JP2004191692A - 負荷電性制御樹脂 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】構成単位として式(1)で示されるアクリルアミドスルホン酸、スチレン及び/又はα−メチルスチレン、及び(メタ)アクリル酸エステルを含有し、酸価が8〜14KOHmg/gである荷電性制御樹脂において、重合の際にアクリルアミドスルホン酸の所定量の20〜90質量%を初期に添加し、残りを固体で3〜7回に分けて重合時間の20〜90%で添加することで得られる、メタノール抽出が10質量%以下であることを特徴とする負荷電性制御樹脂である。
【化1】
(式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なる基であり、水素原子、脂肪族基を示す。)
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乾式電子写真法において静荷電潜像を可視像とする際に用いる電子写真用帯電トナー用の負荷電性制御樹脂に関するもので、より詳細には、自由に荷電を制御でき、荷電制御剤として使用した際にトナー飛散がなく、色相が鮮明で画像再現性に優れ、高濃度画像を形成し得る電子写真用帯電トナー用負荷電性制御樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては特許文献1、特許文献2及び特許文献3などに種々の方法が記載されている。
【0003】
これらの電子写真法等に適用される現像方法としては、大別して乾式現像法と湿式現像法とがある。前者は、さらに二成分系現像剤を用いる方法と一成分系現像剤を用いる方法に分けられる。
【0004】
これら乾式現像法に適用するトナーとしては、従来、天然あるいは合成樹脂中に染料、顔料を分散させた微粉体が使用されている。例えば、ポリスチレン等の結着樹脂中に着色剤を分散させたものを1〜30μm程度に微粉砕した粒子がトナーとして用いられている。磁性トナーとしては、マグネタイトの如き磁性体粒子を含有させたものが用いられている。また、二成分系現像剤の場合には、トナーは通常、鉄粉,磁性フェライト粒子の如きキャリア粒子と混合されて用いられる。
【0005】
現像される静荷電像の極性に応じて、トナーは正または負に帯電する必要があり、トナーに所望の摩擦帯電性を付与するために荷電制御剤が添加される。
【0006】
今日、当該技術分野で知られている正摩擦帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料,アジン系染料,銅フタロシアニン顔料,4級アンモニウム塩あるいは、4級アンモニウム塩を側鎖に有するポリマー等が知られている。負摩擦帯電性荷電制御剤としては、モノアゾ染料の金属錯塩,サリチル酸,ナフトエ酸,ジカルボン酸の金属錯塩等が知られているが、上記荷電制御剤は有色である場合が多く、カラートナーに使用する場合には再現性に問題が生じる場合もあり、ほとんど無色か着色の少ない荷電制御樹脂(以下CCRと略す)が注目されている。
【0007】
これまでに、さまざまなCCRが提案されている。例えば特許文献4には2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(以下AMPSと略す)を構成単位とするCCRが提案されている。また、特許文献5、特許文献6、特許文献7には、ビニル芳香族炭化水素と(メタ)アクリレートとスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドからなる共重合体をCCRとして用いたトナーが提案されている。他にも特許文献8にはスルホン酸基含有アクリルアミド系モノマーを、特許文献9にはスルホン酸基含有脂肪族不飽和−N−アクリルアミド系単量体を、特許文献10には下記式:
CH2=CX1−CO−NH−X2−SO3H
(式中X1は水素原子又はメチル基、X2は炭素数1〜6の2価の炭化水素である)
で表されるアクリルアミド系単量体をそれぞれ構成単位とするCCRが提案されている。
【0008】
しかしながら、実際に本発明者がCCRを合成したところ、CCR構成中のアクリルアミド含有量が同じであっても、合成法の違いによって帯電性が異なることがわかった。
【0009】
【特許文献1】
米国特許第2,297,691号公報
【特許文献2】
特公昭42−23910号公報
【特許文献3】
特公昭43−24748号公報
【特許文献4】
特公平8−12467号公報
【特許文献5】
特開平11−184165号公報
【特許文献6】
特開平11−184166号公報
【特許文献7】
特開2000−56518号公報
【特許文献8】
特許第2623684号公報
【特許文献9】
特開平7−72658号公報
【特許文献10】
特許第2609358号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は環境的に安定且つ安全で、帯電性に優れ、電子写真用トナーに含有させた場合においては、結着樹脂との相溶性が高く、分散性に優れており、トナーの色味を阻害せず、良好な荷電制御ができる電子写真用トナー用負荷電性制御樹脂を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、負荷電性制御樹脂の合成方法を種々検討した結果、本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明は、構成単位として式(1)で示される酸価が8〜14mgKOH/gであるアクリルアミドスルホン酸、スチレン及び/又はα−メチルスチレン、及び(メタ)アクリル酸エステルを含有する荷電性制御樹脂において、重合の際にアクリルアミドスルホン酸の所定量の20〜90質量%を初期に添加し、残りを固体で3〜7回に分けて重合時間の20〜90%で添加することによって提供される。
【0013】
【化2】
(式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なる基であり、水素原子、脂肪族基を示す。)
【0014】
好ましくは、アクリルアミドスルホン酸の所定量の40〜80質量%を初期に添加し、残りを固体で3〜7回に分けて重合時間の20〜90%で添加することによって提供される。また、好ましくは、式(1)でR1とR2がメチル基で、R3とR4が水素原子であることによって提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に特徴的に用いられる式(1)のアクリルアミドスルホン酸としては、以下の構造を有する化合物を挙げることができる。
【0016】
【化3】
【0017】
本発明に用いられるアクリルアミドスルホン酸の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば式(2)に示すように、対応する脂肪族基含有エチレンとアクリロニトリル、発煙硫酸を反応させる方法等によって得ることができる。この場合、脂肪族基含有エチレンの構造によっては式(2)に示すように位置異性体も生成し得る。しかしながら位置異性体の混合物をそのまま負荷電性制御樹脂に供しても支障はない。
【0018】
【化4】
【0019】
また、特開平3−40019号公報に、ニトリル化合物とヒドロキシアルカンスルホン酸誘導体とを濃硫酸中で反応させることによりアクリルアミドスルホン酸を製造する方法(式3)が開示されている。しかしながらさまざまなアクリルアミドスルホン酸を合成するには、出発原料の多い点から式(2)の方法を用いるのが好ましい。
【0020】
【化5】
【0021】
本発明の負荷電性制御樹脂は、10〜40℃におけるメタノール抽出率が10質量%以下であることが好ましい。特に限定はしないが、抽出温度が10〜40℃以外では、溶解度が異なるため、抽出率が変わる可能性がある。10質量%を超える場合には、トナーに添加した時トナー粒子における負荷電性制御樹脂の分散状態が不均一になりやすく、トナーの摩擦帯電量が低くなる。
【0022】
本発明の負荷電性制御樹脂における、スルホン酸基含有アクリルアミド系モノマーの含有量は、使用するスルホン酸基含有アクリルアミド系モノマーの吸湿性にもよるが、共重合体を構成するモノマー全量中、0.01〜15質量%であることが好ましい。より好ましくは0.05〜12質量%、さらにより好ましくは0.1〜10質量%である。0.01質量%未満となる場合には摩擦帯電量が不充分となる場合があり好ましくなく、15質量%を超えた場合にはトナー粒子における負荷電性制御樹脂の分散状態が不均一になる場合があり好ましくない。
【0023】
本発明の負荷電性制御樹脂の酸価は8〜14mgKOH/gであることが好ましい。酸価が8mgKOH/gよりも低い場合には、摩擦帯電量が不充分となる場合があり好ましくなく、酸価が14mgKOH/gよりも高い場合には、メタノール抽出率が10質量%よりも高くなり好ましくない。
【0024】
本発明の負荷電性制御樹脂を得るためのスルホン酸基含有アクリルアミド系モノマーの重合の際の添加方法としては、スルホン酸基含有アクリルアミド系モノマーの所定量の20〜90質量%を初期に添加し、残りを固体のままで3〜7回に分けて重合時間の20〜90%で添加することが好ましい。初期添加量が所定量の20質量%よりも少ない場合および所定量の90質量%よりも多い場合には、メタノール抽出率が10質量%よりも高くなり好ましくない。また、スルホン酸基含有アクリルアミド系モノマーの残りの添加方法としては、固体のままではなく、溶液にして添加すると、理由は不明だが、よい結果が得られなかった。添加回数としては、3回より少ない場合には、メタノール抽出率が10質量%よりも高くなり好ましくない。7回より多いと、時間と手間がかかり好ましくない。残りを添加する時間としては重合時間の20〜90%であることが好ましい。より好ましくは30〜80%である。20%より少ない場合は、メタノール抽出率が10質量%よりも高くなり好ましくない。また90%より多い場合は、スルホン酸基含有アクリルアミド系モノマーが未反応のまま残留するため摩擦帯電量が不充分となる場合があり好ましくない。
【0025】
本発明の負荷電性制御樹脂はスチレン及び/又はα−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有する。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、特に限定されるものではないが、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸−n−ラウリル、アクリル酸−n−ステアリル、アクリル酸メトキシエチレングリコール、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸−n−ラウリル、メタクリル酸−n−ステアリル、メタクリル酸メトキシエチレングリコール、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル等を挙げることができる。特にアクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等を好ましく用いることができる。
【0026】
本発明の負荷電性制御樹脂を得るための重合方法としては、特に限定されるものではないが、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等が挙げられる。反応を容易に制御できる点から溶液重合法が好ましい。
【0027】
溶液重合で用いる溶媒としては、特に限定されるものではないが、キシレン、トルエン、酢酸エチル、酢酸イソブチル、イソプロピルアルコール、メタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド等が用いられる。
【0028】
溶液重合において溶媒とモノマーの比は、特に限定されるものではないが、溶媒100質量部に対してモノマー30〜400質量部で行うのが好ましい。
【0029】
本発明の負荷電性制御樹脂を重合するために使用する重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミルパーピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられ、これらが単独あるいは併用して使用できる。
【0030】
重合開始剤はモノマー100質量部に対し、0.05〜30質量部(好ましくは0.1〜15質量部)の濃度で用いられ、反応温度としては、特に限定するものではなく、使用する溶媒、開始剤、モノマーに応じて設定することができるが、40℃〜150℃で行うのが好ましい。
【0031】
本発明の負荷電性制御樹脂は負摩擦帯電性トナーとして用いることができる。
【0032】
本発明の負荷電性制御樹脂の重量平均分子量(Mw)は2,000乃至20万であればよいが、好ましくは5,000万乃至15万となる場合であり、さらに好ましくは8,000乃至10万となる場合である。もし、重量平均分子量(Mw)が2000未満となる場合、20万を超える場合のいずれの場合においても、トナーに添加した時トナー粒子における負荷電性制御樹脂の分散状態が不均一になりやすく、トナーの摩擦帯電量が不充分となる場合があり好ましくない。
【0033】
また、本発明の負荷電性制御樹脂のガラス転移点は、特に限定されるものではないが、40〜100℃の範囲が、より好ましくは50〜90℃の範囲が好ましい。40℃より低い場合、100℃より高い場合のいずれの場合においても、トナーに添加した時トナー粒子における負荷電性制御樹脂の分散状態が不均一になりやすく、トナーの摩擦帯電量が不充分となる場合があり好ましくない。
【0034】
本発明の負荷電性制御樹脂を負摩擦帯電性トナーとして使用する際は、負荷電性制御樹脂以外に結着樹脂、着色剤、荷電制御剤、ポリオレフィンワックス、その他必要に応じて各種添加剤等を含有する。
【0035】
本発明の負荷電性制御樹脂をトナーに添加して負摩擦帯電性トナーを製造する場合に使用しうる結着樹脂としては公知のものがすべて使用可能であるが、例えば、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フエノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等があるが、本発明の実施上特に好ましい樹脂としてはスチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。また、上記樹脂は単独で使用するに限らず、2種以上併用することもできる。
【0036】
本発明の負荷電性制御樹脂を含有する負摩擦帯電性トナーに使用しうる着色剤としては、任意の適当な顔料または染料があげられる。トナー着色剤は周知であって、例えば顔料としてカーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、キノリンイエロー、ファーストイエローG、ベンチジンイエロー、マラカイトグリーン、フタロシアニングリーン、ブリリアントグリーン、ローダミンレーキ、アリザリンレーキ、ベンガラ、パーマネントレッド、イルガシンレッド、トルイジンレッド、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルー,アニリンブルー、ウルトラマリーンブルー等がある。
【0037】
本発明の負荷電性制御樹脂を含有する負摩擦帯電性トナーに併用しうる荷電制御剤としては、特に限定されるものではないが、モノアゾ染料の金属錯塩,サリチル酸,ナフトエ酸,ジカルボン酸の金属錯塩,銅フタロシアニン顔料等がある。
【0038】
本発明の負荷電性制御樹脂を含有する負摩擦帯電性トナーに併用しうるワックスとしては、特に限定されるものではないが、好ましく用いられるワックスとしてオレフィンを高圧下でラジカル重合したポリオレフィン;高分子量ポリオレフィン重合時にえられる低分子量副生成物を精製したポリオレフィン;低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒の如き触媒を用いて重合したポリオレフィン;放射線、電磁波又は光を利用して重合したポリオレフィン;高分子量ポリオレフィンを熱分解して得られる低分子量ポリオレフィン;パラフィンワックス;マイクロクリスタリンワックス;フィッシャートロプシュワックス;ジントール法、ヒドロコール法又はアーゲ法等により合成される合成炭化水素ワックス;炭素数1個の化合物をモノマーとする合成ワックス;水酸基又はカルボキシル基の如き官能基を有する炭化水素系ワックス;炭化水素系ワックスと官能基を有する炭化水素系ワックスとの混合物;これらのワックスを母体としてスチレン、マレイン酸エステル、アクリレート、メタクリレート、無水マレイン酸の如きビニルモノマーでグラフト変性したグラフト変性ワックスが挙げられる。
【0039】
本発明の負荷電性制御樹脂を含有する負摩擦帯電性トナーには、流動性や現像性を制御するために公知の外添剤を添加してもよく、外添剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア等の各種無機酸化物微粒子(必要に応じて疎水化処理する)等を使用できる。
【0040】
本発明の負荷電性制御樹脂をトナーに添加して負摩擦帯電性トナーを製造する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば粉砕法トナーは、負荷電性制御樹脂、結着樹脂、着色剤としての染顔料、磁性体、カーボンブラック、その他必要に応じてその他の添加剤等をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機により充分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融、練肉して樹脂類及び着色剤等を互いに相溶、分散せしめ、冷却固化後、粉砕及び分級を行い、得られたトナー粒子にシリカ、アルミナ等の外添剤をヘンシェルミキサー等の混合機を用いて外添することにより製造することができ、また重合法トナーは、負荷電性制御樹脂、着色剤、モノマー、ワックス、重合開始剤等を水系中で分散剤を用い縣濁造粒し、ワックスを内包化した所定の粒度分布を有する分散粒子を得、その後昇温し、重合トナー粒子を得、洗浄、乾燥後、シリカ等の外添剤を添加することにより製造することができる。
【0041】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
【0042】
〔実施例1〕
【0043】
【化6】
【0044】
撹拌機,冷却器,温度計および窒素導入管を付した4つ口セパラブルフラスコに、スチレン46.8g、アクリル酸−2−エチルヘキシル9.0g、アクリルアミドスルホン酸(1)0.6g(所定量の25%)、トルエン16g、メタノール24gおよび2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を2.4g仕込み、撹拌し、窒素導入下65℃で撹拌する。還流がはじまってから、アクリルアミドスルホン酸(1)1.8g(所定量の75%)を5回に分けて1時間ごとに粉のまま添加し、8時間溶液重合することでCCR1を得た。
【0045】
得られたCCR1はGPC測定より重量平均分子量(Mw)=55600であり、DSC測定よりTg=62.2℃であった。さらに、酸価を測定したところ、11.2mgKOH/gであった。酸価よりCCR1中のアクリルアミドスルホン酸(1)の含有量を算出し、モノマー仕込み量より算出した理論値と比較したところ、ほぼ一致していた。
【0046】
以上の結果からCCR1がスチレン、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリルアミドスルホン酸(1)の共重合体であり、アクリルアミドスルホン酸(1)の含有量が所望の値であることを確認した。
【0047】
分子量の測定
GPC測定装置:HLC−8120GPC(東ソー社製)
カラム:KD−805L30cm2連(昭和電工社製)
温度:40℃
溶媒:THF
流速:1.0ml/min
試料:0.25%の試料を0.1ml注入
【0048】
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、試料溶液を約100μl注入して測定した。試料の分子量測定にあたっては試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント値との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、東ソー社製の分子量が2.5×103、5.87×103、9.49×103、1.71×104、3.72×104、9.89×104、1.89×105、3.97×105、7.07×105、1.11×106の標準ポリスチレン試料を用いた。また検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
【0049】
上記の方法で得られたGPCによる分子量分布から、重量平均分子量を算出した。算出にあたり、分子量分布ピークのベースラインは測定開始点と測定終了点を結んだ線とした。また溶媒中の添加物の影響を除くため、算出範囲は分子量範囲で3000〜1110000とした。結果を表1に示す。
【0050】
摩擦帯電量の測定
得られたCCR1を粉砕し分級した。マルチサイザー(ベックマンコールター社製)で体積平均粒径を測定したところ、約3μmであった。鉄粉キャリアと2対98の割合で混合し、1分間振とうすることで摩擦帯電させた。帯電量の測定は、図2の装置を使用した。摩擦帯電させた混合物を底に400メッシュ(キャリア粒子の通過しない大きさに変更可能)の導電性スクリーン3のある金属製の測定容器2に入れ、金属製の蓋4をした。この時の測定容器全体の質量を秤量し、W1〔g〕とした。次に、吸引機1(測定容器2と接する部分は少なくとも絶縁体)において、吸引口7から吸引し、風量調節弁6を調節して、真空計5の圧力を1.5kPaとして、吸引を行い、吸引除去した。吸引後、電荷を測定し、Q〔μC〕とした。また、吸引後の測定容器全体の質量を秤量し、W2〔g〕とした。摩擦帯電量は次式によって計算した。
トリボ値〔μC/g〕=Q/(W1−W2)
【0051】
以上の摩擦帯電量の測定をN/N環境(22℃,55%RH)で行った。結果を表1に示す。
【0052】
メタノール抽出率の測定
メタノール抽出率の測定方法は温度22℃,湿度55%の常温常湿条件→N/N環境下、得られたCCR1を一晩以上放置した後、ビーカーに5gのCCR1とメタノール100mlを入れて30分間超音波をかける方法で測定した。超音波使用中は、適時、氷を入れて温度を10〜40℃に保つようにした。その後、遠心分離をして上澄みと沈殿物に分け、上澄みをあらかじめ秤量しておいたメスフラスコに入れてエバポレーションした。再び、メスフラスコを秤量し、その差からメタノール抽出分の質量%を計算した。結果を表1に示す。
【0053】
〔実施例2〕
CCR2の製造:
アクリルアミドスルホン酸(1)の初期添加量を1.2g(所定量の50%)、後添加量を1.2g(所定量の50%、5回に分割)にして、実施例1と同様の方法を行うことによりCCR2を製造した。実施例1と同様にGPC、DSC、酸価を測定した。以上の結果からCCR2がスチレン、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリルアミドスルホン酸(1)の共重合体であり、アクリルアミドスルホン酸(1)の含有量が所望の値であることを確認した。
【0054】
実施例1と同様の平均粒径となるように粉砕、分級し、摩擦帯電量とメタノール抽出率を測定した。摩擦帯電量とメタノール抽出率の測定結果を表1に示す。
【0055】
〔実施例3〕
CCR3の製造:
アクリルアミドスルホン酸(1)の初期添加量を1.8g(所定量の75%)、後添加量を0.6g(所定量の25%、5回に分割)にして、実施例1と同様の方法を行うことによりCCR3を製造した。実施例1と同様にGPC、DSC、酸価を測定した。以上の結果からCCR3がスチレン、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリルアミドスルホン酸(1)の共重合体であり、アクリルアミドスルホン酸(1)の含有量が所望の値であることを確認した。
【0056】
実施例1と同様の平均粒径となるように粉砕、分級し、摩擦帯電量とメタノール抽出率を測定した。摩擦帯電量とメタノール抽出率の測定結果を表1に示す。
【0057】
〔実施例4〕
CCR4の製造:
アクリルアミドスルホン酸(1)の初期添加量を0.9g(所定量の50%)、後添加量を0.9g(所定量の50%、3回に分割)にして、実施例1と同様の方法を行うことによりCCR4を製造した。実施例1と同様にGPC、DSC、酸価を測定した。以上の結果からCCR4がスチレン、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリルアミドスルホン酸(1)の共重合体であり、アクリルアミドスルホン酸(1)の含有量が所望の値であることを確認した。
【0058】
実施例1と同様の平均粒径となるように粉砕、分級し、摩擦帯電量とメタノール抽出率を測定した。摩擦帯電量とメタノール抽出率の測定結果を表1に示す。
【0059】
〔実施例5〕
CCR5の製造:
アクリルアミドスルホン酸(1)の初期添加量を1.5g(所定量の50%)、後添加量を1.5g(所定量の50%、7回に分割)にして、実施例1と同様の方法を行うことによりCCR5を製造した。実施例1と同様にGPC、DSC、酸価を測定した。以上の結果からCCR5がスチレン、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリルアミドスルホン酸(1)の共重合体であり、アクリルアミドスルホン酸(1)の含有量が所望の値であることを確認した。
【0060】
実施例1と同様の平均粒径となるように粉砕、分級し、摩擦帯電量とメタノール抽出率を測定した。摩擦帯電量とメタノール抽出率の測定結果を表1に示す。
【0061】
〔実施例6〕
CCR6の製造:
スチレン46.8gの代わりにスチレン23.4gとα−メチルスチレン26.5gの混合溶液にして実施例1と同様の方法を行うことによりCCR6を製造した。実施例1と同様にGPC、DSC、酸価を測定した。以上の結果からCCR6がスチレン、α−メチルスチレン、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリルアミドスルホン酸(1)の共重合体であり、アクリルアミドスルホン酸(1)の含有量が所望の値であることを確認した。
【0062】
実施例1と同様の平均粒径となるように粉砕、分級し、摩擦帯電量とメタノール抽出率を測定した。摩擦帯電量とメタノール抽出率の測定結果を表1に示す。
【0063】
〔比較例1〕
CCR7の製造:
実施例1と同様の方法で、アクリルアミドスルホン酸(1)を初期に2.4gすべて入れることによりCCR7を得た。
【0064】
実施例1と同様にGPC、DSC、酸価を測定した。また、1H−NMRを測定した〔図1参照〕。以上の結果からCCR7がスチレン、α−メチルスチレン、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリルアミドスルホン酸(1)の共重合体であり、アクリルアミドスルホン酸(1)の含有量が所望の値であることを確認した。
【0065】
実施例1と同様の平均粒径となるように粉砕、分級し、摩擦帯電量とメタノール抽出率を測定した。摩擦帯電量とメタノール抽出率の測定結果を表1に示す。
【0066】
〔比較例2〕
CCR8の製造:
実施例1と同様の方法で、溶媒をトルエン16g、メタノール24gの代わりにトルエン8g、メタノール12gにする。また、後添加するアクリルアミドスルホン酸(1)1.8gを粉のままではなく、トルエン8g、メタノール12gに溶解して、1hごとに5回に分けて滴下することによりCCR8を得た。
実施例1と同様にGPC、DSC、酸価を測定した。以上の結果からCCR8がスチレン、α−メチルスチレン、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリルアミドスルホン酸(1)の共重合体であり、アクリルアミドスルホン酸(1)の含有量が所望の値であることを確認した。
【0067】
実施例1と同様の平均粒径となるように粉砕、分級し、摩擦帯電量とメタノール抽出率を測定した。摩擦帯電量とメタノール抽出率の測定結果を表1に示す。
【0068】
〔比較例3〕
CCR9の製造:
実施例1と同様の方法で、アクリルアミドスルホン酸(1)は初期には入れないで、アクリルアミドスルホン酸(1)2.4gを粉のままで5回に分けて1時間ごとに後添加することによりCCR9を得た。
【0069】
実施例1と同様にGPC、DSC、酸価を測定した。以上の結果からCCR9がスチレン、α−メチルスチレン、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリルアミドスルホン酸(1)の共重合体であり、アクリルアミドスルホン酸(1)の含有量が所望の値であることを確認した。
【0070】
実施例1と同様の平均粒径となるように粉砕、分級し、摩擦帯電量とメタノール抽出率を測定した。摩擦帯電量とメタノール抽出率の測定結果を表1に示す。
【0071】
〔比較例4〕
CCR10の製造:
実施例1と同様の方法で、溶媒をトルエン16g、メタノール24gの代わりにトルエン8g、メタノール12gにする。また、アクリルアミドスルホン酸(1)は初期には入れないで、アクリルアミドスルホン酸(1)2.4gは後添加する。後添加するアクリルアミドスルホン酸(1)2.4gは粉のままではなく、トルエン8g、メタノール12gに溶解して、1時間ごとに5回に分けて滴下することによりCCR10を得た。
【0072】
実施例1と同様にGPC、DSC、酸価を測定した。以上の結果からCCR10がスチレン、α−メチルスチレン、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリルアミドスルホン酸(1)の共重合体であり、アクリルアミドスルホン酸(1)の含有量が所望の値であることを確認した。
【0073】
実施例1と同様の平均粒径となるように粉砕、分級し、摩擦帯電量とメタノール抽出率を測定した。摩擦帯電量とメタノール抽出率の測定結果を表1に示す。
【0074】
〔比較例5〕
CCR11の製造:
アクリルアミドスルホン酸(1)の初期添加量を15.0g(所定量の50%)、後添加量を15.0g(所定量の50%、5回に分割)にして、実施例1と同様の方法を行うことによりCCR11を製造した。実施例1と同様にGPC、DSC、酸価を測定した。以上の結果からCCR11がスチレン、α−メチルスチレン、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリルアミドスルホン酸(1)の共重合体であり、アクリルアミドスルホン酸(1)の含有量が所望の値であることを確認した。
【0075】
実施例1と同様の平均粒径となるように粉砕、分級し、摩擦帯電量とメタノール抽出率を測定した。摩擦帯電量とメタノール抽出率の測定結果を表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
カラー画像テスト
結着樹脂(スチレン−アクリル酸ブチル共重合体)2500g、負荷電性制御樹脂(CCR1〜CCR9)50g、フタロシアニンブルー100gを混練、粉砕し、分級し、疎水性シリカをトナーに対して2%外添し、シアントナーを得た。常温常湿(22℃,55%)環境下で、キヤノン製フルカラー複写機CLC1130で初期画像及び5000枚複写後の耐久画像の画像特性を評価した。カブリは、カブリ測定用反射測定機REFLECTMETER(東京電色(株))により、耐久初期と耐久後の画像白地部分の白色度を測定し、その白色度と普通紙(転写紙)の白色度の差からカブリ濃度を算出し、評価した。また、OHPフィルムにシアントナー像を転写し、定着されたものをオーバーヘッドプロジェクターで透光することで、OHP透過性を評価した。それぞれの評価結果を表2まとめて示した。
【0078】
画像濃度の評価
S:1.45以上
A:1.4以上1.45未満
B:1.3以上1.4未満
C:1.2以上1.3未満
D:1.2未満
【0079】
カブリの評価
S:1.5%未満
A:1.5%以上2.0%未満
B:2.0%以上3.0%未満
C:3.0%以上
【0080】
OHP透過性の評価
A:良好(透明性に優れ、明暗ムラが無く、色再現性に優れている。)
B:普通(若干の明暗ムラがあるが、実用上問題ない。)
C:悪い(明暗ムラがあり、色再現性に劣っている。)
【0081】
【表2】
【0082】
【発明の効果】
本発明によれば、帯電量の十分な負荷電性制御樹脂を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】比較例1におけるCCR7の1H−NMRの測定図である。
【図2】摩擦帯電量の測定に利用した装置の概略図である。
Claims (3)
- 重合の際にアクリルアミドスルホン酸の所定量の40〜80質量%を初期に添加し、残りを固体で3〜7回に分けて重合時間の20〜90%で添加することで得られることを特徴とする請求項1に記載の負荷電性制御樹脂。
- 式(1)でR1とR2がメチル基で、R3とR4が水素原子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の負荷電性制御樹脂。
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