図1は、本発明の熱可塑性ポリウレタンの製造方法が適用される熱可塑性ポリウレタンの製造装置の第1実施形態を示す概略構成図である。以下、図1を参照して、本発明の熱可塑性ポリウレタンの製造方法の第1実施形態について説明する。
図1において、この製造装置1aは、熱可塑性ポリウレタンを、反応押出成形法によって連続して製造するための装置であって、原料タンク部2、混合部3、スタティックミキサー部4およびペレット化部5を備えている。
原料タンク部2は、ポリイソシアネート貯蔵タンク6、ポリオール貯蔵タンク7、鎖伸長剤貯蔵タンク8を備えている。
ポリイソシアネート貯蔵タンク6には、熱可塑性ポリウレタンの原料として、ポリイソシアネートが貯蔵されている。
ポリイソシアネートは、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する芳香族系、脂肪族系、脂環族系などの有機化合物であって、例えば、芳香族系ポリイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、これらトリレンジイソシアネートの80:20重量比(TDI−80/20)、65:35重量比(TDI−65/35)の異性体混合物、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、これらジフェニルメタンジイソシアネートの任意の異性体混合物、トルイレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2’−ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカメチレントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアネート−5−イソシアネートメチルオクタン、ビス(イソシアネートエチル)カーボネート、ビス(イソシアネートエチル)エーテル、1,4−ブチレングリコールジプロピルエーテル−ω,ω’−ジイソシアネート、リジンイソシアネートメチルエステル、リジントリイソシアネート、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、2−イソシアネートプロピル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、ビス(4−イソシアネート−n−ブチリデン)ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
脂環族系ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、2,2’−ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ダイマ酸ジイソシアネート、2,5−ジイソシアネートメチル−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、その異性体である2,6−ジイソシアネートメチル−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−5−イソシアネートメチル−ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−6−イソシアネートメチル−ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−5−(2−イソシアネートエチル)−ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−6−(2−イソシアネートエチル)−ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−5−(2−イソシアネートエチル)−ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−6−(2−イソシアネートエチル)−ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタンなどが挙げられる。
また、ポリイソシアネートとしては、ポリイソシアネートのウレタン変性体、カルボジイミド変性体、ウレトイミン変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、イソシアヌレート変性体などの変性イソシアネートなども挙げることができる。
上記したポリイソシアネートのうち、好ましくは、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIという)、水添MDI(ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、以下、HMDIという)、パラフェニレンジイソシアネート(以下、PPDIという)、ナフタレンジイソシアネート(以下、NDIという)、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIという)、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIという)、2,5−ジイソシアネートメチル−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、その異性体である2,6−ジイソシアネートメチル−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン(以下、NBDIという)が挙げられ、さらに好ましくは、MDI、HDI、HMDI、PPDI、NBDIなど、および、これらジイソシアネートのウレタン変性体、カルボジイミド変性体、ウレトイミン変性体、イソシアヌレート変性体が挙げられる。
なお、これらポリイソシアネートは、単独で用いてもよく、また、二種以上併用してもよい。二種以上併用する場合には、1つのポリイソシアネート貯蔵タンク6に混合して貯蔵してもよく、また、各ポリイソシアネートを複数のポリイソシアネート貯蔵タンク6にそれぞれ貯蔵してもよい。
ポリオール貯蔵タンク7には、熱可塑性ポリウレタンの原料として、マクロポリオールが貯蔵されている。
マクロポリオールとしては、1分子中に水酸基を2個以上有する重合体であって、例えば、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオールなどが挙げられる。
ポリオキシアルキレンポリオールとしては、例えば、比較的低分子量の2価アルコールの1種または2種以上の化合物に、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加重合したポリオキシアルキレングリコール(スチレンオキサイドなどを付加重合したポリオキシアリレングリコールを含む。)などが挙げられる。特に、アルキレンオキサイドとしては、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイドが好ましく用いられる。このようなポリオキシアルキレングリコールとしては、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびプロピレンオキサイド、エチレンオキサイドの共重合ポリオールなどが挙げられる。
本発明の熱可塑性ポリウレタンの製造方法に用いるポリオキシアルキレンポリオールの数平均分子量は、200〜10000が好ましく、さらに好ましくは、500〜8000である。
また、本発明の熱可塑性ポリウレタンの製造方法においては、熱可塑性ポリウレタンのガラス転移点の低下および流動特性を向上させる観点より、分子量およびオキシアルキレン基の濃度が異なる2種以上のポリオキシアルキレンポリオールを併用することが好ましい。さらに、このようなポリオキシアルキレンポリオールにおいて、プロピレンオキサイドの副反応により生成した分子末端に不飽和基を有するモノオールが少ないことが好ましい。ポリオキシアルキレンポリオール中のモノオール含有量は、JIS K−1557記載の総不飽和度という指標で測定することができる。ポリオキシアルキレンポリオール中の総不飽和度は、0.03meq./g以下が好ましい。さらに好ましくは、0.02meq./g以下である。総不飽和度が、0.03meq./gより大きくなると、熱可塑性ポリウレタンの耐熱性、耐久性が低下する傾向にある。また、ポリオキシアルキレンポリオールの工業的な製造の観点から、総不飽和度の下限は、0.01meq./g程度であることが好ましい。
なお、このようなポリオキシアルキレンポリオールの製造におけるアルキレンオキサイドの重合触媒としては、水酸化セシウム、水酸化ルビジウムなどのアルカリ金属化合物、および、P=N結合を有する化合物(例えば、ホスファゼニウム化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスファゼン化合物など)を用いることが好ましい。このようなアルキレンオキサイドの重合触媒を用いることにより、総不飽和度の低いポリオキシアルキレンポリオールを製造することができる。
また、ポリオキシアルキレンポリオールとしては、テトラヒドロフランを開環重合して得られるポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、PTMEGという)を挙げることができる。本発明の熱可塑性ポリウレタンの製造方法に用いるPTMEGの数平均分子量は、250〜4000程度のものが好ましい。さらに好ましくは、250〜2000程度である。また、PTMEGに、上記したアルキレンオキサイドを付加重合したポリオキシアルキレンポリオールを用いることもできる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールFなどの低分子ポリオールの1種または2種以上と、例えば、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸など、あるいは、その他の低分子ジカルボン酸やオリゴダイマー酸の1種または2種以上との縮合重合により得られるポリエステルポリオールなどが挙げられる。また、ポリエステルポリオールとして、ε−カプロラクトンを開環重合して得られるポリカプロラクトンジオールを挙げることもできる。本発明の熱可塑性ポリウレタンの製造方法に用いるポリエステルポリオールの数平均分子量は、500〜3000程度のものが好ましい。さらに好ましくは800〜2000程度である。
ポリカーボネートジオールとしては、例えば、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの2価アルコールと、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの縮合反応より得られるポリカーボネートジオールが挙げられる。本発明の熱可塑性ポリウレタンの製造方法に用いるポリカーボネートジオールの数平均分子量としては、500〜3000程度のものが好ましい。さらに好ましくは800〜2000程度である。
なお、これらマクロポリオールは、単独で用いてもよく、また、二種以上併用してもよい。二種以上併用する場合には、1つのポリオール貯蔵タンク7に混合して貯蔵してもよく、また、各マクロポリオールを複数のポリオール貯蔵タンク7にそれぞれ貯蔵してもよい。
鎖伸長剤貯蔵タンク8には、熱可塑性ポリウレタンの原料として、鎖伸長剤が貯蔵されている。
鎖伸長剤としては、1分子中に水酸基を2個以上有する、脂肪族、芳香環、複素環または脂環式環の低分子化合物であって、脂肪族のポリオールとして、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。
また、芳香環、複素環または脂環式環のポリオールとしては、例えば、パラキシレングリコール、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソフタレート、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、レゾルシン、ヒドロキノン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオールなどが挙げられる。
なお、これら鎖伸長剤は、単独で用いてもよく、また、二種以上併用してもよい。二種以上併用する場合には、1つの鎖伸長剤貯蔵タンク8に混合して貯蔵してもよく、また、各鎖伸長剤を複数の鎖伸長剤貯蔵タンク8にそれぞれ貯蔵してもよい。
また、本発明の熱可塑性ポリウレタンの製造方法においては、その目的および用途などによって、触媒や助剤などを、上記の各成分とともに配合してもよく、その場合には、各貯蔵タンク6、7および8に、触媒や助剤などを上記の各成分とともに貯蔵するか、あるいは、図示しないが別途貯蔵タンクを設けて供給すればよい。なお、助剤は、熱可塑性ポリウレタンの製造後に混練してもよい。
触媒としては、例えば、アミン化合物、有機金属化合物などのポリウレタンを製造する公知の触媒が挙げられ、好ましくは、有機金属化合物が用いられる。有機金属化合物としては、例えば、酢酸錫、オクチル酸錫、オレイン酸錫、ラウリル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロリド、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルトなどが挙げられる。これら触媒は、単独で用いてもよく、また、二種以上併用してもよい。
また、触媒は、通常、ポリイソシアネート貯蔵タンク6以外のポリオール貯蔵タンク7および/または鎖伸長剤貯蔵タンク8に貯蔵され、好ましくは、ポリオール貯蔵タンク7に貯蔵される。また、触媒の配合量は、マクロポリオールを重量基準として、90ppm以下、好ましくは、30ppm以下である。
助剤としては、例えば、公知の離型剤、カップリング剤、着色剤、滑剤、耐候安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、防錆剤、乳白剤、充填剤などが挙げられ、通常、ポリイソシアネート貯蔵タンク6以外のポリオール貯蔵タンク7および/または鎖伸長剤貯蔵タンク8に貯蔵され、好ましくは、ポリオール貯蔵タンク7に貯蔵される。
また、これら各貯蔵タンク6、7および8は、図示しないヒータ(またはジャケット)、温度センサおよび攪拌羽根を備えており、貯蔵タンク6、7および8内に貯蔵される原料(ポリイソシアネート、ポリオール、鎖伸長剤など)を、所定の設定温度で保持しつつ、攪拌できるように構成されている。例えば、ポリイソシアネート貯蔵タンク6は、例えば、30〜70℃に設定され、ポリオール貯蔵タンク7は、例えば、60〜140℃に設定され、鎖伸長剤貯蔵タンク8は、例えば、30〜130℃に設定される。
また、これら各貯蔵タンク6、7および8は、図示しない窒素ラインなどの不活性ガスラインが接続可能に構成されており、貯蔵タンク6、7および8内を不活性ガス雰囲気に置換できるように構成されている。
混合部3は、混合手段としての高速攪拌機9を備えている。この高速攪拌機9は、上記した各原料を高速で攪拌混合できれば、特に制限されないが、例えば、攪拌槽10a内において、例えば、羽根径4cmφ、周囲長さ12cmである場合において、300〜5000回転/分(周速100〜600m/分)、好ましくは、1000〜3500回転/分(周速120〜420m/分)で攪拌可能な攪拌羽根10bを備えているものが用いられる。また、高速攪拌機9は、図示しないヒータ(またはジャケット)および温度センサを備えており、温度センサでの検知温度に基づいて、ヒータを制御することにより、攪拌槽10aを温度制御できるように構成されている。
また、混合部3には、仮想線で示すように、必要により、高速攪拌機9において混合された反応原料(後述)を、一時的に滞留させて反応を促進させるための反応ポット16を設けてもよい。このような反応ポット16は、温度調節可能に構成されることが好ましく、これを設ける場合には、高速攪拌機9と後述するスタティックミキサー部4における最も上流側の第1スタティックミキサー17aとの間に接続される。
そして、ポリイソシアネート貯蔵タンク6は、ポリイソシアネート供給ライン11を介して高速攪拌機9と接続されており、ポリイソシアネート供給ライン11の途中には、ギヤポンプ12a、および、そのギヤポンプ12aの下流側に流量計13aが介装されている。
また、ポリオール貯蔵タンク7は、ポリオール供給ライン14を介して高速攪拌機9と接続されており、ポリオール供給ライン14の途中には、ギヤポンプ12b、および、そのギヤポンプ12bの下流側に流量計13bが介装されている。
また、鎖伸長剤貯蔵タンク8は、鎖伸長剤配合手段としての鎖伸長剤供給ライン15を介して高速攪拌機9と接続されており、鎖伸長剤供給ライン15の途中には、ギヤポンプ12c、および、そのギヤポンプ12cの下流側に流量計13cが介装されている。
スタティックミキサー部4は、複数のスタティックミキサー(静止混合器)17が直列に接続されることによって構成されている。
各スタティックミキサー17(以下、各スタティックミキサー17を区別する場合には、反応原料(後述)の流れ方向における上流側から下流側に向かって、第1スタティックミキサー17a、第2スタティックミキサー17b、・・・第nスタティックミキサー17nとする。)は、管内のミキサー部材の形状などは特に制限されず、例えば、「化学工学の進歩 第24集 攪拌・混合」(社団法人 化学工学会 東海支部 編修 1990年10月20日 槇書店発行 1刷)の第155頁のFig.10.1.1に記載されるCompany−Nタイプ、Company−Tタイプ、Company−Sタイプ、Company−Tタイプなど、種々の形状のものを用いることができ、好ましくは、右エレメントと左エレメントとが交互に配置され、必要に応じて、各スタティックミキサー17の間に直管が設けられていてもよい。
また、各スタティックミキサー17は、その管長が、例えば、0.13〜3.6m、好ましくは、0.3〜2.0m、さらに好ましくは、0.5〜1.0mで、その内径が、例えば、10〜300mmφ、好ましくは、13〜150mmφ、さらに好ましくは、15〜50mmφで、管長/内径比(以下、L/Dで示す。)が3〜25、好ましくは、5〜15のものが用いられる。
また、各スタティックミキサー17は、繊維強化プラスチック(FRP)などの実質的に非金属材料から形成されているか、あるいは、管内における反応原料(後述)との接触部分の表面が、例えば、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂によって被覆されているものを用いることが好ましい。反応原料(後述)との接触部分を実質的に非金属材料から形成することによって、熱可塑性ポリウレタンの焼けの発生を有効に防止することができる。好ましくは、接触部分をポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂によって被覆したものが用いられる。このようなスタティックミキサー17としては、より具体的には、例えば、金属製からなるスタティックミキサー17に、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂からなるチューブを挿入したものや、市販されているノリタケ社製のMXシリーズなどが用いられる。
さらに、各スタティックミキサー17は、図示しないヒータ(またはジャケット)および温度センサを備えており、温度センサでの検知温度に基づいて、ヒータを制御することにより、管内温度を独立して温度制御できるように構成されている。これによって、各スタティックミキサー17の管内温度を、反応原料(後述)の組成に応じてそれぞれ変更することできるので、触媒量を低減しつつ、最適の反応条件で熱可塑性ポリウレタンを製造することができる。
そして、スタティックミキサー部4における最も上流側の第1スタティックミキサー17aが、混合部3における高速攪拌機9(または反応ポット16)に接続されるとともに、スタティックミキサー部4における最も下流側の第nスタティックミキサー17nが、ペレット化部5における後述するストランドダイ19(または後述する単軸押出機18)に接続されている。
なお、スタティックミキサー17の接続数は、その目的および用途、原料組成などにより、適宜決定することができ、各スタティックミキサー17を接続した全長が、例えば、3〜25m、好ましくは、5〜20mとなるように、例えば、10〜50連、好ましくは、15〜35連として構成され、各スタティックミキサー17の間には、適宜、図示しないギヤポンプを介装して、流量調節可能に構成されている。
ペレット化部5は、ストランドダイ19およびカッター20を備えている。なお、ペレット化部5は、特にストランドダイ19およびカッター20に限定されず、公知のペレタイザー(水中カット装置などを含む)として構成すればよい。
なお、スタティックミキサー部4とペレット化部5との間には、仮想線で示すように、必要により、単軸押出機18を設けて、スタティックミキサー部4から流出する反応物をさらに混練してもよい。
また、単軸押出機18を設ける場合には、単軸押出機18の先端に濾過装置を附設し、反応物中のぶつ・ゲルを除去してもよい。濾過装置としては、例えば、ポリマーフィルターなどが用いられる。
次に、図1に示す製造装置1aによって、熱可塑性ポリウレタンを製造する方法について説明する。
この方法では、まず、ポリイソシアネート貯蔵タンク6、ポリオール貯蔵タンク7および鎖伸長剤貯蔵タンク8に貯蔵されるポリイソシアネート、マクロポリオールおよび鎖伸長剤を、高速攪拌機9に供給して、高速攪拌機9において、これらを同時に混合することによって、反応原料を調製する。
ポリイソシアネート貯蔵タンク6からポリイソシアネートを供給するには、流量計13aで検知される流量に基づいて、ギヤポンプ12aを制御することによって、例えば、2〜100kg/h、好ましくは、2.5〜60kg/hの流速で、ポリイソシアネート供給ライン11から、高速攪拌機9に、ポリイソシアネートを供給する。
また、ポリオール貯蔵タンク7からマクロポリオールを供給するには、流量計13bで検知される流量に基づいて、ギヤポンプ12bを制御することによって、例えば、10〜200kg/h、好ましくは、15〜100kg/hの流速で、ポリオール供給ライン14から、高速攪拌機9に、マクロポリオールを供給する。
また、鎖伸長剤貯蔵タンク8から鎖伸長剤を供給するには、流量計13cで検知される流量に基づいて、ギヤポンプ12cを制御することによって、例えば、0.2〜50kg/h、好ましくは、0.3〜30kg/hの流速で、鎖伸長剤供給ライン15から、高速攪拌機9に、鎖伸長剤を供給する。
これによって、高速攪拌機9においては、定常状態において、ポリイソシアネートのイソシアネート基に対するマクロポリオールおよび鎖伸長剤の水酸基の当量比(NCO/OH)が、例えば、0.9〜1.2、好ましくは、0.95〜1.05に設定される。また、鎖伸長剤に対するマクロポリオールの重量比率が、例えば、2〜90倍、好ましくは、3〜50倍に設定される。
そして、高速攪拌機9においては、これらポリイソシアネート、マクロポリオールおよび鎖伸長剤を、攪拌槽10a内において、滞留時間0.05〜0.5分、好ましくは、0.1〜0.4分、温度70〜130℃、好ましくは、80〜120℃、羽根径4cmφ、周囲長さ12cmである場合における攪拌羽根10bの速度500〜4000回転/分(周速60〜480m/分)、好ましくは、2000〜3000回転/分(周速240〜360m/分)で高速攪拌することによって、反応原料を調製する。
その後、必要により、反応ポット16において、例えば、0.1〜15分、好ましくは、0.5〜10分で、70〜140℃、好ましくは、80〜120℃で滞留させた後、得られた反応原料を、スタティックミキサー部4に供給して、各スタティックミキサー17内を通過させながら、反応させる。
各スタティックミキサー17における管内温度は、例えば100〜300℃、好ましくは、140〜250℃から適宜選択すればよく、また、通過速度は、例えば、20〜300kg/h、好ましくは、30〜150kg/hである。
そして、スタティックミキサー部4から流出された反応物を、必要により、単軸押出機18によってさらに混練した後、ペレット化部5において、ストランドダイ19から押し出し、公知の方法により冷却後、これをカッター20によってカットすることによって、ペレットとして成形し、これによって、熱可塑性ポリウレタンを得る。
このような方法によると、ポリイソシアネート、マクロポリオールおよび鎖伸長剤が、高速攪拌機9によって予め混合された反応原料が、スタティックミキサー部4に導入されるので、各スタティックミキサー17内での攪拌で均一に反応させることができる。そのため、ゲル化物の発生を有効に防止することができ、高融点のマクロポリオール(上記したポリエステルポリオールにおいて、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族カルボン酸と低分子ポリオールとからなるポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオールなどが例示される。)や高融点の鎖伸長剤(上記した芳香環、複素環または脂環式環のポリオールが例示され、より具体的には、パラキシレングリコール、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソフタレート、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、レゾルシン、ヒドロキノン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオールなどが例示される。)、さらには、反応の遅いポリイソシアネート(例えば、上記した脂肪族系ポリイソシアネートや脂環族系ポリイソシアネートなどのいわゆる無黄変(NY系)ポリイソシアネート)を用いて、熱可塑性ポリウレタンを連続して製造することができる。また、二軸押出機を用いないため、スクリューの機械的な剪断による焼けや、スクリューの溝での滞留によるゲル化物が生じることがなく、さらには、触媒を用いないか、あるいは、大幅に触媒量を低減して製造することができる。その結果、物性低下や経時劣化の少ない熱可塑性ポリウレタンや低硬度の熱可塑性ポリウレタンを製造することができる。
図2は、本発明の熱可塑性ポリウレタンの製造方法が適用される熱可塑性ポリウレタンの製造装置の第2実施形態を示す概略構成図である。以下、図2を参照して、本発明の熱可塑性ポリウレタンの製造方法の第2実施形態について説明する。なお、図2において、図1と同様の部材には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図2において、この製造装置1bは、図1に示す製造装置1aと同様に、原料タンク部2、混合部3、スタティックミキサー部4およびペレット化部5を備えている。
原料タンク部2は、図1に示す製造装置1aと同様のポリイソシアネート貯蔵タンク6、ポリオール貯蔵タンク7、鎖伸長剤貯蔵タンク8を備えている。
ポリイソシアネート貯蔵タンク6には、上記したポリイソシアネートが貯蔵されており、ポリオール貯蔵タンク7には、上記したマクロポリオールが貯蔵されており、鎖伸長剤貯蔵タンク8には、上記した鎖伸長剤が貯蔵されている。
混合部3は、2つの高速攪拌機9aおよび9bを備えている。各高速攪拌機9aおよび9bは、上記した図1に示す高速攪拌機9と同様の構成を備えており、これらが直列に接続されている。
また、混合部3には、仮想線で示すように、必要により、上流側の高速攪拌機9aおよび下流側の高速攪拌機9bの間、および、下流側の高速攪拌機9bの下流側に、高速攪拌機9aおよび9bにおいて混合された反応原料を、一時的に滞留させて反応を促進させるための反応ポット16aおよび16bを設けてもよい。このような反応ポット16aおよび16bは、上記と同様に、温度調節可能に構成されることが好ましく、必要により、反応ポット16aおよび16bのいずれか一方もしくは両方を設ければよい。
そして、ポリイソシアネート貯蔵タンク6は、ポリイソシアネート供給ライン11を介して上流側の高速攪拌機9aと接続されており、ポリイソシアネート供給ライン11の途中には、ギヤポンプ12a、および、そのギヤポンプ12aの下流側に流量計13aが介装されている。
また、ポリオール貯蔵タンク7は、ポリオール供給ライン14を介して上流側の高速攪拌機9aと接続されており、ポリオール供給ライン14の途中には、ギヤポンプ12b、および、そのギヤポンプ12bの下流側に流量計13bが介装されている。
また、鎖伸長剤貯蔵タンク8は、鎖伸長剤供給ライン15を介して下流側の高速攪拌機9bと接続されており、鎖伸長剤供給ライン15の途中には、ギヤポンプ12c、および、そのギヤポンプ12cの下流側に流量計13cが介装されている。
また、スタティックミキサー部4は、上記と同様の複数のスタティックミキサー17が直列に接続されることによって構成されており、最も上流側の第1スタティックミキサー17aが、混合部3における下流側の高速攪拌機9b(または反応ポット16b)に接続されるとともに、最も下流側の第nスタティックミキサー17nが、ペレット化部5における後述するストランドダイ19(または単軸押出機18)に接続されている。
なお、スタティックミキサー17の接続数は、上記と同様に、その目的および用途、原料組成などにより、適宜決定することができ、各スタティックミキサー17を接続した全長が、例えば、3〜25m、好ましくは、5〜20mとなるように、例えば、10〜50連、好ましくは、15〜35連として構成され、各スタティックミキサー17の間には、適宜、図示しないギヤポンプを介装して、流量調節可能に構成されている。
ペレット化部5は、上記と同様のストランドダイ19およびカッター20を備えている。なお、スタティックミキサー部4とペレット化部5との間には、仮想線で示すように、必要により、単軸押出機18を設けて、スタティックミキサー部4から流出する反応物をさらに混練してもよい。また、単軸押出機18を設ける場合には、単軸押出機18の先端に濾過装置を布設し、反応物中のぶつ・ゲルを除去してもよい。濾過装置としては、例えば、ポリマーフィルターなどが用いられる。
次に、図2に示す製造装置1bによって、熱可塑性ポリウレタンを製造する方法について説明する。
この方法では、まず、ポリイソシアネート貯蔵タンク6およびポリオール貯蔵タンク7に貯蔵されるポリイソシアネートおよびマクロポリオールを、上流側の高速攪拌機9aに供給して、上流側の高速攪拌機9aにおいて、これらを混合した後、次いで、得られた混合物、および、鎖伸長剤貯蔵タンク8に貯蔵されている鎖伸長剤を、下流側の高速攪拌機9bに供給して、下流側の高速攪拌機9bにおいて、これらを混合することによって、反応原料を調製する。
ポリイソシアネート貯蔵タンク6から、上流側の高速攪拌機9aにポリイソシアネートを供給する流速は、例えば、2〜100kg/h、好ましくは、5〜60kg/hであり、ポリオール貯蔵タンク7から、上流側の高速攪拌機9aにマクロポリオールを供給する流速は、例えば、10〜200kg/h、好ましくは、15〜100kg/hである。
これによって、上流側の高速攪拌機9aにおいては、定常状態において、ポリイソシアネートのイソシアネート基に対するマクロポリオールの水酸基の当量比(NCO/OH)が、例えば、1.05〜6、好ましくは、1.1〜5に設定される。
そして、上流側の高速攪拌機9aにおいては、これらポリイソシアネートおよびマクロポリオールを、攪拌槽10a内において、滞留時間0.05〜0.5分、好ましくは、0.1〜0.4分、温度60〜150℃、好ましくは、80〜130℃、羽根径4cmφ、周囲長さ12cmである場合における攪拌羽根10bの速度500〜4000回転/分(周速60〜480m/分)、好ましくは、2000〜3000回転/分(周速240〜360m/分)で高速攪拌することによって、混合物を調製する。
その後、必要により、反応ポット16aにおいて、例えば、0.1〜60分、好ましくは、1〜30分で、80〜150℃、好ましくは、90〜140℃で滞留させた後、得られた混合物を、下流側の高速攪拌機9bに供給する。上流側の高速攪拌機9aから、下流側の高速攪拌機9bに混合物を供給する流速は、例えば、10〜200kg/h、好ましくは、20〜100kg/hであり、高速攪拌機9a(または反応ポット16a)の下流側に設けられる図示しないギヤポンプによって、その流速を調整すればよい。
また、鎖伸長剤貯蔵タンク8から、下流側の高速攪拌機9bに鎖伸長剤を供給する流速は、例えば、0.2〜50kg/h、好ましくは、0.3〜30kg/hである。
これによって、下流側の高速攪拌機9bにおいては、定常状態において、ポリイソシアネートのイソシアネート基に対するマクロポリオールおよび鎖伸長剤の水酸基の当量比(NCO/OH)が、例えば、0.9〜1.2、好ましくは、0.95〜1.05に設定される。また、鎖伸長剤に対するマクロポリオールの重量比率が、例えば、2〜90倍、好ましくは、3〜50倍に設定される。
そして、下流側の高速攪拌機9bにおいては、これらポリイソシアネート、マクロポリオールおよび鎖伸長剤を、攪拌槽10a内において、滞留時間0.05〜0.5分、好ましくは、0.1〜0.4分、温度60〜150℃、好ましくは、80〜140℃、羽根径4cmφ、周囲長さ12cmである場合における攪拌羽根10bの速度500〜4000回転/分(周速60〜480m/分)、好ましくは、2000〜3000回転/分(周速240〜360m/分)で高速攪拌することによって、反応原料を調製する。
その後、必要により、反応ポット16bにおいて、例えば、0.1〜15分、好ましくは、0.5〜10分で、70〜140℃、好ましくは、80〜120℃で滞留させた後、得られた反応原料を、スタティックミキサー部4に供給して、各スタティックミキサー17内を通過させながら、反応させる。
各スタティックミキサー17における管内温度は、例えば100〜300℃、好ましくは、140〜250℃から適宜選択すればよく、また、通過速度は、例えば、20〜300kg/h、好ましくは、30〜150kg/hである。
そして、スタティックミキサー部4から流出された反応物を、必要により、単軸押出機18によってさらに混練した後、ペレット化部5において、ストランドダイ19から押し出し、公知の方法により冷却後、これをカッター20によってカットすることによって、ペレットとして成形し、これによって、熱可塑性ポリウレタンを得る。
このような方法によると、ポリイソシアネートおよびマクロポリオールが、上流側の高速攪拌機9aによって混合され、さらに、得られた混合物および鎖伸長剤が、下流側の高速攪拌機9bによって混合され、これによって調製された反応原料が、スタティックミキサー部4に導入されるので、各スタティックミキサー17内での攪拌で均一に反応させることができる。そのため、ゲル化物の発生を有効に防止することができ、上記と同様に、高融点のマクロポリオールや高融点の鎖伸長剤、さらには、反応の遅いポリイソシアネートを用いて、熱可塑性ポリウレタンを連続して製造することができる。また、二軸押出機を用いないため、スクリューの機械的な剪断による焼けや、スクリューの溝での滞留によるゲル化物が生じることがなく、さらには、触媒を用いないか、あるいは、大幅に触媒量を低減して製造することができる。その結果、物性低下や経時劣化の少ない熱可塑性ポリウレタンや低硬度の熱可塑性ポリウレタンを製造することができる。
図3は、本発明の熱可塑性ポリウレタンの製造方法が適用される熱可塑性ポリウレタンの製造装置の第3実施形態を示す概略構成図である。以下、図3を参照して、本発明の熱可塑性ポリウレタンの製造方法の第3実施形態について説明する。なお、図3において、図1と同様の部材には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図3において、この製造装置1cは、図1に示す製造装置1aと同様に、原料タンク部2、混合部3、スタティックミキサー部4およびペレット化部5を備えている。
原料タンク部2は、図1に示す製造装置1aと同様のポリイソシアネート貯蔵タンク6、ポリオール貯蔵タンク7、鎖伸長剤貯蔵タンク8を備えている。
ポリイソシアネート貯蔵タンク6には、上記したポリイソシアネートが貯蔵されており、ポリオール貯蔵タンク7には、上記したマクロポリオールが貯蔵されており、鎖伸長剤貯蔵タンク8には、上記した鎖伸長剤が貯蔵されている。
混合部3は、図1に示す製造装置1aと同様の高速攪拌機9を備えている。
また、混合部3には、仮想線で示すように、必要により、高速攪拌機9において混合された混合物を、一時的に滞留させて反応を促進させるための反応ポット16を設けてもよい。このような反応ポット16は、温度調節可能に構成されることが好ましく、これを設ける場合には、高速攪拌機9と後述するスタティックミキサー部4における最も上流側の第1スタティックミキサー17aとの間に接続される。
そして、ポリイソシアネート貯蔵タンク6は、ポリイソシアネート供給ライン11を介して高速攪拌機9と接続されており、ポリイソシアネート供給ライン11の途中には、ギヤポンプ12a、および、そのギヤポンプ12aの下流側に流量計13aが介装されている。
また、ポリオール貯蔵タンク7は、ポリオール供給ライン14を介して高速攪拌機9と接続されており、ポリオール供給ライン14の途中には、ギヤポンプ12b、および、そのギヤポンプ12bの下流側に流量計13bが介装されている。
また、鎖伸長剤貯蔵タンク8は、鎖伸長剤供給ライン15を介して、次に述べるスタティックミキサー部4における各スタティックミキサー17の間(図3では、第1スタティックミキサー17aと第2スタティックミキサー17bとの間)に設けられるT字接続管21と接続されており、鎖伸長剤供給ライン15の途中には、ギヤポンプ12c、および、そのギヤポンプ12cの下流側に流量計13cが介装されている。
また、スタティックミキサー部4は、上記と同様の複数のスタティックミキサー17が直列に接続されることによって構成されており、最も上流側の第1スタティックミキサー17aが、混合部3における高速攪拌機9(または反応ポット16)に接続されるとともに、最も下流側の第nスタティックミキサー17nが、ペレット化部5における後述するストランドダイ19(または単軸押出機18)に接続されている。
なお、スタティックミキサー17の接続数は、上記と同様に、その目的および用途、原料組成などにより、適宜決定することができ、各スタティックミキサー17を接続した全長が、例えば、3〜25m、好ましくは、5〜20mとなるように、例えば、10〜50連、好ましくは、15〜35連として構成され、各スタティックミキサー17の間には、適宜、図示しないギヤポンプを介装して、流量調節可能に構成される。また、このスタティックミキサー部4では、上記したように、各スタティックミキサー17における途中の任意の間に、鎖伸長剤供給ライン15が合流するように接続されるT字接続管21が設けられている。
ペレット化部5は、上記と同様のストランドダイ19およびカッター20を備えている。なお、スタティックミキサー部4とペレット化部5との間には、仮想線で示すように、必要により、単軸押出機18を設けて、スタティックミキサー部4から流出する反応物をさらに混練してもよい。また、単軸押出機18を設ける場合には、単軸押出機18の先端に濾過装置を布設し、反応物中のぶつ・ゲルを除去してもよい。濾過装置としては、例えば、ポリマーフィルターなどが用いられる。
次に、図3に示す製造装置1cによって、熱可塑性ポリウレタンを製造する方法について説明する。
この方法では、まず、ポリイソシアネート貯蔵タンク6およびポリオール貯蔵タンク7に貯蔵されるポリイソシアネートおよびマクロポリオールを、高速攪拌機9に供給して、高速攪拌機9において、これらを混合した後、次いで、得られた混合物を、スタティックミキサー部4におけるT字接続管21よりも上流側の各スタティックミキサー17(図3では、第1スタティックミキサー17a)内を通過させることにより反応させ、その後、鎖伸長剤供給ライン15からT字接続管21に鎖伸長剤を供給して、T字接続管21において、混合物に鎖伸長剤を配合して混合することによって、反応原料を調製する。
ポリイソシアネート貯蔵タンク6から、高速攪拌機9にポリイソシアネートを供給する流速は、例えば、2〜100kg/h、好ましくは、5〜60kg/hであり、ポリオール貯蔵タンク7から、高速攪拌機9にマクロポリオールを供給する速度は、例えば、10〜200kg/h、好ましくは、15〜100kg/hである。
これによって、高速攪拌機9においては、定常状態において、ポリイソシアネートのイソシアネート基に対するマクロポリオールの水酸基の当量比(NCO/OH)が、例えば、1.05〜6、好ましくは、1.1〜5に設定される。
そして、高速攪拌機9においては、これらポリイソシアネートおよびマクロポリオールを、攪拌槽10a内において、滞留時間0.05〜0.5分、好ましくは、0.1〜0.4分、温度60〜150℃、好ましくは、80〜130℃、羽根径4cmφ、周囲長さ12cmである場合における攪拌羽根10bの速度500〜4000回転/分(周速60〜480m/分)、好ましくは、2000〜3000回転/分(周速240〜360m/分)で高速攪拌することによって、混合物を調製する。
その後、必要により、反応ポット16において、例えば、0.1〜60分、好ましくは、1〜30分で、80〜150℃、好ましくは、90〜140℃で滞留させた後、得られた混合物を、スタティックミキサー部4に供給して、各スタティックミキサー17(図3では、第1スタティックミキサー17a)内を通過させながら、反応させる。なお、スタティックミキサー部4におけるT字接続管21よりも上流側の各スタティックミキサー17(図3では、第1スタティックミキサー17a)では、その管内温度が、例えば、100〜300℃、好ましくは、150〜280℃で、通過速度が、例えば、10〜200kg/h、好ましくは、30〜150kg/hに設定される。
また、鎖伸長剤貯蔵タンク8から、T字接続管21に鎖伸長剤を供給する流速は、例えば、1〜50kg/h、好ましくは、3〜30kg/hであり、これによって、T字接続管21においては、定常状態において、ポリイソシアネートのイソシアネート基に対するマクロポリオールおよび鎖伸長剤の水酸基の当量比(NCO/OH)が、例えば、0.9〜1.2、好ましくは、0.95〜1.05に設定される。また、鎖伸長剤に対するマクロポリオールの重量比率が、例えば、2〜90倍、好ましくは、3〜50倍に設定される。
そして、この方法では、T字接続管21において調製される反応原料を、スタティックミキサー部4におけるT字接続管21よりも下流側の各スタティックミキサー17(図3では、第2スタティックミキサー17b〜第nスタティックミキサー17n)内を通過させながら、反応させる。
スタティックミキサー部4におけるT字接続管21よりも下流側の各スタティックミキサー17(図3では、第2スタティックミキサー17b〜第nスタティックミキサー17n)における管内温度は、例えば100〜300℃、好ましくは、150〜280℃から適宜選択すればよく、また、通過速度は、例えば、20〜300kg/h、好ましくは、30〜150kg/hである。
そして、スタティックミキサー部4から流出された反応物を、必要により、単軸押出機18によってさらに混練した後、ペレット化部5において、ストランドダイ19から押し出し、冷却後、これをカッター20によってカットすることによって、ペレットとして成形し、これによって、熱可塑性ポリウレタンを得る。
このような方法によると、ポリイソシアネートおよびマクロポリオールが、高速攪拌機9によって混合され、さらに、得られた混合物が、スタティックミキサー部4におけるT字接続管21よりも上流側の各スタティックミキサー17(図3では、第1スタティックミキサー17a)内において反応して、プレポリマーが合成され、その後、T字接続管21において供給される鎖伸長剤が配合され、これによって調製された反応原料が、スタティックミキサー部4におけるT字接続管21よりも下流側の各スタティックミキサー17(図3では、第2スタティックミキサー17b〜第nスタティックミキサー17n)に導入され反応されるので、各スタティックミキサー17内での攪拌で均一に反応させることができる。そのため、ゲル化物の発生を有効に防止することができ、上記と同様に、高融点のマクロポリオールや高融点の鎖伸長剤、さらには、反応の遅いポリイソシアネートを用いて、熱可塑性ポリウレタンを連続して製造することができる。また、二軸押出機を用いないため、スクリューの機械的な剪断による焼けや、スクリューの溝での滞留によるゲル化物が生じることがなく、さらには、触媒を用いないか、あるいは、大幅に触媒量を低減して製造することができる。その結果、物性低下や経時劣化の少ない熱可塑性ポリウレタンや低硬度の熱可塑性ポリウレタンを製造することができる。
そして、上記の方法により、得られた熱可塑性ポリウレタンは、上記したように、焼けやゲル化物が少なく、また、物性低下や経時劣化が少なく、さらには、引張強度、破断伸び、引裂き強度、圧縮永久歪など機械物性に優れるとともに、硬度が同一の場合でも、流動開始温度が低く溶融温度が広いといった成形加工性に優れている。しかも、こげ、ぶつに関するゲル化物(フィッシュアイ)も少なく、その上、無黄変ポリイソシアネートが用いられても、製造時に触媒量を低減できるので、より一層黄変しにくいという優れた性質を有している。
そのため、このような熱可塑性ポリウレタンは、例えば、靴のソール、インソール、スキー靴、自動車外装部品、内装部品、電装部品あるいはキャスター類、ホース、チューブ、シート、フィルム、繊維などの種々の分野で有効に用いることができる。
また、上記の方法において、上記の各原料に対して不溶であるか、それ自体が加熱溶融しない、例えば、無機系顔料、無機系抗菌剤、無機系消臭剤、難燃剤などの公知の添加剤(予めマスターバッチ化されているものが好ましい。)を、添加してもよい。
添加剤を添加する方法は、特に制限されないが、例えば、図4(第4実施形態の製造装置4d)に示すように、スタティックミキサー部4において、各スタティックミキサー17における途中の任意の間に、単軸押出機23が接続されているインジェクションティ22を接続する。なお、図4において、図1と同様の部材には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
そして、添加剤を、単軸押出機23に連続投入して、インジェクションティ22から、スタティックミキサー部4における任意の各スタティックミキサー17の間に供給する。これによって、スタティックミキサー部4におけるインジェクションティ22の上流側の各スタティックミキサー17から通液されてくる反応原料に、インジェクションティ22から添加剤を供給して混合することができ、スタティックミキサー部4におけるインジェクションティ22の下流側の各スタティックミキサー17において、添加剤を反応原料に均一に混合することができる。なお、単軸押出機23から添加剤を連続投入する投入速度は、例えば、0.1〜80kg/h、好ましくは、0.5〜30kg/hに設定される。
また、上記の図1〜図3に示す製造装置1a〜1cを用いて、反応性ホットメルトを製造することもできる。すなわち、反応性ホットメルトは、分子末端にイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーを主成分とし、基材との接着性、接着剤自身の耐熱性などを付与する目的で、熱可塑性ポリマー、粘着付与剤、可塑剤などが配合されたものである。これを得るには、上記の図1〜図3に示す製造装置1a〜1cにて、まず、マクロポリオール、ポリイソシアネートを主原料としたポリウレタンプレポリマーを製造する。
通常、マクロポリオールとしては、主として、ポリエステルポリオールが用いられる。ポリエステルポリオールとしては、例えば、上記したエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパンなどの低分子ポリオールと、例えば、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸などの脂肪族カルボン酸あるいはテレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族カルボン酸とのエステル化反応により、製造したポリエステルポリオールが挙げられる。
ホットメルト接着剤としての機能を発現するために、室温付近で液状あるいは結晶化したポリエステルポリオールを、単独もしくは二種以上、混合して用いる。ポリエステルポリオールの数平均分子量は、500〜10000程度が好ましく、1000〜9000程度がさらに好ましい。
ポリイソシアネートとしては、上記したMDI、TDI、HMDI、HDI、IPDI、XDI、NBDIなどが好適に用いられる。ポリイソシアネートのイソシアネート基に対するマクロポリオールの水酸基の当量比(NCO/OH)は、例えば、1.1〜8、好ましくは、1.3〜5に設定される。
反応性ホットメルトの主成分であるポリウレタンプレポリマーを製造する方法としては、次の方法が例示される。すなわち、まず、図1に示す製造装置1aのポリイソシアネート貯蔵タンク6に、上記したポリイソシアネートを不活性ガスの雰囲気下で仕込み、液状になる温度で貯蔵する。用いるポリイソシアネートの性状にもよるが、通常、窒素雰囲気下、40〜60℃程度で撹拌しながら貯蔵する。
次いで、図1に示す製造装置1aのポリオール貯蔵タンク7に、上記したポリエステルポリオールを仕込み、液状になる温度で貯蔵する。用いるポリエステルポリオールの性状にもよるが、通常、窒素雰囲気下、40〜150℃程度に調整し、撹拌しながら貯蔵する。
その後、上記した方法により、ポリイソシアネート貯蔵タンク6およびポリオール貯蔵タンク7から、各々のギヤポンプ12aおよび12bによって、ポリイソシアネート供給ライン11およびポリオール供給ライン14を介して、ポリイソシアネートおよびポリエステルポリオールを、高速撹拌機9に供給し、第1スタティックミキサー17aに通液する。
なお、スタティックミキサー17の接続数は、ポリウレタンプレポリマーを製造する量にもよるが、例えば、3〜80連、好ましくは、5〜60連として構成され、各スタティックミキサー17間には、適宜、図示しないギヤポンプを介装して、流量の調節を可能とする。スタティックミキサー17の温度は、用いる原料組成にもよるが、40〜260℃程度が好ましく、さらに好ましくは、60〜230℃程度である。
そして、上記した条件にて、スタティックミキサー17内で重合したポリウレタンプレポリマーを、図1で示した単軸押出機18に通液し、単軸押出機18にて、熱可塑性ポリマー、粘着付与剤、可塑剤などをポリウレタンプレポリマーに添加、混練することにより、反応性ホットメルトを製造する。このようにして得られた反応性ホットメルトの遊離イソシアネート基の含有量(NCO%)は、その用途にもよるが、1〜5%が好ましく、1.2〜3%程度がさらに好ましい。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されることはない。
実施例1
図1に示す製造装置1aにおいて、反応ポット16および単軸押出機18を接続して、スタティックミキサー部4の各スタティックミキサー17を15連接続したものを用いて、以下の操作により、熱可塑性ポリウレタン(以下、TPUという。)を製造した。
なお、スタティックミキサー部4は、第1〜第3スタティックミキサー17a〜17c(管長0.5m、内径20mmφのスタティックミキサーを3本接続した状態、管内温度240℃)、第4〜第5スタティックミキサー17d〜17e(管長1.0m、内径20mmφのスタティックミキサーを2本接続した状態、管内温度200℃)、第6〜第12スタティックミキサー17f〜17l(管長1.0m、内径38mmφのスタティックミキサーを7本接続した状態、管内温度200℃)、第13〜第15スタティックミキサー17m〜17o(管長0.5m、内径38mmφのスタティックミキサーを3本接続した状態、管内温度200℃)として構成した。
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート12.4重量部(三井武田ケミカル社製、商品名:コスモネートPH、以下、MDIという。)を、ポリイソシアネート貯蔵タンク6に仕込み、40℃に調整した。
数平均分子量8300のポリエチレングリコール195重量部(三洋化成社製 商品名:液ペグ6000、100℃で溶融)、および、マクロポリオールに対して重量基準で30ppmのジブチル錫ジラウレート(日東化成社製)(以下、これらの成分をポリオール溶液という。)を、ポリオール貯蔵タンク7に仕込み、90℃に調整した。
1,4−ブタンジオール2.33重量部(BASF社製、50℃で溶融、以下BGという。)を、鎖伸長剤貯蔵タンク8に仕込み、40℃に調整した。なお、これらの操作は窒素雰囲気下で行なった。
次いで、MDIを2.86kg/hの流速で、ポリオール溶液を45kg/hの流速で、BGを0.54kg/hの流速で高速攪拌機9(櫻プラント社製 SM40、設定温度120℃)に通液し、十分に各原料を攪拌混合した後、反応ポット16(10L)において、1〜7分滞留させた後、スタティックミキサー部4の第1スタティックミキサー17aに通液した。
その後、第15スタティックミキサー17oから流出された反応物を、単軸押出機(GMエンジニアリング社製、65mmφ、圧入部分150℃)に圧入した後、ストランドダイ19から押し出し、チルドロール・冷却ベルトで冷却した後、ペレタイザー(石中鉄工所社製、PPL−130型)でカットすることによって、ペレット状のTPUを得た。
実施例2
図1に示す製造装置1aにおいて、反応ポット16を接続せず、単軸押出機18を接続して、スタティックミキサー部4の各スタティックミキサー17を16連接続したものを用いて、以下の操作により、TPUを製造した。
なお、スタティックミキサー部4は、第1〜第7スタティックミキサー17a〜17g(管長0.5m、内径20mmφのスタティックミキサーを7本接続した状態、管内温度190℃)、第8〜第9スタティックミキサー17h〜17i(管長1.0m、内径20mmφのスタティックミキサーを2本接続した状態、管内温度180℃)、第10〜第14スタティックミキサー17j〜17n(管長1.0m、内径38mmφのスタティックミキサーを5本接続した状態、管内温度170℃)、第15〜第16スタティックミキサー17o〜17p(管長0.5m、内径38mmφのスタティックミキサーを2本接続した状態、管内温度170℃)として構成した。
ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート1623重量部(住化バイエルウレタン社製、50℃で溶融、以下HMDIという。)を、ポリイソシアネート貯蔵タンク6に仕込み、40℃に調整した。
数平均分子量200のポリエステルポリオール3048重量部(豊国製油社製、商品名:HT−12、95℃で溶融)、および、マクロポリオールに対して重量基準で50ppmのスタナスオクトエート(エーピーアイコーポレーション社製、商品名:スタノクト)、マクロポリオール100重量部に対して、1.0重量部のビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド(RASCHIG GmbH社、商品名:スタビライザー7000)、0.34重量部のヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバガイギ社製、商品名:イルガノックス1010)、0.34重量部のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(城北化学社製、商品名:JF−83)、0.16重量部のヒンダードアミン系光安定剤(旭電化工業社製、商品名:LA−52)(以下、これらの成分をポリオール溶液という。)を、ポリオール貯蔵タンク7に仕込み、90℃に調整した。
BG400重量部(BASF社製、50℃で溶融)を、鎖伸長剤貯蔵タンク8に仕込み、50℃に調整した。なお、これらの操作は窒素雰囲気下で行なった。
次いで、HMDIを16.8kg/hの流速で、ポリオール溶液を30.5kg/hの流速で、BGを4.0kg/hの流速で高速攪拌機9(櫻プラント社製 SM40、設定温度120℃)に通液し、十分に各原料を攪拌混合した後、スタティックミキサー部4の第1スタティックミキサー17aに通液した。
その後、第16スタティックミキサー17pから流出された反応物を、単軸押出機(GMエンジニアリング社製、65mmφ、圧入部分140℃)に圧入した後、ストランドダイ19から押し出し、水中カット装置(GaLa社製)で水中カットすることによって、ペレット状のTPUを得た。
実施例3
図1に示す製造装置1aにおいて、反応ポット16を接続せず、単軸押出機18を接続して、スタティックミキサー部4の各スタティックミキサー17を16連接続したものを用いて、以下の操作により、TPUを製造した。
なお、スタティックミキサー部4は、第1〜第7スタティックミキサー17a〜17g(管長0.5m、内径20mmφのスタティックミキサーを7本接続した状態、管内温度180℃)、第8〜第9スタティックミキサー17h〜17i(管長1.0m、内径20mmφのスタティックミキサーを2本接続した状態、管内温度170℃)、第10〜第14スタティックミキサー17j〜17n(管長1.0m、内径38mmφのスタティックミキサーを5本接続した状態、管内温度180℃)、第15〜第16スタティックミキサー17o〜17p(管長0.5m、内径38mmφのスタティックミキサーを2本接続した状態、管内温度180℃)として構成した。
HMDI 1676重量部(住化バイエルウレタン社製、50℃で溶融)を、ポリイソシアネート貯蔵タンク6に仕込み、40℃に調整した。
数平均分子量2000のポリカーボネートジオール2408重量部(宇部興産社製、商品名:UH−CARB200、110℃で溶融)、および、マクロポリオールに対して重量基準で30ppmのジブチル錫ジラウレート(日東化成社製、商品名:ネオスタンU−100、)、ポリオール100重量部に対して、0.4重量部のビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド(BASF社製、商品名:ルプラゲン−9119)、0.1重量部のヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバガイギ社製、商品名:イルガノックス1010)、0.34重量部のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(城北化学社製、商品名:JF−83)、0.16重量部のヒンダードアミン系光安定剤(旭電化工業社製、商品名:LA−52)(以下、これらの成分をポリオール溶液という。)を、ポリオール貯蔵タンク7に仕込み、110℃に調整した。
BG452重量部(BASF社製、50℃で溶融)を、鎖伸長剤貯蔵タンク8に仕込み、50℃に調整した。なお、これらの操作は窒素雰囲気下で行なった。
次いで、HMDIを16.8kg/hの流速で、ポリオール溶液を24.1kg/hの流速で、BGを4.55kg/hの流速で高速攪拌機9(櫻プラント社製 SM40、設定温度120℃)に通液し、十分に各原料を攪拌混合した後、スタティックミキサー部4の第1スタティックミキサー17aに通液した。
その後、第16スタティックミキサー17pから流出された反応物を、単軸押出機(GMエンジニアリング社製、65mmφ、圧入部分140℃)に圧入した後、ストランドダイ19から押し出し、水槽で冷却した後、ペレタイザー(石中鉄工所社製、PPL−130型)でカットすることによって、ペレット状のTPUを得た。
実施例4
図2に示す製造装置1bにおいて、2つの高速攪拌機9aおよび9bの間のみに反応ポット16aを接続するとともに、単軸押出機18を接続して、スタティックミキサー部4の各スタティックミキサー17を16連接続したものを用いて、以下の操作により、TPUを製造した。
なお、スタティックミキサー部4は、第1〜第7スタティックミキサー17a〜17g(管長0.5m、内径20mmφのスタティックミキサーを7本接続した状態、管内温度240℃)、第8〜第9スタティックミキサー17h〜17i(管長1.0m、内径20mmφのスタティックミキサーを2本接続した状態、管内温度200℃)、第10〜第14スタティックミキサー17j〜17n(管長1.0m、内径38mmφのスタティックミキサーを5本接続した状態、管内温度170℃)、第15〜第16スタティックミキサー17o〜17p(管長0.5m、内径38mmφのスタティックミキサーを2本接続した状態、管内温度150℃)として構成した。
MDI 1003重量部(三井武田ケミカル社製、商品名:コスモネートPH)を、ポリイソシアネート貯蔵タンク6に仕込み、40℃に調整した。
数平均分子量2000のポリエステルポリオール3833重量部(三井武田ケミカル社製、商品名:U−2001、120℃で溶融)、および、マクロポリオール100重量部に対して、0.3重量部のビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド(RASCHIG GmbH社、商品名:スタビライザー7000)(以下、これらの成分をポリオール溶液という。)を、ポリオール貯蔵タンク7に仕込み、120℃に調整した。
BG17.6重量部(BASF社製、50℃で溶融)を、鎖伸長剤貯蔵タンク8に仕込み、50℃に調整した。なお、これらの操作は窒素雰囲気下で行なった。
次いで、MDIを16.8kg/hの流速で、ポリオール溶液を38.3kg/hの流速で、上流側の高速攪拌機9a(櫻プラント社製 SM40、設定温度120℃)に通液し、十分に各原料を攪拌混合した後、反応ポット16a(10L)において、10分滞留させることにより、プレポリマー(混合物)を合成した。
プレポリマーを55.1kg/hの流速で、BGを1.76kg/hの流速で下流側の高速攪拌機9b(櫻プラント社製 SM40、設定温度120℃)に通液し、十分に各原料を攪拌混合した後、スタティックミキサー部4の第1スタティックミキサー17aに通液した。
その後、第16スタティックミキサー17pから流出された反応物を、単軸押出機(GMエンジニアリング社製、65mmφ、圧入部分140℃)に圧入した後、ストランドダイ19から押し出し、水中カット装置(GaLa社製)で水中カットすることによって、ペレット状のTPUを得た。
実施例5
図3に示す製造装置1cにおいて、反応ポット16および単軸押出機18を接続せず、スタティックミキサー部4の各スタティックミキサー17を24連接続とし、その第1〜第4スタティックミキサー17a〜17dと第5〜第8スタティックミキサー17e〜17hとの間にT字接続管21を接続したものを用いて、以下の操作により、TPUを製造した。
なお、スタティックミキサー部4は、第1〜第4スタティックミキサー17a〜17d(管長0.5m、内径38mmφのスタティックミキサーを4本接続した状態、管内温度200〜260℃)、第5〜第8スタティックミキサー17e〜17h(管長0.5m、内径13mmφのスタティックミキサーを4本接続した状態、管内温度280℃)、第9〜第12スタティックミキサー17i〜17l(管長0.5m、内径20mmφのスタティックミキサーを4本接続した状態、管内温度250〜280℃)、第13〜第16スタティックミキサー17m〜17p(管長0.5m、内径20mmφのスタティックミキサーを4本接続した状態、管内温度220〜230℃)、第17〜第20スタティックミキサー17q〜17t(管長0.5m、内径20mmφのスタティックミキサーを4本接続した状態、管内温度210〜220℃)、第21〜第24スタティックミキサー17u〜17x(管長0.5m、内径20mmφのスタティックミキサーを4本接続した状態、管内温度210℃)として構成した。
MDI 326重量部(三井武田ケミカル社製、商品名:コスモネートPH)を、ポリイソシアネート貯蔵タンク6に仕込み、45℃に調整した。
平均分子量1000のポリテトラメチレンエーテルグリコール510重量部(保土ヶ谷化学社製、商品名:PTG−1000)、および、マクロポリオール100重量部に対して、0.965重量部のヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、商品名:イルガノックス1010)(以下、これらの成分をポリオール溶液という。)を、ポリオール貯蔵タンク7に仕込み、60℃に調整した。
1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン158重量部(サンテクノケミカル社製、商品名:BHEB、以下、BHEBという。)を、鎖伸長剤貯蔵タンク8に仕込み、125℃に調整した。なお、これらの操作は窒素雰囲気下で行なった。
次いで、MDIを16.32kg/hの流速で、ポリオール溶液を25.76kg/hの流速で、高速攪拌機9(櫻プラント社製 SM40、設定温度120℃)に通液し、十分に各原料を攪拌混合した後、スタティックミキサー部4の第1スタティックミキサー17aに通液し、第1〜第4スタティックミキサー17a〜17dにおいて、イソシアネート基末端プレポリマーを合成した。
このプレポリマーの遊離イソシアネート基濃度(NCO%)を測定し、計算した結果、イソシアネート基の反応率は99%であった。
また、これと連続して、鎖伸長剤貯蔵タンク8より7.92kg/hの流速でBHEBをスタティックミキサー部4における第1〜第4スタティックミキサー17a〜17dと第5〜第8スタティックミキサー17e〜17hとの間のT字接続管21に通液した。
第24スタティックミキサー17xから流出された反応物を、ストランドダイ19から押し出し、これをペレタイザー20によってカット後、100℃、24時間で乾燥し、ペレット状のTPUを得た。
実施例6
図3に示す製造装置1cにおいて、反応ポット16を接続し、単軸押出機18を接続せず、スタティックミキサー部4の各スタティックミキサー17を24連接続とし、その第1〜第4スタティックミキサー17a〜17dと、第5〜第8スタティックミキサー17e〜17hとの間にT字接続管21を接続したものを用いて、以下の操作により、TPUを製造した。
なお、スタティックミキサー部4は、第1〜第4スタティックミキサー17a〜17d(管長0.5m、内径38mmφのスタティックミキサーを4本接続した状態、管内温度200〜250℃)、第5〜第8スタティックミキサー17e〜17h(管長0.5m、内径13mmφのスタティックミキサーを4本接続した状態、管内温度250℃)、第9〜第12スタティックミキサー17i〜17l(管長0.5m、内径20mmφのスタティックミキサーを4本接続した状態、管内温度230〜250℃)、第13〜第16スタティックミキサー17m〜17p(管長0.5m、内径20mmφのスタティックミキサーを4本接続した状態、管内温度210〜220℃)、第17〜第20スタティックミキサー17q〜17t(管長0.5m、内径20mmφのスタティックミキサーを4本接続した状態、管内温度200〜210℃)、第21〜第24スタティックミキサー17u〜17x(管長0.5m、内径20mmφのスタティックミキサーを4本接続した状態、管内温度190℃)として構成した。
2,5−、2,6−ジイソシアネートメチル−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタンの異性体の混合物(三井武田ケミカル社製、商品名:コスモネートNBDI、以下、NBDIという。)を、ポリイソシアネート貯蔵タンク6に仕込み、55℃に調整した。
数平均分子量1000のポリカプロラクトンジオール484重量部(ダイセル化学社製、商品名:プラクセル210)、および、マクロポリオールに対して重量基準で20ppmのジラウリル酸ジ−n−ブチル錫(東京化成社製)、ポリオール100重量部に対して、1.2重量部の液状光安定剤(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、商品名:チヌビンB75)(以下、これらの成分をポリオール溶液という。)を、ポリオール貯蔵タンク7に仕込み、90℃に調整した。
BHEB(サンテクノケミカル社製、商品名:BHEB)185重量部を、鎖伸長剤貯蔵タンク8に仕込み、125℃に調整した。なお、これらの操作は窒素雰囲気下で行なった。
次いで、NBDIを16.28kg/hの流速で、ポリオール溶液を24.49kg/hの流速で、高速攪拌機9(櫻プラント社製 SM40、設定温度120℃)に通液し、十分に各原料を攪拌混合した後、スタティックミキサー部4の第1スタティックミキサー17aに通液し、第1〜第4スタティックミキサー17a〜17dにおいて、イソシアネート基末端プレポリマーを合成した。
また、これと連続して、鎖伸長剤貯蔵タンク8より9.23kg/hの流速でBHEBをスタティックミキサー部4における第1〜第4スタティックミキサー17a〜17dと第5〜第8スタティックミキサー17e〜17hとの間のT字接続管21に通液した。
第24スタティックミキサー17xから流出された反応物を、ストランドダイ19から押し出し、これをペレタイザー20によってカット後、100℃、24時間で乾燥し、ペレット状のTPUを得た。
実施例7
図4に示す製造装置1dにおいて、反応ポット16を接続せず、単軸押出機18を接続して、スタティックミキサー部4の各スタティックミキサー17を20連接続とし、その第1〜第12スタティックミキサー17a〜17lと、第13〜第20スタティックミキサー17m〜17tとの間にインジェクションティ22を接続したものを用いて、以下の操作により、TPUを製造した。
なお、スタティックミキサー部4は、第1〜第7スタティックミキサー17a〜17g(管長0.5m、内径20mmφのスタティックミキサーを7本接続した状態、管内温度190℃)、第8〜第9スタティックミキサー17h〜17i(管長1.0m、内径20mmφのスタティックミキサーを2本接続した状態、管内温度180℃)、第10〜第12スタティックミキサー17j〜17l(管長1.0m、内径38mmφのスタティックミキサーを3本接続した状態、管内温度170℃)、第13〜第14スタティックミキサー17m〜17n(管長0.5m、内径20mmφのスタティックミキサーを2本接続した状態、管内温度170℃)、第15〜第20スタティックミキサー17o〜17t(管長0.5m、内径38mmφのスタティックミキサーを6本接続した状態、管内温度170℃)として構成した。また、インジェクションティ22には、30mmφ単軸押出機23(GMエンジニアリング社製、160〜180℃)を接続した。
HMDI 1623重量部(住化バイエルウレタン社製、50℃で溶融)を、ポリイソシアネート貯蔵タンク6に仕込み、40℃に調整した。
数平均分子量200のポリエステルポリオール3048重量部(豊国製油社製、商品名:HT−12、95℃で溶融)、および、マクロポリオールに対して重量基準で25ppmのスタナスオクトエート(エーピーアイコーポレーション社製、商品名:スタノクト)、マクロポリオール100重量部に対して、1.0重量部のビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド(RASCHIG GmbH社、商品名:スタビライザー7000)、0.34重量部のヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバガイギ社製、商品名:イルガノックス1010)、0.34重量部のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(城北化学社製、商品名:JF−83)、0.16重量部のヒンダードアミン系光安定剤(旭電化工業社製、商品名:LA−52)(以下、これらの成分をポリオール溶液という。)を、ポリオール貯蔵タンク7に仕込み、90℃に調整した。
BG400重量部(BASF社製、50℃で溶融)を、鎖伸長剤貯蔵タンク8に仕込み、50℃に調整した。なお、これらの操作は窒素雰囲気下で行なった。
次いで、HMDIを11.76kg/hの流速で、ポリオール溶液を21.35kg/hの流速で、BGを2.8kg/hの流速で高速攪拌機9(櫻プラント社製 SM40、設定温度120℃)に通液し、十分に各原料を攪拌混合した後、スタティックミキサー部4の第1スタティックミキサー17aに通液した。
また、これと連続して、単軸押出機23に、消臭剤(東亞合成社製、商品名:ケスモン)を40重量%含有するマスターバッチペレット(実施例7により得られるTPUと同一組成)を、6kg/hで連続投入し、スタティックミキサー部4における第1〜第12スタティックミキサー17a〜17lと、第13〜第20スタティックミキサー17m〜17tとの間のインジェクションティ22に供給した。
その後、第20スタティックミキサー17tから流出された反応物を、単軸押出機(GMエンジニアリング社製、65mmφ、圧入部分140℃)に圧入した後、ストランドダイ19から押し出し、水中カット装置(GaLa社製)で水中カットすることによって、消臭剤が添加されたペレット状のTPUを得た。
比較例1
実施例1と同様の原料(但し、マクロポリオールに対する重量基準での触媒の添加量40ppm)を用いて、実施例1と同様の高速攪拌機(櫻プラント社製 SM40、設定温度120℃)により混合した後、46mmφ二軸押出機(池貝、PCM46、L/D=41.5、200〜250℃)に通液し、混合および反応させた後、ギアポンプによって、スタティックミキサー(管長0.5m、内径38mmφ、管内温度200℃)に圧入した。
その後、実施例1と同様にペレット化を試みたが、ダイの先端部で溶融粘度が上昇せず、ペレタイザーによるカットはできなかった。
比較例2
実施例1と同様の原料(但し、マクロポリオールに対する重量基準での触媒の添加量1000ppm)を用いて、比較例1と同様の操作により、ペレット状のTPUを得た。
比較例3
実施例2と同様の原料を用いて、各成分を反応容器中において混合して反応させた。この反応においては、HMDIの反応が遅く、約1時間経過しても、反応容器中で流動性を示し、完全に固化するまで、5時間以上必要であった。その後、100℃でアニールした後、切断機と粉砕機でフレーク状とすることによって、バッチ法により、TPUを得た。
比較例4
MDI 1599重量部、添加剤(ポリオール100重量部に対して、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を、0.34重量部)を含む数平均分子量2000のポリカーボネートジオール2408重量部(宇部興産社製、商品名:UH−CARB2000)、BG 452重量部を用いて、各成分を混合後、120℃で16時間アニールし、その後、切断機と粉砕機でフレーク状とすることによって、バッチ法により、TPUを得た。
比較例5
実施例4と同様の原料(但し、マクロポリオールに対して、重量基準で20ppmのスタナスオクトエートを添加)を用いて、比較例1と同様の装置および条件で、ペレット状のTPUを得た。なお、実施例4と同様に、触媒を添加せずに製造したが、ペレット化できるまで増粘させることができなかった。これに対し、実施例4で得られたTPUの溶融粘度を測定した結果、500Pa.s以上となり、さらに、経時的に残存イソシアネートが反応して、3日後には、2000Pa.s以上であった。
比較例6
図1に示す製造装置1aにおいて、混合部3、反応ポット16および単軸押出機18を接続せず、直接、マクロポリオール、ポリイソシアネート、鎖延長剤をスタティックミキサーに導入した。スタティックミキサー部4の各スタティックミキサー17を24連続とした。これに、実施例5と同様に調整された原料を通液し、以下の操作により、TPUを製造した。
なお、スタティックミキサー部4は、第1〜第4スタティックミキサー17a〜17d(管長0.5m、内径38mmφのスタティックミキサーを4本接続した状態、管内温度200〜260℃)、第5〜第8スタティックミキサー17e〜17h(管長0.5m、内径13mmφのスタティックミキサーを4本接続した状態、管内温度280℃)、第9〜第12スタティックミキサー17i〜17l(管長0.5m、内径20mmφのスタティックミキサーを4本接続した状態、管内温度250〜280℃)、第13〜第16スタティックミキサー17m〜17p(管長0.5m、内径20mmφのスタティックミキサーを4本接続した状態、管内温度220〜230℃)、第17〜第20スタティックミキサー17q〜17t(管長0.5m、内径20mmφのスタティックミキサーを4本接続した状態、管内温度210〜220℃)、第21〜第24スタティックミキサー17u〜17x(管長0.5m、内径20mmφのスタティックミキサーを4本接続した状態、管内温度210℃)として構成した。
ポリオール溶液を25.76kg/h、MDIを16.32kg/h、そしてBHEBを7.92kg/hの流速で通液した。
第24スタティックミキサー17xから流出された反応物を、ストランドダイ19から押し出し、これをペレタイザー20によってカット後、100℃、24時間で乾燥し、ペレット状のTPUを得た。
比較例7
図1に示す製造装置1aにおいて、混合部3、反応ポット16および単軸押出機18を接続せず、直接、マクロポリオール、ポリイソシアネート、鎖延長剤をスタティックミキサーに導入した。スタティックミキサー部4の各スタティックミキサー17を24連続とした。これに、実施例6と同様(但し、マクロポリオールに対する重量基準でのジラウリル酸ジ−n−ブチル錫の添加量は600ppm)に調整された原料を通液した。以下の操作により、TPUを製造した。
なお、スタティックミキサー部4は、第1〜第4スタティックミキサー17a〜17d(管長0.5m、内径38mmφのスタティックミキサーを4本接続した状態、管内温度200〜250℃)、第5〜第8スタティックミキサー17e〜17h(管長0.5m、内径13mmφのスタティックミキサーを4本接続した状態、管内温度250℃)、第9〜第12スタティックミキサー17i〜17l(管長0.5m、内径20mmφのスタティックミキサーを4本接続した状態、管内温度230〜250℃)、第13〜第16スタティックミキサー17m〜17p(管長0.5m、内径20mmφのスタティックミキサーを4本接続した状態、管内温度210〜220℃)、第17〜第20スタティックミキサー17q〜17t(管長0.5m、内径20mmφのスタティックミキサーを4本接続した状態、管内温度200〜210℃)、第21〜第24スタティックミキサー17u〜17x(管長0.5m、内径20mmφのスタティックミキサーを4本接続した状態、管内温度190℃)として構成した。
ポリオール溶液を24.49kg/h、NBDIを16.28kg/h、そしてBHEBを7.92kg/hの流速で通液した。
第24スタティックミキサー17xから流出された反応物を、ストランドダイ19から押し出し、これをペレタイザー20によってカット後、100℃、24時間で乾燥し、ペレット状のTPUを得た。
評価
試験例1
実施例1および比較例2で得られたTPUの1日後の溶融粘度を、高架式フローテスター(島津製作所社製、型式:CFT−500D、測定条件は、下記項目(3)と同じ。)を用いて測定した。その結果、両方のTPUともに、10000Pa.s以上であった。
これらTPUを冷暗所において室温で保存し、2ヶ月後に溶融粘度を測定すると、実施例1のTPUは残存イソシアネートの反応が進行して、15000Pa.s以上となっていたのに対して、比較例2のTPUは7000Pa.s以下となり、継続して測定すると、さらに溶融粘度が低下していることが確認された。比較例2のTPUの溶融粘度の低下は、触媒による分解であるものと推定された。
試験例2
実施例3(HMDIタイプ)および比較例4(MDIタイプ)で得られたTPUを射出成形機(三菱重工社製75MSII、210℃に設定)で、厚さ3mmの100×100mmのプレートを作製した。得られた各プレートを、太陽光があたる室外に1週間放置し、耐光試験した。1週間後、各プレートを比較した結果、実施例3のTPUからなるプレートは、変色しなかったのに対し、比較例4のTPUからなるプレートは、明らかに黄変していることが確認された。
試験例3
実施例1および比較例5で得られたTPUをブラペンダー(ブラペンダー社製)を用いて、幅80mm、厚さ0.1mmのシート状に成形し、下記項目(4)と同じ条件で、フィッシュアイ(ゲル化物)を測定した。
その結果、比較例5のTPUでは、フィッシュアイが稼動初期から確認された。これに対して、実施例4のTPUでは、稼動から24時間たった時点では、フィッシュアイが確認できなかった。
試験例4
各実施例5、6および各比較例6、7で得られたTPUを、射出成形あるいはフィルムに成形することにより試験片を調製して、下記(1)〜(5)の項目について測定した。なお、試験片は、100℃、24時間、熱処理した後に、各種試験に供した。その結果を表1に示す。
(1)硬度
23℃、50%相対湿度下において、JIS K−7311記載の方法によりショアー硬度を測定した。なお、デュロメーターは、タイプAを使用した。
(2)引張強度(単位:MPa)、破断伸び(単位:%)、引裂き強度(単位:kN/m)、テーバー磨耗量(単位:mg)、圧縮永久歪(単位:%)
23℃、50%相対湿度下において、引張強度、破断伸び、引裂き強度およびテーバー磨耗量を、JIS K−7311記載の方法により測定した。圧縮永久歪は、JIS K−6251記載の方法により、70℃、20時間の条件で測定した。
(3)流動開始温度(単位:℃)および溶融温度幅(単位:℃)
実施例5、6および比較例6、7で得られたTPUのペレット(またはフレーク)2gを高架式フローテスター(島津製作所社製、型式:CFT−500D)に充填し、1mm(径)×10mm(長さ)のノズルを用い、昇温速度2.5℃/min、荷重196Nの条件で、流動開始温度を測定した。溶融温度幅は、ペレット(またはフレーク)2gが溶融を開始した温度と、ノズルから流出が完了した温度の差として測定した。
(4)フィッシュアイ(単位:個/300cm2)
実施例5、6および比較例6、7で得られたTPUを厚さ100μmのフィルムに成形後、長さ200mm、幅150mmのフィルムを切り出し、80μm以上の径を有する小塊粒を偏光顕微鏡にて測定し、個数を測定した。
(5)黄変性(ΔYI)
比較例6、7で得られたTPUの射出成形シートを用い、JIS K−7350−2A法に準拠して測定した。キセノン照射試験機(スーパーキセノンウェザーメーターSX75:スガ試験機社製)を用い、ブラックパネル温度63℃、相対湿度50%、照度0.35w/m2の条件下、照射後、1000時間で試験片を取り出し、イエローインデックスの増加率で評価した。