JP3947587B2 - シリコーンゴム系コーティング剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液状シリコーンゴム系コーティング剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、シリコーンゴムは、電気産業、電子産業、自動車産業、建設業、通信業、家庭用品産業などが発達するにつれて、良好な耐熱性,耐寒性,耐候性,電気絶縁性等の特徴が注目され、多くの分野で使用されるとともに、その種類も多種多様をきわめている。常温で液状を呈しており、硬化してシリコーンゴムとなる液状シリコーンゴム組成物は塗布作業性に優れているので、金属材料,建材,織物,編物などのコーティング剤として使用されたり、提案されている。また、シリコーンゴム成形品の表面に文字、記号、模様等の印刷が可能な液状シリコーンゴム系硬化性印刷インクが提案され(特公昭52−14642号公報,特公昭57−49589号公報)、一部は実用化されている。ところが、液状シリコーンゴム系のコーティング剤組成物や硬化性印刷インクが硬化してゴム状となった被膜表面はいずれも粘着性があり、滑り性に欠けるという欠点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは、硬化したときに被膜表面が粘着性がなく、滑り性のある液状シリコーンゴム系コーティング剤組成物を開発すべく鋭意研究した結果、液状シリコーンゴム組成物に中空セラミックス粒子を所定量含有させれば、達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、硬化後の被膜表面が粘着性がなく、滑り性の優れたシリコーンゴム系コーティング剤組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題の解決手段】この目的は、(A)平均粒径が5〜100μmの中空ムライト粒子を4〜70重量%含有する液状シリコーンゴム組成物であることを特徴とするシリコーンゴム系コーティング剤組成物によって達成することができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のシリコーンゴム系コーティング剤組成物は、(A)平均粒径が5〜100μmの中空ムライト粒子、あるいはこれと(B)顔料を含有した状態で、常温で液状であり、硬化してシリコーンゴムとなるものであればよく、その種類は特に限定されない。そのような組成物としては、(a)常温で液状のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンと(b)オルガノハイドロジェンポリシロキサンと(c)白金系触媒を必須成分とし、好ましくは(d)補強性充填剤をさらに含有し、ヒドロシリレーション反応により架橋・硬化してシリコーンゴムとなるヒドロシリレーション反応硬化型液状シリコーンゴム組成物、(e)常温で液状のシラノール基もしくはケイ素原子結合加水分解性基含有オルガノポリシロキサンと(f)ケイ素原子結合加水分解性基含有シランもしくはシロキサン、(g)有機錫化合物、有機チタン化合物等の縮合反応促進触媒を必須成分とし、好ましくは(d)補強性充填剤をさらに含有し、縮合反応により架橋・硬化してシリコーンゴムとなる縮合反応硬化型液状シリコーンゴム組成物、(a)常温で液状のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンと(h)有機過酸化物を必須成分とし、好ましくは(d)補強性充填剤をさらに含有し、ラジカル反応により架橋・硬化してシリコーンゴムとなる有機過酸化物硬化型液状シリコーンゴム組成物、高周波硬化型液状シリコーンゴム組成物などが挙げられる。これらのうちでは、硬化速度の点でヒドロシリレーション反応硬化型液状シリコーンゴム組成物、ついで縮合反応硬化型液状シリコーンゴム組成物が好ましい。
【0006】
これを説明すると、(a)成分は架橋してシリコーンゴムを与える主成分であり、(c)成分の触媒作用により(b)成分と付加反応して硬化する。この(a)成分は1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した低級アルケニル基を有することが必要であり、この低級アルケニル基が2個未満であると網状構造を形成しないため良好な硬化物、すなわち、シリコーンゴムとならない。かかる低級アルケニル基としてはビニル基、アリル基、プロペニル基が例示される。また、かかる低級アルケニル基は分子中のどこに存在してもよいが、少なくとも分子鎖の末端に存在することが好ましい。本成分の分子構造は、好ましくは直鎖状であり、わずかの分枝を含む直鎖状であってもよい。本成分はコーティング作業性の点で25℃の粘度が100,000センチポイズ以下であることが好ましい。このようなオルガノポリシロキサンとしては、両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖のジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖のジメチルシロキサン−メチルフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖のジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサン−メチルビニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖のジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖のジメチルシロキサン−メチルフェニルシロキサン−メチルビニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖のメチル(3,3,3−トリフロロプロピル)ポリシロキサン、両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖のジメチルシロキサン−メチル(3,3,3−トリフロロプロピル)シロキサン共重合体、CH2=CH(CH3)2SiO1/2単位と(CH3)3SiO1/2単位と(CH3)2SiO2/2単位と微量のSiO4/2単位からなるポリシロキサン等が例示される。本発明においては上記オルガノポリシロキサン2種以上を組合せて使用してもよい。
【0007】
本発明で使用される(b)成分は、(a)成分の架橋剤であり、(c)成分の触媒作用により本成分中のケイ素原子結合水素原子が(a)成分中の低級アルケニル基と付加反応して硬化するものである。この(b)成分は1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有することが架橋剤としての働きをするために必要である。
そして前述の(a)成分1分子中のアルケニル基と(b)成分1分子中のケイ素原子結合水素原子の合計数は少なくとも5であることが好ましい。5未満では実質的に網状構造を形成しないので良好な被膜が得られないので好ましくない。
本成分の分子構造については特に限定はなく、直鎖状、分枝を含む直鎖状、環状などのいずれでもよい。本成分は、(a)成分との相溶性を良好にするために25℃の粘度が1〜50,000センチポイズであることが好ましい。
本成分の添加量は、本成分中のケイ素原子結合水素原子の合計量と(a)成分中の全低級アルケニル基の合計量とのモル比が(0.5:1)〜(20:1)となるような量が好ましく、(0.8:1)〜(5:1)となるような量がより好ましい。これはモル比が0.5:1より小さいと良好な硬化物を得にくく、20:1より大きくなると硬化物がもろくなるからである。尚、補強等のためアルケニル基を多量に含有するオルガノシロキサン類を別途添加する場合には、そのアルケニル基に見合うだけのケイ素原子結合水素原子を含む本成分を追加することが好ましい。
本成分の具体例を示すと、両末端トリメチルシロキシ基封鎖のメチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖のジメチルシロキサン−メチルハイドロジェンポリシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖のジメチルシロキサン−メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン−メチルハイドロジェンシロキサン環状共重合体、(CH3)2HSiO1/2単位とSiO4/2単位からなる共重合体、(CH3)3SiO1/2単位、(CH3)2HSiO1/2単位およびSiO4/2単位からなる共重合体があげられる。
【0008】
(c)成分はケイ素原子結合水素原子とアルケニル基とを付加反応させる触媒であり、具体例をあげると塩化白金酸およびこれをアルコールやケトン類に溶解させたものおよびその溶液を熟成させたもの、塩化白金酸とオレフィン類との錯化合物、塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体、塩化白金酸とジケトンとの錯体、白金黒および白金を担体に保持させたものなどがある。
本成分の添加量は、(a)成分と(b)成分の合計量100万重量部に対して白金系金属として0.1〜1000重量部となる量が好ましいが、これは0.1重量部未満では架橋反応が十分進行せず、1000重量部より多いと不経済であるからである。通常使用される場合には白金系金属として1〜100重量部程度の添加量が好ましい。
【0009】
(d)成分としては、沈降法シリカ、ヒュームドシリカ、カーボンブラック、コロイダル炭酸カルシュウムのような補強性充填剤が例示される。これらシリカフィラーは、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサンのような有機ケイ素化合物で表面処理したものでもよい。また、室温下での硬化反応を制御するためにアルキンアルコール、エンイン化合物、ヒドラジン類、トリアゾール類、フォスフィン類、メルカプタン類等を微量または少量添加することが好ましい。
【0010】
次に、縮合反応硬化型液状シリコーンゴム組成物を説明する。上記した(e)成分は(g)成分の触媒作用により(f)成分と縮合反応し硬化してゴム状を呈する。この(e)成分は1分子中にケイ素原子結合ヒドロキシル基もしくは加水分解性基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンであり、そのヒドロキシ基もしくは加水分解性基の結合位置は特に限定されないが、両末端に存在することが好ましい。ケイ素原子に結合する他の有機基は、非置換もしくは置換の一価炭化水素基であり、これにはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基;シクロヘキシル基、シクロペンチル基などのシクロアルキル基;あるいはこれらの基の水素原子の一部もしくは全部がフッ素、塩素、臭素などのハロゲンで置換された基、例えば3−クロルプロピル基、3,3,3−トリフロロプロピル基が挙げられる。この有機基はメチル基、ビニル基、フエニル基が一般的であるが、すべて同一である必要はなく異種の有機基の組み合せであってもよい。分子構造は実質的に直鎖状であることが好ましく、これは直鎖状またはやや分岐した直鎖状を意味する。また、その粘度はコーティング作業性の点から25℃で100,000センチポイズ以下であることが好ましい。
このようなオルガノポリシロキサンの具体例としては、分子鎖両末端がヒドロキシル基,メトキシ基,エトキシ基,メチルエチルケトキシム基もしくはアセトキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン、ジメチルシロキサンとメチルフエニルシロキサンの共重合体、メチルビニルポリシロキサンあるいはジメチルシロキサンとメチルビニルシロキサンの共重量体が挙げられる。
【0011】
(f)成分は(e)成分の架橋剤として作用する。この成分は(e)成分の架橋剤として作用するために、ケイ素原子結合加水分解性基が1分子中に3個以上存在することが好ましく、このような加水分解性基として、アルコキシ基,ケトキシム基,アルケニルオキシ基,アシロキシ基,N,N−ジアルキルアミノ基,N,N−ジアルキルアミノキシ基,水素原子が例示される。
かかる(f)成分の具体例として、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、エチルトリ(メチルエチルケトキシム)シラン、ビニルトリ(メチルエチルケトキシム)シラン、フェニルトリ(メチルエチルケトキシム)シラン、メチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、メチルエトキシジアセトキシシラン、メチルトリ(N,N−ジエチルアミノキシ)シラン、ビニルトリ(N,N−ジエチルアミノキシ)シラン、ビニルトリ(N−シクロヘキシルアミノ)シラン、ビニルトリ(α−メチルビニロキシ)シラン、ビニルトリ(N−メチルアセトアミド)シラン、テトラアセトキシシラン、テトラ(メチルエチルケトキシム)シラン、ジエトキシジ(メチルエチルケトキシム)シラン、ジメチルテトラアセトキシジシロキサン、ジビニルテトラ(メチルエチルケトキシム)ジシロキサン、トリビニルペンタエトキシトリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサンオリゴマー、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサンがある。
(f)成分の配合量は(e)成分100重量部に対して通常の0.1〜50重量部の範囲内である。
【0012】
(g)成分は(e)成分と(f)成分の縮合反応を促進するためのものであり、例えばジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジアセテート、オクテン酸錫、ラウリン酸錫、オクテン酸第2鉄、オクテン酸鉛、ラウリン酸鉛、オクテン酸亜鉛などの有機酸金属塩;テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、ジブトキシチタンビス(エチルアセトアセテート)等のチタン酸エステル;n−ヘキシルアミン、グアニジンなどのアミン化合物またはそれらの塩酸塩が挙げられる。(e)成分がシラノール基封鎖オルガノポリシロキサンであり、(f)成分がオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーであるときは、塩化白金酸をアルコールやケトン類に溶解させたもの、塩化白金酸とジケトンとの錯化合物、白金黒、白金を担体に保持させたものなどの白金系化合物であってもよい。
なお、(e)成分がシラノール基封鎖オルガノポリシロキサンであり、(f)成分がN,N−ジアルキルアミノキシ基もしくはN,N−ジアルキルアミノ基を含有するオルガノシランもしくはオルガノシロキサンオリゴマーのように活性の強い架橋剤であるときは、(g)成分は必須ではない。
(g)成分の添加量は、上記有機酸金属塩類、チタン酸エステル類、アミン化合物またはそれらの塩酸塩については、(e)成分100重量部に対して好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.05〜2重量部の範囲内である。ただし、(f)成分の種類によっては不要なことがある。白金系化合物については(e)成分と(f)成分の合計量100万重量部に対して白金金属として好ましくは0.1〜1000重量部、より好ましくは1〜100重量部の範囲内である。
【0013】
(A)中空ムライト粒子は、内部が中空であって、ムライトである殻で囲まれた粒子であり、コーティング後に硬化してゴム状となった被膜表面の粘着性を無くし、滑り性を付与する。セラミックスとしてはムライト,アルミナ,マグネシア,チタニア,ジルコニアが例示されるが、入手のしやすさ、殻強度などの点でムライトが好ましい。なお、本発明におけるムライトはガラス類を包含していない。ガラス類の中空粒子は強度が小さいので他成分中と混合中やコーティング後に壊れやすい。この中空ムライト粒子は通常は、球状であり、その粒径は、5μm未満では粘着性の除去、滑り性の付与が困難であり、100μmより大きいと表面がざらざらするので5〜100μmであり、好ましくは10〜70μmである。その中空率は特に限定されないが、あまり小さいと沈降しやすくなり、あまり大きいと殻強度が小さくなるので、好ましくは30〜95容量%である。また、その含有量は4重量%未満では粘着性の減少,滑り性の付与が不十分であり、70重量%を超えるとゴム被膜の物性が著しく低下するので、4〜70重量%である。
【0014】
また、(B)顔料は着色のために必要な成分であり、代表例として、無機顔料と有機顔料がある。無機顔料としては、例えば、弁柄、鉄黒、二酸化チタン、チタンイエロー、亜鉛華、群青、カーボンブラック、アルミニウム粉などがあり、有機顔料としては、例えば、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、レーキ系顔料がある。その含有量は小さすぎると着色が不十分となり、多きすぎても無意味なので、0.1〜10重量%が好ましく、本発明のコーティング剤組成物をインク用として使用するときは0.5〜10重量%が好ましい。
本発明のコーティング剤組成物には、珪藻土、石英微粉末、タルク粉末、炭酸カルシウム粉末などの増稠剤、増粘剤ないしチクソトロピー性付与剤、シランカップリング剤のような接着付与剤、有機溶剤、防かび剤、難燃化剤などを含有させてもよい。
有機溶剤は粘度低下調整剤ないし分散剤として作用する。好ましい有機溶剤として、トルエン、キシレン、ケロシン、オクタメチルシクロテトラシロキサンなどが例示される。
【0015】
本発明のシリコーンゴム系コーティング剤組成物は、既製の液状シリコーンゴム組成物に上記(A)成分のみ、あるいは(A)成分と(B)成分、さらには必要に応じて各種添加剤を均一に混合することにより容易に製造することができる。また、液状シリコーンゴム組成物用の諸原料と、上記(A)成分のみ、あるいは(A)成分と(B)成分と、必要に応じて各種添加剤を均一に混合することにより容易に製造することができる。
本発明のシリコーンゴム系コーティング剤組成物は、コーティング作業性の点で25℃において、0.1〜100ポイズであることが好ましく、それが、インク用であるときは印刷性の点で25℃において10ポイズ〜100ポイズあることが好ましい。
本発明のシリコーンゴム系コーティング剤組成物は、金属、木材、石材、コンクリート、布、人工皮革などの防水コーティングに有用であり、それがインク用であるときはシリコーンゴム成形品、布、不織布、人工皮革などのマークや印刷に有用である。
【0016】
【実施例】
次に本発明を実施例で説明するが、実施例中、部とあるのは重量部のことであり、粘度は25℃における値である。また硬化被膜の粘着性と滑り性は、指での触感により評価し、光沢度は村上色彩技術研究所製携帯用光沢計を用い、入射角60°で測定した。
【0017】
【実施例1】
粘度が2,000センチポイズであり、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100部に比表面積が200m2/gの乾式シリカ30部、シリカ表面処理剤としてのヘキサメチルジシラザン5部と水2部を加えて均一になるまで混合し、さらに真空下で混合しつつ加熱処理して、流動性のある液状シリコーンゴムベースを作った。続いて、この液状シリコーンゴムベース100部に粘度が5センチポイズの両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体5部、塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンとの白金錯体(白金含有量0.4重量%)0.4部と硬化抑制剤としての3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール0.2部を加えて均一になるまで混合して液状シリコーンゴム組成物を得た。この液状シリコーンゴム組成物100部に弁柄10部、平均粒径が45μmの白色球状中空ムライト粒子(真比重0.69g/cm3、かさ比重0.4g/cm3、圧縮強度700kgf/cm2、融点1600℃)5部、10部または20部をそれぞれ加えて均一になるまで混合してコーティング剤組成物をつくり、100メッシュの金網を用いて、アルミニウム板上にスクリーン印刷を行い、150℃で10分間保って硬化させ、生成したゴム被膜の粘着性と滑り性を評価して、その結果を表1に示した。比較のため中空ムライト粒子の添加量0部と2部のコーティング剤組成物をつくり、それぞれ、上記同様に評価して、その結果を表1に示した。
【表1】
【0018】
【実施例2】
粘度が15,000センチポイズの分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100部に脂肪酸処理沈降炭酸カルシウム50部もしくは100部、実施例1で使用した中空ムライト粒子50部を添加し、均一に混合して液状シリコーンゴムベースを作った。続いて、この液状シリコーンゴムベース100部にメチルトリメトキシシラン2.6部とテトラブチルチタネート0.7部を加えて均一に混合し、それぞれ室温湿気硬化性液状シリコーンゴム組成物を得た。これら組成物を実施例1と同様な方法でスクリーン印刷し、25℃,50%RHの大気中に、24時間放置して硬化させ、ゴム被膜の粘着性と滑り性および光沢度を評価して、その結果を表2に示した。比較のため中空ムライト粒子を添加しないコーティング剤組成物をつくり、それぞれ、上記同様に評価して、その結果を表2に示した。
【表2】
【0019】
【実施例3】
実施例1の液状シリコーンゴムベース100部に両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量0.8重量%)5部、塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体(白金濃度0.4重量%)0.4部と硬化抑制剤としての3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール0.2部、赤色有機顔料スーパーレッドR(大日本インキ社製)4部、実施例1で使用した中空ムライト粒子40部をそれぞれ加えて均一になるまで混合してコーティング剤組成物をつくり、100メッシュの金網を用いて、織物であるナイロンタフタ上にスクリーン印刷を行い、120℃で15分間保って硬化させ、ナイロンタフタ上のゴム被膜の粘着性と滑り性を評価したところ、粘着製は無く、滑り性が優れていた。
【0020】
【発明の効果】
本発明のシリコーンゴム系コーティング剤組成物は、硬化後のゴム被膜に粘着性がなく、滑り性が優れているという特徴がある。それが硬化性インク用であるときは、印刷性に優れており、硬化後の印刷面に粘着性がなく、滑り性に優れているという特徴がある。
Claims (5)
- (A)平均粒径が5〜100μmの中空ムライト粒子を4〜70重量%含有する液状シリコーンゴム組成物であることを特徴とするシリコーンゴム系コーティング剤組成物。
- 液状シリコーンゴム組成物がヒドロシリレーション反応硬化型であることを特徴とする請求項1記載のコーティング剤組成物。
- 液状シリコーンゴム組成物が縮合反応硬化型であることを特徴とする請求項1記載のコーティング剤組成物。
- (A)平均粒径が5〜100μmの中空ムライト粒子を4〜70重量%、(B)顔料を0.1〜10重量%含有する液状シリコーンゴム組成物であることを特徴とするシリコーンゴム系コーティング剤組成物。
- コーティング剤組成物がインク用であることを特徴とする請求項4記載のコーティング剤組成物。
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