JP2004175944A - 天然色素処理粉体の製造法、この方法によって得られる天然色素処理粉体及びこれを含む化粧料 - Google Patents
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Abstract
【課題】比較的少量の色素量を用いるだけで、従来技術と比べて遜色のないかまたはより高められた染着効果を得ることができる天然色素処理粉体の製造方法を提供すること。
【解決手段】基体に天然色素を染着するにあたって、有機溶剤によって表面処理された結晶性ポリアミド球状粒子からなる基体に対して染着を行うことを特徴とする方法。
【選択図】 なし
【解決手段】基体に天然色素を染着するにあたって、有機溶剤によって表面処理された結晶性ポリアミド球状粒子からなる基体に対して染着を行うことを特徴とする方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、天然色素処理粉体の製造方法、詳しくは染着効率が向上された天然色素処理粉体の製造方法に関する。更に本発明は、このような製造方法によって得られる天然色素染着粉体及びそれを含む化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、化粧料の着色料としては、タール系色素などの合成着色料や、ベニバナなどから抽出、精製して得ることができる天然色素が用いられているが、合成着色料は肌荒れの原因となるため、近年では、特に、後者の天然色素を使った化粧料の開発が進んでいる。
【0003】
しかし、ベニバナなどの天然色素は、油性マトリックス及び水性マトリックス双方との相容性が悪く、そのまま用いただけでは十分な着色効果を得ることができないか、または非常に困難な作業を必要とする。そのため、このような問題を解決するために、過去、様々な提案がされており、例えば、特開昭55−102661号公報及び同55−102659号公報には、セルロースにカルサミンを吸着させる方法が記載されている。
【0004】
更に、特開平2000−44828号公報には、このような問題を解決すると共に肌色の“くすみ”を防止するために、ベニバナ赤色色素及びクチナシ黄色色素を同一の粉体に表面処理することによって、天然色素固有の蛍光特性を利用する方法が開示されている。
【0005】
これらの従来技術に開示される方法には或る一定の効果が見られるが、しかし、必要とされる着色度を達成するためには、比較的多量の色素を必要とする。一方で、天然色素は、一般的に比較的高価な材料であり、そのため、できるだけ少ない量で最大の染着効果を達成することが求められる。すなわち、天然色素の染着効率が高められた方法を提供することは、産業上明らかに有利である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
それ故、本発明の課題の一つは、向上された染着効率、すなわち比較的少量の色素量を用いるだけで、従来技術と比べて遜色のないかまたはより高められた染着効果を得ることができる天然色素処理粉体の製造方法を提供することである。
【0007】
更に別の課題は、上記方法によって製造された化粧料着色料としての天然色素処理粉体及びこの処理粉体を含む化粧料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み、染着工程及び使用する基体の種類について検討を行った結果、基体として球状の結晶性ポリアミド粒子からなる基体を用い、かつこの基体を染着工程前もしくは染着工程中に有機溶剤と接触させた場合に、格別優れた染着効率をもって基体を着色できることを見出した。
【0009】
それ故、本発明は、天然色素を基体に染着するにあたって、表層が有機溶剤で処理された球状の結晶性ポリアミド粒子からなる基体に対し天然色素を染着させることを特徴とする方法に関する。
【0010】
上記天然色素としては、天然色素の抽出工程から得られるものを直接使用してもよいし、または既製の色素液、色素濃厚物、固形色素品、例えば粉末品または顆粒品を用いてもよく、これらは商業的に入手することができる。
【0011】
天然色素の種類としては、特に制限はないが、クチナシ色素、ベニバナ色素、ウコン色素、ベニコウジ色素、コチニール色素、ラック色素、アカネ色素、シソ色素、アカキャベツ色素、アカダイコン色素、ムラサキイモ色素、ムラサキトウモロコシ色素、ブドウ果皮色素、ブドウ果汁色素、ブルーベリー色素、エルダーベリー色素、トウガラシ色素、アナトー色素、クロロフィル、スピルリナ色素、カカオ色素、カキ色素、タマリンド色素、コウリャン色素、またはこれらの任意の組み合わせを挙げることができる。好ましいものは、化粧料の分野で慣用されているクチナシ色素及びベニバナ色素である。更には、その相乗的蛍光発色効果から、クチナシ黄色色素とベニバナ赤色色素との組み合わせが好ましい。クチナシ黄色色素とベニバナ赤色色素とを組み合わせて使用する場合は、乾質重量を基準にして、一般的にはクチナシ黄色色素99〜1%、ベニバナ赤色色素1〜99%、好ましくはクチナシ黄色色素10〜70%、ベニバナ赤色色素90〜30%の割合で使用することが好ましい。
【0012】
天然色素の抽出は、各々の色素源に応じて慣用の方法で行えばよい。例えばクチナシ黄色色素の場合は、選別粉砕したクチナシの果実1重量部を2〜10重量部の水に浸漬し、30分ないし3時間程度煮沸すればよく、そしてベニバナ赤色色素の場合は、洗浄後濾過して得られたベニバナの花弁をアルカリ溶液に30分〜1時間浸漬することによって色素を抽出することができる。前記アルカリ溶液としては、水または水と水溶性有機溶媒とを混合して、これに水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ物質を0.5〜5重量%溶解した希アルカリ溶液を用いる。水と水溶性有機溶媒との混合溶液を用いるときには、水に、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、その他の水溶性有機溶媒を混合して使用する。この水と水溶性有機溶媒との比率は、水10〜90重量部に対して、水溶性有機溶媒90〜10重量部が好ましい。このようにして得られた抽出液を直接使用するか、または次いで必要ならば、溶媒を蒸発して濃縮するかまたは水/アルコールなどの適当な媒体を用いて希釈して、染着液を得る。
【0013】
既製品を用いる場合は、液状品は必要に応じて溶媒を蒸発することによって濃縮するかまたは水もしくはアルコールなどの適当な媒体を用いて所望の色素濃度に調節する。固形品の場合は、水もしくはアルコールなどの適当な媒体中に所望の濃度に溶解させて染着液を調製する。
【0014】
染着液の色素濃度及びその使用量は、所望とする作業時間や染着物の色の濃さ、及び特に色素の種類などに応じて選択され、一概に言えるものではないが、例えばクチナシ黄色色素及びベニバナ赤色色素の場合は、好ましくは、基体1gに対し、それぞれ0.01〜200.00 mg 及び0.01〜50.00mg の量の色素が割り当てられるように選択される。
【0015】
球状結晶性ポリアミド粒子は、未処理の状態では色素の浸透を満足な着色を与える程は許さず、有機溶剤で処理されることによって初めてその有機溶剤の作用を受けた部分のみ十分な色素の浸透を許すものであり、例えば、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン8、ナイロン9、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,6、ナイロン7,7、ナイロン8,8、ナイロン6,10、ナイロン9,9、ナイロン10,9及びナイロン10,10であり、好ましくは染着効率の点からナイロン6、ナイロン6,6及びナイロン12、とりわけナイロン6及びナイロン12である。これらは単独でまたは二種以上の物の混合物として使用し得る。ここで、“球状”とは、理想的には真球状ものであるが、これに近い形のものでもかまわず、平均粒径としては、一般的に1〜100 μm、好ましくは1〜40μm、特に5μm前後のものが選択される。このような結晶性ポリアミド粒子は既に公知であり、例えば、特開平8−12765号公報に記載の方法に従い製造することができる。また、商業的に入手が可能な製品を利用することもでき、例えば先進化学からソフトフィール6(Soft feel 6 ; ナイロン6) の名称で販売されているものを使用することができる。
【0016】
前記球状ポリアミド粒子からなる基体の処理に使用される有機溶剤としては、アルコール類、エーテル類、エステル類などが挙げられ、好ましくはC1−C6−アルコール、特にメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、とりわけエタノールが、基体を表面処理するのに十分な量で使用される。これらは、単独でまたは二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0017】
本願発明による基体の有機溶剤による処理は、染着工程に先だってもしくは染着工程中に行うことができる。例えば、1) 染着工程に付す前に基体を十分量の有機溶剤中に浸漬する; 2)有機溶剤を天然色素染着液及び/または基体と混合し、それらを直接染着工程に付す; 3) 有機溶剤、天然色素染着液及び基体を各々別々に染着工程に付す; などの態様が一般的に考えられるが、これに制限されない。更に、天然色素染着液の調製時に使用されるなどして天然色素染着液中に既に有機溶剤が存在する場合は、不足分を追加するかまたはその有機溶剤の量が基体の表面処理に十分な量であるならば別途有機溶剤を加えることなく、染着を行えばよい。
【0018】
染着時間は、所望する染着が達成されるまで行えばよく、染着温度や染着液の色素濃度、色素の種類等に依存するが、一般的には20分〜10時間、好ましくは30分〜5時間、特に2時間〜4時間程度行う。
【0019】
二種以上の色素を用いる場合は、各々別々に基体に染着した後、この染着された基体を混合するか(この場合、基体は同じものでも異なるものでもよい)、単一の基体または混合基体を異なる色素で順次または一度に染着することができる。
【0020】
染着工程の他の条件は、選択される天然色素に応じて慣用の方法を選択すればよい。例を挙げれば、クチナシ黄色色素を使用する場合は、クチナシ色素液に基体を投入し、室温から90℃の温度で30分ないし3時間攪拌すればよい。ベニバナ赤色色素の場合は、ベニバナ色素液に基体を投入し攪拌分散し、次いで塩酸、燐酸等の無機酸、蟻酸、酢酸、クエン酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸等の有機酸、もしくはこれらの酸を5〜30重量%の濃度に水で希釈または溶解したものを加えてpHを7.0以下、好ましくは3〜6に調整して染着を行う。他の天然色素に関しては、各々、従来技術に応じてまたは予備実験等で最適な条件を決定すればよい。
【0021】
しかしながら、本発明者らは、本発明の目的おいてベニバナ赤色色素を使用する場合には、7.0以下のpH、好ましくは3〜6のpHの天然色素染着液を用いて、比較的低温、すなわち−10℃〜20℃、好ましくは0〜10℃の温度下に染着を行うと、球状ポリアミド粒子基体が特に効率よく着色されることを見出した。これは本発明の好ましい態様の一つである。
【0022】
以下の説明に拘束されることは望まないが、おそらくは、有機溶剤の作用によって球状ポリアミド粒子基体の表層部の結晶構造が影響を受けることにより外層部に色素が浸入し易くなる一方で、有機溶剤の作用を受けていないポリアミド粒子内部には色素が浸入しないため、外層部のみに集中して色素が蓄積されるものと思われる。更に、本発明で使用される基体は球状の粒子からなるものであるので、光の反射、すなわち色の発色に方向的な偏りがない。このような外層部に集中した色素の蓄積及び方向的な偏りのない光の反射によって、比較的少ない色素量でも十分かつ均一な、くすみのない発色、色彩が得られるのであろう。
【0023】
これに対して、従来技術のセルロース材料を用いた方法では、材料粒子の内部まで色素が浸入してしまうため結果的に比較的多量の色素が必要となってしまう。更にまた、これらの基体はその形状が球状でないため、光の反射に偏りがあり、それゆえ発色効率が悪く、またくすみの原因にもなり得る。
【0024】
事実、このような表層部にのみ色素が蓄積された結晶性球状ポリアミド粒子からなる材料は過去開示されておらず、また従来技術では為し得なかった効果を達成するものである。従って、本発明は、本発明の方法によって得ることができる、天然色素によって染着された結晶性球状ポリアミド粒子粉体にも関する。
【0025】
更に本発明は、上記結晶性球状ポリアミド粒子粉体を含む化粧料にも関する。
【0026】
本発明によるポリアミド粉体は、その形状が球状であるため化粧料の塗り性にも寄与する。本発明のポリアミド粉体は、例えばフェースパウダー、ファンデーション、アイシャドウ、ポイントメイクアップ、または口紅などに好適に用いられる。本発明のポリアミド粉体の配合量は、化粧料の基本組成100重量部に対し0.01〜99重量部の範囲であり、化粧料の調整方法は、従来各々のタイプの化粧料に慣用されている方法を用いればよく、特に制限はない。
【0027】
以下、本発明を実施例によってより詳細に例示するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
【実施例】
実施例1[クチナシ染着工程]
1) 精製水1.0Lに粉砕したクチナシの果実100gを浸漬し、ウォーターバスにより、2時間加温(90〜97℃)を行い、室温まで放置した後、濾過してクチナシ抽出液0.93Lを得た。その抽出液に精製水を加え、1.0Lとし、さらにエタノール(99.8%)を0.1L加えた。
2)抽出後、エタノール調整液に平均粒径10μmのナイロンパウダー(東レ社製ナイロン12)100g加え50℃で90分攪拌し、室温になるまで放置した後に濾紙による濾過を行い、クチナシ色素で黄色化したナイロンパウダーを濾別し、乾燥をした後96gのクチナシ色素ナイロンパウダーを得た。
実施例2[ ベニバナ赤色染色工程]
1) ベニバナの花弁0.5kgを精製水で水洗いし、精製水8Lに水酸化ナトリウム40gを加えて、浸漬を3時間行った後に、濾紙による濾過を行い、抽出液7.7Lを得た。それに精製水を加えて8Lとした。
【0029】
次に、抽出したベニバナ色素液にエタノール(99.8%)を0.05L加え、液温を5℃に調整した後にナイロンパウダー100gを加え、攪拌しながら10%クエン酸溶液をゆっくりと加えて、pH5になるまでそれを続けた後に攪拌を60分行う。
【0030】
その後、濾紙で濾過し、ベニバナ赤色で赤色化したナイロンパウダーを精製水2.0Lに加え30分攪拌し水洗工程を行う。後に濾紙による濾過を行う。以上の工程で得たナイロンパウダーを乾燥した後に、97gのベニバナ赤色色素ナイロンパウダーを得た。
実施例3[ 混合粉体]
実施例1のクチナシ色素で黄色化したナイロンパウダーと実施例2のベニバナ赤色色素で、赤色化したナイロンパウダーを2対1の割合で混合し、橙色のナイロンパウダーを得た。
実施例4
実施例1のクチナシ色素で黄色化したナイロンパウダーと実施例2のベニバナ赤色色素で赤色化したナイロンパウダーの染着工程を組み合わせて行った。
1) 精製水1.0Lに粉砕したクチナシの果実100gを浸漬し、ウォーターバスにより、2時間加温(90〜97℃)を行い、室温まで放置した後、濾過してクチナシ抽出液0.91Lを得た。その抽出液に精製水を加え、1.0Lとし、さらにエタノール(99.8%)を0.1L加えた。
2)抽出後、エタノール調整液に平均粒径10μmのナイロンパウダー(ナイロン12)100g加え50℃で90分攪拌し、室温になるまで放置した後、5℃に冷却して置く。
3)ベニバナの花弁0.5kgを精製水で水洗いし、精製水8Lに水酸化ナトリウム40gを加えて、浸漬を3時間行った後に、濾紙による濾過を行い、抽出液7.7Lを得た。それに精製水を加えて8Lとした。
【0031】
次に、抽出したベニバナ色素液を5℃に冷却した後、2)のクチナシ色素液とナイロンパウダーを攪拌しながら加える。液温5℃に保ち10%クエン酸をゆっくり加えて、pH5になるまでそれを続けた後に攪拌を60分行う。
【0032】
その後、濾紙で濾過し、クチナシ色素の黄色とベニバナ色素の赤色を染着した橙色のナイロンパウダーを精製水2.0Lに加え30分攪拌し水洗工程を行う。後に濾紙による濾過を行う。以上の工程で得たナイロンパウダーを乾燥した後に、96gの橙色ナイロンパウダーを得た。
実施例5
実施例2のベニバナ抽出で得たナイロンパウダーを実施例1のクチナシ抽出液に加えて実施例1の染着工程を行い、97gの橙色ナイロンパウダーを得た。
1)ベニバナの花弁0.5kgを精製水で水洗いし、精製水8Lに水酸化ナトリウム40gを加えて、浸漬を3時間行った後に、濾紙による濾過を行い、抽出液7.7Lを得た。それに精製水を加えて8Lとした後に5℃に冷却して置く。
【0033】
次に、抽出したベニバナ色素液にエタノール(99.8%)を0.05L加え、液温を5℃に調整した後にナイロンパウダー100gを加え、攪拌しながら10%クエン酸溶液をゆっくり加えて、pH5になるまでそれを続けた後に攪拌を60分行う。
【0034】
その後、濾紙で濾過し、ベニバナ赤色で赤色化したナイロンパウダーを精製水2.0Lに加え30分攪拌し水洗工程を行う。後に濾紙による濾過を行う。
【0035】
2)精製水1.0Lに粉砕したクチナシの果実100gを浸漬し、ウォーターバスにより、2時間加温(90〜97℃)を行い、室温になるまで放置した後、濾過してクチナシ抽出液0.94Lを得た。その抽出液に精製水を加え、1.0Lとし、さらにエタノール(99.8%)を0.05L加え、10℃に冷却して置く。
3)抽出後、エタノール調整したクチナシ液を10℃にしベニバナ赤色で赤色化したナイロンパウダーを攪拌しながら加え、90分攪拌をする。後に濾紙による濾過を行い、乾燥した後にベニバナ色素の赤色とクチナシ色素の黄色を染着した橙色のナイロンパウダーを98g得た。
実施例1〜5で得られたナイロンパウダーについて吸光度測定を行い、最大吸収波長を測定した。溶媒としてはDMFを用いた。
【0036】
【表1】
上記吸収スペクトルに基づいて、ナイロンパウダーの表面に染着した天然色素のクチナシ黄色色素とベニバナ赤色色素の量を以下の方法に従い求めた。
・クチナシ黄色色素
クチナシの実を水に浸漬し黄色色素を抽出し、次いで濾過を行い異物を完全に除く。得られた黄色色素液を減圧濃縮で乾固させ水分を除き吸光度のサンプルとする。
【0037】
乾固したクチナシ黄色色素を用いて、溶媒N,N−ジメチルホルムアミド中0.005 %、0.01%、0.02%、0.03%濃度の調製液を各々正確に調製し、そして各調製液の吸光度測定を行う。次いで、クチナシ黄色色素の波長439 ±2nm 最大吸収を求める。測定後、最大吸収値(Asb)を横線、濃度を縦線にとり検量線を作成する。試作品の吸光度測定を行いその最大吸収値から検量線に基づいてクチナシ黄色色素染着量を求める。
・ベニバナ赤色色素
溶媒N,N−ジメチルホルムアミド中0.00025 %、0.0005%、0.00075 %、0.001 %濃度のカルサミン調製液を正確に調製し、各調製液の吸光度測定を行い、そしてベニバナ赤色色素の波長530 ±2nm 最大吸収を求める(ベニバナ赤色色素のカルサミンは試薬を使用)。測定後、最大吸収値(Asb) を横線、濃度を縦線にとり検量線を作成する。試作品の吸光度測定を行いその最大吸収値から検量線に基づき染着されたベニバナ赤色色素量を求める。
【0038】
【表2】
特開2000−44828号の実施例1のサンプル1と同様にして製造したセルロースパウダーの天然色素のクチナシ黄色色素とベニバナ赤色色素の染着している量を吸収スペクトルにより上記と同じ方法で求めた。
【0039】
【表3】
粉体の彩度をL・a・bにより求めた。
【0040】
【表4】
よって、
セルロースパウダーに染着した場合は、ナイロンパウダーよりクチナシ黄色色素とベニバナ赤色色素がセルロースパウダーの内部にまで入るため、色素が多く必要となる。
【0041】
また、セルロースパウダーは球形でないため、くすんだ色目が目視できる。
【0042】
ナイロンパウダーの形状は真球であるため、色の反射が極めてよく、均一な色彩である。
【0043】
ナイロンパウダーの球状表面にクチナシ黄色色素とベニバナ赤色色素を染着し、色素量が少なく色彩が高いことを特徴とした化粧料材料である。
処方例
本発明のポリアミド粉体をフェースパウダーに配合する場合の処方例を以下に挙げる。
【0044】
【表5】
【0045】
【発明の効果】
上記実施例から実証される通り、本願発明の方法によれば、比較的少ない量の天然色素を用いて、従来技術と匹敵するかまたはそれを超える染着度を得ることができる。更に、基体が球状であるため、それを含む化粧料は塗り性に優れる。
【発明が属する技術分野】
本発明は、天然色素処理粉体の製造方法、詳しくは染着効率が向上された天然色素処理粉体の製造方法に関する。更に本発明は、このような製造方法によって得られる天然色素染着粉体及びそれを含む化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、化粧料の着色料としては、タール系色素などの合成着色料や、ベニバナなどから抽出、精製して得ることができる天然色素が用いられているが、合成着色料は肌荒れの原因となるため、近年では、特に、後者の天然色素を使った化粧料の開発が進んでいる。
【0003】
しかし、ベニバナなどの天然色素は、油性マトリックス及び水性マトリックス双方との相容性が悪く、そのまま用いただけでは十分な着色効果を得ることができないか、または非常に困難な作業を必要とする。そのため、このような問題を解決するために、過去、様々な提案がされており、例えば、特開昭55−102661号公報及び同55−102659号公報には、セルロースにカルサミンを吸着させる方法が記載されている。
【0004】
更に、特開平2000−44828号公報には、このような問題を解決すると共に肌色の“くすみ”を防止するために、ベニバナ赤色色素及びクチナシ黄色色素を同一の粉体に表面処理することによって、天然色素固有の蛍光特性を利用する方法が開示されている。
【0005】
これらの従来技術に開示される方法には或る一定の効果が見られるが、しかし、必要とされる着色度を達成するためには、比較的多量の色素を必要とする。一方で、天然色素は、一般的に比較的高価な材料であり、そのため、できるだけ少ない量で最大の染着効果を達成することが求められる。すなわち、天然色素の染着効率が高められた方法を提供することは、産業上明らかに有利である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
それ故、本発明の課題の一つは、向上された染着効率、すなわち比較的少量の色素量を用いるだけで、従来技術と比べて遜色のないかまたはより高められた染着効果を得ることができる天然色素処理粉体の製造方法を提供することである。
【0007】
更に別の課題は、上記方法によって製造された化粧料着色料としての天然色素処理粉体及びこの処理粉体を含む化粧料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み、染着工程及び使用する基体の種類について検討を行った結果、基体として球状の結晶性ポリアミド粒子からなる基体を用い、かつこの基体を染着工程前もしくは染着工程中に有機溶剤と接触させた場合に、格別優れた染着効率をもって基体を着色できることを見出した。
【0009】
それ故、本発明は、天然色素を基体に染着するにあたって、表層が有機溶剤で処理された球状の結晶性ポリアミド粒子からなる基体に対し天然色素を染着させることを特徴とする方法に関する。
【0010】
上記天然色素としては、天然色素の抽出工程から得られるものを直接使用してもよいし、または既製の色素液、色素濃厚物、固形色素品、例えば粉末品または顆粒品を用いてもよく、これらは商業的に入手することができる。
【0011】
天然色素の種類としては、特に制限はないが、クチナシ色素、ベニバナ色素、ウコン色素、ベニコウジ色素、コチニール色素、ラック色素、アカネ色素、シソ色素、アカキャベツ色素、アカダイコン色素、ムラサキイモ色素、ムラサキトウモロコシ色素、ブドウ果皮色素、ブドウ果汁色素、ブルーベリー色素、エルダーベリー色素、トウガラシ色素、アナトー色素、クロロフィル、スピルリナ色素、カカオ色素、カキ色素、タマリンド色素、コウリャン色素、またはこれらの任意の組み合わせを挙げることができる。好ましいものは、化粧料の分野で慣用されているクチナシ色素及びベニバナ色素である。更には、その相乗的蛍光発色効果から、クチナシ黄色色素とベニバナ赤色色素との組み合わせが好ましい。クチナシ黄色色素とベニバナ赤色色素とを組み合わせて使用する場合は、乾質重量を基準にして、一般的にはクチナシ黄色色素99〜1%、ベニバナ赤色色素1〜99%、好ましくはクチナシ黄色色素10〜70%、ベニバナ赤色色素90〜30%の割合で使用することが好ましい。
【0012】
天然色素の抽出は、各々の色素源に応じて慣用の方法で行えばよい。例えばクチナシ黄色色素の場合は、選別粉砕したクチナシの果実1重量部を2〜10重量部の水に浸漬し、30分ないし3時間程度煮沸すればよく、そしてベニバナ赤色色素の場合は、洗浄後濾過して得られたベニバナの花弁をアルカリ溶液に30分〜1時間浸漬することによって色素を抽出することができる。前記アルカリ溶液としては、水または水と水溶性有機溶媒とを混合して、これに水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ物質を0.5〜5重量%溶解した希アルカリ溶液を用いる。水と水溶性有機溶媒との混合溶液を用いるときには、水に、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、その他の水溶性有機溶媒を混合して使用する。この水と水溶性有機溶媒との比率は、水10〜90重量部に対して、水溶性有機溶媒90〜10重量部が好ましい。このようにして得られた抽出液を直接使用するか、または次いで必要ならば、溶媒を蒸発して濃縮するかまたは水/アルコールなどの適当な媒体を用いて希釈して、染着液を得る。
【0013】
既製品を用いる場合は、液状品は必要に応じて溶媒を蒸発することによって濃縮するかまたは水もしくはアルコールなどの適当な媒体を用いて所望の色素濃度に調節する。固形品の場合は、水もしくはアルコールなどの適当な媒体中に所望の濃度に溶解させて染着液を調製する。
【0014】
染着液の色素濃度及びその使用量は、所望とする作業時間や染着物の色の濃さ、及び特に色素の種類などに応じて選択され、一概に言えるものではないが、例えばクチナシ黄色色素及びベニバナ赤色色素の場合は、好ましくは、基体1gに対し、それぞれ0.01〜200.00 mg 及び0.01〜50.00mg の量の色素が割り当てられるように選択される。
【0015】
球状結晶性ポリアミド粒子は、未処理の状態では色素の浸透を満足な着色を与える程は許さず、有機溶剤で処理されることによって初めてその有機溶剤の作用を受けた部分のみ十分な色素の浸透を許すものであり、例えば、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン8、ナイロン9、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,6、ナイロン7,7、ナイロン8,8、ナイロン6,10、ナイロン9,9、ナイロン10,9及びナイロン10,10であり、好ましくは染着効率の点からナイロン6、ナイロン6,6及びナイロン12、とりわけナイロン6及びナイロン12である。これらは単独でまたは二種以上の物の混合物として使用し得る。ここで、“球状”とは、理想的には真球状ものであるが、これに近い形のものでもかまわず、平均粒径としては、一般的に1〜100 μm、好ましくは1〜40μm、特に5μm前後のものが選択される。このような結晶性ポリアミド粒子は既に公知であり、例えば、特開平8−12765号公報に記載の方法に従い製造することができる。また、商業的に入手が可能な製品を利用することもでき、例えば先進化学からソフトフィール6(Soft feel 6 ; ナイロン6) の名称で販売されているものを使用することができる。
【0016】
前記球状ポリアミド粒子からなる基体の処理に使用される有機溶剤としては、アルコール類、エーテル類、エステル類などが挙げられ、好ましくはC1−C6−アルコール、特にメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、とりわけエタノールが、基体を表面処理するのに十分な量で使用される。これらは、単独でまたは二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0017】
本願発明による基体の有機溶剤による処理は、染着工程に先だってもしくは染着工程中に行うことができる。例えば、1) 染着工程に付す前に基体を十分量の有機溶剤中に浸漬する; 2)有機溶剤を天然色素染着液及び/または基体と混合し、それらを直接染着工程に付す; 3) 有機溶剤、天然色素染着液及び基体を各々別々に染着工程に付す; などの態様が一般的に考えられるが、これに制限されない。更に、天然色素染着液の調製時に使用されるなどして天然色素染着液中に既に有機溶剤が存在する場合は、不足分を追加するかまたはその有機溶剤の量が基体の表面処理に十分な量であるならば別途有機溶剤を加えることなく、染着を行えばよい。
【0018】
染着時間は、所望する染着が達成されるまで行えばよく、染着温度や染着液の色素濃度、色素の種類等に依存するが、一般的には20分〜10時間、好ましくは30分〜5時間、特に2時間〜4時間程度行う。
【0019】
二種以上の色素を用いる場合は、各々別々に基体に染着した後、この染着された基体を混合するか(この場合、基体は同じものでも異なるものでもよい)、単一の基体または混合基体を異なる色素で順次または一度に染着することができる。
【0020】
染着工程の他の条件は、選択される天然色素に応じて慣用の方法を選択すればよい。例を挙げれば、クチナシ黄色色素を使用する場合は、クチナシ色素液に基体を投入し、室温から90℃の温度で30分ないし3時間攪拌すればよい。ベニバナ赤色色素の場合は、ベニバナ色素液に基体を投入し攪拌分散し、次いで塩酸、燐酸等の無機酸、蟻酸、酢酸、クエン酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸等の有機酸、もしくはこれらの酸を5〜30重量%の濃度に水で希釈または溶解したものを加えてpHを7.0以下、好ましくは3〜6に調整して染着を行う。他の天然色素に関しては、各々、従来技術に応じてまたは予備実験等で最適な条件を決定すればよい。
【0021】
しかしながら、本発明者らは、本発明の目的おいてベニバナ赤色色素を使用する場合には、7.0以下のpH、好ましくは3〜6のpHの天然色素染着液を用いて、比較的低温、すなわち−10℃〜20℃、好ましくは0〜10℃の温度下に染着を行うと、球状ポリアミド粒子基体が特に効率よく着色されることを見出した。これは本発明の好ましい態様の一つである。
【0022】
以下の説明に拘束されることは望まないが、おそらくは、有機溶剤の作用によって球状ポリアミド粒子基体の表層部の結晶構造が影響を受けることにより外層部に色素が浸入し易くなる一方で、有機溶剤の作用を受けていないポリアミド粒子内部には色素が浸入しないため、外層部のみに集中して色素が蓄積されるものと思われる。更に、本発明で使用される基体は球状の粒子からなるものであるので、光の反射、すなわち色の発色に方向的な偏りがない。このような外層部に集中した色素の蓄積及び方向的な偏りのない光の反射によって、比較的少ない色素量でも十分かつ均一な、くすみのない発色、色彩が得られるのであろう。
【0023】
これに対して、従来技術のセルロース材料を用いた方法では、材料粒子の内部まで色素が浸入してしまうため結果的に比較的多量の色素が必要となってしまう。更にまた、これらの基体はその形状が球状でないため、光の反射に偏りがあり、それゆえ発色効率が悪く、またくすみの原因にもなり得る。
【0024】
事実、このような表層部にのみ色素が蓄積された結晶性球状ポリアミド粒子からなる材料は過去開示されておらず、また従来技術では為し得なかった効果を達成するものである。従って、本発明は、本発明の方法によって得ることができる、天然色素によって染着された結晶性球状ポリアミド粒子粉体にも関する。
【0025】
更に本発明は、上記結晶性球状ポリアミド粒子粉体を含む化粧料にも関する。
【0026】
本発明によるポリアミド粉体は、その形状が球状であるため化粧料の塗り性にも寄与する。本発明のポリアミド粉体は、例えばフェースパウダー、ファンデーション、アイシャドウ、ポイントメイクアップ、または口紅などに好適に用いられる。本発明のポリアミド粉体の配合量は、化粧料の基本組成100重量部に対し0.01〜99重量部の範囲であり、化粧料の調整方法は、従来各々のタイプの化粧料に慣用されている方法を用いればよく、特に制限はない。
【0027】
以下、本発明を実施例によってより詳細に例示するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
【実施例】
実施例1[クチナシ染着工程]
1) 精製水1.0Lに粉砕したクチナシの果実100gを浸漬し、ウォーターバスにより、2時間加温(90〜97℃)を行い、室温まで放置した後、濾過してクチナシ抽出液0.93Lを得た。その抽出液に精製水を加え、1.0Lとし、さらにエタノール(99.8%)を0.1L加えた。
2)抽出後、エタノール調整液に平均粒径10μmのナイロンパウダー(東レ社製ナイロン12)100g加え50℃で90分攪拌し、室温になるまで放置した後に濾紙による濾過を行い、クチナシ色素で黄色化したナイロンパウダーを濾別し、乾燥をした後96gのクチナシ色素ナイロンパウダーを得た。
実施例2[ ベニバナ赤色染色工程]
1) ベニバナの花弁0.5kgを精製水で水洗いし、精製水8Lに水酸化ナトリウム40gを加えて、浸漬を3時間行った後に、濾紙による濾過を行い、抽出液7.7Lを得た。それに精製水を加えて8Lとした。
【0029】
次に、抽出したベニバナ色素液にエタノール(99.8%)を0.05L加え、液温を5℃に調整した後にナイロンパウダー100gを加え、攪拌しながら10%クエン酸溶液をゆっくりと加えて、pH5になるまでそれを続けた後に攪拌を60分行う。
【0030】
その後、濾紙で濾過し、ベニバナ赤色で赤色化したナイロンパウダーを精製水2.0Lに加え30分攪拌し水洗工程を行う。後に濾紙による濾過を行う。以上の工程で得たナイロンパウダーを乾燥した後に、97gのベニバナ赤色色素ナイロンパウダーを得た。
実施例3[ 混合粉体]
実施例1のクチナシ色素で黄色化したナイロンパウダーと実施例2のベニバナ赤色色素で、赤色化したナイロンパウダーを2対1の割合で混合し、橙色のナイロンパウダーを得た。
実施例4
実施例1のクチナシ色素で黄色化したナイロンパウダーと実施例2のベニバナ赤色色素で赤色化したナイロンパウダーの染着工程を組み合わせて行った。
1) 精製水1.0Lに粉砕したクチナシの果実100gを浸漬し、ウォーターバスにより、2時間加温(90〜97℃)を行い、室温まで放置した後、濾過してクチナシ抽出液0.91Lを得た。その抽出液に精製水を加え、1.0Lとし、さらにエタノール(99.8%)を0.1L加えた。
2)抽出後、エタノール調整液に平均粒径10μmのナイロンパウダー(ナイロン12)100g加え50℃で90分攪拌し、室温になるまで放置した後、5℃に冷却して置く。
3)ベニバナの花弁0.5kgを精製水で水洗いし、精製水8Lに水酸化ナトリウム40gを加えて、浸漬を3時間行った後に、濾紙による濾過を行い、抽出液7.7Lを得た。それに精製水を加えて8Lとした。
【0031】
次に、抽出したベニバナ色素液を5℃に冷却した後、2)のクチナシ色素液とナイロンパウダーを攪拌しながら加える。液温5℃に保ち10%クエン酸をゆっくり加えて、pH5になるまでそれを続けた後に攪拌を60分行う。
【0032】
その後、濾紙で濾過し、クチナシ色素の黄色とベニバナ色素の赤色を染着した橙色のナイロンパウダーを精製水2.0Lに加え30分攪拌し水洗工程を行う。後に濾紙による濾過を行う。以上の工程で得たナイロンパウダーを乾燥した後に、96gの橙色ナイロンパウダーを得た。
実施例5
実施例2のベニバナ抽出で得たナイロンパウダーを実施例1のクチナシ抽出液に加えて実施例1の染着工程を行い、97gの橙色ナイロンパウダーを得た。
1)ベニバナの花弁0.5kgを精製水で水洗いし、精製水8Lに水酸化ナトリウム40gを加えて、浸漬を3時間行った後に、濾紙による濾過を行い、抽出液7.7Lを得た。それに精製水を加えて8Lとした後に5℃に冷却して置く。
【0033】
次に、抽出したベニバナ色素液にエタノール(99.8%)を0.05L加え、液温を5℃に調整した後にナイロンパウダー100gを加え、攪拌しながら10%クエン酸溶液をゆっくり加えて、pH5になるまでそれを続けた後に攪拌を60分行う。
【0034】
その後、濾紙で濾過し、ベニバナ赤色で赤色化したナイロンパウダーを精製水2.0Lに加え30分攪拌し水洗工程を行う。後に濾紙による濾過を行う。
【0035】
2)精製水1.0Lに粉砕したクチナシの果実100gを浸漬し、ウォーターバスにより、2時間加温(90〜97℃)を行い、室温になるまで放置した後、濾過してクチナシ抽出液0.94Lを得た。その抽出液に精製水を加え、1.0Lとし、さらにエタノール(99.8%)を0.05L加え、10℃に冷却して置く。
3)抽出後、エタノール調整したクチナシ液を10℃にしベニバナ赤色で赤色化したナイロンパウダーを攪拌しながら加え、90分攪拌をする。後に濾紙による濾過を行い、乾燥した後にベニバナ色素の赤色とクチナシ色素の黄色を染着した橙色のナイロンパウダーを98g得た。
実施例1〜5で得られたナイロンパウダーについて吸光度測定を行い、最大吸収波長を測定した。溶媒としてはDMFを用いた。
【0036】
【表1】
上記吸収スペクトルに基づいて、ナイロンパウダーの表面に染着した天然色素のクチナシ黄色色素とベニバナ赤色色素の量を以下の方法に従い求めた。
・クチナシ黄色色素
クチナシの実を水に浸漬し黄色色素を抽出し、次いで濾過を行い異物を完全に除く。得られた黄色色素液を減圧濃縮で乾固させ水分を除き吸光度のサンプルとする。
【0037】
乾固したクチナシ黄色色素を用いて、溶媒N,N−ジメチルホルムアミド中0.005 %、0.01%、0.02%、0.03%濃度の調製液を各々正確に調製し、そして各調製液の吸光度測定を行う。次いで、クチナシ黄色色素の波長439 ±2nm 最大吸収を求める。測定後、最大吸収値(Asb)を横線、濃度を縦線にとり検量線を作成する。試作品の吸光度測定を行いその最大吸収値から検量線に基づいてクチナシ黄色色素染着量を求める。
・ベニバナ赤色色素
溶媒N,N−ジメチルホルムアミド中0.00025 %、0.0005%、0.00075 %、0.001 %濃度のカルサミン調製液を正確に調製し、各調製液の吸光度測定を行い、そしてベニバナ赤色色素の波長530 ±2nm 最大吸収を求める(ベニバナ赤色色素のカルサミンは試薬を使用)。測定後、最大吸収値(Asb) を横線、濃度を縦線にとり検量線を作成する。試作品の吸光度測定を行いその最大吸収値から検量線に基づき染着されたベニバナ赤色色素量を求める。
【0038】
【表2】
特開2000−44828号の実施例1のサンプル1と同様にして製造したセルロースパウダーの天然色素のクチナシ黄色色素とベニバナ赤色色素の染着している量を吸収スペクトルにより上記と同じ方法で求めた。
【0039】
【表3】
粉体の彩度をL・a・bにより求めた。
【0040】
【表4】
よって、
セルロースパウダーに染着した場合は、ナイロンパウダーよりクチナシ黄色色素とベニバナ赤色色素がセルロースパウダーの内部にまで入るため、色素が多く必要となる。
【0041】
また、セルロースパウダーは球形でないため、くすんだ色目が目視できる。
【0042】
ナイロンパウダーの形状は真球であるため、色の反射が極めてよく、均一な色彩である。
【0043】
ナイロンパウダーの球状表面にクチナシ黄色色素とベニバナ赤色色素を染着し、色素量が少なく色彩が高いことを特徴とした化粧料材料である。
処方例
本発明のポリアミド粉体をフェースパウダーに配合する場合の処方例を以下に挙げる。
【0044】
【表5】
【0045】
【発明の効果】
上記実施例から実証される通り、本願発明の方法によれば、比較的少ない量の天然色素を用いて、従来技術と匹敵するかまたはそれを超える染着度を得ることができる。更に、基体が球状であるため、それを含む化粧料は塗り性に優れる。
Claims (8)
- 基体に天然色素を染着するにあたって、有機溶剤によって表面処理された結晶性ポリアミド球状粒子からなる基体に対して染着を行うことを特徴とする方法。
- 天然色素が、クチナシ黄色色素またはベニバナ赤色素あるいはこれらの組み合わせであることを特徴とする、請求項1の方法。
- 結晶性ポリアミド球状粒子が、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン8、ナイロン9、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,6、ナイロン7,7、ナイロン8,8、ナイロン6,10、ナイロン9,9、ナイロン10,9またはナイロン10,10、あるいはこれらの二種以上の混合物からなることを特徴とする、請求項1または2の方法。
- 上記有機溶剤が極性有機溶剤である、請求項1〜3のいずれか一つの方法。
- 上記有機溶剤がC1−C6−アルコールである、請求項1〜4のいずれか一つの方法。
- 基体にベニバナ赤色色素を染着するにあたって、7.0以下のpHのベニバナ赤色色素染着液を用いて、−10℃〜20℃の温度下に染着を行うことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つの方法。
- 請求項1〜6の何れかの方法によって得ることができる、実質的に各々の粒子の表層のみが天然色素によって着色された結晶性球状ポリアミド粉体。
- 請求項7の結晶性球状ポリアミド粉体を含む化粧料。
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