JP2004189602A - 光活性化合物及び感光性樹脂組成物並びにパターン形成方法 - Google Patents

光活性化合物及び感光性樹脂組成物並びにパターン形成方法 Download PDF

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さつき 北島
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淳子 片山
Masahiro Ueda
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Abstract

【課題】レジスト用途において、短波長の光源に対しても高感度であり、対酸素プラズマ耐性が高く、高解像度でパターンを形成するのに有用な光活性化合物を得る。
【解決手段】光活性化合物は、下記式(1)で表され、感光剤と組み合わせて使用される。
[R−J−SiO3/2]m[Pro−X−J−SiO3/2]n (1)
(式中、Rは水素原子、置換基で置換されていてもよい炭素数1から20の脂肪族または芳香族炭化水素基を示し、J、Jは連結基を示し、Pro−X−は光照射に起因して脱離可能な保護基Proで保護された疎水性基を示し、mおよびnは整数を表し、m+n=6、8または10である)
前記保護基Proは、光照射により、感光剤(特に酸発生剤)と関連して脱離可能であってもよく、この疎水性保護基の脱離により生成するH−X−(Hは水素原子を表す)はヒドロキシル基、カルボキシル基であってもよい。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光剤と組み合わせて用いられ、紫外線や遠紫外線(エキシマレーザーなども含む)などの光線を用いて半導体集積回路などの微細パターンを形成するのに有用な光活性化合物、及びこの化合物で構成された感光性樹脂組成物とそのパターン形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体レジストの分野においては、超LSIの開発に伴い、より高度な微細加工技術が求められており、従来の高圧水銀灯のg線(波長436nm)やi線(波長365nm)に代わって、より短波長の光源、例えば、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)及びFエキシマレーザー(波長157nm)などが利用されている。
【0003】
また、半導体集積回路の高集積化とともに、レジストに対して解像度の向上(サブミクロンあるいはクオーターミクロン以下のパターン形成)、ドライ現像プロセスにおける耐エッチング特性の向上なども要求されている。
【0004】
しかし、g線やi線を用いる従来のレジスト材料、例えば、ノボラック樹脂/ジアゾナフトキノン型ポジ型レジストは、ノボラック樹脂の光吸収に起因して、KrFエキシマレーザーやArFエキシマレーザーを用いても、感度および解像力が大きく低下する。
【0005】
より短波長の露光源に対して適用可能なレジストとして、I.Sondi and E.Matijective,Resist Technology and Processing XVII,Francis M.Houlihan,Editor,Proceedings of SPIE Vol. 3999(2000)の第627〜637頁には、SiOナノ粒子(シリカゾル)を含有するp−ヒドロキシスチレン−t−ブチルアクリレートコポリマーで構成されたフィルムが開示され、このようなSiOナノ粒子を含むレジストが高い解像度を示すこと、及び透明なSiOナノ粒子を用いたレジストシステムが、157nmなどの波長に対して有用であることなどが記載されている。しかし、このような方法では、露光部と未露光部との溶解速度の差を大きくできず、解像度を十分に改善できない(非特許文献1参照)。
【0006】
【非特許文献1】
I.Sondi and E.Matijective,Resist Technology and Processing XVII,Francis M.Houlihan,Editor,Proceedings of SPIE Vol. 3999(2000),第627〜637頁
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、感光剤との組み合わせにおいて、レジストの感度及び解像度を改善するために有用な光活性化合物、それを用いた感光性樹脂組成物及びパターン形成方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、短波長の露光源に対しても高感度であり、高解像度の微細パターンを形成するのに有用な光活性化合物、それを用いた感光性樹脂組成物及びパターン形成方法を提供することにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、酸素フ゜ラス゛マ耐性を高くするのに有用な光活性化合物、それを用いた感光性樹脂組成物及びパターン形成方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、光照射に起因した脱保護により親水化可能な光活性化合物を感光剤と組み合わせて用いると、KrFエキシマレーザーなどのより短波長の光源に対してもレジストの感度及び溶解度を簡便に改善できることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明の光活性化合物は、下記一般式(1)で表され、感光剤と組み合わせて用いられる。
【0012】
[R−J−SiO3/2]m[Pro−X−J−SiO3/2]n (1)
(式中、Rは水素原子、置換基で置換されていてもよい炭素数1から20の脂肪族または芳香族炭化水素基を示し、J、Jは連結基を示し、Pro−X−は光照射に起因して脱離可能な保護基Proで保護された疎水性基を示し、mおよびnは整数を表し、m+n=6、8または10である)
前記保護基Proは、光照射により、感光剤と関連して脱離可能であってもよい。
また、保護基Proは、疎水性保護基であってもよく、この疎水性保護基の脱離により生成する、H−X−(Hは水素原子を表す)としては、アミノ基、N‐置換アミノ基(N,N−ジアルキルアミノ基など)に加えて、ヒドロキシル基、カルボキシル基及びこれらの親水性基に対応するイオウ含有誘導体基(メルカプト基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基など)などの水又はアルカリ可溶性基などが例示できる。特にヒドロキシル基(フェノール性ヒドロキシル基など)及びカルボキシル基が好ましい。
【0013】
保護基Proとしては、具体的には、例えば、アルコキシアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、オキサシクロアルキル基、架橋環式脂環族炭化水素基、アルキルシリル基、アルキル基、ラクトン環基、カルバモイル基及びN−置換カルバモイル基などが挙げられる。
【0014】
より具体的には、前記保護基Proは、ヒドロキシル基に対する保護基としては、(i)アルコキシアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、オキサシクロアルキル基、架橋環式脂環族炭化水素基、アルキルシリル基などが好ましく、カルボキシル基に対する保護基としては、(ii)アルキル基、架橋環式脂環族炭化水素基、オキサシクロアルキル基、ラクトン環基、カルバモイル基またはN‐置換カルバモイル基などが好ましい。
【0015】
前記連結基J、Jは同一又は異なっていてもよい、例えば、直接結合であってもよく、または、−CHCH−、−OSi(CHCHCH−、−CHCH(CH)−、−OSi(CHCHCH(CH)−、−CHCH(CF)−、−OSi(CHCHCH(CF)−、−CHCH(F)−、
−OSi(CHCHCH(F)−、−CHCH−C−、−OSi(CHCHCH−C−、−CH(CH)−、
【0016】
【化2】
Figure 2004189602
【0017】
等のいずれかであってもよい。
【0018】
前記置換基で置換されていてもよい、炭素数1から20の脂肪族または芳香族炭化水素基Rとしては、たとえば、直鎖アルキル基:メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基など、
分岐アルキル基:iso−プロピル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基など、
置換アルキル基:2−クロロメチル基、2−シアノエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロデシル基、2,2,2−トリフルオロエチルオキシカルボニル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルオキシカルボニル基、2−(パーフルオロブチル)エチルオキシカルボニル基、2−(パーフルオロヘキシル)エチルオキシカルボニル基、3−(パーフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルオキシカルボニル基、3−(パーフルオロヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルオキシカルボニル基、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルオキシカルボニル基、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルオキシカルボニル基、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルオキシカルボニル基、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルオキシカルボニル基、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピルオキシカルボニル基、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルオキシカルボニル基、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルオキシカルボニル基、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルオキシカルボニル基、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルオキシカルボニル基など、芳香族炭化水素基:フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基など、置換芳香族基:p−メチルフェニル基、m−メチルフェニル基、o−メチルフェニル基、p−エチルフェニル基、p−エチルオキシフェニル基、p−フルオロフェニル基などが挙げられる。
【0019】
mおよびnは整数を表し、m+n=6、8または10である。これらのうち、m+n=8のものが原料の入手がしやすいため好ましい。
【0020】
本発明の感光性樹脂組成物は、前記光活性化合物とベース樹脂と感光剤とを含んでなる。前記感光性樹脂組成物は、水又はアルカリ現像可能であってもよく、ポジ型感光性樹脂組成物であってもよい。ベース樹脂は、酸の作用により親水性基を生成可能な樹脂で構成してもよく、感光剤は光酸発生剤で構成してもよい。前記ベース樹脂は、たとえば、ヒドロキシル基及びカルボキシル基から選択され、かつ酸の作用により脱離可能な保護基で保護可能な親水性基を有する単量体の単独または共重合体で構成してもよい。前記組成物において、光活性化合物と感光剤との割合(重量比)は、たとえば、前者/後者=0.01/1〜100/1程度の範囲から選択できる。また、感光剤の使用量は、ベース樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部程度であってもよく、光活性化合物の使用量は、ベース樹脂100重量部に対して1〜1000重量部程度であってもよい。
また、本発明のパターン形成方法は、前記感光性樹脂組成物(特にポジ型感光性樹脂組成物)を基板に塗布し、露光した後、加熱処理し、さらに現像してパターンを形成する方法である。
【0021】
以下において、本発明の光活性化合物についてさらに詳細に説明する。
本発明の光活性化合物は、下記式(1)で表され、感光剤と組み合わせて用いられる。
[R−J−SiO3/2]m[Pro−X−J−SiO3/2]n (1)
(式中、Rは水素原子、炭化水素基を示し、J、Jは連結基を示し、X−Proは光照射に起因して脱離可能な保護基Proで保護された疎水性基を示し、mおよびnは整数を表し、m+n=6、8または10である)
ヒドロキシル基の保護基としては、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、2‐シクロへキシル‐2‐プロピル基、n−へキシル基などの置換基を有していてもよいC 12アルキル基(好ましくはC 10アルキル基、さらに好ましくはC アルキル基);
クロロメチル基、フルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロプロピル基などのハロC 12アルキル基(好ましくはハロC アルキル基、さらに好ましくはフルオロC アルキル基);
シクロへキシル基、1−メチルシクロへキシル基などの置換基を有していてもよいC シクロアルキル基;置換基を有していてもよいデカリニル基(たとえば、1−デカリニル基、2−デカリニル基、2−メチル−2−デカリニル基など)、置換基を有していてもよいアダマンチル基(たとえば、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、1−メチル−2−アダマンチル基、2−メチル−2−アダマンチル基など)、置換基を有していてもよいノルボルニル基(たとえば、1−ノルボルニル基、2−ノルボルニル基、2−メチル−2−ノルボニル基など)、置換基を有していてもよいボルニル基(たとえば、2−ボルニル基)、置換基を有していてもよい2ないし4環式C3−30炭化水素環基[架橋環式脂環族炭化水素基(たとえば、ビないしテトラシクロアルキル基など)];
ナフチル基(たとえば、2−ナフチル基など)、水添ナフチル基(たとえば、1,4−ジヒドロ−2−ナフチル基など)などの縮合多環式炭化水素;
2,4−ジニトロフェニル基などのアリール基(たとえば、ニトロ基置換フェニル基など);
ベンジル基、2,6−ジクロロベンジル基、2−ニトロベンジル基、トリフェニルメチル基などのアラルキル基(たとえば、置換基を有していてもよいモノないしトリC6−10アリール−C1−4アルキル基など);
テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基などのオキサシクロアルキル基(たとえば、5〜8員環オキサシクロアルキル基など);
アルコキシアルキル基(たとえば、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−エトキシプロピル基、1−メトキシ−イソプロピルなどのC1−6アルコキシ−C1−6アルキル基など、好ましくはC1−4アルコキシ−C1−4アルキル基など)などのアセタール系保護基;
アルキルカルボニル基(ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、イソプロピオニル基、ブチリル基、tert−ブチリル基、バレリル基、イソバレリル基などのなどのC1−10アルキル−カルボニル基など、好ましくはC1−8アルキル−カルボニル基など、さらに好ましくはC1−6アルキル−カルボニル基など、特に好ましくはC1−4アルキル−カルボニル基など)、シクロアルキルカルボニル基(シクロヘキシルカルボニル基などのC5−8シクロアルキル−カルボニル基など、好ましくはC5−6シクロアルキル−カルボニル基など)、アリールカルボニル基(ベンゾイル基などのC6−10アリール‐カルボニル基など)などのアシル基;
tert−ブトキシカルボニル(t−BOC)基などのC1−6アルコキシ−カルボニル基など;ベンジルオキシカルボニル基などのアラルキルオキシカルボニル基(たとえば、C6−10アリール‐C1−4アルキルオキシ‐カルボニルなど);
トリメチルシリル基などのアルキルシリル基(たとえば、トリC1−6アルキルシリル基、好ましくはトリC1−4アルキルシリル基など)などが挙げられる。
【0022】
また、カルボキシル基の保護基としては、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、2‐シクロへキシル‐2‐プロピル基、n−へキシル基などの置換基を有していてもよいC 12アルキル基(好ましくはC 10アルキル基、さらに好ましくはC アルキル基);
シクロへキシル基、1−メチルシクロへキシル基などの置換基を有していてもよいC シクロアルキル基;置換基を有していてもよいデカリニル基(たとえば、1−デカリニル基、2−デカリニル基、2−メチル−2−デカリニル基など)、置換基を有していてもよいアダマンチル基(たとえば、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、1−メチル−2−アダマンチル基、2−メチル−2−アダマンチル基など)、置換基を有していてもよいノルボルニル基(たとえば、1−ノルボルニル基、2−ノルボルニル基、2−メチル−2−ノルボニル基など)、置換基を有していてもよいボルニル基(たとえば、2−ボルニル基)、置換基を有していてもよい2ないし4環式C3−30炭化水素環基[架橋環式脂環族炭化水素基(たとえば、ビないしテトラシクロアルキル基など)];
ナフチル基(たとえば、2−ナフチル基など)、水添ナフチル基(たとえば、1,4−ジヒドロ−2−ナフチル基など)などの縮合多環式炭化水素;
2,4−ジニトロフェニル基などのアリール基(たとえば、ニトロ基置換フェニル基など);
ベンジル基、2,6−ジクロロベンジル基、2−ニトロベンジル基、トリフェニルメチル基などのアラルキル基(たとえば、置換基を有していてもよいモノないしトリC6−10アリール−C1−4アルキル基など);
置換基を有していてもよいテトラヒドロフラニル基(たとえば、テトラヒドロフラン−3−イル基、3−メチルテトラヒドロフラン−3−イル基など)、置換基を有していてもよいテトラヒドロピラニル基(たとえば、テトラヒドロピラン−3−イル基、3−メチルテトラヒドロピラン−3−イル基など)などの置換基を有していてもよいオキサシクロアルキル基(たとえば、5〜8員オキサシクロアルキル基など);置換基を有していてもよいγ−ブチロラクトン環基(たとえば、テトラヒドロ−2−ピロン−4−イル基、4−メチルテトラヒドロ−2−フラノン−4−イル基など)、置換基を有していてもよいδ−バレロラクトン環基(たとえば、テトラヒドロ−2−ピロン−4−イル基、4−メチルテトラヒドロ−2−ピロン−4−イル基など)などの置換基を有していてもよいラクトン環基;
置換基(アルキル基、アリール基など)を有していてもよいカルバモイル基[カルバモイル基;
N−メチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基などのN−C1−6アルキル−カルバモイル基(好ましくはN−C1−4アルキル−カルバモイル基);
フェニルカルバモイル基などのC6−10アリールカルバモイル基など];
ジメチルホスフィノチオイル基などのC1−4アルキルホスフィノチオイル基;
ジフェニルホスフィノチオイル基などのジC6−10アリールホスフィノチオイル基などが挙げられる。
【0023】
特に、保護基は、親水性基に疎水性を付与する疎水性保護基が好ましい。たとえば、ヒドロキシル基の保護基としては、アシル基(特にt−ブチルカルボニル基、2,2−ジメチルプロピオニル基などのC1−6アルキル−カルボニル基)、アルコキシカルボニル基(t−BOC基などのC1−6アルコキシカルボニル基)、5又は6員オキサシクロアルキル基(テトラヒドロピラニル基など)、置換基を有していてもよいビ又はトリシクロアルキル基(2−ノルボルニル、2−メチル−2−ノルボルニル基などの置換基を有していてもよいノルボルニル基、2−アダマンチル基、2−メチル−2−アダマンチル基などの置換基を有していてもよいアダマンチル基など)、アルコキシアルキル基(1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−エトキシプロピル基、1−メトキシ−イソプロピル基などのC1−6アルコキシ−C1−6アルキル基(特にC1−4アルコキシ−C1−4アルキル基)など)、C1−4アルキルシリル基などが好ましい。カルボキシル基の保護基としては、アルキル基(t−ブチル基などのC1−4アルキル基)、置換基を有していてもよいビ又はトリシクロアルキル基(架橋環式脂環族炭化水素基、たとえば、2−ノルボルニル基、2−メチル−2−ノルボルニル基などの置換基を有していてもよいノルボルニル基、2−アダマンチル基、2−メチル−2−アダマンチル基などの置換基を有していてもよいアダマンチル基など)、置換基を有していてもよい5又は6員オキサシクロアルキル基、置換基を有していてもよいラクトン環基、カルバモイル基又はN−置換カルバモイル基などが好ましい。
【0024】
前記光活性化合物はたとえば、以下の方法で製造できる。
(a)Pro−X−が三級アルコールエステル(たとえばt−ブチルエステル、2−メチル−2−アダマンチルエステルなど)、Jが−CHCH−、−CHCH(CH)−の場合
市販のヒドロ−T8−シルセスキオキサンのメチルイソブチルケトン溶液に8倍モル以下のアクリル酸t−ブチルエステル(アクリル酸2−メチル−2−アダマンチルエステル、メタクリル酸t−ブチルエステル、メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチルエステルなど)を加えてハイドロシリレーションを行った後、未反応のヒドロ基に二重結合を有する化合物(たとえば、エチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレンなど)を用いてハイドロシリレーションを行うことにより製造できる。
【0025】
(b)Pro−X−が三級アルコールエステル(たとえばt−ブチルエステル、2−メチル−2−アダマンチルエステルなど)、Jが−OSi(CHCHCH−、−OSi(CHCHCH(CH)−の場合
市販のオクタキス(ジメチルシロキシ)−T8−シルセスキオキサンに8倍モル以下のアクリル酸t−ブチルエステル(アクリル酸2−メチル−2−アダマンチルエステル、メタクリル酸t−ブチルエステル、メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチルエステルなど)をテトラハイドロフラン中で加えてハイドロシリレーションを行った後、未反応のヒドロ基に二重結合を有する化合物(たとえば、エチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレンなど)を用いてハイドロシリレーションを行うことにより製造できる。
【0026】
(c)Pro−X−が三級アルコールエステル(たとえばt−ブチルエステル、2−メチル−2−アダマンチルエステルなど)、Jが−CHCH(CF)−、−CHCH(F)−の場合
市販のヒドロ−T8−シルセスキオキサンのメチルイソブチルケトン溶液に8倍モル以下のα−トリフルオロメチルアクリル酸t−ブチルエステル(α−トリフルオロメチルアクリル酸2−メチル−2−アダマンチルエステル、α−フルオロアクリル酸t−ブチルエステル、α−フルオロアクリル酸2−メチル−2−アダマンチルエステルなど)を加えてハイドロシリレーションを行った後、未反応のヒドロ基に二重結合を有する化合物(たとえば、エチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレンなど)を用いてハイドロシリレーションを行うことにより製造できる。
【0027】
(d)Pro−X−が三級アルコールエステル(たとえばt−ブチルエステル、2−メチル−2−アダマンチルエステルなど)、Jが−OSi(CHCHCH(F)−、−OSi(CHCHCH(CF)−の場合
市販のオクタキス(ジメチルシロキシ)−T8−シルセスキオキサンに8倍モル以下のα−トリフルオロメチルアクリル酸t−ブチルエステル(α−トリフルオロメチルアクリル酸2−メチル−2−アダマンチルエステル、α−フルオロアクリル酸t−ブチルエステル、α−フルオロアクリル酸2−メチル−2−アダマンチルエステルなど)をテトラハイドロフラン中で加えてハイドロシリレーションを行った後、未反応のヒドロ基に二重結合を有する化合物(たとえば、エチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレンなど)を用いてハイドロシリレーションを行うことにより製造できる。
【0028】
(e)Pro−X−が三級アルコールエステル(たとえばt−ブチルエステル、2−メチル−2−アダマンチルエステルなど)、J
【0029】
【化3】
Figure 2004189602
【0030】
の場合
市販のヒドロ−T8−シルセスキオキサンのメチルイソブチルケトン溶液に8倍モル以下の2−トリフルオロメチルノルボルネン−2−カルボン酸t−ブチルエステルなどを加えてハイドロシリレーションを行った後、未反応のヒドロ基に二重結合を有する化合物(たとえば、エチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレンなど)を用いてハイドロシリレーションを行うことにより製造できる。
【0031】
(f)Pro−X−が三級アルコールエステル(たとえばt−ブチルエステル、2−メチル−2−アダマンチルエステルなど)、J
【0032】
【化4】
Figure 2004189602
【0033】
の場合
市販のオクタキス(ジメチルシロキシ)−T8−シルセスキオキサンに8倍モル以下の2−トリフルオロメチルノルボルネン−2−カルボン酸t−ブチルエステルなどをテトラハイドロフラン中で加えてハイドロシリレーションを行った後、未反応のヒドロ基に二重結合を有する化合物(たとえば、エチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレンなど)を用いてハイドロシリレーションを行うことにより製造できる。
【0034】
(g)Pro−X−がアルコキシアルコキシ基(たとえばエトキシエトキシ基など)、Jが−CHCH−C−の場合
市販のヒドロ−T8−シルセスキオキサンのメチルイソブチルケトン溶液に8倍モル以下のp−(1−エトキシエトキシ)スチレンなどを加えてハイドロシリレーションを行った後、未反応のヒドロ基に二重結合を有する化合物(たとえば、エチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレンなど)を用いてハイドロシリレーションを行うことにより製造できる。
【0035】
(h)Pro−X−がアルコキシアルコキシ基(たとえばエトキシエトキシ基など)、Jが−OSi(CHCHCH−C−の場合
市販のオクタキス(ジメチルシロキシ)−T8−シルセスキオキサンに8倍モル以下のp−(1−エトキシエトキシ)スチレンなどをテトラハイドロフラン中で加えてハイドロシリレーションを行った後、未反応のヒドロ基に二重結合を有する化合物(たとえば、エチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレンなど)を用いてハイドロシリレーションを行うことにより製造できる。
【0036】
このような光活性化合物の用途は特に制限されないが、特にレジスト用途に好適である。すなわち、前記光活性化合物は、疎水性である(又はアルカリとの相互作用により疎水化可能である)ものの、感光剤(光酸発生剤など)と組み合わせて用いることにより、保護基が光照射に起因して(特に、光照射により感光剤と関連して)脱離(脱保護)し、親水性基を生成し、親水化可能である。従って、レジスト(特にポジ型レジスト)などに適用すると、露光部では、親水性ドメインを形成し、レジスト膜の溶解が促進され、未露光部では、保護基の作用によりベース樹脂との親和性を高めて溶解を抑止でき、露光部と未露光部とで溶解速度の差を大きくすることができる。特に、前記保護基として、疎水性保護基を用いることにより、未露光部での溶解性を大幅に抑制できるとともに、現像に伴うレジストの膨潤を抑制することもでき、解像度を改善することも可能である。前記保護基の脱離は、感光剤と関連して、特に、酸の触媒作用により生じる場合が多い。このような酸としては、光照射に伴って発生する酸(特に感光性樹脂組成物を構成する光酸発生剤から生成する酸)を利用するのが有利である。
【0037】
光活性化合物と組み合わせる感光剤としては、ポジ型レジストに用いられる慣用の感光剤又は光増感剤、たとえば、ジアゾニウム塩(ジアゾニウム塩、テトラゾニウム塩、ポリアゾニウム塩など)、キノンジアジド類(ジアゾベンゾキノン誘導体、ジアゾナフトキノン誘導体など)、光酸発生剤、溶解抑制剤などが選択できる。
【0038】
前記光酸発生剤としては、次のような化合物が例示できる。なお、参考までに、括弧内にはミドリ化学(株)製の商品名を記載する。スルホニウム塩誘導体[スルホン酸エステル、たとえば、1,2,3−トリ(メチルスルホニルオキシ)ベンゼンなどのアリールアルカンスルホネート(特にC6−10アリールC1−2アルカンスルホネート);
2,6−ジニトロベンジルトルエンスルホネート、ベンゾイントシレートなどのアリールベンゼンホスホネート(特にベンゾイル基を有していてもよいC6−10アリールトルエンホスホネート);
2−ベンゾイル−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチルトルエンスルホネートなどのアラルキルベンゼンスルホネート類(特にベンゾイル基を有していてもよいC6−10アリール−C1−4アルキルトルエンスルホネート);
ジフェニルジスルホンなどのジスルホン類;
ルイス酸塩(トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート(TPS−102)、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモン(TPS−103)、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモン(DTS−103)、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモン(MDS−103)、トリフェニルスルホニウム メタンスルホニル、トリフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホニル(TPS−105)、トリフェニルスルホニウム ノナフルオロブタンスルホニル(TPS−109)などのトリアリールスルホニウム塩(特にトリフェニルスルホニウム塩)など)など]、ホスホニウム塩誘導体、ジアリールハロニウム塩誘導体[ジアリールヨードニウム塩(ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート(BBI−102)、4,4’−ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート(BBI−103)、4,4’−ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム テトラフルオロボレート(BBI−101)、4,4’−ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム トリフルオロメタンスルホネート(BBI−105)、4,4’−ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム カンファスルホネート(BBI−106)、ジフェニルヨードニウム トリフルオロメタンスルホネート(DPI−105)、4−メトキシフェニル フェニルヨードニウム トリフルオロメタンスルホネート(DPI−105)など)などのルイス酸塩など]、ジアゾニウム塩誘導体(p−ニトロフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェートなどのルイス酸塩など)、ジアゾメタン誘導体、トリアジン誘導体[1−メトキシ−4−(3,5−ジ(トリクロロメチル)トリアジニル)ベンゼン(TAZ−104)、1−メトキシ−4−(3,5−ジ(トリクロロメチル)トリアジニル)ナフタレン(TAZ−106)などのハロアルキルトリアジニルアリール、1−メトキシ−4−[2−(3,5−ジトリクロロメチルトリアジニル)エテニル]ベンゼン(TAZ−110)、1,2−ジメトキシ−4−[2−(3,5−ジトリクロロメチルトリアジニル)エテニル]ベンゼン(TAZ−113)、1−メトキシ−2−[2−(3,5−ジトリクロロメチルトリアジニル)エテニル]ベンゼン(TAZ−118)などのハロアルキルトリアジニルアルケニルアリールなど]、イミジルスルホネート誘導体[スクシンイミジル カンファスルホネート(SI−106)、スクシンイミジル フェニルスルホネート(SI−100)、スクシンイミジル トルイルスルホネート(SI−101)、スクシンイミジル トリフルオロメチルスルホネート(SI−105)、フタルイミジル トリフルオロスルホネート(PI−105)、ナフタルイミジル カンファスルホネート(NAI−106)、ナフタルイミジル メタンスルホネート(NAI−100)、ナフタルイミジル トリフルオロメタンスルホネート(NAI−105)、ナフタルイミジル トルイルスルホネート(NAI−101)、ノルボルネンイミジル トリフルオロメタンスルホネート(NDI−105)など]などが例示できる。
また、スルホン誘導体[たとえば、商品名「DAM−101」「DAM−102」「DAM−105」「DAM−201」などの−SO−C(=N)−単位を有する化合物;
「DSM−301」などの−CH−SO−単位を有する化合物;
「PAI−101」などの=N−O−SO−単位を有する化合物など]も含まれる。特に、ルイス酸塩(ホスホニウム塩などのルイス酸塩)が好ましい。
【0039】
特に、前記光酸発生剤と、この光酸発生剤から光照射により発生した酸により、脱保護され、親水性基を生成する前記光活性化合物と、ベース樹脂(特に、前記酸により保護基が脱離してアルカリ可溶性となるベース樹脂)を組み合わせた感光性樹脂組成物は、化学増幅系レジストとして有用である。
【0040】
[感光性樹脂組成物]
本発明の感光性樹脂組成物(又はレジスト組成物)は、前記光活性化合物と前記感光剤とベース樹脂(オリゴマー又はポリマー)とを含んでなる。感光性樹脂組成物は、有機溶媒(アルコール類など)により現像可能であってもよいが、通常、水又はアルカリ現像可能であることが好ましい。
【0041】
(ベース樹脂)
本発明の感光性樹脂組成物に含まれるベース樹脂としては、たとえば、ヒドロキシル基含有ポリマー[ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ヒドロキシル基含有セルロース誘導体(ヒドロキシエチルセルロースなど)、ポリビニルフェノール系樹脂、ノボラック樹脂(フェノールノボラック樹脂)など]、カルボキシル基含有ポリマー[重合性不飽和カルボン酸((メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸など)を含む単独又は共重合体、カルボキシル基含有セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース又はその塩など)など]、エステル基含有ポリマー[カルボン酸ビニルエステル(酢酸ビニルなど)、(メタ)アクリル酸エステル(メタクリル酸メチルなど)などの単量体の単独または共重合体(ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル系樹脂など)、ポリエステル、セルロースエステル類など]、エーテル基を有するポリマー[ポリアルキレンオキシド、ポリオキシアルキレングリコール、ポリビニルエーテル系樹脂、ケイ素樹脂、セルロースエーテル類など]、カーボネート基含有ポリマー、アミド基又は置換アミド基を有するポリマー[ポリビニルピロリドン、ポリウレタン系重合体、ポリ尿素、ナイロン又はポリアミド系重合体(ラクタム成分、ジカルボン酸成分やジアミン成分を用いたポリアミドなど);ポリ(メタ)アクリルアミド系重合体;ポリアミノ酸;ビュレット結合を有するポリマー;アロハネート結合を有するポリマー;ゼラチンなどの蛋白類など]、ニトリル基を有するポリマー(アクリロニトリル系重合体など)、グリシジル基を有するポリマー(エポキシ樹脂、グリシジル(メタ)アクリレートの単独又は共重合体など)、ハロゲン含有ポリマー(ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン系ポリマー、塩素化ポリプロピレンなど)、非芳香族性環基を有するポリマー(たとえば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどのC5−8シクロアルキル基を有するポリマー;(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチルなどの架橋環式C7−20炭化水素環基を有するポリマーなど)、重合性オリゴマー又はポリマー((メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニル基、シンナモイル基などの重合性基を有するオリゴマー又はポリマーなど)などが例示できる。これらのベース樹脂は単独で又は2種以上組合わせて使用してもよい。ベース樹脂としては、ネガ型感光性樹脂組成物を構成するベース樹脂でもよいが、ポジ型感光性樹脂組成物(ポジ型レジスト)を構成するためのベース樹脂が好ましい。
【0042】
ポジ型レジストを構成する代表的なベース樹脂には、ノボラック樹脂(フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂など)、親水性基(ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基など)が脱離可能な保護基で保護された樹脂などが含まれる。ベース樹脂は単独で又は2種以上組合わせて使用してもよい。
【0043】
ノボラック樹脂としては、通常、アルカリ可溶性ノボラック樹脂が使用され、半導体製造用レジストとして利用する場合、レジスト分野で使用されている慣用のノボラック樹脂が使用できる。ノボラック樹脂は、分子内に少なくとも1つのフェノール性ヒドロキシル基を有するフェノール類とアルデヒド類とを、酸触媒の存在下、縮合することにより得ることができる。フェノール類としては、たとえば、フェノール、o−,m−又はp−クレゾール、2,5−,3,5−または3,4−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、2−t−ブチル−5−メチルフェノールのC1−4アルキルフェノール類、ジヒドロキシベンゼン、ナフトール類などが挙げられる。アルデヒド類には、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グリオキサールなどの脂肪族アルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒドなどの芳香族アルデヒドが挙げられる。
【0044】
フェノール類は単独で又は二種以上組み合わせて使用でき、アルデヒド類も単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。酸触媒としては、無機酸(塩酸、硫酸、リン酸など)、有機酸(シュウ酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸など)、有機酸塩(酢酸亜鉛などの二価金属塩など)などが挙げられる。縮合反応は常法、たとえば、温度60〜120℃程度で2〜30時間程度行なうことができる。反応はバルクで行ってもよく、適当な溶媒中で行ってもよい。
【0045】
ベース樹脂は、酸の作用により親水性基を生成可能な樹脂で構成することが好ましい。このようなベース樹脂は、親水性基(特に、ヒドロキシル基及びカルボキシル基から選択された親水性基)であって、酸の作用により脱離可能な保護基で保護可能な親水性基を有する単量体の単独又は共重合体で構成できる。前記親水性基(ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基など)が脱離可能な保護基で保護された樹脂(又は保護基で保護可能な樹脂)としては、たとえば、フェノール性ヒドロキシル基が脱離可能な保護基で保護されたポリビニルフェノール系樹脂(ビニルフェノールの単独重合体、又は共重合性単量体との共重合体など)、ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂[たとえば、(メタ)アクリレートの単独又は共重合体、又は(メタ)アクリレートと共重合性単量体との共重合体など]、ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基含有ノルボルネン系樹脂(ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基含有ノルボルネン誘導体と共重合性単量体との共重合体など)などが例示できる。前記ベース樹脂として露光波長に対して透明性の高い樹脂((メタ)アクリル系樹脂やノルボルネン系樹脂などの非芳香族性樹脂)を使用すると、短波長の露光光線に対しても感度を高めることができる。また、非芳香族性の感光性樹脂組成物を用いると、より短波長の露光源を利用できるとともに、より微細なパターンを形成可能である。
【0046】
なお、親水性基が脱離可能な保護基で保護された樹脂は、親水性基が予め保護基(前記光活性化合物の項で例示の保護基など)で保護された単量体を重合することにより得てもよく、親水性基を有する単量体を重合し、得られた樹脂の親水性基を前記保護基で保護することにより得てもよい。
【0047】
前記親水性基を有する単量体のうち、ヒドロキシル基を有する単量体としては、ビニルフェノール系単量体(ビニルフェノールなど);
アリルアルコール;
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどヒドロキシC2−6(メタ)アクリレートなど);
ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)オキシアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ヒドロキシシクロアルキル(メタ)アクリレート(ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシC3−8シクロアルキル(メタ)アクリレート)、ヒドロキシオキサシクロアルキル(メタ)アクリレートなどの単環式脂環族基を有する(メタ)アクリレート;ヒドロキシデカリニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシボルニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシノルボルニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアダマンチル(メタ)アクリレートなどの架橋環式脂環族基を有する(メタ)アクリレート(ヒドロキシビ乃至テトラC3−8シクロアルキル(メタ)アクリレートなど);ヒドロキシノルボルネン、ヒドロキシアルキル−ノルボルネン(ヒドロキシメチル−ノルボルネン、ヒドロキシエチル−ノルボルネンなどのヒドロキシC1−4アルキル−ノルボルネンなど)などのヒドロキシル基を有するノルボルネン誘導体などが挙げられる。カルボキシル基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル安息香酸などの不飽和カルボン酸;
カルボキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのカルボキシC5−8シクロアルキル(メタ)アクリレート;
カルボキシル基含有架橋環式脂環族炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(たとえば、カルボキシデカリニル(メタ)アクリレート、カルボキシノルボルニル(メタ)アクリレート、カルボキシメチル−ノルボルニル(メタ)アクリレート、カルボキシボルニル(メタ)アクリレート、カルボキシアダマンチル(メタ)アクリレートなどのカルボキシビ乃至テトラC3−8シクロアルキル(メタ)アクリレートなど)などが挙げられる。これらの親水性基を有する単量体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0048】
前記共重合性単量体としては、慣用の共重合性単量体、たとえば、(メタ)アクリル系単量体[たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート(C1−10アルキル(メタ)アクリレート);
シクロへキシル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート(シクロC3−8アルキル(メタ)アクリレート);
オキサシクロアルキル(メタ)アクリレートなどの単環式複素環基を有する(メタ)アクリレート;
デカリニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートなどの架橋環式脂環族基を有する(メタ)アクリレート(ビ乃至テトラシクロC3−8アルキル(メタ)アクリレート);
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシC2−6アルキル(メタ)アクリレート;
グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリルなど];
イミド系単量体[たとえば、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミドなどのN−C1−4アルキルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのN−C6−10アリールマレイミドなど];
不飽和カルボン酸[たとえば、クロトン酸、無水マレイン酸、イタコン酸など]、スチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル系単量体(スチレン系単量体);
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエスエル系単量体などが挙げられる。
【0049】
これらの共重合性単量体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。共重合性単量体との共重合体において、前記親水性基を有する単量体の割合は、単量体の総量に対して、10〜100重量%、好ましくは25〜80重量%、さらに好ましくは30〜70重量%程度である。
【0050】
前記脱保護により親水性基を生成する樹脂において、親水性基の保護基としては、前記光活性化合物の項で例示の保護基、たとえば、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、シクロアルキル基、オキサシクロアルキル基、架橋環式脂環族基、アルキルシリル基などのヒドロキシル基に対する保護基;アルキル基などのカルボキシル基に対する保護基などが挙げられる。
【0051】
代表的な樹脂としては、たとえば、ヒドロキシル基が、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基(t−BOC基など)などの保護基で保護されたポリ脂環族アルコール系樹脂(ヒドロキシシクロアルキル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有脂環族(メタ)アクリレートの単独又は共重合体など)、ヒドロキシル基が、シクロアルキル基(オキサシクロアルキル基;ノルボルニル基、アダマンチル基などのビ又はトリシクロアルキル基なども含む)などの脂環族基で保護された(メタ)アクリル系樹脂(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの単独又は共重合体など)、カルボキシル基が、アルキル基(t−ブチル基など)などの保護基で保護された(メタ)アクリル系樹脂((メタ)アクリル酸の単独又は共重合体など)などが挙げられる。
【0052】
ベース樹脂の重量平均分子量は、6,000〜50,000、好ましくは7,000〜30,000、さらに好ましくは7,000〜20,000程度である。
【0053】
好ましいポジ型レジストには、脱保護(特に酸発生剤から生成した酸の触媒作用による脱保護)により親水性基を生成する樹脂と感光剤(光酸発生剤)との組み合わせなどが含まれる。
【0054】
(各成分の割合)
前記光活性化合物と感光剤との割合(重量比)は、前者/後者=0.01/1〜100/1程度の広い範囲から選択でき、通常、0.1/1〜75/1、好ましくは1/1〜50/1程度であってもよい。
【0055】
前記ポジ型感光性樹脂組成物(ポジ型レジスト)において、感光剤の使用量は、たとえば、ベース樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは1〜30重量部、さらに好ましくは1〜20重量部(特に、1〜10重量部)程度の範囲から選択できる。
【0056】
また、前記感光性樹脂組成物において、前記光活性化合物の割合は、レジストの固形分全体に対して、50重量%以下(たとえば、1〜50重量%程度)、好ましくは3〜40重量%、さらに好ましくは5〜30重量%程度である。また、前記光活性化合物の割合は、固形分換算で、ベース樹脂100重量部に対して、1〜1000重量部(たとえば、5〜1000重量部)、好ましくは10〜500重量部、さらに好ましくは10〜300重量部、特に10〜100重量部程度である。
【0057】
感光性樹脂組成物は、必要により、酸化防止剤などの安定剤、可塑剤、界面活性剤、溶解促進剤、染料や顔料などの着色剤などの種々の添加剤を添加してもよい。さらに、感光性樹脂組成物は、塗布性などの作業性を改善するため、溶媒[炭化水素類,ハロゲン化炭化水素類,アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、ケトン類(アセトン、シクロヘキサノンなど)、エステル(酢酸エチル、乳酸エチルなど)、エーテル類,セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなど),カルビトール類,グリコールエーテルエステル類(セロソルブアセテート,プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEAなど)などの(ポリ)オキシアルキレングリコールアルキルエーテルアセテートなど)など]を含んでいてもよい。
【0058】
感光性樹脂組成物は、慣用の方法、たとえば、感光性樹脂[ベース樹脂(ポリマー又はオリゴマー)及び感光剤で構成された感光性樹脂組成物]と、光活性化合物とを混合することにより調製できる。感光性樹脂組成物は、通常、溶媒[たとえば、乳酸エチルなどの乳酸エステル;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEAなど)などの(ポリ)オキシアルキレングリコールアルキルエーテルアセテートなど)など]を含有している。溶媒の使用量は、特に制限されず、たとえば、感光性樹脂1重量部に対して、0.1〜50重量部、好ましくは1〜40重量部、さらに好ましくは5〜30重量部程度である。
【0059】
[感光層]
前記感光性樹脂組成物を基体(基板)に適用(塗布又は被覆)することにより感光層を形成できる。基体(基板)としては、パターンの特性や用途に応じて、金属(アルミニウム),ガラス,セラミックス(アルミナ,銅ドープアルミナ,タングステンシリケートなど),プラスチックなどから適当に選択でき、シリコンウェハーなどの半導体基板であってもよい。
【0060】
基板は、用途に応じて、感光層との密着性を向上させるため、予め、表面処理してもよい。表面処理には、たとえば、前記シランカップリング剤(重合性基を有する加水分解重合性シランカップリング剤など)などによる表面処理、アンカーコート剤又は下地剤(ポリビニルアセタール,アクリル系樹脂,酢酸ビニル系樹脂,エポキシ樹脂,ウレタン樹脂など)、又はこれらの下地剤と無機微粒子との混合物によるコーティング処理などが含まれる。
【0061】
なお、感光性樹脂組成物を基板に塗布した後、乾燥により溶媒を蒸発させてもよい。溶媒の除去は、たとえば、ホットプレートなどの加熱手段を利用して、ソフトベーク(プリベーク)などにより行ってもよい。
【0062】
本発明の感光性樹脂組成物による感光層は、レジスト層の少なくとも表面に形成してもよい。感光層の構造は、パターン形成プロセスや回路構造などに応じて選択でき、単層構造や多層構造(又は積層、複合構造)であってもよい。
【0063】
感光層の厚みは、特に制限されず、たとえば、0.01〜10μm、好ましくは0.05〜5μm、好ましくは0.08〜2μm程度の範囲から選択でき、通常、0.05〜1μm(たとえば、0.1〜0.7μm)程度である。
【0064】
前記感光層は、慣用のコーティング方法、たとえば、スピンコーティング法、ディッピング法、キャスト法などにより行うことができ、必要により、乾燥して溶媒を除去して感光層を形成できる。
【0065】
[パターン形成方法]
パターン(特に微細なパターン)は、露光,現像やエッチングなどを組み合わせた慣用のリソグラフィー技術を利用して行うことができる。
【0066】
たとえば、前記感光性樹脂組成物を基板に塗布して感光層を形成し、露光し、現像することによりパターンを形成できる。特に、化学増幅系の感光性樹脂を用いる場合、露光により発生した酸を効率よく拡散させるため、露光後、加熱処理(露光後ベーク(ポストエクスポージャーベーク,PEB))するのが好ましい。また、現像によりパターンニングした後、プラズマ処理(酸素プラズマなど)によりエッチング処理をしてもよい。
【0067】
感光層に対する露光は、慣用の方法、たとえば、所定のマスクを介して光線をパターン照射又は露光することにより行うことができる。光線としては、感光性樹脂組成物の感光特性,パターンの微細度、ベース樹脂の種類などに応じて種々の光線(活性光線)、たとえば、ハロゲンランプ,高圧水銀灯,UVランプなどの光線;g線(436nm)、i線(365nm)、エキシマーレーザー(たとえば、XeCl(308nm),KrF(248nm),KrCl(222nm),ArF(193nm),ArCl(172nm),F(157nm)など),電子線,EB線、EUV線(13nm)、X線などの放射線などが利用でき、単一波長であっても、複合波長であってもよい。特に、KrF(248nm),ArF(193nm),F(157nm)などのエキシマーレーザー、X線、EB線、EUV線(13nm)などの10〜300nm程度の波長の光線が有利に利用できる。
【0068】
また、非芳香族系のベース樹脂で構成されたレジストを用いることにより、短波長の光線に対する透明性を向上でき、感度を向上させることができる。たとえば、KrFエキシマーレーザー(248nm)を露光源として利用する場合には、化学増幅系の感光性樹脂組成物、たとえば、脱保護により親水性基を生成する樹脂[ヒドロキシル基が保護基で保護されたポリビニルフェノール系樹脂や、ヒドロキシル基やカルボキシル基が保護基で保護された非芳香族性樹脂など]と感光剤(酸発生剤)とで構成されたポジ型感光性樹脂組成物などが利用できる。前記ヒドロキシル基やカルボキシル基が保護基で保護された非芳香族性樹脂としては、たとえば、カルボキシル基が保護基で保護された(メタ)アクリル系樹脂;保護基で保護されたカルボキシル基やヒドロキシル基を有する脂環族樹脂[たとえば、脂環族単量体(カルボキシノルボルネン、ヒドロキシノルボルネン、ヒドロキシエチルノルボルネンなどのノルボルネン誘導体など)と無水マレイン酸などの共重合性単量体との共重合体において、ヒドロキシル基やカルボキシル基が保護基で保護されている樹脂など]などが例示できる。
【0069】
また、ArFエキシマーレーザー(193nm)を露光源として利用する場合には、たとえば、前記ヒドロキシル基やカルボキシル基が保護基で保護された非芳香族性樹脂などが利用できる。
【0070】
なお、露光エネルギーは感光性樹脂組成物の感光特性(溶解性など)などに応じて選択でき、露光時間は、通常、0.005秒〜10分、好ましくは0.01秒〜1分程度の範囲から選択できる。
【0071】
加熱(プリベーク及びPEB)の温度は、50〜150℃、好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは70〜150℃程度であり、加熱の時間は、30秒〜5分、好ましくは1〜2分程度である。
【0072】
パターン露光の後、慣用の方法で現像することにより解像度の高いパターンを形成できる。現像には、感光性樹脂組成物の種類に応じて種々の現像液(水,アルカリ水溶液など)が使用できる。好ましい現像液は水又はアルカリ現像液であり、必要であれば、少量の有機溶媒(たとえば、メタノール,エタノール,イソプロパノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、ジオキサン,テトラヒドロフランなどのエーテル類、セロソルブ類、セロソルブアセテート類などの親水性又は水溶性溶媒)や界面活性剤などを含んでいてもよい。現像法も特に制限されず、たとえば、パドル(メニスカス)法,ディップ法,スプレー法などが採用できる。
【0073】
なお、前記プリベーク及びPEBのみに限らず、感光性樹脂組成物の塗布から現像に至る工程のうち適当な工程で、塗膜(感光層)を適当な温度で加熱又は硬化処理してもよい。たとえば、現像後などにおいて、必要により加熱処理してもよい。
【0074】
本発明の光活性化合物は、光照射に起因した脱保護により親水化可能であるため、感光剤(感光剤及びベース樹脂)と組み合わせて用いると、レジスト(前記感光性樹脂組成物で形成されたレジストなど)用途において、感光層を形成しても、露光部と未露光部とで溶解度差を生じさせることができる。特に、未露光部では、感光層が保護(特に疎水化)されて表面が疎水化された状態になるとともに、露光部において、親水化された部分が親水性ドメインを形成するため、露光部では溶解が促進される。そのため、未露光部と露光部とにおける溶解速度の差を大きくすることができる。
【0075】
そのため、本発明の光活性化合物は、レジスト組成物などに適用するのに有用であり、前記光活性化合物で構成された感光性樹脂組成物は、種々の用途、たとえば、回路形成材料(半導体製造用レジスト、プリント配線板など)、画像形成材料(印刷版材,レリーフ像など)などに利用できる。特に、高い感度と解像度を得ることも可能であるので、半導体製造用レジストに有利に利用できる。
【0076】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0077】
〔実施例1〜3〕(光活性化合物の合成)
実施例1:[CHCHSi(CHOSiO3/2[t−BuOC(O)CHCHSi(CHOSiO3/2(I)の合成
オクタキス(ジメチルシロキシ)−T8−シルセスキオキサン2.0g(1.96mmol)とアクリル酸t−ブチルエステル1.0g(7.8mmol)を乾燥テトラハイドロフラン100ml中に入れ、アルゴン置換を行った後、塩化白金酸のテトラハイドロフラン1%溶液0.2gを加えてアルゴン雰囲気下で24時間加熱還流した。
【0078】
次に反応溶液中にエチレンガスを導入しながら、さらに24時間加熱還流し、溶媒を除去した。
【0079】
得られたオイルをヘキサンに溶かしてシリカゲルカラム処理することにより、目的の光活性化合物(I)を2.7g得た。
得られた化合物のH−NMRを図1に示す。
【0080】
実施例2:[CHCHSi(CHOSiO3/2[t−BuOC(O)CHCHSi(CHOSiO3/2(II)の合成
オクタキス(ジメチルシロキシ)−T8−シルセスキオキサン2.0g(1.96mmol)とアクリル酸t−ブチルエステル0.5g(3.9mmol)を乾燥テトラハイドロフラン100ml中に入れ、アルゴン置換を行った後、塩化白金酸のテトラハイドロフラン1%溶液0.2gを加えてアルゴン雰囲気下で24時間加熱還流した。
【0081】
次に反応溶液中にエチレンガスを導入しながら、さらに24時間加熱還流し、溶媒を除去した。
【0082】
得られたオイルをヘキサンに溶かしてシリカゲルカラム処理することにより、目的の光活性化合物(II)を2.1g得た。
得られた化合物のH−NMRを図2に示す。
【0083】
実施例3:[t−BuOC(O)CHCHSi(CHOSiO3/2(III)の合成
オクタキス(ジメチルシロキシ)−T8−シルセスキオキサン2.0g(1.96mmol)とアクリル酸t−ブチルエステル3.0g(23.4mmol)を乾燥テトラハイドロフラン100ml中に入れ、アルゴン置換を行った後、塩化白金酸のテトラハイドロフラン1%溶液0.2gを加えてアルゴン雰囲気下で24時間加熱還流し、溶媒を除去した。
【0084】
得られたオイルをヘキサンに溶かしてシリカゲルカラム処理することにより、目的の光活性化合物(III)を3.6g得た。
得られた化合物のH−NMRを図3に示す。
【0085】
〔実施例4〜6〕
1.感光性樹脂組成物の調整
(1)感光性樹脂の調整
ヒト゛ロキシル基のうち35モル%をt−BOC(tert−フ゛トキシカルホ゛ニルオキシ)基で置換した平均分子量8,300のホ゜リヒ゛ニルフェノール樹脂1重量部に、光酸発生剤としてトリフェニルスルフォニウムトリフレート0.02重量部を添加し、溶媒としての乳酸エチル6重量部を混合することによりホ゜シ゛型フォトレシ゛ストを調整した。
(2)感光性樹脂組成物の調整
前記ステップ(1)の感光性樹脂と光活性化合物(I)をそれぞれ表1に示す割合(溶剤を除く固形分の割合で表示)で混合し感光性樹脂組成物を調整した。
2.ハ゜ターン形成及び特性(感度、解像度、酸素フ゜ラス゛マ耐性)の評価
(1)ハ゜ターン形成
洗浄したシリコンウエハーをヘキサメチルシ゛シラサ゛ンで処理した後、スピンコーターを用いて上記感光性樹脂組成物を乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように塗布し、ホットフ゜レートにて90℃で1分間加熱した。次いで、248nm(KrFエキシマーレーサ゛ー)の露光波長を有する縮小投影露光機(キャノン(株)製、FPA−3000EX5,NA=0.63)を用いて、線幅の異なるラインアント゛スヘ゜ースハ゜ターンを有するテストマスクを介して、露光量を段階的に変えて露光した。このウエハーをホットフ゜レートにて100℃で1分間加熱した後、2.38重量%のテトラメチルアンモニウムハイト゛ロオキサイト゛水溶液で1分間ハ゜ト゛ル現像してホ゜シ゛型ハ゜ターンを得た。
(2)特性の評価
前記ホ゜シ゛型ハ゜ターンにつき、以下のようにして各特性を評価した。
(i)感度:ライン幅0.25μmのライン:スヘ゜ース=1:1がマスク寸法どおりになる露光量で表示した。(値が小さいほど高感度で良好)
(ii)解像度:ライン幅0.25μmのライン:スヘ゜ース=1:1がマスク寸法どおりになる露光量でラインが分離する最小寸法で表示した。 (値が小さいほど高解像度で良好)
(iii)酸素フ゜ラス゛マ耐性: 現像後のウエハーをフ゜ラス゛マエッチンク゛装置(東京真空(株)製SUPERCOAT N400型)を用いて、以下の条件でエッチンク゛を行った。
【0086】
給電方式 :カソート゛カッフ゜ル
電極サイス゛ :80mmφ
処理カ゛ス :酸素
圧力 :8.645Pa
rf印加電圧 :85W
rf電力密度 :1.69W/cm2
処理時間 :5分
エッチンク゛後の膜厚を測定し、エッチンク゛により消失した膜の厚さをエッチンク゛時間で割り、酸素フ゜ラス゛マ速度(O2−RIE速度、nm/sec)として表示した。この値が小さいほど酸素フ゜ラス゛マ耐性が高いことを示す。
結果を表1に示す。
【0087】
〔比較例1〕
光活性化合物(I)を添加しない以外は、実施例1と同様の操作を行い比較用の感光性樹脂組成物を得て、上記同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0088】
【表1】
Figure 2004189602
【0089】
〔実施例7〜9〕
1.感光性樹脂組成物の調整
(1)感光性樹脂の調整
2−メチルアタ゛マンチルメタアクリレートとγーフ゛チロラクトンメタアクリレートを1/1の仕込み比(モル比)でメチルイソフ゛チルケトンに溶解させ、アソ゛ヒ゛スイソフ゛チロニトリル(AIBN)を開始剤として、80℃で8時間ラシ゛カル重合させることにより、重量平均分子量12、500の樹脂を得た。再沈溶媒として、n−ヘキサンを用いた。この樹脂1重量部に、トリフェニルスルフォニウムトリフレート0.02重量部を添加し、溶媒としての乳酸エチル7重量部を混合することによりホ゜シ゛型フォトレシ゛ストを調整した。
【0090】
(2)感光性樹脂組成物の調整
前記ステップ(1)の感光性樹脂と光活性化合物(II)をそれぞれ表2に示す割合(溶剤を除く固形分の割合で表示)で混合し感光性樹脂組成物を調整した。
【0091】
2.ハ゜ターン形成及び特性(感度、解像度、酸素フ゜ラス゛マ耐性)の評価
(1)ハ゜ターン形成
洗浄したシリコンウエハーをヘキサメチルシ゛シラサ゛ンで処理した後、スピンコーターを用いて上記感光性樹脂組成物を乾燥後の膜厚が0.3μmとなるように塗布し、ホットフ゜レートにて130℃で1分間加熱した。次いで、193nm(ArFエキシマーレーサ゛ー)の露光波長を有する縮小投影露光機(NA=0.63)を用いて、線幅の異なるラインアント゛スヘ゜ースハ゜ターンを有するテストマスクを介して、露光量を段階的に変えて露光した。このウエハーをホットフ゜レートにて130℃で1分間加熱した後、2.38重量%のテトラメチルアンモニウムハイト゛ロオキサイト゛水溶液で1分間ハ゜ト゛ル現像してホ゜シ゛型ハ゜ターンを得た。
(2)特性の評価
前記ホ゜シ゛型ハ゜ターンにつき、以下のようにして各特性を評価した。
(i)感度:ライン幅0.20μmのライン:スヘ゜ース=1:1がマスク寸法どおりになる露光量で表示した。(値が小さいほど高感度で良好)
(ii)解像度:ライン幅0.20μmのライン:スヘ゜ース=1:1がマスク寸法どおりになる露光量でラインが分離する最小寸法で表示した。 (値が小さいほど高解像度で良好)
(iii)酸素フ゜ラス゛マ耐性: 実施例1と同様の方法で評価した。
結果を表2に示す。
〔比較例2〕
光活性化合物(II)を添加しない以外は、実施例7と同様の操作を行い比較用の感光性樹脂組成物を得て、上記同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0092】
【表2】
Figure 2004189602
【0093】
〔実施例10〜12〕
1.感光性樹脂組成物の調整
(1)感光性樹脂の調整
メタクリル酸―tert.ブチルエステル(30g)とアゾビスイソブチルニトリル(0.2g)をトルエン(200mL)に溶解させた。反応器内をアルゴン置換し、60℃で12時間加熱・攪拌することで重合した。重合終了後、反応溶液を大量のメタノール中に注いで、樹脂を凝固させ、凝固した樹脂をメタノールで数回洗浄した。この樹脂を室温・減圧下で一晩乾燥させ、重量平均分子量32,000のポリーtert.ブチルメタクリレートを収率35%で得た。
このポリp−tert.フ゛チルメタアクリレート樹脂1重量部に、光酸発生剤としてトリフェニルスルフォニウムノナフレートを0.03重量部添加し、溶媒として乳酸エチル6重量部を混合することで、ホ゜シ゛型フォトレシ゛ストを調整した。
(2)感光性樹脂組成物の調整
前記ステップ(1)の感光性樹脂と光活性化合物(III)をそれぞれ表3に示す割合(溶剤を除く固形分の割合で表示)で混合し感光性樹脂組成物を調整した。
【0094】
2.ハ゜ターン形成及び特性(感度、解像度、酸素フ゜ラス゛マ耐性)の評価
(1)ハ゜ターン形成
洗浄したシリコンウエハーをヘキサメチルシ゛シラサ゛ンで処理した後、スピンコーターを用いて上記感光性樹脂組成物を乾燥後の膜厚が0.12μmとなるように塗布し、ホットフ゜レートにて130℃で1分間加熱した。次いで、157nm(F2エキシマーレーサ゛ー)の露光波長を有する露光機(リソテックシ゛ャハ゜ン(株)製VUVES−1200)を用いて、露光量を段階的に変えて露光した。このウエハーをホットフ゜レートにて130℃で1分間加熱した後、2.38重量%のテトラメチルアンモニウムハイト゛ロオキサイト゛水溶液で1分間ハ゜ト゛ル現像してホ゜シ゛型ハ゜ターンを得た。
(2)特性の評価
前記ホ゜シ゛型ハ゜ターンにつき、以下のようにして各特性を評価した。
(i)感度:レシ゛ストが完全に溶解した最小露光量で表示した。(値が小さいほど高感度で良好)
(ii)解像度:露光量の対数に対する溶解速度(nm/sec)の対数をプロットし、その直線部分の傾き角度θを求め、tanθをγ値とした。 (一般に、γ値が大きいほど高解像度で良好)
(iii)酸素フ゜ラス゛マ耐性: 実施例1と同様の方法で評価した。
結果を表3に示す。
〔比較例3〕
光活性化合物(III)を添加しない以外は、実施例10と同様の操作を行い比較用の感光性樹脂組成物を調製した。結果を表3に示す。
【0095】
【表3】
Figure 2004189602
【0096】
【発明の効果】
本発明の光活性化合物は、光照射に起因した脱保護により親水化可能であるので、感光剤と組み合わせることにより、特にレジスト(前記光活性化合物を含む感光性樹脂組成物で形成されたレジストなど)の感度及び解像度を改善するために有用である。また、短波長の露光源に対する感度を向上させ、微細パターンの解像度を向上できる。さらに、レジストの露光部と未露光部とにおいて、現像液に対する溶解度差を大きくでき、微細パターンを高感度及び高解像度で形成でき、又酸素プラズマ耐性を向上させるのに有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例1で得られた、[CHCHSi(CHOSiO3/2[t−BuOC(O)CHCHSi(CHOSiO3/2H−NMRである。
【図2】図2は実施例2で得られた、[CHCHSi(CHOSiO3/2[t−BuOC(O)CHCHSi(CHOSiO3/2H−NMRである。
【図3】図3は実施例3で得られた、[t−BuOC(O)CHCHSi(CHOSiO3/2H−NMRである。

Claims (14)

  1. 感光剤と組み合わせて用いられる光活性化合物であって、一般式(1)で表される光活性化合物。
    [R−J−SiO3/2]m[Pro−X−J−SiO3/2]n (1)
    (式中、Rは水素原子、置換基で置換されていてもよい炭素数1から20の脂肪族または芳香族炭化水素基を示し、J、Jは連結基を示し、Pro−X−は光照射に起因して脱離可能な保護基Proで保護された疎水性基を示し、mおよびnは整数を表し、m+n=6、8または10である)
  2. 保護基Proが、光照射により、感光剤と関連して脱離可能である請求項1記載の光活性化合物。
  3. 保護基Proが、疎水性保護基であり、この疎水性保護基の脱離により生成する、H−X−(Hは水素原子を表す)がヒドロキシル基又はカルボキシル基である請求項1または2記載の光活性化合物。
  4. 保護基Proが、アルコキシアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、オキサシクロアルキル基、架橋環式脂環族炭化水素基、アルキルシリル基、アルキル基、ラクトン環基、カルバモイル基及びN−置換カルバモイル基からなる群より選択されるいずれか1種の保護基である請求項1〜3のいずれか1項記載の光活性化合物。
  5. 保護基Proが、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C3−10オキサシクロアルキル基、C6−20ビ又はトリシクロアルキル基、C1−6アルキルシリル基、C1−6アルキル基、カルバモイル基、N−C1−6アルキル−カルバモイル基及びN−C6−10アリール−カルバモイル基からなる群より選択されるいずれか1種の保護基である請求項1〜4のいずれか1項記載の光活性化合物。
  6. 連結基J、Jが同一又は異なってもよい、直接結合、−CHCH−、−OSi(CHCHCH−、−CHCH(CH)−、−OSi(CHCHCH(CH)−、−CHCH(CF)−、−OSi(CHCHCH(CF)−、−CHCH(F)−、
    −OSi(CHCHCH(F)−、−CHCH−C−、−OSi(CHCHCH−C−、−CH(CH)−、
    Figure 2004189602
    からなる群より選択されるそれぞれいずれか1種の連結基である請求項1〜5のいずれか1項記載の光活性化合物。
  7. ベース樹脂と感光剤と請求項1〜6のいずれか1項記載の光活性化合物とを含む感光性樹脂組成物。
  8. 水又はアルカリ現像可能である請求項7記載の感光性樹脂組成物。
  9. ポジ型感光性樹脂組成物である請求項7または8記載の感光性樹脂組成物。
  10. ベース樹脂が、酸の作用により親水性基を生成可能な樹脂で構成され、感光剤が光酸発生剤で構成されている請求項7〜9のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物。
  11. ベース樹脂がヒドロキシル基及びカルボキシル基から選択されかつ酸の作用により脱離可能な保護基で保護可能な親水性基、を有する単量体の単独重合体又は共重合体で構成されている請求項7〜10のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物。
  12. 光活性化合物と感光剤との割合(重量比)が前者/後者=0.01/1〜100/1である請求項7〜11のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物。
  13. 感光剤の含有量が、ベース樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部であり、光活性化合物の含有量が、ベース樹脂100重量部に対して1〜1000重量部である請求項7〜12のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物。
  14. 請求項7〜13のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物を基板に塗布し、露光した後、加熱処理し、さらに現像してパターンを形成するパターン形成方法。
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