JP2008082497A - 転がり軸受の潤滑装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 軸受の冷却を兼ねた潤滑油供給が行え、かつ円筒ころ軸受等で、内輪と外輪が軸方向にずれても、潤滑油流入隙間が一定に保持され、潤滑油の安定した微量供給が行えて、攪拌抵抗が小さく、潤滑不足も防止できる転がり軸受の潤滑装置を提供する。
【解決手段】 円筒ころ軸受等の転がり軸受1の内輪2の端面に円周溝6を設け、この円周溝6内に潤滑油を吐出するノズル8を、転がり軸受1の外輪3に隣接する潤滑油導入部材7に設ける。内輪2の外径面には、端面から軌道面2a側に近づくに従って大径となる外径斜面2cを設ける。内輪間座21の端部に環状壁22を設け、この環状壁22の内径面に、内輪2の外径斜面2cとの間に潤滑油流入隙間δを形成する内径斜面22baを設ける。内輪間座21には、ノズル8から吐出される潤滑油を通過させる潤滑油通過開口23を設ける。
【選択図】 図2
【解決手段】 円筒ころ軸受等の転がり軸受1の内輪2の端面に円周溝6を設け、この円周溝6内に潤滑油を吐出するノズル8を、転がり軸受1の外輪3に隣接する潤滑油導入部材7に設ける。内輪2の外径面には、端面から軌道面2a側に近づくに従って大径となる外径斜面2cを設ける。内輪間座21の端部に環状壁22を設け、この環状壁22の内径面に、内輪2の外径斜面2cとの間に潤滑油流入隙間δを形成する内径斜面22baを設ける。内輪間座21には、ノズル8から吐出される潤滑油を通過させる潤滑油通過開口23を設ける。
【選択図】 図2
Description
この発明は、工作機械用主軸等の高速スピンドルの支持に用いられる転がり軸受の潤滑装置に関する。
工作機械主軸では加工能率を上げるため、ますます高速化の傾向にある。主軸の高速化に伴い主軸軸受の潤滑も搬送エアに潤滑油を混合して油をノズルより軸受内に噴射するエアオイル給油が多く用いられている。
一般的なエアオイル潤滑は、多量の高圧エアを必要とし、騒音も大きいため、低騒音・省エネ・省資源の目的から、改良型のエアオイル潤滑構造も提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に開示されたエアオイル潤滑構造は、転がり軸受の内輪の外径面に斜面部を設け、この斜面部に潤滑油流入隙間を持って沿うノズル部材を設けたものである。
一般的なエアオイル潤滑は、多量の高圧エアを必要とし、騒音も大きいため、低騒音・省エネ・省資源の目的から、改良型のエアオイル潤滑構造も提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に開示されたエアオイル潤滑構造は、転がり軸受の内輪の外径面に斜面部を設け、この斜面部に潤滑油流入隙間を持って沿うノズル部材を設けたものである。
エアオイル潤滑は、一般的なエアオイル潤滑に限らず、特許文献1に示されたような改良型のエアオイル潤滑構造でも、軸受の冷却作用が小さく、高速運転すると内外輪温度差が(内輪)>(外輪)のために予圧過大等を生じさせる欠点がある。
軸受の温度上昇を小さく抑える潤滑方法としては、多量の油を軸受内に噴射し、軸受の潤滑と冷却を同時に行うジェット潤滑があるが、軸受内に入った油による攪拌抵抗により動力損失が大きくなる欠点がある。
このため、ジェット潤滑により発熱を低減し、かつ軸受内部に入る潤滑油量を制限することにより、油による攪拌抵抗を小さくした新しいジェット潤滑構造も提案されている(例えば、特許文献2)。
特許文献2などに開示される新ジェット潤滑構造は、外輪側間座等からなる潤滑油導入部材から吐出した潤滑油を、内輪端面に設けた円周溝で受けて内輪の発熱を冷却するものである。冷却後の潤滑油は、大部分が軸受外に排出されるが、少量は軸受潤滑用として潤滑油導入部材と内輪の外径斜面との間に設けた潤滑油流入隙間から、内輪の軌道面に流入する。これにより、軸受内部には少量の潤滑油しか入らず、攪拌抵抗が小さくなり、主軸の駆動トルクも小さくなる。
特開2002−61657号公報
特開2005−180703号公報
しかし、特許文献2などに開示された新ジェット潤滑構造においても、次のような課題がある。すなわち、工作機械主軸用軸受では、主軸の運転中の熱膨張による軸方向の伸びにより、外輪と内輪の軸方向位置にずれが生じる。特に、円筒ころ軸受は、主軸の熱膨張による伸びを許容させる側の支持に用いられており、玉軸受に比べて、工作機械主軸の熱膨張による軸方向伸びによる内輪と外輪間の位置の変化が大きい。
そのため、例えば図16に示すように、円筒ころ軸受に適用した場合、内輪2と外輪3の位置関係が変化すると、外輪間座からなる潤滑油導入部材7Dに設けた鍔状突起7Daと内輪外径斜面2cとの間で形成される潤滑油流入隙間δが変化する。
隙間δが大きくなった場合は、軸受内に流入する潤滑油が増えるため、攪拌抵抗が大きくなり、主軸の駆動トルクも大きくなる。これとは逆に、隙間δが小さくなった場合は、軸受内に流入する潤滑油が少なくなり、潤滑不足になるか、または隙間δが無くなって外輪間座からなる潤滑油導入部材7Dの鍔状突起7Daと内輪外径斜面部2cが接触し、何れも軸受の適正な回転が行えなくなる。
隙間δが大きくなった場合は、軸受内に流入する潤滑油が増えるため、攪拌抵抗が大きくなり、主軸の駆動トルクも大きくなる。これとは逆に、隙間δが小さくなった場合は、軸受内に流入する潤滑油が少なくなり、潤滑不足になるか、または隙間δが無くなって外輪間座からなる潤滑油導入部材7Dの鍔状突起7Daと内輪外径斜面部2cが接触し、何れも軸受の適正な回転が行えなくなる。
この発明の目的は、軸受の冷却を兼ねた潤滑油供給が行え、かつ内輪と外輪が軸方向にずれても、潤滑油流入隙間が一定に保持されて、潤滑油の安定した微量供給が行え、これにより攪拌抵抗を小さく、軸駆動トルクを小さくでき、潤滑不足も防止できる転がり軸受の潤滑装置を提供することである。
この発明の転がり軸受の潤滑装置は、転がり軸受の内輪の端面に円周溝を設け、この円周溝内に潤滑油を吐出するノズルを、前記転がり軸受の外輪に隣接する潤滑油導入部材に設け、前記内輪の軌道面よりも潤滑油導入部材側の外径面に、端面から軌道面に近づくに従って大径となる外径斜面を設け、この外径斜面に潤滑油流入隙間を介して対向する内径斜面を有する環状壁を、前記内輪に隣接する内輪間座に設け、前記環状壁に、前記ノズルから吐出される潤滑油を通過させる潤滑油通過開口を設けたものである。前記転がり軸受は、内輪鍔付きの円筒ころ軸受であっても良く、その場合に、前記内輪の前記外径斜面を、前記内輪の鍔の外径面に設けても良い。
この構成によると、潤滑油導入部材のノズルから内輪の円周溝に向けて潤滑油が噴出され、この噴射された潤滑油は、内輪間座の環状壁に設けられた潤滑油通過開口を通過して内輪の円周溝に至る。内輪の円周溝で受け止められた潤滑油は内輪冷却用として使用されて、遠心力で円周溝の外径側に放出される。そのため、高速運転により軸受の発熱が多くても、十分な冷却効果が得られる。放出された潤滑油の一部は、内輪の外径斜面と内輪間座の内径斜面間の潤滑油流入隙間から、軸受内へと導かれ軸受潤滑用として使用される。軸受の潤滑としては、攪拌抵抗による発熱やトルク増を考慮すると、必要最小限の油量が好ましく、冷却後の潤滑油を軸受内に導入するためには、少量に絞った油量で十分である。潤滑用に流入する潤滑油は、内輪の外径斜面と内輪間座の内径斜面の間に形成される潤滑油流入隙間を経て軸受内に導かれるので、潤滑油流入隙間の大きさ等を適宜設計することで、軸受内へ流入する潤滑油の量を容易に制限できる。
特に、この発明の潤滑装置は、内輪の外径斜面に対向して潤滑油流入隙間を形成する内径斜面を内輪間座に設けたため、転がり軸受で支持される主軸に熱膨張による軸方向の伸びが発生しても、内輪と内輪間座は一緒に軸方向に移動する。そのため、内輪と外輪の位置が変化する軸受、例えば円筒ころ軸受であっても、内輪の外径斜面と内輪間座の環状壁の内径斜面の間に形成される潤滑油流入隙間が一定に保たれ、軸受内へ流入する潤滑油の量を確実に一定量に制限できる。このため、攪拌抵抗が小さくて発熱が抑制され、攪拌抵抗の減少から軸駆動トルクも小さくできる。また、潤滑油流入隙間が小さくなり過ぎることによる潤滑不足も防止できる。このように、ジェット潤滑でかつ軸受内への微量給油が可能であるため、超高速回転ができる。
特に、この発明の潤滑装置は、内輪の外径斜面に対向して潤滑油流入隙間を形成する内径斜面を内輪間座に設けたため、転がり軸受で支持される主軸に熱膨張による軸方向の伸びが発生しても、内輪と内輪間座は一緒に軸方向に移動する。そのため、内輪と外輪の位置が変化する軸受、例えば円筒ころ軸受であっても、内輪の外径斜面と内輪間座の環状壁の内径斜面の間に形成される潤滑油流入隙間が一定に保たれ、軸受内へ流入する潤滑油の量を確実に一定量に制限できる。このため、攪拌抵抗が小さくて発熱が抑制され、攪拌抵抗の減少から軸駆動トルクも小さくできる。また、潤滑油流入隙間が小さくなり過ぎることによる潤滑不足も防止できる。このように、ジェット潤滑でかつ軸受内への微量給油が可能であるため、超高速回転ができる。
この発明において、前記内輪間座の前記環状壁が、前記内輪間座の端部から立ち上がる立壁部と、この立壁部の外径側端から内輪側へ延びる円筒状部とでなり、前記環状壁の前記潤滑油通過開口は、前記立壁部の円周方向の複数箇所に設け、前記環状壁の円周方向に隣合う潤滑油通過開口間の部分である柱部の肉厚を、前記立壁部の他の部分の肉厚よりも薄くしたものとしても良い。
内輪間座は、静止側のノズルに対して回転側となるため、内輪間座の環状壁における隣合う潤滑油通過開口間の柱部は、ノズルから吐出された潤滑油と当たって騒音の原因となる。しかし、柱部の肉厚を薄くすることで、吐出される潤滑油と当たることによる騒音が低減される。
内輪間座は、静止側のノズルに対して回転側となるため、内輪間座の環状壁における隣合う潤滑油通過開口間の柱部は、ノズルから吐出された潤滑油と当たって騒音の原因となる。しかし、柱部の肉厚を薄くすることで、吐出される潤滑油と当たることによる騒音が低減される。
この発明において、前記転がり軸受が、工作機械の主軸軸受として用いられるものであっても良い。工作機械の主軸は、加工能率を上げるために高速化の傾向にあり、その一方で、主軸の熱膨張は、加工精度の向上のために防止することが重要となる。そのため、この発明における軸受の冷却を兼ねた潤滑油供給が行え、かつ潤滑油の安定した微量供給が行えるという効果が有効に発揮される。
この発明の転がり軸受の軸受装置は、転がり軸受の内輪の端面に円周溝を設け、この円周溝内に潤滑油を吐出するノズルを、前記転がり軸受の外輪に隣接する潤滑油導入部材に設け、前記内輪の軌道面よりも前記転がり軸受の内輪に隣接する潤滑油導入部材側の外径面に、端面から軌道面に近づくに従って大径となる外径斜面を設け、この外径斜面に隙間を介して対向する内径斜面を有する環状壁を、前記内輪に隣接する内輪間座に設け、前記環状壁に、前記ノズルから吐出される潤滑油を通過させる潤滑油通過開口を設けたため、軸受の冷却を兼ねた潤滑油供給が行え、かつ内輪と外輪が軸方向にずれても、潤滑油流入隙間が一定に保持され、潤滑油の安定した微量供給が行えて、攪拌抵抗が小さく、軸駆動トルクを小さくでき、潤滑不足も防止できという効果が得られる。
特に、転がり軸受が円筒ころ軸受の場合は、内輪と外輪が軸方向に大きくずれることがあるが、このような場合にも、潤滑油流入隙間が一定に保持され、潤滑油の安定した微量供給が確保できる。
特に、転がり軸受が円筒ころ軸受の場合は、内輪と外輪が軸方向に大きくずれることがあるが、このような場合にも、潤滑油流入隙間が一定に保持され、潤滑油の安定した微量供給が確保できる。
この発明の第1の実施形態を図1ないし図3と共に説明する。図1はこの実施形態の転がり軸受の潤滑装置の断面図を示す。この転がり軸受の潤滑装置は、潤滑油導入部材7から転がり軸受1に向けて多量の潤滑油をジェット噴射し、軸受の潤滑と冷却を同時に行うものである。転がり軸受1は、工作機械の主軸軸受として用いられるものであって、図2に拡大して示すように、内輪2と、外輪3と、これら内外輪2,3の軌道面2a,3a間に介在させた転動体である複数の円筒ころ4とを有する円筒ころ軸受である。これら円筒ころ4は、環状の保持器5により、円周方向に所定間隔を隔てて、この保持器5に設けられた各ポケット5c内で保持されている。外輪3は鍔無しであり、図示しない軸受箱内に固定される。
内輪2は、軌道面2aの両側に鍔2b,2bを有する鍔付き内輪であり、主軸25の外径面に嵌合する。内輪2の一端面には円周溝6が設けられる。この円周溝6は、内輪2の端面から外径面にわたって形成される。内輪2の外径面には、端面から軌道面2a側に近づくに従って大径となる外径斜面2cが設けられている。具体的には、前記外径斜面2cは、内輪2の鍔2bの外径面に設けられる。この外径斜面2cは、鍔2bの外径面のうちの、内輪端面側は端縁まで、鍔内面側は円筒面部分が端部に残る範囲で設けられている。内輪2の円周溝6を有する端面側は内輪間座21により位置決めされる。
潤滑油導入部材7は、転がり軸受1の内輪2の円周溝6が設けられた端面側で外輪3に隣接して配置される外輪位置決め間座であって、軸受箱内に固定される。潤滑油導入部材7には、放出潤滑油規制部材15が組み合わせてある。
潤滑油導入部材7には、転がり軸受1の内輪2の円周溝6に潤滑油を吐出するノズル8と、潤滑油導入部材7の外径面から内径側に向けて延び前記ノズル8に連通する給油路9とが形成されている。ノズル8は、その吐出口が軸心側に向く傾斜角度とされている。この実施形態では、ノズル8の傾斜角に合わせて、内輪2の円周溝6も傾斜させてあるが、円周溝6は内輪2の端面に対して垂直な溝としても良い。
潤滑油導入部材7には、転がり軸受1の内輪2の円周溝6に潤滑油を吐出するノズル8と、潤滑油導入部材7の外径面から内径側に向けて延び前記ノズル8に連通する給油路9とが形成されている。ノズル8は、その吐出口が軸心側に向く傾斜角度とされている。この実施形態では、ノズル8の傾斜角に合わせて、内輪2の円周溝6も傾斜させてあるが、円周溝6は内輪2の端面に対して垂直な溝としても良い。
潤滑油導入部材7のノズル8は、図3(A),(B)に断面図および正面図で示すように、潤滑油導入部材7の円周方向の等配位置に複数個(ここでは3個)が分配して設けられている。潤滑油導入部材7は、環状本体7aと、この環状本体7aの円周方向の等配位置で内径側に突出した複数のノズル形成突部7bとでなり、各ノズル形成突部7bに前記ノズル8が設けられている。前記給油路9は、環状本体7aの外径面に設けられた給油路環状溝部9aと、この給油路環状溝部9aの底面から各ノズル形成突部7bの周方向位置で内径側に延びる給油路個別孔部9bとでなる。給油路個別孔部9bの先端にノズル8が連通する。
潤滑油導入部材7の円周方向の1カ所には、転がり軸受1の内部に供給された潤滑油を外部に排出する排油口10が設けられている。排油口10は、潤滑油導入部材7の環状本体7aの端部に設けられた切欠状部とされているが、環状本体7aの幅方向の中間に位置する貫通孔として形成しても良い。
図2において、放出潤滑油規制部材15は、潤滑油導入部材7のノズル8から吐出された外径側に放出された潤滑油が飛散することを規制する部材であり、転がり軸受1側に開口した断面溝形のリング部材とされている。潤滑油導入部材7のノズル形成突部7bは環状本体7aにおける軸受側に偏った位置に設けられており、放出潤滑油規制部材15は、環状本体7aにおけるノズル形成突部7bの背面に隣接して、環状本体7aの内径面に嵌合状態に取付けられている。
内輪間座21は、内輪2の外径斜面2cの外周に延びる環状壁22を有し、この環状壁22の先端の内径面が、内輪2の外径斜面2cに対して潤滑油流入隙間δを介して対向する内径斜面22baに形成されている。この内径斜面22baは、内輪2の外径斜面2cと平行であり、潤滑油流入隙間δは軸方向の各部の隙間寸法が一定とされている。
前記環状壁22は、内輪間座21の端部から立ち上がる立壁部22aと、この立壁部22acの外径側端から内輪側へ延びる円筒状部22bとでなり、この円筒状部22bの先端の内径面が上記内径斜面22baとなる。
前記環状壁22は、内輪間座21の端部から立ち上がる立壁部22aと、この立壁部22acの外径側端から内輪側へ延びる円筒状部22bとでなり、この円筒状部22bの先端の内径面が上記内径斜面22baとなる。
環状壁22は、内輪2の端面の環状溝6を覆っており、立壁部22aの円周方向の複数箇所に等間隔で潤滑油通過開口23が設けられている。立壁部22におけるノズル8側に向く側面は傾斜面に形成されている。
潤滑油通過開口23は、図2(B)に示すように、円周方向に延びるスリット状に形成され、立壁部22aにおける隣合う潤滑油通過開口23間の部分である柱部22aaは、潤滑油通過開口23の円周方向幅に対して十分に狭く形成されている。潤滑油通過開口23の円周方向長さは、強度面で支障のない範囲で適宜長くしても良く、例えば図4のように、図2(B)の例よりも長く形成しても良い。
潤滑油通過開口23は、図2(B)に示すように、円周方向に延びるスリット状に形成され、立壁部22aにおける隣合う潤滑油通過開口23間の部分である柱部22aaは、潤滑油通過開口23の円周方向幅に対して十分に狭く形成されている。潤滑油通過開口23の円周方向長さは、強度面で支障のない範囲で適宜長くしても良く、例えば図4のように、図2(B)の例よりも長く形成しても良い。
この構成の転がり軸受の潤滑装置によると、潤滑油導入部材7の外径側から給油路9を経て導入された冷却媒体兼用の潤滑油が、ノズル8から内輪2の円周溝6に向けて噴出される。この噴射された潤滑油は、内輪間座21の環状壁22に設けられた潤滑油通過開口23を通過して内輪2の円周溝6に至る。内輪2の円周溝6で受け止められた潤滑油は内輪冷却用に使用され、遠心力で円周溝6の外径側に放出される。放出された潤滑油は、内輪間座21の環状壁22に設けられた潤滑油通過開口23から環状壁22の外部に逃げる。ノズル8は、円周方向の2〜3箇所に局部的に設けられたものであり、環状壁22の立壁部22aにおける円周方向の大部分の範囲は潤滑油通過開口23となっていて、内輪2の円周溝6から放出された潤滑油は、その大部分が潤滑油通過開口23から環状壁22の外部に逃げる。環状壁22の外部に放出された大部分の潤滑油は、排出油として潤滑油導入部材7の排油口10から外部へと排出される。図1には、潤滑油の流れを矢印で示している。
転がり軸受1では、転動体である円筒ころ4の直下で発熱が大きいが、円周溝6の形成によって熱源に近い位置で潤滑油により冷却されることになるため、冷却効果が向上する。このため、冷却効果の向上の観点からは、内輪2の円周溝6は深く形成して熱源に近づけるのが好ましい。
環状溝6から放出された潤滑油の一部は、環状壁22の内径斜面22baと内輪2の外径斜面2cとの間の潤滑油流入隙間δから軸受内へと導かれ、軸受潤滑用として使用された後に外部へと排出される。このとき、潤滑油流入隙間δ内の潤滑油は、潤滑油流入隙間δを出た後も、内輪2の外径斜面2cに沿って、内輪2の回転に伴う遠心力と表面張力とにより、軸受内へ送られる。潤滑油は円周溝6の外径側へ放出され、軸受内への過剰流入が防止される。
軸受潤滑に使用する潤滑油量は、攪拌抵抗を考慮すると必要最小限の油量とするのが好ましく、冷却に使用した後の潤滑油を少量に絞ったものを軸受内に導入すれば十分である。そこで、この実施形態では、上記潤滑油流入隙間δを適宜小さく設定することで、円周溝6から放出された潤滑油が軸受内に入り難くしている。そのため、必要最小限の潤滑油しか軸受内に入らず軸受の攪拌抵抗を小さくすることができ、これにより主軸25の駆動トルクを小さくすることができる。
上記のように、潤滑油流入隙間δの大きさは、軸受内の潤滑油の流入量に影響し、隙間寸法が変動すると、軸受内への潤滑油の安定した流入が行えなくなる。
高速運転時の主軸25に熱膨張による軸方向の伸びが発生した場合、円筒ころ軸受では内輪2と外輪3の軸方向位置がずれるため、このずれによって上記潤滑油流入隙間δが変動する構成であると、安定した潤滑が行えない。しかし、この実施形態では、内輪間座21に潤滑油流入隙間δを形成する内径斜面22baを形成しており、高速運転時の主軸25に熱膨張による軸方向の伸びが発生しても、内輪間座21と内輪2は一緒に軸方向へ移動する。このため、内輪間座21の内径斜面22baと内輪2の外径斜面2cとの間に形成される潤滑油流入隙間δは一定に保たれ、軸受内へ流入する潤滑油の量を確実に一定量に制限することができる。
このように、ジェット潤滑でかつ軸受内への微量給油が可能であるため、超高速回転が可能となる。
高速運転時の主軸25に熱膨張による軸方向の伸びが発生した場合、円筒ころ軸受では内輪2と外輪3の軸方向位置がずれるため、このずれによって上記潤滑油流入隙間δが変動する構成であると、安定した潤滑が行えない。しかし、この実施形態では、内輪間座21に潤滑油流入隙間δを形成する内径斜面22baを形成しており、高速運転時の主軸25に熱膨張による軸方向の伸びが発生しても、内輪間座21と内輪2は一緒に軸方向へ移動する。このため、内輪間座21の内径斜面22baと内輪2の外径斜面2cとの間に形成される潤滑油流入隙間δは一定に保たれ、軸受内へ流入する潤滑油の量を確実に一定量に制限することができる。
このように、ジェット潤滑でかつ軸受内への微量給油が可能であるため、超高速回転が可能となる。
図5は、この発明の他の実施形態を示す。この実施形態は、図1ないし図3に示す第1の実施形態において、環状壁22の円周方向に隣合う潤滑油通過開口23間の部分である柱部22aaの肉厚を、前記立壁部22aの他の部分の肉厚よりも薄くしたものである。 内輪間座21は、静止側のノズル8に対して回転側となるため、内輪間座21の環状壁22における隣合う潤滑油通過開口23間の柱部22aaは、ノズル8から吐出された潤滑油と当たって騒音の原因となる。しかし、柱部22aaの肉厚を薄くすることで、吐出される潤滑油と当たることによる騒音が低減される。この実施形態におけるその他の構成,効果は、第1の実施形態と同様である。
図6は、この発明におけるさらに他の実施形態を示す。この実施形態は図1の実施形態における内輪2の両端面に円周溝6を設けると共に、外輪3の軸方向の両側に隣接して潤滑油導入部材7をそれぞれ設けている。また、内輪2の軌道面2aを挟む両側に外径斜面2cを設け、両側の内輪間座21に、内輪2の外径斜面2cに微小な潤滑油流入隙間δを介して対向する内径斜面22baを有する環状壁22を設けている。その他の構成は図1の実施形態の場合と同様である。
このように、転がり軸受1の両側に潤滑油導入部材7を配置して、転がり軸受1の両側から潤滑油を供給することで、より均一に内輪2を冷却できる。また、この場合、転がり軸受1を挟んで左右に配置される両側の潤滑油導入部材7,7のノズル8の円周方向の配置位相を、互いに異ならせると、より良好な潤滑状態および冷却効果が得られる。両側から潤滑油を供給する場合、滑り接触面となって潤滑不足の生じ易い鍔内面と円筒ころ4との接触面を良好に潤滑できるという効果も得られる。
このように、転がり軸受1の両側に潤滑油導入部材7を配置して、転がり軸受1の両側から潤滑油を供給することで、より均一に内輪2を冷却できる。また、この場合、転がり軸受1を挟んで左右に配置される両側の潤滑油導入部材7,7のノズル8の円周方向の配置位相を、互いに異ならせると、より良好な潤滑状態および冷却効果が得られる。両側から潤滑油を供給する場合、滑り接触面となって潤滑不足の生じ易い鍔内面と円筒ころ4との接触面を良好に潤滑できるという効果も得られる。
図7は、この発明のさらに他の実施形態(第4の実施形態)を示す。この実施形態は図6に示す両側に潤滑油導入部材7を設けた実施形態において、内輪2の片方(図の右側)の外径面は外径斜面とせず、また内輪間座21に環状壁22を設けず、片方からは冷却だけとして潤滑油の軸受内への導入を行わないようにしている。その他の構成は図6の実施形態と同様である。
このように構成した場合も内輪2を均一に冷却できるが、内輪2の一端面側の円周溝6に噴出された潤滑油だけが軸受内に導入されるので、転がり軸受1の左右に潤滑油導入部材7,7を配置した構成であっても、軸受内へ導入される潤滑油の油量は増大しない。そのため微量供給が行い易い。
このように構成した場合も内輪2を均一に冷却できるが、内輪2の一端面側の円周溝6に噴出された潤滑油だけが軸受内に導入されるので、転がり軸受1の左右に潤滑油導入部材7,7を配置した構成であっても、軸受内へ導入される潤滑油の油量は増大しない。そのため微量供給が行い易い。
図8ないし図10は、この発明のさらに他の実施形態(第5の実施形態)を示す。この実施形態は、図1〜図3に示す第1の実施形態において、内輪間座21の環状壁22を、その先端が円筒ころ4の付近、つまり鍔の円筒ころ4と接する内側面の軸方向位置まで延びる形状としたものである。
図11〜図14に示す各実施形態も、それぞれ、第5の実施形態と同じく、内輪間座21の環状壁22を、その先端が円筒ころ4の付近まで延びる形状としたものである。
図11〜図14に示す各実施形態も、それぞれ、第5の実施形態と同じく、内輪間座21の環状壁22を、その先端が円筒ころ4の付近まで延びる形状としたものである。
図8ないし図10につき、その全体を説明する。この転がり軸受の潤滑装置は、潤滑油導入部材7から転がり軸受1に向けて多量の潤滑油をジェット噴射し、軸受の潤滑と冷却を同時に行うものである。転がり軸受1は、工作機械の主軸軸受として用いられるものであって、図9に拡大して示すように、内輪2と、外輪3と、これら内外輪2,3の軌道面2a,3a間に介在させた転動体である複数の円筒ころ4とを有する円筒ころ軸受である。これら円筒ころ4は、環状の保持器5により、円周方向に所定間隔を隔てて、この保持器5に設けられた各ポケット5c内で保持されている。外輪3は鍔無しであり、図示しない軸受箱内に固定される。
内輪2は、軌道面2aの両側に鍔2b,2bを有する鍔付き内輪であり、主軸25の外径面に嵌合する。内輪2の一端面には円周溝6が設けられる。この円周溝6は、内輪2の端面から外径面にわたって形成される。内輪2の外径面には、端面から軌道面2a側に近づくに従って大径となる外径斜面2cが設けられている。具体的には、前記外径斜面2cは、内輪2の鍔2bの外径面に設けられる。この外径斜面2cは、鍔2bの外径面のうちの、内輪端面側は端縁まで、鍔内面側は円筒面部分が端部に残る範囲で設けられている。内輪2の円周溝6を有する端面側は内輪間座21により位置決めされる。
潤滑油導入部材7は、転がり軸受1の内輪2の円周溝6が設けられた端面側で外輪3に隣接して配置される外輪位置決め間座であって、軸受箱内に固定される。潤滑油導入部材7には、放出潤滑油規制部材15が組み合わせてある。
潤滑油導入部材7には、転がり軸受1の内輪2の円周溝6に潤滑油を吐出するノズル8と、潤滑油導入部材7の外径面から内径側に向けて延び前記ノズル8に連通する給油路9とが形成されている。ノズル8は、その吐出口が軸心側に向く傾斜角度とされている。この実施形態では、ノズル8の傾斜角に合わせて、内輪2の円周溝6も傾斜させてあるが、円周溝6は内輪2の端面に対して垂直な溝としても良い。
潤滑油導入部材7には、転がり軸受1の内輪2の円周溝6に潤滑油を吐出するノズル8と、潤滑油導入部材7の外径面から内径側に向けて延び前記ノズル8に連通する給油路9とが形成されている。ノズル8は、その吐出口が軸心側に向く傾斜角度とされている。この実施形態では、ノズル8の傾斜角に合わせて、内輪2の円周溝6も傾斜させてあるが、円周溝6は内輪2の端面に対して垂直な溝としても良い。
潤滑油導入部材7のノズル8は、図10(A),(B)に断面図および正面図で示すように、潤滑油導入部材7の円周方向の等配位置に複数個(ここでは3個)が分配して設けられている。潤滑油導入部材7は、環状本体7aと、この環状本体7aの円周方向の等配位置で内径側に突出した複数のノズル形成突部7bとでなり、各ノズル形成突部7bに前記ノズル8が設けられている。前記給油路9は、環状本体7aの外径面に設けられた給油路環状溝部9aと、この給油路環状溝部9aの底面から各ノズル形成突部7bの周方向位置で内径側に延びる給油路個別孔部9bとでなる。給油路個別孔部9bの先端にノズル8が連通する。
潤滑油導入部材7の円周方向の1カ所には、転がり軸受1の内部に供給された潤滑油を外部に排出する排油口10が設けられている。排油口10は、潤滑油導入部材7の環状本体7aの端部に設けられた切欠状部とされているが、環状本体7aの幅方向の中間に位置する貫通孔として形成しても良い。
図9において、放出潤滑油規制部材15は、潤滑油導入部材7のノズル8から吐出された外径側に放出された潤滑油が飛散することを規制する部材であり、転がり軸受1側に開口した断面溝形のリング部材とされている。潤滑油導入部材7のノズル形成突部7bは環状本体7aにおける軸受側に偏った位置に設けられており、放出潤滑油規制部材15は、環状本体7aにおけるノズル形成突部7bの背面に隣接して、環状本体7aの内径面に嵌合状態に取付けられている。
内輪間座21は、内輪2の外径斜面2cの外周に延びる環状壁22を有し、この環状壁22の内径面が、内輪2の外径斜面2cに対して潤滑油流入隙間δを介して対向する内径斜面22baに形成されている。この内径斜面22baは、内輪2の外径斜面2cと平行であり、潤滑油流入隙間δは軸方向の各部の隙間寸法が一定とされている。
環状壁22は、その先端が円筒ころ4の付近、つまり鍔の円筒ころ4と接する内側面の軸方向位置まで延びていて、先端付近の内径面は、内輪2の鍔の円筒状面と平行となる円筒状面とされ、前記潤滑油流入隙間δは、この対向する円筒状面の間の部分まで、略一定の隙間寸法とされている。
前記環状壁22は、内輪間座21の端部から立ち上がる立壁部22aと、この立壁部22cの外径側端から内輪側へ延びる円筒状部22bとでなり、この円筒状部22bの先端の内径面が上記内径斜面22baとなる。
環状壁22は、その先端が円筒ころ4の付近、つまり鍔の円筒ころ4と接する内側面の軸方向位置まで延びていて、先端付近の内径面は、内輪2の鍔の円筒状面と平行となる円筒状面とされ、前記潤滑油流入隙間δは、この対向する円筒状面の間の部分まで、略一定の隙間寸法とされている。
前記環状壁22は、内輪間座21の端部から立ち上がる立壁部22aと、この立壁部22cの外径側端から内輪側へ延びる円筒状部22bとでなり、この円筒状部22bの先端の内径面が上記内径斜面22baとなる。
環状壁22は、内輪2の端面の環状溝6を覆っており、立壁部22aの円周方向の複数箇所に等間隔で潤滑油通過開口23が設けられている。立壁部22におけるノズル8側に向く側面は傾斜面に形成されている。
潤滑油通過開口23は、図9(B)に示すように、円周方向に延びるスリット状に形成され、立壁部22aにおける隣合う潤滑油通過開口23間の部分である柱部22aaは、潤滑油通過開口23の円周方向幅に対して十分に狭く形成されている。潤滑油通過開口23の円周方向長さは、強度面で支障のない範囲で適宜長くしても良く、例えば図11の実施形態(第6の実施形態)のように、図9(B)の例よりも長く形成しても良い。
潤滑油通過開口23は、図9(B)に示すように、円周方向に延びるスリット状に形成され、立壁部22aにおける隣合う潤滑油通過開口23間の部分である柱部22aaは、潤滑油通過開口23の円周方向幅に対して十分に狭く形成されている。潤滑油通過開口23の円周方向長さは、強度面で支障のない範囲で適宜長くしても良く、例えば図11の実施形態(第6の実施形態)のように、図9(B)の例よりも長く形成しても良い。
この構成の転がり軸受の潤滑装置によると、潤滑油導入部材7の外径側から給油路9を経て導入された冷却媒体兼用の潤滑油が、ノズル8から内輪2の円周溝6に向けて噴出される。この噴射された潤滑油は、内輪間座21の環状壁22に設けられた潤滑油通過開口23を通過して内輪2の円周溝6に至る。内輪2の円周溝6で受け止められた潤滑油は内輪冷却用に使用され、遠心力で円周溝6の外径側に放出される。放出された潤滑油は、内輪間座21の環状壁22に設けられた潤滑油通過開口23から環状壁22の外部に逃げる。ノズル8は、円周方向の2〜3箇所に局部的に設けられたものであり、環状壁22の立壁部22aにおける円周方向の大部分の範囲は潤滑油通過開口23となっていて、内輪2の円周溝6から放出された潤滑油は、その大部分が潤滑油通過開口23から環状壁22の外部に逃げる。環状壁22の外部に放出された大部分の潤滑油は、排出油として潤滑油導入部材7の排油口10から外部へと排出される。図8には、潤滑油の流れを矢印で示している。
転がり軸受1では、転動体である円筒ころ4の直下で発熱が大きいが、円周溝6の形成によって熱源に近い位置で潤滑油により冷却されることになるため、冷却効果が向上する。このため、冷却効果の向上の観点からは、内輪2の円周溝6は深く形成して熱源に近づけるのが好ましい。
環状溝6から放出された潤滑油の一部は、環状壁22の内径斜面22baと内輪2の外径斜面2cとの間の潤滑油流入隙間δから軸受内へと導かれ、軸受潤滑用として使用された後に外部へと排出される。
このとき、潤滑油流入隙間δ内の潤滑油は、環状壁22の先端が円筒ころ4の付近まで延びているため、潤滑用流入用隙δに流入した潤滑油は、軌道面2a,3aに確実に供給される。すなわち、超高速回転時等では、潤滑油の粘度や表面張力よりも遠心力が勝るため、環状壁22の先端が円筒ころ4の位置から遠いと、潤滑油流入隙間δ内に流入した潤滑油が、軌道面2a,3aに達するまでに、潤滑油流入隙間δの出口となる環状壁の先端で遠心力により外径側へ飛散して軌道面2a,3aまで供給されない恐れがあるが、上記のように環状壁22の先端を円筒ころ4の付近まで伸ばしたことで、このような途中での潤滑油の飛散が防止される。したがって超高速回転時にも確実な潤滑油供給が行える。また、円筒ころ軸受では、滑り面となる鍔ところ端面との潤滑が重要であるが、前記環状壁22の先端が円筒ころ4の付近まで延びていると、鍔面Sの付近まで潤滑油が供給されることになり、鍔面Sところ端面との確実な潤滑が行える。
なお、潤滑油は円周溝6の外径側へ放出され、軸受内への油の過剰流入が防止される。
このとき、潤滑油流入隙間δ内の潤滑油は、環状壁22の先端が円筒ころ4の付近まで延びているため、潤滑用流入用隙δに流入した潤滑油は、軌道面2a,3aに確実に供給される。すなわち、超高速回転時等では、潤滑油の粘度や表面張力よりも遠心力が勝るため、環状壁22の先端が円筒ころ4の位置から遠いと、潤滑油流入隙間δ内に流入した潤滑油が、軌道面2a,3aに達するまでに、潤滑油流入隙間δの出口となる環状壁の先端で遠心力により外径側へ飛散して軌道面2a,3aまで供給されない恐れがあるが、上記のように環状壁22の先端を円筒ころ4の付近まで伸ばしたことで、このような途中での潤滑油の飛散が防止される。したがって超高速回転時にも確実な潤滑油供給が行える。また、円筒ころ軸受では、滑り面となる鍔ところ端面との潤滑が重要であるが、前記環状壁22の先端が円筒ころ4の付近まで延びていると、鍔面Sの付近まで潤滑油が供給されることになり、鍔面Sところ端面との確実な潤滑が行える。
なお、潤滑油は円周溝6の外径側へ放出され、軸受内への油の過剰流入が防止される。
軸受潤滑に使用する潤滑油量は、攪拌抵抗を考慮すると必要最小限の油量とするのが好ましく、冷却に使用した後の潤滑油を少量に絞ったものを軸受内に導入すれば十分である。そこで、この実施形態では、上記潤滑油流入隙間δを適宜小さく設定することで、円周溝6から放出された潤滑油が軸受内に入り難くしている。そのため、必要最小限の潤滑油しか軸受内に入らず軸受の攪拌抵抗を小さくすることができ、これにより主軸25の駆動トルクを小さくすることができる。
上記のように、潤滑油流入隙間δの大きさは、軸受内の潤滑油の流入量に影響し、隙間寸法が変動すると、軸受内への潤滑油の安定した流入が行えなくなる。
高速運転時の主軸25に熱膨張による軸方向の伸びが発生した場合、円筒ころ軸受では内輪2と外輪3の軸方向位置がずれるため、このずれによって上記潤滑油流入隙間δが変動する構成であると、安定した潤滑が行えない。しかし、この実施形態では、内輪間座21に潤滑油流入隙間δを形成する内径斜面22baを形成しており、高速運転時の主軸25に熱膨張による軸方向の伸びが発生しても、内輪間座21と内輪2は一緒に軸方向へ移動する。このため、内輪間座21の内径斜面22baと内輪2の外径斜面2cとの間に形成される潤滑油流入隙間δは一定に保たれ、軸受内へ流入する潤滑油の量を確実に一定量に制限することができる。
このように、ジェット潤滑でかつ軸受内への微量給油が可能であり、また遠心力で飛散することなく転動体まで潤滑油の供給されるため、超高速回転が可能となる。
高速運転時の主軸25に熱膨張による軸方向の伸びが発生した場合、円筒ころ軸受では内輪2と外輪3の軸方向位置がずれるため、このずれによって上記潤滑油流入隙間δが変動する構成であると、安定した潤滑が行えない。しかし、この実施形態では、内輪間座21に潤滑油流入隙間δを形成する内径斜面22baを形成しており、高速運転時の主軸25に熱膨張による軸方向の伸びが発生しても、内輪間座21と内輪2は一緒に軸方向へ移動する。このため、内輪間座21の内径斜面22baと内輪2の外径斜面2cとの間に形成される潤滑油流入隙間δは一定に保たれ、軸受内へ流入する潤滑油の量を確実に一定量に制限することができる。
このように、ジェット潤滑でかつ軸受内への微量給油が可能であり、また遠心力で飛散することなく転動体まで潤滑油の供給されるため、超高速回転が可能となる。
図12は、この発明のさらに他の実施形態(第7の実施形態)を示す。この実施形態は、図8〜図10に示す実施形態において、環状壁22の円周方向に隣合う潤滑油通過開口23間の部分である柱部22aaの肉厚を、前記立壁部22aの他の部分の肉厚よりも薄くしたものである。 内輪間座21は、静止側のノズル8に対して回転側となるため、内輪間座21の環状壁22における隣合う潤滑油通過開口23間の柱部22aaは、ノズル8から吐出された潤滑油と当たって騒音の原因となる。しかし、柱部22aaの肉厚を薄くすることで、吐出される潤滑油と当たることによる騒音が低減される。この実施形態におけるその他の構成,効果は、図8〜図10の実施形態と同様である。
図13は、この発明におけるさらに他の実施形態(第8の実施形態)を示す。この実施形態は図8〜図10の実施形態における内輪2の両端面に円周溝6を設けると共に、外輪3の軸方向の両側に隣接して潤滑油導入部材7をそれぞれ設けている。また、内輪2の軌道面2aを挟む両側に外径斜面2cを設け、両側の内輪間座21に、内輪2の外径斜面2cに微小な潤滑油流入隙間δを介して対向する内径斜面22baを有する環状壁22を設けている。その他の構成は図8〜図10の実施形態の場合と同様である。
このように、転がり軸受1の両側に潤滑油導入部材7を配置して、転がり軸受1の両側から潤滑油を供給することで、より均一に内輪2を冷却できる。また、この場合、転がり軸受1を挟んで左右に配置される両側の潤滑油導入部材7,7のノズル8の円周方向の配置位相を、互いに異ならせると、より良好な潤滑状態および冷却効果が得られる。両側から潤滑油を供給する場合、滑り接触面となって潤滑不足の生じ易い鍔内面と円筒ころ4との接触面を良好に潤滑できるという効果も得られる。
このように、転がり軸受1の両側に潤滑油導入部材7を配置して、転がり軸受1の両側から潤滑油を供給することで、より均一に内輪2を冷却できる。また、この場合、転がり軸受1を挟んで左右に配置される両側の潤滑油導入部材7,7のノズル8の円周方向の配置位相を、互いに異ならせると、より良好な潤滑状態および冷却効果が得られる。両側から潤滑油を供給する場合、滑り接触面となって潤滑不足の生じ易い鍔内面と円筒ころ4との接触面を良好に潤滑できるという効果も得られる。
図14は、この発明のさらに他の実施形態(第9の実施形態)を示す。この実施形態は図13に示す両側に潤滑油導入部材7を設けた実施形態において、内輪2の片方(図の右側)の外径面は外径斜面とせず、また内輪間座21に環状壁22を設けず、片方からは冷却だけとして潤滑油の軸受内への導入を行わないようにしている。その他の構成は図13の実施形態と同様である。
このように構成した場合も内輪2を均一に冷却できるが、内輪2の一端面側の円周溝6に噴出された潤滑油だけが軸受内に導入されるので、転がり軸受1の左右に潤滑油導入部材7,7を配置した構成であっても、軸受内へ導入される潤滑油の油量は増大しない。そのため微量供給が行い易い。
このように構成した場合も内輪2を均一に冷却できるが、内輪2の一端面側の円周溝6に噴出された潤滑油だけが軸受内に導入されるので、転がり軸受1の左右に潤滑油導入部材7,7を配置した構成であっても、軸受内へ導入される潤滑油の油量は増大しない。そのため微量供給が行い易い。
なお、上記各実施形態では、転がり軸受1として円筒ころ軸受やアンギュラ玉軸受を用いた例を示したが、これに限定されるものではなく、この発明は、種々の形式の転がり軸受の潤滑に適用可能である。
図15は、この発明の上記いずれかの実施形態に係る転がり軸受の潤滑剤装置を備えた高速スピンドル装置の一例を示す。このスピンドル装置24は工作機械に応用されるものであり、主軸25の前側(加工側)端部に工具またはワークのチャックが取付けられる。主軸25は、軸方向に離れた複数(ここでは3つ)の転がり軸受1により支持されている。ここでは、主軸25の前側端部がアンギュラ玉軸受からなる転がり軸受1により、主軸25の後ろ側が、例えば図1に示した円筒ころ軸受からなる転がり軸受1によりそれぞれ支持されている。アンギュラ玉軸受からなる転がり軸受1に対しても、円筒ころ軸受からなる転がり軸受1と同様に、図1の潤滑装置が設けられている。各転がり軸受1の内輪2は主軸25の外径面に嵌合し、外輪3は軸受箱26の内径面に嵌合している。主軸前側の転がり軸受1については、その内輪2が主軸25の段面25aにより、外輪3が外輪位置決め間座20を介して押さえ蓋28Aにより、軸受箱26内に固定されている。主軸後ろ側の転がり軸受1については、その内輪2が内輪位置決め間座27により、外輪3が外輪位置決め間座20を介して押さえ蓋28Bにより、軸受箱26内に固定されている。軸受箱26は、内周軸受箱26Aと外周軸受箱26Bの二重構造とされ、内外の軸受箱26A,26B間に冷却溝29が形成されている。転がり軸受1の外輪3の片側側面にはそれぞれ潤滑油導入部材7が配置され、主軸前後部の潤滑油導入部材7,7間に内周軸受箱26Aが介在している。主軸前後部の転がり軸受1の内輪2,2間には内輪間座30が介在している。主軸25の後端部には、内輪位置決め間座27に押し当てて転がり軸受1を固定する軸受固定ナット31が螺着されている。
前記押さえ蓋28A,28Bには、転がり軸受1をジェット潤滑する場合の供給源である冷却油供給装置32から冷却された潤滑油を導入する冷却油導入孔33がそれぞれ設けられている。これら冷却油導入孔33は、内周軸受箱26Aに設けられた冷却油供給路34に連通し、この冷却油供給路34が潤滑油導入部材7の給油路9に連通している。冷却油供給装置32からの給油路は、外周軸受箱26Bの冷却油導入孔43から軸受箱26内の冷却溝29に連通する第1の給油路38と、油ろ過器40および圧力調整弁41を経て押さえ蓋28A,28Bの冷却油導入孔33に連通する第2の給油路39とに分岐される。軸受箱26内の冷却溝29に供給されて軸受箱26の冷却に使用された排油は、外周軸受箱26Bの排油導出孔44から冷却油供給装置32へと回収される。また、押さえ蓋28A,28Bには排油孔35が設けられ、これら排油孔35は内周軸受箱26Aに設けられた排油路36から潤滑剤油導入部材7の排油口10に連通しており、軸受冷却に使用された排油が排油口10→排油路36→排油孔35→排油ポンプ37を経て冷却油供給装置32に回収される。
このように構成されたスピンドル装置24では、上記した転がり軸受の潤滑装置を組み込んでいるので、転がり軸受1内への給油による攪拌抵抗が小さく主軸25の駆動トルクを小さくでき、高速化および温度上昇低減が可能となる。
なお、このスピンドル装置24は、第1の実施形態に係る転がり軸受の潤滑装置を適用した場合につき説明したが、他のいずれかの実施形態に係る転がり軸受の潤滑装置を用いても良い。
なお、このスピンドル装置24は、第1の実施形態に係る転がり軸受の潤滑装置を適用した場合につき説明したが、他のいずれかの実施形態に係る転がり軸受の潤滑装置を用いても良い。
1…転がり軸受
2…内輪
2c…外径斜面
3…外輪
4…円筒ころ(転動体)
5…保持器
6…円周溝
21…内輪間座
22…環状壁
22a…立壁部
22aa…柱部
22b…円筒部
22ba…内径斜面
δ…潤滑油流入隙間
2…内輪
2c…外径斜面
3…外輪
4…円筒ころ(転動体)
5…保持器
6…円周溝
21…内輪間座
22…環状壁
22a…立壁部
22aa…柱部
22b…円筒部
22ba…内径斜面
δ…潤滑油流入隙間
Claims (4)
- 転がり軸受の内輪の端面に円周溝を設け、この円周溝内に潤滑油を吐出するノズルを、前記転がり軸受の外輪に隣接する潤滑油導入部材に設け、前記内輪の軌道面よりも潤滑油導入部材側の外径面に、端面から軌道面に近づくに従って大径となる外径斜面を設け、この外径斜面に潤滑油流入隙間を介して対向する内径斜面を有する環状壁を、前記内輪に隣接する内輪間座に設け、前記環状壁に、前記ノズルから吐出される潤滑油を通過させる潤滑油通過開口を設けた転がり軸受の潤滑装置。
- 請求項1において、前記転がり軸受が、内輪鍔付きの円筒ころ軸受であって、前記内輪の前記外径斜面を、前記内輪の鍔の外径面に設けた転がり軸受の潤滑装置。
- 請求項1または請求項2において、前記内輪間座の前記環状壁が、前記内輪間座の端部から立ち上がる立壁部と、この立壁部の外径側端から内輪側へ延びる円筒状部とでなり、前記環状壁の前記潤滑油通過開口は、前記立壁部の円周方向の複数複数箇所に設け、前記環状壁の円周方向に隣合う潤滑油通過開口間の部分である柱部の肉厚を、前記立壁部の他の部分の肉厚よりも薄くした転がり軸受の潤滑装置。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記転がり軸受は、工作機械の主軸軸受として用いられるものである転がり軸受の潤滑装置。
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