JP2004175814A - 艶消し加熱硬化型シリコーンインク組成物および艶消し表面の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】加熱により硬化して優れた艶消し性を有する皮膜を形成し、基材表面、特にはシリコーンゴム成形品への印字や印刷に有用な艶消し加熱硬化型シリコーンインク組成物、および、艶消し表面の形成方法を提供する。
【解決手段】膨張開始温度が80〜180℃の範囲にある加熱膨張性中空熱可塑性樹脂粉体を0.1〜10重量%および顔料を含有し、光沢度が10以下であることを特徴とする艶消し加熱硬化型シリコーンインク組成物、および、本艶消し加熱硬化型シリコーンインク組成物を基材表面に塗布し120〜230℃の範囲で硬化させることを特徴とする艶消し表面の形成方法。
【解決手段】膨張開始温度が80〜180℃の範囲にある加熱膨張性中空熱可塑性樹脂粉体を0.1〜10重量%および顔料を含有し、光沢度が10以下であることを特徴とする艶消し加熱硬化型シリコーンインク組成物、および、本艶消し加熱硬化型シリコーンインク組成物を基材表面に塗布し120〜230℃の範囲で硬化させることを特徴とする艶消し表面の形成方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は加熱硬化型シリコーンインク組成物に関し、詳しくは、加熱により硬化して皮膜強度に優れた艶消し性を有する皮膜を形成し、シリコーン成形品、特にはシリコーンゴム成形品の印字や印刷に有用な艶消し加熱硬化型シリコーンインク組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話、家庭電器用リモコン等にはシリコーンゴム製キーパッドが使用されている。これらシリコーンゴム製キーパッドの印字や印刷には各色のシリコーンインクが使用されており、近年の複雑な配色を有する製品では、高級感の付与を目的とした艶消し印刷が好まれる傾向にある。従来、シリコーンインク塗膜に艶消し性を付与するためには、大粒子径の無機充填剤(例えば、シリカ、珪藻土、炭酸カルシウム等)の配合、多量の溶媒使用、硬化物表面の研磨等の方法が知られている。しかし、無機充填剤の添加では、十分な艶消し性を得るためには大量に配合する必要があり、色調が変化したり、塗膜の耐磨耗性が著しく低下したり、目詰まりの原因となるためスクリーン印刷に適していないという問題や、インク組成物の粘度が増大し作業性が低下するという問題があった。この問題を解決するために、平均粒子径50μm以下の球状粉末を配合したインク組成物(特開平4−161468号公報参照)が提案されているが、十分な艶消し性を得るために球状粉末を多量に配合する必要があったり、色調の変化や球状粉末の種類によってはコストアップに繋がったりするという問題があった。また、多量の溶媒を使用する方法では、溶媒除去のための環境汚染の問題があり、硬化物表面を研磨する方法では、シリコーンゴム成形品の形状により制約を受けるという問題があった。
【0003】
他に、特開2001−214101号公報には、桐油を配合して、硬化後に表面に酸化皮膜を形成して艶消し性を付与するシリコーンゴム用インキが記載されている。しかし、このインキでは、硬化温度を低くする必要があるために基材への十分な接着力が得られず、また、印刷塗膜のような薄い成形物では十分な艶消し性を付与することが出来なかった。
【0004】
また、特開平9−12891号公報には、ポリカーボネート樹脂粉末を配合した表面処理剤が記載されている。しかし、ポリカーボネート樹脂は加熱により変色するため、加熱条件によって色調が変化するという問題があった。
【0005】
また、特開平5−209080号公報には、加熱により膨張する中空熱可塑性樹脂粉末を含有する発泡性シリコーンゴム組成物が記載されている。しかし、顔料を配合したシリコーンインク組成物は開示も示唆もされていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は上記問題を解消すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち、本発明の目的は、粘度、作業性、色調の安定性、コスト、硬化皮膜強度等に悪影響を与えることなく、優れた艶消し性を有する硬化皮膜を形成し得る加熱硬化型シリコーンインク組成物を提供することにあり、特には、シリコーン成形品、シリコーンゴム成形品の印字や印刷に好適な加熱硬化型シリコーンインク組成物を提供することにある。
【0007】
【課題の解決手段】
本発明は、膨張開始温度が80〜180℃の範囲にある加熱膨張性中空熱可塑性樹脂粉体を0.1〜10重量%および顔料を含有し、硬化皮膜表面の光沢度が10以下であることを特徴とする艶消し加熱硬化型シリコーンインク組成物、および、上記艶消し加熱硬化型シリコーンインク組成物を基材表面に塗布し120〜230℃の範囲で硬化させることを特徴とする艶消し表面の形成方法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
これを説明すると、本発明組成物に使用される加熱膨張性中空熱可塑性樹脂粉体は、シリコーンインクの硬化皮膜に艶消し性を付与するための必須成分である。本中空熱可塑性樹脂粉体を配合すると、その配合量が従来技術のシリコーンインク組成物の無機充填材等と比較して格段に少ないにも関わらず、硬化皮膜に良好な艶消し性を付与することができる。このため、シリコーンインク組成物が本来持つ、粘度、作業性、硬化皮膜の強度、基材への密着性/接着性、色調等が損なわれることがないという特徴がある。
【0009】
かかる加熱膨張性中空熱可塑性樹脂粉体の膨張開始温度は70℃〜180℃の範囲にあることが必要であり、好ましくは、75℃〜150℃の範囲、より好ましくは80℃〜130℃の範囲である。これは、熱膨張開始温度が上記範囲未満であると、本発明組成物の硬化皮膜の光沢度が十分下がらない場合があったり、艶消し表面の均一性が損なわれたりするからであり、上記範囲を超えると、本発明組成物の硬化皮膜の光沢度が十分下がらない場合があったり皮膜強度が低下したりするからである。
【0010】
また、本中空熱可塑性樹脂粉体の真比重は0.9〜1.2の範囲であることが好ましい。これは、真比重が上記範囲外である場合、本発明組成物の保存中に本中空熱可塑性樹脂粉体が沈降あるいは浮上するなどして分離しやすくなり、本発明組成物の均一性が損なわれるなどして、保存安定性が損なわれる場合があるからである。
【0011】
また、本中空熱可塑性樹脂粉末の平均粒子径は5〜30μmであることが好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。これは、平均粒子径が上記範囲未満の場合、本発明組成物の硬化皮膜の光沢度が十分下がらない場合があるからであり、平均粒子径が上記範囲を超える場合、本発明組成物を塗工する際、スクリーン印刷時に目詰まりするなどして作業性が低下したり、艶消し表面の均一性が損なわれたりする場合があるからである。また、本中空熱可塑性樹脂粉末を加熱膨張させた後の平均粒子径は15〜90μmの範囲であることが好ましい。これは、膨張後の粒子径が上記範囲未満であると、本発明組成物の硬化皮膜の光沢度が十分に下がらない場合があるからであり、膨張後の粒子径が上記範囲を超えると、本発明組成物の硬化皮膜の艶消し表面の均一性が損なわれたり、皮膜強度が低下したりする場合があるからである。
【0012】
かかる加熱膨張性中空熱可塑性樹脂粉体の外壁を形成する樹脂は、特に限定されないが、エチレン,スチレン,酢酸ビニル,塩化ビニル,塩化ビニリデン,アクリロニトリル,メタクリロニトリル,メチルメタクリレート,ブタジエン,クロロプレンなどのビニル系モノマー重合体およびこれらのモノマーの共重合体、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂が例示される。中でも、ビニル系モノマー重合体及びこれらのモノマーの共重合体であることが好ましい。また、中空熱可塑性樹脂粉体の内部物質としては、ブタン,イソブタン,ペンタン,イソペンタン等の低沸点の炭化水素、空気、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスが例示される。中でも、低沸点の炭化水素であることが好ましい。
【0013】
本中空熱可塑性樹脂粉体の配合量は本発明組成物中0.1〜10重量%の範囲内であり、0.2〜10重量%であることが好ましく、0.4〜8重量%であることがより好ましく、0.4〜5重量%であることが最も好ましい。これは、上記範囲下限未満では本発明組成物の硬化皮膜表面に十分な艶消し性を付与することができず、上記範囲上限を超えると本発明組成物の硬化皮膜表面が脆くなり、耐磨耗性が低下したり、基材への接着強度が低下したりすることがあるからである。
【0014】
また、本発明組成物に必須の顔料は、印刷用インクなどに使用されることが周知とされる各種の顔料、例えばカーボンブラック,酸化チタン,ベンカラ、チタンイエロー、群青、酸化鉄、亜鉛華、クロムグリーン等の無機顔料、アンスラキノンバイオレット、アンスラキノンブルー、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、アリザニングリーン、フタロシアニングリーン、ベリソンレッド等の有機顔料、アルミニウム粉、銅粉、スズ粉等の金属粉顔料、酸化亜鉛系化合物を主成分とする蓄光顔料等が例示される。これらの顔料は、対象物の色調、彩度等を考慮して適宜選択される。ただし、硫黄やリンを含むなどして本発明組成物の硬化を阻害する顔料の使用は避けた方がよい。
【0015】
また、その配合量は特に限定されず、目的とする着色度、隠蔽度等に応じて適宜決定され、一般に本発明組成物中0.05〜50重量%の範囲であることが好ましい。
【0016】
加熱膨張性中空熱可塑性樹脂粉体および顔料を配合する加熱硬化型シリコーン組成物としては、従来公知の加熱硬化型シリコーン組成物が使用でき、付加反応硬化型液状シリコーン組成物、過酸化物硬化型液状シリコーンインク組成物が例示される。中でも、薄膜での硬化性にも優れ、シリコーン成形物、特にはシリコーンゴム成形物に対して優れた硬化皮膜の皮膜強度および皮膜密着性/接着性を有するので、付加反応硬化型のシリコーン組成物が好ましい。加熱硬化型シリコーン組成物は、硬化してゴム状となるものが好ましい。
【0017】
本発明の艶消し加熱硬化型シリコーンインク組成物は、次に示す付加反応硬化型シリコーンインク組成物であることが好ましい。
(A)25℃における粘度が100〜100,000mPa・sであり、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン 100重量部、
(B)膨張開始温度が80〜180℃の範囲にある加熱膨張性中空熱可塑性樹脂粉体(本組成物中で0.1〜10重量%となる量)、
(C)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン[ただし、(A)成分が1分子中にケイ素原子結合アルケニル基を2個有するオルガノポリシロキサンである場合には、本成分は1分子中に少なくとも3個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。](本成分中のケイ素原子結合水素原子と(A)成分中のアルケニル基のモル比が(1:5)〜(1:50)となる量)、
(D)白金系触媒 触媒量、および
(E)顔料 0.1〜100重量部
【0018】
以下、この組成物について説明すると、(A)成分のオルガノポリシロキサンは、本発明組成物の主成分であり、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する。このような(A)成分の分子構造は特に限定されず、例えば、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、樹脂状、網状、および環状があり、好ましくは直鎖状、一部分岐を有する直鎖状である。(A)成分中のアルケニル基としては具体的に、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基が例示され、好ましくはビニル基である。また、このアルケニル基の結合位置は限定されず、分子鎖末端に存在していてもよく、また、分子鎖側鎖に存在していてもよい。また、(A)成分中のアルケニル基以外の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基などのアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基などのアリール基、ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などの置換アルキル基が挙げられる。これらの中でも好ましくはメチル基である。
【0019】
また、(A)成分の25℃における粘度は、100〜100,000mPa・sの範囲である。これは、上記粘度範囲下限未満であると、機械的強度が著しく低下するためであり、また、上記粘度範囲上限を超えると、本発明組成物の粘度が高くなりすぎ塗布作業が困難となるなど取扱い作業性が悪化するためである。
【0020】
このような(A)成分としては、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封止ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封止ジフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封止メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封止ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封止ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封止ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封止ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封止ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封止メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封止ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封止ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体が例示される。
【0021】
(B)成分の加熱膨張性中空熱可塑性樹脂粉体は、前記どおりである。
【0022】
(C)成分は、(A)成分の架橋剤であり、ケイ素原子結合水素原子が(A)成分のアルケニル基に付加反応することにより架橋する。ただし、(A)成分が1分子中にケイ素原子結合アルケニル基を2個有するオルガノポリシロキサンである場合には、(C)成分は、1分子中に少なくとも3個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。(C)成分の粘度は特に限定されないが、10〜5,000mPa・sの範囲であることが好ましい。また、(C)成分の分子構造は限定されず、例えば、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、樹脂状、網状、および環状であるが、好ましくは直鎖状、一部分岐を有する直鎖状である。なお、(C)成分中のケイ素原子結合水素原子の結合位置は限定されず、分子鎖末端あるいは分子鎖側鎖に存在していてもよい。また、(C)成分中のケイ素原子結合有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基などのアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基などのアリール基、ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などの置換アルキル基が例示される。これらの中でもメチル基が好ましい。
【0023】
このような(C)成分としては、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封止ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封止メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封止ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封止ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封止ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封止ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封止ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封止メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封止ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封止ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、環状ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、環状ポリメチルハイドロジェンシロキサン、式:(CH3)3SiO1/2単位で表されるシロキサン単位、式:(CH3)2HSiO1/2単位で表されるシロキサン単位および式:SiO4/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサン、式:(CH3)2HSiO1/2単位で表されるシロキサン単位および式:CH3SiO3/2単位で示されるシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサン、式:(CH3)2HSiO1/2単位で表されるシロキサン単位、式:(CH3)2SiO2/2単位および式:CH3SiO3/2単位で示されるシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサンが例示される。
【0024】
(C)成分の配合量は、(A)成分中のアルケニル基のモル数と(C)成分中のケイ素原子結合水素原子のモル数の比が(1:0.4)〜(1:50)となる量であり、好ましくは(1:2)〜(1:40)となる量であり、より好ましくは(1:5)〜(1:30)となる量である。これは(C)成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比が上記範囲下限未満であると、得られたシリコーンインク組成物の硬化が不十分となり、十分な皮膜強度が得られないためであり、上記範囲上限を超えると、(C)成分が本発明組成物の硬化皮膜表面にブリードすることがあるためである。
【0025】
(D)成分の白金系触媒は、本発明組成物の硬化を促進するための触媒であり、従来公知のヒドロシリル化触媒活性を示す白金系触媒が好ましい。具体的には、塩化白金酸,アルコール変性塩化白金酸,塩化白金酸とオレフィンとの錯体,塩化白金酸とβ−ジケトンとの錯体、白金もしくは塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体,アルミナ,シリカ,カーボンブラックなどの粉体に担持された白金もしくは白金黒などの白金系触媒が例示される。これらの中でも触媒活性の高さおよび(A)成分と(C)成分への相溶性に優れていることから白金もしくは塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体触媒が望ましい。このような(D)成分の配合量は触媒量であり、通常(A)成分100万重量部に対し、白金換算で0.01〜1000重量部の範囲であり、好ましくは0.5〜100重量部の範囲内である。これは上記範囲下限未満であると、得られる硬化性シリコーン組成物の硬化速度が著しく遅くなるためであり、また、これが上記範囲上限を超えると不経済であるからである。
【0026】
(E)成分の顔料は、前記どおりである。その配合量は前述のように、目的とする着色度、隠蔽度、組成物の粘度等に応じて決定されるが、一般に0.1〜100重量部の範囲で使用され、好ましくは1〜60重量部の範囲である。
【0027】
本発明の加熱硬化型シリコーンインク組成物は、上記(A)成分〜(E)成分からなることが好ましいが、これらの成分に加えて、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、フェニルブチノール、1−エチニル−1−シクロヘキサノールなどの三重結合を有するアルコール誘導体;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−インなどのエンイン化合物;テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラヘキセニルシクロテトラシロキサン;ベンゾトリアゾール;メチル(トリス 1,1−ジメチル−2−プロピニロキシ)シランなどを硬化遅延剤として配合することが好ましい。これらの硬化遅延剤の配合量は、通常、(A)成分100重量部に対して0.01〜10重量部の範囲内である。
【0028】
本発明の組成物には、硬化皮膜の機械的強度を向上させるために、必要に応じてヒュームドシリカ、湿式シリカなどの微粉末状シリカ、表面が疎水化処理された微粉末状シリカを配合してもよい。さらに、希釈剤としてのメチルエチルケトン、トルエン、キシレンなどの各種有機溶媒、耐熱剤、難燃剤、抗菌剤、防カビ剤などを配合することは、本発明の目的を損なわない限り差し支えない。
【0029】
本発明の組成物は上記(A)成分〜(E)成分を均一に混合することによって容易に得られる。本発明の組成物を製造する方法は特に限定されず、例えば、上記(A)成分〜(E)成分を、ロスミキサー、プラネタリーミキサー、ヘンシェルミキサー、バタフライミキサー、ホバートミキサーなどの攪拌装置の中で均一に混合することによって容易に製造できる。本発明組成物は、(A)〜(E)成分を均一に混合した1液の形態でも良いが、保存安定性向上のために使用前には(C)成分と、(D)成分が分離された形態で保存し、使用直前にこれら2液以上の組成物を混合して使用する形態であることが好ましい。具体的には、(D)成分を含まない、(A)成分、(B)成分、(C)成分および(E)成分からなる組成物と(C)成分を含まない(D)成分とその希釈剤(例えば(A)成分)などからなる組成物からなる2液混合型の形態;(C)成分を含まない、(A)成分、(B)成分、(D)成分および(E)成分からなる組成物と(D)成分を含まない(C)成分とその希釈剤(例えば(A)成分)などからなる組成物からなる2液混合型の形態;(C)成分を含まない、(A)成分、(B)成分、(D)成分および(E)成分からなる組成物と、(D)成分を含まない、(A)成分、(B)成分、(C)成分および(E)成分からなる組成物からなる2液混合型の形態が例示される。
【0030】
本発明の組成物は、液状であればよく、その粘度は特に限定されないが、塗工作業性の観点から100〜200,000mPa・sの範囲であることが好ましく、1,000〜50,000mPa・sの範囲であることがより好ましい。
【0031】
本発明の組成物は、120〜230℃の温度下で加熱硬化させることが好ましく、より好ましい温度範囲は150〜230℃である。これは、上記温度範囲未満であると、本発明組成物の硬化皮膜の基材への接着力が十分で無くなったり、艶消し性が十分でなくなったりする場合があるからであり、上記温度範囲上限を超えると、本発明組成物の硬化皮膜の皮膜強度が低下することがあるからである。
【0032】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、実施例中、部とあるのは重量部を意味し、粘度は25℃における値である。また、加熱硬化型シリコーンインク組成物を塗布・硬化させた試験体の表面の60°鏡面光沢度は、JIS Z 8741の規定に従って測定した。また、硬化皮膜の皮膜強度は、塗布面にセロテープ(商標)を貼り付け、剥がした時にセロテープ(商標)に皮膜が付くかどうかを試験し、セロテープ(商標)に皮膜が全く付かなかった場合に”良”、少しでも皮膜がついた場合を”悪”とした。
【0033】
【実施例1】
粘度が10,000mPa・sであり、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100部、BET法による比表面積が200m2/gのヒュームドシリカ15部、ヘキサメチルジシラザン5部、水1.5部をロスミキサーに投入し、真空下170℃の温度下で混練してシリコーンゴムベースコンパウンドを調製した。更に、アセチレンブラック[電気化学工業(株)製,デンカブラック(商標)]を20部、中空熱可塑性樹脂粉体[エクスパンセル 051DU(商標)、エクスパンセル社製、膨張開始温度:105〜110℃、粒子径:9〜15μm、真比重:1.1、外殻:メチルメタクリレート・アクリロニトリル共重合体、内部物質:イソブタン]2.8部を添加し、均一に混合した後、さらに3本ロールにて均一に混合した。続いて、塩化白金酸の2ーエチルヘキサノール溶液(塩化白金酸含有0.03重量%)0.25部、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封止メチルハイドロジェンポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子含有量1.57重量パーセント)7部、メチル(トリス 1,1−ジメチル−2−プロピニロキシ)シラン 0.03部を加えて均一に混合して、加熱硬化型シリコーンインク組成物を得た。得られた加熱硬化型シリコーンインク組成物の粘度は6,330mPa・sであった。次いで、この組成物をトルエンで1.5倍に希釈して、厚さ2mmのシリコーンゴムシート[東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製SH851Uを有機過酸化物を硬化剤として加熱硬化させたもの]上に、硬化後の膜厚(インク厚)が30μmになるようにスクリーン印刷によって塗布した後に、200℃の加熱オーブン中で30分間硬化させて、光沢度を測定するための試験体を得た。次いで、JIS Z 8741の規定に従って、この試験体の60°鏡面光沢度を測定し、その結果を表1に記した。また、硬化皮膜の皮膜強度および皮膜の基材への密着性/接着性を調べるために上記の方法で皮膜強度を調べ、その結果を表1に併記した。
【0034】
【比較例1】
実施例1の中空熱可塑性樹脂粉体を配合しない以外は実施例1と同様にして60°鏡面光沢度と皮膜強度を測定し、その結果を表1に記した。なお、得られた加熱硬化型シリコーンインク組成物の粘度は6,000mPa・sであった。
【0035】
【比較例2】
実施例1で使用した中空熱可塑性樹脂粉体の替わりに桐油 2.8部を配合し、硬化温度を200℃から80℃に変更した以外は実施例1と同様にして60°鏡面光沢度と皮膜強度を測定し、その結果を表1に記した。なお、得られた加熱硬化型シリコーンインク組成物の粘度は5,900mPa・sであった。
【0036】
【実施例2】
実施例1で使用した中空熱可塑性樹脂粉体の替わりにマツモトマイクロスファー F−30(商標) [松本油脂工業(株)製、膨張開始温度:80〜85℃、粒子径:10〜15μm、真比重:1.1、外殻:塩化ビニリデン・アクリロニトリル共重合体、内部物質:イソブタン] を2.8部配合した以外は実施例1と同様にして60°鏡面光沢度と皮膜強度を測定し、その結果を表2に記した。なお、得られた加熱硬化型シリコーンインク組成物の粘度は6,030mPa・sであった。
【0037】
【実施例3】
実施例1で使用した中空熱可塑性樹脂粉体の替わりにエクスパンセル 091DU80(商標) [エクスパンセル社製、膨張開始温度:115〜125℃、粒子径:18〜24μm、真比重:1.1、外殻:メチルメタクリレート・メタクリロニトリル・アクリロニトリル共重合体、内部物質:イソブタン] を2.8部配合した以外は実施例1と同様にして60°鏡面光沢度と皮膜強度を測定し、その結果を表2に記した。なお、得られた加熱硬化型シリコーンインク組成物の粘度は6,220mPa・sであった。
【0038】
【実施例4】
実施例1で使用した中空熱可塑性樹脂粉体のエクスパンセル 051DU(商標)の配合量を2.8部から7部に変更した以外は実施例1と同様にして60°鏡面光沢度と皮膜強度を測定し、その結果を表2に記した。なお、得られた加熱硬化型シリコーンインク組成物の粘度は6,870mPa・sであった。
【0039】
【実施例5】
実施例1で使用した中空熱可塑性樹脂粉体のエクスパンセル 051DU(商標)の配合量を2.8部から0.7部に変更した以外は実施例1と同様にして60°鏡面光沢度と皮膜強度を測定し、その結果を表2に記した。なお、得られた加熱硬化型シリコーンインク組成物の粘度は6,050mPa・sであった。
【0040】
【比較例3】
実施例1で使用した中空熱可塑性樹脂粉体のエクスパンセル 051DU(商標)の配合量を2.8部から0.09部に変更した以外は実施例1と同様にして60°鏡面光沢度と皮膜強度を測定し、その結果を表2に記した。なお、得られた加熱硬化型シリコーンインク組成物の粘度は6,000mPa・sであった。
【0041】
【比較例4】
実施例1で使用した中空熱可塑性樹脂粉体のエクスパンセル 051DU(商標)の配合量を2.8部から21部に変更した以外は実施例1と同様にして60°鏡面光沢度と皮膜強度を測定し、その結果を表3に記した。なお、得られた加熱硬化型シリコーンインク組成物の粘度は8,700mPa・sであった。
【0042】
【比較例5】
実施例1の硬化温度を200℃から100℃に変更した以外は実施例1と同様にして60°鏡面光沢度と皮膜強度を測定し、その結果を表3に記した。
【0043】
【比較例6】
実施例1の硬化温度を200℃から250℃に変更した以外は実施例1と同様にして60°鏡面光沢度と皮膜強度を測定し、その結果を表3に記した。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【発明の効果】
本発明の艶消し加熱硬化型シリコーンインク組成物は加熱膨張性中空熱可塑性樹脂粉体を組成物中0.1〜10重量%および顔料を含有しているので、加熱硬化型シリコーンインク組成物が本来持つ、粘度、作業性、色調の安定性、コスト、硬化皮膜強度等に悪影響を与えることなく、優れた艶消し性を有する硬化皮膜を形成するという特徴を有する。また、本発明の艶消し表面の形成方法によれば、簡便に基材表面、特にはシリコーン成形品表面、さらにはシリコーンゴム成形品表面に、優れた皮膜強度を有する艶消し硬化皮膜を形成できるという特徴を有する。
【発明の属する技術分野】
本発明は加熱硬化型シリコーンインク組成物に関し、詳しくは、加熱により硬化して皮膜強度に優れた艶消し性を有する皮膜を形成し、シリコーン成形品、特にはシリコーンゴム成形品の印字や印刷に有用な艶消し加熱硬化型シリコーンインク組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話、家庭電器用リモコン等にはシリコーンゴム製キーパッドが使用されている。これらシリコーンゴム製キーパッドの印字や印刷には各色のシリコーンインクが使用されており、近年の複雑な配色を有する製品では、高級感の付与を目的とした艶消し印刷が好まれる傾向にある。従来、シリコーンインク塗膜に艶消し性を付与するためには、大粒子径の無機充填剤(例えば、シリカ、珪藻土、炭酸カルシウム等)の配合、多量の溶媒使用、硬化物表面の研磨等の方法が知られている。しかし、無機充填剤の添加では、十分な艶消し性を得るためには大量に配合する必要があり、色調が変化したり、塗膜の耐磨耗性が著しく低下したり、目詰まりの原因となるためスクリーン印刷に適していないという問題や、インク組成物の粘度が増大し作業性が低下するという問題があった。この問題を解決するために、平均粒子径50μm以下の球状粉末を配合したインク組成物(特開平4−161468号公報参照)が提案されているが、十分な艶消し性を得るために球状粉末を多量に配合する必要があったり、色調の変化や球状粉末の種類によってはコストアップに繋がったりするという問題があった。また、多量の溶媒を使用する方法では、溶媒除去のための環境汚染の問題があり、硬化物表面を研磨する方法では、シリコーンゴム成形品の形状により制約を受けるという問題があった。
【0003】
他に、特開2001−214101号公報には、桐油を配合して、硬化後に表面に酸化皮膜を形成して艶消し性を付与するシリコーンゴム用インキが記載されている。しかし、このインキでは、硬化温度を低くする必要があるために基材への十分な接着力が得られず、また、印刷塗膜のような薄い成形物では十分な艶消し性を付与することが出来なかった。
【0004】
また、特開平9−12891号公報には、ポリカーボネート樹脂粉末を配合した表面処理剤が記載されている。しかし、ポリカーボネート樹脂は加熱により変色するため、加熱条件によって色調が変化するという問題があった。
【0005】
また、特開平5−209080号公報には、加熱により膨張する中空熱可塑性樹脂粉末を含有する発泡性シリコーンゴム組成物が記載されている。しかし、顔料を配合したシリコーンインク組成物は開示も示唆もされていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は上記問題を解消すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち、本発明の目的は、粘度、作業性、色調の安定性、コスト、硬化皮膜強度等に悪影響を与えることなく、優れた艶消し性を有する硬化皮膜を形成し得る加熱硬化型シリコーンインク組成物を提供することにあり、特には、シリコーン成形品、シリコーンゴム成形品の印字や印刷に好適な加熱硬化型シリコーンインク組成物を提供することにある。
【0007】
【課題の解決手段】
本発明は、膨張開始温度が80〜180℃の範囲にある加熱膨張性中空熱可塑性樹脂粉体を0.1〜10重量%および顔料を含有し、硬化皮膜表面の光沢度が10以下であることを特徴とする艶消し加熱硬化型シリコーンインク組成物、および、上記艶消し加熱硬化型シリコーンインク組成物を基材表面に塗布し120〜230℃の範囲で硬化させることを特徴とする艶消し表面の形成方法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
これを説明すると、本発明組成物に使用される加熱膨張性中空熱可塑性樹脂粉体は、シリコーンインクの硬化皮膜に艶消し性を付与するための必須成分である。本中空熱可塑性樹脂粉体を配合すると、その配合量が従来技術のシリコーンインク組成物の無機充填材等と比較して格段に少ないにも関わらず、硬化皮膜に良好な艶消し性を付与することができる。このため、シリコーンインク組成物が本来持つ、粘度、作業性、硬化皮膜の強度、基材への密着性/接着性、色調等が損なわれることがないという特徴がある。
【0009】
かかる加熱膨張性中空熱可塑性樹脂粉体の膨張開始温度は70℃〜180℃の範囲にあることが必要であり、好ましくは、75℃〜150℃の範囲、より好ましくは80℃〜130℃の範囲である。これは、熱膨張開始温度が上記範囲未満であると、本発明組成物の硬化皮膜の光沢度が十分下がらない場合があったり、艶消し表面の均一性が損なわれたりするからであり、上記範囲を超えると、本発明組成物の硬化皮膜の光沢度が十分下がらない場合があったり皮膜強度が低下したりするからである。
【0010】
また、本中空熱可塑性樹脂粉体の真比重は0.9〜1.2の範囲であることが好ましい。これは、真比重が上記範囲外である場合、本発明組成物の保存中に本中空熱可塑性樹脂粉体が沈降あるいは浮上するなどして分離しやすくなり、本発明組成物の均一性が損なわれるなどして、保存安定性が損なわれる場合があるからである。
【0011】
また、本中空熱可塑性樹脂粉末の平均粒子径は5〜30μmであることが好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。これは、平均粒子径が上記範囲未満の場合、本発明組成物の硬化皮膜の光沢度が十分下がらない場合があるからであり、平均粒子径が上記範囲を超える場合、本発明組成物を塗工する際、スクリーン印刷時に目詰まりするなどして作業性が低下したり、艶消し表面の均一性が損なわれたりする場合があるからである。また、本中空熱可塑性樹脂粉末を加熱膨張させた後の平均粒子径は15〜90μmの範囲であることが好ましい。これは、膨張後の粒子径が上記範囲未満であると、本発明組成物の硬化皮膜の光沢度が十分に下がらない場合があるからであり、膨張後の粒子径が上記範囲を超えると、本発明組成物の硬化皮膜の艶消し表面の均一性が損なわれたり、皮膜強度が低下したりする場合があるからである。
【0012】
かかる加熱膨張性中空熱可塑性樹脂粉体の外壁を形成する樹脂は、特に限定されないが、エチレン,スチレン,酢酸ビニル,塩化ビニル,塩化ビニリデン,アクリロニトリル,メタクリロニトリル,メチルメタクリレート,ブタジエン,クロロプレンなどのビニル系モノマー重合体およびこれらのモノマーの共重合体、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂が例示される。中でも、ビニル系モノマー重合体及びこれらのモノマーの共重合体であることが好ましい。また、中空熱可塑性樹脂粉体の内部物質としては、ブタン,イソブタン,ペンタン,イソペンタン等の低沸点の炭化水素、空気、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスが例示される。中でも、低沸点の炭化水素であることが好ましい。
【0013】
本中空熱可塑性樹脂粉体の配合量は本発明組成物中0.1〜10重量%の範囲内であり、0.2〜10重量%であることが好ましく、0.4〜8重量%であることがより好ましく、0.4〜5重量%であることが最も好ましい。これは、上記範囲下限未満では本発明組成物の硬化皮膜表面に十分な艶消し性を付与することができず、上記範囲上限を超えると本発明組成物の硬化皮膜表面が脆くなり、耐磨耗性が低下したり、基材への接着強度が低下したりすることがあるからである。
【0014】
また、本発明組成物に必須の顔料は、印刷用インクなどに使用されることが周知とされる各種の顔料、例えばカーボンブラック,酸化チタン,ベンカラ、チタンイエロー、群青、酸化鉄、亜鉛華、クロムグリーン等の無機顔料、アンスラキノンバイオレット、アンスラキノンブルー、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、アリザニングリーン、フタロシアニングリーン、ベリソンレッド等の有機顔料、アルミニウム粉、銅粉、スズ粉等の金属粉顔料、酸化亜鉛系化合物を主成分とする蓄光顔料等が例示される。これらの顔料は、対象物の色調、彩度等を考慮して適宜選択される。ただし、硫黄やリンを含むなどして本発明組成物の硬化を阻害する顔料の使用は避けた方がよい。
【0015】
また、その配合量は特に限定されず、目的とする着色度、隠蔽度等に応じて適宜決定され、一般に本発明組成物中0.05〜50重量%の範囲であることが好ましい。
【0016】
加熱膨張性中空熱可塑性樹脂粉体および顔料を配合する加熱硬化型シリコーン組成物としては、従来公知の加熱硬化型シリコーン組成物が使用でき、付加反応硬化型液状シリコーン組成物、過酸化物硬化型液状シリコーンインク組成物が例示される。中でも、薄膜での硬化性にも優れ、シリコーン成形物、特にはシリコーンゴム成形物に対して優れた硬化皮膜の皮膜強度および皮膜密着性/接着性を有するので、付加反応硬化型のシリコーン組成物が好ましい。加熱硬化型シリコーン組成物は、硬化してゴム状となるものが好ましい。
【0017】
本発明の艶消し加熱硬化型シリコーンインク組成物は、次に示す付加反応硬化型シリコーンインク組成物であることが好ましい。
(A)25℃における粘度が100〜100,000mPa・sであり、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン 100重量部、
(B)膨張開始温度が80〜180℃の範囲にある加熱膨張性中空熱可塑性樹脂粉体(本組成物中で0.1〜10重量%となる量)、
(C)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン[ただし、(A)成分が1分子中にケイ素原子結合アルケニル基を2個有するオルガノポリシロキサンである場合には、本成分は1分子中に少なくとも3個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。](本成分中のケイ素原子結合水素原子と(A)成分中のアルケニル基のモル比が(1:5)〜(1:50)となる量)、
(D)白金系触媒 触媒量、および
(E)顔料 0.1〜100重量部
【0018】
以下、この組成物について説明すると、(A)成分のオルガノポリシロキサンは、本発明組成物の主成分であり、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する。このような(A)成分の分子構造は特に限定されず、例えば、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、樹脂状、網状、および環状があり、好ましくは直鎖状、一部分岐を有する直鎖状である。(A)成分中のアルケニル基としては具体的に、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基が例示され、好ましくはビニル基である。また、このアルケニル基の結合位置は限定されず、分子鎖末端に存在していてもよく、また、分子鎖側鎖に存在していてもよい。また、(A)成分中のアルケニル基以外の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基などのアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基などのアリール基、ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などの置換アルキル基が挙げられる。これらの中でも好ましくはメチル基である。
【0019】
また、(A)成分の25℃における粘度は、100〜100,000mPa・sの範囲である。これは、上記粘度範囲下限未満であると、機械的強度が著しく低下するためであり、また、上記粘度範囲上限を超えると、本発明組成物の粘度が高くなりすぎ塗布作業が困難となるなど取扱い作業性が悪化するためである。
【0020】
このような(A)成分としては、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封止ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封止ジフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封止メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封止ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封止ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封止ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封止ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封止ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封止メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封止ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封止ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体が例示される。
【0021】
(B)成分の加熱膨張性中空熱可塑性樹脂粉体は、前記どおりである。
【0022】
(C)成分は、(A)成分の架橋剤であり、ケイ素原子結合水素原子が(A)成分のアルケニル基に付加反応することにより架橋する。ただし、(A)成分が1分子中にケイ素原子結合アルケニル基を2個有するオルガノポリシロキサンである場合には、(C)成分は、1分子中に少なくとも3個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。(C)成分の粘度は特に限定されないが、10〜5,000mPa・sの範囲であることが好ましい。また、(C)成分の分子構造は限定されず、例えば、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、樹脂状、網状、および環状であるが、好ましくは直鎖状、一部分岐を有する直鎖状である。なお、(C)成分中のケイ素原子結合水素原子の結合位置は限定されず、分子鎖末端あるいは分子鎖側鎖に存在していてもよい。また、(C)成分中のケイ素原子結合有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基などのアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基などのアリール基、ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などの置換アルキル基が例示される。これらの中でもメチル基が好ましい。
【0023】
このような(C)成分としては、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封止ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封止メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封止ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封止ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封止ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封止ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封止ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封止メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封止ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封止ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、環状ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、環状ポリメチルハイドロジェンシロキサン、式:(CH3)3SiO1/2単位で表されるシロキサン単位、式:(CH3)2HSiO1/2単位で表されるシロキサン単位および式:SiO4/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサン、式:(CH3)2HSiO1/2単位で表されるシロキサン単位および式:CH3SiO3/2単位で示されるシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサン、式:(CH3)2HSiO1/2単位で表されるシロキサン単位、式:(CH3)2SiO2/2単位および式:CH3SiO3/2単位で示されるシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサンが例示される。
【0024】
(C)成分の配合量は、(A)成分中のアルケニル基のモル数と(C)成分中のケイ素原子結合水素原子のモル数の比が(1:0.4)〜(1:50)となる量であり、好ましくは(1:2)〜(1:40)となる量であり、より好ましくは(1:5)〜(1:30)となる量である。これは(C)成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比が上記範囲下限未満であると、得られたシリコーンインク組成物の硬化が不十分となり、十分な皮膜強度が得られないためであり、上記範囲上限を超えると、(C)成分が本発明組成物の硬化皮膜表面にブリードすることがあるためである。
【0025】
(D)成分の白金系触媒は、本発明組成物の硬化を促進するための触媒であり、従来公知のヒドロシリル化触媒活性を示す白金系触媒が好ましい。具体的には、塩化白金酸,アルコール変性塩化白金酸,塩化白金酸とオレフィンとの錯体,塩化白金酸とβ−ジケトンとの錯体、白金もしくは塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体,アルミナ,シリカ,カーボンブラックなどの粉体に担持された白金もしくは白金黒などの白金系触媒が例示される。これらの中でも触媒活性の高さおよび(A)成分と(C)成分への相溶性に優れていることから白金もしくは塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体触媒が望ましい。このような(D)成分の配合量は触媒量であり、通常(A)成分100万重量部に対し、白金換算で0.01〜1000重量部の範囲であり、好ましくは0.5〜100重量部の範囲内である。これは上記範囲下限未満であると、得られる硬化性シリコーン組成物の硬化速度が著しく遅くなるためであり、また、これが上記範囲上限を超えると不経済であるからである。
【0026】
(E)成分の顔料は、前記どおりである。その配合量は前述のように、目的とする着色度、隠蔽度、組成物の粘度等に応じて決定されるが、一般に0.1〜100重量部の範囲で使用され、好ましくは1〜60重量部の範囲である。
【0027】
本発明の加熱硬化型シリコーンインク組成物は、上記(A)成分〜(E)成分からなることが好ましいが、これらの成分に加えて、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、フェニルブチノール、1−エチニル−1−シクロヘキサノールなどの三重結合を有するアルコール誘導体;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−インなどのエンイン化合物;テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラヘキセニルシクロテトラシロキサン;ベンゾトリアゾール;メチル(トリス 1,1−ジメチル−2−プロピニロキシ)シランなどを硬化遅延剤として配合することが好ましい。これらの硬化遅延剤の配合量は、通常、(A)成分100重量部に対して0.01〜10重量部の範囲内である。
【0028】
本発明の組成物には、硬化皮膜の機械的強度を向上させるために、必要に応じてヒュームドシリカ、湿式シリカなどの微粉末状シリカ、表面が疎水化処理された微粉末状シリカを配合してもよい。さらに、希釈剤としてのメチルエチルケトン、トルエン、キシレンなどの各種有機溶媒、耐熱剤、難燃剤、抗菌剤、防カビ剤などを配合することは、本発明の目的を損なわない限り差し支えない。
【0029】
本発明の組成物は上記(A)成分〜(E)成分を均一に混合することによって容易に得られる。本発明の組成物を製造する方法は特に限定されず、例えば、上記(A)成分〜(E)成分を、ロスミキサー、プラネタリーミキサー、ヘンシェルミキサー、バタフライミキサー、ホバートミキサーなどの攪拌装置の中で均一に混合することによって容易に製造できる。本発明組成物は、(A)〜(E)成分を均一に混合した1液の形態でも良いが、保存安定性向上のために使用前には(C)成分と、(D)成分が分離された形態で保存し、使用直前にこれら2液以上の組成物を混合して使用する形態であることが好ましい。具体的には、(D)成分を含まない、(A)成分、(B)成分、(C)成分および(E)成分からなる組成物と(C)成分を含まない(D)成分とその希釈剤(例えば(A)成分)などからなる組成物からなる2液混合型の形態;(C)成分を含まない、(A)成分、(B)成分、(D)成分および(E)成分からなる組成物と(D)成分を含まない(C)成分とその希釈剤(例えば(A)成分)などからなる組成物からなる2液混合型の形態;(C)成分を含まない、(A)成分、(B)成分、(D)成分および(E)成分からなる組成物と、(D)成分を含まない、(A)成分、(B)成分、(C)成分および(E)成分からなる組成物からなる2液混合型の形態が例示される。
【0030】
本発明の組成物は、液状であればよく、その粘度は特に限定されないが、塗工作業性の観点から100〜200,000mPa・sの範囲であることが好ましく、1,000〜50,000mPa・sの範囲であることがより好ましい。
【0031】
本発明の組成物は、120〜230℃の温度下で加熱硬化させることが好ましく、より好ましい温度範囲は150〜230℃である。これは、上記温度範囲未満であると、本発明組成物の硬化皮膜の基材への接着力が十分で無くなったり、艶消し性が十分でなくなったりする場合があるからであり、上記温度範囲上限を超えると、本発明組成物の硬化皮膜の皮膜強度が低下することがあるからである。
【0032】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、実施例中、部とあるのは重量部を意味し、粘度は25℃における値である。また、加熱硬化型シリコーンインク組成物を塗布・硬化させた試験体の表面の60°鏡面光沢度は、JIS Z 8741の規定に従って測定した。また、硬化皮膜の皮膜強度は、塗布面にセロテープ(商標)を貼り付け、剥がした時にセロテープ(商標)に皮膜が付くかどうかを試験し、セロテープ(商標)に皮膜が全く付かなかった場合に”良”、少しでも皮膜がついた場合を”悪”とした。
【0033】
【実施例1】
粘度が10,000mPa・sであり、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100部、BET法による比表面積が200m2/gのヒュームドシリカ15部、ヘキサメチルジシラザン5部、水1.5部をロスミキサーに投入し、真空下170℃の温度下で混練してシリコーンゴムベースコンパウンドを調製した。更に、アセチレンブラック[電気化学工業(株)製,デンカブラック(商標)]を20部、中空熱可塑性樹脂粉体[エクスパンセル 051DU(商標)、エクスパンセル社製、膨張開始温度:105〜110℃、粒子径:9〜15μm、真比重:1.1、外殻:メチルメタクリレート・アクリロニトリル共重合体、内部物質:イソブタン]2.8部を添加し、均一に混合した後、さらに3本ロールにて均一に混合した。続いて、塩化白金酸の2ーエチルヘキサノール溶液(塩化白金酸含有0.03重量%)0.25部、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封止メチルハイドロジェンポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子含有量1.57重量パーセント)7部、メチル(トリス 1,1−ジメチル−2−プロピニロキシ)シラン 0.03部を加えて均一に混合して、加熱硬化型シリコーンインク組成物を得た。得られた加熱硬化型シリコーンインク組成物の粘度は6,330mPa・sであった。次いで、この組成物をトルエンで1.5倍に希釈して、厚さ2mmのシリコーンゴムシート[東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製SH851Uを有機過酸化物を硬化剤として加熱硬化させたもの]上に、硬化後の膜厚(インク厚)が30μmになるようにスクリーン印刷によって塗布した後に、200℃の加熱オーブン中で30分間硬化させて、光沢度を測定するための試験体を得た。次いで、JIS Z 8741の規定に従って、この試験体の60°鏡面光沢度を測定し、その結果を表1に記した。また、硬化皮膜の皮膜強度および皮膜の基材への密着性/接着性を調べるために上記の方法で皮膜強度を調べ、その結果を表1に併記した。
【0034】
【比較例1】
実施例1の中空熱可塑性樹脂粉体を配合しない以外は実施例1と同様にして60°鏡面光沢度と皮膜強度を測定し、その結果を表1に記した。なお、得られた加熱硬化型シリコーンインク組成物の粘度は6,000mPa・sであった。
【0035】
【比較例2】
実施例1で使用した中空熱可塑性樹脂粉体の替わりに桐油 2.8部を配合し、硬化温度を200℃から80℃に変更した以外は実施例1と同様にして60°鏡面光沢度と皮膜強度を測定し、その結果を表1に記した。なお、得られた加熱硬化型シリコーンインク組成物の粘度は5,900mPa・sであった。
【0036】
【実施例2】
実施例1で使用した中空熱可塑性樹脂粉体の替わりにマツモトマイクロスファー F−30(商標) [松本油脂工業(株)製、膨張開始温度:80〜85℃、粒子径:10〜15μm、真比重:1.1、外殻:塩化ビニリデン・アクリロニトリル共重合体、内部物質:イソブタン] を2.8部配合した以外は実施例1と同様にして60°鏡面光沢度と皮膜強度を測定し、その結果を表2に記した。なお、得られた加熱硬化型シリコーンインク組成物の粘度は6,030mPa・sであった。
【0037】
【実施例3】
実施例1で使用した中空熱可塑性樹脂粉体の替わりにエクスパンセル 091DU80(商標) [エクスパンセル社製、膨張開始温度:115〜125℃、粒子径:18〜24μm、真比重:1.1、外殻:メチルメタクリレート・メタクリロニトリル・アクリロニトリル共重合体、内部物質:イソブタン] を2.8部配合した以外は実施例1と同様にして60°鏡面光沢度と皮膜強度を測定し、その結果を表2に記した。なお、得られた加熱硬化型シリコーンインク組成物の粘度は6,220mPa・sであった。
【0038】
【実施例4】
実施例1で使用した中空熱可塑性樹脂粉体のエクスパンセル 051DU(商標)の配合量を2.8部から7部に変更した以外は実施例1と同様にして60°鏡面光沢度と皮膜強度を測定し、その結果を表2に記した。なお、得られた加熱硬化型シリコーンインク組成物の粘度は6,870mPa・sであった。
【0039】
【実施例5】
実施例1で使用した中空熱可塑性樹脂粉体のエクスパンセル 051DU(商標)の配合量を2.8部から0.7部に変更した以外は実施例1と同様にして60°鏡面光沢度と皮膜強度を測定し、その結果を表2に記した。なお、得られた加熱硬化型シリコーンインク組成物の粘度は6,050mPa・sであった。
【0040】
【比較例3】
実施例1で使用した中空熱可塑性樹脂粉体のエクスパンセル 051DU(商標)の配合量を2.8部から0.09部に変更した以外は実施例1と同様にして60°鏡面光沢度と皮膜強度を測定し、その結果を表2に記した。なお、得られた加熱硬化型シリコーンインク組成物の粘度は6,000mPa・sであった。
【0041】
【比較例4】
実施例1で使用した中空熱可塑性樹脂粉体のエクスパンセル 051DU(商標)の配合量を2.8部から21部に変更した以外は実施例1と同様にして60°鏡面光沢度と皮膜強度を測定し、その結果を表3に記した。なお、得られた加熱硬化型シリコーンインク組成物の粘度は8,700mPa・sであった。
【0042】
【比較例5】
実施例1の硬化温度を200℃から100℃に変更した以外は実施例1と同様にして60°鏡面光沢度と皮膜強度を測定し、その結果を表3に記した。
【0043】
【比較例6】
実施例1の硬化温度を200℃から250℃に変更した以外は実施例1と同様にして60°鏡面光沢度と皮膜強度を測定し、その結果を表3に記した。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【発明の効果】
本発明の艶消し加熱硬化型シリコーンインク組成物は加熱膨張性中空熱可塑性樹脂粉体を組成物中0.1〜10重量%および顔料を含有しているので、加熱硬化型シリコーンインク組成物が本来持つ、粘度、作業性、色調の安定性、コスト、硬化皮膜強度等に悪影響を与えることなく、優れた艶消し性を有する硬化皮膜を形成するという特徴を有する。また、本発明の艶消し表面の形成方法によれば、簡便に基材表面、特にはシリコーン成形品表面、さらにはシリコーンゴム成形品表面に、優れた皮膜強度を有する艶消し硬化皮膜を形成できるという特徴を有する。
Claims (6)
- 膨張開始温度が80〜180℃の範囲にある加熱膨張性中空熱可塑性樹脂粉体を0.1〜10重量%および顔料を含有し、硬化皮膜表面の光沢度が10以下であることを特徴とする艶消し加熱硬化型シリコーンインク組成物。
- 加熱膨張性中空熱可塑性樹脂粉体の真比重が0.9〜1.2の範囲である、請求項1記載の艶消し加熱硬化型シリコーンインク組成物。
- 加熱膨張性中空熱可塑性樹脂粉体の平均粒子径が5〜30μmである請求項2記載の艶消し加熱硬化型シリコーンインク組成物。
- 加熱硬化型シリコーンインク組成物中の加熱硬化型シリコーン組成物が付加反応硬化型である請求項1記載の艶消し加熱硬化型シリコーンインク組成物。
- 下記組成からなることを特徴とする、請求項4記載の艶消し加熱硬化型シリコーンインク組成物。
(A)25℃における粘度が100〜100,000mPa・sであり、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン 100重量部、
(B)膨張開始温度が80〜180℃の範囲にある加熱膨張性中空熱可塑性樹脂粉体(本組成物中で0.1〜10重量%となる量)、
(C)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン[ただし、(A)成分が1分子中にケイ素原子結合アルケニル基を2個有するオルガノポリシロキサンである場合には、本成分は1分子中に少なくとも3個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。](本成分中のケイ素原子結合水素原子と(A)成分中のアルケニル基のモル比が(1:5)〜(1:50)となる量)、
(D)白金系触媒 触媒量、および
(E)顔料 0.1〜100重量部 - 請求項1または請求項5記載の艶消し加熱硬化型シリコーンインク組成物を基材表面に塗布し120〜230℃の範囲で硬化させることを特徴とする艶消し表面の形成方法。
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