JP2004176482A - 非埋込み型柱脚の施工方法及びその非埋込み型柱脚構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鉄骨柱2を立設する角形のベースプレート1の少なくとも四隅をそれぞれ基礎コンクリートに定着したアンカーボルト6を介して締付け固定し、それらのベースプレート1とアンカーボルト6とにより、鉄骨柱2を介して柱脚部に作用する曲げモーメントに対抗し得るように構成するとともに、ベースプレート1の、対角上のアンカーボルト6の中心間を結んだ線が交差する交点近傍に開口部4を設け、該開口部4を上下に貫通するように適宜数の補強筋7を配筋することにより、柱脚部に作用する軸力に対する引張耐力を補強する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄骨造(S造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)において鉄骨柱の立設に用いられる非埋込み型柱脚に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、S造の根巻き型柱脚やSRC造において柱を立設する場合には、鉄骨柱の下部を基礎部分に埋設する埋込み形式の柱脚構造と、鉄骨柱を基礎部分に埋設しない非埋込み形式とが知られている。本発明は、後者の非埋込み型柱脚に関する。この非埋込み型柱脚の場合の柱脚部分の耐力は、柱を介して柱脚部分に作用する曲げモーメントに対するアンカーボルトの引抜き耐力及びコンクリートの圧縮耐力により求められる。そして、この柱脚部分の耐力が不足する場合には、アンカーボルトを取囲むように配筋する鉄筋によって全体の耐力を増すという手法が採られている。ところで、地震時に柱脚部に作用する外力としては、柱に作用する横方向成分の力に基づいて柱脚部に派生する曲げモーメントだけでなく、柱に対して軸方向に作用する重力や、地震時に作用する縦方向成分の力、あるいは躯体に作用する横方向成分の力によって躯体の重心のまわりに作用する回転モーメントにより各柱に作用する軸方向の力がそのまま柱脚部にも作用することはいうまでもない。従来の非埋込み型の柱脚構造の場合には、特に地震時に作用する縦方向成分の力や、躯体に作用する横方向成分の力によって躯体の重心のまわりに作用する回転モーメントにより手前側の柱に作用する上方への軸力が問題となった。すなわち、非埋込み型柱脚を構成する前記アンカーボルトには、柱を介して作用する曲げモーメントによる引張力のほかに、以上の上方への軸力による引張力が加わるため、両引張力が加算されて耐力の不足が生じ、建物の崩壊の原因になる場合もあった。
【0003】
そこで、近時、埋込み形式の柱脚構造が推奨される傾向にあるが、この埋込み形式の場合には鉄骨柱の下部を基礎部分に埋設する関係から、基礎梁の配筋作業において、鉄筋を鉄骨柱に貫通させたり迂回させたりする必要が生じ、作業性を低下させるといった技術的な問題があった。このような従来の状況から、非埋込み型柱脚構造の良好な施工性を維持しながら、ベースプレートに設けた開口部を上下に貫通する接続鉄筋を配筋し、その接続鉄筋により地震時等に柱脚部に作用する大きな引張力や曲げモーメントに対して強い抗力を発揮させる技術が開示されるに至っている(特許文献1、特許文献2参照)。しかしながら、この従来技術は、接続鉄筋を設置した点では優れているものの、その接続鉄筋の強度的な効用に頼りすぎ、従来のベースプレートとアンカーボルトとの組合わせによる効用を軽視している点で、効率的な抗力の保持に関しては充分なものとはいえなかった。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−40768号公報
【特許文献2】
特開2001−65056号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような従来の技術的事情に鑑み、非埋込み型柱脚構造の有する良好な施工性を維持するとともに、その非埋込み型柱脚構造における従来のベースプレートとアンカーボルトとの組合わせからなる強度的な特性に着目し、その特性を最大限に活かしながら、より効率的に柱脚部の耐力を補強し得る非埋込み型柱脚の施工技術を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するため、鉄骨柱を立設する角形のベースプレートの少なくとも四隅をそれぞれ基礎コンクリートに定着したアンカーボルトを介して締付け固定し、それらのベースプレートとアンカーボルトとにより、前記鉄骨柱を介して柱脚部に作用する曲げモーメントに対抗し得るように構成するとともに、前記ベースプレートの、対角上のアンカーボルトの中心間を結んだ線が交差する交点近傍に開口部を設け、該開口部を上下に貫通するように適宜数の補強筋を配筋することにより、柱脚部に作用する軸力に対する引張耐力を補強するという技術手段を採用した。すなわち、本発明では、鉄骨柱はベースプレートに立設されることから、非埋込み型柱脚構造における鉄骨柱の定着という観点からは、従来のベースプレートとアンカーボルトとの組合わせからなる柱脚構造がきわめて有効である点に着目し、そのベースプレートとアンカーボルトとの組合わせからなる柱脚構造の強度的な特性を最大限に活かしながら、地震時等に柱脚部に作用する軸力に対する引張耐力を、前記ベースプレートの、対角上のアンカーボルトの中心間を結んだ線が交差する交点近傍に設けた開口部を上下に貫通するように適宜数の補強筋を配筋することにより補強するという技術手段を採用し、それらの両手段の組合わせにより、地震等に対する柱脚部全体としての耐力をより効率的に実現した点に特徴を有するものである。因みに、前記補強筋に関して、その中心位置がベースプレートの四隅に設けるアンカーボルトの中心間を結んだ各辺をそれぞれ1/6以下に縮小した範囲内に納るように設置すれば、補強筋は対角上のアンカーボルトの中心間を結んだ線の交点近傍に集中され、鉄骨柱を介して柱脚部に作用する曲げモーメントの影響を殆ど無視できることから設計上望ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明は、S造の根巻き型柱脚やSRC造の非埋込み型柱脚を採用して柱を立設する場合に広く適用することができる。ベースプレートとしては角形のものを使用し、鉄骨柱の具体的な配置に応じて正方形のものや長方形のものが使用される。なお、ここで角形とは、ほぼ正方形や長方形のものであればよく、各隅部を面取りしたりアールをとったりしたものでもよい。アンカーボルトとしては、角形のベースプレートの少なくとも四隅を締付け固定するため、4本以上のアンカーボルトが使用される。ベースプレートの四隅のほか、各辺の中間部にアンカーボルトを追加したり、四隅に2本ずつのアンカーボルトを使用するようにしてもよい。ベースプレートとアンカーボルトの具体的な形態に関しては、地震時等に鉄骨柱を介してベースプレートに伝達される回転モーメントに対応可能な抗力を発揮し得るものであれば、ベースプレートの形状や厚さ、アンカーボルトの直径や設置本数など、各部の具体的な形態に関する任意の設定が可能である。また、ベースプレートの開口部を上下に貫通するように配筋する補強筋に関しては、その補強筋による引張耐力の増加により、各アンカーボルトの耐力と相俟って地震時等に柱脚部に作用する軸力に対応可能な抗力を発揮し得るものであれば、補強筋の直径やその表面形状、設置本数などに関しては任意の設定が可能である。因みに、補強筋は、対角上のアンカーボルトの中心間を結んだ線が交差する交点近傍に設けたベースプレートの開口部を上下に貫通するように設置するが、その補強筋の中心位置がベースプレートの四隅に設けるアンカーボルトの中心間を結んだ各辺をそれぞれ1/6以下に縮小した範囲内に納るように設置すれば、鉄骨柱を介して柱脚部に作用する曲げモーメントの影響を殆ど無視して設計することが可能である。また、補強筋の長さに関しては、コンクリートとの定着作用から少なくともベースプレートの上下の各々に埋込まれる長さは、鉄筋の直径の20〜40倍程度が適当である。なお、補強筋の下部あるいは上部の位置関係を保持するため、補強筋用の添プレートを設けることはきわめて有効である。その場合に、前記添プレートに形成する補強筋挿通用の各挿通孔の縁部に、その縁部が補強筋の外周部に形成する雄ネジの谷部に食込まないように、立上がり部を形成してもよい。
【0008】
【実施例】
以下、図面を用いて本発明の実施例に関して説明する。図1は本発明の第1実施例としてSRC造に適用した場合を示し、右半分を断面として配筋状態を示した配筋状態図であり、図2はそのベースプレートの上方の柱部分の横断面図、図3はベースプレートを示した部品図、図4はベースプレートの下面部の横断面図である。図中1は角形のベースプレートであり、本実施例では、正方形状のベースプレート1の上面側に十字状の鉄骨柱2の下端部を溶接して立設する場合を示す。図3に示したように、ベースプレート1には、四隅にアンカーボルトの挿通孔3を形成し、中央部に補強筋貫通用の開口部4を形成した。そして、図1及び図4に示したように、ベースプレート1の四隅の挿通孔3のそれぞれに、予め基礎コンクリート5中に定着させたアンカーボルト6を挿通するとともに、ベースプレート1の中央部に形成した開口部4に、同じく基礎コンクリート5中に予め定着させた適宜数、本実施例では4本の補強筋7の上方部を貫通させ、各アンカーボルト6に螺合したナット8によりベースプレート1を締付け固定することにより鉄骨柱2を立設する。図中、9は梁主筋、10はスターラップ筋、11は柱主筋、12はフープ筋であり、13、14はアンカーボルト6の下部に設けた定着板とナット、15、16は補強筋7の下部に設けた定着板とナット、17、18は補強筋7の上部に設けた定着板とナット、また19はSRC造用の柱コンクリートである。なお、図面においては、表現上の便宜から補強筋7の設置間隔に関しては広めに表示したが、前述のように、補強筋7を、その中心位置がベースプレートの四隅に設けるアンカーボルトの中心間を結んだ各辺をそれぞれ1/6以下に縮小した範囲内に納るように設置すれば、鉄骨柱2を介して柱脚部に作用する曲げモーメントの影響を殆ど無視して設計することが可能である。
【0009】
次に、施工方法に関して概略的に説明する。図5はアンカーボルト6を所定位置にセットした状態を例示した施工状態図であり、図6はそのA−A断面図である。アンカーボルト6のセットは、図示のように捨てコンクリート20上の所定位置にアングル材等からなる位置決め部材21を4本使用して内方に四角形が形成されるように固定し、その各隅部にアングル材等からなる4本の支柱22を立設するとともに、それらの4本の支柱22の外側に、本例では図6に示したように一体的な形状に形成した定着板23を外嵌して適宜の支持部材により所定高さに支持した上、その定着板23の四隅にそれぞれアンカーボルト6を立設し、さらにそれらの各アンカーボルト6の上方の位置関係を上部添プレート24により保持することにより行われる。因みに、本例では一体的な定着板23を4本のアンカーボルト6の共通の定着板として使用した場合を例示したが、図1に示した定着板13のように個別的に設けるものでもよい。なお、図6に示したように、定着板23の中央開口部には支持片25を形成し、その支持片25を介して補強筋7の挿通孔26を有する補強筋下部用添プレート27を支持するようにした。
【0010】
次に、図7に示した施工状態図のように、補強筋7の下端部を前記補強筋下部用添プレート27の各挿通孔26に挿通してナットにより固定するとともに、それらの補強筋7の各上端部を、図8の平面図に示したように、前記上部添プレート24の中央開口部に設けた支持片28により支持可能な補強筋上部用添プレート29の各挿通孔30に挿通することにより、本実施例では4本の補強筋7をセットする。因みに、補強筋上部用添プレート29は、予め支持片28を介して上部添プレート24に支持固定しておき、その上部添プレート24に支持固定された補強筋上部用添プレート29の挿通孔30に対して補強筋7の各上端部を挿通するように構成してもよいし、補強筋7の各上端部を挿通孔30に挿通した後に補強筋上部用添プレート29を支持片28を介して上部添プレート24側に支持固定するように構成してもよい。なお、補強筋7が1本の場合には、定着板23の中央開口部に設けた下方の支持片25と上部添プレート24の中央開口部に設けた上方の支持片28にそれぞれ1個の挿通孔を形成しておき、補強筋7の上下をそれらの挿通孔に対して挿通することにより、所定位置にセットすることができる。また、補強筋7の設置本数に関係なく、下方を補強筋下部用添プレート27の挿通孔26に挿通した上、その下端部を捨てコンクリート上に接地させることにより自重を受けるように構成してもよい。
【0011】
以上のようにして、アンカーボルト6と補強筋7の所定位置へのセットが済んだら、次に図9及び図10に示したように、梁主筋9、スターラップ筋10、柱主筋11、フープ筋12等の配筋作業を行う。この配筋作業においては、埋込み形式の柱脚構造のように、鉄骨柱の下部が柱脚部の下方まで埋設されることはなく、梁主筋9との干渉は解消されるので、配筋作業が大幅に容易化される。以上の配筋作業が済んだら、図11及び図12に示したように、柱脚部及び基礎梁の部分に基礎コンクリート5を打設する。そして、その基礎コンクリート5の固化により、図示のように基礎コンクリート5の上方にアンカーボルト6及び補強筋7の上部と柱主筋11が露出した状態で固定される。
【0012】
しかる後、図13に示したように、前記基礎コンクリート5上の所定位置にレベル調整用のモルタル31を設置し、前述のように鉄骨柱2の下端部を溶接したベースプレート1を、その四隅に設けた各挿通孔3にアンカーボルト6を挿通しながら前記モルタル31上に載置するとともに、図14に示したように鉄骨柱2の直立状態等を微調整した上、図15のように上方からナット8により締付け固定することにより、鉄骨柱2を所定位置に立設する。その際に、図15に示したように、本実施例では、鉄骨柱2の中央部の十字状部分の各間隙部には補強筋7が配置される。それらの補強筋7の各上端部に前述の定着板17とナット18を装着して定着作用の増加を図っている。
【0013】
以上のようにして、ベースプレート1を介して鉄骨柱2が所定位置に立設された場合には、図16に示したように柱主筋11を必要に応じてガス圧接等の適宜の継手32を介しながら延長し、フープ筋12を所定高さにセットした上、その周囲に所定の型枠を形成して柱コンクリート19を打設することにより、図17及び図18に示したように本実施例の目的であるSRC造の柱33を形成することができる。
【0014】
次に、以上の第1実施例の強度に関する特徴を説明する。図19は第1実施例の強度に関する特徴を定性的に示した終局耐力曲線図である。ここで、横軸には柱脚部に作用する曲げモーメントをとり、縦軸には柱脚部に作用する軸力をとっている。因みに、軸力のプラス側は柱脚部に圧縮力として作用し、マイナス側は引張力として作用する。図中、曲線Aは補強筋7を使用した前記第1実施例の場合の柱脚部全体の終局耐力曲線であり、曲線Bは補強筋を使用しない場合の柱脚部全体の終局耐力曲線である。また、曲線Cは補強筋7を使用した前記第1実施例の場合のベースプレート1の直下の終局耐力曲線であり、曲線Dは補強筋を使用しない場合のベースプレート1の直下の終局耐力曲線である。以上の曲線Aと曲線B、及び曲線Cと曲線Dを比較すれば明らかのように、補強筋7の配筋によって、それぞれ軸力に対して増分Naあるいは増分Nbだけ耐力が増加していることが判る。すなわち、補強筋7の配筋によって、軸力に対する柱脚部全体としての終局耐力及び軸力に対するベースプレート1直下の終局耐力がそれぞれ増分Naあるいは増分Nbだけ増加し、それぞれ増分Naあるいは増分Nbだけ引張耐力が増大する。したがって、例えば図示のように、ある建物において柱脚部を設計した場合、中柱の設計耐力は、補強筋を使用しない場合の柱脚部全体の終局耐力(曲線B)の範囲内に納るが、側柱の設計においては、地震時に作用する引張力によって、前記曲線Bで示した終局耐力の範囲外に出てしまうことが想定され、側柱に関してはひとランク上の寸法の柱脚部の採用が要求される場合などにおいても、前記第1実施例に示したように、ベースプレート1の開口部4を介して補強筋7を配筋することにより、曲線Aで示した終局耐力の範囲内に納めて、設計耐力を適合し得るように改善することが可能となる。その結果、一回り小さい寸法の柱脚部の採用が可能となり、中柱等の他の柱寸法とのバランスを維持することも容易になる。
【0015】
次に、本発明の第2実施例に関して説明する。図20は第2実施例においてベースプレートを所定位置に設置して鉄骨柱を立設した施工状態を示した鉄骨部分の横断面図であり、図21は前記ベースプレートを示した部品図である。また、図22は前記ベースプレートの上方における第2実施例の施工後の要部に関する配置関係を示した横断面図である。図示のように、本実施例では、各隅部にアールをつけた正方形状のベースプレート34の上面側にT字状の鉄骨柱35の下端部を溶接して立設する場合を示した。図21に示したように、ベースプレート34の中央部には補強筋用の開口部36が形成してあり、そのベースプレート34の上面側に開口部36をウェブ37部分により二分する状態に鉄骨柱35を溶接している。図22の柱40内の要部の配置関係で示したように、ベースプレート34は、前記第1実施例と同様に、基礎コンクリートに定着したアンカーボルト38を四隅に挿通してナット39により締付け固定している。そして、前記開口部36内のウェブ37の両側には補強筋41を2本ずつ設置した。これにより、前記第1実施例の場合と同様に軸力に対する耐力が補強され、地震時等に曲げモーメントとは別に柱脚部に作用する軸力に対する引張耐力を強化することができる。なお、本実施例では、上方の定着板は使用していない。
【0016】
次に、本発明の第3実施例に関して説明する。図23はベースプレートの上方における第3実施例の施工後の要部に関する配置関係を示した横断面図であり、図24はそのベースプレートを示した部品図である。図示のように、本実施例では、H字状の鉄骨柱42に合わせて長方形状のベースプレート43を使用した場合を示した。図24に示したように、ベースプレート43の中央部には補強筋用の開口部44が形成してあり、そのベースプレート43の上面側に開口部44をウェブ45部分により二分する状態に鉄骨柱42を溶接している。ベースプレート43は、基礎コンクリートに定着したアンカーボルト46を四隅に挿通してナット47により締付け固定している。そして、図23の柱48内の要部の配置関係で示したように、前記開口部44内のウェブ45の両側に合わせて3本の補強筋49を設置した。これにより、軸力に対する耐力が補強され、地震時等に曲げモーメントとは別に柱脚部に作用する軸力に対する引張耐力を強化することができる。なお、本実施例では、上方の定着板は使用していない。
【0017】
図25〜図27は、十字状の鉄骨柱に対応した前記第1実施例の変形例を示した施工後の要部に関する配置関係を示した横断面図である。同様に、図28〜図30は、T字状の鉄骨柱に対応した前記第2実施例の変形例を示した施工後の要部に関する配置関係を示した横断面図、図31は、H字状の鉄骨柱に対応した前記第3実施例の変形例を示した施工後の要部に関する配置関係を示した横断面図である。以上の各図において、50は鉄骨柱、51はベースプレート、52はアンカーボルト、53はベースプレート51に形成した開口部、54は補強筋、55は柱をそれぞれ示し、それらの各変形例からなる実施例においても、前述の実施例と同様に、柱脚部に作用する軸力に対する引張耐力を強化することができ、地震等に対する終局耐力を向上することが可能である。なお、図中56は鉄骨柱のフランジ部間を連結する連結プレートで、この連結プレート56と鉄骨柱により囲まれるコンクリートが拘束され、補強筋54の効果が高められる。
【0018】
図32〜図35は本発明の第4実施例としてS造の根巻き型柱脚に適用した場合を示したものであり、図32はその右半分を断面として配筋状態を示した配筋状態図、図33はベースプレートの上方の根巻き部分を示した横断面図、図34はベースプレートを示した部品図、図35はベースプレートの下面部の横断面図である。本実施例では、図33及び図34に示したように、長方形状のベースプレート57を用い、そのベースプレート57の上面に溶接したH形の鉄骨柱58の下部周辺に根巻き用鉄筋59を配筋して根巻き用のコンクリート60を打設した場合を例示した。本実施例は、この根巻き用鉄筋59で補強された根巻き用のコンクリート60の部分に、図33及び図34に示したベースプレート57に形成した開口部61を介して上下に貫通した補強筋62を配筋した点で特徴を有しており、その余の構成においては前記第1実施例と基本的に異なるところはなく、同様の作用効果を奏する。なお、図中63はベースプレート57の四隅に設置したアンカーボルト、64は梁主筋、65は基礎コンクリートである。
【0019】
【発明の効果】
本発明においては、ベースプレートとアンカーボルトとの組合わせからなる柱脚構造が、鉄骨柱がベースプレートに立設される非埋込み型柱脚構造における耐力構成の観点からきわめて有効である点に着目し、そのベースプレートとアンカーボルトとの組合わせにより、地震時等に柱脚部に作用する回転モーメントに対抗し耐力を得られるように構成するとともに、前記ベースプレートの、対角上のアンカーボルトの中心間を結んだ線が交差する交点近傍に設けた開口部を上下に貫通するように適宜数の補強筋を配筋することにより、地震時等に柱脚部に作用する軸力に対抗し得る引張耐力が得られるように補強するという技術手段を採用したので、それらの両手段が相俟って、地震等に対する柱脚部全体としての耐力をより効率的に実現することが可能である。すなわち、本発明によれば、非埋込み型柱脚の施工性の良さを維持しながら、地震等に対するより効率的な耐力の確保が可能である。なお、補強筋に関して、その中心位置がベースプレートの四隅に設けるアンカーボルトの中心間を結んだ各辺をそれぞれ1/6以下に縮小した範囲内に納るように設置すれば、鉄骨柱を介して柱脚部に作用する曲げモーメントの影響を殆ど無視して設計が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例としてSRC造に適用した場合を示し、右半分を断面とした配筋状態図である。
【図2】同実施例におけるベースプレートの上方の柱部分を示した横断面図である。
【図3】同実施例におけるベースプレートを示した部品図である
【図4】同実施例におけるベースプレートの下面部の横断面図である。
【図5】アンカーボルトを所定位置にセットした状態を例示した施工状態図である。
【図6】図5中のA−A断面図である。
【図7】次の施工手順を示した施工状態図である。
【図8】図7を上方からみた平面図である。
【図9】次の施工手順を示した施工状態図である。
【図10】図9を上方からみた平面図である。
【図11】次の施工手順を示した施工状態図である。
【図12】図11を上方からみた平面図である。
【図13】次の施工手順を示した施工状態図である。
【図14】次の施工手順を示した施工状態図である。
【図15】図14を上方からみた平面図である。
【図16】次の施工手順を示した施工状態図である。
【図17】次の施工手順を示した施工状態図である。
【図18】図17を上方からみた平面図である。
【図19】前記第1実施例の強度に関する特徴を定性的に示した終局耐力曲線図である。
【図20】本発明の第2実施例においてベースプレートを所定位置に設置して鉄骨柱を立設した施工状態を示した鉄骨部分の横断面図である。
【図21】そのベースプレートを示した部品図である。
【図22】ベースプレートの上方における第2実施例の施工後の要部に関する配置関係を示した横断面図である。
【図23】ベースプレートの上方における第3実施例の施工後の要部に関する配置関係を示した横断面図である。
【図24】そのベースプレートを示した部品図である。
【図25】前記第1実施例の変形例を示した施工後の要部に関する配置関係を示した横断面図である。
【図26】前記第1実施例の他の変形例を示した施工後の要部に関する配置関係を示した横断面図である。
【図27】前記第1実施例の他の変形例を示した施工後の要部に関する配置関係を示した横断面図である。
【図28】前記第2実施例の変形例を示した施工後の要部に関する配置関係を示した横断面図である。
【図29】前記第2実施例の他の変形例を示した施工後の要部に関する配置関係を示した横断面図である。
【図30】前記第2実施例の他の変形例を示した施工後の要部に関する配置関係を示した横断面図である。
【図31】前記第3実施例の変形例を示した施工後の要部に関する配置関係を示した横断面図である。
【図32】本発明の第4実施例としてS造の根巻き柱脚に適用した場合を示し、右半分を断面とした配筋状態図である。
【図33】同実施例におけるベースプレートの上方の根巻き部分を示した横断面図である。
【図34】同実施例におけるベースプレートを示した部品図である
【図35】同実施例におけるベースプレートの下面部の横断面図である。
【符号の説明】
1…ベースプレート、2…鉄骨柱、3…挿通孔、4…開口部、5…基礎コンクリート、6…アンカーボルト、7…補強筋、8…ナット、9…梁主筋、10…スターラップ筋、11…柱主筋、12…フープ筋、13…定着板、14…ナット、15…定着板、16…ナット、17…定着板、18…ナット、19…柱コンクリート、20…捨てコンクリート、21…位置決め部材、22…支柱、23…定着板、24…上部添プレート、25…支持片、26…挿通孔、27…補強筋下部用添プレート、28…支持片、29…補強筋上部用添プレート、30…挿通孔、31…レベル調整用のモルタル、32…継手、33…柱、34…ベースプレート、35…鉄骨柱、36…開口部、37…ウェブ、38…アンカーボルト、39…ナット、40…柱、41…補強筋、42…鉄骨柱、43…ベースプレート、44…開口部、45…ウェブ、46…アンカーボルト、47…ナット、48…柱、49…補強筋、50…鉄骨柱、51…ベースプレート、52…アンカーボルト、53…開口部、54…補強筋、55…柱、56…連結プレート、57…ベースプレート、58…鉄骨柱、59…根巻き用鉄筋、60…根巻き用のコンクリート、61…開口部、62…補強筋、63…アンカーボルト、64…梁主筋、65…基礎コンクリート
Claims (4)
- 鉄骨柱を立設する角形のベースプレートの少なくとも四隅をそれぞれ基礎コンクリートに定着したアンカーボルトを介して締付け固定し、それらのベースプレートとアンカーボルトとにより、前記鉄骨柱を介して柱脚部に作用する曲げモーメントに対抗し得るように構成するとともに、前記ベースプレートの、対角上のアンカーボルトの中心間を結んだ線が交差する交点近傍に開口部を設け、該開口部を上下に貫通するように適宜数の補強筋を配筋することにより、柱脚部に作用する軸力に対する引張耐力を補強することを特徴とする非埋込み型柱脚の施工方法。
- 前記補強筋は、その中心位置がベースプレートの四隅に設けるアンカーボルトの中心間を結んだ各辺をそれぞれ1/6以下に縮小した範囲内に納るように設置することを特徴とする請求項1に記載の非埋込み型柱脚の施工方法。
- 鉄骨柱を立設する角形のベースプレートと、基礎コンクリートに定着され前記ベースプレートの少なくとも四隅をそれぞれ締付け固定するための複数本のアンカーボルトと、前記ベースプレートの、対角上のアンカーボルトの中心間を結んだ線が交差する交点近傍に設けた開口部を上下に貫通するように配筋される適宜数の補強筋を用い、前記ベースプレートとアンカーボルトとにより、柱脚部に作用する曲げモーメントに対抗し得るように構成するとともに、前記ベースプレートに設けた開口部を貫通するように配筋した適宜数の補強筋により、柱脚部に作用する軸力に対する引張耐力を補強したことを特徴とする非埋込み型柱脚構造。
- 前記補強筋は、その中心位置がベースプレートの四隅に設けるアンカーボルトの中心間を結んだ各辺をそれぞれ1/6以下に縮小した範囲内に納るように設置することを特徴とする請求項3に記載の非埋込み型柱脚構造。
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