JP2004180177A - 弾性表面波装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】半田バンプ接続の不具合を防止し、接合強度の向上及び接合信頼性に優れた弾性表面波装置を提供する
【解決手段】圧電基板20上に形成したAl―Cu合金からなるパッド電極30cの上面、側面をCr層40a、Ni層40bからなる中間層及びAuからなる表面層40cで被覆し、その周囲に保護膜50を配置する構造とする。
【選択図】図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば携帯電話等の移動体通信機器や車載用機器、医療用機器等に用いられる弾性表面波装置に関し、詳しくはフリップチップボンディング方式により実装される弾性表面波装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
弾性表面波共振器や弾性表面波フィルタ等の弾性表面波装置は、マイクロ波帯を利用する各種無線通信機器や車載用機器、医療用機器等に幅広く用いられているが、各機器の小型化に伴って更なる小型化が求められており、小型化を実現する手段として、弾性表面波素子と回路基板とをバンプで接続するフリップチップボンディング方式を採用した弾性表面波装置が知られている。
【0003】
このような弾性表面波装置においては、弾性表面波素子を構成する圧電基板上に形成されたパッド電極部の構造により、圧電基板とパッド電極部との接合強度や接続信頼性が大きく影響する。このため、パッド電極部の構造については、従来より種々の構造が提案されている(例えば、特許文献1:特開平11−234082号公報、特許文献2:特開平10−322159号公報参照)。
【0004】
図5は従来の弾性表面波素子のパッド電極部の断面構造を示す模式図である。
【0005】
パッド電極部は、水晶等の圧電性基板120上に形成され、且つ弾性表面波を励振させるインターディジタルトランスデューサー(以下、単にIDTという)電極(図示せず)に引き出し電極130dを介して接続されるものである。
【0006】
このパッド電極部は、圧電基板120側から、AlやAlを主成分とする合金からなるパッド電極130c、Crからなるバリア層(以下、Cr層という)140a、Niからなるバリア層(以下、Ni層という)140b、Auからなる表面層(以下、Au表面層)140cが順次積層されて構成されている。尚、Cr層140a、Ni層140bを合わせて中間層という。
【0007】
このバッド電極部の表面に被着されたAu表面層140c上には、フリップチップボンディング方式の接合手段であるAuや半田からなるバンプなどが接合することになる。
【0008】
また、パッド電極部を構成するAu表面層140cは、下層に位置するNi層140bの酸化を防止するとともに、上述の接合手段であるバンプとの密着性を高めるものである。
【0009】
また、中間層であるCr層140a、Ni層140bは、Auバンプを用いる場合においては、AuバンプのAu成分がAlを主成分とするパッド電極130cにまで拡散することを防止するものである。仮に、AuバンプのAu成分がパッド電極130に拡散すると、Al−Auの異種金属化合物が形成されて、パッド電極中に機械的に脆い領域が発生してしまい、機械的強度及び接合信頼性が大きく低下する。また、半田バンプを用いる場合には、中間層のNi層140bで、溶融した半田成分がパッド電極に拡散することを防止している。
【特許文献1】
特開平11−234082号公報 (図1)
【特許文献2】
特開平10−322159号公報 (図2)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の弾性表面波装置には以下に述べる問題があった。
【0011】
まず、弾性表面波素子のパッド電極は、弾性表面波を励振するIDT電極と同時に形成されるものである。そして、IDT電極は要求特性である耐電力特性を考慮してAl−Cu合金が用いられることが多い。即ち、パッド電極130cもIDT電極と同様に、Al−Cu合金で形成される。
【0012】
ところで、Al−Cu合金からなるパッド電極130c上に、上述のようにCr層140aを形成しても、充分な接合強度が得られないという問題があった。このため、パッド電極130cとCr層140aとの界面で剥離しやすくなってしまう。
【0013】
また弾性表面波素子と回路基板との接合に、半田、または半田バンプを用いた場合、溶融した半田が、バンプ電極部の外周側面を沿って流れ、Al−Cuからなるパッド電極130cに到達する。また、パッド電極130cに接続する引き出し電極130dに接触してしまう。これにより、パッド電極130cや引き出し電極130dが腐食し、接続不良や断線などが生じるという問題があった。
【0014】
さらに溶融した半田が、中間層を構成するCr層140aと接触すると、半田中のSn成分とCr層140aのCr成分とが相互拡散してCr−Sn合金層を形成してしまう。これにより、中間層の一部に、機械的な強度が弱いSnリッチな領域が発生し、長期的信頼性が大きく低下してしまうという問題があった。
【0015】
さらに、Cr層140aの厚みが薄いと、Ni層140bとパッド電極130cとの接合強度が悪くなり、Cr層140aの厚みが厚いと電気抵抗が大きくなり、且つリフトオフ法にて中間層並びにAu表面層140cのパターンを形成する際に、途中まで剥離した硬くて厚いCr層がリフトオフ時に加えられる超音波によって振動してIDT電極に接触し、IDT電極を傷つけるという問題があった。
【0016】
本発明は、上述の問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的は、パッド電極部を構成する各層での接合強度、パッド電極部と圧電基板との接合強度が向上し、且つバンプなどとの接合信頼性が高い弾性表面波装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、圧電基板の一方主面にAl―Cu合金からなるIDT電極とパッド電極とを形成し、且つ前記パッド電極上にCr層、Ni層を順次積層した中間層を形成するとともに、前記中間層上にAu表面層を形成した弾性表面波素子を、接続電極が形成された回路基板に、前記Au表面層と前記接続電極とが電気的に接続するように半田にて接続して搭載した弾性表面波装置において、
前記パッド電極の上面及び側面は前記中間層によって被覆されているとともに、前記中間層の周辺部は、該中間層を構成する前記Cr層の厚みよりも厚い保護膜が配置されている弾性表面波装置である。
【0018】
そして、前記Cr層の厚みは、50〜300Åであり、さらに、前記保護膜は酸化シリコンから成る。
【作用】
本発明によれば、パッド電極の上面及び側面が中間層で被覆されている。このため、パッド電極と中間層との接触面積が増加し、両者の接合強度を向上させることができる。
【0019】
また、中間層を構成するCr層と圧電基板とが、パッド電極の周囲で直接接触することになるため、パッド電極部と圧電基板との接合強度が向上する。これは、水晶やLiTaOなどの圧電基板とCrとの接合強度が、圧電基板とパッド電極であるAl−Cu合金との接合強度よりも大きいためである。
また本発明によれば、少なくも中間層の周辺部に、該中間層を構成するCr層の厚みよりも厚い厚みの保護膜を配置している。即ち、パッド電極は、中間層を構成するCr層、Ni層に覆われ、さらに、その周囲が保護膜に被われているので、例えば半田バンプを用いて回路基板に接続した際に、溶融した半田が、Al−Cu合金からなるパッド電極に接触することが皆無となる。その結果、パッド電極の半田による腐食を防止できる。
また、パッド電極とIDT電極とを引出し電極で電気的に接続した場合に、その引出し電極も保護膜に覆われることになり、溶融した半田がAl−Cu合金からなる引出し電極に接触することが皆無となる。その結果、引出し電極の半田による腐食を防止できる。
【0020】
また、Cr層についても、上面側はNi層によって、厚み方向の側面は保護膜によって覆われることになるため、従来のように、溶融した半田がCr層に接触して、CrとSnとの相互拡散に起因する脆いCr−Sn合金が形成されることが皆無となる。これにより、パッド電極部と圧電基板との接合強度の向上と、安定した接合の維持を実現でき、長期的信頼性の低下を防止することができる。
【0021】
また、本発明では中間層をCr層とNi層とで形成している。これにより金バンプを用いて回路基板に接続した場合も、Ni層及びCr層によって、金バンプの金成分がAl−Cu合金からなるパッド電極に拡散することを防止できる。よってこの場合においても、パッド電極部と圧電基板との接合強度の向上と、長期的接合信頼性の低下防止を実現することができる。
【0022】
また、Cr層の厚みを50〜300Åとしている。Cr層の厚みが50Å未満では、Ni層とパッド電極との接合強度を向上させる効果が低下してしまう。本発明では、Cr層の厚みを50Å以上とすることにより、Ni層とパッド電極との接合強度を高めることができる。
【0023】
また、Cr層の厚みが300Åを越えるとパッド電極全体の電気抵抗が増加したり、リフトオフ時に途中まで剥離した硬くて厚いCr層がリフトオフ時に加えられる超音波によって振動してIDT電極に接触し、IDT電極を傷つけるといった問題が発生してしまう。本発明では、Cr層の厚みを300Å以下とすることにより、これらの問題を解決することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る弾性表面波装置を図1〜図3に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の弾性表面波装置に用いる弾性表面波素子の一実施形態を模式的に示す平面図、図2は弾性表面波素子のパッド電極部の構造を模式的に示す断面図、図3は本発明の弾性表面波装置の全体構造を模式的に示す断面図である。
【0025】
図において、1は弾性表面波装置であり、10は弾性表面波素子であり、60は回路基板であり、80は、接合手段である溶融して接合した状態の半田パンプである。
【0026】
弾性表面波素子10は、例えばタンタル酸リチウム単結晶、ニオブ酸リチウム単結晶、四ホウ酸リチウム単結晶等の圧電性の単結晶から成る圧電基板20と、圧電基板20の一方主面上に、Al−Cu合金からなる各種電極とから構成されている。
【0027】
各種電極とは、図1に示すように、弾性表面波を励振するIDT電極30a、弾性表面波の伝搬方向に沿ってIDT電極30aの両側に配置される反射器電極30b、パッド電極30c、IDT電極30aとパッド電極30cとを電気的に接続する引き出し電極30dなどが例示できる。そして、例えば、IDT電極30aとその両側に配置された反射器電極30bとで1端子対の弾性表面波共振子が形成されている。
【0028】
パッド電極30cの上面及びその周囲には、下方側からCr層40a、Ni層40b、Au表面層40cが順次積層されている。ここで、パッド電極30c、Cr層40a、Ni層40b、Au表面層40cによって、パッド電極部40が構成される。尚、Cr層40a及びNi層40bは、Au表面層40cとパッド電極30cとの間に配置され、安定したAu表面層40cを維持するための層であり、中間層という。
【0029】
また、圧電基板20の一方主面には、バッド電極部40の上面を露出するようにシリコンや酸化シリコン等の半導電性もしくは絶縁性材料からなる保護膜50が形成されている。ここで、保護膜50は、中間層を構成するCr層40aの厚みよりも厚く形成される。保護膜50はIDT電極30a上にも形成される為、保護膜50の厚みが一様な場合は、保護膜50の厚みは弾性表面波装置の電気特性も考慮して決定される。
【0030】
以上のように構成した弾性表面波素子10を、図3に示すように、弾性表面波素子10の一方主面に形成されたパッド電極部40の表面層であるAu表面層40cと、回路基板60の実装面に形成された接続電極70とを、位置合わせを行い、半田バンプ80を介して接合する。これにより、弾性表面波素子10と回路基板60とが電気的に接続され、同時に機械的に固定された弾性表面波装置1が達成される。
【0031】
尚、弾性表面波装置1は、弾性表面波素子10の他方主面側及び周囲面に外装樹脂90が形成され、弾性表面波素子10と回路基板60との間隙が気密的に封止されるとともに、弾性表面波素子10と回路基板60との強固な接合が達成される。
【0032】
図3では省略しているが、回路基板60の底面には外部端子電極が形成されており、各接続電極70は回路基板20の表面や回路基板20の内部に形成された配線パターンを介して外部端子電極に接続されている。
【0033】
本発明の弾性表面波装置によれば、弾性表面波素子10に形成されたパッド電極部40において、上述したように、パッド電極30cの上面及びその周囲(パッド電極部40の厚み相当分の側面)に、Cr層40a、Ni層40bからなる中間層が被覆されている。このような構造により、パッド電極30cと中間層との接触面積が増加し、両者の接合強度を向上させることができる。同時に、パッド電極30cの周囲においては、中間層のうち下層に位置するCr層40aが圧電基板20に直接接触することになる。これにより、水晶やLiTaO3等の圧電基板20とCr層40aの接合強度は、例えばAl−Cu合金からなるパッド電極30cとCr層40aとの接合強度より大きいため、結果として、パッド電極部40と圧電基板20との接合強度を高めることができる。
【0034】
また、パッド電極30cの上面及び周囲を被覆した中間層は、その中間層の周辺部においてを保護膜50に取り囲まれている。これにより、半田バンプ80を用いた際に、溶融した半田が、Al−Cu合金からなるパッド電極30cに接触することが一切なく、パッド電極30cの半田による腐食を完全に防止できる。また、中間層が被覆されていない引き出し電極30dは、保護膜50によって被覆されているため、パッド電極30c同様、溶融した半田に接触することがなく、半田による腐食を完全に防止できる。
【0035】
しかも、保護膜50の厚みが、中間層を構成するCr層40aの厚みよりも厚くなっている。即ち、このCr層40aがNi層40b及び保護膜50に完全に被われているので、Cr層40aと半田とが接触することが皆無となる。これにより、Cr層40aと溶融した半田が接触して両者の界面においてCrとSnが相互拡散し、機械的に脆いSnリッチなCr−Sn合金が形成されることを防止でき、長期的な接合信頼性を低下させないものとなる。
【0036】
中間層を取り囲む保護膜50は、IDT電極30aを保護するためにIDT電極30a上に形成する保護膜の形成領域を拡大すれば良く、これにより製造工程が複雑化したり、増加したりすることはない。
【0037】
また、Cr層40aの厚みは、中間層とパッド電極30cとの接合強度、パッド電極部40と圧電基板20との接合強度、パッド電極部40の電気抵抗特性、パッド電極部40の製造工程などを考慮して決定される。これらを考慮すれば、Cr層40aの厚みは50〜300Åとなる。
【0038】
例えば、Cr層40aの厚みが50Å未満となると、Cr層40aを介したNi層40bとパッド電極30cとの接合強度、並びにCr層40aを介したNi層40bと圧電基板20との接合強度が低下してしまう。
【0039】
また、Cr層40aの厚みが300Åを越えると、パッド電極部40全体の、電気抵抗が多くなり、弾性表面波装置1の電気特性が悪化してしまう。またリフトオフによりCr層40aを形成した場合、不要なCr層を剥離する際に、硬くて厚い不要なCr層がリフトオフ時に加えられる超音波によって振動して、例えばIDT電極30aに接触してしまい、IDT電極30aを傷つけてしまう。このため、Cr層40aの厚みは、50〜300Åが良好であり、100〜200Åが望ましい。
【0040】
また、Cr層40aの上にNi層40bを形成しているので、半田のCr層40aやパッド電極30cへの拡散を防止することができる。Ni層40bの厚みとしては半田の拡散を確実に防止するために7000Å以上が望ましい。
【0041】
また、保護膜50を化学的に安定な酸化硅素で形成しているので、半田や半田フラックス等からAl−Cu合金からなるIDT電極30a、引き出し電極30bを完全に保護することができる。
【0042】
尚、上述の弾性表面波素子は、IDT電極30aとパッド電極30cとを引出し電極30d(中間層、Au表面層が形成されていない部分)で接続しているが、IDT電極30aとパッド電極30cとを一体的に形成してもかまわない。
【0043】
また、上記実施形態では弾性表面波素子10の一方主面の、パッド電極部40以外の全面を保護膜50で被覆したが、保護膜50を形成しない領域を設けても構わない。また、IDT電極30aの形成領域と、パッド電極部40の周囲とで、保護膜50の厚みを異ならせても構わない。その場合はパッド電極部40aの周囲において、保護膜50の厚みをCr層40aの厚みよりも厚く形成すればよい。
【0044】
また、上記実施形態では弾性表面波素子10の他方主面から回路基板60の実装面にかけて外装樹脂90で被覆して弾性表面波素子10の気密封止を行ったが、弾性表面波素子10の一方主面と回路基板60の実装面との間の空間を、環状の樹脂等で取り巻いて気密封止しても構わない。また回路基板60の実装面に弾性表面波素子10を上から被う蓋を被せて気密封止しても構わない。
【0045】
更に、上記実施形態では弾性表面波装置として1端子対弾性表面波共振器が構成された例を示したが、それ以外にも、フィルタやデュプレクサ等の弾性表面波装置についても、本発明を適用できることはいうまでもない。
【0046】
【実施例】
次に、本発明に係る弾性表面波装置を作製した実施例について説明する。
図4に本発明に係る弾性表面波素子の製造プロセスを示す。なお、製造にはステッパー(縮小投影露光機)及びRIE(Reactive Ion Etching)装置を用いフォトリソグラフィーを行った。
(1)圧電基板20(タンタル酸リチウム単結晶の38.7°Yカット)にアセトン・IPA等を使用して超音波洗浄を施し、有機成分の除去を行った。次に、クリーンオーブンによって充分に基板乾燥を行った後、電極(最終的に各種電極となる導体で,便宜上電極30と付す)の成膜を行った。電極30の成膜にはスパッタリング装置を使用し、Al−Cu(Cu1重量%)合金から成る電極30を成膜した。この電極膜厚は約2000Åとした(図4(a)を参照)。
(2)レジスト100を約0.6μmの厚みにスピンコートした(図4(b)を参照)。
(3)ステッパーにより所望形状にパターンニングを行い、現像装置にて不要部分のレジスト100をアルカリ現像液で溶解させ、所望レジストパターンを形成した(図4(c)を参照)。
(4)RIE装置によりAl−Cu電極30のエッチングを行った(図4(d)を参照)。
(5)レジスト100を剥離しパターンニングを終了した(図4(e)を参照)。
(6)SiOから成る保護膜50をCVD装置にて200Åの厚みに成膜した(図4(f)を参照)。
(7)レジスト100を約8μm全面に再度塗布した(図4(g)を参照)。
(8)Cr層40a、Ni層40b、Au表面層40cを形成する部分のレジスト100を感光させ削除した(図4(h)を参照)。
(9)Cr層40a、Ni層40b、Au表面層40cを形成する部分のSiO保護膜50をCDEにより除去した(図4(i)を参照)。
(10)Cr層40a、Ni層40b、Au表面層40cをこの順序でそれぞれ100Å、10000Å、2000Åの厚みにスパッタにて形成した(図4(j)を参照)。
(11)レジスト100とともにレジスト100上のCr層40a、Ni層40b、Au表面層40cをリフトオフにより除去し、パッド電極部を形成した。(図4(k)を参照)。
(12)ウエハをダイシングラインに沿ってダイシングし、チップごとに分割して弾性表面波素子を完成させた。チップサイズは1.1×1.3mmとした。
次に実装について説明する。
(13)完成した弾性表面波素子10を、ガラスセラミックスから成る回路基板60にフェースダウン実装した(図3を参照)。まず、回路基板60上に、弾性表面波素子10のパッド電極部40に対応する部分に形成されたAgからなる接続電極70を形成した。この接続電極70上に半田バンプ80を形成し、その上に弾性表面波素子10をフェースダウンで搭載してAu表面層40cと半田バンプ80とを超音波を加えて熱圧着し、その後240℃でリフローを行って接合した。その後エポキシ系の外装樹脂90を、真空印刷機を用いて印刷し、100℃1時間+150℃3時間の条件で硬化させて弾性表面波素子10を気密封止した。最後に回路基板を各弾性表面波装置1ごとにダイシングして、各弾性表面波装置に分割して弾性表面波装置を完成させた。
【0047】
上記弾性表面波装置によれば、圧電基板20と回路基板60との間に気密空間が確保されており、空間の高さは30μmとしている。この高さは弾性表面波フィルタの中心周波数における波長2μmに対して大きく、弾性表面波の振動を妨げることはない。
【0048】
このようにして得られる弾性表面波装置について、パッド電極部のAl−Cu合金からなるパッド電極30c及びAu表面層40cの厚みを2000Åで固定し、Cr層40aとNi層40bの厚みを変化させて落下試験を実施した結果を表1に示す。落下試験は高さ180cmからの自然落下で、X・Y・Z方向各1回を1サイクルとした。試料数は各水準20pcsとした。
【0049】
【表1】
Figure 2004180177
【0050】
結果として、Ni層40bの厚みを10000Åに固定した場合、Cr層40aの厚みを50Å以上とすることにより、不良の発生を防止することができ、Cr層40aの厚みを100Åに固定した場合、Ni層40bの厚みを7000Å以上とすることにより不良の発生を防止できた。ちなみに発生した不良品について破壊した箇所を調べると、全てAl−Cu合金からなるパッド電極30cとNi層40bとの間であった。
【0051】
Cr層40aの厚みが50Å以上必要な理由については、Al−Cuからなるパッド電極30cとNi層40bとの接合強度を向上させる効果が、一定以上の厚みのCr層40aがないと発揮されないためと考えられ、この結果よりCr層40aの厚みは50Å以上が望ましい。また、Ni層40bの厚みが7000Å以上必要な理由については、条件6、条件7で不良となったものを分析するとAl−Cuからなるパッド電極30c付近まで半田の成分が拡散していることから、半田の拡散によってCr層40aの接合強度を向上させる効果が弱められたためであると考えられる。この結果よりNi層40bの厚みとしては、半田の拡散を確実に防止するために7000Å以上が望ましい。但しNi層40bの厚みが厚くなりすぎるとリフトオフが困難になるので、18000Å以下が望ましい。
【0052】
尚、本実施例では回路基板60をガラスセラミックス基板としたが、アルミナなどの他のセラミックス基板、またはガラスエポキシ基板等の樹脂基板でもかまわない。また、保護膜を酸化シリコンとしたが、シリコンや窒化シリコン等の他の半導電性や絶縁性の材料を用いてもよい。また、エポキシ樹脂の印刷を真空印刷機で行ったが、大気圧中で印刷を行い、その後真空脱泡してもかまわない。
【0053】
【発明の効果】
本発明の弾性表面波装置によれば、パッド電極の上面及び側面を中間層で被覆し、また、中間層を形成するCr層と圧電基板とが直接接触しているため、パッド電極部と圧電基板との接合強度を高めることができる。
【0054】
また、パッド電極の上面及び側面を中間層で被覆し、更に中間層の周辺部に保護膜を配置しているので、パッド電極や引き出し電極の半田による腐食を防止できる。またCr層もNi層及び保護膜に完全に被われているので、脆いSnリッチのCr−Sn合金が形成されることがなく、長期的信頼性の低下を防止することができる。
【0055】
また、Cr層の厚みを50〜300Åとしているので、Ni層とパッド電極との接合強度の低下、電気抵抗の増加、IDT電極の損傷といった問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の弾性表面波装置に用いる弾性表面波素子の構造を模式的に示す平面図である。
【図2】弾性表面波素子のパッド電極部の構造を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の弾性表面波装置の全体構造を模式的に示す断面図である。
【図4】(a)〜(k)は、それぞれ本発明の弾性表面波装置に用いる弾性表面波素子の各製造工程を示す断面図である。
【図5】従来の弾性表面波素子のパッド電極部の構造を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
10:弾性表面波素子
30a:IDT電極
30b:反射器電極
30c:パッド電極
30d:引出し電極
40a:Cr層
40b:Ni層
40c:Au表面層
50:保護膜
60:回路基板
70:接続電極
80:バンプ
90:樹脂

Claims (3)

  1. 圧電基板の一方主面にAl―Cu合金からなるIDT電極とパッド電極とを形成し、且つ前記パッド電極上にCr層、Ni層を順次積層した中間層を形成するとともに、前記中間層上にAu表面層を形成した弾性表面波素子を、接続電極が形成された回路基板に、前記Au表面層と前記接続電極とが電気的に接続するように半田にて接続して搭載した弾性表面波装置において、
    前記パッド電極の上面及び側面は前記中間層によって被覆されているとともに、前記中間層の周辺部は、該中間層を構成する前記Cr層の厚みよりも厚い保護膜が配置されていることを特徴とする弾性表面波装置。
  2. 前記Cr層の厚みは、50〜300Åであることを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波装置。
  3. 前記保護膜は酸化シリコンから成ることを特徴とする請求項1乃至2に記載の弾性表面波装置。
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