JP2004179093A - 導電性ペースト及びそれを用いたチップ型電子部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】中性または還元性における安定した焼き付けが可能であるとともに、外観形状及び寸法精度が良好であり、且つ信頼性に優れた導電性ペースト及びチップ型電子部品を提供する。
【解決手段】本発明の導電性ペーストは、卑金属粉末と、ガラス粉末と、アクリル系樹脂バインダ粉末と、溶剤と、卑金属粉末100重量部に対して0.01〜5.0重量部のアマイドアミン基含有高分子粉末とを含有する。また、本発明のチップ型電子部品10は、このペーストを外部電極5、6として、誘電体層2及び内部電極層3、4を複数積層して成る積層体1端面に焼き付けることにより形成してなる。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の導電性ペーストは、卑金属粉末と、ガラス粉末と、アクリル系樹脂バインダ粉末と、溶剤と、卑金属粉末100重量部に対して0.01〜5.0重量部のアマイドアミン基含有高分子粉末とを含有する。また、本発明のチップ型電子部品10は、このペーストを外部電極5、6として、誘電体層2及び内部電極層3、4を複数積層して成る積層体1端面に焼き付けることにより形成してなる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性ペースト及びそれを外部電極に用いたチップ型電子部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、図2に示すように、チップ型電子部品30の外部電極33、34は、チタン酸バリウム(BaTiO3)を主成分とする誘電体層32と、内部電極層33、34とを交互に積層して成る積層体31の両端面に導電性ペーストを塗布形成し、その導電性ペーストを焼き付けることによって形成する。この導電性ペーストは、金属粉末及びガラス粉末を、有機溶剤に樹脂バインダ粉末などを溶解させた有機ビヒクル中に分散することによって得られる。内部電極層33、34にFe、Co、Ni、Cu等の卑金属を用いたチップ型電子部品30の場合は、外部電極35、36には低価格という点で通常Ni及びCuが用いられているが、高導電性という点でCuが用いられることが多い。外部電極35、36となる導電性ペースト中の卑金属粉末にCuを用いた場合、Cuの酸化を抑止するために、通常、焼き付けは中性(雰囲気:N2100%)または還元性雰囲気(雰囲気:N2+H2数%)にて行われる。このため、導電性ペースト中の樹脂バインダ粉末としては、中性または還元性における熱分解性が良好なアクリル系樹脂バインダ粉末が用いられている。
【特許文献1】
特開平5−234424号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般にアクリル系樹脂バインダ粉末は熱可塑性を有するため、導電性ペーストを積層体31端面に塗布後乾燥する工程において、形状が崩れてしまうという問題点があった。
【0004】
また、一般にアクリル系樹脂バインダ粉末は、乾燥工程の初期段階で被膜を形成しやすいため、この被膜が乾燥工程の途中で破裂したり、しぼんでしまうという問題点があった。
【0005】
これらのことから、図2に示すように、上記導電性ペーストを用いて外部電極35、36を形成したチップ型電子部品30の外観形状不良や寸法不良の原因となっていた。さらに、外部電極35、36厚みにばらつきが生じることから、熱衝撃(ΔT)試験におけるクラックが発生したり、高温負荷試験において絶縁抵抗が増大するなど、信頼性が低下する原因となっていた。
【0006】
本発明は、上述の問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的は、塗布・乾燥後の形状維持性に優れた導電性ペーストを提供するものであり、さらに、外部電極の外観形状及び寸法精度が良好で、且つ信頼性に優れたチップ型電子部品を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、卑金属粉末と、ガラス粉末と、アクリル系樹脂バインダ粉末と、
前記卑金属粉末100重量部に対して0.01〜5.0重量部のアマイドアミン基含有高分子粉末とを、溶剤に均質混練してなることを特徴とする導電性ペーストである。
【0008】
また、複数の誘電体層を積層して成る積層体と、
該誘電体層間に配し、且つその一部が該積層体の端面に延出する内部電極層と、前記積層体の端面に、請求項1記載の導電性ペーストの塗布・焼き付けにより形成され、且つ内部電極層に接続した外部電極とからなることを特徴とするチップ型電子部品である。
【作用】
本発明の導電性ペーストは、卑金属粉末と、ガラス粉末と、アクリル系樹脂バインダ粉末と、卑金属粉末100重量部に対して0.01〜5.0重量部のアマイドアミン基含有高分子粉末とを、溶剤に均質混練した導電性ペーストである。
【0009】
このような導電性ペーストを、例えば、積層体端面に塗布後乾燥する工程において、アマイドアミン基含有高分子粉末が熱硬化性を有することから、塗布された導電性ペーストの流動性を抑制し、その形状が崩れることを防止することができる。
【0010】
また、アクリル系樹脂バインダ粉末のガラス転移温度(Tg)が50〜100℃であるのに対し、アマイドアミン基含有高分子粉末はガラス転移温度(Tg)が50℃以下と低いため、導電性ペーストが乾燥工程の初期段階で被膜を形成しにくくなり、上記被膜が乾燥工程の途中で膨張により破裂したり、しぼんでしまうという問題点も防止することができる。即ち、導電性ペーストの塗布・乾燥後の形状維持性に優れたものとなる。
【0011】
これらのことから、本発明の導電性ペーストを用いて外部電極を形成したチップ型電子部品は、外観形状及び寸法精度が良好であり、且つ熱衝撃(ΔT)試験、高温負荷試験などの信頼性に優れたものとなる。
【0012】
ここで、アマイドアミン基含有高分子粉末は、卑金属粉末100重量部に対して0.01〜5.0重量部、好ましくは0.1〜2.0重量部添加されることが望ましい。すなわち、0.01重量部未満では、上記外観形状及び寸法精度を良好にする効果が現れにくい。一方、5.0重量部を超える場合、アマイドアミン基含有高分子粉末が積層体と外部電極界面に介在し、焼成後のハンドリングで外部電極の剥離が生じるという問題点がある。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の導電性ペースト及びそれを用いたチップ型電子部品を詳細に説明する。尚、チップ型電子部品としては、例えば積層セラミックコンデンサを例に用いて説明する。
【0014】
図1は、本発明の導電性ペーストを用いた積層セラミックコンデンサを示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は縦断面図である。
【0015】
図において、10は積層セラミックコンデンサ、1は積層体であり、2は積層体1を構成する誘電体層、3、4は積層体1内に形成した内部電極層であり、5、6は本発明の導電性ペーストにより形成した外部電極である。
【0016】
誘電体層2は、チタン酸バリウムを主成分とする非還元性誘電体材料、及びガラス粉末を含む誘電体材料からなり、その形状は、2.0mm×1.2mmなどであり、その厚みは高容量化のために1〜5μmとしている。この誘電体層2が図上、上方向に積層して積層体1が構成される。なお、誘電体層2の形状、厚み、積層数は容量値によって任意に変更することができる。
【0017】
内部電極層3、4は、Niを主成分とする材料から構成されている。そして、誘電体層2の積層方向に隣接しあう一対の内部電極層3、4は、互いに積層体1の異なる端面側に延出し、各々異なる外部電極5、6に接続されている。その厚みは1〜2μmとしている。
【0018】
外部電極5、6は、導電性ペーストを焼き付けることによって得られる下地導体膜と、表面メッキ層(図示せず)とから構成されている。外部電極5、6の下地導体膜は、銅を主成分とする導体及びガラス粉末によって構成されている。表面メッキ層は、Niメッキ、Snメッキ、半田メッキなどが例示できる。
【0019】
本発明の導電性ペーストは、卑金属粉末と、ガラス粉末と、アクリル系樹脂バインダ粉末と、卑金属粉末100重量部に対して0.01〜5.0重量部のアマイドアミン基含有高分子粉末とを溶剤に均質混練して得れるものであり、実際には、その他の添加剤が添加される。
【0020】
卑金属粉末は、Cu、Ni、あるいはこれらの合金が用いられるが、高導電性という点でCuが用いられることが多い。
【0021】
ガラス粉末は、ホウケイ酸亜鉛、ホウケイ酸バリウム、ホウケイ酸亜鉛バリウムなどのホウケイ酸アルカリ酸化物系のガラスが用いられる。
【0022】
溶剤は、テルピネオ−ル、ブチカルビト−ル、ブチカルビト−ルアセテート、ブチルセロソルブ、ベンジルアルコールなどが用いられる。
【0023】
アマイドアミン基含有高分子粉末は、ポリエステル酸のアマイドアミン塩などが挙げられる。
【0024】
ここで、アマイドアミン基含有高分子粉末は、卑金属粉末100重量部に対して0.01〜5.0重量部、好ましくは0.1〜2.0重量部添加されることが望ましい。すなわち、0.01重量部未満では、上記外観形状及び寸法精度を良好にする効果が現れにくい。一方、5.0重量部を超える場合、アマイドアミン基含有高分子粉末が積層体1と外部電極5、6界面に介在し、焼成後のハンドリングで外部電電極5、6の剥離が生じるという問題点がある。
【0025】
導電性ペースト中、アクリル系バインダ樹脂粉、アマイドアミン基含有高分子粉末、その他有機成分粉末及び溶剤などはビヒクル(有機成分などの乾燥・焼成工程で焼失される)といわれ、導電性ペーストの全組成物中のこのビヒクル含有率は、10〜70重量%程度である。また、導電性ペーストの粘度は、3万〜30万cPs(センチポイズ)程度に調整しておくのが良い。
【0026】
外部電極5、6の形成方法は、積層体1の両端面部分に外部電極5、6の下地導体膜形成用の導電性ペーストをディッピング方法で塗布し、100〜200℃にて乾燥を行い、中性雰囲気(酸素濃度:10〜200ppm)中で500℃まで昇温する。その後、ガラスとCu粉末との濡れ性を向上し焼結性を促進させるため中性雰囲気(酸素濃度:1〜10ppm)中で焼き付けピーク温度(710〜760℃)まで昇温する。続いて、焼き付けピーク温度で10〜15分保持して外部電極5、6の下地導体膜の焼き付けを行う。その後、Ni及びSn、またはSn−Pbの電解メッキを行い、積層セラミックコンデンサ10の外部電極5、6を得る。
【0027】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更・改良を加えることは何ら差し支えない。
【0028】
例えば、上記実施例では誘電体層2としてチタン酸バリウム(BaTiO3)などの高誘電率系材料を用いたが、チタン酸カルシウム(CaTiO3)などの温度補償用誘電体材料を用いるようにしてもよい。
【0029】
また、上記実施例ではこの発明の導電性ペーストを用いて積層セラミックコンデンサ10の外部電極5、6を形成した場合について説明したが、この発明の導電性ペーストは、セラミック半導体や正特性サーミスタ装置などの種々のセラミック電子部品の外部電極を形成する場合に使用することが可能である。
【0030】
この発明は、その他の点においても上記実施例に限定されるものではなく、ガラス粉末や有機ビヒクルの種類、あるいは金属粉末、ガラス粉末及び有機ビヒクルの配合割合などに関し、発明の要旨の範囲内において種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0031】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例について説明する。
【0032】
表1に示すように、Cu粉末、Cu粉末100重量部に対して12重量部添加のホウケイ酸アルカリ酸化物系のガラス粉末、アクリル系樹脂バインダ粉末、ア所定量のマイドアミン基含有高分子粉末とを、溶剤に均質混練(分散)させて導電性ペーストを作製した。
【0033】
そして、この導電性ペーストを積層体1に塗布した。その後、導電性ペーストを170℃で乾燥させ、710〜760℃で導電性ペーストを積層体1に焼き付けて積層セラミックコンデンサ10を作製した。具体的には2012型(L寸法:2.0mm,W寸法:1.2mm)の容量値1μFとなる積層セラミックコンデンサ10を作製した。
【0034】
得られた試料について、外観形状、寸法ばらつき、熱衝撃(ΔT)試験、高温負荷試験を評価した。
【0035】
外観形状は、外部電極5、6の変形や、剥離の有無を確認し、このような外観不良がないものを良品として丸印、それ以外のものを不良品としてバツ印とした。
【0036】
寸法ばらつきは、積層セラミックコンデンサ10のL寸法を測定し、2.0mm±0.1mmの範囲にあるものを良品として丸印、それ以外のものを不良品としてバツ印とした。
【0037】
熱衝撃(ΔT)試験は、300個の積層セラミックコンデンサ10を365℃の高温半田槽に2秒浸し、クラックの発生数を調査した。
【0038】
高温負荷試験については、150℃にて、定格電圧(10V)の2倍の電圧である20Vを印加し、1000時間経過後の絶縁抵抗を測定した。尚、積層セラミックコンデンサ10の絶縁抵抗の初期値が1×105MΩ以上のものを用いた場合、高温負荷試験1×104MΩ以上である場合を良品とした。
【0039】
結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
表1に示すように、卑金属粉末100重量部に対して0.01〜5.0重量部のアマイドアミン基含有高分子粉末を含有する導電性ペーストを用いた本実施例(試料番号3〜8)では、外部電極5、6の変形や剥離などの形状不良は発生せず、L寸法が2.0mm±0.1mmの範囲にあり、熱衝撃(ΔT)試験におけるクラックが0/300個となり、高温負荷試験における絶縁抵抗が1×104MΩ以上となった。
【0042】
これに対し、アマイドアミン基含有高分子粉末を含有しなかった比較例(試料番号1)及び0.005重量部含有した比較例(試料番号2)では、外部電極5、6の変形が生じるとともに、L寸法が規格内に入らず、熱衝撃(ΔT)試験におけるクラックが1〜5/300個発生し、さらに高温負荷試験における絶縁抵抗が1×104MΩ未満となった。
【0043】
一方、アマイドアミン基含有高分子粉末を5.0重量部含有した比較例(試料番号9)では、外部電極5、6の剥離が生じるとともに、L寸法が規格内に入らず、熱衝撃(ΔT)試験におけるクラックが2/300個発生し、さらに高温負荷試験における絶縁抵抗が1×104MΩ未満となった。
【0044】
これらの結果から、本発明の導電性ペーストは、卑金属粉末と、アクリル系樹脂バインダ粉末と、卑金属粉末100重量部に対して0.01〜5.0重量部のアマイドアミン基含有高分子粉末とを含有するため、中性または還元性における安定した焼き付けが可能であるとともに、外観形状及び寸法精度が良好であり、且つ熱衝撃(ΔT)試験、高温負荷試験などの信頼性に優れたものとなることがわかる。
【0045】
【発明の効果】
本発明の導電性ペーストは、このペースを塗布・乾燥後の塗布膜の形状維持性に優れたものとなる。また、このような導電性ペーストを用いて外部電極を形成したチップ型電子部品は、外観形状及び寸法精度が良好となり、且つ熱衝撃(ΔT)試験、高温負荷試験などの信頼性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導電性ペーストを用いた積層セラミックコンデンサを示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は断面図である。
【図2】従来の導電性ペーストを用いた積層セラミックコンデンサの断面図である。
【符号の説明】
10 積層セラミックコンデンサ
1 積層体
2 誘電体層
3、4 内部電極層
5、6 外部電極
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性ペースト及びそれを外部電極に用いたチップ型電子部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、図2に示すように、チップ型電子部品30の外部電極33、34は、チタン酸バリウム(BaTiO3)を主成分とする誘電体層32と、内部電極層33、34とを交互に積層して成る積層体31の両端面に導電性ペーストを塗布形成し、その導電性ペーストを焼き付けることによって形成する。この導電性ペーストは、金属粉末及びガラス粉末を、有機溶剤に樹脂バインダ粉末などを溶解させた有機ビヒクル中に分散することによって得られる。内部電極層33、34にFe、Co、Ni、Cu等の卑金属を用いたチップ型電子部品30の場合は、外部電極35、36には低価格という点で通常Ni及びCuが用いられているが、高導電性という点でCuが用いられることが多い。外部電極35、36となる導電性ペースト中の卑金属粉末にCuを用いた場合、Cuの酸化を抑止するために、通常、焼き付けは中性(雰囲気:N2100%)または還元性雰囲気(雰囲気:N2+H2数%)にて行われる。このため、導電性ペースト中の樹脂バインダ粉末としては、中性または還元性における熱分解性が良好なアクリル系樹脂バインダ粉末が用いられている。
【特許文献1】
特開平5−234424号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般にアクリル系樹脂バインダ粉末は熱可塑性を有するため、導電性ペーストを積層体31端面に塗布後乾燥する工程において、形状が崩れてしまうという問題点があった。
【0004】
また、一般にアクリル系樹脂バインダ粉末は、乾燥工程の初期段階で被膜を形成しやすいため、この被膜が乾燥工程の途中で破裂したり、しぼんでしまうという問題点があった。
【0005】
これらのことから、図2に示すように、上記導電性ペーストを用いて外部電極35、36を形成したチップ型電子部品30の外観形状不良や寸法不良の原因となっていた。さらに、外部電極35、36厚みにばらつきが生じることから、熱衝撃(ΔT)試験におけるクラックが発生したり、高温負荷試験において絶縁抵抗が増大するなど、信頼性が低下する原因となっていた。
【0006】
本発明は、上述の問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的は、塗布・乾燥後の形状維持性に優れた導電性ペーストを提供するものであり、さらに、外部電極の外観形状及び寸法精度が良好で、且つ信頼性に優れたチップ型電子部品を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、卑金属粉末と、ガラス粉末と、アクリル系樹脂バインダ粉末と、
前記卑金属粉末100重量部に対して0.01〜5.0重量部のアマイドアミン基含有高分子粉末とを、溶剤に均質混練してなることを特徴とする導電性ペーストである。
【0008】
また、複数の誘電体層を積層して成る積層体と、
該誘電体層間に配し、且つその一部が該積層体の端面に延出する内部電極層と、前記積層体の端面に、請求項1記載の導電性ペーストの塗布・焼き付けにより形成され、且つ内部電極層に接続した外部電極とからなることを特徴とするチップ型電子部品である。
【作用】
本発明の導電性ペーストは、卑金属粉末と、ガラス粉末と、アクリル系樹脂バインダ粉末と、卑金属粉末100重量部に対して0.01〜5.0重量部のアマイドアミン基含有高分子粉末とを、溶剤に均質混練した導電性ペーストである。
【0009】
このような導電性ペーストを、例えば、積層体端面に塗布後乾燥する工程において、アマイドアミン基含有高分子粉末が熱硬化性を有することから、塗布された導電性ペーストの流動性を抑制し、その形状が崩れることを防止することができる。
【0010】
また、アクリル系樹脂バインダ粉末のガラス転移温度(Tg)が50〜100℃であるのに対し、アマイドアミン基含有高分子粉末はガラス転移温度(Tg)が50℃以下と低いため、導電性ペーストが乾燥工程の初期段階で被膜を形成しにくくなり、上記被膜が乾燥工程の途中で膨張により破裂したり、しぼんでしまうという問題点も防止することができる。即ち、導電性ペーストの塗布・乾燥後の形状維持性に優れたものとなる。
【0011】
これらのことから、本発明の導電性ペーストを用いて外部電極を形成したチップ型電子部品は、外観形状及び寸法精度が良好であり、且つ熱衝撃(ΔT)試験、高温負荷試験などの信頼性に優れたものとなる。
【0012】
ここで、アマイドアミン基含有高分子粉末は、卑金属粉末100重量部に対して0.01〜5.0重量部、好ましくは0.1〜2.0重量部添加されることが望ましい。すなわち、0.01重量部未満では、上記外観形状及び寸法精度を良好にする効果が現れにくい。一方、5.0重量部を超える場合、アマイドアミン基含有高分子粉末が積層体と外部電極界面に介在し、焼成後のハンドリングで外部電極の剥離が生じるという問題点がある。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の導電性ペースト及びそれを用いたチップ型電子部品を詳細に説明する。尚、チップ型電子部品としては、例えば積層セラミックコンデンサを例に用いて説明する。
【0014】
図1は、本発明の導電性ペーストを用いた積層セラミックコンデンサを示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は縦断面図である。
【0015】
図において、10は積層セラミックコンデンサ、1は積層体であり、2は積層体1を構成する誘電体層、3、4は積層体1内に形成した内部電極層であり、5、6は本発明の導電性ペーストにより形成した外部電極である。
【0016】
誘電体層2は、チタン酸バリウムを主成分とする非還元性誘電体材料、及びガラス粉末を含む誘電体材料からなり、その形状は、2.0mm×1.2mmなどであり、その厚みは高容量化のために1〜5μmとしている。この誘電体層2が図上、上方向に積層して積層体1が構成される。なお、誘電体層2の形状、厚み、積層数は容量値によって任意に変更することができる。
【0017】
内部電極層3、4は、Niを主成分とする材料から構成されている。そして、誘電体層2の積層方向に隣接しあう一対の内部電極層3、4は、互いに積層体1の異なる端面側に延出し、各々異なる外部電極5、6に接続されている。その厚みは1〜2μmとしている。
【0018】
外部電極5、6は、導電性ペーストを焼き付けることによって得られる下地導体膜と、表面メッキ層(図示せず)とから構成されている。外部電極5、6の下地導体膜は、銅を主成分とする導体及びガラス粉末によって構成されている。表面メッキ層は、Niメッキ、Snメッキ、半田メッキなどが例示できる。
【0019】
本発明の導電性ペーストは、卑金属粉末と、ガラス粉末と、アクリル系樹脂バインダ粉末と、卑金属粉末100重量部に対して0.01〜5.0重量部のアマイドアミン基含有高分子粉末とを溶剤に均質混練して得れるものであり、実際には、その他の添加剤が添加される。
【0020】
卑金属粉末は、Cu、Ni、あるいはこれらの合金が用いられるが、高導電性という点でCuが用いられることが多い。
【0021】
ガラス粉末は、ホウケイ酸亜鉛、ホウケイ酸バリウム、ホウケイ酸亜鉛バリウムなどのホウケイ酸アルカリ酸化物系のガラスが用いられる。
【0022】
溶剤は、テルピネオ−ル、ブチカルビト−ル、ブチカルビト−ルアセテート、ブチルセロソルブ、ベンジルアルコールなどが用いられる。
【0023】
アマイドアミン基含有高分子粉末は、ポリエステル酸のアマイドアミン塩などが挙げられる。
【0024】
ここで、アマイドアミン基含有高分子粉末は、卑金属粉末100重量部に対して0.01〜5.0重量部、好ましくは0.1〜2.0重量部添加されることが望ましい。すなわち、0.01重量部未満では、上記外観形状及び寸法精度を良好にする効果が現れにくい。一方、5.0重量部を超える場合、アマイドアミン基含有高分子粉末が積層体1と外部電極5、6界面に介在し、焼成後のハンドリングで外部電電極5、6の剥離が生じるという問題点がある。
【0025】
導電性ペースト中、アクリル系バインダ樹脂粉、アマイドアミン基含有高分子粉末、その他有機成分粉末及び溶剤などはビヒクル(有機成分などの乾燥・焼成工程で焼失される)といわれ、導電性ペーストの全組成物中のこのビヒクル含有率は、10〜70重量%程度である。また、導電性ペーストの粘度は、3万〜30万cPs(センチポイズ)程度に調整しておくのが良い。
【0026】
外部電極5、6の形成方法は、積層体1の両端面部分に外部電極5、6の下地導体膜形成用の導電性ペーストをディッピング方法で塗布し、100〜200℃にて乾燥を行い、中性雰囲気(酸素濃度:10〜200ppm)中で500℃まで昇温する。その後、ガラスとCu粉末との濡れ性を向上し焼結性を促進させるため中性雰囲気(酸素濃度:1〜10ppm)中で焼き付けピーク温度(710〜760℃)まで昇温する。続いて、焼き付けピーク温度で10〜15分保持して外部電極5、6の下地導体膜の焼き付けを行う。その後、Ni及びSn、またはSn−Pbの電解メッキを行い、積層セラミックコンデンサ10の外部電極5、6を得る。
【0027】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更・改良を加えることは何ら差し支えない。
【0028】
例えば、上記実施例では誘電体層2としてチタン酸バリウム(BaTiO3)などの高誘電率系材料を用いたが、チタン酸カルシウム(CaTiO3)などの温度補償用誘電体材料を用いるようにしてもよい。
【0029】
また、上記実施例ではこの発明の導電性ペーストを用いて積層セラミックコンデンサ10の外部電極5、6を形成した場合について説明したが、この発明の導電性ペーストは、セラミック半導体や正特性サーミスタ装置などの種々のセラミック電子部品の外部電極を形成する場合に使用することが可能である。
【0030】
この発明は、その他の点においても上記実施例に限定されるものではなく、ガラス粉末や有機ビヒクルの種類、あるいは金属粉末、ガラス粉末及び有機ビヒクルの配合割合などに関し、発明の要旨の範囲内において種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0031】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例について説明する。
【0032】
表1に示すように、Cu粉末、Cu粉末100重量部に対して12重量部添加のホウケイ酸アルカリ酸化物系のガラス粉末、アクリル系樹脂バインダ粉末、ア所定量のマイドアミン基含有高分子粉末とを、溶剤に均質混練(分散)させて導電性ペーストを作製した。
【0033】
そして、この導電性ペーストを積層体1に塗布した。その後、導電性ペーストを170℃で乾燥させ、710〜760℃で導電性ペーストを積層体1に焼き付けて積層セラミックコンデンサ10を作製した。具体的には2012型(L寸法:2.0mm,W寸法:1.2mm)の容量値1μFとなる積層セラミックコンデンサ10を作製した。
【0034】
得られた試料について、外観形状、寸法ばらつき、熱衝撃(ΔT)試験、高温負荷試験を評価した。
【0035】
外観形状は、外部電極5、6の変形や、剥離の有無を確認し、このような外観不良がないものを良品として丸印、それ以外のものを不良品としてバツ印とした。
【0036】
寸法ばらつきは、積層セラミックコンデンサ10のL寸法を測定し、2.0mm±0.1mmの範囲にあるものを良品として丸印、それ以外のものを不良品としてバツ印とした。
【0037】
熱衝撃(ΔT)試験は、300個の積層セラミックコンデンサ10を365℃の高温半田槽に2秒浸し、クラックの発生数を調査した。
【0038】
高温負荷試験については、150℃にて、定格電圧(10V)の2倍の電圧である20Vを印加し、1000時間経過後の絶縁抵抗を測定した。尚、積層セラミックコンデンサ10の絶縁抵抗の初期値が1×105MΩ以上のものを用いた場合、高温負荷試験1×104MΩ以上である場合を良品とした。
【0039】
結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
表1に示すように、卑金属粉末100重量部に対して0.01〜5.0重量部のアマイドアミン基含有高分子粉末を含有する導電性ペーストを用いた本実施例(試料番号3〜8)では、外部電極5、6の変形や剥離などの形状不良は発生せず、L寸法が2.0mm±0.1mmの範囲にあり、熱衝撃(ΔT)試験におけるクラックが0/300個となり、高温負荷試験における絶縁抵抗が1×104MΩ以上となった。
【0042】
これに対し、アマイドアミン基含有高分子粉末を含有しなかった比較例(試料番号1)及び0.005重量部含有した比較例(試料番号2)では、外部電極5、6の変形が生じるとともに、L寸法が規格内に入らず、熱衝撃(ΔT)試験におけるクラックが1〜5/300個発生し、さらに高温負荷試験における絶縁抵抗が1×104MΩ未満となった。
【0043】
一方、アマイドアミン基含有高分子粉末を5.0重量部含有した比較例(試料番号9)では、外部電極5、6の剥離が生じるとともに、L寸法が規格内に入らず、熱衝撃(ΔT)試験におけるクラックが2/300個発生し、さらに高温負荷試験における絶縁抵抗が1×104MΩ未満となった。
【0044】
これらの結果から、本発明の導電性ペーストは、卑金属粉末と、アクリル系樹脂バインダ粉末と、卑金属粉末100重量部に対して0.01〜5.0重量部のアマイドアミン基含有高分子粉末とを含有するため、中性または還元性における安定した焼き付けが可能であるとともに、外観形状及び寸法精度が良好であり、且つ熱衝撃(ΔT)試験、高温負荷試験などの信頼性に優れたものとなることがわかる。
【0045】
【発明の効果】
本発明の導電性ペーストは、このペースを塗布・乾燥後の塗布膜の形状維持性に優れたものとなる。また、このような導電性ペーストを用いて外部電極を形成したチップ型電子部品は、外観形状及び寸法精度が良好となり、且つ熱衝撃(ΔT)試験、高温負荷試験などの信頼性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導電性ペーストを用いた積層セラミックコンデンサを示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は断面図である。
【図2】従来の導電性ペーストを用いた積層セラミックコンデンサの断面図である。
【符号の説明】
10 積層セラミックコンデンサ
1 積層体
2 誘電体層
3、4 内部電極層
5、6 外部電極
Claims (2)
- 卑金属粉末と、ガラス粉末と、アクリル系樹脂バインダ粉末と、前記卑金属粉末100重量部に対して0.01〜5.0重量部のアマイドアミン基含有高分子粉末とを、溶剤に均質混練してなることを特徴とする導電性ペースト。
- 複数の誘電体層を積層して成る積層体と、
該誘電体層間に配し、且つその一部が該積層体の端面に延出する内部電極層と、前記積層体の端面に、請求項1記載の導電性ペーストの塗布・焼き付けにより形成され、且つ内部電極層に接続した外部電極とからなることを特徴とするチップ型電子部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002346584A JP2004179093A (ja) | 2002-11-28 | 2002-11-28 | 導電性ペースト及びそれを用いたチップ型電子部品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002346584A JP2004179093A (ja) | 2002-11-28 | 2002-11-28 | 導電性ペースト及びそれを用いたチップ型電子部品 |
Publications (1)
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JP2004179093A true JP2004179093A (ja) | 2004-06-24 |
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ID=32707413
Family Applications (1)
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JP2002346584A Withdrawn JP2004179093A (ja) | 2002-11-28 | 2002-11-28 | 導電性ペースト及びそれを用いたチップ型電子部品 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004179093A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100756348B1 (ko) * | 2006-01-24 | 2007-09-10 | 제일모직주식회사 | 적층 세라믹 콘덴서 외부전극용 도전성 페이스트 조성물 |
-
2002
- 2002-11-28 JP JP2002346584A patent/JP2004179093A/ja not_active Withdrawn
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