JP2004179233A - 出力制御機能付き半導体光増幅装置 - Google Patents
出力制御機能付き半導体光増幅装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】入力光をその強度にかかわらず一定光出力強度で増幅する。
【解決手段】光学系として、光カプラ4と、波長フィルタ9と、遅延器5と、半導体光増幅器6とを直列に具備し、電気制御系として、光カプラ4のもう1つの出力端に接続したフォトダイオード1と、フォトダイオード1の出力を平滑化する包絡線検波回路8と、フィードフォワード型自動利得制御回路2と、半導体光増幅器6を駆動する電流源3とを直列に具備する。
【選択図】 図5
【解決手段】光学系として、光カプラ4と、波長フィルタ9と、遅延器5と、半導体光増幅器6とを直列に具備し、電気制御系として、光カプラ4のもう1つの出力端に接続したフォトダイオード1と、フォトダイオード1の出力を平滑化する包絡線検波回路8と、フィードフォワード型自動利得制御回路2と、半導体光増幅器6を駆動する電流源3とを直列に具備する。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は出力制御機能付き半導体光増幅装置に関し、例えば、光ファイバ通信に用いて有用である。
【0002】
従来の技術に係る半導体出力制御機能付き光増幅装置の構成を図6に示す(被特許文献1の594−595ページ、Figs.2−3参照)。図6中、1はフォトダイオード、3は電流源、4は光カプラ、6は半導体光増幅器(SOA)、7はフィードバック型自動利得制御回路(AGC)である。図6における構成要素の接続のうち、太線で示したものはレーザ光(入力光)のフローであり、細線で示したものは電気信号のフローである。入力光の波長は1.55μm帯である。
【0003】
図6に示す半導体出力制御機能付き半導体光増幅装置の動作原理は以下のとおりである。
(1) まず、概要を説明すると、増幅対象の入力光(レーザ光)は、半導体光増幅器6へ入力される。半導体光増幅器6は、これを駆動する電流源3によって適当に電流が印加されることで、入力光を増幅して出力する。そして、図示されるように、光カプラ4、フォトダイオード1、自動利得制御回路7、電流源3および半導体光増幅器6からなるフィードバック系によって、半導体光増幅器6の出力光強度が一定に保たれる。従って、図6に示す装置では、光学系として、光入力側から順に半導体光増幅器6と、光カプラ4とを直列に具備しており、電気制御系として、フォトダイオード1と、自動利得制御回路7と、電流源3とをこの順で直列に具備している。
(2) 次に、動作原理の詳細を説明する。入力光は、電流源3によって電流駆動された半導体光増幅器6へ入力され、ここで増幅された後、光カプラ4で例えば強度比9:1に分岐される。この場合、光カプラ4からの出射光のうち、強度比90%の光が装置外部へ出力され、残り10%の光がフォトダイオード1へ入射される。フォトダイオード1では、入射光の強度に比例する光電流が流れ、自動利得制御回路7へ入力される。一般に、自動利得制御回路7はアナログのPID制御回路(P:比例、I:積分、D:微分)で構成され、装置への入力光の強度にかかわらず一定強度の光が出力されるように、電流源3を制御することで半導体光増幅器6を駆動する電流を調整する。
【0004】
上記の構成により、入力光強度に時間的な変動があったりしても出力光強度が一定に保てるようになっている。
【0005】
ところが、従来の出力制御機能付き半導体光増幅装置では、自動利得制御回路7がフィードバックによる出力制御あるいは利得制御であるため、バースト光信号が半導体光増幅器6に入力する場合は、必ず遅延が発生する。つまり、光ファイバの温度等の環境変化のように時間的に非常にゆるやかな変動成分に対しては良好に出力制御ができるものの、バースト光信号にような信号列に対しては安定化まで100マイクロ秒からミリ秒程度の遅れがあり、十分な出力制御ができなかった。
【0006】
【非特許文献1】
J. Endo, A. Ohki, T. Ito, Y. Tohmori, and Y. Suzuki, ’Wide input dynamic range cross−phase modulated wavelength conversion using an SOA−based automatic power equlizer’, Seventh Optoelectronics andd Communications Coference (OECC 2002) Technical digest, July 2002, Pacifico Yokohama, pp.594−595.
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、光ファイバ通信の中継等に用いられる出力制御機能付き半導体光増幅器において、光強度のダイナミックレンジが広い連続信号およびバースト品号の両方に対して一定光出力で増幅することができる技術を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1発明の出力制御機能付き半導体光増幅装置は、光学系として、光カプラと、前記光カプラの出力端に接続した遅延器と、前記遅延器の出力光を増幅する半導体光増幅器とを直列に具備し、電気制御系として、前記光カプラのもう1つの出力端に接続した光検出器と、前記光検出器の出力を平滑化する平滑回路と、前記平滑回路の出力に応じて動作するフィードフォワード型自動利得制御回路と、前記フィードフォワード型自動利得制御回路の出力に応じて前記半導体光増幅器を駆動する電流源とを直列に具備することを特徴とする。光検出器としては例えばフォトダイオードが使用され、平滑回路としては例えば包絡線検波回路が使用される。
【0009】
第2発明の出力制御機能付き半導体光増幅装置は、第1発明において、前記光カプラと前記遅延器との間もしくは前記遅延器と前記半導体光増幅器との間に接続した波長フィルタを具備することを特徴とする。
【0010】
第3発明の出力制御機能付き半導体光増幅装置は、第1発明または第2発明において、前記フィードフォワード型自動利得制御回路が前記半導体光増幅器の入出力特性を記録したルックアップテーブルとデジタル信号処理装置から構成されることを特徴とする。
【0011】
第4発明の出力制御機能付き半導体光増幅装置は、第1発明または第2発明において、前記フィードフォワード型自動利得制御回路がアナログ非線形回路で構成されることを特徴とする。
【0012】
第5発明の出力制御機能付き半導体光増幅装置は、第1発明から第4発明いずれか1つにおいて、前記遅延器の遅延時間が前記電気制御系の遅延時間と同じであることを特徴とする。
【0013】
第6発明の出力制御機能付き半導体光増幅装置は、第2発明において、前記波長フィルタが前記半導体光増幅器の利得の波長依存性を補償する波長依存性を持つことを特徴とする。
【0014】
第7発明の出力制御機能付き半導体光増幅装置は、第4発明において、前記アナログ非線形回路が対数アンプであることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
本発明では、出力制御機能付き半導体光増幅装置を構成するにあたって、フィードフォワード型自動利得制御回路と光に対する遅延器とを装置内に備えることにより、入力光強度に変動があっても高速に出力光強度を制御する。従って、連続光信号だけでなくバースト光信号の出力制御も瞬時に対応可能である。
【0017】
また、光学系の中に波長フィルタを備えることにより、出力制御機能付き半導体光増幅装置の利得の波長依存性を小さくするなど、所望の特性にすることができる。
【0018】
[第1実施例]
図1に、本発明の第1実施例に係る出力制御機能付き半導体光増幅装置を示す。図1中、1は光検出器、2はフィードフォワード型自動利得制御回路(FFAGC)、3は電流源、4は光カプラ、5は光に対する遅延器、6は半導体光増幅器(SOA)、8は平滑回路である。図1における構成要素の接続のうち、太線で示したものはレーザ光(入力光)のフローであり、細線で示したものは電気信号のフローである。この例では、入力光(レーザ光)の波長は1.55μm帯である。
【0019】
光学系として、光カプラ4と、遅延器5と、半導体光増幅器6が直列に備えられ、電気制御系として、光検出器1と、平滑回路と、フィードフォワード型自動利得制御回路2と、電流源3が直列に備えられている。
【0020】
本例では、光検出器1としてはフォトダイオードを使用し、平滑回路8としては包絡線検波回路を使用している。
【0021】
光学系において、光カプラ4は入力光を分波し、遅延器5は光カプラ4の出力端に接続され、半導体光増幅器6は遅延器5からの光を増幅し出力光とする。
【0022】
電気制御系において、フォトダイオード1は光カプラ4のもう1つの出力端に接続され、包絡線検波回路8はフォトダイオード1の出力を平滑化し、フィードフォワード型自動利得制御回路2はフォトダイオード1の出力に応じて動作し、電流源3はフィードフォワード型自動利得制御回路2の出力に応じて半導体光増幅器6を駆動する。
【0023】
遅延器5の遅延時間は電気制御系を流れる電気信号の遅延時間と同等に設定している。
【0024】
まず、図1における入力光の流れを説明する。入力光は、光カプラ4で例えば強度比9:1で2分岐され、光カプラ4からの光のうち、一方(強度比90%)は遅延器5へ入射し、遅延器5により電気制御系を流れる電気信号と同等の遅延を与えられ、半導体光増幅器6へ入射される。光カプラ4で分岐されたもう一方のレーザ光(強度比10%)は、フォトダイオード1へ入射する。そして、後で説明する方法で適切にバイアス電流が印加された半導体光増幅器6の光増幅作用により、入力光はそれの強度に左右されずに一定の光強度に増幅され出力される。
【0025】
次に、半導体光増幅器6の出力光強度を一定に保つための原理を、図2〜図4を用いて説明する。
【0026】
図2は、本実施例における半導体増幅器6の駆動条件を示す図であって、図2(a)は半導体増幅器6の電流対利得特性、図2(b)はフォトダイオード1の光電流対半導体増幅器6を流れる電流の特性、図2(c)は半導体増幅器6の利得および出力強度対フォトダイオード1の光電流特性である。
【0027】
図2(a)に示されるように、半導体増幅器6の利得はその駆動電流に対して非線形であり、図2(a)に示されるように、半導体増幅器6の利得は駆動電流の増加につれて指数関数的に増大する。この特性を利用することにより、小さな駆動電流制御により出力光強度を一定に保つことができる。すなわち、入力光強度の包絡線を検出するフォトダイオード1の光電流と、半導体光増幅器6を流れる駆動電流との関係が図2(b)の形になるように制御する。図2(a)と図2(b)の関係から、フォトダイオード1の光電流によって半導体増幅器6の利得を図2(c)のように反比例の関係にすることができる。これによって、同じく図2(c)に示すされるように、半導体増幅器6のからの出力光強度を一定にすることができる。
【0028】
図1の電気制御系では、光カプラ4からの光の包絡線をフォトダイオード1で検出し、これを包絡線検波回路で平滑化した後、平滑化した信号に応じてフィードフォワード型自動利得制御回路2が動作して電流源3の出力電流を調整することにより、半導体光増幅器6の出力光強度を一定にする上述した制御を行っている。
【0029】
図3にフィードフォワード型自動利得制御回路2の一例として、デジタル技術を用いた構成を示す。図3中、10はAD変換器、11はデジタル信号プロセッサ(DSP:デジタル信号処理装置)、12はDA変換器、13はルックアップテーブルである。
【0030】
そして、入力光はフォトダイオード1で光電流に変換され、その後、包絡線検波回路8によって包絡線が抽出される。包絡線検波回路8の出力は電流ではなく、電圧である(以下、この電圧を包絡線電圧と呼ぶ)。包絡線検波回路8の出力包絡線電圧)は、フィードフォワード型自動利得制御回路2のAD変換器10で、アナログ信号からデジタル信号に変換される。ルックアップテーブル13には、包絡線電圧と半導体増幅器6の駆動電流とその利得との関係が記録されている。よって、デジタル信号プロセッサ11は包絡線電圧の大小に応じて出力一定化に必要な利得および駆動電流をルックアップテーブル13から読み出すことができる。デジタル信号プロセッサ11によりルックアップテーブル13から読み出された駆動電流の値は、DA変換器12によりデジタル信号からアナログ信号に変換され、電流源3へ送られる。電流源3は、フィードフォワード型自動利得制御回路2のDA変換器12から与えられる電流値に基づいて適切な電流で半導体光増幅器6を駆動する。これにより、入力光強度に依存せず、一定光強度の出力を半導体光増幅器6が出力することができる。
【0031】
再び図1と図4を参照して、本実施例の出力制御機能付き半導体光増幅装置は、従来のものとは異なり、高速に出力安定化が可能であることを説明する。
【0032】
図4は信号のフローを示すタイミングチャートであって、図4(a)は光カプラ4からの出力光強度、図4(b)はフォトダイオード1を流れる光電流、図4(c)は包絡線検波回路8からの出力電圧(包絡線電圧)、図4(d)は電流源3からの駆動電流、図4(e)は遅延器5からの出力光強度、図4(f)は半導体光増幅器6からの出力光強度について、それぞれ時間に伴う変化の様子を示している。一例として、2つのバースト信号B1、B2について、入力時点ではバースト信号B1の振幅は小さく、バースト信号B2の振幅は大きいものとする。最終的には2つのバースト信号B1、B2が同じ振幅に増幅され、出力されるまでを、図4を用いて説明する。
【0033】
2つのバースト信号B1、B2を光カプラ4の直後で観測したものが図4(a)であり、この信号をフォトダイオード1で光電変換すると、その光電流は図4(b)のようになる。フォトダイオード1にはpin構造のフォトダイオードを用いており、光電流はフォトダイオード1に入射した光の強度に比例する。この光電流は包絡線検波回路8によって、バースト信号B1とバースト信号B2はそれぞれパケット全体の形に比例した包絡線形状の電圧信号(包絡線電圧)に変換される。この包絡線電圧から、フィードフォワード型自動利得制御回路2の作用によって、当該包絡線電圧の振幅にかかわらず半導体光増幅器6が一定出力を得るための駆動電流が決定される。図2(a)〜(c)に示したように、光電流が少なければ駆動電流は大きく、光電流が多ければ駆動電流は小さくなる。
【0034】
ここで、図4(a)〜(d)へと処理が進むにつれ、信号が時間軸上で少しずつ遅れることに注意する必要がある。
【0035】
ただし、これらの回路の時定数および遅延は電気制御系の各種回路時定数から事前に見積もることができる値である。
【0036】
そこで、増幅される入力光(レーザ光)にも上述した電気制御系の遅延量と同じ遅延を与えることにより、入力光の進行と制御の電気信号を同じ時刻に作用させることが可能となる。そのために、遅延器5を備えている。
【0037】
この結果、半導体光増幅器6への光入力と駆動電流の両方が同一時刻に印加される。遅延器5からの出力光は図4(e)に示されているとおりである。
【0038】
そして、最終的にそれぞれ適切に駆動電流でバイアスされた半導体光増幅器6により2つのバースト信号B1、B2は増幅され、入力時点ではばらばらな振幅であった光強度が一定の値になって出力される。
【0039】
このように、本実施例の出力制御機能付き半導体光増幅装置においては、入力強度が一定でない高速のバースト信号B1、B2が半導体光増幅器6に入力されても、一定の出力光強度に増幅して出力される。よって、半導体光増幅器6の出力光をこのまま、自動利得制御回路を持たないディテクタで復調することもできる。また、本実施例の出力制御機能付き半導体光増幅装置を中継装置として用いた場合は、本装置以外のレベル監視装置が不要になる。
【0040】
[第2実施例]
上述した第1実施例の出力制御機能付き半導体光増幅装置では、入力光の強度に依存せず、出力光強度一定の光増幅が可能である。
【0041】
しかしながら、半導体回増幅器6の利得は一般に強い波長依存性を持っているため、広い周波数範囲で一定の出力光を得ることは容易でない。
【0042】
そこで、第2実施例として、広い周波数範囲で一定の出力光を得ることができるように半導体光増幅器6の波長依存性を補償するための波長フィルタを有し、また、フィードフォワード型自動利得制御回路2として高価なデジタル信号プロセッサ11等を要しないアナログ非線形回路を採用した出力制御機能付き半導体光増幅装置を、図5を参照して説明する。
【0043】
図5に示す本実施例の装置は、光学系として、光カプラ4と、光カプラ4出力端に接続した波長フィルタ(半導体光増幅器6の利得の波長依存性を補償する波長依存性を持つフィルタ)9と、波長フィルタ9に接続した遅延器5と、遅延器5の出力光を増幅する半導体光増幅器(SOA)6とを直列に具備し、電気制御系として、光カプラ4のもう1つの出力端に接続したフォトダイオード1と、フォトダイオード1出力を平滑化する包絡線検波回路8、包絡線検波回路8の出力に応じて動作するフィードフォワード型自動利得制御回路(アナログ非線形回路のFFAGC)2と、フィードフォワード型自動利得制御回路2の出力に応じて半導体光増幅器6を駆動する電流源3とを直列に具備している。
【0044】
従って、図5を図1と比較すると、波長フィルタ9とフィードフォワード型自動利得制御回路2の2つが相違するだけであるから、2つが相違点のみを説明し、説明の重複を省く。
【0045】
第1の相違点は、上述したように、光カプラ4と遅延器5との間の波長フィルタ9である。波長フィルタ9には誘電体多層膜による波長フィルタを使用しており、半導体光増幅器6における利得の波長依存性をキャンセルするものである、すなわち、波長フィルタ9は半導体光増幅器6の利得の波長依存性とは逆の波長特性を持つフィルタであり、例えば、半導体光増幅器6が波長1.55μmに増幅ピークがあるとすれば、波長フィルタ9は波長1.55μmに吸収ピークを持つように設計され、製造される。これにより、図1に示した第1実施例では補償しなかった出力光強度の波長依存性を打ち消すことができ、半導体光増幅器6自体の特性よりも広い周波数範囲で一定の出力光を得ることができる。
【0046】
また、第2の相違点は、上述したように、フィードフォワード型自動利得制御回路2としてアナログ非線形回路を用いた点である。アナログ非線形回路によって、図2(a)に示されるフォトダイオード1の光電流と半導体光増幅器6の駆動電流との関係を完全に補償することは困難であるが、実用上問題がない程度に近似的に補償するアナログ非線形回路の設計・製造は可能である。すなわち、図2(b)の関係をほぼ実現するアナログ非線形回路は実現可能である。
【0047】
本実施例では、フィードフォワード型自動利得制御回路2として対数アンプを用いて、ほぼ図2(b)の関係を実現している。この対数アンプは、シリコンのバイポーラトランジスタで実現した。
【0048】
本実施例は、第1実施例と比べると、波長フィルタ9の導入によって波長依存性を改善した点と、フィードフォワード型自動利得制御回路2をデジタル回路からアナログ非線形回路に置き換えた点を除けば、第1実施例との構成および作用上の差異はない。よって、これ以上の原理の説明は第1実施例の説明に委ねて省略する。
【0049】
このように、本実施例の出力制御機能付き半導体光増幅装置においては、第1実施例の場合と同様、入力強度が一定でない高速のバースト信号B1、B2が半導体光増幅器6に入力されても、一定の出力光強度に増幅して出力される。これに加えて、さらに、半導体光増幅器6利得の波長依存性を小さく抑えることができる。よって、半導体光増幅器6の出力光をこのまま、自動利得制御回路を持たないディテクタで復調することもできる。また、本実施例の出力制御機能付き半導体光増幅装置を中継装置として用いた場合は、本装置以外のレベル監視装置が不要になる。また、フィードフォワード型自動利得制御回路2がアナログ非線形回路であることから、デジタル回路に比べてコストが低減する。
【0050】
図5では、波長フィルタ9が光カプラ4と遅延器6との間に設置されているが、遅延器6と半導体光増幅器6との間に波長フィルタ9を設置しても同様の作用効果が得られる。
【0051】
また、波長フィルタ9は半導体光増幅器6の利得の波長依存性とは逆の波長特性を持つフィルタに限らず、装置全体を所望の波長依存性とするものであれば、任意の特性のものであっても良い。
【0052】
さらに、フィードフォワード型自動利得制御回路2として完全な補償を目的とする場合は、対数アンプ等のアナログ非線形回路に代えて、第1実施例と同様、デジタル回路(AD変換器10、デジタル信号プロセッサ11、DA変換器12、ルックアップテーブル13)を用いて、フィードフォワード型自動利得制御回路2を構成しても良い。
【0053】
逆に、第1実施例において、フィードフォワード型自動利得制御回路2をデジタル回路(AD変換器10、デジタル信号プロセッサ11、DA変換器12、ルックアップテーブル13)を用いて構成する代わりに、第2実施例と同様、対数アンプ等のアナログ非線形回路を用いて構成しても良い。
【0054】
【発明の効果】
以上の説明したように、本発明によれば、高速かつバースト状の光信号が半導体光増幅器に入射しても、遅延なく適切に利得を可変するので、常にほぼ一定の出力光強度として、装置から光を出力することができる。また、波長フィルタにより、所望の波長特性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る出力制御機能付き半導体光増幅装置の構成を示す図。
【図2】本発明の第1実施例における半導体光増幅器の駆動条件を示す図。
【図3】本発明の第1実施例におけるフィードフォワード型自動利得制御回路の構成例を示す図。
【図4】本発明の第1実施例における信号のフローを示すタイミングチャート。
【図5】本発明の第2実施例に係る出力制御機能付き半導体光増幅装置の構成を示す図。
【図6】従来例に係る装置構成を示す図。
【符号の説明】
1 フォトダイオード(光検出器)
2 フィードフォワード型AGC(フィードフォワード型自動利得制御回路)
3 電流源
4 光カプラ
5 遅延器
6 SOA(半導体光増幅器)
7 AGC(従来のフィードバック型自動利得制御回路)
8 包絡線検波回路(平滑回路)
9 波長フィルタ
10 AD変換器
11 DSP(デジタル信号プロセッサ:デジタル信号処理回路)
12 DA変換器
13 ルックアップテーブル
【発明の属する技術分野】
本発明は出力制御機能付き半導体光増幅装置に関し、例えば、光ファイバ通信に用いて有用である。
【0002】
従来の技術に係る半導体出力制御機能付き光増幅装置の構成を図6に示す(被特許文献1の594−595ページ、Figs.2−3参照)。図6中、1はフォトダイオード、3は電流源、4は光カプラ、6は半導体光増幅器(SOA)、7はフィードバック型自動利得制御回路(AGC)である。図6における構成要素の接続のうち、太線で示したものはレーザ光(入力光)のフローであり、細線で示したものは電気信号のフローである。入力光の波長は1.55μm帯である。
【0003】
図6に示す半導体出力制御機能付き半導体光増幅装置の動作原理は以下のとおりである。
(1) まず、概要を説明すると、増幅対象の入力光(レーザ光)は、半導体光増幅器6へ入力される。半導体光増幅器6は、これを駆動する電流源3によって適当に電流が印加されることで、入力光を増幅して出力する。そして、図示されるように、光カプラ4、フォトダイオード1、自動利得制御回路7、電流源3および半導体光増幅器6からなるフィードバック系によって、半導体光増幅器6の出力光強度が一定に保たれる。従って、図6に示す装置では、光学系として、光入力側から順に半導体光増幅器6と、光カプラ4とを直列に具備しており、電気制御系として、フォトダイオード1と、自動利得制御回路7と、電流源3とをこの順で直列に具備している。
(2) 次に、動作原理の詳細を説明する。入力光は、電流源3によって電流駆動された半導体光増幅器6へ入力され、ここで増幅された後、光カプラ4で例えば強度比9:1に分岐される。この場合、光カプラ4からの出射光のうち、強度比90%の光が装置外部へ出力され、残り10%の光がフォトダイオード1へ入射される。フォトダイオード1では、入射光の強度に比例する光電流が流れ、自動利得制御回路7へ入力される。一般に、自動利得制御回路7はアナログのPID制御回路(P:比例、I:積分、D:微分)で構成され、装置への入力光の強度にかかわらず一定強度の光が出力されるように、電流源3を制御することで半導体光増幅器6を駆動する電流を調整する。
【0004】
上記の構成により、入力光強度に時間的な変動があったりしても出力光強度が一定に保てるようになっている。
【0005】
ところが、従来の出力制御機能付き半導体光増幅装置では、自動利得制御回路7がフィードバックによる出力制御あるいは利得制御であるため、バースト光信号が半導体光増幅器6に入力する場合は、必ず遅延が発生する。つまり、光ファイバの温度等の環境変化のように時間的に非常にゆるやかな変動成分に対しては良好に出力制御ができるものの、バースト光信号にような信号列に対しては安定化まで100マイクロ秒からミリ秒程度の遅れがあり、十分な出力制御ができなかった。
【0006】
【非特許文献1】
J. Endo, A. Ohki, T. Ito, Y. Tohmori, and Y. Suzuki, ’Wide input dynamic range cross−phase modulated wavelength conversion using an SOA−based automatic power equlizer’, Seventh Optoelectronics andd Communications Coference (OECC 2002) Technical digest, July 2002, Pacifico Yokohama, pp.594−595.
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、光ファイバ通信の中継等に用いられる出力制御機能付き半導体光増幅器において、光強度のダイナミックレンジが広い連続信号およびバースト品号の両方に対して一定光出力で増幅することができる技術を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1発明の出力制御機能付き半導体光増幅装置は、光学系として、光カプラと、前記光カプラの出力端に接続した遅延器と、前記遅延器の出力光を増幅する半導体光増幅器とを直列に具備し、電気制御系として、前記光カプラのもう1つの出力端に接続した光検出器と、前記光検出器の出力を平滑化する平滑回路と、前記平滑回路の出力に応じて動作するフィードフォワード型自動利得制御回路と、前記フィードフォワード型自動利得制御回路の出力に応じて前記半導体光増幅器を駆動する電流源とを直列に具備することを特徴とする。光検出器としては例えばフォトダイオードが使用され、平滑回路としては例えば包絡線検波回路が使用される。
【0009】
第2発明の出力制御機能付き半導体光増幅装置は、第1発明において、前記光カプラと前記遅延器との間もしくは前記遅延器と前記半導体光増幅器との間に接続した波長フィルタを具備することを特徴とする。
【0010】
第3発明の出力制御機能付き半導体光増幅装置は、第1発明または第2発明において、前記フィードフォワード型自動利得制御回路が前記半導体光増幅器の入出力特性を記録したルックアップテーブルとデジタル信号処理装置から構成されることを特徴とする。
【0011】
第4発明の出力制御機能付き半導体光増幅装置は、第1発明または第2発明において、前記フィードフォワード型自動利得制御回路がアナログ非線形回路で構成されることを特徴とする。
【0012】
第5発明の出力制御機能付き半導体光増幅装置は、第1発明から第4発明いずれか1つにおいて、前記遅延器の遅延時間が前記電気制御系の遅延時間と同じであることを特徴とする。
【0013】
第6発明の出力制御機能付き半導体光増幅装置は、第2発明において、前記波長フィルタが前記半導体光増幅器の利得の波長依存性を補償する波長依存性を持つことを特徴とする。
【0014】
第7発明の出力制御機能付き半導体光増幅装置は、第4発明において、前記アナログ非線形回路が対数アンプであることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
本発明では、出力制御機能付き半導体光増幅装置を構成するにあたって、フィードフォワード型自動利得制御回路と光に対する遅延器とを装置内に備えることにより、入力光強度に変動があっても高速に出力光強度を制御する。従って、連続光信号だけでなくバースト光信号の出力制御も瞬時に対応可能である。
【0017】
また、光学系の中に波長フィルタを備えることにより、出力制御機能付き半導体光増幅装置の利得の波長依存性を小さくするなど、所望の特性にすることができる。
【0018】
[第1実施例]
図1に、本発明の第1実施例に係る出力制御機能付き半導体光増幅装置を示す。図1中、1は光検出器、2はフィードフォワード型自動利得制御回路(FFAGC)、3は電流源、4は光カプラ、5は光に対する遅延器、6は半導体光増幅器(SOA)、8は平滑回路である。図1における構成要素の接続のうち、太線で示したものはレーザ光(入力光)のフローであり、細線で示したものは電気信号のフローである。この例では、入力光(レーザ光)の波長は1.55μm帯である。
【0019】
光学系として、光カプラ4と、遅延器5と、半導体光増幅器6が直列に備えられ、電気制御系として、光検出器1と、平滑回路と、フィードフォワード型自動利得制御回路2と、電流源3が直列に備えられている。
【0020】
本例では、光検出器1としてはフォトダイオードを使用し、平滑回路8としては包絡線検波回路を使用している。
【0021】
光学系において、光カプラ4は入力光を分波し、遅延器5は光カプラ4の出力端に接続され、半導体光増幅器6は遅延器5からの光を増幅し出力光とする。
【0022】
電気制御系において、フォトダイオード1は光カプラ4のもう1つの出力端に接続され、包絡線検波回路8はフォトダイオード1の出力を平滑化し、フィードフォワード型自動利得制御回路2はフォトダイオード1の出力に応じて動作し、電流源3はフィードフォワード型自動利得制御回路2の出力に応じて半導体光増幅器6を駆動する。
【0023】
遅延器5の遅延時間は電気制御系を流れる電気信号の遅延時間と同等に設定している。
【0024】
まず、図1における入力光の流れを説明する。入力光は、光カプラ4で例えば強度比9:1で2分岐され、光カプラ4からの光のうち、一方(強度比90%)は遅延器5へ入射し、遅延器5により電気制御系を流れる電気信号と同等の遅延を与えられ、半導体光増幅器6へ入射される。光カプラ4で分岐されたもう一方のレーザ光(強度比10%)は、フォトダイオード1へ入射する。そして、後で説明する方法で適切にバイアス電流が印加された半導体光増幅器6の光増幅作用により、入力光はそれの強度に左右されずに一定の光強度に増幅され出力される。
【0025】
次に、半導体光増幅器6の出力光強度を一定に保つための原理を、図2〜図4を用いて説明する。
【0026】
図2は、本実施例における半導体増幅器6の駆動条件を示す図であって、図2(a)は半導体増幅器6の電流対利得特性、図2(b)はフォトダイオード1の光電流対半導体増幅器6を流れる電流の特性、図2(c)は半導体増幅器6の利得および出力強度対フォトダイオード1の光電流特性である。
【0027】
図2(a)に示されるように、半導体増幅器6の利得はその駆動電流に対して非線形であり、図2(a)に示されるように、半導体増幅器6の利得は駆動電流の増加につれて指数関数的に増大する。この特性を利用することにより、小さな駆動電流制御により出力光強度を一定に保つことができる。すなわち、入力光強度の包絡線を検出するフォトダイオード1の光電流と、半導体光増幅器6を流れる駆動電流との関係が図2(b)の形になるように制御する。図2(a)と図2(b)の関係から、フォトダイオード1の光電流によって半導体増幅器6の利得を図2(c)のように反比例の関係にすることができる。これによって、同じく図2(c)に示すされるように、半導体増幅器6のからの出力光強度を一定にすることができる。
【0028】
図1の電気制御系では、光カプラ4からの光の包絡線をフォトダイオード1で検出し、これを包絡線検波回路で平滑化した後、平滑化した信号に応じてフィードフォワード型自動利得制御回路2が動作して電流源3の出力電流を調整することにより、半導体光増幅器6の出力光強度を一定にする上述した制御を行っている。
【0029】
図3にフィードフォワード型自動利得制御回路2の一例として、デジタル技術を用いた構成を示す。図3中、10はAD変換器、11はデジタル信号プロセッサ(DSP:デジタル信号処理装置)、12はDA変換器、13はルックアップテーブルである。
【0030】
そして、入力光はフォトダイオード1で光電流に変換され、その後、包絡線検波回路8によって包絡線が抽出される。包絡線検波回路8の出力は電流ではなく、電圧である(以下、この電圧を包絡線電圧と呼ぶ)。包絡線検波回路8の出力包絡線電圧)は、フィードフォワード型自動利得制御回路2のAD変換器10で、アナログ信号からデジタル信号に変換される。ルックアップテーブル13には、包絡線電圧と半導体増幅器6の駆動電流とその利得との関係が記録されている。よって、デジタル信号プロセッサ11は包絡線電圧の大小に応じて出力一定化に必要な利得および駆動電流をルックアップテーブル13から読み出すことができる。デジタル信号プロセッサ11によりルックアップテーブル13から読み出された駆動電流の値は、DA変換器12によりデジタル信号からアナログ信号に変換され、電流源3へ送られる。電流源3は、フィードフォワード型自動利得制御回路2のDA変換器12から与えられる電流値に基づいて適切な電流で半導体光増幅器6を駆動する。これにより、入力光強度に依存せず、一定光強度の出力を半導体光増幅器6が出力することができる。
【0031】
再び図1と図4を参照して、本実施例の出力制御機能付き半導体光増幅装置は、従来のものとは異なり、高速に出力安定化が可能であることを説明する。
【0032】
図4は信号のフローを示すタイミングチャートであって、図4(a)は光カプラ4からの出力光強度、図4(b)はフォトダイオード1を流れる光電流、図4(c)は包絡線検波回路8からの出力電圧(包絡線電圧)、図4(d)は電流源3からの駆動電流、図4(e)は遅延器5からの出力光強度、図4(f)は半導体光増幅器6からの出力光強度について、それぞれ時間に伴う変化の様子を示している。一例として、2つのバースト信号B1、B2について、入力時点ではバースト信号B1の振幅は小さく、バースト信号B2の振幅は大きいものとする。最終的には2つのバースト信号B1、B2が同じ振幅に増幅され、出力されるまでを、図4を用いて説明する。
【0033】
2つのバースト信号B1、B2を光カプラ4の直後で観測したものが図4(a)であり、この信号をフォトダイオード1で光電変換すると、その光電流は図4(b)のようになる。フォトダイオード1にはpin構造のフォトダイオードを用いており、光電流はフォトダイオード1に入射した光の強度に比例する。この光電流は包絡線検波回路8によって、バースト信号B1とバースト信号B2はそれぞれパケット全体の形に比例した包絡線形状の電圧信号(包絡線電圧)に変換される。この包絡線電圧から、フィードフォワード型自動利得制御回路2の作用によって、当該包絡線電圧の振幅にかかわらず半導体光増幅器6が一定出力を得るための駆動電流が決定される。図2(a)〜(c)に示したように、光電流が少なければ駆動電流は大きく、光電流が多ければ駆動電流は小さくなる。
【0034】
ここで、図4(a)〜(d)へと処理が進むにつれ、信号が時間軸上で少しずつ遅れることに注意する必要がある。
【0035】
ただし、これらの回路の時定数および遅延は電気制御系の各種回路時定数から事前に見積もることができる値である。
【0036】
そこで、増幅される入力光(レーザ光)にも上述した電気制御系の遅延量と同じ遅延を与えることにより、入力光の進行と制御の電気信号を同じ時刻に作用させることが可能となる。そのために、遅延器5を備えている。
【0037】
この結果、半導体光増幅器6への光入力と駆動電流の両方が同一時刻に印加される。遅延器5からの出力光は図4(e)に示されているとおりである。
【0038】
そして、最終的にそれぞれ適切に駆動電流でバイアスされた半導体光増幅器6により2つのバースト信号B1、B2は増幅され、入力時点ではばらばらな振幅であった光強度が一定の値になって出力される。
【0039】
このように、本実施例の出力制御機能付き半導体光増幅装置においては、入力強度が一定でない高速のバースト信号B1、B2が半導体光増幅器6に入力されても、一定の出力光強度に増幅して出力される。よって、半導体光増幅器6の出力光をこのまま、自動利得制御回路を持たないディテクタで復調することもできる。また、本実施例の出力制御機能付き半導体光増幅装置を中継装置として用いた場合は、本装置以外のレベル監視装置が不要になる。
【0040】
[第2実施例]
上述した第1実施例の出力制御機能付き半導体光増幅装置では、入力光の強度に依存せず、出力光強度一定の光増幅が可能である。
【0041】
しかしながら、半導体回増幅器6の利得は一般に強い波長依存性を持っているため、広い周波数範囲で一定の出力光を得ることは容易でない。
【0042】
そこで、第2実施例として、広い周波数範囲で一定の出力光を得ることができるように半導体光増幅器6の波長依存性を補償するための波長フィルタを有し、また、フィードフォワード型自動利得制御回路2として高価なデジタル信号プロセッサ11等を要しないアナログ非線形回路を採用した出力制御機能付き半導体光増幅装置を、図5を参照して説明する。
【0043】
図5に示す本実施例の装置は、光学系として、光カプラ4と、光カプラ4出力端に接続した波長フィルタ(半導体光増幅器6の利得の波長依存性を補償する波長依存性を持つフィルタ)9と、波長フィルタ9に接続した遅延器5と、遅延器5の出力光を増幅する半導体光増幅器(SOA)6とを直列に具備し、電気制御系として、光カプラ4のもう1つの出力端に接続したフォトダイオード1と、フォトダイオード1出力を平滑化する包絡線検波回路8、包絡線検波回路8の出力に応じて動作するフィードフォワード型自動利得制御回路(アナログ非線形回路のFFAGC)2と、フィードフォワード型自動利得制御回路2の出力に応じて半導体光増幅器6を駆動する電流源3とを直列に具備している。
【0044】
従って、図5を図1と比較すると、波長フィルタ9とフィードフォワード型自動利得制御回路2の2つが相違するだけであるから、2つが相違点のみを説明し、説明の重複を省く。
【0045】
第1の相違点は、上述したように、光カプラ4と遅延器5との間の波長フィルタ9である。波長フィルタ9には誘電体多層膜による波長フィルタを使用しており、半導体光増幅器6における利得の波長依存性をキャンセルするものである、すなわち、波長フィルタ9は半導体光増幅器6の利得の波長依存性とは逆の波長特性を持つフィルタであり、例えば、半導体光増幅器6が波長1.55μmに増幅ピークがあるとすれば、波長フィルタ9は波長1.55μmに吸収ピークを持つように設計され、製造される。これにより、図1に示した第1実施例では補償しなかった出力光強度の波長依存性を打ち消すことができ、半導体光増幅器6自体の特性よりも広い周波数範囲で一定の出力光を得ることができる。
【0046】
また、第2の相違点は、上述したように、フィードフォワード型自動利得制御回路2としてアナログ非線形回路を用いた点である。アナログ非線形回路によって、図2(a)に示されるフォトダイオード1の光電流と半導体光増幅器6の駆動電流との関係を完全に補償することは困難であるが、実用上問題がない程度に近似的に補償するアナログ非線形回路の設計・製造は可能である。すなわち、図2(b)の関係をほぼ実現するアナログ非線形回路は実現可能である。
【0047】
本実施例では、フィードフォワード型自動利得制御回路2として対数アンプを用いて、ほぼ図2(b)の関係を実現している。この対数アンプは、シリコンのバイポーラトランジスタで実現した。
【0048】
本実施例は、第1実施例と比べると、波長フィルタ9の導入によって波長依存性を改善した点と、フィードフォワード型自動利得制御回路2をデジタル回路からアナログ非線形回路に置き換えた点を除けば、第1実施例との構成および作用上の差異はない。よって、これ以上の原理の説明は第1実施例の説明に委ねて省略する。
【0049】
このように、本実施例の出力制御機能付き半導体光増幅装置においては、第1実施例の場合と同様、入力強度が一定でない高速のバースト信号B1、B2が半導体光増幅器6に入力されても、一定の出力光強度に増幅して出力される。これに加えて、さらに、半導体光増幅器6利得の波長依存性を小さく抑えることができる。よって、半導体光増幅器6の出力光をこのまま、自動利得制御回路を持たないディテクタで復調することもできる。また、本実施例の出力制御機能付き半導体光増幅装置を中継装置として用いた場合は、本装置以外のレベル監視装置が不要になる。また、フィードフォワード型自動利得制御回路2がアナログ非線形回路であることから、デジタル回路に比べてコストが低減する。
【0050】
図5では、波長フィルタ9が光カプラ4と遅延器6との間に設置されているが、遅延器6と半導体光増幅器6との間に波長フィルタ9を設置しても同様の作用効果が得られる。
【0051】
また、波長フィルタ9は半導体光増幅器6の利得の波長依存性とは逆の波長特性を持つフィルタに限らず、装置全体を所望の波長依存性とするものであれば、任意の特性のものであっても良い。
【0052】
さらに、フィードフォワード型自動利得制御回路2として完全な補償を目的とする場合は、対数アンプ等のアナログ非線形回路に代えて、第1実施例と同様、デジタル回路(AD変換器10、デジタル信号プロセッサ11、DA変換器12、ルックアップテーブル13)を用いて、フィードフォワード型自動利得制御回路2を構成しても良い。
【0053】
逆に、第1実施例において、フィードフォワード型自動利得制御回路2をデジタル回路(AD変換器10、デジタル信号プロセッサ11、DA変換器12、ルックアップテーブル13)を用いて構成する代わりに、第2実施例と同様、対数アンプ等のアナログ非線形回路を用いて構成しても良い。
【0054】
【発明の効果】
以上の説明したように、本発明によれば、高速かつバースト状の光信号が半導体光増幅器に入射しても、遅延なく適切に利得を可変するので、常にほぼ一定の出力光強度として、装置から光を出力することができる。また、波長フィルタにより、所望の波長特性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る出力制御機能付き半導体光増幅装置の構成を示す図。
【図2】本発明の第1実施例における半導体光増幅器の駆動条件を示す図。
【図3】本発明の第1実施例におけるフィードフォワード型自動利得制御回路の構成例を示す図。
【図4】本発明の第1実施例における信号のフローを示すタイミングチャート。
【図5】本発明の第2実施例に係る出力制御機能付き半導体光増幅装置の構成を示す図。
【図6】従来例に係る装置構成を示す図。
【符号の説明】
1 フォトダイオード(光検出器)
2 フィードフォワード型AGC(フィードフォワード型自動利得制御回路)
3 電流源
4 光カプラ
5 遅延器
6 SOA(半導体光増幅器)
7 AGC(従来のフィードバック型自動利得制御回路)
8 包絡線検波回路(平滑回路)
9 波長フィルタ
10 AD変換器
11 DSP(デジタル信号プロセッサ:デジタル信号処理回路)
12 DA変換器
13 ルックアップテーブル
Claims (7)
- 光学系として、光カプラと、前記光カプラの出力端に接続した遅延器と、前記遅延器の出力光を増幅する半導体光増幅器とを直列に具備し、電気制御系として、前記光カプラのもう1つの出力端に接続した光検出器と、前記光検出器の出力を平滑化する平滑回路と、前記平滑回路の出力に応じて動作するフィードフォワード型自動利得制御回路と、前記フィードフォワード型自動利得制御回路の出力に応じて前記半導体光増幅器を駆動する電流源とを直列に具備することを特徴とする出力制御機能付き半導体光増幅装置。
- 請求項1において、前記光カプラと前記遅延器との間もしくは前記遅延器と前記半導体光増幅器との間に接続した波長フィルタを具備することを特徴とする出力制御機能付き半導体光増幅装置。
- 請求項1または2において、前記フィードフォワード型自動利得制御回路が前記半導体光増幅器の入出力特性を記録したルックアップテーブルとデジタル信号処理装置から構成されることを特徴とする出力制御機能付き半導体光増幅装置。
- 請求項1または2において、前記フィードフォワード型自動利得制御回路がアナログ非線形回路で構成されることを特徴とする出力制御機能付き半導体光増幅装置。
- 請求項1から4いずれか1つにおいて、前記遅延器の遅延時間が前記電気制御系の遅延時間と同じであることを特徴とする出力制御機能付き半導体光増幅装置。
- 請求項2において、前記波長フィルタが前記半導体光増幅器の利得の波長依存性を補償する波長依存性を持つことを特徴とする出力制御機能付き半導体光増幅装置。
- 請求項4において、前記アナログ非線形回路が対数アンプであることを特徴とする出力制御機能付き半導体光増幅装置。
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