JP2004190376A - 車両用スライドドアの開位置保持装置 - Google Patents

車両用スライドドアの開位置保持装置 Download PDF

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Abstract

【課題】全開位置よりも手前の中間位置にスライドドアを保持する開位置保持装置を提供すること。
【解決手段】スライドドアDを全開または中間の所定の位置まで開いたときに車体に設けた車体側ロック部材5,6に噛み合い、スライドドアDを上記所定の位置に保持可能なドア側ロック部材1を備えたスライドドアの開位置保持装置であって、車体側ロック部材5,6は、スライドドアDを全開位置で保持するための全開ロック部材6と、全開よりも手前の中間位置で保持するための中間ロック部材5とを備え、ドア側ロック部材1は、スライドドアDを中間位置まで開いたときに中間ロック部材5に噛み合うように作動する中間噛み合い準備位置(Y位置)と、スライドドアDが中間ロック部材5に噛み合わずスライドドアDを全開位置まで開くことを許容し、全開位置で全開ロック部材6に噛み合うように作動する全開噛み合い準備位置(X位置)とに切り換え可能とした。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定の開位置にスライドドアを保持せしめる車両用スライドドアの開位置保持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車のスライドドアには、窓ガラスを昇降して開閉するドア窓が設けられている。この種のスライドドアは、スライドドアを開く際、スライドドアを全開位置よりも手前の中間位置で止め、これ以上に開かないようにする中間ストッパ装置が設けられている。
【0003】
従来の中間ストッパ装置として、車体側に設けられたストライカとドア側に設けられたラッチとを係脱可能に係合せしめてスライドドアを中間位置で止めるようにしたものがある。図6および図7に示すように、車体側には、スライドレールSに沿うように中間ストライカ81と、全開ストライカ82が設けられている。スライドドア側には、ロアローラーRの支持ステーに両ストライカ81,82に係脱可能なラッチ83と、スライドドアのドア窓が所定の位置まで開くと第1のリンク84に押圧されてラッチ83と係合可能な位置へ移動し、中間ストライカ81と係合したラッチ83の一方の係合解除方向への移動を禁止してスライドドアの開方向(白矢印T方向)への移動を規制する中間ポール85と、スライドドアが全開位置まで移動したときに、ラッチ83と係合可能な位置へ移動し、全開ストライカ82と係合したラッチ83の他方の係合解除方向への移動を禁止してスライドドアの閉方向への移動を規制するとともに、ドアハンドルの操作で第2のリンク86に押圧されてラッチ83との係合を解除する全開ポール87が設けられている(例えば、特許文献1参照。)。これによれば、ドア窓が開いたままスライドドアを開くと、中間ストライカ81にラッチ83が係合したとき、中間ポール85がラッチ83に係合して、ドア開方向へのラッチ83と中間ストライカ81との係合解除を禁止するのでスライドドアが中間位置を越えて全開位置側へ移動することが規制される。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−160907号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来構造では、スライドドアの中間位置から開方向への移動を規制するが、中間位置から閉方向への移動は規制されない。従って、車両を下り坂等に駐車したときに、スライドドアを上記中間位置へ開いても不意にスライドドアが閉方向へ戻ってしまうおそれがあった。そこで本発明は、スライドドアの中間位置から開方向への移動を規制するとともに、中間位置から閉方向への移動を規制することができる車両用スライドドアの開位置保持装置を提供することを課題としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、車体に設けられた車体側ロック部材と、スライドドアに設けられ、スライドドアを全開または中間の所定の位置まで開いたとき上記車体側ロック部材に噛み合い、上記スライドドアを上記所定の位置に保持可能なドア側ロック部材とを備える車両用スライドドアの開位置保持装置であって、上記車体側ロック部材は、スライドドアを上記全開位置で保持するための全開ロック部材と、スライドドアを全開よりも手前の上記中間位置で保持するための中間ロック部材とを備え、上記ドア側ロック部材は、スライドドアを上記中間位置まで開いたときに上記中間ロック部材に噛み合うように作動する中間噛み合い準備位置と、スライドドアが上記中間位置まで開いても上記中間ロック部材に噛み合わずスライドドアを上記全開位置まで開くことを許容し、スライドドアを上記全開位置まで開いたとき上記全開ロック部材に噛み合うように作動する全開噛み合い準備位置とに切り換え可能とする(請求項1)。ドア側ロック部材が中間噛み合い準備位置であるときスライドドアを開くとドア側ロック部材が車体側の中間ロック部材と噛み合いスライドドアが中間位置を越えて全開位置側へ移動することを規制するとともにスライドドアを中間位置に保持することができ、ドア側ロック部材が全開噛み合い準備位置であるときスライドドアを開くとドア側ロック部材が車体側の全開ロック部材と噛み合い、スライドドアを全開位置に保持することができる。
【0007】
上記中間ロック部材と上記全開ロック部材を、スライドドアの開閉方向に対して直交する方向で車体寄りの位置とスライドドア寄りの位置にずらして配置する(請求項2)。中間ロック部材と上記全開ロック部材をスライドドアの開閉方向に対して直交方向にずらして配置したので、ドア側ロック部材の中間噛み合い準備位置と全開噛み合い位置との切換えが容易にできる。
【0008】
上記ドア側ロック部材は、スライドドアに回動可能に設けられ、スライドドアを上記中間または全開の保持位置よりも若干手前の位置まで開いたとき上記車体側ロック部材に押されて回動することにより上記車体側ロック部材に噛み合うように構成されており、上記中間噛み合い準備位置は、スライドドアが上記中間位置よりも若干手前の位置まで開いたときに、上記ドア側ロック部材が上記中間ロック部材に当接する位置とし、上記全開噛み合い準備位置は、スライドドアが上記全開位置よりも若干手前の位置まで開いたときに、上記ドア側ロック部材が上記全開ロック部材に当接する位置とする(請求項3)。
【0009】
上記ドア側ロック部材は、上記回動により上記全開噛み合い準備位置と上記中間噛み合い準備位置とに切り換わるように構成する(請求項4)。
【0010】
上記ドア側ロック部材を上記車体側ロック部材との噛み合いを解除する方向に付勢する付勢部材と、上記ドア側ロック部材に係合し該ドア側ロック部材が上記車体側ロック部材との噛み合いを解除する方向に回動するのを規制する規制位置、およびこの規制を解除する規制解除位置とに移動させることができる規制部材と、上記ドア側ロック部材が上記車体側ロック部材と噛み合った位置を越えて回動することを規制するストッパとを設ける(請求項5)。ドア側ロック部材は車体側ロック部材と噛み合ってスライドドアを所定の開位置に保持したとき、スライドドアを閉じ方向へ移動しようとしても規制部材によりドア側ロック部材の噛み合い解除方向への回動が規制され、スライドドアの閉じ方向への移動を規制し、スライドドアを開き方向へ移動しようとしてもストッパによりドア側ロック部材の噛み合い位置を越える方向への回動が規制され、スライドドアの開き方向への移動を規制する。
【0011】
スライドドアに設けられたドア窓の開度が規定量以上となったき上記ドア側ロック部材を上記中間噛み合い準備位置に移動させ、上記ドア窓の開度が規定量未満となったとき上記ドア側ロック部材を上記全開噛み合い準備位置に移動させる作動機構を設ける(請求項6)。上記作動機構は、上記ドア窓の開閉に応じて上記ドア側ロック部材を上記付勢部材の付勢力に抗して押すように進出しまたは後退する作動部材を設ける(請求項7)。ドア窓の開閉動作に連動させてドア側ロック部材を中間噛み合い準備位置または全開噛み合い準備位置に切り換えることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1ないし図3に基づいて本発明の実施形態を説明する。図1に示すように、スライドドアDには、ロアローラーRを支持する支持ステーR1にドア側ロック部材1を設置してある。ドア側ロック部材1は、二股に分岐した第1のアーム11と第2のアーム12とを備えたほぼU字形の金属片で、第1および第2のアーム11,12間には先端の開口幅を広幅としたほぼV字状の係合溝13が設けてある。第1のアーム11の先端には係合溝13に臨む側縁に硬質ゴムからなるクッション材14が固着してある。
【0013】
ドア側ロック部材1は、第1および第2のアーム11,12の根元が連結された基端を支軸10により軸支され、係合溝13をスライドドアDに対して緩やかに斜め後方かつ車体側へ向けた全開噛み合い準備位置(X位置)と、係合溝13をスライドドアDに対してほぼ直角に車体側へ向けたロック位置(Z位置)との間を回動可能としてある。ドア側ロック部材1は支軸10まわりに設けられた付勢部材15により矢印E方向へ付勢されている。
【0014】
ドア側ロック部材1は、支持ステーR1に設けられた作動レバー2(作動機構)により、上記全開噛み合い準備位置と、全開噛み合い準備位置および上記ロック位置の中間をなす中間噛み合い準備位置(Y位置)とに移動可能とされている。作動レバー2はほぼく字形に屈折しており、その屈折部が支軸20により回動可能に軸支されている。作動レバー2は、支軸20まわりに設けられたバネ部材21の付勢力により矢印F方向へ付勢されている。
【0015】
作動レバー2は、その一端がドア側ロック部材1の第2のアーム12の外側縁に当接せしめてある。他端にはワイヤ部材W1の一端が連結してあり、ワイヤ部材W1を介して、スライドドアDの図略のウィンドレギュレータに付設され、窓ガラスを下降せしめてドア窓を所定の位置よりも開いた時(ドア窓の開度が規定量以上となったとき)に作動する作動装置と連動するようにしてある。ドア窓が所定の位置よりも開いた状態で上記作動装置が作動してワイヤ部材W1が白矢印G方向へ引っ張られると、作動レバー2は反矢印F方向へ回動して作動レバー2の一端がドア側ロック部材1側へ進出してドア側ロック部材1を上記中間噛み合い準備位置へ押し回すようにしてある。
【0016】
支持ステーR1にはドア側ロック部材1の前側位置に、ドア側ロック部材1が反矢印E方向へ回動して上記ロック位置となったときにドア側ロック部材1の第1のアーム11の外側縁に当接して、上記ドア側ロック部材1がロック位置を越えて回動することを阻止するストッパ3が設置してある。ストッパ3にはドア側ロック部材1との当接部に硬質のゴムブロックからなるクッション材31が固着してある。
【0017】
ドア側ロック部材1は反矢印E方向へ回動して上記ストッパ3に当接したとき、規制部材4により上記ロック位置に保持される。規制部材4は支軸40により回動自在に支持され、かつバネ部材41により矢印H方向へ付勢されている。規制部材4は、その一端に形成した係合爪42を、ドア側ロック部材1の基端側外周に突設した係合部16に係合せしめてドア側ロック部材1を上記ロック位置に保持する。また規制部材4は、他端にワイヤ部材W2の一端が連結してあり、ワイヤ部材W2を介して、スライドドアDの図略のドアハンドル(操作手段)と連動するようにしてある。ドアハンドルを操作するとワイヤ部材W2が白矢印J方向へ引っ張られ、規制部材4が反矢印H方向へ回動して係合爪42と係合部16との係合が解除される。これによりドア側ロック部材1は、付勢部材15の付勢力により上記ロック位置から上記中間噛み合い準備位置または全開噛み合い準備位置に回動する。
【0018】
車体には乗降口の開口下縁Bに沿ってスライドドアDのロアローラーRを案内するロアレールSが設置してあり、乗降口の開口下縁Bの前後方向中間部には車体寄りの位置に、上記中間噛み合い準備位置にある状態のドア側ロック部材1の第1のアーム11先端部の移動軌跡上に車体側ロック部材たる中間ロック部材5が設けてある。中間ロック部材5は板状の金属ブラケット50に一体に設けられ、スライドドアD側へ張り出した張出部の前縁からスライドドアDの開閉方向と直交方向に縦壁51を備え、縦壁51の前面に硬質のゴムブロックからなるクッション材52を固着して構成されている。中間ロック部材5は、金属ブラケット50を介してロアレールSに固着され、スライドドア開放時に上記中間噛み合い準備位置にある状態のドア側ロック部材1と当接するように設置してある。
【0019】
また、乗降口の開口下縁Bの後端部にはスライドドアD寄りの位置で、上記全開噛み合い準備位置にある状態のドア側ロック部材1の第1のアーム11先端部の移動軌跡上に、車体側ロック部材として金属丸棒からなるストライカタイプの全開ロック部材6が設けてある。
【0020】
このように構成した車両用スライドドアの開位置保持装置の作動を説明する。図1および図2に示すように、開位置保持装置は、スライドドアDのドア窓を所定の位置まで開くと、ワイヤ部材W1に引っ張られて作動レバー4が反矢印F方向へ回動するとともにドア側ロック部材1を押して回動させ、ドア側ロック部材1が上記中間噛み合い準備位置(Y位置)に移動する。この状態でスライドドアDを開方向(白矢印T方向)へ移動させると、図2に示すように、ドア側ロック部材1の第1のアーム11の先端部が車体側の中間ロック部材5に当接し、これに押されてドア側ロック部材1が上記ロック位置(Z位置)へ回動する。ドア側ロック部材1は上記ロック位置へ回動するとストッパ3に当接してこれを越えて回動することが規制され、これによりスライドドアDの開方向(白矢印T方向)への移動が中間位置で規制される。
【0021】
また、ドア側ロック部材1はロック位置(Z位置)へ回動すると、第2のアーム12の先端が車体側の中間ロック部材5の縦壁51の背面側へ進出し、第1および第2のアーム11,12の先端により中間ロック部材5のクッション材52と縦壁51を前後に挟み込み、ドア側ロック部材1と中間ロック部材5が噛み合う。そして、ドア側ロック部材1がストッパ3に当接するとともに中間ロック部材5と噛み合った時点で、ドア側ロック部材1の係合部16と規制部材4の係合爪42とが係合し、ドア側ロック部材1は中間ロック部材5と噛み合った状態でロックされる。この状態から、スライドドアDが閉方向(反白矢印T方向)へ移動しようとしても、ドア側ロック部材1の係合部16と規制部材4の係合爪42との係合によりドア側ロック部材1が回動せず、ドア側ロック部材1と中間ロック部材5との噛み合いが解除されないので、ドア側ロック部材1の第2のアーム12の先端が中間ロック部材5の縦壁の背面に当接してスライドドアDの閉方向への移動が規制され、スライドドアDは中間位置に保持される。
【0022】
中間位置からスライドドアDを閉じるには、上記ドアハンドルを操作してドア側ロック部材1の係合部16と規制部材4の係合爪42との係合を解除する。この状態でスライドドアDを閉方向(反白矢印T方向)へ移動すると、ドア側ロック部材1が中間噛み合い準備位置(Y位置)へ移動し、スライドドアDを中間位置から閉じることができる。
【0023】
ドア窓を全閉または上記所定の位置よりも閉じた状態(ドア窓の開度が規定量未満となったとき)でスライドドアDを開いた場合には、図1および図3に示すように、作動レバー2が作動せずドア側ロック部材1が上記全開噛み合い準備位置(X位置)に保持されている。この状態でスライドドアDを開方向(白矢印T方向)へ移動させると、図3に示すように、ドア側ロック部材1は中間ロック部材5を通過する。その後、ドア側ロック部材1は第1のアーム11の先端部が全開ロック部材6に当接し、これに押されてドア側ロック部材1は全開ロック部材6を係合溝13内へ嵌入しつつ上記ロック位置(Z位置)へ回動して全開ロック部材6と噛み合い、ドア側ロック部材1の係合部16と規制部材4の係合爪42とが係合ロックしてスライドドアDを全開位置に保持する。
【0024】
本実施形態によれば、ドア窓を所定の位置以上に開いた状態でスライドドアDを開いたとき、上記中間噛み合い準備位置のドア側ロック部材1と中間ロック部材5とが当接してドア側ロック部材1がロック位置に回動することにより、スライドドアDの中間位置から全開位置側への移動が規制され、かつドア側ロック部材1と中間ロック部材5との噛み合いにより、スライドドアDの中間位置から閉方向への移動が規制される。従って、スライドドアDを中間位置に確実に保持することができ、下り坂等に駐車した状態でスライドドアDを中間位置まで開いても不意に閉まることがない。また、ドア側ロック部材1により、スライドドアDの中間位置での開き移動を規制する機能と、スライドドアDを中間位置で保持する機能、およびスライドドアDを全開位置で保持する機能とを実現させる構造としたので構成部品が少なくすむ。
【0025】
次に、図4および図5に基づいて本発明の他の実施形態を説明する。本実施形態の基本構造は、先の実施形態のそれとほぼ同じで、相違点を中心に説明し、図において、先の実施形態と同一部材は同一符号で表し、それらの説明は省略する。図4および図5に示すように、ドア側ロック部材1Aは、二股に分岐した第1のアーム17と第2のアーム18とを備えたほぼU字形の厚肉金属板体で、第1および第2のアーム17,18間には比較的狭幅な直線状の係合溝19が設けてある。ドア側ロック部材1Aの表面には合成樹脂または硬質ゴムの表皮材でコーティングしてある。係合溝19の溝幅は後述の丸棒状の中間ロック部材5Aおよび全開ロック部材6の軸径よりも若干大きく、両ロック部材5A,6を嵌入可能としてある。また、第1のアーム17は、第2のアーム18よりも若干長めに形成してあり、先端は先細りのテーパー状に形成してある。
【0026】
ドア側ロック部材1Aは、スライドドアのドア窓の開閉に連動する作動レバー2により、中間噛み合い準備位置(図4のY位置)と全開噛み合い準備位置(図5のX位置)とに回動可能に設けられており、上記ドア窓が所定の位置まで開いたとき中間噛み合い準備位置をなし、ドア窓が全閉または上記所定の位置よりも閉じたとき全開噛み合い準備位置をなすようにしてある。また、ドア側ロック部材1Aは、ロック位置(図4、図5のZ位置)に回動したとき、基端側外周に設けた係合部16に、ドアハンドルと連動する規制部材4の係合爪42が係合して上記ロック位置に保持される。
【0027】
車体の乗降口の開口下縁Bの前後方向中間部には車体寄りの位置で、上記中間噛み合い準備位置にある状態のドア側ロック部材1の第1のアーム11先端部の移動軌跡上に、金属ブラケット50に立設した金属丸棒からなるストライカタイプの中間ロック部材5Aが設けてあり、スライドドア開放時に上記中間噛み合い準備位置のドア側ロック部材1の先端部と当接するように設置してある。また、乗降口の開口下縁Bの後端部にはスライドドア寄りの位置で、上記全開噛み合い準備位置のドア側ロック部材1の第1のアーム11先端部の移動軌跡上にストライカタイプの全開ロック部材6が設けてある。
【0028】
本実施形態の開位置保持装置は、図4に示すように、スライドドアDのドア窓を所定の位置まで開くと、上記中間噛み合い準備位置(Y位置)に回動し、この状態でスライドドアDを開方向(白矢印T方向)へ移動させると、ドア側ロック部材1Aの第1のアーム17の先端部が車体側の中間ロック部材5Aに当接し、これに押されてドア側ロック部材1Aが上記ロック位置(Z位置)へ回動しつつ係合溝19内に中間ロック部材5Aを嵌入していく。そして、ドア側ロック部材1Aは上記ロック位置へ回動するとストッパ3に当接してこれを越えて回動することが規制され、これによりスライドドアDの開方向(白矢印T方向)への移動が中間位置で規制される。
【0029】
ドア側ロック部材1Aはロック位置(Z位置)へ回動すると、中間ロック部材5Aと噛み合った状態で、係合部16と規制部材4の係合爪42とが係合し、ドア側ロック部材1Aは中間ロック部材5Aと噛み合った状態でロックされる。従って、スライドドアが閉方向(反白矢印T方向)へ移動しようとしても、ドア側ロック部材1Aが回動せず、ドア側ロック部材1Aと中間ロック部材5Aとの噛み合いが解除されないので、スライドドアDの閉方向への移動が規制され、スライドドアDは中間位置に保持される。
【0030】
中間位置からスライドドアDを閉じるには、上記ドアハンドルを操作してドア側ロック部材1Aの係合部16と規制部材4の係合爪42との係合を解除する。これによりスライドドアDが閉方向(反白矢印T方向)へ移動すると、ドア側ロック部材1が中間噛み合い準備位置(Y位置)へ移動し、ドア側ロック部材1と中間ロック部材5との噛み合いが解除され、スライドドアDを中間位置から閉じることができる。
【0031】
ドア窓を全閉または上記所定の位置よりも閉じた状態でスライドドアを開いた場合には、図5に示すように、作動レバー2によりドア側ロック部材1Aが上記全開噛み合い準備位置(X位置)に保持されている。この状態でスライドドアを開方向(白矢印T方向)へ移動させると、ドア側ロック部材1Aは中間ロック部材5Aを通過し、第1のアーム17の先端部が全開ロック部材6に当接し、これに押されて全開ロック部材6を係合溝19内へ挿入しつつ上記ロック位置(Z位置)へ回動する。そして、ドア側ロック部材1Aは上記ロック位置で、全開ロック部材6と噛み合い、ドア側ロック部材1Aの係合部16と規制部材4の係合爪42とが係合ロックしてスライドドアを全開位置に保持する。
【0032】
本実施形態によれば、先の実施形態と同様な作用効果が得られ、スライドドアDを中間位置に確実に保持することができる。
【0033】
【発明の効果】
本発明の車両用スライドドアの開位置保持装置によれば、スライドドアの中間位置から開方向への移動を確実に規制するとともに、中間位置から閉方向への移動も確実に規制することができ、スライドドアの中間位置からの不意の閉じ移動を防ぐことができる。また開位置保持装置は構造簡素にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用スライドドアの開位置保持装置を示す平面構成図である。
【図2】上記開位置保持装置によりスライドドアを中間位置に保持せしめた状態の作動説明図である。
【図3】上記開位置保持装置によりスライドドアを全開位置に保持せしめた状態の作動説明図である。
【図4】本発明の他の実施形態の車両用スライドドアの開位置保持装置を示し、該開位置保持装置によりスライドドアを中間位置に保持せしめた状態の作動説明図である。
【図5】上記他の実施形態の開位置保持装置によりスライドドアを全開位置に保持せしめた状態の作動説明図である。
【図6】従来のスライドドアの中間ストッパ機構の平面構成図である。
【図7】上記従来の中間ストッパ機構によりスライドドアを中間位置に規制せしめた状態の要部作動図である。
【符号の説明】
B 乗降口の開口下縁(車体)
D スライドドア
X 全開噛み合い準備位置
Y 中間噛み合い準備位置
1,1A ドア側ロック部材
15 付勢部材
2 作動レバー(作動機構)
3 ストッパ
4 規制部材
5,5A 中間ロック部材(車体側ロック部材)
6 全開ロック部材(車体側ロック部材)

Claims (7)

  1. 車体に設けられた車体側ロック部材と、スライドドアに設けられ、スライドドアを全開または中間の所定の位置まで開いたとき上記車体側ロック部材に噛み合い、上記スライドドアを上記所定の位置に保持可能なドア側ロック部材とを備える車両用スライドドアの開位置保持装置であって、
    上記車体側ロック部材は、スライドドアを上記全開位置で保持するための全開ロック部材と、スライドドアを全開よりも手前の上記中間位置で保持するための中間ロック部材とを備え、
    上記ドア側ロック部材は、スライドドアを上記中間位置まで開いたときに上記中間ロック部材に噛み合うように作動する中間噛み合い準備位置と、スライドドアが上記中間位置まで開いても上記中間ロック部材に噛み合わずスライドドアを上記全開位置まで開くことを許容し、スライドドアを上記全開位置まで開いたとき上記全開ロック部材に噛み合うように作動する全開噛み合い準備位置とに切り換え可能であることを特徴とする車両用スライドドアの開位置保持装置。
  2. 上記中間ロック部材と上記全開ロック部材は、スライドドアの開閉方向に対して直交する方向で車体寄りの位置とスライドドア寄りの位置にずらして配置されている請求項1に記載の車両用スライドドアの開位置保持装置。
  3. 上記ドア側ロック部材は、スライドドアに回動可能に設けられ、スライドドアを上記中間または全開の保持位置よりも若干手前の位置まで開いたとき上記車体側ロック部材に押されて回動することにより上記車体側ロック部材に噛み合うように構成されており、
    上記中間噛み合い準備位置は、スライドドアが上記中間位置よりも若干手前の位置まで開いたときに、上記ドア側ロック部材が上記中間ロック部材に当接する位置とし、
    上記全開噛み合い準備位置は、スライドドアが上記全開位置よりも若干手前の位置まで開いたときに、上記ドア側ロック部材が上記全開ロック部材に当接する位置とした請求項1または請求項2に記載の車両用スライドドアの開位置保持装置。
  4. 上記ドア側ロック部材は、上記回動により上記全開噛み合い準備位置と上記中間噛み合い準備位置とに切り換わるように構成されている請求項3に記載の車両用スライドドアの開位置保持装置。
  5. 上記ドア側ロック部材を上記車体側ロック部材との噛み合いを解除する方向に付勢する付勢部材と、上記ドア側ロック部材に係合し該ドア側ロック部材が上記車体側ロック部材との噛み合いを解除する方向に回動するのを規制する規制位置、およびこの規制を解除する規制解除位置とに移動させることができる規制部材と、上記ドア側ロック部材が上記車体側ロック部材と噛み合った位置を越えて回動することを規制するストッパとを備える請求項3または請求項4に記載の車両用スライドドアの開位置保持装置。
  6. スライドドアに設けられたドア窓の開度が規定量以上となったとき上記ドア側ロック部材を上記中間噛み合い準備位置に移動させ、上記ドア窓の開度が規定量未満となったとき上記ドア側ロック部材を上記全開噛み合い準備位置に移動させる作動機構を備える請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の車両用スライドドアの開位置保持装置。
  7. 上記作動機構は、上記ドア窓の開閉に応じて上記ドア側ロック部材を上記付勢部材の付勢力に抗して押すように進出しまたは後退する作動部材を備えている請求項6に記載の車両用スライドドアの開位置保持装置。
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