JP2004174525A - 水栓等の上水道用金具の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】砂型により形成された製品空腔1の入側堰8の略反対側に出側堰10を設け、該入側堰から該製品空腔の2倍以上の容量の低鉛銅合金からなる溶湯を該製品空腔に流入させ、該製品空腔と同容量以上の該溶湯を前記出側堰から流出させることにより、該製品空腔に上水道用金具を鋳造する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水中に鉛が溶出するのを低減させるため鉛含有率を低くした銅合金により水栓等の上水道用金具を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開2000−96268号公報
【特許文献2】
特開平11−36026号公報
【特許文献3】
特開2001−64742号公報
【0003】
水栓は一般に青銅,黄銅等の銅合金から鋳造され、さらにこれを切削加工,研磨加工して製品化される。そして、その機械的強度および切削性を向上させるために、銅合金中に鉛が青銅の場合で4〜6%、黄銅では2%前後添加されている。
【0004】
ところで、上記鉛含有銅合金で水栓等の上水道用金具が製造されていると、その接水面から鉛が水中に溶出し、その水を長期間飲用すると人体に有害であるとされており、その防止のために上記特許文献1では、メッキ工程で鉛の溶出を防止する方法が開示され、また、上記特許文献2,3では鉛を添加していない銅合金を提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記方法では経時的観点からすると溶出防止作用が充分に維持できないおそれがあり、また鉛含有率の低い銅合金では、従来の砂型による鋳造法によっては一般に表明されているような製品強度が得られないという問題があり、また切削性も劣るという問題があった。
そこで本発明は、低鉛含有率の銅合金を砂型によって鋳造するものでありながらも、その鋳造法を改めることにより、強度,切削性を大幅に向上し得る水栓等の上水道用金具を製造する方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そのために本発明に係る水栓等の上水道用金具の製造方法は、砂型により形成された製品空腔の入側堰の略反対側に出側堰を設け、該入側堰から該製品空腔の2倍以上の容量の低鉛銅合金からなる溶湯を該製品空腔に流入させ、該製品空腔と同容量以上の該溶湯を前記出側堰から流出させることにより、該製品空腔に上水道用金具を鋳造することを特徴とする。
また本発明に係る水栓等の上水道用金具の製造方法は、砂型の製品空腔に連なる湯道と略反対側に砂型外と連なる出湯道を形成するとともに、該製品空腔に該製品空腔の2倍以上の容量の低鉛銅合金からなる溶湯を鋳込み、余りの溶湯を出湯道から砂型外に流出させた後に該出湯道を閉塞することを特徴とする。
また本発明は上記製造方法において、低鉛銅合金は、鉛の含有率が0.2重量%以下となるように組成調整したものであることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に図面に従い本発明の実施の形態を説明する。本発明にて使用する低鉛銅合金の組成の一例を示すと表1の通りである。
【表1】
【表2】
なお、表2は比較のために日本工業規格(JIS H5121)に定められた銅合金(青銅)の組成を例示するものである。上記低鉛銅合金では、鉛含有率を0.2重量%以下にしたことによる強度,切削性等の低下を補うために亜鉛の含有率を多く(5.0〜9.0重量%)するとともに、ビスマスを(2.0〜4.0重量%)添加している。
【0008】
一方、図1は上記低鉛銅合金を鋳込む砂型の縦断面図を示し、同図中、1は下型2と上型3との間に水栓の製品形状に合わせて形成された製品空腔、4は該製品空腔内にセットされた中子、5は製品空腔に連なる湯道、6は該湯道に連なる湯口、7は湯道5に形成された湯だまり、8は湯道5の製品空腔1との境に形成された入側堰である。また、9は製品空腔1の湯道5と略反対側に砂型外と連なるように形成された出湯道、10は出湯道9の製品空腔1との境に形成された出側堰である。なお、11は出湯道9の開口、12は該開口の外側に設けられたインゴットケース、13は該開口11を適時閉塞し得るように予め用意された栓14が先端部に設けられた閉止具である。
【0009】
しかして上記低鉛銅合金は、1100℃前後で溶融し、上記砂型の湯口6に取鍋15により注湯される。こうして注湯された溶湯は、湯道5,入側堰8を通って製品空腔1に流入し、該製品空腔1は該溶湯によって満たされる。また、この注湯時に上記開口11は開放状態としておくことにより、先に注がれた溶湯を該製品空腔1から出側堰10,出湯道9を通り開口11より砂型外のインゴットケース12に流出させる。そして、製品空腔1の2倍以上の容量の溶湯を該製品空腔1に流入させ、該製品空腔1と同容量以上の該溶湯を前記出側堰10から流出させ、余りの溶湯を出湯道から砂型外に流出させたところで注湯を止めると同時に、上記閉止具13の栓14を開口11に嵌合させ溶湯の流出を止める。
【0010】
このように製品空腔1にその容積以上の多量の溶湯を通過させることにより、該製品空腔1の内壁面の砂は溶湯の熱により高温度に加熱されることとなる。このため、該製品空腔1に鋳込まれた溶湯は時間をかけて緩やかに温度降下し、冷却の過程で金属組織が緻密な結晶化構造となり得る。このためこの鋳造製品では切削性が優れ後加工が容易になるとともに、機械的強度が大幅に向上する。また、この鋳造方法によれば、溶湯が流通することにより、引巣(空洞)のない製品が得られることから、このことも製品強度を上昇させる要因となっている。
【0011】
ちなみに、図2はこの鋳造製品を引張試験し、その破断面を写真に示したものであり、図3は従来の方法によって鋳造された製品の破断面の写真であるが、従来方法によって鋳造された製品では、破断面の組織に結晶化は全く認められないのに対し、この鋳造法による製品では放射状の結晶化構造が明確に認められた。なお、このような明確な結晶化構造をなさしめるためには、常温環境での鋳造の場合において、製品空腔の2倍以上の容量の溶湯を流入させ、該製品空腔と同容量以上の該溶湯を流出させることにより製品空腔1の内壁面の砂が充分に加熱されなければならない。しかし、製品空腔への溶湯の流入を製品空腔の3倍以上とすると、溶湯の無駄となるばかりか、砂型面が溶湯熱により破壊され鋳肌を無用に荒らすこととなるので、製品空腔への溶湯の流入は該製品空腔の3倍以下に抑えられなければならない。また、溶湯は酸化を防ぐために温度を適切に管理するとともに、溶融時に必要に応じて脱酸化剤を使用するのが望ましい。
【0012】
そして本発明の方法によれば、上記低鉛銅合金の場合で、伸び22%、引張強さ210N/mm2が達成され、従来の鋳造方法によるものよりも引張強さが約2倍にもなることが認められた。このため、例えば水栓のボデーを従来の青銅を用いたものと同等の肉厚設定で製造しても同等の耐圧性,耐久性を得ることができ、製品の信頼性を落とすことなく鉛害のおそれのない上水道用金具を製造することができる。
【0013】
【発明の効果】
このように本発明は、低鉛銅合金からなる溶湯を該製品空腔に所定量通過させることにより、上水道用金具の金属組織の結晶化を促進させ、機械的強度,切削性等を改善し得るので、鉛が溶出するおそれがなく信頼性の高い上水道用金具を砂型によって容易に鋳造できるようにする有益な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示した砂型の縦断面図。
【図2】本発明の方法により製造された製品の破断面の写真。
【図3】従来の方法により製造された製品の破断面の写真。
【符号の説明】
1 製品空腔
5 湯道
6 湯口
7 湯だまり
8 入側堰
9 出湯道
10 出側堰
11 開口
13 閉止具
14 栓
15 取鍋
Claims (3)
- 砂型により形成された製品空腔の入側堰の略反対側に出側堰を設け、該入側堰から該製品空腔の2倍以上の容量の低鉛銅合金からなる溶湯を該製品空腔に流入させ、該製品空腔と同容量以上の該溶湯を前記出側堰から流出させることにより、該製品空腔に上水道用金具を鋳造することを特徴とした水栓等の上水道用金具の製造方法。
- 砂型の製品空腔に連なる湯道と略反対側に砂型外と連なる出湯道を形成するとともに、該製品空腔に該製品空腔の2倍以上の容量の低鉛銅合金からなる溶湯を鋳込み、余りの溶湯を出湯道から砂型外に流出させた後に該出湯道を閉塞することを特徴とした水栓等の上水道用金具の製造方法。
- 低鉛銅合金は、鉛の含有率が0.2重量%以下となるように組成調整したものである請求項1または2に記載の水栓等の上水道用金具の製造方法。
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WO2007026780A1 (ja) * | 2005-08-30 | 2007-03-08 | Kitz Corporation | 青銅系低鉛合金 |
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JPWO2005093108A1 (ja) * | 2004-03-29 | 2008-02-14 | サンエツ金属株式会社 | 黄銅材 |
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