JP2004190706A - 転がり軸受の潤滑構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】騒音低減および省エネが可能で、安定した潤滑性能が得られる転がり軸受の潤滑構造を提供する。
【解決手段】転がり軸受1の内輪2の外径面における転走面2aの側方に斜面部2bを設け、この斜面部2bに隙間δを介して沿う潤滑油導入部材6を配置する。この潤滑油導入部材6の上記斜面部2bに対面する円周上の一部または全体に、上記斜面部2bに近接または接触する多孔質材8を設ける。この多孔質材8へ潤滑油を供給する油導入路11を設ける。油導入路11は、潤滑油を加圧して供給する潤滑油供給装置に接続する。
【選択図】 図1
【解決手段】転がり軸受1の内輪2の外径面における転走面2aの側方に斜面部2bを設け、この斜面部2bに隙間δを介して沿う潤滑油導入部材6を配置する。この潤滑油導入部材6の上記斜面部2bに対面する円周上の一部または全体に、上記斜面部2bに近接または接触する多孔質材8を設ける。この多孔質材8へ潤滑油を供給する油導入路11を設ける。油導入路11は、潤滑油を加圧して供給する潤滑油供給装置に接続する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、工作機械主軸用の転がり軸受等に適用される潤滑構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
工作機械の主軸装置は、加工能率を上げるためますます高速化の傾向にある。このため、主軸軸受の潤滑も、主軸の高速化に伴い、搬送エアに潤滑用オイルを混合して、オイルをノイズより軸受内に噴射することで、軸受の潤滑を行うエアオイル給油が多く用いられている。
しかし、一般的なエアオイル潤滑構造は、多量の高圧エアを必要とし、騒音も大きい。そのため、騒音、省エネ、省資源の観点から、エア消費量の削減に関する新しいエアオイル潤滑構造も提案されている(例えば特許文献1,特許文献2など)。
【0003】
図10は、アンギュラ玉軸受におけるそのような低騒音、省エネ型のエアオイル潤滑構造の従来例を示す。内輪32の反負荷側(軸受背面側)の外径面には、端面側を小径とする斜面部32bが設けられる。その斜面部32b上に、運転中でも接触しない程度の隙間を持ってエアオイル給油ノズル36の先端部36aが、保持器35の内径の直下に来るように配置される。搬送エアに混合された油を上記給油ノズル36の先端部36aの給油口38から内輪32の斜面部32b上に噴射することで、斜面部32bのポンピング作用と、内輪斜面部32bに付着した油の表面張力および遠心力による内輪転走面32a方向の分力を利用して、保持器35の内径面あるいは内輪32の転走面32aに潤滑油が導びかれる。
【0004】
この提案例の潤滑構造によると、それ以前のエアオイル潤滑構造の場合と異なり、転動体34の公転に伴う風圧の影響を受けることなく、潤滑油を軸受内に供給できることから、低騒音とエアの消費量削減が可能となる。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−61657号公報
【特許文献2】
特開2002−54643号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記提案例によれば、それ以前のエアオイル潤滑構造に比べるとエア量の削減が可能となっているが、エアオイル潤滑であるため、潤滑油を搬送するためと、潤滑油を内輪斜面部に噴射するためのエアは必要であり、エアが消費される。そのため、より一層の省エネルギが求められる。また、騒音についても、より静音化が求められる。さらに、エアオイル潤滑では間欠給油となるため、回転数に対応した微量の給油が難しく、より安定した潤滑性能が求められている。
【0007】
この発明の目的は、エア消費がなくて、より一層の省エネルギ化、および騒音低減が可能で、かつ安定した潤滑性能が得られる転がり軸受の潤滑構造を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明における第1の発明の転がり軸受の潤滑構造は、転がり軸受の内輪の外径面における転走面の側方に斜面部を設け、この斜面部に隙間を介して沿う潤滑油導入部材を配置し、この潤滑油導入部材の上記斜面部に対面する円周上の一部または全体に、上記斜面部に近接または接触する多孔質材を設け、この多孔質材へ潤滑油を供給する油導入路を設けたものである。
この構成によると、多孔質材が内輪の斜面部に近接または接触するため、油導入路から多孔質材に供給された潤滑油が、多孔質材内の細孔を通過して内輪の斜面部に付着する。内輪斜面部に付着した潤滑油は、潤滑油の表面張力と内輪の回転に伴う遠心力により、内輪の転走面に供給され、潤滑に使用される。潤滑油の供給量は、多孔質材の断面積や、内部細孔の形成程度、および多孔質材へ供給する潤滑油の加圧力で制御できる。多孔質材の内部の細孔を通過させて潤滑油を供給するため、回転数に対応した微量の連続給油が可能であり、安定した潤滑性能が得られる。多孔質材から内輪の斜面部への潤滑油の供給は、多孔質材が斜面部に近接または接触することで、対向面間で伝わって行われるため、噴射の場合のような騒音の問題がなく、より一層静音化される。多孔質材は、内輪の斜面部に押しつけるようにしても良いが、必ずしも接触しなくても、ある程度近接していると、表面張力等で多孔質材の潤滑油が斜面部に伝わる。多孔質材への潤滑油の供給には例えばエア等を用いるが、その場合にもエアは圧送するための加圧手段として用いられるだけであり、エアの消費はない。そのため、省エネルギ効果が期待できる。潤滑油の供給装置も、圧送できるものであれば良く、エアオイルを生成する必要がないため、構造が簡単であり、安価に製作できる。
【0009】
この発明における第2の発明の転がり軸受の潤滑構造は、転がり軸受の内輪の外径面における転走面の側方に斜面部を設け、この斜面部に隙間を介して沿う潤滑油導入部材を配置し、この潤滑油導入部材の上記斜面部に対面する円周上の一部または全体に多孔質材を設け、この多孔質材に、一部がこの多孔質材から露出して上記斜面部に転接する回転自在な転動部品を埋め込み、上記多孔質材へ潤滑油を供給する油導入路を設けたものである。
この構成の場合、多孔質材に供給された潤滑油は、多孔質材内の細孔を通過して転動部品に付着する。この状態で内輪を回転させると、内輪からの駆動力が転動部品に伝達され、転動部品が自転すると共に、転動部品に付着していた潤滑油が内輪の斜面部に付着する。斜面部に付着した潤滑油は、上記と同様に内輪の転走面に流れ、潤滑に使用される。この発明の場合も、軸受に供給する潤滑油量は多孔質材の断面積や、内部細孔の形成程度、および多孔質材へ供給する潤滑油の加圧力で制御できる。この構成の場合も、第1の発明と同様に、エア消費がなくて、より一層の省エネルギ化、および騒音低減が可能で、かつ安定した潤滑性能が得られる。
【0010】
これらの発明において、上記多孔質材は多孔質の焼結材であっても良い。焼結材には各種の焼結合金等を用いることができる。焼結材によると、多孔質の材質に製造し易く、多孔質材の内部の細孔の内径や細孔の占める空間比率等を、求められる性能に応じたものに調整し易い。また、焼結材によると、内輪の斜面部に滑り接触させる場合にも、摩耗の生じ難いものを選定することができる。
【0011】
また、これらの発明において、上記油導入路に潤滑油を加圧状態で供給する潤滑油供給装置を設けても良い。多孔質材への潤滑油の供給は、加圧状態で行うことが、効率の面で好ましい。軸受に供給する潤滑油量は、潤滑油への加圧力で制御することができる。
【0012】
さらに、この発明において、上記多孔質材は、上記油導入路に供給される潤滑油の圧力で上記斜面部側へ変位可能なように上記潤滑油導入部材に取付けられたものとしても良い。
このように構成した場合、潤滑油の圧力で斜面部に多孔質材が押し付けられるので、多孔質材から斜面部への潤滑油の付着が円滑に行われ、より安定した潤滑性能が得られる。また、潤滑油の圧力により多孔質材を押し付けるようにした場合、軽い押し付け力を安定して得ることができて、多孔質材の内輪斜面部への接触により回転の抵抗が生じることが回避される。
【0013】
【発明の実施の形態】
この発明の第1の実施形態を図1,図2と共に説明する。転がり軸受1は、内輪2と外輪3の転走面2a,3a間に複数の転動体4を介在させたものである。転動体4は、例えばボールからなり、保持器5のポケット(図示せず)内に保持される。この転がり軸受1の内輪2の外径面に、転走面2aに続く斜面部2bを設け、この斜面部2bに隙間δを持って沿う潤滑油導入部材6を設ける。斜面部2bは、内輪2の幅面から転走面2aに続いて設け、また内輪2の反負荷側(軸受背面側)の外径面に設ける。斜面部2bの傾斜角度α(図1(B))は、実用回転数が高速になるほど大きくする必要がある。例えば、直径Dが100mmφの転がり軸受を回転数20000rpmで運転する場合、斜面部2bに付着した油が飛散なく内輪2の転走面2aに導入される斜面部2bの傾斜角度αは13°以上である。潤滑油導入部材6と斜面部2bとの隙間δは、内輪2と軸の嵌め合い、および内輪2の温度上昇と遠心力による膨張を考慮し、運転中に両部材2,6が接触しない値とされる。転がり軸受1がアンギュラ玉軸受である場合、内輪2のステップ面を設ける部分の外径面が上記斜面部2bとされる。
【0014】
上記斜面部2bに対面する潤滑油導入部材6の円周上の一部には多孔質材装着孔7が開口させてあり、この装着孔7に上記斜面部2bに接する多孔質材8を装着している。多孔質材8は多孔質の焼結材からなり、Oリング等からなるシール部材9を介して装着孔7に挿入されて、斜面部2b側へ変位可能とされている。潤滑油導入部材6は、リング状の部材であって、転がり軸受1に軸方向に隣接して設けられ、側面の内径部から軸方向に伸びる鍔状部6aを有している。この鍔状部6aは、平坦な内径面が内輪2の斜面部2bと同一角度の傾斜面に形成されて、保持器5の直下まで伸び、その先端部6aaを保持器5の内径面と内輪2の外径面の間における転動体4の近傍に位置させている。
【0015】
潤滑油導入部材6は、軸受1の外輪3を取付けたハウジング10に取付けられる。潤滑油導入部材6のハウジング10への取付けは、図1(A)のように直接取付けても、外輪間座を介して取付けても良い。
【0016】
上記装着孔7の底部は、上記多孔質材8へ潤滑油を供給する油導入路11に連通しており、この油導入路11は、ハウジング10から潤滑油導入部材6にわたって設けられた潤滑油供給路12に連通している。潤滑油供給路12は、ハウジング10に潤滑油供給口12aを有し、ハウジング10の内面にハウジング部出口12bを有している。ハウジング部出口12bは、潤滑油導入部材6の外径面に設けられた環状の連通溝12cに連通し、連通溝12cから、径方向に貫通した個別経路12dを介して、潤滑油導入部材6の各油導入路11に連通している。潤滑油供給口12aは、潤滑油を加圧状態で供給する潤滑油供給装置13(図2)に接続されている。
【0017】
図2は、図1の実施形態にかかる転がり軸受1の潤滑構造を応用したスピンドル装置の一例を示す。このスピンドル装置は、工作機械に設けられたものであり、主軸15の一端にワークまたは工具のチャックが取付けられる。主軸15は、軸方向に離れた複数の転がり軸受1により支持されており、これらの転がり軸受1に図1の例の潤滑構造が採用されている。各転がり軸受1の内輪2は主軸15の外径面に嵌合し、外輪3はハウジング10の内径面に嵌合している。これら内外輪2,3は、内輪押さえ25および外輪押さえ26により、ハウジング10内に固定されている。ハウジング10は、内周ハウジング10Aと外周ハウジング10Bの二重構造とされ、内外のハウジング10A,10B間に冷却媒体流路16が形成されている。内周ハウシング10Aは、その一部を図1(A)に示した構造としたものであり、前記潤滑油供給路12およびその潤滑油供給口12aが設けられている。また、ハウジング10には、内径面における軸受1の設置部付近に潤滑油排出用溝22が設けられ、この潤滑油排出用溝22から外部に開放される潤滑油排出用流路23が設けられる。
【0018】
潤滑油供給装置13は、油タンク27と、この油タンク27内に圧縮空気を供給して油タンク27内の油を加圧する油加圧装置28と、油タンク27内の油をろ過する油ろ過装置29を備える。ろ過された油は配管30を介してスピンドル装置の潤滑油供給路12に供給される。
【0019】
上記構成の潤滑構造の作用を説明する。潤滑油供給装置13において、油加圧装置28で加圧された油タンク27内の潤滑油は、油ろ過装置29を通過し、配管30を介して潤滑油導入部材6の多孔質材装着孔7の底部に圧送される。その油圧で多孔質材8が内輪2の斜面部2bに押し付けられる。この潤滑油は多孔質材8の細孔を経て内輪2の斜面部2bに付着する。斜面部2bに付着した油は、油の持つ表面張力と、内輪2の回転に伴う遠心力とにより、斜面部2bに付着しながら内輪2の転走面2aへ潤滑油として供給される。このとき転がり軸受1に供給する潤滑油量は、多孔質材8の断面積、その細孔の孔径や多孔質材容積に対する細孔の空間比率、および油への加圧力で制御可能である。
【0020】
この潤滑構造では、エアは油を圧送するための加圧手段として用いるだけであり、エアの消費が無いので、騒音の低減および大幅な省エネが可能である。また潤滑油供給装置13も、エアオイル潤滑の場合の潤滑油供給装置に比べて構造が簡単であり、安価に構成できる。またこの潤滑構造では、エアオイル潤滑の場合のような間欠給油ではなく、多孔質材8の細孔を通しての給油であるため、軸の回転数に対応した微量の連続供給が可能であり、安定した潤滑性能が得られる。さらに、潤滑油の圧力で斜面部2bに多孔質材8が押し付けられることから、多孔質材8から斜面部2bへの潤滑油の付着が円滑に行われ、より安定した潤滑性能が得られる。
【0021】
なお、上記実施形態では、潤滑油導入部材6の内輪斜面部2bに対面する円周上の一部に多孔質材8を設けたが、円周上の複数箇所に設けても、また上記円周上の全周に多孔質材8を設けても良い。
【0022】
図3は、この発明における他の実施形態を示し、第2の発明に対応する。この実施形態は、図1,図2に示した第1の実施形態において、潤滑材導入部材6の多孔質材装着孔7に装着する多孔質材8に転動部品挿入孔8aを設け、一部がこの多孔質材8から露出して内輪斜面部2bに転接する回転自在な転動部品31を上記転動部品挿入孔8aに挿入したものである。転動部品31は例えばセラミック製ボールからなる。その他の構成は第1の実施形態の場合と同じである。
【0023】
この実施形態では、潤滑油供給装置13から潤滑油導入部材6の多孔質材装着孔7底部に導入された油の圧力で、多孔質材8を介して転動部品31が内輪2の斜面部2bに押し付けられると共に、油が多孔質材8の細孔を経て転動部品31の表面に付着する。この状態で、内輪2が回転すると、内輪2からの駆動力が転動部品31に伝達され、転動部品31の自転と共に転動部品31の付着油が内輪2の斜面部2bに移る。斜面部2bに移った油は、第1の実施形態の場合と同様に、斜面部2bに付着しながら内輪2の転走面2aへ潤滑油として供給される。このとき転がり軸受1に供給する潤滑油量は、油への加圧力で制御できる。
【0024】
この実施形態の場合も、第1の実施形態の場合と同様に、騒音の低減および大幅な省エネが可能であり、安定した潤滑性能が得られる。
【0025】
図4は、この発明におけるさらに他の実施形態を示す。この実施形態は、図1,図2に示した第1の実施形態において、潤滑材導入部材6の多孔質材装着孔7を、大径孔部7aとこれに続いて内輪斜面部2b側に開口する小径孔部7bとでなるものとし、その大径孔部7aは個別経路12d(図1)を介さずに直接に連通溝12cに連通させてある。また、多孔質材8は、上記多孔質材装着孔7の大径孔部7aに遊嵌する大径部8aと上記小径孔部7bに遊嵌する小径部8bとでなる断面T字形状としている。この多孔質材8の大径部8aを、上記多孔質材装着孔7の大径孔部7aから小径孔部7bに至る段部に係止させたOリング等のシール部材9Aと、上記大径孔部7aに挿嵌させた管体17とで挟み付けることにより、進退移動可能となるように多孔質材装着孔7内に装着されている。その他の構成は第1の実施形態の場合と同じである。
【0026】
この実施形態では、多孔質材装着孔7内において、シール部材9Aが多孔質材8の進退移動に対して抵抗とならない位置に配置されているので、内輪2の斜面部2bが回転に伴って振動したときに、内輪斜面部2bの振動に対して多孔質材8が追従し易くなり、動圧効果によって浮上した多孔質材8と内輪斜面部2bとの間隔を適正に保つことができ、より安定した潤滑性能が得られる。
また、図1〜図3の各実施形態では、多孔質材装着孔7内で多孔質材8は固定されていないので、組付け時などに多孔質材8が多孔質材装着孔7から脱落する恐れがあるが、この実施形態では、多孔質材8の大径部8aが管体17とOリング9Aに挟み付けられて多孔質材装着孔7内に保持されているので、多孔質材装着孔7から多孔質材8が脱落することはない。
【0027】
図5は、この発明におけるさらに他の実施形態を示す。この実施形態は、多孔質材8を多孔質材装着孔7内に出入り方向に移動自在に嵌合させ、多孔質材8をばね部材18で突出付勢すると共に、ばね部材18を受けるばね受け19を雄ねじ部材としてそのねじ込み量の調整により、多孔質材8の内輪斜面部2bに対する予圧調整を可能としたものである。詳しくは、図4に示した実施形態において、多孔質材8を保持する管体17に代えて、多孔質材装着孔7における大径孔部7aの連通溝12c寄りの一部をねじ孔部7aaとし、大径孔部7aに挿入したコイルばねからなるばね部材18と上記ねじ孔部7aaに螺着させた中空雄ねじからなるばね受け19とで、多孔質材9を保持している。その他の構成は図4の実施形態の場合と同じである。
【0028】
この実施形態では、中空雄ねじからなるばね受け19の締め付け力によって、多孔質材8に適当な予圧を与えることができるので、より安定した潤滑性能が得られる。
【0029】
なお、図4および図5の実施形態において、内輪斜面部2bに対面する多孔質材小径部8bの先端は、図6のように球面SRとしても良い。これにより、内輪斜面部2bへの多孔質材8の接触を滑らかにすることができる。
【0030】
図7は、この発明におけるさらに他の実施形態を示す。この実施形態は、図1,図2に示した第1の実施形態において、多孔質材8は、その内輪斜面部2bと対面する先端部のエッジ8c(図7(B))が内輪斜面部2bに対して微小な隙間を持って対向するように多孔質材装着孔7に装着されている。図1におけるシール部材9は省略されている。図7(B)は図7(A)におけるA部の拡大図を示す。
【0031】
この実施形態では、図7(B)のように多孔質材8から染み出した潤滑油Oが、内輪斜面部2bとの間にメニスカスを形成することで、内輪斜面部2bに潤滑油Oが円滑に付着する。付着した潤滑油Oの一部は、潤滑油の持つ表面張力と、内輪2の回転に伴う遠心力とにより、斜面部2bに付着しながら内輪2の転走面2aへ潤滑油として供給される。これにより、安定した潤滑性能が得られる。また、多孔質材8と内輪斜面部2bとが非接触であるため、多孔質材8が内輪2の回転の抵抗要素とならず、騒音源になることもない。
【0032】
なお、上記各実施形態は、転がり軸受1がアンギュラ玉軸受である場合につき説明したが、この発明は転がり軸受一般に適用でき、例えば円筒ころ軸受にも適用することができる。円筒ころ軸受の場合、内輪鍔付きと内輪鍔無しのいずれであっても良く、内輪鍔付きの場合は、上記斜面部は内輪の鍔部に形成される。
【0033】
図8,図9は、参考提案例となる転がり軸受の潤滑構造を示す。この潤滑構造は、外部からグリース補給を行うグリース潤滑の転がり軸受において、軸受内部への給脂量を微量化することでグリースアップ時の温度上昇の低減を図るようにしたものである。転がり軸受1は、内輪2と外輪3の転走面2a,3a間に複数の転動体4を介在させたものである。転動体4は、例えばボールからなり、保持器5のポケット(図示せず)内に保持される。転がり軸受1はアンギュラ玉軸受とされている。
内輪2の外径面に両側に外側からのグリースの侵入防止と軸受内部の余剰グリース排除を目的としたリールリング41,42を固定する。シールリング41,42の外径面は、外輪3の内径面に近接し、外輪2の内径面との間で非接触シールまたは接触シールとなるシール部43を構成する。転がり軸受1の背面側に位置するシールリング41には、グリース溜り部44が設けてある。このグリース溜り部44のグリースは、給脂量調整部材54によって絞り込まれ、遠心力により保持器5の内径面または転動体4へ吐出されて潤滑を行う。グリース溜り部44には外部から給脂可能なノズル部材46の先端部46aが挿入されており、定期的なグリース補給が可能である。
【0034】
両側のリールリング41,42は、軸受組立後に締まり嵌め等により内輪2に固定される。上記グリース溜り部44は、リールリング41の内径部に設けられて軸受幅の中心側へ延びるグリース溜り形成壁44aによって形成されている。グリース溜り形成壁44aは、外周壁部44aa、先端壁部44ab、および内周壁部44acによって形成され、内周壁部は44acは外周壁部44aaよりも軸方向幅が小さく形成されている。この グリース溜り形成壁44aは、内輪2の外径面に形成された環状切欠部に嵌合し、この環状切欠部の外径面との間に空間部であるグリース溜り部44を形成する。
【0035】
ノズル部材46はリング状とされ、外輪4に隣接してハウジング10の内径面に嵌合している。ノズル部材46は、給脂ノズル孔47を円周方向の複数箇所に有している。給脂ノズル孔47は1か所であっても良い。給脂ノズル孔47の入口部はハウジング10に設けられた外部給脂路13に連通している。ノズル部材46の先端部46aは、ノズル部材46のリング状部分の内径縁から軸方向に突出した突出部として形成され、グリース溜り部44に挿入されている。この突出部からなる先端部46aは、給脂孔52の先端開口を形成した部分であり、ノズル部材46の全周にわたる鍔状とされている。先端部46aは、各給脂ノズル孔47の形成部分だけに局部的に設けた筒状であっても良い。ノズル部材46の転がり軸受1側の側面には、余剰グリース溜りスペース48(図9)が設けられている。ノズル部材46の内径側には、内輪間座47が内輪2に隣接して設けられている。
【0036】
給脂量調整部材54は、グリース溜り形成壁44aに、保持器5の内径面または転動体4の直下となる内径側で明いた嵌合孔に嵌め込んで固定されている。給脂量調整部材54は、焼結材や微細な多数の連通孔を有する部材等の多孔質材、または中実材からなる。給脂量調整部材54は、その多孔質材内部の連通孔、または上記嵌合孔との嵌め合い面から、その細い連通孔や嵌め合い面で形成された微細隙間によって、グリースまたはその基油を、給脂量制限しながら供給可能なものとされている。給脂量調整部材54が中実材である場合は、嵌め合い面の微細隙間は必要であるが、多孔質材である場合は、嵌め合い面の微細隙間は必ずしも必要ではない。この嵌め合い面の締代、面積(周長および軸方向長さ)、多孔質材の場合の空孔率は、転がり軸受1の必要油量に応じて設定される。すなわち、定期的なグリースの補給は、外部給脂路53から、給脂ノズル孔47を介してグリース溜り部44に行い、転がり軸受1の潤滑は、軸受組立時に封入するものと、グリース溜り部44から給脂量調整部材54で絞られて吐出される微小グリースとで行う。
【0037】
また、グリース補給の際のグリース溜り部44からのはみ出し分、およびグリース溜り部44からの吐出による軸受内余剰グリースの処理は、シールリング41,42のシール部43で行える。シールリング41,42は、薄い鋼板または樹脂で出来ており、軸方向にばね性を持たせることで、仮にグリース補給の際にグリース溜り部44からのはみ出し分が生じても、その圧力によりシールリング41,42を内側方向に撓ませてシール部43を密封し、軸受内へのグリースの侵入を防ぐ構造となっている。軸受内の余剰グリースについては、シールリング41,42の外径部のテーパ部が回転することで生じる外向きのポンピング作用が、軸受内部のグリースを排出させる。これらの余剰グリースは、給脂ノズル46に設けられた余剰グリース溜りスペース48(図9)に溜められる。
【0038】
このように、この提案例の潤滑構造によると、外部より定期的なグリース補給が可能であり、潤滑寿命に伴う問題が解消できる。また、定期的なグリース補給を行っても、軸受1内への過剰侵入がなく、また軸受1内の余剰グリースは軸受1外へ排出されかつ軸受1の内部へは必要量だけ給脂できるので、グリースの攪拌抵抗に伴う発熱を小さく抑えることができる。
【0039】
この提案例は、要点を整理すると、次の事項を備えるものである。なお、ここで言う事項は、図8,図9に示された内容に限らない。符号は参考に示した。
▲1▼.内輪2の外径面にシールリング41,42を固定し、片方のシールリング41に外部から補給した潤滑剤を溜めるグリース溜り部44とグリース吐出孔を設けた転がり軸受の潤滑構造。
▲2▼.上記▲1▼の潤滑構造において、内輪2に固定したシールリング41,42に軸方向のばね性を付与し、グリース補給時に軸受1内へのグリース侵入を防止する構造とする。
▲3▼.上記▲1▼の潤滑構造において、軸受内グリースの排除のため、回転時にシールリング41,42と外輪3の間で外向きのポンピング作用が生じる構造とする。
▲4▼.内輪2のグリース溜り部44から必要グリース量供給のため、グリースの給脂量調整部材54を設けた転がり軸受の潤滑構造。
▲5▼.上記▲5▼において、給脂量調整部材54は中実部材や多孔質材からなること。
また、上記の説明では、単列のアンギュラ玉軸受について説明したが、この提案例は複列のアンギュラ玉軸受や、その他の転がり軸受一般に適用することができる。
【0040】
【発明の効果】
この発明における第1の発明の転がり軸受の潤滑構造は、転がり軸受の内輪の外径面における転走面の側方に斜面部を設け、この斜面部に隙間を介して沿う潤滑油導入部材を配置し、この潤滑油導入部材の上記斜面部に対面する円周上の一部または全体に、上記斜面部に近接または接触する多孔質材を設け、この多孔質材へ潤滑油を供給する油導入路を設けたため、騒音の低減および大幅な省エネが可能であり、安定した潤滑性能を得ることができる。また、潤滑油供給装置も、エアオイル潤滑の場合の潤滑油供給装置に比べて構造が簡単であり、安価に構成することができる。
この発明における第2の発明の転がり軸受の潤滑構造は、転がり軸受の内輪の外径面における転走面の側方に斜面部を設け、この斜面部に隙間を介して沿う潤滑油導入部材を配置し、この潤滑油導入部材の上記斜面部に対面する円周上の一部または全体に多孔質材を設け、この多孔質材に、一部がこの多孔質材から露出して上記斜面部に転接する回転自在な転動部品を埋め込み、上記多孔質材へ潤滑油を供給する油導入路を設けたため、騒音の低減および大幅な省エネが可能であり、安定した潤滑性能を得ることができる。また、潤滑油供給装置も、エアオイル潤滑の場合の潤滑油供給装置に比べて構造が簡単であり、安価に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)はこの発明の第1の実施形態に係る転がり軸受の潤滑構造の断面図、(B)はその部分拡大図、(C)はその部分横断面図である。
【図2】同じ潤滑構造を採用したスピンドル装置およびこれに接続される潤滑油供給装置を示す構成図である。
【図3】この発明の他の実施形態に係る転がり軸受の潤滑構造の断面図である。
【図4】この発明のさらに他の実施形態に係る転がり軸受の潤滑構造の断面図である。
【図5】この発明のさらに他の実施形態に係る転がり軸受の潤滑構造の断面図である。
【図6】図4,図5の実施形態における多孔質材の変形例を示す正面図である。
【図7】(A)はこの発明のさらに他の実施形態に係る転がり軸受の潤滑構造の断面図であり、(B)は(A)におけるA部を拡大して示す断面図である。
【図8】参考提案例にかかる転がり軸受の潤滑構造の断面図である。
【図9】同転がり軸受の潤滑構造におけるノズル部材の側面図である。
【図10】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1…転がり軸受
2…内輪
2a…転走面
2b…斜面部
3…外輪
6…潤滑油導入部材
8…多孔質材
13…潤滑油供給装置
31…転動部品
δ…隙間
【発明の属する技術分野】
この発明は、工作機械主軸用の転がり軸受等に適用される潤滑構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
工作機械の主軸装置は、加工能率を上げるためますます高速化の傾向にある。このため、主軸軸受の潤滑も、主軸の高速化に伴い、搬送エアに潤滑用オイルを混合して、オイルをノイズより軸受内に噴射することで、軸受の潤滑を行うエアオイル給油が多く用いられている。
しかし、一般的なエアオイル潤滑構造は、多量の高圧エアを必要とし、騒音も大きい。そのため、騒音、省エネ、省資源の観点から、エア消費量の削減に関する新しいエアオイル潤滑構造も提案されている(例えば特許文献1,特許文献2など)。
【0003】
図10は、アンギュラ玉軸受におけるそのような低騒音、省エネ型のエアオイル潤滑構造の従来例を示す。内輪32の反負荷側(軸受背面側)の外径面には、端面側を小径とする斜面部32bが設けられる。その斜面部32b上に、運転中でも接触しない程度の隙間を持ってエアオイル給油ノズル36の先端部36aが、保持器35の内径の直下に来るように配置される。搬送エアに混合された油を上記給油ノズル36の先端部36aの給油口38から内輪32の斜面部32b上に噴射することで、斜面部32bのポンピング作用と、内輪斜面部32bに付着した油の表面張力および遠心力による内輪転走面32a方向の分力を利用して、保持器35の内径面あるいは内輪32の転走面32aに潤滑油が導びかれる。
【0004】
この提案例の潤滑構造によると、それ以前のエアオイル潤滑構造の場合と異なり、転動体34の公転に伴う風圧の影響を受けることなく、潤滑油を軸受内に供給できることから、低騒音とエアの消費量削減が可能となる。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−61657号公報
【特許文献2】
特開2002−54643号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記提案例によれば、それ以前のエアオイル潤滑構造に比べるとエア量の削減が可能となっているが、エアオイル潤滑であるため、潤滑油を搬送するためと、潤滑油を内輪斜面部に噴射するためのエアは必要であり、エアが消費される。そのため、より一層の省エネルギが求められる。また、騒音についても、より静音化が求められる。さらに、エアオイル潤滑では間欠給油となるため、回転数に対応した微量の給油が難しく、より安定した潤滑性能が求められている。
【0007】
この発明の目的は、エア消費がなくて、より一層の省エネルギ化、および騒音低減が可能で、かつ安定した潤滑性能が得られる転がり軸受の潤滑構造を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明における第1の発明の転がり軸受の潤滑構造は、転がり軸受の内輪の外径面における転走面の側方に斜面部を設け、この斜面部に隙間を介して沿う潤滑油導入部材を配置し、この潤滑油導入部材の上記斜面部に対面する円周上の一部または全体に、上記斜面部に近接または接触する多孔質材を設け、この多孔質材へ潤滑油を供給する油導入路を設けたものである。
この構成によると、多孔質材が内輪の斜面部に近接または接触するため、油導入路から多孔質材に供給された潤滑油が、多孔質材内の細孔を通過して内輪の斜面部に付着する。内輪斜面部に付着した潤滑油は、潤滑油の表面張力と内輪の回転に伴う遠心力により、内輪の転走面に供給され、潤滑に使用される。潤滑油の供給量は、多孔質材の断面積や、内部細孔の形成程度、および多孔質材へ供給する潤滑油の加圧力で制御できる。多孔質材の内部の細孔を通過させて潤滑油を供給するため、回転数に対応した微量の連続給油が可能であり、安定した潤滑性能が得られる。多孔質材から内輪の斜面部への潤滑油の供給は、多孔質材が斜面部に近接または接触することで、対向面間で伝わって行われるため、噴射の場合のような騒音の問題がなく、より一層静音化される。多孔質材は、内輪の斜面部に押しつけるようにしても良いが、必ずしも接触しなくても、ある程度近接していると、表面張力等で多孔質材の潤滑油が斜面部に伝わる。多孔質材への潤滑油の供給には例えばエア等を用いるが、その場合にもエアは圧送するための加圧手段として用いられるだけであり、エアの消費はない。そのため、省エネルギ効果が期待できる。潤滑油の供給装置も、圧送できるものであれば良く、エアオイルを生成する必要がないため、構造が簡単であり、安価に製作できる。
【0009】
この発明における第2の発明の転がり軸受の潤滑構造は、転がり軸受の内輪の外径面における転走面の側方に斜面部を設け、この斜面部に隙間を介して沿う潤滑油導入部材を配置し、この潤滑油導入部材の上記斜面部に対面する円周上の一部または全体に多孔質材を設け、この多孔質材に、一部がこの多孔質材から露出して上記斜面部に転接する回転自在な転動部品を埋め込み、上記多孔質材へ潤滑油を供給する油導入路を設けたものである。
この構成の場合、多孔質材に供給された潤滑油は、多孔質材内の細孔を通過して転動部品に付着する。この状態で内輪を回転させると、内輪からの駆動力が転動部品に伝達され、転動部品が自転すると共に、転動部品に付着していた潤滑油が内輪の斜面部に付着する。斜面部に付着した潤滑油は、上記と同様に内輪の転走面に流れ、潤滑に使用される。この発明の場合も、軸受に供給する潤滑油量は多孔質材の断面積や、内部細孔の形成程度、および多孔質材へ供給する潤滑油の加圧力で制御できる。この構成の場合も、第1の発明と同様に、エア消費がなくて、より一層の省エネルギ化、および騒音低減が可能で、かつ安定した潤滑性能が得られる。
【0010】
これらの発明において、上記多孔質材は多孔質の焼結材であっても良い。焼結材には各種の焼結合金等を用いることができる。焼結材によると、多孔質の材質に製造し易く、多孔質材の内部の細孔の内径や細孔の占める空間比率等を、求められる性能に応じたものに調整し易い。また、焼結材によると、内輪の斜面部に滑り接触させる場合にも、摩耗の生じ難いものを選定することができる。
【0011】
また、これらの発明において、上記油導入路に潤滑油を加圧状態で供給する潤滑油供給装置を設けても良い。多孔質材への潤滑油の供給は、加圧状態で行うことが、効率の面で好ましい。軸受に供給する潤滑油量は、潤滑油への加圧力で制御することができる。
【0012】
さらに、この発明において、上記多孔質材は、上記油導入路に供給される潤滑油の圧力で上記斜面部側へ変位可能なように上記潤滑油導入部材に取付けられたものとしても良い。
このように構成した場合、潤滑油の圧力で斜面部に多孔質材が押し付けられるので、多孔質材から斜面部への潤滑油の付着が円滑に行われ、より安定した潤滑性能が得られる。また、潤滑油の圧力により多孔質材を押し付けるようにした場合、軽い押し付け力を安定して得ることができて、多孔質材の内輪斜面部への接触により回転の抵抗が生じることが回避される。
【0013】
【発明の実施の形態】
この発明の第1の実施形態を図1,図2と共に説明する。転がり軸受1は、内輪2と外輪3の転走面2a,3a間に複数の転動体4を介在させたものである。転動体4は、例えばボールからなり、保持器5のポケット(図示せず)内に保持される。この転がり軸受1の内輪2の外径面に、転走面2aに続く斜面部2bを設け、この斜面部2bに隙間δを持って沿う潤滑油導入部材6を設ける。斜面部2bは、内輪2の幅面から転走面2aに続いて設け、また内輪2の反負荷側(軸受背面側)の外径面に設ける。斜面部2bの傾斜角度α(図1(B))は、実用回転数が高速になるほど大きくする必要がある。例えば、直径Dが100mmφの転がり軸受を回転数20000rpmで運転する場合、斜面部2bに付着した油が飛散なく内輪2の転走面2aに導入される斜面部2bの傾斜角度αは13°以上である。潤滑油導入部材6と斜面部2bとの隙間δは、内輪2と軸の嵌め合い、および内輪2の温度上昇と遠心力による膨張を考慮し、運転中に両部材2,6が接触しない値とされる。転がり軸受1がアンギュラ玉軸受である場合、内輪2のステップ面を設ける部分の外径面が上記斜面部2bとされる。
【0014】
上記斜面部2bに対面する潤滑油導入部材6の円周上の一部には多孔質材装着孔7が開口させてあり、この装着孔7に上記斜面部2bに接する多孔質材8を装着している。多孔質材8は多孔質の焼結材からなり、Oリング等からなるシール部材9を介して装着孔7に挿入されて、斜面部2b側へ変位可能とされている。潤滑油導入部材6は、リング状の部材であって、転がり軸受1に軸方向に隣接して設けられ、側面の内径部から軸方向に伸びる鍔状部6aを有している。この鍔状部6aは、平坦な内径面が内輪2の斜面部2bと同一角度の傾斜面に形成されて、保持器5の直下まで伸び、その先端部6aaを保持器5の内径面と内輪2の外径面の間における転動体4の近傍に位置させている。
【0015】
潤滑油導入部材6は、軸受1の外輪3を取付けたハウジング10に取付けられる。潤滑油導入部材6のハウジング10への取付けは、図1(A)のように直接取付けても、外輪間座を介して取付けても良い。
【0016】
上記装着孔7の底部は、上記多孔質材8へ潤滑油を供給する油導入路11に連通しており、この油導入路11は、ハウジング10から潤滑油導入部材6にわたって設けられた潤滑油供給路12に連通している。潤滑油供給路12は、ハウジング10に潤滑油供給口12aを有し、ハウジング10の内面にハウジング部出口12bを有している。ハウジング部出口12bは、潤滑油導入部材6の外径面に設けられた環状の連通溝12cに連通し、連通溝12cから、径方向に貫通した個別経路12dを介して、潤滑油導入部材6の各油導入路11に連通している。潤滑油供給口12aは、潤滑油を加圧状態で供給する潤滑油供給装置13(図2)に接続されている。
【0017】
図2は、図1の実施形態にかかる転がり軸受1の潤滑構造を応用したスピンドル装置の一例を示す。このスピンドル装置は、工作機械に設けられたものであり、主軸15の一端にワークまたは工具のチャックが取付けられる。主軸15は、軸方向に離れた複数の転がり軸受1により支持されており、これらの転がり軸受1に図1の例の潤滑構造が採用されている。各転がり軸受1の内輪2は主軸15の外径面に嵌合し、外輪3はハウジング10の内径面に嵌合している。これら内外輪2,3は、内輪押さえ25および外輪押さえ26により、ハウジング10内に固定されている。ハウジング10は、内周ハウジング10Aと外周ハウジング10Bの二重構造とされ、内外のハウジング10A,10B間に冷却媒体流路16が形成されている。内周ハウシング10Aは、その一部を図1(A)に示した構造としたものであり、前記潤滑油供給路12およびその潤滑油供給口12aが設けられている。また、ハウジング10には、内径面における軸受1の設置部付近に潤滑油排出用溝22が設けられ、この潤滑油排出用溝22から外部に開放される潤滑油排出用流路23が設けられる。
【0018】
潤滑油供給装置13は、油タンク27と、この油タンク27内に圧縮空気を供給して油タンク27内の油を加圧する油加圧装置28と、油タンク27内の油をろ過する油ろ過装置29を備える。ろ過された油は配管30を介してスピンドル装置の潤滑油供給路12に供給される。
【0019】
上記構成の潤滑構造の作用を説明する。潤滑油供給装置13において、油加圧装置28で加圧された油タンク27内の潤滑油は、油ろ過装置29を通過し、配管30を介して潤滑油導入部材6の多孔質材装着孔7の底部に圧送される。その油圧で多孔質材8が内輪2の斜面部2bに押し付けられる。この潤滑油は多孔質材8の細孔を経て内輪2の斜面部2bに付着する。斜面部2bに付着した油は、油の持つ表面張力と、内輪2の回転に伴う遠心力とにより、斜面部2bに付着しながら内輪2の転走面2aへ潤滑油として供給される。このとき転がり軸受1に供給する潤滑油量は、多孔質材8の断面積、その細孔の孔径や多孔質材容積に対する細孔の空間比率、および油への加圧力で制御可能である。
【0020】
この潤滑構造では、エアは油を圧送するための加圧手段として用いるだけであり、エアの消費が無いので、騒音の低減および大幅な省エネが可能である。また潤滑油供給装置13も、エアオイル潤滑の場合の潤滑油供給装置に比べて構造が簡単であり、安価に構成できる。またこの潤滑構造では、エアオイル潤滑の場合のような間欠給油ではなく、多孔質材8の細孔を通しての給油であるため、軸の回転数に対応した微量の連続供給が可能であり、安定した潤滑性能が得られる。さらに、潤滑油の圧力で斜面部2bに多孔質材8が押し付けられることから、多孔質材8から斜面部2bへの潤滑油の付着が円滑に行われ、より安定した潤滑性能が得られる。
【0021】
なお、上記実施形態では、潤滑油導入部材6の内輪斜面部2bに対面する円周上の一部に多孔質材8を設けたが、円周上の複数箇所に設けても、また上記円周上の全周に多孔質材8を設けても良い。
【0022】
図3は、この発明における他の実施形態を示し、第2の発明に対応する。この実施形態は、図1,図2に示した第1の実施形態において、潤滑材導入部材6の多孔質材装着孔7に装着する多孔質材8に転動部品挿入孔8aを設け、一部がこの多孔質材8から露出して内輪斜面部2bに転接する回転自在な転動部品31を上記転動部品挿入孔8aに挿入したものである。転動部品31は例えばセラミック製ボールからなる。その他の構成は第1の実施形態の場合と同じである。
【0023】
この実施形態では、潤滑油供給装置13から潤滑油導入部材6の多孔質材装着孔7底部に導入された油の圧力で、多孔質材8を介して転動部品31が内輪2の斜面部2bに押し付けられると共に、油が多孔質材8の細孔を経て転動部品31の表面に付着する。この状態で、内輪2が回転すると、内輪2からの駆動力が転動部品31に伝達され、転動部品31の自転と共に転動部品31の付着油が内輪2の斜面部2bに移る。斜面部2bに移った油は、第1の実施形態の場合と同様に、斜面部2bに付着しながら内輪2の転走面2aへ潤滑油として供給される。このとき転がり軸受1に供給する潤滑油量は、油への加圧力で制御できる。
【0024】
この実施形態の場合も、第1の実施形態の場合と同様に、騒音の低減および大幅な省エネが可能であり、安定した潤滑性能が得られる。
【0025】
図4は、この発明におけるさらに他の実施形態を示す。この実施形態は、図1,図2に示した第1の実施形態において、潤滑材導入部材6の多孔質材装着孔7を、大径孔部7aとこれに続いて内輪斜面部2b側に開口する小径孔部7bとでなるものとし、その大径孔部7aは個別経路12d(図1)を介さずに直接に連通溝12cに連通させてある。また、多孔質材8は、上記多孔質材装着孔7の大径孔部7aに遊嵌する大径部8aと上記小径孔部7bに遊嵌する小径部8bとでなる断面T字形状としている。この多孔質材8の大径部8aを、上記多孔質材装着孔7の大径孔部7aから小径孔部7bに至る段部に係止させたOリング等のシール部材9Aと、上記大径孔部7aに挿嵌させた管体17とで挟み付けることにより、進退移動可能となるように多孔質材装着孔7内に装着されている。その他の構成は第1の実施形態の場合と同じである。
【0026】
この実施形態では、多孔質材装着孔7内において、シール部材9Aが多孔質材8の進退移動に対して抵抗とならない位置に配置されているので、内輪2の斜面部2bが回転に伴って振動したときに、内輪斜面部2bの振動に対して多孔質材8が追従し易くなり、動圧効果によって浮上した多孔質材8と内輪斜面部2bとの間隔を適正に保つことができ、より安定した潤滑性能が得られる。
また、図1〜図3の各実施形態では、多孔質材装着孔7内で多孔質材8は固定されていないので、組付け時などに多孔質材8が多孔質材装着孔7から脱落する恐れがあるが、この実施形態では、多孔質材8の大径部8aが管体17とOリング9Aに挟み付けられて多孔質材装着孔7内に保持されているので、多孔質材装着孔7から多孔質材8が脱落することはない。
【0027】
図5は、この発明におけるさらに他の実施形態を示す。この実施形態は、多孔質材8を多孔質材装着孔7内に出入り方向に移動自在に嵌合させ、多孔質材8をばね部材18で突出付勢すると共に、ばね部材18を受けるばね受け19を雄ねじ部材としてそのねじ込み量の調整により、多孔質材8の内輪斜面部2bに対する予圧調整を可能としたものである。詳しくは、図4に示した実施形態において、多孔質材8を保持する管体17に代えて、多孔質材装着孔7における大径孔部7aの連通溝12c寄りの一部をねじ孔部7aaとし、大径孔部7aに挿入したコイルばねからなるばね部材18と上記ねじ孔部7aaに螺着させた中空雄ねじからなるばね受け19とで、多孔質材9を保持している。その他の構成は図4の実施形態の場合と同じである。
【0028】
この実施形態では、中空雄ねじからなるばね受け19の締め付け力によって、多孔質材8に適当な予圧を与えることができるので、より安定した潤滑性能が得られる。
【0029】
なお、図4および図5の実施形態において、内輪斜面部2bに対面する多孔質材小径部8bの先端は、図6のように球面SRとしても良い。これにより、内輪斜面部2bへの多孔質材8の接触を滑らかにすることができる。
【0030】
図7は、この発明におけるさらに他の実施形態を示す。この実施形態は、図1,図2に示した第1の実施形態において、多孔質材8は、その内輪斜面部2bと対面する先端部のエッジ8c(図7(B))が内輪斜面部2bに対して微小な隙間を持って対向するように多孔質材装着孔7に装着されている。図1におけるシール部材9は省略されている。図7(B)は図7(A)におけるA部の拡大図を示す。
【0031】
この実施形態では、図7(B)のように多孔質材8から染み出した潤滑油Oが、内輪斜面部2bとの間にメニスカスを形成することで、内輪斜面部2bに潤滑油Oが円滑に付着する。付着した潤滑油Oの一部は、潤滑油の持つ表面張力と、内輪2の回転に伴う遠心力とにより、斜面部2bに付着しながら内輪2の転走面2aへ潤滑油として供給される。これにより、安定した潤滑性能が得られる。また、多孔質材8と内輪斜面部2bとが非接触であるため、多孔質材8が内輪2の回転の抵抗要素とならず、騒音源になることもない。
【0032】
なお、上記各実施形態は、転がり軸受1がアンギュラ玉軸受である場合につき説明したが、この発明は転がり軸受一般に適用でき、例えば円筒ころ軸受にも適用することができる。円筒ころ軸受の場合、内輪鍔付きと内輪鍔無しのいずれであっても良く、内輪鍔付きの場合は、上記斜面部は内輪の鍔部に形成される。
【0033】
図8,図9は、参考提案例となる転がり軸受の潤滑構造を示す。この潤滑構造は、外部からグリース補給を行うグリース潤滑の転がり軸受において、軸受内部への給脂量を微量化することでグリースアップ時の温度上昇の低減を図るようにしたものである。転がり軸受1は、内輪2と外輪3の転走面2a,3a間に複数の転動体4を介在させたものである。転動体4は、例えばボールからなり、保持器5のポケット(図示せず)内に保持される。転がり軸受1はアンギュラ玉軸受とされている。
内輪2の外径面に両側に外側からのグリースの侵入防止と軸受内部の余剰グリース排除を目的としたリールリング41,42を固定する。シールリング41,42の外径面は、外輪3の内径面に近接し、外輪2の内径面との間で非接触シールまたは接触シールとなるシール部43を構成する。転がり軸受1の背面側に位置するシールリング41には、グリース溜り部44が設けてある。このグリース溜り部44のグリースは、給脂量調整部材54によって絞り込まれ、遠心力により保持器5の内径面または転動体4へ吐出されて潤滑を行う。グリース溜り部44には外部から給脂可能なノズル部材46の先端部46aが挿入されており、定期的なグリース補給が可能である。
【0034】
両側のリールリング41,42は、軸受組立後に締まり嵌め等により内輪2に固定される。上記グリース溜り部44は、リールリング41の内径部に設けられて軸受幅の中心側へ延びるグリース溜り形成壁44aによって形成されている。グリース溜り形成壁44aは、外周壁部44aa、先端壁部44ab、および内周壁部44acによって形成され、内周壁部は44acは外周壁部44aaよりも軸方向幅が小さく形成されている。この グリース溜り形成壁44aは、内輪2の外径面に形成された環状切欠部に嵌合し、この環状切欠部の外径面との間に空間部であるグリース溜り部44を形成する。
【0035】
ノズル部材46はリング状とされ、外輪4に隣接してハウジング10の内径面に嵌合している。ノズル部材46は、給脂ノズル孔47を円周方向の複数箇所に有している。給脂ノズル孔47は1か所であっても良い。給脂ノズル孔47の入口部はハウジング10に設けられた外部給脂路13に連通している。ノズル部材46の先端部46aは、ノズル部材46のリング状部分の内径縁から軸方向に突出した突出部として形成され、グリース溜り部44に挿入されている。この突出部からなる先端部46aは、給脂孔52の先端開口を形成した部分であり、ノズル部材46の全周にわたる鍔状とされている。先端部46aは、各給脂ノズル孔47の形成部分だけに局部的に設けた筒状であっても良い。ノズル部材46の転がり軸受1側の側面には、余剰グリース溜りスペース48(図9)が設けられている。ノズル部材46の内径側には、内輪間座47が内輪2に隣接して設けられている。
【0036】
給脂量調整部材54は、グリース溜り形成壁44aに、保持器5の内径面または転動体4の直下となる内径側で明いた嵌合孔に嵌め込んで固定されている。給脂量調整部材54は、焼結材や微細な多数の連通孔を有する部材等の多孔質材、または中実材からなる。給脂量調整部材54は、その多孔質材内部の連通孔、または上記嵌合孔との嵌め合い面から、その細い連通孔や嵌め合い面で形成された微細隙間によって、グリースまたはその基油を、給脂量制限しながら供給可能なものとされている。給脂量調整部材54が中実材である場合は、嵌め合い面の微細隙間は必要であるが、多孔質材である場合は、嵌め合い面の微細隙間は必ずしも必要ではない。この嵌め合い面の締代、面積(周長および軸方向長さ)、多孔質材の場合の空孔率は、転がり軸受1の必要油量に応じて設定される。すなわち、定期的なグリースの補給は、外部給脂路53から、給脂ノズル孔47を介してグリース溜り部44に行い、転がり軸受1の潤滑は、軸受組立時に封入するものと、グリース溜り部44から給脂量調整部材54で絞られて吐出される微小グリースとで行う。
【0037】
また、グリース補給の際のグリース溜り部44からのはみ出し分、およびグリース溜り部44からの吐出による軸受内余剰グリースの処理は、シールリング41,42のシール部43で行える。シールリング41,42は、薄い鋼板または樹脂で出来ており、軸方向にばね性を持たせることで、仮にグリース補給の際にグリース溜り部44からのはみ出し分が生じても、その圧力によりシールリング41,42を内側方向に撓ませてシール部43を密封し、軸受内へのグリースの侵入を防ぐ構造となっている。軸受内の余剰グリースについては、シールリング41,42の外径部のテーパ部が回転することで生じる外向きのポンピング作用が、軸受内部のグリースを排出させる。これらの余剰グリースは、給脂ノズル46に設けられた余剰グリース溜りスペース48(図9)に溜められる。
【0038】
このように、この提案例の潤滑構造によると、外部より定期的なグリース補給が可能であり、潤滑寿命に伴う問題が解消できる。また、定期的なグリース補給を行っても、軸受1内への過剰侵入がなく、また軸受1内の余剰グリースは軸受1外へ排出されかつ軸受1の内部へは必要量だけ給脂できるので、グリースの攪拌抵抗に伴う発熱を小さく抑えることができる。
【0039】
この提案例は、要点を整理すると、次の事項を備えるものである。なお、ここで言う事項は、図8,図9に示された内容に限らない。符号は参考に示した。
▲1▼.内輪2の外径面にシールリング41,42を固定し、片方のシールリング41に外部から補給した潤滑剤を溜めるグリース溜り部44とグリース吐出孔を設けた転がり軸受の潤滑構造。
▲2▼.上記▲1▼の潤滑構造において、内輪2に固定したシールリング41,42に軸方向のばね性を付与し、グリース補給時に軸受1内へのグリース侵入を防止する構造とする。
▲3▼.上記▲1▼の潤滑構造において、軸受内グリースの排除のため、回転時にシールリング41,42と外輪3の間で外向きのポンピング作用が生じる構造とする。
▲4▼.内輪2のグリース溜り部44から必要グリース量供給のため、グリースの給脂量調整部材54を設けた転がり軸受の潤滑構造。
▲5▼.上記▲5▼において、給脂量調整部材54は中実部材や多孔質材からなること。
また、上記の説明では、単列のアンギュラ玉軸受について説明したが、この提案例は複列のアンギュラ玉軸受や、その他の転がり軸受一般に適用することができる。
【0040】
【発明の効果】
この発明における第1の発明の転がり軸受の潤滑構造は、転がり軸受の内輪の外径面における転走面の側方に斜面部を設け、この斜面部に隙間を介して沿う潤滑油導入部材を配置し、この潤滑油導入部材の上記斜面部に対面する円周上の一部または全体に、上記斜面部に近接または接触する多孔質材を設け、この多孔質材へ潤滑油を供給する油導入路を設けたため、騒音の低減および大幅な省エネが可能であり、安定した潤滑性能を得ることができる。また、潤滑油供給装置も、エアオイル潤滑の場合の潤滑油供給装置に比べて構造が簡単であり、安価に構成することができる。
この発明における第2の発明の転がり軸受の潤滑構造は、転がり軸受の内輪の外径面における転走面の側方に斜面部を設け、この斜面部に隙間を介して沿う潤滑油導入部材を配置し、この潤滑油導入部材の上記斜面部に対面する円周上の一部または全体に多孔質材を設け、この多孔質材に、一部がこの多孔質材から露出して上記斜面部に転接する回転自在な転動部品を埋め込み、上記多孔質材へ潤滑油を供給する油導入路を設けたため、騒音の低減および大幅な省エネが可能であり、安定した潤滑性能を得ることができる。また、潤滑油供給装置も、エアオイル潤滑の場合の潤滑油供給装置に比べて構造が簡単であり、安価に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)はこの発明の第1の実施形態に係る転がり軸受の潤滑構造の断面図、(B)はその部分拡大図、(C)はその部分横断面図である。
【図2】同じ潤滑構造を採用したスピンドル装置およびこれに接続される潤滑油供給装置を示す構成図である。
【図3】この発明の他の実施形態に係る転がり軸受の潤滑構造の断面図である。
【図4】この発明のさらに他の実施形態に係る転がり軸受の潤滑構造の断面図である。
【図5】この発明のさらに他の実施形態に係る転がり軸受の潤滑構造の断面図である。
【図6】図4,図5の実施形態における多孔質材の変形例を示す正面図である。
【図7】(A)はこの発明のさらに他の実施形態に係る転がり軸受の潤滑構造の断面図であり、(B)は(A)におけるA部を拡大して示す断面図である。
【図8】参考提案例にかかる転がり軸受の潤滑構造の断面図である。
【図9】同転がり軸受の潤滑構造におけるノズル部材の側面図である。
【図10】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1…転がり軸受
2…内輪
2a…転走面
2b…斜面部
3…外輪
6…潤滑油導入部材
8…多孔質材
13…潤滑油供給装置
31…転動部品
δ…隙間
Claims (5)
- 転がり軸受の内輪の外径面における転走面の側方に斜面部を設け、この斜面部に隙間を介して沿う潤滑油導入部材を配置し、この潤滑油導入部材の上記斜面部に対面する円周上の一部または全体に、上記斜面部に近接または接触する多孔質材を設け、この多孔質材へ潤滑油を供給する油導入路を設けた転がり軸受の潤滑構造。
- 転がり軸受の内輪の外径面における転走面の側方に斜面部を設け、この斜面部に隙間を介して沿う潤滑油導入部材を配置し、この潤滑油導入部材の上記斜面部に対面する円周上の一部または全体に多孔質材を設け、この多孔質材に、一部がこの多孔質材から露出して上記斜面部に転接する回転自在な転動部品を埋め込み、上記多孔質材へ潤滑油を供給する油導入路を設けた転がり軸受の潤滑構造。
- 請求項1または請求項2において、上記多孔質材が多孔質の焼結材である転がり軸受の潤滑構造。
- 請求項1ないし請求項3のいずれかにおいて、上記油導入路に潤滑油を加圧状態で供給する潤滑油供給装置を設けた転がり軸受の潤滑構造。
- 請求項4において、上記多孔質材は、上記油導入路に供給される潤滑油の圧力で上記斜面部側へ変位可能なように上記潤滑油導入部材に取付けられている転がり軸受の潤滑構造。
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2002
- 2002-12-09 JP JP2002356141A patent/JP2004190706A/ja active Pending
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