と、前記定電圧回路に対してその両端にそれぞれ直列に接続され、制御電極が共通に接続された逆導電型の一対のトランジスタを有する前置駆動回路とを有し、
    前記2つの駆動回路の一方の前記主駆動回路の出力端が前記直列共振回路の一端に接続され、他方の前記主駆動回路の出力端が前記直列共振回路の他端に接続されている
    ことを特徴とする請求項7記載の電磁誘導加熱用制御装置。
  10. 前記直列共振回路が複数設けられており、これら複数の直列共振回路の各一端が前記2つの駆動回路の一方の出力端に、各他端が前記2つの駆動回路の他方の出力端にそれぞれ接続されている
    ことを特徴とする請求項7記載の電磁誘導加熱用制御装置。
  11. 発熱することによって被加熱体を加熱する発熱部材と、
    電磁誘導によって前記発熱部材を発熱させる請求項1〜請求項3、請求項7〜請求項10のいずれか1項に記載の電磁誘導加熱用制御装置と
    を具備することを特徴とする電磁誘導加熱装置。
  12. 請求項11記載の電磁誘導加熱装置を搭載した
    ことを特徴とする画像形成装置。
  13. 前記電磁誘導加熱装置の発熱部材は定着ローラである
    ことを特徴とする請求項12記載の画像形成装置。
  14. 前記電磁誘導加熱装置の発熱部材は定着ベルトである
    ことを特徴とする請求項12記載の画像形成装置。
  15. 前記電磁誘導加熱装置の発熱部材は固体インクの支持部材である
    ことを特徴とする請求項12記載の画像形成装置。
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