JP2004184609A - 計算機ホログラムの作成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】像空間中の目標の振幅分布からホログラム空間中の振幅分布と位相分布を求め(ST5)、求められたホログラム空間中の少なくとも位相分布から像空間中の振幅分布と位相分布を求め(ST10)、求められた像空間中の振幅分布を目標の振幅分布に近づけるように、これらの工程を繰り返し、像空間中の振幅分布が目標の振幅分布に近づいた後に、求めた位相分布をホログラムの位相分布とする際に、目標の振幅分布と求められた像空間中の振幅分布との比又は差に基づいて、次回のホログラム空間中の振幅分布と位相分布を求めるのに用いる像空間中の振幅分布を補正して(ST17)、その補正した振幅分布からホログラム空間中の振幅分布と位相分布を求める。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、計算機ホログラムの作成方法に関し、特に、所定のパターンをムラなく再生できる計算機ホログラムの作成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、計算機ホログラム(CGH)の作成方法とし、例えば、非特許文献1に記載されたようなGerchberg−Saxton反復計算法が知られている。
【0003】
この方法を図12〜図13を参照にして簡単に説明する。
【0004】
図12は、計算機ホログラム20とそれから再現される像領域30とを模式的に示す図である。計算機ホログラム20はフーリエ変換ホログラムであり、碁盤目状に配置された縦方向(y軸方向)の寸法δy 、横方向(x軸方向)の寸法δx の微小なセル21の集合体からなり、各セル21は位相情報のみを持つ。セル21はx軸方向に2m 個、y軸方向に2n 個配置されている。
【0005】
一方、この計算機ホログラム20から十分に遠方に配置される像領域30は、計算機ホログラム20に対応してx軸方向に同じ2m 個、y軸方向に同じ2n 個配置されたセル31の集合体からなり、各セル31は縦方向(y軸方向)寸法Δy 、横方向(x軸方向)寸法Δx であり、像領域30全体のx軸方向長さはLx 、y軸方向長さはLy である。
【0006】
なお、像領域30のx軸方向長さLx 、y軸方向長さLy は、計算機ホログラム20のセル21のそれぞれx軸方向寸法δx 、y軸方向寸法δy と関係しており、計算機ホログラム20からの回折角で表すと(計算機ホログラム20から十分に遠方の位置に像領域30があるので、Lx 、Ly は角度で表現した方がよい。)、Lx は空間周波数1/(2δx )の回折格子の±1次回折光で挟まれる範囲に対応し、Ly は空間周波数1/(2δy )の回折格子の±1次回折光で挟まれる範囲に相当する。これは、計算機ホログラム20に記録される最大空間周波数がx軸方向で1/(2δx )、y軸方向で1/(2δy )であることに対応している。
【0007】
このような配置関係で、計算機ホログラム20の正面から所定波長の平行光15が入射すると、計算機ホログラム20の裏面側に回折光16が生じ、遠方の像領域30に計算機ホログラム20に記録されたパターンが再生される。
【0008】
このような計算機ホログラム20が所定のパターンを再生するように各セル21の位相情報を計算して求める方法に、上記のようなGerchberg−Saxton反復計算法が知られている。
【0009】
ここで、分かりやすくするため、再生像面30での原画の振幅分布(画素値)をAIMG (x,y)、再生像面30での原画の位相分布をφIMG (x,y、)、ホログラム面20での振幅分布をAHOLO(u,v)、ホログラム面20での位相分布をφHOLO(u,v)とする。図13に示すように、ステップST1で、再生像面30領域で、記録する原画の画素値をAIMG (x,y)として与え、原画の位相分布をランダムな値に初期化して、ステップST2で、その初期化した値にフーリエ変換を施す。ステップST3で、フーリエ変換で得られたホログラム面20での振幅分布AHOLO(u,v)を1にし、位相分布φHOLO(u,v)を所定の多値化(量子化)する束縛条件が付与される。そのような束縛条件が付与された後、ステップST4で、その束縛条件を付与した振幅分布AHOLO(u,v)と位相分布φHOLOにフーリエ逆変換が施される。ステップST5で、そのフーリエ逆変換で得られた再生像面30での振幅分布AIMG (x,y)が原画の画素値と略等しいと収束判定された場合に、ステップST3で多値化(量子化)された位相分布φHOLO(u,v)が計算機ホログラム20のセル21に与えられる位相分布となる。ステップST5の収束判定で、フーリエ逆変換で得られた振幅分布AIMG (x,y)が原画の画素値と等しくないと判定されると、ステップST6で、そのフーリエ逆変換で得られた振幅分布AIMG (x,y)の代わりに原画の画素値を与え、フーリエ逆変換で得られた位相分布φIMG (x,y)はそのままとする束縛条件が付与される。そのような束縛条件が付与された後、ステップST2→ST3→ST4→ST5→ST6のループがステップST5の条件が満足されるまで(収束するまで)繰り返され、最終的な所望の計算機ホログラム20が得られる。
【0010】
なお、ステップST3で位相分布φHOLO(u,v)を多値化する処理を行わず、ステップST5の条件が満足された後に、所定の多値化する処理を行うようにしてもよい。
【0011】
このようにして求めた多値化した位相分布φHOLO(u,v)から、実際のホログラムの深さ分布を求めるが、これは反射型と透過型で異なる。位相分布φHOLO(u,v)を、反射型の場合は次の式(1)に基づいて、透過型の場合は次の式(2)に基づいて、計算機ホログラム20の深さD(u,v)に変換する。
【0012】
D(u,v)=λφHOLO(u,v)/(4πn) ・・・(1)
D(u,v)=λφHOLO(u,v)/{2π(n1 −n0 )}・・・(2)
ここで、λは使用中心波長、n1 ,n0 は透過型ホログラムを構成する2つの材質の屈折率である。また、nは反射型ホログラムの凹凸を構成する媒質の中、光が通過する側の媒質の屈折率(真空の場合はn=1)である。そして、反射型の場合、図14(a)に断面図を示すように、透明基板17の表面に上記式(1)で求めたD(u,v)の深さのレリーフパターン11を形成し、そのレリーフパターン11上にアルミニウム等の反射層12を設けることによって計算機ホログラム20が得られる。透過型の場合、図14(b)に断面図を示すように、上記式(2)で求めたD(u,v)の深さのレリーフパターン11を形成することによって計算機ホログラム20が得られる。図14の場合は、φHOLO(u,v)を0,π/2,π,3π/2の4段階に多値化した例である。なお、上記のホログラム面20での座標(u,v)は、再生像面30での座標(x,y)と区別するためのものであり、座標軸の方向としては、u軸方向はx軸方向に、v軸方向はy軸方向に対応する。
【0013】
【特許文献1】
特開2002−72837号公報
【0014】
【非特許文献1】
日本光学会(応用物理学会)主催 第22回冬期講習会テキスト「ホログラムと回折型光学素子−基礎理論から産業応用まで−」pp.36〜39
【0015】
【非特許文献2】
辻内順平著「物理学選書22.ホログラフィー」pp.33〜36((株)裳華房発行(1997年11月5日))
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
以上のようにして作成された計算機ホログラム20は、各種光学素子、表示素子、バーコード、パターン発生素子等種々の用途に用いられるが、本来一定の明るさ(振幅)が得られるはずの部分においても明るさムラが発生する等の問題がある。また、このような計算機ホログラム20を照明する再生照明光に位相や振幅の分布があると、所望のパターンや明るさの分布が得られない等の問題もある。
【0017】
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、明るさムラが少なく所定の明るさ分布のパターンが再生可能な計算機ホログラムの作成方法を提供することである。本発明の別の目的は、再生照明光に位相や振幅の分布がある場合にも明るさムラが少ない所定の明るさ分布のパターンが再生可能な計算機ホログラムを提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の計算機ホログラムの作成方法は、所定の振幅分布の像を再生する計算機ホログラムの作成方法であって、像空間中の目標の振幅分布から回折原理に基づいてホログラム空間中の振幅分布と位相分布を求め、求められたホログラム空間中の少なくとも位相分布から回折原理に基づいて像空間中の振幅分布と位相分布を求め、求められた像空間中の振幅分布を目標の振幅分布に近づけるように、これらの工程を繰り返し、求められた像空間中の振幅分布が目標の振幅分布に近づいた後に、その像空間中の振幅分布を求めたホログラム空間中の位相分布をホログラムの位相分布として構成する計算機ホログラムの作成方法において、
像空間中のサンプリング点各々での、目標の振幅分布と求められた像空間中の振幅分布との比又は差に基づいて、次回のホログラム空間中の振幅分布と位相分布を求めるのに用いる像空間中の目標の振幅分布の各サンプリング点での値を補正して、その補正した振幅分布から回折原理に基づいてホログラム空間中の振幅分布と位相分布を求めることを特徴とする方法である。
【0019】
この場合に、次回のホログラム空間中の振幅分布と位相分布を求めるのに用いる像空間中の目標の振幅分布の各サンプリング点での値の補正に用いる係数として、目標の振幅分布をA’in(x,y,z)、求められた像空間中の振幅分布をA’rec (x,y,z)とするとき、[A’in(x,y,z)/A’rec (x,y,z)]a が用いられ、そのベキの値aとしてa<1の値を用いることが望ましい。あるいは、a≧1の値を用いることもできる。
【0020】
また、次回のホログラム空間中の振幅分布と位相分布を求めるのに用いる像空間中の目標の振幅分布の各サンプリング点での値の補正に用いる補正項として、目標の振幅分布をA’in(x,y,z)、求められた像空間中の振幅分布をA’rec (x,y,z)とするとき、b[A’in(x,y,z)−A’rec (x,y,z)]が用いられ、その係数の値bとしてb<1の値の値を用いることが望ましい。あるいは、b≧1の値を用いることもできる。
【0021】
また、求められたホログラム空間中の少なくとも位相分布から回折原理に基づいて像空間中の振幅分布と位相分布を求める際に用いるホログラム空間中の振幅分布として、再生照明光の振幅分布を照明条件として積算した振幅分布を用いることが望ましい。
【0022】
また、ホログラム空間中で求められた振幅分布と位相分布から回折原理に基づいて像空間中の振幅分布と位相分布を求めるようにしてもよい。
【0023】
また、求められたホログラム空間中の振幅分布と位相分布とに基づいて振幅位相ホログラムとして構成することができる。
【0024】
あるいは、求められたホログラム空間中の振幅分布を一定の値に束縛して位相ホログラムとして構成することもできる。
【0025】
また、前記の工程を繰り返した後であって、求められた像空間中の振幅分布が目標の振幅分布に近づいた後に、その像空間中の振幅分布を求めたホログラム空間中の位相分布から再生照明光の位相分布を照明条件として差し引いてホログラムの位相分布とすることが望ましい。
【0026】
なお、本発明は、以上の何れかの計算機ホログラムの作成方法により作成された計算機ホログラムを含むものである。
【0027】
以上のように、本発明においては、像空間中のサンプリング点各々での、目標の振幅分布と求められた像空間中の振幅分布との比又は差に基づいて、次回のホログラム空間中の振幅分布と位相分布を求めるのに用いる像空間中の目標の振幅分布の各サンプリング点での値を補正して、その補正した振幅分布から回折原理に基づいてホログラム空間中の振幅分布と位相分布を求めるので、得られる計算機ホログラムからは明るさムラが少なく所定の明るさ分布のパターンが再生可能になる。
【0028】
また、求められた像空間中の振幅分布が目標の振幅分布に近づいた後に、その像空間中の振幅分布を求めたホログラム空間中の位相分布から再生照明光の位相分布を照明条件として差し引いて計算機ホログラムの位相分布とすることにより、再生照明光として、光軸に平行な平行光のみならず、発散光、収束光、光軸に対して斜めの光束等、種々の形態の再生照明光を用いることが可能になる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の計算機ホログラムの作成方法の原理と実施例を説明する。
【0030】
図1に、図12と同様に、計算機ホログラム20とそれから再現される像領域30とを模式的に示す。ただし、ここで扱う計算機ホログラム20は、フーリエ変換ホログラムに限らす、フレネルホログラムである場合もあるので、計算機ホログラム20、像領域30共、図12のように、碁盤目状に配置されたセル21、セル31の集合体からなるものとは限定されず、一定間隔あるいは不定間隔で配置された3次元配置のサンプリング点からなるものとし、フレネルホログラムの場合は、像領域30の空間(x,y,z)中にはk個のサンプリング点、ホログラム20の空間(u,v,w)中にはm個のサンプリング点が存在し、フーリエ変換ホログラムの場合は、像領域30の空間(x,y,z)、ホログラム20の空間(u,v,w)共に、x(又はu)方向にNx 個、y(又はv)方向にNy 個、z(又はw)方向にNz 個のサンプリング点が存在するものとする。なお、計算機ホログラム20の空間での座標(u,v,w)は、像領域30の空間での座標(x,y,z)と区別するためのものであり、座標軸の方向としては、u軸方向はx軸方向に、v軸方向はy軸方向に、w軸方向はz軸方向に対応する。
【0031】
このような配置関係で、計算機ホログラム20の任意の方向から所定波長の再生照明光15’が入射すると、計算機ホログラム20の裏面側に回折光16が生じ、像領域30に計算機ホログラム20に記録されたパターンが再生される。
【0032】
このような計算機ホログラム20が像領域30において、明るさムラが少なく、かつ、再生照明光に位相や振幅の分布がある場合にも明るさムラが少ない所定のパターンを再生するようにすために、図2に示したような処理ステップを経て、各サンプリング点での振幅情報、位相情報を求める。
【0033】
図2に示すように、まず、像空間から出発し、ステップST1で、再生されるパターンの各サンプリング点(x,y,z)の振幅の目標値、すなわち、再生したいパターンの振幅Ain(x,y,z)を設定する。そして、ステップST2で、設定した振幅の目標値Ain(x,y,z)の正規化A’in(x,y,z)を行う。正規化の手法としては種々あるが、例えば最大の振幅値Ain(x,y,z)を持つサンプリング点の振幅を1になるように正規化する。ステップST3で、像領域30中でk個のサンプリング点(フーリエ変換ホログラムの場合は、Nx ×Ny ×Nz 個)として、上記で正規化したA’in(x,y,z)を初期振幅Aobj (x,y,z)に設定し、また、初期位相φobj (x,y,z)をランダムに設定する。そして、ステップST4で、このように設定した初期振幅Aobj (x,y,z)と初期位相φobj (x,y,z)とから像空間での初期複素振幅分布Aobj (x,y,z)exp[iφobj (x,y,z)]を得て、ステップST5で、その初期複素振幅分布Aobj (x,y,z)exp[iφobj (x,y,z)]の波面演算を行う。
【0034】
ここで、ステップST5で行う波面演算について説明する。計算機ホログラム20がフレネルホログラムの場合は、像領域30の空間中のk個のサンプリング点、ホログラム20の空間中のm個のサンプリング点に対して、回折はフレネル−キルヒホッフの式に従って、次のように波面演算が行われる。
【0035】
【数1】
ただし、この数1の式において、±のプラスは発散光(虚像)の場合、マイナスは収束光(実像)の場合である。また、この式において、
【0036】
【数2】
である。
【0037】
また、計算機ホログラム20がフーリエ変換ホログラムの場合は、像領域30の空間、ホログラム20の空間共に、x方向、u方向のNx 個、y方向、v方向のNy 個、z方向、w方向のNz 個のサンプリング点に対して、次のようなフーリエ変換をして波面演算が行われる。
【0038】
【数3】
ただし、ここでは3次元離散フーリエ変換の式をあげたが、通常は2次元離散フーリエ変換が用いられることが多い。
【0039】
ステップST5での上記のような演算の結果、ステップST6において、ホログラム20の空間中のm個のサンプリング点(フーリエ変換ホログラムの場合は、Nx ×Ny ×Nz 個)について、波面(複素振幅)Aholo(u,v,w)exp[iφholo(u,v,w)]が得られる。ここで、Aholo(u,v,w)はその波面の振幅、φholo(u,v,w)は位相である。次のステップST7で、このような波面演算で得られたホログラム20の空間中の複素振幅の振幅分布Aholo(u,v,w)を1にするか、あるいは、そのままの値を採用して振幅A’holo(u,v,w)とし、また、位相分布φholo(u,v,w)を所定の量子化(多値化)してφ’holo(u,v,w)とする束縛条件を付与する。なお、振幅分布Aholo(u,v,w)を1にする場合は、計算機ホログラム20を位相ホログラムとして構成するときであり、振幅分布Aholo(u,v,w)をそのままの値として採用する場合は、計算機ホログラム20を振幅位相ホログラムとして構成するときである。
【0040】
その後、ステップST8において、上記のような束縛条件が付与された振幅分布A’holo(u,v,w)に対して再生照明光15’の振幅分布Alight (u,v,w)が照明条件として積算され、ホログラム20の空間中の振幅分布A’holo(u,v,w)としてA’holo(u,v,w)×Alight (u,v,w)が用いられる。その結果、ステップST9において、ホログラム20の空間中の上記各サンプリング点における波面(複素振幅)として、このような束縛条件と振幅に対する照明条件とが付与された波面(複素振幅)A’holo(u,v,w)exp[iφ’holo(u,v,w)]が得られる。
【0041】
このホログラム20の空間中の波面(複素振幅)A’holo(u,v,w)exp[iφ’holo(u,v,w)]について、ステップST10において、再生像演算を行う。
【0042】
ここで、ステップST10で行う再生像演算について説明する。計算機ホログラム20がフレネルホログラムの場合は、ホログラム20の空間中のm個のサンプリング点、像領域30の空間中のk個のサンプリング点に対して、回折はフレネル−キルヒホッフの式に従って、次のように再生像演算が行われる。
【0043】
【数4】
ただし、この数4の式において、±のマイナスは発散光(虚像)の逆演算の場合、プラスは収束光(実像)の逆演算の場合である。すなわち、数1の式の±のプラスは数4の式の±のマイナスに、数1の式の±のマイナスは数4の式の±のプラスに対応する。
【0044】
また、計算機ホログラム20がフーリエ変換ホログラムの場合は、像領域30の空間、ホログラム20の空間共に、x方向、u方向のNx 個、y方向、v方向のNy 個、z方向、w方向のNz 個のサンプリング点に対して、次のようなフーリエ逆変換をして再生像演算が行われる。
【0045】
【数5】
ステップST10で行う再生像演算の結果、ステップST11において、像領域30中で上記のサンプリング点に再生される複素振幅分布Arec (x,y,z)exp[iφrec (x,y,z)]が得られる。次いで、ステップST12で、その複素振幅分布中の振幅分布Arec (x,y,z)の正規化A’rec (x,y,z)を行う。正規化の手法としては、前記のように種々あるが、例えば最大の振幅値Arec (x,y,z)を持つサンプリング点の振幅を1になるように正規化する。
【0046】
そして、ステップST13で、この正規化した振幅分布A’rec (x,y,z)と、ステップST2で正規化した目標振幅分布A’in(x,y,z)との比較を行う。そして、その比較結果から、ステップST14で収束判定を行う。この収束判定は、ステップST7で束縛条件を付与して得られる計算機ホログラム20から略目標とする振幅分布Ain(x,y,z)が得られるか否かを判定するもので、種々の判定方法がある。その例をあげると、例えば像領域30中の全てのサンプリング点について、再生像の振幅A’rec (x,y,z)と目標値A’in(x,y,z)の比が1.0±0.1以内にあるか否かを判定する。あるいは、その全てのサンプリング点について、再生像の振幅A’rec (x,y,z)と目標値A’in(x,y,z)の比のrms(二乗平均)が0.1以内にあるか否かを判定する。ここで、rms(二乗平均)は次のように定義される。
【0047】
【数6】
ステップST14の収束判定の結果、再生像の振幅A’rec (x,y,z)が目標値A’in(x,y,z)と略等しいと判定されると、ステップST15へ進み、ステップST7で量子化(多値化)したφ’holo(u,v,w)に対して、再生照明光15’の位相分布φlight (u,v,w)が照明条件として計算機ホログラム20の位相分布φ’holo(u,v,w)から差し引かれて、ステップST16で、計算機ホログラム20の最終的な位相分布φ’holo(u,v,w)として出力される。また、ステップST7で束縛された振幅分布A’holo(u,v,w)はそのままで最終的な振幅分布A’holo(u,v,w)として出力される。
【0048】
ここで、ステップST15で再生照明光15’の位相分布φlight (u,v,w)を位相分布φ’holo(u,v,w)から差し引くのは、再生照明光15’として、光軸に平行な平行光(平面波)のみを用いて再生することだけを意図しているのではなく、発散光、収束光、光軸に対して斜めの光束等、種々の形態の再生照明光15’も予定しており、その再生照明光15’の光軸に平行な平行光(平面波)からの位相のずれを補償する位相を計算機ホログラム20の位相分布φ’holo(u,v,w)に予め持たせるためである。
【0049】
ステップST14に戻り、その収束判定の結果、再生像の振幅A’rec (x,y,z)と目標値A’in(x,y,z)の乖離がおおき大きすぎると判定されると、ステップST17へ進み、ステップST3で設定した像領域30中のk個のサンプリング点(フーリエ変換ホログラムの場合は、Nx ×Ny ×Nz 個)の初期振幅Aobj (x,y,z)それぞれを、目標の振幅A’in(x,y,z)と再生像の振幅A’rec (x,y,z)との比に基づいて、Aobj (x,y,z)[A’in(x,y,z)/A’rec (x,y,z)]a と補正する。
【0050】
この補正は、再生像の振幅A’rec (x,y,z)と目標値A’in(x,y,z)の乖離パラメータの1つである[A’in(x,y,z)/A’rec (x,y,z)]a を初期振幅Aobj (x,y,z)に掛けてその値を改めて初期振幅Aobj (x,y,z)とすることにより、その初期振幅Aobj (x,y,z)に基づいて改めて演算される再生像の振幅A’rec (x,y,z)が目標値A’in(x,y,z)により近づきやすくなるために行うものである。
【0051】
ここで、補正係数[A’in(x,y,z)/A’rec (x,y,z)]a のベキの値aとしては、通常はa=1とするが、ステップST4〜ST18の計算を反復しても収束せずに発散の恐れがある場合はa<1とし、その収束を速めたい場合はa>1とする。
【0052】
ステップST17での振幅補正を上記のように、目標の振幅A’in(x,y,z)と再生像の振幅A’rec (x,y,z)との比に基づくのではなく、差に基づいて行うようにしてもよい。この場合は、初期振幅Aobj (x,y,z)として置き換えるのは、Aobj (x,y,z)+b[A’in(x,y,z)−A’rec (x,y,z)]とする。この補正項b[A’in(x,y,z)−A’rec (x,y,z)]の場合の係数bとしては、通常はb=1とするが、ステップST4〜ST18の計算を反復しても収束せずに発散の恐れがある場合はb<1とし、その収束を速めたい場合はb>1とする。
【0053】
ステップST17で上記のような振幅補正を行った後、ステップST18において、ステップST3でランダムに設定した初期位相φobj (x,y,z)の代わりに、ステップST10の再生像演算で得られる再生像の位相φrec (x,y,z)を用いて位相の最適化を行う。そして、このステップST17とST18で得られた新たな初期振幅Aobj (x,y,z)と初期位相φobj (x,y,z)に基づいて、ステップST4→ST5→ST6→ST7→ST8→ST9→ST10→ST11→ST12→ST13→ST14→ST17→ST18のループがステップST14の収束判定条件が満足されるまで(収束するまで)繰り返され、最終的な所望の計算機ホログラム20が得られる。
【0054】
なお、ステップST8の振幅の照明条件、ステップST15の位相の照明条件の適用は、再生照明光15’として光軸に平行な均一な平行光を用いる場合は省いてもよい。また、ステップST7で位相分布φholo(u,v,w)を量子化(多値化)する処理を行わず、ステップST14の条件が満足された後に、所定の量子化する処理を行うようにしてもよい。また、ステップST7又はステップST14の条件が満足された後に、振幅分布Aholo(u,v,w)又はA’holo(u,v,w)の量子化を行うようにしてもよい。
【0055】
このようにして求めた位相分布φ’holo(u,v,w)、A’holo(u,v,w)(ステップST16)から、実際の計算機ホログラム20を作製するには、ステップST7で振幅分布Aholo(u,v,w)を1にして位相ホログラムとして構成する場合には、従来の技術として、図14を用いて説明したように、透明基板に所定の深さD(u,v)のレリーフパターンを形成して、反射型あるいは透過型の計算機ホログラム20とする。
【0056】
また、ステップST7で振幅分布Aholo(u,v,w)をそのままの値として又は所定の量子化をして採用し、振幅位相ホログラムとして構成する場合は、物体波の複素振幅を直接再生するLohmannの方法やLeeの方法(非特許文献2)によってもよく、また、本発明者が特許文献1で提案した方法によってもよい。
【0057】
ここで、本発明者が特許文献1で提案した方法について簡単に説明する。
【0058】
この方法は、計算機ホログラム20の各セル(例えば図12のセル21)に振幅と位相の情報を持たせるもので、そのようなセルの集合により計算機ホログラム20を構成する方法である。これは、個々のセルに凹凸構造を持たせ、この凹凸構造部分の面積として振幅の情報を記録し、凹凸構造部分の段差長(凹部の深さ、若しくは、凸部の高さ)として位相の情報を記録する方法である。
【0059】
図3は、このようなセルに最適と考えられる物理セルC(x,y)の構造の1例を示す斜視図である。図示の通り、この3次元物理セルは、略直方体のブロック状をしており、その上面には、溝G(x,y)が形成されている。この例では、物理セルC(x,y)の寸法は、図3において、C1=0.6μm、C2=0.25μm、C3=0.25μmであり、溝G(x,y)の寸法は、G1=0.2μm、G2=0.05μm、G3=C3=0.25μmである。このような構造を持った物理セルC(x,y)を用いれば、振幅の情報は、溝G(x,y)の横方向の幅G1の値として記録することができ、位相の情報は、溝G(x,y)の深さG2の値として記録することができる。別言すれば、特定振幅及び特定位相が定義された計算機ホログラム20のサンプリング点を中心に含むセルを、このような構造を持った物理セルで置き換える際には、特定振幅に応じた寸法G1を有し、特定位相に応じた寸法G2を有する物理セルによる置き換えが行われることになる。
【0060】
この図3に示す物理セルにおいて、振幅の情報が溝G(x,y)の幅G1として記録され、位相の情報が溝G(x,y)の深さG2として記録される理由を、図4の正面図を参照して説明する。いま、この物理セルC(x,y)が屈折率n2を持った物質から構成されており、この物理セルC(x,y)の外側が屈折率n1をもった物質(例えば、空気)から構成されているものとする。このとき、溝G(x,y)の内部の面S1に垂直に入射した光L1と、溝G(x,y)の外部の面S2に垂直に入射した光L2とについて、屈折率n2の媒質中を通過する光路長を比較すると、n1>n2の場合、光L1の光路長の方が、光L2の光路長よりも、溝G(x,y)の深さG2の分だけ短くなることが分かる。したがって、屈折率n1、n2が異なっていれば、物理セルC(x,y)から透過光として射出される光L1と光L2との間には、所定の位相差が生じることになる。
【0061】
一方、図5は、物理セルC(x,y)からの反射光として射出光が得られる場合を示す正面図である。この例では、物理セルC(x,y)の上面、すなわち、面S1及びS2が反射面となっており、溝G(x,y)の内部の面S1に略垂直に入射した光L1と、溝G(x,y)の外部の面S2に略垂直に入射した光L2とが、それぞれ各面に略垂直に反射して射出することになる。このとき、入射及び反射の経路に沿った全光路長を比較すると、光L1の光路長の方が、光L2の光路長よりも、溝G(x,y)の深さG2の2倍に相当する分だけ長くなることが分かる。したがって、物理セルC(x,y)から反射光として射出される光L1と光L2との間には、所定の位相差が生じることになる。
【0062】
このように、物理セルC(x,y)が透過型のセルであっても、反射型のセルであっても、溝G(x,y)の内部の面S1に入射した光L1と、溝G(x,y)の外部の面S2に入射した光L2との間には、所定の位相差が生じることになり、この位相差は溝G(x,y)の深さG2に応じて決まることになる。そこで、物理セルC(x,y)の上面に入射した光の中、溝G(x,y)の内部の面S1への入射光に基づいて得られる射出光のみを、物体像10の再生に有効な射出光として取り扱うことにすれば(別言すれば、図4又は図5において、光L1のみを像の再生に有効な射出光として取り扱うようにすれば)、像の再生に有効な射出光L1は、この物理セルC(x,y)において、溝G(x,y)の深さG2に対応した特定位相による位相変調を受けたことになる。かくして、物体光の位相の情報は、溝G(x,y)の深さG2として記録することができる。
【0063】
また、上述のように、溝G(x,y)の内部の面S1への入射光に基づいて得られる射出光のみを、物体像10の再生に有効な射出光として取り扱うことにすれば、物体光の振幅の情報を、溝G(x,y)の幅G1として記録することができる。なぜなら、溝G(x,y)の幅G1が大きくなればなる程、溝G(x,y)の内部の面S1の面積も大きくなり、物体像10の再生に有効な射出光の割合が増えるためである。すなわち、図4又は図5に示す射出光L2には、何ら意味のある位相成分が含まれていないため、再生時に視点位置においてこれら射出光L2が観測されたとしても、いわゆるバックグラウンドのノイズ成分として観測されるだけであり、意味のある像を再生する有効な光としては認識されないことになる。これに対し、射出光L1には、意味のある位相成分が含まれているため、像の再生に有効な信号成分として観測されることになる。結局、溝G(x,y)の幅G1は、当該物理セルC(x,y)から射出される光の中の信号成分として観測される光L1の割合を決定する要素ということになり、信号波の振幅の情報を与えるパラメータになる。
【0064】
もっとも、一般的には、振幅の情報は、溝G(x,y)の幅G1によって表現されている訳ではなく、溝G(x,y)の内部の面S1の面積によって表現されることになる。図3に示す例の場合は、たまたま、溝G(x,y)の奥行き寸法G3が、物理セルC(x,y)の奥行き寸法C3に常に等しくなるように設定しているため、溝G(x,y)の内部の面S1の面積が、幅G1の長さに比例することになっているが、溝G(x,y)の奥行き寸法G3は必ずしも一定にする必要はなく、幅寸法と奥行き寸法との両者を変化させて、溝G(x,y)の内部の面S1の面積にバリエーションをもたせるようにしても構わない。
【0065】
このように、ブロック状の物理セルの上面の中、特定振幅に応じた面積を持った部分(図3の面S1に相当する部分)を、特定位相に応じた深さ(図3の寸法G2に相当する深さ)だけ掘り下げることにより、凹部(溝G(x,y))を形成するようにすれば、このような構造を持った物理セルによって、再生照明光に対して、特定振幅に応じた振幅変調及び特定位相に応じた位相変調を施すことが可能になる。
【0066】
もっとも、ブロック状の物理セルに凹部を形成する代わりに、凸部を形成しても、同様の変調処理が可能である。すなわち、図3に示す物理ブロックにおいて、寸法G2を負の値に設定し、溝の代わりに突起部を形成するようにしても、この突起部の高さに応じた光路差を生じさせることができ、位相差を生じさせることができる。別言すれば、ブロック状の物理セルの上面の中、特定振幅に応じた面積を持った部分を、特定位相に応じた高さだけ隆起させることにより、凸部を形成するようにすれば、このような構造を持った物理セルによっても、再生照明光に対して、特定振幅に応じた振幅変調及び特定位相に応じた位相変調を施すことが可能になる。
【0067】
図3に示すような溝G(x,y)を持った物理セルC(x,y)では、溝の幅G1及び深さG2は連続的に変化させることができるので、理論的には、無限種類の物理セルを用意することが可能である。このような無限種類の物理セルを用いれば、各セルに定義された特定振幅に応じた正確な溝幅G1を持ち、特定位相に応じた正確な深さG2を持った物理セルによって、当該セルを置き換えることが可能である。しかしながら、実用上は、a通りの溝幅、b通りの深さを予め定め、合計a×b通りの物理セルを用意しておき、これらの物理セルの中から必要とされる光学的特性が最も近い物理セルを選択するのが好ましい。図6は、7通りの溝幅と、4通りの深さとを定め、合計28通りの物理セルを用意した例を示す斜視図である。この28通りの物理セルは、何れも図3に示す形態をしたブロック状の物理セルであり、図6には、これらの物理セルを4行7列の行列状に配置した状態が示されている。
【0068】
この図6に示された行列の7つの列は、振幅Aのバリエーションを示し、4つの行は、位相θのバリエーションを示している。例えば、列W1に位置するセルは、振幅Aの最小値に対応するセルであり、溝幅G1=0、すなわち、溝Gが全く形成されていないセルになっている。列W2〜W7へと右側へ移動するに従って、より大きな振幅Aに対応するセルとなっており、溝幅G1は徐々に広がっている。列W7に位置するセルは、振幅Aの最大値に対応するセルであり、溝幅G1=セル幅C1、すなわち、全面が掘られたセルになっている。また、この図6に示された行列の行に着目すると、例えば、行V1に位置するセルは、位相θの最小値に対応するセルであり、溝の深さG2=0、すなわち、溝Gが全く形成されていないセルになっている。行V2〜V4へと下側へ移動するに従って、より大きな位相θに対応するセルとなっており、溝の深さG2は徐々に大きくなっている。
【0069】
次に、本発明の計算機ホログラムの作成方法に従って作成した1実施例の計算機ホログラムと従来の方法で作成した比較例の計算機ホログラムとを説明する。作成する計算機ホログラム20として、図7のような配置で、再生像面30に図8のような振幅分布のバーコードパターンを再生するものを目標振幅分布のものとする。このような計算機ホログラム20を作成するための条件として、
ここで、θx :照明光源40と計算機ホログラム20のサンプリング点を結ぶ線分が光軸となす角度のX方向成分
θy :照明光源40と計算機ホログラム20のサンプリング点を結ぶ線分が光軸となす角度のY方向成分
のように設定した。
【0070】
すなわち、光軸上の照明光源40からの発散光が凸レンズ50で平行光に変換され、光軸を中心にガウス分布を持つ平行な再生照明光15’(15)が計算機ホログラム20に垂直に入射したとき、透過型の計算機ホログラム20から図8のような振幅分布のバーコードパターンが像面30に再生されるような目標の振幅分布を持った計算機ホログラム20とした。
【0071】
図9に図2のステップST1からST12までの工程を1回だけ経た場合に得られた振幅分布を示す。ただし、ステップST7では、波面演算で得られたホログラム20の空間中の複素振幅の振幅分布Aholo(u,v,w)を1にして振幅A’holo(u,v,w)とした。また、位相分布φholo(u,v,w)の量子化はこのステップST7では行わず、ステップST14の条件が満足された後に量子化するものとした。
【0072】
その後、ステップST14を省いて、ステップST12からST12に戻る回数を20回経て得られた振幅分布の結果を図10と図11に示す。ただし、図10の場合は、ステップST17の振幅補正を行わない従来例(図13)であり、図11の場合は、本発明に基づいてステップST17の振幅補正を行った場合である。ここで、ステップST17の振幅補正における補正係数[A’in(x,y,z)/A’rec (x,y,z)]a のベキの値aとしては、a=0.1を用いた。
【0073】
図10、図11の結果から、従来のようなステップST18の位相の最適化のみでは、図10に示すように、得られる計算機ホログラム20から再生されるパターンの振幅分布のムラは10%以内に収まらず、明るさムラがあることが分かる。これに対して、ステップST17の振幅補正を行って振幅も最適化する本発明の手法では、図11に示すように、計算機ホログラム20から得られる像面30での振幅分布のムラは10%以内に収まっており、本発明の計算機ホログラムの作成方法に基づけば、得られる計算機ホログラム20から明るさムラが少なく所定の明るさ分布のパターンが再生できることが分かる。
【0074】
以上、本発明の計算機ホログラムの作成方法をその原理と実施例に基づいて説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず種々の変形が可能である。
【0075】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の計算機ホログラムの作成方法によると、像空間中のサンプリング点各々での、目標の振幅分布と求められた像空間中の振幅分布との比又は差に基づいて、次回のホログラム空間中の振幅分布と位相分布を求めるのに用いる像空間中の目標の振幅分布の各サンプリング点での値を補正して、その補正した振幅分布から回折原理に基づいてホログラム空間中の振幅分布と位相分布を求めるので、得られる計算機ホログラムからは明るさムラが少なく所定の明るさ分布のパターンが再生可能になる。
【0076】
また、求められた像空間中の振幅分布が目標の振幅分布に近づいた後に、その像空間中の振幅分布を求めたホログラム空間中の位相分布から再生照明光の位相分布を照明条件として差し引いて計算機ホログラムの位相分布とすることにより、再生照明光として、光軸に平行な平行光のみならず、発散光、収束光、光軸に対して斜めの光束等、種々の形態の再生照明光を用いることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法により作成された計算機ホログラムとそれから再現される像領域とを模式的に示す図である。
【図2】本発明の方法により計算機ホログラムを作成するための工程を示すフローチャートである。
【図3】本発明に利用するのに最適な物理セルC(x,y)の構造の1例を示す斜視図である。
【図4】図3に示す物理セルC(x,y)を透過型セルとして用いる場合において、振幅の情報が溝G(x,y)の幅G1として記録され、位相の情報が溝G(x,y)の深さG2として記録される理由を説明する正面図である。
【図5】図3に示す物理セルC(x,y)を反射型セルとして用いる場合において、振幅の情報が溝G(x,y)の幅G1として記録され、位相の情報が溝G(x,y)の深さG2として記録される理由を説明する正面図である。
【図6】図3に示す物理セルC(x,y)の構造において、7通りの溝幅と、4通りの深さとを定め、合計28通りの物理セルを用意した例を示す斜視図である。
【図7】本発明の作成方法に従って作成した1実施例の計算機ホログラムと従来の方法で作成した比較例の計算機ホログラムとを説明するための光学配置を示す図である。
【図8】図7の配置で用いる目標振幅分布を示す図である。
【図9】繰り返し工程を1回だけ経た場合に得られた振幅分布を示す図である。
【図10】従来の方法で繰り返し工程を20回経て得られた振幅分布の結果を示す図である。
【図11】本発明の方法で繰り返し工程を20回経て得られた振幅分布の結果を示す図である。
【図12】従来の方法により作成された計算機ホログラムとそれから再現される像領域とを模式的に示す図である。
【図13】従来の方法により計算機ホログラムを作成するための工程を示すフローチャートである。
【図14】計算機ホログラムの構成例を示す断面図である。
【符号の説明】
11…レリーフパターン
12…反射層
15…平行光(再生照明光)
15’…再生照明光
16…回折光
17…透明基板
20…計算機ホログラム
21…セル
30…像領域(再生像面)
31…セル
40…照明光源
50…凸レンズ
G(x,y)…溝
C(x,y)…物理セル
S1…溝の内部の面
S2…溝の外部の面
L1…溝の内部の面に垂直に入射した光
L2…溝の外部の面に垂直に入射した光
Claims (11)
- 所定の振幅分布の像を再生する計算機ホログラムの作成方法であって、像空間中の目標の振幅分布から回折原理に基づいてホログラム空間中の振幅分布と位相分布を求め、求められたホログラム空間中の少なくとも位相分布から回折原理に基づいて像空間中の振幅分布と位相分布を求め、求められた像空間中の振幅分布を目標の振幅分布に近づけるように、これらの工程を繰り返し、求められた像空間中の振幅分布が目標の振幅分布に近づいた後に、その像空間中の振幅分布を求めたホログラム空間中の位相分布をホログラムの位相分布として構成する計算機ホログラムの作成方法において、
像空間中のサンプリング点各々での、目標の振幅分布と求められた像空間中の振幅分布との比又は差に基づいて、次回のホログラム空間中の振幅分布と位相分布を求めるのに用いる像空間中の目標の振幅分布の各サンプリング点での値を補正して、その補正した振幅分布から回折原理に基づいてホログラム空間中の振幅分布と位相分布を求めることを特徴とする計算機ホログラムの作成方法。 - 前記の次回のホログラム空間中の振幅分布と位相分布を求めるのに用いる像空間中の目標の振幅分布の各サンプリング点での値の補正に用いる係数として、目標の振幅分布をA’in(x,y,z)、求められた像空間中の振幅分布をA’rec (x,y,z)とするとき、[A’in(x,y,z)/A’rec (x,y,z)]a が用いられ、そのベキの値aとしてa<1の値を用いることを特徴とする請求項1記載の計算機ホログラムの作成方法。
- 前記の次回のホログラム空間中の振幅分布と位相分布を求めるのに用いる像空間中の目標の振幅分布の各サンプリング点での値の補正に用いる係数として、目標の振幅分布をA’in(x,y,z)、求められた像空間中の振幅分布をA’rec (x,y,z)とするとき、[A’in(x,y,z)/A’rec (x,y,z)]a が用いられ、そのベキの値aとしてa≧1の値を用いることを特徴とする請求項1記載の計算機ホログラムの作成方法。
- 前記の次回のホログラム空間中の振幅分布と位相分布を求めるのに用いる像空間中の目標の振幅分布の各サンプリング点での値の補正に用いる補正項として、目標の振幅分布をA’in(x,y,z)、求められた像空間中の振幅分布をA’rec (x,y,z)とするとき、b[A’in(x,y,z)−A’rec (x,y,z)]が用いられ、その係数の値bとしてb<1の値を用いることを特徴とする請求項1記載の計算機ホログラムの作成方法。
- 前記の次回のホログラム空間中の振幅分布と位相分布を求めるのに用いる像空間中の目標の振幅分布の各サンプリング点での値の補正に用いる補正項として、目標の振幅分布をA’in(x,y,z)、求められた像空間中の振幅分布をA’rec (x,y,z)とするとき、b[A’in(x,y,z)−A’rec (x,y,z)]が用いられ、その係数の値bとしてb≧1の値を用いることを特徴とする請求項1記載の計算機ホログラムの作成方法。
- 求められたホログラム空間中の少なくとも位相分布から回折原理に基づいて像空間中の振幅分布と位相分布を求める際に用いるホログラム空間中の振幅分布として、再生照明光の振幅分布を照明条件として積算した振幅分布を用いることを特徴とする請求項1から5の何れか1項記載の計算機ホログラムの作成方法。
- ホログラム空間中で求められた振幅分布と位相分布から回折原理に基づいて像空間中の振幅分布と位相分布を求めることを特徴とする請求項1から6の何れか1項記載の計算機ホログラムの作成方法。
- 求められたホログラム空間中の振幅分布と位相分布とに基づいて振幅位相ホログラムとして構成することを特徴とする請求項1から7の何れか1項記載の計算機ホログラムの作成方法。
- 求められたホログラム空間中の振幅分布を一定の値に束縛して位相ホログラムとして構成することを特徴とする請求項1から7の何れか1項記載の計算機ホログラムの作成方法。
- 前記の工程を繰り返した後であって、求められた像空間中の振幅分布が目標の振幅分布に近づいた後に、その像空間中の振幅分布を求めたホログラム空間中の位相分布から再生照明光の位相分布を照明条件として差し引いてホログラムの位相分布とすることを特徴とする請求項1から9の何れか1項記載の計算機ホログラムの作成方法。
- 請求項1から10の何れか1項記載の計算機ホログラムの作成方法により作成されたことを特徴とする計算機ホログラム。
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