JP4392784B2 - 埋設構造体、埋設接合構造体及び土留柵工構造体 - Google Patents

埋設構造体、埋設接合構造体及び土留柵工構造体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、土中に埋設されたときに良好な通水性を生じかつ植物の生育が可能となり、自然環境を改善できる埋設構造体、埋設接合構造体及び土留柵工構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
堤防又は河岸を流水の侵食洗掘から守る護岸は、法覆、法留及び根固めの3部分から通常構成される。法覆を形成する法覆工は、堤防や河岸の法面(斜面)を被覆して流水による侵食を防ぐ工法である。法留を形成する法留工は、法覆工の土台となるもので、法覆工が滑り落ちないように支える作用があり、主として、木杭を打ってそれに竹の横木を渡して柵を作る竹柵工、板塀のように、板で柵を作る板柵工、丸太により柵を作る丸太柵工がある。地表水の滴下による表土の移動を防止し、植栽木の育成に良好な環境条件を造成するため、また簡易な土留め工として堆積土砂の流出やがり侵食の発達を防止する目的として間伐材を用いた木製柵工が今日盛んに行われている。
【0003】
【特許文献1】
特開2003−74064公報
【特許文献2】
特開平11−236711号公報
【0004】
特許文献1は、杭柵工法の利点を生かしかつ耐久性を高めることができる傾斜地の法面の杭柵工法を示す。この杭柵工法では、少なくとも2本の人工杭を法面の間口方向に間隔をおいて打ち込み、人工杭の打ち込みに先立ち又は打ち込み後、各人工杭に固定具を取り付け、各固定具を使用して人工柵を取り付け、法面に中詰め材を投入し、人工柵で支持して、傾斜地の法面を柵で仕切って法面を保護することができる。人工杭と人工柵とを使用して杭柵工法を実施するため、耐久性を向上すると共に、傾斜地の法面を階段状に施行するため、傾斜地に大掛かりな基礎構造などを構築する必要がなく、環境を保全する状態での施工が可能となる。
【0005】
特許文献2は、ダム等の湛水池周辺の水位変動域を形成する法面に施工される緑化基盤の波浪等による浸食又は崩壊を防止しかつ効率良く法面の緑化と保護を行う法面緑化工法を示す。この法面緑化法では、掘削して形成された法面に編柵工を階段状に設置し、編柵工の内側面に沿って上下方向へ柳類のソダ(粗朶)を設置すると共に、ソダの内側面に沿って上下方向へ吸出し防止材を装着し、更に、上段側の編柵工との間の法面に所定高さ盛土して客土層を形成し、客土層上に生育基盤層を設けかつ生育基盤層上に柳類のソダを敷設し、柳類のソダの上面に金網等から成るソダ押えを張設する。このため、客土粒子の流出がなく全体として客土層及び生育基盤層並びに柳類のソダが法面に階段状に強固かつ安定的に形成され、ダム内に生ずる波浪等によって客土層及び生育基盤層の侵食を阻止することができ、生育基盤層内に内包される種子の発芽育成を促進して、法面を早期に緑化することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の柵工構造では、土中の排水機能が十分でなくかつ柵工構造の上に植物を育成することは困難であった。他面、古くから施工されている従来の竹ソダ工法は、通常の作業員が容易に施工できない高度な職人芸であった。竹ソダ工法に使用する材料を二次製品化し、普通作業員でも施工可能にする必要がある。
本発明は、土中で十分な排水機能を生じかつ周辺の土と一体化して植物の育成が可能となる表面を備えた埋設構造体、埋設接合構造体及び土留柵工構造体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による埋設構造体(1)は、土中に埋設されて暗渠(15)を形成する通水性及び排水性を有する埋設構造体において、竹により形成される芯材(2)と、割竹により形成されて芯材(2)を包囲する通水性の充填材(3)と、割竹により竹簾状及び細長形状に形成されて充填材(3)の外周面に沿って配置される細長い複数の外皮材(4)と、外皮材(4)の外側から充填材(3)及び芯材(2)を緊束する緊締材(5)とを備え、外皮材(4)を構成する隣合う割竹間の間隙を通じて、土中から外皮材(4)の内部に水分又は土砂が侵入して、内部自体が微生物、小動物及び植物の育成に良好な培地又は培養基となる。軽量に形成されかつ埋設構造体(1)の中心部に設けられる芯材(2)により、曲げ又は変形に対し埋設構造体(1)に十分な機械的強度を付与できると共に、埋設構造体(1)の取扱い及び付設が容易となる。また、中空の筒材(2a)を束ねて芯材(2)を構成するので、芯材(2)の内部又は周辺部に保水作用が生ずると共に、芯材(2)の周辺部で生物の育成が促進される。充填材(3)も通水性を有するので、埋設構造体(1)の外部から内部に向かって水分が流れて排水作用が生ずるので、埋設構造体(1)を埋設した土中を適度な水分量に維持することができる。外皮材(4)及び緊締材(5)は、埋設構造体(1)を所定の形状に保持する作用がある。また、外皮材(4)を構成する隣合う割竹間の間隙を通じて、埋設構造体(1)内に水分若しくは土砂が侵入し又は生物が生息して、埋設構造体(1)の内部で植物の活性化と生育とを助長することが可能となり、地表水の滴下による表土の移動を防止し、植栽木の育成に良好な環境条件を醸成することができる。
【0008】
本発明による埋設接合構造体は、土中に埋設されて暗渠(15)を形成する埋設構造体(1)を一直線上に配置し、隣り合う埋設構造体(1)の一方の芯材(2)を充填材(3)から外側に突出させて凸部(6)を形成すると共に、他方の埋設構造体(1)の芯材(2)を充填材(3)から窪ませて凹部(7)を形成し、突出させた一方の埋設構造体(1)の芯材(2)の凸部(6)を他方の埋設構造体(1)の芯材(2)の凹部(7)内に挿入して、連続的に長い埋設構造体を構成する。これにより、一定長さの埋設構造体(1)を長さ方向に接合して所望の長さの埋設接合構造体(10)を形成することができる。
本発明による土留柵工構造体(20)は、土中に埋設されて暗渠(15)を形成する長さ方向に並行に配置された複数の埋設構造体(1)又は埋設接合構造体に対して、直角に複数個の杭を固定して形成されるので、土留柵工構造体(20)の杭(6)を法面の土中に確実に埋設することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による埋設構造体、埋設接合構造体及び土留柵工構造体の実施の形態を図1〜図16について説明する。
図1に示すように、本発明による埋設構造体(1)は、中空で円筒状の細長いほぼ同一形状の複数の筒材(2a)を束ねて形成された芯材(2)と、芯材(2)を包囲して芯材(2)の周囲に円筒状に形成された通水性の充填材(3)と、充填材(3)の外周面に沿って配置されかつ竹簾状に編み込んだ細長い複数の外皮材(4)と、外皮材(4)の外側から充填材(3)及び芯材(2)を緊束する緊締材(5)とを備えている。筒材(2a)は、ウッドプラスチック若しくは生分解性プラスチックの何れかから選択された材料により形成され又は円筒状の天然材から形成されるが、本発明の実施の形態では、ほぼ均一な直径を有する複数本、例えば8本のヤダケを筒材(2a)として使用し、ヤダケを束ねて芯材(2)を軽量に形成することができる。別法として、古紙から出るパルプを、木材に含まれる成分のリグニンで固めて作るウッドプラスチック又は通常のプラスチックと同様に使用でき、その後自然界の微生物によって水と二酸化炭素に分解され、自然に戻る生分解性プラスチックを使用することができる。ウッドプラスチックは、木より軽い材料から石油系プラスチック並みの強度を有する材料まで作れるうえ、溶剤に溶かせばリグニンを回収し、安価に再利用できる。また、木材から分離した別の成分のセルロースを硫酸で溶かし、乳酸発酵させた後に固めれば、生分解性プラスチックに変更することができる。生分解性プラスチックは、「使用状態では従来のプラスチックと同等の機能を有し、使用後廃棄された時は土中または海水中などの微生物により分解され、最終的に水と二酸化炭素になるプラスチック」である。生分解性プラスチックは主に穀物でんぷん(飼料用とうもろこしでんぷん)を出発原料とし、各種工程を経てプラスチックペレット材料となり、透明性から不透明性、軟質から硬質など、汎用プラスチックがカバーする領域はほぼ代替えが可能である。独自の自然材料添加により生分解性プラスチックの分解性をコントロールすることも可能である。生分解性プラスチックの種類としては、最終的にすべて水と二酸化炭素に分解する完全分解型と部分分解型(崩壊型)とがある。完全分解型は、バイオポール、ビオファン、ビオグリーン等の微生物産出系、ノボン、マタービー、ドロン等の天然高分子系、セルグリーン、ビオノーレ、PCL、ラクティ、ルナーレ、レイシア等の化学合成系があり、化学合成系の中には、でんぷん等の天然物由来の物と化石資源由来の物がある。部分分解型は、ポリエチレン等の汎用プラスチックとでんぷん、PVA(ポリビニルアルコール)等の混合プラスチックがある。
【0010】
充填材(3)は、多孔質のウッドプラスチック若しくは生分解性プラスチック又は植物の堆積体から選択されるが、本実施の形態では、葉付き又は葉無しモウソウチクの枝束を使用することができる。外皮材(4)は、割竹、ヤタケ等の竿竹、植物の外皮、ウッドプラスチック若しくは生分解性プラスチックから選択された材料により細長形状に形成され又は植物繊維により網状に形成されるが、図1に示す本実施の形態では、細長い板状の竹材を竹スダレ状に編み込んだ構造又は紐で緊締した構造を有する。また、東京都港区元赤坂1−1−19に所在の株式会社コーセキマテリアル製「サクラボール(商標名)」と称する多数のセラミック製ボールを緊締材により連結して外皮材(4)として充填材(3)の周囲に巻き付けてもよい。外皮材(4)を外側から固定する緊締材(5)は、銅線等の針金又は麻紐等の天然材又は自然に無害の人工繊維で構成した糸又は紐を使用することができる。例えば、緊締材(5)は、麻紐(5a)又は銅線(5b)が使用される。外皮材(4)及び緊締材(5)は、埋設構造体(1)を所定の形状に保持する作用がある。本発明による埋設構造体の芯材(2)、充填材(3)及び外皮材(4)に使用する竹は、イネ科中のタケ亜科に属し、小形のものはササと呼ばれる。マダケ、モウソウチク、ハチク、クロチク、ヤダケ、メダケを含み、日本産竹材に限らず、外国産の種々の竹材を使用することができる。本発明の実施の形態では、充填材(3)は、芯材(2)を包囲して芯材(2)の周囲に円筒状に形成されるが、円筒状に限定されず、正方形、長方形等の矩形断面又は多角形断面等種々の断面形状に形成することができる。
【0011】
図1は、埋設構造体(1)の断面を示し、図2は、この一端を示し、図3は、この他端を示す。図2に示すように、埋設構造体(1)の一端では、芯材(2)は、充填材(3)及び外皮材(4)から一定距離だけ外側に軸方向に突出させて、凸部(6)を形成するのに対し、図3に示すように、埋設構造体(1)の他端では、芯材(2)は、充填材(3)及び外皮材(4)から一定距離だけ内側に軸方向に窪む凹部(7)が設けられる。一方の埋設構造体(1)から突出させた芯材(2)の凸部(6)を隣り合う埋設構造体(1)の凹部(7)内に挿入して、連続的に長い埋設構造体(1)を構成することができる。これにより、一定長さの埋設構造体(1)を長さ方向に接合して所望の長さの埋設接合構造体(10)を形成することができる。
【0012】
別法として、予め複数の心材(2)を長さ方向に配置して、図4に示すように、軸方向に一直線状に配置した一対の芯材(2)の隣り合う端部を金属製の小径のカラー(8)又は麻紐等で接合した後、充填材(3)と外皮材(4)とを設け、図5に示すように、隣り合う外皮材(4)も大径のカラー(9)又は麻紐等で接合する。これにより、図6(a)に示すように埋設構造体(1)を所定の長さに延長することができる。この場合に、充填材(3)として使用するモウソウチクの枝又は葉の延伸方向は、図6(b)に示すように、同一方向に整合させても逆方向に配列してもよい。
【0013】
図7〜図9は、割竹により竹簾状に外皮材(4)を形成し、金属製バンド、ロープ、縄により埋設構造体(1)を縛った例を示す。外皮材(4)には、所定の位置にドリルで形成する開口部(4a)が設けられ、通水性及び通気性を改善することができる。図10〜図12は、緊締材(5)を兼ねる網竹により外皮材(4)を形成する例を示す。図10〜図12では、銅線、麻紐等の緊締材(5)を別途使用して埋設構造体(1)を緊縛してもよい。
【0014】
図13は、充填材(3)の周囲にヤタケ等の複数本の円筒状竹(4b)を外皮材(4)として環状に配設して、緊締材(5)により円筒状に緊縛した構造を示す。図14は、埋設構造体(1)を土中に埋設し、埋設構造体(1)の通水性及び排水性を利用して暗渠(15)を形成する例を示す。埋設構造体(1)の周囲には複数のセラミック製ボールも同時に埋設して、土着菌による水の浄化又は目詰まりを防止することができる。図7〜図14の実施の形態では、何れも図1〜図3の実施の形態と同様の作用効果を生ずる。
【0015】
本発明の実施の形態では、埋設構造体(1)又は埋設接合構造体(10)を土中に埋設するとき、埋設構造体(1)の中心部を貫通して長さ方向に機械的強度の高い複数の筒材(2a)を含む芯材(2)が設けられるので、曲げ又は変形に対し埋設構造体(1)に十分な機械的強度を付与することができる。また、芯材(2)を軽量に形成できるので、埋設構造体(1)の取扱い及び付設が容易となる。また、法面に埋設した埋設構造体(1)又は埋設接合構造体(10)は、地表水の滴下による表土の移動を防止し、周辺の土を固定する作用を生ずる。中空の筒材(2a)を束ねて芯材(2)を構成するので、土中に埋設した埋設構造体(1)又は埋設接合構造体(10)内に周辺の土中から水分が流入して、周辺土の水分を排出させると共に、芯材(2)及び充填材(3)の内部又は周辺部に保水作用が生じて、土中を適度な水分量に調節しかつ維持する作用が発生する。また、外皮材(4)を通じて又は隣合う外皮材(4)間の間隙を通じて、埋設構造体(1)内に水分若しくは土砂が侵入し又は生物が生息して、埋設構造体(1)又は埋設接合構造体(10)の内部自体も微生物、小動物及び植物の育成に対し良好な培地又は培養基となり、芯材(2)及び充填材(3)内で生物の生育を助長すると共に、表土上にも植物を繁茂させて、植栽木の育成に良好な環境条件を醸成することができる。また、ウッドプラスチック若しくは生分解性プラスチックの何れかから選択された材料により形成され又は円筒状の天然材から形成される心材(2)、多孔質のウッドプラスチック若しくは生分解性プラスチック又は植物の堆積体から選択される充填材(3)及び割竹、ヤタケ等の竿竹、植物の外皮、ウッドプラスチック若しくは生分解性プラスチックから選択された材料により細長形状に形成され又は植物繊維により網状に形成される外皮材(4)は、長期間使用後に生分解により自然界の物質に変質するので、環境汚染の問題が発生しない。本発明の構造体は、強度、耐久性、景観性、施工性、排水能力に優れ、多自然形工法の計画概念に沿う天然素材を使用する竹ソダロール工法と呼ばれる。竹ソダロールは、竹を含む異なる自然素材を径方向の環状層状に複合的に重ねて円形断面の巻物(ロール)に緊縛したものである。自然素材の種類は、竹、竹の主幹、杉、桧、棕櫚等他の植物の皮及び枝、並びに椰子等の繊維を含み、自然に優しい完全循環型自然素材である。
【0016】
自然素材又は自然回帰素材を使用するため、汚染物質が染み出ない環境保護材を使用でき、植物、生物に優しく、数年で生育する竹を素材として使用する場合に、竹は、無尽蔵の資源と考えてよく、自然破壊にも繋がらない。縦繊維を含む竹の曲げ強度は、非常に強く、複数本の竹材を束ねることにより、土圧に対して十分な強度を有する。限界点を超えたときに、破壊を生ずる木材とは異なり、竹は、機械的変形に対し撓り、ねばりがある。使用する竹材を竹酢酸に浸漬すると、竹酢酸が浸透して耐久性が増加すると同時に、竹酢酸が溶脱し、周辺土壌を活性化させ、虫害、黴等を防ぐ。草木の生育により根が竹ソダロールに絡み、構造が強化され、最後には草木の根と竹ソダロールが一体化する。芯材(2)にヤタケを使用し、透水性能、排水性能を高め、外側の充填材(3)は、割竹等、種々の竹を使用して、強度を増加させる。また、笹竹(竹の枝等)を使用して、土が溜り、草木が生育できる環境が整い、根が張れる竹ソダロールと構造的に一体化する。「竹ソダロール」による柵工では、木製柵工に比較して景観保全の面からも自然環境に馴染み易く、透水性と適度な腐食性を有するため、より自然な植生の回復に適する特徴がある。また、その優れた透水性により、一般の水辺、法面、河川の土留め、水抜きなどにも適し、素材自体の軽量性により施工も容易で、高い専門的技能を必要としない。
【0017】
図15及び図16に示すように、長さ方向に並行に配置された複数の埋設構造体(1)又は埋設接合構造体(10)に対して直角に固定して土留柵工構造体(20)を形成し、土留柵工構造体(20)の杭(6)を法面の土中に確実に埋設することができる。この場合に、複数、例えば6本の土留柵工構造体(20)を垂直方向に並行に配列して形成した土留柵工構造体(20)の束に複数の杭(6)を所定の間隔で固定することができる。土留柵工構造体(20)の束と複数個の杭(6)とを金属製の針金、天然材料により形成された銅線、麻紐又はロープ等の緊締材(21)により固定することができる。土留柵工構造体(20)の垂直方向の束は、単数に限らず、2個又はそれ以上の複数の束でもよい。杭(6)を構成する木材は、薬注処理又は樹脂含浸を行うと、耐用年数が10年以上に達する。また、土留柵工構造体(20)と法面との間に不織布等のシート(11)を介在させて、シート(11)の外側に1層又は複数層の土留柵工構造体(20)(竹ソダロール)を配置して、杭(6)で固定してもよい。
【0018】
【実施例】
本発明の効果を確認するため、何れも森林整備必携(治山・林道設計編)木柵工に基づく構造基準により、マタケの円筒材からなる外皮材4を使用して図1〜図3及び図13に示す埋設構造体(1)を実施例1として作成した。同様に、モウソウチクの割材からなる外皮材4を使用して図7〜図9に示す埋設構造体(1)を実施例2として作成した。実施例1及び実施例2では、芯材(2)にヤタケを使用し、充填材(3)としてタケソダを使用し、竹材料に竹酢液を浸潤させる点では同一の構造を有する竹ソダロールの埋設構造体(1)である。実施例1及び2により作成した埋設構造体(1)により図14に示す暗渠(15)を作成すると共に、防腐剤注入処理した杭(支柱)(6)を使用して、土留柵工構造体を作成した。埋設構造体(1)は、全体的に透水性を有するので、柵工の裏側に水が溜まらなかった。杭(6)は、圧縮加圧注入処理材(ACQ)で15年の耐久年数を有する。竹の耐久年数は、通常7〜8年であるが、竹酢液を含浸させ、根と絡み合う構造体としての強度及び耐久性は更に持続した。自然素材である竹と木とを利用するため、自然景観に馴染み易く、雑草等の混入により、良好な自然環境が形成される。自然への回復力及び湧水処理の面で優れる竹ソダ工法は、安価に施工できる。また、竹酢酸の微量溶脱により土壌の活性化と改良を図ることもできた。
【0019】
ネット柵工、木ソダ柵工、竹柵工、防腐剤無使用の木柵工及び防腐剤を注入した木柵工を比較例1〜5として下記のように作成した。
比較例1:ネット柵工
防腐剤を注入した丸太杭に板と共にポリエチレン製のネットを釘止めして、ネット柵工構造を作成した。防腐剤は、銅化合物(酸化銅:CuO)と塩化ベンザルコニウムクロライド(BKC)(殺菌消毒剤)とを配合した固着性・高耐久性長期安定型の木材防腐・防蟻(防虫)剤のマイトレックACQ(越井木材工業株式会社製)を使用した。防腐剤無処理の丸太杭の耐久性は4〜5年であるが、防腐剤により処理した丸太杭の耐久性は10〜15年である。ポリエチレン製のネットは、半永久の耐久年数を有するが、合成樹脂により形成されるため、紫外線により短期間で変質して劣化する上、使用後に産業廃棄物となる。また、本来自然界に存在しない素材であるポリエチレン製のネットが表面に露出するため、自然度は低く、景観上違和感が生じ、土砂が多少流出する難点がある。ネットの隙間に雑草が入り込むが、草が生え難い欠点がある。
【0020】
比較例2:木ソダ柵工
木枝と丸太杭とを使用し、基本的に現場で調達できる木枝を丸太杭の後に付設して木ソダ柵工構造を作成した。木ソダ柵工構造の耐久年数は、ソダ木の種類に依存するが、一般的に雑木(柳枝)では5〜6年である。基本的に現場で育成された材料の木ソダを使用するため、比較的馴染み易い景観が得られる。しかしながら、隣り合う木ソダ間に空間が多いため、自然回復度は低く、雑草等の混入育成に時間を要する。
【0021】
比較例3:竹柵工
モウソウチクの割竹を作り丸太杭を中心にモウソウチクを編み込んで竹柵工構造を作成した。モウソウチク割竹は、湾曲部が劣化するため、5〜6年の耐久年数である。竹柵工構造は、優れた景観を造成できるが、施工に高度な伝統的技能を要し、施工者の技術力差により施工結果の良否が出易い難点がある。また、隣り合う割竹間に空間が形成されるため、自然回復度は低く、雑草等の混入、育成に時間を要する欠点がある。
【0022】
比較例4:木柵工
加工丸太を丸太杭の後に付設して鉄線止めを行い、木柵工構造を形成した。杉加工丸太の耐久年数は4〜5年である。丸太に使用できる間伐材は、老朽化し、良好な景観を維持することができない難点があり、加工丸太が表面に露出するため、自然回復度は低い。
【0023】
比較例5:防腐剤注入木柵工
工場で加工しかつ防腐剤(マイトレックACQ)を注入した加工丸太を地中に打杭した後、加工丸太をボルト止めして木柵工構造を作成した。杉加工丸太の耐久年数は10〜15年である。木柵工は、間伐材を使用して、永続的な景観を維持することができる。加工丸太が表面に露出するため、自然回復度が低い難点がある。
【0024】
実施例1及び2並びに比較例1〜5を総合的に判断すると下表の結果が得られた。
【0025】
【表1】
Figure 0004392784
表中に表示された◎を3点、○を2点、△を1点、×を0点として総合評価を行うと、実施例1及び2が高得点となり、自然回復型の施工を考慮すると、完全循環型の竹ソダ柵工が優れていることは明白である。
【0026】
【発明の効果】
前記の通り、本発明では、軽量で機械的強度が大きく、通水性、保水性、景観性及び生物の育成に優れた埋設構造体、埋設接合構造体及び土留柵工構造体を形成することができ、法面の安定化、河川の護岸構造、溜池構造、暗渠構造、治山構造、森林復旧の補助等種々の分野又は使用範囲に本発明を適用して、傾斜地、水際及び湿地でも緑化を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態による埋設構造体を断面で示す部分斜視図
【図2】 図1に示す埋設構造体の一端を示す部分斜視図
【図3】 図1に示す埋設構造体の他端を示す部分斜視図
【図4】 芯材を接合する状態を示す側面図
【図5】 埋設構造体を連結して埋設接合構造体を形成する場合の側面図
【図6】 埋設接合構造体及び充填材の側面図
【図7】 本発明の第2の実施の形態による埋設構造体を断面で示す部分斜視図
【図8】 図7に示す埋設構造体の一端を示す斜視図
【図9】 図7に示す埋設構造体の他端を示す部分斜視図
【図10】 本発明の第3の実施の形態による埋設構造体を断面で示す部分斜視図
【図11】 図10に示す埋設構造体の一端を示す斜視図
【図12】 図10に示す埋設構造体の他端を示す部分斜視図
【図13】 本発明の第4の実施の形態による埋設構造体の断面図
【図14】 本発明の埋設構造体を使用して形成した暗渠の断面図
【図15】 本発明による土留柵工構造体を使用する法面の側面図
【図16】 土留柵工構造体の正面図
【符号の説明】
(1)・・埋設構造体、 (2)・・芯材、 (2a)・・筒材、 (3)・・充填材、 (4)・・外皮材、 (5)・・緊締材、 (6)・・凸部、 (7)・・凹部、 (8)・・小径のカラー、 (9)・・大径のカラー、 (10)・・埋設接合構造体、 (20)・・土留柵工構造体、

Claims (4)

  1. 通水性及び排水性を有しかつ土中に埋設されて暗渠を形成する埋設構造体において、
    竹により形成される芯材と、
    割竹により形成されて芯材を包囲する通水性の充填材と、
    割竹により竹簾状及び細長形状に形成されて充填材の外周面に沿って配置される複数の外皮材と、
    外皮材の外側から充填材及び芯材を緊束する緊締材とを備え、
    外皮材を構成する隣合う割竹間の間隙を通じて、土中から外皮材の内部に水分又は土砂が侵入して、外皮材の内部自体が微生物、小動物及び植物の育成に良好な培地又は培養基となることを特徴とする埋設構造体。
  2. 外皮材は、細長い板状の竹材を竹スダレ状に編み込んだ構造又は紐で緊締した構造を有する請求項1に記載の埋設構造体。
  3. 土中に埋設されて暗渠を形成する請求項1又は2に記載される埋設構造体を一直線上に配置し、隣り合う埋設構造体の一方の芯材を充填材から外側に突出させて凸部を形成すると共に、他方の埋設構造体の芯材を充填材から窪ませて凹部を形成し、突出させた一方の埋設構造体の芯材の凸部を他方の埋設構造体の芯材の凹部内に挿入して、連続的に長い埋設構造体を構成したことを特徴とする埋設接合構造体。
  4. 土中に埋設されて暗渠を形成する長さ方向に並行に配置された複数の請求項1又は2に記載の埋設構造体又は請求項3に記載の埋設接合構造体に対して、直角に複数個の杭を固定したことを特徴とする土留柵工構造体。
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