JP4684343B2 - 弾性表面波装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば自動車電話や携帯電話等の移動体無線機器に内蔵される共振器及び周波数帯域フィルタに使用可能な弾性表面波装置に関する。
近年、電波を利用し通信を行なう電子機器用の帯域通過フィルタ等の周波数フィルタ(以下、フィルタという)、遅延線、発信器等の電子部品として、多くのSAW 共振子やSAWフィルタが用いられている。特に、移動体通信分野において、携帯電話等の携帯端末装置のRF(Radio Frequency :無線周波数あるいは高周波)ブロック及びIF(Intermediate Frequency:中間周波数)ブロックのフィルタとして多用されている。今後、自動車電話及び携帯電話等の移動体無線機器を使用した通信システム上、部品の軽量化や小型化が望まれている。
従来の弾性表面波(Surface Acoustic Wave で、以下、SAW と略す)装置の基本構成は、圧電基板の表面に一対の櫛歯状の励振電極(Inter Digital Transducer、IDT 電極)を複数配置してある素子を、セラミック製の筐体内に載置した構造となっている。
図6に従来の弾性表面波装置の一例を示す。励振電極1は、例えば36°Y カットX 伝搬タンタル酸リチウム単結晶等からなる圧電基板2上に、蒸着法、スパッタ法等によりAl、Al-Cu 合金等の導電膜を成膜した後、フォトリソグラフィ法により微細な電極となるよう導電膜をパターニングして形成される。さらに、励振電極1を形成した圧電基板2をダイシングソーで切断することにより、弾性表面波素子3が作製される。また、この素子をセラミックで作製した筐体4内に載置し接着樹脂5にて固着させ、筐体4の入出力電極6または接地電極7をそれぞれの引き出し電極8、9にワイヤ10で接続する。そして、耐候性を持たせるために、筐体4と蓋体11をシーム溶接または半田または樹脂の封止材12により封止する。
このように、従来の弾性表面波装置では、軽量化,小型化が要求されているにもかかわらず、素子に比較して筐体の大きさが大きく、また、ワイヤボンドにより筐体内に空間を確保する必要があるため、弾性表面波装置が大型化するという問題があった。
これに対し、近年、バンプを用いたフリップチップ接続を行なって、装置を軽量小型化する提案がなされている(例えば、特許文献1を参照)。この方法によれば、電気的接続をフリップチップ接続で行なうことにより、ワイヤボンドで必要となる空間を確保する必要が無くなる。このため、従来のワイヤ接続による弾性表面波装置より小型の弾性表面波装置を提供することが出来る。
特開平11−150440号公報
しかし、上記のいずれの場合においても、弾性表面波装置に耐候性を持たせるため、IDT電極が外気にさらされないように、IDT電極が装置外部と電気的接続をとりつつIDT電極を密封しなければならない。
図6に示す弾性表面波装置では、筐体に蓋体をかぶせた後、筐体と蓋体をシーム溶接または半田または樹脂で封止することになる。この場合、蓋体などの部材が必要であり、工程が煩雑になるという問題があった。
また、上記フリップチップによる方法では、フリップチップにより接続した後に封止樹脂でチップの周辺を封止する必要がある。この場合はさらに、IDT電極が樹脂と接触するとフィルタの特性が劣化するため、封止樹脂がIDT電極のある部分まで入り込まないように樹脂塗布工程を細かく制御する必要があり、やはり、工程が煩雑になるという問題があった。
さらに、いずれの場合においても高い実装精度が要求される。特に、図6に示す弾性表面波装置では、筐体に対する弾性表面波素子の位置精度は、素子を筐体にダイボンドするときの実装精度に依存する。筐体に対する素子の位置が変動すれば、ボンディングワイヤの形状が変動することになり、弾性表面波装置の特性も変動してしまう。このため、筐体に対する素子の位置が一定になるよう、高精度に実装する必要がある。また、上記フリップチップの方法では、素子のバンプと実装基板上のバンプが重ならなければバンプ接合が出来なくなるため、やはり、素子を高精度に実装する必要がある。
本発明の目的は、非常に簡便な構造で、高精度な実装精度で実装することが出来る、小型、軽量な弾性表面波装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、励振電極を有する圧電基板と、該圧電基板に対し空間を介して対向するように配置される保護基体と、前記空間を封止する封止材と、前記励振電極と電気的に接続される引き出し電極と、を備え、前記引き出し電極は前記保護基体を貫通して外部に引き出されており、前記封止材が前記圧電基板および前記保護基体間に介在されているものである。
また本発明は、前記封止材がエポキシ系樹脂またはSi系樹脂からなる。
また本発明は、前記励振電極が2重モード共振器型フィルタを構成する。
また本発明は、前記保護基体がSi基板からなる。
本発明によれば共振器を小型化することができる。
本発明に係る弾性表面波装置が外部回路基板に実装された様子を模式的に説明する端面図である。 本発明に係る弾性表面波装置が外部回路基板に実装された様子を模式的に説明する上面透視図である。 本発明に係る他の弾性表面波装置が外部回路基板に実装された様子を模式的に説明する端面図である。 本発明に係る他の弾性表面波装置が外部回路基板に実装された様子を模式的に説明する端面図である。 本発明に係る他の弾性表面波装置が外部回路基板に実装された様子を模式的に説明する端面図である。 従来の弾性表面波装置を模式的に説明する端面図である。
本発明に係る弾性表面波装置の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1に本発明に係る弾性表面波装置S1の端面図を示す。図2に外部回路基板16に実装されている状態の本発明に係る弾性表面波装置の上面透視図を示す。なお、図1は図2におけるA−A'線上の端面図である。
弾性表面波装置S1は、圧電基板2上に励振電極1を形成した弾性表面波素子3と保護基体14とから成るものであって、保護基体14に異方性エッチングにより凹部14aを形成するとともに、この凹部14aに弾性表面波素子3の励振電極1を対向させ、励振電極1の振動空間17を確保している。
また、圧電基板2の外周部が、保護基体14の凹部14aの周囲に形成された段差部18において接合されている。保護基体14の周縁部に、外部回路基板16上に配設するための接続用導体である引き出し電極13を形成し、引き出し電極13が励振電極1に電気的に接続されている。そして、この引き出し電極13は外部回路基板16の導体パターン21と半田等の接合部材20を介して接続されている。
また、圧電基板2上に励振電極1と保護基体14への引き出し電極が形成されており、保護基体14の引き出し電極13と弾性表面波素子3の接合には半田バンプやAu−Sn半田、Ag含エポキシ樹脂導電性ペーストの導電性接着材15で接着されている。
保護基体14においては、単結晶基板の異方性エッチングによりある傾斜角を有する(シリコン単結晶であれば、(100)面を異方性エッチングすることにより(111)面が傾斜面となる)、2段の段差を形成することで、図に示すような励振電極1の振動空間17を形成することができる。また、この段差部18上に引き出し電極13を配設することで、段差部分で途切れの無い、電気導通の取れる構造とすることができる。また、導電性接着剤15に半田バンプやAu−Sn半田を用いることで半田のセルフアライメント効果を生じ、素子が高精度に配設可能である。
また、保護基体14の作製において、保護基板の凹部形成、電極およびバンプのパターニングすべてがウェハプロセスで行なえ、これにより、工程が簡略化され、高精度なパターニングが行える。ひいては高精度な弾性表面波素子3の載置が行えるという利点がある。弾性表面波素子3と保護基体14の固着及び封止は、素子と保護基体を導通させた後行い、弾性表面波素子3の外周部をエポキシ系樹脂またはSi系樹脂の封止材12で包囲する。
他の弾性表面波装置の実施形態を図3の端面図にて示す。なお図1と同様な部材については同一符号を付し説明を省略する。この弾性表面波装置S2においては、封止材12が振動空間17に浸入しないように、弾性表面波素子3の周囲の封止箇所と振動空間17の間の段差部に樹脂ダム19を設けており、弾性表面波素子3と保護基体14の固着及び封止を充分に行うことができ、樹脂の充填を多くし、気密性を向上させることができる。
さらに他の弾性表面波装置の実施形態を図4の端面図にて示す。なお図1と同様な部材については同一符号を付し説明を省略する。この弾性表面波装置S3においては、凹部と素子載置部を上にし、保護基体14の周縁部の端面に沿って引き出し電極13を配設する構造としている。
さらに他の弾性表面波装置の実施形態を図5の端面図にて示す。なお図1と同様な部材については同一符号を付し説明を省略する。この弾性表面波装置S4は、保護基体14の周縁部における弾性表面波素子3の電気接続部位にスルーホールを施して導通をとるように構成したものである。
尚、圧電基板はタンタル酸リチウム単結晶、ニオブ酸リチウム単結晶、水晶、4ほう酸リチウム単結晶、ランガサイト系単結晶、ニオブ酸カリウム単結晶、ガリ砒素が主に適用できる。また、IDT電極材はアルミ、アルミ・銅合金、アルミ・チタン合金、アルミ・珪素合金、金、銀、銀・パラディウム合金が主に適用できる。また、引き出し電極材は主材にアルミ、アルミ・銅合金、アルミ・チタン合金、アルミ・珪素合金、金、銀、銀・パラディウム合金が主に適用でき、電極の密着度向上や電気抵抗の削減のため下地材が必要な場合には、クロム、チタン、銅が主に適用できる。
また、弾性表面波素子3上に電気ショート防止のための保護膜を形成しても構わない。保護膜材料として、SiO2 、SiN、Si、DLC(Diamond Like Carbon )、ZnO、ポリイミド、フッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、またウエハプロセスに使用されるポジ型レジストのような感光性硬化樹脂が主に適用できる。
また、図2では励振電極を共振器梯子型フィルタの構成図を示したが、共振器格子型フィルタや2重モード共振器型フィルタ、マルチIDT電極型フィルタまたはこれらの複合された構成で行っても構わない。
さらに、本発明は上記の実施形態に限定されるものでなく、SAWフィルタだけでなく、SAWデュプレクサにも本発明が適用でき、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更は何等差し支えない。
厚さ0.35mmの3インチ42° YカットX 伝搬タンタル酸リチウム単結晶圧電基板に、電極膜としてAl−Cu合金をスパッタ法にて膜厚2000Åで成膜した。その上に、ポジ型レジストを1μm の厚さでスピンコート法により塗布した。その後、露光、現像を行ないレジストのパターニングを行ない、ドライエッチング法で電極をエッチングし、アッシングでレジストを除去し、電極パターニングを完了した。
その後、SiO2 膜をCVD法により250Å成膜し、ポジ型レジストを1μm の厚さでスピンコート法により塗布し、露光、現像を行ないレジストのパターニングを行ない、ドライエッチング法で電極をエッチングし、アッシングでレジストを除去して、IDT上に保護膜をパターニングした。
その後、ポジ型レジストを2μm の厚さでスピンコート法により塗布し、露光、現像を行ないレジストのパターニングを行なった後、Ti/Pt/Au膜(下層/上層)を蒸着により2000Å成膜し、剥離液に浸漬してレジストおよび余分なTi/Pt/Au膜を除去し、引き出し電極の形成を行なった。
その後、ポジ型レジストを3μm の厚さでスピンコート法により塗布し、露光、現像を行ないレジストのパターニングを行なった後、SiO2 膜をCVD法により5000Å成膜し、剥離液に浸漬してレジストおよび余分なSiO2 膜を除去し、SiO2 からなる囲みの下部を形成した。その後、ポジ型レジストを3μm の厚さでスピンコート法により塗布し、露光、現像を行ないレジストのパターニングを行なった。その後、Au−Sn合金膜を蒸着により2μm成膜し、剥離液に浸漬してレジストおよび余分なAu−Sn合金膜を除去し、Au−Su合金膜からなる囲みの上部および接続回路基板との接続のためのバンプを形成した。
このとき、引き出し電極とIDT電極を形成しているAl−Cu合金から成る電極の接合部を囲みの内側に入れてしまうことにより、圧電基板上の電極のうちで耐候性のあるTi/Pt/Au電極のみが外気にさらされる部分になり、水分に対して腐食性のあるAl−Cu合金電極を囲みによる密封空間に閉じ込めることが出来るため、弾性表面波装置も耐候性を得る。
次に、(100)面を主面とする厚さ0.75mmの3インチSi単結晶基板に、ポジ型レジストを1μm の厚さでスピンコート法により塗布し、露光、現像を行ないレジストのパターニングを行なった。この基板を水酸化カリウム水溶液に20時間浸漬することにより、Si基板に深さ0.4mmの凹部を形成し、剥離液に浸漬してレジストを除去した。その後、同様にフォトリソ工程を用いて中央部に振動空間をエッチング時間5時間、深さ0.05mmの凹部を作製した。また、エッチングより得られた傾斜面は(111)面となる。
その後、ポジ型レジストを2μm の厚さでスピンコート法により塗布し、露光、現像を行ないレジストのパターニングを行なった後、Ti/Pt/Au膜を蒸着により2000Å成膜し、剥離液に浸漬してレジストおよび余分なTi/Pt/Au膜を除去し、接続回路の形成を行なった。
その後、ポジ型レジストを3μm の厚さでスピンコート法により塗布し、露光、現像を行ないレジストのパターニングを行なった後、Au−Sn合金膜を蒸着により5000Å成膜し、剥離液に浸漬してレジストおよび余分なAu−Sn合金膜を除去し、圧電基板上の囲みの上部と接合するSi基板上のAu−Su合金のバンプを形成した。
その後、ポジ型レジストを3μm の厚さでスピンコート法により塗布し、露光、現像を行ないレジストのパターニングを行なった後、Au−Sn合金膜を蒸着により2μm成膜し、剥離液に浸漬してレジストおよび余分なAu−Sn合金膜を除去し、外部回路基板との接続のためのバンプを形成した。
次に、ダイシングソーを用い、タンタル酸リチウム単結晶基板をダイシングして、1mm角のSAWフィルタのチップにした。また、Si基板をダイシングして2mm角の接続回路基板のチップにした。
次に、マウンターを用いて、SAWフィルタのチップを上下反転して、接続回路基板のチップの凹部に載せ、定圧力をかけながら温度を250度に昇温してAu−Sn膜を溶融させ、囲みにおける封止とバンプにおける接続を完成させた。このとき、外部接続回路との接続用バンプは半球状になり、バンプとして用いられる。
この後、封止材を弾性表面波素子3の周囲に充填し、封止を行った。
以上説明したように、高精度な素子の載置ができ、ひいては電気特性の偏差の小さい、幅2mm×奥2mm×高さ0.8mmの小型な弾性表面波装置を作製することができた。
以上詳述したように、本発明の弾性表面波装置によれば、保護基体を精度良く作製することが可能で、弾性表面波素子の載置精度が良好であり、大量に作製した場合の電気特性の偏差を小さくすることができる。
また、弾性表面波素子と保護基体のみの簡単な構造であり、非常に簡便かつ迅速に実装することができ、保護基体によって励振電極の振動空間が密閉されるため、耐候性も十分に期待することができる。
さらに、弾性表面波装置の高さは保護基体の厚みに依存するので、小型化、軽量化が可能となる。
以上のように、非常に簡便な構造で、高精度な実装精度で実装することが出来る、小型化,軽量化が可能で信頼性にも優れた弾性表面波装置を提供できる。
1:励振電極
2:圧電基板
3:弾性表面波素子
4:筐体(ケーシング)
5:接着樹脂
6:入出力電極
7:接地電極
8:入出力電極の引き出し電極
9:接地電極の引き出し電極
10:ワイヤ
11:蓋体
12:封止材
13:保護基体上引き出し電極
14:保護基体
15:導電性接着剤
16:外部回路基板
17:振動空間
18:保護基体の段差
19:樹脂ダム
S1〜S4:弾性表面波装置

Claims (3)

  1. IDT電極及び該IDT電極と接続される第1の引き出し電極を下面に有する圧電基板と、該圧電基板の下面に対し空間を介して対向する上面を有し、前記第1の引き出し電極と導電性接着剤を介して接続される第2の引き出し電極が設けられている保護基体と、前記空間を封止する封止材と、を備え、
    前記圧電基板の幅と前記保護基体の幅が等しくされており、
    前記保護基体は、Si基板から成り、該保護基体の前記IDT電極と対向する部分には異方性エッチングにより形成された凹部が設けられ、
    前記第2の引き出し電極は前記保護基体を貫通して外部に引き出され、
    前記封止材は前記圧電基板の下面外周部と前記保護基体の上面外周部との間にのみ介在されている弾性表面波装置
  2. 前記封止材はエポキシ系樹脂またはSi系樹脂からなる請求項1に記載の弾性表面波装置
  3. 前記IDT電極は、2重モード共振器型フィルタを構成する請求項1または2に記載の弾性表面波装置
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