JP2004189697A - ポリカルボキシアダマンタン誘導体の製造法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のポリカルボキシアダマンタン誘導体の製造法は、アダマンタン骨格に、酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基及びカルボキシル基からなる群から選択された置換基を少なくとも3つ有し、且つ酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基を少なくとも1つ有するアダマンタン誘導体(A)を、強酸(B)の存在下、一酸化炭素又はその等価体(C)と反応させ、前記酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基の少なくとも1つをカルボキシル基に変換して、アダマンタン骨格に少なくとも3つのカルボキシル基を有するアダマンタン誘導体を得ることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステルやポリアミドの原料、医薬品や農薬等の精密化学品の合成中間体などとして有用なポリカルボキシアダマンタン誘導体(アダマンタンポリカルボン酸類)の製造法に関する。トリカルボキシアダマンタン(=アダマンタントリカルボン酸)やテトラカルボキシアダマンタン(=アダマンタンテトラカルボン酸)などのように、重合性基であるカルボキシル基を3つ以上有するポリカルボキシアダマンタン誘導体は、適当なモノマー(例えば、アルコールやアミンなど)と反応させることで、三次元構造を有する高分子や超分子集合体を形成することが可能である。
【0002】
【従来の技術】
アダマンタン骨格にカルボキシル基を有するカルボキシアダマンタンの製造法として、アダマンタン又はその誘導体をイミド系化合物触媒の存在下で一酸化炭素及び酸素と反応させ、アダマンタン骨格にラジカル的にカルボキシル基を導入する方法が知られている(特許文献1参照)。しかし、この方法では、モノカルボキシアダマンタンは高い収率で得られるものの、アダマンタン骨格にカルボキシル基が3つ以上有するアダマンタン誘導体は極めて低い収率でしか得られない。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−239730号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は1,3,5−トリカルボキシアダマンタンなどのポリカルボキシアダマンタン誘導体を収率よく得る方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記目的を達成するため鋭意検討の結果、アダマンタン骨格に、酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基及びカルボキシル基からなる群から選択された置換基を少なくとも3つ有し、且つ酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基を少なくとも1つ有するアダマンタン誘導体を、カルボカチオン形成可能な強酸の存在下で一酸化炭素又はその等価体と反応させると、温和な条件で反応が円滑に進行し、ポリカルボキシアダマンタン誘導体を効率よく製造できることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、アダマンタン骨格に、酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基及びカルボキシル基からなる群から選択された置換基を少なくとも3つ有し、且つ酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基を少なくとも1つ有するアダマンタン誘導体(A)を、強酸(B)の存在下、一酸化炭素又はその等価体(C)と反応させ、前記酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基の少なくとも1つをカルボキシル基に変換して、アダマンタン骨格に少なくとも3つのカルボキシル基を有するアダマンタン誘導体を得ることを特徴とするポリカルボキシアダマンタン誘導体の製造法を提供する。
【0007】
この製造法において、下記式(1)
【化3】
(式中、R1、R2及びR3は、同一又は異なって、酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基又はカルボキシル基を示し、R1〜R3のうち少なくとも1つは酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基である。R4は、水素原子、アルキル基、酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基、又はカルボキシル基を示す)
で表されるアダマンタン誘導体(A1)を、強酸(B)の存在下、一酸化炭素又はその等価体(C)と反応させ、下記式(2)
【化4】
(式中、R5は、水素原子、アルキル基、酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基、又はカルボキシル基を示す)
で表されるアダマンタン誘導体を得てもよい。
【0008】
前記酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基には、例えば、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、−0Y基(Yは、隣接する炭素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示す)、酸基などが含まれる。前記強酸(B)として、例えば、強度が105重量%硫酸当量以上の発煙硫酸を使用できる。反応温度としては、例えば40℃から60℃の温度範囲が好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において原料として用いるアダマンタン誘導体(A)としては、アダマンタン骨格に、酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基及びカルボキシル基からなる群から選択された置換基を少なくとも3つ有し、且つ酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基を少なくとも1つ有する化合物であれば特に限定されない。
【0010】
酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基には、例えば、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、−0Y基(Yは、隣接する炭素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示す)、酸基、H(ヒドリドとして)などが含まれる。ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。
【0011】
前記Yは隣接する酸素原子とともにエーテルを形成する基である。前記Yにおける有機基として、例えば、置換又は無置換の炭化水素基、置換又は無置換の複素環式基が挙げられる。前記炭化水素基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル基などのアルキル基(C1-4アルキル基等)などの脂肪族炭化水素基;シクロペンチル、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基(C3-10シクロアルキル基等)などの脂環式炭化水素基;フェニル、ナフチル基などの芳香族炭化水素基(C6-15芳香族炭化水素基等);これらが複数個結合した炭化水素基が含まれる。前記複素環式基には、ピリジル基などの含窒素複素環式基、2−フリル基などの含酸素複素環式基、2−チエニル基などの含硫黄複素環式基などが含まれる。複素環式基は、5〜6員の複素環式基、又はこれらが若しくはこれらとベンゼン環等の芳香族炭化水素環が2〜4個縮合した複素環式基であることが多い。前記炭化水素基や複素環式基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、メトキシ基等のC1-4アルコキシ基、メチル基等のC1-4アルキル基、アセチル基等のC1-6アシル基、メトキシカルボニル基等のC1-4アルコキシ−カルボニル基、ニトロ基、シアノ基、置換又は無置換アミノ基(アミノ基、ジメチルアミノ基等)などが挙げられる。Yとしては、アルキル基(C1-4アルキル基等)、芳香族炭化水素基(C6-15芳香族炭化水素基等)が特に好ましい。
【0012】
前記酸基としては、例えば、アセトキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などのカルボン酸基(アシルオキシ基)(例えばC1-7程度のカルボン酸基など);メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基などのスルホン酸基(スルホニルオキシ基);亜硝酸基(−ONO);硝酸基(−ONO2)などが挙げられる。
【0013】
酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基としては、特に、ヒドロキシル基、ハロゲン原子などが好ましい。
【0014】
酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基、カルボキシル基はアダマンタン骨格の橋頭位の炭素原子に結合していてもよく、非橋頭位の炭素原子に結合していてもよい。酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基(例えば、ヒドロキシル基、ハロゲン原子等)は、アダマンタン骨格の非橋頭位に結合していても、強酸によってアダマンタン骨格の橋頭位に転位する(第3級カチオンが生成する)ため、該橋頭位にカルボキシル基が導入された生成物が得られる。したがって、アダマンタン誘導体(A)としては、(i)酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基がアダマンタン骨格の橋頭位に結合している化合物、(ii)酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基がアダマンタン骨格の非橋頭位に結合している化合物、及び(iii)これらの混合物の何れを用いることもできる。
【0015】
アダマンタン誘導体(A)には、前記式(1)で表される化合物が含まれる。式(1)中、R1、R2及びR3は、同一又は異なって、酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基(例えば、ヒドロキシル基、ハロゲン原子等)又はカルボキシル基を示し、R1〜R3のうち少なくとも1つは酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基である。R4は、水素原子、アルキル基、酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基、又はカルボキシル基を示す。酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基としては、前記と同様のものを使用できる。R4におけるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル基などの炭素数1〜12程度のアルキル基(好ましくは、メチル、エチル基などの炭素数1〜4程度のアルキル基)などが挙げられる。
【0016】
アダマンタン誘導体(A)の代表的な例として、1,3−ジカルボキシ−5−ヒドロキシアダマンタン、1,3−ジカルボキシ−5−クロロアダマンタン、1−ブロモ−3,5−ジカルボキシアダマンタン、1−カルボキシ−3,5−ジヒドロキシアダマンタン、1−カルボキシ−3,5−ジクロロアダマンタン、1,3−ジブロモ−5−カルボキシアダマンタン、1,3,5−トリヒドロキシアダマンタン、1,3,5−トリクロロアダマンタン、1,3,5−トリブロモアダマンタン;1,3,5−トリカルボキシ−7−ヒドロキシアダマンタン、1,3,5−トリカルボキシ−7−クロロアダマンタン、1−ブロモ−3,5,7−トリカルボキシアダマンタン、1,3−ジカルボキシ−5,7−ジヒドロキシアダマンタン、1,3−ジカルボキシ−5,7−ジクロロアダマンタン、1,3−ジブロモ−5,7−ジカルボキシアダマンタン、1−カルボキシ−3,5,7−トリヒドロキシアダマンタン、1−カルボキシ−3,5,7−トリクロロアダマンタン、1,3,5−トリブロモ−7−カルボキシアダマンタン、1,3,5,7−テトラヒドロキシアダマンタン、1,3,5,7−テトラクロロアダマンタン、1,3,5,7−テトラブロモアダマンタンなどが挙げられる。これらの化合物は公知の方法若しくはそれに準じた方法、又はそれらの組み合わせにより得ることができる。
【0017】
強酸(B)としては、アダマンタン骨格の橋頭位にカルボカチオンを形成可能な酸であればよく、例えばpKa2以下(25℃)の酸を使用できる。強酸(B)の例として、硫酸、ハロゲン化水素、硝酸(発煙硝酸を含む)、塩酸、超強酸、固体超強酸、固体酸、ヘテロポリ酸などが挙げられる。前記超強酸には、例えば、ブレンステッド酸[ハロゲン化水素(例えば、フッ化水素HFなど)や硫酸H2SO4など]の1つの水酸基を電子吸引性の原子や基で置換したものや、これらのブレンステッド酸にルイス酸(例えば、五フッ化アンチモンSbF5、三酸化硫黄SO3など)を添加したものなどが含まれる。超強酸の具体的な例として、ClSO3H、発煙硫酸(H2SO4−SO3)、FSO3H、FSO3H−SO3、FSO3H−SbF5、HF−SbF5、トリフルオロメタンスルホン酸などが挙げられる。固体超強酸としては、例えば、パーフルオロイオン交換ポリマー(Nafion-H 樹脂)、金属酸化物表面に硫酸イオンを吸着させた金属酸化物超強酸若しくは硫酸担持超強酸(SO4/ZrO2等)などが挙げられる。固体酸には、例えば、酸強度を上げたシリカ、アルミナ、ゼオライトなどが含まれる。また、強酸(B)としてルイス酸を用いることもできる。強酸(B)は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0018】
これらの中でも強酸(B)としては発煙硫酸が好ましく、とりわけ強度が105重量%硫酸当量以上(例えば105〜140重量%硫酸当量)の発煙硫酸が好ましい。特に、強度が112重量%硫酸当量以上(例えば112〜140重量%硫酸当量)の発煙硫酸が好適である。
【0019】
強酸(B)の使用量は、アダマンタン誘導体(A)の種類や強酸(B)の種類によっても異なるが、通常、アダマンタン誘導体(A)1モルに対して5モル以上、好ましくは10モル以上である。強酸(B)を溶媒として大過剰量用いることもできる。
【0020】
一酸化炭素又はその等価体(C)としては、アダマンタン骨格の橋頭位に生成したカルボカチオンと反応してカルボニルカチオン[−(CO)+]を形成可能なものであればよく、一酸化炭素のほか、ギ酸又はその塩などが例示される。一酸化炭素又はその等価体(C)は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0021】
一酸化炭素又はその等価体(C)の使用量は、アダマンタン誘導体(A)のアダマンタン環骨格に結合している酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基のうちカルボキシル基に変換すべき基1モルに対して、1モル以上(例えば、1〜100モル程度)、好ましくは5モル以上(例えば、5〜100モル程度)、さらに好ましくは10モル以上(例えば、10〜100モル程度)である。
【0022】
反応は溶媒の存在下又は非存在下で行われる。反応温度は、アダマンタン誘導体(A)の種類や強酸(B)の種類によっても異なるが、通常0〜100℃、好ましくは30〜80℃、さらに好ましくは40〜60℃の範囲である。反応は常圧下、加圧下、減圧下の何れで行ってもよい。反応時間は、反応温度等によっても異なるが、通常0.5〜20時間、好ましくは2〜10時間程度である。
【0023】
反応は、回分式、半回分式、連続式の何れの方式で行ってもよい。例えば、アダマンタン誘導体(A)を強酸(B)に溶解し、この溶液に、撹拌下で、一酸化炭素又はその等価体(C)を添加又は流通させる方法などが採られる。そして、反応混合液を水と混合し、加水分解することにより目的の、アダマンタン骨格に少なくとも3つのカルボキシル基を有するポリカルボキシアダマンタン誘導体が得られる。例えば、前記式(1)で表されるアダマンタン誘導体(A1)からは、前記式(2)で表されるアダマンタン誘導体が生成する。式(2)中、R5におけるアルキル基、酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基は前記と同様である。
【0024】
反応機構は以下のように考えられる。すなわち、アダマンタン誘導体(A)のアダマンタン骨格の橋頭位のうち酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基が結合している位置[上述のように、酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基が非橋頭位に結合している場合であっても、強酸(B)の作用により橋頭位に転位する]に、強酸(B)の作用によってカルボカチオンが生成し、次いでこれに一酸化炭素又はその等価体(C)が反応してカルボニルカチオンとなり、水によって加水分解されてポリカルボキシアダマンタン誘導体(トリカルボキシアダマンタン誘導体、テトラカルボキシアダマンタン誘導体など)が生成する。
【0025】
反応生成物は、例えば、晶析、濾過、洗浄、再結晶、抽出、カラムクロマトグラフィーなど、又はこれらの組み合わせにより分離精製できる。なお、反応混合物からの晶析及び濾過によって得られる固体中には、反応で用いた強酸(B)が混入する場合がある。その場合には、該固体を、例えば水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液に溶解させ、その後、濃塩酸等の酸によりpHを1程度に調整して再度結晶化させることにより、前記強酸(B)を完全に除去することができる。
【0026】
本発明の方法により得られるポリカルボキシアダマンタン誘導体は、ポリエステルやポリアミドの原料、医薬品や農薬等の精密化学品の合成中間体などとして用いることができる。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、トリカルボキシアダマンタンなどのポリカルボキシアダマンタン誘導体を収率よく製造できる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0029】
実施例1
120重量%硫酸当量の発煙硫酸32mlを氷浴中で冷却し、これに粉末状の1,3−ジカルボキシ−5−ヒドロキシアダマンタン24ミリモルを添加し、50℃に加熱しながら撹拌して発煙硫酸に溶解させた。液温が50℃に達した後に、ギ酸360ミリモルを、反応混合液が急激に泡立たないように徐々に滴下した(1時間)。滴下終了後、さらに2時間加熱撹拌した。次いで、反応混合液を氷水にゆっくりと注いで反応中間体を加水分解し、生成した沈殿物を濾過、乾燥することにより1,3,5−トリカルボキシアダマンタンを得た。収率は68%であった。
【0030】
実施例2
120重量%硫酸当量の発煙硫酸307mlを氷浴中で冷却し、これに粉末状の1,3−ジカルボキシ−5−ヒドロキシアダマンタン294ミリモルを添加し、50℃に加熱しながら撹拌して発煙硫酸に溶解させた。液温が50℃に達した後に、ギ酸4.41モルを、反応混合液が急激に泡立たないように徐々に滴下した(4時間)。滴下終了後、さらに1時間加熱撹拌した。次いで、反応混合液を氷水にゆっくりと注いで反応中間体を加水分解し、生成した沈殿物を濾過した。得られた固体に5N−水酸化ナトリウム水溶液を冷却しながら完溶するまで加え、その後、濃塩酸によりpH1まで中和した。生成した固体を濾過後、水で洗浄し、80℃で減圧乾燥することにより、硫酸が完全に除去された1,3,5−トリカルボキシアダマンタンを得た。収率は78%であった。
【0031】
実施例3
120重量%硫酸当量の発煙硫酸16mlを氷浴中で冷却し、これに粉末状の1,3−ジカルボキシ−5−ヒドロキシアダマンタン12ミリモルを添加し、40℃に加熱しながら撹拌して発煙硫酸に溶解させた。液温が40℃に達した後に、ギ酸360ミリモルを、反応混合液が急激に泡立たないように徐々に滴下した(1時間)。滴下終了後、さらに2時間加熱撹拌した。次いで、反応混合液を氷水にゆっくりと注いで反応中間体を加水分解し、生成した沈殿物を濾過、乾燥することにより1,3,5−トリカルボキシアダマンタンを得た。収率は32%であった。
【0032】
実施例4
120重量%硫酸当量の発煙硫酸16mlを氷浴中で冷却し、これに粉末状の1,3−ジカルボキシ−5−ヒドロキシアダマンタン12ミリモルを添加し、60℃に加熱しながら撹拌して発煙硫酸に溶解させた。液温が60℃に達した後に、ギ酸360ミリモルを、反応混合液が急激に泡立たないように徐々に滴下した(1時間)。滴下終了後、さらに2時間加熱撹拌した。次いで、反応混合液を氷水にゆっくりと注いで反応中間体を加水分解し、生成した沈殿物を濾過、乾燥することにより1,3,5−トリカルボキシアダマンタンを得た。収率は51%であった。
【0033】
実施例5
105重量%硫酸当量の発煙硫酸32mlを氷浴中で冷却し、これに粉末状の1,3−ジカルボキシ−5−ヒドロキシアダマンタン24ミリモルを添加し、50℃に加熱しながら撹拌して発煙硫酸に溶解させた。液温が50℃に達した後に、ギ酸360ミリモルを、反応混合液が急激に泡立たないように徐々に滴下した(1時間)。滴下終了後、さらに2時間加熱撹拌した。次いで、反応混合液を氷水にゆっくりと注いで反応中間体を加水分解し、生成した沈殿物を濾過、乾燥することにより1,3,5−トリカルボキシアダマンタンを得た。収率は38%であった。
Claims (5)
- アダマンタン骨格に、酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基及びカルボキシル基からなる群から選択された置換基を少なくとも3つ有し、且つ酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基を少なくとも1つ有するアダマンタン誘導体(A)を、強酸(B)の存在下、一酸化炭素又はその等価体(C)と反応させ、前記酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基の少なくとも1つをカルボキシル基に変換して、アダマンタン骨格に少なくとも3つのカルボキシル基を有するアダマンタン誘導体を得ることを特徴とするポリカルボキシアダマンタン誘導体の製造法。
- 下記式(1)
で表されるアダマンタン誘導体(A1)を、強酸(B)の存在下、一酸化炭素又はその等価体(C)と反応させ、下記式(2)
で表されるアダマンタン誘導体を得る請求項1記載のポリカルボキシアダマンタン誘導体の製造法。 - 酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な置換基が、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、−0Y基(Yは、隣接する炭素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示す)、又は酸基である請求項1又は2記載のポリカルボキシアダマンタン誘導体の製造法。
- 強酸(B)として、強度が105重量%硫酸当量以上の発煙硫酸を用いる請求項1〜3の何れかの項に記載のポリカルボキシアダマンタン誘導体の製造法。
- 40℃から60℃の温度範囲で反応を行う請求項1〜4の何れかの項に記載のポリカルボキシアダマンタン誘導体の製造法。
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