JP2004188680A - 調節用パターンの形成方法、記録装置、調節方法、プログラムおよびコンピュータシステム - Google Patents

調節用パターンの形成方法、記録装置、調節方法、プログラムおよびコンピュータシステム Download PDF

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Abstract

【課題】ドット形成位置のズレを解消し、高品質な記録が可能な装置を提供する。
【解決手段】本発明のパターン作成方法は、複数のノズルを有し走査方向に沿って往復移動するヘッドに対し、前記走査方向を軸とする回転方向の角度を調節するための調節用パターンを形成する方法であって、往路において前記複数のノズルから液体を吐出して媒体にドットを形成し、復路において前記複数のノズルから前記液体を吐出して前記媒体にドットを形成し、前記往路において形成された前記ドットと前記復路において形成された前記ドットとの位置関係に応じて前記ヘッドの前記角度を調節するための調節用パターンが形成されることを特徴とする。このような調節パターンを作成すれば、高品質な記録が可能となるように装置を調節することができる。
【選択図】 図13

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ヘッドの角度を調節するための調節用パターンを形成する方法に関する。また、このような調節用パターンを形成するための記録装置、ヘッドの角度の調節方法、プログラムおよびコンピュータシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ノズルから液体を吐出してパターンを形成する装置としては、例えば、インクジェットプリンタが知られている。インクジェットプリンタには、インクを吐出するノズルを有するヘッドが走査方向に往復移動し、往路および復路においてそれぞれインクを吐出して印刷するいわゆる「双方向印刷」を行うものがある。 双方向印刷を行う場合、往路におけるドットの形成位置と復路におけるドットの形成位置とのズレが生じる。従来では往路と復路とのドット形成位置のズレは、ノズルからのインク吐出タイミングをずらすことによって補正されていた。 また、キャリッジのヨーイング方向(鉛直方向を軸とする回転方向)の振動を抑え、精度の高い記録を行う記録装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−144659号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ノズルからのインク吐出タイミングを補正したり、キャリッジの振動を抑えたりしただけでは、往路におけるドットの形成位置と復路におけるドットの形成位置とのズレが解消できないことがある。特に、ノズル列の長さが長くなると、このようなドット形成位置のズレが顕著に現れる。
このようなドット形成位置のズレは、印刷される画像の画質を低下させる原因となる。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、高品質に記録可能な装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための主たる本発明は、複数のノズルを有し走査方向に沿って往復移動するヘッドに対し、前記走査方向を軸とする回転方向の角度を調節するための調節用パターンを形成する方法であって、往路において前記複数のノズルから液体を吐出して媒体にドットを形成し、復路において前記複数のノズルから前記液体を吐出して前記媒体にドットを形成し、前記往路において形成された前記ドットと前記復路において形成された前記ドットとの位置関係に応じて前記ヘッドの前記角度を調節するための調節用パターンが、形成されることを特徴とする。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにされる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本明細書及び添付図面の記載により少なくとも次のことが明らかにされる。 複数のノズルを有し走査方向に沿って往復移動するヘッドに対し、前記走査方向を軸とする回転方向の角度を調節するための調節用パターンを形成する方法であって、往路において前記複数のノズルから液体を吐出して媒体にドットを形成し、復路において前記複数のノズルから前記液体を吐出して前記媒体にドットを形成し、前記往路において形成された前記ドットと前記復路において形成された前記ドットとの位置関係に応じて前記ヘッドの前記角度を調節するための調節用パターンが、形成されることを特徴とするパターン形成方法。このようなパターン形成方法によれば、高品質な記録が可能となるようにヘッドの角度を調節するための調節用パターンを形成することができる。
【0007】
かかるパターン形成方法であって、前記ヘッドの傾きが大きくなると、前記調節用パターンは、あるノズルによって形成された前記往路及び前記復路の前記ドットの前記位置関係と、他のノズルによって形成された前記往路及び前記復路の前記ドットの位置関係と、の差が大きいパターンになることが望ましい。このようなパターン形成方法によれば、ヘッドをどのくらい回転させて調節すればよいのかを操作者に認識させやすい調節用パターンを形成することができる。
【0008】
かかるパターン形成方法であって、前記ヘッドの傾きが大きくなると、前記調節用パターンは、あるノズルによって形成された前記往路及び前記復路の前記ドットの間隔と、他のノズルによって形成された前記往路及び前記復路の前記ドットの間隔と、の差が大きいパターンになることが望ましい。このようなパターン形成方法によれば、ドット間隔の変化に基づいて、ヘッドをどのくらい回転させて調節すればよいのかを操作者に認識させやすい調節用パターンを形成することができる。
【0009】
かかるパターン形成方法であって、前記調節用パターンは、往路において前記複数のノズルから間欠的に液体を吐出することによって形成された複数の前記ドットからなる往路パターンと、復路において前記複数のノズルから間欠的に液体を吐出することによって形成された複数の前記ドットからなり、前記往路パターンと前記走査方向に隣接させて形成された復路パターンとを有し、前記調節用パターンは、前記ヘッドの前記角度に応じて、前記往路パターンと前記復路パターンとの境界の形状が異なることが望ましい。このようなパターン形成方法によれば、ヘッドをどの方向に回転させて調節すればよいのかを、往路パターンと復路パターンとの境界の形状に基づいて操作者が認識できる調節用パターンを形成することができる。
【0010】
かかるパターン形成方法であって、前記調節用パターンは、前記往路パターンの一部と前記復路パターンの一部とが重なるように形成されたものであることが望ましい。このようなパターン形成方法によれば、往路パターンと復路パターンとの境界において、一部が重なり一部が離れているため、操作者が境界の形状の把握を認識することが容易になる。前記復路パターンを形成するノズルは、前記復路パターンを形成するノズルと異なることが好ましい。このようなパターン形成方法によれば、調節パターン中の往路パターンと復路パターンとの境界の形状が明確になるので、ヘッドの角度の調節が容易になるような調節パターンを形成することができる。また、前記調節用パターンは、濃い縞と淡い縞とを有することが好ましい。このようなパターン形成方法によれば、濃い縞及び淡い縞は認識されやすいので、ヘッドの角度の調節が容易になるような調節パターンを形成することができる。
【0011】
また、かかるパターン形成方法であって、前記往路パターンの一部と前記復路パターンの一部とが近づいているとき、前記調節パターンは、前記往路パターン及び前記復路パターンの前記一部を形成した前記ノズルと前記媒体との距離が、他のノズルと比較して、離れていることを示していることが望ましい。このようなパターン形成方法によれば、ヘッドをどの方向に回転させて調節すればよいのかを操作者に認識させやすい調節用パターンを形成することができる。
【0012】
また、かかるパターン形成方法であって、前記往路パターンの一部と前記復路パターンの一部とが離れているとき、前記調節パターンは、前記往路パターン及び前記復路パターンの前記一部を形成した前記ノズルと前記媒体との距離が、他のノズルと比較して、近接していることを示していることが望ましい。このようなパターン形成方法によれば、ヘッドをどの方向に回転させて調節すればよいのかを操作者に認識させやすい調節用パターンを形成することができる。
【0013】
また、かかるパターン形成方法であって、前記複数のノズルは列状に配置されており、前記調節用パターンは、前記往路において前記複数のノズルから同時に前記液体を吐出することによって形成されたドット列と、前記復路において前記複数のノズルから同時に前記液体を吐出することによって形成されたドット列とを有することが望ましい。このようなパターン形成方法によれば、ヘッドの回転を調節するための調節パターンを単純な形状にすることができる。
【0014】
また、かかるパターン形成方法であって、前記調節用パターンは、前記ヘッドの角度に応じて、前記往路の前記ドット列と前記復路の前記ドット列との角度が異なることが望ましい。このようなパターン形成方法によれば、往路のドット列と復路のドット列との角度に基づいて、ヘッドをどの程度回転させて調節すればよいのかを操作者に認識させやすい調節用パターンを形成することができる。
【0015】
また、かかるパターン形成方法であって、前記往路の前記ドット列と前記復路の前記ドット列とは、交差するように形成されることが望ましい。このようなパターン形成方法によれば、ヘッドの回転の有無を容易に操作者が認識することができる調節用パターンを形成することができる。
【0016】
また、かかるパターン形成方法であって、前記ノズルは前記媒体に大きいドット及び小さいドットを形成することができ、前記ノズルは前記大きいドット及び前記小さいドットのうちの一方のドットによって前記調節用パターンを前記媒体に形成し、前記媒体を前記ノズルに対し相対移動させ、前記相対移動後、前記ノズルは前記他方のドットによって、前記調節用パターンを前記媒体に形成することが望ましい。このようなパターン形成方法によれば、操作者が観察しやすい濃さのパターンを用いてチェックすることができる調節用パターンを形成することができる。
【0017】
また、複数のノズルを有し走査方向に沿って往復移動するヘッドに対し、前記走査方向を軸とする回転方向の角度を調節するための調節用パターンを形成する記録装置であって、往路において、前記複数のノズルから液体を吐出して、媒体にドットを形成し、復路において、前記複数のノズルから前記液体を吐出して、前記媒体にドットを形成し、前記往路において形成された前記ドットと前記復路において形成された前記ドットとの位置関係に応じて前記ヘッドの前記角度を調節するための調節用パターンを形成することを特徴とする記録装置も明らかになる。
【0018】
かかる記録装置であって、ヘッドの角度を調節するための調節機構を更に有することが望ましい。このような記録装置によれば、調節機構を用いてヘッドの角度を調節することによって、高品質な記録が可能となる。
【0019】
また、複数のノズルを有し走査方向に沿って往復移動するヘッドに対し、前記走査方向を軸とする回転方向の角度を調節するための調節用パターンを形成する記録装置に、往路において前記複数のノズルから液体を吐出して媒体にドットを形成する機能と、復路において前記複数のノズルから前記液体を吐出して前記媒体にドットを形成する機能と、を実現させ、前記往路において形成された前記ドットと前記復路において形成された前記ドットとの位置関係に応じて前記ヘッドの前記角度を調節するための調節用パターンを形成することを特徴とするプログラムも明らかになる。
【0020】
また、コンピュータ本体と記録装置とを備えたコンピュータシステムであって、前記記録装置は、複数のノズルを有し走査方向に沿って往復移動するヘッドに対し、前記走査方向を軸とする回転方向の角度を調節するための調節用パターンを形成する記録装置であって、往路において前記複数のノズルから液体を吐出して媒体にドットを形成し、復路において前記複数のノズルから前記液体を吐出して前記媒体にドットを形成し、前記往路において形成された前記ドットと前記復路において形成された前記ドットとの位置関係に応じて前記ヘッドの前記角度を調節するための調節用パターンを形成することを特徴とするコンピュータシステムも明らかになる。
【0021】
===調節用パターンを形成する装置の概要===
図1は、インクジェットプリンタを備えた印刷システムの概略構成図である。図2は、制御回路を中心としたインクジェットプリンタの構成を示すブロック図である。
インクジェットプリンタ1(以下、プリンタ1と称する)は、インクをノズルから吐出して、印刷用紙に画像を印刷する印刷装置である。このプリンタ1は、搬送ユニット10と、キャリッジユニット20と、ヘッドユニット30と、操作パネル40と、コントローラ50とを備えている。
【0022】
搬送ユニット10は、印刷用紙Pを印刷可能な位置まで搬送する。そして、印刷用紙Pを印刷するとき、搬送ユニット10は、所定の搬送量で印刷用紙Pを間欠的に搬送する(なお、搬送ユニット10が印刷用紙Pを搬送する方向を搬送方向と呼ぶ)。つまり、搬送ユニット10は、印刷用紙Pを搬送するための搬送装置である。この搬送ユニット10は、搬送モータ12と、搬送ローラ14とを有する。搬送モータ12は、回転駆動力を発生する。搬送ローラ14は、搬送モータ12の回転駆動力によって回転し、印刷用紙Pを搬送方向に搬送する。また、搬送ユニット10は、搬送モータ12の回転駆動力を搬送ローラ14に伝達するためのギア(不図示)等も有する。
【0023】
キャリッジユニット20は、キャリッジを走査方向に沿って往復移動させるための装置である。つまり、キャリッジユニット20は、キャリッジを走査方向に移動させることによって、インクを吐出するノズルを移動させる。なお、走査方向とは、図1の左右方向に平行な方向であって、搬送方向と交差する方向である。このキャリッジユニット20は、キャリッジ21と、キャリッジモータ22と、プーリ23と、ベルト24と、ガイド25と、位置センサ26とを有する。 キャリッジ21は、走査方向に沿って往復移動可能である。また、キャリッジ21は、インクを収容するインクカートリッジ70を装着できる。キャリッジモータ22は、キャリッジ21を走査方向に沿って移動させるための駆動力を発生する。
キャリッジモータ22は、キャリッジ21が走査方向に往復できるように、正回転と逆回転とを切り替え可能である。プーリ23は、キャリッジモータ22の回転軸に取り付けられて、キャリッジモータ22によって回転させられる。ベルト24は、プーリ23によって駆動される。ベルト24の一部とキャリッジ21の一部とが接合されているので、キャリッジモータ22が回転すると、プーリ23を介してベルト24が駆動され、キャリッジ21が走査方向に移動する。ガイド25は、断面が円形の棒状部材であって、キャリッジ21を走査方向に沿って案内するための案内部材である。ガイド25とベルト24の一部とによって、走査方向を軸とする回転方向のキャリッジ21の動きが規制される。位置センサ26は、キャリッジ21の原点位置(走査方向の原点位置)を検出する。また、キャリッジユニット20は、リニア式エンコーダ(不図示)等も有する。リニア式エンコーダは、原点位置に対するキャリッジ21の相対位置(走査方向の相対位置)を検出する。
【0024】
ヘッドユニット30は、印刷用紙Pにインクを吐出するための装置であって、複数のノズルと駆動素子とを備えたヘッド31を有する。ヘッド31はキャリッジ21と一体的に設けられているので、キャリッジ21が走査方向に移動すると、ヘッド31も同様に走査方向に移動する。したがって、キャリッジ21の移動中にヘッド31のノズルから間欠的にインクを吐出すると、印刷用紙Pにインク滴が順次着弾し、印刷用紙Pにはライン状のドットの列が形成される。また、ヘッドユニット30は、導入管やインク流路(後述)等も有する。
【0025】
操作パネル40は、複数の操作ボタンや、LED等の発光素子からなるランプを有する。操作者は、操作ボタンを押すことによって、プリンタ1に対して直接的に印刷条件を入力することができる。ランプは、例えば、赤いLEDを発光させて、操作者に異常を報知すること等に用いられる。
【0026】
コントローラ50は、プリンタ1の制御を行う。特に、コントローラ50は、上記の搬送ユニット10、キャリッジユニット20、ヘッドユニット30及び操作パネル40に対して信号を受け渡し、各ユニットの制御を行う。このコントローラ50は、CPU51と、RAM52と、ROM53とを備え、算術論理演算回路を構成している。CPU51は、プリンタ1全体の制御を行うためのものであり、各ユニットに制御指令を与える。RAM52は、CPU51の作業領域を確保する。ROM53は、プログラムを格納する記憶手段である。後述するプリンタ1の各種の動作は、このROM53に格納されたプログラムによって実現される。また、ROM53は、調節用パターン等のパターンやプリンタフォントに関する情報を記録している。そして、プリンタ1がパターンや文字を特定する情報を受信したとき、プリンタ1はROM53の中に記憶されている情報を参照し、対応する文字やパターンを出力する。
【0027】
また、コントローラ50は、I/F専用回路55と、モータ駆動回路56と、ヘッド駆動回路57とを有する。I/F専用回路55は、インタフェースを専用に行う。モータ駆動回路56は、I/F専用回路55に接続され、CPU51からの信号に基づいて搬送モータ12やキャリッジモータ22を駆動する。ヘッド駆動回路57は、I/F専用回路55に接続され、CPU51からの信号に基づいてヘッド31を駆動する。
【0028】
なお、コントローラ50は、コネクタ3を介してコンピュータ5に接続されている。このコンピュータにはプリンタ1のドライバが搭載されている。プリンタ1のドライバは、キーボードやマウス等の入力手段の操作によって指令を受け付け、また、プリンタ1における種々の情報をディスプレイの画面表示によって操作者に提示するユーザインターフェイスとしての機能を備える。
【0029】
===ヘッドの構成===
図3は、ヘッドの内部の概略構成を示す説明図である。図4は、ピエゾ素子35とノズルNzとの構造を示す説明図である。図5は、ヘッドにおけるノズルNzの配列を示す説明図である。
【0030】
キャリッジ21は、ブラックインク(K)用のカートリッジ70Kと、濃シアンインク(C)用のカートリッジ70Cと、淡シアンインク(LC)用のカートリッジ70LCと、濃マゼンタインク(M)用のカートリッジ70Mと、淡マゼンタインク(LM)用のカートリッジ70LMと、イエローインク(Y)用のカートリッジ70Yを装着できる。各色のインクに対するヘッドの構成はほぼ同様なので、以下の説明では一部説明が省略されている。
【0031】
キャリッジ21の下側には、6つのヘッドユニット30(30K、30C、30LC、30M、30LM、30Y)が設けられている。各ヘッドユニット30は、導入管33とインク流路34とを有する。導入管33は、カートリッジ70がキャリッジに装着されたとき、カートリッジ70に設けられている接続孔(不図示)に挿入され、ヘッドユニット30にインクを供給する。インク流路34は、カートリッジ70から供給されるインクをヘッド31まで導くための流路である。
【0032】
ヘッド31は、複数のノズルNzが設けられている。各ノズルNzには、各ノズルを駆動してインク滴を吐出させるための駆動素子としてピエゾ素子35が設けられている。
ピエゾ素子35は、電圧の印加により結晶構造が歪み、極めて高速に電気−機械エネルギの変換を行う素子である。ピエゾ素子35は、ピエゾ素子35の両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加すると、電圧の印加時間に応じて伸張し、インク流路34の側壁を変形させる。この結果、インク通路34の体積がピエゾ素子35の伸張に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、インク滴Ipとなって、ノズルNzの先端から吐出される。このインク滴Ipが印刷用紙Pに着弾することにより、ドットが印刷用紙に形成される。
【0033】
複数のノズルは、ヘッド31の下面に、搬送方向に沿って整列している。これらのノズルは、一定の間隔で整列している。また、各ノズルには、下流側のノズルほど若い番号が付されている(♯1〜♯n)。このように配列されたノズル列は、色毎にヘッドの下面に設けられている。各色のノズル列は、走査方向に沿って隣り合うように、配置されている。
【0034】
なお、印刷時には、搬送ユニット10が印刷用紙Pを間欠的に所定の搬送量で搬送し、その間欠的な搬送の間にキャリッジ21が走査方向に移動して各ノズルからインク滴が吐出される。本実施形態では、ノズルの間隔は180dpiである。
【0035】
===ヘッドの駆動===
図6及び図7を用いて、ヘッド31の駆動について説明する。図6は、ヘッド駆動回路57内の構成を示すブロック図である。また、図7は、各信号の説明のためのタイミングチャートである。すなわち、図7には、原信号ODRVと、印刷信号PRT(i)と、駆動信号DRV(i)の各信号のタイミングチャートが示されている。図中に各信号名の最後に付されたかっこ内の数字は、その信号が供給されるノズルの番号を示している。なお、図6の構成は、ヘッド駆動回路内ではなく、コントローラ50の他の位置に設けられても良い。
【0036】
ヘッド駆動回路57は、原信号発生部572と、複数のマスク回路574と、補正部576とを有している。
原信号発生部572は、ノズル♯1〜♯nに共通に用いられる原信号ODRVを生成する。この原信号ODRVは、一画素分の主走査期間内(キャリッジが一画素の間隔を横切る時間内)において、第1パルスW1と第2パルスW2の2つのパルスを含む信号である。原信号発生部572は、この原信号ODRVを、各マスク回路574に出力する。
マスク回路574は、ヘッド31のノズル♯1〜♯nをそれぞれ駆動する複数のピエゾ素子に対応して設けられている。各マスク回路574には、原信号発生部572から原信号ODRVが入力されるとともに、印刷信号PRT(i)が入力される。この印刷信号PRT(i)は、一画素に対応して2ビットの情報を有する2値信号であって、パソコン本体からプリンタに供給される印刷データに含まれている。マスク回路574は、印刷信号PRT(i)のレベルに応じて、原信号ODRVを遮断する。すなわち、印刷信号PRT(i)が1レベルのとき、マスク回路574は、原信号ODRVの対応するパルスをそのまま通過させて駆動信号DRVとする。一方、印刷信号PRT(i)が0レベルのとき、マスク回路574は、原信号ODRVのパルスを遮断する。そして、マスク回路574は、原信号ODRVと印刷信号PRT(i)に基づいて、駆動信号DRV(i)を補正部576に出力する。
補正部576には、駆動信号DRV(i)が入力される。補正部576は、駆動信号DRV(i)の波形のタイミングをずらし、補正を行う。この駆動信号の波形のタイミングが補正されることによって、キャリッジの移動の往路と復路におけるインクの吐出のタイミングが補正される。これにより、往路と復路における印刷用紙Pに形成されるドットの位置が補正される。
【0037】
図8は、往路と復路におけるインクの吐出のタイミングの説明図である。この説明図は搬送方向から見た図なので、紙面に垂直な方向が搬送方向であり、紙面の左右方向が走査方向である。ヘッド31と印刷用紙Pとは、ギャップPGを隔てて対向している。ヘッド31から吐出されるインク滴Ipは、ギャップPGの距離だけ飛翔して、印刷用紙Pに到達する。インク滴IPは、キャリッジ21が移動しているときに吐出されるので、慣性力が働いている。そのため、印刷用紙Pの目標位置にドットを形成するためには、目標位置よりも手前からインクを吐出する必要がある。往路と復路では移動方向が逆なので、同じ目標位置にドットを形成する場合でも、吐出のタイミングが異なる。補正部576は、往路と復路におけるこのようなインクの吐出のタイミングのずれを補正している。
【0038】
原信号ODRVは、各画素区間T1、T2、T3において、第1パルスW1と第2パルスW2とを順に発生する。なお、画素区間とは、一画素分の走査期間と同じ意味である。
印刷信号PRT(i)が2ビットのデータ『0、1』に対応しているとき、第1パルスW1のみが一画素区間の前半で出力される。これにより、ノズルから小さいインク滴が吐出され、印刷用紙Pには小さいドット(小ドット)が形成される。また、印刷信号PRT(i)が2ビットのデータ『1、0』に対応しているとき、第2パルスW2のみが一画素区間の後半で出力される。これにより、ノズルから中サイズのインク滴が吐出され、印刷用紙Pには中サイズのドット(中ドット)が形成される。また、印刷信号PRT(i)が2ビットのデータ『1、1』に対応しているとき、第1パルスW1と第2パルスW2とが一画素区間で出力される。これにより、ノズルから大きいインク滴が吐出され、印刷用紙Pには大きいドット(大ドット)が形成される。以上説明したとおり、一画素区間における駆動信号DRV(i)は、印刷信号PRT(i)の3つの異なる値に応じて互いに異なる3種類の波形を有するように整形されている。
【0039】
印刷信号PRT(i)は、主走査の往路であっても復路であっても、上記の説明の通り、同様に整形される。ただし、各信号波形は、主走査の往路と復路で同じものが用いられるが、そのタイミングは、復路全体で補正部576によってずらされ、補正される。このタイミングの補正によって、復路全体でインク滴の着弾位置が意図的にずらされて、往路と復路におけるインク滴の着弾位置のずれが補正される。
【0040】
===ヘッドの傾きの影響===
図9は、ヘッド31が傾いているときのギャップPGを、走査方向から見た説明図である。同図において、ヘッド31は、走査方向(紙面に垂直な方向)を軸とする回転方向(ローリング方向)に傾いている。その結果、搬送方向の上流側のノズル♯nと印刷用紙PとのギャップPGnは、搬送方向の下流側のノズル♯1と印刷用紙PとのギャップPG1と比較して、距離が短くなっている。つまり、上流側のノズル♯nから吐出されるインク滴が飛翔する距離と、下流側のノズル♯1から吐出されるインク滴が飛翔する距離とが、異なることになる。ヘッドの傾きの角度をθとし、ヘッドに設けられたノズル列の長さをLとすると、ギャップPGnとギャップPG1との差δは、Lsinθになる。つまり、ノズル数が増えてヘッドが搬送方向に長くなると、Lが大きくなるので、差δが大きくなる。
【0041】
図10は、ヘッド31が傾いているときのインク滴の軌跡を、搬送方向から見た説明図である。同図では、補正部576が駆動信号DRV(i)の波形のタイミングをずらすことによって、往路と復路におけるノズル♯nによるドットの形成位置が補正されている。しかし、ヘッド31が傾いているため、ノズル♯1からのインク滴は差δだけ高い位置から吐出されるので、ノズル♯1によって形成されるドットの位置は、往路の場合と復路の場合とで異なる。したがって、ヘッド31が傾いている場合、補正部576による補正を行っただけでは、全てのノズルについて、往路と復路の着弾位置(ドット形成位置)を合わせることができない。
【0042】
図11A及び図11Bは、ヘッド31が傾いているときに形成される画像の形状の説明図である。いずれの図でも、同じ長方形のパターンを印刷用紙Pに形成しようとしている。印刷用紙Pに長方形のパターンを形成する場合、ヘッド31が移動するときに複数のノズルから同時にインクを吐出し、所定の期間インクを吐出し、同時にインクの吐出を停止する。しかし、ヘッド31が上記のように傾いていると、上流側のノズル♯nから吐出されたインク滴は、下流側のノズル♯1から吐出されたインク滴よりも先に、印刷用紙Pに着弾する。その結果、往路では図11Aのような平行四辺形状のパターンが形成される。すなわち、ノズル♯1側の辺がノズル♯n側の辺よりも往路の下流側に位置するような、平行四辺形状のパターンが形成される。また、復路では図11Bのような平行四辺形状のパターンが形成される。すなわち、ノズル♯1側の辺がノズル♯n側の辺よりも復路の下流側に位置するような(ノズル♯1側の辺がノズル♯n側の辺よりも往路の上流側に位置するような)、平行四辺形状のパターンが形成される。なお、2つの平行四辺形状のパターンは、同じではなく、ほぼ鏡像となる。
【0043】
ヘッド31の傾きの影響は、上記の通り、補正部576によるタイミングの補正だけでは取り除くことができない。ノズル数が増えてヘッドが搬送方向に長くなると、ヘッド31の傾きの影響が顕著に表れる。そこで、本実施形態では、以下に説明する通り、ヘッドの傾きを調節することによって、ドットが形成される位置を調整している。
【0044】
===ヘッドの傾きの調節===
図12は、本実施形態のヘッドの傾きの調節を説明するためのフロー図である。ヘッドの傾き調節のための各処理を行うプログラムは、例えばコントローラ50のROM53に記憶されている。
調節用パターンの作成は、コントローラ50が調節用パターンを作成するための指示を受けることによって開始される(S101)。この調節用パターンの作成指示は、操作パネル40の入力に基づいて検知されても良いし、コンピュータ5からの信号に基づいて検知されても良い。コントローラ50は、調節用パターン作成の指示により、ROMに記憶されている調節用パターンに関する情報や各ユニットの制御に関する情報などを読み出す。
【0045】
次に、コントローラ50は、往路パターンを形成するため、以下の動作を行う(S102)。まず、コントローラ50は、搬送モータ12を回転して搬送ローラ14を回転させ、印刷可能な領域まで印刷用紙Pを搬送する。印刷用紙の搬送後、キャリッジ21を走査方向に沿って移動させる。キャリッジ21が所定の位置に到達したとき、ヘッド31のノズル列のうちの奇数番のノズルから、インクが同時に吐出される。そして、コントローラ50は、ノズルから所定の期間だけインクを吐出した後、同時にインクの吐出を停止させる。移動するノズルからインクが所定期間だけ吐出されるので、印刷用紙Pには、走査方向に沿ったドット列が形成される。ただし、巨視的には、前述の説明の通り、印刷用紙Pには平行四辺形状の往路パターンが形成される。
【0046】
次に、コントローラ50は、復路パターンを形成するため、以下の動作を行う(S103)。まず、コントローラ50は、印刷用紙を搬送せずに、キャリッジ21を走査方向に沿って、往路方向とは逆向きの復路方向に移動させる。キャリッジ21が所定の位置に到達したとき、ヘッド31のノズル列のうちの偶数番のノズルから、インクが同時に吐出される。そして、コントローラ50は、ノズルから所定の期間だけインクを吐出した後、同時にインクの吐出を停止させる。これにより、印刷用紙Pには走査方向に沿ったドット列が形成され、巨視的には往路パターンに対してほぼ鏡像となる平行四辺形状の復路パターンが形成される。
【0047】
図13は、印刷用紙Pに形成される往路パターンと復路パターンの説明図である。同図において、101は往路パターンであり、102は復路パターンである。同図に示される通り、復路パターン102は、往路パターン101と走査方向に隣接させて印刷用紙Pに形成される。また、復路パターンは、往路に対して下流側に、往路パターンと隣接して印刷用紙Pに形成される。ヘッド31が傾いている場合、ほぼ鏡像の2つの平行四辺形のパターンが印刷用紙Pに隣接して形成される。
【0048】
図9のようにヘッド31が傾いている場合、上流側のノズルから吐出されたインク滴は、下流側のノズルから吐出されたインク滴よりも先に、印刷用紙Pに着弾する。その結果、上述した通り、往路パターン101は、ノズル♯1側の辺がノズル♯n側の辺よりも往路の下流側に位置するような、平行四辺形状のパターンになる。また、復路パターン102は、ノズル♯1側の辺がノズル♯n側の辺よりも復路の下流側に位置するような(ノズル♯1側の辺がノズル♯n側の辺よりも往路の上流側に位置するような)、平行四辺形状のパターンになる。つまり、2つのパターンのうちの下流側のノズル(ノズル♯1に近いノズル)によって形成された部分同士は、近い位置に形成される。一方、2つのパターンのうちの上流側のノズル(ノズル♯nに近いノズル)によって形成された部分同士は、離れた位置に形成される。そのため、復路パターン102が往路の下流側に往路パターン101と隣接して印刷用紙Pに形成されると、2つのパターンの境界において、ノズル♯1側に濃い縞模様(黒い縞模様)が発生し、ノズル♯n側に淡い縞模様(白い縞模様)が発生する。なお、本実施形態では、境界において一部が重なるように2つのパターンが形成されているので、濃い縞模様と白い縞模様の両方が発生している。
【0049】
図14は、往路パターン101と復路パターン102の境界を微視的に説明するための図である。同図において、黒丸印は、印刷用紙Pに形成されたドットである。また、同図において、L(i)は、ノズル♯iによって形成されるドット列である。上述した通り、往路パターンは奇数番のノズルによって形成され、復路パターンは偶数番のノズルによって形成される(本実施形態では、nは偶数である)。そして、往路パターンと復路パターンが近づくと、一方のパターンのドット列の間に、他方のパターンのドット列が入り込み、その部分(2つのパターンの境界)におけるドットの密度が高くなる。その結果、往路パターンと復路パターンが近づく場所(重なる場所)では、濃い縞が発生するのである。なお、本実施形態では、往路パターン101と復路パターン102を形成するノズルがそれぞれ異なるので、2つのパターンが重なっている部分が、重なっていない部分と比較して、明確な濃い縞として現れる。
また、往路パターンと復路パターンとが大きく近づくと(ヘッド31が大きく傾くと)、一方のパターンのドット列の間に他方のパターンのドット列が大きく入り込むので、濃い縞の幅Bが大きくなる。その結果、ヘッドの傾き方が大きくなると、濃い縞模様はより濃くなり、淡い縞模様はより淡くなる。
【0050】
図9とは逆方向にヘッド31が傾いている場合、上流側のノズルから吐出されたインク滴は、下流側のノズルから吐出されたインク滴よりも後に、印刷用紙Pに着弾する。その結果、往路パターン101は、ノズル♯1側の辺がノズル♯n側の辺よりも往路の上流側に位置するような、平行四辺形状のパターンになる。また、復路パターン102は、ノズル♯1側の辺がノズル♯n側の辺よりも復路の上流側に位置するような(ノズル♯1側の辺がノズル♯n側の辺よりも往路の下流側に位置するような)、平行四辺形状のパターンになる。つまり、2つのパターンのうちの上流側のノズルによって形成された部分同士は、近い位置に形成される。一方、2つのパターンのうちの下流側のノズルによって形成された部分同士は、離れた位置に形成される。そのため、復路パターン102が往路の下流側に往路パターン101と隣接して印刷用紙Pに形成されると、2つのパターンの境界において、ノズル♯1側に淡い縞模様が発生し、ノズル♯n側に濃い縞模様が発生する。
【0051】
次に、操作者が、印刷用紙Pに形成された往路パターン101と復路パターン102との境界の形状(縞模様や縞模様の濃度)をチェックする(S104)。2つのパターンの境界において、ノズル♯1側に濃い縞模様が観察され、ノズル♯n側に淡い縞模様が観察された場合(S105でN)、図9のようにヘッド31が傾いていると考えられる。一方、2つのパターンの境界において、ノズル♯1側に淡い縞模様が観察され、ノズル♯n側に濃い縞模様が観察された場合(S105でN)、図9とは逆方向にヘッド31が傾いていると考えられる。また、ヘッドの傾き方が大きくなると、濃い縞模様はより濃くなり、淡い縞模様はより淡くなるので、縞模様の濃度に基づいて、ヘッド31の傾きの大きさを推定することができる。
【0052】
次に、操作者は、観察された境界の形状(縞模様や縞模様の濃度)に応じて、ヘッドの傾きを調節する(S106)。図15は、調節用ネジの構成を説明するための斜視図である。また、図16は、調節用ネジの構成を説明するための側面図である。図16では、紙面に垂直な方向が走査方向になる。調節用ネジ110は、キャリッジ21に設けられている。調節用ネジ110を回転させると、ヘッド31が走査方向を軸とする回転方向に回転する。調節用ネジ110を締める方向に回転させると、搬送方向に下流側のノズル(ノズル♯1に近いノズル)が上流側のノズル(ノズル♯nに近いノズル)に対して相対的に高くなる方向に、ヘッド31が走査方向を軸とする回転方向に回転する。また、調節用ネジ110を緩める方向に回転させると、搬送方向に上流側のノズルが下流側のノズルに対して相対的に高くなる方向に、ヘッド31が走査方向を軸とする回転方向に回転する。
【0053】
つまり、調節用パターンの境界の形状がノズル♯1側に濃い縞模様であるとき、ノズル♯1がノズル♯nに対して高い状態(ギャップPGが大きい状態)なので、操作者は、調節用ネジを緩める方向に回転させる。逆に、調節用パターンの境界の形状がノズル♯1側に淡い縞模様であるとき、ノズル♯1がノズル♯nに対して低い状態(ギャップPGが小さい状態)なので、操作者は、調節用ネジを締める方向に回転させる。
また、調節用パターンの境界の形状が幅の大きい縞模様であるとき、ヘッドの傾きが大きい状態なので、操作者は、調節用ネジを比較的大きく回転させる。逆に、調節用パターンの境界の形状が幅の小さい縞模様であるとき、ヘッドの傾きが大きい状態なので、操作者は、調節用ネジを比較的小さく回転させる。
【0054】
以上説明したS101〜S106の処理を繰り返すことによって、ヘッドの傾きを調節する。ヘッド31の傾きがなくなれば、印刷用紙Pに形成される往路パターンと復路パターンがほぼ長方形になるので、2つのパターンの境界の重なり方が均一になる。したがって、調節用パターンの2つのパターンの境界において、縞模様が発生しない場合、又は縞模様が均一(幅が同じ縞模様)である場合、ヘッド31の傾きがなくなったと考えられるので、調節を終了する(S105でY)。
【0055】
===コンピュータシステム等の構成===
次に、コンピュータシステム、コンピュータプログラム、及び、コンピュータプログラムを記録した記録媒体の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0056】
図17は、コンピュータシステムの外観構成を示した説明図である。コンピュータシステム1000は、コンピュータ本体1102と、表示装置1104と、プリンタ1106と、入力装置1108と、読取装置1110とを備えている。コンピュータ本体1102は、本実施形態ではミニタワー型の筐体に収納されているが、これに限られるものではない。表示装置1104は、CRT(Cathode Ray Tube:陰極線管)やプラズマディスプレイや液晶表示装置等が用いられるのが一般的であるが、これに限られるものではない。プリンタ1106は、上記に説明されたプリンタが用いられている。入力装置1108は、本実施形態ではキーボード1108Aとマウス1108Bが用いられているが、これに限られるものではない。読取装置1110は、本実施形態ではフレキシブルディスクドライブ装置1110AとCD−ROMドライブ装置1110Bが用いられているが、これに限られるものではなく、例えばMO(Magnet Optical)ディスクドライブ装置やDVD(Digital Versatile Disk)等の他のものであっても良い。
【0057】
図18は、図17に示したコンピュータシステムの構成を示すブロック図である。コンピュータ本体1102が収納された筐体内にRAM等の内部メモリ1202と、ハードディスクドライブユニット1204等の外部メモリがさらに設けられている。
【0058】
上述したプリンタの動作を制御するコンピュータプログラムは、例えばインターネット等の通信回線を経由して、プリンタ1106に接続されたコンピュータ1000等にダウンロードさせることができるほか、コンピュータによる読み取り可能な記録媒体に記録して配布等することもできる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスクFD、CD−ROM、DVD−ROM、光磁気ディスクMO、ハードディスク、メモリ等の各種記録媒体を用いることができる。なお、このような記憶媒体に記憶された情報は、各種の読取装置1110によって、読み取り可能である。
【0059】
図19は、コンピュータシステムに接続された表示装置1104の画面に表示されたプリンタドライバのユーザインターフェースを示す説明図である。操作者は、入力装置1108を用いて、プリンタドライバの各種の設定を行うことができる。
操作者は、この画面上から、印刷モードを選択することができる。例えば、操作者は、印刷モードとして、高速印刷モード又はファイン印刷モードを選択することができる。また、操作者は、この画面上から、印刷するときのドットの間隔(解像度)を選択することができる。例えば、操作者は、この画面上から、印刷の解像度として720dpi又は360dpiを選択することができる。
また、操作者は、この画面上から、調節用パターンを印刷する旨の指示をプリンタに対して与えることができる。また、調節用パターンが印刷された後、調節手順を説明するための画面が表示されても良い。これにより、操作者は、例えば、調節用ネジをどちら側に回転させればよいかを知ることができる。
【0060】
図20は、コンピュータ本体1102からプリンタ1106に供給される印刷データのフォーマットの説明図である。この印刷データは、プリンタドライバの設定に基づいて画像情報から作成されるものである。印刷データは、印刷条件コマンド群と各パス用コマンド群とを有する。印刷条件コマンド群は、印刷解像度を示すコマンドや、印刷方向(単方向/双方向)を示すコマンドなどを含んでいる。また、各パス用の印刷コマンド群は、目標搬送量コマンドCLや、画素データコマンドCPを含んでいる。画素データコマンドCPは、各パスで記録されるドットの画素毎の記録状態を示す画素データPDを含んでいる。なお、同図に示す各種のコマンドは、それぞれヘッダ部とデータ部とを有しているが、簡略して描かれている。また、これらのコマンド群は、コマンド毎にコンピュータ本体側からプリンタ側に間欠的に供給される。但し、印刷データは、このフォーマットに限られるものではない。
【0061】
なお、以上の説明においては、プリンタ1106が、コンピュータ本体1102、表示装置1104、入力装置1108、及び、読取装置1110と接続されてコンピュータシステムを構成した例について説明したが、これに限られるものではない。例えば、コンピュータシステムが、コンピュータ本体1102とプリンタ1106から構成されても良く、コンピュータシステムが表示装置1104、入力装置1108及び読取装置1110のいずれかを備えていなくても良い。また、例えば、プリンタ1106が、コンピュータ本体1102、表示装置1104、入力装置1108、及び、読取装置1110のそれぞれの機能又は機構の一部を持っていても良い。一例として、プリンタ1106が、画像処理を行う画像処理部、各種の表示を行う表示部、及び、デジタルカメラ等により撮影された画像データを記録した記録メディアを着脱するための記録メディア着脱部等を有する構成としても良い。
【0062】
このようにして実現されたコンピュータシステムは、システム全体として従来システムよりも優れたシステムとなる。
【0063】
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、主としてプリンタについて記載されているが、その中には、調節方法、印刷装置、印刷方法、プログラム、記憶媒体、コンピュータシステム、表示画面、画面表示方法、印刷物の製造方法、調節用パターン、記録装置、液体の吐出装置等の開示が含まれていることは言うまでもない。
また、一実施形態としてのプリンタ等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0064】
<調節用パターンについて1>
前述の実施形態によれば、往路において往路パターン101を、復路において復路パターンを、それぞれ一つずつ形成していた。しかし、調節用パターンは、これに限られるものではない。
図21は、他の実施形態の調節用パターンの説明図である。この実施形態では、往路において複数の往路パターンを形成し、復路において複数の復路パターンを形成している。このような調節用パターンであっても、前述の実施形態と同様の効果を得ることができる。ただし、本実施形態では、例えば一番端のパターンが往路において形成されたものか復路において形成されたものかを判別できるようにする必要がある。ヘッドがどちらに方向に傾いているか判断する必要があるからである。
【0065】
<調節用パターンについて2>
前述の実施形態によれば、往路パターン101と復路パターン102は、境界において一部重なるように隣接して形成されていた。しかし、調節用パターンは、これに限られるものではない。
図22は、他の実施形態の調節用パターンの説明図である。この実施形態では、往路パターン101と復路パターン102は、境界において重ならずに隣接して形成されている。このような調節用パターンであっても、往路パターン101と復路パターン102との境界の幅の変化に基づいて、ヘッドの傾きの方向やヘッドの傾きの大きさを判断することができる。したがって、この実施形態の調節用パターンであっても、前述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、図23は、他の実施形態の調節用パターンの説明図である。この実施形態では、往路パターン101と復路パターン102は、境界において全て重なるように隣接して形成されている。このような調節用パターンであっても、往路パターン101と復路パターン102との境界の幅の変化に基づいて、ヘッドの傾きの方向やヘッドの傾きの大きさを判断することができる。したがって、この実施形態の調節用パターンであっても、前述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0066】
<調節用パターンについて3>
前述の実施形態によれば、調節用パターンを形成するドットの大きさは、同じ大きさであった。しかし、これに限られるものではない。
図24は、他の実施形態の調節用パターンの説明図である。同図において、往路パターン101a及び復路パターン102aは、大きいドットで形成されたパターンである。また、往路パターン101b及び復路パターン102bは、小さいドットで形成されたパターンである。このように、異なる大きさのドットによって調節用パターンを形成しても良い。このようにすれば、操作者は、自分の観察しやすい濃さのパターンを用いて、調節用パターンをチェックすることができる。この実施形態の調節用パターンであっても、前述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0067】
<調節用パターンについて4>
前述の実施形態によれば、間欠的にインクを吐出しながらノズルが走査方向に移動することによって、印刷用紙に平行四辺形状のパターンを形成していた。しかし、調節用パターンはこれに限られるものではない。また、前述の実施形態によれば、往路パターンと復路パターンとの境界の形状に応じてヘッドの傾きを調節していた。しかし、ヘッドの傾きを調節する際の目安は、境界の形状に応じるものに限られるものではない。要するに、往路において形成されたドットと復路において形成されたドットとの位置関係に応じて、ヘッドの傾きを調節すればよい。
【0068】
図25は、他の実施形態の調節用パターンの説明図である。同図において、調節用パターンは、縦罫線201と、縦罫線202とを有する。縦罫線201は、往路において、ノズル♯1〜ノズル♯nが同時にインクを吐出することによって形成された罫線である。また、縦罫線202は、復路において、ノズル♯1〜♯nが同時にインクを吐出することによって形成された罫線である。これらの縦罫線は、ノズルの数のドットからなるドット列である。ヘッドが傾いていなければ搬送方向に平行な縦罫線が形成される。本実施形態では、ヘッドが図9に示されるように傾いているので、縦罫線が傾いて印刷用紙に形成されている。また、本実施形態では、ヘッドが図9に示されるように傾いているので、縦罫線201と縦罫線202は、逆方向に傾いている。
縦罫線201と縦罫線202との角度φは、ヘッドの傾きが大きくなると、大きくなる。ヘッドの傾きを調節すれば、角度φは、小さくなる。本実施形態では、縦罫線201と縦罫線202のほぼ中央において交差しているので、操作者は、ヘッドが傾いているか否か、又は、ヘッドの傾きがどのくらいであるか、を認識することが容易になっている。
【0069】
なお、あるノズルによって形成された往路と復路のドットの間隔(例えばノズル♯nによって形成された往路と復路のドットの間隔x)が、他のノズルによって形成された往路と復路のドットの間隔と差があれば、調節用パターンは、ヘッドが傾いていることを示す。そして、このドット間隔の差が大きければ、調節用パターンは、ヘッドが大きく傾いていることを示す。
【0070】
<記録装置について>
前述の実施形態では、記録装置としてプリンタが説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の記録装置に、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。このような分野に本技術を適用しても、液体を対象物に向かって直接的に吐出(直描)することができるという特徴があるので、従来と比較して省材料、省工程、コストダウンを図ることができる。
【0071】
<インクについて>
前述の実施形態は、プリンタの実施形態だったので、染料インク又は顔料インクをノズルから吐出していた。しかし、ノズルから吐出する液体は、このようなインクに限られるものではない。例えば、金属材料、有機材料(特に高分子材料)、磁性材料、導電性材料、配線材料、成膜材料、電子インク、加工液、遺伝子溶液などを含む液体(水も含む)をノズルから吐出しても良い。このような液体を対象物に向かって直接的に吐出すれば、省材料、省工程、コストダウンを図ることができる。
【0072】
<ノズルについて>
前述の実施形態では、圧電素子を用いてインクを吐出していた。しかし、液体を吐出する方式は、これに限られるものではない。例えば、熱によりノズル内に泡を発生させる方式など、他の方式を用いてもよい。
【0073】
===まとめ===
上記の説明によって、ノズル♯1〜ノズル♯nを有し走査方向に沿って往復移動するヘッド31に対し、走査方向を軸とする回転方向(例えば図16における紙面に垂直方向を軸とする回転方向)の角度を調節するための調節用パターンの形成方法が明らかになった。この調節用パターンの形成方法では、まず、往路において、複数のノズルからインクを吐出し、印刷用紙Pにドットを形成し、往路パターン101や縦罫線201を形成する。次に、復路において、複数のノズルからインクを吐出し、印刷用紙Pにドットを形成し、復路パターン102や縦罫線202を形成する。そして、印刷用紙Pに形成された往路パターン101や復路パターン102の位置関係に応じて往路パターン101と復路パターン102との境界に縞模様などが発生するので、位置関係に応じてヘッド31の角度を調節することが可能な調節用パターンを形成することができる。操作者は、この調節用パターンに従ってヘッドの角度を調節できるので、高品質な印刷が可能となる。
【0074】
ヘッド31の傾きθが大きくなると、ノズル♯1から印刷用紙Pまでの間隔PG1とノズル♯nから印刷用紙Pまでの間隔PGnとの差δが大きくなる(図10参照)。そのため、調節用パターンは、ノズル♯1によって形成された往路及び復路のドット間隔と、ノズル♯nによって形成された往路及び復路のドット間隔などのドットと、の差が大きいパターンになる。つまり、操作者は、ドット間隔の差に基づいて、ヘッドをどのくらい回転させて調節すればよいのかを認識することができる。
【0075】
調節用パターンは、平行四辺形状の往路パターン101と、往路パターンと走査方向に隣接させて形成された復路パターンとを有する。2つのパターンは走査方向に隣接されて設けられているので、ヘッドの角度に応じて、2つのパターンの境界の形状が変わることになる。操作者は、この境界の形状に基づいて、ヘッドを調節することができる。なお、往路パターン101および復路パターン102は、複数のノズルから間欠的にインクを吐出することによって形成された複数のドットからなるパターンである。
【0076】
また、調節用パターンは、往路パターン101の一部と復路パターン102の一部とが重なるように形成されたものである(図13参照)。これにより、2つのパターンが重なる部分に縞模様が形成されるので、操作者は2つのパターンの境界の形状を容易に把握することができる。なお、2つのパターンが重なる部分には濃い縞が発生し、2つのパターンが重ならない部分には淡い縞が発生する(図14参照)。
【0077】
また、往路パターン101は、奇数番のノズルによって形成され、復路パターンは偶数番のノズルによって形成される(図14参照)。つまり、往路パターン101と復路パターン102とは異なるノズルで形成されている。これにより、2つのパターンが重なる部分のドットの密度が、重ならない部分のドットの密度と比較して、高くなる。その結果、2つのパターンの境界で発生する縞模様が明確になるので、操作者は、2つのパターンの境界の形状を容易に把握することができる。
【0078】
往路パターン101のノズル♯1側の部分と復路パターン102のノズル♯1側の部分とが近づいているとき、ノズル♯1と印刷用紙Pとの距離PG1が、ノズル♯nと印刷用紙Pとの距離PGnと比較して、離れている。そのため、この場合、操作者は、ノズル♯1と印刷用紙Pとの距離PG1が近づくように、ヘッド31の角度を調節する。また、往路パターン101のノズル♯1側の部分と復路パターン102のノズル♯1側の部分とが離れているとき、ノズル♯1と印刷用紙Pとの距離PG1が、ノズル♯nと印刷用紙Pとの距離PGnと比較して、近接している。そのため、この場合、操作者は、ノズル♯1と印刷用紙Pとの距離が離れるように、ヘッド31の角度を調節する。例えば、調節用パターンがノズル♯1側に濃い縞模様を有するとき、ノズル♯1がノズル♯nと比較してギャップPGが大きい状態なので、調節用ネジを緩める方向に回転させる(図16参照)。
【0079】
ノズル♯1〜ノズル♯nは、列状に配置されている(図5参照)。そして、調節用パターンは、往路においてノズル♯1〜ノズル♯nから同時にインクを吐出することによって形成された縦罫線201と、復路においてノズル♯1〜ノズル♯nから同時にインクを吐出することによって形成された縦罫線202とを有する(図25参照)。調節用パターンは、ヘッド31の角度θに応じて、縦罫線201と縦罫線202との角度φが異なる。そのため、操作者が縦罫線201と縦罫線202との角度φを認識するために、縦罫線201と縦罫線202が交差するように調節用パターンを形成することが望ましい。
【0080】
ノズル♯1〜ノズル♯nは、大きいドット及び小さいドットを形成することができる(図7参照)。そして、まず、大きいドットによって、調節用パターンを印刷用紙Pに形成する。大きいドットによる調節用パターンの形成後、印刷用紙Pをノズルに対して搬送方向に移動させ、小さいドットによって、調節用パターンを前記媒体に形成する。この結果、大きいドットによる調節用パターンと小さいドットによる調節用パターンとが、印刷用紙P上に搬送方向に沿って並べて配置される(図24参照)ので、操作者は観察しやすい濃さのパターンを用いて、ヘッドの傾きをチェックすることができる。
【0081】
【発明の効果】
本発明によれば、高品質な記録が可能となるように装置を調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プリンタを備えた印刷システムの概略構成図である。
【図2】コントローラを中心としたブロック図である。
【図3】ヘッドの内部の概略構成を示す説明図である。
【図4】ピエゾ素子とノズルとの構造を示す説明図である。
【図5】ヘッドにおけるノズルの配列を示す説明図である。
【図6】ヘッド駆動回路内の構成を示すブロック図である。
【図7】各信号のタイミングチャートである。
【図8】往路と復路におけるインクの吐出のタイミングの説明図である。
【図9】ヘッドが傾いているときのギャップPGの説明図である。
【図10】ヘッドが傾いているときのインク滴の軌跡の説明図である。
【図11】図11A及び図11Bは、印刷画像の形状の説明図である。
【図12】ヘッドの傾きの調節方法のフロー図である。
【図13】往路パターンと復路パターンの説明図である。
【図14】往路パターンと復路パターンの境界の拡大図である。
【図15】調節用ネジの構成を説明するための斜視図である。
【図16】調節用ネジの構成を説明するための側面図である。
【図17】コンピュータシステムの外観構成図である。
【図18】コンピュータシステムの構成を示すブロック図である。
【図19】プリンタドライバのユーザインターフェースの説明図である。
【図20】印刷データのフォーマットの説明図である。
【図21】他の実施形態の調節用パターンの説明図である。
【図22】他の実施形態の調節用パターンの説明図である。
【図23】他の実施形態の調節用パターンの説明図である。
【図24】他の実施形態の調節用パターンの説明図である。
【図25】他の実施形態の調節用パターンの説明図である。
【符号の説明】
1 プリンタ、 3 コネクタ、 5 コンピュータ、
10 搬送ユニット、 12 搬送モータ、 14 搬送ローラ、
20 キャリッジユニット、21 キャリッジ、 22 キャリッジモータ、
23 プーリ、 24 ベルト、 25 ガイド、
26 位置センサ、 30 ヘッドユニット、31 ヘッド、
40 操作パネル、 50 コントローラ、 51 CPU、
52 RAM、 53 ROM、 55 I/F専用回路、
56 モータ駆動回路、 57 ヘッド駆動回路、70 カートリッジ、
101 往路パターン、 102 復路パターン、110 調節用ネジ、
201・202 縦罫線、 P 印刷用紙

Claims (19)

  1. 複数のノズルを有し走査方向に沿って往復移動するヘッドに対し、前記走査方向を軸とする回転方向の角度を調節するための調節用パターンを形成する方法であって、
    往路において、前記複数のノズルから液体を吐出して、媒体にドットを形成し、
    復路において、前記複数のノズルから前記液体を吐出して、前記媒体にドットを形成し、
    前記往路において形成された前記ドットと前記復路において形成された前記ドットとの位置関係に応じて前記ヘッドの前記角度を調節するための調節用パターンが、形成されることを特徴とするパターン形成方法。
  2. 請求項1に記載のパターン形成方法であって、
    前記ヘッドの傾きが大きくなると、前記調節用パターンは、あるノズルによって形成された前記往路及び前記復路の前記ドットの前記位置関係と、他のノズルによって形成された前記往路及び前記復路の前記ドットの位置関係と、の差が大きいパターンになる。
  3. 請求項2に記載のパターン形成方法であって、
    前記ヘッドの傾きが大きくなると、前記調節用パターンは、あるノズルによって形成された前記往路及び前記復路の前記ドットの間隔と、他のノズルによって形成された前記往路及び前記復路の前記ドットの間隔と、の差が大きいパターンになる。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のパターン形成方法であって、
    前記調節用パターンは、
    往路において前記複数のノズルから間欠的に液体を吐出することによって形成された複数の前記ドットからなる往路パターンと、
    復路において前記複数のノズルから間欠的に液体を吐出することによって形成された複数の前記ドットからなり、前記往路パターンと前記走査方向に隣接させて形成された復路パターンと
    を有し、
    前記調節用パターンは、前記ヘッドの前記角度に応じて、前記往路パターンと前記復路パターンとの境界の形状が異なる。
  5. 請求項4に記載のパターン形成方法であって、
    前記調節用パターンは、前記往路パターンの一部と前記復路パターンの一部とが重なるように形成されたものである。
  6. 請求項5に記載のパターン形成方法であって、
    前記復路パターンを形成するノズルは、前記復路パターンを形成するノズルと異なる。
  7. 請求項5又は6に記載のパターン形成方法であって、
    前記調節用パターンは、濃い縞と淡い縞とを有する。
  8. 請求項4〜7のいずれかに記載のパターン形成方法であって、
    前記往路パターンの一部と前記復路パターンの一部とが近づいているとき、
    前記調節パターンは、前記往路パターン及び前記復路パターンの前記一部を形成した前記ノズルと前記媒体との距離が、他のノズルと比較して、離れていることを示している。
  9. 請求項4〜8のいずれかに記載のパターン形成方法であって、
    前記往路パターンの一部と前記復路パターンの一部とが離れているとき、
    前記調節パターンは、前記往路パターン及び前記復路パターンの前記一部を形成した前記ノズルと前記媒体との距離が、他のノズルと比較して、近接していることを示している。
  10. 請求項1〜3のいずれかに記載のパターン形成方法であって、
    前記複数のノズルは、列状に配置されており、
    前記調節用パターンは、
    前記往路において前記複数のノズルから同時に前記液体を吐出することによって形成されたドット列と、
    前記復路において前記複数のノズルから同時に前記液体を吐出することによって形成されたドット列と
    を有する。
  11. 請求項10に記載のパターン形成方法であって、
    前記調節用パターンは、前記ヘッドの角度に応じて、前記往路の前記ドット列と前記復路の前記ドット列との角度が異なる。
  12. 請求項11に記載のパターン形成方法であって、
    前記往路の前記ドット列と前記復路の前記ドット列とは、交差するように形成される。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載のパターン形成方法であって、
    前記ノズルは、前記媒体に大きいドット及び小さいドットを形成することができ、
    前記ノズルは、前記大きいドット及び前記小さいドットのうちの一方のドットによって、前記調節用パターンを前記媒体に形成し、
    前記媒体を前記ノズルに対し相対移動させ、
    前記相対移動後、前記ノズルは、前記他方のドットによって、前記調節用パターンを前記媒体に形成する。
  14. 複数のノズルを有し走査方向に沿って往復移動するヘッドに対し、前記走査方向を軸とする回転方向の角度を調節するための調節用パターンを形成する方法であって、
    往路において前記複数のノズルから液体を吐出して媒体にドットを形成し、復路において前記複数のノズルから前記液体を吐出して前記媒体にドットを形成し、前記往路において形成された前記ドットと前記復路において形成された前記ドットとの位置関係に応じて前記ヘッドの前記角度を調節するための調節用パターンが形成され、
    前記ヘッドの傾きが大きくなると、前記調節用パターンは、あるノズルによって形成された前記往路及び前記復路の前記ドットの間隔と、他のノズルによって形成された前記往路及び前記復路の前記ドットの間隔と、の差が大きいパターンになり、
    前記調節用パターンは、往路において前記複数のノズルから間欠的に液体を吐出することによって形成された複数の前記ドットからなる往路パターンと、復路において前記複数のノズルから間欠的に液体を吐出することによって形成された複数の前記ドットからなり、前記往路パターンと前記走査方向に隣接させて形成された復路パターンとを有し、前記調節用パターンは、前記ヘッドの前記角度に応じて、前記往路パターンと前記復路パターンとの境界の形状が異なり、
    前記調節用パターンは、前記往路パターンの一部と前記復路パターンの一部とが重なるように形成されたものであり、
    前記復路パターンを形成するノズルは、前記復路パターンを形成するノズルと異なり、
    前記調節用パターンは、濃い縞と淡い縞とを有し、
    前記往路パターンの一部と前記復路パターンの一部とが近づいているとき、前記調節パターンは、前記往路パターン及び前記復路パターンの前記一部を形成した前記ノズルと前記媒体との距離が、他のノズルと比較して、離れていることを示し、
    前記往路パターンの一部と前記復路パターンの一部とが離れているとき、前記調節パターンは、前記往路パターン及び前記復路パターンの前記一部を形成した前記ノズルと前記媒体との距離が、他のノズルと比較して、近接していることを示し、
    前記ノズルは、前記媒体に大きいドット及び小さいドットを形成することができ、前記ノズルは、前記大きいドット及び前記小さいドットのうちの一方のドットによって、前記調節用パターンを前記媒体に形成し、前記媒体を前記ノズルに対し相対移動させ、前記相対移動後、前記ノズルは、前記他方のドットによって、前記調節用パターンを前記媒体に形成する
    ことを特徴とするパターン形成方法。
  15. 複数のノズルを有し走査方向に沿って往復移動するヘッドに対し、前記走査方向を軸とする回転方向の角度を調節するための調節用パターンを形成する記録装置であって、
    往路において、前記複数のノズルから液体を吐出して、媒体にドットを形成し、
    復路において、前記複数のノズルから前記液体を吐出して、前記媒体にドットを形成し、
    前記往路において形成された前記ドットと前記復路において形成された前記ドットとの位置関係に応じて前記ヘッドの前記角度を調節するための調節用パターンを形成することを特徴とする記録装置。
  16. 請求項15に記載の記録装置であって、
    前記ヘッドの前記角度を調節するための調節機構を更に有する。
  17. 複数のノズルを有し走査方向に沿って往復移動するヘッドに対し、前記走査方向を軸とする回転方向の角度を調節する方法であって、
    往路において、前記複数のノズルから液体を吐出して、媒体にドットを形成し、
    復路において、前記複数のノズルから前記液体を吐出して、前記媒体にドットを形成し、
    前記往路において形成された前記ドットと前記復路において形成された前記ドットとの位置関係に応じて前記ヘッドの前記角度を調節する
    ことを特徴とする調節方法。
  18. 複数のノズルを有し走査方向に沿って往復移動するヘッドに対し、前記走査方向を軸とする回転方向の角度を調節するための調節用パターンを形成する記録装置に、
    往路において、前記複数のノズルから液体を吐出して、媒体にドットを形成する機能と、
    復路において、前記複数のノズルから前記液体を吐出して、前記媒体にドットを形成する機能と、
    を実現させ、前記往路において形成された前記ドットと前記復路において形成された前記ドットとの位置関係に応じて前記ヘッドの前記角度を調節するための調節用パターンを形成することを特徴とするプログラム。
  19. コンピュータ本体と記録装置とを備えたコンピュータシステムであって、
    前記記録装置は、
    複数のノズルを有し走査方向に沿って往復移動するヘッドに対し、前記走査方向を軸とする回転方向の角度を調節するための調節用パターンを形成する記録装置であって、
    往路において、前記複数のノズルから液体を吐出して、媒体にドットを形成し、
    復路において、前記複数のノズルから前記液体を吐出して、前記媒体にドットを形成し、
    前記往路において形成された前記ドットと前記復路において形成された前記ドットとの位置関係に応じて前記ヘッドの前記角度を調節するための調節用パターンを形成する
    ことを特徴とするコンピュータシステム。
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