JP2004181685A - 筆記具の持ち方矯正具 - Google Patents
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Abstract
【課題】筆記具の正しい持ち方を容易に実現できるとともに、使用中でも、この正しい持ち方をより一層十分に安定して保持することができる筆記具の持ち方矯正具を提供する。
【解決手段】本体部11における凹部15と対向する側に親指当接部16が形成され、延伸部13の表面に人差指当接部17が形成され、壁状部14における凹部15側に中指当接部18が形成されており、かつ、各当接部は各指の腹側の少なくとも一部を当接可能とする形状を有しており、壁状部14は、中指当接部18に当接した中指から加えられる外力に耐久する剛性を有している。
【選択図】 図1
【解決手段】本体部11における凹部15と対向する側に親指当接部16が形成され、延伸部13の表面に人差指当接部17が形成され、壁状部14における凹部15側に中指当接部18が形成されており、かつ、各当接部は各指の腹側の少なくとも一部を当接可能とする形状を有しており、壁状部14は、中指当接部18に当接した中指から加えられる外力に耐久する剛性を有している。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉛筆や筆、ボールペン等の各種筆記具の持ち方を矯正するための筆記具の持ち方矯正具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
筆記具の正しい持ち方の要点としては、一般に、(1)筆記具を持つ位置(筆記具の把持位置)、(2)筆記具を持ったときにできる手の形と力の入れ具合、(3)筆記具を持ったときに鉛筆と紙面とがなす角度(筆記具の把持角度)が挙げられる。なお、上記把持角度とは、紙面に対する筆記具の傾斜角度である。逆に言えば、これら要点に問題があれば筆記具を正しく持つことができない。
【0003】
本発明者が従来から独自に研究を続けた結果、特に、幼児・学童の場合、上記要点のうち、筆記具を持つ位置の誤り、すなわち、上記要点(1)に問題があるために、正しい持ち方ができないことが多い。
【0004】
たとえば、鉛筆を正しく持つことができない幼児・学童の約80%は、図15(a)・(b)に示すように、鉛筆の先の削りしろ部を持っている。これは、幼児・学童が鉛筆を持つ際に、指が小さく指先に力がないため、保持し易い、削って細くなった部分を無意識に持つからである。
【0005】
筆記具の正しい持ち方は、一般に図16に示すような持ち方が適切とされている。なお、図16では、筆記具の一例として鉛筆を挙げている。このような筆記具の正しい持ち方では、筆記具を動かして筆記を行う際には、人差指および中指が主導的な働きを担い、親指は、筆記具を支えるための補助的な働きをすることになる。しかしながら、図15(a)・(b)に示すような誤った持ち方では、親指が主導的な働きを担うことになる。この結果、筆記具を滑らかに動かすことが困難となり、文字を上手に書くことができなくなる。
【0006】
加えて、図15(a)・(b)に示す筆記具の持ち方では、親指が人差指より前に出てくることになる。この場合、人差指自体の位置が正しくても、親指が人差指の前に出ているため、人差指の第二関節が尖るように曲がるとともに、小指と薬指とを握り込んでしまう。この結果、腕に余計な負担がかかり、筆記の際に身体に悪影響が及ぼされるおそれがある。このような悪影響は、肩こりや目、腰、背柱の疲れ、あるいは、腱鞘炎などの病気を招くこともある。
【0007】
つまり、上記要点(1)の「筆記具の把持位置」に問題が生じると筆記具の持ち方が誤ったものになるが、さらに、要点・に問題に伴い要点(2)の「手の形と力の入れ具合」にも問題が生じる。このため、上手に文字が書けなくなるとともに、身体にまで悪影響が及ぼされる。さらに、上記要点(1)・(2)に問題が生じれば、要点(3)の「筆記具の把持角度」にも悪影響が及ぼされることは明らかである。
【0008】
そこで、上記の問題点を考慮した従来の筆記具の持ち方矯正具の一例として、本発明者は、以前、図17に示すような、筆記具を貫通状態で装着する取付部107を備える嵌合部106と、各指を案内するための上部案内部102、下部案内部103、および親指案内部105と、平板状の指受け部104とを有する構成の持ち方矯正具101を考案している(実用新案文献1参照)。
【0009】
この持ち方矯正具101では、人差指、中指、親指を上記各案内部102・103・105で案内するとともに、指受け部104にて、中指または薬指を安定して保持することができる。そのため、上記(1)〜(3)の要点への悪影響を回避することができ、正しい筆記具の持ち方を容易に実現することができる。特に、指受け部104によって、位置のずれ易い中指や薬指を安定して保持することが可能になるという利点がある。
【0010】
【実用新案文献1】
実開平7−8866号公報(平成7(1995)年2月7日公開)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上記従来の持ち方矯正具101は、筆記具の正しい持ち方を容易に実現することができるものの、例えば、幼児や学童等のように、指が大人より短く、また、指先への力の入れ具合をうまく調整できないような使用者に対しては、実現した正しい持ち方をより十分に安定して保持できない場合があるという課題が生じる。
【0012】
すなわち、上記従来の持ち方矯正具101では、上記各案内部102・103・105と指受け部104により、各指を正しい位置に明確に案内することができるため、大人のように指先への力の入れ具合をある程度調整できれば、使用中でも正しい持ち方を保持することは可能である。しかしながら、幼児や学童等では、指が短く、また、指先への力の入れ具合をうまく調整できないことから、上記従来の持ち方矯正具101の使用中に、各指が正しい位置からずれてしまうことが多い。それゆえ、当初は正しい持ち方を実現できても、使用しているうちに正しい持ち方が崩れてしまい、その結果、持ち方を正しく矯正することに影響を及ぼすおそれもある。
【0013】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであって、その目的は、筆記具の正しい持ち方を容易に実現できるとともに、使用中でも、この正しい持ち方をより一層十分に安定して保持することができる筆記具の持ち方矯正具を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を鑑み鋭意検討した結果、筆記具を動かす際に主導的な働きを担う人差指および中指のうち、特に中指の位置の安定性を向上させることによって、筆記具の正しい持ち方をより一層十分に安定して保持できるだけでなく、さらに、中指の位置の安定性が向上すると、中指に加えられる力の反動によって、筆記具をより動かし易くできることを独自に見出し、本発明を完成させるに至った。
【0015】
すなわち、本発明にかかる筆記具の持ち方矯正具は、上記の課題を解決するために、指の先端の少なくとも一部を挟む形状の凹部が形成される本体部と、凹部を挟んで本体部の一方の端部に位置し、筆記具を装着する取付部と、取付部における凹部と対向する側の外周に位置し、かつ、取付部に筆記具を装着したときの後端側に向かって伸びる延伸部と、凹部を挟んで本体部の他方の端部に位置する壁状部とを有しているとともに、上記本体部における凹部と対向する側に親指当接部が形成され、上記延伸部の表面に人差指当接部が形成され、上記壁状部における凹部側に中指当接部が形成されており、かつ、各当接部は各指の腹側の少なくとも一部を当接可能とする形状を有しており、さらに、上記壁状部は、中指当接部に当接した中指から加えられる外力に耐久する剛性を有していることを特徴としている。
【0016】
上記凹部は、当該凹部に中指の先端を入れた状態で、中指の側方を当接可能とする形状に形成されていることが好ましい。また上記延伸部には、親指当接部と人差指当接部との間となる位置に、親指当接部に当接する親指の位置を決定する親指目標部が形成されていることが好ましい。さらに、上記人差指当接部は、上記取付部に筆記具が装着されたときに、筆記具の側面とともに一つの当接面を形成する形状を有していることが好ましい。また、上記取付部の外周には、装着される筆記具が多角形の断面を有するときに、筆記具の側面と人差指当接部とで上記当接面を形成可能とするように、筆記具の側面の位置を規定する筆記具側面位置目標部が形成されていることが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、鉛筆を正しく持つ上で最も重要な親指と人差指との位置が、親指当接部および人差指当接部によって自ずと決定されるだけでなく、凹部によって中指の位置が安定して保持される。この状態を維持したまま小指を軽く紙の上(紙面)におくことで、鉛筆と紙面とによって形成される角度が略50〜60°に形成され、筆記具の正しい傾斜角が実現される。その結果、筆記具の正しい持ち方を容易に実現できるとともに、使用中でも、この正しい持ち方をより一層十分に安定して保持することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について説明すれば、以下の通りである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
【0019】
本発明にかかる筆記具の持ち方矯正具は、親指・人差指・中指・薬指を当接させた場合に、特に中指の位置を安定化させることで、筆記具の正しい持ち方をより一層安定化させることができるものであり、具体的には、中指の腹側を当接する中指当接部を有する部位の強度を向上させるものである。
【0020】
本発明にかかる持ち方矯正具10は、図1(a)・(b)に示すように、本体部11、取付部12、延伸部13、壁状部14を有しており、本体部11、延伸部13、壁状部14には、指を当接可能とする当接部が形成されている。
【0021】
<本体部>
本体部11は、上記取付部12および壁状部14の間に凹部15が形成されている形状を有しており、それ単独で見れば、略U字状の形状を有している。つまり、取付部12と壁状部14とが互いに対向して配置され、これらが一方の端部でつながっている形状となっている。上記凹部15は、指の先端の少なくとも一部を挟むことができる形状となっており、本発明では、中指の先端を挟むことができるようになっている。この凹部15と対向する側、すなわち、本体部11の略U字状の形状において「底」に相当する部位には、親指当接部16が形成されている。
【0022】
親指当接部16の具体的な形状は特に限定されるものではなく、親指の腹側の少なくとも一部を当接可能とする形状を有していればよい。より具体的には、親指の腹側の先端を安定して当接できるような形状であることが好ましい。本実施の形態では、図2に示すように、本体部11の「底」の部分(便宜上、底部と称する)だけでなく、延伸部13の一部も含めて、親指の先端の形状に応じた湾曲面が、親指当接部16として形成されている。これによって、筆記具の持ち方に慣れていない使用者でも、親指を容易かつ確実に当接させることが可能となる。なお、図2では、筆記具の例として鉛筆100を挙げている。また、説明の便宜上、図2では本体部11の部材番号は付記していない。
【0023】
<親指目標部>
ここで、親指当接部16が上記のように本体部11と延伸部13の一部とで形成されている場合、図2に示すように、親指当接部16と人差指当接部17との間となる位置に、上記延伸部13の一部の表面が露出することになる。そこで、親指当接部16と人差指当接部17との間となる位置に、親指当接部16に当接する親指の位置を決定する親指目標部21が形成されていることが好ましい。
【0024】
親指目標部21の具体的な構成は特に限定されるものではないが、例えば、図2に示すように、親指の爪の中心線を仮定した場合、この中心線に一致するような線状の突起や窪み(溝)を表面に形成したり、表面に線を描いたりすればよい。これによって親指をより確実に親指当接部16に当接できるだけでなく、使用中に親指の位置がずれても、正しい位置に親指を回復させることが可能となる。
【0025】
特に、正しい持ち方では、親指の先端が筆記具の側面に軽く当接して筆記具を支えることが重要となる。このとき、親指の先端の当接角度が微妙に変わると、親指に過剰に力が入るおそれがある。そのため、親指が筆記具を支えるだけでなく筆記具の動きに影響を及ぼすだけでなく、他の指の当接関係にも大きな影響を及ぼす可能性がある。しかしながら、親指の先端の位置(特に当接角度)を上記親指目標部21によって正しい位置に導くことで、正しい持ち方をより容易かつ確実に実現することができる。
【0026】
<取付部>
取付部12は、上記のように、壁状部14とつながって本体部11の一部を形成している。すなわち、取付部12は凹部15を挟んで本体部11の一方の端部に位置する。取付部12は筆記具を安定して装着できる構成であれば、特に限定されるものではないが、例えば、図1(a)・(b)に示すように、嵌合孔を有する円環形状となっており、筆記具を貫通状態で装着できるような構成を挙げることができる。また、略C字状になっており、筆記具をはめ込むような構成や、筆記具の周りの大部分を覆うような貫通溝であってもよい。
【0027】
また、後述するように、上記取付部12の外周のうち、凹部15の表面となっている部位は、本体部11の底部側とともに、中指の側方の一部を当接する中指側方当接部19となっている。すなわち、上記凹部15は、当該凹部15に中指の先端を入れた状態で、中指の側方を上記取付部12の外周となる位置および本体部11の底部(中指側方当接部19)となる位置に当接可能とする形状に形成されていることになる。
【0028】
<延伸部>
延伸部13は、取付部12における凹部15と対向する側の外周に位置している。したがって、上記中指側方当接部19と延伸部13は互いに対向する位置に配置されている。延伸部13は、取付部12に筆記具を装着したときの後端側に向かって、取付部12の外周から伸びた形状を有している。この延伸部13の表面には人差指当接部17が形成されている。人差指当接部17の形状は特に限定されるものではなく、上記親指当接部16と同様に、親指の腹側の少なくとも一部を当接可能とする形状を有していればよい。
【0029】
<人差指当接部>
特に、本発明では、上記人差指当接部17は、上記取付部12に筆記具が装着されたときに、筆記具の側面とともに一つの当接面を形成する形状を有していることが非常に好ましい。
【0030】
筆記具の正しい持ち方では、(1)親指は、人差指、中指の働きを補助して筆記具を支え、かつ、人差指、中指の運動を妨げることなく自由性を保障するために用いられ、(2)人差指は、上から下方向に書く線(曲線、直線および異方向線)を書く場合に用いられ、(3)中指は、下から上方向に書く線(曲線、直線および異方向線)を書く場合に用いられる。
【0031】
つまり、筆記具を正しく把持して筆記を行うときは、親指、人差指、中指の3指の働きの分担はそれぞれ異なっている。なかでも、親指および人差指の被把持棒に対する位置関係が重要となる。それゆえ、この2本の指の位置関係が残りの指に影響を与えることになる。
【0032】
図16に示すような筆記具の正しい持ち方では、人差指の先端の腹側は筆記具の上方側の側面に安定して当接することになるが、筆記具の持ち方に慣れていないと、筆記具の側面だけでは人差指の先端を十分に安定して当接させることが困難となる場合がある。そこで、例えば、図3に示すように、筆記具が六角形の断面を有する鉛筆100である場合等には、延伸部13の人差指当接部17と鉛筆100の側面とで一つの当接面30を形成するように、人差指当接部17の形状を設定する。これによって、人差指を当接する広い面が形成されるので、人差指をより一層安定して当接させることができる。
【0033】
しかも、上記人差指当接部17は、人差指先端の親指側となる片側の腹を当接するように形成されており、人差指先端の残りは筆記具(鉛筆100)の側面に当接する。したがって、持ち方矯正具10を装着していても外しても、人差指は必ず筆記具の側面に当接することになる。それゆえ、本発明にかかる持ち方矯正具10によって筆記具の正しい持ち方が身についた後、持ち方矯正具10を外した場合であっても、人差指の当接に違和感が生じることがないので、筆記具の持ち方の矯正をより有効に実現することができる。
【0034】
なお、上記人差指当接部17は、上記親指当接部16と同様に、人差指の腹側の先端を安定して当接できるような形状であることが好ましく、例えば、本実施の形態では、図3に示すように、人差指の先端の形状に応じた湾曲面が、延伸部13に沿った方向に形成されている。これによって、筆記具の持ち方に慣れていない使用者でも、人差指を容易かつ確実に当接させることが可能となる。
【0035】
<筆記具側面位置目標部>
また、図3に示すように、六角形の断面を有する鉛筆100のように、装着される筆記具が多角形の断面を有するときには、上記取付部12の外周には、筆記具の側面と人差指当接部17とで上記当接面30を形成可能とするように、筆記具の側面の位置を規定する筆記具側面位置目標部22が形成されていることが好ましい。この筆記具側面位置目標部22の具体的な構成は特に限定されるものではないが、前記親指目標部21と同様、例えば、図3に示すように、上記鉛筆100の側面における六角形や三角形の頂点に相当する線に一致するような線状の突起や窪みを、上記取付部12の表面に形成したり、表面に線を描いたりすればよい。これによって、上記人差指当接部17と筆記具の側面とともに、安定した一つの当接面30を形成し易くすることが可能となる。
【0036】
なお、本発明にかかる持ち方矯正具10に設けられる目標部、すなわち、装着する筆記具や当接する指の位置を決めるための目印になるような構成は、上記筆記具側面位置目標部22や前記親指目標部21のみに限定されるものではなく、他の指や筆記具の他の位置を決定するための構成であってもよい。
【0037】
<壁状部>
壁状部14は、前記のように、取付部12とつながって本体部11の一部を形成している。すなわち、壁状部14は凹部15を挟んで本体部11の他方の端部に位置する。この壁状部14の形状は特に限定されるものではないが、壁状部14における凹部15側に中指当接部18が形成されているため、壁状部14は、少なくとも凹部15側の表面に、中指の腹側を当接できるような形状を有していることが非常に好ましい。
【0038】
通常は、図1(a)・(b)に示すように、壁状部14の名称が示す通り、壁状すなわち厚みを有する板状の形状を有していることが好ましが、必ずしもこれに限定されるものではなく、デザイン上では、中指当接部18に対向する面(壁状部14における凹部15とは反対側の面)が平面でなく突出面になっていてもよい。また、中指当接部18は、中指の腹側の少なくとも一部を当接可能とする形状を有していればよいが、前記親指当接部16や人差指当接部17と同様に、中指の腹側の先端を安定して当接できるような形状、例えば湾曲面が形成されていてもよい。ただし、凹部15そのものが中指の先端の少なくとも一部を挟むような形状になっているので、安定性から見れば、必ずしも中指当接部18に湾曲面等が形成されていなくてもよい。
【0039】
このように、上記壁状部14は、その形状は特に限定されないが、中指当接部18に当接した中指から加えられる外力に耐久する剛性を有している必要がある。この点については後に詳述する。
【0040】
<持ち方矯正具の使用例>
本発明にかかる持ち方矯正具10は、図4に示すように、取付部12に筆記具(例えば鉛筆100)を装着し、鉛筆100の削り部(他の筆記具の場合、削り部に相当する略円錐状の部位)を取付部12から突き出させる。次いで、延伸部13の人差指当接部17(図4では人差指により隠れている)に、人差指の先端の腹側を当接し、人差指の第一関節近傍の腹側を軽く鉛筆100の外周上面に載せる。これとともに、中指の先端を凹部15に挟み込み、中指側方当接部19に中指の側方を当接させる。これによって、人差指と中指とで取付部12を挟持することになる。このとき中指は、側方が中指側方当接部19に当接しているだけでなく、腹側が壁状部14の中指当接部18に当接しており、結果的に、凹部15により安定した当接位置となるように保持されている。
【0041】
そして、親指当接部16に親指の第一関節より先の腹を当接するとともに、薬指の側方を壁状部14の先端に軽く当接させる。この状態では薬指は中指とともに軽く丸められているので、小指も薬指に沿わせてこれら各指に合わせて軽く丸める。そして、この状態で小指を軽く紙の上に置く。
【0042】
これによって、鉛筆100を正しく持つ上で最も重要な親指と人差指との位置が、親指当接部16および人差指当接部17によって自ずと決定されるだけでなく、凹部15によって中指の位置が安定して保持される。そのため、人差指の腹側が鉛筆100に当接することで人差指の第一関節が反らずに適度に曲がった状態になり、中指は人差指とともに鉛筆100を支えるような位置に規定され、親指は鉛筆100を軽く支える程度に鉛筆100を支持するような位置に規定される。
【0043】
上記のように、この状態を維持したまま小指を軽く紙の上(紙面)におくことで、鉛筆100と紙面とによって形成される角度が略50〜60°に形成され、筆記具の正しい傾斜角が実現される。
【0044】
<筆記具の紙面に対する角度と人差指・中指の関節の角度との関係>
ここで、正しい持ち方を実現したとき、鉛筆(筆記具)100の紙面に対する角度と、人差指および中指の関節の角度との間には、相関関係がある。この相関関係について、図5(a)・(b)・(c)に基づいて説明する。なお、図5(a)〜(c)では、持ち方矯正具10を点線で示し、それぞれの角度を、斜線を引いた扇形で示す。また、図5(a)・(b)では、筆記具を図中一点鎖線で示し、図5(c)では実線で示す。
【0045】
具体的には、図5(a)に示すように、本発明にかかる持ち方矯正具10を用いて正しい持ち方を実現した場合、筆記具の紙面に対する角度をθとすれば、人差指の第一関節は角度αをなすように曲がり、第二関節は角度βをなすように曲がっているとする。上記角度θは上述したように50〜60°の範囲が非常に好ましいため、角度θが好ましい範囲の上限である60°となっていれば、角度αは約160°であることが好ましく、角度βは約135°であることが好ましい。また、角度θが好ましい範囲の下限である50°となっていれば、角度αは焼く165°であることが好ましく、角度βは約140°であることが好ましい。
【0046】
同様に、図5(b)に示すように、本発明にかかる持ち方矯正具10を用いて正しい持ち方(筆記具の紙面に対する角度はθ)を実現した場合、中指の第一関節は角度γをなすように曲がり、第二関節は角度δをなすように曲がっているとする。角度θが好ましい範囲の上限である60°となっていれば、角度γは約155°であることが好ましく、角度δは約130°であることが好ましい。また、角度θが好ましい範囲の下限である50°となっていれば、角度γは約160°であることが好ましく、角度δは約135°であることが好ましい。
【0047】
このように、筆記具の紙面に対する角度θを50〜60°の範囲内とするためには、人差指の第一関節の角度αは160〜165°であればよく、人差指の第二関節の角度βは135〜140°の範囲内であればよく、中指の第一関節の角度γは155〜160°の範囲内であればよく、中指の第二関節の角度δは130〜135°の範囲内であればよい。また、角度θを比較的大きな角度とする場合には、人差指および中指の各関節の角度は大きくなる傾向にあり、逆に、角度θを比較的小さな角度とする場合には、各関節の角度は小さくなる傾向にある。
【0048】
つまり、筆記具の正しい持ち方を実現できない場合、人差指や中指の角度が上記範囲内に入らないことで、筆記具の紙面に対する角度θも好ましい範囲から外れ、これがさらに各指の当接状態に影響を及ぼし、上述したような親指、人差指、中指の3指がそれぞれ異なった働きができるように当接できなくなる(図15参照)。
【0049】
これに対して、本発明にかかる持ち方矯正具10では、上述したように、凹部15で中指の位置を確実に安定化させることにより、中指の先端から第一関節に至るまでの部分を、筆記具の側面に略密着させた状態に矯正することが容易となる。その結果、図5(c)に示すように、中指の先端と鉛筆100とで形成される角度εが約125〜135°の範囲内となる。また、本発明にかかる持ち方矯正具10では、人差指当接部17を広い面として、ここに人差指の先端を当接する。これによって、人差指・中指の各関節の角度が上記の範囲内になるように各指を容易かつ確実に導くことができる。その結果、筆記具の紙面に対する角度θも好ましい50〜60°の範囲内に入り、各指の当接状態に大きな影響を及ぼすことなく、正しい持ち方を実現することができる。
【0050】
さらに、本発明では、上述したように、親指の位置を上記親指目標部21によって確実に規定する。これによって、親指の位置がずれて人差指・中指の当接位置に大きな影響を及ぼすことを回避することも可能となる。このように、本発明にかかる持ち方矯正具10では、親指・人差指・中指という筆記具を持つために重要な3本の指の位置を容易に規定することができ、これによって、自ずと筆記具の紙面に対する角度を決定することができる。
【0051】
<凹部および壁状部による作用>
本発明にかかる持ち方矯正具10では、凹部15および壁状部14によって中指の先端の位置を安定して保持することができるが、この点についてより詳細に説明する。
【0052】
図4に示すように、本発明にかかる持ち方矯正具10を用いた場合、上述したように、中指の先端を凹部15に挟むとともに中指の腹側を中指当接部18(壁状部14における凹部15の内側となる位置)に当接させ、さらに中指の側方を中指側方当接部19(凹部15の底側となる部位、本体部11の底部の凹部15側および取付部12の凹部15側の外周)に当接させる。これによって中指の位置を十分に安定させることができる。
【0053】
さらに、本発明にかかる持ち方矯正具10を用いて正しい持ち方を維持しながら鉛筆100を使用するときには、図6(a)・(b)に示すように、下から上方向に線を書く場合に中指の位置を安定させるとともに、壁状部14の剛性により中指にかかる力を十分に受けることができる。具体的には、図6(a)に示すように、鉛筆100を例えば下から上方向(図中矢印A)に動かすと、図6(b)に示すように、この方向に筆記具を動かす中指に力がかかる(この力を図中矢印Bで示す)。ここで、壁状部14は十分な剛性を有しているため、中指にかかる力を十分に受け止めることができる。そのため、中指の位置が乱れることがなく、正しい持ち方を十分に維持することができる。
【0054】
しかも、この壁状部14では中指にかかる力を十分に受け止めることができるので、中指にかかる力に対する壁状部14の反発によって、上から下方向にスナップが生じる(図中矢印C)。そのため、単に中指の位置を安定に保持できるだけでなく鉛筆100の動きにメリハリをつけることも可能になる。
【0055】
一方、本発明者が以前に考案した実用新案文献1の持ち方矯正具101は、図17に示すように、本発明にかかる持ち方矯正具10に類似している部分もある。しかしながら、決定的に異なるのは、この従来の持ち方矯正具101では、中指の先端を挟んで中指の位置を安定化するという技術思想はなく、中指の位置を案内するという技術思想しか開示されていない点である。
【0056】
図17に示す従来の持ち方矯正具101では、筆記具を貫通状態で装着する取付部(嵌合孔)107を有している。そして、この取付部107を挟んで一方の側部側の外周に親指以外の挟持指を案内するための上部案内部102と指の側腹部を案内するための下部案内部103とが形成されている。また、上記取付部107を挟んで他方の側部側における筆記具の軸心方向先端側の外周には、親指を案内するための親指案内部105がそれぞれ形成されている。上記案内部102・103・105は何れも面として形成されている。さらに、下部案内部103の下側には、指の前腹部を下側から浮けるための平板状の指受け部104が設けられている。
【0057】
本発明にかかる持ち方矯正具10では、上記指受け部104を除いた構成は上記従来の持ち方矯正具101に類似しており、上部案内部102を人差指当接部17に、下部案内部103を中指側方当接部19に対応させることが可能である。ここで、上記従来の持ち方矯正具101では、中指を平板状の指受け部104で受けている。そのため、図18(a)に示すように、鉛筆100を例えば下から上方向(図中矢印A)に動かすと、図18(b)に示すように、この方向に鉛筆100を動かす中指に力がかかる(図中矢印B方向)が、指受け部104は本発明の壁状部14とは異なり指を受けるだけの平板状のものであるため、中指にかかる力を十分に受け止めることができず変形してしまう。そのため、中指の位置が乱れてしまい、正しい持ち方を十分に維持することができなくなる。
【0058】
特に、幼児や学童等の場合、大人に比べて指の長さが短く、また指先にように、指先への力の入れ具合をうまく調整できないため、大人や慣れた学童等では十分に効果が得られる上記従来の持ち方矯正具101であっても、十分な効果が得られないおそれがある。このように、使用者が不慣れな幼児や学童である場合、単なる指当て構造を有する持ち方矯正具では、筆記具を正しい持ち方に矯正することは事実上、困難となる。換言すれば、正しい持ち方を矯正する場合により重要な条件としては、上記3本の指の位置を容易かつ確実に決めることができ、さらに鉛筆と紙面との角度も、持ち方矯正具を持っただけで正しく保持できることが挙げられる。
【0059】
しかしながら、従来の持ち方矯正具や練習具では、正しい持ち方から離れた持ち方になりやすいことがあり、科学的な持ち方の指導だけでは不十分となりやすい。このような場合、指導者の熱意や努力を必要としなければ矯正の効果が上がらないことも多い。どのような道具であっても使い方を間違えば効果は無いことは言うまでもないが、使い方が説明しにくかったり理解しにくかったりする道具も、使い方を間違うことと同様に効果が無いということもできる。
【0060】
本発明では、上述したように、中指を凹部15で挟むとともに壁状部14の表面である中指当接部18に中指の腹側を当接させる。それゆえ、単に平板状の指受け部で中指を受けるよりも中指の位置を十分に規定できるだけでなく、中指にかかる力を利用して上から下方向にスナップを生じさせることも可能になる。このように、本発明は、単純に指先を案内する構成ではなく、指の位置を明確に規定する構成となっている。それゆえ、図7(a)に示すように、指の短い児童が使用者であっても、容易に正しい持ち方を実現することが可能になり、持ち方の矯正についても容易に指導することが可能になる。その結果、図7(b)に示すような(図15(a)・(b)も参照)削ったところを持つような持ち方、または図示しないが中指を鉛筆100の軸に載せる持ち方等さまざまな悪い持ち方を効果的に矯正することが可能となる。
【0061】
なお、本発明にかかる持ち方矯正具10では、中指の先端を凹部15で挟むようになっていればよく、筆記具の先が動く範囲をあまり大きくする必要はない。それよりも正しい持ち方を安定して保持し、筆記具の持ち方を正しく矯正できることに重点を置くようになっている。それゆえ、例えば、本発明にかかる持ち方矯正具10である程度正しい持ち方が矯正できた場合には、上記従来の持ち方矯正具101を用いてもよい。これによって、中指を凹部15で挟まなくても、指受け部で軽く受けるだけで中指の位置を維持できるように練習させることも可能となる。したがって、本発明者が考案または発明した二種類の持ち方矯正具を、使用者の矯正の段階に応じて利用することで、より充実した持ち方の指導が可能となる。
【0062】
<持ち方矯正具の材料・大きさ等>
本発明にかかる持ち方矯正具10の材料は特に限定されるものではなく、鉛筆100等の筆記具に装着して安定した持ち方を実現できるものであれば特に限定されるものではない。具体的には、金属、合成樹脂(プラスチック類)、木、石膏、ゴム等を挙げることができるが、中でも、ゴムやプラスチック類等の弾性力を備えた材料であることが好ましい。このような材料を用いれば、指を当接したときの触感を良好なものにできる。
【0063】
また、ゴムやプラスチック類であれば、十分な強度を有する壁状部14を形成することが可能であり、しかも多少の変形も可能となるので、中指にかかる力を利用した上記スナップを生じやすくすることができる。さらに、ゴムやプラスチック類であれば、本発明にかかる持ち方矯正具10を成形型によって容易に成形できるので、製造上でも利点がある。
【0064】
本発明にかかる持ち方矯正具10の大きさも特に限定されるものではなく、図8〜図13に示すように、取付部12および壁状部14の間に凹部15が形成されており、取付部12から延伸部13が伸びており、親指当接部16・人差指当接部17・中指当接部18等が形成されているような構成であればよい。なお、図8は、本発明にかかる持ち方矯正具10の一例の正面図であり、図9は背面図であり、図10は右側図であり、図11は左側図であり、図12は平面図であり、図13は底面図である。
【0065】
また、図14に示すように、延伸部13の側面や取付部12の外周に、前述した親指目標部21や筆記具側面位置目標部22が形成されていてもよい。これら目標部は前述したように突起や窪み(溝)に形成されてもよいし、模様(表面に描かれた線等)であっていてもよい。なお、図8〜図14では、形状を明確に示す便宜上、部材番号の記入を省略している。
【0066】
本発明にかかる持ち方矯正具10の大きさは特に限定されるものではない。本発明にかかる持ち方矯正具10は汎用性に優れており、大人でも幼児・学童でも用いることができる。
【0067】
具体的には、上記各指の当接部(親指当接部16・人差指当接部17・中指当接部18等)や凹部15にそれぞれ当接したり挟まれたりする指の太さ等は手の大きさに比べて個人差の小さいものであり、しかも各指の形状や筆記具との位置関係および傾斜角度等は手の大きさにそれほど影響されない。それゆえ、一般的には、本体部11(取付部12・凹部15・壁状部14)の幅や取付部12および延伸部13の長さ(すなわち、持ち方矯正具10における最大長さ)が3cm(30mm)以内となるような大きさに成形すれば、大人でも幼児・学童でも汎用的に利用することができる。もちろん、個々の部位の大きさは適宜変更することが可能であり、上記範囲内に特に限定されるものではない。
【0068】
本発明にかかる持ち方矯正具10では、構造上は、取付部12・壁状部14を含む本体部11と、本体部11から伸びる延伸部13とを有することになるが、各部はそれぞれ別体として形成されてもよいし、一体化されて形成されてもよい。持ち方矯正具10の安定性から見ればゴムやプラスチック類等の材料を用いて一体化して形成することが好ましい。また、一種類のみの材料を用いるだけでなく、複数種類の材料を用いても良い。例えば、各指の当接部のみをより触感の優れた材質にし、壁状部14を含む本体部11をより強度(剛性)の優れた材料にしてもよい。
【0069】
上記壁状部14の厚みは特に限定されるものではなく、用いられる材料に応じて、中指の位置を十分に保持できるような厚みであればよい。例えば、材料がゴムやプラスチック類であれば、3〜10mmの範囲内であることが好ましく、4〜8mmの範囲内であることがより好ましい。また、図11から明らかなように、壁状部14は厚みが均一である必要はなく、例えば、筆記具の先端側の厚みが大きく、筆記具の後端側の厚みが小さい形状(すなわち、断面が台形となっている形状)であると好ましい。このような形状であれば、凹部15に挟む中指の位置をより正しい位置に規定しやすくなる。
【0070】
さらに、本発明にかかる持ち方矯正具10の色は特に限定されるものではなく、さまざまな色に着色してよい。また、透明な材質を用いてもよいし、親指目標部21や筆記具側面位置目標部22以外に模様が描かれていてもよい。
【0071】
本実施の形態では、筆記具として鉛筆100を例に挙げたが、もちろん本発明が適用対象となる筆記具は鉛筆100に限定されるものではなく、各種のペン類やマーカー類、あるいは筆・ブラシ類等にも好適に用いることができる。さらに、近年では、パーソナルコンピュータ(PC)の外部入力装置としてペン状の手段を用いる構成のものが広く用いられるようになっているが、このようなペン状の手段を含む外部入力装置についても、本発明にかかる持ち方矯正具10を適用することができることはいうまでもない。
【0072】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかる筆記具の持ち方矯正具は、中指を凹部に挟み、かつ、中指当接部に当接させることにより、特に位置が安定しにくい中指の位置を安定して保持することができる。すなわち、単なる正しい持ち方の実現だけでなく、矯正の指導時における問題点も考慮して、本発明者が永年の研究で到達した科学的、理想的、美的、構造力学的な練習具ということができる。それゆえ、本発明にかかる持ち方矯正具は、筆記具の正しい持ち方を容易に実現できるとともに、使用中でも、この正しい持ち方をより一層十分に安定して保持することができるという効果を奏する。
【0073】
したがって、本発明は、筆記具等の事務用品に関わる産業のみならず、持ち方矯正具をゴムやプラスチック類等により成形加工する樹脂成形加工産業に利用することができ、さらには、PCの外部入力装置等に応用することが可能であるため、各種電子機器に関わる産業にも利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明における実施の一形態にかかる筆記具の持ち方矯正具の一例を示す右方斜視図であり、(b)は左方斜視図である。
【図2】図1に示す持ち方矯正具において、延伸部の側方に形成される親指目標部の一例と、親指の正しい位置とを示す部分側面図である。
【図3】図1に示す持ち方矯正具において、取付部の外周に形成される筆記具側面位置目標部の一例と、人差指当接部および鉛筆(筆記具)の側面で形成される一つの当接面の一例とを示す部分側面図である。
【図4】図1に示す持ち方矯正具を用いて実現される正しい鉛筆(筆記具)の持ち方の一例を示す斜視図である。
【図5】(a)は、図1に示す持ち方矯正具を用いた正しい筆記具の持ち方において、人差指の第一関節の角度αおよび第二関節の角度βと、筆記具の紙面に対する角度θとの関係を示す模式図であり、(b)は、同じく中指の第一関節の角度γおよび第二関節の角度δと、筆記具の紙面に対する角度との関係を示す模式図であり、(c)は、中指の先端と筆記具とで形成される角度εを示す模式図である。
【図6】(a)は、図1に示す持ち方矯正具を用いて正しい持ち方を実現したときに、上から下方向に鉛筆(筆記具)を動かす状態を示す模式図であり、(b)は、上から下方向に鉛筆を動かした後に、中指から壁状部にかかる力の方向と、それにより生ずるスナップの方向とを示す模式図である。
【図7】(a)は、図1に示す持ち方矯正具を用いて、幼児・学童等が正しい持ち方を実現したときの一例を示す斜視図であり、(b)は、幼児・学童等が本発明の持ち方矯正具を用いない場合に生じやすい、筆記具の削ったところを持つ悪い持ち方の一例を示す斜視図である。
【図8】図1に示す持ち方矯正具の正面図である。
【図9】図1に示す持ち方矯正具の背面図である。
【図10】図1に示す持ち方矯正具の右側図である。
【図11】図1に示す持ち方矯正具の左側図である。
【図12】図1に示す持ち方矯正具の平面図である。
【図13】図1に示す持ち方矯正具の底面図である。
【図14】図12に示す平面図において、親指目標部および筆記具側面位置目標部を有する例を示す図である。
【図15】(a)・(b)は、何れも、筆記具の削ったところを持つ悪い持ち方の一例を示す斜視図である。
【図16】筆記具の正しい持ち方の一般的な例を示す側面図である。
【図17】従来の筆記具の持ち方矯正具を示す正面図である。
【図18】(a)は、図17に示す持ち方矯正具を用いて正しい持ち方を実現したときに、上から下方向に鉛筆(筆記具)を動かす状態を示す模式図であり、(b)は、上から下方向に鉛筆を動かした後に、中指から壁状部にかかる力の方向と、それにより生ずる指受け部の変形とを示す模式図である。
【符号の説明】
10 持ち方矯正具
11 本体部
12 取付部
13 延伸部
14 壁状部
15 凹部
16 親指当接部(当接部・親指案内部)
17 人差指当接部(当接部・上部案内部)
18 中指当接部(当接部)
19 中指側方当接部(当接部・下部案内部)
21 親指目標部(目標部)
22 筆記具側面位置目標部(目標部)
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉛筆や筆、ボールペン等の各種筆記具の持ち方を矯正するための筆記具の持ち方矯正具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
筆記具の正しい持ち方の要点としては、一般に、(1)筆記具を持つ位置(筆記具の把持位置)、(2)筆記具を持ったときにできる手の形と力の入れ具合、(3)筆記具を持ったときに鉛筆と紙面とがなす角度(筆記具の把持角度)が挙げられる。なお、上記把持角度とは、紙面に対する筆記具の傾斜角度である。逆に言えば、これら要点に問題があれば筆記具を正しく持つことができない。
【0003】
本発明者が従来から独自に研究を続けた結果、特に、幼児・学童の場合、上記要点のうち、筆記具を持つ位置の誤り、すなわち、上記要点(1)に問題があるために、正しい持ち方ができないことが多い。
【0004】
たとえば、鉛筆を正しく持つことができない幼児・学童の約80%は、図15(a)・(b)に示すように、鉛筆の先の削りしろ部を持っている。これは、幼児・学童が鉛筆を持つ際に、指が小さく指先に力がないため、保持し易い、削って細くなった部分を無意識に持つからである。
【0005】
筆記具の正しい持ち方は、一般に図16に示すような持ち方が適切とされている。なお、図16では、筆記具の一例として鉛筆を挙げている。このような筆記具の正しい持ち方では、筆記具を動かして筆記を行う際には、人差指および中指が主導的な働きを担い、親指は、筆記具を支えるための補助的な働きをすることになる。しかしながら、図15(a)・(b)に示すような誤った持ち方では、親指が主導的な働きを担うことになる。この結果、筆記具を滑らかに動かすことが困難となり、文字を上手に書くことができなくなる。
【0006】
加えて、図15(a)・(b)に示す筆記具の持ち方では、親指が人差指より前に出てくることになる。この場合、人差指自体の位置が正しくても、親指が人差指の前に出ているため、人差指の第二関節が尖るように曲がるとともに、小指と薬指とを握り込んでしまう。この結果、腕に余計な負担がかかり、筆記の際に身体に悪影響が及ぼされるおそれがある。このような悪影響は、肩こりや目、腰、背柱の疲れ、あるいは、腱鞘炎などの病気を招くこともある。
【0007】
つまり、上記要点(1)の「筆記具の把持位置」に問題が生じると筆記具の持ち方が誤ったものになるが、さらに、要点・に問題に伴い要点(2)の「手の形と力の入れ具合」にも問題が生じる。このため、上手に文字が書けなくなるとともに、身体にまで悪影響が及ぼされる。さらに、上記要点(1)・(2)に問題が生じれば、要点(3)の「筆記具の把持角度」にも悪影響が及ぼされることは明らかである。
【0008】
そこで、上記の問題点を考慮した従来の筆記具の持ち方矯正具の一例として、本発明者は、以前、図17に示すような、筆記具を貫通状態で装着する取付部107を備える嵌合部106と、各指を案内するための上部案内部102、下部案内部103、および親指案内部105と、平板状の指受け部104とを有する構成の持ち方矯正具101を考案している(実用新案文献1参照)。
【0009】
この持ち方矯正具101では、人差指、中指、親指を上記各案内部102・103・105で案内するとともに、指受け部104にて、中指または薬指を安定して保持することができる。そのため、上記(1)〜(3)の要点への悪影響を回避することができ、正しい筆記具の持ち方を容易に実現することができる。特に、指受け部104によって、位置のずれ易い中指や薬指を安定して保持することが可能になるという利点がある。
【0010】
【実用新案文献1】
実開平7−8866号公報(平成7(1995)年2月7日公開)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上記従来の持ち方矯正具101は、筆記具の正しい持ち方を容易に実現することができるものの、例えば、幼児や学童等のように、指が大人より短く、また、指先への力の入れ具合をうまく調整できないような使用者に対しては、実現した正しい持ち方をより十分に安定して保持できない場合があるという課題が生じる。
【0012】
すなわち、上記従来の持ち方矯正具101では、上記各案内部102・103・105と指受け部104により、各指を正しい位置に明確に案内することができるため、大人のように指先への力の入れ具合をある程度調整できれば、使用中でも正しい持ち方を保持することは可能である。しかしながら、幼児や学童等では、指が短く、また、指先への力の入れ具合をうまく調整できないことから、上記従来の持ち方矯正具101の使用中に、各指が正しい位置からずれてしまうことが多い。それゆえ、当初は正しい持ち方を実現できても、使用しているうちに正しい持ち方が崩れてしまい、その結果、持ち方を正しく矯正することに影響を及ぼすおそれもある。
【0013】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであって、その目的は、筆記具の正しい持ち方を容易に実現できるとともに、使用中でも、この正しい持ち方をより一層十分に安定して保持することができる筆記具の持ち方矯正具を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を鑑み鋭意検討した結果、筆記具を動かす際に主導的な働きを担う人差指および中指のうち、特に中指の位置の安定性を向上させることによって、筆記具の正しい持ち方をより一層十分に安定して保持できるだけでなく、さらに、中指の位置の安定性が向上すると、中指に加えられる力の反動によって、筆記具をより動かし易くできることを独自に見出し、本発明を完成させるに至った。
【0015】
すなわち、本発明にかかる筆記具の持ち方矯正具は、上記の課題を解決するために、指の先端の少なくとも一部を挟む形状の凹部が形成される本体部と、凹部を挟んで本体部の一方の端部に位置し、筆記具を装着する取付部と、取付部における凹部と対向する側の外周に位置し、かつ、取付部に筆記具を装着したときの後端側に向かって伸びる延伸部と、凹部を挟んで本体部の他方の端部に位置する壁状部とを有しているとともに、上記本体部における凹部と対向する側に親指当接部が形成され、上記延伸部の表面に人差指当接部が形成され、上記壁状部における凹部側に中指当接部が形成されており、かつ、各当接部は各指の腹側の少なくとも一部を当接可能とする形状を有しており、さらに、上記壁状部は、中指当接部に当接した中指から加えられる外力に耐久する剛性を有していることを特徴としている。
【0016】
上記凹部は、当該凹部に中指の先端を入れた状態で、中指の側方を当接可能とする形状に形成されていることが好ましい。また上記延伸部には、親指当接部と人差指当接部との間となる位置に、親指当接部に当接する親指の位置を決定する親指目標部が形成されていることが好ましい。さらに、上記人差指当接部は、上記取付部に筆記具が装着されたときに、筆記具の側面とともに一つの当接面を形成する形状を有していることが好ましい。また、上記取付部の外周には、装着される筆記具が多角形の断面を有するときに、筆記具の側面と人差指当接部とで上記当接面を形成可能とするように、筆記具の側面の位置を規定する筆記具側面位置目標部が形成されていることが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、鉛筆を正しく持つ上で最も重要な親指と人差指との位置が、親指当接部および人差指当接部によって自ずと決定されるだけでなく、凹部によって中指の位置が安定して保持される。この状態を維持したまま小指を軽く紙の上(紙面)におくことで、鉛筆と紙面とによって形成される角度が略50〜60°に形成され、筆記具の正しい傾斜角が実現される。その結果、筆記具の正しい持ち方を容易に実現できるとともに、使用中でも、この正しい持ち方をより一層十分に安定して保持することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について説明すれば、以下の通りである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
【0019】
本発明にかかる筆記具の持ち方矯正具は、親指・人差指・中指・薬指を当接させた場合に、特に中指の位置を安定化させることで、筆記具の正しい持ち方をより一層安定化させることができるものであり、具体的には、中指の腹側を当接する中指当接部を有する部位の強度を向上させるものである。
【0020】
本発明にかかる持ち方矯正具10は、図1(a)・(b)に示すように、本体部11、取付部12、延伸部13、壁状部14を有しており、本体部11、延伸部13、壁状部14には、指を当接可能とする当接部が形成されている。
【0021】
<本体部>
本体部11は、上記取付部12および壁状部14の間に凹部15が形成されている形状を有しており、それ単独で見れば、略U字状の形状を有している。つまり、取付部12と壁状部14とが互いに対向して配置され、これらが一方の端部でつながっている形状となっている。上記凹部15は、指の先端の少なくとも一部を挟むことができる形状となっており、本発明では、中指の先端を挟むことができるようになっている。この凹部15と対向する側、すなわち、本体部11の略U字状の形状において「底」に相当する部位には、親指当接部16が形成されている。
【0022】
親指当接部16の具体的な形状は特に限定されるものではなく、親指の腹側の少なくとも一部を当接可能とする形状を有していればよい。より具体的には、親指の腹側の先端を安定して当接できるような形状であることが好ましい。本実施の形態では、図2に示すように、本体部11の「底」の部分(便宜上、底部と称する)だけでなく、延伸部13の一部も含めて、親指の先端の形状に応じた湾曲面が、親指当接部16として形成されている。これによって、筆記具の持ち方に慣れていない使用者でも、親指を容易かつ確実に当接させることが可能となる。なお、図2では、筆記具の例として鉛筆100を挙げている。また、説明の便宜上、図2では本体部11の部材番号は付記していない。
【0023】
<親指目標部>
ここで、親指当接部16が上記のように本体部11と延伸部13の一部とで形成されている場合、図2に示すように、親指当接部16と人差指当接部17との間となる位置に、上記延伸部13の一部の表面が露出することになる。そこで、親指当接部16と人差指当接部17との間となる位置に、親指当接部16に当接する親指の位置を決定する親指目標部21が形成されていることが好ましい。
【0024】
親指目標部21の具体的な構成は特に限定されるものではないが、例えば、図2に示すように、親指の爪の中心線を仮定した場合、この中心線に一致するような線状の突起や窪み(溝)を表面に形成したり、表面に線を描いたりすればよい。これによって親指をより確実に親指当接部16に当接できるだけでなく、使用中に親指の位置がずれても、正しい位置に親指を回復させることが可能となる。
【0025】
特に、正しい持ち方では、親指の先端が筆記具の側面に軽く当接して筆記具を支えることが重要となる。このとき、親指の先端の当接角度が微妙に変わると、親指に過剰に力が入るおそれがある。そのため、親指が筆記具を支えるだけでなく筆記具の動きに影響を及ぼすだけでなく、他の指の当接関係にも大きな影響を及ぼす可能性がある。しかしながら、親指の先端の位置(特に当接角度)を上記親指目標部21によって正しい位置に導くことで、正しい持ち方をより容易かつ確実に実現することができる。
【0026】
<取付部>
取付部12は、上記のように、壁状部14とつながって本体部11の一部を形成している。すなわち、取付部12は凹部15を挟んで本体部11の一方の端部に位置する。取付部12は筆記具を安定して装着できる構成であれば、特に限定されるものではないが、例えば、図1(a)・(b)に示すように、嵌合孔を有する円環形状となっており、筆記具を貫通状態で装着できるような構成を挙げることができる。また、略C字状になっており、筆記具をはめ込むような構成や、筆記具の周りの大部分を覆うような貫通溝であってもよい。
【0027】
また、後述するように、上記取付部12の外周のうち、凹部15の表面となっている部位は、本体部11の底部側とともに、中指の側方の一部を当接する中指側方当接部19となっている。すなわち、上記凹部15は、当該凹部15に中指の先端を入れた状態で、中指の側方を上記取付部12の外周となる位置および本体部11の底部(中指側方当接部19)となる位置に当接可能とする形状に形成されていることになる。
【0028】
<延伸部>
延伸部13は、取付部12における凹部15と対向する側の外周に位置している。したがって、上記中指側方当接部19と延伸部13は互いに対向する位置に配置されている。延伸部13は、取付部12に筆記具を装着したときの後端側に向かって、取付部12の外周から伸びた形状を有している。この延伸部13の表面には人差指当接部17が形成されている。人差指当接部17の形状は特に限定されるものではなく、上記親指当接部16と同様に、親指の腹側の少なくとも一部を当接可能とする形状を有していればよい。
【0029】
<人差指当接部>
特に、本発明では、上記人差指当接部17は、上記取付部12に筆記具が装着されたときに、筆記具の側面とともに一つの当接面を形成する形状を有していることが非常に好ましい。
【0030】
筆記具の正しい持ち方では、(1)親指は、人差指、中指の働きを補助して筆記具を支え、かつ、人差指、中指の運動を妨げることなく自由性を保障するために用いられ、(2)人差指は、上から下方向に書く線(曲線、直線および異方向線)を書く場合に用いられ、(3)中指は、下から上方向に書く線(曲線、直線および異方向線)を書く場合に用いられる。
【0031】
つまり、筆記具を正しく把持して筆記を行うときは、親指、人差指、中指の3指の働きの分担はそれぞれ異なっている。なかでも、親指および人差指の被把持棒に対する位置関係が重要となる。それゆえ、この2本の指の位置関係が残りの指に影響を与えることになる。
【0032】
図16に示すような筆記具の正しい持ち方では、人差指の先端の腹側は筆記具の上方側の側面に安定して当接することになるが、筆記具の持ち方に慣れていないと、筆記具の側面だけでは人差指の先端を十分に安定して当接させることが困難となる場合がある。そこで、例えば、図3に示すように、筆記具が六角形の断面を有する鉛筆100である場合等には、延伸部13の人差指当接部17と鉛筆100の側面とで一つの当接面30を形成するように、人差指当接部17の形状を設定する。これによって、人差指を当接する広い面が形成されるので、人差指をより一層安定して当接させることができる。
【0033】
しかも、上記人差指当接部17は、人差指先端の親指側となる片側の腹を当接するように形成されており、人差指先端の残りは筆記具(鉛筆100)の側面に当接する。したがって、持ち方矯正具10を装着していても外しても、人差指は必ず筆記具の側面に当接することになる。それゆえ、本発明にかかる持ち方矯正具10によって筆記具の正しい持ち方が身についた後、持ち方矯正具10を外した場合であっても、人差指の当接に違和感が生じることがないので、筆記具の持ち方の矯正をより有効に実現することができる。
【0034】
なお、上記人差指当接部17は、上記親指当接部16と同様に、人差指の腹側の先端を安定して当接できるような形状であることが好ましく、例えば、本実施の形態では、図3に示すように、人差指の先端の形状に応じた湾曲面が、延伸部13に沿った方向に形成されている。これによって、筆記具の持ち方に慣れていない使用者でも、人差指を容易かつ確実に当接させることが可能となる。
【0035】
<筆記具側面位置目標部>
また、図3に示すように、六角形の断面を有する鉛筆100のように、装着される筆記具が多角形の断面を有するときには、上記取付部12の外周には、筆記具の側面と人差指当接部17とで上記当接面30を形成可能とするように、筆記具の側面の位置を規定する筆記具側面位置目標部22が形成されていることが好ましい。この筆記具側面位置目標部22の具体的な構成は特に限定されるものではないが、前記親指目標部21と同様、例えば、図3に示すように、上記鉛筆100の側面における六角形や三角形の頂点に相当する線に一致するような線状の突起や窪みを、上記取付部12の表面に形成したり、表面に線を描いたりすればよい。これによって、上記人差指当接部17と筆記具の側面とともに、安定した一つの当接面30を形成し易くすることが可能となる。
【0036】
なお、本発明にかかる持ち方矯正具10に設けられる目標部、すなわち、装着する筆記具や当接する指の位置を決めるための目印になるような構成は、上記筆記具側面位置目標部22や前記親指目標部21のみに限定されるものではなく、他の指や筆記具の他の位置を決定するための構成であってもよい。
【0037】
<壁状部>
壁状部14は、前記のように、取付部12とつながって本体部11の一部を形成している。すなわち、壁状部14は凹部15を挟んで本体部11の他方の端部に位置する。この壁状部14の形状は特に限定されるものではないが、壁状部14における凹部15側に中指当接部18が形成されているため、壁状部14は、少なくとも凹部15側の表面に、中指の腹側を当接できるような形状を有していることが非常に好ましい。
【0038】
通常は、図1(a)・(b)に示すように、壁状部14の名称が示す通り、壁状すなわち厚みを有する板状の形状を有していることが好ましが、必ずしもこれに限定されるものではなく、デザイン上では、中指当接部18に対向する面(壁状部14における凹部15とは反対側の面)が平面でなく突出面になっていてもよい。また、中指当接部18は、中指の腹側の少なくとも一部を当接可能とする形状を有していればよいが、前記親指当接部16や人差指当接部17と同様に、中指の腹側の先端を安定して当接できるような形状、例えば湾曲面が形成されていてもよい。ただし、凹部15そのものが中指の先端の少なくとも一部を挟むような形状になっているので、安定性から見れば、必ずしも中指当接部18に湾曲面等が形成されていなくてもよい。
【0039】
このように、上記壁状部14は、その形状は特に限定されないが、中指当接部18に当接した中指から加えられる外力に耐久する剛性を有している必要がある。この点については後に詳述する。
【0040】
<持ち方矯正具の使用例>
本発明にかかる持ち方矯正具10は、図4に示すように、取付部12に筆記具(例えば鉛筆100)を装着し、鉛筆100の削り部(他の筆記具の場合、削り部に相当する略円錐状の部位)を取付部12から突き出させる。次いで、延伸部13の人差指当接部17(図4では人差指により隠れている)に、人差指の先端の腹側を当接し、人差指の第一関節近傍の腹側を軽く鉛筆100の外周上面に載せる。これとともに、中指の先端を凹部15に挟み込み、中指側方当接部19に中指の側方を当接させる。これによって、人差指と中指とで取付部12を挟持することになる。このとき中指は、側方が中指側方当接部19に当接しているだけでなく、腹側が壁状部14の中指当接部18に当接しており、結果的に、凹部15により安定した当接位置となるように保持されている。
【0041】
そして、親指当接部16に親指の第一関節より先の腹を当接するとともに、薬指の側方を壁状部14の先端に軽く当接させる。この状態では薬指は中指とともに軽く丸められているので、小指も薬指に沿わせてこれら各指に合わせて軽く丸める。そして、この状態で小指を軽く紙の上に置く。
【0042】
これによって、鉛筆100を正しく持つ上で最も重要な親指と人差指との位置が、親指当接部16および人差指当接部17によって自ずと決定されるだけでなく、凹部15によって中指の位置が安定して保持される。そのため、人差指の腹側が鉛筆100に当接することで人差指の第一関節が反らずに適度に曲がった状態になり、中指は人差指とともに鉛筆100を支えるような位置に規定され、親指は鉛筆100を軽く支える程度に鉛筆100を支持するような位置に規定される。
【0043】
上記のように、この状態を維持したまま小指を軽く紙の上(紙面)におくことで、鉛筆100と紙面とによって形成される角度が略50〜60°に形成され、筆記具の正しい傾斜角が実現される。
【0044】
<筆記具の紙面に対する角度と人差指・中指の関節の角度との関係>
ここで、正しい持ち方を実現したとき、鉛筆(筆記具)100の紙面に対する角度と、人差指および中指の関節の角度との間には、相関関係がある。この相関関係について、図5(a)・(b)・(c)に基づいて説明する。なお、図5(a)〜(c)では、持ち方矯正具10を点線で示し、それぞれの角度を、斜線を引いた扇形で示す。また、図5(a)・(b)では、筆記具を図中一点鎖線で示し、図5(c)では実線で示す。
【0045】
具体的には、図5(a)に示すように、本発明にかかる持ち方矯正具10を用いて正しい持ち方を実現した場合、筆記具の紙面に対する角度をθとすれば、人差指の第一関節は角度αをなすように曲がり、第二関節は角度βをなすように曲がっているとする。上記角度θは上述したように50〜60°の範囲が非常に好ましいため、角度θが好ましい範囲の上限である60°となっていれば、角度αは約160°であることが好ましく、角度βは約135°であることが好ましい。また、角度θが好ましい範囲の下限である50°となっていれば、角度αは焼く165°であることが好ましく、角度βは約140°であることが好ましい。
【0046】
同様に、図5(b)に示すように、本発明にかかる持ち方矯正具10を用いて正しい持ち方(筆記具の紙面に対する角度はθ)を実現した場合、中指の第一関節は角度γをなすように曲がり、第二関節は角度δをなすように曲がっているとする。角度θが好ましい範囲の上限である60°となっていれば、角度γは約155°であることが好ましく、角度δは約130°であることが好ましい。また、角度θが好ましい範囲の下限である50°となっていれば、角度γは約160°であることが好ましく、角度δは約135°であることが好ましい。
【0047】
このように、筆記具の紙面に対する角度θを50〜60°の範囲内とするためには、人差指の第一関節の角度αは160〜165°であればよく、人差指の第二関節の角度βは135〜140°の範囲内であればよく、中指の第一関節の角度γは155〜160°の範囲内であればよく、中指の第二関節の角度δは130〜135°の範囲内であればよい。また、角度θを比較的大きな角度とする場合には、人差指および中指の各関節の角度は大きくなる傾向にあり、逆に、角度θを比較的小さな角度とする場合には、各関節の角度は小さくなる傾向にある。
【0048】
つまり、筆記具の正しい持ち方を実現できない場合、人差指や中指の角度が上記範囲内に入らないことで、筆記具の紙面に対する角度θも好ましい範囲から外れ、これがさらに各指の当接状態に影響を及ぼし、上述したような親指、人差指、中指の3指がそれぞれ異なった働きができるように当接できなくなる(図15参照)。
【0049】
これに対して、本発明にかかる持ち方矯正具10では、上述したように、凹部15で中指の位置を確実に安定化させることにより、中指の先端から第一関節に至るまでの部分を、筆記具の側面に略密着させた状態に矯正することが容易となる。その結果、図5(c)に示すように、中指の先端と鉛筆100とで形成される角度εが約125〜135°の範囲内となる。また、本発明にかかる持ち方矯正具10では、人差指当接部17を広い面として、ここに人差指の先端を当接する。これによって、人差指・中指の各関節の角度が上記の範囲内になるように各指を容易かつ確実に導くことができる。その結果、筆記具の紙面に対する角度θも好ましい50〜60°の範囲内に入り、各指の当接状態に大きな影響を及ぼすことなく、正しい持ち方を実現することができる。
【0050】
さらに、本発明では、上述したように、親指の位置を上記親指目標部21によって確実に規定する。これによって、親指の位置がずれて人差指・中指の当接位置に大きな影響を及ぼすことを回避することも可能となる。このように、本発明にかかる持ち方矯正具10では、親指・人差指・中指という筆記具を持つために重要な3本の指の位置を容易に規定することができ、これによって、自ずと筆記具の紙面に対する角度を決定することができる。
【0051】
<凹部および壁状部による作用>
本発明にかかる持ち方矯正具10では、凹部15および壁状部14によって中指の先端の位置を安定して保持することができるが、この点についてより詳細に説明する。
【0052】
図4に示すように、本発明にかかる持ち方矯正具10を用いた場合、上述したように、中指の先端を凹部15に挟むとともに中指の腹側を中指当接部18(壁状部14における凹部15の内側となる位置)に当接させ、さらに中指の側方を中指側方当接部19(凹部15の底側となる部位、本体部11の底部の凹部15側および取付部12の凹部15側の外周)に当接させる。これによって中指の位置を十分に安定させることができる。
【0053】
さらに、本発明にかかる持ち方矯正具10を用いて正しい持ち方を維持しながら鉛筆100を使用するときには、図6(a)・(b)に示すように、下から上方向に線を書く場合に中指の位置を安定させるとともに、壁状部14の剛性により中指にかかる力を十分に受けることができる。具体的には、図6(a)に示すように、鉛筆100を例えば下から上方向(図中矢印A)に動かすと、図6(b)に示すように、この方向に筆記具を動かす中指に力がかかる(この力を図中矢印Bで示す)。ここで、壁状部14は十分な剛性を有しているため、中指にかかる力を十分に受け止めることができる。そのため、中指の位置が乱れることがなく、正しい持ち方を十分に維持することができる。
【0054】
しかも、この壁状部14では中指にかかる力を十分に受け止めることができるので、中指にかかる力に対する壁状部14の反発によって、上から下方向にスナップが生じる(図中矢印C)。そのため、単に中指の位置を安定に保持できるだけでなく鉛筆100の動きにメリハリをつけることも可能になる。
【0055】
一方、本発明者が以前に考案した実用新案文献1の持ち方矯正具101は、図17に示すように、本発明にかかる持ち方矯正具10に類似している部分もある。しかしながら、決定的に異なるのは、この従来の持ち方矯正具101では、中指の先端を挟んで中指の位置を安定化するという技術思想はなく、中指の位置を案内するという技術思想しか開示されていない点である。
【0056】
図17に示す従来の持ち方矯正具101では、筆記具を貫通状態で装着する取付部(嵌合孔)107を有している。そして、この取付部107を挟んで一方の側部側の外周に親指以外の挟持指を案内するための上部案内部102と指の側腹部を案内するための下部案内部103とが形成されている。また、上記取付部107を挟んで他方の側部側における筆記具の軸心方向先端側の外周には、親指を案内するための親指案内部105がそれぞれ形成されている。上記案内部102・103・105は何れも面として形成されている。さらに、下部案内部103の下側には、指の前腹部を下側から浮けるための平板状の指受け部104が設けられている。
【0057】
本発明にかかる持ち方矯正具10では、上記指受け部104を除いた構成は上記従来の持ち方矯正具101に類似しており、上部案内部102を人差指当接部17に、下部案内部103を中指側方当接部19に対応させることが可能である。ここで、上記従来の持ち方矯正具101では、中指を平板状の指受け部104で受けている。そのため、図18(a)に示すように、鉛筆100を例えば下から上方向(図中矢印A)に動かすと、図18(b)に示すように、この方向に鉛筆100を動かす中指に力がかかる(図中矢印B方向)が、指受け部104は本発明の壁状部14とは異なり指を受けるだけの平板状のものであるため、中指にかかる力を十分に受け止めることができず変形してしまう。そのため、中指の位置が乱れてしまい、正しい持ち方を十分に維持することができなくなる。
【0058】
特に、幼児や学童等の場合、大人に比べて指の長さが短く、また指先にように、指先への力の入れ具合をうまく調整できないため、大人や慣れた学童等では十分に効果が得られる上記従来の持ち方矯正具101であっても、十分な効果が得られないおそれがある。このように、使用者が不慣れな幼児や学童である場合、単なる指当て構造を有する持ち方矯正具では、筆記具を正しい持ち方に矯正することは事実上、困難となる。換言すれば、正しい持ち方を矯正する場合により重要な条件としては、上記3本の指の位置を容易かつ確実に決めることができ、さらに鉛筆と紙面との角度も、持ち方矯正具を持っただけで正しく保持できることが挙げられる。
【0059】
しかしながら、従来の持ち方矯正具や練習具では、正しい持ち方から離れた持ち方になりやすいことがあり、科学的な持ち方の指導だけでは不十分となりやすい。このような場合、指導者の熱意や努力を必要としなければ矯正の効果が上がらないことも多い。どのような道具であっても使い方を間違えば効果は無いことは言うまでもないが、使い方が説明しにくかったり理解しにくかったりする道具も、使い方を間違うことと同様に効果が無いということもできる。
【0060】
本発明では、上述したように、中指を凹部15で挟むとともに壁状部14の表面である中指当接部18に中指の腹側を当接させる。それゆえ、単に平板状の指受け部で中指を受けるよりも中指の位置を十分に規定できるだけでなく、中指にかかる力を利用して上から下方向にスナップを生じさせることも可能になる。このように、本発明は、単純に指先を案内する構成ではなく、指の位置を明確に規定する構成となっている。それゆえ、図7(a)に示すように、指の短い児童が使用者であっても、容易に正しい持ち方を実現することが可能になり、持ち方の矯正についても容易に指導することが可能になる。その結果、図7(b)に示すような(図15(a)・(b)も参照)削ったところを持つような持ち方、または図示しないが中指を鉛筆100の軸に載せる持ち方等さまざまな悪い持ち方を効果的に矯正することが可能となる。
【0061】
なお、本発明にかかる持ち方矯正具10では、中指の先端を凹部15で挟むようになっていればよく、筆記具の先が動く範囲をあまり大きくする必要はない。それよりも正しい持ち方を安定して保持し、筆記具の持ち方を正しく矯正できることに重点を置くようになっている。それゆえ、例えば、本発明にかかる持ち方矯正具10である程度正しい持ち方が矯正できた場合には、上記従来の持ち方矯正具101を用いてもよい。これによって、中指を凹部15で挟まなくても、指受け部で軽く受けるだけで中指の位置を維持できるように練習させることも可能となる。したがって、本発明者が考案または発明した二種類の持ち方矯正具を、使用者の矯正の段階に応じて利用することで、より充実した持ち方の指導が可能となる。
【0062】
<持ち方矯正具の材料・大きさ等>
本発明にかかる持ち方矯正具10の材料は特に限定されるものではなく、鉛筆100等の筆記具に装着して安定した持ち方を実現できるものであれば特に限定されるものではない。具体的には、金属、合成樹脂(プラスチック類)、木、石膏、ゴム等を挙げることができるが、中でも、ゴムやプラスチック類等の弾性力を備えた材料であることが好ましい。このような材料を用いれば、指を当接したときの触感を良好なものにできる。
【0063】
また、ゴムやプラスチック類であれば、十分な強度を有する壁状部14を形成することが可能であり、しかも多少の変形も可能となるので、中指にかかる力を利用した上記スナップを生じやすくすることができる。さらに、ゴムやプラスチック類であれば、本発明にかかる持ち方矯正具10を成形型によって容易に成形できるので、製造上でも利点がある。
【0064】
本発明にかかる持ち方矯正具10の大きさも特に限定されるものではなく、図8〜図13に示すように、取付部12および壁状部14の間に凹部15が形成されており、取付部12から延伸部13が伸びており、親指当接部16・人差指当接部17・中指当接部18等が形成されているような構成であればよい。なお、図8は、本発明にかかる持ち方矯正具10の一例の正面図であり、図9は背面図であり、図10は右側図であり、図11は左側図であり、図12は平面図であり、図13は底面図である。
【0065】
また、図14に示すように、延伸部13の側面や取付部12の外周に、前述した親指目標部21や筆記具側面位置目標部22が形成されていてもよい。これら目標部は前述したように突起や窪み(溝)に形成されてもよいし、模様(表面に描かれた線等)であっていてもよい。なお、図8〜図14では、形状を明確に示す便宜上、部材番号の記入を省略している。
【0066】
本発明にかかる持ち方矯正具10の大きさは特に限定されるものではない。本発明にかかる持ち方矯正具10は汎用性に優れており、大人でも幼児・学童でも用いることができる。
【0067】
具体的には、上記各指の当接部(親指当接部16・人差指当接部17・中指当接部18等)や凹部15にそれぞれ当接したり挟まれたりする指の太さ等は手の大きさに比べて個人差の小さいものであり、しかも各指の形状や筆記具との位置関係および傾斜角度等は手の大きさにそれほど影響されない。それゆえ、一般的には、本体部11(取付部12・凹部15・壁状部14)の幅や取付部12および延伸部13の長さ(すなわち、持ち方矯正具10における最大長さ)が3cm(30mm)以内となるような大きさに成形すれば、大人でも幼児・学童でも汎用的に利用することができる。もちろん、個々の部位の大きさは適宜変更することが可能であり、上記範囲内に特に限定されるものではない。
【0068】
本発明にかかる持ち方矯正具10では、構造上は、取付部12・壁状部14を含む本体部11と、本体部11から伸びる延伸部13とを有することになるが、各部はそれぞれ別体として形成されてもよいし、一体化されて形成されてもよい。持ち方矯正具10の安定性から見ればゴムやプラスチック類等の材料を用いて一体化して形成することが好ましい。また、一種類のみの材料を用いるだけでなく、複数種類の材料を用いても良い。例えば、各指の当接部のみをより触感の優れた材質にし、壁状部14を含む本体部11をより強度(剛性)の優れた材料にしてもよい。
【0069】
上記壁状部14の厚みは特に限定されるものではなく、用いられる材料に応じて、中指の位置を十分に保持できるような厚みであればよい。例えば、材料がゴムやプラスチック類であれば、3〜10mmの範囲内であることが好ましく、4〜8mmの範囲内であることがより好ましい。また、図11から明らかなように、壁状部14は厚みが均一である必要はなく、例えば、筆記具の先端側の厚みが大きく、筆記具の後端側の厚みが小さい形状(すなわち、断面が台形となっている形状)であると好ましい。このような形状であれば、凹部15に挟む中指の位置をより正しい位置に規定しやすくなる。
【0070】
さらに、本発明にかかる持ち方矯正具10の色は特に限定されるものではなく、さまざまな色に着色してよい。また、透明な材質を用いてもよいし、親指目標部21や筆記具側面位置目標部22以外に模様が描かれていてもよい。
【0071】
本実施の形態では、筆記具として鉛筆100を例に挙げたが、もちろん本発明が適用対象となる筆記具は鉛筆100に限定されるものではなく、各種のペン類やマーカー類、あるいは筆・ブラシ類等にも好適に用いることができる。さらに、近年では、パーソナルコンピュータ(PC)の外部入力装置としてペン状の手段を用いる構成のものが広く用いられるようになっているが、このようなペン状の手段を含む外部入力装置についても、本発明にかかる持ち方矯正具10を適用することができることはいうまでもない。
【0072】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかる筆記具の持ち方矯正具は、中指を凹部に挟み、かつ、中指当接部に当接させることにより、特に位置が安定しにくい中指の位置を安定して保持することができる。すなわち、単なる正しい持ち方の実現だけでなく、矯正の指導時における問題点も考慮して、本発明者が永年の研究で到達した科学的、理想的、美的、構造力学的な練習具ということができる。それゆえ、本発明にかかる持ち方矯正具は、筆記具の正しい持ち方を容易に実現できるとともに、使用中でも、この正しい持ち方をより一層十分に安定して保持することができるという効果を奏する。
【0073】
したがって、本発明は、筆記具等の事務用品に関わる産業のみならず、持ち方矯正具をゴムやプラスチック類等により成形加工する樹脂成形加工産業に利用することができ、さらには、PCの外部入力装置等に応用することが可能であるため、各種電子機器に関わる産業にも利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明における実施の一形態にかかる筆記具の持ち方矯正具の一例を示す右方斜視図であり、(b)は左方斜視図である。
【図2】図1に示す持ち方矯正具において、延伸部の側方に形成される親指目標部の一例と、親指の正しい位置とを示す部分側面図である。
【図3】図1に示す持ち方矯正具において、取付部の外周に形成される筆記具側面位置目標部の一例と、人差指当接部および鉛筆(筆記具)の側面で形成される一つの当接面の一例とを示す部分側面図である。
【図4】図1に示す持ち方矯正具を用いて実現される正しい鉛筆(筆記具)の持ち方の一例を示す斜視図である。
【図5】(a)は、図1に示す持ち方矯正具を用いた正しい筆記具の持ち方において、人差指の第一関節の角度αおよび第二関節の角度βと、筆記具の紙面に対する角度θとの関係を示す模式図であり、(b)は、同じく中指の第一関節の角度γおよび第二関節の角度δと、筆記具の紙面に対する角度との関係を示す模式図であり、(c)は、中指の先端と筆記具とで形成される角度εを示す模式図である。
【図6】(a)は、図1に示す持ち方矯正具を用いて正しい持ち方を実現したときに、上から下方向に鉛筆(筆記具)を動かす状態を示す模式図であり、(b)は、上から下方向に鉛筆を動かした後に、中指から壁状部にかかる力の方向と、それにより生ずるスナップの方向とを示す模式図である。
【図7】(a)は、図1に示す持ち方矯正具を用いて、幼児・学童等が正しい持ち方を実現したときの一例を示す斜視図であり、(b)は、幼児・学童等が本発明の持ち方矯正具を用いない場合に生じやすい、筆記具の削ったところを持つ悪い持ち方の一例を示す斜視図である。
【図8】図1に示す持ち方矯正具の正面図である。
【図9】図1に示す持ち方矯正具の背面図である。
【図10】図1に示す持ち方矯正具の右側図である。
【図11】図1に示す持ち方矯正具の左側図である。
【図12】図1に示す持ち方矯正具の平面図である。
【図13】図1に示す持ち方矯正具の底面図である。
【図14】図12に示す平面図において、親指目標部および筆記具側面位置目標部を有する例を示す図である。
【図15】(a)・(b)は、何れも、筆記具の削ったところを持つ悪い持ち方の一例を示す斜視図である。
【図16】筆記具の正しい持ち方の一般的な例を示す側面図である。
【図17】従来の筆記具の持ち方矯正具を示す正面図である。
【図18】(a)は、図17に示す持ち方矯正具を用いて正しい持ち方を実現したときに、上から下方向に鉛筆(筆記具)を動かす状態を示す模式図であり、(b)は、上から下方向に鉛筆を動かした後に、中指から壁状部にかかる力の方向と、それにより生ずる指受け部の変形とを示す模式図である。
【符号の説明】
10 持ち方矯正具
11 本体部
12 取付部
13 延伸部
14 壁状部
15 凹部
16 親指当接部(当接部・親指案内部)
17 人差指当接部(当接部・上部案内部)
18 中指当接部(当接部)
19 中指側方当接部(当接部・下部案内部)
21 親指目標部(目標部)
22 筆記具側面位置目標部(目標部)
Claims (5)
- 指の先端の少なくとも一部を挟む形状の凹部が形成される本体部と、凹部を挟んで本体部の一方の端部に位置し、筆記具を装着する取付部と、取付部における凹部と対向する側の外周に位置し、かつ、取付部に筆記具を装着したときの後端側に向かって伸びる延伸部と、凹部を挟んで本体部の他方の端部に位置する壁状部とを有しているとともに、
上記本体部における凹部と対向する側に親指当接部が形成され、上記延伸部の表面に人差指当接部が形成され、上記壁状部における凹部側に中指当接部が形成されており、かつ、各当接部は各指の腹側の少なくとも一部を当接可能とする形状を有しており、
さらに、上記壁状部は、中指当接部に当接した中指から加えられる外力に耐久する剛性を有していることを特徴とする筆記具の持ち方矯正具。 - 上記凹部は、当該凹部に中指の先端を入れた状態で、中指の側方を当接可能とする形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の筆記具の持ち方矯正具。
- 上記延伸部には、親指当接部と人差指当接部との間となる位置に、親指当接部に当接する親指の位置を決定する親指目標部が形成されていることを請求項1または2に記載の筆記具の持ち方矯正具。
- 上記人差指当接部は、上記取付部に筆記具が装着されたときに、筆記具の側面とともに一つの当接面を形成する形状を有していることを特徴とする請求項1、2または3に記載の筆記具の持ち方矯正具。
- さらに、上記取付部の外周には、装着される筆記具が多角形の断面を有するときに、筆記具の側面と人差指当接部とで上記当接面を形成可能とするように、筆記具の側面の位置を規定する筆記具側面位置目標部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の筆記具の持ち方矯正具。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2002348775A JP2004181685A (ja) | 2002-11-29 | 2002-11-29 | 筆記具の持ち方矯正具 |
Applications Claiming Priority (1)
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Cited By (2)
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JP2007164098A (ja) * | 2005-12-16 | 2007-06-28 | Jido Kakikata Kenkyusho:Kk | 持ち方矯正具、持ち方矯正具の使用方法、筆記補助具 |
CN110154584A (zh) * | 2019-04-15 | 2019-08-23 | 任祥明 | 一种精准握笔器 |
-
2002
- 2002-11-29 JP JP2002348775A patent/JP2004181685A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007164098A (ja) * | 2005-12-16 | 2007-06-28 | Jido Kakikata Kenkyusho:Kk | 持ち方矯正具、持ち方矯正具の使用方法、筆記補助具 |
JP4693622B2 (ja) * | 2005-12-16 | 2011-06-01 | 有限会社児童かきかた研究所 | 持ち方矯正具 |
CN110154584A (zh) * | 2019-04-15 | 2019-08-23 | 任祥明 | 一种精准握笔器 |
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