JP2004190777A - 円筒ころ軸受のエアオイル潤滑構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】円筒ころ軸受1の内輪2の外径面に、この内輪2の転走面2a側が大径となる斜面部2bを設ける。この斜面部2bに隙間δを介して沿うノズル部材6を設ける。上記内輪2の斜面部2bには円周溝7を設け、上記ノズル部材6に上記円周溝7に対面して開口するエアオイルの吐出孔8を設ける。上記円筒ころ軸受1のころ4を保持する保持器5の幅面5bは、上記内輪2の斜面部2bの円周溝7における底部7bと内輪幅面2cとの間に位置させる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、工作機械の主軸等の高速回転の支持に使用される円筒ころ軸受のエアオイル潤滑構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
工作機械の主軸装置は、加工能率を上げるためますます高速化の傾向にある。このため、軸受の潤滑も、搬送エアに潤滑用オイルを混合して、内輪転走面に直接に噴きつけるエアオイル給油が増加しつつある。このようなエアオイル潤滑構造をアンギュラ玉軸受に適用した一例として、本出願人は、図5に示す構造のものを提案した(例えば特許文献1)。このエアオイル潤滑構造は、転がり軸受61の内輪62の外径面に、この内輪62の転走面62aに続く斜面部62bを設け、この斜面部62bに隙間δを持って沿うノズル部材66を設け、その斜面部62bに円周溝67を設ける。上記ノズル部材66には、上記斜面部62bに対面して開口するエアオイルの吐出孔68を設ける。
【0003】
このエアオイル潤滑構造によると、搬送エアに混合された潤滑油であるエアオイルは、ノズル部材66の吐出孔68から内輪62の円周溝67に吐出され、内輪62の斜面部62bとノズル部材66間の隙間δから、軸受運転時に生じる負圧吸引作用によって軸受内部へ導かれる。また、斜面部62bに付着した潤滑油の表面張力と、遠心力の斜面部62b大径側への分力により、軸受内部の転走面62aあるいは保持器65の内径面へ導かれる。この場合に、内輪62に設けられた円周溝67のため、吐出孔68から吐出されるエアオイルを全周に行き渡らせる作用が得られる。このため、エアオイルの吐出量が少量となって円周上でのエアの出方が不均一となっても、内輪斜面部62bに作用する遠心力のため、油の滞留がなく、安定して軸受内に潤滑油が供給できる。このように、転動体64の転走経路に直接にエアオイルを噴出せずに、風切り音による騒音を低下させると共に、搬送エア量の削減を可能にすると共に、少量エアにおける油の滞留による軸受温度の変動を防止することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−54643号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなエアオイル潤滑構造は、主にアンギュラ玉軸受の場合に適用されるが、円筒ころ軸受に適用した場合、次のようにアンギュラ玉軸受にはない特有の課題が生じる。
アンギュラ玉軸受は通常2列以上の複列で使用され、上記エアオイル潤滑構造では、ノズル部材66は、複列の軸受間に固定側部材として配置される。このため、組込み時に設定したノズル部材66の先端と内輪62の斜面部62bとの位置関係は、運転中ほとんど変化しない。すなわち、内外輪温度差、遠心力による内輪62の膨張等で起きる寸法変化は僅かであり、無視できる。
【0006】
これに対して円筒ころ軸受は、主として主軸リア側に自由側として配置され、フロント軸受を設置した後の誤差をリア側の円筒ころ軸受で調整するものとして使用される。このため、図6のように、円筒ころ軸受61Aに上記構成のエアオイル潤滑構造を適用した場合には、組込み時のノズル部材66の先端と内輪斜面部62bとの位置管理が、アンギュラ玉軸受の場合よりも難しく、図7(A),(B)のように位置関係のばらつきが大きくなり易い。
加えて、運転時の主軸とハウジングの温度差により、主軸はハウジングに比して伸びる量が大きく、リア側においてハウジングと一体の外輪63側に固定されるノズル部材66の先端と、主軸側である内輪斜面部62bとの位置関係はさらに変化し易い。
このため、円筒ころ軸受に上記構成のエアオイル潤滑構造を適用する場合は、アンギュラ玉軸受の場合よりも、軸方向の位置変化により厳しく対応するものでなければならない。すなわち、具体的には、運転時の主軸の伸縮、組立誤差による軸方向の変化等、軸方向の位置変化に対し、許容できる範囲を広く設定する必要がある。このような対策がなされないと、ノズル部材66の先端が円筒ころ軸受における保持器のノズル部材66に対向する幅面から外れた場合、ノズル部材66からのエアオイルの吐出は、保持器の幅面相当部に生じるエアカーテンの外側(保持器幅面の外側)から行われることになる。その結果、ノズル部材66の先端が保持器の幅内に位置する場合に比べて、潤滑油が保持器幅面の外側にも流れ易くなる。したがって、転動体側への潤滑油の供給量を低下させまいとすれば、余分な潤滑量を供給する必要が生じる。また、逆にノズル部材66の先端が保持器幅の中心側に近づきすぎると、ノズル部材66の外径部が保持器と干渉する危険がある。
【0007】
この発明の目的は、ノズル部材と内輪間の軸方向位置のずれに対する許容範囲が大きく得られ、主軸リア側等に使用される場合の運転時の軸の伸縮や、組立誤差を許容できて、内輪斜面部を利用したエアオイル潤滑を常に適正に行える円筒ころ軸受のエアオイル潤滑構造を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明の円筒ころ軸受のエアオイル潤滑構造は、円筒ころ軸受の内輪の外径面に、この内輪の転走面側が大径側となる斜面部を設け、この斜面部に隙間を介して沿うノズル部材を設け、上記内輪の斜面部に円周溝を設け、上記ノズル部材に上記円周溝に対面して開口するエアオイルの吐出孔を設け、上記円筒ころ軸受のころを保持する保持器の幅面を、上記内輪の斜面部の円周溝における底部と内輪幅面との間に位置させたものである。
この構成によると、保持器の幅面が内輪斜面部の円周溝底部と内輪幅面との間に位置するように、保持器幅を広く確保したため、ノズル部材と内輪斜面部の位置関係の軸方向変化に対して、許容範囲が広く確保される。例えば、上記ころ軸受が主軸のリア側等に使用されても、運転中の主軸の軸方向の伸びや、組立誤差等により上記位置関係が変化しても、ノズル部材の先端が保持器幅面から外れることがない。したがって、保持器の幅面に沿って生じるエアカーテンの内側に常にノズル部材の先端が位置し、ノズル部材からのエアオイルの噴射は、常に上記エアカーテンの内側で行われることになる。その結果、エアオイルが無駄に保持器幅面の外側に流れることが生じ難く、転動体側に流れ込み易くなる。このため、潤滑量の削減も可能となる。また、上記位置関係の変化によるノズル部材と保持器との干渉も生じ難くなる。
なお、上記の円周溝における底部は、溝深さが最も深くなる部位であるが、最も深い部位がある程度の幅を持つ場合は、例えばその幅の略中央と内輪幅面との間に保持器の幅面を位置させる。
【0009】
上記内輪の円周溝は断面がV字状であっても良い。円周溝を断面V字状とした場合は、ノズル部材の吐出孔から噴射されるエアオイルを内輪斜面部の円周溝に受け止め易くなる。
【0010】
この発明において、上記内輪の円周溝の深さsと、上記ノズル部材の上記吐出孔の径wとの関係を、
s>0.5w
としても良い。
このように構成した場合、ノズル部材の吐出孔から噴射されるエアオイルを確実に内輪斜面部の円周溝に受け止めることができ、潤滑油を軸受内部へより確実に供給できる。
【0011】
上記内輪の円周溝の幅tと、上記ノズル部材の上記吐出孔の径wとの関係は、
t>w
とすることが好ましい。
このように円周溝幅tを吐出孔径wよりも大きくすると、組立誤差や、運転時の主軸の伸び等により、ノズル部材の吐出孔と内輪斜面部の円周溝との軸方向の位置関係が変化しても、ノズル部材の吐出孔から噴射されるエアオイルを確実に内輪斜面部の円周溝に受け止めることができる。
このような伸びや誤差をより確実に吸収するためには、t>2wとすることが好ましい。
【0012】
この発明において、上記内輪の円周溝の断面をV字状とし、上記内輪の斜面部の軸受軸心に対する傾斜角度αと、上記ノズル部材の上記吐出孔の軸受軸心に対する傾斜角度βと、上記内輪の上記円周溝における大径側の溝側面が上記内輪の斜面部2bに対して成す傾斜角度γの関係を、
60°<α+β+γ<90°
とすることが好ましい。
この角度関係に設定すると、ノズル部材の吐出孔から噴射されるエアオイルが軸受外に拡散するのを防止でき、軸受内部に効率良くエアオイルを供給できる。すなわち、α+β+γが90°を超える場合、ノズル部材の吐出孔の延長方向と内輪斜面部の円周溝内面とが交差する狙い角度が鋭角となるため、エアオイルが内輪間座側に流れたり、エアオイルの拡散が生じたりして、運転温度が不安定になる。またエアオイルが円筒ころに効率良く到達せず、潤滑不足が生じる恐れがある。
α+β+γが60°未満の場合は、潤滑油が円周溝に付着することなく、ノズル部材の内径面から軸受内部に進み、円筒ころに効率良く到達しない。円周溝に潤滑油を確実に付着させるために、エア量を増やすと、エアが直接に円筒ころに進み、風切り音による騒音が発生することになる。
【0013】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施形態を図1ないし図3と共に説明する。円筒ころ軸受1は、内輪2と外輪3の転走面2a,3a間に複数の円筒ころ4を介在させたものである。各円筒ころ4はリング状の保持器5の円周方向複数箇所に設けられた各ポケット5a内に保持される。この円筒ころ軸受1の内輪2の外径面に、転走面2aに続く斜面部2bを設け、この斜面部2bに隙間δを持って沿うノズル部材6を設けている。内輪2は、両側に鍔部を有するものであり、斜面部2bは鍔部の外径面に設けられている。この斜面部2bは、内輪2の幅面から鍔部の転走面側の縁部近傍まで設けられている。外輪3は鍔無しのものである。なお、内輪2は鍔無しのものであっても良い。
【0014】
ノズル部材6は、その先端部6aaを保持器5の内径面と内輪2の外径面の間における円筒ころ4の近傍に位置させる。ノズル部材6はリング状の部材であって、円筒ころ軸受1に軸方向に隣接して設けられ、側面の内径部から軸方向に延びる円環状の鍔状部6aを有している。この鍔状部6aは、内径面が内輪2の斜面部2bと同一角度の傾斜面に形成されて、保持器5の直下まで延び、その先端がノズル部材6の前記先端部6aaとなる。ノズル部材6の鍔状部6aと内輪2の斜面部2bとの間の隙間δは、内輪2と軸との嵌合、および内輪2の温度上昇と遠心力による膨張とを考慮し、運転中に接触しない範囲で出来るだけ小さな寸法(例えば0.15〜0.65mmの範囲)に設定される。
【0015】
内輪2の斜面部2bには、断面がV字状の円周溝7が設けられている。この円周溝7に対して、保持器5の幅は、ノズル部材6側に向く幅面5bが、円周溝7における底部7bと、内輪2のノズル部材6側に向く幅面2cとの間に位置する幅に形成されている。
円周溝7は円周方向に延び、環状に形成されている。ノズル部材6には、内輪斜面部2bの円周溝7に対面して吐出口8aが開口する吐出孔8が設けられている。吐出孔8は、ノズル部材6の円周方向の1か所または複数箇所に設けられている。吐出孔8は、吐出したエアオイルが内輪斜面部2bの円周溝7に直接に吹き付け可能なように、吐出口8aの吐出方向を円周溝7に向け、かつ軸受軸心に対して吐出方向が傾斜角度βを持つように設けられている。
【0016】
ノズル部材6は、軸受1の外輪3を取付けたハウジング9に取付けられる。ノズル部材6のハウジング9への取付けは、外輪間座10を介して行っても、直接に行っても良い。図1の例は、外輪間座10を介して取付けた例であり、外輪間座10の一側面の内径部に形成した環状の切欠凹部10aに、ノズル部材6を嵌合状態に設けてある。ノズル部材6の軸受外の内径面は、内輪間座11に対して接触しない程度に近接している。
【0017】
ノズル部材6の吐出孔8は、その吐出口8aの近傍部8bが一般部よりも小径の絞り孔に形成されている。吐出孔8の入口は、ハウジング9からノズル部材6にわたって設けられたエアオイル供給路13に連通している。エアオイル供給路13は、ハウジング9にエアオイル供給口13aを有し、ハウジング9の内面にハウジング部出口13bを有している。ハウジング部出口13bは、外輪間座10の外径面に設けられた環状の連通溝13cに連通し、連通溝13cから、径方向に貫通した個別経路13dを介して、ノズル部材6の各吐出孔8に連通している。エアオイル供給口13aは、圧縮した搬送エアに潤滑油を混合させたエアオイルの供給源(図示せず)に接続されている。
ノズル部材6における吐出孔8の入口部の周囲には、円周溝を設けてOリング等のシール部材36を設け、外輪間座10とノズル部材6とをボルト等の締め付け具(図示せず)で締め付け固定することにより、エアオイル供給路13と吐出孔8との連通部からエアオイルが洩れることを防止している。
【0018】
各部の寸法関係および角度関係を説明する。内輪2の円周溝7の深さsと、ノズル部材6の吐出孔8の径wは、
s>0.5w
の関係となるように設定されている。
内輪2の円周溝7の幅tと、ノズル部材6の吐出孔8の径wは、
t>w
の関係となるように設定されている。
【0019】
内輪2の斜面部2bの軸受軸心に対する傾斜角度αと、上記ノズル部材6の上記吐出孔8の軸受軸心に対する傾斜角度βと、内輪2の断面V字状の円周溝7における大径側(転走面2a寄り)の溝側面7aが内輪2の斜面部2bに対して成す傾斜角度γとは、
60°<α+β+γ<90°
の関係となるように設定されている。
【0020】
図3は、図1の実施形態にかかるエアオイル潤滑構造を応用したスピンドル装置の一例を示す。このスピンドル装置は、工作機械に応用されるモータ内蔵のものであり、主軸15のフロント側端部(図の左側)に工具またはワークのチャックが取付けられる。主軸15のフロント側は複列(ここでは2列)のアンギュラ玉軸受21により、またリヤ側(図の右側)は1列の円筒ころ軸受1によりそれぞれ支持されている。
このリヤ側の円筒ころ軸受1に、図1の構成のエアオイル潤滑構造が採用されている。各軸受1,21の内輪2,22は主軸15の外径面に嵌合し、外輪3,23はハウジング9の内径面に嵌合している。上記フロント側の軸受(アンギュラ玉軸受21)とリア側の軸受(円筒ころ軸受1)との間に、主軸15の回転駆動源であるモータ16が配置されている。モータ16は、主軸15側に設けられたロータ16aと、ハウジング9側に設けられたステータ16bからなる。なお、アンギュラ玉軸受21も、円筒ころ軸受1とほぼ同じ構成のエアオイル潤滑構造で潤滑が行われるが、この図ではその潤滑構造を省略している。
【0021】
上記構成のエアオイル潤滑構造の作用を説明する。エアオイル供給口13aより供給されたエアオイルは、ノズル部材6の吐出孔8を経て内輪斜面部2bの円周溝7の溝側面7aに噴射される。円周溝7の溝側面7aに噴射されたエアオイルは、次の形態で軸受1の潤滑に寄与する。
▲1▼円周溝7の溝側面7aに付着した潤滑油は、その表面張力と、遠心力で生じる溝側面7a大径側への余力により、確実に内輪斜面部2bに導かれ軸受1の内部へ流入する。
▲2▼内輪斜面部2bの円周溝7に滞留するエアオイルは、内輪斜面部2bとノズル部材6の先端部6aaから円筒ころ4または保持器5の内径面に付着し、軸受各部の潤滑油として寄与する。
▲3▼供給エアが少量となって、円周溝7上で流れが不均一となった場合にも、内輪斜面部2bとノズル部材6の円環状鍔状部6a間の隙間δで生じる負圧吸引作用と遠心力とにより、エアオイルが軸受内部へ流入する。
【0022】
特に、このエアオイル潤滑構造では、主軸15のリア側を支持する円筒ころ軸受1において、保持器5のノズル部材6に対向する幅面5bを、図2(A)のように、内輪斜面部2bの円周溝7における底部7bと内輪幅面2cとの間に位置させているので、ノズル部材6の鍔状部6aと内輪斜面部2bの位置関係の軸方向への変化に対して、許容できる範囲が広く確保される。これにより、運転時の主軸15の伸縮(通常、0.5〜0.9mm)、組立誤差(0.1mm程度)等により、上記ノズル部材6の鍔状部6aと内輪斜面部2bとの位置関係が、例えば予め想定された図2(A)の位置関係から図2(B)のように軸方向に変化しても、保持器5の幅面5bに生じるエアカーテンの外側にノズル部材6の先端部6aaが外れてしまうことがない。このため、ノズル部材6の吐出孔8から円周溝7へ向けてのエアオイルの噴射が、常に上記エアカーテンの内側で行われることになる。その結果、エアオイルが無駄に保持器5の幅面5bの外側に流れることが生じ難く、略全て軸受内に供給され、確実な潤滑性能を発揮させることができる。したがって潤滑量の削減が可能となる。
【0023】
また、この実施形態では、内輪斜面部2bの円周溝7は断面V字状とされているので、ノズル部材6の吐出孔8から噴射されるエアオイルを内輪斜面部2bの円周溝7に受け止め易い。
【0024】
内輪2の円周溝7の深さsと、上記ノズル部材6の吐出孔8の径wは、
s>0.5w
の関係となるように設定されているが、そのためノズル部材6の吐出孔8から噴射されるエアオイルを確実に内輪斜面部2bの円周溝7に受け止めることができて、潤滑油を軸受内部へより確実に供給できる。
【0025】
内輪2の円周溝7の幅tと、ノズル部材6の吐出孔8の径wは、
t>w
の関係となるように設定されているので、組立誤差や、運転時の主軸の伸び等により、ノズル部材6の吐出口8aと内輪斜面部2bの円周溝7との軸方向の位置関係が変化しても、ノズル部材6の吐出孔8から噴射されるエアオイルを確実に内輪斜面部2bの円周溝7に受け止めることができ、この点からも潤滑油を軸受内部へより確実に供給できる。
【0026】
内輪2の斜面部2bの軸受軸心に対する傾斜角度αと、ノズル部材6における吐出孔8の軸受軸心に対する傾斜角度βと、内輪2の円周溝7における大径側の溝側面7aが内輪斜面部2bに対して成す傾斜角度γとは、
60°<α+β+γ<90°
の関係となるように設定されているので、ノズル部材6の吐出孔8から噴射されるエアオイルが軸受外に拡散するのを防止でき、軸受内部に効率良くエアオイルを供給できる。
すなわち、α+β+γが90°を超える場合、ノズル部材6の吐出孔8の延長方向と内輪斜面部2bの円周溝7とが交差する狙い角度が鋭角となり、エアオイルが内輪間座11側に流れたり、エアオイルの拡散が生じたりして、運転温度が不安定になったり、エアオイルが軸受1の円筒ころ4に効率良く到達せず、潤滑不足が生じるおそれがある。また、α+β+γが60°未満の場合、潤滑油が円周溝7に付着することなく、ノズル部材6の鍔状部6aの内径面から軸受内部に進み、円筒ころ4に効率良く到達しない。この場合、円周溝7に潤滑油を確実に付着させるために、エア量を増やすと、エアが直接、円筒ころ4に侵入するので、風切り音による騒音が発生することになる。したがって、
60°<α+β+γ<90°
の範囲が好ましい。
【0027】
なお、内輪斜面部2bの軸受軸心に対する傾斜角度αが45°を超える場合、エアオイルが円筒ころ4に効率良く到達せず、潤滑不足が生じる恐れがある。そのため、上記傾斜角度αは45°以下とするのが好ましい。
また、α<90°−β、とすることが好ましい。
【0028】
この発明とは異なるが、上記各寸法s,t,wの関係、および各角度α,β,γの関係は、上記斜面部2bを設ける軸受がアンギュラ玉軸受である場合にも好ましいものとなる。また、この発明とは異なるが、図4に示すように、保持器5の幅面5bをノズル部材6側に拡幅させた構成の円筒ころ軸受1は、ノズル部材6Aの吐出孔8Aから直接に、エアオイルを円筒ころ4に向けて噴射させる従来のエアオイル潤滑構造の場合にも好ましい。
【0029】
【発明の効果】
この発明の円筒ころ軸受のエアオイル潤滑構造は、円筒ころ軸受の内輪の外径面に、この内輪の転走面側が大径側となる斜面部を設け、この斜面部に隙間を介して沿うノズル部材を設け、上記内輪の斜面部に円周溝を設け、上記ノズル部材に上記円周溝に対面して開口するエアオイルの吐出口を設け、上記円筒ころ軸受のころを保持する保持器の幅面を、上記内輪の斜面部の円周溝における底部と内輪幅面との間に位置させたため、ノズル部材と内輪間の軸方向位置のずれに対する許容範囲が大きく得られる。このため、例えば主軸リア側に使用した場合でも、運転時の主軸の伸縮を許容し、また組立時の軸方向の誤差に対しても許容範囲が広がり、上記斜面部を利用したエアオイル潤滑の性能が確実に発揮される。その結果、潤滑油量の削減が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態にかかる円筒ころ軸受のエアオイル潤滑構造を示す断面図である。
【図2】同エアオイル潤滑構造におけるノズル部材円環状突部と内輪斜面部の円周溝との軸方向位置関係の変化を示す説明図である。
【図3】同エアオイル潤滑構造を採用したスピンドル装置の断面図である。
【図4】参考提案例にかかるエアオイル潤滑構造を示す断面図である。
【図5】(A)はアンギュラ玉軸受に用いたエアオイル潤滑構造の一例を示す断面図、(B)はその部分拡大図である。
【図6】円筒ころ軸受に用いたエアオイル潤滑構造の一例を示す断面図である。
【図7】同エアオイル潤滑構造におけるノズル部材円環状突部と内輪斜面部の円周溝との軸方向位置関係の変化を示す説明図である。
【符号の説明】
1…円筒ころ軸受
2…内輪
2a…転走面
2b…内輪斜面部
2c…内輪幅面
4…円筒ころ
5…保持器
5b…保持器幅面
6…ノズル部材
7…円周溝
7a…溝側面
7b…底部
8…吐出孔
δ…隙間
α…内輪斜面部の傾斜角度
β…ノズル部材の傾斜角度
γ…円周溝側面の傾斜角度
Claims (5)
- 円筒ころ軸受の内輪の外径面に、この内輪の転走面側が大径側となる斜面部を設け、この斜面部に隙間を介して沿うノズル部材を設け、上記内輪の斜面部に円周溝を設け、上記ノズル部材に上記円周溝に対面して開口するエアオイルの吐出孔を設け、上記円筒ころ軸受のころを保持する保持器の幅面を、上記内輪の斜面部の円周溝における底部と内輪幅面との間に位置させた円筒ころ軸受のエアオイル潤滑構造。
- 請求項1において、上記内輪の円周溝は断面がV字状である円筒ころ軸受のエアオイル潤滑構造。
- 請求項1または請求項2において、上記内輪の円周溝の深さsと、上記ノズル部材の上記吐出孔の径wとの関係が、
s>0.5w
である円筒ころ軸受のエアオイル潤構造。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかにおいて、上記内輪の円周溝の幅tと、上記ノズル部材の上記吐出孔の径wとの関係が、
t>w
である円筒ころ軸受のエアオイル潤滑構造。 - 請求項1ないし請求項4のいずれかにおいて、上記内輪の円周溝は断面がV字状であって、上記内輪の斜面部の軸受軸心に対する傾斜角度αと、上記ノズル部材の上記吐出孔の軸受軸心に対する傾斜角度βと、上記内輪の上記円周溝における大径側の溝側面が上記内輪の斜面部に対して成す傾斜角度γの関係を、
60°<α+β+γ<90°
とした円筒ころ軸受のエアオイル潤滑構造。
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DE102004018154B4 (de) * | 2003-04-15 | 2013-10-10 | Ntn Corp. | Zylinderrollenlager und Käfig für Zylinderrollenlager |
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