JP2002061657A - 転がり軸受のエアオイル潤滑構造 - Google Patents
転がり軸受のエアオイル潤滑構造Info
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Abstract
て、運転中に生じる騒音の低減と、搬送エア量の削減を
可能にする。 【解決手段】 転がり軸受1の内輪2の外径面に斜面部
2bを設け、斜面部2bに隙間を持って沿うノズル部材
6を設ける。ノズル部材6に、エアオイルの吐出溝7を
円周方向に延びて設け、この吐出溝7内に開口するエア
オイルの吐出孔8を設ける。吐出孔8は、吐出したエア
オイルが内輪斜面部2bに直接に吹き付け可能なように
斜面部2bに向け、かつ斜面部2bに対して傾斜角度を
持たせる。
Description
の転がり軸受等に適用されるエアオイル給油による潤滑
構造に関する。
るためますます高速化の傾向にある。このため、軸受の
潤滑も、搬送エアに潤滑用オイルを混合して、内輪転走
面に直接に噴きつけるエアオイル給油が増加しつつあ
る。図14は、アンギュラ玉軸受における従来のエアオ
イル潤滑構造を示したものである。ハウジング51の供
給口52より供給される搬送エアと潤滑油は、外輪間座
53に設けたエアオイル噴射孔54から内輪55の転走
面55aに向けて噴射される。噴射孔54の孔径は、
1.2mm程度、搬送エアの圧力は約3kgf/cm2 であ
り、噴射孔54の出口部でのエア速度はかなりの高速と
なっている。高速にする理由は、転動体56が公転する
ことで生じる風圧に打ち勝って転走面55aに潤滑油を
到達させるためであり、高速回転になる程、エア速度を
速くする必要がある。
は、噴射孔54の孔径を小さくする方法と、搬送エア圧
力を上昇させる方法が考えられる。しかし、噴射孔54
の径は、ごみ等による目詰まりの防止のため、小さくす
ることが出来ず、そのため搬送エア圧力を上昇させて速
度を増すしかない。このように噴射孔54からのエア速
度を増すことは、エア量の増加によるエネルギ消費の増
加と共に、転動体56の公転が及ぼすエア流の遮断・貫
通の繰り返しによる騒音(風切り音)の問題が生じる。
昨今の環境,省エネ,省資源の観点から、これらの問題
の早期対策が望まれている。このように、工作機械主軸
用軸受の高速化要求に対して、利用が増えつつあるエア
オイル潤滑の騒音の低減と省エネ対策が大きな課題とな
っている。
した転がり軸受において、運転中に生じる騒音の低減
と、搬送エア量の削減を可能にする潤滑構造を提供する
ことである。この発明の他の目的は、低騒音化と共に、
高速運転時における軸受内部への潤滑油供給の確実を図
ることである。
滑構造は、転がり軸受の内輪の外径面に、この内輪の転
走面に続く斜面部を設け、この斜面部に隙間を持って沿
うノズル部材を設け、このノズル部材に、前記斜面部に
対面して開口するエアオイルの吐出溝を円周方向に延び
て設け、前記ノズル部材に、前記吐出溝内に吐出口が開
口するエアオイルの吐出孔を設けたものである。搬送エ
アに混合された潤滑油であるエアオイルをノズル部材の
吐出孔から吐出させると、吐出されたエアオイルは、吐
出溝を通って内輪の斜面部とノズル部材間の隙間に導入
される。この隙間に導入されたエアオイルは、軸受運転
時にこの斜面部とノズル部材間の隙間で生じる負圧吸引
作用によって軸受内部へ導かれ、また斜面部に付着した
潤滑油の表面張力と、遠心力の斜面部大径側への分力に
より、軸受内部の転走面あるいは保持器内径面へ導かれ
る。このように、内輪の斜面部にエアオイルを供給し、
転動体の転走経路へは直接にエアオイルを噴出させない
ため、転動体の公転による風切り音の発生がなく、騒音
が低下する。また、エアの噴射によるオイル供給ではな
く、内輪の斜面部に供給されたエアオイルを内輪の回転
で軸受内に導くようにしたため、使用するエアは、内輪
の斜面部までオイルを搬送する役目で良く、使用量を減
らせる。そのため、エア量削減による省エネ効果も期待
できる。
たエアオイルが内輪の斜面部に直接に吹き付けられるよ
うに前記斜面部に向け、かつ斜面部に対して傾斜角度を
持って設けても良い。このように、エアオイルを内輪の
斜面部に直接に吹き付けるようにした場合、つまり吐出
口から吐出溝の内面に吹き付けるのではなく、内輪の斜
面部に吹き付けるようにした場合、斜面部にオイルが付
着し易く、また吹き付け力によってもエアオイルが軸受
内部へ流入する。吐出口の吐出方向の傾斜角度は、吐出
口から噴射されたエアが直接に内輪の斜面部に吹き付け
られ、かつ噴射流による転動体の風切り音への影響が大
きくならない範囲で決定する。この構造とすることによ
り、エアオイルは軸受内部へ流入し易くなり、内輪と転
動体との接触部への潤滑油供給が良好となる。
を、保持器の内径面と内輪の外径面の間における転動体
の近傍に位置させても良い。このように、ノズル部材の
先端を転動体の近傍に位置させることにより、エアオイ
ル中の潤滑油を、できるだけ転動体に近い位置に流入さ
せることができ、潤滑油供給の確実性が増す。
斜角度を、前記吐出孔から吐出されたエアオイル中の前
記斜面部に付着した潤滑油が、内輪の回転による遠心力
とオイルの表面張力によって前記転走面に供給される角
度とすることが好ましい。内輪の斜面部の傾斜角度は、
軸受サイズ、実用回転数、使用潤滑油によって適宜の値
に設定することが好ましく、これにより軸受内部への潤
滑油供給がより一層良好に行える。
ギュラ玉軸受であっても良い。アンギュラ玉軸受は、一
般に内輪の外径面の片側部分がカウンタボアとされるた
め、そのカウンタボアをエアオイル供給のための斜面部
に利用でき、エアオイル供給のために斜面部を特に形成
する必要がない。この発明において、前記転がり軸受は
円筒ころ軸受であっても良い。円筒ころ軸受において、
内輪が鍔無しのものである場合、内輪の転走面の両側に
おける内輪外径面はテーパ面とされているものが多い。
このような内輪形状の軸受である場合、そのテーパ面
を、エアオイル供給のための斜面部に利用でき、エアオ
イル供給のために斜面部を特に形成する必要がない。
および図2と共に説明する。転がり軸受1は、内輪2と
外輪3の転走面2a,3a間に複数の転動体4を介在さ
せたものである。転動体4は、例えばボールからなり、
保持器5のポケット(図示せず)内に保持される。この
転がり軸受1の内輪2の外径面に、転走面2aに続く斜
面部2bを設け、この斜面部2bに隙間δを持って沿う
ノズル部材6を設ける。斜面部2bは、内輪2の幅面か
ら転走面2aに続いて設け、また内輪2の反負荷側(軸
受背面側)の外径面に設ける。転がり軸受1がアンギュ
ラ玉軸受である場合、内輪2のカウンタボアを設ける部
分の外径面が上記斜面部2bとされる。
器5の内径面と内輪2の外径面の間における転動体4の
近傍に位置させる。ノズル部材6は、リング状の部材で
あって、転がり軸受1に軸方向に隣接して設けられ、側
面の内径部から軸方向に伸びる鍔状部6aを有してい
る。この鍔状部6aは、内径面が内輪2の斜面部2bと
同一角度の傾斜面に形成されて、保持器5の直下まで伸
び、その先端がノズル部材6の前記先端部6aaとな
る。ノズル部材6の鍔状部6aと内輪2の斜面部2bと
の間の隙間δは、内輪2と軸との嵌合、および内輪2の
温度上昇と遠心力による膨張とを考慮し、運転中に接触
しない範囲で出来るだけ小さな寸法に設定される。
て開口するエアオイルの吐出溝7を有し、この吐出溝7
に吐出口8aが開口する吐出孔8が設けられている。吐
出溝7は円周方向に延び、環状に形成されている。吐出
孔8は、ノズル部材6の円周方向の1か所または複数箇
所に設けられている。吐出孔8は、吐出したエアオイル
が内輪斜面部2bに直接に吹き付け可能なように、吐出
口8aの吐出方向を斜面部2bに向け、かつ斜面部2b
に対して吐出方向が傾斜角度βを持つように設けられて
いる。吐出溝7は、吐出孔8から斜面部2bへの直接の
吹き付けを阻害しない断面形状とされている。
たハウジング9に取付けられる。ノズル部材6のハウジ
ング9への取付けは、外輪間座10を介して行っても、
直接に行っても良い。図1の例は、外輪間座10を介し
て取付けた例であり、外輪間座10の一側面の内径部に
形成した環状の切欠凹部10aに、ノズル部材6を嵌合
状態に設けてある。ノズル部材6の軸受外の部分の内径
面は、内輪間座11に対して接触しない程度に近接して
いる。ノズル部材6をハウジング9に直接に取付ける場
合は、例えば図3に示すように設けられ、ノズル部材6
が外輪間座を兼ねるものとできる。
aの近傍部8bが一般部よりも小径の絞り孔に形成され
ている。吐出孔8の入口は、ハウジング9からノズル部
材6にわたって設けられたエアオイル供給路13に連通
している。エアオイル供給路13は、ハウジング9にエ
アオイル供給口13aを有し、ハウジング9の内面にハ
ウジング部出口13bを有している。ハウジング部出口
13bは、外輪間座10の外径面に設けられた環状の連
通溝13cに連通し、連通溝13cから、径方向に貫通
した個別経路13dを介して、ノズル部材6の各吐出孔
8に連通している。エアオイル供給口13aは、圧縮し
た搬送エアに潤滑油を混合させたエアオイルの供給源
(図示せず)に接続されている。
受のエアオイル潤滑構造を応用したスピンドル装置の一
例を示す。このスピンドル装置は、工作機械に応用され
るものであり、主軸15の端部に工具またはワークのチ
ャックが取付けられる。主軸15は、軸方向に離れた複
数の転がり軸受1により支持されており、これらの転が
り軸受1に、図1の例のエアオイル潤滑構造が採用され
ている。各転がり軸受1の内輪2は主軸15の外径面に
嵌合し、外輪3はハウジング9の内径面に嵌合してい
る。これら内外輪2,3は、内輪押さえ25および外輪
押さえ26により、ハウジング9内に固定されている。
ハウジング9は、内周ハウジング9Aと外周ハウジング
9Bの二重構造とされ、内外のハウジング9A,9B間
に冷却媒体流路16が形成されている。内周ハウジング
9Aは、その一部を図1に示したものであり、前記エア
オイル供給路13およびそのエアオイル供給口13aが
設けられている。ハウジング9は、支持台17に設置さ
れ、ボルト18で固定されている。スピンドル装置に応
用する場合、外輪間座10と内輪間座11間の径方向隙
間部が、内輪斜面部2bの負圧吸引作用で負圧とならな
いように、大気開放孔をハウジング9に設けることが好
ましい。また、ハウジング9には、内径面における軸受
1の設置部近傍にエアオイル排出用溝22が設けられ、
このエアオイル排出用溝22から大気に開放されるエア
オイル排出用流路23が設けられる。
明する。図1のエアオイル供給口13aより供給された
エアオイルは、ノズル部材6の吐出孔8を経て内輪2の
斜面部2bに噴射される。斜面部2bに噴射されたエア
オイルは、次の形態で軸受1の潤滑に寄与する。 内輪斜面部2bとノズル部材6間の隙間を経て、吹き
付け力によって直接に軸受1の内部に流入する。 内輪斜面部2bに付着した潤滑油は、その表面張力と
遠心力による生じる斜面大径側への分力により、軸受1
の内部へ流入する。 円周溝状の吐出溝7に滞留するエアオイルは、内輪斜
面部2bとノズル部材6間の隙間で生じる負圧吸引作用
により軸受内部側へ流れ、ノズル部材6の先端部6aa
から遠心力により転動体4または保持器7の内径面に付
着し、軸受各部の潤滑油として寄与する。
イルを供給し、転動体4の転走経路へは直接にエアオイ
ルを噴出させないため、転動体4の公転による風切り音
の発生がなく、騒音が低下する。また、エアの噴射によ
るオイル供給ではなく、内輪2の斜面部2bに供給され
たエアオイルを内輪2の回転で軸受1内に導くようにし
たため、使用するエアは、内輪2の斜面部2bまでオイ
ルを搬送する役目で良く、使用量を減らせる。そのため
エア量削減による省エネ効果も期待できる。また、この
実施形態の場合、エアオイルを内輪斜面部2bに直接に
吹き付けるため、斜面部2bにオイルが付着し易く、ま
た吹き付け力によってもエアオイルが軸受内部へ流入す
る。吐出孔8の吐出方向の傾斜角度βは、吐出孔8から
噴射されたエアが直接に内輪斜面部2bに吹き付けら
れ、かつ噴射流による転動体4の風切り音への影響が大
きくならない範囲で決定する。この構造とすることによ
り、エアオイルは軸受内部へ流入し易くなり、内輪2と
転動体4との接触部への潤滑油供給が良好となる。また
吐出孔8の出口部8aが細径であるため、流速が増し、
吐出エア温度が下がる。この低温エアが近距離より内輪
2に吹き付けられるため、内輪温度の低減が期待でき
る。
(第3の実施形態)を示す。この実施形態は、図1に示
す第1の実施形態において、次の構成を変えたものであ
る。違いを説明すると、外輪間座10に設けられるエア
オイル供給路13c,13dを、ノズル部材6の軸方向
の横側に配置し、ノズル部材6の吐出孔8の大部分を軸
方向と平行に設けている。吐出孔8における吐出溝7に
開口する吐出口8aの近傍部8bは、内輪斜面部2bに
向くように傾斜させてある。これにより、図1の例と同
様に、吐出したエアオイルが内輪斜面部2bに直接に吹
き付け可能なように、吐出口8aの吐出方向が斜面部2
bに向けられ、かつ斜面部2bに対して吐出方向が傾斜
角度βを持つようになされる。吐出孔8の吐出口近傍部
8bは、一般部よりも小径の絞り孔としてある。ノズル
部材6における吐出口8の入口部の周囲には、円周溝を
設けてOリング等のシール部材36を設け、外輪間座1
0とノズル部材8とをボルト等の締め付け具(図示せ
ず)で締め付け固定することにより、エアオイル供給路
13dと吐出孔8との連通部からエアオイルが漏れるこ
とを防止している。
35とノズル部材6との嵌め合いはルーズとすることが
可能となる。図1の例と異なり、エアオイルの供給路1
3c,13dが、外輪間座10とノズル部材6との嵌め
合い部を通過しないため、嵌め合い部は旋削加工でも可
能である。この実施形態におけるその他の構成,効果
は、図1に示す第1の実施形態と同じである。
(第4の実施形態)を示す。この実施形態は、図1に示
す第1の実施形態において、転がり軸受1を円筒ころ軸
受1Aに変えたものである。円筒ころ軸受1Aは、外輪
3Aが両鍔付きで、内輪2Aが鍔無しのものとされ、内
外輪2A,3Aの転走面2a,3a間に、円筒ころから
なる複数の転動体4Aが介在している。各転動体4A
は、保持器5Aに保持されている。内輪2Aの外径面に
おける転走面2aの両側部分は、転走面2aに続く斜面
部2b,2cとされている。ノズル部材6は、図1の例
と同じ構成の吐出孔8および吐出溝7を有しており、吐
出孔8の吐出溝7に開口する吐出口8aは、吐出したエ
アオイルが内輪斜面部2bに直接に吹き付け可能なよう
に吐出方向が斜面部2bに向けられ、かつ斜面部2bに
対して吐出方向が傾斜角度β(図1)を持つようになさ
れている。
部2b,2cは、内輪鍔無し型の一般の円筒ころ軸受に
おいて内輪外径面に設けられるテーパ面と同じである。
このテーパ面を、エアオイル供給のための斜面部2bに
利用している。そのため、エアオイル供給のために斜面
部を特に形成する必要がない。この実施形態におけるそ
の他の構成,効果は、図1に示す第1の実施形態と同じ
である。
らに他の実施形態(第5の実施形態および第6の実施形
態を示す。これらの実施形態は、図5に示す第4の実施
形態において、円筒ころ軸受1Aの保持器5Aを、櫛型
の保持器5Bに代えたものである。図5の例の保持器5
Aは、かご型であり、円筒ころからなる転動体4Aを包
み込むポケット形状をしているが、櫛型の保持器5B
は、円筒ころからなる転動体4Aの3方を囲み、一方は
開放されるポケット形状となっている。そのため、転動
体4Aに対して保持器5Bが抜けてくる構造となってい
る。そのために、櫛型の保持器5Bの円環部の側面に接
するドーナッツ型の案内用側板19を設けて保持器5B
が軸方向に抜けないようにしている。案内用側板19
は、内輪2Aおよび外輪3Aのうちの鍔付き側の部材に
対して、ノズル部材6と反対側の鍔部において固定され
ている。具体的には、鍔部先端の軸受幅方向の外側部分
に全周に渡る切欠部を設け、その切欠部に案内用側板1
9の一部を嵌合させて、その鍔部に隣接する間座と鍔部
とで挟み込む状態に案内用側板19を固定している。
両鍔付きとして外輪3Aを鍔無しとしてあり、図7の例
は図5の例と同様に内輪2Aを鍔なしとして外輪3Aを
両鍔つきとしてある。なお、図6および図7の実施形態
において、外輪間座10に設けられるエアオイル供給路
13c,13dは、図4の実施形態と同様に、ノズル部
材6の軸方向の横側に配置している。ノズル部材6の吐
出孔8は、入口部だけを軸方向と平行に設け、吐出孔8
の残り部分を斜面部2bに向くように傾斜させてある。
これら第5,第6の実施形態におけるその他の構成は、
図1に示す第1の実施形態と同じである。
(第7の実施形態)にかかる転がり軸受のエアオイル潤
滑構造を示す。この例では、ノズル部材6Aに設けた吐
出孔8が、吐出溝7内に軸方向に平行にエアオイルを噴
き出すように設けられている。吐出溝7は、吐出孔8に
対面する溝内側面が、噴き出されたエアオイルを内輪斜
面部2b側へ案内できる傾斜面に形成されている。ノズ
ル部材6Aは、ハウジング9の内径面に直接に取付けら
れ、外輪間座を兼用する。ノズル部材6Aは、ハウジン
グに直接に取付ける代わりに、図1の例の外輪間座10
に設けた切欠凹部10aに嵌合させて取付けるものとし
ても良い。この実施形態におけるその他の構成は、特に
説明した事項を除き、図1の例と同じである。この実施
形態における構成のノズル部材6Aを設ける場合も、図
5の例と同様に、軸受1が円筒ころ軸受であっても良
い。
受のエアオイル潤滑構造を採用したスピンドル装置の一
例を示す。このスピンドル装置は、ノズル部材6Aの吐
出孔8の構成が異なる他は、図2の例のスピンドル装置
と同じである。
3aより供給されたエアオイルは、ノズル部材6Aの吐
出孔8を経て円周溝状の吐出溝7に導かれる。ここで、
エアオイル中の潤滑油の一部は、内輪斜面部2bに付着
し、潤滑油の表面張力と、遠心力の斜面大径側への分力
とにより、内輪転走面2a側へ斜面部2bを付着しなが
ら流れ、内輪転走面2aの潤滑を行う。また、吐出溝7
で内輪斜面部2bに付着しなかった潤滑油は、斜面部2
bの隙間δで生じる負圧吸引作用により、内輪斜面部2
bに対向するノズル部材6Aの内径部を伝わりながら転
動体4側へ流れ、ノズル部材6Aの先端6aaで遠心力
により転動体4または保持器5の内径面に付着し、軸受
各部の潤滑に寄与することができる。
数が高速になる程大きくする必要があり、また軸受サイ
ズ、使用潤滑油によって適正な範囲に設定する必要があ
る。目標とする高速運転条件dn200万(φ100mm
×20000rpm)とすれば、その角度は次の試験例
からわかるように概ね13度であり、設計的にも十分加
工できる角度である。
面を付着しながら流れる特性について確認した結果を示
したものである。確認には、図10に示す外径面が傾斜
面(斜面角度θ)となったリング状部材50を用い、油
の供給にノズル51を用いた。リング状部材50は、小
径端の外径Rが57mm、軸方向幅Bが15mmの物を用い
た。確認方法は、工作機械主軸軸受の潤滑油としてよく
使用される粘度22cSt の油を回転数毎に10mg/h
の量で斜面小径側に付着させ、その量の100%が大径
側より飛散するところの斜面角度と回転数を見たもので
ある。同図より、角度を大きくとる程、斜面に付着した
流れが生じ易く、5度で10000rpm、9度で15
000rpm、13度で20000rpmまでの斜面上
の付着流れが可能であることがわかる。
輪斜面部2bに直接にエアオイルを吹き付ける例)と、
図8の実施形態(吐出孔8から吐出溝7の内壁面にエア
オイルを吹き付けて内輪斜面部2bに導く例)との作用
を比較した実験結果を説明する。下記の実験結果からも
わかるように、図1の実施形態のように、ノズル部材6
の吐出孔8を、吐出エアオイルが内輪斜面部2bに直接
に吹き付け可能なものとした場合は、高速運転時におけ
る軸受内部への潤滑油供給の確実を図ることができ、軸
受1の耐焼付き性が向上し、より一層高速までの使用が
可能になる。
使用し、図1の実施形態(第1実施形態)と図8の実施
形態(第7実施形態)の回転数と軸受温度の関係に付い
て比較した結果を示したものである。同一エアオイル供
給条件において、第7実施形態のノズル構造の場合19
000rpmにて軸受焼き付きに至ったのに対し、第1
実施形態のノズルでは20000rpmの運転が可能で
あり、軸受温度上昇も低い(17000rpm以上にお
いて)ことが判る。第7実施形態のノズルの焼き付き発
生は、潤滑油の不足に起因したものであると推測され、
第1実施形態のノズル構造を使用することで、軸受内へ
の潤滑油供給量が増加し、耐焼付き性の向上が認められ
た。
施形態(図1)のノズル構造の騒音特性比較を行った結
果例を示す。同図(A)は第1実施形態の結果、同図
(B)は従来ノズルの結果をそれぞれ示す。これらの結
果は、回転数14000rpmの時のものである。従来
ノズルにおける4150Hzのピークは、ノズルからの
吐出エア流を転動体4が通過することで生じる風切り音
の成分であり、転動体4の通過周期に一致している。第
1実施形態のノズル構造については、転動体通過周期の
ピークは認められるが、従来ノズルに比べ、26dBの
低減があった。騒音値(14000rpm)で見ると、
従来ノズルが104dBAであるのに対し、第1実施形
態ノズルは86dBAであり、騒音も大きく低減してい
る。
ラ玉軸受、および単列の円筒ころ軸受の場合につき説明
したが、この発明のエアオイル潤滑構造は、複列のアン
ギュラ玉軸受や、複列の円筒ころ軸受、その他の転がり
軸受一般に適用することができる。
構造は、転がり軸受の内輪の外径面に、この内輪の転走
面に続く斜面部を設け、この斜面部に隙間を持って沿う
ノズル部材を設け、このノズル部材に、前記斜面部に対
面して開口するエアオイルの吐出溝を円周方向に延びて
設け、前記ノズル部材に、前記吐出溝内に吐出口が開口
するエアオイルの吐出孔を設けたため、エアオイル潤滑
を使用した転がり軸受において、運転中に生じる騒音の
低減と、搬送エア量の削減を可能にできる。前記吐出口
を、吐出したエアオイルが内輪の斜面部に直接に吹き付
け可能なように前記斜面部に向け、かつ斜面部に対して
傾斜角度を持って設けた場合は、低騒音化と共に、高速
運転時における軸受内部への潤滑油供給の確実を図るこ
とができる。これにより、軸受の耐焼付き性が向上し、
より一層高速までの使用が可能になる。
がり軸受のエアオイル潤滑構造の断面図、(B)はその
部分拡大図である。
置の断面図である。
のエアオイル潤滑構造の断面図である。
のエアオイル潤滑構造の断面図である。
のエアオイル潤滑構造の断面図である。
のエアオイル潤滑構造の断面図である。
のエアオイル潤滑構造の断面図である。
のエアオイル潤滑構造の断面図である。
置の断面図である。
用した設備の説明図である。
す実験例のグラフである。
転数と外輪温度との関係を示すグラフである。
よび従来例における騒音特性を示すグラフである。
Claims (6)
- 【請求項1】 転がり軸受の内輪の外径面に、この内輪
の転走面に続く斜面部を設け、この斜面部に隙間を持っ
て沿うノズル部材を設け、このノズル部材に、前記斜面
部に対面して開口するエアオイルの吐出溝を円周方向に
延びて設け、前記ノズル部材に、前記吐出溝内に吐出口
が開口するエアオイルの吐出孔を設けた転がり軸受のエ
アオイル潤滑構造。 - 【請求項2】 前記吐出口を、吐出したエアオイルが内
輪の斜面部に直接に吹き付けられるように前記斜面部に
向け、かつ斜面部に対して傾斜角度を持って設けた請求
項1記載の転がり軸受のエアオイル潤滑構造。 - 【請求項3】 前記ノズル部材の先端を、保持器の内径
面と内輪の外径面の間における転動体の近傍に位置させ
た請求項1または請求項2記載の転がり軸受のエアオイ
ル潤滑構造。 - 【請求項4】 内輪の前記斜面部の傾斜角度を、前記吐
出孔から吐出されたエアオイル中の前記斜面部に付着し
た潤滑油が、内輪の回転による遠心力とオイルの表面張
力によって前記転走面へ流れる角度とした請求項1ない
し請求項3のいずれかに記載の転がり軸受のエアオイル
潤滑構造。 - 【請求項5】 前記転がり軸受がアンギュラ玉軸受であ
る請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の転がり軸
受のエアオイル潤滑構造。 - 【請求項6】 前記転がり軸受が円筒ころ軸受である請
求項1ないし請求項4のいずれかに記載の転がり軸受の
エアオイル潤滑構造。
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