JP2004190331A - 自然環境再生型護岸部材及びこれを用いた護岸施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】河川、湖、海岸などの水辺境界周辺部において河川生態系に配慮した生態的棲息場所を再生し、これによる周辺景観の改善と情緒の向上を図るための緑地休息空間等を造成できる護岸部材及びこれを用いた護岸施工方法を提供する
【解決手段】天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体2aからなる袋状体2或いは筒状体の内部に、天然繊維素材及び/又は天然繊維素材の布状体3を充填したり、網状体と布状体とを積層し、多層構造の積層体に形成したり、或いは網状体と、布状体とを共巻きし、多層構造のロール形態に形成してなる自然環境再生型護岸部材1を敷設し、そこで水生植物や植物が育つようにして斜面の土砂流失防止、斜面下端の流失防止、水生植物の固定化による堤防流失防止を図り、水生植物や植物の根や天然繊維素材からなる護岸部材での魚の棲息を可能にして、河川の自然保護機能である水質自浄効果を極大化する。
【選択図】 図1
【解決手段】天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体2aからなる袋状体2或いは筒状体の内部に、天然繊維素材及び/又は天然繊維素材の布状体3を充填したり、網状体と布状体とを積層し、多層構造の積層体に形成したり、或いは網状体と、布状体とを共巻きし、多層構造のロール形態に形成してなる自然環境再生型護岸部材1を敷設し、そこで水生植物や植物が育つようにして斜面の土砂流失防止、斜面下端の流失防止、水生植物の固定化による堤防流失防止を図り、水生植物や植物の根や天然繊維素材からなる護岸部材での魚の棲息を可能にして、河川の自然保護機能である水質自浄効果を極大化する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、主として河川、湖、海岸などの陸地と水の境界をなす水辺境界周辺部における侵食防止或いは人工島の造成のために用いられる環境に優しい自然環境再生型護岸部材に関し、特に、各種植物・生物の着生が可能で、自然環境に合致する極めて安全かつ合理的な自然環境再生型護岸部材及びこれを利用した護岸施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
河川、湖、海岸などの陸地と水の境界をなす水辺境界周辺部は、流水による浸食と堆積、浸水と乾燥が耐えず繰り返され、独特の生態系を構成する。
【0003】
それにも拘わらず、現在の各種流水川辺においては、人工的な岩石やコンクリートのような護岸部材で護岸処理がなされているため、生態系の構成が自然状態で反復的に循環できず、魚介類の生息地の閉鎖による生態系の破壊、そして生態系の破壊による自然浄化作用の喪失にともなう2次的環境破壊や3次的環境破壊等の別な環境問題を惹起している。
【0004】
即ち、代表的に使用されるコンクリート製護岸部材は、初期には、多様な形態の構造物が組織的に水辺境界と傾斜部(法面)に設置され、美麗に敷設され、あたかも現代文明の象徴のように認識されているが、単純なコンクリートと岩石材に頼った護岸は、河川や湖等の底が洗掘と浸食の作用によって破壊され、コンクリートや岩石の支持基盤がなくなり、自ら破壊してしまうことになる。
【0005】
従って、コンクリート製護岸部材を用いて護岸処理を行った場合、一定の期間が経過すると修復、再施行が不可避となり、しかもより一層深刻なことは、コンクリートには生物が生息し難い上、特に、植物が成長、繁殖するために必要な緻密な根組織を成長することができないばかりか、魚介類や各種低棲動植物更に湿地微生物等の棲息場所の破壊によって生態系の混乱と破壊が発生し、その結果、それに起因する各種副作用の問題で、河川の自然浄化作用自体を崩壊させるのである。
【0006】
このため、人工構造物が持つ短所を解消し、緑色空間が不足した川辺の空間を緑地として再生するための技術開発に対する要求が強くなってきており、現在様々な提案や試行が行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
その一例として、傾斜部(法面)を不織布又は織布で覆い、色々な植生植物を植栽する方法が提案されているが、この場合、耐久性や価格などの観点からポリエチレンやポリプロピレン等の化学繊維糸で作られた不織布又は織布が用いられているが、このような不織布又は織布は、植物の生育には殆ど役に立たないだけでなく、長期間にわたって生分解を受け難いので、環境破壊の原因となる。
【0008】
また、接着成分と土壌母材の混合物に、各種植物の種子と肥料を混合して傾斜面(法面)に塗工処理し、植物帯を構成する方法が主に工事法面部に施工されているが、このような工法を流水のあるところに適用した場合、水が一度でも流れると大部分が流出してしまうという問題が発生するため、その効果がなく、適用した意味が全く無いのである。
【0009】
本発明は、前記技術的課題を解決するために完成されたものであって、河川、湖、海岸などの陸地と水の境界をなす水辺境界周辺部に自然を取り戻し、しかもこの水辺境界周辺部の侵食防止を図ったり、或いは人工島の造成のために使用される護岸部材及びこれを用いた護岸施工方法を提供することを目的とするものであり、更に詳しくは、水辺と陸地との間に一定の厚さの天然繊維素材で作った護岸部材を設置し、そこで水生植物や植物が育つようにして斜面部の土砂の流失防止を実現したり、斜面部下端の流失防止を実現したり、水生植物や植物の固定化による堤防流失防止を図り、水生植物や植物の根や天然繊維素材の護岸部材での魚の棲息を可能にして、河川の自然保護機能である水質自浄効果を極大化し、河川生態系に配慮した生態的棲息場所を再生し、これによる周辺景観の改善と情緒の涵養のための緑地休息空間等を造成するための自然環境再生型護岸部材及びこれを用いた護岸施工方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、まず、本発明に係る第1の自然環境再生型護岸部材(以下、「本発明第1護岸部材」という。)においては、主として河川、湖、海岸などの陸地と水との境界をなす水辺境界周辺部における侵食防止或いは人工島の造成のために用いられる護岸部材であって、この護岸部材は、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体からなる袋状体或いは筒状体の内部に、天然繊維素材及び/又は天然繊維素材の布状体を充填してなることを特徴とするものである。
【0011】
本発明第1護岸部材において、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体からなる袋状体或いは筒状体の内面にはフェルトが1層或いは複数層積層されて、内部に充填された天然繊維素材及び/又は天然繊維素材の布状体が解れても外部に流出しないように形成されてなるものが挙げられる。
【0012】
又、本発明に係る第2の自然環境再生型護岸部材(以下、「本発明第2護岸部材」という。)においては、前記目的を達成するために、主として河川、湖、海岸などの陸地と水との境界をなす水辺境界周辺部における侵食防止或いは人工島の造成のために用いられる護岸部材であって、この護岸部材は、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材の布状体とを積層し、多層構造の積層体に形成してなることを特徴とするものである。
【0013】
更に、本発明に係る第3の自然環境再生型護岸部材(以下、「本発明第3護岸部材」という。)においては、前記目的を達成するために、主として河川、湖、海岸などの陸地と水との境界をなす水辺境界周辺部における侵食防止或いは人工島の造成のために用いられる護岸部材であって、この護岸部材は、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材の布状体とを共巻きし、多層構造のロール形態に形成してなることを特徴とするものである。
【0014】
即ち、本発明に係る第1ないし第3の自然環境再生型護岸部材は、主として河川、湖、海岸などの陸地と水との境界をなす水辺境界周辺部における侵食防止或いは人工島の造成のために用いられるものであり、いずれも天然繊維素材で形成されてなるものであるから、天然繊維素材が持つ固有の特性によって適正量の水分を常に包摂することができる保水性、透水性及び通気性を有し、しかも自然界において相当の期間を経て徐々に腐食(生分解)が発生し、一定期間生物の栄養源として大変重要な生物学的培地機能を発揮するのである。
【0015】
又、本発明に係る第1ないし第3の自然環境再生型護岸部材は、いずれも天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体により、しっかりと補強されているから、流水による衝撃や、浸水や渇水による膨潤や乾燥等の環境下にあっても、長期間にわたってその形態を保持することができるのである。
【0016】
そして、本発明に係る第1ないし第3の自然環境再生型護岸部材は、いずれも天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体により、しっかりと補強されていることから、機械的強度が高く、従って、当該護岸部材の施工直後であっても、十分な護岸機能を発現するのであるが、当該護岸部材に植物が根を下ろして安定化すれば、これら根が固く絡まりあって、当該護岸部材の腐食(生分解)・消滅後にも半永久的に護岸機能が維持される上、河川、湖又は海を汚染する各種有機栄養物を分解除去する各種好気性微生物または嫌気性性微生物の着生を促し、しかも、これらの微生物を食糧源とする魚介類の繁殖も可能となるのである。
以下、本発明第1護岸部材ないし本発明第3護岸部材について順次に詳細に説明する。
【0017】
前述したように、本発明第1護岸部材は、天然繊維素材で形成されてなるものであるが、この本発明第1護岸部材において用いられる天然繊維素材としては、特に制限されるものではなく、ココヤシ繊維、木綿、カポック、ジュート麻、マニラ麻、サイザル麻、絹、ラクダ、アルパカ、羊毛、モヘア又はカシミヤ等の公知の天然繊維素材から選ばれた少なくとも1種以上を適宜、選択して用いることができるが、これらのうち、外装材である袋状体或いは筒状体は強度の高いものを用いることを要し、例えば比較的強度の小さい木綿や麻などは充填材として用いるのが望ましい。
【0018】
中でも、これらの天然繊維素材のうち、ココヤシ繊維は、リグニンやセルロースからなり木に近い素材で、強度が高く、しかも水中でも腐り難く、長期安定性更に適度の生分解性を有するのであり、又、資源も豊富で廉価である上、環境を破壊しないなどの理由から、特に好ましい。
【0019】
そして、本発明第1護岸部材は、前記天然繊維素材から選ばれた少なくとも1種以上を加撚し、一定の太さのロープを形成し、このロープを網状に形成した網状体からなる袋状体或いは筒状体の内部に、前記天然繊維素材から選ばれた少なくとも1種以上を充填したり、前記天然繊維素材から選ばれた少なくとも1種以上を布状に形成した布状体を充填したり、更に前記天然繊維素材から選ばれた少なくとも1種以上を布状に形成した布状体を巻回して挿入、充填することによって製造される。
【0020】
即ち、本発明第1護岸部材を製造する場合には、まず前記天然繊維素材を加撚してロープを形成することを要するが、このロープを形成する際の天然繊維素材の加撚回数及び当該ロープの直径としては、目的とする護岸部材の使用目的等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、一般的には、直径6〜12mm程度のロープを形成することが好ましい。
【0021】
ロープの直径が6mm未満の場合、細すぎて機械的強度が不足し、最終的な護岸部材の強度や長期安定性更に適度の生分解性などに悪影響を与えるため好ましくなく、一方、ロープの直径が12mmを超えると、太くなり過ぎて網状体を形成するのが困難となる上、最終的な護岸部材の柔軟性に悪影響を与えるため、いずれも好ましくない。
【0022】
なお、ロープの強度は、ロープを形成する天然繊維素材の種類、当該繊維の加撚回数及び当該ロープの直径によって決定されるものである。従って、ロープの強度は、使用される当該ロープ1本当たりの引張強度によって数値的に管理することが好ましく、一般的には、長さ方向における引張強度が10kg/1本以上のものが好ましく、この引張強度が10kg/1本未満になると後述する、網状体における幅方向の引張強度や長さ方向における引張強度が得難くなるので好ましくない。
【0023】
ところで、前述のように、天然繊維素材のうち、ココヤシ繊維が最も好ましいが、このココヤシ繊維を用いてココヤシロープを製造するにあたり、一般的には、手作業で行われるが、特に、素材の長さや太さを厳選することにより機械加工が可能となって生産性が著しく向上するうえ、強度の極めて高いココヤシロープが得られるので、本発明においては、このようなココヤシロープを使用するのが特に好ましい。
【0024】
次いで、本発明第1護岸部材を製造する場合、前記ロープを網状に形成して網状体を得るのであるが、この網状体の形成についても、目的とする護岸部材の使用目的等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、本発明においては、前記ロープを緯糸と経糸に用い、この緯糸と経糸によって、四角形状の通孔が連続配置するように繊造して網状体を形成することが特に好ましい。
【0025】
木綿や麻等の一般的な天然繊維素材を用いて強度の高いロープを形成するのは困難であるので、合成繊維で外装材を製造するメーカーも存在するが、河川の流速や石更に木の枝等の流下物が当たると裂けたり破損し易く、しかもその結果、充填材が流出する等、ダメージが大であり、又、環境破壊などの弊害も発生する。
【0026】
そこで、本発明においては、天然繊維素材、特に、ココヤシ繊維を用いてココヤシロープを製造し、このココヤシロープを網状体に形成するにあたり、複数のロープを適当な間隔をおいて縦横に連続配置し、その交差箇所を結束処理して、ひし形、正方形或いは長方形等の通孔が構成された網状体を形成するのが好ましく、このようなひし形、正方形或いは長方形等の通孔を備える網状体で本発明の護岸部材を製造すると、当該護岸部材が、吸水などによる膨張圧に耐え得るうえ、河川の流速や石更に木の枝等の流下物が当たっても裂けたり破損し難いので、耐久性が著しく優れる結果、植物が安定した根構造を形成するまで腐食(生分解)にも耐え得るのであり、又、土壌の構造、植物の成長・成育形態などに合わせて好適に適用できる上、環境破壊などの問題も発生しないのである。
【0027】
なお、網状体に形成される通孔の大きさ、換言すれば、網状体における開孔率も、目的とする護岸部材の使用目的等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、護岸部材に着生する植物の成長、成育に影響を与えるため、本発明においてはその開孔率を管理することが好ましく、一般的には、30〜75%の範囲に設定することが好ましい。
【0028】
又、前記網状体切断の原因としてロープの強度に起因する場合もあるため、本発明においては、網状体の強度を引張強度及び引張伸度において管理するこが好ましい。
【0029】
具体的には、前記網状体における幅方向の引張強度を800〜3000kg/mの範囲にし、長さ方向における引張強度を900〜3500kg/mとすることが好ましい。
【0030】
なお、前記網状体における長さ方向とは、当該網状体を筒状や袋状に形成した際における護岸部材の長手方向のことをいい、幅方向とはこの長手方向に対して直角な方向のことをいい、これらのそれぞれの方向の1m幅をチャックで挟みこれを徐々に反対方向に引っ張っていずれか1本のロープが切れるときの強度、つまり最大引っ張り強度をいう。
【0031】
ここで、網状体を筒状や袋状に形成する方法としては、特に限定されるものではなく、長方形の網状体の相対する2辺を縫合、接合して筒状に形成したり、長方形の網状体の相対する2辺を縫合、或いは接合して筒状に形成し、この筒状体の一方の開口部を縫合、或いは接合によって封着して袋状に形成したり、2枚の網状体を重ねて3辺を接合することによって袋状に形成したりする方法等が挙げられる。
【0032】
前述のごとく、本発明第1護岸部材は、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体からなる袋状体或いは筒状体の内部に、前記天然繊維素材から選ばれた少なくとも1種以上を充填したり、前記天然繊維素材から選ばれた少なくとも1種以上を布状に形成した布状体を前述のように充填したり、或いは前記天然繊維素材及び前記布状体を混合して充填することによって製造される。
【0033】
なお、本発明における前記布状体としては、前記天然繊維素材から選ばれた少なくとも1種以上を布状に形成したものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、前記天然繊維素材から選ばれた少なくとも1種以上を、平織、綾織、絡み織、もじり織等の手段を用いて形成した織布、横編み編布や縦編み編布等の編み物、経糸(ロープ)群と緯糸(ロープ)群を積層して接着した不織布や前記天然繊維素材をフェルト化することによりシート状に形成したフェルトを用いることが好ましく、このように天然繊維素材をフェルト化したフェルトを用いると、仮に外部網状体が破断しても内部の充填材が流出することが無い上、高圧で充填できるから望ましい。
【0034】
特に、本発明においては、前記天然繊維素材を一定の厚さで積層し、ニードルパンチによってランダムにパンチングされた布状体が好ましい。
【0035】
本発明においては、前記の袋状体或いは筒状体の内部に、前記の天然繊維素材及び/又は布状体を充填する場合、その充填圧力は、最終的な護岸部材が設置される場所などに応じて適宜調整することが好ましく、特に限定されるものではない。
【0036】
しかしながら、弱い充填圧力で充填した場合は、植物における根の成長、成育が促進されるから好ましいが、護岸部材としての耐久性がなくなるため好ましくなく、一方、強い充填圧力で充填すると、耐久性は向上するが、植物における根の成長、成育が悪くなり、いずれも好ましくない。
【0037】
そのため、前記の袋状体或いは筒状体の内部に、前記の天然繊維素材及び/又は布状体を充填する場合の充填圧力としては、一般的に8〜16HP程度が好ましく、又、本発明に係る護岸部材の密度としては350〜650kg/m3の範囲、特に、400〜550kg/m3の範囲とするのが望ましい。
【0038】
本発明に係る護岸部材の密度が、350kg/m3未満と低い場合には、植物における根の成長、成育が促進されるから好ましいが、護岸部材としての耐久性がなく、所要の護岸効果が得られないので好ましくなく、一方、650kg/m3を超える場合には、耐久性は向上するが、植物における根の成長、成育が悪くなるので好ましくない。
【0039】
なお、本発明第1護岸部材において、前記の袋状体或いは筒状体の内部に、前記の天然繊維素材及び/又は布状体を充填した後、前記の袋状体或いは筒状体の開口部はそのまま開放状態としても、開口部を縫合、接合しても良いのである。
【0040】
本発明第1護岸部材においては、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体からなる袋状体或いは筒状体の内面にはフェルトが1層或いは複数層積層されて、内部に充填された天然繊維素材及び/又は天然繊維素材の布状体が解れても外部に流出しないように形成されてなるものが最も好ましい。
【0041】
本発明第1護岸部材において用いられるフェルトとしては、天然繊維素材で形成されたものであれば特に限定されるものではないが、適度の生分解性、耐久性や強度等の観点から、ココヤシ繊維で形成されたフェルトが最も望ましい。
【0042】
又、本発明第1護岸部材においては、天然繊維素材で形成された網状体からなる袋状体或いは筒状体の内面にはフェルトが1層或いは複数層積層されてなるが、このような袋状体或いは筒状体を製造する方法としては網状体にフェルトを1層或いは複数層重ね、これを前述の方法で袋状或いは筒状に形成すれば良いのである。
【0043】
このように構成すると、内部に充填された天然繊維素材が外部に漏れたり、流出することがなく、又、内部に充填された天然繊維素材の布状体が解れても外部に漏れたり、流出しないので最も望ましい。
【0044】
次いで、本発明第2護岸部材について説明するが、前記本発明第1護岸部材と内容が重複する点については、繰り返しを避けるため重複説明を省略する。
【0045】
本発明第2護岸部材は、主として河川、湖、海岸などの陸地と水との境界をなす水辺境界周辺部における侵食防止及び人工島の造成のために用いられる護岸部材であって、この護岸部材は、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材からなる布状体とを積層し、多層構造の積層体に形成してなることを特徴とするものである。
【0046】
即ち、前記本発明第1護岸部材が、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体からなる袋状体或いは筒状体の内部に、天然繊維素材及び/又は天然繊維素材からなる布状体を充填してなるものであるのに対し、本発明の第2護岸部材は、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材の布状体とを積層し、多層構造の積層体に形成してなる点において相違がある。
【0047】
ここで、本発明第2護岸部材においては、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材からなる布状体とを積層し、多層構造の積層体に形成してなるものであるが、最外側の網状体が何らかの作用により切断された場合、希ではあるが、内部に充填した布状体が解れて流出することがある。
【0048】
そのため、本発明第2護岸部材においても、本発明第1護岸部材の場合と同様に、網状体の構造や引張強度及び引張伸度等を調整し、当該網状体が容易に切断されないように構成することが望ましい。
【0049】
このように、本発明第2護岸部材においては、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材の布状体とを積層し、多層構造の積層体とすることにより、前記目的を達成し得るのである。
【0050】
即ち、本発明第2護岸部材においては、このように構成することにより、前記網状体を補強材として複数層も備える積層体からなるので、それらのうちの1つの網状体が何らかの作用により切断ないし破損した場合であっても、その強度は殆ど変わることなく、護岸部材の形態を長期間にわたって維持することができるのである。
【0051】
なお、網状体と布状体との積層方法としては特に限定されるものではないが、具体的には例えば、縫合処理やパンチング或いは接着剤等を用いて積層する方法などが挙げられる。
【0052】
又、本発明第2護岸部材の密度としては、本発明第1護岸部材の密度の場合と同様の理由により、350〜650kg/m3の範囲、特に、400〜550kg/m3の範囲とするのが望ましい。
【0053】
ところで、本発明第2護岸部材において用いられる天然繊維素材、網状体又は布状体としては、本発明第1護岸部材で説明したものと同様のものを用いることができるため、重複説明を避けるためここでは省略する。
【0054】
次いで、本発明第3護岸部材について説明するが、前記本発明第1護岸部材或いは本発明第2護岸部材と内容が重複する点については、重複説明を避けるためここでは説明を省略する。
【0055】
前述したように、本発明第3護岸部材においては、主として河川、湖、海岸などの陸地と水との境界をなす水辺境界周辺部における侵食防止或いは人工島の造成のために用いられる護岸部材であって、この護岸部材は、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材の布状体とを共巻きし、多層構造のロール形態に形成してなることを特徴とするものである。
【0056】
即ち、前記本発明第1護岸部材が、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体からなる袋状体或いは筒状体の内部に、天然繊維素材及び/又は天然繊維素材で形成された布状体を充填してなるものであり、本発明第2護岸部材が、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材の布状体とを積層し、多層構造の積層体に形成してなるものであるのに対し、本発明第3護岸部材においては、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材の布状体とを共巻きし、多層構造のロール形態に形成してなる点において相違する。
【0057】
前述のように、本発明第1護岸部材においては、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体からなる袋状体或いは筒状体の内部に、天然繊維素材及び/又は天然繊維素材で形成された布状体を充填してなるものであることから、最外側の網状体が何らかの作用により切断ないし破損した場合、内部に充填した天然繊維素材が流出してしまうおそれがある。
【0058】
そこで、本発明第2護岸部材は、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材の布状体とを積層し、多層構造の積層体とすることにより、前記本発明第1護岸部材の問題を解消したものである。
【0059】
しかしながら、本発明第2護岸部材は、網状体と布状体とを単に積層しただけの構造であるため、圧縮処理にも限界があり、比較的密度が低く、このため流速の早い河川等においては、使用が制限される場合がある。
【0060】
そのため、本発明第3護岸部材においては、天然繊維素材からなるロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材からなる布状体とを共巻きし、多層構造のロール形態に形成することにより、前記問題を解消したものである。
【0061】
即ち、本発明第3護岸部材は、天然繊維素材からなるロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材からなる布状体とを共巻きしているから、言い換えれば、天然繊維素材からなるロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材からなる布状体とを重ねた後、一端部から圧縮巻き取りしてなるから、護岸部材の密度を任意に向上させることができるのであり、その結果、本発明第2護岸部材のように流速の早い河川等において使用が制限されることがなく、しかも袋状体や筒状体の一方向から強い圧力で、強制的に天然繊維素材を圧縮充填する本発明第1護岸部材より、内部圧と密度が均一に構成され、多様な現場設置状況により可変的に調整することができるのである。
【0062】
又、本発明第3護岸部材においては、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材の布状体とを共巻きしているから、最大護岸部材の中心まで網状体が存在することになり、護岸部材の補強材としての機能を発現するから、それらのうちの1つの網状体が何らかの作用により切断ないし破損した場合であっても、その強度は殆ど変わることなく、護岸部材の形態を維持することができるのである。
【0063】
勿論、本発明第3護岸部材においても、本発明第1護岸部材の場合と同様に、網状体の構造や引張強度及び引張伸度等を調整し、当該網状体が容易に切断されないように構成することが望ましい。
【0064】
又、本発明第3護岸部材の密度としては、本発明第1護岸部材の密度の場合と同様の理由により、350〜650kg/m3の範囲、特に、400〜550kg/m3の範囲とするのが望ましい。
【0065】
ところで、本発明第3護岸部材において用いられる天然繊維素材、網状体及び布状体としては、本発明第1護岸部材及び本発明第2護岸部材で説明したものと同様のものを用いることができるため、重複説明を避けるためここでは省略する。
【0066】
なお、本発明の第1〜第3の自然環境再生型護岸部材においては、いずれも単一の筒状体、袋状体、積層体或いはロール形態として形成してもよいが、取扱性や施工性を向上させ、しかも流速の著しく早い河川においても流出しないようにするために、複数の護岸部材を一軸方向に連接した長尺状に形成したり、複数の護岸部材を2軸方向に連接した面状に敷設することが好ましい。
【0067】
本発明の自然環境再生型護岸部材を用いた護岸施工方法においては、前記本発明の第1〜第3の自然環境再生型護岸部材から選ばれた少なくとも1種以上を用いて、河川、湖、海岸などにおける侵食を防止することを特徴とするものである。
【0068】
基本的に、この護岸施工方法においては、本発明の第1〜第3の自然環境再生型護岸部材を、河川、湖、海岸などにおける侵食防止を図る場所で使用するにあたり、陸地と水との境界をなす水辺境界周辺部に護岸部材を敷設するだけでよく、このように護岸部材を敷設するだけで、当該護岸部材の施工直後であっても、十分な護岸機能を発現するのであるが、時間の経過と共に当該護岸部材に植物が根を下ろして安定化すれば、これら根が固く絡まりあって、当該護岸部材の腐食(生分解)・消滅後にも半永久的に護岸機能が維持され、斜面の土砂流失防止、斜面下端部の流失防止及び堤防流失防止を図ることができる上、水生植物や植物の根の成長、成育が促進されるだけでなく、天然繊維素材からなる護岸部材によって魚の棲息を可能にして、河川の自然保護機能である水質自浄効果を極大化し、河川生態系に配慮した生態的棲息場所を再生し、これによる周辺景観の改善と情緒の向上を図って緑地休息空間等を造成することができるのである。
【0069】
なお、流速の著しく早い河川等においては、陸地と水との境界をなす水辺境界周辺部に護岸部材を単に敷設するだけでなく、固定用の杭を打ち込んで護岸部材を固定したり、予め水防塚等を設置し、作業をし易くすることも本発明の護岸施工方法の当然に予定するところである。
【0070】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図1ないし図9に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0071】
図1は本発明第1護岸部材の斜視図であり、図2はその断面図であり、図3は本発明第2護岸部材の斜視図であり、図4はその断面図であり、図5は本発明第3護岸部材の斜視図であり、図6はその断面図である。
【0072】
図1及び図2の本発明第1護岸部材1においては、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体2aからなる袋状体2の内部に、天然繊維素材(及び/又は天然繊維素材の布状体)3を充填してなり、そしてこの場合、前記袋状体2はその内面にフェルト20が1層積層されて、内部に充填された充填材天然繊維素材3が外部に漏れたり、流出することがなく、又、内部に充填された天然繊維素材の布状体3が解れても外部に漏れたり、流出しないように構成されている。
【0073】
そして、この実施例において、本発明第1護岸部材1を製造するにあたり、まず、網状体2aにフェルト20を1枚積層し、この積層体の全体にわたって両者を適宜間隔で縫着して接合し、その長手方向両側縁部を重ねて縫合することによって筒状体を製造し、次いで、この筒状体における一方の開口部を縫合、封着して袋状体2を形成し、続いて、この袋状体2の内部に、その他方の開口部から天然繊維素材(及び/又は天然繊維素材の布状体)3を充填した後、当該他方の開口部を縫合、封着すれば良いのである。
【0074】
つまり、本発明第1護岸部材1は、これらの天然繊維素材から選ばれた少なくとも1種以上を加撚し、一定の太さのロープを形成し、このロープを網状に形成した網状体2aからなる袋状体2の内部に、前記天然繊維素材から選ばれた少なくとも1種以上を充填したり、前記天然繊維素材から選ばれた少なくとも1種以上からなる布状体を充填することによって製造される。
【0075】
なお、この本発明第1護岸部材1において用いられる天然繊維素材としては、特に制限されるものではなく、ココヤシ繊維、木綿、カポック、ジュート麻、マニラ麻、サイザル麻、絹、ラクダ、アルパカ、羊毛、モヘア及びカシミヤ等の公知の天然繊維素材から選ばれた少なくとも1種以上を適宜用いることができるが、これらのうち、外装材である袋状体2は強度の高いものを用いることが望ましい。
【0076】
即ち、前記天然繊維素材のうち、ココヤシ繊維は、リグニンやセルロースからなり木に近い素材で、強度が高く、しかも水中でも腐り難く、長期安定性更に適度の生分解性を有するのであり、又、資源も豊富で廉価である上、環境を破壊しないなどの理由から、外装材や充填材がココヤシ繊維で形成されているものが最も好ましい。
【0077】
なお、前記天然繊維素材からなるロープとしては、一般的には天然繊維素材、特に、ココヤシ繊維を10〜16回加撚されるように構成し、直径6〜12mm程度のロープを形成することが好ましい。
【0078】
そして、本実施例においては、前記ロープを網状に形成して網状体2aを得るのであるが、一般的に、ロープを網状体2aに形成する場合、図7に示すように、複数のロープを並べて配置し、適当な間隔を置いて結束2b処理してひし形の通孔2cを形成し、このようにひし形の通孔2cを備える網状体2aで本発明第1護岸部材1を製造すると、当該護岸部材1が、吸水などによる膨張圧に耐え得るうえ、河川の流速や石更に木の枝等の流下物が当たっても裂けたり破損し難いので、耐久性が著しく優れる結果、植物が安定した根構造を形成するまで腐食(生分解)にも耐え得るのであり、又、土壌の構造、植物の成長・成育形態などに合わせて好適に適用できる上、環境破壊などの問題も発生しないのである。
【0079】
又、本実施例においては、ひし形の通孔2cを備える網状体2aに代えて、図8に示すように、前記ロープを緯糸と経糸に用い、この緯糸と経糸によって、四角形状の通孔2cが連続配置するように繊造して網状体2aを形成した場合にも、膨張圧に耐えて網状体用ロープが切断されることが防止されるので望ましい。
【0080】
なお、網状体2aに形成される通孔2cの大きさ、言い換えれば網状体2aにおける開孔率も、目的とする護岸部材1の使用目的等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、この護岸部材1に着生する植物の成長に影響を与えるため、本実施例においてはその開孔率を管理することが好ましく、一般的には、30〜75%の範囲に設定することが好ましい。
【0081】
又、前記ロープ切断の原因が網状体2aの強度に起因する場合もあるため、本発明においては、網状体2aの強度を引張強度及び引張伸度において管理することが好ましい。
【0082】
具体的には、当該網状体2aにおける幅方向の引張強度を800〜3000kg/mの範囲に設定し、一方、長さ方向における引張強度を900〜3500kg/mに設定することが好ましい。
【0083】
図3及び図4の本発明第2護岸部材1においては、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体2aと、天然繊維素材からなる布状体3とを積層し、多層構造の積層体に形成してなることを特徴とするものであり、このように構成することにより、本発明第2護岸部材1は、前記網状体2aを補強材として何層も備えてなる積層体となるため、それらのうちの1つの網状体が何らかの作用により切断ないし破損した場合であっても、その強度は殆ど変わることなく、長期間にわたって護岸部材1の形態を維持することができるのである。
【0084】
本実施例において、前記布状体3としては、前記天然繊維素材から選ばれた少なくとも1種以上を布状に形成したものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、前記天然繊維素材から選ばれた少なくとも1種以上を、平織、綾織、絡み織、もじり織等の手段を用いて形成した織布、横編み編布や縦編み編布等の編み物、経糸群と緯糸群を積層して接着した不織布等が挙げられるが、特に、前記天然繊維素材をフェルト化することによりシート状に形成されたフェルトを用いることが好ましい。
【0085】
特に、本発明においては、前記天然繊維素材を一定の厚さで積層し、ニードルパンチによって無作為にパンチングされた布状体3が好ましい。
【0086】
なお、本実施例における天然繊維素材及び網状体2aとしては、本発明第1護岸部材1において説明したものと同様のものを用いることができる。
【0087】
図5及び図6の本発明第3護岸部材1は、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体2aと、天然繊維素材の布状体3とを共巻きにし、多層構造のロール形態に形成してなることを特徴とするものであり、網状体2aと布状体3とを共巻きにしているから、言い換えれば、網状体2と布状体3とを重ねた後、一端部から圧縮巻き取りしているから、護岸部材1の密度を任意に向上させることができるのであり、これにより、流速の早い河川等においても好適に使用ができるのであり、しかも、内部圧と密度が均一に構成され、多様な設置現場の状況により可変的に調整、使用することができる。
【0088】
又、本発明第3護岸部材1においては、網状体2aと布状体3とを共巻きにしているから、護岸部材1の中心まで網状体2が存在し、護岸部材1の補強材としての機能を発現するから、それらのうちの1つの網状体が何らかの作用により切断ないし破損した場合であっても、その強度は殆ど変わることなく、護岸部材1の形態を維持することができるのである。
【0089】
なお、本発明第3護岸部材において用いられる天然繊維素材、網状体2a及び布状体3としては、本発明第1護岸部材及び本発明第2護岸部材で説明したものと同様のものを用いることができるため、重複説明を避けるためここでは省略する。
【0090】
護岸の施工方法の実施例
以下に述べる護岸の施工方法においては、以下の仕様を備える前記本発明第1護岸部材の実施例品と同様の形態のものを用いた。
自然環境再生型護岸部材1の仕様
自然環境再生型護岸部材1・・・直径30cm、長さ2m、密度450kg/m3。
ロープ・・・ココヤシ繊維を12回加撚して製造した太さ9mmのココヤシ繊維製ロープ(引張強度22kg/1本)。
網状体2a・・・前記ロープを緯糸と経糸に用い、この緯糸と経糸によって、2cm角の通孔2cが連続配置するように繊造して形成されたもの(幅方向の引張強度が850kg/m、長さ方向における引張強度が1000kg/m)。
フェルト20・・・ココヤシ繊維製のフェルト(坪量1000g/m2)。
袋状体2・・・前記の網状体2aとフェルト20を重ね、長手方向両側縁部及び一方の開口部を太さ9mmのココヤシ繊維製ロープで縫着。
充填材・・・ココヤシ繊維3を圧入機で圧入。
この自然環境再生型護岸部材1は、例えば、以下に示すように施工、使用される。
【0091】
即ち、図9及び図10に示すように、河川の一定の区間を定めて地盤を固め整地した後、斜面の土砂流失防止のために、厚さが2mmのロープで形成された麻メッシュ(開孔率55%)を敷設し、前記自然環境再生型護岸部材1を斜面4下端から中間部まで一層にて敷設した。
【0092】
なお、この際、左右上下の間隔を0.3〜1m程度開け、葦やネコヤナギの苗木等を一定の間隔で自然環境再生型護岸部材1の間の斜面4に移植する。
【0093】
そして、この自然環境再生型護岸部材1を斜面に固定するために、自然環境再生型護岸部材1の2本間隔に沿って、木製等の固定用の杭5を打ちながら自然環境再生型護岸部材1を確実に地面(斜面)4に固定、安定化させる。
【0094】
以後、所望により水性草木類(葦、菖蒲、菖蒲)を播種すると、これらは十分に成長して自然環境再生型護岸部材1と共に護岸を保護して緑地空間を創出する。
【0095】
そして、以上のように形成した護岸構造においては、図10に示すように、自然環境再生型護岸部材1を湖などの陸地(斜面)4と水との境界をなす水辺境界周辺部に敷設すると、天然繊維素材が持つ固有の特性によって適正量の水分を常に包摂し、過度の水分は透水させる透水性、自らの空隙による通風性、断層エアーホールによる毛細管形状で、水分が地面の上端まで浸透して植物の成長を助け、吸湿、脱湿等による水分通過時の呼吸を促進し、そして、図11に示すように、自然界での腐食が容易で一定期間経過すると、湖などの陸地と水との境界をなす水辺境界周辺部において、植物や水性植物などの生物が自然環境再生型護岸部材1を栄養源として繁殖し、生物学的培地機能を発現するのである。
【0096】
又、植物や水性植物が自然環境再生型護岸部材1に根を下ろして安定化すれば、これらの根が固く絡まりあって、自然環境再生型護岸部材1の腐食後にも防護機能(護岸機能)を発揮できると共に、河川浄化効果も極大化するのである。
【0097】
即ち、自然環境再生型護岸部材1の繊維素間に、各種の好気性微生物または嫌気性微生物が着生し、これらの微生物が流水中の栄養源を摂取、利用して繁殖するので、河川や湖の各種有機栄養物を分解、除去し、その結果、これら微生物が魚類の餌源になると同時に、魚類はこれら繊維素間に抱卵して魚巣や繁殖地となって最適の護岸機能を発現するのである。
【0098】
また、自然環境再生型護岸部材1自体が弾性を持ち、強い流速や波が押し寄せてきても直接衝撃を受けず、一時的に水圧を緩衝しながら水圧を減少、遮断するので、コンクリートや石材類の護岸で発揮される直接衝撃吸収式と比較して長期間の護岸維持が可能になるのである。
【0099】
【発明の効果】
本発明に係る自然環境再生型護岸部材においては、河川、湖、海岸などの陸地と水との境界をなす水辺境界周辺部における侵食防止或いは人工島の造成のために使用される護岸部材であり、前述の如く構成し、水と陸地との間に敷設することにより、そこで植物や水生植物が育つようにして斜面の土砂流失防止、斜面下端部の流失防止、水生植物の固定化による堤防流失防止を図ることができるのであり、又、水生植物や植物の根や天然繊維素材の護岸部材での魚の棲息を可能にして、河川の自然保護機能である水質自浄効果が極大化し、河川生態系に配慮した生態的棲息場所を再生し、これによる周辺景観の改善と情緒の涵養のための緑地休息空間等を造成することができるなどの効果を奏するのである。
【0100】
即ち、本発明に係る第1ないし第3の自然環境再生型護岸部材においては、主として河川、湖、海岸などの陸地と水との境界をなす水辺境界周辺部における侵食防止及び人工島の造成のために用いられるものであり、いずれも天然繊維素材で形成されてなるものであるから、天然繊維素材が持つ固有の特性によって適正量の水分を常に包摂することができる保水性、透水性及び通気性を有し、しかも自然界での腐食が容易で、一定期間生物の栄養源として機能する大変重要な生物学的培地機能を発揮するなどの効果を奏するのである。
【0101】
又、本発明に係る第1ないし第3の自然環境再生型護岸部材においては、いずれも天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体により、確実に補強されているから、流水による衝撃や、浸水や渇水による膨潤や乾燥等の環境下にあっても、長期にわたってその形態が崩れることなく保持することができるなどの効果を有するのである。
【0102】
そして、本発明に係る第1ないし第3の自然環境再生型護岸部材は、いずれも天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体により、しっかりと補強されていることから、機械的強度が高く、従って、当該護岸部材の施工直後であっても、十分な護岸機能を発現するのであるが、当該護岸部材に植物が根を下ろして安定化すれば、これら根が固く絡まりあって、当該護岸部材の腐食(生分解)・消滅後にも半永久的に護岸機能が維持される上、河川、湖又は海を汚染する各種有機栄養物を分解除去する各種好気性微生物または嫌気性性微生物の着生を促し、しかも、これらの微生物を食糧源とする魚介類の繁殖も可能となるなどの効果を発現するのである。
【0103】
又、本発明第2護岸部材においては、天然繊維素材からなるロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材からなる布状体とを積層し、多層構造の積層体とすることにより、前記網状体を補強材として何層も備えてなる積層体となるため、それらのうちの1層の網状体が何らかの作用により切断ないし破損した場合であっても、その強度は殆ど変わることなく、護岸部材の形態を維持することができるなどの効果を有するのである。
【0104】
更に、本発明に係る第3護岸部材においては、天然繊維素材からなるロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材からなる布状体とを共巻きし、多層構造のロール形態に形成することにより、護岸部材の密度を任意に向上することができるのであり、その結果、流速の早い河川等においても使用が可能であり、しかも、内部圧と密度が均一に構成され、多様な設置現場の状況に応じて最適な状態で使用できるなどの効果を有するのである。
【0105】
加えて、本発明第3護岸部材においては、天然繊維素材からなるロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材からなる布状体とを共巻きしているので、護岸部材の中心まで網状体が存在し、護岸部材の補強材として機能するから、ある層の網状体が何らかの衝撃により切断ないし破損された場合であっても、その強度は殆ど変わることなく、護岸部材の形態を維持することができるなどの効果を奏するのである。
【0106】
そして、本発明の自然環境再生型護岸部材を用いた護岸施工方法においては、前記本発明の第1〜第3護岸部材から選ばれた少なくとも1種以上を用いて、河川や海岸における侵食を防止することを特徴とするものであり、簡便かつ安価に施工することができるなどの効果を奏するのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明第1護岸部材の一実施例を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明第1護岸部材の一実施例の断面図である。
【図3】図3は、本発明第2護岸部材の一実施例を示す斜視図である。
【図4】図4は、本発明第2護岸部材の一実施例の断面図である。
【図5】図5は、本発明第3護岸部材の一実施例を示す斜視図である。
【図6】図6は、本発明第3護岸部材の一実施例の断面図である。
【図7】図7は、本発明で好適に使用される網状体の斜視図である。
【図8】図8は、本発明で好適に用いられる他の網状体の平面図である。
【図9】図9は、本発明の自然環境再生型護岸部材の使用例を示す側面図である。
【図10】図10は、本発明の自然環境再生型護岸部材を湖などの陸地と水との境界をなす水辺境界周辺部に敷設した状態を示す説明図である。
【図11】図11は、本発明の自然環境再生型護岸部材を湖などの陸地と水との境界をなす水辺境界周辺部に敷設し、当該自然環境再生型護岸部材に植物が成育、成長している状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 自然環境再生型護岸部材
2 袋状体
2a 網状体
2b 結束
2c 通孔
3 天然繊維素材(及び/又は天然繊維素材の布状体)
5 杭
【産業上の利用分野】
本発明は、主として河川、湖、海岸などの陸地と水の境界をなす水辺境界周辺部における侵食防止或いは人工島の造成のために用いられる環境に優しい自然環境再生型護岸部材に関し、特に、各種植物・生物の着生が可能で、自然環境に合致する極めて安全かつ合理的な自然環境再生型護岸部材及びこれを利用した護岸施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
河川、湖、海岸などの陸地と水の境界をなす水辺境界周辺部は、流水による浸食と堆積、浸水と乾燥が耐えず繰り返され、独特の生態系を構成する。
【0003】
それにも拘わらず、現在の各種流水川辺においては、人工的な岩石やコンクリートのような護岸部材で護岸処理がなされているため、生態系の構成が自然状態で反復的に循環できず、魚介類の生息地の閉鎖による生態系の破壊、そして生態系の破壊による自然浄化作用の喪失にともなう2次的環境破壊や3次的環境破壊等の別な環境問題を惹起している。
【0004】
即ち、代表的に使用されるコンクリート製護岸部材は、初期には、多様な形態の構造物が組織的に水辺境界と傾斜部(法面)に設置され、美麗に敷設され、あたかも現代文明の象徴のように認識されているが、単純なコンクリートと岩石材に頼った護岸は、河川や湖等の底が洗掘と浸食の作用によって破壊され、コンクリートや岩石の支持基盤がなくなり、自ら破壊してしまうことになる。
【0005】
従って、コンクリート製護岸部材を用いて護岸処理を行った場合、一定の期間が経過すると修復、再施行が不可避となり、しかもより一層深刻なことは、コンクリートには生物が生息し難い上、特に、植物が成長、繁殖するために必要な緻密な根組織を成長することができないばかりか、魚介類や各種低棲動植物更に湿地微生物等の棲息場所の破壊によって生態系の混乱と破壊が発生し、その結果、それに起因する各種副作用の問題で、河川の自然浄化作用自体を崩壊させるのである。
【0006】
このため、人工構造物が持つ短所を解消し、緑色空間が不足した川辺の空間を緑地として再生するための技術開発に対する要求が強くなってきており、現在様々な提案や試行が行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
その一例として、傾斜部(法面)を不織布又は織布で覆い、色々な植生植物を植栽する方法が提案されているが、この場合、耐久性や価格などの観点からポリエチレンやポリプロピレン等の化学繊維糸で作られた不織布又は織布が用いられているが、このような不織布又は織布は、植物の生育には殆ど役に立たないだけでなく、長期間にわたって生分解を受け難いので、環境破壊の原因となる。
【0008】
また、接着成分と土壌母材の混合物に、各種植物の種子と肥料を混合して傾斜面(法面)に塗工処理し、植物帯を構成する方法が主に工事法面部に施工されているが、このような工法を流水のあるところに適用した場合、水が一度でも流れると大部分が流出してしまうという問題が発生するため、その効果がなく、適用した意味が全く無いのである。
【0009】
本発明は、前記技術的課題を解決するために完成されたものであって、河川、湖、海岸などの陸地と水の境界をなす水辺境界周辺部に自然を取り戻し、しかもこの水辺境界周辺部の侵食防止を図ったり、或いは人工島の造成のために使用される護岸部材及びこれを用いた護岸施工方法を提供することを目的とするものであり、更に詳しくは、水辺と陸地との間に一定の厚さの天然繊維素材で作った護岸部材を設置し、そこで水生植物や植物が育つようにして斜面部の土砂の流失防止を実現したり、斜面部下端の流失防止を実現したり、水生植物や植物の固定化による堤防流失防止を図り、水生植物や植物の根や天然繊維素材の護岸部材での魚の棲息を可能にして、河川の自然保護機能である水質自浄効果を極大化し、河川生態系に配慮した生態的棲息場所を再生し、これによる周辺景観の改善と情緒の涵養のための緑地休息空間等を造成するための自然環境再生型護岸部材及びこれを用いた護岸施工方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、まず、本発明に係る第1の自然環境再生型護岸部材(以下、「本発明第1護岸部材」という。)においては、主として河川、湖、海岸などの陸地と水との境界をなす水辺境界周辺部における侵食防止或いは人工島の造成のために用いられる護岸部材であって、この護岸部材は、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体からなる袋状体或いは筒状体の内部に、天然繊維素材及び/又は天然繊維素材の布状体を充填してなることを特徴とするものである。
【0011】
本発明第1護岸部材において、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体からなる袋状体或いは筒状体の内面にはフェルトが1層或いは複数層積層されて、内部に充填された天然繊維素材及び/又は天然繊維素材の布状体が解れても外部に流出しないように形成されてなるものが挙げられる。
【0012】
又、本発明に係る第2の自然環境再生型護岸部材(以下、「本発明第2護岸部材」という。)においては、前記目的を達成するために、主として河川、湖、海岸などの陸地と水との境界をなす水辺境界周辺部における侵食防止或いは人工島の造成のために用いられる護岸部材であって、この護岸部材は、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材の布状体とを積層し、多層構造の積層体に形成してなることを特徴とするものである。
【0013】
更に、本発明に係る第3の自然環境再生型護岸部材(以下、「本発明第3護岸部材」という。)においては、前記目的を達成するために、主として河川、湖、海岸などの陸地と水との境界をなす水辺境界周辺部における侵食防止或いは人工島の造成のために用いられる護岸部材であって、この護岸部材は、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材の布状体とを共巻きし、多層構造のロール形態に形成してなることを特徴とするものである。
【0014】
即ち、本発明に係る第1ないし第3の自然環境再生型護岸部材は、主として河川、湖、海岸などの陸地と水との境界をなす水辺境界周辺部における侵食防止或いは人工島の造成のために用いられるものであり、いずれも天然繊維素材で形成されてなるものであるから、天然繊維素材が持つ固有の特性によって適正量の水分を常に包摂することができる保水性、透水性及び通気性を有し、しかも自然界において相当の期間を経て徐々に腐食(生分解)が発生し、一定期間生物の栄養源として大変重要な生物学的培地機能を発揮するのである。
【0015】
又、本発明に係る第1ないし第3の自然環境再生型護岸部材は、いずれも天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体により、しっかりと補強されているから、流水による衝撃や、浸水や渇水による膨潤や乾燥等の環境下にあっても、長期間にわたってその形態を保持することができるのである。
【0016】
そして、本発明に係る第1ないし第3の自然環境再生型護岸部材は、いずれも天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体により、しっかりと補強されていることから、機械的強度が高く、従って、当該護岸部材の施工直後であっても、十分な護岸機能を発現するのであるが、当該護岸部材に植物が根を下ろして安定化すれば、これら根が固く絡まりあって、当該護岸部材の腐食(生分解)・消滅後にも半永久的に護岸機能が維持される上、河川、湖又は海を汚染する各種有機栄養物を分解除去する各種好気性微生物または嫌気性性微生物の着生を促し、しかも、これらの微生物を食糧源とする魚介類の繁殖も可能となるのである。
以下、本発明第1護岸部材ないし本発明第3護岸部材について順次に詳細に説明する。
【0017】
前述したように、本発明第1護岸部材は、天然繊維素材で形成されてなるものであるが、この本発明第1護岸部材において用いられる天然繊維素材としては、特に制限されるものではなく、ココヤシ繊維、木綿、カポック、ジュート麻、マニラ麻、サイザル麻、絹、ラクダ、アルパカ、羊毛、モヘア又はカシミヤ等の公知の天然繊維素材から選ばれた少なくとも1種以上を適宜、選択して用いることができるが、これらのうち、外装材である袋状体或いは筒状体は強度の高いものを用いることを要し、例えば比較的強度の小さい木綿や麻などは充填材として用いるのが望ましい。
【0018】
中でも、これらの天然繊維素材のうち、ココヤシ繊維は、リグニンやセルロースからなり木に近い素材で、強度が高く、しかも水中でも腐り難く、長期安定性更に適度の生分解性を有するのであり、又、資源も豊富で廉価である上、環境を破壊しないなどの理由から、特に好ましい。
【0019】
そして、本発明第1護岸部材は、前記天然繊維素材から選ばれた少なくとも1種以上を加撚し、一定の太さのロープを形成し、このロープを網状に形成した網状体からなる袋状体或いは筒状体の内部に、前記天然繊維素材から選ばれた少なくとも1種以上を充填したり、前記天然繊維素材から選ばれた少なくとも1種以上を布状に形成した布状体を充填したり、更に前記天然繊維素材から選ばれた少なくとも1種以上を布状に形成した布状体を巻回して挿入、充填することによって製造される。
【0020】
即ち、本発明第1護岸部材を製造する場合には、まず前記天然繊維素材を加撚してロープを形成することを要するが、このロープを形成する際の天然繊維素材の加撚回数及び当該ロープの直径としては、目的とする護岸部材の使用目的等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、一般的には、直径6〜12mm程度のロープを形成することが好ましい。
【0021】
ロープの直径が6mm未満の場合、細すぎて機械的強度が不足し、最終的な護岸部材の強度や長期安定性更に適度の生分解性などに悪影響を与えるため好ましくなく、一方、ロープの直径が12mmを超えると、太くなり過ぎて網状体を形成するのが困難となる上、最終的な護岸部材の柔軟性に悪影響を与えるため、いずれも好ましくない。
【0022】
なお、ロープの強度は、ロープを形成する天然繊維素材の種類、当該繊維の加撚回数及び当該ロープの直径によって決定されるものである。従って、ロープの強度は、使用される当該ロープ1本当たりの引張強度によって数値的に管理することが好ましく、一般的には、長さ方向における引張強度が10kg/1本以上のものが好ましく、この引張強度が10kg/1本未満になると後述する、網状体における幅方向の引張強度や長さ方向における引張強度が得難くなるので好ましくない。
【0023】
ところで、前述のように、天然繊維素材のうち、ココヤシ繊維が最も好ましいが、このココヤシ繊維を用いてココヤシロープを製造するにあたり、一般的には、手作業で行われるが、特に、素材の長さや太さを厳選することにより機械加工が可能となって生産性が著しく向上するうえ、強度の極めて高いココヤシロープが得られるので、本発明においては、このようなココヤシロープを使用するのが特に好ましい。
【0024】
次いで、本発明第1護岸部材を製造する場合、前記ロープを網状に形成して網状体を得るのであるが、この網状体の形成についても、目的とする護岸部材の使用目的等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、本発明においては、前記ロープを緯糸と経糸に用い、この緯糸と経糸によって、四角形状の通孔が連続配置するように繊造して網状体を形成することが特に好ましい。
【0025】
木綿や麻等の一般的な天然繊維素材を用いて強度の高いロープを形成するのは困難であるので、合成繊維で外装材を製造するメーカーも存在するが、河川の流速や石更に木の枝等の流下物が当たると裂けたり破損し易く、しかもその結果、充填材が流出する等、ダメージが大であり、又、環境破壊などの弊害も発生する。
【0026】
そこで、本発明においては、天然繊維素材、特に、ココヤシ繊維を用いてココヤシロープを製造し、このココヤシロープを網状体に形成するにあたり、複数のロープを適当な間隔をおいて縦横に連続配置し、その交差箇所を結束処理して、ひし形、正方形或いは長方形等の通孔が構成された網状体を形成するのが好ましく、このようなひし形、正方形或いは長方形等の通孔を備える網状体で本発明の護岸部材を製造すると、当該護岸部材が、吸水などによる膨張圧に耐え得るうえ、河川の流速や石更に木の枝等の流下物が当たっても裂けたり破損し難いので、耐久性が著しく優れる結果、植物が安定した根構造を形成するまで腐食(生分解)にも耐え得るのであり、又、土壌の構造、植物の成長・成育形態などに合わせて好適に適用できる上、環境破壊などの問題も発生しないのである。
【0027】
なお、網状体に形成される通孔の大きさ、換言すれば、網状体における開孔率も、目的とする護岸部材の使用目的等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、護岸部材に着生する植物の成長、成育に影響を与えるため、本発明においてはその開孔率を管理することが好ましく、一般的には、30〜75%の範囲に設定することが好ましい。
【0028】
又、前記網状体切断の原因としてロープの強度に起因する場合もあるため、本発明においては、網状体の強度を引張強度及び引張伸度において管理するこが好ましい。
【0029】
具体的には、前記網状体における幅方向の引張強度を800〜3000kg/mの範囲にし、長さ方向における引張強度を900〜3500kg/mとすることが好ましい。
【0030】
なお、前記網状体における長さ方向とは、当該網状体を筒状や袋状に形成した際における護岸部材の長手方向のことをいい、幅方向とはこの長手方向に対して直角な方向のことをいい、これらのそれぞれの方向の1m幅をチャックで挟みこれを徐々に反対方向に引っ張っていずれか1本のロープが切れるときの強度、つまり最大引っ張り強度をいう。
【0031】
ここで、網状体を筒状や袋状に形成する方法としては、特に限定されるものではなく、長方形の網状体の相対する2辺を縫合、接合して筒状に形成したり、長方形の網状体の相対する2辺を縫合、或いは接合して筒状に形成し、この筒状体の一方の開口部を縫合、或いは接合によって封着して袋状に形成したり、2枚の網状体を重ねて3辺を接合することによって袋状に形成したりする方法等が挙げられる。
【0032】
前述のごとく、本発明第1護岸部材は、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体からなる袋状体或いは筒状体の内部に、前記天然繊維素材から選ばれた少なくとも1種以上を充填したり、前記天然繊維素材から選ばれた少なくとも1種以上を布状に形成した布状体を前述のように充填したり、或いは前記天然繊維素材及び前記布状体を混合して充填することによって製造される。
【0033】
なお、本発明における前記布状体としては、前記天然繊維素材から選ばれた少なくとも1種以上を布状に形成したものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、前記天然繊維素材から選ばれた少なくとも1種以上を、平織、綾織、絡み織、もじり織等の手段を用いて形成した織布、横編み編布や縦編み編布等の編み物、経糸(ロープ)群と緯糸(ロープ)群を積層して接着した不織布や前記天然繊維素材をフェルト化することによりシート状に形成したフェルトを用いることが好ましく、このように天然繊維素材をフェルト化したフェルトを用いると、仮に外部網状体が破断しても内部の充填材が流出することが無い上、高圧で充填できるから望ましい。
【0034】
特に、本発明においては、前記天然繊維素材を一定の厚さで積層し、ニードルパンチによってランダムにパンチングされた布状体が好ましい。
【0035】
本発明においては、前記の袋状体或いは筒状体の内部に、前記の天然繊維素材及び/又は布状体を充填する場合、その充填圧力は、最終的な護岸部材が設置される場所などに応じて適宜調整することが好ましく、特に限定されるものではない。
【0036】
しかしながら、弱い充填圧力で充填した場合は、植物における根の成長、成育が促進されるから好ましいが、護岸部材としての耐久性がなくなるため好ましくなく、一方、強い充填圧力で充填すると、耐久性は向上するが、植物における根の成長、成育が悪くなり、いずれも好ましくない。
【0037】
そのため、前記の袋状体或いは筒状体の内部に、前記の天然繊維素材及び/又は布状体を充填する場合の充填圧力としては、一般的に8〜16HP程度が好ましく、又、本発明に係る護岸部材の密度としては350〜650kg/m3の範囲、特に、400〜550kg/m3の範囲とするのが望ましい。
【0038】
本発明に係る護岸部材の密度が、350kg/m3未満と低い場合には、植物における根の成長、成育が促進されるから好ましいが、護岸部材としての耐久性がなく、所要の護岸効果が得られないので好ましくなく、一方、650kg/m3を超える場合には、耐久性は向上するが、植物における根の成長、成育が悪くなるので好ましくない。
【0039】
なお、本発明第1護岸部材において、前記の袋状体或いは筒状体の内部に、前記の天然繊維素材及び/又は布状体を充填した後、前記の袋状体或いは筒状体の開口部はそのまま開放状態としても、開口部を縫合、接合しても良いのである。
【0040】
本発明第1護岸部材においては、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体からなる袋状体或いは筒状体の内面にはフェルトが1層或いは複数層積層されて、内部に充填された天然繊維素材及び/又は天然繊維素材の布状体が解れても外部に流出しないように形成されてなるものが最も好ましい。
【0041】
本発明第1護岸部材において用いられるフェルトとしては、天然繊維素材で形成されたものであれば特に限定されるものではないが、適度の生分解性、耐久性や強度等の観点から、ココヤシ繊維で形成されたフェルトが最も望ましい。
【0042】
又、本発明第1護岸部材においては、天然繊維素材で形成された網状体からなる袋状体或いは筒状体の内面にはフェルトが1層或いは複数層積層されてなるが、このような袋状体或いは筒状体を製造する方法としては網状体にフェルトを1層或いは複数層重ね、これを前述の方法で袋状或いは筒状に形成すれば良いのである。
【0043】
このように構成すると、内部に充填された天然繊維素材が外部に漏れたり、流出することがなく、又、内部に充填された天然繊維素材の布状体が解れても外部に漏れたり、流出しないので最も望ましい。
【0044】
次いで、本発明第2護岸部材について説明するが、前記本発明第1護岸部材と内容が重複する点については、繰り返しを避けるため重複説明を省略する。
【0045】
本発明第2護岸部材は、主として河川、湖、海岸などの陸地と水との境界をなす水辺境界周辺部における侵食防止及び人工島の造成のために用いられる護岸部材であって、この護岸部材は、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材からなる布状体とを積層し、多層構造の積層体に形成してなることを特徴とするものである。
【0046】
即ち、前記本発明第1護岸部材が、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体からなる袋状体或いは筒状体の内部に、天然繊維素材及び/又は天然繊維素材からなる布状体を充填してなるものであるのに対し、本発明の第2護岸部材は、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材の布状体とを積層し、多層構造の積層体に形成してなる点において相違がある。
【0047】
ここで、本発明第2護岸部材においては、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材からなる布状体とを積層し、多層構造の積層体に形成してなるものであるが、最外側の網状体が何らかの作用により切断された場合、希ではあるが、内部に充填した布状体が解れて流出することがある。
【0048】
そのため、本発明第2護岸部材においても、本発明第1護岸部材の場合と同様に、網状体の構造や引張強度及び引張伸度等を調整し、当該網状体が容易に切断されないように構成することが望ましい。
【0049】
このように、本発明第2護岸部材においては、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材の布状体とを積層し、多層構造の積層体とすることにより、前記目的を達成し得るのである。
【0050】
即ち、本発明第2護岸部材においては、このように構成することにより、前記網状体を補強材として複数層も備える積層体からなるので、それらのうちの1つの網状体が何らかの作用により切断ないし破損した場合であっても、その強度は殆ど変わることなく、護岸部材の形態を長期間にわたって維持することができるのである。
【0051】
なお、網状体と布状体との積層方法としては特に限定されるものではないが、具体的には例えば、縫合処理やパンチング或いは接着剤等を用いて積層する方法などが挙げられる。
【0052】
又、本発明第2護岸部材の密度としては、本発明第1護岸部材の密度の場合と同様の理由により、350〜650kg/m3の範囲、特に、400〜550kg/m3の範囲とするのが望ましい。
【0053】
ところで、本発明第2護岸部材において用いられる天然繊維素材、網状体又は布状体としては、本発明第1護岸部材で説明したものと同様のものを用いることができるため、重複説明を避けるためここでは省略する。
【0054】
次いで、本発明第3護岸部材について説明するが、前記本発明第1護岸部材或いは本発明第2護岸部材と内容が重複する点については、重複説明を避けるためここでは説明を省略する。
【0055】
前述したように、本発明第3護岸部材においては、主として河川、湖、海岸などの陸地と水との境界をなす水辺境界周辺部における侵食防止或いは人工島の造成のために用いられる護岸部材であって、この護岸部材は、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材の布状体とを共巻きし、多層構造のロール形態に形成してなることを特徴とするものである。
【0056】
即ち、前記本発明第1護岸部材が、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体からなる袋状体或いは筒状体の内部に、天然繊維素材及び/又は天然繊維素材で形成された布状体を充填してなるものであり、本発明第2護岸部材が、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材の布状体とを積層し、多層構造の積層体に形成してなるものであるのに対し、本発明第3護岸部材においては、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材の布状体とを共巻きし、多層構造のロール形態に形成してなる点において相違する。
【0057】
前述のように、本発明第1護岸部材においては、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体からなる袋状体或いは筒状体の内部に、天然繊維素材及び/又は天然繊維素材で形成された布状体を充填してなるものであることから、最外側の網状体が何らかの作用により切断ないし破損した場合、内部に充填した天然繊維素材が流出してしまうおそれがある。
【0058】
そこで、本発明第2護岸部材は、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材の布状体とを積層し、多層構造の積層体とすることにより、前記本発明第1護岸部材の問題を解消したものである。
【0059】
しかしながら、本発明第2護岸部材は、網状体と布状体とを単に積層しただけの構造であるため、圧縮処理にも限界があり、比較的密度が低く、このため流速の早い河川等においては、使用が制限される場合がある。
【0060】
そのため、本発明第3護岸部材においては、天然繊維素材からなるロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材からなる布状体とを共巻きし、多層構造のロール形態に形成することにより、前記問題を解消したものである。
【0061】
即ち、本発明第3護岸部材は、天然繊維素材からなるロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材からなる布状体とを共巻きしているから、言い換えれば、天然繊維素材からなるロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材からなる布状体とを重ねた後、一端部から圧縮巻き取りしてなるから、護岸部材の密度を任意に向上させることができるのであり、その結果、本発明第2護岸部材のように流速の早い河川等において使用が制限されることがなく、しかも袋状体や筒状体の一方向から強い圧力で、強制的に天然繊維素材を圧縮充填する本発明第1護岸部材より、内部圧と密度が均一に構成され、多様な現場設置状況により可変的に調整することができるのである。
【0062】
又、本発明第3護岸部材においては、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材の布状体とを共巻きしているから、最大護岸部材の中心まで網状体が存在することになり、護岸部材の補強材としての機能を発現するから、それらのうちの1つの網状体が何らかの作用により切断ないし破損した場合であっても、その強度は殆ど変わることなく、護岸部材の形態を維持することができるのである。
【0063】
勿論、本発明第3護岸部材においても、本発明第1護岸部材の場合と同様に、網状体の構造や引張強度及び引張伸度等を調整し、当該網状体が容易に切断されないように構成することが望ましい。
【0064】
又、本発明第3護岸部材の密度としては、本発明第1護岸部材の密度の場合と同様の理由により、350〜650kg/m3の範囲、特に、400〜550kg/m3の範囲とするのが望ましい。
【0065】
ところで、本発明第3護岸部材において用いられる天然繊維素材、網状体及び布状体としては、本発明第1護岸部材及び本発明第2護岸部材で説明したものと同様のものを用いることができるため、重複説明を避けるためここでは省略する。
【0066】
なお、本発明の第1〜第3の自然環境再生型護岸部材においては、いずれも単一の筒状体、袋状体、積層体或いはロール形態として形成してもよいが、取扱性や施工性を向上させ、しかも流速の著しく早い河川においても流出しないようにするために、複数の護岸部材を一軸方向に連接した長尺状に形成したり、複数の護岸部材を2軸方向に連接した面状に敷設することが好ましい。
【0067】
本発明の自然環境再生型護岸部材を用いた護岸施工方法においては、前記本発明の第1〜第3の自然環境再生型護岸部材から選ばれた少なくとも1種以上を用いて、河川、湖、海岸などにおける侵食を防止することを特徴とするものである。
【0068】
基本的に、この護岸施工方法においては、本発明の第1〜第3の自然環境再生型護岸部材を、河川、湖、海岸などにおける侵食防止を図る場所で使用するにあたり、陸地と水との境界をなす水辺境界周辺部に護岸部材を敷設するだけでよく、このように護岸部材を敷設するだけで、当該護岸部材の施工直後であっても、十分な護岸機能を発現するのであるが、時間の経過と共に当該護岸部材に植物が根を下ろして安定化すれば、これら根が固く絡まりあって、当該護岸部材の腐食(生分解)・消滅後にも半永久的に護岸機能が維持され、斜面の土砂流失防止、斜面下端部の流失防止及び堤防流失防止を図ることができる上、水生植物や植物の根の成長、成育が促進されるだけでなく、天然繊維素材からなる護岸部材によって魚の棲息を可能にして、河川の自然保護機能である水質自浄効果を極大化し、河川生態系に配慮した生態的棲息場所を再生し、これによる周辺景観の改善と情緒の向上を図って緑地休息空間等を造成することができるのである。
【0069】
なお、流速の著しく早い河川等においては、陸地と水との境界をなす水辺境界周辺部に護岸部材を単に敷設するだけでなく、固定用の杭を打ち込んで護岸部材を固定したり、予め水防塚等を設置し、作業をし易くすることも本発明の護岸施工方法の当然に予定するところである。
【0070】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図1ないし図9に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0071】
図1は本発明第1護岸部材の斜視図であり、図2はその断面図であり、図3は本発明第2護岸部材の斜視図であり、図4はその断面図であり、図5は本発明第3護岸部材の斜視図であり、図6はその断面図である。
【0072】
図1及び図2の本発明第1護岸部材1においては、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体2aからなる袋状体2の内部に、天然繊維素材(及び/又は天然繊維素材の布状体)3を充填してなり、そしてこの場合、前記袋状体2はその内面にフェルト20が1層積層されて、内部に充填された充填材天然繊維素材3が外部に漏れたり、流出することがなく、又、内部に充填された天然繊維素材の布状体3が解れても外部に漏れたり、流出しないように構成されている。
【0073】
そして、この実施例において、本発明第1護岸部材1を製造するにあたり、まず、網状体2aにフェルト20を1枚積層し、この積層体の全体にわたって両者を適宜間隔で縫着して接合し、その長手方向両側縁部を重ねて縫合することによって筒状体を製造し、次いで、この筒状体における一方の開口部を縫合、封着して袋状体2を形成し、続いて、この袋状体2の内部に、その他方の開口部から天然繊維素材(及び/又は天然繊維素材の布状体)3を充填した後、当該他方の開口部を縫合、封着すれば良いのである。
【0074】
つまり、本発明第1護岸部材1は、これらの天然繊維素材から選ばれた少なくとも1種以上を加撚し、一定の太さのロープを形成し、このロープを網状に形成した網状体2aからなる袋状体2の内部に、前記天然繊維素材から選ばれた少なくとも1種以上を充填したり、前記天然繊維素材から選ばれた少なくとも1種以上からなる布状体を充填することによって製造される。
【0075】
なお、この本発明第1護岸部材1において用いられる天然繊維素材としては、特に制限されるものではなく、ココヤシ繊維、木綿、カポック、ジュート麻、マニラ麻、サイザル麻、絹、ラクダ、アルパカ、羊毛、モヘア及びカシミヤ等の公知の天然繊維素材から選ばれた少なくとも1種以上を適宜用いることができるが、これらのうち、外装材である袋状体2は強度の高いものを用いることが望ましい。
【0076】
即ち、前記天然繊維素材のうち、ココヤシ繊維は、リグニンやセルロースからなり木に近い素材で、強度が高く、しかも水中でも腐り難く、長期安定性更に適度の生分解性を有するのであり、又、資源も豊富で廉価である上、環境を破壊しないなどの理由から、外装材や充填材がココヤシ繊維で形成されているものが最も好ましい。
【0077】
なお、前記天然繊維素材からなるロープとしては、一般的には天然繊維素材、特に、ココヤシ繊維を10〜16回加撚されるように構成し、直径6〜12mm程度のロープを形成することが好ましい。
【0078】
そして、本実施例においては、前記ロープを網状に形成して網状体2aを得るのであるが、一般的に、ロープを網状体2aに形成する場合、図7に示すように、複数のロープを並べて配置し、適当な間隔を置いて結束2b処理してひし形の通孔2cを形成し、このようにひし形の通孔2cを備える網状体2aで本発明第1護岸部材1を製造すると、当該護岸部材1が、吸水などによる膨張圧に耐え得るうえ、河川の流速や石更に木の枝等の流下物が当たっても裂けたり破損し難いので、耐久性が著しく優れる結果、植物が安定した根構造を形成するまで腐食(生分解)にも耐え得るのであり、又、土壌の構造、植物の成長・成育形態などに合わせて好適に適用できる上、環境破壊などの問題も発生しないのである。
【0079】
又、本実施例においては、ひし形の通孔2cを備える網状体2aに代えて、図8に示すように、前記ロープを緯糸と経糸に用い、この緯糸と経糸によって、四角形状の通孔2cが連続配置するように繊造して網状体2aを形成した場合にも、膨張圧に耐えて網状体用ロープが切断されることが防止されるので望ましい。
【0080】
なお、網状体2aに形成される通孔2cの大きさ、言い換えれば網状体2aにおける開孔率も、目的とする護岸部材1の使用目的等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、この護岸部材1に着生する植物の成長に影響を与えるため、本実施例においてはその開孔率を管理することが好ましく、一般的には、30〜75%の範囲に設定することが好ましい。
【0081】
又、前記ロープ切断の原因が網状体2aの強度に起因する場合もあるため、本発明においては、網状体2aの強度を引張強度及び引張伸度において管理することが好ましい。
【0082】
具体的には、当該網状体2aにおける幅方向の引張強度を800〜3000kg/mの範囲に設定し、一方、長さ方向における引張強度を900〜3500kg/mに設定することが好ましい。
【0083】
図3及び図4の本発明第2護岸部材1においては、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体2aと、天然繊維素材からなる布状体3とを積層し、多層構造の積層体に形成してなることを特徴とするものであり、このように構成することにより、本発明第2護岸部材1は、前記網状体2aを補強材として何層も備えてなる積層体となるため、それらのうちの1つの網状体が何らかの作用により切断ないし破損した場合であっても、その強度は殆ど変わることなく、長期間にわたって護岸部材1の形態を維持することができるのである。
【0084】
本実施例において、前記布状体3としては、前記天然繊維素材から選ばれた少なくとも1種以上を布状に形成したものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、前記天然繊維素材から選ばれた少なくとも1種以上を、平織、綾織、絡み織、もじり織等の手段を用いて形成した織布、横編み編布や縦編み編布等の編み物、経糸群と緯糸群を積層して接着した不織布等が挙げられるが、特に、前記天然繊維素材をフェルト化することによりシート状に形成されたフェルトを用いることが好ましい。
【0085】
特に、本発明においては、前記天然繊維素材を一定の厚さで積層し、ニードルパンチによって無作為にパンチングされた布状体3が好ましい。
【0086】
なお、本実施例における天然繊維素材及び網状体2aとしては、本発明第1護岸部材1において説明したものと同様のものを用いることができる。
【0087】
図5及び図6の本発明第3護岸部材1は、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体2aと、天然繊維素材の布状体3とを共巻きにし、多層構造のロール形態に形成してなることを特徴とするものであり、網状体2aと布状体3とを共巻きにしているから、言い換えれば、網状体2と布状体3とを重ねた後、一端部から圧縮巻き取りしているから、護岸部材1の密度を任意に向上させることができるのであり、これにより、流速の早い河川等においても好適に使用ができるのであり、しかも、内部圧と密度が均一に構成され、多様な設置現場の状況により可変的に調整、使用することができる。
【0088】
又、本発明第3護岸部材1においては、網状体2aと布状体3とを共巻きにしているから、護岸部材1の中心まで網状体2が存在し、護岸部材1の補強材としての機能を発現するから、それらのうちの1つの網状体が何らかの作用により切断ないし破損した場合であっても、その強度は殆ど変わることなく、護岸部材1の形態を維持することができるのである。
【0089】
なお、本発明第3護岸部材において用いられる天然繊維素材、網状体2a及び布状体3としては、本発明第1護岸部材及び本発明第2護岸部材で説明したものと同様のものを用いることができるため、重複説明を避けるためここでは省略する。
【0090】
護岸の施工方法の実施例
以下に述べる護岸の施工方法においては、以下の仕様を備える前記本発明第1護岸部材の実施例品と同様の形態のものを用いた。
自然環境再生型護岸部材1の仕様
自然環境再生型護岸部材1・・・直径30cm、長さ2m、密度450kg/m3。
ロープ・・・ココヤシ繊維を12回加撚して製造した太さ9mmのココヤシ繊維製ロープ(引張強度22kg/1本)。
網状体2a・・・前記ロープを緯糸と経糸に用い、この緯糸と経糸によって、2cm角の通孔2cが連続配置するように繊造して形成されたもの(幅方向の引張強度が850kg/m、長さ方向における引張強度が1000kg/m)。
フェルト20・・・ココヤシ繊維製のフェルト(坪量1000g/m2)。
袋状体2・・・前記の網状体2aとフェルト20を重ね、長手方向両側縁部及び一方の開口部を太さ9mmのココヤシ繊維製ロープで縫着。
充填材・・・ココヤシ繊維3を圧入機で圧入。
この自然環境再生型護岸部材1は、例えば、以下に示すように施工、使用される。
【0091】
即ち、図9及び図10に示すように、河川の一定の区間を定めて地盤を固め整地した後、斜面の土砂流失防止のために、厚さが2mmのロープで形成された麻メッシュ(開孔率55%)を敷設し、前記自然環境再生型護岸部材1を斜面4下端から中間部まで一層にて敷設した。
【0092】
なお、この際、左右上下の間隔を0.3〜1m程度開け、葦やネコヤナギの苗木等を一定の間隔で自然環境再生型護岸部材1の間の斜面4に移植する。
【0093】
そして、この自然環境再生型護岸部材1を斜面に固定するために、自然環境再生型護岸部材1の2本間隔に沿って、木製等の固定用の杭5を打ちながら自然環境再生型護岸部材1を確実に地面(斜面)4に固定、安定化させる。
【0094】
以後、所望により水性草木類(葦、菖蒲、菖蒲)を播種すると、これらは十分に成長して自然環境再生型護岸部材1と共に護岸を保護して緑地空間を創出する。
【0095】
そして、以上のように形成した護岸構造においては、図10に示すように、自然環境再生型護岸部材1を湖などの陸地(斜面)4と水との境界をなす水辺境界周辺部に敷設すると、天然繊維素材が持つ固有の特性によって適正量の水分を常に包摂し、過度の水分は透水させる透水性、自らの空隙による通風性、断層エアーホールによる毛細管形状で、水分が地面の上端まで浸透して植物の成長を助け、吸湿、脱湿等による水分通過時の呼吸を促進し、そして、図11に示すように、自然界での腐食が容易で一定期間経過すると、湖などの陸地と水との境界をなす水辺境界周辺部において、植物や水性植物などの生物が自然環境再生型護岸部材1を栄養源として繁殖し、生物学的培地機能を発現するのである。
【0096】
又、植物や水性植物が自然環境再生型護岸部材1に根を下ろして安定化すれば、これらの根が固く絡まりあって、自然環境再生型護岸部材1の腐食後にも防護機能(護岸機能)を発揮できると共に、河川浄化効果も極大化するのである。
【0097】
即ち、自然環境再生型護岸部材1の繊維素間に、各種の好気性微生物または嫌気性微生物が着生し、これらの微生物が流水中の栄養源を摂取、利用して繁殖するので、河川や湖の各種有機栄養物を分解、除去し、その結果、これら微生物が魚類の餌源になると同時に、魚類はこれら繊維素間に抱卵して魚巣や繁殖地となって最適の護岸機能を発現するのである。
【0098】
また、自然環境再生型護岸部材1自体が弾性を持ち、強い流速や波が押し寄せてきても直接衝撃を受けず、一時的に水圧を緩衝しながら水圧を減少、遮断するので、コンクリートや石材類の護岸で発揮される直接衝撃吸収式と比較して長期間の護岸維持が可能になるのである。
【0099】
【発明の効果】
本発明に係る自然環境再生型護岸部材においては、河川、湖、海岸などの陸地と水との境界をなす水辺境界周辺部における侵食防止或いは人工島の造成のために使用される護岸部材であり、前述の如く構成し、水と陸地との間に敷設することにより、そこで植物や水生植物が育つようにして斜面の土砂流失防止、斜面下端部の流失防止、水生植物の固定化による堤防流失防止を図ることができるのであり、又、水生植物や植物の根や天然繊維素材の護岸部材での魚の棲息を可能にして、河川の自然保護機能である水質自浄効果が極大化し、河川生態系に配慮した生態的棲息場所を再生し、これによる周辺景観の改善と情緒の涵養のための緑地休息空間等を造成することができるなどの効果を奏するのである。
【0100】
即ち、本発明に係る第1ないし第3の自然環境再生型護岸部材においては、主として河川、湖、海岸などの陸地と水との境界をなす水辺境界周辺部における侵食防止及び人工島の造成のために用いられるものであり、いずれも天然繊維素材で形成されてなるものであるから、天然繊維素材が持つ固有の特性によって適正量の水分を常に包摂することができる保水性、透水性及び通気性を有し、しかも自然界での腐食が容易で、一定期間生物の栄養源として機能する大変重要な生物学的培地機能を発揮するなどの効果を奏するのである。
【0101】
又、本発明に係る第1ないし第3の自然環境再生型護岸部材においては、いずれも天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体により、確実に補強されているから、流水による衝撃や、浸水や渇水による膨潤や乾燥等の環境下にあっても、長期にわたってその形態が崩れることなく保持することができるなどの効果を有するのである。
【0102】
そして、本発明に係る第1ないし第3の自然環境再生型護岸部材は、いずれも天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体により、しっかりと補強されていることから、機械的強度が高く、従って、当該護岸部材の施工直後であっても、十分な護岸機能を発現するのであるが、当該護岸部材に植物が根を下ろして安定化すれば、これら根が固く絡まりあって、当該護岸部材の腐食(生分解)・消滅後にも半永久的に護岸機能が維持される上、河川、湖又は海を汚染する各種有機栄養物を分解除去する各種好気性微生物または嫌気性性微生物の着生を促し、しかも、これらの微生物を食糧源とする魚介類の繁殖も可能となるなどの効果を発現するのである。
【0103】
又、本発明第2護岸部材においては、天然繊維素材からなるロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材からなる布状体とを積層し、多層構造の積層体とすることにより、前記網状体を補強材として何層も備えてなる積層体となるため、それらのうちの1層の網状体が何らかの作用により切断ないし破損した場合であっても、その強度は殆ど変わることなく、護岸部材の形態を維持することができるなどの効果を有するのである。
【0104】
更に、本発明に係る第3護岸部材においては、天然繊維素材からなるロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材からなる布状体とを共巻きし、多層構造のロール形態に形成することにより、護岸部材の密度を任意に向上することができるのであり、その結果、流速の早い河川等においても使用が可能であり、しかも、内部圧と密度が均一に構成され、多様な設置現場の状況に応じて最適な状態で使用できるなどの効果を有するのである。
【0105】
加えて、本発明第3護岸部材においては、天然繊維素材からなるロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材からなる布状体とを共巻きしているので、護岸部材の中心まで網状体が存在し、護岸部材の補強材として機能するから、ある層の網状体が何らかの衝撃により切断ないし破損された場合であっても、その強度は殆ど変わることなく、護岸部材の形態を維持することができるなどの効果を奏するのである。
【0106】
そして、本発明の自然環境再生型護岸部材を用いた護岸施工方法においては、前記本発明の第1〜第3護岸部材から選ばれた少なくとも1種以上を用いて、河川や海岸における侵食を防止することを特徴とするものであり、簡便かつ安価に施工することができるなどの効果を奏するのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明第1護岸部材の一実施例を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明第1護岸部材の一実施例の断面図である。
【図3】図3は、本発明第2護岸部材の一実施例を示す斜視図である。
【図4】図4は、本発明第2護岸部材の一実施例の断面図である。
【図5】図5は、本発明第3護岸部材の一実施例を示す斜視図である。
【図6】図6は、本発明第3護岸部材の一実施例の断面図である。
【図7】図7は、本発明で好適に使用される網状体の斜視図である。
【図8】図8は、本発明で好適に用いられる他の網状体の平面図である。
【図9】図9は、本発明の自然環境再生型護岸部材の使用例を示す側面図である。
【図10】図10は、本発明の自然環境再生型護岸部材を湖などの陸地と水との境界をなす水辺境界周辺部に敷設した状態を示す説明図である。
【図11】図11は、本発明の自然環境再生型護岸部材を湖などの陸地と水との境界をなす水辺境界周辺部に敷設し、当該自然環境再生型護岸部材に植物が成育、成長している状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 自然環境再生型護岸部材
2 袋状体
2a 網状体
2b 結束
2c 通孔
3 天然繊維素材(及び/又は天然繊維素材の布状体)
5 杭
Claims (14)
- 主として河川、湖、海岸などの陸地と水との境界をなす水辺境界周辺部における侵食防止或いは人工島の造成のために用いられる護岸部材であって、この護岸部材は、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体からなる袋状体或いは筒状体の内部に、天然繊維素材及び/又は天然繊維素材の布状体を充填してなることを特徴とする自然環境再生型護岸部材。
- 網状体からなる袋状体或いは筒状体の内面にはフェルトが1層或いは複数層積層されて、内部に充填された天然繊維素材及び/又は天然繊維素材の布状体が解れても外部に流出しないように形成されている請求項1に記載の自然環境再生型護岸部材。
- 主として河川、湖、海岸などの陸地と水との境界をなす水辺境界周辺部における侵食防止或いは人工島の造成のために用いられる護岸部材であって、この護岸部材は、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材の布状体とを積層し、多層構造の積層体に形成してなることを特徴とする自然環境再生型護岸部材。
- 主として河川、湖、海岸などの陸地と水との境界をなす水辺境界周辺部における侵食防止或いは人工島の造成のために用いられる護岸部材であって、この護岸部材は、天然繊維素材のロープを網状に形成した網状体と、天然繊維素材の布状体とを共巻きし、多層構造のロール形態に形成してなることを特徴とする自然環境再生型護岸部材。
- 天然繊維素材が、ココヤシ繊維である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の自然環境再生型護岸部材。
- 天然繊維素材のロープの引張強度が、10kg/1本以上である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の自然環境再生型護岸部材。
- 網状体が、天然繊維素材のロープを緯糸と経糸に用い、この緯糸と経糸によって、4角形状の通孔が連続配置するように織造してなる請求項1ないし6のいずれか1項に記載の自然環境再生型護岸部材。
- 網状体における開孔率が30〜75%である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の自然環境再生型護岸部材。
- 網状体における幅方向と長さ方向の引張強度が各々800〜3000kg/mと900〜3500kg/mである請求項1ないし8のいずれか1項に記載の自然環境再生型護岸部材。
- 布状体が、天然繊維素材からなる織布、不織布、フェルトまたは編み物から選ばれた少なくとも1種以上である請求項1ないし9のいずれか1項に記載の自然環境再生型護岸部材。
- 布状体が、天然繊維素材を一定の厚さで積層し、ニードルパンチによってランダムにパンチングされたものである請求項10に記載の自然環境再生型護岸部材。
- 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の護岸部材の密度が350〜650kg/m3である自然環境再生型護岸部材。
- 複数の護岸部材が、一軸方向に連設された長尺状、或いは2軸方向に連設された面状に形成されてなる請求項1ないし12のいずれか1項に記載の自然環境再生型護岸部材。
- 請求項1ないし13のいずれか1項に記載の環境に優しい自然環境再生型護岸部材を用いて、河川や海岸における侵食を防止することを特徴とする護岸施工方法。
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