JP2004176340A - コンクリート製耐震壁体パネル及びその設置方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】プレキャスト防火塀の軽量化を図り、その設置において、相隣れる防火塀相互に隙間を生ぜず、容易かつ精確に整準することができ、併せて、プレキャスト防火塀相互の締結をなすこと。
【解決手段】躯体部1の縦壁下部の前面に後で打設される底盤部4の補強筋としての差し筋5が設けられ、躯体部の下部の両側面には切欠き凹部6が形成されるとともに該凹部の鉛直面にインサートをもって取付け板7が定着され、前記取付け板に、高さ調整ねじ30を支持可能に備えてなる側板部8が着脱自在に配されてなる。
【選択図】 図2
【解決手段】躯体部1の縦壁下部の前面に後で打設される底盤部4の補強筋としての差し筋5が設けられ、躯体部の下部の両側面には切欠き凹部6が形成されるとともに該凹部の鉛直面にインサートをもって取付け板7が定着され、前記取付け板に、高さ調整ねじ30を支持可能に備えてなる側板部8が着脱自在に配されてなる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、相並べて設置されるコンクリート造の防火塀あるいは建物外壁等のコンクリート製壁体パネルに関し、更に詳しくは、大型化に対処でき、かつ耐震性の付与されたプレキャスト化されたコンクリート製壁体パネル及びその設置方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は先に、特開平9−195588号公報(特許文献1、以下先行発明という)により、この種のコンクリート製壁体パネルの1態様である防火塀を提案した。
すなわち、この先行発明は、
1)平板状をなすとともに両側面が真直状をなし鉛直に配される縦壁部と;該縦壁部の下端より水平方向に延設され、地盤上に定置される底盤部と;から躯体部が形成されてなる防火塀において、
前記縦壁部にはその外面側及び又は内面側の縁部に、側方に開放された接手凹部が形成され、
前記底盤部には所定間隔を存して1又は2以上のコンクリート投入用を兼ねる鉛直アンカー筋挿通用の開口が開設され、かつ、該底盤部にはその両側方部及び前方部の3か所において該底盤部の底面より突出して上下動する調整ボルトを備えるレベル調整機構が配されてなる、
ことを特徴とする防火塀。
2)上記1において、その縦壁部の基部の内面側に、根本部にねじを有する水平アンカー筋が螺入されるねじ孔を有するインサートが設置されてなることを特徴とする防火塀。
3)上記1において、相隣れる防火塀の縦壁の接手凹部に跨がって連結板が配されることを特徴とする防火塀。
4)矩形平板状をなすとともに両側面が真直状をなし鉛直に配される縦壁部と該縦壁部の下端より水平方向に延設され地盤上に定置される底盤部とから躯体部が形成されてなり、前記縦壁部にはその外面側及び又は内面側の縁部に側方に開放された接手凹部が形成され、前記底盤部には所定間隔を存して1又は2以上のコンクリート投入用を兼ねる鉛直アンカー挿通用の開口が開設され、かつ、該底盤部にはその両側方部及び前方部の3か所において該底盤部の底面より突出して上下動する調整ボルトを備えるレベル調整機構が配されてなる防火塀の設置方法であって、
前記防火塀を載置支持する基礎コンクリートに所定間隔を保って鉛直アンカー筋を植設し、
前記防火塀の複数をその開口を介して上記鉛直アンカー筋を挿通するとともに、前記レベル調整機構の調整ボルトによりレベルを調整しつつ相並べて設置し、
相隣れる接手凹部を介して連結板により縦壁部の相互を連結し、
しかる後、根固めコンクリートをもって開口を介して底盤部の下面に打設するとともに、鉛直アンカー筋を埋め殺してなる、
ことを特徴とする防火塀の設置方法。
5)矩形平板状をなすとともに両側面が真直状をなし鉛直に配される縦壁部と該縦壁部の下端より水平方向に延設され地盤上に定置される底盤部とから躯体部が形成されてなり、前記縦壁部にはその外面側及び又は内面側の縁部に側方に開放された接手凹部が形成されるとともに、その基部の内面側にねじ孔を有するインサートが設置され、前記底盤部には所定間隔を存して1又は2以上のコンクリート投入用を兼ねる鉛直アンカー挿通用の開口が開設され、かつ、該底盤部にはその両側方部及び前方部の3か所において該底盤部の底面より突出して上下動する調整ボルトを備えるレベル調整機構が配されてなる防火塀の設置方法であって、
前記防火塀を載置支持する基礎コンクリートに所定間隔を保って鉛直アンカー筋を植設し、
前記防火塀の複数をその開口を介して上記鉛直アンカー筋を挿通するとともに、前記レベル調整機構の調整ボルトによりレベルを調整しつつ相並べて設置し、
前記縦壁部のインサートのねじ孔に根本部にねじを有する水平アンカー筋を螺入し、
相隣れる接手凹部を介して連結板により縦壁部の相互を連結し、
しかる後、根固めコンクリートをもって開口を介して底盤部の下面に打設するとともに、鉛直アンカー筋及び水平アンカー筋を埋め殺してなる、
ことを特徴とする防火塀の設置方法。
しかして、この先行発明は次の作用を発揮する。
レベル調整機構の調整ボルトにより底盤部の底面と基礎コンクリートの上面との間に空間が保持され、かつ、該調整ボルトの上下動により防火塀相互は整準され、相隣れる防火塀の縦壁の側面相互は密接するとともに、それらの対向する接手凹部は精確に対設し、連結板により連結される。
底盤部の開口を介して打設された根固めコンクリートは、基礎コンクリートと底盤部の底面との空隙部に充填され、かつ、底盤部の上部においても水平アンカー筋と垂直アンカー筋とは根固めコンクリート中に埋設され、一体となって強固な定着をなす。
この先行発明の防火塀によれば、レベル調整機構を備えたことにより、基礎コンクリートの上面の平坦度に厳密性を要求されず、当該基礎コンクリート上に精確に据え付けられ、このため、相隣合う防火塀相互の側面は密着するとともに、それらの相対向する接手凹部の相互は精確に連接され、連結板による接合作業を容易になすことができる。
また、防火塀の基礎部分に打設される根固めコンクリートは、底盤部の下面では該底盤部の開口を介して基礎コンクリートと底盤部の底面との空間を密実に閉塞し、底盤部相互の隙間、及び縦壁部の後面へと回り込み、かつ、底盤部の上面では水平アンカー筋と鉛直アンカー筋とを介して、防火塀の躯体部と基礎コンクリートとを一体化し、強固な構造体が得られる。
【0003】
(問題点)
しかして、近年この防火塀の高度化・長尺化・大型化の要請が更に進むにつれ、当該先行発明等の従来の防火塀によっては重量の増大化が避けられず、輸送における積込み作業手間の増大化、輸送コストの増加をもたらすのに加え、据付け・設置作業においてもその重量化から招来される設置手間が大きな問題となっている。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−195588号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実情に鑑みなされたものであって、本出願人のなした先行発明を更に発展させ、該先行発明の特長(相隣れる防火塀相互に隙間を生ぜず、該防火塀を容易かつ精確に整準することができ、併せて、防火塀相互の締結をなす。)を保持しつつ、防火塀のみならず建築物の外壁にも適用できるコンクリート製壁体パネル一般に付き、大型化の要請に応えうることができ、かつ耐震性を発揮することができる新規な構成のコンクリート製壁体パネルを提供することを目的とする。
本発明は更に、そのコンクリート製壁体パネルの設置方法を提供することも他の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1はコンクリート製壁体パネルであって、請求項1に記載のとおり、
平板状をなすとともに両側面が真直状をなし鉛直に配される縦壁の躯体部において、
前記躯体部の板面の一又は二面の当該躯体部下部には後で打設される底盤部の補強筋としての差し筋が突設され、
前記躯体部の下部の両側面には該躯体部の底面に連なる切欠き凹部が形成されるとともに該切欠き凹部の鉛直面に取付け板が定着され、
前記取付け板には実質的に底盤部の設けられる側の水平方向に延設される水平支持材が着脱可能に固定され、
かつ前記水平支持材には高さ調整用ねじが前記躯体部を支持可能に備えてなる、
ことを特徴とする。
上記において、「実質的に底盤部の設けられる側の水平方向に延設される」とは底盤部が一面のみに設けられる場合、当該水平支持材が躯体部の底盤部の設けられない側への延設を除外するものではないことを意味する。
上記構成において、
▲1▼取付け板は躯体部に埋設されたインサートにより定着され、側板部は該取付け板のインサート孔にねじをもって固定されること、
▲2▼縦壁の両側面には、相隣れる縦壁との連結をなす連結具が配されてなること、
▲3▼水平支持材の外方側部は躯体部の側面よりも突出しないこと、
は適宜選択実施される技術的事項である。
【0007】
本発明の第2は同じくコンクリート製壁体パネルであって、請求項4に記載のとおり、
平板状をなすとともに両側面が真直状をなし鉛直に配される縦壁の躯体部において、
前記躯体部の板面の一又は二面の当該躯体部下部には後で打設される底盤部の補強筋としての差し筋が突設され、
前記躯体部の下部の両側面には該躯体部の底面に連なる切欠き凹部が形成されるとともに該切欠き凹部の鉛直面に取付け板が定着され、
前記取付け板には実質的に前記底盤部の設けられる側の水平方向に延設される水平支持材が着脱可能に固定されてなる、
ことを特徴とする。
上記において、「実質的に底盤部の設けられる側の水平方向に延設される」とは底盤部が一面のみに設けられる場合、当該水平支持材が躯体部の底盤部の設けられない側への延設を除外するものではないことを意味する。
上記構成において、
▲1▼取付け板は躯体部に埋設されたインサートにより定着され、側板部は該取付け板のインサート孔にねじをもって固定されること、
▲2▼縦壁の両側面には、相隣れる縦壁との連結をなす連結具が配されてなること、
▲3▼水平支持材の外方側部は躯体部の側面よりも突出しないこと、
は適宜選択実施される技術的事項である。
【0008】
本発明の第3は上記第1発明のコンクリート製壁体パネルの設置方法であって、請求項5に記載のとおり、
平板状をなすとともに両側面が真直状をなす縦壁の躯体部の板面の一又は二面の当該躯体部下部に底盤部の補強筋としての差し筋が突設され、該躯体部の下部の両側面には該躯体部の底面に連なる切欠き凹部が形成されるとともに該切欠き凹部の鉛直面に取付け板が定着され、該取付け板には実質的に前記底盤部の設けられる側の水平方向に延設される水平支持材が着脱可能に固定され、かつ前記水平支持材には高さ調整用ねじが前記躯体部を支持可能に備えてなるコンクリート製壁体パネルの設置方法であって、
前記水平支持材を介して前記躯体部を支持面上に載置し、
前記水平支持材の高さ調整用ねじをもって躯体部の整準をなし、
前記差し筋回りに底盤部の型枠を配するとともに、該差し筋回りにコンクリートを打設する、
ことを特徴とする。
上記方法において、
▲1▼補助手段をもって縦壁の躯体部を支持すること、
▲2▼底盤部のコンクリートの打設に先立って差し筋に通し筋を配してなること、
は適宜選択実施される技術的事項である。
【0009】
(作用)
このコンクリート製壁体パネルの躯体部は工場において製造される。
このコンクリート製壁体パネルを相並べて壁体構造が構築される。
側板部を取り付けたコンクリート製壁体パネルの躯体部を該側板部を介して基礎コンクリート等の支持面上に載置し、高さ調整用ねじをもって躯体部の整準をなす。支持面と当該躯体部の底面とは所定の間隙、すなわち高さ調整用ねじの躯体部の底面からの突出する距離、を保持する。相隣れるコンクリート製壁体パネルを同様にして設置し、それらの躯体部の側面相互を密接状態とし、適宜それらの対向する接手凹部間を連結板により連結する。
また、差し筋に直交して底盤用の通し筋を配し、かつ差し筋回りに底盤用の型枠を配するとともに、該差し筋回りにコンクリートを打設する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のコンクリート製耐震壁体パネル及びその設置方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態の構成)
図1〜図8は本発明のコンクリート製耐震壁体パネルの一実施形態を示し、コンクリート製耐震防火塀への適用例を示す。すなわち、図1〜図4はそのコンクリート製耐震防火塀Hの全体の構成を示し、図5〜図8はその部分構成を示す。また、図9・図10は施工要領を示す。
【0011】
本実施形態のコンクリート製耐震防火塀Hは、
その躯体部1は、所定の厚みを有し等幅の平板状をなす縦壁上部2と、所定の厚みを有し、該縦壁上部2の下部に連なって該縦壁上部2と実質的に等幅をなす縦壁下部3とからなり、
該縦壁下部3の前面には後で打設される底盤部4の補強筋としての複数の差し筋5が所定間隔を保持して前方に向けて突設され、
該縦壁下部3の下部側面には切欠き凹部6が形成され、該切欠き凹部6にインサートを有する取付け板7が固設されてなる。
本コンクリート製耐震防火塀Hは更に、取付け板7に後付けされる水平支持材8を含む。
以下、本防火塀Hにおいて、底盤部4側を前部、その反対側を後部という。
【0012】
以下、各部の細部構造を説明する。
躯体部1
躯体部1は縦壁上部2と縦壁下部3の一体構造からなる。
縦壁上部2(図1〜図8参照)
縦壁上部2は、所定厚さを有し、一定幅の矩形板状をなし、その両側面は真直状をなす。該縦壁上部2は充分な丈高を有し、敷地内の舗装コンクリート面より上部に立設され、防火機能を果たす。
【0013】
(上部接手凹部10)
縦壁上部2の上部において、後面の両縁部に上部接手凹部10が形成される。該上部接手凹部10は縦壁上部2の側面に対して開放される。
【0014】
図5・図6はこの上部接手凹部10及び連結手段の詳細を示す。
すなわち、該上部接手凹部10は底面に底板11が埋め込まれ、3方が壁面となり、該底板11はその裏面に固着した定着筋12により躯体中に定着される。底板11には孔11aが開設され、該孔11aに連通するねじ孔13aを有するインサート13が底板11の底面に固着されている。
しかして、隣接する防火塀Hの縦壁上部2相互はこの上部接手凹部10が相並び、連結手段をもって接合される。すなわち、上部接手凹部10に跨がって連結板15が配され、該連結板15に開設されたボルト挿通孔15aは底板11の孔11aと一致する。固定ボルト16はこれらの孔15a,11aを介してインサート13のねじ孔13aに螺入される。
【0015】
縦壁下部3(図1〜4、図7、図8参照)
縦壁下部3は、所定の厚みを有し、縦壁上部2の下部に連なり、該縦壁上部2と実質的に等幅をなす。
該縦壁下部3の厚みは縦壁上部2の厚みよりも大きくされる。すなわち、前面において縦壁上部2と面一となり、後面においては縦壁上部2より段差をもって突出される。しかし、該該縦壁下部3の厚みは縦壁上部2の厚みと同一とされ、前面及び後面において面一となることに何ら妨げはない。すなわち、その厚みは本質的事項ではない。
【0016】
(下部接手凹部18)
縦壁下部3において、前面の両縁部に下部接手凹部18が形成される。該下部接手凹部18は上部接手凹部10の構成に準じる。すなわち、19は底板、20は定着筋、21はインサートである。底板19にはボルト挿通孔、インサート21にはねじ孔が開設される。また、23は連結板、24は固定ボルトである。連結板23はボルト挿通孔が開設される。
【0017】
差し筋5(図1、図2、図4、図7参照)
差し筋5は、複数の折り曲げ鉄筋よりなり、その両端を縦壁下部3に埋め込まれ、かつ、縦壁下部3より前方に突出する。該差し筋5は、後で現場打設されるフーチングとしての底盤部4の補強筋となるものであり、従って、底盤部4の断面形状に相似する折り曲げ加工がなされる。5aはその斜め筋、5bはその水平筋である。
複数の差し筋5は同一の位相を保って縦壁の幅方向に所定間隔をもって、相並べて配される。図例では等間隔を保つが、場合によっては不等間隔になすこともできる。差し筋5の基部は図示しないが、躯体1の鉄筋に固定される。
なお、該差し筋5には後でなされるコンクリートの打設に先立って、通し筋(54、図7中破線表示)が配筋される。
【0018】
切欠き凹部6・取付け板7(図1〜図3、図7、図8参照)
縦壁下部3の下部側面に切欠き凹部6が形成される。切欠き凹部6の凹入長は取付け板7及び後記する底盤側板部8を取り付けて縦壁下部3の側面より突出しない長さとされる。
取付け板7は上下に細長い矩形平板状をなし、この切欠き凹部6の鉛直壁面6aに当接され、躯体部1内に埋設されたインサート26に取り付けられる。
図7・図8はこの取付け板7の取付け構造の詳細を示す。
すなわち、取付け板7は上下に相隔ててボルト挿通孔7aが開設され、インサート26は該ボルト挿通孔7aに連通するねじ孔26aを有し、躯体部1内に埋設される。
しかして、取付け板7はそのボルト挿通孔7aをインサート26のねじ孔26aに一致させ、取付けボルト27を回動締め込んで固定する。なお、27aは上方の取付けボルト27、27bは下方の取付けボルト27を示す。
【0019】
水平支持材8
水平支持材8は、本体1の下部に取付け板7を介して取り付けられ、躯体部1の支持をなすとともに躯体部1の整準をなす機能を担う。
該水平支持材8は、断面がL字状をなし細長状の本体29と、該本体29のねじ孔に螺合される高さ調整用ねじ30とからなる。
もっと詳しくは、該水平支持材8の本体29は、鉛直部29aと水平部29bとから断面L字状をなし、水平に延設される。鉛直部29aにはボルト挿通孔8aが開設され、該ボルト挿通孔8aを取付け板7のボルト挿通孔7aに一致させ、取付けボルト27bを回動締め込んで該底盤側板部8の固定をなす。なお、下方取り付けボルト27bは一旦取り付け板7から外され、使用される。水平支持材8の取付け状態において、鉛直部29aの上縁は差し筋5の水平筋5bの頭部より突出しないものとされ、その下方にあることが肝要である。
水平部29bには、水平方向の両端部近傍部にねじ孔8bが開設され、該ねじ孔8bに高さ調整用ねじ30が螺合される。該高さ調整用ねじ30はボルト体であって、その先端部は平坦もしくは曲面をなし、支持面に当接させる。該水平支持材8の本体29の底面は躯体部1の底面に面一とされ、高さ調整用ねじ30の突出下端により、支持面と躯体部1底面とは適宜の空間間隙を保持する。
【0020】
この水平支持材8において、次の点が留意される。
▲1▼水平支持材8の本体29の長さは十分に長くされ、取付け板7に取り付けられたとき、後方へも延設され、躯体部1の支持の安定性を図る。
▲2▼水平支持材8の本体29の幅は取付け板7に取り付けられたとき、躯体部1の側面より突出しないようにされる。これにより、横方向に他の防火塀Hを配したとき相互の防火塀Hは干渉しない。
▲3▼水平支持材8の水平部29bの底面は必ずしも躯体部1の底面に一致させる必要はない。要は、高さ調整用ねじ30が躯体部1の底面より突出して支持面との間隙を形成し得ればよい。
▲4▼ボルト挿通孔8aは図例では1か所であるが、それに相並んで他のボルト挿通孔8aを設けてもよい。
▲5▼水平支持材8の取付け板7への取付けにおいて、該水平支持材8の鉛直部29aの取付け板7との当接部分の高さを高くして上部ボルト27aを使用する態様を採ることができる。
▲6▼水平支持材8の水平部29bを可及的厚くし、ねじ孔8bのねじ山数を増加させる態様を採ることができる。
▲7▼水平支持材8のねじ孔8b部分を厚くするため別途ナットを溶接をもって添設する態様を採ることができる。
【0021】
(その他の構成)
躯体部1には更に、縦壁上部2の上端に臨んで吊り込み用のインサート32が埋設される。
また、本防火塀Hの建込みにおいて、独自の支持補助具が使用される。
図9にその1例としての支持補助具Iが示される。
該支持補助具Iは、長尺の管状体からなり長さの調整できる支柱部34を主体とし、該支柱部34の上端に取り付けられる把持部35と、該支柱部34の下端に取り付けられるアンカー材36とからなる。もっと詳しくは、支柱部34は複数(図例では2)の単位管状体38の連なりよりなり、単位管状体38相互は入子式になっており、該入子部分にねじをもって長さの調整できる調整ねじ39が配される。しかして該支柱部34は管軸方向には伸縮でき、剛性を保つ。把持部35は本防火塀Hの躯体部1の上縁を把持するコ字状断面を持つ型材よりなり、該型材より張設されるリブが支柱部34の上部とピン結合され、屈撓性を有する。型材の長さは短尺であるが、それに限定されない。アンカー材36は、地盤に打ち込まれ、頭部を支柱部34の下部とピン結合され、屈撓性を有する。
【0022】
(躯体部1の作製)
この防火塀Hの躯体部1は、工場において製作される。
すなわち、躯体部1の前面が下方になるようにその鉄筋組を型枠内に設置し、該鉄筋組に接手凹部10,18の底板11,19、定着筋12,20、インサート13,21、またインサート26をそれぞれ組み付け、更に差し筋5の基部を躯体部1の鉄筋組に固定し、しかる後コンクリートを打設する。接手凹部10,18の凹部は箱抜きにより成形される。
【0023】
(実施形態の作用・効果)
上記のように構成された本実施形態のコンクリート製防火塀Hは以下の施工手順をもって設置される。
図9・図10はその施工要領を示す。工事に先立って、工場において本コンクリート製防火塀Hの躯体部1が製造され、施工現場に搬入されるが、取付け板7及び水平支持材8の取付けは工場においても、あるいは現場においてもなすことは自由である。
以下、設置施工の工程順に説明する。
【0024】
(1) 本コンクリート製防火塀Hが設置される位置に沿って地盤Eを掘り下げて根切り50をなし、割栗石51により基礎地盤Eを整地し、該割栗石51上に基礎コンクリート52を構築する。該基礎コンクリート52は防火塀Hの荷重を支持するものであり、十分な強度をもって構築される。該基礎コンクリート52はその上面を可及的に平坦にされる。
また要すれば、これと同時に支持補助具Iのアンカー材36が地盤Eに打ち込まれる。
【0025】
(2) 基礎コンクリート52が固結した後、本防火塀Hの躯体部1を、その吊り込みインサート32を利用してクレーン(図示せず)を利用して吊り込み、水平支持材8を介して基礎コンクリート52上に建て込む。
また、支持補助具Iも適宜使用され、その把持部35を躯体部1の上端に固定し、支柱部34を把持部35とアンカー材36とに掛け渡し、張力を調整して本防火塀Hの安定を図る。
【0026】
(3) 水平支持材8の高さ調整用ねじ30のレベル調整により当該躯体部1を整準し、精確に設置する。
すなわち、水平支持材8の高さ調整用ねじ30を正あるいは逆回動して当該調整用ねじ30の突出長を調整して当該躯体部1の整準をなす。これにより、隣合う防火塀Hの躯体部1相互の側面は密着し、同時に該躯体部1の上部および下部接手凹部10,18が連設される。次いで、これらの接手凹部10,18に対し、連結板15,23を底板11,19に当接するとともに該連結板15,23を介して固定ボルト16,24をインサート13,21のねじ孔13a,23aに螺入し、接合をなす。
【0027】
(4) 差し筋5を介して、通し筋54を配筋する。
すなわち、通し筋54は底盤部4の水平横筋を構成し、差し筋5の斜め筋5a、水平筋5bに固定して配筋する。該通し筋54は適宜の長さを採るが、通常には1本ものの通し筋54が複数の防火塀Hを通して連続して配筋される。このとき、水平筋5bに固定される通し筋54においても水平支持材8に妨げられず直線状に配することができる。
【0028】
(5) 相並べられた躯体部1の前方の差し筋5を囲んで底盤4用の型枠(図示せず)を設置する。型枠は躯体部1の前方のみならず後方にも設置される。しかる後、コンクリート55を打設する。底盤部コンクリート55の固結を待って型枠を撤去する。
このようにして、躯体部1並びに底盤部4とにより防火塀Hが築造される。
【0029】
(6) その後、本防火塀Hの基礎部回りの埋め戻し作業が行われ、更に地表部において舗装コンクリート57が施工される。該舗装コンクリート57は縦壁下部3の上端、換言すれば縦壁上部2と縦壁下部3との境部、に位置することを目安とする。
【0030】
以上のように、本実施形態のコンクリート製防火塀Hによれば、底盤部4が差し筋5のみとなっており、全体の重量が大幅に軽量化でき、施工現場への搬送に付き輸送コストが大幅に低減される。かつ、軽量化によりこの防火塀の建て込み作業が容易となり、防火塀の構築作業の効率化に寄与する。また、従来の防火塀と同一の重量であれば、それだけ高さを高く採れ、大型化を達成することができる。
更には、躯体部1はプレハブ化され工場で製作可能となり、製作精度が向上し、防火塀の構築の際、相隣れる躯体部1相互が密接状態を保持することができる。
水平支持材8の取付け板7への取付けは、インサート26を介してなされるので、取付けボルト27による当該水平支持材8の取付け作業が容易であり、かつ、着脱自在であり、利便性が増大する。
また、本防火塀Hの建て込み作業に際し、水平支持材8の高さ調整用ねじ30のレベル調整機能により、基礎コンクリート52の上面の平坦度に厳密性を要求されず、この基礎コンクリート52上に精確に据え付けられ、このため、相隣合う防火塀H相互の側面は密着するとともに、それらの相対向する接手凹部10,18の相互は精確に連接され、連結板15,23による接合作業を容易になすことができる。
更に、相並べられた防火塀H相互の差し筋5に通し筋54を一体的に配することができ、後で打設される底盤用のコンクリート55と一体となり、従来の既製の底盤(フーチング)よりも強固な構造とすることができる。なおこの際、本実施形態の水平支持材8は通し筋54の設置の障害にならず、該通し筋54の直通化を保障する。
以上の一体化構成により、本コンクリート製防火塀は耐震性を確保し、耐震防火塀としての機能を果たすことができる。
【0031】
叙上の実施形態では底盤部4は躯体部1の一方の面すなわち前面にのみ設けられたが、両面に設けられる態様を除外するものではない。この場合, 差し筋5は両面に設けられることは勿論である。
叙上の実施形態では水平支持材8は高さ調整用ねじ30を有するが、該ねじ30を廃し、本体29のみの態様を採ることもできる。この場合、本体29の下面は躯体部1の下底より突出することは勿論である。
叙上の実施形態ではその用途としてコンクリート製防火塀への適用に付いて述べたが、建物のコンクリート製外壁への適用も除外するものではない。更には、コンクリート製擁壁へも適用される。
【0032】
本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術思想の範囲内で種々設計変更が可能である。すなわち、以下の態様は本発明の技術範囲内に包含されるものである。
▲1▼差し筋5は図例では折り曲げ加工されてなるが、上下に分離されてもよい。
また、短筋をもってその基部を躯体部1に埋め込み、その突出端を継手を介して接合する態様を採りうる。
▲2▼接合凹部10,18の数、高さ位置は図例に限定されない。
▲3▼接合凹部10,18相互の連結は連結板を介して溶接接合によることもできる。
【0033】
【発明の効果】
本発明のコンクリート製壁体パネルによれば、底盤部が差し筋のみとなっており、全体の重量が大幅に軽量化でき、輸送コストが大幅に低減される。かつ、軽量化によりこの外壁パネルの建て込み作業が容易となり、外壁体の構築作業の効率化に寄与する。また、従来のコンクリート製壁体パネルと同一の重量であれば、それだけ高さを高く及び又は幅を広く採れ、大型化を達成することができる。
更には、躯体部はプレハブ化され工場で製作可能となり、製作精度が向上し、外壁体を構築する際、相隣れる躯体部相互が密接状態を保持することができる。
また、本コンクリート製壁体パネルの建て込み作業に際し、水平支持材の高さ調整用ねじのレベル調整機能により、支持面の平坦度に厳密性を要求されず、支持面上に精確に据え付けられ、このため、相隣合うコンクリート製壁体パネル相互の側面は密着するとともに、それらの相対向する接手凹部の相互は精確に連接され、連結板による接合作業を容易になすことができる。
更に、相並べられたコンクリート製壁体パネル相互の差し筋に通し筋を一体的に配することができ、後で打設される底盤用のコンクリートと一体となり、従来の既製の底盤(フーチング)よりも強固な構造とすることができる。
以上の一体化構成により、本コンクリート製壁体パネルは耐震性を確保し、耐震外壁パネルとしての機能を果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコンクリート製壁体パネルの一実施形態を示す防火塀の前面図(図2の1方向矢視図)。
【図2】その側面図(図1の2方向矢視図)。
【図3】その背面図(図2の3方向矢視図)。
【図4】その平面図(図3の4方向矢視図)。
【図5】本防火塀の上部接手凹部の拡大構造図(図6の5方向矢視図)。
【図6】上部接手凹部の正面図。
【図7】本防火塀の要部である縦壁下部の拡大側面図。
【図8】図7の8−8線断面図。
【図9】施工要領図。
【図10】施工要領図。
【符号の説明】
H…コンクリート製防火塀(コンクリート製壁体パネル)、1…躯体部、2…縦壁上部、3…縦壁下部、4…底盤部、5…差し筋、6…切欠き凹部、7…取付け板、8…水平支持材、26…インサート、30…高さ調整用ねじ、52…基礎コンクリート、54…通し筋、55…底盤部コンクリート
【発明の属する技術分野】
この発明は、相並べて設置されるコンクリート造の防火塀あるいは建物外壁等のコンクリート製壁体パネルに関し、更に詳しくは、大型化に対処でき、かつ耐震性の付与されたプレキャスト化されたコンクリート製壁体パネル及びその設置方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は先に、特開平9−195588号公報(特許文献1、以下先行発明という)により、この種のコンクリート製壁体パネルの1態様である防火塀を提案した。
すなわち、この先行発明は、
1)平板状をなすとともに両側面が真直状をなし鉛直に配される縦壁部と;該縦壁部の下端より水平方向に延設され、地盤上に定置される底盤部と;から躯体部が形成されてなる防火塀において、
前記縦壁部にはその外面側及び又は内面側の縁部に、側方に開放された接手凹部が形成され、
前記底盤部には所定間隔を存して1又は2以上のコンクリート投入用を兼ねる鉛直アンカー筋挿通用の開口が開設され、かつ、該底盤部にはその両側方部及び前方部の3か所において該底盤部の底面より突出して上下動する調整ボルトを備えるレベル調整機構が配されてなる、
ことを特徴とする防火塀。
2)上記1において、その縦壁部の基部の内面側に、根本部にねじを有する水平アンカー筋が螺入されるねじ孔を有するインサートが設置されてなることを特徴とする防火塀。
3)上記1において、相隣れる防火塀の縦壁の接手凹部に跨がって連結板が配されることを特徴とする防火塀。
4)矩形平板状をなすとともに両側面が真直状をなし鉛直に配される縦壁部と該縦壁部の下端より水平方向に延設され地盤上に定置される底盤部とから躯体部が形成されてなり、前記縦壁部にはその外面側及び又は内面側の縁部に側方に開放された接手凹部が形成され、前記底盤部には所定間隔を存して1又は2以上のコンクリート投入用を兼ねる鉛直アンカー挿通用の開口が開設され、かつ、該底盤部にはその両側方部及び前方部の3か所において該底盤部の底面より突出して上下動する調整ボルトを備えるレベル調整機構が配されてなる防火塀の設置方法であって、
前記防火塀を載置支持する基礎コンクリートに所定間隔を保って鉛直アンカー筋を植設し、
前記防火塀の複数をその開口を介して上記鉛直アンカー筋を挿通するとともに、前記レベル調整機構の調整ボルトによりレベルを調整しつつ相並べて設置し、
相隣れる接手凹部を介して連結板により縦壁部の相互を連結し、
しかる後、根固めコンクリートをもって開口を介して底盤部の下面に打設するとともに、鉛直アンカー筋を埋め殺してなる、
ことを特徴とする防火塀の設置方法。
5)矩形平板状をなすとともに両側面が真直状をなし鉛直に配される縦壁部と該縦壁部の下端より水平方向に延設され地盤上に定置される底盤部とから躯体部が形成されてなり、前記縦壁部にはその外面側及び又は内面側の縁部に側方に開放された接手凹部が形成されるとともに、その基部の内面側にねじ孔を有するインサートが設置され、前記底盤部には所定間隔を存して1又は2以上のコンクリート投入用を兼ねる鉛直アンカー挿通用の開口が開設され、かつ、該底盤部にはその両側方部及び前方部の3か所において該底盤部の底面より突出して上下動する調整ボルトを備えるレベル調整機構が配されてなる防火塀の設置方法であって、
前記防火塀を載置支持する基礎コンクリートに所定間隔を保って鉛直アンカー筋を植設し、
前記防火塀の複数をその開口を介して上記鉛直アンカー筋を挿通するとともに、前記レベル調整機構の調整ボルトによりレベルを調整しつつ相並べて設置し、
前記縦壁部のインサートのねじ孔に根本部にねじを有する水平アンカー筋を螺入し、
相隣れる接手凹部を介して連結板により縦壁部の相互を連結し、
しかる後、根固めコンクリートをもって開口を介して底盤部の下面に打設するとともに、鉛直アンカー筋及び水平アンカー筋を埋め殺してなる、
ことを特徴とする防火塀の設置方法。
しかして、この先行発明は次の作用を発揮する。
レベル調整機構の調整ボルトにより底盤部の底面と基礎コンクリートの上面との間に空間が保持され、かつ、該調整ボルトの上下動により防火塀相互は整準され、相隣れる防火塀の縦壁の側面相互は密接するとともに、それらの対向する接手凹部は精確に対設し、連結板により連結される。
底盤部の開口を介して打設された根固めコンクリートは、基礎コンクリートと底盤部の底面との空隙部に充填され、かつ、底盤部の上部においても水平アンカー筋と垂直アンカー筋とは根固めコンクリート中に埋設され、一体となって強固な定着をなす。
この先行発明の防火塀によれば、レベル調整機構を備えたことにより、基礎コンクリートの上面の平坦度に厳密性を要求されず、当該基礎コンクリート上に精確に据え付けられ、このため、相隣合う防火塀相互の側面は密着するとともに、それらの相対向する接手凹部の相互は精確に連接され、連結板による接合作業を容易になすことができる。
また、防火塀の基礎部分に打設される根固めコンクリートは、底盤部の下面では該底盤部の開口を介して基礎コンクリートと底盤部の底面との空間を密実に閉塞し、底盤部相互の隙間、及び縦壁部の後面へと回り込み、かつ、底盤部の上面では水平アンカー筋と鉛直アンカー筋とを介して、防火塀の躯体部と基礎コンクリートとを一体化し、強固な構造体が得られる。
【0003】
(問題点)
しかして、近年この防火塀の高度化・長尺化・大型化の要請が更に進むにつれ、当該先行発明等の従来の防火塀によっては重量の増大化が避けられず、輸送における積込み作業手間の増大化、輸送コストの増加をもたらすのに加え、据付け・設置作業においてもその重量化から招来される設置手間が大きな問題となっている。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−195588号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実情に鑑みなされたものであって、本出願人のなした先行発明を更に発展させ、該先行発明の特長(相隣れる防火塀相互に隙間を生ぜず、該防火塀を容易かつ精確に整準することができ、併せて、防火塀相互の締結をなす。)を保持しつつ、防火塀のみならず建築物の外壁にも適用できるコンクリート製壁体パネル一般に付き、大型化の要請に応えうることができ、かつ耐震性を発揮することができる新規な構成のコンクリート製壁体パネルを提供することを目的とする。
本発明は更に、そのコンクリート製壁体パネルの設置方法を提供することも他の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1はコンクリート製壁体パネルであって、請求項1に記載のとおり、
平板状をなすとともに両側面が真直状をなし鉛直に配される縦壁の躯体部において、
前記躯体部の板面の一又は二面の当該躯体部下部には後で打設される底盤部の補強筋としての差し筋が突設され、
前記躯体部の下部の両側面には該躯体部の底面に連なる切欠き凹部が形成されるとともに該切欠き凹部の鉛直面に取付け板が定着され、
前記取付け板には実質的に底盤部の設けられる側の水平方向に延設される水平支持材が着脱可能に固定され、
かつ前記水平支持材には高さ調整用ねじが前記躯体部を支持可能に備えてなる、
ことを特徴とする。
上記において、「実質的に底盤部の設けられる側の水平方向に延設される」とは底盤部が一面のみに設けられる場合、当該水平支持材が躯体部の底盤部の設けられない側への延設を除外するものではないことを意味する。
上記構成において、
▲1▼取付け板は躯体部に埋設されたインサートにより定着され、側板部は該取付け板のインサート孔にねじをもって固定されること、
▲2▼縦壁の両側面には、相隣れる縦壁との連結をなす連結具が配されてなること、
▲3▼水平支持材の外方側部は躯体部の側面よりも突出しないこと、
は適宜選択実施される技術的事項である。
【0007】
本発明の第2は同じくコンクリート製壁体パネルであって、請求項4に記載のとおり、
平板状をなすとともに両側面が真直状をなし鉛直に配される縦壁の躯体部において、
前記躯体部の板面の一又は二面の当該躯体部下部には後で打設される底盤部の補強筋としての差し筋が突設され、
前記躯体部の下部の両側面には該躯体部の底面に連なる切欠き凹部が形成されるとともに該切欠き凹部の鉛直面に取付け板が定着され、
前記取付け板には実質的に前記底盤部の設けられる側の水平方向に延設される水平支持材が着脱可能に固定されてなる、
ことを特徴とする。
上記において、「実質的に底盤部の設けられる側の水平方向に延設される」とは底盤部が一面のみに設けられる場合、当該水平支持材が躯体部の底盤部の設けられない側への延設を除外するものではないことを意味する。
上記構成において、
▲1▼取付け板は躯体部に埋設されたインサートにより定着され、側板部は該取付け板のインサート孔にねじをもって固定されること、
▲2▼縦壁の両側面には、相隣れる縦壁との連結をなす連結具が配されてなること、
▲3▼水平支持材の外方側部は躯体部の側面よりも突出しないこと、
は適宜選択実施される技術的事項である。
【0008】
本発明の第3は上記第1発明のコンクリート製壁体パネルの設置方法であって、請求項5に記載のとおり、
平板状をなすとともに両側面が真直状をなす縦壁の躯体部の板面の一又は二面の当該躯体部下部に底盤部の補強筋としての差し筋が突設され、該躯体部の下部の両側面には該躯体部の底面に連なる切欠き凹部が形成されるとともに該切欠き凹部の鉛直面に取付け板が定着され、該取付け板には実質的に前記底盤部の設けられる側の水平方向に延設される水平支持材が着脱可能に固定され、かつ前記水平支持材には高さ調整用ねじが前記躯体部を支持可能に備えてなるコンクリート製壁体パネルの設置方法であって、
前記水平支持材を介して前記躯体部を支持面上に載置し、
前記水平支持材の高さ調整用ねじをもって躯体部の整準をなし、
前記差し筋回りに底盤部の型枠を配するとともに、該差し筋回りにコンクリートを打設する、
ことを特徴とする。
上記方法において、
▲1▼補助手段をもって縦壁の躯体部を支持すること、
▲2▼底盤部のコンクリートの打設に先立って差し筋に通し筋を配してなること、
は適宜選択実施される技術的事項である。
【0009】
(作用)
このコンクリート製壁体パネルの躯体部は工場において製造される。
このコンクリート製壁体パネルを相並べて壁体構造が構築される。
側板部を取り付けたコンクリート製壁体パネルの躯体部を該側板部を介して基礎コンクリート等の支持面上に載置し、高さ調整用ねじをもって躯体部の整準をなす。支持面と当該躯体部の底面とは所定の間隙、すなわち高さ調整用ねじの躯体部の底面からの突出する距離、を保持する。相隣れるコンクリート製壁体パネルを同様にして設置し、それらの躯体部の側面相互を密接状態とし、適宜それらの対向する接手凹部間を連結板により連結する。
また、差し筋に直交して底盤用の通し筋を配し、かつ差し筋回りに底盤用の型枠を配するとともに、該差し筋回りにコンクリートを打設する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のコンクリート製耐震壁体パネル及びその設置方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態の構成)
図1〜図8は本発明のコンクリート製耐震壁体パネルの一実施形態を示し、コンクリート製耐震防火塀への適用例を示す。すなわち、図1〜図4はそのコンクリート製耐震防火塀Hの全体の構成を示し、図5〜図8はその部分構成を示す。また、図9・図10は施工要領を示す。
【0011】
本実施形態のコンクリート製耐震防火塀Hは、
その躯体部1は、所定の厚みを有し等幅の平板状をなす縦壁上部2と、所定の厚みを有し、該縦壁上部2の下部に連なって該縦壁上部2と実質的に等幅をなす縦壁下部3とからなり、
該縦壁下部3の前面には後で打設される底盤部4の補強筋としての複数の差し筋5が所定間隔を保持して前方に向けて突設され、
該縦壁下部3の下部側面には切欠き凹部6が形成され、該切欠き凹部6にインサートを有する取付け板7が固設されてなる。
本コンクリート製耐震防火塀Hは更に、取付け板7に後付けされる水平支持材8を含む。
以下、本防火塀Hにおいて、底盤部4側を前部、その反対側を後部という。
【0012】
以下、各部の細部構造を説明する。
躯体部1
躯体部1は縦壁上部2と縦壁下部3の一体構造からなる。
縦壁上部2(図1〜図8参照)
縦壁上部2は、所定厚さを有し、一定幅の矩形板状をなし、その両側面は真直状をなす。該縦壁上部2は充分な丈高を有し、敷地内の舗装コンクリート面より上部に立設され、防火機能を果たす。
【0013】
(上部接手凹部10)
縦壁上部2の上部において、後面の両縁部に上部接手凹部10が形成される。該上部接手凹部10は縦壁上部2の側面に対して開放される。
【0014】
図5・図6はこの上部接手凹部10及び連結手段の詳細を示す。
すなわち、該上部接手凹部10は底面に底板11が埋め込まれ、3方が壁面となり、該底板11はその裏面に固着した定着筋12により躯体中に定着される。底板11には孔11aが開設され、該孔11aに連通するねじ孔13aを有するインサート13が底板11の底面に固着されている。
しかして、隣接する防火塀Hの縦壁上部2相互はこの上部接手凹部10が相並び、連結手段をもって接合される。すなわち、上部接手凹部10に跨がって連結板15が配され、該連結板15に開設されたボルト挿通孔15aは底板11の孔11aと一致する。固定ボルト16はこれらの孔15a,11aを介してインサート13のねじ孔13aに螺入される。
【0015】
縦壁下部3(図1〜4、図7、図8参照)
縦壁下部3は、所定の厚みを有し、縦壁上部2の下部に連なり、該縦壁上部2と実質的に等幅をなす。
該縦壁下部3の厚みは縦壁上部2の厚みよりも大きくされる。すなわち、前面において縦壁上部2と面一となり、後面においては縦壁上部2より段差をもって突出される。しかし、該該縦壁下部3の厚みは縦壁上部2の厚みと同一とされ、前面及び後面において面一となることに何ら妨げはない。すなわち、その厚みは本質的事項ではない。
【0016】
(下部接手凹部18)
縦壁下部3において、前面の両縁部に下部接手凹部18が形成される。該下部接手凹部18は上部接手凹部10の構成に準じる。すなわち、19は底板、20は定着筋、21はインサートである。底板19にはボルト挿通孔、インサート21にはねじ孔が開設される。また、23は連結板、24は固定ボルトである。連結板23はボルト挿通孔が開設される。
【0017】
差し筋5(図1、図2、図4、図7参照)
差し筋5は、複数の折り曲げ鉄筋よりなり、その両端を縦壁下部3に埋め込まれ、かつ、縦壁下部3より前方に突出する。該差し筋5は、後で現場打設されるフーチングとしての底盤部4の補強筋となるものであり、従って、底盤部4の断面形状に相似する折り曲げ加工がなされる。5aはその斜め筋、5bはその水平筋である。
複数の差し筋5は同一の位相を保って縦壁の幅方向に所定間隔をもって、相並べて配される。図例では等間隔を保つが、場合によっては不等間隔になすこともできる。差し筋5の基部は図示しないが、躯体1の鉄筋に固定される。
なお、該差し筋5には後でなされるコンクリートの打設に先立って、通し筋(54、図7中破線表示)が配筋される。
【0018】
切欠き凹部6・取付け板7(図1〜図3、図7、図8参照)
縦壁下部3の下部側面に切欠き凹部6が形成される。切欠き凹部6の凹入長は取付け板7及び後記する底盤側板部8を取り付けて縦壁下部3の側面より突出しない長さとされる。
取付け板7は上下に細長い矩形平板状をなし、この切欠き凹部6の鉛直壁面6aに当接され、躯体部1内に埋設されたインサート26に取り付けられる。
図7・図8はこの取付け板7の取付け構造の詳細を示す。
すなわち、取付け板7は上下に相隔ててボルト挿通孔7aが開設され、インサート26は該ボルト挿通孔7aに連通するねじ孔26aを有し、躯体部1内に埋設される。
しかして、取付け板7はそのボルト挿通孔7aをインサート26のねじ孔26aに一致させ、取付けボルト27を回動締め込んで固定する。なお、27aは上方の取付けボルト27、27bは下方の取付けボルト27を示す。
【0019】
水平支持材8
水平支持材8は、本体1の下部に取付け板7を介して取り付けられ、躯体部1の支持をなすとともに躯体部1の整準をなす機能を担う。
該水平支持材8は、断面がL字状をなし細長状の本体29と、該本体29のねじ孔に螺合される高さ調整用ねじ30とからなる。
もっと詳しくは、該水平支持材8の本体29は、鉛直部29aと水平部29bとから断面L字状をなし、水平に延設される。鉛直部29aにはボルト挿通孔8aが開設され、該ボルト挿通孔8aを取付け板7のボルト挿通孔7aに一致させ、取付けボルト27bを回動締め込んで該底盤側板部8の固定をなす。なお、下方取り付けボルト27bは一旦取り付け板7から外され、使用される。水平支持材8の取付け状態において、鉛直部29aの上縁は差し筋5の水平筋5bの頭部より突出しないものとされ、その下方にあることが肝要である。
水平部29bには、水平方向の両端部近傍部にねじ孔8bが開設され、該ねじ孔8bに高さ調整用ねじ30が螺合される。該高さ調整用ねじ30はボルト体であって、その先端部は平坦もしくは曲面をなし、支持面に当接させる。該水平支持材8の本体29の底面は躯体部1の底面に面一とされ、高さ調整用ねじ30の突出下端により、支持面と躯体部1底面とは適宜の空間間隙を保持する。
【0020】
この水平支持材8において、次の点が留意される。
▲1▼水平支持材8の本体29の長さは十分に長くされ、取付け板7に取り付けられたとき、後方へも延設され、躯体部1の支持の安定性を図る。
▲2▼水平支持材8の本体29の幅は取付け板7に取り付けられたとき、躯体部1の側面より突出しないようにされる。これにより、横方向に他の防火塀Hを配したとき相互の防火塀Hは干渉しない。
▲3▼水平支持材8の水平部29bの底面は必ずしも躯体部1の底面に一致させる必要はない。要は、高さ調整用ねじ30が躯体部1の底面より突出して支持面との間隙を形成し得ればよい。
▲4▼ボルト挿通孔8aは図例では1か所であるが、それに相並んで他のボルト挿通孔8aを設けてもよい。
▲5▼水平支持材8の取付け板7への取付けにおいて、該水平支持材8の鉛直部29aの取付け板7との当接部分の高さを高くして上部ボルト27aを使用する態様を採ることができる。
▲6▼水平支持材8の水平部29bを可及的厚くし、ねじ孔8bのねじ山数を増加させる態様を採ることができる。
▲7▼水平支持材8のねじ孔8b部分を厚くするため別途ナットを溶接をもって添設する態様を採ることができる。
【0021】
(その他の構成)
躯体部1には更に、縦壁上部2の上端に臨んで吊り込み用のインサート32が埋設される。
また、本防火塀Hの建込みにおいて、独自の支持補助具が使用される。
図9にその1例としての支持補助具Iが示される。
該支持補助具Iは、長尺の管状体からなり長さの調整できる支柱部34を主体とし、該支柱部34の上端に取り付けられる把持部35と、該支柱部34の下端に取り付けられるアンカー材36とからなる。もっと詳しくは、支柱部34は複数(図例では2)の単位管状体38の連なりよりなり、単位管状体38相互は入子式になっており、該入子部分にねじをもって長さの調整できる調整ねじ39が配される。しかして該支柱部34は管軸方向には伸縮でき、剛性を保つ。把持部35は本防火塀Hの躯体部1の上縁を把持するコ字状断面を持つ型材よりなり、該型材より張設されるリブが支柱部34の上部とピン結合され、屈撓性を有する。型材の長さは短尺であるが、それに限定されない。アンカー材36は、地盤に打ち込まれ、頭部を支柱部34の下部とピン結合され、屈撓性を有する。
【0022】
(躯体部1の作製)
この防火塀Hの躯体部1は、工場において製作される。
すなわち、躯体部1の前面が下方になるようにその鉄筋組を型枠内に設置し、該鉄筋組に接手凹部10,18の底板11,19、定着筋12,20、インサート13,21、またインサート26をそれぞれ組み付け、更に差し筋5の基部を躯体部1の鉄筋組に固定し、しかる後コンクリートを打設する。接手凹部10,18の凹部は箱抜きにより成形される。
【0023】
(実施形態の作用・効果)
上記のように構成された本実施形態のコンクリート製防火塀Hは以下の施工手順をもって設置される。
図9・図10はその施工要領を示す。工事に先立って、工場において本コンクリート製防火塀Hの躯体部1が製造され、施工現場に搬入されるが、取付け板7及び水平支持材8の取付けは工場においても、あるいは現場においてもなすことは自由である。
以下、設置施工の工程順に説明する。
【0024】
(1) 本コンクリート製防火塀Hが設置される位置に沿って地盤Eを掘り下げて根切り50をなし、割栗石51により基礎地盤Eを整地し、該割栗石51上に基礎コンクリート52を構築する。該基礎コンクリート52は防火塀Hの荷重を支持するものであり、十分な強度をもって構築される。該基礎コンクリート52はその上面を可及的に平坦にされる。
また要すれば、これと同時に支持補助具Iのアンカー材36が地盤Eに打ち込まれる。
【0025】
(2) 基礎コンクリート52が固結した後、本防火塀Hの躯体部1を、その吊り込みインサート32を利用してクレーン(図示せず)を利用して吊り込み、水平支持材8を介して基礎コンクリート52上に建て込む。
また、支持補助具Iも適宜使用され、その把持部35を躯体部1の上端に固定し、支柱部34を把持部35とアンカー材36とに掛け渡し、張力を調整して本防火塀Hの安定を図る。
【0026】
(3) 水平支持材8の高さ調整用ねじ30のレベル調整により当該躯体部1を整準し、精確に設置する。
すなわち、水平支持材8の高さ調整用ねじ30を正あるいは逆回動して当該調整用ねじ30の突出長を調整して当該躯体部1の整準をなす。これにより、隣合う防火塀Hの躯体部1相互の側面は密着し、同時に該躯体部1の上部および下部接手凹部10,18が連設される。次いで、これらの接手凹部10,18に対し、連結板15,23を底板11,19に当接するとともに該連結板15,23を介して固定ボルト16,24をインサート13,21のねじ孔13a,23aに螺入し、接合をなす。
【0027】
(4) 差し筋5を介して、通し筋54を配筋する。
すなわち、通し筋54は底盤部4の水平横筋を構成し、差し筋5の斜め筋5a、水平筋5bに固定して配筋する。該通し筋54は適宜の長さを採るが、通常には1本ものの通し筋54が複数の防火塀Hを通して連続して配筋される。このとき、水平筋5bに固定される通し筋54においても水平支持材8に妨げられず直線状に配することができる。
【0028】
(5) 相並べられた躯体部1の前方の差し筋5を囲んで底盤4用の型枠(図示せず)を設置する。型枠は躯体部1の前方のみならず後方にも設置される。しかる後、コンクリート55を打設する。底盤部コンクリート55の固結を待って型枠を撤去する。
このようにして、躯体部1並びに底盤部4とにより防火塀Hが築造される。
【0029】
(6) その後、本防火塀Hの基礎部回りの埋め戻し作業が行われ、更に地表部において舗装コンクリート57が施工される。該舗装コンクリート57は縦壁下部3の上端、換言すれば縦壁上部2と縦壁下部3との境部、に位置することを目安とする。
【0030】
以上のように、本実施形態のコンクリート製防火塀Hによれば、底盤部4が差し筋5のみとなっており、全体の重量が大幅に軽量化でき、施工現場への搬送に付き輸送コストが大幅に低減される。かつ、軽量化によりこの防火塀の建て込み作業が容易となり、防火塀の構築作業の効率化に寄与する。また、従来の防火塀と同一の重量であれば、それだけ高さを高く採れ、大型化を達成することができる。
更には、躯体部1はプレハブ化され工場で製作可能となり、製作精度が向上し、防火塀の構築の際、相隣れる躯体部1相互が密接状態を保持することができる。
水平支持材8の取付け板7への取付けは、インサート26を介してなされるので、取付けボルト27による当該水平支持材8の取付け作業が容易であり、かつ、着脱自在であり、利便性が増大する。
また、本防火塀Hの建て込み作業に際し、水平支持材8の高さ調整用ねじ30のレベル調整機能により、基礎コンクリート52の上面の平坦度に厳密性を要求されず、この基礎コンクリート52上に精確に据え付けられ、このため、相隣合う防火塀H相互の側面は密着するとともに、それらの相対向する接手凹部10,18の相互は精確に連接され、連結板15,23による接合作業を容易になすことができる。
更に、相並べられた防火塀H相互の差し筋5に通し筋54を一体的に配することができ、後で打設される底盤用のコンクリート55と一体となり、従来の既製の底盤(フーチング)よりも強固な構造とすることができる。なおこの際、本実施形態の水平支持材8は通し筋54の設置の障害にならず、該通し筋54の直通化を保障する。
以上の一体化構成により、本コンクリート製防火塀は耐震性を確保し、耐震防火塀としての機能を果たすことができる。
【0031】
叙上の実施形態では底盤部4は躯体部1の一方の面すなわち前面にのみ設けられたが、両面に設けられる態様を除外するものではない。この場合, 差し筋5は両面に設けられることは勿論である。
叙上の実施形態では水平支持材8は高さ調整用ねじ30を有するが、該ねじ30を廃し、本体29のみの態様を採ることもできる。この場合、本体29の下面は躯体部1の下底より突出することは勿論である。
叙上の実施形態ではその用途としてコンクリート製防火塀への適用に付いて述べたが、建物のコンクリート製外壁への適用も除外するものではない。更には、コンクリート製擁壁へも適用される。
【0032】
本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術思想の範囲内で種々設計変更が可能である。すなわち、以下の態様は本発明の技術範囲内に包含されるものである。
▲1▼差し筋5は図例では折り曲げ加工されてなるが、上下に分離されてもよい。
また、短筋をもってその基部を躯体部1に埋め込み、その突出端を継手を介して接合する態様を採りうる。
▲2▼接合凹部10,18の数、高さ位置は図例に限定されない。
▲3▼接合凹部10,18相互の連結は連結板を介して溶接接合によることもできる。
【0033】
【発明の効果】
本発明のコンクリート製壁体パネルによれば、底盤部が差し筋のみとなっており、全体の重量が大幅に軽量化でき、輸送コストが大幅に低減される。かつ、軽量化によりこの外壁パネルの建て込み作業が容易となり、外壁体の構築作業の効率化に寄与する。また、従来のコンクリート製壁体パネルと同一の重量であれば、それだけ高さを高く及び又は幅を広く採れ、大型化を達成することができる。
更には、躯体部はプレハブ化され工場で製作可能となり、製作精度が向上し、外壁体を構築する際、相隣れる躯体部相互が密接状態を保持することができる。
また、本コンクリート製壁体パネルの建て込み作業に際し、水平支持材の高さ調整用ねじのレベル調整機能により、支持面の平坦度に厳密性を要求されず、支持面上に精確に据え付けられ、このため、相隣合うコンクリート製壁体パネル相互の側面は密着するとともに、それらの相対向する接手凹部の相互は精確に連接され、連結板による接合作業を容易になすことができる。
更に、相並べられたコンクリート製壁体パネル相互の差し筋に通し筋を一体的に配することができ、後で打設される底盤用のコンクリートと一体となり、従来の既製の底盤(フーチング)よりも強固な構造とすることができる。
以上の一体化構成により、本コンクリート製壁体パネルは耐震性を確保し、耐震外壁パネルとしての機能を果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコンクリート製壁体パネルの一実施形態を示す防火塀の前面図(図2の1方向矢視図)。
【図2】その側面図(図1の2方向矢視図)。
【図3】その背面図(図2の3方向矢視図)。
【図4】その平面図(図3の4方向矢視図)。
【図5】本防火塀の上部接手凹部の拡大構造図(図6の5方向矢視図)。
【図6】上部接手凹部の正面図。
【図7】本防火塀の要部である縦壁下部の拡大側面図。
【図8】図7の8−8線断面図。
【図9】施工要領図。
【図10】施工要領図。
【符号の説明】
H…コンクリート製防火塀(コンクリート製壁体パネル)、1…躯体部、2…縦壁上部、3…縦壁下部、4…底盤部、5…差し筋、6…切欠き凹部、7…取付け板、8…水平支持材、26…インサート、30…高さ調整用ねじ、52…基礎コンクリート、54…通し筋、55…底盤部コンクリート
Claims (8)
- 平板状をなすとともに両側面が真直状をなし鉛直に配される縦壁の躯体部において、
前記躯体部の板面の一又は二面の当該躯体部下部には後で打設される底盤部の補強筋としての差し筋が突設され、
前記躯体部の下部の両側面には該躯体部の底面に連なる切欠き凹部が形成されるとともに該切欠き凹部の鉛直面に取付け板が定着され、
前記取付け板には実質的に底盤部の設けられる側の水平方向に延設される水平支持材が着脱可能に固定され、
かつ前記水平支持材には高さ調整用ねじが前記躯体部を支持可能に備えてなる、
ことを特徴とするコンクリート製壁体パネル。 - 取付け板は躯体部に埋設されたインサートにより定着され、水平支持材は該取付け板のインサート孔にねじをもって固定される請求項1に記載のコンクリート製壁体パネル。
- 縦壁の両側面には、相隣れる縦壁との連結をなす連結具が配されてなる請求項1に記載のコンクリート製壁体パネル。
- 平板状をなすとともに両側面が真直状をなし鉛直に配される縦壁の躯体部において、
前記躯体部の板面の一又は二面の当該躯体部下部には後で打設される底盤部の補強筋としての差し筋が突設され、
前記躯体部の下部の両側面には該躯体部の底面に連なる切欠き凹部が形成されるとともに該切欠き凹部の鉛直面に取付け板が定着され、
前記取付け板には実質的に底盤部の設けられる側の水平方向に延設される水平支持材が着脱可能に固定されてなる、
ことを特徴とするコンクリート製壁体パネル。 - 平板状をなすとともに両側面が真直状をなす縦壁の躯体部の板面の一又は二面の当該躯体部下部に底盤部の補強筋としての差し筋が突設され、該躯体部の下部の両側面には該躯体部の底面に連なる切欠き凹部が形成されるとともに該切欠き凹部の鉛直面に取付け板が定着され、該取付け板には実質的に底盤部の設けられる側の水平方向に延設される水平支持材が着脱可能に固定され、かつ前記水平支持材には高さ調整用ねじが前記躯体部を支持可能に備えてなるコンクリート製壁体パネルの設置方法であって、
前記水平支持材を介して前記躯体部を支持面上に載置し、
前記水平支持材の高さ調整用ねじをもって躯体部の整準をなし、
前記差し筋回りに底盤部の型枠を配するとともに、該差し筋回りにコンクリートを打設する、
ことを特徴とするコンクリート製壁体パネルの設置方法。 - 請求項5のコンクリート製壁体パネルの設置方法において、補助手段をもって縦壁の躯体部を支持することを特徴とするコンクリート製壁体パネルの設置方法。
- 請求項5,6のコンクリート製壁体パネルの設置方法のいずれかにおいて、底盤部のコンクリートの打設に先立って差し筋に通し筋を配してなることを特徴とするコンクリート製壁体パネルの設置方法。
- 平板状をなすとともに両側面が真直状をなし鉛直に配される縦壁の躯体部において、
前記躯体部の板面の一又は二面の当該躯体部下部には後で打設される底盤部の補強筋としての差し筋が突設され、
前記躯体部の下部の両側面には該躯体部の底面に連なる切欠き凹部が形成され、
該凹部の鉛直面には、後で装着される支持用の水平支持材用の取付け板がインサートをもって定着されてなる、
ことを特徴とするコンクリート製壁体パネル。
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