JP5337117B2 - 後部車体構造 - Google Patents
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Description
このような後部車体構造では、後面衝突した際に、バンパビームエクステンションが潰れるクラッシュストロークが小さく、完全に潰しきれないため、さらに、衝撃エネルギーの吸収性を高めることが望まれていた。
このような後面軽衝突の際の修理費用を削減するために、リヤフレームが損傷しないように、さらに、バンパビームエクステンションの衝撃エネルギーの吸収性を向上させることが望まれていた。
このような自車が、自車よりも車高が高いSUVなどの車両と後面衝突したとき、その衝突車両からの衝突荷重が入力される入力位置に対してバンパビーム、バンパビームエクステンション及びリヤフレームは、側面視して、上壁が、後上がりに段差的にオフセットしたレイアウトになっており、下壁が、直線上に揃えたレイアウトになっている。このため、後面衝突時の曲げモーメント入力によるバンパビームの倒れは、各上壁が、後上がりに段差的にオフセットした分だけ、バンパビームエクステンションの支点が、衝突車両とバンパビームとの衝突位置に近付いて配置されるため、軽減される。
また、リヤフレームの下壁から中心線までの高さと、バンパビームエクステンションの下壁から中心線までの高さとが、同じ高さに揃えてあるので、後面軽衝突時に、バンパビームエクステンションが十分潰れる。
また、バンパビームは、バンパビームエクステンション側の側壁が、その側壁の上部の肉厚が下部の肉厚より厚く形成されていることによって、車高が高い車両が後面衝突した際に、曲げモーメントが局部的に負荷される部分の強度が向上されて、その曲げモーメントにより折れ曲がるように座屈変形するのを抑制して、バンパビームとバンパビームエクステンションの双方が均等に潰れるようになる。
なお、本発明の実施形態では、「前」は車両Cのフロント側、「後」は車両Cのリア側、「上」は鉛直上方側、「下」は鉛直下方側、「左右」は車幅方向側とする。
まず、本発明の実施形態に係る後部車体構造を説明する前に、本発明が採用される車両Cについて説明する。
図1に示すように、車両Cは、例えば、車体1の後端部にバンパビーム4を有する乗用車等であり、特に、車両Cの種類や形状等は限定されない。車両Cは、SUV(Sports Utility Vehicle)や、ワンボックス車や、ミニバン等の車高が高い自動車よりも、車高が一般的に低い自動車が望ましく、以下、乗用車を例に挙げて説明する。
図1に示すように、車体1は、車両Cの全体を形成するためのものであって、例えば、リヤフレーム2等の種々の金属製車体フレームと、リヤフロアパネル7等の金属製車体パネルと、樹脂製または金属製からなるバンパ(図示省略)等を備えている。車体後部1aには、例えば、車両Cの前後方向に沿って設けられる左右一対のリヤフレーム2,2と、この左右一対のリヤフレーム2,2の後端部2cにそれぞれ設けられた左右一対のバンパビームエクステンション3,3と、この左右一対のバンパビームエクステンション3,3の後端部3dに架設されたバンパビーム4と、このバンパビーム4の後側に設置されたバンパ(図示省略)と、左右のリヤフレーム2,2間に亘って設けられたリヤフロアパネル7と、を備えている。
車体後部1aは、左右対称であるため、以下、車体1の左側を主に説明して、車体1の右側の説明を適宜省略する。
図1に示すように、リヤフレーム2,2は、車体1の骨格の一部を形成する車体フレーム部材であり、例えば、前後方向に縦断面視してロ字状の厚板鋼板製の角パイプ材等から形成されている。
図3に示すように、この左右のリヤフレーム2は、それぞれ前後方向に向けて延設された中空状の筒体21と、この左右の筒体21の後端部2cに接合されたフランジ部22と、このフランジ部22から筒体21の前側の内壁に接合された補強部材23と、が主に形成されている。
フランジ部22には、前記外嵌21aに嵌入されて溶接等で接合される接合部22aと、後記するバンパビームエクステンション3のフランジ部材32に当接した状態に締結される上下左右の4つの鍔部22bと、各鍔部22bに穿設された締結材挿入用の締結材取付孔22cと、が形成されている。
図2に示すように、バンパビームエクステンション3は、リヤフレーム2の後端部2cにバンパビーム4を取り付けるための取付部材であり、例えば、鋼板製の箱状部材からなる。このバンパビームエクステンション3は、後面衝突時の衝撃を緩和する衝撃緩和材としての機能も果たす。バンパビームエクステンション3は、筒状のエクステンション本体31と、このエクステンション本体31の前側開口端31aに溶接等によって固定されたフランジ部材32と、このエクステンション本体31の後側開口端31bに溶接等によって固定された取付プレート33と、フランジ部材32をリヤフレーム2のフランジ部22に固定するための締結材5と、バンパビーム4を取付プレート33に固定するための締結材6と、を備えてなる。
図4に示すように、エクステンション本体31は、折曲加工した左右2つの金属製の板状半筒体31A,31Bを接合して六角筒状体(多角筒状体)に形成されている。
エクステンション本体31は、分割構成された2つの板状半筒体31A,31Bと、当該エクステンション本体31の前端に形成された前側開口端31aと、当該エクステンション本体31の後端に形成された後側開口端31bと、左右側面に適宜な大きさに穿設された丸孔31eと、この丸孔31eを有する側壁31c,31dと、車幅方向内側の板状半筒体31Aに、車幅方向外側の板状半筒体31Bが重ねて接合される重合部31f,31gと、折曲加工した各部に形成された稜線31Aa,31Ab,31Ba,31Bbと、補強用の折曲片31Ae,31Afと、を有している。
図4及び図5に示すように、フランジ部材32は、エクステンション本体31をリヤフレーム2のフランジ部22に連結するための部材である。このフランジ部材32は、中央部に六角形の孔32aを有する鍔状の金属製板部材であり、エクステンション本体31の前端部3cに溶接で固定されている。
図5に示すように、フランジ部材32には、外周部及び内周部を後側に向かって膨らませたように折曲成形して強度を向上させた補強部32b,32cと、前記3つの締結材5(図1及び図2参照)をそれぞれ挿入させるための締結材挿入孔32dと、が形成されている。フランジ部材32は、前記リヤフレーム2のフランジ部22に略合致する大きさに形成されると共に、内周部の補強部32cが角筒状のエクステンション本体31内に配置される大きさに形成されている。
図2に示すように、取付プレート33は、エクステンション本体31とバンパビーム4とを連結させるための金属製の蓋状部材である。取付プレート33は、エクステンション本体31の後側開口端31bを閉塞するようにして外嵌させ、溶接等によってエクステンション本体31に固定される。取付プレート33には、略六角形に形成された蓋板部33aと、この蓋板部33aの周縁に折曲形成された周縁部33bと、ボルト61の雄ねじ部が挿入される締結材取付孔33cと、その他の貫通孔33dと、掛止片33eと、が形成されている。
周縁部33bは、エクステンション本体31の後側開口端31bの外周縁に外嵌すると共に、取付プレート33をエクステンション本体31に溶接する溶接代を形成する。
締結材取付孔33cは、蓋板部33aの上下中央部の二箇所に穿設されている。この締結材取付孔33c,33cは、バンパビーム4の締結材挿入孔4i,4iに係合されたボルト61,61を挿入させて、蓋板部33aの前面側に配置されたナット62,62に螺着させることにより、蓋板部33aをバンパビーム4の傾斜部4gに当接させた状態に保持する。
掛止片33eは、側面視してL字状にプレス加工されたフックであり、バンパビーム4の掛止孔4kが掛け止めされる箇所である。
図1に示すように、バンパビーム4は、車体前後方向の縦断面形状が、略日の字状に形成されたアルミ押出材からなり、左右のバンパビームエクステンション3の取付プレート33の後面側に架設されている。バンパビーム4には、それぞれ後記する上壁4aと、下壁4bと、前側側壁4cと、後側側壁4dと、傾斜部4gと、締結材挿通孔4hと、締結材挿入孔4i(図2及び図3参照)と、中壁4jと、掛止孔4k(図2参照)と、が形成されている。なお、前記バンパビーム4は、車体前後方向の縦断面形状が、略目の字状のものであってもよい。
下壁4bは、バンパビーム4の底面を形成する水平な平板状部分であり、下面視して略弓状に形成されている。
締結材挿通孔4hは、後側側壁4dの左右端部の上下二箇所にそれぞれ穿設された孔であり、バンパビーム4をバンパビームエクステンション3に固定するボルト61を前側側壁4cの締結材挿入孔4iに挿入する際に、そのボルト61を通すための孔である。この締結材挿通孔4hは、ボルト61の座金部の外径よりも大きな径の丸孔からなる。
締結材挿入孔4iは、ボルト61の雌ねじ部が挿入される孔であり、前側側壁4cの左右端部の上下二箇所にそれぞれ穿設されている。
掛止孔4kは、バンパビーム4をバンパビームエクステンション3に取り付ける際に、この掛止孔4kを掛止片33eに掛止させることによって、バンパビーム4をバンパビームエクステンション3に掛止させるための孔である。この掛止孔4kは、前側側壁4cの上部4eの左右にそれぞれ穿設されている。
図3に示すように、リヤフレーム2は、リヤフレーム2の中心線O−Oからリヤフレーム2の上壁2aまでの高さHと、その中心線O−Oからリヤフレーム2の下壁2bまでの高さH1と、が略同一の高さに形成されている。
バンパビームエクステンション3の上壁3aの高さである前記中間の高さH2は、例えば、リヤフレーム2の上壁2aの高さHよりも、高さH5(H5=1/2H)高く形成されている。また、前記中間の高さH2は、バンパビーム4の上壁4aの高さH4よりも、高さH6(H6=H5=1/2H)低く形成されている。
また、リヤフレーム2の下壁2bから中心線O−Oまでの高さH1と、バンパビームエクステンション3の下壁3bから中心線O−Oまでの高さH3とは、同じ高さに揃っている。
不図示のバンパは、後面衝突時の衝撃を緩和する衝撃緩和材であり、車体1の最後端部に左右方向に向けて延設されている。バンパは、弾性を有する合成樹脂、あるいは、弾性を有し比較的薄肉の金属等によって形成されている。バンパは、バンパビーム4を覆うようにして、バンパビーム4の後側に取り付けられている。
図2に示すように、前記締結材5,6は、例えば、座金を備えたボルト51,61と、ナット52,62と、を備えて構成されている。締結材5は、フランジ部材32の上側、下側及び左側(車幅方向外側)の三箇所にある締結材挿入孔32dと、この三つの締結材挿入孔32dに対向して形成されたフランジ部22の締結材取付孔22cとにそれぞれボルト51を挿入して、そのボルト51にナット52を螺合させることにより、バンパビームエクステンション3をリヤフレーム2に固定するための固定具である。
締結材6は、バンパビーム4の左右の上下二箇所に穿設された締結材挿入孔4iと、この締結材挿入孔4iに対向して形成された取付プレート33の締結材取付孔33cとにそれぞれボルト61を挿入して、そのボルト61にナット62を螺合させることにより、バンパビームエクステンション3にバンパビーム4を固定するための固定具である。
図1に示すように、リヤフロアパネル7は、左右のリヤフレーム2,2の上部に載設するように固定された鋼板であり、両リヤフレーム2,2間に架設されている。リヤフロアパネル7のリヤフレーム2,2間には、縦断面視して凹状の収納空間7aが形成されている。その収納空間7aは、各種部品等を収納するための空間である。
図3に示す衝突バリアBは、自車に衝突する他車(衝突車両)のバンパ、または、自車がバックしたときに衝突する他車のバンパや障害物や障壁等である。
次に、図1〜図5を参照して本発明の実施形態に係る車体後部構造の作用を後面衝突した場合を例に挙げて説明する。
なお、後面軽衝突とは、例えば、走行速度がノロノロの渋滞中に後続車(衝突バリアB)が自車に追突するなどして低速走行で後面衝突した場合や、車庫入れなどでバックした際に、障害物(衝突バリアB)に後面衝突した場合などである。
図3に示すように、車両Cの車体後部1aは、車体1の高い自動車のフロントビームを想定した衝突バリアBからの衝突荷重が入力される入力位置に対して、バンパビーム4の上壁4aと、バンパビームエクステンション3の上壁3aと、リヤフレーム2の上壁2aとが段階状に下がるようにオフセットして連続配置されている。
このため、リヤフレーム2の修理費用が不要となるので、後面軽衝突時の修理費を低減することが可能となる。
その結果、目標としている衝撃を吸収するクラッシュストロークを確保でき、車体沈み込みを抑制することができる。
図1に示すように、車高の高さが普通の自動車が後面軽衝突した場合は、衝突バリアBが図3に示す位置(矢印aの位置)よりも下側のバンパビーム4の中央部分の位置(図4に示す矢印bの位置)に衝突荷重がかかる。
この場合、衝突バリアBがバンパビーム4の中央部分を前方向(矢印b方向)に押圧する衝突荷重が作用すると、バンパビーム4の上壁4a、中壁4j及び下壁4bにその衝突荷重が作用する。
図4に示すように、例えば、自車に他車が斜め左後方(矢印d方向)から後面軽衝突した場合、衝突バリアBが、バンパビーム4の車幅方向外側(左側)からバンパビームエクステンション3に車幅方向外側の板状半筒体31B側に衝突荷重がかかる。
その後、さらに、バンパビームエクステンション3に衝突荷重がかかると、その車幅方向外側の板状半筒体31Bの衝突変形に連動するようにして、車幅方向内側の板状半筒体31Aが、車幅方向外側の板状半筒体31Bと共に前方向に押し潰れて、バンパビームエクステンション3全体が潰れるクラッシュストロークにより、衝突荷重(衝突エネルギー)を吸収することができる。
さらに、残りの衝突荷重は、フランジ部材32を介してリヤフレーム2に伝えられて、支えられる。このため、斜め方向の後面軽衝突の場合は、リヤフレーム2が衝突変形することがない。
自車に衝突する衝突バリアBが、前記した後面軽衝突のときよりも高速で、重度の後面衝突である場合は、バンパビーム4が衝突バリアBによって前側方向に押圧されると、バンパビーム4及びバンパビームエクステンション3が前記同様に押し潰されて変形し、さらに、リヤフレーム2が押し潰されて変形することにより、クラッシュストロークにより衝突荷重が適宜に吸収される。
このように、リヤフレーム2は、軽度の後面衝突時に衝突変形しないが、衝突荷重が大きい重度の後面衝突時に押し潰されながら衝突荷重を緩衝して吸収する。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造及び変更が可能であり、本発明はこれら改造及び変更された発明にも及ぶことは勿論である。
2 リヤフレーム
2a,3a,4a 上壁
2b,3b 下壁
2c 後端部
3 バンパビームエクステンション
3c 前端部
4 バンパビーム
4c 側壁
4e 上部
4f 下部
5,6 締結材
31A,31B 板状半筒体
31Aa,31Ab,31Ba,31Bb 稜線
31Ac 上端部
31f、31g 重合部
H,H1,H2,H3,H4 高さ
t1,t2 肉厚
Claims (4)
- リヤフレームの中心線から上壁までの高さと、前記中心線上からバンパビームの上壁の高さとの中間の高さに、バンパビームエクステンションの上壁を設定し、
前記リヤフレームの下壁から前記中心線までの高さと、前記バンパビームエクステンションの下壁から前記中心線までの高さとを揃え、
前記バンパビームは、車体前後方向の縦断面形状が、日の字状または目の字状のアルミ押出材からなり、前記バンパビームエクステンション側の側壁の上部の肉厚が、下部の肉厚より厚く形成されていることを特徴とする後部車体構造。 - 前記バンパビームエクステンションは、左右の折曲加工した2つの金属製の板状半筒体を接合して多角筒状に構成され、車幅方向内側の稜線の数が、車幅方向外側の稜線の数よりも多いことを特徴とする請求項1に記載の後部車体構造。
- 前記バンパビームエクステンションは、車幅方向内側に配置された前記板状半筒体の上端部に、車幅方向外側の前記板状半筒体に重ねて接合する重合部を形成し、該上端部に外側へ行くフランジを設けたことを特徴とする請求項2に記載の後部車体構造。
- 前記バンパビームエクステンションの前端部と、リヤフレームの後端部とは、左右上下のうちの少なくとも三箇所をそれぞれ締結材で締結していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の後部車体構造。
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