JP2004191706A - 可逆性多色記録層を有する携帯用機器、及びこれを用いた記録方法 - Google Patents

可逆性多色記録層を有する携帯用機器、及びこれを用いた記録方法 Download PDF

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研一 栗原
Hisanori Tsuboi
寿憲 坪井
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典之 岸井
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Abstract

【課題】好みのオリジナルデザインを追加したり、あるいは変更したりすることができる携帯用機器を提供する。
【解決手段】発色色調の異なる複数の可逆性感熱発色性組成物を含む記録層11〜13が分離・積層形成されてなり、可逆性感熱発色性組成物は、それぞれ異なる波長域の赤外線を吸収して発熱する光−熱変換材料を含有しているものとした可逆性多色記録層10を各種携帯用機器の筐体面上に設ける。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は任意の画像、装飾デザイン、各種コンテンツ情報やインデックス等の文字や記号等を、記録及び消去が可能な可逆性多色記録層を具備する携帯用機器及びこれを用いた記録方法に関わる。
【0002】
【従来の技術】
一般に携帯電話やPHS等の名称で呼ばれる無線方式の携帯型電話機(以下、単に携帯電話と言う。)は、その大部分が、略矩形状の筐体の一方の面に、ダイアルボタンや液晶表示部、あるいはマイク、スピーカ等の携帯電話の機能に必要な表示部、操作部等が設けられている。
また、デジタルカメラやPDA(Personal Digital Assistant)やCD、MD等を利用した携帯用音響機器においても、使用性や美観を高めるために部分的に曲面を利用した複雑な形状を有する筐体の所定の部分に、操作部や表示部等が設けられている。
【0003】
このような従来公知の各種携帯用機器の筐体は、ユーザーの携帯性を考慮して、通常、軽量で高耐久性を有する硬質プラスチック等により作製されているため、外観が主として黒色や白色やシルバーを基調とした色調等、殆どが単一色よりなり、全体的に外観上の装飾性に劣り、美観上、ユーザーの好みに応じた個性的な差別化を図ることが困難であった。
そのため、携帯用機器の筐体部表面を事後的に着色したり、模様を印刷したりすることにより装飾性を高めた携帯電話等も販売されてはいるが、デザインの好みはユーザー各人各様であり、各々に応じて種々のデザインを施すことは、現実的にコスト高となる。
【0004】
ところで、従来においては、携帯電話の筐体に貼り付けるデザイン付きの装飾用シールに関する提案がなされている(例えば、下記特許文献1、2参照。)。
これらは、任意の画像等を予め貼り付け用シート材に記録しておき、これを携帯電話に貼り付けて使用するものであるが、画像を予め記録してから携帯電話の筐体に貼り付けるものであるため、例えば、携帯電話の筐体の向き等、所望の方向に対してずれた状態で貼り付けた場合には修正の手間が煩雑であるという問題がある。
更には、画像のデザインの変更をしたい場合には、貼り付け用シート材を剥離して、新たな貼り付け用シート材を貼付しなければならず、その際、筐体上にシートの粘着物が残存して美観性を損なうおそれがあるという問題もある。
【0005】
また、従来においては、携帯電話本体の一部のパネルを交換してデザイン上の個性化を図った、いわゆる「着せ替えパネル」を各種取り揃えた携帯電話も販売されており、パネルの種類は多種多様に用意されている。しかし、ユーザー個人のオリジナルデザインをパネル化することはできないため、ユーザーの好みのデザインを好きな時に変更することは不可能であった。
【0006】
ところで、最近においては、熱により可逆的に情報の記録や消去が可能な記録媒体、いわゆる可逆性感熱記録媒体を、各種プリペイドカード、ポイントカード、クレジットカード、ICカード等に応用したものが実用化されている。このような可逆性感熱記録媒体およびこれを用いた記録方法に関しては、ロイコ染料タイプ、すなわち樹脂母材中に電子供与性呈色性化合物であるロイコ染料と、顕・減色剤とが分散された構成を有する記録媒体および、これを用いた記録方法が開示されている(例えば、特許文献3〜7参照。)。
【0007】
このような記録媒体に適用する顕・減色剤としては、ロイコ染料を発色させる酸性基と、発色したロイコ染料を消色させる塩基性基を有する両性化合物または、長鎖アルキルをもつフェノール化合物等が知られている。これらは、ロイコ染料自体の発色を利用するものであるため、コントラストや視認性が良好であるという特長を有している。
【0008】
しかしながら、上述したような従来公知の可逆性感熱記録媒体は、サーマルヘッドを利用した感熱プリンターを用いて、記録媒体上にサーマルヘッドを接触させて書き換えや消去を行うものであるため、上記のような平滑形状のカード類ににしか応用されていないのが現状であり、また、その記録原理から多色記録するのは困難であった。
【0009】
また、携帯電話に上記の様な可逆性記録層を設けることを仮定しても、書き換え可能なプリンターが家庭用としては汎用されておらず、また、サーマルヘッドの接触走行により記録を行う方式においては、各種携帯機器のように複雑な形状を有するものに対する走査を行うことは困難であった。
【0010】
【特許文献1】
特許第3061052号公報
【特許文献2】
特許第3266888号公報
【特許文献3】
特開平2−188293号公報
【特許文献4】
特開平2−188294号公報
【特許文献5】
特開平5−124360号公報
【特許文献6】
特開平7−108761号公報
【特許文献7】
特開平7−188294号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、各種機器の筐体に、ユーザー個人レベルの好みに応じて多色のデザインを施して個性化を図ったり、さらにはこれを消去して新たなデザインを施したりすることのできる携帯用機器への要望は大きいものと考えられるが、その記録方式は未だ見いだされていないのが現状である。
【0012】
そこで本発明においては、このような従来の問題に鑑みて、携帯用機器にユーザーのオリジナルデザインを、安定な発消色、コントラストをもって記録可能とし、日常生活においても実用上問題のない画像安定性を持つものとし、更には高速で繰り返し消去・記録が可能なものとした。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、筐体面上に、発色色調の異なる複数の可逆性感熱発色性組成物を含む記録層が分離・積層形成されてなる可逆性多色記録層が設けられており、可逆性感熱発色性組成物は、それぞれ異なる波長域の赤外線を吸収して発熱する光−熱変換材料を含有するものとした携帯用機器を提供する。
【0014】
本発明の記録方法は、筐体面上に、発色色調の異なる複数の可逆性感熱発色性組成物を含む記録層が分離・積層されてなる可逆性多色記録層が設けられており、可逆性感熱発色性組成物は、それぞれ異なる波長域の赤外線を吸収して発熱する光−熱変換材料を含有するものとした携帯用機器を用いて、先ず、加熱処理を施して予め記録層全体を消色状態にしておき、所望の画像情報に応じ、選択された記録層に対応する波長領域の赤外線を照射して露光を行い、記録層を発熱せしめ、選択的に発色化させることにより、画像情報の記録を行うものとする。
【0015】
また、本発明の記録方法は、筐体面上に、発色色調の異なる複数の可逆性感熱発色性組成物を含む記録層が分離・積層されてなる可逆性多色記録層が設けられており、可逆性感熱発色性組成物は、それぞれ異なる波長域の赤外線を吸収して発熱する光−熱変換材料を含有するものとした携帯用機器を用いて、先ず、加熱処理を施して予め記録層全体を発色状態にしておき、次に、所望の画像情報に応じ、選択された記録層に対応する波長領域の赤外線を照射して露光を行い、記録層を発熱せしめ、選択的に消色化することにより、画像情報の記録を行うものとする。
【0016】
本発明によれば、安定した発消色が行われ、明瞭なコントラストを有し、かつ優れた画像安定性を持ち、更には高速印字および消去可能な可逆性多色記録層を有する携帯用機器と、これを用いた記録方法が提供される。
【0017】
また、本発明によれば、ユーザーのオリジナルデザインを好みの各種携帯用機器に付与したり、あるいはデザインを変更したりすることが可能となり、個性化を高めたり、美観や利便性の向上を図ることが容易に行うことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照して説明するが、本発明の可逆性多色記録層を有する携帯用機器は、以下の例に限定されるものではない。
【0019】
本発明においては、従来携帯用機器として知られているものを、いずれも適用でき、例えば携帯電話やPHS等の名称で呼ばれる無線方式の携帯型電話機、各種携帯機能に適したPDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラやビデオカメラ、CD、MD等を利用した携帯用音響機器等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
本発明の携帯用機器は、筐体上に可逆性多色記録層が形成されている。この可逆性多色記録層は、図1にその一例の概略断面図を示すように、支持体1上に、第1の記録層11、第2の記録層12、および第3の記録層13が、それぞれ断熱層14、15を介して積層されており、最上層に保護層16が形成された構成を有している。
【0021】
支持体1は、携帯用機器の筐体面自体、もしくは筐体表面に貼り付けるシート材であるものとする。支持体1は、熱変形を生じない程度に耐熱性を有する材料であれば従来公知の材料を適宜使用することができる。
また、支持体1は、画像の記録を行った際の視認性の向上を図るため、白色、あるいは金属色を有する可視光に対する反射率の高い材料によって形成することが好ましく、貼り付け用シート材とするときは、筐体表面が白色、あるいは金属色を有する場合には、透明性が高い材料によって形成することが好ましい。
【0022】
第1〜第3の記録層11〜13は、安定した繰り返し記録が可能な、消色状態と発色状態とを制御し得る材料を用いて形成する。
第1〜第3の記録層11〜13には、それぞれ異なる波長の赤外線(図1中λ1、λ2、λ3)を吸収して発熱する光−熱変換材料が含有されているものとし、例えばロイコ染料と、顕・減色剤とを樹脂母材中に分散させたものを塗布することによって形成する。
【0023】
これらの第1〜第3の記録層11〜13は、それぞれが発色する所望の色に応じた所定のロイコ染料を用いて形成する。例えば第1〜第3の記録層11〜13において、三原色を発色するようにすれば、この可逆性多色記録層10全体としてフルカラー画像の形成が可能になる。
【0024】
電子供与性を有する呈色性化合物であるロイコ染料としては、既存の感熱紙用染料等を適用することができる。
電子受容性を有する顕・減色剤としては、従来これらに用いられている長鎖アルキル基を有する有機酸(例えば、特開平5−124360号公報、特開平7−108761号公報、特開平7−188294号公報、特開2001−105733号公報、特開2001−113829号公報等に記載)等を適用することができる。
【0025】
第1〜第3の記録層11〜13は、それぞれ異なる波長域に吸収をもつ赤外線吸収色素を含有しているものとし、図1の可逆性多色記録層10においては、第1の記録層11が波長λ1の赤外線を、第2の記録層12が波長λ2の赤外線を、第3の記録層13が波長λ3の赤外線をそれぞれ吸収して発熱する光−熱変換材料を含有しているものとする。
【0026】
また、第1〜第3の記録層11〜13内に含有される光−熱変換材料としては、可視波長域にほとんど吸収がない赤外線吸収色素として一般的に用いられる、フタロシアニン系染料やシアニン系染料、金属錯体染料、ジインモニウム系染料等を適用できる。さらに、任意の光−熱変換材料のみを発熱させるために、光−熱変換材料の、波長吸収帯が狭く、かつ互いに重なり合わない材料の組み合わせを選択するのが好ましい。
【0027】
第1〜第3の記録層11〜13形成用の樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース、ポリスチレン、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸系共重合体、マレイン酸系重合体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン等が挙げられる。これらの樹脂に必要に応じて紫外線吸収剤等の各種添加剤を併用してもよい。
【0028】
第1〜第3の記録層11〜13は、上記ロイコ染料、顕・減色剤、光−熱変換材料、および各種添加剤を、所定の溶媒を用いて上記樹脂中に溶解あるいは分散させて作製した塗料を、各形成面に塗布したり、あるいはスプレーなどにより吹き付けることによって形成することができ、その製膜方法は何ら限定されることはない。
【0029】
第1〜第3の記録層11〜13は、膜厚1〜20μm程度に形成することが望ましく、さらには2〜10μm程度が好ましい。記録層の膜厚が2μm未満になると充分な発色濃度が得られず、逆に厚過ぎると記録層の熱容量が大きくなることによって発色性や消色性が劣化し、明瞭なコントラストが得られなくなるおそれがあるためである。
【0030】
第1の記録層11と第2の記録層12との間、第2の記録層12と第3の記録層13との間には、それぞれ透光性の断熱層14、15を形成することが望ましい。これによって隣接する記録層からの熱の伝導が回避され、いわゆる色かぶりの発生を防止することができる。
【0031】
断熱層14、15は、従来公知の透光性のポリマーを用いて形成することができる。例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース、ポリスチレン、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸系共重合体、マレイン酸系重合体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン等が挙げられる。これらのポリマーには必要に応じて紫外線吸収剤等の各種添加剤を併用してもよい。
【0032】
また、断熱層14、15は、透光性の無機膜を用いて形成することもできる。例えば、多孔質のシリカ、アルミナ、チタニア、カーボンまたはこれらの複合体等は、熱伝導率が低いため、断熱層形成用材料として好適である。これらは、液層から膜形成できるゾル−ゲル法によって形成することができる。
【0033】
断熱層14、15は、膜厚3〜100μm程度に形成することが望ましく、さらには5〜50μm程度が好ましい。断熱層の膜厚が3μm未満であると充分な断熱効果が得られず、膜厚が厚すぎると、後述するように、記録層全体を均一加熱する際に熱伝導性が劣化したり、透光性が低下したりするためである。
【0034】
保護層16は、従来公知の紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂を用いて形成することができ、膜厚は0.1〜20μm、さらには0.5〜5μm程度とすることが望ましい。保護層16の膜厚が0.1μm未満であると充分な保護効果が得られず、20μmよりも厚く形成すると、伝熱しにくくなるという不都合が生じるためである。
【0035】
次に、本発明の携帯用機器の筐体上に形成された可逆性多色記録層10に対して多色記録を行う原理について説明する。先ず、多色記録の第1の原理を説明する。
可逆性多色記録層10を、各記録層11〜13が消色する程度の温度、例えば120℃程度の温度で全面加熱し、第1〜第3の記録層11〜13を予め消色状態にしておく。すなわちこの状態においては、支持基板1の色が露出している状態となっているものとする。
なお、この消色のための操作は、可逆性多色記録層10のみを瞬間的に加熱すれば足り、携帯用機器に伝熱しないように行う。
【0036】
次に、可逆性多色記録層10の任意の部分に、波長および出力を任意に選択した赤外線を半導体レーザー等により照射する。
例えば第1の記録層11を発色させる場合には、波長λ1の赤外線を第1の記録層11が発色温度に達する程度のエネルギーで照射し、光−熱変換材料を発熱させて、電子供与性の呈色化合物と電子供与性の顕・減色剤との間の発色反応を起こさせ照射部分を発色させる。
【0037】
同様に、第2の記録層12および第3の記録層13についても、それぞれ波長λ2、λ3の赤外線を発色温度に達する程度のエネルギーを照射してそれぞれの光−熱変換材料を発熱させて照射部分を発色させることができる。
このようにすることによって、可逆性多色記録層10の任意の部分を発色させることができ、フルカラー画像形成が可能となる。
【0038】
また、上記のようにして発色させた記録層において、さらに任意の波長の赤外線を、記録層11〜13が消色温度に達する程度のエネルギーで照射し、光−熱変換材料を発熱させて、電子供与性の呈色化合物と電子供与性の顕・減色剤との間の消色反応を起こさせることによって、消色化させることができ、任意の画像等を繰り返し記録が可能となる。
【0039】
更に、上述のようにして一部を着色化させた可逆性多色記録媒体10の全体を全ての記録層が消色する程度の温度、例えば120℃で一様に加熱することによって、記録情報や画像を消去することができ、繰り返し記録が可能となる。
【0040】
次に、多色記録の第2の原理を説明する。
図1に示した可逆性多色記録層10を、各記録層が発色する程度のエネルギーで全面赤外線照射し、第1〜第3の記録層11〜13を全て予め発色状態にしておく。
次に、これら可逆性多色記録層10の任意の部分に、波長および出力を任意に選択した赤外線を半導体レーザー等により照射する。
例えば第1の記録層11を消色させる場合には、波長λ1の赤外線を第1の記録層11が消色する程度のエネルギーで照射し、光−熱変換材料を発熱させて記録層11を消色状態とする。
【0041】
同様に、第2の記録層12および第3の記録層13についても、それぞれ波長λ2、λ3の赤外線を、消色温度に達する程度のエネルギーで照射してそれぞれの光−熱変換材料を発熱させて照射部分を消色させることができる。このようにすることによって、可逆性多色記録層10の任意の部分を消色させることができ、フルカラー画像形成が可能となる。
【0042】
また、上記のようにして消色させた記録層において、さらに任意の波長の赤外線を、記録層11〜13が発色温度に達する程度のエネルギーで照射し、所定の記録層中の光−熱変換材料を発熱させて、電子供与性の呈色化合物と電子供与性の顕・減色剤との間の発色反応を起こさせることによって、所望の発色を行うことができ、任意の画像等を繰り返し記録が可能である。
【0043】
更に、上述のようにして一部を消色化、あるいは発色化させた可逆性多色記録媒体10の全体を、全ての記録層が着色する程度のエネルギーの照射を行うことによって、記録情報や画像を消去することができ、繰り返し記録が可能となる。
【0044】
上述した二通りの記録方法のうち、いずれの方法を適用するかは、記録層の特性、記録光源の性能に合わせて適宜選択する。
例えば、記録層を高温で発色してそれ以下の温度で消色する、いわゆるポジ型の層として形成してもよく、高温で消色してそれ以下の温度で発色する、いわゆるネガ型の層として形成してもよい(例えば特開平8−197853号公報)。
【0045】
【実施例】
次に本発明の可逆性多色記録層を有する携帯用機器について、具体的な実施例を挙げて説明するが、本発明は以下に示す例に限定されるものではない。
【0046】
〔実施例1〕
この例においては、図1に示すように、支持体1上に第1の記録層11、断熱層14、第2の記録層12、断熱層15、第3の記録層13、および保護層16が順次積層された、いわゆる三層の記録層を有する可逆性多色記録層10を適用する。
【0047】
支持体1としては、厚さ100μmの展延性を有する半透明の塩化ビニル系樹脂材を用いた。
第1の記録層11としては、支持基板1上に下記組成物をワイヤーバーで塗布し、110℃にて5分間加熱乾燥処理を施し、イエローに発色させることのできる記録層を膜厚4μmに形成した。第1の記録層11の波長915nmの光における吸光度は1.0であった。
【0048】
(組成物)
ロイコ染料(フルオラン化合物:λmax=490nm): 1重量部
顕・減色剤(下記〔化1〕に示す物質) : 4重量部
【0049】
【化1】
Figure 2004191706
【0050】
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体 :10重量部
(塩化ビニル90%、酢酸ビニル10%、平均分子量(M.W.)115000)
シアニン系赤外吸収色素 :0.10重量部
(山本化成製、YKR−2081、記録層中での吸収波長ピーク910nm)
テトラヒドロフラン(THF) :140重量部
【0051】
上述のようにして形成した第1の記録層11上に、ポリビニルアルコール水溶液を塗布、乾燥して膜厚20μmの断熱層14を形成した。
【0052】
断熱層14上に、第2の記録層12として下記組成物をワイヤーバーで塗布し、110℃にて5分間加熱乾燥処理を施し、シアンに発色させることのできる層を膜厚6μmに形成した。このとき、波長830nmの光における吸光度は1.0であった。
【0053】
(組成物)
ロイコ染料 :1重量部
(山田化学工業製:H−3035(下記〔化2〕に示す物質)
【0054】
【化2】
Figure 2004191706
【0055】
顕・減色剤(下記〔化3〕に示す物質) :4重量部
【0056】
【化3】
Figure 2004191706
【0057】
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体 :10重量部
(塩化ビニル90%、酢酸ビニル10%、M.W.115000)
シアニン系赤外吸収色素 :0.08重量部
(山本化成製、YKR−2900、記録層中での吸収波長ピーク830nm)
テトラヒドロフラン(THF) :140重量部
【0058】
上述のようにして形成した第2の記録層12上に、ポリビニルアルコール水溶液を塗布、乾燥して膜厚20μmの断熱層15を形成した。
【0059】
断熱層15上に、第3の記録層13として下記組成物をワイヤーバーで塗布し、110℃にて5分間加熱乾燥処理を施し、マゼンダに発色させることのできる層を膜厚6μmに形成した。第3の記録層13の波長785nmの光における吸光度は1.0であった。
【0060】
(組成物)
ロイコ染料 :2重量部
(保土ヶ谷化学社製:Red DCF(下記〔化4〕に示す物質)
【0061】
【化4】
Figure 2004191706
【0062】
顕・減色剤(下記〔化5〕に示す物質) :4重量部
【0063】
【化5】
Figure 2004191706
【0064】
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体 :10重量部
(塩化ビニル90%、酢酸ビニル10%、M.W.115000)
シアニン系赤外吸収色素 :0.08重量部
(日本化薬製、CY−10、記録層中での吸収波長ピーク790nm)
テトラヒドロフラン(THF) :140重量部
【0065】
第3の記録層13上に、紫外線硬化性樹脂を用いて膜厚約2μmの保護層16を形成し、可逆性多色記録層10を得た。
【0066】
次に、120℃に加熱したセラミックスバーを用いて一様に瞬間加熱し、第1、第2および第3の記録層11、12、13を消色状態にした可逆性多色記録層10を、携帯電話の筐体上にエポキシ系接着剤を用いて設置し、これをサンプルとした。
【0067】
上記サンプルの可逆性多色記録層10の任意の位置に、波長が785nm、830nm、915nmであり、出力70mW、スポット径80μmの半導体レーザーを、スキャン速度300mm/sの条件下でそれぞれ照射し、任意の画像を記録したところ、各半導体レーザーのパワーをコントロールすることによって、明瞭なフルカラーの画像を携帯電話上に作製することができた。
【0068】
また、上記のようにして画像形成を行った箇所に、波長が785nm、830nm、915nmで、出力70mW、スポット径80μmの半導体レーザーを、スキャン速度300mm/sの条件下で、それぞれ照射することで、記録部分を消去することができた。更にこの消去部分に、上記書き込み条件で記録したところ、画像が形成できた。これにより本発明の携帯用機器においては、繰り返し記録、および消去により、デザインを適宜変更することが可能であることが確かめられた。
【0069】
〔実施例2〕
上述した実施例1において説明した可逆性多色記録層10を、180℃に加熱したセラミックスバーにより加熱、続いて冷却し、第1の記録層11、第2の記録層12、および第3の記録層13を、いずれも予め発色状態にした。これを携帯電話の筐体上にエポキシ系接着剤を用いて設置し、これをサンプルとした。
【0070】
上記サンプルの可逆性多色記録層10の任意の位置に、波長が785nm、830nm、915nmで、出力70mW、スポット径80μmの半導体レーザーを、スキャン速度300mm/sの条件下でそれぞれ照射することによって、発色部が消去された。
各半導体レーザーのパワーをコントロールすることによって、明瞭なフルカラーの画像を携帯電話上に作製したり、消去したりすることができた。
【0071】
上述したように、異なる波長域の赤外線を吸収して発熱する光−熱変換材料を発色色調の異なる可逆性感熱発色性組成物内に均一分散させ、各層を複数積層させた可逆性多色記録層は、安定な発消色、コントラストを有し、かつ日常生活においても実用上問題のない画像安定性を持ち、更には高速印字・消去可能である。
また、上述したような可逆性多色記録層を各種携帯用機器の筐体上に設けることにより、ユーザーのオリジナルデザインを任意の時に付与したり、あるいは変更したりすることが可能となる。
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、安定した発消色が行われ、明瞭なコントラストを有し、かつ優れた画像安定性を持ち、更には高速印字および消去可能な可逆性多色記録層を有する携帯用機器と、これを用いた記録方法が提供された。
【0073】
また、本発明によれば、ユーザーのオリジナルデザインを好みの各種携帯用機器に付与したり、あるいはデザインを変更したりすることが容易に可能となり、個性化を高めたり、美観や利便性の向上を図ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の携帯用機器に付与する可逆性多色記録層の一例の概略断面図を示す。
【符号の説明】
1……支持体、10……可逆性多色記録層、11……第1の記録層、12……第2の記録層、13……第3の記録層、14,15……断熱層、16……保護層

Claims (7)

  1. 筐体面上に、発色色調の異なる複数の可逆性感熱発色性組成物を含む記録層が分離・積層形成されてなり、上記の可逆性感熱発色性組成物は、それぞれ異なる波長域の赤外線を吸収して発熱する光−熱変換材料を含有するものとした可逆性多色記録層を有することを特徴とする携帯用機器。
  2. 基体上に発色色調の異なる複数の可逆性感熱発色性組成物を含む記録層が分離・積層形成された構成を有し、上記可逆性感熱発色性組成物は、それぞれ異なる波長域の赤外線を吸収して発熱する光−熱変換材料を含有するものとした貼り付けシート材が、上記筐体面上に貼り付けられたことを特徴とする請求項1に記載の携帯用機器。
  3. 上記発色色調の異なる複数の可逆性感熱発色性組成物を、それぞれ含む複数の記録層が、断熱層を介して積層形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯用機器。
  4. 上記記録層の最表面に保護層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の携帯用機器。
  5. 上記記録層には、電子供与性を有する呈色性化合物と、電子受容性を有する顕・減色剤とが含有されてなり、
    上記、電子供与性を有する呈色性化合物と、電子受容性を有する顕・減色剤との間の可逆的反応により、上記記録層を発色、あるいは消色の二状態を可逆的に変化するようになされていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の携帯用機器。
  6. 筐体面上に、発色色調の異なる複数の可逆性感熱発色性組成物を含む記録層が分離・積層形成されてなり、可逆性感熱発色性組成物は、それぞれ異なる波長域の赤外線を吸収して発熱する光−熱変換材料を含有したものである可逆性多色記録層を有する携帯用機器を用いて、
    加熱処理を施して予め上記記録層全体を消色状態にしておき、
    所望の画像情報に応じ、選択された記録層に対応する波長領域の赤外線を照射して露光を行い、
    上記記録層を発熱せしめ、選択的に発色化させることにより、上記画像情報の記録を行うことを特徴とする可逆性多色記録層の記録方法。
  7. 筐体面上に、発色色調の異なる複数の可逆性感熱発色性組成物を含む記録層が分離・積層形成されてなり、可逆性感熱発色性組成物は、それぞれ異なる波長域の赤外線を吸収して発熱する光−熱変換材料を含有したものである可逆性多色記録層を有する携帯用機器を用いて、
    加熱処理を施して予め上記記録層全体を発色状態にしておき、
    所望の画像情報に応じ、選択された記録層に対応する波長領域の赤外線を照射して露光を行い、
    上記記録層を発熱せしめ、選択的に消色化することにより、上記画像情報の記録を行うことを特徴とする可逆性多色記録層の記録方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010214897A (ja) * 2009-03-18 2010-09-30 Sony Corp 外装部材、外装部材の製造方法、及び電子機器筐体

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