JP2004177571A - 定着ローラの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】定着ローラの製作を1つのパイプ材に対して1種類の製作機械で可能にして設備費を低減するとともに、生産効率を一段と高め、かつ定着ローラを安価に製造する。
【解決手段】ブランク材12を開口端から所定領域に亘って加熱した後、ブランク材12をその軸心X1回りに回転させた状態で、成形ローラ22を加熱領域に外側から圧接させることで回転させかつ移動させることにより加熱領域をしごき、円筒形の胴部2の両端に側壁部3をそれぞれ一体に絞り成形するとともに、円筒形の軸部5を各側壁部3にそれぞれ一体に絞り成形して定着ローラ7を得る。
【選択図】 図3
【解決手段】ブランク材12を開口端から所定領域に亘って加熱した後、ブランク材12をその軸心X1回りに回転させた状態で、成形ローラ22を加熱領域に外側から圧接させることで回転させかつ移動させることにより加熱領域をしごき、円筒形の胴部2の両端に側壁部3をそれぞれ一体に絞り成形するとともに、円筒形の軸部5を各側壁部3にそれぞれ一体に絞り成形して定着ローラ7を得る。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる定着ローラの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複写機、レーザプリンタ及びファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置には、給紙ローラ、転写ローラ、定着ローラ、加圧ローラ及び排紙ローラ等の各種のローラが設置されている。そのうち、定着ローラは、トナー画像が転写された用紙等を加圧ローラとの間に通して上記トナー画像を用紙等に定着させるローラである。一般に、この定着ローラは、円筒形の胴部の両端に円筒形の軸部が突設されて構成され、内部にハロゲンランプ等の発熱源が内蔵されるようになっている。
【0003】
このような定着ローラの製造方法の一例を図6〜8に基づいて説明する。
【0004】
まず、図6に示すように、貫通孔11を有する円筒体12と、軸部材15とを用意する。上記円筒体12は、貫通孔13を有するアルミニウム合金等の金属製引抜き材である長尺パイプ材14を所定長さに切断して得たものであり、両端が開口している。上記軸部材15は、例えばステンレス鋼の鍛造成形品であり、上記円筒体12の貫通孔11の両開口端にあてがわれる円板部16と、該円板部16の一側面に一体に突設された外形状が円形の軸部17と、円板部16の他側面に一体に突設された円環状嵌合部18とからなり、上記円板部16及び軸部17には貫通孔19が貫通形成されている。
【0005】
次いで、図7に示すように、上記円筒体12を回転治具(図示せず)にセットするとともに、上記軸部材15を押付け治具(図示せず)にセットし、軸部材15の円環状嵌合部18を円筒体12の貫通孔11の一方の開口端に嵌合した状態で、円筒体12及び軸部材15の軸心X1を合致させ、上記円筒体12を軸心X1回りに回転させながら上記軸部材15を円筒体12に押し付けることにより、円筒体12に軸部材15を摩擦圧接にて一体に接合する。円筒体12の貫通孔11の他方の開口端にも同様にして軸部材15を摩擦圧接により一体に接合する。これにより、図8に示すように、円筒体12の貫通孔11の両開口端に一対の軸部材15が同心状に一体に接合され、各々の貫通孔11,19が互いに連通した定着ローラ20を得る。上記円筒体12の貫通孔11は、ハロゲンランプ等の発熱源が内蔵される収容空間を構成する。しかし、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない(以下、公知技術1という)。
【0006】
一方、別の製造方法として、まず、金属製円筒体を回転治具にセットして回転させながらその両端部を切削して薄肉部を形成し、次いで、該薄肉部をポンチで複数回に亘って段階的に塑性加工して胴部の両端に軸部をそれぞれ形成する方法もある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−123103号公報(第4頁、図3,4)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の公知技術1の製造方法では、円筒体12と軸部材15という2種類の部材を用いているので、これらを別々に製作しなければならず、また、別々に製作した2種類の部材を互いに接合しなければならず、そのためには、3種類の製作機械が必要で設備費が高騰するとともに、製作工数が3工程必要で製作に時間を要して生産効率が悪いという問題がある。
【0009】
一方、特許文献1の製造方法では、円筒体の両端部を加工して軸部を形成するので、公知技術1の如き2種類の部材の接合工程が不要でその分だけ製作機械の種類が少なくて設備費を低減することができるとともに、製作工数が削減できて生産効率を向上させることができる。しかし、設備費を低減できるとはいっても、切削加工とポンチによる塑性加工という異なる加工技術を採用しているため、2種類の製作機械が必要で設備費が嵩み、製作工数も2工程必要で生産効率に改善の余地がある。
【0010】
また、特許文献1の製造方法では、まず、最初に円筒体の両端部を切削し、この切削により厚みが薄くなった部分をポンチにより塑性加工するので、塑性加工により軸部の厚みは幾分かは増すものの、最初に薄くなっている分、切削加工を経ない場合に比べて軸部の厚みを十分に確保することができず、剛性が低下することになる。さりとて、軸部の厚みを十分に確保するために予め切削代を見込むと、厚肉の円筒体を用意しなければならず、定着ローラの単価が高くなる。
【0011】
この発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、定着ローラの製作を1つのパイプ材に対して1種類の製作機械で可能にして設備費を低減するとともに、生産効率を一段と高め、かつ定着ローラを安価に製造することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明は、筒状の被加工材を回転させながらその外周面に成形ローラを圧接させて絞り込むスピニング法を利用することを特徴とし、具体的には、次のような解決手段を講じた。
【0013】
すなわち、請求項1に記載の発明は、両端が開口する円筒形の金属製ブランク材を開口端から所定領域に亘って加熱し、次いで、上記ブランク材をその軸心回りに回転させた状態で、成形ローラを上記加熱領域に外側から圧接させることで回転させかつ移動させることにより加熱領域をしごき、内部に発熱体を収容する収容空間を有する円筒形の胴部の両端に側壁部をそれぞれ一体に絞り成形するとともに、内部に上記胴部の収容空間と連通する軸空間を有する円筒形の軸部を上記各側壁部に胴部と同心状にそれぞれ一体に絞り成形して定着ローラを得ることを特徴とする。
【0014】
上記の構成により、請求項1に記載の発明では、ブランク材という1つの被加工材を回転させながらその両端部分を成形ローラで絞り込むだけで定着ローラが成形される。したがって、2種類の部材を接合したり、異なる加工技術を併用したりせずに済み、1種類の製作機械でよいため設備費が低減するとともに、製作工数が1工程でよいため生産効率が一段と高まる。また、軸部となる箇所を切削しないので、切削代を見込んでブランク材を厚肉にする必要がなく、定着ローラの単価が安くなる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、各軸部は、胴部よりも厚肉に絞り成形されることを特徴とする。
【0016】
上記の構成により、請求項2に記載の発明では、軸部が剛性大となって支持強度が高まる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、各側壁部は、肉厚が胴部から軸部に行くに従って漸次増大して各側壁部内面の軸部周りに対応する箇所が最大厚肉部となるように胴部内に迫り出していることを特徴とする。
【0018】
上記の構成により、請求項3に記載の発明では、最大厚肉部により側壁部と軸部との結合強度が大となり、また、肉厚が胴部から軸部に行くに従って漸次増大する側壁部により胴部に対する軸部の一体感が増す。さらに、側壁部は胴部内に迫り出しているため、軸部を回転支持する軸受の邪魔にならない。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態に係る定着ローラの製造方法について図面に基づいて説明する。
【0020】
まず、図1に示すように、貫通孔11を有する円筒形の金属製ブランク材12を用意する。この円筒体12は、貫通孔13を有するアルミニウム合金(例えば、JIS A 6061、6063)等の金属製引抜き材である長尺パイプ材14を所定長さに切断して得たものであり、両端が開口している。
【0021】
次いで、図2に示すように、上記ブランク材12を回転治具(図示せず)にセットしてその軸心X1回りに回転させ、この状態で、ブランク材12の一端側をバーナー21で開口端から所定領域に亘って約450℃に加熱する。
【0022】
その後、上記ブランク材12の加熱領域をスピニングにより口絞りする。その要領は、図3に示すように、上記ブランク材12をその軸心X1回りに回転させ、この状態で、成形ローラ22を上記加熱領域に外側から圧接させることでその軸心X2回りに回転させながらブランク材12の軸心X1に対して斜めに移動させることにより加熱領域をしごき、ブランク材12の一端に側壁部3を一体に絞り成形するとともに、円筒形の軸部5を上記側壁部3に胴部2と同心状に一体に絞り成形する。同様にして、ブランク材12の他端にも側壁部3を一体に絞り成形するとともに、円筒形の軸部5を上記側壁部3に胴部2と同心状に一体に絞り成形する。
【0023】
この絞り成形により、各軸部5は、胴部2よりも厚肉に絞り成形され、軸部5の肉厚T1>胴部2の肉厚T2となっているとともに、各側壁部3は、肉厚が胴部2から軸部5に行くに従って漸次増大して各側壁部3内面の軸部5周りに対応する箇所が最大厚肉部6となるように胴部2内に迫り出している。
【0024】
これにより、図4及び図5に示すように、内部にハロゲンランプ等の発熱体(図示せず)を収容する収容空間1を有する円筒形の胴部2の両端に側壁部3がそれぞれ一体に絞り成形されるとともに、内部に上記胴部2の収容空間1と連通する軸空間4を有する円筒形の軸部5が上記各側壁部3に胴部2と同心状にそれぞれ一体に絞り成形された定着ローラ7を得る。
【0025】
このようにして得られた定着ローラ7は、T6処理等の時効処理を経た後、表面全体が機械加工により仕上げ加工される。これにより、胴部2及び軸部5の真円度を出すとともに、両者の同心度を精度良くし、かつコーナー部をシャープエッジに仕上げる。その後、定着ローラ7は、胴部2外周面にシリコーンゴムやテフロン(R)等からなる被覆層8が形成されて使用に供せられる。
【0026】
このように、円筒形のブランク材12という1つの被加工材の両端を所定領域に亘って加熱して回転させ、この状態でその両端部分を成形ローラ22で絞り込むことで定着ローラ7を成形するので、2種類の部材を接合したり、異なる加工技術を併用することなく1種類の製作機械で設備費をあまり掛けることなく定着ローラ7を得ることができるとともに、1つの製作工数で効率良く定着ローラ7を成形することができる。また、軸部5となる箇所を切削しないので、切削代を見込んでブランク材12を厚肉にする必要がなく、定着ローラ7を安価に得ることができる。
【0027】
さらに、各軸部5を胴部2よりも厚肉に絞り成形することで、剛性大なる軸部5により支持強度を高めることができる。
【0028】
また、各側壁部3を肉厚が胴部2から軸部5に行くに従って漸次増大するように胴部2内に迫り出させ、これにより、各側壁部3内面の軸部5周りに対応する箇所を最大厚肉部6としていることから、この最大厚肉部6により側壁部3と軸部5との結合強度を大にすることができ、また、肉厚が胴部2から軸部5に行くに従って漸次増大する側壁部3により胴部2に対する軸部5の一体感を増すことができる。さらに、側壁部3は胴部2内に迫り出していることから、軸部5を回転支持する軸受の邪魔にしないようにすることができる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、円筒形のブランク材を開口端から所定領域に亘って加熱した後、上記ブランク材を回転させながら成形ローラで上記加熱領域をしごいて胴部の両端に側壁部をそれぞれ一体に絞り成形するとともに、軸部を上記各側壁部にそれぞれ一体に絞り成形するので、1種類の製作機械で設備費をあまり掛けることなく、しかも、1工程で効率良く定着ローラを生産することができる。また、軸部となる箇所を切削する必要がないので、厚肉のブランク材がいらず、その分だけ定着ローラを安価に製造することができる。
【0030】
請求項2に係る発明によれば、各軸部を胴部よりも厚肉に絞り成形するので、大なる軸部の剛性によって支持強度を高めることができる。
【0031】
請求項3に係る発明によれば、各側壁部内面の軸部周りに対応する箇所に最大厚肉部を形成することで、側壁部と軸部とを上記最大厚肉部で強固に結合でき、側壁部の肉厚を胴部から軸部に行くに従って漸次増大させることで、胴部に対する軸部の一体感を増すことができる。また、側壁部を胴部内に迫り出させることで、軸受の邪魔をしないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係る製造方法において、長尺パイプ材から所定長さに切り出されたブランク材の断面図である。
【図2】この発明の実施の形態に係る製造方法において、ブランク材を開口端から所定領域に亘って加熱する加熱工程図である。
【図3】この発明の実施の形態に係る製造方法において、ブランク材を開口端から所定領域に亘って絞り成形するスピニング工程図である。
【図4】この発明の実施の形態に係る製造方法において、成形された定着ローラの断面図である。
【図5】この発明の実施の形態に係る製造方法により成形された定着ローラの斜視図である。
【図6】従来例の定着ローラの製造方法において、長尺パイプ材から所定長さに切り出されたローラ本体と別途成形した軸部材との断面図である。
【図7】従来例の定着ローラの製造方法において、ローラ本体と軸部材との接合工程図である。
【図8】従来例の定着ローラの製造方法において、完成した定着ローラの断面図である。
【符号の説明】
1 収容空間
2 胴部
3 側壁部
4 軸空間
5 軸部
6 最大厚肉部
7 定着ローラ
12 ブランク材
22 成形ローラ
T1 軸部の肉厚
T2 胴部の肉厚
X1 ブランク材、円筒体及び軸部材の軸心
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる定着ローラの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複写機、レーザプリンタ及びファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置には、給紙ローラ、転写ローラ、定着ローラ、加圧ローラ及び排紙ローラ等の各種のローラが設置されている。そのうち、定着ローラは、トナー画像が転写された用紙等を加圧ローラとの間に通して上記トナー画像を用紙等に定着させるローラである。一般に、この定着ローラは、円筒形の胴部の両端に円筒形の軸部が突設されて構成され、内部にハロゲンランプ等の発熱源が内蔵されるようになっている。
【0003】
このような定着ローラの製造方法の一例を図6〜8に基づいて説明する。
【0004】
まず、図6に示すように、貫通孔11を有する円筒体12と、軸部材15とを用意する。上記円筒体12は、貫通孔13を有するアルミニウム合金等の金属製引抜き材である長尺パイプ材14を所定長さに切断して得たものであり、両端が開口している。上記軸部材15は、例えばステンレス鋼の鍛造成形品であり、上記円筒体12の貫通孔11の両開口端にあてがわれる円板部16と、該円板部16の一側面に一体に突設された外形状が円形の軸部17と、円板部16の他側面に一体に突設された円環状嵌合部18とからなり、上記円板部16及び軸部17には貫通孔19が貫通形成されている。
【0005】
次いで、図7に示すように、上記円筒体12を回転治具(図示せず)にセットするとともに、上記軸部材15を押付け治具(図示せず)にセットし、軸部材15の円環状嵌合部18を円筒体12の貫通孔11の一方の開口端に嵌合した状態で、円筒体12及び軸部材15の軸心X1を合致させ、上記円筒体12を軸心X1回りに回転させながら上記軸部材15を円筒体12に押し付けることにより、円筒体12に軸部材15を摩擦圧接にて一体に接合する。円筒体12の貫通孔11の他方の開口端にも同様にして軸部材15を摩擦圧接により一体に接合する。これにより、図8に示すように、円筒体12の貫通孔11の両開口端に一対の軸部材15が同心状に一体に接合され、各々の貫通孔11,19が互いに連通した定着ローラ20を得る。上記円筒体12の貫通孔11は、ハロゲンランプ等の発熱源が内蔵される収容空間を構成する。しかし、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない(以下、公知技術1という)。
【0006】
一方、別の製造方法として、まず、金属製円筒体を回転治具にセットして回転させながらその両端部を切削して薄肉部を形成し、次いで、該薄肉部をポンチで複数回に亘って段階的に塑性加工して胴部の両端に軸部をそれぞれ形成する方法もある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−123103号公報(第4頁、図3,4)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の公知技術1の製造方法では、円筒体12と軸部材15という2種類の部材を用いているので、これらを別々に製作しなければならず、また、別々に製作した2種類の部材を互いに接合しなければならず、そのためには、3種類の製作機械が必要で設備費が高騰するとともに、製作工数が3工程必要で製作に時間を要して生産効率が悪いという問題がある。
【0009】
一方、特許文献1の製造方法では、円筒体の両端部を加工して軸部を形成するので、公知技術1の如き2種類の部材の接合工程が不要でその分だけ製作機械の種類が少なくて設備費を低減することができるとともに、製作工数が削減できて生産効率を向上させることができる。しかし、設備費を低減できるとはいっても、切削加工とポンチによる塑性加工という異なる加工技術を採用しているため、2種類の製作機械が必要で設備費が嵩み、製作工数も2工程必要で生産効率に改善の余地がある。
【0010】
また、特許文献1の製造方法では、まず、最初に円筒体の両端部を切削し、この切削により厚みが薄くなった部分をポンチにより塑性加工するので、塑性加工により軸部の厚みは幾分かは増すものの、最初に薄くなっている分、切削加工を経ない場合に比べて軸部の厚みを十分に確保することができず、剛性が低下することになる。さりとて、軸部の厚みを十分に確保するために予め切削代を見込むと、厚肉の円筒体を用意しなければならず、定着ローラの単価が高くなる。
【0011】
この発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、定着ローラの製作を1つのパイプ材に対して1種類の製作機械で可能にして設備費を低減するとともに、生産効率を一段と高め、かつ定着ローラを安価に製造することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明は、筒状の被加工材を回転させながらその外周面に成形ローラを圧接させて絞り込むスピニング法を利用することを特徴とし、具体的には、次のような解決手段を講じた。
【0013】
すなわち、請求項1に記載の発明は、両端が開口する円筒形の金属製ブランク材を開口端から所定領域に亘って加熱し、次いで、上記ブランク材をその軸心回りに回転させた状態で、成形ローラを上記加熱領域に外側から圧接させることで回転させかつ移動させることにより加熱領域をしごき、内部に発熱体を収容する収容空間を有する円筒形の胴部の両端に側壁部をそれぞれ一体に絞り成形するとともに、内部に上記胴部の収容空間と連通する軸空間を有する円筒形の軸部を上記各側壁部に胴部と同心状にそれぞれ一体に絞り成形して定着ローラを得ることを特徴とする。
【0014】
上記の構成により、請求項1に記載の発明では、ブランク材という1つの被加工材を回転させながらその両端部分を成形ローラで絞り込むだけで定着ローラが成形される。したがって、2種類の部材を接合したり、異なる加工技術を併用したりせずに済み、1種類の製作機械でよいため設備費が低減するとともに、製作工数が1工程でよいため生産効率が一段と高まる。また、軸部となる箇所を切削しないので、切削代を見込んでブランク材を厚肉にする必要がなく、定着ローラの単価が安くなる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、各軸部は、胴部よりも厚肉に絞り成形されることを特徴とする。
【0016】
上記の構成により、請求項2に記載の発明では、軸部が剛性大となって支持強度が高まる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、各側壁部は、肉厚が胴部から軸部に行くに従って漸次増大して各側壁部内面の軸部周りに対応する箇所が最大厚肉部となるように胴部内に迫り出していることを特徴とする。
【0018】
上記の構成により、請求項3に記載の発明では、最大厚肉部により側壁部と軸部との結合強度が大となり、また、肉厚が胴部から軸部に行くに従って漸次増大する側壁部により胴部に対する軸部の一体感が増す。さらに、側壁部は胴部内に迫り出しているため、軸部を回転支持する軸受の邪魔にならない。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態に係る定着ローラの製造方法について図面に基づいて説明する。
【0020】
まず、図1に示すように、貫通孔11を有する円筒形の金属製ブランク材12を用意する。この円筒体12は、貫通孔13を有するアルミニウム合金(例えば、JIS A 6061、6063)等の金属製引抜き材である長尺パイプ材14を所定長さに切断して得たものであり、両端が開口している。
【0021】
次いで、図2に示すように、上記ブランク材12を回転治具(図示せず)にセットしてその軸心X1回りに回転させ、この状態で、ブランク材12の一端側をバーナー21で開口端から所定領域に亘って約450℃に加熱する。
【0022】
その後、上記ブランク材12の加熱領域をスピニングにより口絞りする。その要領は、図3に示すように、上記ブランク材12をその軸心X1回りに回転させ、この状態で、成形ローラ22を上記加熱領域に外側から圧接させることでその軸心X2回りに回転させながらブランク材12の軸心X1に対して斜めに移動させることにより加熱領域をしごき、ブランク材12の一端に側壁部3を一体に絞り成形するとともに、円筒形の軸部5を上記側壁部3に胴部2と同心状に一体に絞り成形する。同様にして、ブランク材12の他端にも側壁部3を一体に絞り成形するとともに、円筒形の軸部5を上記側壁部3に胴部2と同心状に一体に絞り成形する。
【0023】
この絞り成形により、各軸部5は、胴部2よりも厚肉に絞り成形され、軸部5の肉厚T1>胴部2の肉厚T2となっているとともに、各側壁部3は、肉厚が胴部2から軸部5に行くに従って漸次増大して各側壁部3内面の軸部5周りに対応する箇所が最大厚肉部6となるように胴部2内に迫り出している。
【0024】
これにより、図4及び図5に示すように、内部にハロゲンランプ等の発熱体(図示せず)を収容する収容空間1を有する円筒形の胴部2の両端に側壁部3がそれぞれ一体に絞り成形されるとともに、内部に上記胴部2の収容空間1と連通する軸空間4を有する円筒形の軸部5が上記各側壁部3に胴部2と同心状にそれぞれ一体に絞り成形された定着ローラ7を得る。
【0025】
このようにして得られた定着ローラ7は、T6処理等の時効処理を経た後、表面全体が機械加工により仕上げ加工される。これにより、胴部2及び軸部5の真円度を出すとともに、両者の同心度を精度良くし、かつコーナー部をシャープエッジに仕上げる。その後、定着ローラ7は、胴部2外周面にシリコーンゴムやテフロン(R)等からなる被覆層8が形成されて使用に供せられる。
【0026】
このように、円筒形のブランク材12という1つの被加工材の両端を所定領域に亘って加熱して回転させ、この状態でその両端部分を成形ローラ22で絞り込むことで定着ローラ7を成形するので、2種類の部材を接合したり、異なる加工技術を併用することなく1種類の製作機械で設備費をあまり掛けることなく定着ローラ7を得ることができるとともに、1つの製作工数で効率良く定着ローラ7を成形することができる。また、軸部5となる箇所を切削しないので、切削代を見込んでブランク材12を厚肉にする必要がなく、定着ローラ7を安価に得ることができる。
【0027】
さらに、各軸部5を胴部2よりも厚肉に絞り成形することで、剛性大なる軸部5により支持強度を高めることができる。
【0028】
また、各側壁部3を肉厚が胴部2から軸部5に行くに従って漸次増大するように胴部2内に迫り出させ、これにより、各側壁部3内面の軸部5周りに対応する箇所を最大厚肉部6としていることから、この最大厚肉部6により側壁部3と軸部5との結合強度を大にすることができ、また、肉厚が胴部2から軸部5に行くに従って漸次増大する側壁部3により胴部2に対する軸部5の一体感を増すことができる。さらに、側壁部3は胴部2内に迫り出していることから、軸部5を回転支持する軸受の邪魔にしないようにすることができる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、円筒形のブランク材を開口端から所定領域に亘って加熱した後、上記ブランク材を回転させながら成形ローラで上記加熱領域をしごいて胴部の両端に側壁部をそれぞれ一体に絞り成形するとともに、軸部を上記各側壁部にそれぞれ一体に絞り成形するので、1種類の製作機械で設備費をあまり掛けることなく、しかも、1工程で効率良く定着ローラを生産することができる。また、軸部となる箇所を切削する必要がないので、厚肉のブランク材がいらず、その分だけ定着ローラを安価に製造することができる。
【0030】
請求項2に係る発明によれば、各軸部を胴部よりも厚肉に絞り成形するので、大なる軸部の剛性によって支持強度を高めることができる。
【0031】
請求項3に係る発明によれば、各側壁部内面の軸部周りに対応する箇所に最大厚肉部を形成することで、側壁部と軸部とを上記最大厚肉部で強固に結合でき、側壁部の肉厚を胴部から軸部に行くに従って漸次増大させることで、胴部に対する軸部の一体感を増すことができる。また、側壁部を胴部内に迫り出させることで、軸受の邪魔をしないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係る製造方法において、長尺パイプ材から所定長さに切り出されたブランク材の断面図である。
【図2】この発明の実施の形態に係る製造方法において、ブランク材を開口端から所定領域に亘って加熱する加熱工程図である。
【図3】この発明の実施の形態に係る製造方法において、ブランク材を開口端から所定領域に亘って絞り成形するスピニング工程図である。
【図4】この発明の実施の形態に係る製造方法において、成形された定着ローラの断面図である。
【図5】この発明の実施の形態に係る製造方法により成形された定着ローラの斜視図である。
【図6】従来例の定着ローラの製造方法において、長尺パイプ材から所定長さに切り出されたローラ本体と別途成形した軸部材との断面図である。
【図7】従来例の定着ローラの製造方法において、ローラ本体と軸部材との接合工程図である。
【図8】従来例の定着ローラの製造方法において、完成した定着ローラの断面図である。
【符号の説明】
1 収容空間
2 胴部
3 側壁部
4 軸空間
5 軸部
6 最大厚肉部
7 定着ローラ
12 ブランク材
22 成形ローラ
T1 軸部の肉厚
T2 胴部の肉厚
X1 ブランク材、円筒体及び軸部材の軸心
Claims (3)
- 両端が開口する円筒形の金属製ブランク材を開口端から所定領域に亘って加熱し、
次いで、上記ブランク材をその軸心回りに回転させた状態で、成形ローラを上記加熱領域に外側から圧接させることで回転させかつ移動させることにより加熱領域をしごき、内部に発熱体を収容する収容空間を有する円筒形の胴部の両端に側壁部をそれぞれ一体に絞り成形するとともに、内部に上記胴部の収容空間と連通する軸空間を有する円筒形の軸部を上記各側壁部に胴部と同心状にそれぞれ一体に絞り成形して定着ローラを得ることを特徴とする定着ローラの製造方法。 - 請求項1記載の定着ローラの製造方法において、
各軸部は、胴部よりも厚肉に絞り成形されることを特徴とする定着ローラの製造方法。 - 請求項1記載の定着ローラの製造方法において、
各側壁部は、肉厚が胴部から軸部に行くに従って漸次増大して各側壁部内面の軸部周りに対応する箇所が最大厚肉部となるように胴部内に迫り出していることを特徴とする定着ローラの製造方法。
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-
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