JP4268428B2 - 負荷電性制御樹脂 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乾式電子写真法において静荷電潜像を可視像とする際に用いる電子写真用帯電トナー用の負荷電性制御樹脂に関するもので、より詳細には、自由に荷電を制御でき、荷電制御剤として使用した際にトナー飛散がなく、色相が鮮明で画像再現性に優れ、高濃度画像を形成し得る負荷電性制御樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては種々の方法が知られており(例えば、特許文献1乃至3参照)、電子写真法等に適用される現像方法としては、大別して乾式現像法と湿式現像法とがある。前者は、さらに二成分系現像剤を用いる方法と一成分系現像剤を用いる方法に分けられる。
【0003】
これら乾式現像法に適用するトナーとしては、従来、天然あるいは合成樹脂中に染料、顔料を分散させた微粉体が使用されている。例えば、ポリスチレン等の結着樹脂中に着色剤を分散させたものを1〜30μm程度に微粉砕した粒子がトナーとして用いられている。磁性トナーとしては、マグネタイトの如き磁性体粒子を含有させたものが用いられている。また、二成分系現像剤の場合には、トナーは通常、鉄粉,磁性フェライト粒子の如きキャリア粒子と混合されて用いられる。
【0004】
現像される静荷電像の極性に応じて、トナーは正または負に帯電する必要があり、トナーに所望の摩擦帯電性を付与するために荷電制御剤が添加される。
【0005】
正摩擦帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料,アジン系染料,銅フタロシアニン顔料,4級アンモニウム塩あるいは、4級アンモニウム塩を有するポリマー等が知られており、負摩擦帯電性荷電制御剤としては、モノアゾ染料の金属錯塩あるいは、サリチル酸、ナフトエ酸、ジカルボン酸の金属錯塩等が知られている。しかしながら、荷電制御剤は有色である場合が多く、カラートナーに使用する場合には再現性に問題が生じる場合もあり、ほとんど無色か着色の少ない荷電性制御樹脂が注目されている。
【0006】
例えば、結着樹脂がスチレン及び/またはα−メチルスチレンと(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体からなり、スチレン及び/またはα−メチルスチレンと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との共重合体を含有するトナーが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0007】
また、スルホン酸基を含有するアクリルアミド系モノマーを構成単位として含有する荷電性制御樹脂及びそれらを含有するトナーに関する提案もある(例えば、特許文献5乃至8参照)。
【0008】
また、鉄元素を含有する荷電制御剤とスチレン/アクリル系単量体とスルホン酸含有アクリルアミド系単量体との共重合体を含有するトナーも提案されている(例えば、特許文献9参照)。
【0009】
しかしながら、スルホン酸基を有するアクリルアミド系モノマーと他のビニル系モノマーとの共重合体を荷電性制御樹脂として使用する場合には、共重合体のモノマー組成が不均一となりやすく、トナーに安定した摩擦帯電性を付与することが困難になる場合がある。
【0010】
また、特定のカルボン酸モノマー(コハク酸モノヒドロキシエチルメタクリレート)を有するスチレン/アクリル系単量体との共重合体を含有するトナーの提案もある(例えば、特許文献10及び11参照)。
【0011】
しかしながら、上記共重合体を用いる場合には、帯電付与性の観点から、従来公知の帯電制御剤を併用する必要があった。
【0012】
また、アミノ基を含有するモノマーなどを構成単位とする結着樹脂からなるトナーも提案されているが、これは該モノマー中にアルキレン基を同時に含む正帯電性用結着樹脂であり、負帯電性トナーに適用した場合には、十分な帯電特性が得られるものではなかった。
【0013】
【特許文献1】
米国特許第2,297,691号
【特許文献2】
特公昭42−23910号公報
【特許文献3】
特公昭43−24748号公報
【特許文献4】
特開昭63−184762号公報
【特許文献5】
特開平2−167565号公報
【特許文献6】
特開平4−195166号公報、
【特許文献7】
特開平7−72658号公報
【特許文献8】
特開2000−305318号公報
【特許文献9】
特開平8−123096号公報
【特許文献10】
特開平9−166887号公報
【特許文献11】
特開2001−305793号公報
【特許文献12】
特開昭61−198249号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の如く問題点を解決した負荷電性制御樹脂を提供するものであり、本発明の目的は、負荷電性制御樹脂を構成する共重合体組成の均一性が改善され、トナーに安定した帯電性を付与することができる負荷電性制御樹脂を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも式(1)又は(2)で示されるビニルモノマー及びカルボキシル基を有するビニルモノマーを含有するモノマー組成物を共重合したビニル系共重合体からなることを特徴とする負荷電性制御樹脂に関する。
【0016】
【化5】
(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2及びR3 は、そのいずれか一方、又は両方が酸基を除く置換基で置換可能な炭素数1乃至20のアルキル基を示し、他方が水素原子を示すか、またはR2及びR3が化学的に結合して炭素数4乃至20の複素環を形成しているか、またはR2及びR3が酸素原子と、4乃至19個の炭素とを有する環状構造を形成していても良い。)
【0017】
【化6】
(式中、R4は炭素数1乃至20のアルキル基、又は芳香族基を示す。)
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明者の検討によれば、トナーに安定した摩擦帯電性を付与し、常温低湿環境でもカブリが少なく、高温高湿環境でも充分な画像濃度を示すトナーを得るにはスルホン酸基を有するアクリルアミド系モノマーの共重合体からなる負荷電性制御樹脂では限界があり、カブリを減少し帯電の立ち上がりを改善するモノマー成分とトナーの摩擦帯電量を向上するモノマー成分を共重合することが重要であることが判った。
【0019】
本発明者の検討によれば、下記式(1)で示されるビニルモノマー(以下、「モノマー(A)」と称す)又は下記式(2)で示されるビニルモノマー(以下、「モノマー(B)」と称す)は、常温低湿環境でもカブリを減少するとともにトナーの摩擦帯電の立ち上がりを改善する効果を有する。また、このモノマー(A)又は(B)とカルボキシル基又はカルボキシル基を塩構造にした官能基を有するビニルモノマー(以下、「モノマー(C)」と称す)とを共重合することで、トナーの摩擦帯電量も顕著に改善されることが判った。モノマー(C)としては、下記式(3)又は式(4)で表されるビニルモノマーがより好ましく用いられる。尚、「ビニルモノマー」とは、厳密には、“CH2=CH−”を有するモノマーのことであるが、本明細書においては、“CH2=CR−(R:アルキル基等の置換基)”をも含むものとする。
【0020】
【化7】
(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2及びR3は各々水素原子、酸基を除く置換基で置換可能な炭素数1乃至20のアルキル基を示すか、またはR2及びR3が化学的に結合して炭素数4乃至20の複素環を形成しているか、またはR2及びR3が窒素原子、酸素原子及びイオウ原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの原子と、4乃至19個の炭素とを有する環状構造を形成していても良い。)
【0021】
【化8】
(式中、R4は炭素数1乃至20のアルキル基、又は芳香族基を示す。)
【0022】
【化9】
(式中、R5は水素原子またはメチル基、R6は炭素数2〜6のアルキレン基、nは0〜10の整数、Xは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属または4級アンモニウム基を表す。)
【0023】
【化10】
(式中、R7は水素原子またはメチル基、R8は炭素数2〜4のアルキレン基、R9はエチレン基、ビニレン基または1,2−シクロヘキシレン基、Xは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属または4級アンモニウム基を表す。)
【0024】
本発明の負荷電性制御樹脂に含まれるビニル系共重合体は、モノマー(A)又は(B)を0.5乃至20質量%用いて重合された重合体であることが好ましく、より好ましくは1乃至15質量%用いた場合であり、更に好ましくは2乃至10質量%用いた場合である。
【0025】
本発明の負荷電性制御樹脂に含まれるビニル系共重合体は、モノマー(A)又は(B)に由来するモノマーユニットを0.5乃至20質量%含有することが好ましく、より好ましくは1乃至15質量%含有する場合であり、更に好ましくは2乃至10質量%含有する場合である。該モノマー(A)又は(B)に由来するモノマーユニットの含有量が0.5量%未満となる場合には摩擦帯電の立ち上がり遅くなる場合があり、20質量%超となる場合には摩擦帯電量が不十分となる傾向がある。
【0026】
本発明の負荷電性制御樹脂において、モノマー(A)としては、例えば、(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドの如きN−置換(メタ)アクリルアミド;N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルピロリドン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−(メタ)アクリロイル−4−ピペリドンの如き環状構造を含む(メタ)アクリルアミドが挙げられ、2種以上のモノマーを共重合することもできる。
【0027】
本発明の負荷電性制御樹脂において、モノマー(B)としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルが挙げられ、2種以上のモノマーを共重合することもできる。
【0028】
本発明の負荷電性制御樹脂において、モノマー(C)としては、例えば、マレイン酸、マレイン酸のハーフエステル化物、フマル酸、フマル酸のハーフエステル化物、イタコン酸、イタコン酸のハーフエステル化物、クロトン酸、ケイ皮酸等を挙げることもできるが、より好ましくは、式(3)又は(4)で示されるビニルモノマーを用いる場合であり、これらのビニルモノマーをトナーに添加した場合にトナーの摩擦帯電の立ち上がりが改善される。
【0029】
本発明の負荷電性制御樹脂に含まれるビニル系共重合体は、モノマー(C)を1乃至20質量%用いて重合された重合体であることが好ましいが、より好ましくは2乃至15質量%用いた場合であり、更に好ましくは3乃至10質量%用いた場合である。
【0030】
本発明の負荷電性制御樹脂に含まれるビニル系共重合体は、モノマー(C)に由来するモノマーユニットを1乃至20質量%含有することが好ましいが、より好ましくは2乃至15質量%含有する場合であり、更に好ましくは3乃至10質量%含有する場合であり、含有量が1質量%未満となる場合には摩擦帯電量が不十分となる場合があり、20質量%超となる場合にはトナー粒子における負荷電性制御樹脂の分散状態が不均一になる傾向がある。
【0031】
本発明の負荷電性制御樹脂中における各モノマーの含有割合は、従来公知の測定方法によって測定することができる。
【0032】
例えば、カルボキシル基又はカルボキシル基を塩構造とした官能基を有するビニルモノマーは、中和滴定反応により含有割合を測定することができる。また、式(1)で示されるビニルモノマーは、他のモノマーや重合開始剤が窒素原子を含有していなければ、窒素含有量測定により含有割合を測定することができ、モノマーが、特有の化学シフトを呈する官能基を有している場合には、NMRにより含有割合を測定することができる。式(2)で示されるモノマーの含有割合は、例えば、他のモノマーの含有割合を測定した後、間接的に算出することによって求めることができる。
【0033】
本発明の負荷電性制御樹脂において、式(3)で表されるビニルモノマーとしては、式中のXが水素原子であり、カルボキシル基を有するものが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートが挙げられ、2種以上のモノマーを用いることもできる。
【0034】
本発明の負荷電性制御樹脂において、式(4)で表せるカルボキシル基を有するビニルモノマーとしては、式中のXが水素原子であり、カルボキシル基を有するものが好ましく、例えば、コハク酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、マレイン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フマル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,2−ジカルボキシシクロヘキサンモノヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられ、2種以上のモノマーを用いることもできる。
【0035】
本発明の負帯電性制御樹脂においては、モノマー(A)又は(B)とモノマー(C)との共重合成分として、例えば、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系モノマー;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系モノマー;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトンが挙げられる。これらのうちの1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、スチレンが安価であり、他のビニル系モノマーとの共重合性が良好で、共重合体のTgの調整がしやすく、且つトナー中における優れた分散性が得られるという点で好ましく、更には、負帯電性制御樹脂に含まれるビニル系共重合体においては、スチレンに由来するユニットが60質量%以上(特には、70質量%以上)含有されていることが好ましい。
【0036】
本発明の負荷電制御樹脂は、ビニル系共重合体からなるものであるが、その効果を減じない程度であれば、他の成分を含有していても良い。
【0037】
本発明の負荷電性制御樹脂に含有されるビニル系共重合体の重量平均分子量(Mw)は2000乃至20万であることが好ましく、より好ましくは5000乃至10万となる場合であり、更に好ましくは8000乃至5万となる場合である。重量平均分子量(Mw)が2000未満となる場合、20万超となるいずれの場合においても、トナーに添加した場合にトナー粒子における負荷電性制御樹脂の分散状態が不均一になり易く、トナーの摩擦帯電量が不十分となる場合がある。
【0038】
本発明の負荷電性制御樹脂に含有されるビニル系共重合体のガラス転移温度(Tg)は30乃至120℃であることが好ましく、より好ましくは50乃至110℃となる場合であり、更に好ましくは60乃至100℃となる場合である。ガラス転移温度(Tg)が30℃未満となる場合、120℃超となる場合のいずれの場合においても、トナーに添加した場合にトナー粒子における負荷電性制御樹脂の分散状態が不均一になり易く、トナーの摩擦帯電量が不十分となる場合がある。
【0039】
本発明の負荷電性制御樹脂に含有されるビニル系共重合体の酸価は1乃至70mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは5乃至50mgKOH/gとなる場合であり、更に好ましくは10乃至40mgKOH/gとなる場合である。負荷電性制御樹脂の酸価が1mgKOH/g未満となる場合にはトナーに添加した場合にトナーの摩擦帯電量が不十分となる場合があり、70mgKOH/g超となる場合にはトナー粒子における負荷電性制御樹脂の分散状態が不均一になり易く、トナーの摩擦帯電量が不十分となる場合がある。
【0040】
本発明の負荷電性制御樹脂を得るための重合方法としては、特に限定されるものではないが、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等が挙げられる。反応を容易に制御できる点から溶液重合法が好ましく、溶媒としては、特に限定されるものではないが、キシレン、トルエン、酢酸エチル、酢酸イソブチル、イソプロピルアルコール、メタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミドが用いられ、溶媒とモノマーの比は、特に限定されるものではないが、溶媒100質量部に対してモノマー30〜400質量部で行うのが好ましい。
【0041】
本発明の負荷電性制御樹脂を重合するために使用する重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミルパーピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)が挙げられ、これらを単独で使用しても良く、あるいは併用しても良い。
【0042】
重合開始剤はモノマー100質量部に対し、0.05〜30質量部(好ましくは0.1〜15質量部)の濃度で用いられ、反応温度としては、特に限定するものではなく、使用する溶媒、開始剤、モノマーに応じて設定することができるが、40℃〜150℃で行うのが好ましい。
【0043】
本発明の負荷電性制御樹脂を添加する負摩擦帯電性トナーの結着樹脂としては、公知のものがすべて使用可能であるが、例えば、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(例えば、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(例えば、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等があるが、特に好ましい樹脂としてはスチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂を挙げることができる。また、上記樹脂は単独で使用するに限らず、2種以上併用することもできる。
【0044】
本発明の負荷電性制御樹脂を添加する負摩擦帯電性トナーの着色剤としては、トナー用の着色剤として従来周知である任意の適当な顔料または染料があげられる。例えば、顔料としてはカーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、キノリンイエロー、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、マラカイトグリーン、フタロシアニングリーン、ブリリアントグリーン、ローダミンレーキ、アリザリンレーキ、ベンガラ、パーマネントレッド、イルガシンレッド、トルイジンレッド、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルー、アニリンブルー、ウルトラマリーンブルー等がある。
【0045】
本発明の負荷電性制御樹脂を添加する負摩擦帯電性トナーにおいては、必ずしも荷電制御剤を用いる必要はないが、併用する場合には、モノアゾ染料の金属錯塩、サリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の金属錯塩、銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。
【0046】
本発明の負荷電性制御樹脂を添加する負摩擦帯電性トナーのワックスは、特に限定されるものではないが、好ましく用いられるワックスとしては、例えば、オレフィンを高圧下でラジカル重合したポリオレフィン;高分子量ポリオレフィン重合時に得られる低分子量副生成物を精製したポリオレフィン;低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒の如き触媒を用いて重合したポリオレフィン;放射線、電磁波又は光を利用して重合したポリオレフィン;高分子量ポリオレフィンを熱分解して得られる低分子量ポリオレフィン;パラフィンワックス;マイクロクリスタリンワックス;フィッシャートロプシュワックス;ジントール法、ヒドロコール法又はアーゲ法等により合成される合成炭化水素ワックス;炭素数1個の化合物をモノマーとする合成ワックス;水酸基又はカルボキシル基の如き官能基を有する炭化水素系ワックス;炭化水素系ワックスと官能基を有する炭化水素系ワックスとの混合物;これらのワックスを母体としてスチレン、マレイン酸エステル、アクリレート、メタクリレート、無水マレイン酸の如きビニルモノマーでグラフト変性したグラフト変性ワックスが挙げられる。
【0047】
本発明の負荷電性制御樹脂を添加する負摩擦帯電性トナーには、流動性や現像性を制御するために公知の外添剤を添加してもよく、外添剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア等の各種無機酸化物微粒子(必要に応じて疎水化処理する)等を使用できる。
【0048】
本発明の負荷電性制御樹脂をトナーに添加して負摩擦帯電性トナーを製造する方法としては、特に限定されるものではない。例えば粉砕法トナーは、本発明の負荷電制御樹脂、結着樹脂、着色剤としての染顔料(或いは、磁性体、カーボンブラック)、その他必要に応じてその他の添加剤等をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機により充分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融、練肉して樹脂類及び着色剤等を互いに相溶、分散せしめ、冷却固化後、粉砕及び分級を行い、得られたトナー粒子にシリカ、アルミナ等の外添剤をヘンシェルミキサー等の混合機を用いて外添することにより製造することができる。また重合法トナーは、本発明の負荷電制御樹脂、着色剤、モノマー、その他必要に応じてワックス、重合開始剤等を、分散剤を有する水系中に懸濁造粒させ、所定の粒度分布を有する分散粒子を得、その後昇温して重合反応を行い、重合トナー粒子を得、洗浄、乾燥後、シリカ等の外添剤を添加することにより製造することができる。
【0049】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
【0050】
先ず、後述の実施例で用いるモノマー(A)の具体的化合物A1〜A5、モノマー(B)の具体的化合物B1〜B5、モノマー(C)の具体的化合物C1〜C5を示す。
【0051】
【化11】
【0052】
【化12】
【0053】
【化13】
【0054】
〔実施例1〕
負荷電性制御樹脂(CCR1)の製造
撹拌機,冷却器,温度計および窒素導入管を付した4つ口セパラブルフラスコに、スチレン、N−アクリロイルモルホリン(A1)、アクリル酸ダイマー(C2)を表1記載の仕込み量で仕込み、さらに溶媒としてトルエン60g及びメタノール20g、重合開始剤としてジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)を4.0g仕込み、撹拌し、窒素導入下、還流状態で8時間溶液重合した。その後、減圧乾燥することで負荷電性制御樹脂であるCCR1を得た。得られたCCR1の質量は表1記載のモノマー仕込み量の98%に相当し、得られたCCR1のモノマーユニットの割合は仕込みの割合と同等と見なすことが出来る。
【0055】
得られたCCR1の酸価、重量平均分子量(Mw)、Tgをそれぞれ全自動滴定装置(京都電子工業(株)製)、GPC測定(装置:HLC−8120GPC、東ソー(株)製、カラム:昭和電工(株)製)、DSC測定(装置:DSC6200、セイコーインスツルメンツ(株)製)により測定した。結果を表2に示す。
【0056】
・摩擦帯電量の測定
得られたCCR1を粉砕し分級し平均粒径3μmの微粉末を得た。平均粒径10.0μmに微粉砕されたスチレン−アクリル酸ブチル共重合体20gと上記微粉末(CCR1)0.2gをコーヒーミル入れ1分間混合した。この様にして調製されたサンプルを用い、図1の装置を使用して、以下のようにして帯電量の測定を行った。
【0057】
調製したサンプル0.2gを鉄粉キャリアと10gと混合し、2分間振とうすることで摩擦帯電させた。底に400メッシュ(キャリア粒子の通過しない大きさに変更可能)の導電性スクリーン3のある金属製の測定容器2に摩擦帯電させた混合物を入れ、金属製の蓋4をした。この時の測定容器全体の質量を秤量し、W1〔g〕とした。次に、吸引機1(測定容器2と接する部分は少なくとも絶縁体)によって、吸引口7から吸引し、風量調節弁6を調節して、真空計5の圧力を1.5kPaとして、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体及びCCR1の微粉末を吸引除去した。吸引後、電荷を測定し、Q〔μC〕とした。また、吸引後の測定容器全体の質量を秤量し、W2〔g〕とした。摩擦帯電量は次式によって計算した。
トリボ値〔mC/kg〕=Q/(W1−W2)
【0058】
以上の摩擦帯電量の測定をN/N環境(22℃,55%RH)でそれぞれ行った。結果を表3に示す。
【0059】
・画像テスト
結着樹脂(スチレン−アクリル酸ブチル共重合体)2500g、負荷電性制御樹脂としてCCR1を50g、フタロシアニンブルー100gを混練、粉砕し、分級してトナー粒子を得、得られたトナーに対して疎水性シリカを2%外添し、シアントナーを得た。得られたシアントナーを用い、画像形成装置としては、キヤノン製フルカラー複写機CLC1130を使用し、N/N環境下で画像形成を行い、初期画像及び5000枚複写後の耐久画像の画像特性を評価した。カブリは、反射濃度計TC−6DS/A(東京電色(株))により、耐久初期と耐久後の画像白地部分の白色度を測定し、その白色度と普通紙(転写紙)の白色度の差からカブリ濃度を算出し、以下の評価基準によって評価した。それぞれの評価結果を表3に示した。
【0060】
画像濃度の評価
A:1.4以上
B:1.3以上1.4未満
C:1.2以上1.3未満
D:1.2未満
【0061】
カブリの評価
A:非常に良好 (2.0%未満)
B:良好 (2.0%以上乃至3.0%未満)
C:悪い (3.0%以上)
【0062】
〔実施例2及び3〕
CCR2及び3の製造
スチレン、N−アクリロイルモルホリン(A1)の仕込み量を表1の様に変更した他は実施例1と同様にして、CCR2及び3を得た。得られたCCR2、3の酸価、Mw、Tg、摩擦帯電量をそれぞれ実施例1と同様にして測定した。結果を表2に示す。また、画像形成テストを実施例1と同様にして行い、CCR2或いは3を含有するシアントナーの画像評価、カブリを評価した。結果を表3に示す。
【0063】
〔実施例4〕
CCR4の製造
スチレン、N−イソプロピルアクリルアミド(A2)、コハク酸モノヒドロキシエチルアクリレート(C3)を表1記載の仕込み量で仕込み、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)を3.1gにした他は実施例1と同様にして、CCR4を得た。得られたCCR4の酸価、Mw、Tg、摩擦帯電量をそれぞれ実施例1と同様にして測定した。結果を表2に示す。また、画像形成テストを実施例1と同様にして行い、CCR4を含有するシアントナーの画像評価、カブリを評価した。結果を表3に示す。
【0064】
〔実施例5〜7〕
CCR5〜7の製造
スチレン、コハク酸モノヒドロキシエチルアクリレート(C3)の仕込み量を表1の様に変更した他は実施例4と同様にして、CCR5〜7を得た。得られたCCR5〜7の酸価、Mw、Tg、摩擦帯電量をそれぞれ実施例1と同様にして測定した。結果を表2に示す。また、画像形成テストを実施例1と同様にして行い、CCR5、6或いは7を含有するシアントナーの画像評価、カブリを評価した。結果を表3に示す。
【0065】
〔実施例8及び9〕
CCR8及び9の製造
スチレン、2−エチルヘキシルアクリレート、N−メチルメタクリルアミド(A3)、アクリル酸(C1)を表1記載の仕込み量で仕込んだ他は実施例4と同様にして、CCR8及び9を得た。得られたCCR8、9の酸価、Mw、Tg、摩擦帯電量をそれぞれ実施例1と同様にして測定した。結果を表2に示す。また、画像形成テストを実施例1と同様にして行い、CCR8或いは9を含有するシアントナーの画像評価、カブリを評価した。結果を表3に示す。
【0066】
〔実施例10〕
CCR10の製造
スチレン、N−メチルメタクリルアミド(A3)、アクリル酸(C1)を表1記載の仕込み量で仕込んだ他は実施例4と同様にして、CCR10を得た。得られたCCR10の酸価、Mw、Tg、摩擦帯電量をそれぞれ実施例1と同様にして測定した。結果を表2に示す。また、画像形成テストを実施例1と同様にして行い、CCR10を含有するシアントナーの画像評価、カブリを評価した。結果を表3に示す。
【0067】
〔実施例11〕
CCR11の製造
ビニルトルエン、N−メチルメタクリルアミド(A3)、アクリル酸(C1)を表1記載の仕込み量で仕込んだ他は実施例4と同様にして、CCR11を得た。得られたCCR11の酸価、Mw、Tg、摩擦帯電量をそれぞれ実施例1と同様にして測定した。結果を表2に示す。また、画像形成テストを実施例1と同様にして行い、CCR11を含有するシアントナーの画像評価、カブリを評価した。結果を表3に示す。
【0068】
〔実施例12〕
CCR12の製造
スチレン、N−ブトキシメチルアクリルアミド(A4)、アクリル酸ダイマー(C2)を表1記載の仕込み量で仕込み、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)を12.5g使用した他は実施例1と同様にして、CCR12を得た。得られたCCR12の酸価、Mw、Tg、摩擦帯電量をそれぞれ実施例1と同様にして測定した。結果を表2に示す。また、画像形成テストを実施例1と同様にして行い、CCR12を含有するシアントナーの画像評価、カブリを評価した。結果を表3に示す。
【0069】
〔実施例13〕
CCR13の製造
スチレン、N−ブトキシメチルアクリルアミド(A4)、アクリル酸ダイマー(C2)を表1記載の仕込み量で仕込み、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)を4.5g使用した他は実施例1と同様にして、CCR13を得た。得られたCCR13の酸価、Mw、Tg、摩擦帯電量をそれぞれ実施例1と同様にして測定した。結果を表2に示す。また、画像形成テストを実施例1と同様にして行い、CCR13を含有するシアントナーの画像評価、カブリを評価した。結果を表3に示す。
【0070】
〔実施例14〕
CCR14の製造
スチレン、N−ブトキシメチルアクリルアミド(A4)、カルボキシル基含有ビニルモノマーとしてアクリル酸ダイマー(C2)を表1記載の仕込み量で仕込み、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)を3.1g使用した他は実施例1と同様にして、CCR14を得た。得られたCCR14の酸価、Mw、Tg、摩擦帯電量をそれぞれ実施例1と同様にして測定した。結果を表2に示す。また、画像形成テストを実施例1と同様にして行い、CCR14を含有するシアントナーの画像評価、カブリを評価した。結果を表3に示す。
【0071】
〔実施例15〕
CCR15の製造
スチレン、N−ブトキシメチルアクリルアミド(A4)、アクリル酸ダイマー(C2)を表1記載の仕込み量で仕込み、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)を2.0g使用した他は実施例1と同様にして、CCR15を得た。得られたCCR15の酸価、Mw、Tg、摩擦帯電量をそれぞれ実施例1と同様にして測定した。結果を表2に示す。また、画像形成テストを実施例1と同様にして行い、CCR15を含有するシアントナーの画像評価、カブリを評価した。結果を表3に示す。
【0072】
〔実施例16〕
CCR16の製造
撹拌機、冷却器、温度計および窒素導入管を付した4つ口セパラブルフラスコにスチレン、N−ブトキシメチルアクリルアミド(A4)、アクリル酸ダイマー(C2)を表1記載の仕込み量で仕込み、さらに、過酸化ベンゾイル0.7gを添加し混合溶解させた。リン酸三カルシウム3g、ラウリル硫酸ナトリウム0.3g、脱イオン水210gからなる水溶液を加え、撹拌・造粒を行い、造粒後、撹拌しながら80℃に加熱して6時間重合反応を行った後、90℃に加熱して4時間重合反応を行った。その後、ろ過、水洗、酸洗浄、水洗を実施し、乾燥して、CCR16を得た。得られたCCR16の酸価、Mw、Tg、摩擦帯電量をそれぞれ実施例1と同様にして測定した。結果を表2に示す。また、画像形成テストを実施例1と同様にして行い、CCR16を含有するシアントナーの画像評価、カブリを評価した。結果を表3に示す。
【0073】
〔実施例17〕
CCR17の製造
スチレン、N−t−ブチルアクリルアミド(A5)、フタル酸モノヒドロキシエチルメタクリレート(C4)を表1記載の仕込み量で仕込んだ他は実施例1と同様にして、CCR17を得た。得られたCCR17の酸価、Mw、Tg、摩擦帯電量をそれぞれ実施例1と同様にして測定した。結果を表2に示す。
【0074】
実施例1の画像テストにおいてフタロシアニンブルーをカーボンブラックに変えた他は実施例1と同様にして行い、CCR17を含有するブラックトナーの画像評価、カブリを評価した。結果を表3に示す。
【0075】
〔実施例18〕
CCR18の製造
スチレン、N−アクリロイルモルホリン(A1)、コハク酸モノヒドロキシエチルメタクリレート(C5)を表1記載の仕込み量で仕込み、さらに溶媒としてトルエン60g、メタノール20g、重合開始剤としてジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)を4.0g仕込んだ他は実施例1と同様にして、CCR18を得た。得られたCCR18の酸価、Mw、Tg、摩擦帯電量をそれぞれ実施例1と同様にして測定した。結果を表2に示す。また、画像形成テストを実施例1と同様にして行い、CCR18を含有するシアントナーの画像評価、カブリを評価した。結果を表3に示す。
【0076】
〔比較例1〕
CCR19の製造
スチレン、N−イソプロピルアクリルアミド(A2)を表1記載の仕込み量で仕込み、アクリル酸ダイマー(C2)を用いなかった他は実施例1と同様にして、CCR19を得た。得られたCCR19の酸価、Mw、Tg、摩擦帯電量をそれぞれ実施例1と同様にして測定した。結果を表2に示す。また、画像形成テストを実施例1と同様にして行い、CCR19を含有するシアントナーの画像評価、カブリを評価した。結果を表3に示す。
【0077】
〔比較例2〕
CCR20の製造
スチレン、アクリル酸ダイマー(C2)を表1記載の仕込み量で仕込み、N−アクリロイルモルホリン(A1)を用いなかった他は実施例1と同様にして、CCR20を得た。得られたCCR20の酸価、Mw、Tg、摩擦帯電量をそれぞれ実施例1と同様にして測定した。結果を表2に示す。また、画像形成テストを実施例1と同様にして行い、CCR20を含有するシアントナーの画像評価、カブリを評価した。結果を表3に示す。
【0078】
〔比較例3〕
CCR21の製造
スチレン、コハク酸モノヒドロキシエチルメタクリレート(C5)を表1記載の仕込み量で仕込み、N−アクリロイルモルホリン(A1)を用いなかった他は実施例1と同様にして、CCR21を得た。得られたCCR21の酸価、Mw、Tg、摩擦帯電量をそれぞれ実施例1と同様にして測定した。結果を表2に示す。また、画像形成テストを実施例1と同様にして行い、CCR21を含有するシアントナーの画像評価、カブリを評価した。結果を表3に示す。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
〔実施例19〕
負荷電制御性樹脂(CCR22)の製造
撹拌機,冷却器,温度計および窒素導入管を付した4つ口セパラブルフラスコに、スチレン、2−エチルヘキサン酸ビニル(B2)、アクリル酸ダイマー(C2)を表4記載の仕込み量で仕込み、さらに溶媒としてトルエン60g及びメタノール20g、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を4.0g仕込み、撹拌し、窒素導入下還流状態で8時間溶液重合した。その後、減圧乾燥することで、負荷電性制御性樹脂であるCCR22を得た。
【0083】
得られたCCR22の酸価、重量平均分子量(Mw)、Tgを実施例1と同様にして測定した。結果を表5に示す。また、画像形成テストを実施例1と同様にして行い、CCR22を含有するシアントナーの画像評価、カブリを評価した。結果を表6に示す。
【0084】
〔実施例20及び21〕
CCR23及び24の製造
スチレン、2−エチルヘキサン酸ビニル(B2)の仕込み量を表4の様に変更した他は実施例19と同様にして、CCR23及び24を得た。得られたCCR23、24の酸価、Mw、Tg、摩擦帯電量をそれぞれ実施例19と同様にして測定した。結果を表5に示す。画像形成テストを実施例19と同様にして行い、CCR23或いは24を含有するシアントナーの画像評価、カブリを評価した。結果を表6に示す。
【0085】
〔実施例22〕
CCR25の製造
スチレン、安息香酸ビニル(B3)、コハク酸モノヒドロキシエチルメタクリレート(C3)を表4記載の仕込み量で仕込み、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)を3.1gにした他は実施例19と同様にして、CCR25を得た。得られたCCR25の酸価、Mw、Tg、摩擦帯電量をそれぞれ実施例19と同様にして測定した。結果を表5に示す。画像形成テストを実施例19と同様にして行い、CCR25を含有するシアントナーの画像評価、カブリを評価した。結果を表6に示す。
【0086】
〔実施例23〜25〕
CCR26〜28の製造
スチレン、コハク酸モノヒドロキシエチルメタクリレート(C3)の仕込み量を表4の様に変更した他は実施例19と同様にして、CCR26〜28を得た。得られたCCR26〜28の酸価、Mw、Tg、摩擦帯電量をそれぞれ実施例22と同様にして測定した。結果を表5に示す。カラー画像テストを実施例19と同様にして行い、CCR26、27又は28を含有するシアントナーの画像評価、カブリを評価した。結果を表6に示す。
【0087】
〔実施例26及び27〕
CCR29及び30の製造
スチレン、2−エチルヘキシルアクリレート、モノクロロ酢酸ビニル(B4)、アクリル酸(C1)を表4記載の仕込み量で仕込んだ他は実施例22と同様にして、CCR29及び30を得た。得られたCCR29、30の酸価、Mw、Tg、摩擦帯電量をそれぞれ実施例19と同様にして測定した。結果を表5に示す。画像形成テストを実施例19と同様にして行い、CCR29又は30を含有するシアントナーの画像評価、カブリを評価した。結果を表6に示す。
【0088】
〔実施例28〕
CCR31の製造
スチレン、モノクロロ酢酸ビニル(B4)、アクリル酸(C1)を表4記載の仕込み量で仕込んだ他は実施例19と同様にして、CCR31を得た。得られたCCR31の酸価、Mw、Tg、摩擦帯電量をそれぞれ実施例22と同様にして測定した。結果を表5に示す。画像形成テストを実施例19と同様にして行い、CCR31を含有するシアントナーの画像評価、カブリを評価した。結果を表6に示す。
【0089】
〔実施例29〕
CCR32の製造
ビニルトルエン、モノクロロ酢酸ビニル(B4)、カルボキシル基含有ビニルモノマーとしてアクリル酸(C1)を表4記載の仕込み量で仕込んだ他は実施例22と同様にして、CCR32を得た。得られたCCR32の酸価、Mw、Tg、摩擦帯電量をそれぞれ実施例19と同様にして測定した。結果を表5に示す。画像形成テストを実施例19と同様にして行い、CCR32を含有するシアントナーの画像評価、カブリを評価した。結果を表6に示す。
【0090】
〔実施例30〕
CCR33の製造
スチレン、酪酸ビニル(B1)、アクリル酸ダイマー(C2)を表4記載の仕込み量で仕込み、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)を12.5g使用した他は実施例19と同様にして、CCR33を得た。得られたCCR33の酸価、Mw、Tg、摩擦帯電量をそれぞれ実施例19と同様にして測定した。結果を表5に示す。画像形成テストを実施例19と同様にして行い、CCR33を含有するシアントナーの画像評価、カブリを評価した。結果を表6に示す。
【0091】
〔実施例31〕
CCR34の製造
スチレン、酪酸ビニル(B1)、アクリル酸ダイマー(C2)を表4記載の仕込み量で仕込み、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)を4.5g使用した他は実施例19と同様にして、CCR34を得た。得られたCCR34の酸価、Mw、Tg、摩擦帯電量をそれぞれ実施例19と同様にして測定した。結果を表5に示す。画像形成テストを実施例19と同様にして行い、CCR34を含有するシアントナーの画像評価、カブリを評価した。結果を表6に示す。
【0092】
〔実施例32〕
CCR35の製造
スチレン、酪酸ビニル(B1)、アクリル酸ダイマー(C2)を表4記載の仕込み量で仕込み、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)を3.1g使用した他は実施例19と同様にして、CCR35を得た。得られたCCR35の酸価、Mw、Tg、摩擦帯電量をそれぞれ実施例19と同様にして測定した。結果を表5に示す。画像形成テストを実施例19と同様にして行い、CCR35を含有するシアントナーの画像評価、カブリを評価した。結果を表6に示す。
【0093】
〔実施例33〕
CCR36の製造
スチレン、酪酸ビニル(B1)、アクリル酸ダイマー(C2)を表4記載の仕込み量で仕込み、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)を2.0g使用した他は実施例19と同様にして、CCR36を得た。得られたCCR36の酸価、Mw、Tg、摩擦帯電量をそれぞれ実施例19と同様にして測定した。結果を表5に示す。画像テストを実施例19と同様にして行い、CCR36を含有するシアントナーの画像評価、カブリを評価した。結果を表6に示す。
【0094】
〔実施例34〕
CCR37の製造
撹拌機、冷却器、温度計および窒素導入管を付した4つ口セパラブルフラスコにスチレン、酪酸ビニル(B1)、アクリル酸ダイマー(C2)を表4記載の仕込み量で仕込み、さらに、過酸化ベンゾイル0.7gを添加し混合溶解させた。リン酸三カルシウム3g、ラウリル硫酸ナトリウム0.3g、脱イオン水210gからなる水溶液を加え、撹拌・造粒を行い、造粒後、撹拌しながら80℃に加熱して6時間重合反応を行った後、90℃に加熱して4時間重合反応を行った。その後、ろ過、水洗、酸洗浄、水洗を実施し、乾燥して、CCR37を得た。得られたCCR37の酸価、Mw、Tg、摩擦帯電量をそれぞれ実施例19と同様にして測定した。結果を表5に示す。また、画像形成テストを実施例19と同様にして行い、CCR37を含有するシアントナーの画像評価、カブリを評価した。結果を表6に示す。
【0095】
〔実施例35〕
CCR38の製造
スチレン、ピバリン酸ビニル(B5)、フタル酸モノヒドロキシエチルメタクリレート(C4)を表4記載の仕込み量で仕込んだ他は実施例19と同様にして、CCR38を得た。得られたCCR38の酸価、Mw、Tg、摩擦帯電量をそれぞれ実施例19と同様にして測定した。結果を表5に示す。
【0096】
実施例19の画像テストにおいてフタロシアニンブルーをカーボンブラックに変えた他は実施例19と同様にして行い、CCR38を含有するブラックトナーの画像評価、カブリを評価した。結果を表6に示す。
【0097】
〔比較例4〕
CCR39の製造
スチレン、2−エチルヘキサン酸ビニル(B2)を表4記載の仕込み量で仕込んだ他は実施例19と同様にして、CCR39を得た。得られたCCR39のMw、Tg、摩擦帯電量をそれぞれ実施例19と同様にして測定した。結果を表5に示す。画像形成テストを実施例19と同様にして行い、CCR39を含有するシアントナーの画像評価、カブリを評価した。結果を表6に示す。
【0098】
〔比較例5〕
CCR40の製造
スチレン、コハク酸モノヒドロキシエチルメタクリレート(C3)を表4記載の仕込み量で仕込んだ他は実施例19と同様にして、CCR40を得た。得られたCCR40の酸価、Mw、Tg、摩擦帯電量をそれぞれ実施例19と同様にして測定した。結果を表5に示す。画像形成テストを実施例19と同様にして行い、CCR40を含有するシアントナーの画像評価、カブリを評価した。結果を表6に示す。
【0099】
【表4】
【0100】
【表5】
【0101】
【表6】
【発明の効果】
本発明によると、環境的に安定で、帯電性、分散性、着色性がよく、良好に帯電量を制御できる負荷電性制御樹脂を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】摩擦帯電量の測定に利用した装置の概略図である。
Claims (12)
- 少なくとも式(1)又は(2)で示されるビニルモノマー及びカルボキシル基を有するビニルモノマーを含有するモノマー組成物を共重合したビニル系共重合体からなることを特徴とする負荷電性制御樹脂。
- 該ビニル系共重合体が、式(1)又は(2)で示されるビニルモノマーに由来するモノマーユニットを0.5乃至20質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の負荷電性制御樹脂。
- 該ビニル系共重合体が、式(1)又は(2)で示されるビニルモノマーに由来するモノマーユニットを2乃至10質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の負荷電性制御樹脂。
- 該ビニル系共重合体が、式(3)又は式(4)で示されるビニルモノマーに由来するモノマーユニットを共重合成分として1乃至20質量%含有することを特徴とする請求項4に記載の負荷電性制御樹脂。
- 該ビニル系共重合体が、式(3)又は式(4)で示されるビニルモノマーに由来するモノマーユニットを共重合成分として3乃至10質量%含有することを特徴とする請求項4に記載の負荷電性制御樹脂。
- 該ビニル系共重合体の重量平均分子量(Mw)が、2000乃至20万であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の負荷電性制御樹脂。
- 該ビニル系共重合体の重量平均分子量(Mw)が、8000乃至5万であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の負荷電性制御樹脂。
- 該ビニル系共重合体のガラス転移温度(Tg)が、30乃至120℃であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の負荷電性制御樹脂。
- 該ビニル系共重合体のガラス転移温度(Tg)が、60乃至100℃であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の負荷電性制御樹脂。
- 該ビニル系共重合体が、1乃至70mgKOH/gの酸価を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の負荷電性制御樹脂。
- 該ビニル系共重合体が、10乃至40mgKOH/gの酸価を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の負荷電性制御樹脂。
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