JP2004176729A - 車両用動力伝達機構の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】動力伝達機構に車輪が連結されている場合に、動力伝達経路で動力損失が増加することを抑制する。
【解決手段】動力伝達機構が車輪に連結されているとともに、道路状態に応じて前記車輪の回転変化が生じる場合に、前記動力伝達機構のトルク容量を制御する車両用動力伝達機構の制御装置において、所定道路状態の連続性を判断する道路状態判断手段(ステップS1ないしステップS5、ステップS7ないしステップS10、ステップS12)と、この道路状態判断手段(ステップS1ないしステップS5、ステップS7ないしステップS10、ステップS12)の判断結果に基づいて、前記動力伝達機構のトルク容量を制御するトルク容量制御手段と(ステップS6、ステップS11、ステップS13)を備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】動力伝達機構が車輪に連結されているとともに、道路状態に応じて前記車輪の回転変化が生じる場合に、前記動力伝達機構のトルク容量を制御する車両用動力伝達機構の制御装置において、所定道路状態の連続性を判断する道路状態判断手段(ステップS1ないしステップS5、ステップS7ないしステップS10、ステップS12)と、この道路状態判断手段(ステップS1ないしステップS5、ステップS7ないしステップS10、ステップS12)の判断結果に基づいて、前記動力伝達機構のトルク容量を制御するトルク容量制御手段と(ステップS6、ステップS11、ステップS13)を備えている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、駆動力源と車輪との間に動力伝達機構が配置されている構成の、車両用動力伝達機構の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、駆動力源と車輪との間の動力伝達経路に、クラッチと変速機とが直列に配置されている構成の車両が知られている。このような車両一例が、下記の特許文献1に記載されている。
【0003】
この特許文献1に記載されている車両の動力伝達系は、エンジンから出力された駆動力が、ベルト式無段変速機、自動クラッチ、差動歯車装置、車軸を経由して車輪に伝達される構成となっている。ベルト式無段変速機は、入力側可変プーリおよび出力側可変プーリと、入力側可変プーリおよび出力側可変プーリに巻き掛けられた伝動ベルトとを備えている。そして、入力側可変プーリに付与される挟圧力が、その変速比や伝達トルクに基づいて調節され、出力側可変プーリの挟圧力、すなわち、伝動ベルトの張力が、伝動ベルトの滑りを発生しない範囲で、可及的に低くなるように制御される。また、自動クラッチは、アクチュエータにより、自動的に係合あるいは解放されるように構成されている。さらに、各種センサの信号が入力される電子制御装置が設けられており、電子制御装置により自動クラッチおよびベルト式無段変速機の伝動ベルトの挟圧力が制御される。
【0004】
そして、予め設定された数秒ないし十数秒程度の移動区間内における車輪回転数の平均値に基づいて、車輪の回転が、動力伝達経路に設けられたベルト式無段変速機に損傷を発生させる程度に、急上昇または急低下したことを判定する回転判断基準範囲が算出される。そして、車両が悪路を走行して車輪の回転数が急上昇または急低下し、前記車輪の回転数が回転判断基準範囲を外れた場合は、自動クラッチを一時的に解放させる制御、または、ベルト式無段変速機のベルト挟圧力を一時的に高める制御が実行される。
【0005】
なお、路面の凹凸を車輪速度に基づいて検出する技術が、下記の特許文献2に記載され、駆動トルクおよび駆動輪加速度に基づいて、路面の摩擦係数を推定する技術が、下記の特許文献3に記載されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−291695号公報(特許請求の範囲、段落番号0012、段落番号0020ないし段落番号0039、図1ないし図14)
【特許文献2】
特開平6−143964号公報
【特許文献3】
特開平6−122332号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の特許文献1においては、動力伝達経路で発生するトルク変化の連続性(継続性)について考慮することなく、自動クラッチや伝動ベルトの挟圧力を制御するため、動力伝達経路で動力損失が増加する恐れがあった。
【0008】
この発明は上記事情を背景としてなされたものであって、動力伝達機構が車輪に連結されている場合に、動力伝達経路で動力損失が増加することを抑制することのできる車両用動力伝達機構の制御装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用】
上記目的を達成するため請求項1の発明は、動力伝達機構が車輪に連結されているとともに、道路状態に応じて前記車輪の回転変化が生じる場合に、前記動力伝達機構のトルク容量を制御する車両用動力伝達機構の制御装置において、所定道路状態の連続性を判断する道路状態判断手段と、この道路状態判断手段の判断結果に基づいて、前記動力伝達機構のトルク容量を制御するトルク容量制御手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項1の発明によれば、所定道路状態の連続性が判断され、その判断結果に基づいて、動力伝達機構のトルク容量が制御される。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記動力伝達機構は、クラッチおよび変速機を有しており、前記トルク容量制御手段は、前記クラッチまたは変速機のうち、少なくとも一方のトルク容量を制御する機能を、更に備えていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様の作用が生じる他に、所定道路状態の連続性が判断され、その判断結果に基づいて、クラッチまたは変速機のうちの少なくとも一方のトルク容量が制御される。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2の構成に加えて、前記道路状態判断手段は、前記所定道路状態が連続する期間の長さを判断する機能を、更に備えており、前記トルク容量制御手段は、前記所定道路状態が連続する期間が短い場合に、前記クラッチのトルク容量を低下させ、前記所定道路状態が連続する期間が長い場合に、前記変速機のトルク容量を増加させる機能を、更に備えていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項3の発明によれば、請求項2の発明と同様の作用が生じるほかに、所定道路状態が連続する期間が短い場合は、クラッチのトルク容量が低下され、所定道路状態が連続する期間が長い場合は、変速機のトルク容量が増加される。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの構成に加えて、前記道路状態判断手段は、前記所定道路状態が終了する時期を、前記車輪の回転変化量に基づいて判断する機能を、更に備えていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項4の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかの発明と同様の作用が生じるほかに、所定道路状態の終了時期が、車輪の回転変化量に基づいて判断される。
【0017】
請求項5の発明は、請求項4の構成に加えて、前記道路状態判断手段は、前記車輪の回転変化量が小さいほど、前記所定道路状態が早期に終了すると判断する機能を更に備えており、前記トルク容量判断手段は、前記所定道路状態が連続している場合における前記変速機のトルク容量を、前記所定道路状態が終了している場合における前記変速機のトルク容量よりも高く制御する機能を、更に備えていることを特徴とするものである。
【0018】
請求項5の発明によれば、請求項4の発明と同様の作用が生じるほかに、所定道路状態が継続している場合における変速機のトルク容量が、所定道路状態が終了している場合における変速機のトルク容量よりも高く制御される。
【0019】
請求項6の発明は、請求項2ないし5のいずれかの構成に加えて、前記車輪の回転変化が、前記変速機の出力部材を経由して前記クラッチに伝達される構成であるとともに、前記道路状態判断手段は、前記変速機の出力部材の回転変化に基づいて、前記所定道路状態の連続性を判断する機能を、更に備えていることを特徴とするものである。
【0020】
請求項6の発明によれば、請求項2ないし5のいずれかの発明と同様の作用が生じるほかに、変速機の出力部材の回転変化に基づいて、所定道路状態の連続性が判断される。
【0021】
【発明の実施の形態】
つぎに、この発明を具体例に基づいて説明する。図2には、この発明の制御装置を適用可能な車両Veのパワートレーンおよび制御系統の一例が、模式的に示されている。ここに示すパワートレーンにおいては、駆動力源1のトルクが、流体伝動装置9および前後進切換機構8を介してベルト式無段変速機4に伝達されるように構成されている。駆動力源1としては、エンジンまたは電動機のうちの少なくとも一方を用いることができる。このエンジンとしては、例えば、内燃機関、具体的には、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなどを用いることができる。以下、駆動力源1としてガソリンエンジンを用いる場合について説明し、便宜上、駆動力源1を“エンジン1”と記す。このエンジン1はクランクシャフト70を有している。
【0022】
このクランクシャフト70に連結される流体伝動装置9として、図2の実施例ではトルクコンバータが用いられている。以下、流体伝動装置9を“トルクコンバータ9”と記す。このトルクコンバータ9は、ポンプインペラ11とタービンランナ12とを有している。フロントカバー10には円筒部71が連続されており、円筒部71であって、フロントカバー10とは反対側の端部に、ポンプインペラ11が形成されている。タービンランナ12は円筒部71の内部に配置されており、ポンプインペラ11とタービンランナ12とが対向して設けられている。タービンランナ12はシャフト50と一体回転するように連結されている。これらのポンプインペラ11とタービンランナ12とには、多数のブレード(図示せず)が設けられており、ポンプインペラ11とタービンランナ12との間で、流体の運動エネルギにより動力伝達がおこなわれる。
【0023】
また、ポンプインペラ11とタービンランナ12との内周側の部分には、タービンランナ12から送り出されたフルードの流動方向を選択的に変化させてポンプインペラ11に流入させるステータ13が配置されている。このステータ13は、一方向クラッチ14を介して、所定の固定部(ケーシング)15に連結されている。
【0024】
このトルクコンバータ9は、ロックアップクラッチ16を備えている。ロックアップクラッチ16は、円筒部71の内部に設けられており、フロントカバー10からシャフト50に至る動力伝達経路に対して並列に配置されたものである。また、円筒部71の内部には第1の油圧室72と第2の油圧室73とが形成されている。ロックアップクラッチ16は、シャフト50と一体回転するように取り付けられているとともに、シャフト50の軸線方向に移動可能に構成されている。
【0025】
そして、第1の油圧室72の油圧と、第2の油圧室73の油圧との対応関係に基づいて、シャフト50の軸線方向におけるロックアップクラッチ16の動作が制御される。さらにまた、第1の油圧室72および第2の油圧室73に供給される作動流体の圧力を制御する油圧制御装置59が設けられている。なお、円筒部71には、オイルポンプ74のロータが連結されており、エンジン1の動力によりオイルポンプ74が駆動されて、オイルポンプ74から吐出されるオイルが、油圧制御装置59に供給されるように構成されている。
【0026】
前後進切換機構8は、エンジン1の回転方向が一方向に限られていることに伴って採用されている機構であって、シャフト50とプライマリシャフト51との間の動力伝達状態を切り換えるものである。具体的には、シャフト50の回転方向に対するプライマリシャフト51の回転方向を切り換える機能を備えている。
【0027】
図2に示す例では、前後進切換機構8としてダブルピニオン型の遊星歯車機構が採用されている。すなわち、シャフト50と一体回転するサンギヤ17と、サンギヤ17と同心状に配置されたリングギヤ18とが設けられ、これらのサンギヤ17とリングギヤ18との間に、サンギヤ17に噛合したピニオンギヤ19と、ピニオンギヤ19およびリングギヤ18に噛合した他のピニオンギヤ20とが配置され、ピニオンギヤ19,20がキャリヤ21によって、自転かつ公転自在に保持されている。
【0028】
さらに、サンギヤ17およびシャフト50と、キャリヤ21とを一体回転可能に連結する前進用クラッチ22が設けられている。またリングギヤ18を選択的に固定することにより、シャフト50の回転方向に対するプライマリシャフト51の回転方向を反転する後進用ブレーキ23が設けられている。上記前進用クラッチ22および後進用ブレーキ23の係合・解放は、油圧制御装置59により制御される。なお、プライマリシャフト51とキャリヤ21とが一体回転するように連結されている。
【0029】
前記ベルト式無段変速機4は、互いに平行に配置されたプライマリプーリ24とセカンダリプーリ25とを有する。まず、プライマリプーリ24は、プライマリシャフト51と一体回転するように構成されており、プライマリプーリ24は、固定シーブ52と、油圧式のアクチュエータ26によって、プライマリシャフト51の軸線方向に動作させられる可動シーブ53とを有している。
【0030】
これに対して、セカンダリプーリ25は、セカンダリシャフト55と一体回転するように構成されており、セカンダリプーリ25は、固定シーブ54と、油圧式のアクチュエータ27によって、セカンダリシャフト55の軸線方向に動作させられる可動シーブ56とを有している。さらに、プライマリプーリ24およびセカンダリプーリ25には環状のベルト28が巻き掛けられている。さらに、上記アクチュエータ26,27は、油圧制御装置59により制御される。なお、セカンダリシャフト55には歯車伝動装置29を経由してデファレンシャル6が連結されており、デファレンシャル6には車輪2が連結されている。
【0031】
つぎに、図2に示された車両Veの制御系統を説明する。まず、電子制御装置(ECU)34が設けられており、この電子制御装置34は、演算処理装置(CPUまたはMPU)と、記憶装置(RAMおよびROM)と、入出力インターフェースとを有するマイクロコンピュータにより構成されている。この電子制御装置34には、エンジン回転速度センサー30の信号、タービンランナ12の回転速度を検出するタービン回転速度センサー31の信号、プライマリシャフト51の回転速度を検出する入力回転速度センサー32の信号、セカンダリシャフト55の回転速度を検出する出力回転速度センサー33の信号、加速要求検知センサー57の信号、制動要求検知センサー58の信号、シフトポジションセンサ60の信号などが入力される。出力回転速度センサー33の信号に基づいて、車速が算出される。この電子制御装置34からは、エンジン1を制御する信号、油圧制御装置59を制御する信号などが出力される。
【0032】
上記のように構成された車両Veにおいて、エンジン1から出力されたトルクは、トルクコンバータ9またはロックアップクラッチ16を経由して前後進切換機構8に伝達される。前後進切換機構8から出力されるトルクは、ベルト式無段変速機4および歯車伝動装置29を経由して車輪2に伝達されて、駆動力が発生する。すなわち、エンジン1から車輪2に至る動力伝達経路に、ロックアップクラッチ16およびベルト式無段変速機4が直列に配置されている。
【0033】
つぎに、ロックアップクラッチ16の制御について説明する。エンジントルク1がフロントカバー10に伝達される際に、第1の油圧室72の油圧が低圧に制御されて、ロックアップクラッチ16が解放されている場合は、ポンプインペラ11とタービンランナ12との間で、流体の運動エネルギにより動力伝達がおこなわれる。
【0034】
これに対して、第1の油圧室72の油圧が高められた場合について説明する。まず、ロックアップクラッチ16のトルク容量が所定値以下である場合、例えば、ロックアップクラッチ16のトルク容量が、クランクシャフト70からシャフト50に伝達されるトルクよりも低い場合は、ロックアップクラッチ16がスリップ状態となる。すなわち、フロントカバー10とシャフト50とが相対回転する。このとき、クランクシャフト70の動力は、流体の運動エネルギおよびロックアップクラッチ16の摩擦力の両方により、シャフト50に伝達される。
【0035】
さらに、ロックアップクラッチ16のトルク容量が所定値を越えた場合、例えば、ロックアップクラッチ16のトルク容量が、クランクシャフト70からシャフト50に伝達されるトルク以上である場合は、ロックアップクラッチ16が完全係合状態となる。このとき、クランクシャフト70の動力は、ロックアップクラッチ16の摩擦力により、シャフト50に伝達される。
【0036】
このようにロックアップクラッチ16の解放・スリップ・完全係合を制御するために、電子制御装置34にはロックアップクラッチ制御マップが記憶されている。このロックアップクラッチ制御マップは、車速、加速要求、エンジン回転速度などに基づいて、ロックアップクラッチ16の係合圧、言い換えればトルク容量を制御する基準となる。
【0037】
つぎに、前後進切換機構8の制御について説明する。前記シフトポジションセンサ60により、前進ポジションが検知された場合は、前後進切換機構8の前進用クラッチ22が係合され、かつ、後進用ブレーキ23が解放される。すると、シャフト50とキャリヤ21とが一体回転し、シャフト50のトルクがプライマリシャフト51に伝達される。このとき、シャフト50およびプライマリシャフト51が同方向に回転する。
【0038】
これに対して、シフトポジションセンサ60により、後進ポジションが検知された場合は、前進用クラッチ22が解放され、かつ、後進用ブレーキ23が係合される。すると、エンジントルクがサンギヤ17に伝達された場合は、リングギヤ18が反力要素となって、サンギヤ17のトルクがキャリヤ21を経由してプライマリシャフト51に伝達される。この場合、シャフト50とプライマリシャフト51とは逆方向に回転する。
【0039】
つぎに、ベルト式無段変速機4の制御を説明する。前記のように、エンジントルクがプライマリシャフト51に伝達されるとともに、電子制御装置34に入力される各種の信号、および電子制御装置34に予め記憶されているデータに基づいて、ベルト式無段変速機4の制御が実行される。すなわち、プライマリシャフト51の軸線方向における可動シーブ53の位置が制御されて、プライマリプーリ24の溝幅が調整される。すると、プライマリプーリ24に対するベルト28の巻掛け半径が連続的に変化し、変速比が無段階に変化する。また、セカンダリシャフト55の軸線方向における可動シーブ56の位置が制御されて、ベルト28に対するセカンダリプーリ25の挟圧力が調整される。このようにして、プライマリプーリ24とセカンダリプーリ25との間で、ベルト28を経由して伝達されるトルクの容量が制御される。
【0040】
上記のベルト式無段変速機4において、ベルト28に加えられる挟圧力が低下して、ベルト28の滑りが生じると、ベルト式無段変速機4で動力損失が生じる。一方、油圧制御装置59に供給されるオイルの流量は、エンジン1の動力により駆動されるオイルポンプ74により確保されているため、ベルト28に加えられる挟圧力を高めすぎると、燃費が低下する可能性がある。このため、ベルト28に加えられる挟圧力は、ベルト28の滑り量を所定量以下に抑制できる低い挟圧力に制御される。この制御を、この実施例では“挟圧力低下制御”と呼ぶ。つぎに、挟圧力低下制御に関連する制御例を説明する。
【0041】
(第1の制御例)
この第1の制御例は、請求項1、請求項2、請求項3、請求項6に対応する。図1のフローチャートにおいて、まず、車両Veの走行中に、セカンダリシャフト55の回転速度Nout(i)を計測する(ステップS1)。このステップS1についで、セカンダリシャフト55の回転速度Nout(i)をバンドパス処理し、最新N個のバンドパス処理値から、時間窓積分値Nbps sum(i)を算出する(ステップS2)。このステップS2についで、所定制御Iを実行する(ステップS3)。この所定制御Iについては後述する。
【0042】
このステップS3についで、
時間窓積分値Nbps sum(i)>しきい値Nbps jdg1
であるか否かが判断される(ステップS4)。このステップS4で否定的に判断された場合は、道路が良路であると判定する(ステップS5)とともに、前記挟圧力低下制御を継続し(ステップS6)、リターンする。
【0043】
これに対して、ステップS4で肯定的に判断された場合は、
時間窓積分値Nbps sum(i)>しきい値Nbps jdg2
であるか否かが判断される(ステップS7)。なお、
しきい値Nbps jdg1 <しきい値Nbps jdg2
である。このステップS7で否定的に判断された場合は、悪路状態判別カウンタAkr cnt (i)でカウントされたデータのうち、最新M個のデータの積算値akr sum を算出する(ステップS8)。ここで、悪路とは“車輪2の回転速度が急激に変化する道路”を意味する。具体的には、車輪2の上昇程度または低下程度が、所定時間内に所定値以上変化する道路を意味する。
【0044】
ついで、
積算値akr sum >しきい値Single akr
であるか否かが判断される(ステップS9)。このステップS9で否定的に判断された場合は、単発悪路と判定する(ステップS10)。ここで、単発悪路とは、“車両Veが悪路を走行している。”という判定の継続時間が、所定時間以下である道路を意味する。なお、単発悪路としては、段差のある道路、突起のある道路などが挙げられる。
【0045】
このステップS10についで、トルクヒューズ制御を実行し、かつ、前記挟圧力低下制御を継続し(ステップS11)、リターンする。トルクヒューズ制御とは、動力伝達経路でトルク変動が発生した場合に、ロックアップクラッチ16のトルク容量を経過させて、ロックアップクラッチ16をスリップさせることにより、ベルト式無段変速機4のベルト28の滑りを抑制する制御である。
【0046】
一方、前記ステップS9で肯定的に判断された場合は、連続悪路と判定する(ステップS12)。ここで、連続悪路とは、“車両Veが悪路を走行している。”という判定の継続時間が所定時間を越える道路を意味する。連続悪路としては、石鋲のある道路、石畳のある道路、砂利道などが挙げられる。なお、前記ステップS7で肯定的に判断された場合も、ステップS12に進む。このステップS12についで、前記挟圧力低下制御を中止し、かつ、挟圧力通常制御を実行し(ステップS13)、リターンする。挟圧力通常制御とは、ベルト28に加える挟圧力として、挟圧力低下制御の場合よりも、高い挟圧力を選択する制御を意味する。
【0047】
つぎに、ステップS3の所定制御Iの例を、図3のフローチャートに基づいて説明する。まず、セカンダリシャフト55の回転速度Noutの変化量、すなわち、加速度ΔNout(i)を算出する(ステップS21)。このステップS21についで、加速度ΔNout(i)をローパスフィルタ処理し、加速度の定常成分ΔNout lo(i)を算出する(ステップS22)。このステップS22についで、加速度ΔNoutの振動成分ΔNout vib(i)を、
ΔNout vib(i)=ΔNout(i)−ΔNout lo(i)として算出する(ステップS23)。
【0048】
このステップS23についで、
振動成分ΔNout vib(i)>しきい値ΔNout hi
であるか否かが判断される(ステップS24)。このステップS24で肯定的に判断された場合は、振動成分検出フラグV jdg を、前回値V jdg bにストアし、かつ、
振動成分検出フラグV jdg =1
とし(ステップS25)、ステップS26に進む。
【0049】
前記ステップS24で否定的に判断された場合は、
振動成分ΔNout vib(i)<しきい値ΔNout lo
であるか否かが判断される(ステップS27)。このステップS27で肯定的に判断された場合は、振動成分検出フラグV jdg を、前回値V jdg bにストアし、かつ、
振動成分検出フラグV jdg =−1
とし(ステップS28)、ステップS26に進む。
【0050】
ステップS26では、
▲1▼振動成分検出フラグV jdg =1、かつ、振動成分検出フラグV jdg =−1であるか、
または、
▲2▼振動成分検出フラグV jdg =−1、かつ、振動成分検出フラグV jdg =1であるか、
否かが判断される。
【0051】
このステップS26で肯定的に判断された場合は、
悪路状態判別カウンタAkr cnt (i)=1
とし(ステップS29)、ステップS30に進む。これに対して、ステップS26で否定的に判断された場合は、
悪路状態判別カウンタAkr cnt (i)=0
とし(ステップS31)、ステップS30に進む。一方、前記ステップS27で否定的に判断された場合も、
悪路状態判別カウンタAkr cnt (i)=0
とし(ステップS32)、ステップS30に進む。
【0052】
ステップS30においては、
ΔNout lo ≦ΔNout vib≦ΔNout hi
が、n回連続して成立したか否かが判断される。このステップS30で肯定的に判断された場合は、
V jdg =0およびV jdg b =0
とし(ステップS33)、この制御ルーチンを終了する。これに対して、ステップS30で否定的に判断された場合は、そのまま制御ルーチンを終了する。
【0053】
このように、第1の制御例によれば、道路状態の時間的な連続性(継続性)を判断している。言い換えれば、道路状態が悪路となる継続時間を判断している。そして、その判断結果に基づいて、ロックアップクラッチ16およびベルト式無段変速機4のトルク容量を制御する。したがって、動力伝達経路における動力損失の増加を抑制できる。
【0054】
また、単発悪路の場合は、ロックアップクラッチ16のトルク容量を低下してロックアップクラッチ16をスリップさせて、前記挟圧力低下制御を継続する。これに対して、連続悪路の場合は、前記挟圧力低下制御を中止する。したがって、道路状態に合わせてベルト式無段変速機4またはロックアップクラッチ16のトルク容量を制御できる。さらに、セカンダリシャフト55の回転速度の変動成分に基づいて、道路状態の時間的な連続性を判断するため、判断精度が一層向上する。
【0055】
(第2の制御例)
この第2の制御例は、第1の制御例で説明した連続悪路および単発悪路の判定方法を、さらに具体化するものである。この第2の制御例は、請求項4、請求項5、請求項6に対応するものであり、図4および図5のフローチャートに基づいて説明する。なお、図4および図5の処理において、図1の処理と同じ処理については、図1のステップ番号と同じステップ番号を付してある。
【0056】
図4のフローチャートにおいては、ステップS8についで、
悪路判定検出フラグakr jdg (i−1)=2
または、
積算値akr sum >しきい値Single akr
であるか否かが判断される(ステップS41)。このステップS41で否定的に判断された場合は、単発悪路であると判定し、かつ、
悪路判定検出フラグakr jdg (i)=1
とし(ステップS42)、図5のステップS43に進む。
【0057】
前記ステップS41で肯定的に判断された場合は、所定制御IIを実行する(ステップS44)。この所定制御IIについては後述する。ステップS44についで、連続悪路であるとの判定をおこない、かつ、
悪路判定検出フラグakr jdg (i)=2
とし(ステップS45)、図5のステップS43に進む。なお、図4のステップS7で肯定的に判断された場合は、ステップS44に進む。
【0058】
一方、前記ステップS4で否定的に判断された場合は、
悪路判定検出フラグakr jdg (i−1)=2
であるか否かが判断される(ステップS46)。ステップS46で肯定的に判断された場合は、
悪路の終了判定カウンタe cnt (i)>しきい値Akr e
であるか否かが判断される(ステップS47)。このステップS47で否定的に判断された場合は、
悪路の終了判定カウンタe cnt (i)=e cnt (i−1)+1
とし(ステップS48)、ステップS45に進む。
【0059】
これに対して、前記ステップS47で肯定的に判断された場合は、良路であると判定し、かつ、
悪路判定検出フラグakr jdg (i)=0
悪路の終了判定カウンタe cnt (i)=0
悪路終了判定タイマAkr e =0
とし(ステップS49)、図5のステップS43に進む。なお、ステップS46で否定的に判断された場合は、ステップS49に進む。
【0060】
図5のステップS43においては、
悪路判定検出フラグakr jdg (i)=2
であるか否かが判断され、ステップS43で肯定的に判断された場合は、ステップS13を経由してリターンする。これに対して、ステップS43で否定的に判断された場合は、悪路判定検出フラグakr jdg (i)=1
であるか否かが判断される(ステップS51)。このステップS51で肯定的に判断された場合は、ステップS11を経由してリターンされる。ステップS51で否定的に判断された場合は、ステップS6を経由してリターンされる。
【0061】
つぎに、前記ステップS44の処理例を図6のフローチャートに基づいて説明する。まず、
加速度の振動成分ΔNout vib(i)>しきい値ΔNout vibhi
または、
加速度の振動成分ΔNout vib(i)<しきい値ΔNout viblo
であるか否かが判断される(ステップS52)。
【0062】
このステップS52で肯定的に判断された場合は、
振動成分カウンタvib cnt (i)=vib cnt (i−1)+1
とする(ステップS53)。すなわち、振動成分カウンタvib cnt をインクリメントする。このステップS53についで、振動成分カウンタvib cnt に応じた悪路終了判定タイマ値Akr e を設定し(ステップS54)、この制御ルーチンを終了する。具体的には、振動成分カウンタvib cnt が少ないほど、悪路終了判定タイマ値Akr e が短く設定される。なお、ステップS52で否定的に判断された場合は、ステップS54に進む。
【0063】
この第2の制御例に対応するタイムチャート例を、図7に基づいて説明する。図7では、時間窓積分値Nbps sumと、振動成分ΔNout vibと、振動成分カウンタvib cnt と、道路判定Akr jdg とが示されている。この図7において、時間窓積分値Nbps sumが、しきい値Nbps jdg1 以下である場合は、良路であると判定される。その後、時刻t1において、時間窓積分値Nbps sumが、しきい値Nbps jdg1 を越えた場合は、悪路であるとの判定がなされる。さらに、振動成分ΔNout vibがしきい値ΔNout viblo 未満となった時刻t2,t4、および、振動成分ΔNout vibがしきい値ΔNout vibhiを越えた時刻t3で、振動成分カウンタvib cnt が、それぞれインクリメントされている。
【0064】
その後、時刻t5において、時間窓積分値Nbps sumが、しきい値Nbps jdg1 となるが、悪路であるとの判定は継続される。そして、時刻t5から、悪路判定終了タイマAkr e が経過した時刻t6において、良路であるとの判定に切り換わる。
【0065】
この第2の制御例において、悪路の終了判定タイマが、ベルト式無段変速機4のセカンダリシャフト55の回転速度の振動成分ΔNout vibの変化に基づいて判断される。したがって、ベルト式無段変速機4における動力損失の増加を、一層確実に抑制できる。さらに、この第2の実施例においては、悪路が継続している場合におけるベルト式無段変速機4のトルク容量が、悪路が終了している場合におけるベルト式無段変速機4のトルク容量よりも高く制御される。したがって、悪路の終了時期の判断精度を高めて、挟圧力低下制御の実行頻度もしくは実行時間を増加することができ、燃費が向上する。
【0066】
なお、第1の制御例と同じ処理については、第1の制御例と同じ効果を得られる。さらに、図1および図5において、ステップS13の処理には、実行している挟圧力低下制御を中止して、挟圧力通常制御を実行する処理と、実施している挟圧力通常制御を中止して、挟圧力低下制御に切り替えることを禁止する処理とが含まれる。さらに、ステップS6,11の処理には、実施している挟圧力通常制御を中止して、挟圧力低下制御に切り替える処理と、実施している挟圧力低下制御を継続する処理とが含まれる。
【0067】
ここで、図1、図3、図4、図5、図6に示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明すれば、ステップS1ないしステップS5、ステップS7ないしステップS10、ステップS12、ステップS41、ステップS42、ステップS45ないしステップS49、図3に示された全ての処理、図6に示された全ての処理が、この発明の道路状態判断手段に相当し、ステップS6、ステップS11、ステップS13、ステップS43、ステップS51が、この発明のトルク容量制御手段に相当する。
【0068】
また、この実施例で述べた構成と、この発明との対応関係を説明すれば、ロックアップクラッチ16およびベルト式無段変速機4が、動力伝達機構に相当し、ベルト式無段変速機4が、この発明の変速機に相当し、セカンダリシャフト55が、この発明の出力部材に相当する。さらに、この発明のトルク容量には、トルク容量に関連する物理量、例えば、ベルト式無段変速機4のトルク容量自体、ベルト式無段変速機4のベルト28に加えられる挟圧力、油圧サーボ機構27に作用する油圧、ロックアップクラッチ16のトルク容量自体、ロックアップクラッチ16の係合圧、第1の油圧室72の油圧と第2の油圧室73の油圧との対応関係などが含まれる。また、車輪2の回転速度の変化が、この発明の車輪の回転変化に相当し、悪路がこの発明の所定道路状態に相当し、振動成分がこの発明の回転変化に相当する。さらに、上記制御例では、所定道路状態が連続する期間を判断するパラメータとして“車両が悪路を走行する時間”を用いているが、所定道路状態が連続する期間を判断するパラメータとして“車両が悪路を走行する距離”を用いる制御も、各請求項の発明に含まれる。
【0069】
なお、図2のパワートレーンでは、変速比を連続的に制御することのできる無段変速機として、ベルト式無段変速機4が用いられているが、他の無段変速機、例えば、トロイダル式無段変速機を有する車両に対しても、この発明を適用可能である。トロイダル式無段変速機は、トロイダル面を有する入力ディスクおよび出力ディスクと、各ディスクに対して接触するパワーローラとを有する変速機である。各ディスクとパワーローラとの接触面には潤滑油が存在する。そして、パワーローラを、各ディスクの軸線に直交する平面内で直線状に移動させて、パワーローラと各ディスクとの接触半径を調整することにより、入力ディスクと出力ディスクとの間の変速比が制御される。また、各ディスクとパワーローラとの接触面圧を調整することにより、入力ディスクと出力ディスクとの間で伝達されるトルク容量が制御される。
【0070】
すなわち、各ディスクとパワーローラとの接触面圧を高圧にすると、潤滑油がガラス状になり、いわゆるトラクション伝動(せん断力)により、入力ディスクと出力ディスクとの間で動力の伝達がおこなわれる。このように、各ディスクとパワーローラとの接触面圧を調整するための油圧サーボ機構が設けられている。油圧サーボ機構は、ピストンと、各ピストンを動作させる第1の油圧室とを有している。また、パワーローラを各ディスクの軸線に直交する平面内で直線状に移動させる油圧サーボ機構が設けられている。この油圧サーボ機構は、第2の油圧室を有している。このトロイダル式無段変速機におけるトルク容量は、第1の油圧室の油圧に応じて、各ディスクに加えられる軸線方向の挟圧力により制御される。
【0071】
このようなトロイダル式無段変速機においては、ロックアップクラッチおよびトロイダル式無段変速機が、複数の動力伝達機構に相当し、トロイダル式無段変速機がこの発明の変速機に相当し、出力ディスクが変速機の出力部材に相当する。
【0072】
また、図2に示すパワートレーンにおいては、車輪からクラッチに至る動力伝達経路に、変速機が配置されているが、車輪から変速機に至る動力経路に、クラッチが配置されている構成のパワートレーンを有する車両に対しても、各請求項の発明を適用できる。さらに、流体伝動装置として、トルク増幅機能の無いフルードカップリングとロックアップクラッチとを並列に配置した構成の車両に対しても、各請求項の発明を適用できる。
【0073】
ここで、上記の具体例に開示された特徴的な構成を記載すれば以下のとおりである。すなわち、駆動力源から車輪に至る動力伝達経路に、クラッチおよび変速機が直列に配置されているとともに、駆動力源の動力により駆動されるオイルポンプが設けられており、このオイルポンプから吐出されるオイルにより、前記クラッチおよび変速機のトルク容量が制御されるように構成されているとともに、前記車輪のトルクが動力伝達経路に伝達される場合に、前記クラッチおよび変速機のトルク容量を制御する車両用動力伝達機構の制御装置において、所定道路状態の連続性を判断する道路状態判断手段と、この道路状態判断手段の判断結果に基づいて、前記クラッチおよび前記変速機のトルク容量を制御するトルク容量制御手段とを備えているとともに、前記道路状態判断手段は、車輪の回転変化が発生し易い所定道路状態が連続する期間を判断する機能を更に備えており、前記トルク容量制御手段は、前記所定道路状態が連続する期間が短い場合に、前記クラッチのトルク容量を低下させ、前記所定道路状態が連続する期間が長い場合に、前記変速機のトルク容量を増加させる機能を、更に備えていることを特徴とする。
【0074】
さらに、この明細書の「特許請求の範囲」の各請求項に記載される「道路状態判断手段」を、「道路状態判断器」または「道路状態判断コントローラ」と読み替え、「トルク容量制御手段」を、「トルク容量制御器」または「トルク容量制御コントローラ」と読み替えることもできる。この場合、実施例で説明した電子制御装置34が、「道路状態判断器」、「道路状態判断コントローラ」、「トルク容量制御器」、「トルク容量制御コントローラ」に相当する。また、さらにまた、各請求項に記載されている「道路状態判断手段」を、「道路状態判断ステップ」と読み替え、「トルク容量制御手段」を「トルク容量制御ステップ」と読み替え、「車両用動力伝達機構の制御装置」を、「車両用動力伝達機構の制御方法」と読み替えることもできる。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、所定道路状態の連続性を判断し、その判断結果に基づいて、動力伝達機構のトルク容量を制御することができ、動力伝達経路における動力損失の増加を抑制できる。
【0076】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られる他に、所定道路状態の連続性を判断し、その判断結果に基づいて、クラッチまたは変速機のうちの少なくとも一方のトルク容量を制御することができ、動力伝達経路における動力損失の増加を抑制できる。
【0077】
請求項3の発明によれば、請求項2の発明と同様の効果を得ることができるほかに、所定道路状態が連続する期間が短い場合に、クラッチのトルク容量を低下させ、所定道路状態が連続する期間が長い場合に、変速機のトルク容量を増大させる。したがって、変速機のトルク容量を低下させる頻度が増加して、燃費が向上する。
【0078】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明と同様の効果を得ることができるほかに、動力伝達機構のトルク容量を低下させることのできる所定道路状態を確実に判断でき、燃費が一層向上する。
【0079】
請求項5の発明によれば、請求項4の発明と同様の効果を得ることができるほかに、所定道路状態が終了する時期を確実に判断できる。したがって、変速機のトルク容量を低下させる頻度を増加することができ、燃費が一層向上する。
【0080】
請求項6の発明によれば、請求項2ないし5のいずれかに記載の発明と同様の効果を得ることができるほかに、所定道路状態の連続性を、一層確実に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の制御例を示すフローチャートである。
【図2】この発明の制御を適用可能な車両のパワートレーンおよびその制御系統を示す概念図である。
【図3】図1に示すフローチャートの処理の一部の具体例を示すフローチャートである。
【図4】この発明の他の制御例を示すフローチャートである。
【図5】図4の制御例の続きを示すフローチャートである。
【図6】図4に示すフローチャートの処理の一部の具体例を示すフローチャートである。
【図7】図4に示すフローチャートに対応するタイムチャートの一例である。
【符号の説明】
1…エンジン、 2…車輪、 4…ベルト式無段変速機、 16…ロックアップクラッチ、 34…電子制御装置、 Ve…車両。
【発明の属する技術分野】
この発明は、駆動力源と車輪との間に動力伝達機構が配置されている構成の、車両用動力伝達機構の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、駆動力源と車輪との間の動力伝達経路に、クラッチと変速機とが直列に配置されている構成の車両が知られている。このような車両一例が、下記の特許文献1に記載されている。
【0003】
この特許文献1に記載されている車両の動力伝達系は、エンジンから出力された駆動力が、ベルト式無段変速機、自動クラッチ、差動歯車装置、車軸を経由して車輪に伝達される構成となっている。ベルト式無段変速機は、入力側可変プーリおよび出力側可変プーリと、入力側可変プーリおよび出力側可変プーリに巻き掛けられた伝動ベルトとを備えている。そして、入力側可変プーリに付与される挟圧力が、その変速比や伝達トルクに基づいて調節され、出力側可変プーリの挟圧力、すなわち、伝動ベルトの張力が、伝動ベルトの滑りを発生しない範囲で、可及的に低くなるように制御される。また、自動クラッチは、アクチュエータにより、自動的に係合あるいは解放されるように構成されている。さらに、各種センサの信号が入力される電子制御装置が設けられており、電子制御装置により自動クラッチおよびベルト式無段変速機の伝動ベルトの挟圧力が制御される。
【0004】
そして、予め設定された数秒ないし十数秒程度の移動区間内における車輪回転数の平均値に基づいて、車輪の回転が、動力伝達経路に設けられたベルト式無段変速機に損傷を発生させる程度に、急上昇または急低下したことを判定する回転判断基準範囲が算出される。そして、車両が悪路を走行して車輪の回転数が急上昇または急低下し、前記車輪の回転数が回転判断基準範囲を外れた場合は、自動クラッチを一時的に解放させる制御、または、ベルト式無段変速機のベルト挟圧力を一時的に高める制御が実行される。
【0005】
なお、路面の凹凸を車輪速度に基づいて検出する技術が、下記の特許文献2に記載され、駆動トルクおよび駆動輪加速度に基づいて、路面の摩擦係数を推定する技術が、下記の特許文献3に記載されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−291695号公報(特許請求の範囲、段落番号0012、段落番号0020ないし段落番号0039、図1ないし図14)
【特許文献2】
特開平6−143964号公報
【特許文献3】
特開平6−122332号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の特許文献1においては、動力伝達経路で発生するトルク変化の連続性(継続性)について考慮することなく、自動クラッチや伝動ベルトの挟圧力を制御するため、動力伝達経路で動力損失が増加する恐れがあった。
【0008】
この発明は上記事情を背景としてなされたものであって、動力伝達機構が車輪に連結されている場合に、動力伝達経路で動力損失が増加することを抑制することのできる車両用動力伝達機構の制御装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用】
上記目的を達成するため請求項1の発明は、動力伝達機構が車輪に連結されているとともに、道路状態に応じて前記車輪の回転変化が生じる場合に、前記動力伝達機構のトルク容量を制御する車両用動力伝達機構の制御装置において、所定道路状態の連続性を判断する道路状態判断手段と、この道路状態判断手段の判断結果に基づいて、前記動力伝達機構のトルク容量を制御するトルク容量制御手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項1の発明によれば、所定道路状態の連続性が判断され、その判断結果に基づいて、動力伝達機構のトルク容量が制御される。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記動力伝達機構は、クラッチおよび変速機を有しており、前記トルク容量制御手段は、前記クラッチまたは変速機のうち、少なくとも一方のトルク容量を制御する機能を、更に備えていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様の作用が生じる他に、所定道路状態の連続性が判断され、その判断結果に基づいて、クラッチまたは変速機のうちの少なくとも一方のトルク容量が制御される。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2の構成に加えて、前記道路状態判断手段は、前記所定道路状態が連続する期間の長さを判断する機能を、更に備えており、前記トルク容量制御手段は、前記所定道路状態が連続する期間が短い場合に、前記クラッチのトルク容量を低下させ、前記所定道路状態が連続する期間が長い場合に、前記変速機のトルク容量を増加させる機能を、更に備えていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項3の発明によれば、請求項2の発明と同様の作用が生じるほかに、所定道路状態が連続する期間が短い場合は、クラッチのトルク容量が低下され、所定道路状態が連続する期間が長い場合は、変速機のトルク容量が増加される。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの構成に加えて、前記道路状態判断手段は、前記所定道路状態が終了する時期を、前記車輪の回転変化量に基づいて判断する機能を、更に備えていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項4の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかの発明と同様の作用が生じるほかに、所定道路状態の終了時期が、車輪の回転変化量に基づいて判断される。
【0017】
請求項5の発明は、請求項4の構成に加えて、前記道路状態判断手段は、前記車輪の回転変化量が小さいほど、前記所定道路状態が早期に終了すると判断する機能を更に備えており、前記トルク容量判断手段は、前記所定道路状態が連続している場合における前記変速機のトルク容量を、前記所定道路状態が終了している場合における前記変速機のトルク容量よりも高く制御する機能を、更に備えていることを特徴とするものである。
【0018】
請求項5の発明によれば、請求項4の発明と同様の作用が生じるほかに、所定道路状態が継続している場合における変速機のトルク容量が、所定道路状態が終了している場合における変速機のトルク容量よりも高く制御される。
【0019】
請求項6の発明は、請求項2ないし5のいずれかの構成に加えて、前記車輪の回転変化が、前記変速機の出力部材を経由して前記クラッチに伝達される構成であるとともに、前記道路状態判断手段は、前記変速機の出力部材の回転変化に基づいて、前記所定道路状態の連続性を判断する機能を、更に備えていることを特徴とするものである。
【0020】
請求項6の発明によれば、請求項2ないし5のいずれかの発明と同様の作用が生じるほかに、変速機の出力部材の回転変化に基づいて、所定道路状態の連続性が判断される。
【0021】
【発明の実施の形態】
つぎに、この発明を具体例に基づいて説明する。図2には、この発明の制御装置を適用可能な車両Veのパワートレーンおよび制御系統の一例が、模式的に示されている。ここに示すパワートレーンにおいては、駆動力源1のトルクが、流体伝動装置9および前後進切換機構8を介してベルト式無段変速機4に伝達されるように構成されている。駆動力源1としては、エンジンまたは電動機のうちの少なくとも一方を用いることができる。このエンジンとしては、例えば、内燃機関、具体的には、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなどを用いることができる。以下、駆動力源1としてガソリンエンジンを用いる場合について説明し、便宜上、駆動力源1を“エンジン1”と記す。このエンジン1はクランクシャフト70を有している。
【0022】
このクランクシャフト70に連結される流体伝動装置9として、図2の実施例ではトルクコンバータが用いられている。以下、流体伝動装置9を“トルクコンバータ9”と記す。このトルクコンバータ9は、ポンプインペラ11とタービンランナ12とを有している。フロントカバー10には円筒部71が連続されており、円筒部71であって、フロントカバー10とは反対側の端部に、ポンプインペラ11が形成されている。タービンランナ12は円筒部71の内部に配置されており、ポンプインペラ11とタービンランナ12とが対向して設けられている。タービンランナ12はシャフト50と一体回転するように連結されている。これらのポンプインペラ11とタービンランナ12とには、多数のブレード(図示せず)が設けられており、ポンプインペラ11とタービンランナ12との間で、流体の運動エネルギにより動力伝達がおこなわれる。
【0023】
また、ポンプインペラ11とタービンランナ12との内周側の部分には、タービンランナ12から送り出されたフルードの流動方向を選択的に変化させてポンプインペラ11に流入させるステータ13が配置されている。このステータ13は、一方向クラッチ14を介して、所定の固定部(ケーシング)15に連結されている。
【0024】
このトルクコンバータ9は、ロックアップクラッチ16を備えている。ロックアップクラッチ16は、円筒部71の内部に設けられており、フロントカバー10からシャフト50に至る動力伝達経路に対して並列に配置されたものである。また、円筒部71の内部には第1の油圧室72と第2の油圧室73とが形成されている。ロックアップクラッチ16は、シャフト50と一体回転するように取り付けられているとともに、シャフト50の軸線方向に移動可能に構成されている。
【0025】
そして、第1の油圧室72の油圧と、第2の油圧室73の油圧との対応関係に基づいて、シャフト50の軸線方向におけるロックアップクラッチ16の動作が制御される。さらにまた、第1の油圧室72および第2の油圧室73に供給される作動流体の圧力を制御する油圧制御装置59が設けられている。なお、円筒部71には、オイルポンプ74のロータが連結されており、エンジン1の動力によりオイルポンプ74が駆動されて、オイルポンプ74から吐出されるオイルが、油圧制御装置59に供給されるように構成されている。
【0026】
前後進切換機構8は、エンジン1の回転方向が一方向に限られていることに伴って採用されている機構であって、シャフト50とプライマリシャフト51との間の動力伝達状態を切り換えるものである。具体的には、シャフト50の回転方向に対するプライマリシャフト51の回転方向を切り換える機能を備えている。
【0027】
図2に示す例では、前後進切換機構8としてダブルピニオン型の遊星歯車機構が採用されている。すなわち、シャフト50と一体回転するサンギヤ17と、サンギヤ17と同心状に配置されたリングギヤ18とが設けられ、これらのサンギヤ17とリングギヤ18との間に、サンギヤ17に噛合したピニオンギヤ19と、ピニオンギヤ19およびリングギヤ18に噛合した他のピニオンギヤ20とが配置され、ピニオンギヤ19,20がキャリヤ21によって、自転かつ公転自在に保持されている。
【0028】
さらに、サンギヤ17およびシャフト50と、キャリヤ21とを一体回転可能に連結する前進用クラッチ22が設けられている。またリングギヤ18を選択的に固定することにより、シャフト50の回転方向に対するプライマリシャフト51の回転方向を反転する後進用ブレーキ23が設けられている。上記前進用クラッチ22および後進用ブレーキ23の係合・解放は、油圧制御装置59により制御される。なお、プライマリシャフト51とキャリヤ21とが一体回転するように連結されている。
【0029】
前記ベルト式無段変速機4は、互いに平行に配置されたプライマリプーリ24とセカンダリプーリ25とを有する。まず、プライマリプーリ24は、プライマリシャフト51と一体回転するように構成されており、プライマリプーリ24は、固定シーブ52と、油圧式のアクチュエータ26によって、プライマリシャフト51の軸線方向に動作させられる可動シーブ53とを有している。
【0030】
これに対して、セカンダリプーリ25は、セカンダリシャフト55と一体回転するように構成されており、セカンダリプーリ25は、固定シーブ54と、油圧式のアクチュエータ27によって、セカンダリシャフト55の軸線方向に動作させられる可動シーブ56とを有している。さらに、プライマリプーリ24およびセカンダリプーリ25には環状のベルト28が巻き掛けられている。さらに、上記アクチュエータ26,27は、油圧制御装置59により制御される。なお、セカンダリシャフト55には歯車伝動装置29を経由してデファレンシャル6が連結されており、デファレンシャル6には車輪2が連結されている。
【0031】
つぎに、図2に示された車両Veの制御系統を説明する。まず、電子制御装置(ECU)34が設けられており、この電子制御装置34は、演算処理装置(CPUまたはMPU)と、記憶装置(RAMおよびROM)と、入出力インターフェースとを有するマイクロコンピュータにより構成されている。この電子制御装置34には、エンジン回転速度センサー30の信号、タービンランナ12の回転速度を検出するタービン回転速度センサー31の信号、プライマリシャフト51の回転速度を検出する入力回転速度センサー32の信号、セカンダリシャフト55の回転速度を検出する出力回転速度センサー33の信号、加速要求検知センサー57の信号、制動要求検知センサー58の信号、シフトポジションセンサ60の信号などが入力される。出力回転速度センサー33の信号に基づいて、車速が算出される。この電子制御装置34からは、エンジン1を制御する信号、油圧制御装置59を制御する信号などが出力される。
【0032】
上記のように構成された車両Veにおいて、エンジン1から出力されたトルクは、トルクコンバータ9またはロックアップクラッチ16を経由して前後進切換機構8に伝達される。前後進切換機構8から出力されるトルクは、ベルト式無段変速機4および歯車伝動装置29を経由して車輪2に伝達されて、駆動力が発生する。すなわち、エンジン1から車輪2に至る動力伝達経路に、ロックアップクラッチ16およびベルト式無段変速機4が直列に配置されている。
【0033】
つぎに、ロックアップクラッチ16の制御について説明する。エンジントルク1がフロントカバー10に伝達される際に、第1の油圧室72の油圧が低圧に制御されて、ロックアップクラッチ16が解放されている場合は、ポンプインペラ11とタービンランナ12との間で、流体の運動エネルギにより動力伝達がおこなわれる。
【0034】
これに対して、第1の油圧室72の油圧が高められた場合について説明する。まず、ロックアップクラッチ16のトルク容量が所定値以下である場合、例えば、ロックアップクラッチ16のトルク容量が、クランクシャフト70からシャフト50に伝達されるトルクよりも低い場合は、ロックアップクラッチ16がスリップ状態となる。すなわち、フロントカバー10とシャフト50とが相対回転する。このとき、クランクシャフト70の動力は、流体の運動エネルギおよびロックアップクラッチ16の摩擦力の両方により、シャフト50に伝達される。
【0035】
さらに、ロックアップクラッチ16のトルク容量が所定値を越えた場合、例えば、ロックアップクラッチ16のトルク容量が、クランクシャフト70からシャフト50に伝達されるトルク以上である場合は、ロックアップクラッチ16が完全係合状態となる。このとき、クランクシャフト70の動力は、ロックアップクラッチ16の摩擦力により、シャフト50に伝達される。
【0036】
このようにロックアップクラッチ16の解放・スリップ・完全係合を制御するために、電子制御装置34にはロックアップクラッチ制御マップが記憶されている。このロックアップクラッチ制御マップは、車速、加速要求、エンジン回転速度などに基づいて、ロックアップクラッチ16の係合圧、言い換えればトルク容量を制御する基準となる。
【0037】
つぎに、前後進切換機構8の制御について説明する。前記シフトポジションセンサ60により、前進ポジションが検知された場合は、前後進切換機構8の前進用クラッチ22が係合され、かつ、後進用ブレーキ23が解放される。すると、シャフト50とキャリヤ21とが一体回転し、シャフト50のトルクがプライマリシャフト51に伝達される。このとき、シャフト50およびプライマリシャフト51が同方向に回転する。
【0038】
これに対して、シフトポジションセンサ60により、後進ポジションが検知された場合は、前進用クラッチ22が解放され、かつ、後進用ブレーキ23が係合される。すると、エンジントルクがサンギヤ17に伝達された場合は、リングギヤ18が反力要素となって、サンギヤ17のトルクがキャリヤ21を経由してプライマリシャフト51に伝達される。この場合、シャフト50とプライマリシャフト51とは逆方向に回転する。
【0039】
つぎに、ベルト式無段変速機4の制御を説明する。前記のように、エンジントルクがプライマリシャフト51に伝達されるとともに、電子制御装置34に入力される各種の信号、および電子制御装置34に予め記憶されているデータに基づいて、ベルト式無段変速機4の制御が実行される。すなわち、プライマリシャフト51の軸線方向における可動シーブ53の位置が制御されて、プライマリプーリ24の溝幅が調整される。すると、プライマリプーリ24に対するベルト28の巻掛け半径が連続的に変化し、変速比が無段階に変化する。また、セカンダリシャフト55の軸線方向における可動シーブ56の位置が制御されて、ベルト28に対するセカンダリプーリ25の挟圧力が調整される。このようにして、プライマリプーリ24とセカンダリプーリ25との間で、ベルト28を経由して伝達されるトルクの容量が制御される。
【0040】
上記のベルト式無段変速機4において、ベルト28に加えられる挟圧力が低下して、ベルト28の滑りが生じると、ベルト式無段変速機4で動力損失が生じる。一方、油圧制御装置59に供給されるオイルの流量は、エンジン1の動力により駆動されるオイルポンプ74により確保されているため、ベルト28に加えられる挟圧力を高めすぎると、燃費が低下する可能性がある。このため、ベルト28に加えられる挟圧力は、ベルト28の滑り量を所定量以下に抑制できる低い挟圧力に制御される。この制御を、この実施例では“挟圧力低下制御”と呼ぶ。つぎに、挟圧力低下制御に関連する制御例を説明する。
【0041】
(第1の制御例)
この第1の制御例は、請求項1、請求項2、請求項3、請求項6に対応する。図1のフローチャートにおいて、まず、車両Veの走行中に、セカンダリシャフト55の回転速度Nout(i)を計測する(ステップS1)。このステップS1についで、セカンダリシャフト55の回転速度Nout(i)をバンドパス処理し、最新N個のバンドパス処理値から、時間窓積分値Nbps sum(i)を算出する(ステップS2)。このステップS2についで、所定制御Iを実行する(ステップS3)。この所定制御Iについては後述する。
【0042】
このステップS3についで、
時間窓積分値Nbps sum(i)>しきい値Nbps jdg1
であるか否かが判断される(ステップS4)。このステップS4で否定的に判断された場合は、道路が良路であると判定する(ステップS5)とともに、前記挟圧力低下制御を継続し(ステップS6)、リターンする。
【0043】
これに対して、ステップS4で肯定的に判断された場合は、
時間窓積分値Nbps sum(i)>しきい値Nbps jdg2
であるか否かが判断される(ステップS7)。なお、
しきい値Nbps jdg1 <しきい値Nbps jdg2
である。このステップS7で否定的に判断された場合は、悪路状態判別カウンタAkr cnt (i)でカウントされたデータのうち、最新M個のデータの積算値akr sum を算出する(ステップS8)。ここで、悪路とは“車輪2の回転速度が急激に変化する道路”を意味する。具体的には、車輪2の上昇程度または低下程度が、所定時間内に所定値以上変化する道路を意味する。
【0044】
ついで、
積算値akr sum >しきい値Single akr
であるか否かが判断される(ステップS9)。このステップS9で否定的に判断された場合は、単発悪路と判定する(ステップS10)。ここで、単発悪路とは、“車両Veが悪路を走行している。”という判定の継続時間が、所定時間以下である道路を意味する。なお、単発悪路としては、段差のある道路、突起のある道路などが挙げられる。
【0045】
このステップS10についで、トルクヒューズ制御を実行し、かつ、前記挟圧力低下制御を継続し(ステップS11)、リターンする。トルクヒューズ制御とは、動力伝達経路でトルク変動が発生した場合に、ロックアップクラッチ16のトルク容量を経過させて、ロックアップクラッチ16をスリップさせることにより、ベルト式無段変速機4のベルト28の滑りを抑制する制御である。
【0046】
一方、前記ステップS9で肯定的に判断された場合は、連続悪路と判定する(ステップS12)。ここで、連続悪路とは、“車両Veが悪路を走行している。”という判定の継続時間が所定時間を越える道路を意味する。連続悪路としては、石鋲のある道路、石畳のある道路、砂利道などが挙げられる。なお、前記ステップS7で肯定的に判断された場合も、ステップS12に進む。このステップS12についで、前記挟圧力低下制御を中止し、かつ、挟圧力通常制御を実行し(ステップS13)、リターンする。挟圧力通常制御とは、ベルト28に加える挟圧力として、挟圧力低下制御の場合よりも、高い挟圧力を選択する制御を意味する。
【0047】
つぎに、ステップS3の所定制御Iの例を、図3のフローチャートに基づいて説明する。まず、セカンダリシャフト55の回転速度Noutの変化量、すなわち、加速度ΔNout(i)を算出する(ステップS21)。このステップS21についで、加速度ΔNout(i)をローパスフィルタ処理し、加速度の定常成分ΔNout lo(i)を算出する(ステップS22)。このステップS22についで、加速度ΔNoutの振動成分ΔNout vib(i)を、
ΔNout vib(i)=ΔNout(i)−ΔNout lo(i)として算出する(ステップS23)。
【0048】
このステップS23についで、
振動成分ΔNout vib(i)>しきい値ΔNout hi
であるか否かが判断される(ステップS24)。このステップS24で肯定的に判断された場合は、振動成分検出フラグV jdg を、前回値V jdg bにストアし、かつ、
振動成分検出フラグV jdg =1
とし(ステップS25)、ステップS26に進む。
【0049】
前記ステップS24で否定的に判断された場合は、
振動成分ΔNout vib(i)<しきい値ΔNout lo
であるか否かが判断される(ステップS27)。このステップS27で肯定的に判断された場合は、振動成分検出フラグV jdg を、前回値V jdg bにストアし、かつ、
振動成分検出フラグV jdg =−1
とし(ステップS28)、ステップS26に進む。
【0050】
ステップS26では、
▲1▼振動成分検出フラグV jdg =1、かつ、振動成分検出フラグV jdg =−1であるか、
または、
▲2▼振動成分検出フラグV jdg =−1、かつ、振動成分検出フラグV jdg =1であるか、
否かが判断される。
【0051】
このステップS26で肯定的に判断された場合は、
悪路状態判別カウンタAkr cnt (i)=1
とし(ステップS29)、ステップS30に進む。これに対して、ステップS26で否定的に判断された場合は、
悪路状態判別カウンタAkr cnt (i)=0
とし(ステップS31)、ステップS30に進む。一方、前記ステップS27で否定的に判断された場合も、
悪路状態判別カウンタAkr cnt (i)=0
とし(ステップS32)、ステップS30に進む。
【0052】
ステップS30においては、
ΔNout lo ≦ΔNout vib≦ΔNout hi
が、n回連続して成立したか否かが判断される。このステップS30で肯定的に判断された場合は、
V jdg =0およびV jdg b =0
とし(ステップS33)、この制御ルーチンを終了する。これに対して、ステップS30で否定的に判断された場合は、そのまま制御ルーチンを終了する。
【0053】
このように、第1の制御例によれば、道路状態の時間的な連続性(継続性)を判断している。言い換えれば、道路状態が悪路となる継続時間を判断している。そして、その判断結果に基づいて、ロックアップクラッチ16およびベルト式無段変速機4のトルク容量を制御する。したがって、動力伝達経路における動力損失の増加を抑制できる。
【0054】
また、単発悪路の場合は、ロックアップクラッチ16のトルク容量を低下してロックアップクラッチ16をスリップさせて、前記挟圧力低下制御を継続する。これに対して、連続悪路の場合は、前記挟圧力低下制御を中止する。したがって、道路状態に合わせてベルト式無段変速機4またはロックアップクラッチ16のトルク容量を制御できる。さらに、セカンダリシャフト55の回転速度の変動成分に基づいて、道路状態の時間的な連続性を判断するため、判断精度が一層向上する。
【0055】
(第2の制御例)
この第2の制御例は、第1の制御例で説明した連続悪路および単発悪路の判定方法を、さらに具体化するものである。この第2の制御例は、請求項4、請求項5、請求項6に対応するものであり、図4および図5のフローチャートに基づいて説明する。なお、図4および図5の処理において、図1の処理と同じ処理については、図1のステップ番号と同じステップ番号を付してある。
【0056】
図4のフローチャートにおいては、ステップS8についで、
悪路判定検出フラグakr jdg (i−1)=2
または、
積算値akr sum >しきい値Single akr
であるか否かが判断される(ステップS41)。このステップS41で否定的に判断された場合は、単発悪路であると判定し、かつ、
悪路判定検出フラグakr jdg (i)=1
とし(ステップS42)、図5のステップS43に進む。
【0057】
前記ステップS41で肯定的に判断された場合は、所定制御IIを実行する(ステップS44)。この所定制御IIについては後述する。ステップS44についで、連続悪路であるとの判定をおこない、かつ、
悪路判定検出フラグakr jdg (i)=2
とし(ステップS45)、図5のステップS43に進む。なお、図4のステップS7で肯定的に判断された場合は、ステップS44に進む。
【0058】
一方、前記ステップS4で否定的に判断された場合は、
悪路判定検出フラグakr jdg (i−1)=2
であるか否かが判断される(ステップS46)。ステップS46で肯定的に判断された場合は、
悪路の終了判定カウンタe cnt (i)>しきい値Akr e
であるか否かが判断される(ステップS47)。このステップS47で否定的に判断された場合は、
悪路の終了判定カウンタe cnt (i)=e cnt (i−1)+1
とし(ステップS48)、ステップS45に進む。
【0059】
これに対して、前記ステップS47で肯定的に判断された場合は、良路であると判定し、かつ、
悪路判定検出フラグakr jdg (i)=0
悪路の終了判定カウンタe cnt (i)=0
悪路終了判定タイマAkr e =0
とし(ステップS49)、図5のステップS43に進む。なお、ステップS46で否定的に判断された場合は、ステップS49に進む。
【0060】
図5のステップS43においては、
悪路判定検出フラグakr jdg (i)=2
であるか否かが判断され、ステップS43で肯定的に判断された場合は、ステップS13を経由してリターンする。これに対して、ステップS43で否定的に判断された場合は、悪路判定検出フラグakr jdg (i)=1
であるか否かが判断される(ステップS51)。このステップS51で肯定的に判断された場合は、ステップS11を経由してリターンされる。ステップS51で否定的に判断された場合は、ステップS6を経由してリターンされる。
【0061】
つぎに、前記ステップS44の処理例を図6のフローチャートに基づいて説明する。まず、
加速度の振動成分ΔNout vib(i)>しきい値ΔNout vibhi
または、
加速度の振動成分ΔNout vib(i)<しきい値ΔNout viblo
であるか否かが判断される(ステップS52)。
【0062】
このステップS52で肯定的に判断された場合は、
振動成分カウンタvib cnt (i)=vib cnt (i−1)+1
とする(ステップS53)。すなわち、振動成分カウンタvib cnt をインクリメントする。このステップS53についで、振動成分カウンタvib cnt に応じた悪路終了判定タイマ値Akr e を設定し(ステップS54)、この制御ルーチンを終了する。具体的には、振動成分カウンタvib cnt が少ないほど、悪路終了判定タイマ値Akr e が短く設定される。なお、ステップS52で否定的に判断された場合は、ステップS54に進む。
【0063】
この第2の制御例に対応するタイムチャート例を、図7に基づいて説明する。図7では、時間窓積分値Nbps sumと、振動成分ΔNout vibと、振動成分カウンタvib cnt と、道路判定Akr jdg とが示されている。この図7において、時間窓積分値Nbps sumが、しきい値Nbps jdg1 以下である場合は、良路であると判定される。その後、時刻t1において、時間窓積分値Nbps sumが、しきい値Nbps jdg1 を越えた場合は、悪路であるとの判定がなされる。さらに、振動成分ΔNout vibがしきい値ΔNout viblo 未満となった時刻t2,t4、および、振動成分ΔNout vibがしきい値ΔNout vibhiを越えた時刻t3で、振動成分カウンタvib cnt が、それぞれインクリメントされている。
【0064】
その後、時刻t5において、時間窓積分値Nbps sumが、しきい値Nbps jdg1 となるが、悪路であるとの判定は継続される。そして、時刻t5から、悪路判定終了タイマAkr e が経過した時刻t6において、良路であるとの判定に切り換わる。
【0065】
この第2の制御例において、悪路の終了判定タイマが、ベルト式無段変速機4のセカンダリシャフト55の回転速度の振動成分ΔNout vibの変化に基づいて判断される。したがって、ベルト式無段変速機4における動力損失の増加を、一層確実に抑制できる。さらに、この第2の実施例においては、悪路が継続している場合におけるベルト式無段変速機4のトルク容量が、悪路が終了している場合におけるベルト式無段変速機4のトルク容量よりも高く制御される。したがって、悪路の終了時期の判断精度を高めて、挟圧力低下制御の実行頻度もしくは実行時間を増加することができ、燃費が向上する。
【0066】
なお、第1の制御例と同じ処理については、第1の制御例と同じ効果を得られる。さらに、図1および図5において、ステップS13の処理には、実行している挟圧力低下制御を中止して、挟圧力通常制御を実行する処理と、実施している挟圧力通常制御を中止して、挟圧力低下制御に切り替えることを禁止する処理とが含まれる。さらに、ステップS6,11の処理には、実施している挟圧力通常制御を中止して、挟圧力低下制御に切り替える処理と、実施している挟圧力低下制御を継続する処理とが含まれる。
【0067】
ここで、図1、図3、図4、図5、図6に示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明すれば、ステップS1ないしステップS5、ステップS7ないしステップS10、ステップS12、ステップS41、ステップS42、ステップS45ないしステップS49、図3に示された全ての処理、図6に示された全ての処理が、この発明の道路状態判断手段に相当し、ステップS6、ステップS11、ステップS13、ステップS43、ステップS51が、この発明のトルク容量制御手段に相当する。
【0068】
また、この実施例で述べた構成と、この発明との対応関係を説明すれば、ロックアップクラッチ16およびベルト式無段変速機4が、動力伝達機構に相当し、ベルト式無段変速機4が、この発明の変速機に相当し、セカンダリシャフト55が、この発明の出力部材に相当する。さらに、この発明のトルク容量には、トルク容量に関連する物理量、例えば、ベルト式無段変速機4のトルク容量自体、ベルト式無段変速機4のベルト28に加えられる挟圧力、油圧サーボ機構27に作用する油圧、ロックアップクラッチ16のトルク容量自体、ロックアップクラッチ16の係合圧、第1の油圧室72の油圧と第2の油圧室73の油圧との対応関係などが含まれる。また、車輪2の回転速度の変化が、この発明の車輪の回転変化に相当し、悪路がこの発明の所定道路状態に相当し、振動成分がこの発明の回転変化に相当する。さらに、上記制御例では、所定道路状態が連続する期間を判断するパラメータとして“車両が悪路を走行する時間”を用いているが、所定道路状態が連続する期間を判断するパラメータとして“車両が悪路を走行する距離”を用いる制御も、各請求項の発明に含まれる。
【0069】
なお、図2のパワートレーンでは、変速比を連続的に制御することのできる無段変速機として、ベルト式無段変速機4が用いられているが、他の無段変速機、例えば、トロイダル式無段変速機を有する車両に対しても、この発明を適用可能である。トロイダル式無段変速機は、トロイダル面を有する入力ディスクおよび出力ディスクと、各ディスクに対して接触するパワーローラとを有する変速機である。各ディスクとパワーローラとの接触面には潤滑油が存在する。そして、パワーローラを、各ディスクの軸線に直交する平面内で直線状に移動させて、パワーローラと各ディスクとの接触半径を調整することにより、入力ディスクと出力ディスクとの間の変速比が制御される。また、各ディスクとパワーローラとの接触面圧を調整することにより、入力ディスクと出力ディスクとの間で伝達されるトルク容量が制御される。
【0070】
すなわち、各ディスクとパワーローラとの接触面圧を高圧にすると、潤滑油がガラス状になり、いわゆるトラクション伝動(せん断力)により、入力ディスクと出力ディスクとの間で動力の伝達がおこなわれる。このように、各ディスクとパワーローラとの接触面圧を調整するための油圧サーボ機構が設けられている。油圧サーボ機構は、ピストンと、各ピストンを動作させる第1の油圧室とを有している。また、パワーローラを各ディスクの軸線に直交する平面内で直線状に移動させる油圧サーボ機構が設けられている。この油圧サーボ機構は、第2の油圧室を有している。このトロイダル式無段変速機におけるトルク容量は、第1の油圧室の油圧に応じて、各ディスクに加えられる軸線方向の挟圧力により制御される。
【0071】
このようなトロイダル式無段変速機においては、ロックアップクラッチおよびトロイダル式無段変速機が、複数の動力伝達機構に相当し、トロイダル式無段変速機がこの発明の変速機に相当し、出力ディスクが変速機の出力部材に相当する。
【0072】
また、図2に示すパワートレーンにおいては、車輪からクラッチに至る動力伝達経路に、変速機が配置されているが、車輪から変速機に至る動力経路に、クラッチが配置されている構成のパワートレーンを有する車両に対しても、各請求項の発明を適用できる。さらに、流体伝動装置として、トルク増幅機能の無いフルードカップリングとロックアップクラッチとを並列に配置した構成の車両に対しても、各請求項の発明を適用できる。
【0073】
ここで、上記の具体例に開示された特徴的な構成を記載すれば以下のとおりである。すなわち、駆動力源から車輪に至る動力伝達経路に、クラッチおよび変速機が直列に配置されているとともに、駆動力源の動力により駆動されるオイルポンプが設けられており、このオイルポンプから吐出されるオイルにより、前記クラッチおよび変速機のトルク容量が制御されるように構成されているとともに、前記車輪のトルクが動力伝達経路に伝達される場合に、前記クラッチおよび変速機のトルク容量を制御する車両用動力伝達機構の制御装置において、所定道路状態の連続性を判断する道路状態判断手段と、この道路状態判断手段の判断結果に基づいて、前記クラッチおよび前記変速機のトルク容量を制御するトルク容量制御手段とを備えているとともに、前記道路状態判断手段は、車輪の回転変化が発生し易い所定道路状態が連続する期間を判断する機能を更に備えており、前記トルク容量制御手段は、前記所定道路状態が連続する期間が短い場合に、前記クラッチのトルク容量を低下させ、前記所定道路状態が連続する期間が長い場合に、前記変速機のトルク容量を増加させる機能を、更に備えていることを特徴とする。
【0074】
さらに、この明細書の「特許請求の範囲」の各請求項に記載される「道路状態判断手段」を、「道路状態判断器」または「道路状態判断コントローラ」と読み替え、「トルク容量制御手段」を、「トルク容量制御器」または「トルク容量制御コントローラ」と読み替えることもできる。この場合、実施例で説明した電子制御装置34が、「道路状態判断器」、「道路状態判断コントローラ」、「トルク容量制御器」、「トルク容量制御コントローラ」に相当する。また、さらにまた、各請求項に記載されている「道路状態判断手段」を、「道路状態判断ステップ」と読み替え、「トルク容量制御手段」を「トルク容量制御ステップ」と読み替え、「車両用動力伝達機構の制御装置」を、「車両用動力伝達機構の制御方法」と読み替えることもできる。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、所定道路状態の連続性を判断し、その判断結果に基づいて、動力伝達機構のトルク容量を制御することができ、動力伝達経路における動力損失の増加を抑制できる。
【0076】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られる他に、所定道路状態の連続性を判断し、その判断結果に基づいて、クラッチまたは変速機のうちの少なくとも一方のトルク容量を制御することができ、動力伝達経路における動力損失の増加を抑制できる。
【0077】
請求項3の発明によれば、請求項2の発明と同様の効果を得ることができるほかに、所定道路状態が連続する期間が短い場合に、クラッチのトルク容量を低下させ、所定道路状態が連続する期間が長い場合に、変速機のトルク容量を増大させる。したがって、変速機のトルク容量を低下させる頻度が増加して、燃費が向上する。
【0078】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明と同様の効果を得ることができるほかに、動力伝達機構のトルク容量を低下させることのできる所定道路状態を確実に判断でき、燃費が一層向上する。
【0079】
請求項5の発明によれば、請求項4の発明と同様の効果を得ることができるほかに、所定道路状態が終了する時期を確実に判断できる。したがって、変速機のトルク容量を低下させる頻度を増加することができ、燃費が一層向上する。
【0080】
請求項6の発明によれば、請求項2ないし5のいずれかに記載の発明と同様の効果を得ることができるほかに、所定道路状態の連続性を、一層確実に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の制御例を示すフローチャートである。
【図2】この発明の制御を適用可能な車両のパワートレーンおよびその制御系統を示す概念図である。
【図3】図1に示すフローチャートの処理の一部の具体例を示すフローチャートである。
【図4】この発明の他の制御例を示すフローチャートである。
【図5】図4の制御例の続きを示すフローチャートである。
【図6】図4に示すフローチャートの処理の一部の具体例を示すフローチャートである。
【図7】図4に示すフローチャートに対応するタイムチャートの一例である。
【符号の説明】
1…エンジン、 2…車輪、 4…ベルト式無段変速機、 16…ロックアップクラッチ、 34…電子制御装置、 Ve…車両。
Claims (6)
- 動力伝達機構が車輪に連結されているとともに、道路状態に応じて前記車輪の回転変化が生じる場合に、前記動力伝達機構のトルク容量を制御する車両用動力伝達機構の制御装置において、
所定道路状態の連続性を判断する道路状態判断手段と、
この道路状態判断手段の判断結果に基づいて、前記動力伝達機構のトルク容量を制御するトルク容量制御手段と
を備えていることを特徴とする車両用動力伝達機構の制御装置。 - 前記動力伝達機構は、クラッチおよび変速機を有しており、前記トルク容量制御手段は、前記クラッチまたは変速機のうち、少なくとも一方のトルク容量を制御する機能を、更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両用動力伝達機構の制御装置。
- 前記道路状態判断手段は、前記所定道路状態が連続する期間の長さを判断する機能を、更に備えており、
前記トルク容量制御手段は、前記所定道路状態が連続する期間が短い場合に、前記クラッチのトルク容量を低下させ、前記所定道路状態が連続する期間が長い場合に、前記変速機のトルク容量を増加させる機能を、更に備えていることを特徴とする請求項2に記載の車両用動力伝達機構の制御装置。 - 前記道路状態判断手段は、前記所定道路状態が終了する時期を、前記車輪の回転変化量に基づいて判断する機能を、更に備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車両用動力伝達機構の制御装置。
- 前記道路状態判断手段は、前記車輪の回転変化量が小さいほど、前記所定道路状態が早期に終了すると判断する機能を更に備えており、
前記トルク容量判断手段は、前記所定道路状態が連続している場合における前記変速機のトルク容量を、前記所定道路状態が終了している場合における前記変速機のトルク容量よりも高く制御する機能を、更に備えていることを特徴とする請求項4に記載の車両用動力伝達機構の制御装置。 - 前記車輪の回転変化が、前記変速機の出力部材を経由して前記クラッチに伝達される構成であるとともに、
前記道路状態判断手段は、前記変速機の出力部材の回転変化に基づいて、前記所定道路状態の連続性を判断する機能を、更に備えていることを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の車両用動力伝達機構の制御装置。
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