JP2004186416A - 金属層転写用ベースシートおよび金属層転写シート - Google Patents
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Abstract
【課題】繰り返して使用することのできる金属層転写用ベースシート、および、その金属層転写用ベースシートが用いられ、生産効率よく製造することのできる、金属層転写シートを提供すること。
【解決手段】ベース金属層1の表面をエッチングして、凸状パターンPを形成し、そのエッチングによって形成されるベース金属層1の溝3の内部に、電気絶縁層4を形成するか、あるいは、ベース金属層11の表面上に、電解めっき金属層13を凸状パターンPで形成して、その電解めっき金属層13の間に電気絶縁層12を形成する。これにより、ベースシート6、15を得て、そのベースシート6、15の凸状パターンP上に、電解めっきにより転写金属層7、16を形成することによって、金属層転写シート8、17を得る。
【選択図】 図2
【解決手段】ベース金属層1の表面をエッチングして、凸状パターンPを形成し、そのエッチングによって形成されるベース金属層1の溝3の内部に、電気絶縁層4を形成するか、あるいは、ベース金属層11の表面上に、電解めっき金属層13を凸状パターンPで形成して、その電解めっき金属層13の間に電気絶縁層12を形成する。これにより、ベースシート6、15を得て、そのベースシート6、15の凸状パターンP上に、電解めっきにより転写金属層7、16を形成することによって、金属層転写シート8、17を得る。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属層転写用ベースシートおよび金属層転写シートに関し、詳しくは、転写金属層を転写することのできる金属層転写シート、および、その金属層転写シートに用いられる金属層転写用ベースシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子部品の回路パターンやセラミックコンデンサの電極パターンを、金属層転写シートを用いて形成することが知られている。
【0003】
このような金属層転写シートは、ベース層と、そのベース層上に所定のパターンとして形成される転写金属層からなり、例えば、特開2000−228571号公報や特開2001−60528号公報に記載されるように、まず、ベース層上に、転写金属層と逆パターンのめっきレジストを、フォトレジストを用いて形成し、次いで、ベース層上におけるめっきレジストが形成されていない部分に、電解めっきにより転写金属層を形成し、その後、めっきレジストを除去することによって製造されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−228571号公報
【特許文献2】
特開2001−60528号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のように製造される金属層転写シートでは、めっきレジストの形成工程および除去工程において、多数の手間がかかり、生産効率の向上を図ることが困難である。
【0005】
また、転写金属層を転写した後に、再度、そのベース層を使用しようとしても、再度、転写金属層を形成するためのめっきレジストの形成および除去が困難であり、また、上記したように多数の手間もかかることから、転写金属層を転写した後のベース層は、廃棄するようにしている。そのため、電子部品やセラミックコンデンサの製造コストの低減化を図るには限度があり、また、産業廃棄物の低減化を図ることも困難である。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、繰り返して使用することのできる金属層転写用ベースシート、および、その金属層転写用ベースシートが用いられ、生産効率よく製造することのできる、金属層転写シートを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の金属層転写用ベースシートは、ベース金属層および電気絶縁層を備え、前記ベース金属層の表面には、転写金属層を電解めっきにより形成するための凸状パターンが形成されており、前記電気絶縁層が、前記ベース金属層の表面における前記凸状パターンが形成されていない部分に、形成されていることを特徴としている。
【0008】
このような金属層転写用ベースシートによると、転写金属層の形成において、めっきレジストなどを形成せずとも、電解めっきによって転写金属層を形成すれば、凸状パターンと同一のパターンで転写金属層を精度よく形成することができる。そのため、金属層転写シートを生産効率よく製造することができる。また、電解めっきにより転写金属層を形成するのみであるため、繰り返して使用することができる。
【0009】
また、本発明の金属層転写用ベースシートには、前記凸状パターンが前記ベース金属層の表面をエッチングすることによって形成されており、前記電気絶縁層が、前記エッチングによって形成される前記ベース金属層の溝内に形成されている態様が含まれる。
【0010】
また、本発明の金属層転写用ベースシートには、前記凸状パターンが前記ベース金属層の表面上に形成される電解めっき金属層によって形成されており、前記電気絶縁層が、前記電解めっき金属層の間に形成されている態様が含まれる。
【0011】
この場合には、前記電解めっき金属層の表面が、前記電気絶縁層の表面よりも高く形成されていることが好ましい。
【0012】
また、本発明は、上記した金属層転写用ベースシートを備え、前記凸状パターン上に、転写金属層が形成されている、金属層転写シートをも含んでいる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1および図2は、本発明の金属層転写シートの製造方法の一実施形態を示す工程図である。以下、図1および図2を参照して、本発明の金属層転写シートの一実施形態を製造する方法を説明する。
【0014】
まず、この方法では、図1(a)に示すように、ベース金属層1を用意する。ベース金属層1は、特に制限されず、例えば、ステンレス、銅、ニッケル、鉄およびそれらの合金などの金属からなる金属箔が用いられる。好ましくは、ステンレス箔や銅箔などが用いられる。
【0015】
ベース金属層1の厚みは、通常、50μm以上、さらには、100μm以上で、200μm以下であることが好ましい。
【0016】
次いで、この方法では、ベース金属層1の表面に、後述する転写金属層7を電解めっきにより形成するための凸状パターンPを形成する。
【0017】
凸状パターンPの形成は、特に制限されないが、例えば、図1(b)に示すように、まず、エッチングレジスト2を、ベース金属層1の表面に、凸状パターンPと同一のパターンで形成する。エッチングレジスト2の形成は、特に制限されず、公知の方法を用いることができ、例えば、ドライフィルムレジストなどを用いて、所定のレジストパターンとして形成すればよい。
【0018】
次いで、この方法では、図1(c)に示すように、エッチングレジスト2から露出するベース金属層1の表面をエッチングして溝3を形成する。ベース金属層1の表面のエッチングは、特に制限されず、例えば、塩化第二鉄水溶液などの公知のエッチング液を用いて、化学エッチング(ウェットエッチング)すればよい。また、このエッチングにおいては、その溝3の深さ(ベース金属層1の表面から溝3の底面までの距離)dが、通常、0.5μm以上、好ましくは、1〜50μmで、ベース金属層1の厚みの、通常、1/2以下、好ましくは、1/3〜1/5となるように形成する。
【0019】
その後、図1(d)に示すように、エッチングレジスト2を除去すれば、ベース金属層1の表面に、凸状パターンPが露出形成される。エッチングレジスト2の除去は、特に制限されず、例えば、アルカリ水溶液などの公知のエッチング液を用いて、化学エッチング(ウェットエッチング)するか、あるいは、剥離すればよい。
【0020】
次いで、この方法では、図1(e)に示すように、溝3および凸状パターンPを含むベース金属層1の表面に、電気絶縁層4を形成する。電気絶縁層4の形成は、特に制限されないが、例えば、ベース金属層1の表面に、樹脂を有機溶媒に溶解して調製された樹脂溶液を、その樹脂溶液によって溝3が充填されるように塗布し、その後、有機溶媒を乾燥すればよい。
【0021】
電気絶縁層4の形成に用いられる樹脂は、特に制限されないが、繰り返しの使用に耐える耐久性を有するものが好ましく、例えば、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、アラミド、ポリテトラフルオロエチレン、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルファイド、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリオレフィンなどが用いられる。
【0022】
また、樹脂溶液としては、例えば、ポリイミドからなる電気絶縁層4を形成する場合には、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸樹脂が有機溶媒に溶解された樹脂溶液などが用いられる。
【0023】
また、樹脂溶液の塗布は、例えば、ドクターブレード法、スピンコート法などの公知の塗布方法が用いられ、有機溶媒の乾燥においては、例えば、乾燥後に、300〜450℃で加熱することにより、樹脂の種類によっては、有機溶媒の乾燥後に、その樹脂を硬化させるようにしてもよい。
【0024】
また、電気絶縁層4は、溝3および凸状パターンPを含むベース金属層1の表面に、所定のパターンとして形成してもよく、そのような場合には、上記した樹脂に感光性が付与された感光性樹脂を用いて、電気絶縁層4を所定のパターンとして形成してもよい。なお、感光性樹脂としては、例えば、感光性ポリイミド、感光性エポキシ樹脂、感光性アクリル樹脂などが用いられる。
【0025】
次いで、この方法では、図2(f)に示すように、ベース金属層1の表面に形成された電気絶縁層4を、凸状パターンPが露出するまで研磨する。電気絶縁層4の研磨は、特に制限されないが、例えば、ロール研磨装置やCMP(化学的機械的研磨)などを用いて、セラミック粉末、砥石、ダイヤモンド粉などにより鏡面研磨すればよい。
【0026】
このような研磨により、電気絶縁層4の表面とベース金属層1の凸状パターンPの表面とが同一面上に配置され面一となり、電気絶縁層4が、ベース金属層1の表面における凸状パターンPが形成されていない溝3の内部に形成される。
【0027】
次いで、この方法では、図2(g)に示すように、電気絶縁層4の表面と面一とされる凸状パターンPの表面上に、不働態層(酸化皮膜)5を形成する。不働態層5を形成することにより、後述する転写金属層7の表面と凸状パターンPの表面との剥離性を向上させることができる。
【0028】
不働態層5の形成は、特に制限されず、ベース金属層1の種類により適宜選択すればよく、例えば、電気化学的不働態化法や化学的不働態化法などの公知のパシベーション法が用いられる。例えば、電気化学的不働態化法により、アノードまたはカソードを分極させ、不働態領域あるいは過不働態領域での電位コントロールにより、不働態膜を形成する。
【0029】
より具体的には、例えば、ベース金属層1がステンレス箔からなる場合には、硝酸浴にベース金属層1を浸漬し、また、ベース金属層1がニッケル箔からなる場合には、例えば、0.2〜5Vの電圧で陽極酸化すればよい。
【0030】
これによって、金属層転写用ベースシートとしてのベースシート6が形成される。
【0031】
そして、この方法では、このようにして得られるベースシート6に、図2(h)に示すように、転写金属層7を形成することによって、金属層転写シート8を得る。
【0032】
転写金属層7は、特に制限されないが、例えば、ニッケル、銅、金、銀、クロム、パラジウムおよびそれらの合金が用いられる。不働態層5から連続して形成する場合には、好ましくは、ニッケルが用いられる。また、転写金属層7の厚みは、例えば、0.01〜10μm、好ましくは、0.3〜5μmである。
【0033】
そして、転写金属層7は、特に制限されないが、例えば、金属ベース層1を電極として、ベース金属層1の凸状パターンP上に、電解めっきにより形成すればよい。
【0034】
このような電解めっきによれば、凸状パターンPの間には電気絶縁層4が形成されているため、再度めっきレジストなどを形成せずとも、転写金属層7を、凸状パターンPと同一のパターンとして精度よく形成することができる。
【0035】
そして、このようにして得られた金属層転写シート8は、例えば、図2(i)に示すように、被着体として、粘着シート9を、転写金属層7を含むベースシート6の表面(すなわち、転写金属層7および電気絶縁層4の表面)に一旦貼着し、その後、粘着シート8に転写金属層7を貼着させた状態で、ベースシート6の表面から剥離させることにより、その粘着シート9に転写金属層7を転写し、これを、図示しないが、例えば、電子部品の基材やセラミックコンデンサのセラミックグリーンシートに貼着して、転写金属層7を、その基材やセラミックグリーンシートに転写することによって、電子部品の回路パターンやセラミックコンデンサの電極パターンを形成するようにして用いることができる。
【0036】
なお、粘着シート9は、特に制限されないが、例えば、厚みが30〜100μmであり、その粘着力が、10〜500N/m程度のものが用いられる。
【0037】
そして、このようなベースシート6では、上記したように、転写金属層7の形成において、めっきレジストなどを形成せずとも、転写金属層7を凸状パターンPと同一のパターンで精度よく形成することができるので、金属層転写シート8を生産効率よく製造することができ、また、電解めっきにより転写金属層7を形成するのみであるため、ベースシート6を繰り返して使用することができる。その結果、この金属層転写シート8が用いられる電子部品やセラミックコンデンサの製造コストの低減化を図ることができるとともに、産業廃棄物の低減化をも図ることができる。
【0038】
図3および図4は、本発明の金属層転写シートの製造方法の他の一実施形態を示す工程図である。次に、図3および図4を参照して、本発明の金属層転写シートの他の実施形態を製造する方法を説明する。
【0039】
まず、この方法では、図3(a)に示すように、ベース金属層11を用意する。ベース金属層11は、特に制限されないが、例えば、上記と同様の金属箔が用いられる。
【0040】
次いで、この方法では、ベース金属層11の表面に、後述する転写金属層16を電解めっきにより形成するための凸状パターンPを形成する。
【0041】
凸状パターンPの形成は、特に制限されないが、例えば、図3(b)に示すように、まず、めっきレジストからなる電気絶縁層12を、ベース金属層11の表面に、凸状パターンPと逆パターン(反転パターン)で形成する。
【0042】
電気絶縁層12の形成は、特に制限されず、公知の方法を用いることができ、例えば、ドライフィルムレジストなどを用いて、所定のレジストパターンとして形成すればよい。なお、電気絶縁層12は、上記と同様に、繰り返しの使用に耐える耐久性を有するものが好ましく、ドライフィルムレジストとして、例えば、上記した電気絶縁層4と同様の樹脂が用いられる。また、電気絶縁層12の厚みは、例えば、10〜100μm、好ましくは、20〜50μmである。
【0043】
次いで、この方法では、図3(c)に示すように、電気絶縁層12の間から露出するベース金属層11の表面に、電解めっき金属層13を、凸状パターンPで形成する。電解めっき金属層13の形成は、例えば、金属ベース層11を電極として、ベース金属層11における電気絶縁層12が形成されていない部分の表面に、電解めっきすればよい。
【0044】
電解めっき金属層13は、特に制限されないが、例えば、上記と同様の金属が用いられる。また、電解めっき金属層13の厚みは、電気絶縁層12よりも厚いことが好ましく、電気絶縁層12の表面に対する電解めっき金属層13の表面の高さhが、例えば、1〜10μm、さらには、2〜5μmであることが好ましい。電解めっき金属層13の表面を、電気絶縁層12の表面よりも高く形成することによって、電気絶縁層12が後述する粘着シート18に損傷を与えることを防止することができる。
【0045】
次いで、この方法では、図3(d)に示すように、電解めっき金属層13の表面、すなわち、凸状パターンPの表面上に、不働態層(酸化皮膜)14を形成する。不働態層14を形成することにより、上記と同様に、後述する転写金属層16の表面と凸状パターンPの表面との剥離性を向上させることができる。不働態層14は、特に制限されず、上記と同様の方法によって形成すればよい。
【0046】
これによって、金属層転写用ベースシートとしてのベースシート15が形成される。
【0047】
そして、この方法では、このようにして得られるベースシート15に、図4(e)に示すように、転写金属層16を形成することによって、金属層転写シート17を得る。
【0048】
転写金属層16は、特に制限されないが、上記と同様の金属が用いられ、不働態層14から連続して形成する場合には、好ましくは、ニッケルが用いられる。
【0049】
そして、転写金属層16は、特に制限されないが、例えば、上記と同様に、金属ベース層11を電極として、電解めっき金属層13からなる凸状パターンP上に、電解めっきにより形成すればよい。
【0050】
このような電解めっきによれば、凸状パターンPの間には電気絶縁層12が形成されているため、再度めっきレジストなどを形成せずとも、転写金属層16を、凸状パターンPと同一のパターンとして精度よく形成することができる。
【0051】
そして、このようにして得られた金属層転写シート17は、例えば、図4(f)に示すように、被着体として、粘着シート18を、転写金属層16を含むベースシート15の表面(すなわち、転写金属層16および電気絶縁層12の表面)に一旦貼着し、その後、粘着シート18に転写金属層16を貼着させた状態で、ベースシート15の表面から剥離させることにより、その粘着シート18に転写金属層16を転写し、これを、図示しないが、上記と同様に、例えば、電子部品の基材やセラミックコンデンサのセラミックグリーンシートに貼着して、転写金属層16を、その基材やセラミックグリーンシートに転写することによって、電子部品の回路パターンやセラミックコンデンサの電極パターンを形成するようにして用いることができる。
【0052】
なお、粘着シート18は、粘着力を有するシートであれば、特に制限されず、上記と同様のものが用いられる。
【0053】
そして、このようなベースシート15においても、上記したように、転写金属層16の形成において、めっきレジストなどを形成せずとも、転写金属層16を凸状パターンPと同一のパターンで精度よく形成することができるので、金属層転写シート17を生産効率よく製造することができ、また、電解めっきにより転写金属層16を形成するのみであるため、ベースシート15を繰り返して使用することができる。その結果、この金属層転写シート17が用いられる電子部品やセラミックコンデンサの製造コストの低減化を図ることができるとともに、産業廃棄物の低減化をも図ることができる。
【0054】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
【0055】
実施例1
ステンレス箔(SUS430、厚み200μm)からなるベース金属層を用意して(図1(a)参照)、このベース金属層に、エッチングレジストを所定のパターンで形成した(図1(b)参照)。
【0056】
次いで、エッチングレジストから露出するベース金属層の表面を、塩化第二鉄水溶液を用いて、40℃で、その溝の深さが50μmとなるまでエッチングした(図1(c)参照)。
【0057】
その後、3%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、エッチングレジストを除去することにより、ベース金属層の表面を凸状パターンとして露出させた(図1(d)参照)。
【0058】
次いで、エッチングにより形成された溝および凸状パターンを含むベース金属層の表面全面に、その溝が充填されるように、ポリアミック酸樹脂溶液を塗布し、乾燥後、340℃で2時間硬化(イミド化)させることにより、電気絶縁層を形成した(図1(e)参照)。
【0059】
その後、セラミックロール、パフロールを用いて、電気絶縁層を、ベース金属層の表面が露出するまで鏡面研磨した(図2(f)参照)。
【0060】
次いで、これを、40℃の10%硝酸水溶液に1時間浸漬して、ベース金属層の表面に不働態層を形成することにより、ベースシートを得た(図2(g)参照)。
【0061】
次いで、得られたベースシートの金属ベース層を電極として、0.5A/dm2の電流密度で、約60秒間、電解ニッケルめっきを施し、ベース金属層の凸状パターン上に、電解ニッケルめっき層からなる厚み0.5μmの転写金属層を形成することにより、金属層転写シートを得た(図2(h)参照)。
【0062】
その後、100N/mの粘着力を有する粘着シートを、転写金属層および電気絶縁層の表面に貼着し、次いで、粘着シートを、その粘着シートに転写金属層を貼着させた状態で、ベースシートの表面から剥離させることにより、転写金属層を粘着シートに転写させた(図2(i)参照)。
【0063】
その後、このベースシートに、再び、上記と同様の方法によって、転写金属層を形成して、粘着シートに転写させる操作を繰り返した。その結果、ベースシートは、良好に繰り返して使用できることが確認された。
【0064】
実施例2
銅箔(厚み200μm)からなるベース金属層を用意して(図3(a)参照)、このベース金属層の表面に、フォトレジストによって、厚み25μmのめっきレジストからなる電気絶縁層を所定のパターンで形成した(図3(b)参照)。
【0065】
次いで、電気絶縁層の間から露出するベース金属層の表面に、ベース金属層を電極として、電解ニッケルめっきにより、電気絶縁層の表面よりも5μm高い電解めっき金属層を形成した(図3(c)参照)。
【0066】
その後、電解ニッケルめっきにおける極性を反転させて、電解めっき金属層を正極として10秒間電圧を印加することにより、電解めっき金属層の表面に不働態層を形成し、これによって、ベースシートを得た(図3(d)参照)。
【0067】
その後、再度、極性を反転させて、電解めっき金属層を負極として、0.5A/dm2の電流密度で、約60秒間、電解ニッケルめっきを施し、電解めっき金属層からなる凸状パターン上に、電解ニッケルめっき層からなる厚み0.5μmの転写金属層を形成することにより、金属層転写シートを得た(図4(e)参照)。
【0068】
その後、100N/mの粘着力を有する粘着シートを、転写金属層および電気絶縁層の表面に貼着し、次いで、粘着シートを、その粘着シートに転写金属層を貼着させた状態で、ベースシートの表面から剥離させることにより、転写金属層を粘着シートに転写させた(図4(f)参照)。
【0069】
その後、このベースシートに、再び、上記と同様の方法によって、転写金属層を形成して、粘着シートに転写させる操作を繰り返した。その結果、ベースシートは、良好に繰り返して使用できることが確認された。
【0070】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の金属層転写用ベースシートによれば、転写金属層の形成において、めっきレジストなどを形成せずとも、転写金属層を凸状パターンと同一のパターンで精度よく形成することができるので、金属層転写シートを生産効率よく製造することができる。また、電解めっきにより転写金属層を形成するのみであるため、金属層転写用ベースシートを繰り返して使用することができる。その結果、本発明の金属層転写シートが用いられる電子部品やセラミックコンデンサの製造コストの低減化を図ることができるとともに、産業廃棄物の低減化をも図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属層転写シートの製造方法の一実施形態を示す工程図であって、
(a)は、ベース金属層を用意する工程、
(b)は、エッチングレジストを、ベース金属層の表面に凸状パターンと同一のパターンで形成する工程、
(c)は、エッチングレジストから露出するベース金属層の表面をエッチングして溝を形成する工程、
(d)は、エッチングレジストを除去する工程、
(e)は、溝および凸状パターンを含むベース金属層の表面に、電気絶縁層を形成する工程を示す。
【図2】図1に続いて、本発明の金属層転写シートの製造方法の一実施形態を示す工程図であって、
(f)は、電気絶縁層を、凸状パターンが露出するまで研磨する工程、
(g)は、凸状パターンの表面上に、不働態層を形成し、ベースシートを得る工程、
(h)は、転写金属層を形成することによって、金属層転写シートを得る工程、
(i)は、粘着シートに転写金属層を転写する工程を示す。
【図3】本発明の金属層転写シートの製造方法の他の実施形態を示す工程図であって、
(a)は、ベース金属層を用意する工程、
(b)は、電気絶縁層を、ベース金属層の表面に形成する工程、
(c)は、電気絶縁層の間から露出するベース金属層の表面に、電解めっき金属層を凸状パターンで形成する工程、
(d)は、凸状パターンの表面上に、不働態層を形成し、ベースシートを得る工程を示す。
【図4】図3に続いて、本発明の金属層転写シートの製造方法の他の実施形態を示す工程図であって、
(e)は、転写金属層を形成することによって、金属層転写シートを得る工程、
(f)は、粘着シートに転写金属層を転写する工程を示す。
【符号の説明】
1 ベース金属層
3 溝
4 電気絶縁層
7 転写金属層
9 金属層転写シート
11 ベース金属層
12 電気絶縁層
13 電解めっき金属層
16 転写金属層
18 金属層転写シート
P 凸状パターン
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属層転写用ベースシートおよび金属層転写シートに関し、詳しくは、転写金属層を転写することのできる金属層転写シート、および、その金属層転写シートに用いられる金属層転写用ベースシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子部品の回路パターンやセラミックコンデンサの電極パターンを、金属層転写シートを用いて形成することが知られている。
【0003】
このような金属層転写シートは、ベース層と、そのベース層上に所定のパターンとして形成される転写金属層からなり、例えば、特開2000−228571号公報や特開2001−60528号公報に記載されるように、まず、ベース層上に、転写金属層と逆パターンのめっきレジストを、フォトレジストを用いて形成し、次いで、ベース層上におけるめっきレジストが形成されていない部分に、電解めっきにより転写金属層を形成し、その後、めっきレジストを除去することによって製造されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−228571号公報
【特許文献2】
特開2001−60528号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のように製造される金属層転写シートでは、めっきレジストの形成工程および除去工程において、多数の手間がかかり、生産効率の向上を図ることが困難である。
【0005】
また、転写金属層を転写した後に、再度、そのベース層を使用しようとしても、再度、転写金属層を形成するためのめっきレジストの形成および除去が困難であり、また、上記したように多数の手間もかかることから、転写金属層を転写した後のベース層は、廃棄するようにしている。そのため、電子部品やセラミックコンデンサの製造コストの低減化を図るには限度があり、また、産業廃棄物の低減化を図ることも困難である。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、繰り返して使用することのできる金属層転写用ベースシート、および、その金属層転写用ベースシートが用いられ、生産効率よく製造することのできる、金属層転写シートを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の金属層転写用ベースシートは、ベース金属層および電気絶縁層を備え、前記ベース金属層の表面には、転写金属層を電解めっきにより形成するための凸状パターンが形成されており、前記電気絶縁層が、前記ベース金属層の表面における前記凸状パターンが形成されていない部分に、形成されていることを特徴としている。
【0008】
このような金属層転写用ベースシートによると、転写金属層の形成において、めっきレジストなどを形成せずとも、電解めっきによって転写金属層を形成すれば、凸状パターンと同一のパターンで転写金属層を精度よく形成することができる。そのため、金属層転写シートを生産効率よく製造することができる。また、電解めっきにより転写金属層を形成するのみであるため、繰り返して使用することができる。
【0009】
また、本発明の金属層転写用ベースシートには、前記凸状パターンが前記ベース金属層の表面をエッチングすることによって形成されており、前記電気絶縁層が、前記エッチングによって形成される前記ベース金属層の溝内に形成されている態様が含まれる。
【0010】
また、本発明の金属層転写用ベースシートには、前記凸状パターンが前記ベース金属層の表面上に形成される電解めっき金属層によって形成されており、前記電気絶縁層が、前記電解めっき金属層の間に形成されている態様が含まれる。
【0011】
この場合には、前記電解めっき金属層の表面が、前記電気絶縁層の表面よりも高く形成されていることが好ましい。
【0012】
また、本発明は、上記した金属層転写用ベースシートを備え、前記凸状パターン上に、転写金属層が形成されている、金属層転写シートをも含んでいる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1および図2は、本発明の金属層転写シートの製造方法の一実施形態を示す工程図である。以下、図1および図2を参照して、本発明の金属層転写シートの一実施形態を製造する方法を説明する。
【0014】
まず、この方法では、図1(a)に示すように、ベース金属層1を用意する。ベース金属層1は、特に制限されず、例えば、ステンレス、銅、ニッケル、鉄およびそれらの合金などの金属からなる金属箔が用いられる。好ましくは、ステンレス箔や銅箔などが用いられる。
【0015】
ベース金属層1の厚みは、通常、50μm以上、さらには、100μm以上で、200μm以下であることが好ましい。
【0016】
次いで、この方法では、ベース金属層1の表面に、後述する転写金属層7を電解めっきにより形成するための凸状パターンPを形成する。
【0017】
凸状パターンPの形成は、特に制限されないが、例えば、図1(b)に示すように、まず、エッチングレジスト2を、ベース金属層1の表面に、凸状パターンPと同一のパターンで形成する。エッチングレジスト2の形成は、特に制限されず、公知の方法を用いることができ、例えば、ドライフィルムレジストなどを用いて、所定のレジストパターンとして形成すればよい。
【0018】
次いで、この方法では、図1(c)に示すように、エッチングレジスト2から露出するベース金属層1の表面をエッチングして溝3を形成する。ベース金属層1の表面のエッチングは、特に制限されず、例えば、塩化第二鉄水溶液などの公知のエッチング液を用いて、化学エッチング(ウェットエッチング)すればよい。また、このエッチングにおいては、その溝3の深さ(ベース金属層1の表面から溝3の底面までの距離)dが、通常、0.5μm以上、好ましくは、1〜50μmで、ベース金属層1の厚みの、通常、1/2以下、好ましくは、1/3〜1/5となるように形成する。
【0019】
その後、図1(d)に示すように、エッチングレジスト2を除去すれば、ベース金属層1の表面に、凸状パターンPが露出形成される。エッチングレジスト2の除去は、特に制限されず、例えば、アルカリ水溶液などの公知のエッチング液を用いて、化学エッチング(ウェットエッチング)するか、あるいは、剥離すればよい。
【0020】
次いで、この方法では、図1(e)に示すように、溝3および凸状パターンPを含むベース金属層1の表面に、電気絶縁層4を形成する。電気絶縁層4の形成は、特に制限されないが、例えば、ベース金属層1の表面に、樹脂を有機溶媒に溶解して調製された樹脂溶液を、その樹脂溶液によって溝3が充填されるように塗布し、その後、有機溶媒を乾燥すればよい。
【0021】
電気絶縁層4の形成に用いられる樹脂は、特に制限されないが、繰り返しの使用に耐える耐久性を有するものが好ましく、例えば、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、アラミド、ポリテトラフルオロエチレン、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルファイド、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリオレフィンなどが用いられる。
【0022】
また、樹脂溶液としては、例えば、ポリイミドからなる電気絶縁層4を形成する場合には、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸樹脂が有機溶媒に溶解された樹脂溶液などが用いられる。
【0023】
また、樹脂溶液の塗布は、例えば、ドクターブレード法、スピンコート法などの公知の塗布方法が用いられ、有機溶媒の乾燥においては、例えば、乾燥後に、300〜450℃で加熱することにより、樹脂の種類によっては、有機溶媒の乾燥後に、その樹脂を硬化させるようにしてもよい。
【0024】
また、電気絶縁層4は、溝3および凸状パターンPを含むベース金属層1の表面に、所定のパターンとして形成してもよく、そのような場合には、上記した樹脂に感光性が付与された感光性樹脂を用いて、電気絶縁層4を所定のパターンとして形成してもよい。なお、感光性樹脂としては、例えば、感光性ポリイミド、感光性エポキシ樹脂、感光性アクリル樹脂などが用いられる。
【0025】
次いで、この方法では、図2(f)に示すように、ベース金属層1の表面に形成された電気絶縁層4を、凸状パターンPが露出するまで研磨する。電気絶縁層4の研磨は、特に制限されないが、例えば、ロール研磨装置やCMP(化学的機械的研磨)などを用いて、セラミック粉末、砥石、ダイヤモンド粉などにより鏡面研磨すればよい。
【0026】
このような研磨により、電気絶縁層4の表面とベース金属層1の凸状パターンPの表面とが同一面上に配置され面一となり、電気絶縁層4が、ベース金属層1の表面における凸状パターンPが形成されていない溝3の内部に形成される。
【0027】
次いで、この方法では、図2(g)に示すように、電気絶縁層4の表面と面一とされる凸状パターンPの表面上に、不働態層(酸化皮膜)5を形成する。不働態層5を形成することにより、後述する転写金属層7の表面と凸状パターンPの表面との剥離性を向上させることができる。
【0028】
不働態層5の形成は、特に制限されず、ベース金属層1の種類により適宜選択すればよく、例えば、電気化学的不働態化法や化学的不働態化法などの公知のパシベーション法が用いられる。例えば、電気化学的不働態化法により、アノードまたはカソードを分極させ、不働態領域あるいは過不働態領域での電位コントロールにより、不働態膜を形成する。
【0029】
より具体的には、例えば、ベース金属層1がステンレス箔からなる場合には、硝酸浴にベース金属層1を浸漬し、また、ベース金属層1がニッケル箔からなる場合には、例えば、0.2〜5Vの電圧で陽極酸化すればよい。
【0030】
これによって、金属層転写用ベースシートとしてのベースシート6が形成される。
【0031】
そして、この方法では、このようにして得られるベースシート6に、図2(h)に示すように、転写金属層7を形成することによって、金属層転写シート8を得る。
【0032】
転写金属層7は、特に制限されないが、例えば、ニッケル、銅、金、銀、クロム、パラジウムおよびそれらの合金が用いられる。不働態層5から連続して形成する場合には、好ましくは、ニッケルが用いられる。また、転写金属層7の厚みは、例えば、0.01〜10μm、好ましくは、0.3〜5μmである。
【0033】
そして、転写金属層7は、特に制限されないが、例えば、金属ベース層1を電極として、ベース金属層1の凸状パターンP上に、電解めっきにより形成すればよい。
【0034】
このような電解めっきによれば、凸状パターンPの間には電気絶縁層4が形成されているため、再度めっきレジストなどを形成せずとも、転写金属層7を、凸状パターンPと同一のパターンとして精度よく形成することができる。
【0035】
そして、このようにして得られた金属層転写シート8は、例えば、図2(i)に示すように、被着体として、粘着シート9を、転写金属層7を含むベースシート6の表面(すなわち、転写金属層7および電気絶縁層4の表面)に一旦貼着し、その後、粘着シート8に転写金属層7を貼着させた状態で、ベースシート6の表面から剥離させることにより、その粘着シート9に転写金属層7を転写し、これを、図示しないが、例えば、電子部品の基材やセラミックコンデンサのセラミックグリーンシートに貼着して、転写金属層7を、その基材やセラミックグリーンシートに転写することによって、電子部品の回路パターンやセラミックコンデンサの電極パターンを形成するようにして用いることができる。
【0036】
なお、粘着シート9は、特に制限されないが、例えば、厚みが30〜100μmであり、その粘着力が、10〜500N/m程度のものが用いられる。
【0037】
そして、このようなベースシート6では、上記したように、転写金属層7の形成において、めっきレジストなどを形成せずとも、転写金属層7を凸状パターンPと同一のパターンで精度よく形成することができるので、金属層転写シート8を生産効率よく製造することができ、また、電解めっきにより転写金属層7を形成するのみであるため、ベースシート6を繰り返して使用することができる。その結果、この金属層転写シート8が用いられる電子部品やセラミックコンデンサの製造コストの低減化を図ることができるとともに、産業廃棄物の低減化をも図ることができる。
【0038】
図3および図4は、本発明の金属層転写シートの製造方法の他の一実施形態を示す工程図である。次に、図3および図4を参照して、本発明の金属層転写シートの他の実施形態を製造する方法を説明する。
【0039】
まず、この方法では、図3(a)に示すように、ベース金属層11を用意する。ベース金属層11は、特に制限されないが、例えば、上記と同様の金属箔が用いられる。
【0040】
次いで、この方法では、ベース金属層11の表面に、後述する転写金属層16を電解めっきにより形成するための凸状パターンPを形成する。
【0041】
凸状パターンPの形成は、特に制限されないが、例えば、図3(b)に示すように、まず、めっきレジストからなる電気絶縁層12を、ベース金属層11の表面に、凸状パターンPと逆パターン(反転パターン)で形成する。
【0042】
電気絶縁層12の形成は、特に制限されず、公知の方法を用いることができ、例えば、ドライフィルムレジストなどを用いて、所定のレジストパターンとして形成すればよい。なお、電気絶縁層12は、上記と同様に、繰り返しの使用に耐える耐久性を有するものが好ましく、ドライフィルムレジストとして、例えば、上記した電気絶縁層4と同様の樹脂が用いられる。また、電気絶縁層12の厚みは、例えば、10〜100μm、好ましくは、20〜50μmである。
【0043】
次いで、この方法では、図3(c)に示すように、電気絶縁層12の間から露出するベース金属層11の表面に、電解めっき金属層13を、凸状パターンPで形成する。電解めっき金属層13の形成は、例えば、金属ベース層11を電極として、ベース金属層11における電気絶縁層12が形成されていない部分の表面に、電解めっきすればよい。
【0044】
電解めっき金属層13は、特に制限されないが、例えば、上記と同様の金属が用いられる。また、電解めっき金属層13の厚みは、電気絶縁層12よりも厚いことが好ましく、電気絶縁層12の表面に対する電解めっき金属層13の表面の高さhが、例えば、1〜10μm、さらには、2〜5μmであることが好ましい。電解めっき金属層13の表面を、電気絶縁層12の表面よりも高く形成することによって、電気絶縁層12が後述する粘着シート18に損傷を与えることを防止することができる。
【0045】
次いで、この方法では、図3(d)に示すように、電解めっき金属層13の表面、すなわち、凸状パターンPの表面上に、不働態層(酸化皮膜)14を形成する。不働態層14を形成することにより、上記と同様に、後述する転写金属層16の表面と凸状パターンPの表面との剥離性を向上させることができる。不働態層14は、特に制限されず、上記と同様の方法によって形成すればよい。
【0046】
これによって、金属層転写用ベースシートとしてのベースシート15が形成される。
【0047】
そして、この方法では、このようにして得られるベースシート15に、図4(e)に示すように、転写金属層16を形成することによって、金属層転写シート17を得る。
【0048】
転写金属層16は、特に制限されないが、上記と同様の金属が用いられ、不働態層14から連続して形成する場合には、好ましくは、ニッケルが用いられる。
【0049】
そして、転写金属層16は、特に制限されないが、例えば、上記と同様に、金属ベース層11を電極として、電解めっき金属層13からなる凸状パターンP上に、電解めっきにより形成すればよい。
【0050】
このような電解めっきによれば、凸状パターンPの間には電気絶縁層12が形成されているため、再度めっきレジストなどを形成せずとも、転写金属層16を、凸状パターンPと同一のパターンとして精度よく形成することができる。
【0051】
そして、このようにして得られた金属層転写シート17は、例えば、図4(f)に示すように、被着体として、粘着シート18を、転写金属層16を含むベースシート15の表面(すなわち、転写金属層16および電気絶縁層12の表面)に一旦貼着し、その後、粘着シート18に転写金属層16を貼着させた状態で、ベースシート15の表面から剥離させることにより、その粘着シート18に転写金属層16を転写し、これを、図示しないが、上記と同様に、例えば、電子部品の基材やセラミックコンデンサのセラミックグリーンシートに貼着して、転写金属層16を、その基材やセラミックグリーンシートに転写することによって、電子部品の回路パターンやセラミックコンデンサの電極パターンを形成するようにして用いることができる。
【0052】
なお、粘着シート18は、粘着力を有するシートであれば、特に制限されず、上記と同様のものが用いられる。
【0053】
そして、このようなベースシート15においても、上記したように、転写金属層16の形成において、めっきレジストなどを形成せずとも、転写金属層16を凸状パターンPと同一のパターンで精度よく形成することができるので、金属層転写シート17を生産効率よく製造することができ、また、電解めっきにより転写金属層16を形成するのみであるため、ベースシート15を繰り返して使用することができる。その結果、この金属層転写シート17が用いられる電子部品やセラミックコンデンサの製造コストの低減化を図ることができるとともに、産業廃棄物の低減化をも図ることができる。
【0054】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
【0055】
実施例1
ステンレス箔(SUS430、厚み200μm)からなるベース金属層を用意して(図1(a)参照)、このベース金属層に、エッチングレジストを所定のパターンで形成した(図1(b)参照)。
【0056】
次いで、エッチングレジストから露出するベース金属層の表面を、塩化第二鉄水溶液を用いて、40℃で、その溝の深さが50μmとなるまでエッチングした(図1(c)参照)。
【0057】
その後、3%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、エッチングレジストを除去することにより、ベース金属層の表面を凸状パターンとして露出させた(図1(d)参照)。
【0058】
次いで、エッチングにより形成された溝および凸状パターンを含むベース金属層の表面全面に、その溝が充填されるように、ポリアミック酸樹脂溶液を塗布し、乾燥後、340℃で2時間硬化(イミド化)させることにより、電気絶縁層を形成した(図1(e)参照)。
【0059】
その後、セラミックロール、パフロールを用いて、電気絶縁層を、ベース金属層の表面が露出するまで鏡面研磨した(図2(f)参照)。
【0060】
次いで、これを、40℃の10%硝酸水溶液に1時間浸漬して、ベース金属層の表面に不働態層を形成することにより、ベースシートを得た(図2(g)参照)。
【0061】
次いで、得られたベースシートの金属ベース層を電極として、0.5A/dm2の電流密度で、約60秒間、電解ニッケルめっきを施し、ベース金属層の凸状パターン上に、電解ニッケルめっき層からなる厚み0.5μmの転写金属層を形成することにより、金属層転写シートを得た(図2(h)参照)。
【0062】
その後、100N/mの粘着力を有する粘着シートを、転写金属層および電気絶縁層の表面に貼着し、次いで、粘着シートを、その粘着シートに転写金属層を貼着させた状態で、ベースシートの表面から剥離させることにより、転写金属層を粘着シートに転写させた(図2(i)参照)。
【0063】
その後、このベースシートに、再び、上記と同様の方法によって、転写金属層を形成して、粘着シートに転写させる操作を繰り返した。その結果、ベースシートは、良好に繰り返して使用できることが確認された。
【0064】
実施例2
銅箔(厚み200μm)からなるベース金属層を用意して(図3(a)参照)、このベース金属層の表面に、フォトレジストによって、厚み25μmのめっきレジストからなる電気絶縁層を所定のパターンで形成した(図3(b)参照)。
【0065】
次いで、電気絶縁層の間から露出するベース金属層の表面に、ベース金属層を電極として、電解ニッケルめっきにより、電気絶縁層の表面よりも5μm高い電解めっき金属層を形成した(図3(c)参照)。
【0066】
その後、電解ニッケルめっきにおける極性を反転させて、電解めっき金属層を正極として10秒間電圧を印加することにより、電解めっき金属層の表面に不働態層を形成し、これによって、ベースシートを得た(図3(d)参照)。
【0067】
その後、再度、極性を反転させて、電解めっき金属層を負極として、0.5A/dm2の電流密度で、約60秒間、電解ニッケルめっきを施し、電解めっき金属層からなる凸状パターン上に、電解ニッケルめっき層からなる厚み0.5μmの転写金属層を形成することにより、金属層転写シートを得た(図4(e)参照)。
【0068】
その後、100N/mの粘着力を有する粘着シートを、転写金属層および電気絶縁層の表面に貼着し、次いで、粘着シートを、その粘着シートに転写金属層を貼着させた状態で、ベースシートの表面から剥離させることにより、転写金属層を粘着シートに転写させた(図4(f)参照)。
【0069】
その後、このベースシートに、再び、上記と同様の方法によって、転写金属層を形成して、粘着シートに転写させる操作を繰り返した。その結果、ベースシートは、良好に繰り返して使用できることが確認された。
【0070】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の金属層転写用ベースシートによれば、転写金属層の形成において、めっきレジストなどを形成せずとも、転写金属層を凸状パターンと同一のパターンで精度よく形成することができるので、金属層転写シートを生産効率よく製造することができる。また、電解めっきにより転写金属層を形成するのみであるため、金属層転写用ベースシートを繰り返して使用することができる。その結果、本発明の金属層転写シートが用いられる電子部品やセラミックコンデンサの製造コストの低減化を図ることができるとともに、産業廃棄物の低減化をも図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属層転写シートの製造方法の一実施形態を示す工程図であって、
(a)は、ベース金属層を用意する工程、
(b)は、エッチングレジストを、ベース金属層の表面に凸状パターンと同一のパターンで形成する工程、
(c)は、エッチングレジストから露出するベース金属層の表面をエッチングして溝を形成する工程、
(d)は、エッチングレジストを除去する工程、
(e)は、溝および凸状パターンを含むベース金属層の表面に、電気絶縁層を形成する工程を示す。
【図2】図1に続いて、本発明の金属層転写シートの製造方法の一実施形態を示す工程図であって、
(f)は、電気絶縁層を、凸状パターンが露出するまで研磨する工程、
(g)は、凸状パターンの表面上に、不働態層を形成し、ベースシートを得る工程、
(h)は、転写金属層を形成することによって、金属層転写シートを得る工程、
(i)は、粘着シートに転写金属層を転写する工程を示す。
【図3】本発明の金属層転写シートの製造方法の他の実施形態を示す工程図であって、
(a)は、ベース金属層を用意する工程、
(b)は、電気絶縁層を、ベース金属層の表面に形成する工程、
(c)は、電気絶縁層の間から露出するベース金属層の表面に、電解めっき金属層を凸状パターンで形成する工程、
(d)は、凸状パターンの表面上に、不働態層を形成し、ベースシートを得る工程を示す。
【図4】図3に続いて、本発明の金属層転写シートの製造方法の他の実施形態を示す工程図であって、
(e)は、転写金属層を形成することによって、金属層転写シートを得る工程、
(f)は、粘着シートに転写金属層を転写する工程を示す。
【符号の説明】
1 ベース金属層
3 溝
4 電気絶縁層
7 転写金属層
9 金属層転写シート
11 ベース金属層
12 電気絶縁層
13 電解めっき金属層
16 転写金属層
18 金属層転写シート
P 凸状パターン
Claims (5)
- ベース金属層および電気絶縁層を備え、
前記ベース金属層の表面には、転写金属層を電解めっきにより形成するための凸状パターンが形成されており、
前記電気絶縁層が、前記ベース金属層の表面における前記凸状パターンが形成されていない部分に、形成されていることを特徴とする、金属層転写用ベースシート。 - 前記凸状パターンが前記ベース金属層の表面をエッチングすることによって形成されており、
前記電気絶縁層が、前記エッチングによって形成される前記ベース金属層の溝内に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の金属層転写用ベースシート。 - 前記凸状パターンが前記ベース金属層の表面上に形成される電解めっき金属層によって形成されており、
前記電気絶縁層が、前記電解めっき金属層の間に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の金属層転写用ベースシート。 - 前記電解めっき金属層の表面が、前記電気絶縁層の表面よりも高く形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の金属層転写用ベースシート。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の金属層転写用ベースシートを備え、前記凸状パターン上に、転写金属層が形成されていることを特徴とする、金属層転写シート。
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