JP2004179586A - フラッシュメモリ装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フラッシュメモリの書き換え耐性を向上させる。
【解決手段】半導体基板100上の記憶素子領域形成されたフラッシュメモリセル上に第1の層間絶縁膜10を形成する。このとき第1の層間絶縁膜10の最上層であるNSG層16の形成後の熱処理として、ランプアニールによる短時間加熱ではなく炉アニールを加える。それにより、フラッシュメモリセルに印加されるストレスは緩和され、書き換え耐性は向上する。また、第1および第2のアルミ配線21,31形成後に炉アニールを加える。さらに、第2および第3の層間絶縁膜20,30形成の際に、プラズマTEOS層23,33の成膜温度とそのときのHDP層22,32の温度とを同一にする。それによっても同様に、フラッシュメモリセルの書き換え耐性は向上する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は不揮発性記憶半導体装置、特にフラッシュメモリ装置の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置の微細化に伴い、半導体素子の電気特性を決定する不純物の拡散を抑制するために、半導体装置の製造工程における熱処理時間を短くする傾向にある。そのため、通常、その熱処理には短時間熱処理が可能なランプアニールが用いられている。
【0003】
一方、比較的長い時間を要する熱処理としては炉アニール(FA:Furnace Anneal)が知られている(電極に対する炉アニールは「シンター(sinter)」と呼ばれることもある)。ランプアニールが加熱する対象物に放射光を直接照射することで短時間加熱を行うものであるのに対し、炉アニールは加熱の対象物を所定の温度雰囲気に曝すことにより比較的緩やかに加熱するものである。
【0004】
不揮発性記憶半導体装置であるフラッシュメモリ装置の製造においても、上記の傾向の例外に洩れず、例えば層間絶縁膜の熱処理等にはランプアニールが用いられている。
【0005】
また、フラッシュメモリセルが有する浮遊ゲート電極に対する熱処理に、炉アニールによる熱処理を行うことで、フラッシュメモリセルの各種特性のバラツキを抑えると共にデータ保持特性の向上を図る技術もある(例えば、特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−127178号公報(第3頁、第1図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
フラッシュメモリ装置の性能を決定する重要な要素として「書き換え可能回数」がある。書き換え可能回数を向上させること、即ち書き換え耐性を向上させることは、フラッシュメモリ装置の重要な課題である。
【0008】
本発明は、フラッシュメモリ装置の書き換え耐性を向上させることが可能な製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るフラッシュメモリの製造方法の第1の局面によれば、(a)半導体基板上にフラッシュメモリセルを形成する工程と、(b)前記フラッシュメモリセル上に第1の層間絶縁膜を形成する工程とを備え、前記工程(b)において、熱処理として少なくとも1回以上の炉アニールが行われる。
【0010】
また、第2の局面によれば、(a)半導体基板上にフラッシュメモリセルを形成する工程と、(b)前記フラッシュメモリセルの上方に金属を含む配線を形成する工程と、(c)前記配線上に第2の層間絶縁膜を形成する工程とを備え、前記工程(c)において、熱処理として少なくとも1回以上の炉アニールが行われる。
【0011】
さらにまた、第3の局面によれば、(a)半導体基板上にフラッシュメモリセルを形成する工程と、(b)前記フラッシュメモリセルの上方に金属を含む配線を形成する工程と、(c)前記配線上に多層構造の第2の層間絶縁膜を形成する工程とを備え、前記工程(c)において、前記多層構造の各層の成膜温度は同じである。
【0012】
また、第4の局面によれば、(a)半導体基板上にフラッシュメモリセルを形成する工程と、(b)前記フラッシュメモリセルの上方に金属を含む配線を形成して炉アニールを行う工程と、(c)前記配線上に第2の層間絶縁膜を形成する工程とを備える。
【0013】
【発明の実施の形態】
<実施の形態1>
上記したように、微細構造を有する一般的な半導体装置の製造工程においてはランプアニールによる短時間熱処理が有効である。そのためフラッシュメモリを有するデバイス(フラッシュメモリ装置)の製造工程にも当然のようにランプアニールが用いられてきた。
【0014】
しかし本発明者は、フラッシュメモリ装置の製造工程においては、所定の層間絶縁膜の熱処理に炉アニールを使用すると、ランプアニールのみを使用した場合よりも書き換え可能回数が向上することを見出した。
【0015】
一般に、フラッシュメモリセルを覆う層間絶縁膜の形成には常圧CVD(Chemical Vapor Deposition)が用いられるが、その成膜温度は300〜400℃である。そのような層間絶縁膜の熱処理にランプアニールを行うと、当該層間絶縁膜の温度が急激に上昇するため急速に収縮しようとする。そして、その収縮によるストレスがフラッシュメモリセルに加わり、フラッシュメモリ装置の書き換え耐性を低下させていたと考えられる。
【0016】
図1および図2は本発明に係るフラッシュメモリ装置の製造方法を説明するための図であり、フラッシュメモリセルを覆う第1の層間絶縁膜形成時の断面図である。同図中、左側はフラッシュメモリセルを含む記憶素子領域を示しており、右側は周辺回路領域を示している。
【0017】
以下、図1および図2に基づいて、実施の形態1に係るフラッシュメモリ装置の製造方法を説明する。まず、常法により、半導体基板100上の記憶素子領域に浮遊ゲート11、制御ゲート12およびソースドレイン領域101を有するフラッシュメモリセルを形成すると共に、周辺回路領域に制御ゲート12およびソースドレイン領域102を有するトランジスタを形成する。
【0018】
その後、フラッシュメモリセル上にTEOS(tetraethyl orthosilicate)層13、NSG(Non−doped Silicate glass)層14、BPTEOS(boro−phospho tetraethylorthosilicate)層15およびNSG層16の多層構造から成る第1の層間絶縁膜10を形成する。まず、その最下層として、周辺回路領域のトランジスタ上部にのみ選択的にコバルトシリサイド(CoSi)を形成するためのTEOS層13(以下「SP−TEOS層(シリサイドプロテクションTEOS層)」)を、フラッシュメモリセル上に減圧CVDによって形成する。そして周辺回路領域のトランジスタ上部にコバルトシリサイドを形成後、当該トランジスタの活性化層へ上層のBPTEOS層15にドープされた不純物が進入するのを防ぐためのNSG層14を、常圧CVDによって形成する。次いで、常圧CVDによりBPTEOS層15を成膜し、焼き締めのため、800℃、30秒のランプアニールを加える。
【0019】
次にCMP(Chemical Mechanical Polishing)によりBPTEOS層15上面の平坦化処理を行い、第1の層間絶縁膜10の最上層としてNSG層16を常圧CVDにより成膜する。ここで、NSG層16形成後、焼き締めのための熱処理を行う。従来、この熱処理は800℃、30秒のランプアニールを行っていたが、本実施の形態ではそれに代えて800℃、30分間の炉アニールを加える。この炉アニールの雰囲気としては、例えば水素雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等が考えられ、それらの何れであってもよい。
【0020】
その後、第1の層間絶縁膜10にコンタクト(不図示)を形成した後、図2に示すように、第1のアルミ配線21を形成し、その上にHDP層22およびプラズマTEOS層23の二層構造から成る第2の層間絶縁膜20を形成する。そしてさらに、第2の層間絶縁膜20にコンタクト(不図示)を形成した後、第2のアルミ配線31を形成し、その上にHDP層32およびプラズマTEOS層33の二層構造から成る第3の層間絶縁膜30を形成する。そして、第3の層間絶縁膜30にコンタクト(不図示)を形成した後、最上の配線である第3のアルミ配線41を形成し、最後に装置表面をガラスコート42で覆う。
【0021】
ここでは、フラッシュメモリセル上方に3層の配線構造を有するフラッシュメモリ装置を例に示しているが、本発明の適用はそれに限定されるものではない。例えば、単層配線構造や2層以上のあらゆる配線構造を有するものに対しても適用可能であることは明らかである。
【0022】
また、上記説明では第1の層間絶縁膜10のNSG層16形成後のタイミングで炉アニールを行ったが、本発明における炉アニールを行うタイミングはこれに限定されない。例えば、BPTEOS層15を成膜した直後の熱処理に、炉アニールを行うものであってもよい。
【0023】
なお、BPTEOS層15を成膜した直後の熱処理、並びにNSG層16形成後の熱処理の両方に炉アニールを行ってもよい。但し、炉アニールは比較的長い処理時間が必要であるため、炉アニールの回数が多くなると製造効率が大きく劣化する恐れもある。
【0024】
図3(a)および図3(b)は、実施の形態1の効果を説明するための図であり、フラッシュメモリセルの浮遊電極トランジスタに所定のストレスを与えたときのゲート閾値電圧の変動量ΔVthの、ウェハ上における分布図である。このΔVthの値が小さいほど、当該メモリセルの書き換え耐性が高いと言える。図3(a)は、従来の製造方法により形成された第1の層間絶縁膜10(即ち、各層の形成時に焼き締めにランプアニールのみを用いたもの)を有するフラッシュメモリ装置が形成されたウェハ上の分布図である。図3(b)は、実施の形態1に係る製造工程により形成された第1の層間絶縁膜10を有するフラッシュメモリ装置が形成されたウェハ上の分布図である。
【0025】
なお、図3(a)および図3(b)それぞれのフラッシュメモリ装置は、第1の層間絶縁膜10の形成工程以外は互いに同一の条件により形成されている。また、図3(a)と図3(b)は、共に同一のロット内のウェハから得たデータによるものである。
【0026】
これらの図に示すように、本実施の形態に係るフラッシュメモリ装置において、従来のフラッシュメモリ装置よりも△Vthが約1.0V程度改善されたことが確認できた。即ち、本実施の形態に係るフラッシュメモリの製造方法によれば、メモリセルの書き換え耐性の向上を図ることができる。
【0027】
図4は、第1の層間絶縁膜10の形成の際に行う炉アニールの温度、雰囲気およびそれを行うタイミング、をそれぞれ変えた場合のΔVthの変化を示す図である。同図から、次のことが分かる。即ち、(1)炉アニールの温度が600℃以上となると、ΔVthを抑える効果が特に向上する。(2)水素雰囲気の炉アニールは、窒素雰囲気の炉アニールよりもΔVthを抑える効果は大きい。(3)炉アニールのタイミングは、BPTEOS層15の形成直後に行うよりも、第1の層間絶縁膜10の最上層であるNSG層16の形成後に行う方がΔVthを抑える効果は大きい。また、図示は省略するが、アルゴン雰囲気の炉アニールでもΔVthを抑える効果は得られる。しかし、水素雰囲気ほどの効果は得られなかった。
【0028】
つまり、第1の層間絶縁膜10の形成の際の炉アニールの温度は600℃以上、同炉アニールの雰囲気は水素雰囲気、また、同炉アニールのタイミングは第1の層間絶縁膜10の最上層であるNSG層16の後、とすることによりフラッシュメモリ装置の書き換え耐性の向上をより効果的に図ることができる。
【0029】
なお、ここでは第1の層間絶縁膜10の形成の際に行う炉アニールの温度を、従来の製法におけるランプアニールの温度と同じ800℃として説明したが、炉アニールの場合、ランプアニールよりも熱処理時間が長くなるので、トランジスタへの悪影響(例えばショートチャネル効果等)を与える恐れがある。その場合は、当該炉アニールの温度を下げることが望ましい。しかしながら、その温度を下げると、トランジスタのソースドレイン領域などにおける不純物の活性化率が低下するという問題が生じることも考えられる。その問題は、例えばコンタクト形成後や不純物注入後等に800℃以上の温度のランプアニールを行うことで解消できると考えられる。
【0030】
<実施の形態2>
本実施の形態では、フラッシュメモリセルの上方に形成される配線およびその配線を覆う層間絶縁膜の本発明に係る形成工程について説明する。
【0031】
フラッシュメモリセルの上方に形成された配線を覆う層間絶縁膜は、配線直上にはカバレッジ性に優れたHDP(high density plasma)膜を堆積し、その上にプラズマTEOS膜を堆積して平坦化することにより形成される。一般的に、HDP膜の成膜温度は300℃程度、プラズマTEOS膜の成膜温度は400℃である。本発明者は、両者の成膜温度が異なることに起因して、プラズマTEOS膜の堆積中にHDP膜の温度が急激に上昇してHDP膜が急速に収縮しようとするため、それによるストレスが下方のフラッシュメモリセルに加わることで書き換え耐性を低下させていたのではないかと考えた。
【0032】
以下、本実施の形態に係るフラッシュメモリ装置の製造工程を説明する。まず、実施の形態1と同様の工程により、図1に示すように、半導体基板100上の記憶素子領域にフラッシュメモリセルを形成すると共に周辺回路領域にトランジスタを形成し、それらの上に第1の層間絶縁膜10を形成する。
【0033】
その後、第1の層間絶縁膜10にコンタクト(不図示)を形成した後、図2に示すように、第1のアルミ配線21を形成し、その上にHDP層22を成膜温度300℃で堆積する。本実施の形態では、ここで400℃、15分間の炉アニールを加える。この炉アニールの雰囲気は、例えば水素雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の何れであってもよい。その結果、HDP層22の温度(ウェハ温度)は、400℃となる。そして、当該HDP層22上にプラズマTEOS層23を上記炉アニールの温度と同じ400℃の成膜温度で堆積させる。即ち、このときのプラズマTEOS層23の成膜温度とHDP層22の温度とは同じである。そして、プラズマTEOS層23上面をCMPで平坦化して、第2の層間絶縁膜20の形成が完了する。
【0034】
このように、本実施の形態によれば、HDP層22形成後に、その後に行われるプラズマTEOS層23の成膜温度と同一温度の炉アニールを加えることで、プラズマTEOS層23の成膜温度とそのときのHDP層22の温度とが同一になる。よって、プラズマTEOS層23の堆積中にHDP層22が急速に収縮するようなことはなく、下方のフラッシュメモリセルに加わるストレスが抑えられている。
【0035】
そして、第2の層間絶縁膜20にコンタクト(不図示)を形成した後、第2のアルミ配線31を形成し、その上に、第3の層間絶縁膜30を上記第2の層間絶縁膜20と同様の手法により形成する。即ち、第2のアルミ配線31上にHDP層32を300℃で成膜し、400℃、15分間の炉アニールを加える。次いで、その上にプラズマTEOS層33を400℃の成膜温度で堆積させ、その上面をCMPで平坦化して、第3の層間絶縁膜30を形成する。このときも、プラズマTEOS層33の堆積中にHDP層32が急速に収縮するようなことはなく、下方のフラッシュメモリセルに加わるストレスが抑えられる。
【0036】
以降は、実施の形態1と同様に、第3の層間絶縁膜30にコンタクト(不図示)を形成した後、最上の配線である第3のアルミ配線41を形成し、最後に装置表面をガラスコート42で覆う。
【0037】
なお、本実施の形態においても、フラッシュメモリセル上方に3層の配線構造を有するフラッシュメモリ装置を例に示したが、2層以上のあらゆる多層配線構造を有するものに対しても適用可能であることは明らかである。
【0038】
図5(a)および(b)は、実施の形態2の効果を説明するための図であり、フラッシュメモリセルの浮遊電極トランジスタにストレスを与えたときのゲート閾値電圧の変動量ΔVthのウェハ上における分布図である。図5(a)は、従来の製造工程により形成された第2および第3の層間絶縁膜20,30(即ち、炉アニールを加えることなく、HDP層21,31を300℃、プラズマTEOS層22,32を400℃で成膜したもの)を有するフラッシュメモリ装置が形成されたウェハ上の分布図である。図5(b)は、実施の形態2に係る製造工程により形成された第2および第3の層間絶縁膜20,30を有するフラッシュメモリ装置が形成されたウェハ上の分布図である。
【0039】
なお、図5(a)および図5(b)のフラッシュメモリ装置は、第2の層間絶縁膜10の形成工程以外は互いに同一の条件により形成されており、共に第1の層間絶縁膜10は実施の形態1の形成工程により形成されている。また、図5(a)と図5(b)は、共に同一のロット内のウェハから得たデータによるものである。
【0040】
これらの図に示すように、本実施の形態に係るフラッシュメモリ装置において従来のフラッシュメモリ装置よりも△Vthが約0.6V程度改善されたことが確認できた。即ち、本実施の形態に係るフラッシュメモリの製造方法によれば、メモリセルの書き換え耐性の向上を図ることができる。
【0041】
また、上記したように、HDP層22に加える炉アニールの雰囲気は、例えば水素雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の何れであってもよいが、本発明者によって、中でも水素雰囲気の炉アニールを行った場合に、フラッシュメモリ装置の書き換え耐性の向上をより効果的に図ることができることが確認された。
【0042】
<実施の形態3>
以下、実施の形態3に係るフラッシュメモリ装置の製造工程を説明する。まず、実施の形態1と同様の工程により図1に示すように、半導体基板100上の記憶素子領域にフラッシュメモリセルを形成すると共に周辺回路領域にトランジスタを形成し、それらの上に第1の層間絶縁膜10を形成する。
【0043】
その後、第1の層間絶縁膜10にコンタクト(不図示)を形成した後、図2に示すように、第1のアルミ配線21を形成し、その上にHDP層22を成膜温度400℃で堆積する。そして、HDP層22上にプラズマTEOS層23を上記HDP層22の成膜温度と同じ400℃の成膜温度で堆積させる。即ち、このときのプラズマTEOS層23の成膜温度とHDP層22の温度(ウェハ温度)とは同じである。そして、プラズマTEOS層23上面をCMPで平坦化して、第2の層間絶縁膜20の形成が完了する。
【0044】
このように、本実施の形態によれば、HDP層22の成膜温度と、その後に行われるプラズマTEOS層23の成膜温度とを同一にしているので、プラズマTEOS層23の堆積中にHDP層22が急速に収縮するようなことはなく、下方のフラッシュメモリセルに加わるストレスが抑えられている。
【0045】
そして、第2の層間絶縁膜20にコンタクト(不図示)を形成した後、第2のアルミ配線31を形成し、その上に、第3の層間絶縁膜30を上記第2の層間絶縁膜20と同様の手法により形成する。即ち、HDP層32およびプラズマTEOS層33を共に成膜温度400℃で堆積し、その上面をCMPで平坦化して、第3の層間絶縁膜30を形成する。その結果、プラズマTEOS層33の堆積中にHDP層32が急速に収縮するようなことはなく、下方のフラッシュメモリセルに加わるストレスは抑えられる。
【0046】
以降は、実施の形態1と同様に、第3の層間絶縁膜30にコンタクト(不図示)を形成した後、最上の配線である第3のアルミ配線41を形成し、最後に装置表面をガラスコート42で覆う。
【0047】
なお、本実施の形態においても、フラッシュメモリセル上方に3層の配線構造を有するフラッシュメモリ装置を例に示したが、2層以上のあらゆる多層配線構造を有するものに対しても適用可能であることは明らかである。
【0048】
図6(a)および図6(b)は、実施の形態3の効果を説明するための図であり、フラッシュメモリセルの浮遊電極トランジスタにストレスを与えたときのゲート閾値電圧の変動量ΔVthのウェハ上における分布図である。図6(a)は、従来の製造工程により形成された第2および第3の層間絶縁膜20,30(即ち、HDP層22,32を300℃、プラズマTEOS層23,33を400℃でそれぞれ成膜したもの)を有するフラッシュメモリ装置が形成されたウェハ上の分布図である。図6(b)は、実施の形態3に係る製造工程により形成された第2および第3の層間絶縁膜20,30を有するフラッシュメモリ装置が形成されたウェハ上の分布図である。
【0049】
なお、図6(a)および図6(b)のフラッシュメモリ装置は、第2の層間絶縁膜10の形成工程以外は互いに同一の条件により形成されており、共に第1の層間絶縁膜10は従来の形成工程(各層の熱処理にランプアニールのみを使用するもの)により形成されている。また、図6(a)と図6(b)は、共に同一のロット内のウェハから得たデータによるものである。
【0050】
これらの図に示すように、本実施の形態に係るフラッシュメモリ装置において、従来のフラッシュメモリ装置よりも△Vthが約0.7V程度改善されたことが確認できた。即ち、本実施の形態に係るフラッシュメモリの製造方法によれば、メモリセルの書き換え耐性の向上を図ることができる。
【0051】
なお、以上の説明においては、HDP層22,32およびプラズマTEOS層23,33を共に400℃の成膜温度に揃えて形成したが、それらを共に300℃に揃えてもよく、上記と同様の効果を得ることができる。
【0052】
また、本実施の形態においては、第2の層間絶縁膜20および第3の層間絶縁膜30としてそれぞれ2層構造のものを例示したが、本発明の適用はそれに限定されるものではなく、それらは3層以上の多層構造であってもよい。その場合は当該多層構造の全ての層を同じ成膜温度で形成することで、各層の形成時に発生するストレスを抑制することができる。
【0053】
<実施の形態4>
本発明者は、フラッシュメモリセルの上方に形成される配線に形成後に炉アニールを加えることでも、当該フラッシュメモリセルの書き換え耐性が向上することを見出した。配線形成時に発生したストレスは層間絶縁膜を介してフラッシュメモリセルに印加されており、配線形成後の当該炉アニールによってそのストレスが緩和されるためであると考えられる。
【0054】
以下、実施の形態4に係るフラッシュメモリ装置の製造工程を説明する。まず、実施の形態1と同様の工程により図1に示すように、半導体基板100上の記憶素子領域にフラッシュメモリセルを形成すると共に周辺回路領域にトランジスタを形成し、それらの上に第1の層間絶縁膜10を形成する。
【0055】
その後、第1の層間絶縁膜10にコンタクト(不図示)を形成した後、図2に示すように、第1のアルミ配線21を形成する。本実施の形態ではここで400℃、15分間の炉アニールを加える。この炉アニールの雰囲気は、例えば水素雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の何れであってもよい。そしてその上にHDP層22、プラズマTEOS層23を所定の成膜温度で堆積させ、上面をCMPで平坦化することで、第2の層間絶縁膜20を形成する。
【0056】
そして、第2の層間絶縁膜20にコンタクト(不図示)を形成した後、第2のアルミ配線31を形成し、ここでも上記第1のアルミ配線21形成時と同様に400℃、15分間の炉アニールを加える。そしてその上にHDP層32、プラズマTEOS層33を所定の成膜温度で堆積させ、上面をCMPで平坦化することで、第3の層間絶縁膜30を形成する。
【0057】
以降は、実施の形態1と同様に、第3の層間絶縁膜30にコンタクト(不図示)を形成した後、最上の配線である第3のアルミ配線41を形成し、最後に装置表面をガラスコート42で覆う。
【0058】
本実施の形態のようにフラッシュメモリセル上方の第1のアルミ配線21および第2のアルミ配線31形成の際に炉アニールを加えることで、フラッシュメモリ装置の書き換え耐性は向上する。
【0059】
また図7は、本実施の形態に係るフラッシュメモリ装置における書き換え回数(書き込み/消去回数)に対する消去時間の変化を示すグラフである。同図においては、第1のアルミ配線21および第2のアルミ配線31の形成後に加える炉アニールを、窒素雰囲気で行った場合(試料1,2)と、水素雰囲気で行った場合(試料3,4)との比較を示している。この図から分かるように、当該炉アニールを水素雰囲気で行った場合、窒素雰囲気で行った場合に比べ、多数回書き喚え後の消去時間の劣化が抑制される。即ち、本実施の形態においては、第1のアルミ配線21および第2のアルミ配線31の形成後の炉アニールを水素雰囲気で行うことにより、フラッシュメモリ装置の書き換え耐性の向上をより効果的に図ることができることが確認された。
【0060】
なお、以上の説明においては、HDP層22,32およびプラズマTEOS層23,33の成膜温度の説明は省略したが、それらの成膜温度を配線21,31形成後の炉アニールの温度と同じ400℃に揃えて形成することが望ましい。上記実施の形態3から明らかなように、第2および第3の層間絶縁膜20,30形成時に発生するストレスは抑制され、フラッシュメモリ装置の書き換え耐性向上の効果はより大きく得られる。
【0061】
なお、実施の形態2〜4において、第2および第3の層間絶縁膜20,30の各層の成膜温度や炉アニールの温度が互いに同じである旨を示した。しかし通常、成膜装置や炉アニール装置は温度の誤差を有するため、それらの温度を完全に一致させることは困難である場合が多い。しかし、それらの温度の10%程度の差異は、本発明の効果を充分に得ることができる許容範囲内である。
【0062】
また、第1、第2および第3の配線21,31,41としてアルミ配線を示したが、本発明の適用はそれに限定されるものではない。例えば、銅(Cu)やタングステン(W)等、他の金属を含む配線であってもよいし、純金属のみで形成された配線であってもよい。
【0063】
【発明の効果】
本発明に係るフラッシュメモリの製造方法によれば、フラッシュメモリセルに加わるストレスを抑えることができ、フラッシュメモリ装置の書き換え耐性は向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るフラッシュメモリ装置の製造方法を説明するための図である。
【図2】本発明に係るフラッシュメモリ装置の製造方法を説明するための図である。
【図3】実施の形態1に係るフラッシュメモリの製造方法の効果を説明するための図である。
【図4】実施の形態1に係るフラッシュメモリの製造方法において、第1の層間絶縁膜の形成の際に行う炉アニールの条件とΔVthとの関係を示す図である。
【図5】実施の形態2に係るフラッシュメモリの製造方法の効果を説明するための図である。
【図6】実施の形態3に係るフラッシュメモリの製造方法の効果を説明するための図である。
【図7】実施の形態4に係るフラッシュメモリ装置における書き換え回数に対する消去時間の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
10 第1の層間絶縁膜、11 浮遊ゲート、12 制御ゲート、13 SP−TEOS層、14,16 NSG層、15 BPTEOS層、20 第2の層間絶縁膜、21 第1のアルミ配線、22,32 HDP層、23,33 プラズマTEOS層、30 第3の層間絶縁膜、31 第2のアルミ配線、41 第3のアルミ配線、42 ガラスコート、100 半導体基板。

Claims (9)

  1. (a)半導体基板上にフラッシュメモリセルを形成する工程と、
    (b)前記フラッシュメモリセル上に第1の層間絶縁膜を形成する工程とを備え、
    前記工程(b)において、熱処理として少なくとも1回以上の炉アニールが行われる
    ことを特徴とするフラッシュメモリ装置の製造方法。
  2. 請求項1に記載のフラッシュメモリ装置の製造方法であって、
    前記第1の層間絶縁膜は多層構造であり、
    前記工程(b)において、前記炉アニールは前記多層構造の最上層形成後に行われる
    ことを特徴とするフラッシュメモリ装置の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載のフラッシュメモリ装置の製造方法であって、
    前記炉アニールの温度は600℃以上である
    ことを特徴とするフラッシュメモリ装置の製造方法。
  4. (a)半導体基板上にフラッシュメモリセルを形成する工程と、
    (b)前記フラッシュメモリセルの上方に金属を含む配線を形成する工程と、
    (c)前記配線上に第2の層間絶縁膜を形成する工程とを備え、
    前記工程(c)において、熱処理として少なくとも1回以上の炉アニールが行われる
    ことを特徴とするフラッシュメモリ装置の製造方法。
  5. 請求項4に記載のフラッシュメモリ装置の製造方法であって、
    前記第2の層間絶縁膜は多層構造であり、
    前記工程(c)において、前記炉アニールの温度と前記多層構造のうちの前記炉アニール後に形成する層の成膜温度とは同じである
    ことを特徴とするフラッシュメモリ装置の製造方法。
  6. (a)半導体基板上にフラッシュメモリセルを形成する工程と、
    (b)前記フラッシュメモリセルの上方に金属を含む配線を形成する工程と、
    (c)前記配線上に多層構造の第2の層間絶縁膜を形成する工程とを備え、
    前記工程(c)において、前記多層構造の各層の成膜温度は同じである
    ことを特徴とするフラッシュメモリ装置の製造方法。
  7. (a)半導体基板上にフラッシュメモリセルを形成する工程と、
    (b)前記フラッシュメモリセルの上方に金属を含む配線を形成して炉アニールを行う工程と、
    (c)前記配線上に第2の層間絶縁膜を形成する工程とを備える
    ことを特徴とするフラッシュメモリ装置の製造方法。
  8. 請求項7に記載のフラッシュメモリ装置の製造方法であって、
    前記炉アニールの温度と、前記第2の層間絶縁膜の成膜温度とは同じである
    ことを特徴とするフラッシュメモリ装置の製造方法。
  9. 請求項1から請求項8のいずれかに記載のフラッシュメモリ装置の製造方法であって、
    前記炉アニールは、水素雰囲気により行われる
    ことを特徴とするフラッシュメモリ装置の製造方法。
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