JP2004181998A - 自動車のスペアタイヤ格納構造 - Google Patents

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JP2004181998A JP2002348146A JP2002348146A JP2004181998A JP 2004181998 A JP2004181998 A JP 2004181998A JP 2002348146 A JP2002348146 A JP 2002348146A JP 2002348146 A JP2002348146 A JP 2002348146A JP 2004181998 A JP2004181998 A JP 2004181998A
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幸一 太田
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Abstract

【課題】衝突荷重が車両の後方及び斜め後方から入力された場合でも確実にスペアタイヤを斜めに立ち上げるスペアタイヤ格納構造を提供する。
【解決手段】車体後部に凹状に形成されたスペアタイヤパン41内にスペアタイヤ搭載装置10を介してスペアタイヤ44を収納する自動車のスペアタイヤ格納構造において、スペアタイヤ搭載装置10は、車両後方又は斜め後方から入力される車両前後方向の圧縮荷重によって車両上下方向に折り曲がり、搭載されたスペアタイヤ44の前端47がスペアタイヤパン41の高さHよりも高くなるまでスペアタイヤ44を斜め上方に回動させるスペアタイヤ取付具12を備えている。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のスペアタイヤ格納構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のスペアタイヤ格納構造にあっては、例えば車両後部のスペアタイヤパンの底面に荷重伝達メンバを車両前後方向に沿って配設し、この荷重伝達メンバにスペアタイヤを保持すると共に、荷重伝達メンバの後端部に衝突荷重受け部を設けたものがある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−11359号公報
【0004】
【特許文献2】
特開2001−11413公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特許文献1,2に記載されたスペアタイヤ格納構造においては、特定方向から入力される衝突荷重に対してのみスペアタイヤが一定の軌跡を描きながら立ち上がり、前記特定方向以外の方向から入力される荷重に対して軌跡を描きながら立ち上がることは困難であった。従って、特定方向以外のあらゆる方向から衝突荷重が入力された場合にも、スペアタイヤが確実に立ち上がるスペアタイヤ格納構造が望まれている。
【0006】
そこで、本発明は、衝突荷重が車両の真後ろから前方に向けて入力する場合に限らず、確実にスペアタイヤを斜めに立ち上げるスペアタイヤ格納構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、車体後部に凹状に形成されたスペアタイヤパンの底面にスペアタイヤ搭載手段を固定し、該スペアタイヤ搭載手段にスペアタイヤを搭載することによって、スペアタイヤをスペアタイヤパン内に収納する自動車のスペアタイヤ格納構造において、
前記スペアタイヤ搭載手段は、車両後方又は斜め後方から入力される車両前後方向の圧縮荷重によって車両上下方向に折り曲がり、搭載されたスペアタイヤの前端側がスペアタイヤパンの高さよりも高くなるまでスペアタイヤを斜め上方に持ち上げるようにしている。
【0008】
【発明の効果】
本発明によれば、スペアタイヤ搭載手段が前記圧縮荷重によって上下方向に屈曲するため、前記搭載手段に車両後方のみならず、斜め後方から衝突荷重が入力された場合においても、搭載手段に固定されているスペアタイヤは確実に斜めに立ち上がり、最終的には横向きから縦向きに姿勢が変わるようにすることができる。また、スペアタイヤの前端側がスペアタイヤパンの高さよりも高く持ち上がるため、衝突荷重が入力された場合でも、スペアタイヤからスペアタイヤパンにこの荷重が伝達されない。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。なお、以下の説明において、前方とは車両前方を、後方は車両後方を、前後方向、上下方向とは車両の前後方向、上下方向を示すものとする。
【0010】
[第1の実施形態]
第1の実施形態によるスペアタイヤ搭載装置10は、車体後部のスペアタイヤパン上に取り付けられた架台11と、該架台11上に配設されたスペアタイヤ取付具12とを備えている。
【0011】
前記架台11は、前後方向に沿って延設された矩形状のケースに構成されており、その前端と後端とに車幅方向に延びる取付フランジ13,14が設けられている。この架台11は、例えば、矩形状のプレス成形用鋼板を複数回折り曲げることによって箱状に一体成形したもの、複数のプレス用ブランク材を溶接等によって接合したもの、及びアルミニウムを押出成形したものなどを好適に採用することができる。また、前側の取付フランジ13の上部の架台側面には、後述する支持ピン15を挿通する支持孔16が穿設されている。この支持孔16と後側の取付フランジ14との間の架台上面には、脆弱部としての折曲ビード17が断面V字状に形成されている。この折曲ビード17は、車幅方向に沿って延びて下方に凹んで形成されている。そして、架台11の内方は、後述するロッド状のスライド部18を前後方向に摺動させるためのガイド部19に形成されている。
【0012】
一方、スペアタイヤ取付具12は、リンクピン20及び留めピン21によってそれぞれ互いに回動自在に連結された前側の第1ロッド材22と後側の第2ロッド材23とで構成されている。第1ロッド材22は、前端部24が斜め下方に屈曲しており、この前端部24が支持ピン15とナット25を介して前記架台11の支持孔16に回動自在に軸支されている。また、第1ロッド22の後端部は、左右に二股状に分かれた連結部26に形成され、該連結部26には、リンクピン20を挿通するための取付孔27が穿設されている。
【0013】
そして、第2ロッド材23は、前端が前記第1ロッド材22の連結部26に嵌合する突出部28に形成され、該突出部28には前記リンクピン20を挿通するための取付孔29が穿設されている。従って、リンクピン20を、前記第1ロッド材22の連結部26と第2ロッド材23の突出部28の取付孔29に挿通して留めピン21で保持することによって、第2ロッド材23が第1ロッド材22に対して回動自在に連結されている。また、第2ロッド材23の突出部28の前端面30は、前記第1ロッド材22の連結部26の縦壁面31に当接することにより、第2ロッド材23が第1ロッド材22に対して回転することを阻止する回転止め手段として作用する。さらに、第2ロッド材23の後端部は、斜め下方に屈曲しており、その先端は左右に延びるロッド状のスライド部18として形成されている。このスライド部18は、車幅方向に延びる円柱状の部材であり、その左右両端の角部32は、図2に示すように、断面が全周に亘ってR形状に形成されている。このように、前記架台11の内方に形成されたガイド部19の面に対して摺動するスライド部18の摺動面を断面R形状に形成している。そして、第2ロッド材23には、スペアタイヤを保持するためのタイヤ保持部33が形成されており、該タイヤ保持部33には、スペアタイヤを保持するボルトを螺合するためのボルト穴34が形成されている。なお、前記第1ロッド材22、第2ロッド材23、及び架台11はスペアタイヤからの荷重に耐える十分な強度を有するものとし、第1、第2ロッド材22,23の材質としては鉄やアルミニウムのプレス成形材や鋳物が好適であり、架台11にはプレス鋼板を組み合わせたものやアルミニウムの押し出し成形材が好適である。
【0014】
図3は、車両後部に後方から衝突荷重が入力した場合のスペアタイヤの搭載位置の変化を示す断面図であり、このうち、(a)は衝突前の状態を示し、(b)は衝突初期の状態を示し、(c)は衝突後期の状態を示している。
【0015】
図3(a)に示すように、車体後部にはリヤフロアパネル40が配設されており、該リヤフロアパネル40の後端部は、下方に凹んだスペアタイヤパン41に形成されている。このスペアタイヤパン41の後端部にはリヤパネル42が配設されており、該リヤパネル42の後方には簡略的に示したリヤバンパ43の後端面が位置している。さらに、第1実施形態によれば、スペアタイヤ搭載装置10に搭載されたスペアタイヤ44の後端45が架台11の後端46よりも後方に位置するように構成されている。なお、スペアタイヤ44は保持具35を介してタイヤ保持部33に固定されている。
【0016】
この車両後端部において、図3(b)に示すように、後方からリヤバンパ43に対して衝突荷重Fが入力されると、リヤバンパ43は前方に移動してリヤパネル42が押しつぶされる。こののち、リヤパネル42はスペアタイヤ44の後端45に突き当たると、第2ロッド材23のスライド部18が架台11のガイド部19内を前方に摺動して、第2ロッド材23とスペアタイヤ44が共に、それらの前端側が上方に持ち上がるように斜め上方に傾く。
【0017】
さらに衝突が進むと、図3(c)に示すように、架台11の折曲ビード17を起点に架台11が略V字状に屈曲するため、ガイド部19の面上を前記スライド部18がさらに前方に移動し、第2ロッド材23の傾斜角度が大きくなって、スペアタイヤ44の前端47の下端47aがスペアタイヤパン41の縦壁面48の高さH以上に持ち上がり、スペアタイヤ44が縦壁面48に当たることなく縦壁面48を乗り越えるように移動する。このように、衝突時においても、スペアタイヤ44の前端47が縦壁面48に当たることがないため、衝突荷重が直接スペアタイヤパン41に伝達されない。
【0018】
図4と図5は、衝突荷重を受けた場合におけるスペアタイヤ44及びスペアタイヤ搭載装置10の挙動を示すグラフである。
【0019】
図4において、横軸のXは前後方向の距離を示し、一目盛りが100mmのスケールに設定されており、縦軸のZは上下方向の距離を示し、一目盛りが50mmのスケールに設定されている。また、スペアタイヤ44とスペアタイヤ搭載装置10は、実線が衝突前、二点鎖線が衝突後期の位置を示している。この図4によれば、スペアタイヤ44の後端45が衝突によってdからd‘の位置に、即ち前方に約100mm移動し、この間に、スペアタイヤ44の前端47がaからa’の位置に、即ちほぼ真上に約300mm移動することがわかる。さらに、スペアタイヤ取付具12も、連結部26の取付孔27の位置がbからb’に移動すると共に、タイヤ保持部33がcからc’に移動する。
【0020】
図5において、横軸のXはスペアタイヤ44の後端45の前後方向の移動量であり、縦軸のZはスペアタイヤ44の前端47の上下方向の移動量である。また、横軸及び縦軸の一目盛りはともに50mmに設定され、図のxはスペアタイヤ44の後端45と架台11の後端46との差異を示しており、zはスペアタイヤ44の前端47の上下方向移動量を示している。前記xは例えば21.3mmであり、zは105mmである。スペアタイヤ44の厚さが105mmであり、このグラフより、スペアタイヤ44はスペアタイヤパン41と衝突することなく前端47がスペアタイヤパン41の上方を移動できることが判る。
【0021】
さらに、図6〜図10を用いて、車両後部に左斜め後方から衝突荷重Fが入力された場合のスペアタイヤ搭載装置10の挙動を説明する。
【0022】
図6に示すように、スペアタイヤ44に左斜め後方から右斜め前方に向けて衝突荷重Fが入力すると、図7に示すように、前方にはこの衝撃荷重Fのうち縦方向の荷重成分F(F)成分が、右方向にはF(R)成分が作用する。ここで、前述したように、スペアタイヤ取付具12のスライド部18は、その左右両端の角部32が断面R形状に形成されており、図9から明らかなように、スライド部18とガイド部19の内面とは、上下方向及び左右方向に所定の間隙を隔てて配設されている。このため、スライド部18の端末の角部32がガイド部19の内面に当接し、図10に示すように、荷重成分F(R)により架台11が変形しても、スライド部18の摺動抵抗を減らしてスムーズにスライド部18が車両前方に移動できる。
【0023】
なお、前記第1実施形態では、ロッド材を2本連結したが、ロッド材は3本以上でも良い。
【0024】
前記第1の実施形態によれば、前述した以外にも、次の作用効果を奏する。即ち、スペアタイヤ44を横方向にした姿勢でスペアタイヤパン41内に格納するため、従来のように、スペアタイヤ44を斜めの姿勢で保持する場合に比較して、ラゲッジルームの容量が拡大し、車体下部に配設する構成部品を他の部位に移動しなければならない等の配置上の問題点が生じなくなる。 また、衝突時にスペアタイヤ44が縦向きに立ち上がるため、車体後部の潰れストロークを拡大し、後面衝突時の車体吸収エネルギーを増加することができる。
【0025】
[第2の実施形態]
次いで、第2の実施形態を説明するが、前述した第1の実施形態と共通する内容については、説明を省略する。
【0026】
図11は、第2の実施形態によるスペアタイヤ搭載具60である。この図に示すように、スペアタイヤ搭載具60は本体部が前後方向に延びる架台61から構成されており、該架台61の前端部と後端部に取付部である取付フランジ62,63が形成されている。また、架台61の前後方向の中央部上面にはスペアタイヤを固定する保持ブラケット64が溶接されている。
【0027】
前記架台61は、上面、下面及び両側面によって断面が矩形状に形成され、前後方向に沿って細長く延設されている。この架台61の前端には、下方に湾曲して凹んだ第1の折曲ビード65が車幅方向に沿って形成され、該第1の折曲ビード65の前側には平面状の取付フランジ62が設けられている。
【0028】
架台61の中央部には、車幅方向に沿って断面逆V字状の第2の折曲ビード66が形成されており、架台61に対して前後方向の圧縮荷重が入力された場合に、この第2の折曲ビード66を起点に架台61が折れ曲がるように構成されている。
【0029】
さらに、架台61の後端には、上面の後端縁から上方に延びる取付フランジ63が形成されている。また、本体部の架台61は、横長の断面形状とすることで上方への曲がりを得やすくし、前端で断面を絞ることによって第1の折り曲げビード65における変形を生じやすくしている。
【0030】
図12〜図17に、前記架台の各種組付構造を示す。架台の材質は、プレス成形鋼板を組み合わせたものや、ハイドロフォーム成形したもの、そして板材を組み合わせたもの等を採用することができる。また、折り曲げビードは強度上の脆弱部であれば良いため、成形ビード、溶接によるビード、材料の板厚や材質の部分的変化部、部材断面変化部、これらの組み合わせ等を部材に設定することで得られる。また、架台の強度は、発生するモーメントがスペアタイヤ44を持ち上げる力となるよう設定し、保持ブラケット64は十分に強度を与え変形しないように設定する。以下、具体的にそれぞれを説明する。
【0031】
まず、図12の架台67は、液圧による絞り成形、即ちハイドロフォームによって箱形状の本体部68を作製し、この本体部68の前後方向の中央部に断面逆V字状のビード69を形成したものである。図13に示す架台70は、車幅方向の断面形状がハット状に形成されたハット部材71の上側に、平面視が矩形状に形成されたプレート72を溶接して組み付けている。前記ハット部材71の前後方向の中央部には断面逆V字状のビード73が車幅方向に沿って形成されており、このビード73が架台70を上下方向に容易に折り曲げるための脆弱部となっている。
【0032】
図14に示す架台74は、2つのハット部材75,76を前後方向に間隔を隔てて配置し、これらのハット部材75,76の上側から、平面視が矩形状に形成されたプレート77を溶接して組み付けている。この架台74においては、前記2つのハット部材75,76の間のプレート部分が、架台74を上下方向に容易に折り曲げるための脆弱部となっている。
【0033】
図15に示す架台78は、2枚の厚板79,80を前後方向に間隔を隔てて配置し、これらの厚板79,80の上面に長い一枚のプレート81を溶接によって固定したものである。この架台78においては、下側に配設される前記厚板79,80の間のプレート部分が、架台78を上下方向に容易に折り曲げるための脆弱部となっている。
【0034】
図16に示す架台82は、2枚の厚板83,84を間隔を隔てて配置し、これらの厚板83,84の間に、変形が容易な薄板85を配置し、これら厚板83,84と薄板85との境界部にレーザー溶接を施したものである。この架台82においては、薄板85の部分が、架台82を上下方向に容易に折り曲げるための脆弱部となっている。
【0035】
図17に示す架台86は、一枚の鋼板をプレス成形することにより、前後方向に沿った断面ハット状のビード87と、前後方向の中央部に車幅方向に沿った断面逆V字状のビード88とを形成している。この架台86においては、車幅方向に沿ったビード88が、架台86を上下方向に容易に折り曲げるための脆弱部となっている。
【0036】
図18に、図11に示したスペアタイヤ搭載具60を配設した車両後部に衝突荷重Fが入力した場合の車両後部の変形挙動を示す。この図において、(a)は衝突前の状態を、(b)は衝突初期段階の状態を、(c)は衝突後期段階の状態を示している。
【0037】
図18(a)に示すように、スペアタイヤ搭載具60は、前端部側の取付フランジ62がスペアタイヤパン89の底面90に溶接されており、後端部側の取付フランジ63は車体後端部のリヤパネル91に溶接されている。また、前記スペアタイヤ搭載具60の車両後方端である取付フランジ63の位置を、前記スペアタイヤ44の車両後方端45よりも車両後方側に配置している。さらに、スペアタイヤ44は、保持具35を介して、前記保持ブラケット64に取り付けられている。なお、前側の取付フランジ62の固定強度は、衝突時における架台61の曲がり変形時の最大反力で剥離されることがないように設定する。
【0038】
この車両後部にリヤバンパー92の後端から衝突荷重Fが入力されると、図18(b)に示すように、リヤバンパー92が前方に変形して移動することにより、スペアタイヤ搭載具60の架台61に圧縮荷重が加わる。この圧縮荷重により、架台61に形成された2つの脆弱部65,66を起点として架台61が折れ曲がる。つまり、第1の折曲ビード65を中心として架台61の前部93を前方に向けて折り曲げると共に、第2の折曲ビード66を境にして架台61の後部94と前部93が逆V字状に屈曲する。
【0039】
さらに衝突変形が進むと、前記後部94は、斜め上方に屈曲することにより、スペアタイヤ44がその前端47が上方に持ち上がってスペアタイヤパン89の高さH以上になる。このように、スペアタイヤ44の前端47がスペアタイヤパン89の縦壁面95を乗り越えながら、スペアタイヤ44が前方に移動する。
【0040】
第2の実施形態によるスペアタイヤ搭載具60において、後面衝突時の時系列挙動をFEM(Finite Element Method:有限要素法)でシミュレートした解析結果を図19〜図21に示す。これらの図のうち、図19は車両後方から衝突荷重Fが入力した場合の斜視図であり、(a)は衝突前の状態を示し、(b)は衝突初期(例えば、衝突後5ms経過後)の状態を示し、(c)は衝突後期(例えば、衝突後10ms経過後)の状態を示している。また、図20は車両の斜め後方から衝突荷重が入力した場合の平面図であり、(a)は衝突前の状態を示し、(b)は衝突後期の状態を示している。さらに、図21は車両の斜め後方から衝突荷重が入力した場合の斜視図であり、図19と同様に、(a)は衝突前の状態を示し、(b)は衝突初期(例えば、衝突後5ms経過後)の状態を示し、(c)は衝突後期(例えば、衝突後10ms経過後)の状態を示している。
【0041】
図19から、第2の実施形態によるスペアタイヤ搭載具60も、第1の実施形態のスペアタイヤ搭載装置10と同様の変形挙動を行うことが判る。つまり、前側の第1の折曲ビード65を中心に架台61の前部93が効率的に屈曲するとともに、中央側の第2の折曲ビード66を境に架台61の前部93と後部94が効率的に屈曲する。なお、架台61の前後方向中央部に示した矢印Sは、スペアタイヤ(図示せず)の固定方向を指している。
【0042】
また、図20から、第2の実施形態によるスペアタイヤ搭載具60の架台61は、斜め後方から入力された衝突荷重F’によって第1及び第2の脆弱部65,66が変形し、斜め方向の荷重F’のうち、車幅方向の荷重成分が効率的に吸収されることが判る。さらに、図21に示すように、車幅方向の荷重成分の吸収分だけ架台61の上方側への変形量が減少しているが、第1の実施形態によるスペアタイヤ搭載装置10とほぼ同等の変形をすることが確認できる。
【0043】
図22は、第2実施形態によるスペアタイヤ搭載具60の構造を概略的に示した模式図である。この図において、直線は架台61を示し、前端と後端の黒丸は取付部62,63を示し、前後方向の中央部の黒丸は第2の折曲ビード66を示している。
【0044】
また、図23〜図25に示すように、架台の前部又は後部を二股に分割して形成するようにしても良い。図23のスペアタイヤ搭載具100は架台の後部101が二股に分割された平面視逆Y字状に、図24のスペアタイヤ搭載具102は架台の前部103が二股に分割された平面視Y字状に、図25のスペアタイヤ搭載具104は架台の前部105と後部106が二股に分割された平面視X字状に形成されている。
【0045】
前述した第1の実施形態によるスペアタイヤ搭載装置は、スペアタイヤへの衝突荷重により架台が屈曲するため負荷受け方向が広い。しかし、図22に示すスペアタイヤ搭載具においては、架台の後端が負荷受け面となるためオーバーラップの低い衝突時に顕著な効果が現れにくいおそれがある。従って、図23に示すように、平面視逆Y字状として荷重の受け面積を増加させて動作範囲を拡大することが好ましい。また、図24に示すように、平面視Y字状にすることによって、前側の取付部にかかる衝突荷重が2箇所に分散されるため、1箇所あたりの取付部に入力される荷重が軽減される。なお、図25に示すスペアタイヤ搭載具によれば、衝突荷重の受け面積を増加させて動作範囲を拡大すると共に、1箇所あたりの取付部に入力される荷重を軽減することができる。
【0046】
以上の構成を有する第2の実施形態によるスペアタイヤ格納構造によれば、前述した以外にも、次の作用効果を奏する。即ち、図18に示すように、架台61が第1及び第2の折曲ビード65,66から屈曲するため、この折り曲がりによって衝突エネルギーを効率的に吸収することができる。また、架台61自体を屈曲させてスペアタイヤ44を斜めに持ち上げるため、別個にスペアタイヤ44を保持する保持具を設ける必要がなく、製造コストを安価にして、重量も軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態によるスペアタイヤ搭載装置を示す分解斜視図である。
【図2】図1のスライド部のA−A線による拡大断面図である。
【図3】第1の実施形態によるスペアタイヤ搭載装置を配設した車両後部に車両後方から衝突荷重が入力した場合におけるスペアタイヤの挙動を示す断面図であり、(a)は衝突前、(b)は衝突初期、(c)は衝突後期の状態を示す。
【図4】第1の実施形態によるスペアタイヤ搭載装置を配設した車両後部に車両後方から衝突荷重が入力した場合におけるスペアタイヤの挙動を示すグラフである。
【図5】第1の実施形態によるスペアタイヤ搭載装置を配設した車両後部に車両後方から衝突荷重が入力した場合におけるスペアタイヤの前端のZ方向の移動量を示すグラフである。
【図6】車両の斜め後方から衝突荷重が入力した場合における、第1の実施形態によるスペアタイヤ搭載装置の平面図である。
【図7】図6のスペアタイヤを拡大した平面図である。
【図8】車両の斜め後方から衝突荷重が入力した場合における、第1の実施形態によるスペアタイヤ搭載装置の背面図である。
【図9】図8の要部を拡大した背面図である。
【図10】スペアタイヤ搭載装置が横方向荷重によって傾斜した状態を拡大して示す背面図である。
【図11】第2の実施形態によるスペアタイヤ搭載具を示す斜視図である。
【図12】図11の架台を示す斜視図である。
【図13】第2の実施形態によるスペアタイヤ搭載具の架台の変形例である。
【図14】第2の実施形態によるスペアタイヤ搭載具の架台の更に別の変形例である。
【図15】第2の実施形態によるスペアタイヤ搭載具の架台の更に別の変形例である。
【図16】第2の実施形態によるスペアタイヤ搭載具の架台の更に別の変形例である。
【図17】第2の実施形態によるスペアタイヤ搭載具の架台の更に別の変形例である。
【図18】第2の実施形態によるスペアタイヤ搭載具を配設した車両後部に車両後方から衝突荷重が入力した場合におけるスペアタイヤの挙動を示す断面図であり、(a)は衝突前、(b)は衝突初期、(c)は衝突後期の状態を示す。
【図19】第2の実施形態によるスペアタイヤ搭載具を配設した車両後部に車両後方から衝突荷重が入力した場合における架台の変形挙動を示す応力解析の結果を示す斜視図であり、(a)は衝突前、(b)は衝突初期、(c)は衝突後期の状態を示す。
【図20】第2の実施形態によるスペアタイヤ搭載具を配設した車両後部に車両後方から衝突荷重が入力した場合における架台の変形挙動を示す応力解析の結果を示す平面図であり、(a)は衝突前、(b)は衝突後期の状態を示す。
【図21】第2の実施形態によるスペアタイヤ搭載具を配設した車両後部に車両の斜め後方から衝突荷重が入力した場合における架台の変形挙動を示す応力解析の結果を示す斜視図であり、(a)は衝突前、(b)は衝突初期、(c)は衝突後期の状態を示す。
【図22】第2実施形態によるスペアタイヤ搭載具の構造を概略的に示した模式図である。
【図23】第2実施形態によるスペアタイヤ搭載具の構造の別の変形例である。
【図24】第2実施形態によるスペアタイヤ搭載具の構造の別の変形例である。
【図25】第2実施形態によるスペアタイヤ搭載具の構造の別の変形例である。
【符号の説明】
10 スペアタイヤ搭載装置
11,61,67,70,74,78,82,86 架台
12 スペアタイヤ取付具
16 支持孔(支持部)
17 折曲ビード(脆弱部)
18 スライド部
19 ガイド部
22 第1ロッド材(ロッド材)
23 第2ロッド材(ロッド材)
41 スペアタイヤパン
44 スペアタイヤ
45 後端
47 前端
60,100,102,104 スペアタイヤ搭載具
62,63 取付フランジ(取付部)
65 第1の折曲ビード(脆弱部)
66 第2の折曲ビード(脆弱部)
H スペアタイヤパンの高さ

Claims (8)

  1. 車体後部のスペアタイヤパンにスペアタイヤ搭載手段を配設し、該スペアタイヤ搭載手段にスペアタイヤを固定することにより、前記スペアタイヤパン内にスペアタイヤ搭載手段を介してスペアタイヤを収納する自動車のスペアタイヤ格納構造において、
    前記スペアタイヤ搭載手段は、車両後方から入力される車両前後方向の圧縮荷重によって車両上下方向に屈曲して、固定したスペアタイヤの前端側がスペアタイヤパンの高さよりも高く位置するようにスペアタイヤを斜め上方に持ち上げるように構成したことを特徴とする自動車のスペアタイヤ格納構造。
  2. 車体後部のスペアタイヤパンにスペアタイヤ搭載手段を配設し、該スペアタイヤ搭載手段にスペアタイヤを固定することにより、前記スペアタイヤパン内にスペアタイヤ搭載手段を介してスペアタイヤを収納する自動車のスペアタイヤ格納構造において、
    前記スペアタイヤ搭載手段は、前記スペアタイヤパン上に車両前後方向に沿って配設した架台と、該架台の前部に設けた支持部にその一端側が回動自在に軸支され、他端側が前記架台の後部に設けられたガイド部内に収容されて該ガイド部内を摺動するスライド部として形成されると共に、その上側に前記スペアタイヤを固定したスペアタイヤ取付具とを備え、
    前記スペアタイヤ取付具は、前記一端側と他端側との間に屈曲可能な複数の節が設けられていることを特徴とする自動車のスペアタイヤ格納構造。
  3. 前記スペアタイヤ取付具は、互いに回動自在に連結された複数のロッド材であり、前記屈曲可能な複数の節は、これらのロッド材同士の連結部であることを特徴とする請求項2に記載の自動車のスペアタイヤ格納構造。
  4. 前記スペアタイヤの車両後方端を、前記ガイド部の車両後方端よりも車両後方側に配置する一方、前記スペアタイヤ取付具に、それぞれのロッド材同士を所定の回動角度で保持する回転止め手段を設けたことを特徴とする請求項3に記載の自動車のスペアタイヤ格納構造。
  5. 前記スペアタイヤ取付具のスライド部と、前記架台のガイド部の内面との間に所定の間隙を設け、かつ、前記スライド部のガイド部に対する摺動面を断面R形状に形成したことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の自動車のスペアタイヤ格納構造。
  6. 前記架台に、車両前後方向の圧縮荷重を受けたときに前記架台を車両上下方向に屈曲させる脆弱部を設けたことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の自動車のスペアタイヤ格納構造。
  7. 車体後部のスペアタイヤパンにスペアタイヤ搭載手段を配設し、該スペアタイヤ搭載手段にスペアタイヤを固定することにより、前記スペアタイヤパン内にスペアタイヤ搭載手段を介してスペアタイヤを収納する自動車のスペアタイヤ格納構造において、
    前記スペアタイヤ搭載手段は、車両前後方向に延設されて車両前後方向の圧縮荷重によって上下に折れ曲がる架台を有するスペアタイヤ搭載具であり、この架台の前部と後部にそれぞれ形成された取付部が前記スペアタイヤパン上に固定され、
    前記スペアタイヤ搭載具の車両後方端を、前記スペアタイヤの車両後方端よりも車両後方側に配置したことを特徴とする自動車のスペアタイヤ格納構造。
  8. 前記架台に脆弱部を設けることによって、車両前後方向の圧縮荷重によって架台が上下に折れ曲がるように構成したことを特徴とする請求項7に記載の自動車のスペアタイヤ格納構造。
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