JP2004330701A - プリント回路形成等に使用される銅箔を備えた複合体とその製造方法 - Google Patents

プリント回路形成等に使用される銅箔を備えた複合体とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アルミニウム支持体上に銅箔が形成されている複合体として、前記支持体上に銅箔が均一に形成されていて、絶縁性基板に固定した後に支持体が銅箔から容易に剥離可能なものを得る。
【解決手段】アルミニウム箔2の上に、置換メッキ法により亜鉛層3を形成した後、置換メッキ法によりニッケル層4を形成する。次に、このニッケル層4の表面を酸化して酸化ニッケル層41を形成する。次いで、この酸化ニッケル層41の上に電解銅メッキ法により銅箔4を形成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント回路形成等に使用される銅箔を備えた複合体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話に代表される各種携帯機器の発展に伴い、プリント回路には、より狭い配線ピッチとより高い信頼性が要求されている。特に液晶ディスプレー関連では、配線ピッチ50μm以下で信頼性の高い配線を形成しなければならない。プリント配線板の製造方法はサブトラクティブ法が一般的であり、使用する銅箔の厚さも年々薄くなっている。電解銅箔の生産傾向から分かるように、現在、銅箔の厚さは18μm〜12μmが主流になってきており、さらに9μmの生産も開始されつつある。
【0003】
高密度配線を達成するためには銅箔を薄くする必要があるが、厚さが9μm以下になると、銅箔の製造工程、特にカソードドラムから銅箔を巻き取る工程で銅箔の切断が起こり易くなる。そのため、厚さが9μm以下の場合には、金属層(支持体)の上に、銅箔を電解メッキ法で形成することが行われている。例えば、下記の非特許文献1には、銅層上に3μmの銅箔を製造する方法が開示されている。
【0004】
これにより、支持体上に銅箔が形成されている複合体が得られ、この複合体の銅箔の支持体とは反対側の面に絶縁性基板を固定した後、支持体を剥離することでプリント回路形成用積層体が得られる。そのため、この複合体には、支持体上に銅箔が均一に形成されることと、絶縁性基板に固定した後に支持体が銅箔から容易に剥離されて、銅箔に疵を与えないことが要求される。
【0005】
このような要求に答えるために、下記の特許文献1には、前記複合体の製造方法として、銅または銅合金からなる支持体の表面に0.05〜5.0μmの電解メッキ法によりニッケル層を形成し、この表面を酸化して25〜500Åの酸化ニッケル層を形成し、この酸化ニッケル層の上に0.5〜12μmの銅箔を電解メッキ法で形成する方法が記載されている。これにより、銅箔とニッケル層との剥離強度が0.002〜0.5kg/cmになって、銅箔が支持体から容易に剥離できると記載されている。
【0006】
なお、この方法では、ニッケル層を電解メッキ法で形成し、水酸化ナトリウム水溶液中での陽極酸化法により酸化ニッケル層を形成している。
また、下記の特許文献2には、銅からなる支持体上に、熱拡散防止層としてニッケル−リン合金層を電解メッキ法にて形成し、さらにその上に剥離層としてチアジアゾール等の皮膜を形成させた後に、電解メッキ法で厚さ4μm程度の銅箔を形成する方法が記載されている。
【0007】
しかしながら、これらの方法では、銅または銅合金からなる支持体を使用するため、材料コストが高くなる。また、銅メッキ以外の電解設備が必要となるため、製造コストも高くなる。そのため、支持体として銅よりも安価で軽量なアルミニウムを使用することが提案されている。
例えば、下記の特許文献3には、前記複合体の製造方法として、支持層をなすアルミニウム箔の表面を清浄化する工程、清浄化後のアルミニウム箔を陰極としてその表面を活性化する陰極活性化工程、アルミニウム箔を陽極としてその表面に酸化膜を形成する陽極酸化工程、およびこの酸化膜上に銅箔を電着する工程を含む方法が提案されている。この複合体では、前記酸化膜の位置で銅箔が剥離される。
【0008】
また、下記の特許文献4に記載された提案では、アルミニウム支持体上に保護層を介して銅箔を形成している。この保護層は、電着銅層と電着亜鉛層とからなり、電着銅層は開孔を有するようにアルミニウム支持体上に形成され、電着亜鉛層は、電着銅層の開孔内と電着銅層の銅箔側の面に形成されている。この複合体では、前記保護層の位置で銅箔が剥離される。そして、この保護層をなす電着亜鉛層を、電着銅層の開孔部でのみアルミニウム支持体と接合し、その開孔率と電着亜鉛の量の設定により、剥離強度が制御できると記載されている。
【0009】
なお、アルミニウム等のニッケルよりもイオン化傾向の大きい(卑な)金属の表面にニッケル層を設ける場合には、置換メッキ法を採用することができる。例えば、下記の特許文献5および非特許文献2には、メッキ液として、ニッケル源としての硫酸ニッケルと、錯化剤としてのグリシンと、処理液を弱アルカリ性に調整するための水酸化ナトリウムと、硫酸と、を含む混合溶液を用いることが記載されている。また、アルミニウム表面に均一なニッケル層を形成するために、ニッケル置換メッキを行う前に、アルミニウム表面の自然酸化皮膜(不動態)を弗酸で除去すること等も記載されている。
【0010】
【非特許文献1】
山岡拓也、片岡卓、「ビルトアップ基板用極薄銅箔“Micro Thin”」、電子材料、工業調査会、2000年10月、p.18−22
【特許文献1】
特開2002−368365号公報
【特許文献2】
特開2002−292788号公報
【特許文献3】
特公昭60−31915号公報
【特許文献4】
特開2000−59035号公報
【特許文献5】
特開2001−107254
【非特許文献2】
稲葉裕之、三浦修平、本間英夫「無電解ニッケルめっきによるアルミニウム電極上へのバンプ形成」、表面技術、Vol.52,No.2,p.222−227,2001
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献3に記載の方法には以下の課題がある。先ず、陰極活性化工程および陽極酸化工程で電解処理を行うため、銅メッキ以外の電解設備が必要となる。また、清浄化および陰極活性化後に陽極酸化して形成された酸化膜は、厚さが面内で不均一になり易いため、剥離強度を全面で均一に制御することや、銅箔の厚さを面内で均一にすることが困難である。
【0012】
また、特許文献4に記載の方法では、保護層として電着銅層と電着亜鉛層とを形成するため、製造コストが高くなる。また、上記構成の保護層によってアルミニウム支持体と銅箔との剥離強度を制御することは困難である。
本発明は、従来技術の未解決な課題を解決するものであり、アルミニウム支持体上に銅箔が形成されている複合体において、前記支持体上に銅箔が均一に形成されているとともに、絶縁性基板に固定した後に支持体が銅箔から容易に剥離されて、銅箔に疵を与えないようにできるものと、その製造方法としてコストの低い方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、アルミニウム支持体上に銅箔が形成されている複合体において、アルミニウム支持体上にニッケル層とその酸化膜である酸化ニッケル層とが形成され、この酸化ニッケル層に接して銅箔が形成され、前記ニッケル層の厚さは1nm以上100nm以下であることを特徴とする複合体を提供する。
【0014】
本発明の複合体によれば、前記ニッケル層と酸化ニッケル層が形成されているため、アルミニウム支持体を銅箔から剥離しようとした際に、弱い力(0.05N/cm以上1N/cm以下)で銅箔とニッケル層との間で剥離できるようになり、剥離された銅箔に疵が生じ難くなる。
本発明の複合体は、銅箔のアルミニウム支持体とは反対側の面に絶縁性基板が固定された形態とされる。この固定は熱圧着、ラミネート処理等によって行われる。
【0015】
上記目的を達成するために、本発明は、また、アルミニウム支持体上に銅箔が形成されている複合体の製造方法において、アルミニウム支持体上に置換メッキ法により亜鉛層を形成する亜鉛層形成工程と、亜鉛層形成工程後に、アルミニウム支持体上の亜鉛層をニッケル層に置換するニッケル置換メッキを行うことにより、アルミニウム支持体上にニッケル層を形成するニッケル層形成工程と、前記ニッケル層の表面を酸化して酸化ニッケル層を形成する酸化ニッケル層形成工程と、酸化ニッケル層形成工程の後に電解銅メッキを行うことにより、前記酸化ニッケル層の表面に銅箔を形成する工程と、を備えたことを特徴とする銅箔層を備えた複合体の製造方法を提供する。
【0016】
本発明の複合体の製造方法によれば、前記酸化ニッケル層の存在により、電解銅メッキ時に均一な銅箔が形成されるとともに、この銅メッキ時および絶縁性基板を熱圧着またはラミネート処理をする時に、銅箔とアルミニウム支持体との界面で金属拡散が生じ難くなる。その結果、アルミニウム支持体を銅箔から弱い力(0.05N/cm以上1N/cm以下)で剥離できるようになり、剥離された銅箔に疵が生じ難くなる。すなわち、本発明の複合体の製造方法によれば、本発明の複合体が容易に製造される。
【0017】
本発明の複合体の製造方法によれば、アルミニウム支持体上にニッケル層を形成する方法として、アルミニウム支持体上に亜鉛層を形成した後に、アルミニウム支持体上の亜鉛層をニッケル層に置換するニッケル置換メッキを採用したことにより、アルミニウム支持体上に均一なニッケル層が形成される。
形成するニッケル層の厚さは1nm以上100nm以下とする。1nmより薄いと、アルミニウム支持体表面を均一に被覆することが困難になるとともに、酸化ニッケル層も均一に形成され難くなる。100nmを超えると、ニッケル粒子が部分的に大きく成長することで表面が不均一になる恐れがある。好ましいニッケル層の厚さは10nm以上30nm以下である。なお、ニッケル層の厚さはオージェ電子分光法(AES)により測定することができる。
【0018】
また、本発明の複合体の製造方法によれば、アルミニウム支持体上に亜鉛層を置換メッキ法により形成する際に、表面の自然酸化膜(酸化アルミニウム)が除去されてアルミニウム支持体と亜鉛層との間に酸化物が介在しないようになるため、前記自然酸化膜を除去するための別の工程が不要となる。
さらに、亜鉛層形成工程およびニッケル層形成工程を、電解設備が不要な置換メッキ法で行っているため製造コストが低減でき、支持体として安価なアルミニウム箔を用いていることからもコストが低減できる。
【0019】
本発明はまた、絶縁性基板上に銅箔が固定されたプリント回路形成用積層体の製造方法において、アルミニウム支持体上に置換メッキ法により亜鉛層を形成する亜鉛層形成工程と、亜鉛層形成工程後に、アルミニウム支持体上の亜鉛層をニッケル層に置換するニッケル置換メッキを行うことにより、アルミニウム支持体上にニッケル層を形成するニッケル層形成工程と、前記ニッケル層の表面を酸化して酸化ニッケル層を形成する酸化ニッケル層形成工程と、酸化ニッケル層形成工程の後に電解銅メッキを行うことにより、前記酸化ニッケル層の表面に銅箔を形成する工程と、前記銅箔の表面に絶縁性基板が固定された状態にする工程と、によりアルミニウム支持体上に銅箔が形成されている複合体を、銅箔のアルミニウム支持体とは反対側の面に絶縁性基板が固定された状態で作製した後、この複合体からアルミニウム支持体を剥離することを特徴とするプリント回路形成用積層体の製造方法を提供する。
【0020】
このプリント回路形成用積層体の製造方法によれば、絶縁性基板に銅箔が固定されたプリント回路形成用積層体が容易に得られる。また、この方法では、本発明の複合体の製造方法によってアルミニウム支持体上に銅箔が形成されている複合体を得、この複合体に絶縁性基板が固定された状態とした後に銅箔からアルミニウム支持体を剥離しているため、銅箔からアルミニウム支持体が弱い力(0.05N/cm以上1N/cm以下)で剥離される。その結果、疵のない均一な銅箔を備えたプリント回路形成用積層体が容易に得られる。
【0021】
この方法において、「前記銅箔の表面に絶縁性基板が固定された状態にする工程」としては、前記銅箔の表面に絶縁性基板を接着剤で固定する工程と、前記銅箔の表面に絶縁性材料からなる層を形成する工程(例えば、接着剤を塗布して接着剤層を形成した後に、この接着剤層を硬化させる工程)が挙げられる。
前者の工程を採用した場合には、絶縁性基板と接着剤が硬化した層と銅箔とからなる3層構造のプリント回路形成用積層体(3層銅張り積層体:CCL)が得られる。後者の工程を採用した場合には、接着剤が硬化した層(絶縁性基板)と銅箔とからなる2層構造のプリント回路形成用積層体(樹脂つき銅箔:RCC)が得られる。
【0022】
なお、前者の工程としては、接着剤を用いた熱圧着工程やラミネート処理工程等が挙げられる。また、ラミネート処理で絶縁性基板と複合体とを仮固定した後に、複合体のアルミニウム支持体を剥離し、この状態で熱圧着して本固定をしてもよい。
以下、本発明の複合体およびその製造方法、プリント回路形成用積層体の製造方法において、使用可能な材料および各工程で採用できる方法等について説明する。
【0023】
アルミニウム支持体としては、純度が99.0%以上であるアルミニウムからなり、厚さが1μm以上(好ましくは5μm以上)である板状体を使用する。アルミニウム支持体の厚さが20μm以下の場合には、単独では取り扱い難いため、絶縁性フィルム上に形成されたアルミニウム支持体を使用することが好ましい。アルミニウム支持体の厚さの上限値は、この絶縁性フィルムを含めた厚さで1μm以下(好ましくは50μm以下)とする。
【0024】
アルミニウム支持体の厚さが1μm未満であると、亜鉛層形成工程以降の処理で必要なアルミニウム支持体の厚さが確保できない。
アルミニウム支持体の厚さ(アルミニウム支持体が絶縁性フィルム上に形成されている場合にはこれを含めた厚さ)が100μmより厚いと、ロール状にして取り扱うことが困難になる。また、複合体に絶縁性基板を熱圧着またはラミネート処理で固定する際にアルミニウム支持体側から銅箔にかかる圧力は、アルミニウム支持体の厚さが厚いほど大きくなるため、アルミニウム支持体の厚さを薄くして銅箔の剥離面に損傷を与え難くすることが好ましい。
【0025】
アルミニウム支持体を絶縁性フィルム上に形成する方法としては、PETフィルム等の合成樹脂製フィルム上にアルミニウム箔を接着剤で固定する方法、蒸着法により、絶縁性フィルム上に直接アルミニウム箔を形成する方法等が挙げられる。絶縁フィルムの両面にアルミニウム支持体を形成し、両方のアルミニウム支持体を使用してもよい。
【0026】
酸化ニッケル層形成工程としては、水酸化ナトリウム水溶液中で陽極酸化する方法や、過硫酸アンモニウム等の薬液に浸漬する方法等が挙げられるが、前者の方法は電解設備を必要とするためにコストが高くなる。
電解銅メッキ工程では、ピロリン酸銅メッキ浴等の、実質的にアルミニウムおよびアルミニウム酸化物を侵食しないメッキ浴を使用することが好ましい。また、電解銅メッキで形成する銅箔の厚さは、複合体の用途により適宜決定する。例えば、セミアディティブ法により微細配線を形成するプリント回路形成用の銅箔である場合は、厚さ0.2μm以上3μm以下の銅箔を形成する。
【0027】
なお、電解銅メッキ工程で形成された銅箔の厚さは蛍光X線法により測定することができる。
プリント回路形成用積層体の製造方法で使用する絶縁性基板としては、可撓性のあるフレキシブル基板および可撓性のないリジッド基板のいずれを使用してもよい。フレキシブル基板としてはポリイミド基板等が挙げられる。リジッド基板としては、ガラスクロスエポキシ樹脂基板等が挙げられる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1および2は、本発明の「プリント回路形成用積層体の製造方法」の一実施形態で行う各工程を説明する断面図である。
先ず、接着剤層付き絶縁性フィルム1にアルミニウム箔(アルミニウム支持体)2が熱圧着されているものを用意した。接着剤層付き絶縁性フィルム1は、PETフィルム11の一方の面に接着剤層12が形成されているものであり、全体の厚さが38μmである。アルミニウム箔2は、東洋アルミ箔(株)製のJIS規格「A1N30」に相当する硬質アルミニウム箔(厚さ30μm)である。アルミニウム箔2の表面は、厚さの不均一な自然酸化膜(不動態)21で覆われている。図1(a)はこの状態を示す。
【0029】
次に、アルミニウム箔2の表面(自然酸化膜21)を脱脂する処理を行った。処理液として、奥野製薬(株)製「トップアルクリーン101」40gを1リットルの精製水に溶解した液体を用意した。この処理を40℃に保持して、その中に図1(a)の状態のアルミニウム箔2を3分間浸漬した。次に、このアルミニウム箔2を、濃度17質量%の硝酸水溶液に1分間浸漬することにより酸洗した。次に、メッキ前処理液として、奥野製薬(株)製の「トップデスマットN−20」150ミリリットルを精製水1リットルで希釈した処理液を用意し、この処理液に30秒間アルミニウム箔2を浸漬した。
【0030】
次に、このアルミニウム箔2上に、亜鉛置換メッキ法により亜鉛層3を形成した。亜鉛置換メッキ処理液としては、奥野製薬(株)製の「サブスターZN111」を用いた。この処理液に90秒間アルミニウム箔2を浸漬して亜鉛層を形成した後に、その表面を17%硝酸水溶液に1分間浸漬することで一度亜鉛層を除去した。その後、再び同じ処理液に30秒間浸漬することにより、再度亜鉛置換メッキを行った(ダブルジンケート法)。このようにしてアルミニウム箔2の上に亜鉛層3を形成した。
【0031】
この亜鉛置換メッキ工程において、アルミニウム表面を覆っていた自然酸化皮膜(不動態)は除去され、アルミニウム箔2と亜鉛層3の界面は酸化物の介在しない合金状態となる。図1(b)はこの状態を示す。
次に、アルミニウム箔2の表面にニッケル層4を形成した。ニッケル層4の形成は、ニッケル置換メッキ法により行った。ニッケル置換メッキ液は下記の組成とした。
【0032】
<メッキ液の組成>
ニッケル源:NiSO・6HO(0.05mol/dm
錯化剤:HNCHCOOH(0.02mol/dm
pH調整剤:NaOH
pH:8.8
このメッキ液を加熱して60℃に保持し、その中に亜鉛層3を10分間浸漬することにより、置換メッキを施した。
【0033】
ここで、亜鉛層3の亜鉛とメッキ液中のニッケルとの置換反応により、亜鉛がメッキ液中に溶け出してアルミニウム箔2の表面から完全に除去され、アルミニウム箔2上にニッケル層4が形成される。この実施形態で形成されたニッケル層4の厚さを、オージェ電子分光法(AES)により測定したところ20nmであった。図1(c)はこの状態を示す。
【0034】
次に、このニッケル層4を濃度10重量%の過硫酸アンモニウム水溶液に浸漬することにより、ニッケル層4の表面に酸化ニッケル層41を形成した。図1(d)はこの状態を示す。この酸化ニッケル層41の厚さをオージェ電子分光法で測定しようとしたが検出限界(1nm)以下であった。
次に、電解銅メッキを行うことにより、この酸化ニッケル層41の表面に銅箔5を形成した。電解銅メッキは、上村工業(株)製のピロリン酸銅メッキ液「ピロゾール2X」を用い、液温55℃、エアー攪拌、電流密度2A/dm(200A/m)、処理時間215秒の条件で行った。
【0035】
これにより、図1(e)に示すように、アルミニウム箔(アルミニウム支持体)2上に、ニッケル層4とその酸化膜である酸化ニッケル層41が形成され、この酸化ニッケル層41に接して銅箔5が形成されている複合体10を、アルミニウム箔2側にPETフィルム11が接着剤層12で固定された状態で得た。
次に、この複合体10の銅箔5の表面を、奥野製薬(株)製の「エレクトロブライト液」を用いて粗化した。
【0036】
次に、ポリイミドフィルム(絶縁性基板)61の一方の面に接着剤層62が形成されている接着剤層付き絶縁性フィルム6として、ニッカン工業(株)製の「ニカフレックス」を用意した。この接着剤層付き絶縁性フィルム6のポリイミドフィルム61の厚さは25μmであり、接着剤層62の厚さは35μmである。この接着剤層付き絶縁性フィルム6の接着剤層62を、複合体10の銅箔5の粗化された表面に向けて重ね、圧力:20kg/cm、処理温度:180℃、保持時間:90分間の条件で真空プレスを行った。これにより、接着剤層62は硬化し、複合体10の銅箔5のアルミニウム箔2とは反対側の面に、ポリイミドフィルム61が接着剤層62を介して固定された。図2(a)は、この状態を示す。
【0037】
次に、図2(a)に示す、複合体10と接着剤層付き絶縁性フィルム1,6とからなる積層体に対して、接着剤層付き絶縁性フィルム1を接着剤層付き絶縁性フィルム6から外すような力を加えたところ、複合体10の銅箔5と酸化ニッケル層41との間で剥離が生じた。これにより、複合体10は、接着剤層付き絶縁性フィルム6側の銅箔5と、接着剤層付き絶縁性フィルム1側のアルミニウム箔2およびニッケル層4(および酸化ニッケル層41)とに分離された。
【0038】
その結果、図2(b)に示すように、銅箔5と接着剤層付き絶縁性フィルム6とからなる部材7、すなわち、ポリイミドフィルム(絶縁性基板)61と、硬化された接着剤層62と、銅箔5と、からなる3層構造のプリント回路形成用積層体7が得られた。このプリント回路形成用積層体7は、基板がポリイミドフィルムからなるフレキシブル構造の銅張り積層体である。なお、得られたプリント回路形成用積層体7に反り等の欠陥はみられなかった。
【0039】
この実施形態で得られた複合体10について、銅箔5とアルミニウム箔2上の酸化ニッケル層41との剥離強度を、以下のようにして測定した。
先ず、測定用の試験片を以下のようにして作製した。先ず、図2(a)の状態の接着剤層付き絶縁性フィルム1,6と複合体10とからなる部材を、25mm幅に切り出した。この切り出された部材のポリイミドフィルム61の面に、エポキシ樹脂系接着剤を用いて、松下電工(株)のガラスクロスエポキシ樹脂基板「エポキシマルチR−1621」を固定して、試験片を得た。
【0040】
次に、(株)島津製作所製の引っ張り試験機「オートグラフAGS−50型」で90°剥離試験治具を用いて、この試験片の接着剤層付き絶縁性フィルム6およびこれに固定された銅箔5とを押さえた状態で、接着剤層付き絶縁性フィルム1およびこれに固定されたアルミニウム箔2(とニッケル層4と酸化ニッケル層41)を、銅箔5から、角度:90°、速度:50mm/分の条件で引き剥がすことにより「90°剥離強度」を測定した。
【0041】
その結果、この実施形態で得られた複合体10の「90°剥離強度」は0.2N/cmであった。
比較例として、ニッケル層4を過硫酸アンモニウム水溶液に浸漬すること(酸化ニッケル層形成工程)を行わない以外は上記と同じ方法で、複合体10およびプリント回路形成用積層体7を得た。この複合体10は、アルミニウム箔2の上にニッケル層4および銅箔5がこの順に積層されている。
【0042】
この比較例で得られた複合体10の(銅箔5とアルミニウム箔2上のニッケル層4と間の)「90°剥離強度」を、上記と同じ方法で測定したところ、1.3N/cmであった。また、得られたプリント回路形成用積層体7には、剥離の際の応力によりカールが生じていた。
以上のように、この実施形態の複合体(アルミニウム支持体上に銅箔が形成されている複合体)によれば、アルミニウム箔2上にニッケル層4とその酸化膜である酸化ニッケル層41とが形成され、この酸化ニッケル層41に接して銅箔5が形成されているため、アルミニウム箔2を銅箔5から剥離しようとした際に、0.2N/cmという弱い力で剥離できた。また、このような弱い力で剥離されるため、剥離された銅箔5に疵が生じ難い。
【0043】
また、この実施形態の複合体の製造方法によれば、亜鉛層形成工程およびニッケル層形成工程を置換メッキ法で行い、酸化ニッケル層形成工程を薬液への浸漬法により行っているため、銅メッキ以外の電解設備が不要になる。このことと、支持体として安価なアルミニウム箔を用いていることから、前記複合体を低コストで製造することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の複合体の製造方法によれば、アルミニウム支持体上に銅箔が形成されている複合体であって、前記支持体上に銅箔が均一に形成されているとともに、絶縁性基板に固定した後に支持体が銅箔から容易に剥離されて、銅箔に疵を与えないようにできる複合体が、低コストで得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の「プリント回路形成用積層体の製造方法」の一実施形態で行う各工程を説明する断面図である。
【図2】本発明の「プリント回路形成用積層体の製造方法」の一実施形態で行う各工程を説明する断面図である。
【符号の説明】
1 接着剤層付き絶縁性フィルム
11 PETフィルム
12 接着剤層
2 アルミニウム箔(アルミニウム支持体)
21 自然酸化膜(酸化アルミニウム層)
3 亜鉛層
4 ニッケル層
41 酸化ニッケル層
5 銅箔
6 接着剤層付き絶縁性フィルム
61 ポリイミドフィルム
62 接着剤層
7 プリント回路形成用積層体

Claims (4)

  1. アルミニウム支持体上に銅箔が形成されている複合体において、
    アルミニウム支持体上にニッケル層とその酸化膜である酸化ニッケル層とが形成され、この酸化ニッケル層に接して銅箔が形成され、前記ニッケル層の厚さは1nm以上100nm以下であることを特徴とする複合体。
  2. 銅箔のアルミニウム支持体とは反対側の面に絶縁性基板が固定されている請求項1記載の複合体。
  3. アルミニウム支持体上に銅箔が形成されている複合体の製造方法において、
    アルミニウム支持体上に置換メッキ法により亜鉛層を形成する亜鉛層形成工程と、
    亜鉛層形成工程後に、アルミニウム支持体上の亜鉛層をニッケル層に置換するニッケル置換メッキを行うことにより、アルミニウム支持体上にニッケル層を形成するニッケル層形成工程と、
    前記ニッケル層の表面を酸化して酸化ニッケル層を形成する酸化ニッケル層形成工程と、
    酸化ニッケル層形成工程の後に電解銅メッキを行うことにより、前記酸化ニッケル層の表面に銅箔を形成する工程と、
    を備えたことを特徴とする銅箔層を備えた複合体の製造方法。
  4. 絶縁性基板上に銅箔が固定されたプリント回路形成用積層体の製造方法において、
    アルミニウム支持体上に置換メッキ法により亜鉛層を形成する亜鉛層形成工程と、
    亜鉛層形成工程後に、アルミニウム支持体上の亜鉛層をニッケル層に置換するニッケル置換メッキを行うことにより、アルミニウム支持体上にニッケル層を形成するニッケル層形成工程と、
    前記ニッケル層の表面を酸化して酸化ニッケル層を形成する酸化ニッケル層形成工程と、
    酸化ニッケル層形成工程の後に電解銅メッキを行うことにより、前記酸化ニッケル層の表面に銅箔を形成する工程と、
    前記銅箔の表面に絶縁性基板が固定された状態にする工程と、
    により請求項2の複合体を作製した後、
    この複合体からアルミニウム支持体を剥離することを特徴とするプリント回路形成用積層体の製造方法。
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